説明

呼吸器疾患を診断し、悪化の程度を判定する方法及び装置

【課題】 プレチスモグラフィを利用する呼吸事象等をモニタリングする装置及び方法の提供。
【解決手段】 患者の呼吸をモニタリングするシステムであって、前記患者の中央源部位へ固定可能に構成され、プレチスモグラフィ信号ストリームを生成する少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブと、前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブに接続されたコンピュータと、を備え、前記コンピュータは、少なくとも1つの処理モジュールと、前記コンピュータに前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させて動脈成分信号と静脈インピーダンス成分信号の一方又は両方を得る第1のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、前記コンピュータに前記動脈成分信号等を解析させて吸気事象、呼気事象等を判定する第2のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、を備えるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年4月25日に出願された米国特許出願第11/122,278号の一部継続出願であり、合衆国法律集第35巻第120条により当該出願に対して優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの呼吸器疾患は、増悪期が散在する寛解期によって特徴づけられる。このグループの疾患は、様々な薬物治療や補助セラピーで治療することができる、病状プロセスに対して可逆的な要素を有することが知られている。これらの疾患は、鼻咽頭の一部又は全部の封鎖を一時的にもたらすことがある季節性アレルギー等で生じる上気道の閉塞から、睡眠サイクルのフェーズに後部咽頭の一時的で一部又は全部の閉塞を招来するある種の睡眠時無呼吸や、気管及び気管支(気管軟化症、気管のポリープ及び疣贅、並びに気管支炎)の障害、特に、炎症や可逆的な気管支収縮によって特徴付けられる喘息、嚢胞性線維症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease )のような、下気道の障害にまで及ぶ。増悪は、穏やかなものから生命を脅かすようなものまで多様に富み、また、多くの場合において、患者にとって、子どもの場合であれば親にとって、再発の苛烈さを測定することは難しい。
【0003】
典型的には、増悪の程度を測定するために、医師による検診や、スパイロメトリ、パルス・オキシメトリ及び動脈血液ガス分析のような付随的な試験が、単独で用いられるか又は併用される。周期的に又は睡眠中に生じる疾患については、その疾患の病因及び重症度を診断するために正式且つ広汎な試験を行うために、病院に患者を入れることが必要である。これらの疾患を有する患者は、いつ訪問するのが適切かを彼等自身で判断するのが困難であるので診断や治療のために救急科や医師のオフィスに通い、ために、彼らは、しばしば不必要に、かなりの量のヘルスケア資源を消費している。
【0004】
睡眠時無呼吸とは睡眠時における呼吸の一時的な欠如又は停止であり、これによって、酸素が身体に入るのを止めて低酸素血症(血液における酸素の欠如)に至らせ、往々にして二酸化炭素(CO)を血液に蓄積させる(高炭酸ガス血症)。一般に、睡眠時無呼吸により酸素伝達の欠如が存在すると、酸素飽和度(SpO)、すなわち血中酸素濃度は異常に低いレベルまで減少し、COは異常に高いレベルまで時には増加する。
【0005】
睡眠時無呼吸のときの睡眠の断片化により、過度の昼間の眠気(EDS:excessive daytime sleepiness)や睡眠時低酸素血症が引き起こされる。酸素飽和度の慢性的低下及びCOの増加は、高血圧、不整脈、又は他の重大な心臓血管の異常性を引き起こす場合がある。ときには、酸素飽和度の低下及びCOの上昇の一方又は両方は、人が眠っている間に心臓発作を引き起こすことにより、又は人が起きている間のその蓋然性を増加させることにより、致命的な結果を有することさえある。米国の成人人口の約20パーセントが鼾に悩み、鼾をかく人たちの約50パーセントが睡眠時無呼吸に悩むと報告されている。
【0006】
睡眠時無呼吸の子どもたちは、注意力の低下、迷走性の挙動、EDS、不規則な睡眠、胸郭陥没、及び肋骨のゆらぎ等の独特の症状を呈する。そのような子どもたちは、学校での成績が芳しくなく、最も酷い場合には、心的又は精神的障害を煩うことがある。幼児又は乳児については、睡眠時無呼吸が睡眠中に急死を引き起こすことがある。
【0007】
睡眠時無呼吸は、閉塞型、中枢型、及び混合型の3つの主要類型に典型的には分類される。閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠時無呼吸の最も一般的な形態であり、吸息の際の上気道閉鎖の繰返しによって特徴づけられる。中枢型睡眠時無呼吸は、睡眠中に脳が横隔膜と肺に十分な信号を送ることができず、ために呼吸の減少を招来する場合に生じる。混合型睡眠時無呼吸は、閉塞性の睡眠時無呼吸と中枢型睡眠時無呼吸とが組み合わさったものである。睡眠時無呼吸の類型に拘らず、それはSpOの減少及び大抵の場合にCOの保持を招来する。興味深いことに、子どもは、減少したSpOの古典的所見なくしてCOの保持のみを呈する場合がある。したがって、睡眠時無呼吸を診断するための主要ツールのうちの1つは、すなわちSpOを測定するためのパルス・オキシメトリは、子どもにおいては睡眠時無呼吸を診断する上で価値が殆どないのかもしれない。
【0008】
呼吸障害は、10秒以上続く呼吸の停止が1時間に少なくとも5回又は7時間の間に少なくとも30回生じる場合、睡眠時無呼吸として臨床的には分類される。鼾は、上気道の軟口蓋が振動するときに出される音であり、したがって、多くの場合睡眠時無呼吸の直接のインジケータである。
【0009】
睡眠ポリグラフ(PSG:Polysomnography)は、睡眠のアーキテクチャ及び作用並びに睡眠時の挙動事象が客観的に測定・記録される試験である。米国特許公開公報第2002/0165462号を参照。より具体的には、脳波、目の運動、顎筋電図、脚筋電図、心電図、鼾、血圧、呼吸、及び動脈血酸素飽和度等の多くの生理的変量が広範囲に測定される。同時に、睡眠中の行動上の異常がビデオテープレコーダで記録される。訓練を受けた技師や睡眠の専門家が、不整脈が生じているか、血圧が増加しているか、睡眠中に他の問題が生じているか、及び記録が通常の睡眠パターンとどの点で異なるかといった、鼾の重症度に関する包括的な結果を得るために記録を読む。
【0010】
完全な睡眠ポリグラフは、しかし、かなり集中的な労働であり、相当の機器装備を要するため実行するのが高価である。その結果、多くの睡眠に携わる研究室はこの試験のために為さねばならないことを追行し続けることが困難であることを知り、長い順番待ちリストが日常的になった。さらに、多くの患者は、モニタリングされる不慣れの環境において十分に眠ることが困難であると感じる。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:obstructive sleep apnea)がかなり普及し、重度の合併症へ導き、また治療オプションが存在するのであれば、その疾患に悩む人を同定することが重要である。
【0011】
従来の完全な夜間PSGは、以下の信号の記録を含む:脳波図(EEG:electroencephalogram)、頤下筋電図(EMG:electromyogram)、電気眼球図(EOG:electrooculogram)、呼吸器系のエアフロー(口鼻のフロー・モニター)、呼吸努力(呼吸器系のプレチスモグラフィ)、酸素飽和度(オキシメトリ)、心電図(ECG:electrocardiography)、鼾音、及び体位。これらの信号は、呼吸器系の事象が同定され且つSAが確実に診断されうるパラメータのかなり完璧なコレクションをそれらが提示するという点で、睡眠障害の診断のための「黄金標準」と考えられている。RRインターバルは、ECGに由来し、心拍数及び不整脈の認識を提供する。体位は、通常次のように分類される:右側、左側、背臥、腹臥、又は上向き(あるいは、直立座位)。典型的には、マイクロホンと体位センサが咽頭上にテープで留められる。各信号は、呼吸事象の目視観測及び認識を支援するために一定の情報を提供する。
【0012】
上気道の虚脱はPSG研究において、従来、呼吸エアフローの大きさが少なくとも50%減少し、鼾音が次第に強くなり又は停止して、酸素脱飽和が生じる場合と定義される。閉塞事象は、覚醒(すなわち、人は呼吸するために起きる。)の認識によって確認され(すなわち、アーティファクトでなく脱飽和)、EEGの周波数の増加、心拍数の増加、又は鼾パターンの変化によって典型的には同定される。残りの信号は、閉塞事象の特殊型式を判定するのを支援する。たとえば、EEGとEOGの信号は非急速眼球運動(NREM:non−rapid eye movement)又は急速眼球運動(REM:rapid eye movement )睡眠において閉塞事象が生じたかどうかを判断するために用いられる。ポジション・センサは、気道虚脱が1つのポジション(典型的に背臥)においてのみ又は多く生じるかを判断するために用いられる。
【0013】
気道開口部でのエアフローの低減又は欠如は、睡眠呼吸障害を規定する。成人における10秒間のエアフローの欠落は無呼吸と定義され、一定量以下に減少したエアフローは減少呼吸と定義される。理想的には、実フローの測定はある種のニューモタコメータでなされるが、臨床ではこれは非実際的で、快適で使いやすいデバイスによって代用される。最も広く用いられているのは鼻と口の前に据えられるサーミスタであり、これは熱感知レジスタの(呼気による)加熱と(吸気による)冷却を検出する。サーミスタはエアフローにおける変化の記録を提供するが、典型的に用いられるところのものは量的機器でない。現在入手可能なサーミスタは敏感であるが、フローを頻繁に過大評価する。また、それらは皮膚に触れたとき、フローセンサであることを放棄する。いくつかの研究室においては、吐き出されたCO分圧の測定が呼息を検出するために用いられるが、それはフローの定量的計測でない。
【0014】
要すれば、発明者らは、睡眠時無呼吸及び他の呼吸器疾患を診断するための従来の装置及び方法が、実際に用いることが困難であること、3つのタイプすべての睡眠時無呼吸を検出するものでないこと、正確で信頼性がある結果を提供することができないこと、また、モニタリングされている対象において不快をもたらすことを含め、いくつかの欠点を有することを認識するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、発明者らは、患者ら及び彼らの医療サービス提供者が、必要な場合には、適切な治療を迅速に開始することができるように、呼吸器疾患によって引き起こされたエアーの閉塞を迅速且つ正確に診断し、且つ、増悪を定量することを可能にする装置及び方法に対する多大なニーズが当該技術分野に存することを見出した。さらに、発明者らは、増悪がいつ起こるのか、また、即時の医療的注意を必要とするのかを判定するために、患者が家や職場において用いることが可能な小型の携帯機器に対する具体的なニーズがあることを認識するに至った。
【0016】
睡眠時無呼吸は、即時利用可能の装置及び方法を用いることができる疾患の1つを代表する。一実施形態において、検査を必要とする患者数が睡眠検査に割り当てられた病院のベッド数よりも遥かに多い場合、それは対象を家庭で検査することを可能にするであろう。家庭検査で睡眠時無呼吸の特性を有していると示された対象にはその後正式検査の予定を組むことができるが、より重要なのは、特有の所見を有しない対象を除外し、これにより病院において行なわれる無用な検査の数を減らすことができるという点である。さらに、当該装置及び方法は、子どものような、従来のイクイップメントで診断するのが難しい類型の睡眠時無呼吸を有し、モニタリング装置の多くを往々にして受け容れない患者を診断する病院検査の際に用いることができる。睡眠時無呼吸は当該即時利用可能の装置及び方法をどのようにすれば適用することができるのかを示す一例として用いられるが、当該即時利用可能の装置及び方法は様々な呼吸器疾患に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一側面によれば、主題発明は、患者のエアー閉塞事象を診断する方法に属し、前記方法は、前記患者の中央源部位に、該中央源部位での血流を示す信号のストリームを生成するように構成されたパルスオキシメータ・プローブを固定し、別々の拍動性の動脈の成分信号及び静脈のインピーダンス成分信号を得るために、前記プローブから受け取られた前記信号ストリームを処理し、エアー閉塞事象の発生及び程度を判定するために、前記拍動性の動脈の成分信号、静脈のインピーダンス成分信号、又はこれらの両方を評価することを備える。該方法は、呼吸数や、呼吸器系の関連する睡眠障害を診断するための睡眠検査のコンテキストにおける気道閉塞の程度だけでなく、減少したエアフローによって特徴づけられる多くの他の呼吸器系の状態、更には、増加した吸気の、呼気の又はこれらの両方の呼吸しようとする呼吸努力を、快適且つ非侵襲的にモニタリングすることを可能にする。
【0018】
別の側面によれば、主題発明は、患者の、呼吸及び気道閉塞の程度の両方又は一方をモニタリングする方法に属する。この方法は、患者の口や鼻に、あるいはこれらの近くに配置される、不快で潜在的に信頼性の低いガス流量センサに対する必要性に取って代わる。
【0019】
主題発明の別の側面は、患者の呼吸をモニタリングする方法に属し、該方法は、該患者の中央源部位に、該中央源部位からのプレチスモグラフィ信号ストリームを生成するように構成されたパルスオキシメータ・プローブを固定し、別々の動脈の成分信号及び静脈のインピーダンス成分信号を得るために、前記プローブから受け取られた該信号ストリームを処理し、呼吸数、吸気事象、呼気事象、エアー制限若しくはエアー閉塞、又はこれらの組合せを判定するために、該動脈の成分信号、静脈のインピーダンス成分信号、又はこれらの両方を評価することを備える。
【0020】
主題発明の別の側面は、患者の呼吸及び気道閉塞の両方又は一方をモニタリングするシステムに属する。該システムは、患者の中央源部位へ固定可能で、前記中央源部位での血流を示す信号を生成可能に構成された1又は2以上のパルスオキシメータ・プローブを備える。該システムは、また、1又は2以上のパルスオキシメータ・プローブに通信可能に接続されたコンピュータを備える。該コンピュータは、処理モジュールと、拍動性の動脈の成分信号から分離された静脈のインピーダンス成分信号を得るために、該コンピュータに該1又は2以上のパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させる第1のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、吸気事象、呼気事象、若しくはエアー閉塞事象、又はこれらの組合せを判定するために、該コンピュータに該静脈のインピーダンス成分信号を分析させる第2のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、を備える。
【0021】
更に別の側面において、主題発明は、呼吸器系の状態を診断する方法に属し、該方法は、1又は2以上の所定の抵抗で呼吸中に生成された患者からのプレチスモグラフィ信号情報の第1のデータセットを集め、前記患者がエアー制限又はエアー閉塞を経験した疑いがある期間に、該患者からプレチスモグラフィ信号情報の第2のデータセットを集め、該第2のデータセットを前記第1のデータセットと比較し、該比較に基づいて呼吸器系の状態を診断することを備える。
【0022】
主題発明の別の側面は、患者のフォトプレチスモグラフの拍動性の動脈成分及び静脈インピーダンス成分における変化の大きさを、患者の呼吸器系の状態が通常又はほぼ通常の時に、患者の呼吸を一連の類別された抵抗器に通すことにより判定し、増悪時の気道閉塞の程度及び重大性を判定するためにこの情報を保管して利用する方法である。
【0023】
本発明のこれらの及び他の有利な側面は、更に詳細にここに記載されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
一実施形態によれば、主題発明は、フォトプレチスモグラフィの使用を通じて患者が睡眠中に気道閉塞を経験しそうかを診断する方法に関する。発明者らの知る限りでは、他の呼吸器疾患の悪化があるときに、誰もフォトプレチスモグラフィをそのような目的又は気道閉塞の診断に用いようと考えるに至っていない。伝統的に、プレチスモグラフィ信号ストリームは、指のような末梢の部位、又は他の四肢から典型的には得られ、それは通常は弱められているので、したがって処理して解釈することが困難である。発明者らは、中央部位からフォトプレチスモグラフを得ることが、末梢部位からのプレチスモグラフにおいて見られるバックグラウンド・ノイズ及び貧弱な信号対雑音比の多くを除去することを見出した。そして、呼吸速度、拍動性の動脈血フロー、気道閉塞の程度及び静脈インピーダンス等の情報が推定可能であると認識させるに遂に至らしめたのは、この「あまりノイズがない」信号の獲得である。
【0025】
典型的には、フォトプレチスモグラフィは、1つのパルスオキシメータ・プローブを用いて実行される。パルスオキシメータ・プローブから得られたローな信号のストリームは、パルスオキシメータ・プローブの光検出器に当たるLEDからの光の量と関連する。光検出器からの信号の大きさは、LEDと、光検出器の間の光の吸収の量に反比例する(吸収量が多いほど光検出器を励起する光が少なくなる)。吸収された光は、組織による吸収、静脈血による吸収、動脈血による吸収、及び各心拍での動脈血の脈動による吸収を含め、複数の要因による。典型的には、光検出器からのロー信号は動脈血酸素飽和度値を得るために処理され(例えばアーティファクトの除去や信号の自動ゲイン)、プレチスモグラフは大部分が無視される。パルス・オキシメトリに係る種々の側面を記載する上で用いられる用語には、かなりの混乱及びオーバーラップが存在する。一方において、AC成分及びDC成分との用語は、フォトプレチスモグラフに影響を与える解剖学的構造(AC成分−動脈、細動脈及び恐らくは毛細管における拍動性の血流)及び信号を減少させる原因たる成分(DC成分−静脈血、組織、骨など)を記載するために用いられる。これらの用語は、プレチスモグラフのより遅い(DC)成分と対比されたときのプレチスモグラフィ(AC成分)において見られるような、動脈及び細動脈における位相性の速い拍動流を記載するためにも用いられる。
【0026】
これらのAC成分及びDC成分との用語は、当該技術分野において異なる意味を有しうるので、AC成分は「拍動性の動脈の」成分(PAC:pulsatile arterial component)ともここでは呼び、DC成分は「静脈インピーダンス」成分(VIC:venous impedance component)ともここでは呼ぶ。したがって、我々は、モニタリングされている血管床の中にある拍動性の血流を表す処理されたプレチスモグラフの信号の成分を記載するために、AC成分という用語を用いる。DC成分とは、ここで用いられるところでは、モニタリングされている血管床における血液の静脈インピーダンスを表し、胸腔内圧と静脈血量における変差によって影響を受ける、位相性の遅い周波数信号である。拍動性の動脈の信号はプレチスモグラフと典型的には呼ばれ、VICは、後で記載するように信号の中に存在し分離することができるにも拘らず見落とされてきた。「DC成分」という用語と「DCオフセット」という用語は、更に区別されなければならない。DC成分という用語の一般的用法は、上に記載した。「DCオフセット」という用語は、もし光がフォトダイオードを励起しなければ存在するベースラインからプレチスモグラフの信号がシフトされた量を意味する。プレチスモグラフの信号は、DCオフセットの大きさに比べると小さく、また、DCオフセット信号に「乗っている」。DCオフセットは、LEDの強度及び組織に吸収された光の量に応じて変化する。したがって、組織を通る光路が一定であれば、DCオフセットは、LEDのパワーが増加するのに従って増加し、LEDのパワーが減少するのに従って減少する。あるいは、DCオフセットは、組織を通る光の経路が減少するのに従って増加し、組織を通る光の経路が増加するのに従って減少する。製造業者は、通常、DCオフセットがフォトプレチスモグラフを識別するのに十分であるがフォトダイオードを過剰飽和するところよりも少ない信号となる範囲においてLEDパワーを維持するために、パルスオキシメータに回路を組み込む。
【0027】
主題発明の一信号処理方法に係る実施形態によれば、プレチスモグラフにおける個々の心拍の効果は、別の情報から分離される。これは、基本的に十分な動脈成分を得ることを主眼として静脈インピーダンス成分を切り捨てている従来の処理とは、根本的に異なる目的である。標準的手法は、ローパスフィルタによって静脈インピーダンス成分を除去することを含むDC除去技術を具現することである。この技術は、しかしながら、2つの情報源からデータのすべてを十分に分離するとは限らない。主題の処理方法は、より高いフィディリティ信号を得る。これは、たとえば患者の呼吸器系の事象のように、判定するために変量を的確に測定することによって対処する場合に重要である。
【0028】
具体的な実施形態において、プレチスモグラフィ信号のハイファイ拍動性の動脈の成分及び(当該技術分野における先人によって以前は無視されていた)静脈インピーダンス成分は、
1)信号の山と谷を離散的に選択し(改善されたノイズ/アーティファクトの排斥は、フーリエないし自己相関分析によって又は過去の好ましいデータから見積もられた期待心拍数で存在する山と谷を探すことにより達成することができる)
2)山と谷の間の中間点(又は最小値)を見つけ、
3)これらの中間点(又は最小値)を繋ぐ、補間された(恐らくは滑らかであるか又はスプライン状となっている)線として静脈インピーダンス成分を抽出し、
4)静脈インピーダンス成分から引かれたロー信号として拍動性の動脈の成分を抽出することを備える独特の信号処理により達成される。
【0029】
この処理は、中央源部位から得られた信号から好ましくは実現されるが、信号のフィディリティが十分に高く信頼性がある限り、他の部位から得られた信号にそれを適用してもよい。この技術は、遅延が無い非線形フィルタを達成し、2つの対象たる信号を最適に分離する。ここでの教示を考慮して、当業者は、それらの目的を達成するための類似技術もまた適用可能であり、脈ごとで、遅延の無いということを基礎にして2つの対象たる信号を最適に分離するという教示の目指すところから(標準の線形のフィルタリング、DC除去技術、及び平均化技術と異なり)、プレチスモグラフィ信号の従来処理から区別されるものであることを認識するであろう。
【0030】
ACとDCの成分は、ここに記載されるように、脈動によって引き起こされた脈ごとの変化と関連する経時変化する信号であると意図され、ために、経時的に記録されたときに、動脈における血液の流れ(他の者によって記述されるAC成分と異なるAC成分)、及び静脈の血管のインピーダンス及び胸腔内圧の変化と関係する信号の他の生理学的及び物理特性と関連する低周波成分、非拍動性の動脈血、拍動性・非拍動性で静脈性の血液及び組織及び骨を含むといわれているDC成分についての「古典的な」記述と異なる静脈性の(DC)成分。AC成分の振幅及び濃度曲線下面積(AUC:area under the curve)は、検出器を流れ過ぎて行く動脈血の量に関する情報を含む。正しくこの情報を解釈するためには、ACとDCの成分は、標準モニターにおいて先に文献に記載されたアルゴリズムでなされるところよりも厳格に分離されなければならない。特に、拍動性の動脈の成分は、心臓の脈ごとの変化に関連する情報のみを含むべきである。DC成分は、(呼吸器系の効果、血液貯留、静脈インピーダンスなどの)生理からの低い周波数の効果及び物理センサー変化(例えばプローブなどの位置変化)を含むべきである。
【0031】
そこで、発明者らは、プレチスモグラフ信号の少なくとも次の3つの別個の成分を発見し初めて特徴づけた:(a)血液脈動信号、(b)経時変化するDC信号又は静脈インピーダンス信号、(c)プローブ部位での組織(筋群、骨など)の作用であり、静脈インピーダンス信号が乗るベースラインDC成分である古典的DC成分信号。
【0032】
ここでの教示に従う有用なパルスオキシメータ・プローブには同時係属中の米国出願第10/176,310号、第10/751,308号、第10/749,471号及び第60/600,548号に記載されている物が含まれるが、これらに限定されるものではなく、また、それらの開示はすべて全体としてここに盛り込まれる。
【0033】
上で述べたように、フォトプレチスモグラフのVICは静脈インピーダンスのインジケータであり、他方PACは局所血流量の指標である。強制的な気道手技中は、胸腔内圧は劇的に変化する。頭に至る静脈に解剖学的な弁が存在しないので、圧力変化は頭内の静脈に直接に伝えられる。胸腔内圧の変化は、脈拍ごとの拍動性の動脈血フロー(PAC)、及び呼吸ごとにモニタリングされている血管床の静脈血の量の両方に、直接の効果を有する。これらの効果は、安静呼吸中にさえ存在するが、バルサルバ法やミュラー法のような「気道手技」でより明確に観察することができ、また、気道抵抗を増加し及び/又は肺コンプライアンスを減少させる呼吸器系の状態の悪化中に存在する。動脈血圧力又は直接の動脈血モニタリングによって測定されたときに、明白な変更はしばしば「奇脈」と称される。気道抵抗(増加)および肺コンプライアンス(減少)に影響を与える状態はすべて呼吸筋の動作(各呼吸のために呼吸する動作、すなわち1分で行なわれる動作量のために呼吸するパワー)を増加させる。呼吸する動作ないし力が増加するにつれて、胸腔内圧により大きな振動が生じ、これは次に、拍動性動脈血フロー及び静脈インピーダンスにおける位相性の変差へとなる。呼吸数は「中央源部位」でモニタリングするときに容易に判定することができ、AC及びDC成分の両方における変化の程度は、気道閉塞と肺コンプライアンスの一方又は両方の程度に比例する。所与のレベルの抵抗とコンプライアンスでは、両方の成分の振幅及びAUCにおける変差はまた、ボリューム状態の指標となることができる。したがって、呼吸器系・心肺のメカニクスについてのありあまるほどの情報を、処理されたプレチスモグラフから、それが「中央源部位」から得られる場合は特に、確認することができる。
【0034】
PACとVICを評価するアルゴリズムには、PAC情報の中の高周波情報(心拍数以上、典型的には0.75Hz超)と、VICの中の低周波情報(例えば、呼吸数や血流変化、典型的には0.05Hzから0.75Hzまで)と、DCオフセットにおける超長波情報(例えば、パルスオキシメータ経路長変化(配置)、典型的には0.05Hz未満)と、を分離することが含まれるが、これに限定されるものでない。フォトプレチスモグラフ(PPG)から情報を最適に抽出するためには、これらの波形を遅延無く又は著しい平均化無く分離することが必要となる。PPGには典型的には各呼吸(2番目に大きな信号)につきわずか2−3の心拍(信号の主要な特徴)しかない。著しい平均化又は遅延が存在する場合、2次信号(VIC)は、1次信号(PAC)から確実に分離することができない。これらの信号を抽出するために利用することができる他の方法が存在する。ウェーブレットは、より標準的なフーリエ・スペクトル解析法よりも、低周波でのより高い解像度を可能にする。適応フィルタリングを、呼吸数と心拍数の間の臨界周波数を最適に調節するために用いてもよい。粗い情報が必要となるもののすべてである場合、信号を分離するために、線形フィルタリング、周波数領域フィルタリング、ゼロ交差や移動平均のようなタイム・ドメイン解析、非線形のフィルタリング、カルマン・フィルタリングやARMAモデリングのようなモデリング、及び当業者に既知の他の方法を含め、多くの標準的方法を用いることができる。
【0035】
PACとVICの変化の定量化は、心拍から心拍までのあるいは呼吸から呼吸までの、山又は谷のカウント、山−山のタイミング、山−谷の高さ、濃度曲線下面積、カーブの形状、カーブの周波数特性、カーブのエントロピー、山、谷若しくは中間点の位置の変化を含むことができる。これらのパラメータのうちのいくつかは、LED信号パワー、DCオフセット、又はプローブの配置による生理によって標準化される必要があるかもしれない。
【0036】
ここで用いられる「中央源部位」という用語は、患者の頸部の又はそこより上の部位を意味する。特に好適な中央源部位には、患者の鼻中隔、鼻翼、前耳介部位、後耳介部位、舌、額、唇、頬、若しくは外耳道、又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものでない。
【0037】
呼吸の文脈において用いられる「閉塞」という用語は、エアフローの封鎖状態を意味する。その封鎖状態は、部分的であっても完全なものであってもよい。呼吸の文脈において用いられる「制限」という用語は、閉塞と関連し、いくつかの場合において閉塞と交換可能で、エアフローの制限を意味する。たとえば、エアフローの部分的閉塞は制限と交換可能であり、完全な制限は完全な閉塞と交換可能である。特段の言及がある場合は格別、制限とは部分閉塞を意味し(すなわち、ある程度のエアーを通過させる。)、閉塞とはエアフローの完全な封鎖状態を意味する。
【0038】
「処理モジュール」との用語は、単一の処理装置又は複数の処理装置を含んでいてもよい。そのような処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロ・コントローラ、信号処理プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラム可能論理回路、ステートマシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、及び操作指令に基づいた信号(アナログでもデジタルでもよい)を扱う任意の装置の1又は組み合わせられたものであるかもしれない。処理モジュールは、そこに操作可能に連結されたか、又はそれと一体化された、メモリ装置を有していてもよい。メモリ装置は、単一のメモリ装置であっても複数のメモリ装置であってもよい。そのようなメモリ装置は、読み取り専用メモリ、ランダム・アクセス記憶装置、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、及びデジタル情報を格納する任意の装置の何れか1つ又は任意の組合せであってもよい。コンピュータとは、ここで用いられるように、少なくとも1つの処理モジュールを備える装置である。
【0039】
当業者によって理解されるように、本発明の実施形態は、装置、方法若しくは処理モジュールを備えるシステム、及び/又は少なくとも1つのプログラム・コード・モジュールを備えるコンピュータ・プログラム製品として具体化することができる。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態の又はソフトウェアとハードウェアの側面を組み合わせた実施形態のフォームを採用することができる。さらに、本発明は、メディアに具体化されたコンピュータ使用可能なプログラム・コード手段を有するコンピュータ使用可能な記憶メディア上に、コンピュータ・プログラム・プロダクトを含んでいてもよい。ハードディスク、CD−ROM、DVD、光記憶装置、又は磁気記憶装置を含め、任意の適当なコンピュータ可読メディアを利用してよい。
【0040】
コンピュータ使用可能の又はコンピュータ可読のメディアは、たとえば、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線利用の、又は半導体のシステム、機器、装置又は普及メディアであっても、あるいはこれらを含むものであってもよいが、これらに限定されるものでない。コンピュータ可読メディアのより具体的な例(非徹底的なリストである。)は、以下を含むであろう:1本又は2本以上のワイヤーを有する電気的接続路、ポータブル・コンピューター・ディスク、ランダム・アクセス記憶装置(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能PROM(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、携帯型コンパクト・ディスクを使った読み出し専用メモリ(CD−ROM)、CD ROM、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)、又は他の電子記憶媒体。コンピュータ使用可能の又はコンピュータ可読のメディアは、紙又はプログラムが印刷される他の適当なメディアである場合がある点に留意されたい。というのも、プログラムは、例えば紙又は他のメディアの光学走査を経て、電子的に捕らえ、その後、コンパイルし、解釈し、あるいは必要ならば適当な方法で処理し、その後、コンピュータ・メモリに格納することができるからである。
【0041】
本発明の一定の実施形態のオペレーションを実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java(登録商標)、Smalltalk、Perl、Python、Ruby、Lisp、PHP、“C”、FORTRAN、又はC++を含め(これらに限られない。)、オブジェクト指向のプログラミング言語及び従来の手続き的なプログラミング言語の一方又は両方により書き込むことができる。プログラム・コードは、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的に遠隔コンピュータ上で、又は全体的に遠隔コンピュータ上で実行してもよい。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を通じてユーザのコンピュータに接続してもよく、外部コンピュータに対して接続してもよい(たとえば、インターネットサービスプロバイダーを利用するインタネットを通じて)。
【0042】
本発明の一定の実施形態を、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータ・プログラム製品に係るフローチャート図とブロック図の一方又は両方を参照しつつ、ここに記載する。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図の中のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム・コード・モジュールによって実現可能であることが理解されよう。これらのプログラム・コード・モジュールは、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理機械の処理モジュールを通して実行するプログラム・コード・モジュールがフローチャート及び/又はブロック図の各ブロック又は複数のブロックにおいて規定された作用を実現する手段を生成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋込みプロセッサ又はマシンを生成する他のプログラム可能データ処理機械の処理モジュールに提供することができる。
【0043】
これらのコンピュータ・プログラム・コード・モジュールは、コンピュータ可読メモリに格納されたプログラム・コード・モジュールが1個の生産を生成するように、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理機械に対して特定の方法で作用するように指示することができるコンピュータ可読メモリに格納することもできる。
【0044】
コンピュータ・プログラム・コード・モジュールは、コンピュータ又は他のプログラム可能機器上で実行される一連の操作ステップがコンピュータに実装されたプロセスを生成させるために、コンピュータ又は他のプログラム可能機器上で実行する指令がフローチャート及び/又はブロック図の各ブロック又は複数のブロックにおいて規定された作用を実現するステップを提供するように、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理機械にロードされていてもよい。
【0045】
気道手技の際には又は肺疾患の程度が酷いと、胸腔内圧は呼息の時に周囲圧力よりも高く増加する(例えば、喘息、COPD、バルサルバ、抵抗器による呼息)。同様に、気道手技又は肺疾患は、吸息の時に胸内に圧力を加えることにおいて通常の減少より大きくすることができる(例えば、ミュラー法、喘息、COPD、閉塞性睡眠時無呼吸、抵抗器による吸息)。喘息患者の例を用いると、喘息性の自発エピソード呼吸間で、気道抵抗は標準であるか又は標準の近傍であり、したがって、PACにおける相の変化は殆ど無く、VICにおける僅かな変化のみが存するだけであるに相違ない。加えて、患者が既知のサイズの類別された抵抗器により所定のフロー割合で呼吸すれば、フォトプレチスモグラフのPAC及びVICに相変化があるに相違ない。抵抗を加えることによって、PACとVICにおいて大きな可動域が影響を受ける。PACは漸増的に明白な「のこぎり歯」パターンを展開し、VICはベースラインの上下により大きな揺れを有するので振幅が増加する。患者が健康なときに抵抗器を用いてこれらの変化を測定することにより、これらの変化の程度は各抵抗器と関連づけることができる。そのようにして、患者の呼吸器系プロファイルを作成することができる。患者が徴候的である場合、PACとVICの変化は、抵抗器により呼吸するときにみられたのと等しいだけの細気管支の閉塞/抵抗の程度を反映するに違いない。これは、閉塞の程度と重大性、また、セラピーに対する応答を判定する上で特に有益となりうる。高度の閉塞が診断されるか、又はセラピーに対する応答が鈍い場合、患者は救急科(ED:Emergency Department )に回すべきである。同様な測定は、治療の方針に沿うべくED又は病院において用いることができる。ある患者について抵抗器に対するPAC及びVICの応答のプロファイルが一たび得られたならば、そのプロファイルは、データベースに格納しておき、患者が悪化を有している場合はいつでも用いることができる。類似するプロファイルは、広範囲の呼吸器疾患の患者について得ることができ、また、悪化間で得ることができ、患者が悪化を有していれば、PACとVICにおける変化を、肺活量計のような従来の呼吸器系のモニターを用いて作成された測定と関連づけることができる。
【0046】
一定の方法実施形態において、本発明は、鼻咽頭の一部又は全部の封鎖状態を一時的に招来する場合がある季節性アレルギーで生じるような上気道閉塞、睡眠周期のフェーズ中に後部咽頭の一時的な一部又は全部の閉塞となる一定類型の睡眠時無呼吸、気管及び気管支の障害(気管軟化症、気管のポリープや疣贅、及び気管支炎)、特に、炎症及び可逆的な気管支収縮によって特徴づけられる喘息、嚢胞性線維症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような下位気道障害を含め(これらに限定されない。)、障害によって引き起こされた呼吸器障害をモニタリングして検出することができる。
【0047】
閉塞事象の際には、閉塞のない呼吸と比較すると、各呼息はそこまで陰性でない、ときには、陽性ということもありうる胸腔内圧を引き起こし、各吸息はより陰性の胸腔内圧を引き起こすであろうというのが発明者らの確信である。発明者らは、標準の胸腔内圧可動域よりも大きなこれらが、PACの減少(脈拍当たりでより少ない血流)及びVICにおける増加を引き起こすことを認識した。吸息中のより陰性の胸腔内圧は、VICにおける増加(より多くの静脈還流)及びPACにおける減少を引き起こす。既知の抵抗器を用いて既知の測定周期でこれらの変化を測定することにより、PACとVICの変化の比較は既知の抵抗器の変化で行うことができる。各呼吸は、PACとVICにおける劇的な振動を提供するであろう。したがって、気道閉塞重症度を判定するための一方法の実施形態は以下を含む:下記実施例2で記載するように、標準の安静呼吸と、一連の呼吸(たとえば、5、10、15、20等の呼吸)からの意識的な遅い呼吸とからのデータを記録し、抵抗器を用いて類似する呼吸からのフォトプレチスモグラフィック・データを記録すること。得られたデータは、表の形式に記入することができる。収集されたデータは、適切な外れ値除去装置やノイズ除去で変調することができる。選択的に、このデータを、その妥当性を保証するために、また、可能であればその患者を他の既知の患者からの応答との間で分類し又はクラスタ分けするために、ある患者集団について収集された較正データ表と比較してもよい。較正表から、あるレベルの閉塞(又は見積もられた気道抵抗)を、PACとVICにおける変化を測定中の記録データと比較することにより、動的に判定することができる。当業者は、患者が異なる範囲の抵抗に基づいて幾つかの閉塞の度合いを有していると認められる場合(例えば、抵抗>40の(抵抗であれば、単位はcmHO/L/secである。)=殆ど又は完全な閉塞、抵抗<40だが>20=部分閉塞)、分類というシナリオにおいてそれらの値を用いることができるであろうことを認識するであろう。
【0048】
ある具体的な実施形態においては、携帯型かあるいは運搬可能なモニタリング装置が提供され、患者は一連の抵抗器を用いてその装置を測定する。このプロセスを支援するために、その装置には測定モードやモニタリングモードのような異なる機能モードを含めてもよい。測定モードのときは、その装置は、増加する抵抗レベルにおいて、吸気抵抗と呼気抵抗の一方又は両方に関するPACとVICの成分値を得るために測定される。これらの値は、その装置に格納される。患者があるレベルの閉塞にあると疑われる場合、患者はモニタリングモードでその装置によりモニタリングされる。モニタリングモードの際、PAC値とVIC値の一方又は両方は観察され、較正モードの際に得られたものと比較される。その装置は、情報を提示するために好ましくは読出しスクリーンを有しており、閉塞事象の重症度の程度を提示するように好ましくは構成されている。この装置と方法は、異なる呼吸器系の状態についてのエアー閉塞事象の存在及び/又は重症度をモニタリングするようにされていてもよい。加えて、この方法論は、エアー閉塞事象の類型、すなわち吸気か呼気かという類型に関する情報を提供し、人の呼吸器障害の診断を大いに支援するであろう。
【0049】
実施例1
図1及び図2は、フォトプレチスモグラフィが異なる類型の気道閉塞を検出して差別化する能力を有することを示す。PPGの変化は、胸腔内圧の変化と直接に関連する。胸腔内圧は、患者の肺ダイナミクス(コンプライアンス、抵抗、胸壁コンプライアンスなど)、気道特性(特に抵抗)、及び呼吸特性(例えば、フロー・プロファイルや一回呼吸量)と関連する呼吸努力と関連する。完全な気道閉塞の時には、気道圧力と胸腔内圧は等しくなる。そのため、完全な気道閉塞時には、気道で簡単な圧力センサを用いることで胸腔内圧の良好な見積りを測定することができる。動的に気道圧力を測定する特殊なマウスピース閉塞装置に抗って息を吸い入れ、吐き出すように患者に促すことができる。気道圧力は、胸腔内圧を反映し、PPG変化をより正確に測定するために用いることができる。情報を提供する他のシナリオには、患者が、閉じた声門(若しくは塞がれた1片のチューブ)に逆らって完全な呼息後に最大吸気努力か、及び/又は最大吸息後に閉じた声門若しくは塞がれたチューブに逆らって最大呼出努力かをする場合の閉塞試験が含まれる。これらの手法は、それぞれミュラー法及びバルサルバ法と呼ばれている。
【0050】
図1は、フォトプレチスモグラフに対するミュラー法及びバルサルバ法の実演の効果を示す。ミュラー法は、閉塞性の睡眠時無呼吸(すなわち、吸気閉塞/抵抗)を模擬するものであり、増加した胸腔内陰圧によって誘発された増加静脈還流によるVICの「アップスイング」における増加を再現可能に示す。バルサルバ法は、喘息においてみられ、また、閉塞性の睡眠時無呼吸において多少みられるような呼気閉塞を模擬するものである。バルサルバ法は、殆ど陰性でないか又は陽性でさえある胸腔内圧に付随して起こる頭中での静脈血のトラッピングによる、VICの「ダウンスイング」における増加に帰着する。
【0051】
実施例2
図2は、次第に細くなる直径を有する複数のチューブを通って呼吸した時の効果を示す。対象は、各チューブを通して1分間呼吸し、その後普通に1分間呼吸した。データは、チューブの直径が小さくなるにつれて、胸腔内圧における次第に大きくなる振れにより、PACとVICの両方において振れが増加することを明確に示す。PACは、抵抗器による呼吸の際に、その特有ののこぎり歯パターンを取る。
【0052】
したがって、睡眠検査の文脈において、閉塞性の睡眠時無呼吸に悩むと考えられる患者は、眠りにつく前に吸息のときに一連の抵抗器によって呼吸する。PACとVICの変化は、いくつかの抵抗器について記録することができる。この情報は、適切な記憶媒体に格納することができる。患者が眠っている間、吸気の気道閉塞の程度は、信号の測定によって、すなわちPACとVICの変化を患者が眠りにつく前に抵抗器を通じて呼吸したときに得られたものと比較することによって、より正確に見積もることができる。抵抗器は、吸気エアフロー又は呼気エアフローの何れかに対してのみ抵抗するように構成してもよい。これは、患者が被っている閉塞又は制限の類型の区別化、したがってまた、より正確な診断を促進するように、患者のプロファイルをさらに増大するであろう。上述したように、VICのフォトプレチスモグラフ「ベースライン」からの最大変化について知っていること及びの患者が小康状態にあるときにベースライン測定を取得することは、OSAの際に喘息の発作の重症度又は気道閉塞の程度を見積るために用いることができる。もちろん、フォトプレチスモグラフィック信号を処理する装置は、病気の程度を定量するために多くのスケールや記号のうちのどれでも用いることができる。
【0053】
実施例3
図3において、睡眠時無呼吸又は呼吸器系関連の他の睡眠障害を診断する目的のために、患者からデータを得て処理するシステム50が示されている。当該システムは、ライン52、54から信号を受け取って処理するように構成されたコンピュータ51を備える。これらのラインは、患者に配置された1又は2以上のパルスオキシメータ・プローブ(不図示)に離れて接続されている。当業者は、2つのラインからの別個の信号が別々の信号プロセッサによってある程度前処理され、その後、コンピュータ51へ1つの信号ストリームとして送られてもよいことを認識するであろう。したがって、コンピュータ51は、ライン52、54の何れか一方又は両者の組合せから信号を受け取るように構成される。典型的には、それらのラインのうちの1つがコンピュータ51からパルスオキシメータ・プローブまで電力を運び、もう一方のラインがコンピュータ51に信号を戻し伝える。コンピュータ51は、ライン52、54からの信号ストリームを処理するように構成された1つ又は複数のプログラム・コード・モジュール及び/又はそれ(ら)に関連する電気的/回路的要素を有する処理モジュール56を備える。処理モジュール56は、上記の信号ストリームから静脈インピーダンス成分を分離する。処理モジュール56はまた、呼気事象、吸気事象及びエアー閉塞事象の1又は2以上を判定するために信号ストリームを解析するための、1つ又は複数のプログラム・コード・モジュール及び/又はそれ(ら)に関連する電気的/回路的要素を備える。好適な実施形態において、処理モジュール56、すなわち別個の処理モジュールは、エアー閉塞事象の周波数、持続時間及び/又は重症度を示すレポートを生成するように構成されている。各事象には、所定パラメータに基づいたある値が付与されてもよい。該コンピュータは、より正確にエアー閉塞事象の重症度及び類型を見積もるために、上記の実施例3で記載した手順から得られた情報を利用することができる。該コンピュータによって提供されたこの情報により、医師は、患者が呼吸器関連の睡眠障害を有するかを診断することができるようになるだけでなく、そのような病気の重症度を判断することもできるようになり、これにより医師は適切な治療を処方することができるであろう。
【0054】
さらに、コンピュータ51は、パルスオキシメータ・プローブによって生成された信号を示すとともに、患者からのデータの処理及び/又は解析についての情報を表示するディスプレイ55を備える。当業者は、このディスプレイ、又は他の適当な構成要素が、コンピュータ51と一体であっても、これに取り付けられていても、あるいはそれから分離されていてもよいことを認識するであろう。該コンピュータはまた、コマンド又は他の情報を入力するためのキーボード、ボタン及び/又はタッチパッドを備えたコントロールパネルを備えてもよい。該コンピュータは、患者が自宅で寛いで睡眠検査を行なうことを可能にする軽量でポータブルのコンピュータ機器であってもよい。患者にはポータブル・コンピューター・ボックス、プローブ及びプローブ・ラインが提供され、これらにより患者は中央源部位にプローブを装着してテストを自分で行うことができる。
【0055】
図4は、構成要素が分離された場合の類似システムを表したものである。当業者は、そのシステムの2又は3以上の構成要素が単一のハウジング・ユニットに一体化されてもよく、あるいは2又は3以上の構成要素が別々ではあるが、適切なワイヤー、又は無線通信手段により接続されてもよいことを容易に認識するであろう。システム60は、パルスオキシメータ・プローブ(不図示)に接続されたライン62、64に対し/から信号を送り/受け取るように構成された信号プロセッサ66を備える。信号プロセッサ66は、パルスオキシメータ・プローブから受け取られた信号ストリームに含まれているPAC及びVICを抜き出すように構成された処理モジュール68を備える。PAC信号ストリーム及び/又はVIC信号ストリームは、ライン63を介してコンピュータ61に送られる。コンピュータ61は、吸気の及び/又は呼気の呼吸事象をモニタリングし、又は異常な呼吸事象の発生を判定するために、PAC信号ストリーム及び/又はVIC信号ストリームを解析する処理モジュール69を備える。信号処理機66及び/又はコンピュータ61により生成された情報は、ライン67を介してディスプレイ65に送ることができる。
【0056】
無呼吸をモニタリングする文脈において、FDAは、無呼吸又は著しい換気低下の検出を保証するために、無呼吸モニターが呼吸数の停止又は減衰を区別する手段を少なくとも2つ有すべきことを要求する。信頼性ある無呼吸モニターを開発するために、多くのパラメータが用いられている。この装置には偽陰性があってはならない。というのも、それにより、患者は、「無呼吸だ!」と知らせる装置からのアラームなくして、そのようになってしまうからである。偽陽性は、あまりにもユーザにアラームを無効にさせるのでないなら、それほど重要でない。
【0057】
無呼吸モニター用潜在パラメータは、呼気終末CO、流量センサ、サーミスタ、圧力センサ及び胸部インピーダンス・モニタリングを含む。パルス・オキシメトリは、酸素飽和度における低下を検出する際の過度の遅延(特に患者が酸素補給されている場合)、及び信号処理による遅延のため、無呼吸と換気低下について信頼性の低いインジケータであることが分かっている。
【0058】
これらのパラメータの組合せはFDAの要件を満たすであろうが、しかしながら、パラメータのうちの2つの組合せが偽陰性のない無呼吸を確実に診断するとは示されていない。VICのモニタリングは、特にセンサが動作アーティファクトからの干渉の可能性を減少するために1を超える部位に従来のパラメータと共同して据えられた場合、FDAの基準を満たすであろう。第1に、動作アーティファクトは、殆どの中央源部位において指やつま先上よりも著しく低く、第2に、中央の信号の改善されたSN比は、動作アーティファクトの判定のための信号処理を容易にするであろう。フォトプレチスモグラフィの組合せは、特にVICの処理は、カプノグラフィ、温度感知、流量感知又は圧力感知と共に、無呼吸/減少呼吸モニターのためのFDAの基準を恐らく満たすであろう。
【0059】
実施例4
フォトプレチスモグラフィの使用は、侵襲的なCVP測定及び/又は量状態の代わりとして活用することができる。測定は、例えばICU、カテーテル作業室又はOR内にいて、適所にCVPカテーテルを有している患者についてすることができる。実施例1について上記した気道手法を行ない、変化をCVP測定に関連付け及び/又はCVPにおける変化を気道手法で観察することができる。後で、CVPカテーテルを外したときに、静脈インピーダンス成分の変化はCVPが適所にあったときに得られた値と関連付けることができる。これは、肺機能/状態に変化がない限り、CVP及び/又は量状態の良好なインジケータであるに相違ない。CVPが患者のボリューム状態についての指数として用いることができることは、当該技術分野において周知である。
【0060】
したがって、別の実施形態において、主題発明は、CVPカテーテルの必要なくCVPを判定する方法に関し、該方法は、CVPカテーテルをCVP情報を生成するのに効果的な第1の患者に配置し;前記第1の患者の中央源部位上に、プレチスモグラフィ信号ストリームを生成するのに効果的なプローブを配置し;相関的なCVPフォトプレチスモグラフィ情報を生成するために、前記プローブからのプレチスモグラフィ信号情報を、前記CVP情報に同時的に関連付け;前記第1の患者又は第2の患者のCVPを、CVPカテーテルを設けることなく判定し、前記判定は、前記相関CVPフォトプレチスモグラフィ情報を活用することを備える。拡張により、患者のボリューム状態は、CVPカテーテルの必要なくフォトプレチスモグラフィ・プローブの使用を通じて判定することができる。実証研究により、静脈インピーダンス成分とCVPの関係は判定される。この関係が構築されると、相関CVPフォトプレチスモグラフィ情報を得る目的のために、CVPカテーテルを挿入する必要が削減される。
【0061】
したがって、更に別の実施形態において、主題発明は、CVP及び/又は患者のボリューム状態を判定する方法に関し、該方法は、患者の中央源部位にフォトプレチスモグラフィ情報を生成するのに効果的なプローブを配置し;VICを生成するために、前記フォトプレチスモグラフィ情報を処理し;前記VICを用いてCVP及び/又はボリューム状態を判定することを備える。
【0062】
実施例5
図5は、睡眠中にエアー閉塞事象の発生を判定するための一方法の実施形態500のダイアグラムを示す。方法500は、睡眠中の患者の中央源部位からフォトプレチスモグラフィ信号を得て(505)、ステップ505において得られたフォトプレチスモグラフィ信号をPAC及びVICの信号が分離されるように処理する(510)ステップを備える。分離されているPAC及びVICの信号に基づき、それらの信号の何れか、又は両方は、患者が気道閉塞事象515を被ったかを判断するために解析される。
【0063】
実施例6
図6は、エアー閉塞事象の発生を、かかる事象の大きさを含め、判定する方法実施形態600のダイアグラムを示す。該方法は、一連の抵抗器を通じて呼吸する患者の中央源部位からのフォトプレチスモグラフィ信号を得ることを備える(605)。605で得られた信号は、吸息と呼息の事象についてのキャリブレーションを得るために処理される(607)。これは、PACとVICを分離し、それぞれの信号の大きさ等の情報を格納し、用いられている抵抗器と相関させることを含んでいてもよい。抵抗器は、ぐっと収縮した空気道から最終的には塞がった空気道へと連続的に備える一連のチューブを含んでいてもよい。患者の睡眠検査を行なうために、フォトプレチスモグラフィ信号は睡眠中の患者の中央源部位から得られる(610)。フォトプレチスモグラフィ信号は、PACとVICを分離するために処理される(615)。その後、成分信号ストリームは、任意の異常な呼吸事象の発生について解析される(620)。このステップは、かかる事象の存在を判定するために、ないしはかかる事象の重症度を判定するために、ステップ605、607から得られた情報の利用を含む(625)。該方法は、その後、患者の呼吸及び異常な呼吸事象の発生を示すレポートを生成することを選択的に含んでいる(630)。
【0064】
実施例7
図7に図解されているようにより詳細な実施形態において、本発明は、睡眠中に異常な呼吸事象を同定する目的で、フォトプレチスモグラフィ・データを取得し、処理し、分析する方法に関する(700)。当該方法は、睡眠中の患者の中央源部位からプレチスモグラフィ信号を収集することを備える(705)。フォトプレチスモグラフィ信号の山と谷が同定される(710)。次に、ステップ710において同定された山と谷の間の中間点又は最小値が同定される。これらの中間点を結ぶ補間されたラインは静脈インピーダンス成分を表す。PACとVICは分離され(720)、その後、異常な呼吸事象の発生を判定するために別々に解析されるか又はともに解析される(725)。
【0065】
実施例8
図8は、患者の呼吸をモニタリングする方法実施形態800のダイアグラムを表す。この方法800において、フォトプレチスモグラフィ信号は患者の中央源部位から得られる(805)。ステップ805から得られたフォトプレチスモグラフィ信号は、PACとVICを分離するように処理される(810)。その後、VIC信号ストリームは、患者の吸息と呼息をモニタリングするために解析される(815)。当然、ステップ805−815は、呼吸を適切にモニタリングするために実時間において行なわれるが、これはプログラム・コード・モジュールによって指示された処理モジュールを備えるコンピュータによって典型的には実行される。
【0066】
実施例9
また、VICとPACは、機械呼吸を必要とする患者に対する人工呼吸器の最適設定を判定するために、併用して用いることができる。米国特許第7,024,235号について言及する。胸腔内圧についての知識は、圧力サポート換気や、一回呼吸量、最大気流速及びフロー波形のような機械呼吸パラメータのような種々の人工呼吸器設定を最適化するために用いることができる。加えて、呼吸仕事量及び呼吸仕事率のような胸腔内圧のデリバティブを見積もるためにPPGを用いることができる。PPGの変化はまた、過度の呼吸終末陽圧(PEEP)を示すことができ、PEEP設定が最適化されることを可能にする。
【0067】
一実施形態は、PACとVICに基づいたPEEPの最適水準を連続的に判定するシステムに属する。臨床医がPEEPを修飾するためにPPGからの情報を用いる場合、当該システムは閉ループ又は開ループとなる。閉ループのシステムにおいては、人工呼吸器は、PACとVICにおける変化に基づき臨床医による入力無しでPEEPを自動的に調節する。開ループのシステムにおいては、人工呼吸器又はモニターは、臨床医にPEEPを変化させるように推奨し、臨床医が変化を制御できるようにする。
【0068】
患者が人工呼吸器の下にあるとき、PEEPは、酸化を改善して脆弱な気胞の崩壊を防ぐためにしばしば適用される。初めは、PEEPは5−10 cmH2Oで設定して、酸素濃度は30−40%(F)くらいより高くなるまで増加される。動脈血ガスが得られ、もし、患者が低酸素血なら臨床医は2つの選択を有する:酸素濃度を増加することにより及び/又はPEEPレベルを増加することにより、酸化を改善する。何れの選択にも、著しい結果がある。脱窒素による酸素中毒及び/又は気胞崩壊を防ぐために、酸素濃度は60%未満に通常は維持される(歯槽における窒素を酸素と置換すると、それは吸収されて歯槽陥没に帰着する)。増加するPEEP対して酸素濃度を増加することを好む臨床医もいるが、殆どの者はFを40%又はそれ未満に維持することを試みる。この時点において、酸化の改善は、PEEPの更なる増加により通常は試みられる。PEEPを頻繁に増加することは酸化を改善するが、「オーバーPEEP」は重大な結果を有する場合がある。PEEPは呼吸サイクルの間中胸腔内圧を増加するので、したがって心臓の右側に対する血液のリターンを防止することができる。これは、心室充満そして結果的に血圧における低下を招来する場合があり、この低下は内在動脈カテーテル測定及び/又は非侵襲性の血圧測定で記録される。一般に、これは高齢者に観られる症状であり、心室充満及び血圧(心拍出量)を維持すべく、PEEPを減少することにより又は輸液で血管内ボリュームを増加することにより治療することができる。
【0069】
従来、PEEPは、パルスオキシメータで測定された動脈血液ガス及び/又は酸素飽和度に基づいて上方へ滴定される。臨床医は、動脈の軌跡、血圧、心拍出量(もし測定されれば)及びフォトプレチスモグラフの評価により、「オーバーPEEP」の証拠を探す。不幸にも、多くの患者は、彼等の併発症のため動脈カテーテルを有していない。同様に、心拍出量は、COカテーテルからの頻繁な併発症によりめったに測定されない。また、フォトプレチスモグラフは、標準的な実験計画によれば、処理して平均化されるので、それは減少した心拍出量に対応する信頼性ある振幅の変化をめったに示さない。血圧又は他の侵襲的な方法を要することなく患者がいつ「オーバーPEEPになった」のかを判定することは、既存の方法に対する著しい利点である。
【0070】
発明者らは、連続的にPACとVICを評価することにより、その問題が解決可能であることを見出した。患者が「オーバーPEEPになった」場合、増加したPEEP(したがってまた、増加した胸腔内圧)は静脈還流を防止するので、PACは劇的に低下して頭(及び脳)に対する血流が減少したことを示す。同時に、患者が増加した呼吸努力をしているので(特に呼息中に)、VICの振幅は著しく増加する。臨床医は、これらの所見の組合せを、(1)PEEP低下、(2)患者への追加フルードの投与、又は(3)Fの増加を決定するために用いることができる。臨床医が動脈血の酸化に満足ならば、閉ループ・アルゴリズムは、PACとVICの振幅を狭いレンジで維持するために開始することができる。閉ループは周期的にPACとVICを評価し、それに応じてPEEPを上下する。少数の対象における1次結果は、血圧又は心拍出量における僅かな変化でPEEPが「閾値」に到達するまで増加することを彼等は多くの場合許容し、その後これらのパラメータに著しい衰退があることを示す。PAC及びVICの連続的な測定は、いつ最適なPEEPが到達されるか及びどこで追加的なPEEPが有害になるかについての初期インジケータである。
【0071】
図9a−cは、(i)プレチスモグラフ、(ii)PAC及び(iii)VIC上のPEEPを変調する効果を示す。図9a(i)は、12cmの水のPEEPで補助換気を受けている患者からのプレチスモグラフィ読取りを表す。黒い軌跡は翼状のセンサから来るロー信号である。グレイの軌跡は指のセンサから来る信号である。図9a(ii)はPAC信号を表し、図9a(iii)は、翼状のセンサからのVIC信号を表す。図9bは、17cmの水のPEEPで補助換気を受けている患者からの読取りを示す。より高いPEEPの下では、PAC減少(すなわち、カーブ減少する下の領域、図9b(ii))は、胸から流れ出る動脈血の減少を表す。VIC増加の振幅(図9b(iii))は、増加した胸部圧力及び高くなった呼吸努力を表す。図9c(i)は、22cmの水のPEEPで補助換気を受けている患者からのプレチスモグラフィ読取を示す。PACはさらに減少し(FIG 9c(ii))、他方VIC振幅はさらに増加する(図9c(iii))。図9a−cは、PEEPが調節されるのに従ってPACとVICが変調することと、PACとVICの情報が胸腔内圧、呼吸努力、動脈血フローを判定してPEEP設定の最適化を可能にするために用いることが可能であることを実証する。
【0072】
したがって、別の実施形態は、機械呼吸を経験する患者のPEEPを最適化する方法に関する。この方法は、PAC及び/又はVICをモニタリングし、PAC及び/又はVIC情報に依拠してPEEPを調節することを備える。最適なPEEP設定は、大きな患者集団のPAC及び/又はVICの読取りの観察値に基づいて、経験的に判定可能であることを、当業者は認識するであろう。
【0073】
実施例10
同様に、人工呼吸器支援なしで自発的に呼吸する患者のための、又は、更に重要にはOSAのための家庭CPAPセラピーを受けている患者のための、CPAP(continuous positive airway pressure、持続気道陽圧)を「最適化する」ために、PACの評価を、更に重要にはVICの評価を、用いることができる。開始時のCPAPレベルは睡眠検査室における正式睡眠中に判定されるが、患者が家へ返された場合には、眠るときの姿勢、睡眠の深さ、及びかぜ症候群のような気道閉塞の他の一時的原因を含め、様々な要因により、実際の最適なCPAPは異なる場合がある。したがって、翼状のプローブ(患者は既にフェース・マスク又は鼻チューブを用いている。)のような目立たないセンサで連続的にVICをモニタリングすることができるのであれば、VICを「標準の」範囲に維持するように、閉ループ・アルゴリズムを用いてCPAPを連続的に調節することができるであろう。さらに、この手法は、COPD患者を含め、VICの最適化から利益を得るあらゆる患者において用いることができる。
【0074】
当業者は、本発明の実施形態の多くに関連して、2つ以上のプローブを用いてもよいことを認識するであろう。米国特許第6,909,912号を参照する。そのような引用された特許に関し、当業者は第6,909,912号を得ることを認識するであろう。その引用された特許に関し、当業者は、中央源部位及び末梢部位でプレチスモグラフィ読取りを得ることが、呼吸障害をモニタリングする上で有用かもしれない追加情報を、又は、たとえば、上記した実施例9、10において教示された実施形態におけるインプリメンテーションを、提供するだろうということを認識するであろう。
【0075】
引用された特許文献、刊行物及び参照文献の開示は、ここでの教示と不一致とならない限度で、全体としてここに組み入れられる。ここに記載された実施例及び実施形態は、説明目的だけのためにあり、また、それらの観点からの種々の変形又は変更は、当業者に対して示唆され、本願の精神及び範囲並びに添付されたクレームの範囲内に含まれなければならないことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、中央の部位から得られたときのフォトプレチスモグラフィに対する気道手技の効果を示すグラフを表す。図1aは、フォトプレチスモグラフィ信号のAC成分(すなわち動脈の成分)に対する気道手技の効果を示し、図1bは、DC成分(すなわち静脈インピーダンス成分)に対する手技の効果を示す。
【図2】図2は、中央部位から得られたフォトプレチスモグラフィ信号に対する一連の抵抗器を通る呼吸の効果を示すグラフを表す。図2aは動脈の成分を示し、図2bは静脈インピーダンス成分を示す。
【図3】図3は、患者から得られたプレチスモグラフィ信号を用いる、患者の呼吸をモニタリングし又は睡眠検査を行うシステムの概略図を示す。
【図4】図4は、患者から得られたプレチスモグラフィ信号を用いる、患者の呼吸をモニタリングし又は睡眠検査を行うシステムの概略図を示す。
【図5】図5は、異常な呼吸事象の発生を判定するための検査を行う方法を表すダイアグラムを示す。
【図6】図6は、異常な呼吸事象の発生及び重大性を判定するための検査を行なう方法を表すダイアグラムを示す。
【図7】図7は、異常な呼吸事象を判定するための検査を行なう方法を表すダイアグラムを示す。
【図8】図8は、患者の呼吸をモニタリングする方法を表すダイアグラムを示す。
【図9a】図9aは、異なるPEEPレベルで機械呼吸が施されている患者からのプレチスモグラフィ、PAC及びVICの読取値を含むグラフを表す。
【図9b】図9bは、異なるPEEPレベルで機械呼吸が施されている患者からのプレチスモグラフィ、PAC及びVICの読取値を含むグラフを表す。
【図9c】図9cは、異なるPEEPレベルで機械呼吸が施されている患者からのプレチスモグラフィ、PAC及びVICの読取値を含むグラフを表す。
【符号の説明】
【0077】
50 システム
51 コンピュータ
55 表示画面
56 処理モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸をモニタリングする方法であって、
前記患者の中央源部位に対して、前記中央源部位からのフォトプレチスモグラフィ信号ストリームを生成するように構成されたパルスオキシメータ・プローブを固定し、
別個の動脈成分信号及び静脈インピーダンス成分信号を得るために、前記プローブから受け取られた前記信号ストリームを処理し、
前記の動脈成分信号、静脈インピーダンス成分信号、又は両方を、呼吸数、吸気事象、呼気事象、エアー制限若しくはエアー閉塞、又はこれらの組合せの発生を判定するために、評価することを備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号ストリーム処理は、
前記信号ストリームの山及び谷を同定し、
前記山及び谷の間の中間点又は最小値を同定し(前記中間点又は最小値を結ぶ補間線は 前記静脈インピーダンス成分を表す。)、
前記静脈インピーダンス成分を前記信号ストリームから抽出することにより、前記別個の動脈成分信号及び別個の静脈インピーダンス成分信号を得ることを備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記中央源部位は、鼻中隔又は鼻翼であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記評価は、別個の時間周期で得られた信号情報に係る2又は3以上のデータセットを解析することを備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記信号ストリーム情報の処理は、前記患者が睡眠中に生成されたプレチスモグラフィ信号情報を処理することを備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
患者の呼吸をモニタリングする方法であって、
前記患者の中央源部位に対して、フォトプレチスモグラフィ信号ストリームを生成するように構成されたパルスオキシメータ・プローブを固定し、
静脈インピーダンス成分信号を得るために、前記プローブから受け取られた前記信号ストリームを処理し、
前記患者の呼吸数、吸気若しくは呼気の事象、又はこれらの組合せに相関する静脈インピーダンス成分信号における変化を観察することを備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
患者の呼吸をモニタリングするシステムであって、
前記患者の中央源部位へ固定できるように構成され、プレチスモグラフィ信号ストリームを生成するのに有効な少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブと、
前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブに対して通信可能に接続されたコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
少なくとも1つの処理モジュールと、
前記コンピュータに前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させて動脈成分信号若しくは静脈インピーダンス成分信号又はこれらの両方を得る、第1のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに前記動脈成分信号若しくは静脈インピーダンス成分信号又はこれらの両方を解析させて吸気事象、呼気事象、エアー制限事象若しくはエアー閉塞事象、又はこれらの組合せを判定する、第2のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記コンピュータは、表示画面をさらに備えることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの処理モジュールを備えるコンピュータとともに使用されるコンピュータ・プログラム製品であって、
コンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールが埋め込まれることにより備えられているコンピュータ使用可能なメディアと、
前記コンピュータに対して、動脈成分信号ストリーム及び静脈インピーダンス成分信号ストリームを分離させることにより、パルスオキシメータ・プローブから得られたプレチスモグラフィ信号を処理させる、コンピュータ可読の第1のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対して、前記動脈成分信号ストリーム若しくは前記静脈インピーダンス信号ストリーム又はこれらの両者を解析させて、異常な呼吸事象の発生を判定させるコンピュータ可読の第2のプログラム・コード・モジュールと、を備えることを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項10】
呼吸状態を診断するのに有用な装置であって、
前記装置は、少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブと通信するように構成されたコンピュータを備え、
前記コンピュータは、
少なくとも1つの処理モジュールと、
前記コンピュータに対して前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させて動脈成分信号若しくは静脈インピーダンス成分又はこれらの両方を得させる、第1のコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対して前記動脈成分信号若しくは静脈インピーダンス成分信号又はこれらの両方を解析させる、第2のコンピュータ可読プログラム・コード・モジュールと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記装置のユーザに対して情報を表示するのに有効な表示画面をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記装置は測定モード及び操作モードを備えることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記測定モードは、前記装置が、所定の抵抗で呼吸中に生成された患者のフォトプレチスモグラフィ信号情報の第1データセットを受け取ることを可能とすることにより、前記装置は前記患者について度盛りされることを特徴とする請求項12記載の装置
【請求項14】
度盛りの後、前記装置は、前記操作モードにおいて、前記患者からのフォトプレチスモグラフィ信号情報の第2のデータセットを受け取ることができ、
前記装置は、前記第2のデータセットを前記第1のデータセットと比較し、前記患者の呼吸状態を診断するために前記表示画面に情報を提供して前記装置のユーザを支援することができることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記呼吸状態は、アレルギー、細菌感染若しくはウイルス感染によって引き起こされた鼻咽頭の制限若しくは閉塞、睡眠サイクルのフェーズ中に後部咽頭の一時的で一部若しくは完全の閉塞に帰着する睡眠時無呼吸、気管軟化症、気管のポリープ及び疣贅、若しくは気管支炎によって引き起こされる気管若しくは気管支の制限または閉塞、又は喘息、ウイルス感染変化、細菌感染、嚢胞性線維症若しくは慢性閉塞性肺疾患によって引き起こされる下位気道の制限若しくは閉塞、であることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、重さが10キログラム、8キログラム、6キログラム、又は4キログラム未満であることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、電池により電力供給されることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項18】
呼吸状態を診断する方法であって、
1又は2以上の所定の抵抗で呼吸中に生成された患者からのフォトプレチスモグラフィ信号情報に係る第1のデータセットを収集し、
前記患者がエアー制限又はエアー閉塞を被っていると疑われる期間に、前記患者からのプレチスモグラフィ信号情報に係る第2のデータセットを収集し、
前記第2のデータセットと前記第1のデータセットを比較し、
前記比較に基づき呼吸状態を診断することを備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記呼吸状態は、アレルギー、細菌感染若しくはウイルス感染によって引き起こされた鼻咽頭の制限若しくは閉塞、睡眠サイクルのフェーズ中に後部咽頭の一時的で一部若しくは完全の閉塞に帰着する睡眠時無呼吸、気管軟化症、気管のポリープ及び疣贅、若しくは気管支炎によって引き起こされる気管若しくは気管支の制限または閉塞、又は喘息、ウイルス感染変化、細菌感染、嚢胞性線維症若しくは慢性閉塞性肺疾患によって引き起こされる下位気道の制限若しくは閉塞、であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
患者の呼吸関連の睡眠障害を診断する方法であって、
前記患者の中央源部位に対して、前記中央源部位からのフォトプレチスモグラフィ信号ストリームを生成するように構成されたパルスオキシメータ・プローブを固定し、
別個の動脈成分信号及び静脈インピーダンス成分信号を得るために、前記プローブから受け取られた前記信号ストリームを処理し、
前記の動脈成分信号、静脈インピーダンス成分信号、又は両方を、吸気事象、呼気事象、エアー制限若しくはエアー閉塞、又はこれらの組合せの発生を判定するために、評価することを備え、
前記信号ストリーム情報の処理は、前記患者が睡眠中に生成されたプレチスモグラフィ信号情報を処理することを備えていることを特徴とする方法。
【請求項21】
機械呼吸を受けている患者のPEEPを最適化する方法であって、
前記患者のPACとVICの一方又は両方を判定し、
PACとVICの一方又は両方を変調して目標レベルとなるようにPEEPを調節することを備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記機械呼吸は、ユーザ入力の必要なく、PACとVICの一方又は両方がモニタリングされ、PACとVICの一方又は両方に応答してPEEPが自動的に調節され、PACとVICの一方又は両方を目標レベルに安定化させる、閉ループ・システムであることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項23】
患者のCPAPを最適化する方法であって、
前記患者のPACとVICの一方又は両方を判定し、
PACとVICの一方又は両方を変調して目標レベルとなるようにCPAPを調節することを備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記CPAPは、ユーザ入力の必要なく、PACとVICの一方又は両方がモニタリングされ、PACとVICの一方又は両方に応答してCPAPが自動的に調節され、PACとVICの一方又は両方を目標レベルに安定化させる、閉ループ・システムを介して管理されることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
機械呼吸を受けている患者のPEEPを最適化するシステムであって、
前記患者の中央源部位へ固定できるように構成され、プレチスモグラフィ信号ストリームを生成するのに有効な少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブと、
前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブに対して通信可能に接続されたコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、少なくとも1つの処理モジュール、及び少なくとも2つのコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対し、PAC信号若しくはVIC信号、又は両方を得るために、前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させる、第1のコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対し、標的たるPACレベルとVICレベルの一方又は両方を得るよう、前記PACとVICの信号の一方又は両方に応答してPEEPを調節させる、第2のコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
患者に対するCPAPを最適に管理するシステムであって、
前記患者の中央源部位へ固定できるように構成され、プレチスモグラフィ信号ストリームを生成するのに有効な少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブと、前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブに対して通信可能に接続されたコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、少なくとも1つの処理モジュール、及び少なくとも2つのコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対し、PAC信号若しくはVIC信号、又は両方を得るために、前記少なくとも1つのパルスオキシメータ・プローブの信号を処理させる、第1のコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、
前記コンピュータに対し、標的たるPACレベルとVICレベルの一方又は両方を得るよう、前記PACとVICの信号の一方又は両方に応答してCPAPを調節させる、第2のコンピュータ可読のプログラム・コード・モジュールと、を備えることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【公表番号】特表2008−538936(P2008−538936A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508002(P2008−508002)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015763
【国際公開番号】WO2006/116469
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(506224470)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチファウンデーション インコーポレイティッド (11)
【Fターム(参考)】