説明

哺乳動物細胞培養用のバイオリアクター

本発明は、少なくとも2個の羽根車を有する大規模バイオリアクター、大規模バイオリアクターシステム及びこれらのバイオリアクターを用いる哺乳動物細胞の大規模培養及び増殖のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオリアクター並びにそのバイオリアクターを用いる哺乳動物細胞の大規模培養方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞培養方法においては、溶存酸素、培地pH、温度及び剪断感受性を考慮して物理化学的環境を維持することが重要である。さらに、栄養環境の維持が重要である。培養条件の維持は、哺乳動物細胞の大規模培養を実施する可能性を制限するものである。特に、濃度勾配が大規模バイオリアクターでの哺乳動物細胞の細胞増殖を阻害する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一つは、大規模な量での哺乳動物細胞の培養を可能とするバイオリアクター及び方法を提供することにある。さらに、大規模な量での増殖であっても至適な条件下での哺乳動物細胞の培養を可能とし、したがってバイオリアクターの大きさとは独立の方法のパフォーマンス及び製品品質を可能とするバイオリアクター及び方法を提供することも本発明の目的である。
【0004】
本発明の一つの目的は、バイオリアクター内での十分に混合された細胞懸濁液を維持し、養分供給液を混合しながら、pH、溶存酸素圧(DOT)及び温度等の工程パラメータに関して均一な環境での哺乳動物細胞の培養を可能とする大規模バイオリアクターを提供することにある。
【0005】
さらに、本発明の一つの目的は、大規模で哺乳動物細胞及び哺乳動物細胞の産生物、特には哺乳動物細胞によって合成されるタンパク質、ペプチド、抗生物質又はアミノ酸の製造を可能とする装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲による真核細胞、特には哺乳動物細胞の培養のためのバイオリアクター、バイオリアクターシステム及び方法を提供することで、本発明の根底にある技術的問題を解決するものである。
【0007】
本発明は、バイオリアクターが少なくとも2個の羽根車を有することを特徴とする、特に哺乳動物細胞の培養用のバイオリアクターを提供することで本発明の根底にある技術的問題を解決するものである。さらに本発明は、少なくとも2個の羽根車を有するバイオリアクター中にて適切な条件下及び適切な培地で少なくとも1個の哺乳動物細胞を培養することを特徴とする、哺乳動物細胞の培養及び増殖方法を提供することで、本発明の根底なる技術的問題を解決するものである。さらに本発明は、a)少なくとも500リットルの体積を有する第一のバイオリアクターがb)前記第一のバイオリアクターより大きい体積を有する少なくとも2000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターと連結されており、前記少なくとも2000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターがc)前記第二のバイオリアクターより大きい体積を有する少なくとも2個の羽根車及び少なくとも10000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターに連結されていることを特徴とする哺乳動物細胞の培養のためのバイオリアクターシステムを提供することで本発明の根底にある技術的問題を解決するものである。
【0008】
本発明は、a)少なくとも1個の哺乳動物細胞を、少なくとも500リットルの体積を有する第一のバイオリアクターで適切な条件下に適切な培地で培養し、b)前記少なくとも1個の哺乳動物細胞の増殖によって得られる前記細胞を含む前記培地を少なくとも2000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターに移し入れ、c)前記移し入れた細胞を前記少なくとも2000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターで培養し、d)段階c)で得られた前記細胞を含む前記培地を少なくとも10000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターに移し入れ、e)前記移し入れた細胞を前記少なくとも10000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターで培養することを特徴とする、哺乳動物細胞の培養及び増殖方法を提供することで本発明の根底にある技術的問題を解決するものである。
【0009】
本発明によれば、培養細胞は、真核細胞、好ましくは動物細胞、より好ましくは哺乳動物細胞である。その哺乳動物細胞は、例えばヒト細胞系、マウス骨髄腫(NS0)細胞系、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系又はハイブリドーマ細胞系であることができる。好ましくは、哺乳動物細胞はCHO細胞系である。
【0010】
好ましくは培養細胞を用いて、抗体、より好ましくはモノクローナル抗体、及び/又は組換えタンパク質、より好ましくは治療用の組換えタンパク質を製造する。当然のことながら当該細胞は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸その他の有用な生化学的中間体もしくは代謝物を産生することができる。本発明によれば、培養細胞によって産生されるタンパク質の目標濃度は、0.5g/L超、好ましくは2.0g/L超、最も好ましくは10.0g/L超である。本発明による方法は、回分法又は流加回分法として用いることができる。本発明による方法で使用される細胞培地は、好ましくはタンパク質を含まない培地であるが、その設計はタンパク質を含む供給流の使用を除外するものでない。
【0011】
本発明によれば、バイオリアクターは、具体的に哺乳動物細胞の培養及び増殖を可能とする例えば羽根車、バッフル、スパージャー及び/又はポート等の追加の装備を有する生体適合性のタンク又は容器である。好ましくは前記タンク又は容器は、管の形態であり、好ましくはタンクの頂部及び底部を構成するその管の両端にプレートがある。これらのプレートは、頂部プレート及び底プレートと称される。本発明の特に好ましい実施形態では、底プレートは、American Society of Mechanical Engineers Flanged and Dished(ASME F&D)設計の底プレートである。頂部プレート設計は好ましくは、マンウェイに対応するものであるか、好ましくは羽根車の取り扱い/取り外しを可能とするフランジ頂部プレートである。
【0012】
総タンク高さは、底部のタンク内側からタンク頂部のタンク内側までの接線である。
【0013】
フリーボード高さは、バイオリアクターがその運転体積まで充填された時の液頭より上の真っ直ぐな面の長さと定義される。運転時の泡の集積、最大許容撹拌及び曝気での気体ホールドアップ、及び液体計量の誤りの程度を考慮すると、最小フリーボード高さが必要である。
【0014】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくは少なくとも500リットル、より好ましくは少なくとも1000リットル、より好ましくは少なくとも4000リットル、さらにより好ましくは少なくとも10000リットル、さらにより好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する。最も好ましくは、本発明によるバイオリアクターは、1000リットル、1307リットル、4000リットル、5398リットル、20000リットル又は27934リットルの体積を有する。
【0015】
好ましくは、前記バイオリアクターは100000リットルの最大体積を有し、より好ましくは前記バイオリアクターは50000リットルの最大体積を有し、最も好ましくは前記バイオリアクターは30000リットルの最大体積を有する。
【0016】
本発明によるバイオリアクターの設計は、バイオリアクター内での十分に混合された細胞懸濁液を維持し、養分供給液を混合しながら、pH、溶存酸素圧(DOT)及び温度等の工程パラメータに関して均一な環境を確保するものである。これは、至適な細胞増殖、産生物蓄積及び産生物品質に関して必要な物理化学的環境に必要なものを提供する。本発明によるバイオリアクターの設計はさらに、幾何学的相似性の維持を確保するものである。これによって、12リットルの実験室規模及び500リットルのパイロット規模での規模縮小モデルを開発することが可能となる。
【0017】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、少なくとも2個の羽根車を有する。より好ましくは当該バイオリアクターは、2個の羽根車、さらにより好ましくは頂部羽根車及び底部羽根車を有する。
【0018】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、好ましくは少なくとも1個の頂部羽根車及び少なくとも1個の底部羽根車を有し、前記頂部羽根車は好ましくは水中翼羽根車である。
【0019】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、好ましくは少なくとも1個の頂部羽根車及び少なくとも1個の底部羽根車を有し、前記頂部羽根車は水中翼羽根車である。
【0020】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、好ましくは少なくとも1000リットルの体積及び少なくとも1個の頂部羽根車及び少なくとも1個の底部羽根車を有し、前記頂部羽根車は水中翼羽根車である。
【0021】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、好ましくは少なくとも4000リットルの体積及び少なくとも1個の頂部羽根車及び少なくとも1個の底部羽根車を有し、前記頂部羽根車は好ましくは水中翼羽根車である。
【0022】
本発明による哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターは、好ましくは少なくとも4000リットルの体積及び少なくとも1個の頂部羽根車及び少なくとも1個の底部羽根車を有し、前記頂部羽根車は水中翼羽根車である。
【0023】
本発明のある好ましい実施形態において、前記頂部羽根車は水中翼羽根車である。頂部羽根車は好ましくは、強いバルク混合を提供するのに用いることができる。
【0024】
本発明のある好ましい実施形態において、前記底部羽根車は水中翼羽根車である。本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車及び底部羽根車が水中翼羽根車である。
【0025】
本発明のある好ましい実施形態において、少なくとも頂部羽根車が水中翼羽根車である。本発明のある好ましい実施形態において、全ての羽根車が水中翼羽根車である。
【0026】
本発明のある好ましい実施形態によれば、底部羽根車は高堅牢性ピッチブレード羽根車又は高堅牢性水中翼羽根車である。底部羽根車は好ましくは、散布気体の放散に用いることができる。
【0027】
好ましくは、水中翼羽根車はかなり大きい液体運動を提供することで、所定量の電力投入について相対的に大きいバルク混合が得られる。これは、フロー数(Nq)によっても決まり得る。
【0028】
好ましくは、非水中翼羽根車は液体運動を提供することができるが、相対的に電力投入が大きい。これは、剪断感受性哺乳動物細胞の健全性に影響を与え得るものである。
【0029】
本発明のある好ましい実施形態において、水中翼羽根車は下降流羽根車又は上昇流羽根車である。
【0030】
本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車は下降流羽根車である。本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車は下降流軸方向水中翼羽根車である。
【0031】
本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車の引き下げ特性を用いて、十分に曝気された液体表面と液体バルクを混合する。
【0032】
本発明のある好ましい実施形態において、水中翼羽根車は高効率水中翼羽根車である。本発明のある好ましい実施形態において、水中翼羽根車はChemineer−SC−3型羽根車、LIGHTNIN−A310型又はA510型羽根車、Promix−PHF型シリーズ羽根車又はCleaveland Eastern Mixers羽根車である。
【0033】
本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車は高効率水中翼羽根車である。本発明のある好ましい実施形態において、頂部羽根車はChemineer−SC−3型羽根車、LIGHTNIN−A310型又はA510型羽根車、Promix−PHF型シリーズ羽根車又はCleaveland Eastern Mixers羽根車である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るバイオリアクターを示す図である。
【図2】本発明に係るバイオリアクターシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
頂部羽根車は好ましくは、3ブレード水中翼設計羽根車、例えばLIGHTNINからのA310型羽根車である。底部羽根車は、好ましくは例えばLIGHTNINからのA315型の4ピッチブレード高堅牢性羽根車である。頂部羽根車(Dtop/T)及び/又は底部羽根車(Dbottom/T)の羽根車/タンク直径比は好ましくは少なくとも0.35及び最大で0.55であり、より好ましくは少なくとも0.40及び最大で0.48であり、最も好ましくは少なくとも0.44及び最大で0.46である。直径が0.5より大きいと軸方向流に乱れが生じることから、撹拌及び曝気が不十分となる。
【0036】
頂部羽根車動力数(Np)は、好ましくは少なくとも0.1及び最大で0.9であり、より好ましくは少なくとも0.25及び最大で0.35であり、最も好ましくは0.3である。頂部羽根車フロー数(Nq)は、好ましくは少なくとも0.4及び最大で0.9であり、より好ましくは少なくとも0.50及び最大で0.60であり、最も好ましくは0.56である。底部羽根車動力数(Np)は、好ましくは少なくとも0.5及び最大で0.9であり、より好ましくは少なくとも0.70及び最大で0.80であり、最も好ましくは0.75である。底部羽根車フロー数(Nq)は、好ましくは少なくとも0.50及び最大で0.85であり、より好ましくは少なくとも0.70及び最大で0.80であり、最も好ましくは0.73である。
【0037】
羽根車動力数(Np)は、回転する羽根車ブレードの運動エネルギーを流体に与える上での羽根車効率の尺度である。それは、気体分散を数量化する上で重要である。羽根車フロー数(Nq)は、羽根車のポンプ能力の尺度であり、流体のバルク運動を数量化する上で重要である。
【0038】
少なくとも2個の羽根車の撹拌速度は、規模によって決まる。しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも2個の羽根車の撹拌速度は最大で毎分200回(rpm)、より好ましくは最大で165rpmである。
【0039】
羽根車間隔(D)は、少なくとも2個の羽根車の間の空間である。それは本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも底部羽根車の直径(Dbottom)の1倍及び最大でDbottomの2倍であり、より好ましくはそれはDbottomの1.229倍又はDbottomの2倍である。これによって、両方の羽根車を最低接種後体積で液面下に留まらせることが可能となる。
【0040】
上側羽根車より上の液体高さ(D)は、本発明の特に好ましい実施形態において少なくとも頂部羽根車の直径(Dtop)の0.3倍及び最大でDtopの2.5倍である。より好ましくはそれは、少なくともDtopの0.5倍及び最大でDtopの2.0倍である。
【0041】
底部間隔(D)は、タンク底部と底部羽根車の中心線の間の間隔である。本発明の特に好ましい実施形態において、それは少なくともDbottomの0.35倍であり、より好ましくはそれはDbottomの0.4倍又はDbottomの0.75倍のいずれかである。
【0042】
本発明によるバイオリアクターの羽根車の設計は、バルク混合、気体分散及び低剪断に関して至適な流体力学的特徴を与える。本発明による羽根車システムを介した撹拌により、哺乳動物細胞は均一な懸濁状態に維持される。
【0043】
本発明によるバイオリアクターの羽根車の設計は、急速な混合を提供し、均質性を維持し、哺乳動物細胞を懸濁状態及び気泡分散状態に維持する。本発明によるバイオリアクターの羽根車の設計は、羽根車の幾何形状及び羽根車ブレード背後で生じる渦巻きもしくは渦流から生じる剪断力による細胞損傷を低減するものである。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態において、前記少なくとも2個の羽根車は、頂部駆動攪拌機システムである。
【0045】
空気、特には圧縮空気又は特定の気体、好ましくは酸素、窒素及び/又はCOの供給は、好ましくは少なくとも1個のスパージャーによって行う。
【0046】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくは少なくとも1個のスパージャーを有し、より好ましくは前記バイオリアクターは1個のスパージャー又は2個のスパージャーを有する。本発明によるバイオリアクターは好ましくは2個のスパージャーを有する。好ましくは前記バイオリアクターは少なくとも1個のパイプの幾何形状を有するスパージャーを有する。好ましくは前記少なくとも1個のスパージャーは、フルート型のものであるか、焼結スパージャーである。好ましくは前記少なくとも1個のスパージャーはフルート型のものである。本発明の特に好ましい実施形態において、三日月形のパイプが検討される。その三日月形の曲率は、好ましくはDbottomの0.8倍である。バイオリアクターの側面ポートからの設置及び取り外しを行いやすくするため、三日月形の外周は、好ましくはDbottom環の0.8倍の完全な円周の240°である。
【0047】
少なくとも1個のスパージャーは、培養の酸素要求を満足するだけの酸素質量移動(Kaによって特徴付けられる)を提供する。少なくとも1個のスパージャーが、20h−1までのKaを与えて、1時間当たりの酸素取り込み速度5mmol/Lで20×10細胞/mLまでに達する培養となるようにする。二重スパージャーシステムとして用いられる2個のスパージャーは、溶存COの除去及び溶存酸素圧(DOT)の制御を可能とするものである。フルート形スパージャーは、定置洗浄(CIP)及び定置滅菌(SIP)がより容易になるという利点を提供し、dCO除去で役立ち、複数回使用することから運転コストが低下する。焼結スパージャーは、より高いKa値を提供する。フルート形スパージ設計による固有Ka値が相対的に低いことは、酸素豊富空気を用いることで補償することができる。気体流速は一定の表面気体速度に基づいて高くする。
【0048】
哺乳動物細胞の大規模培養においては、溶存酸素、培養pH及び温度、及び溶存CO、栄養分及び代謝物濃度勾配に関して均質な物理化学的環境を維持することが重要である。適切な撹拌及び曝気を用いることで物理化学的環境の均質性を確保しながら、選択される運転時の撹拌及び曝気条件が有害な剪断環境を生じないようにすることが重要である。良好な細胞増殖を促進する均質環境の確保と剪断環境の有害効果を最小としながらの哺乳動物細胞培養方法の生産性との間の適切なバランスを、本発明では取り扱う。これは、具体的なバイオリアクター幾何形状、羽根車の設計及び位置決め、スパージャーの設計及び位置決め、並びに撹拌速度及び曝気速度についての具体的な運転範囲を規定することで達成される。
【0049】
撹拌及びスパージされるバイオリアクターでの哺乳動物細胞に対する主たる損傷は、界面剪断によって生じるものである。界面剪断は、散布気体気泡の合体及び突発として生じる[参照:Ma N, Koelling KW, Chalmers JJ. Biotechnol Bioeng. 2002 Nov 20; 80(4): 428-37. Erratum in: Biotechnol Bioeng. 2003 Feb 5; 81(3): 379]。したがって、散布気体流及び過剰な泡蓄積を低減することが望ましい。最初に液体表面と液体バルクとの良好な混合による表面曝気の促進と次に好ましくは2個のスパージャーによる培地の分離酸素化による相対的に高い酸素駆動力による手法の組み合わせによって、界面剪断を低減することができる。
【0050】
水中翼羽根車の規定された位置決め、特にはDtopの約0.5倍である液体表面から下の上側羽根車より上の液体高さDは、好ましくは液体表面の強力かつ連続的な液体バルクとの交換を助けることで、十分に酸素化された液体表面を酸素化が不十分な液体バルクと混合することが可能である。好ましくはD=Dbottomの1倍からDbottomの2倍である規定された羽根車間隔によって、上側羽根車によって生じる液体の下降流が下側羽根車への流体流を供給できるようになることで、流体バルク全体が良好に混合され、分離した混合ゾーンが生じないようにすることが可能である。好ましくはD=Dの0.35倍からDの0.75倍である規定の羽根車底部間隔により、バルク流が湾曲したASMEF&D底部から向きを変え、バイオリアクターの壁に沿って上昇することができるようになる。
【0051】
制御スパージャーからの「オンデマンド」酸素化散布気体をバラストスパージャーからの非酸素化散布気体(CO、空気及び窒素バラスト等)から分離することで、流体バルクから離れてヘッドスペースに入る前の流体バルクにおいて高酸素化スパージ気体気泡の滞留時間及び行程長さをより大きくすることができる。これによって、所定の体積質量移動係数kaに関してより大きい酸素移動速度を得ることが可能となる。連続的に液体表面及び液体バルクを引き下ろす下降流軸方向水中翼羽根車を具体的に決めることで、散布気体気泡の滞留時間及び行程長さを大きくすることができる。
【0052】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくは少なくとも1個のバッフル、より好ましくは少なくとも2個のバッフルを有する。本発明によるバイオリアクターは最も好ましくは4個のバッフルを有する。
【0053】
バッフルは、垂直な放射方向に配置されたプレートである。バッフルは、ファンネル形成又は渦流形成を防止するのに用いられる。
【0054】
本発明のある好ましい実施形態において、少なくとも1個のバッフルの長さはバイオリアクターの全直線高さ(H)の1.1倍である。バッフルの幅(W)は好ましくは、タンク内径(T)の0.1倍である。バッフル間隔(W)は好ましくは、タンク内径(T)の0.01倍である。少なくとも1個のバッフルの高さ(Hbaffle)は好ましくは、1.1×全直線高さ(H)−バイオリアクターヘッド高さ(H)である。したがって、Hbaffleは好ましくは、式Hbaffle=1.1×H−Hに従って計算される。
【0055】
少なくとも1個のバッフルの厚さについては具体的に言及していないが、その厚さは流体流の放射方向成分に対する剛性を確保する必要がある。さらに、バッフルプレートがSIP時に歪むことでバッフルがタンク壁間隔に影響を与えないようにするために厚さが必要である。
【0056】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくはアルカリ添加用の少なくとも2個のポートを有する。より好ましくは、当該バイオリアクターは、アルカリ添加用の2個のポートを有する。最も好ましくは、当該バイオリアクターはアルカリ添加用の2個のポートを有し、第一のポートは底部羽根車の中心線に配置され、第二のポートは頂部羽根車の中心線に配置されている。好ましくはpHプローブが、バイオリアクターへのアルカリ添加個所に対して正反対に配置されている。
【0057】
本発明のある好ましい実施形態において、前記バイオリアクターは1000リットルの体積を有する。1000リットルバイオリアクターのヘッド体積(V)は、好ましくは少なくとも45リットル及び最大で65リットル、より好ましくはヘッド体積は55リットルである。1000リットルバイオリアクターの底部体積(V)は好ましくは少なくとも45リットル及び最大で65リットルであり、より好ましくは底部体積は55リットルである。本発明による1000リットルバイオリアクターのタンク内径(T)は好ましくは少なくとも850mm及び最大で900mmであり、より好ましくは前記タンク内径は864mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターのタンク断面積(A)は好ましくは少なくとも0.55m及び最大で0.65mであり、より好ましくは前記タンク断面積は0.586mである。本発明による1000リットルの体積を有するバイオリアクターのヘッドプレートの高さであるヘッド高さ(H)及び/又は底プレートの高さである底部高さ(H)は好ましくは少なくとも120mm及び最大で180mmであり、より好ましくは前記ヘッド高さ及び/又は底部高さは151mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターの合計タンク高さは好ましくは少なくとも2000mm及び最大で2600mmであり、より好ましくは前記合計タンク高さは2347mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターの頂部羽根車直径(Dtop)及び/又は底部羽根車直径(Dbottom)は好ましくは少なくとも350mm及び最大で400mmであり、より好ましくは前記頂部羽根車直径及び/又は底部羽根車直径は381mmである。タンク底部と底部羽根車の中心線との間の間隔(D)は、本発明による1000リットルバイオリアクターの場合、好ましくは少なくとも120mm及び最大で180mmであり、より好ましくは前記間隔は152mmである。羽根車距離とも称される少なくとも2個の羽根車の間の距離(D)は、本発明による1000リットルバイオリアクターの場合、好ましくは少なくとも730及び最大で790mmであり、より好ましくは前記羽根車距離は762mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターの羽根車の軸径は好ましくは少なくとも102mm及び最大で152mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターがバッフルを有する場合、バッフルの長さは好ましくは少なくとも2000mm及び最大で2400mmであり、より好ましくは前記長さは2250mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターについてのバッフルの幅は、好ましくは少なくとも70mm及び最大で100mmであり、より好ましくは前記幅は86mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターにおけるバッフル間隔は好ましくは少なくとも7mm及び最大で11mmであり、より好ましくは前記バッフル間隔は9mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターにおけるバッフル高さ(Hbaffle)は好ましくは少なくとも2000mm及び最大で2200mmであり、より好ましくは前記バッフル高さは2099mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターは好ましくは少なくとも1個のスパージャーを有し、より好ましくはそれは1個のスパージャーを有する。本発明による1000リットルバイオリアクターの少なくとも1個のスパージャーは好ましくは少なくとも1.5mm及び最大で2.5mmのオリフィス径又は孔径を有し、より好ましくは前記オリフィス径又は孔径は2mmである。オリフィス数又は孔数は好ましくは少なくとも20及び最大で40であり、より好ましくは前記オリフィス数又は孔数は30である。スパージャー長さ(S)は好ましくは少なくとも150mm及び最大で550mmであり、より好ましくは前記スパージャー長さは305mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターのスパージャーからタンク底部の間隔(S)は好ましくは少なくとも50mm及び最大で75mmであり、より好ましくは前記スパージャーからタンク底部間隔は64mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターのスパージャーから底部羽根車間隔(D−S)は、好ましくは少なくとも75mm及び最大で100mmであり、より好ましくは前記スパージャーから底部羽根車間隔は88mmである。
【0058】
本発明のある好ましい実施形態において、バイオリアクターは、4000リットルの体積を有する。4000リットルバイオリアクターのヘッド体積(V)は好ましくは少なくとも340リットル及び最大で370リットルであり、より好ましくは前記ヘッド体積は359リットルである。4000リットルバイオリアクターの底部体積(V)は好ましくは少なくとも340リットル及び最大で370リットルであり、より好ましくは前記底部体積は359リットルである。本発明による4000リットルバイオリアクターのタンク内径(T)は好ましくは少なくとも1600mm及び最大で1650mmであり、より好ましくは前記タンク内径は1626mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターのタンク断面積(A)は好ましくは少なくとも1.90m及び最大で2.30mであり、より好ましくは前記タンク断面積は2.076mである。本発明による4000リットルの体積を有するバイオリアクターのヘッド高さ(H)及び/又は底部高さ(H)は好ましくは少なくとも260mm及び最大で300mmであり、より好ましくは前記ヘッド高さ及び/又は底部高さは282mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターの合計タンク高さは好ましくは少なくとも2300mm及び最大で3100mmであり、より好ましくは前記合計タンク高さは2817mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターの頂部羽根車直径(Dtop)及び/又は底部羽根車直径(Dbottom)は好ましくは少なくとも680mm及び最大で740mmであり、より好ましくは前記頂部羽根車直径及び/又は底部羽根車直径は710mmである。タンク底部と底部羽根車の中心線の間の間隔(D)は、本発明による4000リットルバイオリアクターにおいて、好ましくは少なくとも500mm及び最大で560mmであり、より好ましくは前記間隔は531mmである。羽根車距離とも称される少なくとも2個の羽根車の間の距離(D)は、本発明による4000リットルバイオリアクターにおいて、好ましくは少なくとも840mm及び最大で900mmであり、より好ましくは前記羽根車距離は872mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターにおける羽根車軸径は好ましくは少なくとも51mm及び最大で64mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターがバッフルを有する場合、バッフルの長さは好ましくは少なくとも2200mm及び最大で2600mmであり、より好ましくは前記長さは2477mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターにおけるバッフルの幅は好ましくは少なくとも150mm及び最大で180mmであり、より好ましくは前記幅は163mmである。バッフル間隔は本発明による4000リットルバイオリアクターにおいては、好ましくは少なくとも12mm及び最大で20mmであり、より好ましくは前記バッフル間隔は16mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターにおけるバッフル高さ(Hbaffle)は好ましくは少なくとも2100mm及び最大で2300mmであり、より好ましくは前記バッフル高さは2195mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターは好ましくは少なくとも1個のスパージャーを有し、より好ましくはそれは1個のスパージャーを有する。本発明による4000リットルバイオリアクターの少なくとも1個のスパージャーは好ましくは少なくとも1.5mm及び最大で2.5mmのオリフィス径又は孔径を有し、より好ましくは前記オリフィス径又は孔径は2mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターにおけるオリフィス数又は孔数は好ましくは少なくとも80及び最大で120であり、より好ましくは前記オリフィス数又は孔数は100である。スパージャー長さ(S)は好ましくは少なくとも250mm及び最大で800mmであり、より好ましくは前記スパージャー長さは568mmである。本発明による4000リットルバイオリアクターのスパージャーからタンク底部間隔(S)は好ましくは少なくとも315mm及び最大で360mmであり、より好ましくは前記スパージャーからタンク底部間隔は337mmである。本発明による1000リットルバイオリアクターのスパージャーから底部羽根車間隔(D−S)は好ましくは少なくとも180mm及び最大で205mmであり、より好ましくは前記スパージャーから底部羽根車間隔は194mmである。
【0059】
本発明のある好ましい実施形態において、バイオリアクターは20000リットルの体積を有する。20000リットルバイオリアクターのヘッド体積(V)は好ましくは少なくとも1600リットル及び最大で2000リットルであり、より好ましくは前記ヘッド体積は1803リットルである。20000リットルバイオリアクターの底部体積(V)は好ましくは少なくとも1600リットル及び最大で2000リットルであり、より好ましくは前記底部体積は1803リットルである。本発明による20000リットルバイオリアクターのタンク内径(T)は好ましくは少なくとも2500mm及び最大で3000mmであり、より好ましくは前記タンク内径は2794mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターのタンク断面積(A)は好ましくは少なくとも5.8m及び最大で6.5mであり、より好ましくは前記タンク断面積は6.131mである。本発明による20000リットルの体積を有するバイオリアクターのヘッド高さ(H)及び/又は底部高さ(H)は好ましくは少なくとも460mm及び最大で500mmであり、より好ましくは前記ヘッド高さ及び/又は底部高さは485mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターの合計タンク高さは好ましくは少なくとも4800mm及び最大で5100mmであり、より好ましくは前記合計タンク高さは4933mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターの頂部羽根車直径(Dtop)及び/又は底部羽根車直径(Dbottom)は好ましくは少なくとも1100mm及び最大で1300mmであり、より好ましくは前記頂部羽根車直径及び/又は底部羽根車直径は1219mmである。タンク底部と底部羽根車の中心線の間の間隔(D)は本発明による20000リットルバイオリアクターにおいては、好ましくは少なくとも890mm及び最大で945mmであり、より好ましくは前記間隔は913mmである。羽根車距離とも称される少なくとも2個の羽根車の間の距離(D)は、本発明による20000リットルバイオリアクターにおいて、好ましくは少なくとも1200mm及び最大で1700mmであり、より好ましくは前記羽根車距離は1498mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターにおける羽根車軸径は好ましくは少なくとも51mm及び最大で64mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターがバッフルを有する場合、バッフルの長さは好ましくは少なくとも4000mm及び最大で4600mmであり、より好ましくは前記長さは4365mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターについてのバッフルの幅は好ましくは少なくとも260mm及び最大で290mmであり、より好ましくは前記幅は279mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターについてのバッフル間隔は好ましくは少なくとも20mm及び最大で35mmであり、より好ましくは前記バッフル間隔は28mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターについてのバッフル高さ(Hbaffle)は好ましくは少なくとも3600mm及び最大で4050mmであり、より好ましくは前記バッフル高さは3882mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターは好ましくは少なくとも1個のスパージャーを有し、より好ましくはそれは2個のスパージャーを有する。本発明による20000リットルバイオリアクターが2個のスパージャーを有する場合、1個は好ましくは制御スパージャーであり、1個は好ましくはバラストスパージャーである。本発明による20000リットルバイオリアクターにおける制御スパージャーは好ましくは少なくとも3mm及び最大で5mmのオリフィス径又は孔径を有し、より好ましくは前記オリフィス径又は孔径は4mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターにおけるバラストスパージャーは、好ましくは少なくとも5mm及び最大で7mmのオリフィス径又は孔径を有し、より好ましくは前記オリフィス径又は孔径は6mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターにおける制御スパージャーのオリフィス/孔数は好ましくは少なくとも230及び最大で270であり、より好ましくは前記オリフィス数又は孔数は250である。本発明による20000リットルバイオリアクターにおけるバラストスパージャーのオリフィス−孔数は好ましくは少なくとも85及び最大で115であり、より好ましくは前記オリフィス数又は孔数は100である。制御及び/又はバラストスパージャーにおけるスパージャー長さ(S)は好ましくは少なくとも500mm及び最大で2000mmであり、より好ましくは前記スパージャー長さは1077mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターのスパージャーからタンク底部間隔(S)は好ましくは制御及び/又はバラストスパージャーにおいて、少なくとも560mm及び最大で620mmであり、より好ましくは前記スパージャーからタンク底部間隔は593mmである。本発明による20000リットルバイオリアクターのスパージャーから底部羽根車間隔(D−S)は、制御及び/又はバラストスパージャーにおいては、好ましくは少なくとも300mm及び最大で340mmであり、より好ましくは前記スパージャーから底部羽根車間隔は320mmである。別個のスパージャーであるバラストスパージャーからバラストを加える上での要件によって、酸素又は酸素豊富DOT要求気体がバラスト気体によって希釈されることが防止される。これによって、スパージャーから生じる気泡の酸素濃度勾配が最大となることから、最良の酸素移動速度(OTR)が確保される。第二に、バラストスパージャーを用いることで、スパージャーを異なる位置に配置することで、pCO制御のための所望のバラストの供給でのDOT制御への影響を回避することが可能となる。バラストスパージャーは、制御スパージャーから独立に設計することができる。
【0060】
本発明によるバイオリアクター設計を用いると、異なる継代培養比を実施することができる。特に好ましい実施形態では、実施される継代培養比は、少なくとも1/5(20体積%)及び最大で1/9(11体積%)、より好ましくは1/5(20体積%)又は1/9(11体積%)の継代培養比である。
【0061】
本発明はさらに、本発明によるバイオリアクターにおいて適切な条件下、適切な培地で、少なくとも1個の哺乳動物細胞を培養することを特徴とする哺乳動物細胞の培養及び増殖方法を含む。
【0062】
本発明によるバイオリアクターには、少なくとも2個の羽根車を有し、上記で記載の少なくとも一つの特徴又は異なる特徴の組み合わせを示す全てのバイオリアクターが含まれる。
【0063】
本発明による方法では、バイオリアクターの少なくとも2個の羽根車の撹拌速度は、好ましくは少なくとも55W/m及び最大で85W/mである。好ましくは、少なくとも5×10−5m/s、より好ましくは少なくとも10×10−5m/sの速度で空気を培地に拡散させる。
【0064】
本発明の特に好ましい実施形態において、好ましくは互いに空間的に分離しているアルカリを分配するための二つの添加ポートからアルカリを加える。これによって、タンク中での再循環時間が長くなる場合にアルカリの混合がより迅速となる。COは好ましくは制御スパージャーを介して加える。
【0065】
アルカリ及び/又はCOは好ましくは、培地のpHを調節するのに用いられる。
【0066】
タンク底部から913mmの下側ポートリングに制御プローブ及びバックアッププローブがあることが好ましい。
【0067】
本発明のある好ましい実施形態において、本発明による方法は、1000リットルの体積を有するバイオリアクターで行う。1000リットルバイオリアクターを用いる当該方法で使用される培地の体積は、好ましくは接種前の間は50リットルから250リットルである。接種後の期間では、培地の体積は好ましくは少なくとも300リットル及び最大で960リットルである。移動前/回収期では、1000リットルバイオリアクターでの培地の体積は好ましくは少なくとも300リットル及び最大で960リットルである。本発明による1000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最小運転体積(Vmin)は好ましくは80リットルから120リットルであり、より好ましくは前記最小運転体積は100リットルであり、最大運転体積(V)は好ましくは少なくとも900リットル及び最大で1100リットルであり、最大運転体積はより好ましくは1000リットルである。最小攪拌体積は好ましくは少なくとも230リットル及び最大で255リットルであり、より好ましくは前記最小攪拌体積は245リットルである。最小運転体積での液体高さ(Hmin)は、1000リットルの体積を有するバイオリアクターでは、好ましくは少なくとも210mm及び最大で240mmであり、より好ましくは最小運転体積での前記液体高さは228mmである。1000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最大運転体積での液体高さ(H)は好ましくは少なくとも1500mm及び最大で1900mmであり、より好ましくは最大運転体積での前記液体高さは1764mmである。最小アスペクト比(Hmin/T)は好ましくは少なくとも0.15及び最大で0.19であり、より好ましくは前記最小アスペクト比は0.17である。本発明による方法で使用される体積1000リットルを有するバイオリアクターについての最大アスペクト比(H−T)は好ましくは少なくとも1.8及び最大で2.1であり、より好ましくは前記最大アスペクト比は1.96である。フリーボード体積は好ましくは少なくとも270リットル及び最大で310リットルであり、より好ましくは前記フリーボード体積は293リットルである。フリーボード高さは好ましくは少なくとも450mm及び最大で550mmであり、より好ましくは前記フリーボード高さは500mmである。合計直線高さ(H)は好ましくは少なくとも1900mm及び最大で2200mmであり、より好ましくは前記合計直線高さは2045mmである。上側プローブ又はサンプルリングの高さは好ましくは少なくとも900mm及び最大で1200mm、より好ましくは上側プローブ又はサンプルリングの前記高さは1093mmである。下側プローブ−サンプルリングの高さは好ましくは少なくとも152mm及び最大で286mmである。
【0068】
本発明のある好ましい実施形態において、本発明による方法は、4000リットルの体積を有するバイオリアクターで行う。4000リットルバイオリアクターを用いる当該方法で使用される培地の体積は、好ましくは接種前の間は1914リットルから3077リットルである。接種後の期間では、培地の体積は好ましくは少なくとも2153リットル及び最大で3846リットルである。移動前/回収期では、4000リットルバイオリアクターでの培地の体積は好ましくは少なくとも2153リットル及び最大で3846リットルである。本発明による4000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最小運転体積(Vmin)は好ましくは1500リットルから2200リットルであり、より好ましくは前記最小運転体積は1900リットルであり、最大運転体積(V)は好ましくは少なくとも3800リットル及び最大で4200リットルであり、最大運転体積はより好ましくは4000リットルである。最小攪拌体積は好ましくは少なくとも1500リットル及び最大で1800リットルであり、より好ましくは前記最小攪拌体積は1645リットルである。最小運転体積での液体高さ(Hmin)は、4000リットルの体積を有するバイオリアクターでは、好ましくは少なくとも800mm及び最大で1200mmであり、より好ましくは最小運転体積での前記液体高さは1024mmである。4000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最大運転体積での液体高さ(H)は好ましくは少なくとも1800mm及び最大で2200mmであり、より好ましくは最大運転体積での前記液体高さは2034mmである。最小アスペクト比(Hmin/T)は好ましくは少なくとも0.55及び最大で0.75であり、より好ましくは前記最小アスペクト比は0.63である。本発明による方法で使用される体積4000リットルを有するバイオリアクターについての最大アスペクト比(H−T)は好ましくは少なくとも1.1及び最大で1.4であり、より好ましくは前記最大アスペクト比は1.25である。フリーボード体積は好ましくは少なくとも850リットル及び最大で1250リットルであり、より好ましくは前記フリーボード体積は1039リットルである。フリーボード高さは好ましくは少なくとも450mm及び最大で550mmであり、より好ましくは前記フリーボード高さは500mmである。合計直線高さ(H)は好ましくは少なくとも2000mm及び最大で2400mmであり、より好ましくは前記合計直線高さは2252mmである。上側プローブ又はサンプルリングの高さは好ましくは少なくとも1200mm及び最大で1600mm、より好ましくは上側プローブ又はサンプルリングの前記高さは1403mmである。下側プローブ又はサンプルリングの高さは好ましくは少なくとも500mm及び最大で550mmであり、より好ましくは下側プローブ又はサンプルリングの前記高さは531mmである。
【0069】
本発明のある好ましい実施形態において、本発明による方法は、20000リットルの体積を有するバイオリアクターで行う。20000リットルバイオリアクターを用いる当該方法で使用される培地の体積は、好ましくは接種前の間は13913リットルから17096リットルである。接種後の期間では、培地の体積は好ましくは少なくとも17391リットル及び最大で19231リットルである。移動前/回収期では、20000リットルバイオリアクターでの培地の体積は好ましくは少なくとも20000リットル及び最大で21739リットルである。本発明による20000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最小運転体積(Vmin)は好ましくは9000リットルから16000リットルであり、より好ましくは前記最小運転体積は13000リットルであり、最大運転体積(V)は好ましくは少なくとも19000リットル及び最大で25000リットルであり、最大運転体積はより好ましくは22000リットルである。最小攪拌体積は好ましくは少なくとも8100リットル及び最大で8500リットルであり、より好ましくは前記最小攪拌体積は8379リットルである。最小運転体積での液体高さ(Hmin)は、20000リットルの体積を有するバイオリアクターでは、好ましくは少なくとも2100mm及び最大で2500mmであり、より好ましくは最小運転体積での前記液体高さは2309mmである。20000リットルの体積を有するバイオリアクターにおける最大運転体積での液体高さ(H)は好ましくは少なくとも3550mm及び最大で3950mmであり、より好ましくは最大運転体積での前記液体高さは3777mmである。最小アスペクト比(Hmin/T)は好ましくは少なくとも0.70及び最大で0.99であり、より好ましくは前記最小アスペクト比は0.83である。本発明による方法で使用される体積20000リットルを有するバイオリアクターについての最大アスペクト比(H−T)は好ましくは少なくとも1.2及び最大で1.5であり、より好ましくは前記最大アスペクト比は1.35である。フリーボード体積は好ましくは少なくとも5750リットル及び最大で6500リットルであり、より好ましくは前記フリーボード体積は6131リットルである。フリーボード高さは好ましくは少なくとも900mm及び最大で1100mmであり、より好ましくは前記フリーボード高さは1000mmである。合計直線高さ(H)は好ましくは少なくとも3700mm及び最大で4100mmであり、より好ましくは前記合計直線高さは3968mmである。上側プローブ又はサンプルリングの高さは好ましくは少なくとも2200mm及び最大で2650mm、より好ましくは上側プローブ又はサンプルリングの前記高さは2411mmである。下側プローブ又はサンプルリングの高さは好ましくは少なくとも880mm及び最大で940mmであり、より好ましくは下側プローブ又はサンプルリングの前記高さは913mmである。
【0070】
20000リットルの体積を有するバイオリアクターに関して、使用される好ましい接種比は11体積%(1/9希釈)又は20体積%(1/5希釈)であり、接種後体積の4体積%から25体積%の供給を行うのが好ましい。20000リットルバイオリアクターでの接種後体積は好ましくは、15%までの供給を行うように調節することで、全ての供給物を加えた後に、回収時の最終体積が20000リットルで終了するようにする。しかしながら、15体積%より大きい供給量の場合、接種後体積は好ましくは15体積%供給量に関して調節するが、供給後は最終回収前体積は最小で20000リットル、最大で22000リットルである。20000リットルバイオリアクターは、バッチ終了後に合計20000リットルから22000リットルを保持することが期待される。
【0071】
20000リットルの体積を有するバイオリアクターは好ましくは、10から15日間にわたり回分式又は流加回分式で運転する。
【0072】
本発明はさらに、a)少なくとも500リットル、好ましくは少なくとも1000リットルの体積を有する第一のバイオリアクターがb)前記第一のバイオリアクターより大きい体積を有する少なくとも2000リットル、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターと連結されており、前記少なくとも2000リットル、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターがc)前記第二のバイオリアクターより大きい体積を有する少なくとも2個の羽根車及び少なくとも10000リットル、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターに連結されていることを特徴とする哺乳動物細胞の培養のためのバイオリアクターシステムをも含む。
【0073】
本発明のある好ましい実施形態において、前記バイオリアクターシステムは、前記バイオリアクターのうちの少なくとも一つが本発明によるバイオリアクターであることを特徴とする。より好ましくは、前記バイオリアクターシステムの全てのバイオリアクターが本発明によるバイオリアクターである。
【0074】
本発明によるバイオリアクターは、この文脈において、本説明、実施例及び特許請求の範囲に記載の全てのバイオリアクターである。
【0075】
本発明によるバイオリアクターシステムは、バイオリアクタートレイン又は装置とも称される。
【0076】
バイオリアクタートレインは好ましくはステージとも称される各種バイオリアクターを有する。少なくとも500リットル、好ましくは少なくとも1000リットルの体積を有するバイオリアクターは、ステージN−3及び/又はN−2に相当する。少なくとも2000リットル、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有するバイオリアクターは、ステージN−1に相当する。少なくとも10000リットル、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有するバイオリアクターはステージNに相当する。
【0077】
バイオリアクタートレインの設計は、バイオリアクター内での良好に混合された細胞懸濁液及び混合養分供給を維持しながらpH、溶存酸素圧(DOT)及び温度等の工程パラメータに関して均質な環境を確保する必要性に基づくものである。バイオリアクタートレインのバイオリアクターは好ましくは、幾何学的類似性を示す。これにより、例えば12リットル実験室規模又は500リットルのパイロット規模での規模縮小モデルを開発することが可能となる。ステージN−3、N−2及びN−1のバイオリアクターはシードバイオリアクターとして用いる。ステージNのバイオリアクターは製造バイオリアクターとして用いる。シード及び製造バイオリアクターの設計は好ましくは、同じ原理に基づいたものである。しかしながら、処理における柔軟性を可能とするためには、若干の逸脱が必要となる可能性がある。
【0078】
本発明のある好ましい実施形態において、アスペクト比H/Tは少なくとも0.17及び最大で1.96である。
【0079】
本発明のある好ましい実施形態においては、さらに別のバイオリアクター、特にはステージN−4に相当する50リットルバイオリアクターがある。
【0080】
本発明のある好ましい実施形態において、N−4バイオリアクターはS−200シードウェーブバイオリアクター又は100リットル撹拌タンクリアクターである。
【0081】
本発明のある好ましい実施形態において、液体、例えば培地は、空気圧式流動ポンプ又は蠕動ポンプによって一つのバイオリアクターから別のバイオリアクターに移動させることができる。
【0082】
本発明はさらに、a)少なくとも1個の哺乳動物細胞を、少なくとも500リットルの体積、好ましくは少なくとも1000リットルの体積を有する第一のバイオリアクターで適切な条件下に適切な培地で培養し、b)前記少なくとも1個の哺乳動物細胞からの増殖によって得られる前記細胞を含む前記培地を少なくとも2000リットルの体積、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターに移し入れ、c)前記移し入れた細胞を前記少なくとも2000リットルの体積、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターで培養し、d)段階c)で得られた前記細胞を含む前記培地を少なくとも10000リットルの体積、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターに移し入れ、e)前記移し入れた細胞を前記少なくとも10000リットルの体積、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターで培養することを特徴とする、哺乳動物細胞の培養及び増殖方法を含む。
【0083】
本発明のある好ましい実施形態において、前記方法は、使用されるバイオリアクターのうちの少なくとも一つが本発明によるバイオリアクターであり、より好ましくは使用される全てのバイオリアクターが本発明によるバイオリアクターであることを特徴とする。
【0084】
本発明によるバイオリアクターは、この文脈において、本説明、実施例及び特許請求の範囲に記載の全てのバイオリアクターである。
【0085】
段階e)のバイオリアクターは好ましくは、回分方式又は流加回分方式で運転される。段階e)では、細胞は好ましくは10から15日間培養する。
【0086】
段階a)は、ステージN−3及び/又はN−2とも称される。段階c)は、ステージN−1とも称される。段階e)はステージNとも称される。
【0087】
好ましくは段階a)、c)及びe)のバイオリアクターでの培養条件は同じである。より好ましくは、段階a)、c)及びe)のバイオリアクターでの培養条件は、pH、溶存酸素圧及び温度等の工程パラメータに関して均質な環境を有する。好ましくは段階a)、c)及びe)のバイオリアクターでのpH、溶存酸素圧及び温度は同じである。
【0088】
本発明のある好ましい実施形態において、移動段階b)及び/又はd)後の接種比は、少なくとも10体積%、より好ましくは少なくとも11体積%(1/9希釈)及び最大で30体積%、より好ましくは20体積%(1/5希釈)である。
【0089】
好ましくは、段階b)及びd)では、培地全体又は培地の一部のみを移動させる。
【0090】
本発明の別の好ましい実施形態は、下位クレームの主題である。
【実施例】
【0091】
下記の実施例及び添付の図において、本発明をより詳細に説明する。
【0092】
図1は、本発明によるバイオリアクターを示す。1はバイオリアクターである。10はタンクの直径(T)である。20はバイオリアクターの合計直線高さ(H)である。30はバイオリアクターの底部高さ(H)である。40はバイオリアクターのヘッド高さ(H)である。50は、最大運転体積での液体高さ(H)である。60は、頂部羽根車直径(Dtop)である。68は頂部羽根車である。70は底部羽根車直径(Dbottom)である。78は底部羽根車である。80は、タンク底部と底部羽根車の中心線との間の間隔(D)である。90は羽根車距離(D)である。100は、液体表面下の頂部羽根車の間隔(D)である。108はスパージャーである。110は、スパージャーからタンク底部の間隔(S)である。120は、スパージャーから底部羽根車の間隔(D−S)である。128はバッフルである。138は、下側リングに配置されたポートである。148は、頂部羽根車68の中心線に配置されたポートである。
【0093】
図2は、本発明のバイオリアクターシステムを示す。111は、1000リットルの体積を有するバイオリアクターである。11は、4000リットルの体積を有するバイオリアクターである。1は、20000リットルの体積を有する本発明によるバイオリアクターである。
【0094】
実施例1:20000リットルバイオリアクター
20000リットルバイオリアクターを、10から15日間にわたり回分方式又は流加回分方式で運転して哺乳動物細胞の培養を行う。哺乳動物細胞は、羽根車システムを介した撹拌によって均質懸濁液に維持する。
【0095】
容器の幾何形状
20000リットルバイオリアクターの容器の幾何形状は、許容されるアスペクト比が達成されるまで最大作業体積、フリーボード直線側部距離、アスペクト比H/T及び羽根車からタンクの直径、D/T比を変える反復設計基準によって決定した。
【0096】
バイオリアクターアスペクト比H/T
この非常に重要な設計パラメータにより、バイオリアクターの幾何形状の特徴付けが可能となる。相対的に高いアスペクト比を有するタンクは、より長い気体滞留時間を提供することで、より大きいKaとすることができる。しかしながら、ヘッド圧が高くなると、可溶性気体の蓄積が生じ得る。タンクにおけるアスペクト比H/Tが相対的に低くなると、気体滞留時間が短くなって、曝気により多くの気体流が必要となり、泡の蓄積がさらに多くなる可能性がある。低アスペクト比では表面破壊及び渦流形成が下側羽根車回転で起こることから、Kaを大きくするための羽根車駆動撹拌もH/Tによって制限される。したがって、アスペクト比の選択は、表1で強調した問題について若干考えた上で経験に基づくところが大きい。
【表1】

【0097】
表2に、通常の処理の際に各種運転体積での20000リットルバイオリアクターにおけるアスペクト比を記載してある。アスペクト比を500リットル規模で調べたところ、表面気体速度及び単位体積当たり電力を一定に維持される場合、Kaは一定のままである。
【表2】

【0098】
タンク直径
タンク直径を変えて、至適なアスペクト比H/Tを得る。タンク内径(I)に対する変更は、許容されるアスペクト比及びプラント設置面積によって制限される。Iは2.794mである。
【0099】
タンク高さ
最大運転体積、アスペクト比H/T、フリーボード直線側面長さ、底部及び頂部プレート設計からタンク高さを決定する。最終タンク高さは、泡用の予備体積(volumetric contingency)、プラント高さ及び羽根車軸長さから決定される妥協的値である。底部からヘッドの接線までのタンク高さは4.933mである。
【0100】
フリーボード高さ
フリーボード高さは、バイオリアクターがその最大運転体積まで充填された時の液体ヘッドより上の直線側面の長さと定義される。これは、下記のものの程度を考慮することで決定される。
【0101】
・運転時の泡蓄積
・最大許容撹拌及び曝気での気体ホールドアップ
・液体計量における誤差。
【0102】
フルスケールで工程を試験的に行いながらそれぞれの正確な寄与についてわからない場合は、通常は推算を行う。フリーボード高さの量は、頂部駆動システムにおける羽根車軸長さを短くする願望と均衡を取るものであり、余分な長さは利用可能な機械的密閉の設計及び選択、羽根車リングの定常的な支持及び安定化の要件を複雑化する可能性がある。したがって、1000mmの最小フリーボード高さ(又は6100リットルの容積又は最大運転体積の28体積%)を用いる。
【0103】
頂部及び底プレート
所望の機械的強度、自由排液クリーン設計及び流体流について考察して、頂部及び底プレートの設計の選択を行った。規模縮小とフルスケールの間の一貫したプレート設計の維持は、幾何学的類似性の維持に寄与するものである。底プレートは、American Society of Mechanical Engineers Flanged and Dished(ASME F&D)設計のものである。頂部プレート設計は、マンウェイに対応するものであるか、羽根車の取り扱い/取り外しを可能とするフランジ頂部プレートである。
【0104】
バイオリアクター撹拌要件
バイオリアクターの撹拌は、急速な混合を達成し、均質性を維持し、哺乳動物細胞を懸濁状態に維持し、気泡を分散状態に維持するためのものである。上記の目的を達成する上で根底にある問題は、羽根車の幾何形状及び羽根車ブレードの背後で生じる渦巻きもしくは渦流から生じる剪断力による細胞損傷の低減である。適切な羽根車の種類を選択することで、上記目的の妥協点に達することができる。
【0105】
底部駆動と頂部駆動の羽根車軸
バイオリアクターの頂部又は底部から攪拌機軸を駆動する決定は重要であり、表3に明示した多くの問題を検討して決める。
【表3】

【0106】
頂部取り付け羽根車軸は、底部取り付けのものより長くなる傾向があり、それによって軸は重くなり直径が大きくなる。さらに、軸長さは機械的シールの二つの面間の固有の間隔とともに、定常的な支持及び安定化リングによって過剰な「軸揺れ」を防止する上での要件を決定し得るものである。攪拌機、ギアボックス及びシールアセンブリ周囲の使える空間によって、整備及び保守が影響を受け、オンサイトでの軸取り付け及び取り外しはプラント高さによって制限を受ける。
【0107】
タンク底部でのシール及び羽根車軸の突出部によって、タンク底部付近のスパージャーの配置が制限される。この寸法は、タンクの流体力学に影響を与えることから、至適な設計を特定する上では、その変化に対する許容性が重要である。
【0108】
液体ヘッドとともに下降ポンプ送り羽根車の下方負荷は、シールの可動面と固定面の間の累積負荷が大きく(上昇ポンプ送り又は頂部取り付け軸と比較して)、結果的にシール面の摩耗が大きくなる。シールを供給する復水ラインでの過圧がさらに失われると、培地がシール内に浸透することになり得る。これによって、液面下シールが衛生性の低い設計となる。
【0109】
液面下シールによって、回収排液バルブの位置を妥協することで、自由排液バイオリアクターの設計が複雑となる。第二に、回収ノズルの直径が制限され得ることから、回収流の流量が制限されることになる。したがって、頂部取り付け羽根車軸は、20000リットルバイオリアクターで用いる。
【0110】
バッフル
中心の取り付け羽根車についてのバッフル要件は、渦流形成を防止する上で必須である。バッフル関連の非常に重要な問題は、バッフル数、バッフル幅(W)、バッフル長さ(Hbaffle)及びバッフルからタンク壁間隔(W)である。
【0111】
0.1×T又は279mm幅1.1×H−H又は3882mm高さであり、バッフルからタンク壁間隔Wが0.01×T又は28mmである4個の等間隔に配置されたバッフルが推奨される。
【0112】
バッフルの厚さについては具体的には指定しないが、厚さによって流体流の放射方向成分に対する剛性を確保する必要がある。さらに、厚さによって、SIP時にバッフルプレートが歪んでバッフルからタンク壁間隔に影響を与えないようにする必要がある。
【0113】
羽根車の種類
Rushton(又はRushton型)等の高剪断羽根車は、気体分散に関して強力な放散を提供するが、混合及び均質性に必要な軸方向流に欠けている。さらに、高剪断羽根車からの撹拌は、過剰な細胞損傷の危険性を有する。
【0114】
表4は、等価な流体力学及び細胞増殖成績を与えた実験室規模(12.2リットル)で調べた羽根車を示したものである。水中翼は、高堅牢性ピッチブレード羽根車の上に取り付けている。
【0115】
表4に記載のD/T比のLightnin A310及びA315を、バイオリアクターを用いている。
【表4】

【0116】
羽根車/タンク直径、D/T比
軸方向流羽根車の直径は、0.5×T未満であることが推奨される。これより大きい直径では軸方向流に乱れが生じることから、撹拌及び曝気が不十分となる。
【0117】
バイオリアクター中への電力散逸及びレイノルズ数も、乱流(負荷)形態を維持する上で十分に高いものである必要がある。したがって、羽根車直径の選択は、バイオリアクターの流体力学的特徴を超えることなく十分な均質混合を確保する上で十分に大きい直径の選択の間の妥協である。それには、軸方向流の絞り、不十分な電力散逸、羽根車先端速度の上限超え及び混合が不十分な層流ゾーンの形成等がある。
【0118】
直径を選択したら、規模縮小パイロット容器間で一定のD/T比を維持することが、規模研究の中心仮定である幾何形状の類似性維持の仮定を維持する上で非常に重要である。
【0119】
12.2リットルでのKa規模拡大相関性を、表4に示したD/T比で4種類の羽根車について求めた。幾何学的類似性の観点から、A310直径1.229m(D/T0.44)及びA315直径1.285m(D/T0.46)が推奨される。しかしながら、マンウェイ直径は、取り付け及び取り外し可能な最大羽根車直径を1.219mに制限し得る。したがって、1.219m直径であるA310及びA315を用いることで、羽根車の取り付け及び取り外しの容易さに合わせ、規模縮小試験で提案される幾何学的類似性に近い状態を維持する。
【0120】
羽根車の間隔D及び間隔D
複数の羽根車を有するバイオリアクターでの羽根車の間の間隔は、検討すべき重要な寸法である。二重Rushtonタービンを有するバイオリアクター(放射流)に関して、二重羽根車の間隔が軸方向に0.5×D未満である場合、無通気消費電力は単一の羽根車と同等である。2×Dの間隔では、消費電力は相加的(adductive)となる。したがって、羽根車間隔が0.5倍未満となり、複数羽根車の要件が不要となった場合、羽根車の効率低くなる。注目すべき重要な点として、羽根車間隔もバイオリアクター内でデッドゾーン(混合が不十分なゾーン)が形成される可能性に影響を与える。羽根車間隔の選択に対する別の制約は、バイオリアクター内で必要とされる個別の作業体積である。
【0121】
1.229×Dbottom(1498mm)の羽根車間隔Dにより、両方の羽根車が最低接種後体積17392リットルで液面下に留まることができ、上側羽根車よりの液頭Dが0.5×Dtop(615mm)であり、オフ(off)底部間隔Dが0.75×Dbottom(913mm)である。
【0122】
表5には、羽根車より上の液体表面又は下側液体カバーを形成する体積を示してある。これらの臨界体積での発泡を回避するよう、撹拌を変える必要がある。
【表5】

【0123】
液体表面下の頂部羽根車の間隔D
液体表面から上の羽根車ブレードの破壊は、それによって流れ及び羽根車の動力放散が無効となることから望ましくない。さらに、それにより、ヘッドスペース気体が流体中にかなり表面捕捉され、過剰の泡が生じるために不明のKa値が発生する。Dは放射方向流羽根車に関しては0.3×Dであり、A310等の軸方向流羽根車に関しては0.5×Dである。しかしながら、Dが2×Dに近づくに連れて、羽根車は穏やかな混合負荷を与える。Ka試験でバイオリアクターKaが底部A315羽根車によって最も影響を受け、頂部A310羽根車がバルク混合に寄与することが明らかになっていることから、これは製造バイオリアクター用途には許容される。
【0124】
及びDの値を設定することで、Dは製造バイオリアクターの運転時には至適範囲で維持される。バッチの途上において、頂部羽根車より上の液体カバーが0.5×DA310及び1.08×DA310から変化する。バイオリアクターに養分供給液を送り、一定のpHを維持するためにアルカリを送るにつれて、頂部羽根車より上の液体カバーは多くなる。表6には、運転体積の範囲における頂部羽根車より上の液体カバーの範囲を示してある。
【表6】

【0125】
撹拌速度−rpm、P/V及び先端速度
下記の表7には、20000リットルバイオリアクターについての撹拌速度を具体的に記載している。バイオリアクターは、代表的には20から260W/m、好ましくは55から85100W/mで撹拌する。撹拌戦略は、500リットルパイロット醗酵時に開発されているところである。したがって、0から80±1rpmの撹拌速度を運転範囲として用いる。
【表7】

【0126】
機械的シールの規格
バイオリアクターにおいては、全てのシールは、最大「振れ」又はゆらぎ許容値0.2mmの二重機械的シールであるべきである。下記の3種類が考えられる。
【0127】
・無菌凝縮物で潤滑される湿式シール
・N又はCA等の無菌気体で潤滑される乾式シール
・一方向回転性(uni-rotational)である非潤滑の浮遊シール。
【0128】
全ての機械的シールを、年1回整備することが推奨される。それには、バイオリアクターからのシールの取り外し及び販売者へのシールアセンブリの送付が必要である。したがって、設計では日常的保守の容易さを考慮しなければならない。
【0129】
乾式型のシール(John Crane−5280D型)では、年間3gの樹脂含浸炭素からなる損失(シール面及びシール座部材料)が生じる。これは、1年間にわたる連続24時間運転に基づくものである。湿式シールからの損失の量は、それよりかなり少ない。したがって、全てのバイオリアクター二重シールに湿式凝縮物潤滑シールを採用する。
【0130】
バイオリアクター曝気要件及びガス処理戦略
20000リットルバイオリアクターの曝気負荷は下記によって支配される。
【0131】
・Ka要件
・DOT制御戦略
・pCO制御/除去戦略
・焼結又はフルート形スパージャーの使用。
【0132】
20000リットルバイオリアクターは、酸素取り込み速度5mmol×L−1×h−1でのプロセスについて20h−1以下のKa値を提供するように設計される。バイオリアクター設計は、細胞20×10個×mL−1に達するプロセスの培養を可能とするだけの柔軟性が必要である。
【0133】
その曝気要件は、多くの異なる手法によって達成可能である。しかしながら、ピーク酸素要求時における酸素移動速度(OTR)の不足を補うために空気及び酸素豊富なフルート形スパージャーの使用を行った。この手法の利点は下記の通りである。
【0134】
・フルート形スパージ設計のCIP及びSIPバリデーションの相対的容易さ;
・溶存CO除去を助ける、相対的に大きい空気スループット;
・1回使用の焼結要素の購入を回避することによる運転コストの削減。
【0135】
上記で選択される手法の欠点も検討する必要がある。それには、下記のものがある。
【0136】
・選択される低動力数羽根車についての固有のKaが相対的に低い。
【0137】
したがって、バイオリアクター曝気設計は、所望のKaを満足するように変えられる柔軟性を有するべきである。
【0138】
表8には、20000リットルバイオリアクターについての気体処理要件を記載してある。一定の表面気体速度で気体流量を大きくした。
【0139】
2種類のスパージャーを用いる。主又は「DOT制御」スパージャーは、二重範囲清浄空気マスフローコントローラー(MFC)及び酸素MFCによって供給され、気体流はDOT制御ループを介して計量され、COMFCは酸pH制御ループを介して気体を計量する。二重範囲MFCを用いて、所望の運転範囲の両端での正確な流動制御を行う。
【0140】
第2又は「バラスト」スパージャーは、窒素も供給されるCAMFCによって供給される。早期DOT要求を支援し、DOTを設定点まで低下させるのにわずかな窒素バラストが早期DOT制御で必要とされることが測定された。バラストスパージャーは、バラスト空気も計量して、過剰のpCOの除去を促進する。
【0141】
ヘッドスペースパージを用いて、ヘッドスペースからのCO及び酸素の除去を可能とする。これは、pH及びpCO制御並びに環境に排気する前の高酸素混合物の希釈をより良好に促進するためである。ヘッドスペース流量を変える能力によって、酸素濃縮度及び制御点pCOの異なる混合物を必要とする多様なプロセスについて気体処理戦略の設計が可能となる。
【表8】

【0142】
スパージャー取り付け用のバイオリアクターポートは、直径51mmの配管設計に適合するように設計する。ポートの位置は、下側羽根車の底部縁部下320mm及びタンク底部から593mm以下(S)の距離での制御スパージャー(D−S)の設置を可能とするものである。
【0143】
これにより、593mm又は(0.65×D)のS値となり、それは0.2×Dから0.6×Dの許容範囲外である。しかしながら、500リットルでの流体力学試験で、0.41から0.71×DのS間隔が測定されるKaに全く影響しないことが示唆される。
【0144】
バラストスパージャーの設置用の別のポートも構築した。このポートの位置は、下側羽根車の底部縁部下320mm及びタンク底部から593mm以下(S)の距離(D−S)でのバラストスパージャーの設置を可能とするものである。別のスパージャーからバラストを加える要件は、下記の3個の理由によるものである。
【0145】
・第1に、それは、酸素又は酸素豊富DOT要求気体のバラスト気体による希釈を防止する。スパージャーから発生する気泡の酸素濃度勾配が最大であることから、これによって最も良好なOTRが確保される。
【0146】
・第2に、それによって、バラストスパージャーを制御スパージャーから異なる位置に配置して、pCO制御のために所望のバラストを送る際にDOT制御への影響を回避することができる。
【0147】
・第3に、バラストスパージャーを、DOT制御スパージャーから独立に設計することができる。
【0148】
孔から出る気体の目標のレイノルズ数Rが<2000となり、チェーン(chain)気泡状態時に気泡のザウタ平均直径が10から20となるまで、孔径及び孔数の計算を反復する。表9には、20000リットルバイオリアクターについての制御及びバラストスパージャーに関する主要規格を示してある。
【表9】

【0149】
0.8×Dbottom(底部A−315羽根車直径の80%直径)のリングスパージャーを用いて、ブレード下に孔を分布させ、羽根車ハブはない。しかしながら、この構成のCIP及び設置は困難である。したがって、孔の最も良好な分布及び衛生的設計と一致する形で所望数の孔の分布を可能とするスパージャー幾何形状の選択も用いることができる。
【0150】
一つの選択肢として、直線配管ではなく三日月形配管が検討されている。三日月形の曲率は0.8×Dbottomである。バイオリアクターの側面ポートからの取り付け及び取り外しを容易にするため、三日月形の外周は、0.8×Dbottom環形の完全な外周の240°であり、それは1077mmである。
【0151】
DOT制御スパージャーは長さ1077mmであり、51mmの直径を有する。孔は4mmの直径を有する。背面(鉛直)から45°で2列(2×125)に分けられた合計250個の孔を用いる。スパージャーの両端にある直径4mmの排液孔をスパージャーの前側に開けて、スパージャーの自由なCIP排液を助ける。
【0152】
バラストスパージャーは長さ1077mmであり、51mmの直径を有し、一つの背面列で合計100個の6mm直径の孔を有する。スパージャーの両端の直径4mmの排液孔をスパージャーの前側に開けて、スパージャーの自由なCIP排液を助ける。
【0153】
プローブ、添加ポート及びサンプルポートの位置
プローブのリング位置は、バイオリアクターの混合が良好な代表的な領域にあるべきである。追加的な検討事項には、作業体積範囲及び人間工学的作業等があった。プローブポート、サンプルバルブ及び添加ポートの位置を一体で考慮して、一過性の急激な増量を回避した。さらに、プローブ制御に関してのサンプルバルブの位置は、測定される工程パラメータのオフライン検証の正確な計算ができるようにする必要がある。これを表10に示す。
【表10】

【0154】

【0155】

【0156】
添加ポート、表面及び液面下
液体表面を終端とする添加ポート及び液面下のものを決定する必要性を、運転シナリオ及び工程制御に対する供給戦略の効果によって確認した。
【0157】
現在、タンパク質を含まないプロセスは、バイオリアクターの良好に混合された領域で放出される必要がある二つの連続供給流を有する。良好に混合された領域に、グルコース及び「LS1型」ショット添加もさらに重ねて行う。1:10希釈C−乳濁液の表面添加によって発泡を制御する。培養物が培地表面上に滴下されるに連れて生じる泡の蓄積を回避することで、接種前バイオリアクターへのシード接種が行われる。下記のポートを設計した。
【0158】
・培地投入口、接種物投入口、容器壁内に向いた1個の小型添加投入口、そしてタンク壁から離れた液体表面上に滴下する他の投入口の6個所表面添加
・2個の供給タンクからの投入口及びアルカリタンクからの2層投入口からなる4個所表面下添加。
【0159】
サンプルポート
サンプルポート設計は、バイオリアクターからの代表的サンプル採取を可能とするものである。したがって、残留材料はできるだけ少なくすべきである。採取されたサンプルを用いて、溶存気体、pH、栄養素及びバイオマス濃度のオフラインチェックを行う。ポート開口部のオリフィスは、バイオマス凝集物の保持を生じる篩過を防止するだけの大きさのものとする。2mmオリフィスNovaSeptumサンプリング装置を用いた。しかしながらこれは、ポートの残留体積を低く保ちたいという要求とバランスを取るべきである。そのポートは、オフラインチェックによって検証する必要があるプローブに隣接する良好混合ゾーンに配置する必要があり、ノズル位置によって決定される(表10参照)。
【0160】
添加タンク
コスト及び時間を節減するため、バイオリアクターに供給を行う添加タンクはモジュール設計のものとする。生産バイオリアクターは、2500リットルの公称体積を有する添加タンク3個を有する。添加タンクは25リットル/分で充填される。添加タンクからバイオリアクターへの供給液の流量は、供給液0.2から1.0mL/接種後バイオリアクター体積1リットル/時間(mL/L/h)に制御される。供給速度は接点点の±5%に制御されることが期待される。
【0161】
生産バイオリアクターでは、1372mmID×1880mmの添加タンク3個を使う。これらのタンクは、独立に及び生産バイオリアクターとともにクリーニング及び滅菌することができる。
【0162】
マンウェイ
ある種の整備操作を行うには、バイオリアクターへのアクセスが必要である。フランジ付きの頂部プレート又は頂部プレートへのマンウェイの組み込みを検討することで、アクセスは可能である。バイオリアクターへのアクセスの必要性は下記の理由によるものである。
【0163】
・羽根車の取り付け
・羽根車及び羽根車軸の取り付け及び交換
・機械的シールの取り付け及び交換
・容器付属品の整備
・所望の流体力学的特徴を得るためのスパージャー位置変更の可能性。
【0164】
マンウェイの大きさは、上記の目的のためのアクセスを可能とするだけのものでなければならない。使用したマンウェイは、直径1219mmの2個の羽根車の取り外しを可能とするだけの直径のものであった。
【0165】
体積測定
この設計は、いずれのセンサーも運転範囲当たりでの体積測定において十分な正確さを与えるようなものとする。
【0166】
バイオリアクターにおける体積測定は、13000から25000リットルの範囲を測定することができる。そのセンサー感度は、フルスパンの少なくとも0.5%である必要がある。
【0167】
供給添加タンク及びアルカリタンクでの体積測定は、それぞれ0から2200及び2500リットルを測定することができる。そのセンサー感度は、フルスパンの少なくとも0.2%である必要がある。これによって、添加タンクにおける体積減少を測定することにより、最小流量0.2mL/L/時又は3.5リットル/時で供給流速の検証を毎時行うことができる。
【0168】
バイオリアクター温度制御
培地は、工程制御によって運転温度及びpHとする。これは、ジャケットの「温和な」加熱(容器壁での高温を回避)によって行われる。運転時の温度制御範囲は36から38℃であり、精度は設定点で±2℃である。
【0169】
ジャケット
バイオリアクタージャケット面積は、下記の検討事項を考慮して規定する。
【0170】
・121から125℃での蒸気滅菌
・<2時間以内での10℃から36.5℃への培地の昇温
・バイオリアクター内のあらゆる個所が、熱電対による測定で代表的には36.5℃の設定温度の±0.2℃に達するものでなければならない。
・<2時間以内での36.5℃から10℃への培地の冷却。
【0171】
バイオリアクターpH制御
トランスミッターを介してDCS系プロセス制御装置に接続されたプローブにより、プロセスpHをモニタリング及び制御する。プロセスは、COを加えることでpHを設定点まで下げ、アルカリを加えることでpHを設定点まで上昇させることによって制御される。pHは、設定点の±0.03で制御される。
【0172】
アルカリは、アルカリ分配用の2個所の添加個所から加える。これによって、タンク中での再循環時間が長い場合にアルカリの混合がより迅速になる。COは制御スパージャーを介して加える。
【0173】
制御プローブ及びバックアッププローブは、タンク底部から913mmの下側ポートリングに配置する(表10参照)。さらに、pHプローブは、バイオリアクターへのアルカリ添加個所と正反対に配置する。
【0174】
バイオリアクターDOT制御
溶存酸素は、ポーラログラフィーDOTプローブを用いてモニタリング及び制御する。DOT設定点は、下記のものを吹き込むことで維持される。
【0175】
・必要時の初期Nバラスト及び/又は空気
・必要時の空気バラストと空気
・必要時の空気バラストと酸素
・酸素要求量が低下した時点での逆転ガス使用。
【0176】
ガスケードDOT制御によって、攪拌機速度の傾斜に伴うバラスト及びガス需要を変えることでDOT設定点を維持することが可能となる。
【0177】
pCOを制御するため、過剰のCOの除去に必要なバラストはDOT制御に影響を与える。したがって、代謝COが放出されるプロセスの場合に、pCO制御と併せてDOT制御を検討する。DOTは設定点の±2%で制御される。制御プローブ及びバックアッププローブは、タンク底部から913mmの下側ポートリングに配置される。
【0178】
バイオリアクター溶存CO制御
プロセスdCOは、pCOプローブでモニタリングし、過剰のdCOはバラストスパージャーでCAをガス処理することで除去する。このプローブについての至適な位置はpHプローブ付近である。
【0179】
供給添加制御
供給液(SF22及びアミノ酸)はpH及びオスモル濃度が高い。したがって、大量瞬時添加を回避して、良好なpH制御を維持する必要がある。しかしながら、所望の流量の制御(設定点の±5%)は技術的には困難を伴う。したがって、送達モードでの添加個所を包含する添加戦略は、供給ボラスの循環とpH制御の変動可能性を回避するものである。
【0180】
したがって、添加個所はタンク底部から913mmという底部羽根車の中心線の面にあることで、供給ボラスを急速に混合する上で役立つ。
【0181】
消泡剤添加制御
消泡剤(C−乳濁液)添加を必要に応じて行って、バイオリアクター液体表面に泡のない状態を維持する。1:10希釈C−乳濁液の作業原液を液体表面上に加えることができる。消泡剤懸濁液は、貯蔵容器中で連続撹拌して分離を防ぐ。タンクの中心付近で消泡剤を加えて、消泡剤が付着するタンク壁へ消泡剤を運搬する流体流の放射方向成分の効果を消すことが重要である。したがって、添加個所はタンク中心方向に0.25×T又はタンク中心から699mmである。
【0182】
実施例2:4000リットルバイオリアクター
容器の幾何形状
4000リットルバイオリアクターの容器の幾何形状は、許容されるアスペクト比が達成されるまで最大作業体積、フリーボード直線側部距離、アスペクト比(H/T)及び羽根車からタンクの直径比(D/T)を変える反復設計基準によって決定した。
【0183】
バイオリアクターアスペクト比H/T
表11に、通常処理時の各種運転体積での4000リットルバイオリアクターにおけるアスペクト比を記載している。これらのアスペクト比は、タンクID及び必要な運転体積の選択で得られる。加工処理の観点からは、3種類の運転条件で混合要件は異なる。接種前ステージでは、バイオリアクター混合は、培地が最小Ka要件と均衡を取れるようにする上で重要である。しかしながら、接種後及び移動前ステージの場合、混合及びKaの両方が重要な検討事項である。したがって、これらの特徴の両方を、アスペクト比範囲で調べた。
【表11】

【0184】
タンク直径
タンク直径を変えて、至適なアスペクト比H/Tを得た。タンク内径に対する変更は、許容されるアスペクト比及びプラント設置面積によって制限される。タンクIDは1626mmである。
【0185】
タンク高さ
最大運転体積、アスペクト比H/T、フリーボード直線側面長さ、底部及び頂部プレート設計からタンク高さを決定する。最終タンク高さは、泡用の予備体積、プラント高さ及び許容される羽根車軸長さから決定される妥協的値である。ヘッドから底部への接線高さは2817mmである。
【0186】
フリーボード高さ
このシードバイオリアクターについては、500mmのフリーボード高さ(1039リットル又は最大運転体積の27体積%)を用いる。
【0187】
頂部及び底プレート
底及び頂部プレートの設計は、このシードバイオリアクター用のASME F&Dの設計である。
【0188】
バイオリアクター撹拌要件
バイオリアクターの撹拌は、急速な混合を達成し、均質性を維持し、哺乳動物細胞を懸濁状態に維持し、気泡を分散状態に維持するためのものである。上記の目的を達成する上で根底にある問題は、羽根車の幾何形状及び羽根車ブレードの背後で生じる渦巻きもしくは渦流から生じる剪断力による細胞損傷の低減である。適切な羽根車の種類を選択することで、上記目的の妥協点に達した。
【0189】
底部駆動と頂部駆動の羽根車軸
モーター駆動は、すでに説明した利点があることから頂部取り付けである。
【0190】
バッフル
中心の取り付け羽根車についてのバッフル要件は、渦流形成を防止する上で必須である。バッフル関連の非常に重要な問題は、バッフル数、バッフル幅(W)、バッフル長さ(Hbaffle)及びバッフルからタンク壁間隔(W)である。
【0191】
0.1×T又は163mm幅1.1×H−H又は2195mm高さであり、バッフルからタンク壁間隔Wが0.01×T又は16mmである4個の等間隔に配置されたバッフルを用いた。
【0192】
バッフルの厚さについては具体的には指定しないが、厚さによって流体流の放射方向成分に対する剛性を確保する必要がある。さらに、厚さによって、SIP時にバッフルプレートが歪んでバッフルからタンク壁間隔に影響を与えないようにする必要がある。
【0193】
羽根車の種類、大きさ及び数
このバイオリアクター用の羽根車は、20000リットル容器と全く同様に形成され、同じD/T比0.44を有する。底部羽根車は直径710mmのLightninのA315であり、頂部羽根車は直径710mmのLightninのA310である。
【0194】
羽根車間隔、D、D及びD
頂部羽根車の中心線と下側羽根車の中心線の間の羽根車間隔Dは、1.229×Dbottom又は872mmである。オフ底部羽根車間隔Dは0.75×Dbottom又は531mmである。これによって、下側羽根車が2153リットルの最低接種後体積で液面下の状態としておくことができ、3367リットルで両方の羽根車を液面下とし、液頭を上側羽根車の上(D)0.5×Dtop又は358mmとすることができる。
【0195】
表12には、羽根車より上の液体表面又は下側液体カバーを形成する体積を示してある。これらの臨界体積での発泡を回避するよう、撹拌を変えることができる。
【表12】

【0196】
4000リットルバイオリアクターは、下側羽根車が液面下にあるか(1/9シード接種プロセスの培養時)又は両方の羽根車が液面下にある(1/5シード接種プロセスの培養時)状態で二つの異なる接種後体積で運転することができ、表13には、その運転時に上側及び下側羽根車に関して得られた液体カバーを示してある。
【0197】
1/9シード接種プロセスの培養時に、下側A315羽根車より上の0.67から0.82×Dbottomの液体カバーが認められる。これは、0.5から1×Dの推奨の範囲内である。
【0198】
1/5シード接種プロセスの培養時に、頂部A310羽根車より上の0.06から0.78×Dtopの液体カバーが認められる。下側液体カバーは推奨外である。しかしながら、この液体カバーは、混合及び撹拌があまり重要でない場合に接種前の期間で認められる。
【表13】

【0199】
撹拌速度−rpm、P/V及び先端速度
表14には、4000リットルバイオリアクターについての撹拌速度を具体的に記載している。バイオリアクターは、代表的には20から260W/m、好ましくは55から85W/mで撹拌される。撹拌戦略は、500リットルパイロット醗酵時に開発された。したがって、0から88±1rpmの撹拌速度を運転範囲として用いる。
【表14】

【0200】
機械的シールの規格
凝縮物潤滑された二重機械的シールを記載の方法に従って使用する。
【0201】
バイオリアクター曝気要件
表15に、4000リットルバイオリアクターでの接種物増殖時のDOT及びpH制御についての表面ガス速度一定の規模拡大に基づく気体流を示してある。DOT制御には酸素は必要ない。しかしながら、酸素豊富空気を用いることで、より低いガス処理を促進して、過剰の発泡を防止することができる。より小さい範囲のNMFCで窒素を供給して、早期DOT制御及び逸脱減少を行って、高レベルのDOTとすることが推奨される。
【表15】

【0202】
孔から出る気体の目標のレイノルズ数が<2000となり、チェーン(chain)気泡状態時に気泡のザウタ平均直径が約10mmとなるまで、フルート形スパージャーについて孔径及び孔数の計算を反復する。
【0203】
表16には、4000リットルバイオリアクターについての主要なスパージャー設計規格を示してある。568mmのスパージャー長さSを、配管幾何形状に関して求める。スパージャーのいずれかの端に孔を分配して、A315ハブ直下への気泡放出を防ぐ。あるいは、三日月形幾何形状を用いることができる。配管直径は、所望数の孔の間隔を助けるように選択する。直径は38mmである。100個の2mm孔をスパージャーの背側表面に配置し、1個の2mm孔を前側表面に設けて、スパージャーの自由CIP排液を助ける。
【0204】
スパージャー設置用のバイオリアクターポートを、直径38mmの嵌合配管設計に設計する。ポートの位置によって、制御スパージャーの配置を下側羽根車の底部縁下194mmのD−S及びタンク底部から337mm以下のSの距離に行うことができる。
【表16】

【0205】
プローブ、添加ポート及びサンプルポートの位置
プローブ、添加ポート及びサンプルポートの位置決めについての設計の基礎は実施例1に記載しており、表17に挙げてある。
【表17】

【0206】

【0207】
添加ポート、表面及び液面下
液体表面を終端とする添加ポート及び液面下のものを分類する必要性を、運転シナリオ及び工程制御に対する供給戦略の効果によって確認する。
【0208】
4000リットルバイオリアクターは、バイオリアクターの良好に混合される領域に放出される必要がある二つの表面下供給液及びアルカリを受け入れるように設計した。1:10希釈C−乳濁液の表面添加によって発泡を制御する。容器壁方向の単一のスペアの表面上添加ポートも、将来的な柔軟性のために設計する。シードバイオリアクターの接種時の培地表面上での培養液の跳ね上がりを回避して、泡の蓄積を防止することができる。したがって、接種物添加ポートは表面より上にあり、容器壁に向いている。底プレートでの回収ポートの使用は、接種物移動時の接種物取り出しのための理想的なポートである。さらに、培地添加ポートは、容器壁に向いている。要約すると、合計添加ポートは次の通りである。
【0209】
・培地投入口、接種物投入口、容器壁に向いたスペア小型添加投入口、そしてタンク壁から離れた液体表面上に滴下する消泡剤用の添加ポートの4個所表面添加
・供給液及びアルカリ用の3個所の表面下添加
【0210】
サンプルポート
サンプルポート設計は、20000リットルバイオリアクターについて記載のものと同様である。
【0211】
体積測定
レベルセンサーは、フルスパンの±0.5%の精度で4000リットルまで測定することができる。
【0212】
バイオリアクター温度制御
プロセス制御により、培地1914から3077リットルを、運転温度、代表的には36.5℃とする。これは、ジャケットの「温和な」加熱によって行われ、容器壁での高温を回避する。
【0213】
ジャケット
バイオリアクタージャケット面積は、下記の検討事項を考慮して規定する。
【0214】
・121から125℃での蒸気滅菌
・<2時間以内での10℃から36.5℃への1914から3077リットルの培地の昇温
・バイオリアクター内のあらゆる個所が、熱電対による測定で代表的には36.5℃の設定温度の±0.2℃に達するものでなければならない。
・2時間以内での36.5±2℃から10℃への1914から3077リットルの培地の冷却。
【0215】
バイオリアクターpH制御
トランスミッターを介してDCS系プロセス制御装置に接続されたプローブにより、プロセスpHをモニタリング及び制御する。プロセスpHは、制御スパージャーからCOを加えることでpHを設定点まで下げ、アルカリを加えることでpHを設定点まで上昇させることによって制御される。
【0216】
アルカリは、底部羽根車の中心線にある少なくとも1個の液面下ポートから加える。COは制御スパージャーを介して加える。
【0217】
制御及びバックアッププローブは、表17に示したようにタンク底から531mmの位置の下側ポートリングにある。
【0218】
バイオリアクターDOT制御
溶存酸素は、ポーラログラフィーDOTプローブを用いてモニタリング及び制御する。DOT設定点は、下記のものを吹き込むことで維持される。
【0219】
・必要時の初期Nバラスト及び/又は空気
・必要時の空気バラストと空気
・必要時の空気バラストと酸素
DOT制御によって、必要時気体として酸素又は空気を互換的に用いることで、DOT設定点を維持することができる。接種物バイオリアクターでpCO制御が必要とは考えられない。制御及びバックアッププローブは、表17に示したようにタンク底から531mmの位置の下側ポートリングにある。
【0220】
供給添加制御
添加個所は、下側羽根車の中心線の平面におけるタンク底から531mmにあり、供給ボラスの急速な放散を助ける。
【0221】
消泡剤添加制御
添加個所は、タンク中心に向かって0.25×T突出し、タンク中心から407mmの表面である。
【0222】
実施例3:1000リットルバイオリアクターの規格
容器の幾何形状
1000リットルバイオリアクターの容器の幾何形状は、許容されるアスペクト比が達成されるまで最大作業体積、フリーボード直線側部距離、アスペクト比(H/T)及び羽根車からタンクの直径比(D/T)を変える反復設計基準によって決定した。
【0223】
バイオリアクターアスペクト比H/T
下記の表18に、通常処理時の各種運転体積での1000リットルバイオリアクターにおけるアスペクト比を記載している。これらのアスペクト比は、タンクID及び必要な運転体積の選択で得られる。加工処理の観点からは、異なる運転条件で混合要件は異なる。接種前ステージでは、バイオリアクター混合は、培地が最小Ka要件と均衡を取れるようにする上で重要である。しかしながら、接種後及び移動前ステージの場合、混合及びKaの両方が重要な検討事項である。したがって、これらの特徴の両方を、アスペクト比範囲で調べた。
【表18】

【0224】
タンク直径
タンク直径を変えて、至適なアスペクト比H/Tを得る。タンク内径に対する変更は、許容されるアスペクト比及びプラント設置面積によって制限される。タンクIDは0.864mである。
【0225】
タンク高さ
最大運転体積、アスペクト比H/T、フリーボード直線側面長さ、底部及び頂部プレート設計からタンク高さを決定する。最終タンク高さは、泡用の予備体積、プラント高さ及び許容される羽根車軸長さから決定される妥協的値である。ヘッドから底部への接線高さは2.347mである。
【0226】
フリーボード高さ
このシードバイオリアクターについては、500mmのフリーボード高さ(293リットル又は最大運転体積の31体積%)を用いる。
【0227】
頂部及び底プレート
底及び頂部プレートの設計は、このシードバイオリアクター用のASMEF&Dである。
【0228】
バイオリアクター撹拌要件
バイオリアクターの撹拌は、急速な混合を達成し、均質性を維持し、哺乳動物細胞を懸濁状態に維持し、気泡を分散状態に維持するためのものである。上記の目的を達成する上で根底にある問題は、羽根車の幾何形状及び羽根車ブレードの背後で生じる「渦巻き」もしくは渦流から生じる剪断力による細胞損傷の低減である。適切な羽根車の種類及びガス処理戦略を選択することで、上記目的の妥協点に達した。
【0229】
底部駆動と頂部駆動の軸
モーター駆動は、すでに説明した利点があることから頂部取り付けである。
【0230】
バッフル
中心の取り付け羽根車についてのバッフル要件は、渦流形成を防止する上で必須である。バッフル関連の非常に重要な問題は、バッフル数、バッフル幅(W)、バッフル長さ(Hbaffle)及びバッフルからタンク壁間隔(W)である。
【0231】
0.1×T又は86mm幅1.1×H−H又は2099mm高さであり、バッフルからタンク壁間隔Wが0.01×T又は9mmである4個の等間隔に配置されたバッフルを用いた。
【0232】
バッフルの厚さについては具体的には指定しないが、厚さによって流体流の放射方向成分に対する剛性を確保する必要がある。さらに、厚さによって、SIP時にバッフルプレートが歪んでバッフルからタンク壁間隔に影響を与えないようにする必要がある。
【0233】
羽根車の種類、大きさ及び数
1000リットルバイオリアクター用の羽根車は、同じD/T比で20000リットル容器と全く同様に形成される。したがって、底部羽根車は直径381mmのLightninのA315であり、頂部羽根車は直径381mmのLightninのA310である。
【0234】
羽根車間隔、D、D及びD
頂部羽根車の中心線と下側羽根車の中心線の間の羽根車間隔(D)は、2×Dbottom(762mm)である。オフ底部羽根車間隔(D)は0.4×Dbottom(152mm)である。これによって、底部羽根車を最低接種後体積167リットルで0.5×Dbottom又は190mmの液体カバー(D)で液面下とすることができ、両方の羽根車を上側羽根車より上D、(0.5×Dtop)(190mm)の液頭で616リットルで液面下とすることができる。
【0235】
表19には、羽根車より上の液体表面又は下側液体カバーを形成する体積を示してある。これらの臨界体積での発泡を回避するよう、撹拌を変えることができる。
【表19】

【0236】
1000リットルバイオリアクターは、1/5プロセス及び1/9プロセス時に液面下の底部羽根車又は1/5プロセスのN−2相及び1/5及び1/9プロセスの両方におけるローリングシード操作時に液面下の両方の羽根車のいずれかを用いて、二つの異なる接種後体積で動作する。
【0237】
表20には、1/5及び1/9継代培養プロセスの運転時の上側及び下側羽根車より上の液体カバーを示してある。1/5及び1/9プロセスでのローリング操作中、下側羽根車より上の液体カバーは0.5×D以下を下回る。したがって、撹拌速度を低下させ、この低体積で運転しながら表面気体の取り込みを回避することが重要である。960リットルでは、2.05×Dtopの液体カバー(D)が得られる。このレベルでは、Kaは悪影響を受けてないことが明らかになっており、バルク混合は問題ではない。
【表20】

【0238】
撹拌速度−rpm、P/V及び先端速度
表21には、1000リットルバイオリアクターについての撹拌速度を具体的に記載している。バイオリアクターは、代表的には20から260W/m、好ましくは55から85W/mで撹拌される。撹拌戦略は、500リットルパイロット醗酵時に開発された。0から155±1rpmの撹拌速度を運転範囲として用いる。
【表21】

【0239】
機械的シールの規格
記載の凝縮物潤滑された二重機械的シールを使用した。
【0240】
バイオリアクター曝気要件
表22に、1000リットルバイオリアクターでの接種物増殖時のDOT及びpH制御についての表面ガス速度一定の規模拡大に基づく気体流を示してある。DOT制御には酸素は必要ない。しかしながら、酸素豊富空気を用いることで、より低いガス処理を促進して、過剰の発泡を防止することができる。より小さい範囲のCA MFCを用いて窒素を送ることで、早期DOT制御及び逸脱減少を行って、高レベルのDOTとすることが推奨される。
【表22】

【0241】
孔から出る気体の目標のレイノルズ数が<2000となり、チェーン(chain)気泡状態時に気泡のザウタ平均直径が約10mmとなるまで、孔の径及び数の計算を反復する。
【0242】
表23には、1000リットルバイオリアクターについての主要なスパージャー設計規格を示してある。305mmのスパージャー長さSを、配管幾何形状に関して求める。スパージャーのいずれかの端に孔を分配して、A315ハブ直下への気泡放出を防ぐ。あるいは、三日月形幾何形状を検討することができる。
【0243】
直径は25mmである。30個の2mm孔をスパージャーの背側表面に配置し、1個の2mm孔を前側表面に設けて、スパージャーの自由CIP排液を助ける。
【0244】
スパージャー設置用のバイオリアクターポートを、直径25mmの配管設計に適合するように設計する。ポートの位置によって、制御スパージャーの配置を底部羽根車の底部縁下88mmの距離(D−S)及びタンク底部から64mm以下(S)の距離に行うことができる。
【表23】

【0245】
プローブ、添加ポート及びサンプルポートの位置
プローブ、添加ポート及びサンプルポートの位置決めについての設計の基礎は、20000リットルバイオリアクターについてと同じである。
【表24】

【0246】

【0247】
50リットルの体積からモニタリング、制御及びサンプリングするため、プローブ及びポートリングはタンク底部から151mmである必要がある。しかしながら、プローブ/ポートリングは、それがバイオリアクターの底プレート及び直線の円柱側面の溶接部に当たるまで低い位置に配置することはできない。プローブ及びポートリングはタンク底部から286mmと指定した。これによって、134リットルの体積をモニタリング、制御及びサンプリングすることができる。プローブ/ポートリングを、モニタリング/制御体積を最小にできるほどタンク底部に近くに配置する。
【0248】
添加ポート、表面及び液面下
1000リットルバイオリアクターは、二つの表面下供給液及びアルカリを受け入れて、バイオリアクターの良好に混合される領域に放出されるように設計した。1:10希釈C−乳濁液の表面添加によって発泡を制御する。容器壁方向の単一の表面上スペア添加ポートも、将来的な柔軟性のために組み込んだ。シードバイオリアクターの接種時の培地表面上での培養液の跳ね上がりを回避して、泡の蓄積を防止すべきである。したがって、接種物添加ポートは表面より上にあり、容器壁に向いている。底プレートでの回収ポートの使用は、接種物移動時の接種物取り出しのための理想的なポートである。さらに、培地添加ポートは、容器壁に向いている。要約すると、合計添加ポートは次の通りである。
【0249】
・培地投入口、接種物投入口、容器壁に向いたスペア小型添加投入口、そしてタンク壁から離れた液体表面上に滴下する消泡剤用の添加ポートの4個所表面添加
・供給液及びアルカリ用の3個所の表面下添加
【0250】
サンプルポート
サンプルポート設計は、20000リットルバイオリアクターについて記載のものと同様である。サンプルポートをタンク底部から286mmに配置して、サンプリングできる体積を最小とする。
【0251】
体積測定
レベルセンサーは、1000リットルまで測定することができる。センサー感度のレベルはフルスパンの少なくとも0.25%である。
【0252】
バイオリアクター温度制御
プロセス制御により、初期接種及び「シードローリング運転」時に培地250から800リットルを、運転温度、代表的には36.5℃とする。これは、ジャケットの「温和な」加熱によって行われ、容器壁での高温を回避する。
【0253】
ジャケット
バイオリアクタージャケット面積は、下記の検討事項を考慮して規定する。
【0254】
・121から125℃での蒸気滅菌
・<2時間以内での10℃から36.5℃への250から800リットルの培地の昇温
・バイオリアクター内のあらゆる個所が、熱電対による測定で代表的には36.5℃の設定温度の±0.2℃に達するものでなければならない。
・2時間以内での36.5±2℃から10℃への400リットルの培地の冷却。
【0255】
バイオリアクターpH制御
トランスミッターを介してDCS系プロセス制御装置に接続されたプローブにより、プロセスpHをモニタリング及び制御する。プロセスpHは、COを加えることでpHを設定点まで下げ、アルカリを加えることでpHを設定点まで上昇させることによって制御される。アルカリは、底部羽根車の中心線にある少なくとも1個の液面下ポートから加える。COは制御スパージャーを介して加える。
【0256】
制御及びバックアッププローブは、表24に示したようにタンク底から286mmの位置の下側ポートリングに配置して、モニタリングできる体積を最小とする。
【0257】
バイオリアクターDOT制御
溶存酸素は、ポーラログラフィーDOTプローブを用いてモニタリング及び制御する。DOT設定点は、下記のものを吹き込むことで維持される。
・必要時の初期Nバラスト及び/又は空気
・必要時の空気バラストと空気
・必要時の空気バラストと酸素
DOT制御によって、必要時気体として酸素又は空気を互換的に用いることで、DOT設定点を維持することができる。
【0258】
制御及びバックアッププローブは、表24に示したようにタンク底から286mmの位置の下側ポートリングに配置して、モニタリングできる体積を最小とする。
【0259】
供給添加制御
添加個所は、底部羽根車の中心線付近におけるタンク底から286mmにあり、供給ボラスの急速な放散を助ける。
【0260】
消泡剤添加制御
添加個所は、タンク中心に向かって0.25×T突出し、タンク中心から216mmの表面である。
【0261】
実施例4:バイオリアクタートレイン
バイオリアクター設計は、1/5(20体積%)及び1/9(11体積%)の両方の継代培養比を行う能力に基づくものである。バイオリアクタートレインは、1000リットル(ステージN−3及びN−2)及び4000リットル(ステージN−1)シードバイオリアクターとそれに続く20000リットル生産バイオリアクター(ステージN)からなる。各バイオリアクターについての運転体積は、実施例1から3で定義されている。バイオリアクターは、撹拌タンク設計に基づくものであり、頂部駆動攪拌機システムを用いた。
【0262】
その設計は、バイオリアクター内での良好に混合された細胞懸濁液を維持し、栄養素供給液を混合しながら、pH、溶存酸素圧(DOT)及び温度等の工程パラメータに関して均質な環境を確保する必要性に基づいたものである。これは、至適な細胞増殖、産生物蓄積及び産生物品質に対して必要な物理化学的環境を提供するものである。設計哲学にとっての重要な点は、幾何学的類似性を維持する必要性である。これによって、12リットルの実験室規模及び500リットルのパイロット規模で規模縮小モデルを開発することが可能となる。シード及び生産バイオリアクターの設計は同じ原理に基づくものであるが、処理において柔軟性を持たせるには若干の逸脱が必要である。選択されるアスペクト比(H/T)は、哺乳動物細胞培養で使用される代表的なものであり、0.17から1.96接種後の範囲である。
【表25】

【0263】
設計上の制約は、接種後体積の4体積%から25体積%の供給付与を行いながらの、11体積%(1/9希釈)及び20体積%(1/5希釈)のシート接種比に基づくものである。生産バイオリアクターでの接種後体積を15%以下の供給付与に調節して、全ての供給液の添加後に、回収での最終体積が20000リットルで終わるようにする。しかしながら、15体積%より大きい供給付与を行うには、接種後体積を15体積%供給向けに調節するが、供給液を付与した後、最終的な回収前体積は最小で20000リットル及び最大で22000リットルとなる。生産バイオリアクターは、バッチ終了時点で合計20000から22000リットルを保持することを期待される。表26には、三つの接種物増殖ステージ及び生産バイオリアクターのそれぞれについての接種前体積、接種体積及び移動もしくは回収体積を示してある。
【0264】
シードバイオリアクター(ステージN−1からN−3)は供給される可能性が低いことから、最大運転体積は接種時である。4000リットルシードバイオリアクターについての運転体積範囲(ステージN−1)は1914から3846リットルである。20体積%シード分割比から細胞を増殖させることができるバイオリアクターを設計するために、1000リットルシードバイオリアクター(ステージN−2及びN−3)は二つの運転範囲で運転する。11体積%シード分割比の場合、バイオリアクタートレインは、単一の増殖/継代培養ステージでのフォワード・プロセシング(forward processing)細胞濃度基準を満足するだけの培養物を製造することができる。しかしながら、バイオリアクタートレインは、20体積%シード分割比プロセスの場合にフォワード・プロセシング基準を満足するには二つの増殖/継代培養ステージを必要とする。したがって、11体積%シード分割比プロセスの場合、400から450リットルの運転範囲が要求され、20体積%シード分割比プロセスの場合、250から960リットルの運転体積範囲が要求される。
【表26】

【0265】
S200ウェーブ(Wave)バイオリアクターで製造される培養液から、1000リットルシードバイオリアクターに接種することが推奨される。
【0266】
1000リットル:このバイオリアクターは、5日までのバッチで運転し、哺乳動物細胞の培養の場合に供給液の「ショット添加」を行う可能性がある。しかしながら、各バッチ終了後に繰り返しの排液及び再充填の操作があるため、このバイオリアクターでの総プロセス滞留時間は30日を超えることがあり得る。哺乳動物細胞は、20000リットルバイオリアクターと同一の羽根車システムを介した撹拌によって均一懸濁液に維持される。さらに可能である場合、他の特徴は20000リットルバイオリアクターと幾何学的に同様に維持される。
【0267】
スパージ空気又は酸素及び空気又は窒素はそれぞれ、工程DOTを制御する。工程pHは、塩基制御の場合にはアルカリを添加することで、酸制御にはスパージCOを添加することで制御される。
【0268】
バイオリアクターのプロセス運転体積は、運転の異なる相で変わる。最初に、バイオリアクターには、0.5時間以内に250から400リットルで培地ボラスが無菌的に充填される。そのバイオリアクターは、接種前相で運転して、工程変数を所定の設定点とする。(N−4)S−200シードウェーブバイオリアクターからの培養物50リットルを、1/5又は1/9希釈で1000リットルバイオリアクターに25から30分以内に、空気圧支援流によって接種するか、蠕動ポンプによってポンプ送りする。接種後運転体積は、1/5及び1/9シード接種プロセスでそれぞれ300及び450リットルである。塩基制御のためのアルカリ及び泡抑制のための1/10消泡剤懸濁液の添加が、最終体積に寄与する。培養間隔が予想より長い場合は、接種物培養物を「ショット添加」によって供給することができる。混合及び気体処理の結果、上記で記載の液体体積は、気体ホールドアップのために大きくなる。この上昇の程度は、使用されるスパージャーの種類、羽根車によって与えられる単位体積当たりの動力及び散布気体の表面気体速度によって決まる。
【0269】
生存細胞濃度が移動基準に達した時点で、N−3ステージは終了する。1/5プロセスにおけるN−2ステージは、1.5時間以内での192リットルの過剰培養物の排液と768リットルの新鮮な培地の添加によって960リットルに体積増加して開始する。1/5プロセスの場合、4000リットルバイオリアクターに、N−2ステージの終了後に、696から769リットルの培養物を移動させる。1/9プロセスの場合、4000リットルバイオリアクターに239リットルを移動させる。
【0270】
1000リットルバイオリアクターは連続的に、「排液及び新鮮な培地によって再充填」されるか、「ローリング」することで、4000リットルバイオリアクター用のバックアップ培養物を提供する。ローリングシード運転の期間は、生産活動の長さ及びシード培養物の許容される経過世代数によって決まる。代表的には、ローリングシード運転は、30日間を超えると想定される。ローリング運転は、960リットル培養物のうちの約192リットルずつを保持する工程及び1/5プロセスでは768リットルの新鮮な培地で希釈する工程からなる。1/9プロセスでは、1000リットルバイオリアクターは、450から900リットルの培養物のうちの50から100リットルを保持し、400から800リットルの新鮮な培地で希釈することで「ローリング」されると予想される。工程制御範囲は、この運転を通じて緩くする。ローリング運転中にバイオリアクターに加えられる培地は、30℃まで昇温する。
【0271】
4000リットル:このバイオリアクターは、5日間以内のバッチで運転し、哺乳動物細胞の培養の場合に供給液の「ショット添加」を行う可能性がある。哺乳動物細胞は、実施例1に記載のものと同じ羽根車システムを介しての撹拌によって均質懸濁液に維持される。さらに、この容器は20000リットルバイオリアクターと幾何形状的に類似している。
【0272】
スパージ空気もしくは酸素及び空気もしくは窒素はそれぞれ、工程DOTを制御する。工程pHは、塩基制御の場合にはアルカリを添加することで、酸制御にはスパージCOを添加することで制御される。
【0273】
バイオリアクターのプロセス運転体積は、運転の異なる相で変わる。最初に、バイオリアクターには、1.5時間以内に1914から3077リットルでタンパク質を含まない培地のボラスが無菌的に充填される。そのバイオリアクターは、接種前相で運転して、工程変数を所定の設定点とする。1000リットル(N−2)シードバイオリアクターからの培養物を、1/5又は1/9希釈で1時間以内に、空気圧流によって一定の流量にて接種する。接種後運転体積は、2153及び3846リットルである。塩基制御のためのアルカリ及び泡抑制のための1/10消泡剤懸濁液の添加が、最終体積に寄与する。培養間隔が予想より長い場合は、接種物培養物を「ショット添加」によって供給することができる。混合及び気体処理の結果、液体体積は、気体ホールドアップのために大きくなる。この上昇の程度は、使用されるスパージャーの種類、羽根車によって与えられる単位体積当たりの動力及び散布気体の表面気体速度によって決まる。
【0274】
20000リットル:このバイオリアクターは、哺乳動物細胞の培養の場合には10から15日間にわたる回分方式又は流加回分方式で運転される。哺乳動物細胞は、羽根車システムを介した撹拌によって均質懸濁液に維持される。
【0275】
バイオリアクターのプロセス運転体積は、運転の異なる相で変わる。最初に、バイオリアクターには、1から2時間以内に13913から17096リットルで細胞培地が無菌的に充填される。そのバイオリアクターは、接種前相で運転して、工程変数を所定の設定点とする。4000リットルシードバイオリアクター(N−1)からの培養物を、1/5又は1/9希釈で、空気圧流によって、流量範囲<4000リットル/時で接種する。接種後体積は、液面下添加後に連続的に増加して、最大で20000リットルとなる(二つの供給液合計で4から25体積%)。塩基制御のためのアルカリ及び泡抑制のための1/10消泡剤懸濁液の添加が、それぞれ約100リットル及び20リットルを占める。混合及び気体処理の結果、液体体積は、気体ホールドアップのために大きくなる。この上昇の程度は、使用されるスパージャーの種類(フルート形又は焼結型)、羽根車によって与えられる単位体積当たりの動力及び散布気体の表面気体速度によって決まる。
【0276】
表27には、通常加工処理時の各種運転体積での20000リットルバイオリアクターにおけるアスペクト比が記載されている。アスペクト比は500リットル規模で調べたものであり、表面気体速度及び単位体積当たり動力が一定に保たれている場合、Kaは一定のままである。
【表27】

【符号の説明】
【0277】
1 バイオリアクター
10 タンクの直径
20 バイオリアクターの合計直線高さ
30 バイオリアクターの底部高さ
40 バイオリアクターのヘッド高さ
50 最大運転体積での液体高さ
60 頂部羽根車直径
68 頂部羽根車
70 底部羽根車直径
78 底部羽根車
80 タンク底部と底部羽根車の中心線との間の間隔
90 羽根車距離
100 液体表面下の頂部羽根車の間隔
108 スパージャー
110 スパージャーからタンク底部の間隔
120 スパージャーから底部羽根車の間隔
128 バッフル
138 ポート
148 ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物細胞の培養用のバイオリアクターであって、前記バイオリアクター(1)が少なくとも4000リットルの体積及び少なくとも1個の頂部羽根車(68)及び少なくとも1個の底部羽根車(78)を有し、前記頂部羽根車(68)が水中翼羽根車であるイオリアクター。
【請求項2】
バイオリアクター(1)が、頂部羽根車(68)、好ましくは3ブレード水中翼設計羽根車、及び底部羽根車(78)、好ましくは4ピッチブレード高堅牢性羽根車を有する請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項3】
羽根車(60、70)/タンク(10)直径比が、少なくとも0.35及び最大で0.55、好ましくは少なくとも0.40及び最大で0.48、最も好ましくは少なくとも0.44及び最大で0.46である請求項1又は2に記載のバイオリアクター。
【請求項4】
頂部羽根車動力数(N)が、少なくとも0.1及び最大で0.9である請求項1〜3のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項5】
頂部羽根車フロー数(N)が、少なくとも0.4及び最大で0.9である請求項1〜4のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項6】
底部羽根車動力数(N)が、少なくとも0.5及び最大で0.9である請求項1〜5のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項7】
底部羽根車フロー数(N)が、少なくとも0.50及び最大で0.85である請求項1〜6のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項8】
バイオリアクター(1)が、少なくとも1個のスパージャー(108)を有する請求項1〜7のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項9】
バイオリアクター(1)が、少なくとも1個のバッフル(128)を有する請求項1〜8のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項10】
バイオリアクター(1)が、好ましくは空間的に互いに分離している、アルカリ添加用の少なくとも2個のポート(138、148)を有する請求項1〜9のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項11】
バイオリアクター(1)が、少なくとも10000リットルの体積、最も好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する請求項1〜10のいずれかに記載のバイオリアクター。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のバイオリアクターで、適切な条件下、適切な培地中にて、少なくとも1個の哺乳動物細胞を培養する、哺乳動物細胞の培養及び増殖方法。
【請求項13】
少なくとも2個の羽根車の撹拌速度が、少なくとも55W/m及び最大で85W/mである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物細胞培養用のバイオリアクターシステムであって、
a)少なくとも500リットル、好ましくは少なくとも1000リットルの体積を有する第一のバイオリアクター(111)が、
b)前記第一のバイオリアクター(1)より大きい体積を有する少なくとも2000リットル、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクター(11)と連結されており、少なくとも2000リットル、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する前記第二のバイオリアクター(11)が、
c)前記第二のバイオリアクター(11)より大きい体積を有する少なくとも10000リットル、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する請求項1〜16のいずれかに記載の第三のバイオリアクター(1)に連結されているバイオリアクターシステム。
【請求項15】
第一又は第二のバイオリアクター(111、11)の少なくとも一方が、請求項1〜11のいずれかに記載のバイオリアクターである請求項14に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項16】
哺乳動物細胞を培養及び増殖させる方法であって、
a)少なくとも500リットルの体積、好ましくは少なくとも1000リットルの体積を有する第一のバイオリアクターで、適切な条件下、適切な培地中にて、少なくとも1個の哺乳動物細胞を培養し、
b)前記少なくとも1個の哺乳動物細胞から増殖によって得られた細胞を含む培地を、少なくとも2000リットルの体積、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターに移動させ、
c)前記移動した細胞を、少なくとも2000リットルの体積、好ましくは少なくとも4000リットルの体積を有する第二のバイオリアクターで培養し、
d)段階c)で得られた細胞を含む培地を、少なくとも10000リットルの体積、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターに移動させ、
e)前記移動した細胞を、少なくとも10000リットルの体積、好ましくは少なくとも20000リットルの体積を有する第三のバイオリアクターで培養する方法。
【請求項17】
使用されるバイオリアクターの少なくとも一つが、請求項1〜11のいずれかに記載のバイオリアクターである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
培養条件が、段階a)、c)及びe)のバイオリアクターで同一である請求項16又は請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−517217(P2012−517217A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548618(P2011−548618)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000783
【国際公開番号】WO2010/089151
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511193352)ロンザ バイオロジクス ピーエルシー (3)
【Fターム(参考)】