説明

呼吸器合胞体ウイルス感染症の処置のための多環式薬剤

本発明は、多環式の抗ウイルス性化合物及びその塩、これらを調製するための方法及びこれらを含有する組成物、並びにウイルス感染の処置におけるこの化合物及び組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス性化合物、これらを調製するための方法及びこれらを含有する組成物、並びにウイルス感染の処置におけるこの化合物及び組成物の使用に関する。特に本発明は、呼吸器合胞体ウイルス感染症及び呼吸器合胞体ウイルス性疾患の予防及び/又は処置のための、式Iの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、成人、幼児及び乳児における、上気道及び下気道の急性感染症の主要な原因である。血清学的証拠が示すところによると、西欧諸国におけるすべての子供達の約95%が、2歳の年齢までにRSVに感染しており、さらに子供達の100%が、成人期に達するまでの間にこの感染症にさらされた経験を持つ(RSVの生態学及び管理に関する最近の総説については、Black,C.P.、2003年、Resp.Care 48:209〜31頁を参照されたい)。ほとんどの場合、RSV感染症は、上気道のマイナーな疾病を引き起こすのみで、症状は普通の感冒と似ていることになる。しかし、このウイルスによる重症の感染症は、細気管支炎又は肺炎を起こし、入院又は死亡に至る結果となる恐れがある。ある年には、米国では約91,000人の乳児がRSV感染症で入院している。早産で生まれた乳児又は先在的肺疾患を持って生まれた乳児は、重症の感染症及び合併症のリスクが高い。小児細気管支炎のための入院の40〜50%及び小児肺炎のための入院の25%がこの感染症によるものである。RSV感染症への免疫応答は防御性がないので、RSV感染症は成人期にわたり再発する。成人及びより年齢の高い子供達においてRSV感染症は、上気道炎、気管支炎及び中耳炎を伴う。しかし入院している高齢者におけるRSVは、より重篤となる恐れがあり、重症の肺炎を起こす率及び死亡率がそれぞれ20及び78%までに至るという特徴を示している。心臓疾患又は肺疾患の既往歴がある成人は、RSV感染に対するリスクが高い。感染は、慢性閉塞性肺疾患を有する患者の病状の悪化と関連している。かなりの死亡率が免疫不全患者、特に骨髄移植経験者において観察された(Evans,A.S.編集、1989年、「ヒトのウイルス感染。疫学と制御(Viral Infections of Humans.Epidemiology and Control)」、第3版、Plenum Medical Book、New York、525〜544頁、Falsey,A.R.、1991年、Infect.Control Hosp.Epidemiol.12:602〜608頁、及びGarvieら、1980年、Br、Med.J.281:1253〜1254頁、Hertzら、1989年、Medicine 68:269〜281頁)。
【0003】
RSVは、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)及びフィロウイルス科(Filoviridae)の非分節、マイナス鎖のRNAウイルスからなるモノネガビラレス(Mononegavirales)目の一メンバーである。ヒトのRSV(RSV又はHRSVとも呼ばれることが多い)は、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)内のニューモビリナエ亜科(Pneumovirinae)のニューモウイルス属(Pneumovirus)の一メンバーである。構造タンパク質における遺伝子及び抗原の変異に基づき、RSVは2つの亜群、AとBに分類される(Mufson,M.ら、J.Gen.Virol、66:2111〜2124頁)。ニューモウイルス属(Pneumovirus)の他のメンバーは、とりわけウシRSV(BRSV)、ヒツジRSV(又はSV)及びマウス肺炎ウイルス(PVM)などのウイルスを含む。このニューモビリナエ亜科(Pneumovirinae)はまた、最近特定され、重大なヒト病原菌であるヒトメタニューモウイルス(hMPV)を含有するメタニューモウイルス属(Metapneumovirus)を含む。
【0004】
hMPVは、上気道での軽度の症状から下気道での重症の疾患、例えば細気管支炎及び肺炎などの範囲の呼吸器疾患を引き起こす(van den Hoogen,Bら、2001年、Nat.Med.7:719〜724頁)。サンプリングした患者集団にもよるが、幼児の呼吸器感染の5〜15%の間の感染が、hMPV感染症に起因しうる(van den Hoogen,B.ら、2003年、J.Infect.Dis.188:1571〜1577)。hMPVはまた、子供の中耳炎の12〜50%に関与している(van den Hoogenら、2004年、Pediatr、Infect.Dis.J.23:S25〜S32頁)。オランダでは、試験した個人の55%が2歳までにhMPVに対して血清陽性であり、5歳以上のほとんどすべての個人が血清陽性であった(van den Hoogenら、Virology 295:119〜132頁)。
【0005】
上述したゲノムの特徴に加えて、属の特徴は、宿主細胞の結合及び侵入に関連していると考えられる1種又は複数の糖タンパク質種を含有する脂質外膜を含むことである。侵入には、ウイルス外膜が宿主細胞の膜と融合するプロセスが必要であると考えられている。感染細胞と、例えばその近隣細胞との融合により、場合によっては合胞体として知られる、融合した多核細胞の形成を引き起こすことができる。この融合プロセスは、糖タンパク質によって媒介されていると考えられており、他の分類学上の群の中の様々な外膜で覆われたウイルスと特徴を共有している。パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)の場合、すべての属のウイルスは、膜融合を媒介する融合糖タンパク質(F)を特徴的に発現する。
【0006】
RSVの認可ワクチンは、まだ入手可能ではないが、RSVにより引き起こされる重篤な下気道疾患の危険性が高い乳児に対する予防、及びLRIの減少という分野においてある程度の成功を納めている。特に、重篤なLRIからリスクの高い乳児を保護することが認められたイムノグロブリン系治療法が2種類あり、これらはRSV−IGIV(RSV−イムノグロブリン静脈内、RespiGam(商標)としても知られている)及びパリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))である。RSV−IGIV(RespiGam、Massachusetts Public Health Biological Laboratories and MedImmune Inc、Gaithersburg、MD)は、CLD又は早産(35週以下の妊娠)の経歴を有する乳児及び24カ月よりも小さな幼児における重症のRSV下気道疾患の予防のために、1996年1月に食品医薬品局により認可された。1998年6月、早産の経歴(35週以下の妊娠)又はCLDを有する乳児及び幼児におけるRSVに起因する重篤な呼吸器疾患の予防のための毎月の筋肉内注射としての投与に対し、食品医薬品局はパリビズマブ(MedImmune、Gaithersburg、MD)を認可した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
重症RSVの処置に対し現在認可されている唯一の薬物は、RSVの肺炎及び細気管支炎の治療に対し現在認可されているリバビリン(Ribavirin)としても知られている、抗ウイルス剤、Virazoleの処方である(Hallら、1983年、N.Engl.J.Med.、308:1443頁、Hallら、1985年、JAMA.、254:3047頁)。この薬剤は、ウイルス増殖を抑止する効果を有する、広域スペクトルの抗ウイルス剤であり、RSVの複製を阻害することによって作用する。残念ながら、この薬剤には毒性があるので、この薬剤の投与は病院環境に限定される(Black,C.P.、2003年、Resp.Care 48(3):209〜31頁)。この薬剤を投与する場合、特定の副作用を起こす可能性を最低限に抑えるため、さらに厳しい手順に従わなければならないという必要性が、この投与をますます複雑にしている。薬剤には、急な呼吸機能の劣化(気管支けいれん)を含めたいくつかの有害作用がある。Virazoleの効力は、未だに議論の余地があり、したがってRSV感染症の処置のための代替の薬剤を見つけることが真に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、RSV感染症及びRSV疾患の予防及び/又は処置に有用な、式I
【化1】


(式中、Rは、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル、及び−(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは、1〜3個の原子長の二価の連結基を表し、
但し、Aが、それが結合している原子と一緒になって、非置換のフェニル環を形成し、XがOであり、Dが−CH−であり、B−Cが−CHCH−を表し、Rが非置換のフェニルである場合、RはHではない)の化合物及びその塩を提供する。
【0009】
本発明はまた、RSV感染症の予防及び/又は処置のための薬物の製造における、化合物及びその塩の使用を提供する。
【0010】
本発明は、RSV、特にヒトのRSVを処置することに関連して記載されてきたが、本発明は、ニューモビリナエ亜科(Pneumovirinae)の他のウイルス、より詳細にはニューモウイルス属(Pneumovirus)及びメタニューモウイルス属(Metapneumovirus)、より詳細には動物及びヒト系統のRSV及びメタニューモウイルス(Metapneumovirus)の処置にも有用であってよいことは認識されよう。
【0011】
したがって、本発明はまた、RSV感染症の予防及び/又は処置のための薬物の製造における、式Ia
【化2】


(式中、Rは、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまたh−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは、1〜3個の原子長の二価の連結基を表す)の化合物及びその塩の使用を提供する。
【0012】
本発明はまた、それを必要とする対象においてRSV感染症を処置する方法であって、式Iaの化合物又は医薬として許容可能な塩を前記対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用する場合、「芳香族」という用語は、アリール環又はアリール環系及び芳香族複素環又は芳香族複素環系、即ちヘテロアリール又は芳香族複素環として知られているものを指す。
【0014】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、炭素環(非複素環式)の芳香環又は芳香環系を指す。この芳香環は、単環式、二環式又は三環式の環系であってよい。この芳香環又は芳香環系は一般的に5〜10個の炭素原子で構成されている。適切なアリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどを含むがこれらに限らない。
【0015】
好ましいアリール基は、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル又はアントラセニルを含む。
【0016】
本明細書で使用する場合、「複素環式」又は「ヘテロシクリル」という用語は、単環式、二環式、又はN、S及びOから選択される1種又は複数のヘテロ原子を含む環系を指す。この環又は環系は一般的に、ヘテロ原子(複数可)に加えて1〜9個の炭素原子を含み、飽和、不飽和又は芳香族(擬似芳香族を含む)であってよい。「擬似芳香族」という用語は、正確には芳香族ではないが、電子の非局在化により安定し、芳香環と同様に振る舞う環系を指す。芳香族は、フリル、チエニル及びピロリル環などの擬似芳香環系を含む。
【0017】
5員の単環式複素環の例として、フリル、チエニル、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、(1,2,3及び1,2,4オキサジアゾリルを含む)、チアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、トリアゾリル(1,2,3及び1,3,4トリアゾリルを含む)、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3及び1,3,4チアジアゾリルを含む)が挙げられる。6員の単環式複素環の例として、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラニル、ピラジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3,5−トリチアニル及びトリアジニルが挙げられる。複素環は、広い範囲の置換基、好ましくはC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで置換されていてもよい。
【0018】
複素環は、炭素環、例えばフェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、及びアントラセニルなどに縮合していてもよい。
【0019】
8、9及び10員の二環式複素環の例として、1Hチエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフランイル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリル、キノリンイル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどが挙げられる。このような複素環は、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで置換されていてもよい。
【0020】
一実施形態において、複素環式基は、(置換されていてもよい)イソキサゾール、イソチアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾイソチアゾール、キノリン及びキノキサリンを含む。このような複素環は、例えば、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、シアノ又はモノ若しくはジ(C1〜6アルキル)アミノで置換されていてもよい。
【0021】
さらなる実施形態において、複素環式基は、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソオキサゾリルを含む。
【0022】
不飽和5員複素環の例は、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、フラン、チオフェン及びピロールを含む。不飽和6員複素環の例は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン及び1,2,4−トリアジンを含む。
【0023】
一実施形態において、複素環は、芳香環である。ヘテロアリール及びヘテロ芳香族は、本明細書の中では、複素環のサブセットを指すのに用いている。ヘテロアリール環は、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−5−オン、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1Hチエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラゾリル、ウリジニル及びシトシニルを含む。
【0024】
さらなる実施形態において、ヘテロアリール又はヘテロ芳香族は、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、フリル、ピラゾリル、ピリダジニル、チエニル、及びベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソオキサゾリルなどのアリール縮合芳香族複素環から選択される。
【0025】
別の実施形態において、複素環は、ピロリジン、イミダゾリン、2−イミダゾリドン、2−ピロリドン、ピロリン−2−オン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、1,3−ジオキサン、1,4−ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンからなる群から選択される非芳香環である。
【0026】
リンカー基B−Cを含有する複素環は、上記複素環から選択してもよいが、但しこの場合、環は少なくとも2個の窒素原子を含有するという必要条件を満たし、芳香環系を除外するものとする。
【0027】
特に定義されない限り、「置換されていてもよい」という用語は、本明細書で使用する場合、基は、式I及びIaの化合物の結合活性を低下させない1種又は複数の置換基を含んでいてもよいことを意味する。場合によっては、分子の結合を改善又は他の特性を変えるように置換基を選択することもできる。基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHヘテロシクリル、−CS(O)1〜6アルキル、−C(Ph)、−(CHZ、−COZ、−CN、−OR、−O−(CH1〜6−R、−O−(CH1〜6−OR、−OCOR、−COR、−COOR、−OCONR’R”、−C(O)NR’R”、−NR’R”、−NRCOR’、−NRCONR’R”、−NRC(=S)NR’R”、−NRSOR’、−NRCOOR’、−C(=NR)NR’R”、−CRNOR’、−C(=NOH)NR’R”、−CONR’R”、−C(=NCN)−NR’R”、−C(=NR)NR’R”、C(=NR’)SR”、NR’C(=NCN)SR”、−CONRSOR’、−C(=S)NR’R”、−S(O)R、−SONR’R”、−SONRCOR’、−OS(O)R、−PO(OR)及び−NOから選択される1種又は複数の置換基で置換されていてもよく、ここで、pは0〜6であり、tは0〜2であり、Zは、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ピペコリン酸、α−アミノ酪酸、α−アミノプロパン酸及びイミノ二酢酸からなる群から選択されるN結合アミノ酸であり、Zは、前記N結合アミノ酸の窒素原子を介して炭素原子に結合しており、各R、R’及びR”は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール及びC1〜6アルキルヘテロシクリルから独立して選択され、この場合アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、C1〜6アルキルアリール若しくはC1〜6アルキルヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NH及び−NOから選択される、同じ若しくは異なる1〜6個のもので置換されていてもよいか、又はR’及びR”は、同じ窒素原子に結合している場合、これらが結合している原子と一緒になって、複素環を含有する5〜7員の窒素を形成する。
【0028】
任意選択の置換基が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基又はヘテロシクリル基であるか、又はこれらを含有する場合、この基は、それ自体が、1〜6個の同じ又は異なるハロゲン原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロC1〜6アルキル(−CFを含む)、フェニル、ベンジル、−CN、−C(=O)−C1〜6アルキル、メルカプト、−NH、モノ又はジ(低級アルキル)アミノ又は−NOで置換されていてもよい。
【0029】
窒素を含有する複素環に関連して、置換されていてもよいものには、特に定義されない限り、ピリジニウム塩及び適切な環窒素のN酸化物の形態が含まれる。
【0030】
非芳香族の炭素環式化合物又は複素環式化合物に関連して、このような化合物はまた、特に定義されない限り、上記の任意選択の置換基の代わりに又はこれに加えて、1又は2個の=O基で置換されていてもよい。
【0031】
任意選択の置換基の例は、ハロゲン、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−CF、−OH、フェニル、−NH、−NHC1〜4アルキル、N(C1〜4、−CN、メルカプト、C1〜4アルキルカルボニル及びC1〜4アルコキシカルボニルを含む。
【0032】
本明細書で使用する場合「C1〜12アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝の飽和した炭化水素基を指す。このようなアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルを含む。同様に「C1〜6アルキル」又は「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するような基を指す。
【0033】
本明細書で使用する場合、「C3〜7シクロアルキル」という用語は、3〜7個の炭素原子を有する、非芳香族の、飽和した環状基を指す。例としては、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、O結合を介して共有結合している、直鎖又は分枝のアルキル基を指し、「C1〜6アルコキシ」及び「低級アルコキシ」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシなどのような基を指す。
【0035】
本明細書で使用する場合、「C2〜12アルケニル」という用語は、1個又は複数の二重結合を含有する、C2〜12直鎖又は分枝の非環状炭化水素から形成される基を指す。C2〜12アルケニルの例は、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、iso−ブテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル及び1,3,5−ヘキサトリエニルを含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、「C4〜7シクロアルケニル」という用語は、4〜7個の炭素原子を有し、1つ又は複数の二重炭素結合を有する非芳香族炭素環を指す。例としては、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル及び1,4−シクロヘキサジエニルが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用する場合、「C2〜12アルキニル」という用語は、1つ又は複数の三重結合、例えば1つ又は2つの三重結合を含有するC2〜12の直鎖又は分枝の非環状炭化水素を指す。例としては、2−プロピニル及び2−ブチニル又は3−ブチニルが挙げられる。
【0038】
「アリールC1〜12アルキル」という用語は、以前記載した通り炭素環式芳香環又は炭素環式芳香環系であり、さらにこれも以前記載した通り、C1〜12アルキル基で置換されている炭素環式芳香環又は炭素環式芳香環系を指す。同様に「アリールC2〜12アルケニル」及び「アリールC2〜12アルキニル」という用語は、以前記載した通り炭素環式芳香環又は炭素環式芳香環系であり、さらに以前記載した通り、C2〜12アルケニル基又はC2〜12アルキニル基で置換されている炭素環式芳香環又は炭素環式芳香環系を指す。
【0039】
アリール基及びアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は置換されていてもよい。一実施形態において、アリール基は、置換されていない場合もある。
【0040】
別の実施形態において、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、置換されていてもよい。さらなる実施形態において、置換基は、ハロゲン、−CN、−NR’R”、−COR、−COOR、又は−CONR’R”から選択される。R、R’及びR”は、水素又は低級アルキルから独立して選択される。
【0041】
本明細書で使用する場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「ハロアルキル」基では、アルキル基上の1種又は複数の水素原子が、ハロゲンで代替されている。一例として−CFが挙げられる。
【0043】
一実施形態において、本発明の化合物は、Aが、C、N、O及びSから選択される原子3個又は4個からなる二価の連結基である化合物を含む。この配列において、Aと、これが結合している原子とが一緒になって、5又は6個の環原子を有する芳香環を形成する。連結する原子がすべて炭素の場合、形成された環は炭素環式芳香環又は炭素環式芳香環系である。連結する原子が、1種又は複数のN、O又はSを含む場合、形成された環は、芳香族の複素環である。例として挙げられるのは、下部構造
【化3】


が以下のいずれかのものである。
【化4】

【0044】
別の実施形態において、環Aは、置換されていてもよいアリール環又はヘテロアリール環、例えばフェニル環、ピリジル環、ピリダジニル環、ピリミジニル環又はピラジニル環であり、さらなる実施形態において、フェニル環又はピリジル環から選択される。任意選択の置換基は、環窒素原子のN酸化物を含む。
【0045】
芳香環は、例えば3個以下の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、芳香環は、ハロ、低級アルキル、ハロゲン化した形態の低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、カルボキシ、カルボキサミド、フェニル及びベンジルから選択される1〜3個の置換基を有することもできる。窒素含有環の窒素原子のN酸化物の形態もまた考えられる。Aがピリジル環の場合、環窒素はN酸化物の形態であるか、又は環はピリジニウム塩の形態であってよい。
【0046】
一実施形態において、環Aは、非置換のフェニル環である。
【0047】
別の実施形態において、環Aは、非置換のピリジル環である。
【0048】
B−Cによって形成される複素環に関しては、B−Cが結合している原子に起因する理由により、用語の意味との関連で、この環がこれまでに考察してきたすべての複素環から選択できないことは理解されよう。この環は、少なくとも2個の窒素原子を含む単環式の非芳香族複素環に限定される。環は、追加のヘテロ原子を含んでもよく、部分的に不飽和であってよい。
【0049】
別の実施形態において、B−Cは、1〜3個の原子からなる二価の連結基を表す。連結基B−Cは、それが結合している原子と一緒になって、非芳香族複素環を形成する。例として挙げられるのは、下部構造
【化5】


が以下のいずれかのものである。
【化6】

【0050】
さらなる実施形態において、B−Cは、−CH−(CH−を表し、ここで、zは1〜4、例えば1、2又は3などである。さらなる実施形態において、zは1又は2である。
【0051】
連結基B−Cを形成する原子は、例えば3つ以下の置換基で置換されていてもよい。広い範囲の置換基が可能であり、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル及びベンジルを含む。
【0052】
別の実施形態において、B−Cは、−CHCH−を表す。
【0053】
一実施形態において、縮合環A及び二価の連結基B−Cを含有する環は、ハロゲン及びC1〜6アルキルから独立して選択される1又は2つの置換基で置換されていてもよい。さらなる実施形態において、縮合環A及び二価の連結基B−Cを含有する環は、置換されていない。
【0054】
二価の連結基Dは、それが結合している原子と一緒になって、下部構造で表されるような−C(=X)−N<部分を有する6、7、又は8員の非芳香族複素環を形成することができる。
【化7】

【0055】
例として以下が挙げられる。
【化8】

【0056】
したがって、可能なD基として、−CRIIIIV−、−O−、−NR−、−S−、−C(=X)−、−CRIIIIVCRIIIIV−、−O−CRIIIIV−、−NR−CRIIIIV−、−S−CRIIIIV−、−CRIII=CRIII−、−C(=X)−CRIIIIV−、−CRIIIIV−CRIIIIV−CRIIIIV−、−O−CRIIIIV−CRIIIIV−、−NR−CRIIIIV−CRIIIIV−、−S−CRIIIIV−CRIIIIV−、−CRIII=CRIII−CRIIIIV−及び−C(=X)−CRIIIIV−CRIIIIV−があり、
ここで、各RIII及びRIVは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル、及び−(CHヘテロシクリルから独立して選択され、又はRIII及びRIVは、それらが結合している原子と一緒になって、3〜7員のシクロアルキル若しくは複素環を表し、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択される。
【0057】
Dが、例えば二価の連結基−O−CRIIIIV−を表す場合、以下の両下部構造が考えられることを認識されたい。
【化9】

【0058】
一実施形態において、二価の連結基D基は、それが結合している原子と一緒になって6員の非芳香族複素環を形成する。
【0059】
さらなる実施形態において、Dは、−CRIIIIV−、−O−、−NR−、−S−、又は−C(=X)−を表す。
【0060】
さらなる実施形態において、Dは、−CRIIIIV−を表し、ここで、
(i)RIII及びRIVのうちの少なくとも一方は水素を表し、他方は、ハロゲン、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1〜12アルキル、及び置換されていてもよいアリールから選択されてもよく、
(ii)RIII及びRIVは同じであり、C1〜3アルキルを表すか、又は
(iii)RIII及びRIVは、それらが結合している原子と一緒になって、3、4、5、6又は7員のシクロアルキル又はヘテロシクリル環を表す。
【0061】
別の実施形態において、Dは、−CRIIIIV−を表し、ここで、
(i)RIII及びRIVは両方ともHであり、
(ii)RIII及びRIVは両方ともCHであるか、又は
(iii)RIII及びRIVは、それが結合している原子と一緒になって、3員のシクロアルキル環又は6員の対称性複素環を表す。
【0062】
別の実施形態において、式I及びlaの化合物のXはOである。
【0063】
本発明のさらなる実施形態において、縮合環A、二価の連結基B−Cを含有する環及び二価の連結基Dはすべて未置換基である。
【0064】
は、置換されていてもよいアリール、アルキル又はヘテロシクリルであってよい。一実施形態において、Rは置換されていてもよいアリール基又はヘテロシクリル基、例えばフェニル環、チエニル環、ピロリル環又はピリジル環などである。Rはまた、−C1〜6アルキルフェニル基であってよい。Rの環は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、NR’R”(R’及びR”は、水素、低級アルキル及び−C(O)R(RはC1〜6アルキル、フェニル又はヘテロシクリルである)から独立して選択される)、C1〜12アルキル、フェニル及び−O−R(Rは−C1〜12アルキル、−C3〜7シクロアルキル、−C1〜12アルキルC3〜7シクロアルキル、フェニル又は−C1〜12アルキルフェニルであり、このC1〜12アルキルフェニル又はR基は、ハロ、−CN、NR’R”、−COR又は−CONR’R”(R、R’及びR”は、水素又は低級アルキルから独立して選択される)で置換されていてもよい)で置換されていてもよい。さらなる実施形態において、環はフェニルであり、パラ又は4の位置で置換されていてもよい。
【0065】
は、C1〜10アルキル鎖で置換されていてもよい−フェニルであってよく、この場合アルキル鎖は、ハロ、−CN、NR’R”、−COR又は−CONR’R”で置換されており、ここで、R、R’及びR”は、水素又は低級アルキルから独立して選択される。一実施形態において、このアルキル鎖は、フェニル環の4位にあり、置換基はアルキル基の自由端で炭素に結合している。
【0066】
は、ハロ、−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキルハロ、−C1〜6アルキルCN、−OC1〜6アルキル、−OC1〜6アルキルハロ、−OC1〜6アルキルCONH、−OC1〜6アルキルCN、−OC1〜6アルキルC3〜7シクロアルキル、−OC1〜6アルキルC、−OC1〜6アルキルOCH、−OC、−OCハロ、−CF、−OCF、−NR’R”(R’及びR”は、水素、−C(O)C1〜6アルキル、−C(O)C、−C(O)CH=CHCOH、−C(O)C1〜6アルキルCOH、−C(O)C1〜6アルキルCOCH、−C(O)C1〜6アルキルC、−C(O)C1〜6アルキルCCH、−C(O)C1〜6アルキルCOCH及び−C(O)C1〜6アルキルCハロから独立して選択される)、−COH、−CO1〜6アルキル、−NO、−OH、−C、−C1〜6アルキル、−Cハロ及び−OC(O)C1〜6アルキルから選択される置換基で置換されていてもよいフェニルであってよい。
【0067】
さらなる実施形態において、Rは、置換されていてもよいフェニルであり、この場合置換基はそれぞれ、ハロ、ヒドロキシ若しくはアルコキシ、シクロアルキル、又は置換基がそれぞれハロから独立して選択される、置換されていてもよいピリジル若しくはそのN酸化物から独立して選択される。
【0068】
さらなる実施形態において、Rは、置換されていてもよいフェニルであり、ここで、置換基は、クロロ、ヒドロキシ若しくはメトキシ、低級シクロアルキル、又はその置換基がクロロからそれぞれ独立して選択される、置換されていてもよいピリジル若しくはそのN酸化物からそれぞれ独立して選択される。
【0069】
さらなる実施形態において、Rは、フェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、5−クロロ−2−ピリジル、4−ピリジル又は4−ピリジルN酸化物である。
【0070】
別の実施形態において、Rは、非置換のフェニル又はハロフェニルである。さらなる実施形態において、Rは4−クロロフェニルである。
【0071】
さらなる実施形態において、Rは、水素ではない。
【0072】
さらなる実施形態において、化合物は、式Iaで表される。
【0073】
別の実施形態において、Rが−CH−Rの場合、Rは−(CHアリール又は−(CHヘテロシクリルであり、ここで、mは0〜3である。Rはベンジル(m=1)であってよい。この環原子は、広い範囲の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換基は、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ及びフェニルから選択される。
【0074】
別の実施形態において、Rが−C(=Y)CHN(R)R又は−C(=Y)CHSRの場合、Rは−(CHアリール又は−(CHヘテロシクリルであり、ここでmは0〜3である。このヘテロシクリルはそれ自体が、オキソ基、ヒドロキシ又は低級アルキルで置換されていてもよい。
【0075】
さらに別の実施形態において、Rが−CON(R)Rの場合、Rは水素であり、Rは−(CH、アリール又は−(CHヘテロアリールである。別の実施形態において、mは0〜2、好ましくは0又は1である。このアリール環原子及びヘテロアリール環原子は、広い範囲の置換基で置換されていてもよい。上記実施形態において、置換基は、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ及びフェニルを含んでもよい。
【0076】
別の実施形態において、Rは、YがOの場合、−C(=Y)−Rである。別の実施形態において、Rは、mが0〜3の場合、−(CHアリール又は−(CHヘテロアリールである。別の実施形態において、Rは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよい複素環(m=0)であり、より好ましくは置換されていてもよい、5員若しくは6員の単環式複素環、又は置換されていてもよい、9員若しくは10員の二環式複素環、又は置換されていてもよいアリール基である。
【0077】
上記実施形態において、Rはフェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(1,2,3及び1,2,4オキサジアゾリルを含む)、チアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、トリアゾリル(1,2,3及び1,3,4トリアゾリルを含む)、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3及び1,3,4チアジアゾリルを含む)、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラニル、ピラジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、1,3,5−トリチアニル、トリアジニル、1Hチエノ[2,3−c]ピラゾリル、チエノ[2,3−b]フリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル又はプテリジニルであってよい。
【0078】
複素環は、炭素環、例えばフェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、及びアントラセニルなどに縮合してもよい。
【0079】
アリール又は複素環式は、広い範囲の置換基、好ましくはC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、シアノ及びモノ又はジ(C1〜6アルキル)アミノで置換されていてもよい。置換基はまた、フェニル、ベンジル及びヘテロシクリルを含む。
【0080】
実施形態において、Rは、フェニル、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソオキサゾリル(これらは置換されていてもよい)から選択される。
【0081】
一実施形態において、Rは−CH、−C(=O)R、−C(=O)N(R)R又は−SOであり、ここで、
a.Rは、置換されていてもよいアルキル(その置換基は、−COOH、−SCHCONHアリール、−NHSOアリール、ヘテロアリール及びアリールから独立して選択され、それぞれ独立して、ハロ又はアルコキシで置換されていてもよい);置換されていてもよいフェニル(置換基はハロから独立して選択される);置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール(置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールオキシ及びアルキル又はハロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリールから独立して選択される);又は置換されていてもよいアルケニル(置換基はヘテロアリールから独立して選択される)であり、
b.RはHであり、
c.Rはシクロアルキル、ヘテロアラルキル、アルキル又はアラルキルであり、及び
d.Rはヘテロアリールである。
【0082】
さらなる実施形態において、Rは、−CH、−C(=O)R、−C(=O)N(R)R又は−SOであり、ここで、
a.Rは、置換されていてもよいメチル、エチル、又はプロピル(これらの置換基は、−COOH、−SCHCONH−3,4−ジメトキシフェニル、−NHSO−4−フルオロフェニル、ピリジルオキシ、ベンズイソオキサゾリル、ピリジル、フリル、4−フルオロフェニル又は4−メトキシフェニルから独立して選択される)、置換されていてもよいフェニル(これらの置換基は、メトキシ、F及びClから独立して選択される)、置換されていてもよいチアゾリル、ピリジル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル又はピラゾリル(これらの置換基は、ピリジルオキシ、シクロプロピル、Me、CF、フェニル、チエニル、ピリジル、F、Cl、Br、5−CF−3−メチル−1−ピラゾリル、又は2−フリルエテン−1−イルから独立して選択される)であり、
b.RはHであり、
c.Rは2−フェネト−1−イル、ベンジル、シクロヘキシル、2−フリルメチル、メチル、又は4−メチルベンジルであり、及び
d.Rはピリジルである。
【0083】
本発明の別の実施形態において、Rは−CORであり、縮合環Aは、置換されていてもよいフェニル環又は置換されていてもよいピリジル環(N酸化物及びそのピリジニウム塩を含む)であり、Dは−CRIIIIV−である。
【0084】
さらに別の実施形態において、本発明が、式I又は式Iaの化合物それ自体に関する場合、Rは置換されていてもよいフェニルであり、XはOであり、Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよいフェニル環又は置換されていてもよいピリジル環(N酸化物及びそのピリジニウム塩を含む)を形成し、B−Cは−CHCH−であり、Dは−CH−であり、Rは−C(O)で置換されていてもよいアリール又は−C(O)で置換されていてもよいヘテロシクリルである。
【0085】
式I及びIaの化合物及びそのいくつかの誘導体は、少なくとも1つの不斉中心を有することもでき、したがって2つ以上の立体異性体で存在することが可能であることを認識されよう。本発明は、このような各形態の1つ1つに、さらにラセミ体を含めたこれらの混合物にまでその範囲が及ぶ。異性体は、従来のクロマトグラフィーの方法により、又は分割剤を用いて分離し得る。或いは、個々の異性体は、キラルな中間体を用いた不斉合成により調製することもできる。
【0086】
例えば本発明の化合物は、R置換基を有するC原子周囲の非当量の置換基パターンにより、キラルとなるであろうことを認識されたい。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物、例えば、エナンチオマーが豊富な混合物又はラセミ混合物として提供し得る。しかし、本発明の化合物は「鏡像異性的に純粋」であることが好ましい。
【0087】
エナンチオマーと関連して本明細書で使用する場合、「鏡像異性的に純粋」という用語は、エナンチオマーがそのエナンチオマーのペアを実質的に含まないことを意味する。エナンチオマーの純度は一般的に、不斉収率又は%e.eとして表現される。エナンチオマーのペア[(+)及び(−)]に対して(2つの混合物は、モル又は重量分率F(+)及びF(−)(F(+)+F(−)=1である)として与えられる)、不斉収率は、|F(+)−F(−)|として定義される。したがって、パーセンテージe.eは、100×|F(+)−F(−)|で表現される。本明細書で使用する場合、「鏡像異性的に純粋」という用語は、70%を超える%e.e.を有するエナンチオマーを指す。好ましくは鏡像異性的に純粋なエナンチオマーは、80%を超える、より好ましくは90%を超える、最も好ましくは95%を超える%e.e.を有する。
【0088】
の結合点で立体中心を含有する式Iの化合物の好ましい立体異性体は、以下の構造により表される。
【化10】

【0089】
絶対配置(R又はS)の表示は、Cahn−InggoId Prelogシステムに従い、立体中心に結合している各基の優先順位に依存することを当業者であれば認識されよう。
【0090】
化合物が少なくとも1個の炭素炭素二重結合を有する場合、それはZ型及びE型で生じ得るので、化合物のすべての異性体の形が本発明に含まれる。
【0091】
式I及びIaの化合物の塩は、医薬として許容可能であることが好ましいが、医薬として許容可能でない塩は医薬として許容可能な塩の調製に中間体として有用であるので、これらもまた本発明の範囲内に入るということを認識されたい。
【0092】
式I及びIaの化合物及びその塩の、医薬として許容可能な誘導体もまた、本発明の範囲内及び趣旨内にあるということを認識されたい。そのような誘導体は、この化合物又はその塩の、医薬として許容可能なエステル、プロドラッグ、溶媒和化合物及び水和物を含む。医薬として許容可能な誘導体は、任意の溶媒和化合物、水和物又は任意の他の化合物若しくはプロドラッグを含んでもよく、これらは対象への投与時に、式Iの化合物又は抗ウイルス剤として活性のあるその代謝物又はその残留物を(直接的又は間接的に)提供することが可能である。
【0093】
医薬として許容可能な塩は、酸付加塩、塩基付加塩、医薬として許容可能なエステルの塩並びに第四級アミンの塩及びピリジニウムの塩を含む。この酸付加塩は、本発明の化合物、及び塩酸、臭水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、サリチル酸、スルファミン酸又は酒石酸を含むがこれらに限らない、医薬として許容可能な無機酸又は有機酸から形成される。第四級アミン及びピリジニウムの対イオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、スルファミン酸塩、及び酒石酸塩を含む。塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムなどの塩を含むがこれらに限らない。塩基性窒素含有基はまた、例えば低級アルキルハロゲン化物、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル塩化物など、臭化物及びヨウ化物、ジアルキル硫酸塩、例えばジメチル硫酸塩及びジエチル硫酸塩などの薬剤で四級化されていてもよい。塩は、既知の方法、例えば適切な溶媒の存在下で、化合物を適切な酸又は塩基で処理することによって生成することもできる。
【0094】
本発明の化合物は、遊離化合物又は溶媒和化合物(例えば水和物)のいずれかとして結晶の形態をとってもよく、両形態とも本発明の範囲内にあることを意図している。溶媒和の方法は、当分野では一般的に知られている。
【0095】
「溶媒和化合物」という用語は、溶質(本発明においては本発明の化合物)及び溶媒によって形成される不定のストイキオメトリの錯体である。そのような溶媒は、溶質の生物活性を妨げないことが好ましい。例として挙げると、溶媒は、水、エタノール又は酢酸であってよい。溶媒和の方法は、当分野では一般的に知られている。
【0096】
「プロドラッグ」という用語は、最も広範な意味で使用され、インビボで本発明の化合物へと変換される誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者であれば容易に産出され、例えば、遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体へと変換される又は環窒素原子がN酸化物へと変換される化合物を含む。エステル誘導体の例として、アルキルエステル、リン酸エステル及びアミノ酸から形成されたもの、好ましくはバリンが挙げられる。本発明の化合物のプロドラッグであるいかなる化合物も、本発明の範囲内及び趣旨内にある。本発明による適切なプロドラッグの調製の従来の手順は、「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」、Ed.H.Bundgaard、Elsevier、1985年などの教科書に記載されている。
【0097】
「医薬として許容可能なエステル」という用語は、本発明の化合物の生物学上許容可能なエステル、例えばスルホン酸誘導体、ホスホン酸誘導体及びカルボン酸誘導体などを含む。
【0098】
したがって、本発明の別の態様において、式I又はIaの化合物のプロドラッグ又は医薬として許容可能なエステルが提供される。
【0099】
本発明の別の態様において、1種又は複数の式I及びIaの上述の抗RSV化合物の治療有効量を含む医薬組成物が提供され、これには、医薬として許容可能なその誘導体、及び任意選択で医薬として許容可能な担体又は希釈剤が含まれる。
【0100】
特に指定しない限り、「処置」又は「処置している」という用語は、本発明の方法又は使用に関連して、治療的及び予防的処置を含む。
【0101】
本発明のさらなる態様において、RSV感染症の処置(治療的又は予防的)のための、式I又はIaの化合物又はその塩の使用が提供される。
【0102】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の化合物は、RSVウイルスの融合プロセスを阻害することによって有利な抗RSV活性を示すと考えられている。
【0103】
本発明のさらなる形態において、式I及びIaの化合物の生成のための方法が提供される。このような化合物は、以下の方法で概略される手順を用いて調製してもよい。
【0104】
スキーム1は、式IIIの化合物の製造のための一般的方法を描写している。式IIIの化合物は、RがHであり、且つ有用な合成中間体としての役割を果す式Iaの化合物の範囲内にある。式IIIの化合物は、式IIの適切な出発物質を介して調製することもできる。
【化11】

【0105】
一般に、1当量の式IIの適切なケト酸と、約3当量の一般式HN−B−C−NHの適切なジアミンとを反応させる。この混合物を、Dean−Stark装置を装着していてもよいフラスコ内で、1,2−ジクロロエタン、トルエン又はキシレンなどの不活性溶媒中で、3〜24時間加熱還流する。酸トシレートなどの触媒を使用することができる。この後で、反応物を冷却し、生成物を濾過し、適切な溶媒から再結晶させる。沈殿物が形成しない場合、溶媒を蒸発させ、その残留物を再結晶させるか、又はフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取HPLCを用いて精製する。
【0106】
式IIの2−(2’−オキソ−2’−アリール)安息香酸の調製方法は、Guion T.S.ら、1996年、Synthetic Communications、26;1753〜1762頁、Epsztajn,J.ら、Synth.Communications、1992年、22:1239〜1247頁、Bruggink A.ら、Tetrahedron、1975年、31:2607〜2619頁及びAmes,D.E.ら、1976年、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、1073〜1078頁に記載されている。
【0107】
本発明のさらなる態様において、式IIのある化合物の調製のための新しい方法が開発され、本明細書に記載される。スキーム2は、式II(式中、X=Oであり、Dは−CH−である)のケト酸の製造に有用な順序の例を例示している。一般的に、適切な芳香族o−ハロカルボン酸を、約1.5当量の適切なβ−ジケトンと共に、tert−ブタノール又は別の適切な溶媒中に懸濁する。この混合物に約0.25当量の銅、銅(I)臭化物又は銅(I)ヨウ化物又はこれら両方を加える。次いでこの懸濁液を約1.6当量のカリウムtert−ブトキシド又はナトリウムエトキシドで処理し、耐圧容器に密閉し、約180℃で約1時間攪拌しながら、マイクロ波反応器内で加熱する。或いは、十分に高い沸点を有する溶媒(N,N−ジメチルアセトアミドなど)を使用することもでき、基剤が実質的に変換されるまでこの混合物を開放された容器内で還流加熱する。生成した混合物を水で希釈し、水性のNHClで中和し、適切な有機溶剤で抽出する。この有機抽出物を乾燥、濃縮し、残留物はフラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。次いでアセトニトリルを共溶媒として用いて、水性の水酸化物希釈液で処置することによって、このラクトン中間体を加水分解する。
【化12】

【0108】
式IIの他の化合物は、α−メチレンケトンの置換によって調製することもできる。式II(式中、X=Oであり、Dは−[CH−である)の適切なケト酸及び触媒量の18−クラウン−6をTHF中に懸濁し、−78℃に冷却する。選択されたアルキルハロゲン化物又はアルキルジハロゲン化物(約3当量)、次いでカリウムt−ブトキシドを加える。混合物を攪拌し、室温まで温める。反応が完了したら、混合物を再び冷却し、塩化アンモニウム飽和溶液でクエンチし、少量の水で希釈する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮する。再結晶化又はフラッシュクロマトグラフィーでこの残留物を精製してもよい。この方法は、J.Org.Chem.1991年、56:7188〜7190頁に記載の手順を適応したものである。
【0109】
式Iの他の化合物は、スキーム3に例示されているように、式IIIの化合物をアシル化することにより得ることもできる。
【化13】

【0110】
一方法において、2当量のジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンを、THF中で、1当量の式III化合物に0℃で加える。酸塩化物又は他のアシル化剤を混合物に加え、反応をHPLCで監視する。反応が完了したら、この反応物を水でクエンチし、生成物を抽出して適切な有機溶剤を得て、標準的な方法に従ってこれを詳しく調べる。同様のアシル化を、1当量の式IIIの化合物と、1当量の適切な酸塩化物とをキシレン中で、120℃で1〜24時間の間反応させることによって実施することもできる。次いでこの反応物を冷却し、生成物を単離する。或いは、式IIIの化合物を、ピリジン中で、約2.2当量の適切な酸塩化物又は無水塩で約−5℃で処理することもできる。混合物を室温まで温め、2〜24時間攪拌後、この生成物を標準的方法で単離する。アシル化はまた、式IIIの適切な化合物を、DMF中で適切なカルボン酸(3当量)、TFFH(3.3当量)及びDIEA(3.3当量)で処理し、約14日間の間45℃に加熱することによって達成することもできる。この後、生成物は標準的方法で単離する。
【0111】
式IのN−アルキレート化化合物及びN−スルホニル化化合物は、適切なN置換ジアミンを用いて最もよく得られる。これらは、既知の方法、例えばKruse L.I.ら、J.Med.Chem.1990、33、781〜789頁に記載の方法で調製することもできる。クロロベンゼン、トルエン又はキシレン中の適切なケト酸(2当量)及びN置換ジアミン(1当量)を、スターラー及びDean−Stark水分離器を備えたフラスコ内に置き、加熱還流し、それ以上の水の分離が見られなくなるまで(1〜8時間)それを続ける(スキーム4)。次いで溶媒を取り除き、残留物は標準的方法で精製することができる。
【化14】

【0112】
式I(式中、Rは尿素又はチオ尿素である)の化合物を調製するために、1当量の式IIIの適切な化合物を、THF又はキシレンなどの不活性溶媒中で、20〜120℃の温度範囲で1〜24時間の間、1当量の適切なイソシアネート又はイソチオシアネートと反応させる。次いで反応物を冷却し、生成物を濾過、洗浄し、適切な溶媒から再結晶させるか、又はクロマトグラフィーを用いて精製する。
【0113】
式Iの他の化合物は、既成の置換基を添加、除去又は改質することにより調製することができる。これは、当業界では周知の、例えばLarock R.C.による「包括的有機変換:官能基生成ガイド(Comprehensive organic transformations:a guide to functional group preparations)」、ニューヨーク、VCH Publishers,Inc.1989年に記載のものなど、官能基相互変換のための標準的技法を用いて達成することができる。
【0114】
官能基相互変換の例は:触媒の金属シアン化物、例えばNaCNを用いて又は用いずに、加熱による−COCHからの−C(O)NR’R”及びCHOH中のHNR’R”;例えば、ピリジン中のClC(O)Rを用いての−OHからの−OC(O)R;アルキルイソチオシアネート又はチオシアン酸を用いての−NHRからの−NC(S)NR’R”;アルキルクロロホルメートを用いての−NHRからの−NRC(O)OR’;イソシアネート、例えばHN=C=O又はRN=C=Oを用いての処理による、−NHRからの−NRC(O)NR’R”;ピリジン中のC1C(O)R’を用いての処理による−NHRからの−NRC(O)R’;HNROAcを用いてのアルコール中での加熱による−C(NR’R”)SRからの−C(=NR)NR’R”;不活性溶媒、例えばアセトン中のR−Iを用いての−C(S)NR’R”からの−C(NR’R”)SR;HNR’R”を用いての−C(S)NHからの−C(S)NR’R”(R’又はR”は水素ではない);NHCNを用いての、無水アルコール中での加熱による−C(=NR’R”)−SRからの、或いはEtOH中でのBrCN及びNaOEtを用いての処理による−C(NH)−NR’R”からの、−C(=NCN)−NR’R”;(RS)C=NCNでの処理による−NHR’からの−NR−C(=NCN)SR;ピリジン中での加熱による、CISORでの処理による−NHR’からの−NR”SOR;Lawesson試薬[2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド]を用いての処置による−NR’C(O)Rからの−NR’C(S)R;無水トリフレート及び塩基を用いての−NHRからの−NRSOCF;Na(Hg)及びHCl/EtOHを用いての−CH(NH)C(O)OR’からの−CH(NH)CHO;SOCl、次いでCH、次いでHO/AgOを用いての処理による−C(O)OHからの−CHC(O)OH;PhMgX/HX、次いで無水酢酸、次いでCrOを用いての処理による−CHC(O)OCHからの−C(O)OH;R”COHによるRC(O)R’からのR−OC(O)R’;Na/R’OHを用いての−C(O)OR’からの−CCHOH;Chugaev反応による−CHCHOHからの−CHCH;Curtius反応による−C(O)OHからの−NH;TsCl/塩基次いでHOを用いての、−C(O)NHOHからの−NH;Dess−Martin Periodinane試薬又はCrO/aqHSO/アセトンを用いての−CHCHOHCHRからの−CHC(O)CHR;CrOClを用いての−CCHからの−CCHO;SnCl/HClを用いての−CNからの−CHO;PClを用いての−C(O)NHRからの−CN;N/KOHを用いての−C(O)Rからの−CHRである。
【0115】
反応中にいくつかの部分は、保護が必要とされることがある。適切な保護基は当業界では周知で、多くの参照文献、例えば「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、Greene,T.W.及びWuts,P.G.M.、Wiley−lnterscience、ニューヨーク、1999年又は「保護基(Protecting Groups)」、Kocienski,P.J.、Thieme、Stuttgart、1994年などに記載されている。
【0116】
スキーム1〜4及び実験のセクションに含まれている、本明細書中に使用し得る略語は、特に表示されない限り、以下の通りである。
DCM: ジクロロメタン
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMF: ジメチルホルムアミド
Et: エチル
EtOAc:酢酸エチル
Me: メチル
MeOH: メチルアルコール
MS: マススペクトル法
NMR: 核磁気共鳴法
Ph: フェニル
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
TEA: トリエチルアミン
TFA: トリフルオロ酢酸
TFFH: フルオロN,N,N”,N”−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート
THF: テトラヒドロフラン
TsCl: 塩化トシル
TsOH: トルエンスルホン酸
【0117】
本発明はまた、少なくとも1種の、式I又はIaの化合物を含有する、医薬として許容可能な塩又はそのプロドラッグを含めた、RSVの予防及び/又は処置のための治療用組成物に関する。
【0118】
本発明の組成物は、RSVについて抗ウイルス活性を有する1種若しくは複数の他の化合物、例えばVirazole(登録商標)など、又はRespiGam(登録商標)若しくはSynagis(登録商標)などの他の薬剤をさらに含有するか、又はこれらと共に投与してもよいことが考慮されている。
【0119】
本発明の組成物は、例えば抗炎症薬物、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メファナミン酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチンなどの疾患の症状を処置するための他の薬物をさらに含有するか、又はこれらと組み合わせて投与することもできることが考慮されている。
【0120】
本発明の組成物は、例えばステロイド、例えば短時間作用性のβ作動薬、即ちアルブテロール、レバルブテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、テルブタリン、臭化イプラトロピウム、プレドニゾン、プレドニゾロン及びメチルプレドニゾロンなど;長時間作用性のβ作動薬、例えばサルメテロール又はフォルモテロールなど;ロイコトリエン変更因子、例えばモンテルカスト(monoleukast)、ザフィルルカスト及びジロートンなど;テオフィリン;ネドクロミル;及びクロモリンなどの疾患の症状を処置するための他の薬物をさらに含有するか又はこれらと一緒に投与されることが考慮されている。
【0121】
「組成物」という用語は、従来の担体及び賦形剤と、担体としての封入材料も有する活性成分の配合物を含むことによって、活性成分(他の担体があってもなくても)が密閉担体により包囲されているカプセル剤を提供することを意図している。
【0122】
当業者であれば容易に認識するように、投与経路及び医薬として許容可能な担体の性質は、その疾病の本質及び処置する動物によって変わる。ある特定の担体又はデリバリーシステム及び投与経路の選択は、当業者であれば容易に決定できると考えられている。化合物を含有する任意の配合物の調製において、注意を払うことによって、化合物の活性がその進行中に破壊されないこと、及び化合物が破壊されることなく、作用部位に到達できることを確実にすることができる。当分野で知られている方法、例えば、マイクロカプセル化などで化合物を保護することが必要となり得る場合もある。同様に、化合物が作用部位に到達できるように投与経路を選択することができる。
【0123】
医薬組成物又は配合物は、経口、直腸、経鼻、局所的(口腔及び舌下を含めた)、経膣又は非経口の(筋肉内、皮下及び静脈内を含めた)投与に適切なもの、又は吸入若しくは吹送法による投与に適切な形態のものを含む。組成物は、経口若しくは経鼻の投与又は吸入又は吹送法に適切な形態で提供し得ることが予想される。
【0124】
したがって、本発明の化合物は、従来の補助剤、担体又は希釈剤と共に、医薬組成物の形態及びその単位剤形に入れてもよく、固体としての形態、例えば錠剤若しくは充填したカプセル剤など、又は液体、例えば溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤若しくは上記を充填したカプセル剤など、これらすべてを経口での使用のための形態で、直腸投与のための坐薬の形態で、或いは非経口(皮下を含めた)の使用のための無菌の注射剤溶液の形態で使用してもよい。
【0125】
そのような医薬組成物及びその単位剤形は、追加の活性化合物又は成分があってもなくても、従来の成分を従来の割合で含むことができ、そのような単位剤形は、用いるべき意図する1日の投与量の範囲に見合った、任意の適切な有効量の活性成分を含有することができる。したがって、1錠当たり10ミリグラムの活性成分又はより大まかには0.1〜100ミリグラムの活性成分を含有する配合物が適切な代表的単位剤形である。
【0126】
本発明の化合物は、多種多様な経口及び非経口の剤形で投与することができる。以下の剤形は、本発明の化合物又は本発明の化合物の医薬として許容可能な塩のいずれかを活性成分として含み得ることは、当業者であれば理解されよう。
【0127】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するためには、医薬として許容可能な担体は、固体又は液体のいずれかであってよい。固体形態の調製物は、粉末、錠剤、ピル、カプセル剤、カシェ剤、坐薬及び分散可能な顆粒を含み得る。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は封入材料としても作用し得る1種又は複数の物質であってよい。
【0128】
例えばこの担体は、粉末では、細かく分割された活性成分との混合物である、細かく分割された固体である。
【0129】
例えば活性成分は、錠剤では、必要な結合能を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形及びサイズに圧縮される。
【0130】
粉末及び錠剤は、5又は10から約70パーセントの活性化合物を含有するのが好ましい。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどであってよい。「調製物」という用語は、封入材料を担体として有する活性化合物の配合物を含むことを意図し、これにより、活性成分は担体を有していてもいなくても、その中で担体により包囲されている、つまり活性成分が担体と合体しているカプセル剤が提供される。同様に、カシェ剤及びロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル剤、ピル、カシェ剤及びロゼンジは、経口投与に適切な固体形態として使用することができる。
【0131】
坐薬を調製するためには、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物などの低融点ワックスをまず溶融し、活性成分を攪拌などによってその中で均一に分散する。次いでこの溶融した均質の混合物を好都合なサイズの型に流し込み、冷却し、よって凝固させる。
【0132】
経膣投与に適切な配合物は、活性成分に加えて当分野で適切であることが知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレーとして提示することができる。
【0133】
液体の形態の調製物は、溶液、懸濁液、及び乳濁液、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液を含む。例えば、非経口の注射液の調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として配合することができる。
【0134】
無菌液の形態の組成物は、無菌溶液、懸濁液、乳濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性成分は、医薬として許容可能な担体、例えば滅菌水、無菌の有機溶剤又は両方の混合物中に溶解又は懸濁することができる。
【0135】
したがって本発明による組成物は、非経口投与(例えば注射、例えば急速静注又は連続的な点滴)用に配合することができ、アンプル、事前充填したシリンジ、少量の注入器に入れた単位剤形で、又は保存剤を加えた多数回投与用の容器に入れて提示することができる。組成物は、油性又は水性の媒体中の懸濁液、溶液又は乳濁液のような形態を取ることもでき、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの配合剤を含有してもよい。或いは活性成分は、無菌の固体の無菌単離又は溶液からの凍結乾燥により得た粉末形態にして、使用前に適切な媒体、例えば無菌のパイロジェンフリーの水と一緒にする構成とすることもできる。
【0136】
注射での使用に適切な医薬品の形態は、無菌の注射用溶液又は分散液、及び無菌の注射用溶液の即時調合のための無菌粉末を含む。これらは、製造及び保存の条件下で安定していることができ、酸化及び細菌又は真菌類などの微生物の汚染作用を受けることなく保存することができる。
【0137】
当業者であれば、従来の手法を用いて本発明の化合物に適切な配合物を容易に決定し得る。好ましいpH範囲及び適切な賦形剤、例えば抗酸化剤の同定は、当技術分野では慣例となっている。緩衝系は、日常的に使用されることにより所望の範囲のpH数値が得られ、カルボン酸緩衝液、例えば酢酸、クエン酸、乳酸及びコハク酸などの緩衝液を含む。様々な抗酸化剤がそのような配合物に対して市販されており、これにはBHT又はビタミンEなどのフェノール化合物、メチオニン又はサルファイトなどの還元剤及びEDTAなどの金属キレート剤が含まれる。
【0138】
注射用の溶液又は分散液のための溶媒又は分散媒は、化合物のための従来からの任意の溶媒又は担体系を含有してもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、及び植物油を含有してもよい。適切な流動度は、例えばレシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には必要な粒度を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより維持することができる。微生物による作用の予防は、必要に応じて、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどを含めることによって達成することができる。多くの場合、重量オスモル濃度を調整する薬剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用配合物は、血液に等圧であることが好ましい。注射用組成物の長時間に渡る吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に使用することによって達成できる。注射での使用に適切な医薬品の形態は、静脈内、筋肉内、脳内、くも膜下腔内、硬膜外の注射又は点滴を含めた任意の適切な経路により送達し得る。
【0139】
無菌の注射用溶液は、必要な量の活性化合物を、上に列挙したような他の様々な成分を必要に応じて有する適切な溶媒に組み込み、次に濾過殺菌することによって調製される。一般的には、滅菌した様々な活性成分を、塩基性分散媒と上に列挙したうちから必要とされる他の成分とを含有する無菌媒体に組み込むことによって分散液を調製する。注射用無菌溶液の調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、事前に濾過殺菌した活性成分の溶液に任意の所望の追加成分を加えたものを真空乾燥又は凍結乾燥する方法である。
【0140】
活性成分が適切に保護されている場合には、活性成分は、例えば不活性な希釈剤若しくは吸収可能な食用の担体と共に経口的に投与してもよく、又は硬質若しくは軟質のゼラチンシェルカプセル剤に封入してもよく、又は錠剤に圧縮してもよく、又は食事用の食品に直接取り込んでもよい。治療のための経口投与のために、活性化合物を賦形剤に取り込み、摂取可能の錠、バッカル錠、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハースなどの形態で使用することもできる。そのような組成物及び調製物は、少なくとも1重量%の活性化合物を含有することが好ましい。組成物及び調製物のパーセンテージは、もちろん様々であってよく、その単位の重量の約5〜約80%の間であるのが有利である。治療上有用な組成物における活性化合物の量は、適切な投与量が得られる量で十分とすることができる。
【0141】
錠剤、トローチ、ピル、カプセル剤などはまた、以下に挙げる成分を含有してもよい。ガム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤;第二リン酸カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;及びショ糖、ラクトース若しくはサッカリンなどの甘味剤、又はハッカ、冬緑油若しくはサクランボ香味料などの着香剤を加えることもできる。単位剤形がカプセル剤の場合、上記の種類の材料に加えて、液体の担体を含有することもできる。
【0142】
他の様々な材料がコーティングとして、又はさもなければ単位剤形の物理的形態を変えるために存在し得る。例えば、錠剤、ピル又はカプセル剤はシェラック、糖又はこの両方でコーティングしてもよい。シロップ又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてショ糖を、保存剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベンを、サクランボ香味料又はオレンジ香味料などの染料及び香味料を含有することもできる。任意の単位剤形を調製するのに使用する任意の材料は、薬剤的に純粋で、その使用量では実質的に非毒性であることができる。加えて活性化合物(複数可)は、活性ペプチドを腸の特定領域へ特定して送達することを可能にするものを含めた、徐放性の調製物及び配合物に取り込むこともできる。
【0143】
経口での使用に適切な水溶液は、活性成分を水に溶解し、要望に応じて、適切な着色料、香味料、安定剤及び増粘剤を添加することによって調製することができる。
【0144】
経口での使用に適切な水性懸濁液は、粘稠の材料、例えば天然ガム又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他の周知の懸濁剤などが入った水に、細かく分割した活性成分を分散することによって作製することができる。
【0145】
医薬として許容可能な担体及び/又は希釈剤は、任意の及びすべての溶媒、分散液媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質にそのような媒体及び薬剤を使用することは、当分野で周知である。従来からの任意の媒体又は薬剤が活性成分に不適合である場合を除き、治療用組成物においてそれらを使用することが考えられている。補足の活性成分も組成物に取り込むことができる。
【0146】
経口投与のために、使用の少し前に液体形態の調製物に変換することを意図した固体形態の調製物も含まれる。そのような液体形態は、溶液、懸濁液及び乳濁液を含む。このような調製物は、その活性成分に加え、着色料、香味料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0147】
表皮への局所的な投与に対しては、本発明による化合物は、軟膏、クリーム若しくはローション、又は経皮のパッチとして配合することもできる。軟膏及びクリームは、例えば水性又は油性の基剤に、適切な増粘剤及び/又はゲル剤を加えて配合してもよい。ローションは、水性又は油性の基剤を用いて配合してもよく、一般的には1種又は複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤又は着色剤も含有することになる。
【0148】
口内での局所的な投与に適切な配合物は、風味付けをした基剤、通常はショ糖とアカシア又はトラガカントの中に活性薬剤を含むロゼンジ;ゼラチンとグリセリン又はショ糖とアカシアゴムなどの不活性基剤の中に活性成分を含むトローチ;並びに適切な液体担体中に活性成分を含む口内洗浄剤を含む。
【0149】
溶液又は懸濁液は、従来の方法、例えば滴びん、ピペット又はスプレーなどを用いて、鼻腔に直接付ける。この配合物は、単回投与又は多数回投与の形態で提供し得る。後者の滴びん又はピペットの場合、これは適切な、所定の量の溶液又は懸濁液を投与する患者によって実行することができる。スプレーの場合、これは例えば霧吹きスプレー定量ポンプを用いて実行することができる。経鼻での送達及び維持を改善するため、本発明による化合物を、シクロデキストリンでカプセル化するか、又は鼻粘膜での送達及び維持を強化することが予想される他の薬剤と共に配合してもよい。
【0150】
呼吸器への投与はまた、活性成分が、クロロフルオロカーボン(CFC)などの適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切なガスなどを用いて、加圧パックに入れて提供される、エアロゾル配合物により達成することができる。エアロゾルは、レシチンなどの界面活性剤も含有するのが好都合であってよい。薬物の投与は、定量バルブを用意することによって制御してもよい。
【0151】
或いは活性成分は、乾燥粉末の形態、例えば適切な粉末基剤、例えばラクトース、澱粉、澱粉誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)などの中の、化合物の混合粉末で提供することもできる。粉末担体は鼻腔内でゲルを形成するのが好都合である。粉末組成物は、例えばカプセル剤で、又は例えばゼラチン若しくは吸入器を用いて粉末を投与し得るブリスターパックなどのカートリッジで、単位剤形で提示されてもよい。
【0152】
鼻腔内配合物を含めて、呼吸器へ投与することを意図した配合物において、化合物は一般的に、例えば5〜10ミクロン又はそれ未満程度の小さい粒径を持つことになる。そのような粒度は、当分野で知られている手段、例えば微粒子化によって得ることもできる。
【0153】
所望する場合、活性成分の徐放が得られるように適応させた配合物を使用することもできる。
【0154】
医薬調製物は、単位剤形が好ましい。そのような形態において、調製物は適量の活性成分を含有する剤形に細分される。単位剤形は、包装された調製物であってよく、このパッケージは、別々の量の調製物、例えば小包にした錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル内の粉末などを含有する。この単位剤形はまた、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、若しくはロゼンジそれ自体であるか、又はこれらの単位剤形のいずれかが適切な数でパッケージに入っているものであってもよい。
【0155】
投与を簡素化し、投与量を均一化するために、非経口の組成物を単位剤形で配合するのが特に有利である。本明細書で使用する場合、単位剤形は、処置する対象への単位での投与に適した、物理的に分離した単位を指し、各単位が必要とされる医薬担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性物質を含有する。本発明の単位剤形の明細は、(a)活性物質に特有の特徴及び達成すべき特定の治療効果、並びに(b)体の健康が冒されている疾患の状態である生きた対象における疾患を処置するための活性物質などの調合技術に付随する制限により決定され、これらによって直接左右される。
【0156】
本発明はまた、化合物が単位剤形である担体の存在なしで、式I、Ia、IIの化合物を含む。
【0157】
投与する式Iの化合物の量は、化合物の活性及び処置する疾患に応じて1日当たり約10mg〜2000mgの範囲であってよい。
【0158】
鼻腔内投与のための液体又は粉末、経口投与のための錠剤又はカプセル剤、及び静脈内投与のための液体は、好ましい組成物である。
【0159】
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明は、具体的に記載したもの以外に変法及び修正の可能性があることを認識されよう。本発明は、その趣旨及び範囲内にあるそのようなすべての変法及び修正を含むことを理解するものとする。本発明はまた、この明細書中で参照又は指摘されたすべてのステップ、特徴、組成物及び化合物を、個々に又はまとめて、さらに前記ステップ又は特徴の任意の2つ以上のいかなる及びすべての組合せを含む。
【0160】
この明細書における、任意の過去の出版物(又はそれから得た情報)、又は任意の既知の事項への参照は、過去の出版物(又はそれから得た情報)又は既知の事項が、この明細書が関連している努力の分野において共通の一般知識の一部を形成するという認識又は承認又は何らかの形の提案として考えられてはおらず、考えられるべきではない。
【0161】
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味が必要とされない限り、「含む(comprise)」という単語及びその変化形、例えば「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などは、指定された整数若しくは段階、又は整数若しくは段階の群を含むが、他のいかなる整数若しくは段階、又は整数若しくは段階の群を除外するものではないことを暗に意味することは理解されよう。
【実施例】
【0162】
合成法
H NMRスペクトルをBroker Avance DRX 400、AC200又はAM300の分光器のいずれかに記録した。残留溶媒ピークを基準として用いて、スペクトルをCDCl、d−アセトン、CDOD又はd−DMSOに記録した。化学シフトは、百万分の一(ppm)のδスケールで、多重度を割り当てる以下の取り決めを用いて報告される:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)及び接頭辞として付けるb(太線)。質量スペクトル(ESI)をFinnigan LCQ Advantage分光器に記録した。フラッシュクロマトグラフィーを40〜63μmシリカゲル60(Merck No.9385)で実施した。Gilson 215液体ハンドラー及びHP1100PDA検出器を有するGilson322ポンプを用いて分取HPLCを行った。特に明記しない限り、HPLCシステムは、0.1%TFMを含む水及びアセトニトリル又は0.06%TFAを含むアセトニトリルのいずれかを用いた、Phenomenex C8(2)カラムを使用した。
【0163】
方法A
1当量の式IIの適切なケト酸又はそのエステル類似体と、約3当量の一般式HN−B−C−NHの適切なジアミンを反応させる。Dean−Stark装置を装着していてもよいフラスコ内で、1〜24時間の間又は液だめの中に水が採取されなくなるまで、1,2−ジクロロエタン、トルエン又はキシレンなどの不活性溶媒中でこの混合物を加熱還流させる。酸トシレートなどの触媒を使用することができる。この後、反応物を冷却させ、生成物を濾過し、適切な溶媒から再結晶させる。沈殿物が形態しない場合、溶媒を真空中で蒸発させ、残留物を再結晶させるか若しくはフラッシュクロマトグラフィー又は分取HPLCを用いて精製する。
【0164】
式IIIの化合物を形成するためのこの方法は、米国第4,058,529号、Sulkowski,T.S.ら、1967年、J.Org.Chem.、32:2180〜2184頁及びHoulihan,W.J.ら、1975年、J.Med.Chem.、18:182〜185頁に記載の手順を適応したものである。
【0165】
10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オン
【化15】


上のイソキノリノン誘導体を、エチレンジアミン及び2−(ベンゾイルメチル)安息香酸を用いて、方法Aで調製した。
【化16】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:299.0、実測値:298.9。
【0166】
9a−(4−クロロフェニル)−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−1,3a,8−トリアザシクロペンタ[b]ナフタレン−4−オン
【化17】


上のポリアザ−テトラヒドロナフタレノン誘導体は、エチレンジアミン及び2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−ニコチン酸を用いて、方法Aで調製した。
【化18】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:300.0、実測値:299.9。
【0167】
方法B
2当量のジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンを、THF中の1当量の式IIIの化合物又は他の適切な不活性溶媒に0℃で加える。イソシアネート、イソチオシアネート、酸塩化物又は他のアシル化剤を混合物に加え、その反応をHPLCで監視する。完了したら、反応物を水でクエンチし、生成物を抽出してEtOAcを得る。続いてこのEtOAcを1:1sat.NHCl(aq)/水、1:1sat.NaCO3(aq)/水及びsat.NaCO3(aq)の溶液で洗浄する。このEtOAcを乾燥し(NaSO又はMgSO)、溶媒を真空中で蒸発させ、残留物を結晶化するか、又はフラッシュクロマトグラフィー若しくは分取HPLCで精製するかのいずれかを行う。
【0168】
N−{2−[10a−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−2,3,10,10a−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−1−イル]−2−オキソエチル}−4−フルオロベンゼンスルホンアミド
【化19】


上のアミドを、ジクロロメタン中の4−(フルオロベンゼンスルホニルアミノ)塩化アセチル及びトリエチルアミンを用いて方法Bで調製し、フラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【化20】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:514.0、実測値:514.0。
【0169】
方法C
1当量の式IIIの適切な化合物は、反応が実質的に完了するまで、トリエチルアミンなどの非求核性基剤の存在下で、トルエンなどの適切な不活性溶媒中で、高温で、1当量の適切な酸塩化物又は代替のアシル化剤と反応させる。また、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンなどのアシル移動剤をこの反応混合物に加えてもよい。次いで混合物を冷却し、生成物を濾過し、適切な溶媒から再結晶させる。沈殿物が形成しない場合は、反応物をフラッシュクロマトグラフィー又は分取HPLCを用いて精製する。
【0170】
4−[10a−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−2,3,10,10a−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−1−イル]−4−オキソ酪酸
【化21】


上のアミドを、トルエン中のN,N−ジメチル−4−アミノピリジンと共に、無水コハク酸及びトリエチルアミンを用いて、3日間還流させ、方法Cで調製し、フラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【化22】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:399.0;実測値:399.0。
【0171】
方法D
N置換ジアミンを当業者には周知であろう方法に従って調製した。そのような一手順は、Kruse L.I.ら、1990年、J.Med.Chem.、33:781〜789頁にその概要が記載されている。
【0172】
式IIの適切な化合物(2当量)及びトルエン、キシレン又は他の適切な不活性溶媒中の式HN−B−C−NHR(1当量)のN置換ジアミンを、スターラー及びDean−Stark装置を備えたフラスコ内に置く。水の分離がなくなるまで(通常1〜24時間)この混合物を加熱還流する。次いで溶媒を蒸留し、残留物を冷却する。この残留物をフラッシュクロマトグラフィー又は分取HPLCを用いて精製する。
【0173】
10a’−(4’−クロロフェニル)−1’−(4’−フルオロベンジル)−2’,3’,10’,10a’−テトラヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−(1,10’−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン[5]オン)]
【化23】


上のアミドを、キシレン中のN(4−フルオロベンジル)エチレンジアミンを用いて、21時間還流させ、方法Dで調製し、フラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【化24】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:433.0;実測値:433.1。
【0174】
方法E
1当量の式IIIの適切な化合物を、1〜48時間の間、20〜120℃の温度範囲でTHF又はキシレン中の1当量の適切なイソシアネート又はイソチオシアネートと反応させる。次いで反応物を冷却し、生成物を濾過し、洗浄し、適切な溶媒から再結晶させる。沈殿物が形成されない場合は、製品をフラッシュクロマトグラフィー又は分取HPLCを用いて精製してもよい。
【0175】
方法F
適切なイソシアネート、イソチオシアネート、塩化スルホニル、酸塩化物、酸無水物又は代替のアシル化剤(2.2当量)を、液体の場合には直接、又は固体の場合にはピリジン中溶液(約1M)として、式III(0.1mmol)の適切な化合物のピリジン(500μL)中溶液に、−5℃で加える。反応物を攪拌し、2〜24時間に渡り室温まで温める。続いて反応物を水で希釈し、CHCl又は他の適切な有機溶剤で3回抽出する。組み合わせたこの有機抽出物を1N NaOH(3×)及び10%HCl(3×)で洗浄する。塩基性生成物の場合、酸による洗浄は省略し、酸性生成物の場合、塩基による洗浄は省略する。中性又は塩基性生成物に対しては、ポリマー担持基剤(MP−カーボネート樹脂、Argonaut Technologies Inc.など)の存在下で、0.5〜12時間の間、組み合わせたCHClの抽出物を攪拌することによって粗原料純度を改善することもできる。CHCl抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空内で蒸発させる。この粗生成物を続いてフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0176】
10a−(4−クロロフェニル)−1−(ピリジン−3−カルボニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オン
【化25】


上のアシル化イソキノリノン誘導体を、塩化ニコチノイル及び10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オンを用いて、方法Fで調製した。
【化26】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:404.0、実測値:404.1。
【0177】
10a−(4−クロロフェニル)−1−(2−ピリジン−2−イル−アセチル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オン
【化27】


上のアシル化イソキノリノン誘導体は、方法Fで調製した。ピリジン−2−イル−酢酸は、DMF/ピリジン溶液中の1当量のO−ベンゾトリアゾール−N,N,N,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェートを用いての処理により事前に活性化させた。10分後、この溶液を10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オンに加えた。
【化28】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:418.0、実測値:418.0。
【0178】
方法G
この方法は、Coperet,C.ら、J.Org.Chem.、1998年、63、1740〜1741頁に記載の方法を適応したものである。30%過酸化水素(10当量)を、CHCl(4×過酸化水素溶液の量)中の式I又は式III(1当量)のいずれかの適切な化合物及びトリオキソレニウム2.5mol%の溶液に周辺温度で加える。混合物を一晩攪拌し、その後混合物を水で希釈し、さらに30分間攪拌する。この後、CHClを分離し、水層をCHCl(2×)でさらに抽出する。組み合わせたこの抽出物を乾燥し、溶媒を真空で蒸発させると、所望の生成物が産生される。必要に応じてこれを結晶化又はクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0179】
9a−(4−クロロフェニル)−1−(フラン−3−カルボニル)−8−オキシ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−1,3a,8−トリアザ−シクロペンタ[b]ナフタレン−4−オン
【化29】


上の酸素化誘導体を、10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オンから方法Gで調製した。
【化30】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:410.0、実測値:410.0。
【0180】
方法H
適切な芳香族o−ハロカルボン酸を、約1.5当量の適切なβ−ジケトンと共に、tert−ブタノール又は別の適切な溶媒中で懸濁する。この混合物に約0.25当量の銅、銅(I)臭化物又は銅(I)ヨウ化物を加える。次いでこの懸濁液を、約1.6当量のカリウムtert−ブトキシド又はナトリウムエトキシドで処置し、耐圧容器内に密閉し、マイクロ波反応器内で、攪拌しながら約1時間、約180℃に加熱する。或いは、十分に高い沸点を有する溶媒(N,N−ジメチルアセトアミドなど)を使用することもでき、混合物を開放した容器内で加熱還流し、基剤が実質的に変換されるまでこれを続ける。この生成した混合物を水で希釈し、水性のNHClで中和し、適切な有機溶剤で抽出する。この有機抽出物を乾燥、濃縮し、その残留物はフラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。次いでこのラクトン中間体を、アセトニトリルを共溶媒として用いて、希薄な水性の水酸化物溶液で処理することにより加水分解する。
【0181】
3−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−イソニコチン酸
【化31】


3−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−イソニコチン酸(上の)を、3−クロロ−イソニコチン酸及び1,3−ビス−(4−クロロフェニル)−プロパン−1,3−ジオンを用いて方法Hで調製した。
【化32】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:276.0、実測値:276.1
【0182】
方法I
適切な芳香族カルボン酸誘導体を塩化アルミニウム(1〜3当量)及び過剰な適切な芳香族求核剤で処理する。混合物を冷却するか、又は必要に応じて加熱(通常は0〜90℃)し、反応させておき、カルボン酸誘導体が実質的に消費されるまでこれを続ける。反応混合物を氷及び希HClに注ぎ入れる。固体が沈殿する場合、濾過して除去し洗浄する。固体が沈殿しない場合、混合物を酢酸エチル又はジクロロメタンに抽出して、MgSOで乾燥し、濃縮する。適切な溶媒から再結晶化することによって又はクロマトグラフィーでこの生成物をさらに精製してもよい。場合によっては生成物を環化してラクトンを形成させ、これを、アセトニトリルを共溶媒として用いて希薄な水酸化物水溶液で処理することによって加水分解してもよい。
【0183】
2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−安息香酸
【化33】


2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−安息香酸(上の)をホモフタル酸無水物及びクロロベンゼンを用いて方法Iで調製した。この場合、反応物を85℃に、4時間の間加熱するのが有利であることが判明した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーで単離した。
【化34】

【0184】
方法J
THF中の適切な2−メチル芳香族カルボン酸の混合物を、−78℃〜0℃の間の温度で、約2〜4当量のリチウムジイソプロピルアミドで処理する。混合物を約1時間攪拌する一方で、温度を0℃に増加する。次いで混合物を−78℃に冷却し、次いで約1.2当量の適切なエステル、アミド、ウエインレブアミド又は適切な代替の求電子剤の溶液を加える。反応物を2〜4時間の間攪拌しながら0℃に温め、次いで室温まで温め、続いて水性の希HClへと注ぎ入れる。粗生成物を濾過により採取し、再結晶化又はフラッシュクロマトグラフィーで精製する。沈殿物が形成しない場合、溶液を適切な有機溶剤で抽出し、この有機抽出物を乾燥濃縮する。この残留物は、再結晶化又はフラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0185】
この方法は、Guion,T.S.ら、1996年、Synth.Communications、26:1753〜1762頁及びEpsztajn,J.ら、1992年、Synth.Communications、22:1239〜1247頁に記載の手順を適応したものである。
【0186】
2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−3−フルオロ安息香酸
【化35】


上のケト酸を、3−フルオロ−2−メチル安息香酸及びメチル4−クロロベンゾエートを用いて方法Jで調製した。
【化36】

【0187】
方法K
式II(式中、X=Oであり、Dは−[CH−である)の化合物及び触媒量の18−クラウン−6をTHF中に懸濁し、−78℃に冷却する。選択したアルキルハロゲン化物又はアルキルジハロゲン化物(約3当量)、次いでカリウムt−ブトキシドを加える。混合物を攪拌し、室温まで温める。反応物が完了したら、混合物を再び冷却し、さらに塩化アンモニウムの飽和溶液でクエンチし、少量の水で希釈する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮する。この残留物は、再結晶化又はフラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0188】
この方法は、J.Org.Chem.1991年、56:7188〜7190頁に記載の手順を適応したものである。
【0189】
2−[2−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル−2−オキソ−エチル]−安息香酸メチルエステル
【化37】


上のケトエステルを、2−[2−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−安息香酸及び3.1当量のヨウ化メチルから方法Kに従い調製した。
ESI−MS m/z計算値[M+H]:317.0、実測値:317.0。
【0190】
方法L
適切な2−ホルミル置換芳香族カルボン酸及び適切なα−メチレンケトンをエタノール中に溶解又は懸濁する。混合物を0℃に冷却し、温度を5℃より低く維持する一方で、約1.2当量の1M水酸化ナトリウムを含有する水溶液を液滴で加える。攪拌した溶液を周辺温度まで温める。溶液をHSOで酸性化し、30分間60℃に加熱し、次いで濾過する。このようにして得たケト−ラクトンを、エタノール中に懸濁し、水性の水酸化ナトリウムを用いて加水分解する。次いでこの粗原料エノン溶液を、木炭上のパラジウムの存在下で、水素で処理し、アルケンの還元が完了するまでこれを続ける。この反応混合物を酸性化し、抽出して酢酸エチルを得て、乾燥(MgSO)、濃縮する。
【0191】
2−[3−(4−クロロフェニル)−3−オキソ−プロピル]−安息香酸
【化38】


上のケト酸を、2−ホルミル安息香酸及び1−(4−クロロフェニル)−エタノンから方法Lで調製した。
【化39】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:289.0、実測値:288.9。
【0192】
方法M
酸化性のアルキレン基を含有する、式Iの適切な化合物を、ジクロロメタン中で溶解又は懸濁し、過マンガン酸カリウム(5当量)及びジクロロメタン中の触媒量の18−クラウン−6で処理し、この混合物を周辺温度で攪拌する。反応する時間(通常2〜48時間)を与えた後、混合物を同量の水で約6回洗浄する。次いで有機層を乾燥(MgSO)し濃縮する。残留物は、フラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。或いは、基剤を酢酸中に溶解又は懸濁し、クロミウム(VI)酸化物で処理する。反応する時間(通常2〜48時間)を与えた後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水で数回洗浄する。次いで有機層を乾燥(MgSO)及び濃縮する。粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0193】
10a’−(4’−クロロフェニル)−1’−(4’−メトキシベンゾイル)−2’,3’,10’,10a’−テトラヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−(1,10’−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン[5]オン)]
【化40】


上のイソキノリノン誘導体を、ジクロロメタン中の過マンガン酸カリウムを用いて、10a’−(4’−クロロフェニル)−1’−(4’−メトキシベンジル)−2’,3’,10’,10a’−テトラヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−(1,10’−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン[5]オン)]から、方法Mで調製し、フラッシュクロマトグラフィーで精製した。
【化41】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:459.0、実測値:459.0
【0194】
10a−(4−クロロフェニル)−10,10a−ジヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−2,3,5−トリオン
【化42】


上のイソキノリノン誘導体は、酢酸中のクロミウム(VI)酸化物を用いて、10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オンから方法Mで調製した。
【化43】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:327.0、実測値:326.9。
【0195】
方法N
選択されたカルボニル化合物を、トルエン又は適切な不活性溶媒中で溶解し、ローソン試薬(約1.1当量)で処理する。混合物を24〜72時間加熱還流する。次いで冷却した混合物を水で数回洗浄し、有機相を乾燥(MgSO)し濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーで残留物を精製してもよい。
【0196】
10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−チオン
【化44】


上記チオアミドを、10a−(4−クロロフェニル)−2,3,10,10a−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[1,2−b]イソキノリン−5−オンから方法Nで調製した。
【化45】


ESI−MS m/z計算値[M+H]:315.0、実測値:315.0。
【0197】
方法O
選択された本発明の化合物は、キラルな固定相を有するクロマトグラフィーのカラムを用いて、HPLCにより単一の立体異性体に分離することもできる。例えば、以下に詳しく述べられている条件下で、以下のラセミ化合物をエナンチオマーに分離した。
【0198】
カラム:Chiralcel OD−Hカラム250×4.6mm
検出器波長:254nm
【0199】
化合物1−019の分離
移動相A:エタノール
流速:0.7mL/分
均一溶媒の溶出:100%移動相A
実行時間:30分
カラム温度:30℃
注入量:20μl
【0200】
化合物1−008、1−036及び1−043の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:0.7mL/分
実行時間:42分
ポスト実行時間:5分
カラム温度:30℃
注入量:20μl
【0201】
勾配時間表:
【表1】

【0202】
化合物1−006、1−005、1−029、1−031、1−032、2−02及び2−06の分離
移動相A:ヘキサン
移動相B:エタノール
流速:0.7mL/分
均一溶媒の溶出:移動相A70%、移動相B30%
実行時間:33分
カラム温度:30℃
注入量:20μl
【0203】
表1:Chiralcel OD−Hカラム(溶出条件は上に記載)を用いてのエナンチオマーの分離
【表2】

【0204】
上記方法により得た式Iの化合物は、適切ならば、当分野で知られている技法を用いて式Iの追加の化合物に同化してもよいことが理解されよう。
【0205】
上記の方法を使用して、以下の表2及び表3の化合物を生成した。示されているすべての化合物を調製した。化合物は、マススペクトル法で特徴づけられ、各化合物に対して観察した分子イオンを表に示す。
【0206】
表2:調製した式Iの化合物
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】


【表3−4】


【表3−5】


【表3−6】


【表3−7】


【表3−8】


【表3−9】


【表3−10】


【表3−11】


【表3−12】


【表3−13】


【表3−14】


【表3−15】


【表3−16】


【表3−17】


【表3−18】


【表3−19】

【0207】
表3:調製した式IIIの化合物
【表4−1】


【表4−2】


【表4−3】

【0208】
生物学的データ
方法P:RSV抗ウイルス性アッセイプロトコル
本発明の化合物の呼吸器合胞体ウイルスに対する抗ウイルス活性を試験した。細胞変性効果(CPE)アッセイを、本質的には文献(例えばWatanabeら、1994年、J.Virological Methods、48:257頁)に記載されているように実施した。試験化合物の系列希釈を96ウェルプレート内で行った。HEp2細胞(1.0×10セル/ウェル)を低い感染効率(例えば、RSV A2をmoi約0.01で)でRSVに感染させ、抗ウイルス活性を評価するためにプレートに加えた。非感染のHEp2細胞を使用して、化合物の細胞傷害性を評価した。分析試料は、37℃で5日間、5%のCO雰囲気でインキュベートした。CPEの程度を生体染色色素3−(4,5−ジメチルチアクソル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)の代謝を介して求めた。MTT(1mg/ml)を各ウェルに加え、プレートは、2時間のインキュベーションの間、37℃でインキュベートした。ウェルを吸引し、iso−プロパノール(200μL)を加え、540/690nmでの光吸収値を読んだ。CPEを50%(EC50)抑制し、細胞傷害性(CC50)を発現した化合物濃度を非線形の回帰分析法を用いて計算した。
【0209】
RSV A2に対する本発明の化合物の代表的なデータを表4及び5に示すが、この中で、EC50値は、A:<0.25μM、B:0.25〜1.0μM、C:1.0〜5.0μM及びD:>5.0μMの範囲内に位置する。
【0210】
表4:表2の化合物に対するRSV A2抗ウイルス性のデータ
【表5】

【0211】
表4:表1の化合物に対するRSV A2抗ウイルス性のデータ
【表6】

【0212】
方法Q:RSV融合アッセイ
選択された本発明の化合物は、呼吸器合胞体ウイルスの本質的な融合プロセスを抑制する能力を試験することができる。
【0213】
RSV−F構築物の産生
最適なコドンを組み込んだRSV A2 F糖タンパク質の部分をコードし、潜在的なポリ(A)添加又はスプライス部位のない、一本鎖の合成DNAオリゴヌクレオチドを合成により生成した(Masonら、WO0242326)。本明細書中及びMortonらの中に記載された方法に本質的に従って、膜固定された完全長のFを生成した。
【0214】
合胞体生成アッセイ
RSV−F構築物の融合活性を、Mortonら、2003年、Virology、311:275頁に記載の方法に本質的に従って293細胞内で測定した。例えば、約80%密集度の6穴プレート内の細胞を目的の構築物を保有するプラスミドDNA(2μg/穴)をCaPO溶液中に4時間添加することによって形質移入する。グリセロールショック及び洗浄後、形質移入した細胞をトリプシン処理し、1.5×10細胞/穴を、試験化合物の1/2log系列希釈液を含有する96穴プレートに加えた。合胞体生成物を目視検査で評価し、形質移入から48時間後に20μLのCellTiter96 One Solution(Promega)を添加することによって定量化し、続いて37℃で4時間のインキュベーションを行った。次いで、25μLの10%SDSを各穴に添加することによってこの色反応を停止し、540/690nmでの光吸収値を読んだ。未処理の対照培養物と比較して、光吸収を50%(EC50)減少させたこの化合物濃度を、非線形回帰分析を用いて計算した。
【0215】
方法R:RSVコットンラットモデル
コットンラットモデルを、本質的に文献(Wydeら、2003年、Antiviral Res.、60:221頁)に記載の通り実施した。要約すると、体重50〜100gのコットンラットをイソフルランで軽い麻酔状態にし、100mg/kg/日の化合物又はビヒクル対照を経口的に投与した。処理から2時間後、同様に麻酔状態にしたラットに動物1匹につき約1000TCID50のRSV A2を鼻腔内に点滴注入することによってウイルス感染させた。ウイルス接種から4日後、各コットンラットを屠殺し、肺を取り出し、RSV滴定量をプラークアッセイにより求めた。
【0216】
方法S:RSV Balb/cマウスモデル
マウスモデルを、本質的にCianciら、2004年、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、48:413頁に記載の通り実施した。要約すると、8週齡のメスのBalb/cマウスを計量し、腹腔内からAvertin(商標)で麻酔をかけ、化合物又は賦形剤を感染の6時間前に経口的投与した。マウスに動物1匹につき約10000TCID50のRSV A2を鼻腔内から接種した。ウイルス接種から3日後、各マウスを屠殺し、肺を取り出し、RSV滴定量をプラークアッセイにより求めた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物又はその塩
【化1】


(式中、
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル、及び−(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は、置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rの場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは1〜3個の原子長の二価の連結基を表し、
但し、Aが、それが結合している原子と一緒になって、非置換のフェニル環を形成し、XがOであり、Dが−CH−であり、B−Cが−CHCH−を表し、Rが非置換のフェニルである場合、RはHではない)。
【請求項2】
環Aが、置換されていてもよいアリール環又はヘテロアリール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aが置換されていてもよいヘテロアリール環である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
環Aが置換されていてもよいフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
環Aが置換されていてもよいピリジル環である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
B−Cが1〜3個の原子からなる二価の連結基を表す、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
B−Cが−CH−(CH−を表し、ここで、Zは1又は2であり、B−C連結基は、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、フェニル又はベンジルから選択される基で置換されていてもよい、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
B−Cが−CHCH−を表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Dが、−CRIIIIV−、−O−、−NR−、−S−、−C(=X)−、−CRIIIIVCRIIIIV−、−O−CRIIIIV−、−NR−CRIIIIV−、−S−CRIIIIV−、−CRIII=CRIII−、−C(=X)−CRIIIIV−、−CRIIIIV−CRIIIIV−CRIIIIV−、−O−CRIIIIV−CRIIIIV−、−NR−CRIIIIV−CRIIIIV−、−S−CRIIIIV−CRIIIIV−、−CRIII=CRIII−CRIIIIV−、及び−C(=X)−CRIIIIV−CRIIIIV−から選択される二価の連結基を表し、
ここで、RIII及びRIVはそれぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル、及び−(CHヘテロシクリルから独立して選択され、又はRIII及びRIVは、それらが結合している原子と一緒になって、3〜8員のシクロアルキル又は複素環を表し、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、及び低級アルコキシから独立して選択される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
二価の連結基Dが、それが結合している原子と一緒になって、6員の非芳香族複素環を形成する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Dが、−CRIIIIV−、−O−、−NR−、−S−又は−C(=X)−を表し、ここで、RIII、RIV、R及びXは、請求項9の定義の通りである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Dが、−CRIIIIV−を表し、ここで、RIII及びRIVのうちの少なくとも一方は水素を表し、他方は、ハロゲン、ヒドロキシル、置換されていてもよいC1〜12アルキル及び置換されていてもよいアリールから選択されてもよく、RIII及びRIVは同じであり、C1〜3アルキルを表すか、又はRIII及びRIVは、それらが結合している原子と一緒になって、3、4、5、6又は7員のシクロアルキル環又はヘテロシクリル環を表す、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Dが−CRIIIIV−を表し、ここで、RIII及びRIVは両方ともH又はCHを表す、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Dが−CH−を表す、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル又は置換されていてもよいヘテロシクリルを表す、請求項1から14までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいピロリル又は置換されていてもよいピリジルを表す、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が置換されていてもよいフェニル環を表す、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、置換されていてもよいフェニル(その置換基は、ハロ、ヒドロキシ又はアルコキシからそれぞれ独立して選択される);シクロアルキル;又は置換されていてもよいピリジル若しくはそのN酸化物(その置換基はハロからそれぞれ独立して選択される)である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、置換されていてもよいフェニル(その置換基はクロロ、ヒドロキシ又はメトキシからそれぞれ独立して選択される);低級シクロアルキル;又は置換されていてもよいピリジル若しくはそのN酸化物(その置換基はクロロからそれぞれ独立して選択される)である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
が、フェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、5−クロロ−2−ピリジル、4−ピリジル又は4−ピリジルN酸化物である、請求項18又は19に記載の化合物。
【請求項21】
が、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよい、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
が−CH−Rであり、ここで、Rは−(CHで置換されていてもよいアリール又は−(CHで置換されていてもよいヘテロシクリルであり、mは0〜3である、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
が−C(=Y)CHN(R)R又は−C(=Y)CHSRであり、ここで、Rは−(CHで置換されていてもよいアリール又は−(CHで置換されていてもよいヘテロシクリルであり、mは0〜3であり、YはOであり、RはH又は低級アルキルである、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
が−CON(R)Rであり、ここで、RはHであり、Rは−(CHで置換されていてもよいアリール又は−(CHで置換されていてもよいヘテロアリールであり、mは0〜2である、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
が−C(=Y)Rであり、ここで、YはO又はSであり、Rは−(CHで置換されていてもよいアリール又は−(CHで置換されていてもよいヘテロアリールであり、mは0〜3である、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
YがOであり、mが0であり、Rが置換されていてもよい5又は6員の単環式複素環、置換されていてもよい9又は10員の二環式複素環又は置換されていてもよいアリール基である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、−CH、−C(=O)R、−C(=O)N(R)R又は−SOであり、ここで、
a.Rは、置換されていてもよいアルキル(その置換基は、−COOH、−SCHCONHアリール、−NHSOアリール、ヘテロアリール及びアリールから独立して選択され、それぞれハロ又はアルコキシで独立して置換されていてもよい);置換されていてもよいフェニル(その置換基はハロから独立して選択される);置換されていてもよい5員若しくは6員のヘテロアリール(その置換基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールオキシ及びアルキル又はハロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリールから独立して選択される);又は置換されていてもよいアルケニル(その置換基はヘテロアリールから独立して選択される)であり、
b.RはHであり、
c.Rは、シクロアルキル、ヘテロアラルキル、アルキル又はアラルキルであり、
d.Rはヘテロアリールである、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
が、−CH、−C(=O)R、−C(=O)N(R)R又は−SOであり、ここで、
a.Rは、置換されていてもよいメチル、エチル若しくはプロピル(その置換基は、−COOH、−SCHCONH−3,4−ジメトキシフェニル、−NHSO−4−フルオロフェニル、ピリジルオキシ、ベンズイソオキサゾリル、ピリジル、フリル、4−フルオロフェニル又は4−メトキシフェニルから独立して選択される);置換されていてもよいフェニル(その置換基は、メトキシ、F及びClから独立して選択される);置換されていてもよいチアゾリル、ピリジル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル若しくはピラゾリル(その置換基は、ピリジルオキシ、シクロプロピル、Me、CF、フェニル、チエニル、ピリジル、F、Cl、Br、5−CF−3−メチル−1−ピラゾリルから独立して選択される);又は2−フリルエテン−1−イルであり、
b.RはHであり、
c.Rは、2−フェネト−1−イル、ベンジル、シクロヘキシル、2−フリルメチル、メチル、又は4−メチルベンジルであり、
d.Rはピリジルである、請求項1から20までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
が、フェニル、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソオキサゾリル(これらはすべて置換されていてもよい)から選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
が−CORであり、縮合環Aが置換されていてもよいフェニル環又は置換されていてもよいピリジル環であり、Dが−CRIIIIV−であり、Rが、フェニル、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル及びベンゾイソオキサゾリル(これらはすべて置換されていてもよい)から選択され、RIII及びRIVは両方ともH又はCHであり、或いはRIII及びRIVは、それらが結合している原子と一緒になって、3、4、5又は6員のシクロアルキル環又は対称性6員の複素環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
XがOである、請求項1から30までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
が置換されていてもよいフェニルであり、XがOであり、Aが、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよいフェニル環又は置換されていてもよいピリジル環を形成し、B−Cが−CHCH−であり、Dが−CH−であり、Rが−C(O)で置換されていてもよいアリール又は−C(O)で置換されていてもよいヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
環Aが非置換のフェニル環である、請求項1から32までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
環Aが非置換のピリジル環である、請求項1から32までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
式Ia
【化2】


(式中、
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは、1〜3個の原子長の二価の連結基を表す)
の化合物又はその塩及び少なくとも1種の医薬として許容可能な補助剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項36】
Virazole、RespiGam及びSynagisから選択される1種又は複数の抗ウイルス活性剤をさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
RSV感染症の処置のための薬物の製造における、式Ia
【化3】


(式中、
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(=Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは、1〜3個の原子長の二価の連結基を表す)
の化合物又はその塩の使用。
【請求項38】
薬物が、Virazole、RespiGam及びSynagisから選択される1種又は複数の抗ウイルス活性剤をさらに含む、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
ヒトのRSVの処置のための、請求項37又は38に記載の使用。
【請求項40】
それを必要とする対象においてRSV感染症を処置する方法であって、式Ia
【化4】


(式中、
は、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、nは0〜6であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
は、H、O、−CH、−C(=Y)R、−C(Y)OR、−C(=Y)N(R)R、−C(=Y)CHN(R)R、−C(=Y)CHSR及び−S(O)から選択され、ここで、Rは、水素、C1〜12アルキル、C2〜12アルケニル、C2〜12アルキニル、−(CH3〜7シクロアルキル、−(CH4〜7シクロアルケニル、−(CHアリール、−(CHアリールC1〜12アルキル、−(CHアリールC2〜12アルケニル、−(CHアリールC2〜12アルキニル及び−(CHヘテロシクリルから選択され、Rが−CH又は−C(=Y)Rである場合、Rはまた−S−R及び−O−Rから選択されてもよく、mは0〜6であり、Rは水素又はC1〜6アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、ベンジル、アリール又はヘテロシクリルであり、wは、0、1又は2であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基及びヘテロシクリル基は置換されていてもよく、
X及びYは、O、S及びNRから独立して選択され、ここで、Rは、水素、低級アルキル、ヒドロキシ及び低級アルコキシから独立して選択され、
Aは、それが結合している原子と一緒になって、置換されていてもよい芳香環を形成し、
B−Cは、それらが結合している原子と一緒になって、5〜8個の環原子を有する置換されていてもよい複素環を形成し、
Dは、1〜3個の原子長の二価の連結基を表す)
の化合物又は医薬としてのその塩を前記対象に投与するステップを含む、上記方法。
【請求項41】
式Iaの化合物又は医薬としてのその塩が、Virazole、RespiGam及びSynagisから選択される1種又は複数の抗ウイルス活性剤と組み合わせて前記対象に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
RSV感染症がヒトのRSV感染症であり、対象がヒトである、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
RSV感染症を処置するために使用される、請求項37の定義の通りの式Iaの化合物。
【請求項44】
以下からなる群から選択される化合物又はその塩。
【化5−1】


【化5−2】


【化5−3】


【化5−4】


【化5−5】


【化5−6】


【化5−7】


【化5−8】


【化5−9】


【化5−10】


【公表番号】特表2010−504915(P2010−504915A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529469(P2009−529469)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001429
【国際公開番号】WO2008/037011
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(501488000)バイオウタ サイエンティフィック マネジメント プロプライエタリー リミテッド (8)
【Fターム(参考)】