説明

呼吸の神経制御を行うシステム

呼吸の神経制御を行うシステム、装置、方法を提供する。この開示の1つの態様は、中枢性呼吸器疾患が発生した際に呼吸を検出し制御する埋込可能医療装置に関する。種々の実施形態によれば、この装置は、中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路を有する。この装置は、また、神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器と、検出回路と通信して中枢性呼吸器疾患の発生の検出に応じて所望の神経標的を刺激するように神経刺激器を制御するコントローラとを有する。一実施形態では、装置は、中枢性呼吸器疾患の発生を検出し検出回路に信号を送るために生理学的パラメータを監視するように適応された複数のセンサを有する。本明細書において他の態様及び実施形態が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一般に埋込可能医療装置に関し、より詳細には中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸の神経制御を行うシステム、装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
参照により本明細書に組み込まれる2005年6月13日に出願された米国特許出願第11/151,122号に優先権の利益が請求される。
【0003】
中枢性呼吸器疾患は、睡眠中又は人が目覚めている間に呼吸に影響を与える異常を含む。中枢性呼吸器疾患は、血液中の二酸化炭素又は酸素のレベルの間違った検出と関連している。神経受容器が正しい神経信号を送らない、実質的には二酸化炭素又は酸素の間違ったレベルを報告することにより脳を欺くと、中枢性呼吸器疾患が発生することがある。これに応じて、脳は呼吸を遅くし、さらに極端なケースでは呼吸を止める。
【0004】
睡眠中と日中の呼吸器疾患にはそれぞれ、中枢性の睡眠時無呼吸又は呼吸低下と、定期的な呼吸又は呼吸困難を含む。中枢性的な睡眠時無呼吸は、睡眠中の呼吸停止を指し、呼吸低下は、睡眠中の異常に遅い又は浅い呼吸を指す。どちらの症状も心不整脈との関連を含む深刻な健康被害を生じる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題ならびに本明細書で明確に述べられていない他の問題は、本発明によって取り組まれ、本明細書を読み研究することによって理解される。
【0006】
本明細書には、特に、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御するための埋込可能医療装置(IMD)を開示する。種々の実施態様によれば、この装置は、中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路を含む。装置は、また、神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器と、検出回路と通信して中枢性呼吸器疾患の発生の検出に応じて所望の神経標的を刺激するように神経刺激器を制御するコントローラとを含む。一実施態様では、装置は、生理学的パラメータを監視して中枢性呼吸器疾患の発生を検出し検出回路に信号を送るように適応された複数のセンサを有する。
【0007】
この開示の一態様は、異常呼吸の際に呼吸の神経制御を行うシステムに関する。種々の実施態様によれば、このシステムは、少なくとも1つの電極を有する少なくとも1つの神経刺激リードと、生理学的パラメータを監視して中枢性呼吸器疾患の発生を検出するように適応された少なくとも1つのセンサとを有する。このシステムは、また、少なくとも1つのリードと少なくとも1つのセンサとに結合された埋込可能医療装置(IMD)を有する。IMDは、中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路と、神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器と、検出回路と通信して中枢性呼吸器疾患の発生の検出に応じて所望の神経標的を刺激するように神経刺激器を制御するコントローラとを有する。一実施態様によれば、検出信号は、化学的受容器(CR)と機械的受容器(MR)の神経活動を表す信号を含み、これに応じて、神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するようにCRとMRと関連した神経を刺激する。
【0008】
システムの様々な実施態様は、中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために少なくとも1つの生理学的パラメータを検出する手段と、少なくとも1つの検出した生理学的パラメータに基づいて、正常なCR活動とMR活動を模倣するように神経刺激治療を行う手段とを有する。一実施態様によれば、神経刺激治療を行う手段は神経カフ電極を有する。一実施態様によれば、神経刺激治療を行う手段は経血管的刺激リードを有する。
【0009】
この開示の一態様は、中枢性呼吸器疾患の際に呼吸を検出し制御する方法に関する。この方法の種々の実施態様は、中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために1つ又は複数の生理学的パラメータを検出する段階を含む。この方法は、また、検出したパラメータを検出したパラメータの所望の値範囲と比較する段階を含む。この方法は、更に、検出したパラメータの1つ又は複数が所望の範囲内にない場合に、正常なCR活動とMR活動を模倣するように神経刺激治療を行う段階を含む。
【0010】
この要約は、本出願の教示の一部の概要であり、本発明を排他的又は網羅的に扱うものではない。さらなる詳細は、詳細な説明と添付の特許請求の範囲に示される。以下の詳細な説明を読み理解し、また説明の一部を構成しかつそれぞれが限定的に解釈されるべきでない図面を閲覧することによって、他の態様が当業者に明らかになるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とその法的均等物によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、本発明を実施することができる具体的な態様や実施形態を図によって示す添付図面を参照する。ある実施形態を別の実施形態と組み合わせることができるため、様々な実施形態は必ずしも互いに排他的でない。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明される。他の実施形態を利用して、本発明の範囲から逸脱することなく構造的、論理的、電気的な変更を行うことができる。
【0012】
中枢性呼吸器疾患は、適正な神経信号を送らない、要するに、二酸化炭素又は酸素の間違ったレベルを報告することによって脳を欺く神経受容器と関連している。呼吸の神経信号は、受容器レベル、末梢神経線維又は中枢シナプスで乱される。脳は、これに応じて、呼吸を増やし、あるいは極端なケースでは呼吸を止める。中枢性睡眠時無呼吸は、例えば、慢性心不全あるいは発作や脊髄損傷などの神経筋疾患の結果であることがある。中枢性呼吸器疾患の発生を少なくするかなくすための埋込システムが必要である。
【0013】
本システムは、IMDを使用して、中枢性の睡眠時無呼吸及び呼吸低下(一般に睡眠時呼吸障害と呼ばれる)の異常な呼吸状態、又は中枢性の換気過小又は換気増大を含む中枢性呼吸器疾患を治療し予防することができる。装置の一実施形態は、中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために神経活動を含む生理学的パラメータを監視する。異常呼吸が検出されたとき、神経経路における混乱から、CR又はMR、呼吸受容器信号を伝える神経、受容器情報を制御する脳の領域、又はこれらの様々な組み合わせに向けて下流に刺激が加えられる。この刺激により、呼吸受容器から横隔膜への求心性神経活動と遠心精神系活動を調整することによって健康なCRとMRの神経活動が模倣され、事象を終息させる。種々の実施形態は閉ループシステムにフィードバックを提供する。種々の実施形態では、このフィードバックを、一回換気量又は速度情報によって提供することができる。
【0014】
埋込可能医療装置
図1は、一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御するシステム100を示す。このシステムは、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸の神経制御を行う埋込可能医療装置120を含む。装置120は、中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路102を含む。装置は、また、神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器104と、中枢性呼吸器疾患の発生の検出に応じて所望の標的を刺激するために検出回路102と通信し神経刺激器104を制御するコントローラ106を含む。
【0015】
一実施形態によれば、検出信号は、CRとMRの神経活動を表す信号を含み、これに応じて、神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するためにCRとMRに関連した神経を刺激するように適応されている。装置は、センサによって検出されたものと同じCRとMRを刺激することもできるし、異なるCRとMRを刺激することもできる。
【0016】
呼吸を検出し制御するシステム
図1に示したシステム100は、少なくとも1つの電極110を有する少なくとも1つの神経刺激リード108と、生理学的パラメータを監視して中枢性呼吸器疾患の発生を検出するように適応された少なくとも1つのセンサ112を備える。システム100は、また、少なくとも1つのリード108と少なくとも1つのセンサ112に結合された埋込可能医療装置120を有する。一実施形態によれば、装置120は、リード109を介して少なくとも1つのセンサ112に接続される。一実施形態によれば、装置120は、無線接続によって少なくとも1つのセンサ112に接続される。
【0017】
前述のように、埋込装置120は、中央呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路102と、神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器104と、検出回路と通信し中枢性呼吸器疾患の発生の検出に応じて所望の神経標的を刺激するように神経刺激器を制御するコントローラ106とを備える。一実施形態によれば、検出信号は、CRとMRの神経活動を表す信号を含み、これに応じて神経刺激器104は、中枢性呼吸器疾患を治療するためにCRとMRと関連した神経を刺激する。埋込可能医療装置は、また、一実施形態では、心臓ペーシング、心房又は心室の細動除去、心臓再同期治療などの心臓リズム管理(CRM)治療を行うように適応される。一実施形態によれば、このシステムは、皮下構成で実施され、追加のCRM機能を備えてもよく備えなくてもよい。一実施形態によれば、リード108は神経カフを有する。一実施形態によれば、リード108は経血管的刺激リードを含む。リード108の他の実施形態は、この開示の範囲内である。
【0018】
図2Aは、種々の実施形態による本システムの電極構成を示す。電極110は、神経刺激器から体内の神経刺激(NS)部位250に神経刺激を伝えるように適応されている。一実施形態では、神経刺激器はCR252を刺激するように適応されている。一実施形態では、神経刺激器は、MR254を刺激するように適応されている。種々の実施形態によれば、神経刺激器は、異常呼吸を治療するために、末梢神経、迷走神経、舌咽神経、横隔神経、肋間筋、脳内の呼吸中枢、及び/又は横隔膜筋肉などの他の標的256を刺激するように適応される。他の標的は、この開示の範囲内であり、図3Bに関して後で説明される。
【0019】
図2Bは、種々の実施形態によるシステムのセンサ構成を示す。センサ112は、様々な生理学的パラメータを監視して中枢性呼吸器疾患の発生を検出するように適応されている。種々の実施形態では、センサ112は、1つ又は複数のセンサ部位260を監視する。一実施形態において、少なくとも1つのセンサ112は、CR262の神経活動を監視するように適応される。一実施形態において、少なくとも1つのセンサ112は、MR264の神経活動の神経活動を監視するように適応される。種々の実施形態において、少なくとも1つのセンサ112は、身体の動き、心拍数、QT間隔、目の動き、呼吸数、経胸腔インピーダンス、一回換気量、分時換気量、身体姿勢、脳波(EEG)、心電図(ECG)、電気眼球図(EOG)、筋電図(EMG)、神経電図(electroneurogram)(ENG)、筋緊張(muscle tone)、体温、パルス酸素計測、二酸化炭素濃度、血液ガス、及び/又は時刻などの他のパラメータ266を監視するように適応される。一実施形態では、少なくとも1つのセンサ112は、二酸化炭素と酸素の直接測定を行うための血液ガスセンサを備える。一実施形態において、少なくとも1つのセンサ112は、人体外部のセンサを有する。他の検出パラメータは、この開示の範囲内である。
【0020】
センサ112は、一実施形態では、リードを介して埋込可能医療装置(IMD)120に直接接続されたセンサを含む。種々の実施形態では、センサ112は、IMD120の内部又はその表面にある。種々の実施形態では、センサ112は、無線通信を使用してIMD120と通信する。
【0021】
本システムは、これらの信号のいずれか又はすべての組み合わせを使用して異常呼吸、中枢性換気過小、中枢性換気増大などの中枢性呼吸器疾患の発症を決定する。発症が検出された場合、少なくとも1本のリードによって、神経刺激が、受容器に直接印加され、受容器から求心神経に、又は脳の呼吸領域に、直接又は間接的に印加される。刺激は、すべてのフィードバック信号が正常範囲内にある正常な受容器活動を模倣するように印加される。受容器信号の神経リセットにより、脳が呼吸を正常に制御することができる。一実施形態によれば、刺激に使用されるパラメータ(周波数、振幅、パルス幅など)は、センサ112から受け取ったすべてのセンサフィードバックに基づいて設定される。受容器からの神経信号が失われた場合、埋込可能医療装置120は、呼吸制御を実現するために正常範囲内の人工的な信号を提供することができる。呼吸制御が失われた場合、装置120は、横隔神経、横隔膜又は肋間筋の刺激によって呼吸を制御することができる。この刺激のパラメータ(周波数、振幅、パルス幅など)は、生理学センサ112からのフィードバックに基づく。
【0022】
この開示の1つの態様は、異常呼吸の間に呼吸を検出し制御するシステムに関する。このシステムは、中枢性無呼吸/呼吸低下の発生を検出するために少なくとも1つの生理学的パラメータを検出する手段と、少なくとも1つの検出された生理学的パラメータに基づいて、正常なCR活動とMR活動を模倣する神経刺激治療を行う手段とを有する。1つ又は複数の生理学的パラメータを検出する手段は、一実施形態において、CRとMRの神経活動を検出する手段を備える。フィードバックは、種々の実施形態による一回換気量と速度情報を検出することによって提供される。一実施形態によれば、神経刺激治療を行う手段は神経カフ電極を含む。一実施形態によれば、神経刺激治療を行う手段は、経血管的刺激リードを有する。
【0023】
呼吸を制御する神経刺激
図3Aは、人間の呼吸器の神経生理機能を示す。図は、延髄304、舌咽神経306、迷走神経308、頚動脈小体310、大動脈体312、肋間筋314、肺外気道316、肺318を示す。呼吸の制御と関係する神経の検出は、いくつかのセンサからの知覚入力を含む。一実施形態において、中枢性CRが検出される。これらの中枢性CRは、第9及び第10脳神経の出口の部位の近くの延髄の中央面を含む。一実施形態において周辺CRが検出される。これらは、頚動脈圧受容器と関連付けられておらず、pO2、pCO2、pHに応答する大動脈体と頚動脈小体を含む。
【0024】
一実施形態では、肺伸張受容器、刺激受容器、無髄C繊維を含む肺内のMRが検出される。肺伸張受容器と刺激受容器は、一般に肺外気道316の平滑筋層内にある。C繊維は、一般に肺318間質と肺胞壁内にある。MR部位の他の例には、肋間筋314紡錘糸と圧受容器がある。呼吸低下、中枢性無呼吸、換気増大、換気過小などの中枢性呼吸器疾患の検出を含む呼吸の制御と関連した神経を検出する他の位置はこの開示の範囲内である。
【0025】
中枢性呼吸器疾患の発生は、検出したCRとMR情報を使用して多くの方法で検出することができる。一実施形態では、中枢性呼吸器疾患の発生を示す信号の測定ゲインは、正常範囲内にない。一実施形態では、中枢性呼吸器疾患の発生を示す信号の測定遅延は、正常範囲内にない。CRとMRの検出情報を使用する他の検出方法は、この開示の範囲内である。
【0026】
図3Bは、種々の実施形態により呼吸を制御するための神経刺激標的を示す。中枢性無呼吸などの中枢性呼吸器疾患を予防し又は終息させるための神経刺激の位置320を示す。そのような位置320には、延髄304、舌咽神経306、迷走神経308、頚動脈小体310、大動脈体312、肋間筋314紡錘糸、肺外気道316平滑筋、肺318間質の無髄C繊維に沿った位置がある。神経刺激の更に他の位置には、種々の実施形態によれば、横隔神経位置、肺機械的受容器位置、又は横隔膜筋肉位置がある。中枢性呼吸器疾患を防止し又は終息させるために神経刺激を提供する他の位置はこの開示の範囲内である。種々の実施形態によれば、神経(一実施形態では迷走神経など)の選択的活性化が、中枢性睡眠時無呼吸又は呼吸低下を防止し又は終息させるために使用される。
【0027】
埋込システムと外部プログラム装置
図4は、一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸の神経制御を行う埋め込み可能なシステムの概略図である。このシステムは、埋込可能医療装置(IMD)401、IMD401に結合された電気リード420、少なくとも1つの電極425を有する。IMDは、コントローラ回路405、記憶回路410、遠隔測定回路415、神経刺激回路435を含む。コントローラ回路405は、電気的な神経刺激治療を行うために、記憶回路に記憶された命令で動作可能である。治療は、神経刺激回路435によってリード420と電極425を介して加えられる。遠隔測定回路415は、外部プログラム装置430との通信を可能にする。プログラム装置430を使用して、IMD401によって提供されるプログラムされた治療を調整することができ、IMDは、装置データ(バッテリや負荷抵抗など)と治療データ(検出データや刺激データなど)を、例えば無線遠隔測定を使ってプログラム装置に報告することができる。種々の実施形態によれば、IMD401は、後述する図6に示し方法に開示したように、中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために1つ又は複数の生理学的パラメータを検出し、検出したパラメータを検出したパラメータの所望の値範囲と比較し、検出したパラメータの1つ又は複数が所望の範囲内にない場合は神経刺激治療を行う。図示したシステムは、また、少なくとも1つのセンサ445に結合されたセンサ回路440を有する。コントローラ回路405は、センサ回路からのセンサデータを処理し、センサデータに応じた治療を行う。
【0028】
電気リード420は、一実施形態によれば、神経幹に直接刺激を提供するための直接刺激リードを有する。直接刺激リードの例には、神経カフを備えたリードがある。実施形態において、少なくとも1つの神経刺激リード420は、隣接した血管壁を介して神経幹に刺激を間接的に提供するための間接刺激リードを含む。間接刺激リードの例には、長期に移植される経血管的神経刺激リードがある。
【0029】
図5は、一実施形態による、図4のシステムで示されたプログラム装置430又は埋込可能医療装置と通信する他の外部装置などのプログラム装置522を示す。別の外部装置の例には、携帯情報端末(PDA)、あるいは高度患者管理(APM)システム内の個人用ラップトップやデスクトップコンピュータがある。図示した装置522は、コントローラ回路545とメモリ546を含む。コントローラ回路545は、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを使用して実現することができる。例えば、種々の実施形態によれば、コントローラ回路545は、メモリ546に内蔵された命令を実行して、埋込装置へのデータの通信及び/又は命令のプログラミングを含むいくつかの機能を実行するプロセッサを有する。図示した装置522は、更に、埋込装置と通信するために使用されるトランシーバ547と関連回路を含む。種々の実施形態は、無線通信機能を有する。例えば、トランシーバ547と関連回路の種々の実施形態は、埋込装置と無線で通信するために使用される遠隔測定コイルを含む。図示した装置522は、更に、表示装置548、キーボードやマウス/ポインタなどの入出力(I/O)装置549、通信ネットワークなどを介して他の装置と通信するために使用される通信インタフェース550を有する。
【0030】
中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御する方法
図6は、一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御する方法の流れ図を示す。この方法600は、605で、中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために1つ又は複数の生理学的パラメータを検出する段階を含む。この方法は、また、610で、検出したパラメータを検出したパラメータの所望の値範囲と比較する段階を含む。この方法は、更に、615で、検出したパラメータの1つ又は複数が所望の範囲内にない場合に正常なCR活動とMR活動を模倣するように神経刺激治療を行う段階を含む。
【0031】
刺激は、すべてのフィードバック信号が正常範囲内にある正常な受容器活動を模倣するように印加される。受容器信号の神経リセットにより、脳が呼吸を正常に制御することができる。一実施形態によれば、刺激に使用されるパラメータ(周波数、振幅、パルス幅など)は、センサから受け取ったすべてのセンサフィードバックに基づいて設定される。
【0032】
図7Aは、種々の実施形態による、失われたフィードバック信号に応答する方法の流れ図を示す。700で、フィードバック信号が失われるか入手できない場合は、701でセンサフィードバック構成が変更される。703で、フィードバック信号があいかわらず入手できない場合、一実施形態では、704で、あらかじめプログラムされた刺激信号を使って神経刺激治療が加えられる。このように、受容器からの神経信号が失われた場合、埋込可能医療装置は、呼吸制御を提供するために正常範囲内の人工的な信号を提供する。一実施形態は、フィードバック信号が入手できない場合に、706で、代替の神経標的に神経刺激治療を行うことを含む。すべての実施形態が必ずしも説明した段階をすべて使用するとは限らない。
【0033】
図7Bは、種々の実施形態による、効果のない神経刺激に応答する方法の流れ図を示す。呼吸制御が失われた場合、装置は、横隔神経、横隔膜又は肋間筋の刺激によって呼吸を制御することができる。この刺激のパラメータ(周波数、振幅、パルス幅など)は、生理学的センサからのフィードバックに基づく。752で、第1の神経刺激が効果がない場合、754で、刺激パラメータを調整することができる。755で、刺激がまだ効果がない場合、一実施形態は、756で、代替の神経標的に神経刺激治療を行うことを含む。すべての実施形態が、必ずしも説明した段階をすべて使用するとは限らない。
【0034】
当業者は、本明細書に示し説明したモジュールや他の回路を、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを使用して実施できることを理解するであろう。従って、図示したモジュールと回路は、ソフトウェアの実施形態、ハードウェアの実施形態、及びソフトウェアとハードウェアの実施形態を含むように意図されている。
【0035】
この開示に示した方法は、本発明の範囲内にある他の方法を除外するようには意図されていない。当業者は、この開示を読み理解することで、本発明の範囲内にある他の方法を理解するであろう。上記の実施形態と示した実施形態の一部分は、必ずしも互いに排他的ではない。これらの実施形態又はその一部分を組み合わせることができる。種々の実施形態において、前述の方法は、プロセッサが実行するときにそのプロセッサにそれぞれの方法を実行させる一連の命令を表す搬送波又は伝播信号で実施されたコンピュータデータ信号として実現される。種々の実施形態において、前述の方法は、それぞれの方法を実行するためにプロセッサに指示することができる、コンピュータアクセス可能媒体上に含まれる1組の命令として実施される。種々の実施形態において、媒体は、磁気媒体、電子媒体又は光学媒体である。
【0036】
本明細書で特定の実施形態を示し説明してきたが、図示した特定の実施形態の代わりに、同じ目的を達成するように適応された任意の構成を使用することができることを理解されよう。本出願は、本発明の適応例又は変形例を対象として含むように意図されている。以上の説明が例示的であり限定的でないことを理解されたい。上記実施形態の組み合わせならびに他の実施形態における上記実施形態の一部分の組み合わせは、以上の説明を検討することにより当業者に明らかになるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の全範囲と共に、そのような特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御するシステムを示す図である。
【図2A】種々の実施形態によるシステムの電極構成を示す図である。
【図2B】種々の実施形態によるシステムのセンサ構成を示す図である。
【図3A】人間の呼吸器系の神経生理機能を示す図である。
【図3B】種々の実施形態による呼吸を制御するための神経刺激標的を示す図である。
【図4】一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸の神経制御を行う埋込システムの概略図である。
【図5】一実施形態による、図4のシステムに示したプログラム装置あるいは埋込可能医療装置と通信する他の外部装置を示す図である。
【図6】一実施形態による、中枢性呼吸器疾患を治療するために呼吸を検出し制御する方法の流れ図である。
【図7A】種々の実施形態による、失われたフィードバック信号に応答する方法の流れ図である。
【図7B】種々の実施形態による効果のない神経刺激に応答する方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路と、
神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器と、
検出回路と通信し、検出した中枢性呼吸器疾患の発生に応じて所望の神経標的を刺激するように神経刺激器を制御するコントローラと
を有する埋込可能医療装置。
【請求項2】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために化学的受容器を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項3】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために機械的受容器を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項4】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために迷走神経を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項5】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために舌咽神経を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項6】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために横隔神経を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項7】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために脳内の呼吸中枢性を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項8】
神経刺激器は、中枢性呼吸器疾患を治療するために横隔膜筋肉を刺激するように適応された請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項9】
検出信号は、化学的受容器と機械的受容器の神経活動を表す信号を含む請求項1に記載の埋込可能医療装置。
【請求項10】
少なくとも1つの電極を備えた少なくとも1本の神経刺激リードと、
中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために生理学的パラメータを監視するように適応された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのリードと、少なくとも1つのセンサとに結合された埋込可能医療装置であって、
中枢性呼吸器疾患の発生を表す検出信号を受け取る検出回路と、
神経刺激信号を生成するように適応された神経刺激器と、
検出回路と通信し、検出された中枢性呼吸器疾患の発生に応じて所望の神経標的を刺激するために神経刺激器を制御するコントローラとを有する埋込可能医療装置と
を含むシステム。
【請求項11】
埋込可能医療装置は、心臓リズム管理治療を行うように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのセンサは、化学的受容器の神経活動を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのセンサは、機械的受容器の神経活動を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのセンサは、身体の動きを監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのセンサは、心拍数を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つのセンサは、QT間隔を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つのセンサは、目の動きを監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つのセンサは、呼吸数を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つのセンサは、 経胸腔的インピーダンスを監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも1つのセンサは、一回換気量を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも1つのセンサは、時分換気量を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
少なくとも1つのセンサは、血液ガスレベルを監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも1つのセンサは、体温を監視するように適応された請求項10に記載のシステム。
【請求項24】
少なくとも1つのセンサは、人体の外部のセンサを有する請求項10に記載のシステム。
【請求項25】
異常呼吸の発生を検出するために少なくとも1つの生理学的パラメータを検出する手段と、
少なくとも1つの検出された生理学的パラメータに基づいて、正常な化学的受容器と機械的受容器の活動を模倣するように神経刺激治療を行う手段と
を有するシステム。
【請求項26】
神経刺激治療を行う手段は神経カフ電極を備える請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
神経刺激治療を行う手段は経血管的刺激リードを備える請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
中枢性呼吸器疾患の発生を検出するために1つ又は複数の生理学的パラメータを検出する段階と、
検出したパラメータを検出したパラメータの所望の値範囲と比較する段階と、
検出したパラメータの1つ又は複数が所望の範囲内にない場合に、正常な化学的受容器及び機械的受容器活動を模倣するように神経刺激治療を行う段階とを含む方法。
【請求項29】
フィードバック信号が入手できない場合に代替標的に神経刺激治療を行う段階を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
フィードバック信号が入手できない場合に予めプログラムされた刺激信号を印加する段階を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
第1の神経刺激が無効な場合に、送られる刺激信号のパラメータを調整する段階を更に含む請求項に記載の方法。
【請求項32】
第1の神経標的の刺激が無効な場合に代替標的に神経刺激治療を行う段階を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項33】
神経刺激治療を行う段階が、中枢性呼吸器疾患を治療する肋間筋の刺激を含む請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2008−543429(P2008−543429A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516905(P2008−516905)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021323
【国際公開番号】WO2006/138069
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】