説明

哺乳類の幹細胞の成長および分化のための生体適合性材料

生体適合性材料であって、その生体適合性材料の表面の少なくとも一部が複数の特徴を含むマイクロまたはナノメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその構造は未分化の多分化能幹細胞の成長を促進する、または幹細胞の均一な分化した成長を促進するのに役立つように選択されている、生体適合性材料。さらに、細胞機能、特にインビボおよびエクスビボでの遺伝子誘導、細胞分化および骨組織の形成に関連する細胞機能に影響を及ぼす表面構造および組成物を有する生体適合性材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胚性幹細胞の細胞機能および成長に影響を及ぼす表面構造および組成物を有する生体適合性材料を提供する。第1観点において、本発明は、未分化の多分化能幹細胞の成長を促進するのに役立つ、または幹細胞の均一な分化した成長を促進するのに役立つ組成物および表面構造を有する生体適合性材料を提供する。第2観点において、本発明は、細胞機能、特にインビボおよびエクスビボでの遺伝子誘導、細胞分化および骨組織の形成に関連する細胞機能に影響を及ぼす表面構造および組成物を有する生体適合性材料を提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の第1観点に関して、選択された細胞機能の促進は、様々な適用、例えば未分化の哺乳類胚性幹細胞の生成および/またはそれらの均一な分化した成長において重要な仕事である。特に、哺乳類の胚性幹[ES]細胞の療法的使用はかなりの注目を集めており、未分化の哺乳類のES細胞の生成ならびにそれらの分化を誘導および制御する方法がますます必要になってきている。従って、これらのプロセスを促進する(facilitating/promoting)適切な微小環境が望ましい。従って、その上でES細胞が付着、成長および/または分化する、および/またはさらに多様な生物学的機能を行うことができる生体適合性材料が、様々な療法的目的のために必要とされている。その処置がその材料で利益を得る可能性がある医学的な病気には、筋骨格器官の変性障害(degenerative disorders)、癌および外傷が含まれ、そのそれぞれが公衆衛生において増大している問題を構成している。
【0003】
ES細胞の培養プロトコルにおいて、3種類の主な要求がある。第1に、ES細胞の培養の間、その細胞は多分化能を維持するために培地中の可溶性の因子から、および成長支持体から適切な刺激を受けなければならない。第2に、染色体の完全性が維持されるべきである。第3に、哺乳類ES細胞の医学的目的のための使用を促進するためには、異種の混入(xeno−contamination)は患者の中への移植の際に最も免疫原性の問題を引き起しそうであるため、その細胞があらゆる時点において別の種に由来する生物学的物質と接触しないことが不可欠である。現在の培養プロトコルは一般に動物由来の生物学的材料の使用に依存しており、そこでES細胞はフィーダー細胞の層および血清の上で成長する。マウスのES細胞に関して、例えばゼラチンでコートされたディッシュを白血病抑制因子(LIF)を補った培地と組み合わせて用いる、フィーダーおよび血清を含まない培養条件が記述されているが、これらの培養系は高価であり、あらゆる形の療法に適したES細胞を常に生じるわけではない。
【0004】
さらに、将来の医学的処置は分化したES細胞を患者の中への移植のために用いることを目指している。移植片中の未分化の細胞の存在は患者において奇形腫を生じさせる可能性があるため、この目的のためには全てのES細胞における均一な分化を保証することが不可欠であり、それは現在の分化プロトコルに関する問題のまま残っている。
【0005】
結論として、異種を含まないES細胞培養条件、それにおいてその細胞が多分化能および染色体の完全性を維持する条件ならびにそれにおいてその細胞が均一および制御された方式で分化する条件の両方を開発する大きな必要性が存在する。
【0006】
本発明の第2観点に関して、選択された細胞機能の促進は、様々な適用、例えば適切な移植片の開発における重要な仕事である。その上で生きた細胞が付着、成長および/または分化する、および/またはさらに多様な生物学的機能を行うことができる生体適合性材料は、様々な療法的な目的に関して望ましい。
【0007】
筋骨格器官の変性障害、癌および外傷は、公衆衛生における増大しつつある問題を構成している。脊髄の障害は単独で成人集団の30パーセントを冒しており、65歳より高齢の人々の40パーセントは変形性関節症の症状を有している。衰弱させる末期の関節炎を処置するために、毎年世界中で130万件より多くの関節異物使用形成術(alloplasties)が行われている。変形性関節症を予防するための容認された療法が無いため、行われる関節形成術の数は西側の人々の老化のために次の数十年にわたって劇的に上昇するであろうと予想されている。現時点において、欧州および米国における全ての健康管理の費用の25パーセントより多くが筋骨格の病気と関連しており、米国におけるその障害を処置するための経費(2540億USD)は、例えば研究および教育のために用いられる財源全部の2倍である。
【0008】
これらの障害の主な外科的処置は、金属製の医療用インプラントの、骨または骨の代替物と一緒での使用に頼っている。そのインプラントは、良好な臨床結果を得るために骨組織の中にうまく組み込まれなければならない。過去数十年の間この領域において大きな進歩および結果が得られてきたが、時間の経過でインプラントがゆるくなることは、長期関節置換の成功に関する重大な問題であり続けている。現在のインプラントの表面のみではより大きな骨の欠損を橋渡しすることおよび長期安定性を維持することができない。これらの問題を解決するための、患者自身から取り出した骨移植片の使用は、後に15〜30パーセントという採取部の高い障害発生率をもたらす。股関節置換を受けた患者の20%もの割合が、最初の手術の10〜15年以内に人工器官の周辺の骨の喪失を発現し、脊椎固定手術では、患者の20〜30パーセントが不足した固定を得る。さらに、近い将来の患者集団はかなりの数のより若い患者を含むと考えられるため、長期無菌インプラントがゆるくなることに関する問題は劇的に増大すると予測される。
【0009】
従って、骨組織中のインプラントのふるまいの向上は、生活の質および経済両方の点でとてつもない影響を有するであろう。WHOは2000〜2010年を”骨および関節の10年”と定めることによりこれを認めており(http://www.bonejointdecade.org/)、これはデンマーク厚生省により認められた取り組みでもある。
【0010】
インプラントの体内における生体適合性/バイオインテグレーションは非常に複雑であり、伝統的には医学、表面科学、材料科学、および分子生物工学に属するプロセスを含んでいる。インプラントが組織内に置かれると、表面に関する競争がすぐに開始される。インプラントが体内に挿入された後数ミリ秒以内に、生理的な液体からの水、タンパク質および他の生体分子からなるバイオレイヤー(biolayer)がそのインプラントの表面上に形成される。続いて、周囲の組織からの細胞が、そのバイオレイヤー中のサイトカイン類および成長因子類による刺激により、そのインプラントの周囲の領域へと移動する。このように、インプラント表面およびその細胞の間の相互作用がこのバイオレイヤーにより仲介される。そのインプラント表面の特性はその層の特性に強く影響を与え、生体適合性を最適化するためにはこの影響を理解し、制御する必要がある。等しく重要なのは、その細胞の特性、例えばシグナル分子により細胞外マトリックスを通して情報伝達するそれらの能力である。骨が治癒する間、非常に多くの生理活性シグナル分子が骨の形成を制御しており、一部のタンパク質はインプラントへの骨の治癒を刺激することができることが分かっている。これらの機構は全てその組織のインプラントへの応答に寄与しており、そのインプラントが患者の骨において十分な機械的強度でうまく据え付けられるかどうか、または最終的に結果として無菌のゆるみおよび手術の失敗をもたらすそのインプラントに対する炎症反応が起きるかどうかに影響を与える。
【0011】
その上で骨組織細胞が付着、および/または成長し、さらに多様な生物学的機能を行うことができる生体適合性材料が、療法的目的のために、特にインプラント、例えば人工器官および骨の代替物の導入を含む外科的処置において必要とされている。インプラントはそのインプラントの部位における組織の再生を可能とする一方で体自身の強力な排除機構の標的となることを避ける必要があるため、その処置が成功する結果を得ることは非常に困難な挑戦を与える。インプラントの臨床的成功は、インプラントと受容組織の間の境界面のすぐ近くにおける細胞のふるまいに依存している。従って、この分野での進歩における重要な要素は、これらのインプラントの製作における生体適合性材料の同定および使用に頼っている。
【0012】
骨組織は骨前駆細胞を含むいくつかの細胞型を含む。骨髄間質細胞(MSC)は多分化能幹細胞であり、それは骨前駆細胞および他の細胞型の両方を生じる。骨前駆細胞は特に骨の再生に応答して分化して骨芽細胞となることができる。骨髄間質細胞により産生される、骨を形作るタンパク質(BMPおよび他の成長ホルモン)は、骨前駆細胞を集めることおよびそれらの骨芽細胞への成熟を刺激することの両方の役目を果たす。骨芽細胞は例えばTGFベータBMP類、他のホルモンおよび成長因子等を分泌し、それは骨前駆細胞に関する走化性の誘引物質として作用し、骨芽細胞の成熟を刺激し、骨基質の形成を誘導する。骨芽細胞は有機性の骨基質(例えばコラーゲン線維類、プロテオグリカン類、オステオカルシン、オステオネクチンおよびオステオポンチン)を合成して分泌し、従って骨芽細胞は石灰化骨基質の沈着において重要な役割を果たす。
【0013】
骨の石灰化の間、骨芽細胞はアルカリホスファターゼをいくつかのサイトカイン類および成長ホルモン類と一緒に発現する。
向上した生体適合性を有する材料の継続中の開発において、その構造がインプラント手術と適合性があり骨の再生を誘導する材料を同定する必要性が、依然として存在する。
【0014】
さらに、この数年の間に、胚性幹細胞の療法的利用はかなりの注目を集めており、胚性幹細胞の誘導された制御された分化の必要性が増してきている。結論として、これらのプロセスを促進する(facilitating/promoting)適切な微小環境が望ましい。
【発明の概要】
【0015】
本発明の第1観点は、体内の、または細胞培養物中の個々の幹細胞はマイクロおよびナノ構造のレベルでその周囲の組織または組織培養表面構造を見ているという認識に基づいており、ここで、上記の必要性はマイクロスケールの特徴の定められた表面トポグラフィーを有する生体適合性材料または構造物を提供することにより取り組まれ、それは外科的/療法的処置における使用のための細胞または組織培養表面および/またはデバイスの構築において用いることができる。
【0016】
その幹細胞の例は胚性幹細胞である。幹細胞という用語は、多分化能幹細胞を生じる未分化の細胞成長および分化した細胞成長が可能であるあらゆる種類の細胞を指すことを意図している。多分化能幹細胞という用語は、哺乳類由来の幹細胞、例えば齧歯類またはヒトの幹細胞を含む。特に、本発明は多分化能哺乳類胚性幹細胞を提供し、生殖系列移行が可能である多分化能胚性幹細胞を含む。
【0017】
望ましい表面トポグラフィーを有する構造物(それは完全に人工のものであってよく、または自然において観察される表面構造を模していてよい)の製造は、マイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの寸法を有する特徴を定めることが可能である技法を必要とする。本発明は、現在マイクロおよびナノテクノロジー内で開発された道具および技術を利用し、それはその表面構造がマイクロまたはナノメートルスケールでの横方向の形状(feature size)を有している可能性がある構造物の設計および構築を可能にする。この形状は、例えばフェリチンのコロイドリソグラフィーおよびそれに続き有機相を除去してイオンドットを後に残すことにより達成することができる。特に、電子ビームリソグラフィーおよびフォトリソグラフィーの使用は、正確に定められており関係する適用において正確に再現できる表面トポグラフィーの製造を可能にする。
【0018】
特に、表面から突き出た間隔を空けて離れた突起の規則的なパターンは、特に未分化の幹細胞の成長およびそれらの均一な分化した成長を促進するのに有効であることが分かっている。突起の寸法および突起の間の間隙の寸法は関係のあるパラメーターであることが分かっている。
【0019】
従って、第1観点において、本発明は、1個以上の未分化の多分化能哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するための細胞または組織培養容器の使用に関し、その1個以上の細胞は生殖系列移行が可能であり、その容器は使用の間培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起の断面の大きさがその構造物の総面積の25%以下の面積を占めることを特徴としており、前記面積はその構造物の露出面の平面において測定され、ここで突起の密度は65μmあたり突起1個以上であり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.6μm以上、またはあるいは3.0μm以上;好ましくは2.0μm〜3.0μm、より好ましくは2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している。
【0020】
その突起は、断面および0.1μm〜4.0μm、または0.5μm〜1.5μmの最小断面直径を有していてよく、ここであらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の間隙の横方向の寸法(lateral dimension)(d;Y)は、約0.5μm〜8.0μm、または約1μm〜6μm、または約2μm〜6μm、または約1μm〜4μmであってよい。少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の最小距離は、一般に8.0μmよりも小さく、または0.5μm〜6.0μmである。
【0021】
その突起は同じ断面の幾何学的形状または少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状を有していてよく、それは異なる断面積を有していてよい。その突起の横方向の断面は、形状:円形、凹形、凸形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形またはそれらの組み合わせの中から選ばれた外周および/または幾何学により定められた形状を有していてよい。ある態様において、異なる断面幾何学の突起が規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されている。
【0022】
その容器の表面の少なくとも一部は、タンタル、チタン、プラチナまたはそれらの酸化物の中から選ばれた材料でコートされていてよい。前記表面の少なくとも一部は、ポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸、キトサンまたはそれらの組み合わせの中から選ばれたポリマーを含んでいてよい。その表面はさらに次のものからなるグループから選択される化合物を含んでいてよく:ポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物、ここでその化合物はその容器の露出した表面に吸着されている、または化学的に結合していることができる。適切な成長ホルモンにはBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFおよびLIFが含まれる。
【0023】
細胞または組織培養容器はさらに、例えばナノ結晶性ダイヤモンド、プラズマ重合、酸素プラズマ、または窒素プラズマにより化学的に機能性を持たせたものであってよい。
本発明はさらに、本発明の細胞または組織培養容器の製造のためのスタンプまたはマスクを提供し、その容器は少なくとも部分的に生体適合性材料から製造されており、そのスタンプはその生体適合性材料の表面の中にトポグラフィー的表面構造を刻印する(imprint)または与える(impart)のに適合している。
【0024】
本発明はさらに、未分化の多分化能哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するための、上記で述べた特徴を有する細胞または組織培養容器を提供し、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有する。
【0025】
別の観点において、本発明は1種類以上の未分化の多分化能哺乳類胚性幹細胞の成長を促進する方法を提供し、その1種類以上の細胞は生殖系列移行が可能であり、その方法はその細胞をその幹細胞への露出のための表面を有する細胞または組織培養容器と接触させることを含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、ここでその構造は未分化の哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するように選択されており、それはその突起の断面の大きさがその構造物の総面積の25%以下の面積を占めることを特徴としており、前記面積はその構造物の露出面の平面において測定され、ここで突起の密度は65μmあたり突起1個以上であり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは、1.6μm以上、3.0μm以上または2.0μm〜3.0μm、または約2.4μmのどれかである縦方向の高さ/深さの寸法を有している。
【0026】
本発明のこの観点に従って、その突起は断面および0.1μm〜4.0μm、または0.5μm〜1.5μmの最小断面直径を有していてよく;あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の間隙の横方向の寸法(d;Y)は、約0.5μm〜8.0μm、または約1μm〜4μmであってよい。少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の最小距離は、8.0μmよりも小さく、またはそうでなければ0.5μm〜6.0μmであってよい。
【0027】
さらに、その構造は、形状:円形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形の1種類またはそれらの組み合わせから選択される外周および/または幾何学により定められた少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状の突起を含んでいてよく、その形状は異なる断面積を有する。異なる断面幾何学の突起が規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されていてよい。
【0028】
さらに、前記表面の少なくとも一部は、タンタルコートおよび/またはチタンコートされていてよく、前記表面の少なくとも一部は、ポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、またはキトサンを含むポリマーで構成されていてよい。表面上の他の化合物には、ポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物の内の1種類以上が含まれていてよく、ここで前記化合物はその容器の表面層に吸着されている、または化学的に結合している、固定されている、もしくはそれと複合体を形成している。適切な成長ホルモンにはBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFおよび白血病抑制因子、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
さらに、その細胞または組織培養容器に、例えばナノ結晶性ダイヤモンド、プラズマ重合、酸素プラズマ、または窒素プラズマにより化学的に機能性を持たせてよい。
別の観点において、本発明は、哺乳類胚性幹細胞の均一な分化した成長を促進し、それにより分化した細胞の集団の生産を促進するための細胞または組織培養容器の使用に関し、ここで未分化の細胞の数は実質的に低減しており、その結果その分化した細胞の療法(例えばインプラント)における使用は、現在の分化プロトコルと比較して低減された、その細胞が患者において奇形腫を生じ得る危険性を有する。従って、本発明は容器を提供し、その容器は使用の間培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起が断面および1.0μm〜8.0μmの断面直径を有することを特徴としており、ここであらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は1.0μm〜2.0μmであり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは、1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6μmである縦方向の高さ/深さの寸法を有する。本発明における細胞または組織培養容器の使用は分化した細胞の集団の生産を可能にし、ここで未分化の細胞の数は実質的に低減しており、その結果そのように生産された細胞のインプラント中での使用は、現在の細胞分化プロトコルと比較して低減された、その移植された細胞が患者において奇形腫を生じる危険性を有する。
【0030】
さらに、1個以上の突出部の横方向の断面は、円形、凹形、凸形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形または多角形のどれかである外周および/または幾何学により定められた形状を有していてよい。
【0031】
さらに、その表面は正方形の横方向の断面を有する突出部および長方形の横方向の断面を有する突出部を含んでいてよく、ここでその突出部の第1の断面の直径は1.0μmであり、その突出部の第2の断面の直径は1.0μm〜8.0μm、または1.0μm〜6.0μmであり、ここでその突出部の縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6μmである。
【0032】
さらに、前記表面の少なくとも一部は、タンタルコートおよび/またはチタンコートされていてよく、前記表面の少なくとも一部は、ポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸、キトサンまたはそれらの組み合わせの中から選ばれたポリマーを含んでいてよい。その表面はさらに次のものからなるグループから選択される化合物を含んでいてよく:ポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物、ここで前記化合物はその容器の露出した表面に吸着されている。
【0033】
別の観点において、本発明は、哺乳類胚性細胞の均一な分化した成長を促進するための方法に関し、その方法はその細胞をその幹細胞への露出のための表面を有する細胞または組織培養容器と接触させることを含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起が断面および1.0μm〜8.0μmの断面直径を有することを特徴としており、ここであらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は1.0μm〜2.0μmであり、ここでその突起のそれぞれの縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである。
【0034】
この観点に従って、1個以上の突出部の横方向の断面は、形状:円形、丸形、正方形および長方形の1種類から選択される外周および/または幾何学により定められた形状を有していてよい。
【0035】
さらに、その表面は正方形の横方向の断面を有する突出部および長方形の横方向の断面を有する突出部を含んでいてよく、ここでその突出部の第1の断面の直径は1.0μmであり、その突出部の第2の断面の直径は1.0μm〜8.0μm、または1.0μm〜6.0μmであり、ここでその突出部の縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである。
【0036】
さらに、前記表面の少なくとも一部はタンタルコートおよび/またはチタンコートされていてよく、前記表面の少なくとも一部は、ポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸、キトサンまたはそれらの組み合わせの中から選ばれたポリマーを含んでいてよい。その表面はさらに次のものからなるグループから選択される化合物を含んでいてよく:ポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物、ここで前記化合物はその容器の露出した表面に吸着されている。
【0037】
本発明の第2観点は、体内の、または細胞培養物中の個々の細胞はマイクロおよびナノ構造のレベルでその周囲の組織または組織培養表面構造を見ているという認識に基づいており、上記の必要性はマイクロスケールの特徴の定められた表面トポグラフィーを有する生体適合性材料または構造物を提供することにより取り組まれ、それは外科的/療法的処置における使用のための細胞または組織培養表面および/またはインプラントおよびデバイスの構築において用いることができる。
【0038】
その細胞の例は骨形成細胞である。骨形成細胞という用語は、骨を形成することができるあらゆる種類の細胞を指すことを意図し、天然に生じる細胞型および/または改変された細胞型、例えば遺伝学的技術を用いて改変されたものを含む。他の例には、胚性幹細胞およびニューロンが含まれる。
【0039】
望ましい表面トポグラフィーを有する構造物(それは完全に人工のものであってよく、または自然において観察される表面構造を模していてよい)の製造は、マイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの寸法を有する特徴を定めることが可能である技法を必要とする。特に、その生体適合性材料の表面の少なくとも一部がマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられている場合、様々な異なる細胞型の内の少なくとも1種類のいくつかの細胞機能がかなり向上することが分かっている。特に、表面から突き出た間隔を空けて離れた突起の規則的なパターンは、上記の細胞機能を促進するのに特に効率的であることが分かっている。
【0040】
本発明は、骨組織の移植における使用のための医療用インプラントを提供し、その医療用インプラントは表面を含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の表面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその構造は骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進することができ、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有しており、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜9.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している。
【0041】
その医療用インプラントのさらなる観点において、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は約1.0μm〜6.0μmであってよい。さらに、その断面の断面直径は約1μmであってよく、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最小の間隙の横方向の寸法(d;Y)は約1.0μmであってよい。
【0042】
その医療用インプラントのさらなる観点において、その構造は少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状、例えば:円形、凹形、凸形、丸形、正方形、および長方形、またはそれらの組み合わせの突起を含んでいてよく;それは異なる断面積を有していてよく、ここで異なる断面幾何学の突起は規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されていてよい。
【0043】
その医療用インプラントのさらなる観点において、その突起は2次元の規則的な格子の格子点上に、格子点の部分集合のみが突起により覆われるように配置されていてよい。さらに、その突起は、隣接する突起の間の中心間距離が隣接する列において異なっている平行な列で配置されていてよい。さらに、前記の周期的なトポグラフィー的構造の特徴の中心は、格子定数aおよびbを有する2次元の長方形の格子の格子点上に置かれていてよく、ここで:その格子は正方形の格子であり、ここでそれぞれの方向における格子定数(a=b)は2〜8μmの区間にあり、またはその格子は長方形であり、第1方向における格子定数(a)は2〜8μmの区間にあり、第2方向における格子定数(b)は1〜4μmの区間にある。
【0044】
その医療用インプラントのさらなる観点において、その表面の少なくとも一部はタンタルコートおよび/またはチタンコートされており、またはそれらのいずれかの酸化物であり;および/または前記表面の少なくとも一部はポリ乳酸またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のような生分解性ポリマーで構成されている。さらに、その表面は次のものからなるグループから選択される吸着した化合物をさらに含んでいてよい:ポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物。適切な成長ホルモンにはBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFおよびLIFが含まれる。
【0045】
本発明の医療用インプラントは、病気、例えば歯の病気、整形外科の病気または心肺の病気を患うヒトまたは動物の処置における使用のための外科用インプラント、例えば歯科用インプラント、整形外科用インプラント、ステント、心臓弁であってよい。
【0046】
さらなる観点において、本発明は医療用デバイスの製造のためのスタンプまたはマスクを提供し、その医療用デバイスは少なくとも部分的に生体適合性材料から製造されており、そのスタンプは前記生体適合性材料の表面の中にトポグラフィー的表面構造を刻印する、または与えるのに適合している。
【0047】
さらなる観点において、本発明は細胞培養の間に分化した細胞における遺伝子発現を促進するための細胞または組織培養容器の使用に向けられており、その容器は使用の間細胞培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の表面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有しており、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜9.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している。
【0048】
さらなる観点において、本発明は医療用インプラントの製造における使用のための生体適合性コーティングを提供し、ここでその生体適合性コーティングは上記で述べた生体適合性材料を含む。
【0049】
さらなる観点において、本発明は骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進する方法を提供し、その方法はその細胞を生体適合性材料と接触させることを含み、ここでその生体適合性材料の表面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有しており、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜8.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明は下記で態様に関連して、および図面に関連してより完全に説明されると考えられ、ここで:
【図1】図1は、細胞機能、例えば骨形成細胞による石灰化または幹細胞、例えば胚性幹細胞、成体幹細胞、ウンブリアコード(umbria cord)幹細胞の成長/分化またはニューロンの成長を促進/増進するトポグラフィー的構造を同定するためのスクリーニングツール−いわゆる生体表面構造アレイ(BioSurface Structure Array)(BSSA)ウェハー−の例の上面図を示す。
【図2】図2は、A−Bと表示した線に沿った図1のスクリーニングツールの断面図を示す。
【図3】図3は、交互の幅X(単位μm)のトレンチおよび幅Y(単位μm)のリッジを含むトポグラフィー的構造の上面図(図3a)および断面図(図3b)を示す。
【図4】図4は、正方形の穴および予め決められたピッチ距離を含むトポグラフィー的構造の上面図(図4a)および断面図(図4b)を示す。
【図5】図5は、幅Xμmのリッジで隔てられた寸法X(単位μm)×Y(単位μm)の長方形の穴を含むトポグラフィー的構造の上面図(図5a)および断面図(図5b、c)を示す。
【図6】図6は、予め決められた寸法および予め決められたピッチ距離の柱を含むトポグラフィー的構造の上面図(図6a)および断面図(図6b)を示す。
【図7】図7は、交互の正方形の穴および柱を含むトポグラフィー的構造の上面図を示す。
【図8a】図8aは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8b】図8bは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8c】図8cは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8d】図8dは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8e】図8eは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8f】図8fは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8g】図8gは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8h】図8hは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8i】図8iは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8j】図8jは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図8k】図8kは、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれているトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示し、これらの構造は胚性幹細胞の未分化または分化した方式での成長を試験するために用いられる。
【図9】図9はマイクロスケールの構造を有する露出した表面を有する組織培養ディッシュの断面図を図式的に示す。
【図10】図10は、フィーダー細胞上で(左のパネル)、またはフィーダー細胞の非存在下で、しかしゼラチンを補った培地中で(右のパネル)2日間成長させたKH2 ES細胞のコロニー形態および分化状態を示す。未分化および分化したES細胞のコロニーの例を示す。DIC、10×。
【図11】図11は、トポグラフィー的なタンタル構造ライブラリーを含むBSSAウェハー上に、構造の高さ0.6μm、1.6μmおよび2.4μmのそれぞれに関して3通りでまかれたCJ7(下の列)またはKH2(上の列)ES細胞を示す。
【図12】図12は、BSSAウェハー上で、構造F1.2、F4.1およびK8のそれぞれの上で3日間培養した後、固定してAP活性に関して染色した、CJ7(左のパネル)およびKH2(右のパネル)ES細胞を示す。NS:構造を与えていない正方形、ここで、ウェハー上の構造の高さ/深さは0.6μm、1.6μmまたは2.4μmのいずれかである。異なる背景色は、タンタル構造物における光の反射によるものである。スケールバー:160μm。5×。
【図13】図13は、自動化されたコロニー計数の評価を示す。未分化のKH2 ES細胞コロニーを、自動的に(Auto)および手作業で(Man)、3種類の異なる構造の高さ(0.6、1.6および2.4μm)を有する選択された構造に関して計数した。値は3通りの平均の値である。自動化された計数はコロニーの大きさに基づいていた。手作業の計数はコロニーの形態およびAP染色の強度に基づいていた。
【図14a】図14aは、BSSAウェハー上での3日間の培養の後の自動化された計数(3つの値の平均)により検出可能である未分化のCJ7およびKH2 ES細胞コロニーの数を示す。A〜J構造に関するデータが、構造の寸法XおよびYにより並べられている。K構造は別の表においてTの値により並べて表す。異なる構造の高さ:0.6、1.6および2.4μmに関して、異なる色合いのスケールを適用した。NS:構造を与えていない。
【図14b】図14bは、BSSAウェハー上での3日間の培養の後の自動化された計数(3つの値の平均)により検出可能である未分化のCJ7およびKH2 ES細胞コロニーの数を示す。A〜J構造に関するデータが、構造の寸法XおよびYにより並べられている。K構造は別の表においてTの値により並べて表す。異なる構造の高さ:0.6、1.6および2.4μmに関して、異なる色合いのスケールを適用した。NS:構造を与えていない。
【図15】図15は、その上でES細胞が成長した構造の寸法に関するES細胞コロニーの数のグラフでの表現を示す。XおよびYに関して同じ寸法を有する構造A〜Jから得られたデータを、ES細胞株CJ7およびKH2のそれぞれに関して、3種類の構造の高さ/深さ(0.6、1.6および2.4μm)のそれぞれに関してまとめた(pooled)。それぞれの曲線は固定したX値を表し、Yの値を横軸上に示す。平均コロニー数を縦軸上に示す。
【図16】図16は、その上でES細胞が成長したウェハー上の構造の高さ/深さの寸法に関するES細胞コロニーの数のグラフでの表現を示す。横軸はBSSAウェハー上の構造の高さ/深さ(μm)を示し、縦軸はウェハー上で検出されたES細胞コロニーの総数を示す。3通りのアッセイの平均値を、2種類の細胞株CJ7およびKH2に関して示す。
【図17】図17は、次のいずれかの上での連続的な継代により成長したCJ7およびKH2 ES細胞の微分干渉(DIC)画像を示す:2.4μmの高さ/深さを有する、生体適合性タンタル表面構造:F1.2、F4.1;フィーダー細胞を含む培地;ゼラチンコートされたディッシュ(CJ7細胞のみ);または構造を与えていない(NS)タンタル(KH2細胞のみ)。CJ7細胞は6回の継代の間、KH2細胞は10回の継代の間(継代7を示す)増殖させた。CJ7細胞は、(抗Oct4抗体を用いて)Oct4および(抗Nanog抗体を用いて)Nanogの発現に関して、さらに核に関して(DAPI)染色した。KH2細胞は、Oct4の発現および核(DAPI)に関して染色した。10×。
【図18】図18は、移植または生殖系列移行におけるES細胞の使用を示す漫画を示している。ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から分離される。培養において、これらの細胞は無限に増殖させることができ、多分化能である:それらは3種類の胚葉の全てからの細胞型に分化する可能性を有する。従って、再生医療におけるそれらの適用に関して高い期待がある。ES細胞の別の重要な用途は、胚盤胞期における哺乳類の胚、例えばマウスの胚の中への再導入である。ES細胞を含む胚盤胞を偽妊娠マウスの中に移植した場合、多分化能ES細胞はこのマウスからの第1世代の子孫において異なる組織の発生に寄与する可能性がある。次いで、質の高いES細胞は生殖系列に寄与する可能性があり、そうして純粋にES細胞の系統を引く第2世代のマウスが生まれる可能性がある。
【図19】図19は、生体適合性表面構造F1.2もしくはF4.1;ゼラチンコートされたプレート;またはフィーダー細胞を含む培地の内の1種類の上で連続継代した後のCJ7細胞の生殖系列の可能性を提示する表を示す。
【図20a】図20aは、自動化された測定に基づいた、BSSAウェハー上での3日間の培養の後でのCJ7およびKH2 ES細胞コロニーの分化指数(分化指数=総DAPI面積−総ES細胞コロニー面積)(3個の値の平均)を示す。A〜J構造に関するデータが、構造の寸法XおよびYにより並べられている。K構造は別の表においてTの値により並べて表す。異なる構造の高さ(0.6μm、1.6μmおよび2.4μm)から得られた値を、異なるスケールにより全て表す。
【図20b】図20bは、自動化された測定に基づいた、BSSAウェハー上での3日間の培養の後でのCJ7およびKH2 ES細胞コロニーの分化指数(分化指数=総DAPI面積−総ES細胞コロニー面積)(3個の値の平均)を示す。A〜J構造に関するデータが、構造の寸法XおよびYにより並べられている。K構造は別の表においてTの値により並べて表す。異なる構造の高さ(0.6μm、1.6μmおよび2.4μm)から得られた値を、異なるスケールにより全て表す。
【図21】図21は、ES細胞コロニー数対分化指数のグラフでのプロットを示す。図14および20において示したデータに由来する3通りの平均の値を、CJ7およびKH2 ES細胞両方に関して示す。異なる構造の高さ(0.6、1.6および2.4μm)を異なる色合いにより表す。分化指数を横軸上に示し、ES細胞コロニー数を縦軸上に示す。
【図22】図22は、それぞれの突出部(柱)の中心が予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に置かれている、BSSAウェハーに含まれるトポグラフィー的構造の図式的な上面図を示す。
【図23a】図23aは、石灰化分析に用いられたウェハーの設計図を示す: A:系列A〜J;正方形および柱の異なる繰り返し。それぞれの系列は、μmでの構造の横方向の寸法(X)およびμmでの構造の間の間隙(Y)の16種類の異なる組み合わせを含む。系列K;個々の構造の間に全て同じ間隙(1μm)を有する”シャークスキン”構造の横方向の寸法の8種類の異なる繰り返し。
【図23b】図23bは、石灰化分析に用いられたウェハーの設計図を示す:B:左上の図:系列A〜Kのウェハー上の位置。ウェハーの中央にある白い領域は、構造を与えていない対照の領域である。右上および中央の2枚の画像;Aにおいて記述したBSSAウェハーの構造の3種類の異なる縦方向の高さの寸法(Z=0.6μm、Z=1.6μmおよびZ=2.4μm)における石灰化の誘導。下の2枚の画像は、2種類の異なる高さ(Z=1,6μmおよびZ=2,4μm)での上記の実験の繰り返しである。それぞれの系列に関して構造2および3は常に構造15および16の上に位置すること、ならびに構造を与えていない対照の表面の小さい領域がそれぞれの構造を隔てていることを特筆する。MC3T3細胞をBSSAウェハーの上にまき、3週間の間石灰化を誘導し、続いて石灰化(カルシウム)の検出のためにアリザリンレッドで染色した。
【図23c】図23cは、石灰化分析に用いられたウェハーの設計図を示す:C:Bにおける最後の2枚の画像の選択された部分の拡大。上側の3列(Z=1,6μm);構造2,3,15および16とそれぞれの構造(系列A〜J)を隔てている構造を与えていない対照の表面(十字形)を含む部分。列4(Z=1.6μm);BSSAウェハーの縁にある構造を与えていない表面の上のK1、K2;K3、K4;K5、K6およびK7、K8。列5〜8(Z=2.4μm);Z=1.6μmに関するものと同じ部分。注釈:上側の列は系列A、C、EおよびIで構成されている(全ての2番目の列における構造特徴は、列1における全ての2番目の構造の真下に位置している);2番目の列は系列B、D、GおよびJで構成されている(全ての2番目の列における構造特徴は、左に0.5×(間隙+特徴の大きさ)移動している;3番目の列は、系列FおよびHで構成されている(全ての構造特徴は、互いの真下に位置している。
【図23d】図23dは、石灰化分析に用いられたウェハーの設計図を示す:D:2種類のウェハー(Z=1,6μmおよびZ=2,4μm)を用いた実験からの、相対的な石灰化の程度の定量。系列A〜Jからの同じ大きさおよび間隙を有する全ての構造をまとめた。系列Kの全ての大きさ(T=1〜8)をまとめた。
【図24】図24は、図23において定義された異なる高さ/深さの表面構造突出部を有するBSSAウェハーの上にまいたMC3T3細胞の増殖を示す)。左のパネル:突出部の高さ/深さの寸法がZ=1.6μm(暗い色合い)およびZ=2.4μm(明るい色合い)である、まいた後の全ての時点に関する、およびウェハー上の全ての構造に関する、細胞数(Z軸)の表現。右のパネル:Z=2.4μm(明るい色合い)に関する、まいた後96時間の時点での、大きさ(X軸)および間隙(Y軸)の関数としての細胞数(Z軸)。系列A〜Jからの同じXおよびYの値での全てのデータをまとめた。両方のパネルにおける対照のデータは、平らな表面を有するウェハーの領域上での細胞成長に対応する。
【図25】図25は、Z=2.4μmの縦方向の寸法を有する系列A、Kまたは対照の表面構造(図23において定義されたもの)を有するBSSAウェハーの上にまいたMC3T3細胞の、細胞の大きさ、石灰化およびOPNおよびOCの発現を示す。縦のパネル列1:アクチンおよびビンキュリンのオーバーレイ染色により検出された、ウェハー上の細胞を示す(10×)。縦のパネル列2〜5:BSSAウェハーの上にまいた後、2週間成長させ、その後固定し、オステオポンチン(OPN、緑)、オステオカルシン(OC、赤)、およびDAPI(青)に関して染色したMC3T3細胞を示す。OPN、OCおよびDAPI染色の蛍光顕微鏡検出の後、ウェハーをアリザリンレッドで染色した(縦のパネル列2)。横のパネル列1〜4は、X=1μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列5〜8は、X=2μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列9〜12は、X=4μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列13〜16は、X=6μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列17および18は、それぞれシャークスキン構造K1(T=1μm)および構造を与えられていない表面を有する。パネル2〜5:全ての画像は、異なる構造を隔てているBSSAウェハーの構造を与えていない部分を含む(それぞれの画像の左側1/5の部分)。
【図26】図26は、BSSAウェハー上での2週間の誘導の後のMC3T3細胞の石灰化、OPN、OCの発現およびDAPI染色を示し、ここでそのウェハーは系列A〜J、Kおよび対照の表面構造を有しており、ここでその構造の高さの寸法はZ=2.4μmである(図23において定義されたもの)。画像は構造:(系列A〜Jの2、3、15および16)ならびに(K1〜8の1〜8および対照の領域)の間の交差部分を含む領域の拡大である。蛍光顕微鏡画像は、BSSAウェハーの上にまいた後、2週間成長させ、その後固定し、OPN(緑)、OC(赤)およびDAPI(青)に関して染色し、続いてアリザリンレッドで染色したMC3T3細胞を示す。横の列1〜10:(X,Y)=1,2 1,4 6,4および6,6である構造の、系列A(一番上の列)で始まりJ(一番下の列)までの、それぞれの構造を隔てる構造を与えられていない表面を含めた画像。横の列11〜14:構造を与えていない表面と一緒での、BSSAウェハーの縁にある構造を与えられていない表面の上のK1、K2で始まり構造を与えていない表面の上のK7、K8(最後の列)で終わる、K構造の画像。DAPIチャンネル列9にある黒い領域は、顕微鏡の自動化された画像取得プログラムにおけるフィルターの交換での機械的失敗によるものである。
【図27】図27は、BSSAウェハー(図23において定義されたもの)に付着したMC3T3細胞の面積を示す。アクチン/ビンキュリンのオーバーレイにより覆われた面積を細胞数(DAPI染色)で割ることにより測定された、1日間の付着の後のMC3T3細胞の平均細胞面積の定量。系列A〜Jからの構造の間の、同じ大きさ(X)および間隙(Y)を有する全ての構造をまとめた。一色の縦棒および網状の陰影を付けた縦棒:2回の独立した実験。
【図28】図28は、Z=2.4μmの縦方向の寸法を有する系列Aの表面構造(図23において定義されたもの)を有するBSSAウェハー上での、3週間の誘導の後のMC3T3細胞の石灰化、OPN、OCの発現およびDAPI染色を示す。蛍光顕微鏡画像は、BSSAウェハーの上にまいた後、3週間成長させ、次いで固定し、オステオポンチン(OPN、緑)、オステオカルシン(OC、赤)、およびDAPI(青)に関して染色し、続いてアリザリンレッドで染色した(縦のパネル列1)MC3T3を示す。横のパネル列1〜4は、X=1μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列5〜8は、X=2μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列9〜12は、X=4μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。横のパネル列13〜16は、X=6μmならびにそれぞれ1、2、4および6μmの間の間隙(Y)の形状を有する。
【図29】図29は、ヒツジにおける骨形成アッセイにおける使用のための試料ホルダーを示す。
【図30】図30は、高さ/深さが2.4μmである特徴を有する生体適合性表面F(1,4)上での時間の経過に伴うヒト胚性幹細胞(hESC)コロニーの成長を示す。その細胞を0日目に継代し、5日間毎日写真を撮った。図30aは、表面上のコロニーの全体像を示す(0.8×)。図30bは、1個の選択されたhESCコロニーの形態変化の時間経過を示す(8×)。
【図31】図31は、高さ/深さが2.4μmである特徴を有する表面F(1,2)上での時間の経過に伴うヒト胚性幹細胞コロニーの成長を示す。その細胞を0日目に継代し、5日間毎日写真を撮った。図31aは、表面上のコロニーの全体像を示す(0.8×)。図31bは、1個の選択されたhESCコロニーの形態変化の時間経過を示す(8×)。
【図32】図32は、ナノ表面上で成長したヒト胚性幹細胞コロニーの、成長因子を低減した(RGF)基底膜抽出物の可溶性の形であるGeltrex(商標)マトリックス(Invitrogen)上で成長したヒト胚性幹細胞コロニーとの比較を示す。
【図33】図33は、高さ/深さが2.4μmである特徴を有する表面F(1,4)上で成長した細胞の免疫蛍光、DAPIおよび位相画像を示す。
【図34】図34は、高さ/深さが2.4μmである特徴を有する表面F(1,2)上で成長した細胞の免疫蛍光、DAPIおよび位相画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
第1観点に従う本発明。
この観点は、大量の多分化能哺乳類胚性幹細胞を未分化状態で成長させる、および続いてその胚性幹細胞を望まれる細胞型に分化するように誘導する必要性に関する。一度特定の細胞型に分化すると、これらの特異的な細胞型は多くの異なる適用、例えば薬物のスクリーニング、細胞置換療法、糖尿病、軟骨傷害等のために用いることができる。
【0052】
本発明は、成長および/または分化を方向付ける細胞機能はその細胞の微小環境により強く影響を受けるという認識に基づいている。従って、未分化の胚性幹細胞の成長およびそれらのそれに続く分化は、その細胞が付着することができる適切な構造の提供に依存する可能性があると考えられる。特に、本発明は、細胞の微小環境中の表面の2および3次元構造、またはトポグラフィーは、上記のプロセスに関して重要な要素であると認識している。様々な可能性のある微小環境が無数に存在する。1観点において、従って本発明はその表面トポグラフィーが多分化能哺乳類胚性幹細胞の未分化状態での成長を促進する特定の微小環境を作り出す生体適合性材料の提供に関する。第2観点において、本発明はその表面トポグラフィーが細胞の成長および/または分化を促進する生体適合性材料を提供する。タンパク質および細胞はナノからマイクロメートルまでの大きさに及ぶため、これらは生体適合性材料の提供の問題に関して関係のある長さの規模である。
【0053】
I.ES細胞の増殖および分化の促進のための生体適合性材料を試験する、および選択する方法。
本発明の生体適合性材料または構造物は、異なる表面トポグラフィーを有する材料を、異なる候補となるトポグラフィー的構造を提供するスクリーニングツール/アッセイを用いてスクリーニングすることにより同定することができる。
【0054】
トポグラフィー的構造のスクリーニングに適したスクリーニングツールの例には、いわゆる生体表面構造アレイ(BSSA)ウェハーが含まれる。図1は、その生体表面構造アレイウェハーの例の上面図を示す。BSSAウェハー1は60個の試験領域(tester area)を含む。いくつかの試験領域2は”空白(blank)”のままである。すなわち、それらは構造を与えられた表面を有するように加工されていない。その結果、その試験領域2の表面は実質的に平らである。結果として、そのBSSAスクリーニングツールを用いたそれぞれの平行したスクリーニング試験に対照実験が本質的に含まれる。S1、S2...、S54と名付けられた残りの試験領域は、本明細書で記述したそれぞれの構造を与えられた表面を含む。試験領域は寸法10mm×10mmの正方形である。
【0055】
細胞機能、例えば成長および分化を誘導/増進する構造を同定するためのスクリーニングツールとして用いるためのウェハーは、多くの製造技法により製造されてよい。その製造のための手順の例には、当技術でそういうものとして知られている下記の技法の内の1種類以上が含まれる:
・フォトリソグラフィー法:フォトリソグラフィーは、幾何学的な形状/パターンをフォトマスクから構造を与える表面、例えばウェハーの表面に移す、そういうものとして知られているプロセスである。約1マイクロメートルから100nm未満までの範囲の最小の横方向の形状を有するフォトリソグラフィー機器が、そういうものとして知られている。フォトリソグラフィープロセスは、例えばS.M.Sze: Semiconductor Devices, Physics and Technology, 第2版, John Wiley & Sons 2002, 第12章: Lithography and Etchingにおいて;およびPlummer, Deal, Griffin: Silicon VLSI Technology, Fundamentals, Practice, and Modeling, Prentice Hall 2000, 第5章: Lithographyにおいて記述されている。
・電子ビーム(E−beam)リソグラフィー:原則として、電子ビームリソグラフィーは、フォトレジストをフォトリソグラフィーにおいて光が用いられるのと全く同じようにさらすために用いることができる。電子ビームリソグラフィーは、約5nmまでの特に高い分解能を有する。
【0056】
・ホットエンボシング:ホットエンボシングは、マスタースタンプを用いてマイクロおよびナノメートルスケールの構造をポリマー支持体上に刻印する。その方法は、マスタースタンプが広い範囲のポリマー材料を用いて多くの完全にパターン化された支持体を生産することを可能にする。ホットエンボシングは低コストで非常に万能な製造法を提供し、それは研究および開発の適用から大量生産までにわたる用途のためのBSSAの製造に十分に適している。大きいサイズのウェハー、例えば8インチまたは12インチウェハー上のマイクロおよびナノメートルスケールの構造に関して、非常に高い程度の均質性を有する高いアスペクト比を得ることができる。20nm未満の形状が可能である。マスタースタンプは例えば電子ビームリソグラフィーの技法により製造することができる。
【0057】
・生体適合性材料または構造物の製造に含めることができる製造工程またはプロセスの他の例には、ナノインプリントリソグラフィー、レーザーアブレーション、化学エッチング、プラズマスプレーコーティング、吹き付け研削(abrasive blasting)、エングレービング、スクラッチング、微細加工(micro machining)、または同様のものが含まれる。
【0058】
図2は、図1のウェハーの断面図を示す。図2aは、A−Bと表示した線に沿ったウェハーの幅全体の断面を示す。図2bは、試験領域の1つの表面の一部の拡大図を示す。ウェハー1はパターン化された支持体層21、例えばシリコン層および表面層23を含む層構造を有する。ウェハーの表面は、例えばフォトリソグラフィーのプロセスによりパターン化されており、それぞれの試験領域S1、S2...、S54の表面上で異なるパターンを与える。その構造は深さ/高さHを有する。フォトリソグラフィーのプロセスにおいて、高さHはエッチングプロセスにより制御可能である。そのパターン化された表面は、二酸化ケイ素の薄い層22、および/または異なる生体適合性材料、例えばタンタルまたはいずれかの他の金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素、半導体、半導体酸化物/窒化物、絶縁体、ポリマー類、コポリマー類の表面層23により覆われている。試験領域の間に、構造物を持たない”空白の”境界領域があり、すなわちその境界領域は構造を与えられた表面を有するように加工されていない。この場合では、空白の境界領域の幅は0.3mmである。空白の境界は、構造の視覚的な整列および同定を助ける。空白の境界はさらに、それぞれの試験正方形の隣の小さい対照表面として役立つ。
【0059】
図2は図式的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを特筆する。特に、縦方向の寸法は読みやすさを向上するため誇張されている可能性がある。
II.本発明の生体適合性材料の化学組成
生体適合性材料または構造物の態様は様々な形を取る可能性があり、例えば次のものである:
−医療用インプラントまたは医療用インプラントの製造において用いるための生体適合性コーティング、
−細胞培養物への露出のための表面を有する組織培養ディッシュ/フラスコであって、露出した表面が望ましい細胞機能、例えば胚性幹細胞の未分化または分化した状態での成長を支持する構造を有する組織培養ディッシュ/フラスコ、
−これらの構造またはこれらの構造のブループリントをその表面上に示すように改変されている、組織培養表面または例えば組織培養プラスチック。この点において、組織培養プラスチックは、細胞培養におけるインビトロでの細胞の成長のために用いることができる表面を製造するために用いることができるあらゆるポリマー類を意味する。
【0060】
生体適合性材料または構造物の態様は、支持体層、および場合により表面層を含んでいてよい。
生体適合性材料または構造物の製造に適した基材には、あらゆる半導体(ドープされた、またはドープされていない)、単一金属、金属酸化物、金属窒化物、合金、セラミック、ポリマー、コポリマー、複合材料、薬物送達システム、生理活性分子を有するポリマー、他の生理活性化合物またはそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0061】
本発明の態様において、表面層はES細胞のインビトロでの、および/または患者における移植の後の成長に関して十分に生体適合性である材料を含む。表面層の例には、金属性表面堆積物、例えばタンタル、チタン、Ti−Al−V合金類、金、クロム、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、ポリマー類、バイオポリマー類、または他の合金類が含まれる。インプラントに関して好ましい表面組成物には、タンタル、チタン、プラチナまたはそれらの酸化物が含まれる。
【0062】
本発明の態様において、表面層の少なくとも一部はポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸、キトサンまたはそれらの組み合わせの中から選ばれたポリマーを含む。
【0063】
本発明の態様において、細胞または組織培養容器は、例えばナノ結晶性ダイヤモンド、プラズマ重合、酸素プラズマ、または窒素プラズマにより化学的に機能性を持たせたものである。
【0064】
一部の態様において、生体適合性材料または構造物は追加の構成要素、例えば1種類以上の生理活性化合物を含み、それは前記の材料または構造物の露出した表面または表面層上に堆積していて、または吸着されていてよい。例えば、前記化合物は、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、成長ホルモン、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択されてよい。好ましくは、骨形成タンパク質[BMP]、上皮成長因子[EGF]、トランスフォーミング成長因子ベータ[TGF−ベータ]、インスリン様成長因子IGFおよび白血病抑制因子[LIF]から選択される1種類以上の成長ホルモンが、その容器の表面層に吸着されている、または化学的に結合している、固定されている、もしくはそれと複合体を形成している。
【0065】
III.本発明の生体適合性材料の構造上の特性
生体適合性材料または構造物の表面の全てまたは一部(それは上記のような様々な形を取ってよい)は、その材料または構造物の表面により定められる平面内で1つ以上の次元においてマイクロメートルスケールの特徴を含む。本明細書で用いられるマイクロスケールおよびマイクロメートルスケールという用語は、約1μm〜約1000μmの範囲の長さのスケールを指すことを意図する。本明細書で用いられるナノメートルスケールという用語は、約1nm〜約1000nm、特に約1nm〜約100nmの範囲の長さのスケールを指すことを意図する。
【0066】
本発明の態様において、その特徴は構造上の/トポグラフィー的特徴、例えば生体適合性材料の表面から突き出た突起である。
マイクロメートルスケールの特徴は、少なくとも1つの横の方向において横方向の寸法を有していてよく、ここで前記の寸法は次の区間の内の1種類から選択される:約1μm〜約20μm;約1〜10μm;約10〜20μm、約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜8μm、約8μm〜10μm;約10〜12μm;約12〜14μm;約14〜16μm;約16〜18μm;約18〜20μm。好ましくは、本発明の1態様において、少なくとも1種類の横方向の寸法は0.1μm〜4μmである。従って、特徴の断面領域内のあらゆる所与の点から断面領域の端までの最も短い距離は4μm以下である。
【0067】
横方向の寸法は、表面に対して実質的に平行な方向で、または表面に対して少なくとも実質的に接線となる方向で測定される。
あらゆるマイクロメートルスケールの特徴およびその最も近い隣のものの間の最大距離、または間隙は、少なくとも1つの横の方向において横方向の寸法を有していることができ、ここで前記の寸法は次の区間の内の1種類から選択される:約0.5μm〜1μm、約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜8μm、約8μm〜10μm、約10μm〜12μm、約12μm〜14μm、約14μm〜16μm。好ましくは、本発明の1態様において、その横方向の寸法は0.5μm〜8μmである。生体適合性材料の表面におけるマイクロメートルスケールの特徴の配置は、好ましくは1つ以上の横の方向に沿って周期的であり、それは次の区間の内の1種類から選択される横方向のピッチの寸法を有する周期関数により記述することができる:約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜10μm、約10μm〜16μm、約16μm〜20μm、約20μm〜24μm。本発明の1態様において、そのピッチの寸法は8.0μm未満、より好ましくは0.5μm〜0.6μmである。
【0068】
そのマイクロメートルスケールの特徴の周期関数は、1方向に沿ってより小さい周期、および別の方向に沿ってより大きい、例えば2倍、3倍、10倍またはより大きい倍率の周期を有していてよい。その生体適合性材料の表面におけるあらゆる1つのマイクロメートルスケールの特徴は、周期的構造の周期として定義されてよい。従って、周期的構造の特徴の横方向の寸法は、周期的な形状/関数の周期、すなわちその構造がその形状を繰り返す最も短い間隔の長さとして定義することができる。
【0069】
そのマイクロメートルスケールの特徴の深さ/高さ、すなわちその生体適合性材料の表面から突出する方向でのそれらの直線寸法は、ナノまたはマイクロメートルスケールであってよく、すなわち、その構造は1nm〜10μmの範囲、または次の区間から選択される範囲の高さ/深さを有していてよい:約0.07μm〜0.6μm、0.6μm〜1.6μm、約1.6〜3.0μm、約3μm〜10μm。本発明の1態様において、構造(例えば突起)は次のいずれかである縦方向の高さ/深さの寸法を有する:1.6μm以上、または3.0μm以上、または好ましくは2.0μm〜3.0μm、または約2.4μm。この態様は、多分化能幹細胞の未分化での成長の促進に特に適している。別の態様において、全ての特徴(突起)は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.6μm、より好ましくは約0.6μmである縦方向の高さ/深さの寸法を有する。この態様は、幹細胞の分化の促進に特に適している。
【0070】
あらゆる1つのマイクロメートルスケールの特徴の横方向の断面は、好ましくは幾何学的、例えば正方形、長方形、六角形、多角形または星型である。その特徴の上部および/または側面の表面は好ましくは実質的に平面である。しかし、そのマイクロメートルスケールの特徴の表面は、マイクロメートルおよびナノメートルスケールの両方でのトポグラフィーの相乗効果を得るためにナノスケールでの特徴も含んでいることができる。これは、例えば化学エッチング(例えばNaOHまたはクエン酸による)、イオンエッチング、コロイドリソグラフィー(例えばポリスチレンビーズ類、バッキーボール類またはタンパク質による)、斜入射(grazing incidence)物理気相成長コーティング、CVDコーティング、またはプラズマ溶射(plasma spraying)により得ることができる。その生体適合性材料の表面における特徴は、同じまたは異なる形状を有していてよい。好ましくは、その生体適合性材料の表面における特徴は形状が幾何学的である(例えば正方形、長方形、六角形、星型、または多角形)。
【0071】
概して、2次元の周期的な構造は、正方形、長方形、六角形等のような予め決められた形状を有する表面の平面内の単位セル、および穴または突起、例えば四角柱、多角柱、円柱等のような単位セル内の詳細な構造(基礎)を定める繰り返し単位により定めることができる。その単位セルにより定められる位置は繰り返しの距離を定め、一方でその繰り返し単位は予め決められた形状および大きさを定める。これらの単位セルの位置は、それぞれの2次元ベクトルにより定めることができる。従って、その格子構造は表面により定められる2つの次元に沿った単位セルの平行移動、特に単位セルの寸法のそれぞれの倍数の結果得られる。1態様において、それぞれの特徴の中心の位置は、ベクトルv=n+nにより定めることができ、ここで、vおよびvは表面内の線形独立なベクトルであり、nおよびnは整数である。
【0072】
一部の態様において、それぞれの特徴の中心は、予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に位置している(図8A,B)。
【0073】
一部の態様において、全ての特徴は前記の格子の全ての格子点を覆っており、一方で他の態様において、基礎となる格子の全ての格子点が覆われているわけでは無い。例えば、一部の態様において、格子点の1つおきの列において、1つおきの格子点が特徴により覆われていてよい。さらに他の態様において、1つ、2つ、3つまたはより高い数おきの列において、1つ、2つ、3つまたはより高い数おきの格子点は空いたままである。
【0074】
一部の態様において、トポグラフィー的構造は複数の異なる特徴、例えば規則的な、例えば周期的なパターンで配置されたいくつかの異なる特徴を、例えば2、3、またはより多くの異なる特徴の交互の列として含んでいてよい。前記のパターンの例には、交互の列に配置された、正方形の断面を有する特徴および円形の断面を有する特徴を含む構造が含まれる。
【0075】
一部の態様において、その特徴は線および/または列で配置されている。一部の態様において、それぞれの列の中の特徴は同じピッチ距離を有しており、一方で他の態様においてそのピッチ距離は列全体で、および/または列ごとに異なっていてよい。同様に、列と列の距離は全ての列に関して同じであってよく、または列ごとに異なっていてよい。一部の態様において、列中の一部または全ての構造物は同じ列中のそれらのそれぞれの隣のもの(単数または複数)に関して回転していてよい。一部の態様において、列中の一部または全ての構造物は隣の列(単数または複数)におけるそれらのそれぞれの隣のもの(単数または複数)に関して回転していてよい。
【0076】
一部の態様において、その特徴の全ての横の方向における横方向の寸法は、1μm〜約10μmである。前記の特徴の例には、一般に正方形または円形の断面を有する突起が含まれる。他の態様において、1方向におけるその特徴の横方向の寸法は1μm〜約10μmであり、一方で別の方向における横方向の寸法はより大きい。
【0077】
生体適合性材料の例は、次のものを含むトポグラフィーにより特性付けられる表面を有する微小構造を有する生体適合性材料である:寸法2μm×2μmの正方形の柱および6μmのピッチ距離を有する2次元の周期的構造(図6)。
【0078】
図8A〜Kは、一般に円形、正方形または長方形の断面を有する突起/柱の形の特徴を有するトポグラフィー的構造の例の上面図を示す。それぞれの特徴は少なくとも1方向において横方向の直径Xを有しており、隣接する横列および縦列中の特徴の間の間隙距離はYで表される。図8A、C、E、F、およびIにおいて、Yはあらゆる特徴およびその最も近い隣のものの間の間隙の大きさに等しく、ピッチ距離X+Yに対応する。図8B、D、G、H、およびJにおいて、その最も近い隣のものまでの間隙距離は、異なる特徴に関して異なっており、図8Bの特徴1201、1202、および1203により例示される。特徴1201は特徴1202をその最も近い隣のものとして有する;結果として、その間隙の大きさはYである。しかし、特徴1203は特徴1201および特徴1202をその最も近い隣のものとして、わずかに異なる間隙の大きさdで有する。従って、図8B、D、G、H、およびJにおいて、そのピッチ距離は列ごとに異なる。特徴1201を含む列では、ピッチ距離はX+Yであり、一方で特徴1203を含む列におけるピッチ距離は2(X+Y)である。他の高さも可能であるが、下記の実施例において用いられる構造は0.6μm、1.6μmまたは2.4μmの内の1種類の特徴の高さを有していた。
【0079】
図8の実施例において、それぞれの特徴の中心は、図8AおよびBにおいて図説されているような格子定数aおよびbを有する2次元の長方形の格子の対応する格子点上に位置している。しかし、図8A〜E、H〜Iにおいて、実際には格子点の全てが特徴により覆われているわけではなく、一方で図8FおよびKでは、全ての格子点が特徴により覆われている。図8A、C、E、F、およびIでは、格子は格子定数a=b=(X+Y)を有する正方形の格子である。図8B、D、G、H、およびJでは、格子は長方形であり、格子定数はa=X+Yおよびb=(X+Y)/2である。図8Kでは、格子定数はa=2・Xおよびb=3.5・Xである。XおよびYの選択された値に関して、ウェハーを図8A〜Hに従って製造し、ここでμmでの(X,Y)は(X,Y)=(1,1)、(1,2)、(1,4)、(1,6)、(2,1)、(2,2)、(2,4)、(2,6)、(4,1)、(4,2)、(4,4)、(4,6)、(6,1)、(6,2)、(6,4)、(6,6)から選択された。XおよびYの選択された値に関して、ウェハーを図8Kに従って製造し、ここでμmでのXはX=1、2、3、4、5、6、7、8から選択された。従って、基礎となる格子の格子定数aおよびbは、図8A、C、E、F、およびIの正方形の格子に関してa=b=2〜12μmであった。図8B、D、G、H、およびJの長方形の格子に関して、方向aにおける格子定数は2〜12μmの区間にあり、方向bにおける格子定数は1〜6μmの区間にあった。図8Kの格子に関して、格子定数bは3.5〜28μmの区間にあり、格子定数aは2〜16μmの区間にあった。
【0080】
XおよびYの異なる値に関して上記の構造をそれぞれ識別するため、図8Aにおいて示した構造を本記述においてAX.Yと呼び、ここでXおよびYは上記の寸法XおよびYを指す。従って、構造AX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0081】
同様に、図8Bにおいて示されているような構造をBX.Yと呼ぶ。従って、構造BX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0082】
図8Cにおいて示されているような構造をCX.Yと呼ぶ。従って、構造CX.YはXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで正方形の側面は列の方向と一直線に揃っており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0083】
図8Dにおいて示されているような構造をDX.Yと呼ぶ。従って、構造DX.YはXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで正方形の側面は列の方向と一直線に揃っており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0084】
図8Eにおいて示されているような構造をEX.Yと呼ぶ。従って、構造EX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。円形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の正方形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0085】
図8Fにおいて示されているような構造をFX.Yと呼ぶ。従って、構造FX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。それぞれの列内の、および隣接する列の間の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0086】
図8Gにおいて示されているような構造をGX.Yと呼ぶ。従って、構造GX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。円形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の正方形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の正方形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の円形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0087】
図8Hにおいて示されているような構造をHX.Yと呼ぶ。従って、構造HX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。それぞれの列内の、および隣接する列の間の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。正方形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の円形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0088】
図8Iにおいて示されているような構造をIX.Yと呼ぶ。従って、構造IX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。正方形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の円形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0089】
図8Jにおいて示されているような構造をJX.Yと呼ぶ。従って、構造JX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。正方形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の円形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の円形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の正方形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0090】
従って、上記の実施例において、最も近い隣の特徴の間の最小の間隙の大きさはYμmであり、最も近い隣の特徴の間の最小の中心間距離はX+Yμmである。
図8Kにおいて示されているような構造をKXと呼ぶ。構造KXは長方形の断面の細長い突起(リッジ)のグループを含む。そのリッジは異なる長さを有し、互いに平行に配置されている。それぞれのグループのリッジは長方形の形状を形成してそれぞれのグループが最も長いリッジを中央のリッジとして含むように配置されている。中央のリッジのそれぞれの側で、中央のリッジからの距離が増大すると共に次第に短くなる一連のリッジが配置されている。従って、長方形の形状KXは、長さXμm、2Xμm、3Xμm、4Xμm、3Xμm、2Xμm、Xμmのリッジの配列を含む。そのリッジの幅はXμmである。リッジの間の距離はXμmである。リッジのグループは予め決められたパターンで、そのリッジが列に沿って置かれるように配置されており、ここでそれぞれの列は2種類の交互の長さのリッジを含む:第1のタイプの列は、長さXμmおよび4Xμmの交互のリッジを含む。第2のタイプの列は、長さ2Xμmおよび3Xμmの交互のリッジを含む。リッジの全体のパターンはシャークスキン構造に似ている。
【0091】
他の好ましい構造は、下記の実施例と関連して記述されるであろう。
IV.本発明の生体適合性の、トポグラフィー的に改変された表面を、輪郭を描かれた(contoured)3D表面上に合成する方法。
【0092】
ES細胞に関して生体適合性である容器の表面は、いくつかの製造技法、例えば次の技法の内の1種類以上により製造されてよい:
−金型刻印:硬い型(例えばSiCまたはSiN)を用いることにより、インプラント金属のような他の硬い材料に刻印により直接パターンを生成することが可能である。マスターである金型は、典型的には電子ビームリソグラフィーおよび反応性イオンエッチングの組み合わせにより製造される。40nmに至るまでの幅を有するナノ構造の大きなアレイをアルミニウムのような柔らかい金属に印刷することができることが示されている(S. W. Pang, T. Tamamura, M. Nakao, A. Ozawa, H. Masuda, J. Vac. Sci. Technology B 16(3) (1998) 1145。より具体的には、Al、Ti、チタン合金、ステンレス鋼、Ta等のような他の硬い支持体の中に押す場合には、SiCまたはSiNのような非常に硬い材料において金型のパターンを生成するのが望ましい−そうでなければ、その金型は損傷する、またはさらには壊れてしまうであろう。金型刻印はもちろんポリマーのようなより柔らかい材料において適用することもできる。SiCまたはSiNのような材料はドライエッチングするのが難しいので、フォトレジストのみではなく例えばCrで構成されるエッチマスクを作るのが望ましい。そのマスクは次の方法で製造することができる:電子ビームリソグラフィーによりレジスト中に横方向のパターンを作り、その後、典型的にはアセテートのような有機溶媒中で現像する。これはレジストのパターンを表面上に残す。そのレジストのパターンを、おおよそ100nmのCrの層のPVD蒸着により覆い、最後にレジストを標準的なレジスト除去剤を用いて溶解させることにより取り外す。硬い金型材料のドライエッチングは、反応性イオンエッチング系において行うことができる。構造の深さはイオンエッチングの時間により制御される。最後に、Crのマスクを硝酸セリウム水溶液中で外すことができる。この時点で、その硬い金型は生体適合性の、トポグラフィー的に改変された表面を合成するために表面に刻印する準備ができている。その金型は生体材料の選択された領域に、その金型をその表面の選択された領域の中に水圧方式で押し付けることにより、マイクロおよびナノパターンを押し付けることができる。適用される圧力は、典型的には数トンを10〜30秒間であろう。その金型の大きさの領域を連続してパターン形成することにより、いくつかの領域をパターン形成することができる。その金型の大きさは典型的には10×10mmから40×40mmまでである。このマイクロおよびナノ印刷法は、例えばTi、チタン合金類、タンタル、またはステンレス鋼により製造される輪郭を描かれた3Dインプラント上の選択された領域をパターン形成するのに非常に適している。しかし、それはもちろんポリマー性材料/コーティングのようなそれほど硬くない材料にも適用することができる。
【0093】
−金型を転がすことによる刻印。その方法は基本的には金型刻印と同じであるが、ここではその金型は平面ではなく典型的には円筒である。この金型ローラーは、上記の金型刻印に関して記述したようにしてフォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィー/反応性イオンエッチングによりマイクロおよびナノ構造を与えられている。湾曲した表面を考慮するために設定を修正する必要がある。この時点で、その金型ローラーは、水圧方式でそのローラー金型をインプラントの表面上に押し付けることにより生体材料の選択された領域の上に押し付け、その上を転がし、それによりマイクロおよびナノ構造を刻印することができる。また、ここで、そのインプラント材料はTi,Ti合金類、タンタルまたはステンレス鋼のように硬いものであることができるが、それは硬くなければならないわけではなく、従ってその方法は例えばポリマー類にも適用可能である。
【0094】
−コロイドリソグラフィーによるパターン形成:ここで、短距離で並んだパターンで集合するコロイド粒子(例えばポリスチレンまたはタンパク質フェリチン)の堆積により表面をナノパターン形成することが可能である。これらの粒子は例えば次のものとして用いることができる:柱を作るエッチングマスク、表面上の突起を作るためのトポグラフィー的鋳型、または例えばナノメートル金属クラスターの(例えばフェリチンの金属中心による)堆積。
【0095】
−極めて短いレーザーパルスによるレーザーパターン形成:この技法は、高度に正確なパターン形成のために利用することができる。特に、アブレーションプロセスの強い非直線性は、材料の除去のための輪郭のはっきりした敷居をもたらし、これを用いて回折限界未満の構造さえも形成されることが示されている(P. P. Pronko, S. K. Dutta, J. Squier, J. V. Rudd, D. Du, G. Mourou: Optical Communication 114, (1995) 106)。
【0096】
極めて短いレーザーパルスによるレーザーパターン形成は、ナノメートルの大きさの穴の大きなアレイを作るために、石英の球を予め堆積させること(pre−deposition)(K. Vestentoft, J. A. Olesen, B. H. Christensen, P. Balling: Appl. Phys A 80, (2005) 493と組み合わせて用いることもできる。より具体的には、石英の球の層を表面上に堆積させて高密度に詰まったアレイを作るのが典型的であるが、必ずしもそうであるわけではない。極めて短いパルスの焦点を合わせていないレーザービームを石英の球を有する表面にわたって走査することにより、その球がレーザービームの焦点を合わせる個別のレンズの役目をするため、構造の大きな領域を並行して生成することが可能である。
【0097】
−レーザー走査ビーム干渉リソグラフィー:この低コストな方法は、大きな表面の領域にわたって周期的および準周期的で空間的にコヒーレントなパターンを製作するために用いることができる。その方法は、2つ以上のコヒーレントな平面状の波面の間の干渉を利用する。(S. Kuiper, H. van Wolferen, G. van Rijn, Journal of Micromechanics and Microengineering 11(1), (2001) 33。
【0098】
V.マイクロスケールの表面構造を有する露出した表面を含む、組織または細胞を培養するためのデバイス
図9は、マイクロスケールの構造を有する露出した表面を有する組織培養ディッシュの断面図を図式的に示す。ディッシュ301は底部303および側壁302を有する上方に開いた容器を含む。使用において、上側の表面304は細胞培養物または組織に対して露出しており、そうしてその培養物のための微小環境を提供する。本発明の態様において、露出した表面304は、本明細書で記述した予め決められた細胞機能を促進するように選択されたマイクロスケールのトポグラフィー的構造を有する。その表面は、例えばポリマー類、例えばポリスチレン、異なるタイプのポリカプロラクトン類、ポリ(メチルメタクリレート、ポリ(ジメチルシロキサン)を含むシリコン類、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール類、ヒアルロン酸に基づくポリマー類、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、mr−I T85、mr−I 7030、ポリ(ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン類、修飾された多糖類、例えばデンプン、セルロース、およびキトサンを含む天然のポリマー類、ならびに上記のものの混合物およびコポリマー類において、例えば適切なスタンプまたはブループリントから、ホットエンボシングにより、または射出成形により、または当技術において既知の、および/または本明細書で記述されたいずれかの他の適切なプロセスにより大量生産することができる。表面304は、底部303の上側の表面またはそのディッシュの底部303の上に置かれた分離した要素、例えば円盤の上側表面であってよい。例えば、胚性幹細胞の未分化状態での成長を支持するように選択された構造を有するその組織培養ディッシュ/フラスコまたはいずれかの表面は、より後の発生において望まれる細胞型に分化するように誘導することができる大量の胚性幹細胞を成長させるために用いることができる。一度特定の細胞型に分化すると、これらの特定の細胞型は薬物のスクリーニングおよび/または細胞置換療法のために用いることができる。
【0099】
その表面304は、その表面上にその選択された構造またはこれらの構造のブループリントを示すように改変された分離した組織培養プラスチックの形で提供されてもよい。例えば、その分離した組織培養プラスチックは培養ディッシュ301中に着脱可能な形で挿入されていてよい。この点において、組織培養プラスチックという用語は、細胞培養におけるインビトロでの細胞の成長のために用いることができる表面を製造するために用いることができるあらゆるポリマー類/金属コーティング類/材料を含むことを意図している。
【実施例】
【0100】
実施例1
13×3タンタルアレイの試験領域を含むBSSAウェハーの製造
525±25μmの厚さを有する片側研磨シリコンウェハーが、生体適合性材料の製造のための基層を提供した。そのウェハーは1〜20オームcmの抵抗率を有するn型ウェハーであった。マイクロメートルの大きさのパターンをそのシリコンウェハーの研磨された側の上に、標準的なフォトリソグラフィーおよびSF/O放電中での反応性イオンエッチングにより下記のプロトコルに従って印刷した。
【0101】
1.ウェハーを緩衝したフッ化水素酸(BHF、BHFは濃縮HF(49%)、水、および緩衝塩、NHFの約1:6:4の比率での溶液)を用いて30秒間プレエッチングし、次いでN流の下で乾燥させ、
2.次いでウェハーをフォトレジストAZ5214、Hoechst Celanese Corporation、米国ニュージャージー州(その化学組成はHoechst Celanese Corporationにより供給されている化学物質安全性データシート(Material Safety Data Sheet)(MSDS)において見つけることができる)の1.5μm厚の層でスピンコートし、約90℃で120秒間プレべーク(pre−bake)し、
3.そのフォトレジストでコートされたウェハーを、EVC露光装置モデルAL6−2中で適切なマスクを通してUV光に5秒間露光し、50〜60秒間現像させ、次いで120℃で1分間ポストベークし(post−baked)、
4.そのフォトレジストでコートされたウェハーを、BHFを用いておおよそ30秒間短くエッチングすることによりパターン形成し、次いでおおよそ0.30μm/分の速度で反応性イオンエッチング(RIE)を施し、そのレジストをアセトンを用いて剥がし、続いてRCAクリーニングした。RCAクリーニングの手順は、順次用いられる3つの主な工程を有する:5:1:1 HO:H:NHOH溶液(SC1)を用いる、不溶性の有機性混入物の除去。希釈した50:1 HO:HF溶液を用いる、薄い二酸化ケイ素層の除去、ここで、(I)の結果として金属性の混入物が蓄積している可能性がある。6:1:1 HO:H:HClの溶液(SC2)を用いる、イオン性および重金属原子性混入物の除去。
【0102】
5.次いで、そのパターン形成されたウェハーをドライ酸化により不動態化し、20nmのSiOの層を1000℃において15分間で熱的に成長させた。
6.250nmのタンタル層を、そのパターン形成されたウェハーの表面上に、スパッタ蒸着により蒸着させた。
【0103】
そのウェハーは168個の構造を与えられた正方形および1個の対照の構造を与えられていない正方形を試験領域として含むように製造され、ここでそれぞれの領域は実施例1に従って製造された、構造A〜K[図8A〜K]と名付けられた特定の横方向のトポグラフィーを有する。構造パターンA〜Jのそれぞれはウェハー上の16個の正方形上に表されるが、(X,Y)により指定される異なる寸法を有する。その原理を構造パターンAに関して図説する。K構造を、8個の正方形上に、パラメーターTにより指定される異なる寸法で表す。X、YおよびTはμmにおいてである。ウェハーをこれらの定められたパラメーターに従って製造し、ここでその横方向のトポグラフィーの深さは0.6μm、1.6μmおよび2.4μmのいずれかで定められた。
【0104】
・”AX/Y”:図3において示されている線構造。その構造は幅X(単位μm)のトレンチ41および幅Y(単位μm)のリッジ42を含む。従って、図3の線構造は1つの次元のみに沿ってマイクロメートルスケールの特徴を有する。実施例1において、領域A(2,2)は幅2μmのトレンチおよび幅2μmのリッジを有する線構造を含み、領域A(4,4)は幅4μmのトレンチおよび幅4μmのリッジを有する線構造を含み、領域A(4,2)は幅4μmのトレンチおよび幅2μmのリッジを有する線構造を含む。
【0105】
・”BX/Y”:図4において示されている正方形の穴の構造、その構造は寸法X(単位μm)×X(単位μm)およびX+Yのピッチ距離を有する正方形の穴/凹部51を含み、すなわちリッジ52の網は幅Yを有する。従って、図4の構造は試験領域の表面の平面内の両方の次元においてマイクロメートルスケールの特徴を有する。実施例1において、領域B(4,4)は寸法4μm×4μmおよびピッチ距離8μmを有する正方形の穴を含む。
【0106】
・”KX/Y”:図5において示されている、リッジにより隔てられた長方形の穴/凹部を含む構造。その構造は幅X(単位μm)のリッジ62で隔てられた寸法X(単位μm)×Y(単位μm)の長方形の穴61を含む。
【0107】
・”DX/Y”:図6において示されている、突起/柱を含む構造。その構造は、寸法X(単位μm)×X(単位μm)の正方形の断面およびX+Yのピッチ距離を有する突起/柱71を含む。従って、領域D(2,4)は柱の寸法2μm×2μmおよび6μmのピッチ距離を有する正方形の柱の構造を含む。
【0108】
・”CX”:図7において示されている、正方形の穴/柱の構造。その構造は穴81および突起/柱82を有するチェス盤の外観を有し、両方とも寸法X(単位μm)×X(単位μm)を有する正方形の形状を有している。
【0109】
上記で記述された製造法は他の形および大きさの試験領域ならびに他のタイプの構造を有するウェハーにも適用されてよいことは理解されている。同じ製造プロセスを、様々な異なるウェハーに関して用いてよく、ここで試験領域および個々の表面構造のレイアウトは、それを通してウェハーが露出されるマスクにより決定される。
【0110】
実施例2
多分化能マウス胚性幹(ES)細胞の成長を促進するための生体適合性表面の同定
未分化のマウスES細胞は、密集した輪郭のはっきりしたコロニーで成長する(図10)。コロニーが平らになって展開する(spread out)と、ES細胞は分化し始める可能性が最も高かった。このように、コロニーの形態はすぐに分かる一般的に受け入れられている多分化能のマーカーである。十分に確立されている細胞内多分化能マーカーの例は、転写因子Oct4およびNanogならびに酵素アルカリホスファターゼ(AP)である。
【0111】
ES細胞(KH2細胞およびCJ7細胞)を、1.3〜5×10細胞/p10ペトリ皿の密度で、実施例1におけるように製造したタンタルBSSAウェハー(図11)の上にまいた。その細胞を、5%CO、空気湿度90%および37℃の条件下で3日間培養した。その細胞を、15%FCS、2mMグルタミン、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン、非必須アミノ酸、100μM β−メルカプトエタノールおよびヌクレオシド類を補ったDMEM中で、しかしフィーダー細胞層の非存在下で成長させた。さらに、ES細胞の未分化の表現型の維持を助けるために、そのES細胞成長培地に白血病抑制成長因子(LIF)、1000U/mlを補った。3日間の培養の後、その細胞をアルカリホスファターゼ(AP)活性(青)に関して染色し、それは未分化のマウスES細胞に関する陽性マーカーを与える。
【0112】
両方の細胞株に関して、異なる構造の間でコロニーの形態に明らかな違いがあった(図12)。一般に、CJ7細胞はその構造上でKH2細胞よりも分化する傾向がより大きかったが、関係のある共通の特徴が存在する:2.4μmの構造の高さでのF1.2上で形成されたコロニーは、AP活性を有する輪郭のはっきりした丸いコロニーを形成する。同じ構造の高さにおいて、F4.1上のコロニーは平らになりAP染色の強度を失う傾向がある。K8構造上で成長したコロニーは細長く、低減したAP染色の強度を有する。特にCJ7細胞に関して、構造の高さが低くなるにつれてこの効果は増大する。他の構造に関して、構造の高さが低くなるとコロニーの数が低減する。構造の高さを低減することは、コロニーの大きさを増大させAP染色を低減させる傾向もある。その2種類の細胞株はNSの正方形に相違して応答する:CJ7のコロニーは分化し始めたが、一方でKH2のコロニーは、構造を与えられた正方形上でのそれらの成長の形態と比較して小さく、輪郭がはっきりしており、数が低減している。
【0113】
分析される生体適合性構造の数が多いため、ES細胞の成長パターンは自動化されたコロニー数の計数を用いて定量した。この方法を、コロニーの形態およびAP染色の強度に基づく手作業の計数と比較した。
【0114】
未分化のKH2 ESコロニーの手作業の、および自動化された計数の比較(図13)は、自動化された計数はコロニー数を一貫して多く評価しすぎることを明らかにしている。しかし、比率(自動化された計数)/(手作業の計数)は1.5±0.3で比較的安定している。自動化された計数により検出される個々の構造上のコロニー数の発達の特徴は、手作業の計数により検出されるそれらの特徴と一致しているようである。CJ7細胞に関して、手作業の、および自動化された計数の間で同様の良好な相関が得られた。これは、その自動化された計数法が例えば高いコロニー数を生じる生体適合性構造を同定するのに適していたことを確証する。さらに、その計数の結果は未分化のES細胞コロニーにより覆われた総面積(総ES細胞コロニー面積)および細胞により覆われた総面積(総DAPI面積)も見積もる。この目的のために、ES細胞を、DNAに強く結合し、無傷の細胞膜を通過することができ、それにより生きた細胞および固定された細胞両方を染色するのに用いられる蛍光染料である4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール[DAPI]で染色した。DAPIで染色された細胞は蛍光顕微鏡により検出され、紫外光で励起される。DAPIが二本鎖DNAに結合している際、その吸収の最大は358nmにあり、その励起の最大は461nmにあり、それは青/青緑色に見える。
【0115】
次いで、自動化された計数を用いて図11において記述されている実験から得られた結果を定量した。異なる構造の高さにおけるコロニー数の大きな差異のため、図14における異なる高さに関して異なる色合いのスケールを適用する必要があり、ここで色合いがより暗いほどコロニー数がより高い。概して、Xの寸法が減少するにつれてコロニー数は増大した。最も高いコロニー数は、寸法Y=2μmまたは4μmおよびX=1μmまたは2μmである構造において得られ、一方最も低いコロニー数は、Y=1およびX=2μm、4μmまたは6μmの場合に得られた。全てのK構造において低いコロニー数が見られた。
【0116】
異なる試験した生体適合性表面構造の効果は、図15からさらに見ることができる。小さい最小断面直径(小さいX)を有する突起を有する表面構造は最も高いES細胞コロニー数をもたらし、一方でより大きい値のXを有する突起を有する表面構造はより低いコロニー数をもたらした。さらに、その図は寸法Y=2μmまたは4μmである構造はXに関する値に依存して最も高いコロニー数をもたらすことを確証している。このように、我々はYの値(その構造の柱の間の距離)に関してコロニー形成に関する局所的な最適条件を同定した。外挿により、1μm未満のXの寸法を有する構造上でコロニー数はさらに増大するであろう。
【0117】
図15の綿密な調査は、未分化のES細胞の増殖にとって好ましくない条件は65μmあたり1個未満の突起を有する表面構造および突起の面積が総表面積の25%を超えている表面構造と関係していることを明らかにする。未分化のES細胞の最適な増殖は、両方の条件を満たす表面構造と関係しているということになる。
【0118】
図16は、構造の高さならびにCJ7およびKH2細胞株に関するES細胞コロニー数の間の関係を示す。縦軸上に与えられているのは、全てのウェハーからの総ES細胞コロニー数である。コロニー数は明らかに構造の高さと共に増大し、この効果は両方の細胞株に関して見られる。
【0119】
そのデータ分析を全てまとめると、X=1、Y=2または4および構造の高さ2.4μmである構造が最も高いコロニー数をもたらすことが明らかになった。
実施例3
マウス胚性幹(ES)細胞の多分化能および成長形態は、生体適合性表面上での連続継代の間維持されている
前の実施例は、異なる表面構造を有する生体適合性表面は高いESコロニー数を促進する(例えば構造:F1.2)、または低いESコロニー数を促進する(例えば構造:F4.1)ために用いることができることを示している。これらの構造のES細胞の成長に対する持続する効果を、CJ7およびKH2 ES細胞の連続継代の間に調べた。それぞれの継代の後、ES細胞を固定し、Oct4およびNanog発現に関して、Oct4およびNanogに特異的な抗体を用いて分析した。ES細胞CJ7およびKH2は、それぞれF1.2(F1.2は寸法X=1;Y=2を有する)またはF4.1(F4.1は寸法X=4;Y=1を有する)上での6回および10回の継代の後、まだその多分化能のマーカーを発現していた。CJ7およびKH2細胞は、最後の継代においてアルカリホスファターゼも発現していた。F1.2構造の上に生じたESのコロニーは密集した輪郭のはっきりした形態を継代の間保持しており、一方F4.1の上に生じたコロニーはそれらの形態を保持していた。
【0120】
まとめると、これらの結果はその構造のES細胞コロニー形成に対する効果が継代の間持続していることを示している。
実施例4
生体適合性表面上での連続継代により得られる、マウス胚性幹(ES)細胞の生殖系列の可能性
ES細胞の生殖系列移行のためのプロトコルにおける工程を示す漫画を図18において示す。CJ7 ES細胞の、インビトロでの連続継代の後の生殖系列の可能性を、図18において概説した胚盤胞注入プロトコルを用いて試験した。CJ7細胞を、次の内の1種類の上で継代した:生体適合性表面構造F1.2、F4.1;ゼラチンコートした培養プレート;または(実施例3に従って)フィーダー細胞を補った培地。継代の後に集めた、その細胞集団のそれぞれからのCJ7細胞を、次いで胚盤胞の中に注入し、それを代理母に移植した。それらの子の間で、キメラのオスの子を繁殖のために選択した。F1.2上で、またはフィーダー細胞を含む培地上で継代したCJ7細胞は生殖系列の可能性を維持していたが、一方でF4.1;またはゼラチンコートした培養プレート上で継代した細胞からは生殖系列の可能性は見られず、これは少なくともF1.2構造の上で継代された細胞は生殖系列に移行する能力を維持していたことを示している。
【0121】
実施例5
マウス胚性幹(ES)細胞の均一な分化した成長を促進するための生体適合性表面の同定
インビトロで成長したESのコロニーは平らになり広がるのが見られ、それはES細胞の分化を示している(図10)。従って、コロニーの形態はすぐに分かる一般的に受け入れられている多分化能および分化両方のマーカーである。
【0122】
DAPIで覆われている総面積からESコロニーに帰せられた面積を引いたものに基づく分化指数は、所与の生体適合性構造により誘導されたES細胞の分化の程度の尺度を与える。
【0123】
従って、実施例2に従ってBSSAウェハー上で成長させたES細胞に関して分化指数を決定した。図20は決定された分化指数を示し、ここでより暗い色合いはより高い分化指数に対応する。試験した全てのタイプの表面構造に関して、寸法Xの値の増大は分化指数の増大をもたらした(X=6>X=4>X=2>X=1)。また、Y=1である構造およびK構造は比較的高い分化指数を有しており、全体として、分化指数は構造の高さの低下に伴って増大する(0.6μm>1.6μm>2.4μm)。さらに、高いコロニー数をもたらす表面構造は低い分化指数を有しており、コロニー数が低い構造は高い分化指数を有していることが分かる(図21)。0.6μmの高さを有する構造の上で成長した細胞に関して、最も低いコロニー数および最も大きい分化指数が得られた。
【0124】
実施例6
生体適合性表面上でのヒト胚性幹細胞の培養の試験
導入
ヒト胚性幹(hES)細胞は、ヒト胚盤胞の内部細胞塊に由来する多分化能細胞であり、一般にマウス胚性線維芽細胞(mEF)フィーダー層の上で培養される。未分化の細胞の継代は、細く引かれた(finely drawn)パスツールピペットを用いるhESコロニーの手作業のマイクロダイセクション(micro−dissection)およびそれに続き新しいmEFフィーダー層上にまくことによりルーチン的に成し遂げられる。この方法は非常に面倒であり時間がかかり、大規模な細胞培養には向いていない。hES細胞を動物性フィーダー層の非存在下で増殖させることができる培養技法の開発は、ヒトの細胞療法およびハイスループットな薬物送達におけるhES細胞の使用のための必要条件である。
【0125】
これらの必要性を満たすため、hES細胞をトポグラフィー的構造を与えられた表面上で、これらの表面がhESの成長を支持することができるかどうか、これらの表面上で培養されたhES細胞がそれらの多分化能を維持しているかどうか、および次の継代の後に生体適合性表面上で培養された際にそのhES細胞が成長し多分化能を維持し続けるかどうかを決定するために培養した。
【0126】
方法
前のmES培養における生体表面構造アレイ(BSSA)ウェハー(図1参照)による異なる表面のスクリーニングに基づき、4種類の表面、すなわちF(1,2)、F(1,4)、F(4,1)、G(4,1)をhES細胞の培養のために選択し、ここでそれぞれの微小構造を与えられた表面上の特徴(突出部)の高さ/深さは2.4μmであった。予備実験は既にhES細胞(キングス・カレッジ・ロンドンの細胞株)が表面F(1,4)およびF(1,2)上でよりよく成長することを示しており、それによりこれらの2種類の表面に焦点を合わせた。未分化のhES細胞(KCL−002)培養物を、マウス胚性線維芽細胞(mEF)フィーダー層の上で、10%ESグレードFBSを含む培地中で維持した。未分化のコロニーをmEFフィーダー層から手作業で切り取り、おおよそ5〜6個を生体適合性表面のそれぞれの上にプレーティングした。
【0127】
結果
細胞付着
第1に、細胞をそれらがその表面に付着することができるかどうかを決定するためにチェックした。これを行うため、未分化のhES細胞層を手作業で小さい断片に切り分け、それぞれの表面の上にまいた。その細胞はF(1,4)およびF(1,2)の2種類の表面両方の上に非常によく定着する(settle down)ことができることが次の日に分かった。その2種類の表面の接着能力の比較は、表面F(1,2)と比較してより多くの細胞コロニーが表面F(1,4)の上に付着していたことを明らかにした。さらに、細胞のコロニーを、血清の代わりにKnockOut血清代替物(KOSR)中でも試験した。これを試験するため、hES細胞コロニーをKOSR中でmEFフィーダー層上で4継代の間培養し、次いでF(1,2)およびF(1,4)表面上に移した。次の日までにその細胞コロニーは表面F(1,4)またはF(1,2)のどちらかの上に非効率的に定着していたことが分かった。しかし、表面F(1,2)に対してよりも比較的大きい数のコロニーが表面F(1,4)に接着していた。これは、表面F(1,4)が細胞付着において表面F(1,2)よりも比較的効率的であるが、その細胞はKOSR中よりも血清中で培養された際にその表面にはるかによく付着したことを示している。
【0128】
細胞成長
hES細胞がその表面の上で増殖することができるかどうかを確かめるため、その細胞のコロニーをその表面の上にまき、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む2ml hES培地中で培養した。その培地を1日おきに取り替え、その間に1mlを補った。細胞のコロニーはFBS血清の存在下でF(1,4)およびF(1,2)両方の表面の上でよく成長することが分かった。
【0129】
図30および31において示されているように、hESのコロニーはその表面の上で増殖することができる。概して、それぞれのコロニーの大きさは毎日30〜40%増大した。その表面上で成長したhES細胞コロニーの形態は、Geltrex(商標)(Invitrogen)上で成長したhES細胞コロニーに非常に類似していた(図32)。
【0130】
hES細胞の多分化能の維持
hES細胞がその表面の上でそれらの多分化能を維持することができるかどうかを決定するため、その細胞を1週間成長させ、次いで4%PFA中で固定し、抗Oct4(Octamer−4)抗体を用いて染色した。画像は図33および34において見られる。
【0131】
DAPIを用いて全ての核を染色した。Oct4は未分化のhES細胞の核に局在する転写因子である。図33および34は、その表面の上での1週間の培養の後に、50〜70%の細胞がOct4に対して免疫陽性であったことを示している。これは、その細胞の大部分がその表面上でそれらの多分化能を維持することができることを示している。
【0132】
要約
要約すると、hES細胞は2.4μmの高さ/深さの特徴を有する微小表面F(1,4)およびF(1,2)の上で非常によく成長することができ、Oct4の発現により示されるようにそれらの多分化能を維持することができる。細胞はコラゲナーゼIV消化により継代することができたが、これは細胞成長を妨げた。
【0133】
第2観点に従う本発明
この観点は、良好な臨床結果を得るために骨組織中にうまく組み込まれるインプラントの必要性に関する。過去数十年の間この領域において大きな進歩および結果が得られてきたが、時間の経過でインプラントがゆるくなることは、成功した長期関節置換に関する重大な問題であり続けている。骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を促進することができる表面を有するインプラントまたはデバイスは、それらの使用に基づく処置の結果を向上させる可能性がある。従って、本発明は、(骨芽細胞を含む)骨形成細胞によるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を支持する生体適合性材料または構造物を提供する。
【0134】
整形外科のインプラントは限られた寿命を有し、ここでインプラントと骨組織の間の乏しい接着はそのインプラントの位置のずれ(dislocation)につながり得る。従って、本発明はさらに、骨形成細胞によるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を支持し、それによりそのインプラントの生体適合性を向上させるインプラント表面を提供する。
【0135】
本発明は、遺伝子発現、成長および/または分化を方向付ける細胞機能はその細胞の微小環境により強く影響を受けるという認識に基づいている。従って、インビボおよびインビトロでの骨細胞における遺伝子発現は、その細胞がそれに付着することができる適切な構造の提供に依存する可能性があると考えられる。特に、本発明は、細胞の微小環境中の表面の2および3次元構造、またはトポグラフィーは、上記のプロセスに関して重要な要素であると認識している。様々な可能性のある微小環境が無数に存在する。1観点において、従って本発明はその表面トポグラフィーが、骨形成細胞によるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を増進する、ならびに残っている骨の中へのそのインプラントのよりよい融合に繋がる可能性のある特定の微小環境を作り出す生体適合性材料の提供に関する。表面のトポグラフィーにより影響を受ける可能性のある他の細胞機能には、細胞の成長、拡張、分離、移動、分化、脱分化、細胞内または細胞間の組織化等が含まれる。タンパク質および細胞はナノからマイクロメートルまでの大きさに及ぶため、これらは生体適合性材料の提供の問題に関して関係のある長さの規模である。
【0136】
I.本発明の生体適合性材料の生体適合性の特性およびそれによる細胞機能の促進、例えば石灰化の促進を実証する方法。
本発明の生体適合性材料または構造物は、異なる表面トポグラフィーを有する材料を、異なる候補となるトポグラフィー的構造を提供するスクリーニングツール/アッセイを用いてスクリーニングすることにより同定することができる。
【0137】
特に、例えばアリザリンレッド染色(実施例2)、フォンコッサ染色(von Kossa, J (1901): ”Ueber die im Organismus kuenstlich erzeugbaren Verkalkungen.” Beitr Pathol Anat Allg Pathol 29: 163-202)、異所性骨形成(実施例3)、およびインビボ骨形成/骨内殖(実施例4)を用いる石灰化アッセイは、本発明の生体適合性材料の特性を実証するための、および石灰化を促進する適切なトポグラフィー的構造を選択するための道具を提供する。
【0138】
トポグラフィー的構造のスクリーニングに適したスクリーニングツールの例には、いわゆる生体表面構造アレイ(BSSA)ウェハーが含まれる。図1は、その生体表面構造アレイウェハーの例の上面図を示す。BSSAウェハー1は60個の試験領域を含む。いくつかの試験領域2は”空白”のままである。すなわち、それらは構造を与えられた表面を有するように加工されていない。その結果、その試験領域2の表面は実質的に平らである。結果として、そのBSSAスクリーニングツールを用いたそれぞれの平行したスクリーニング試験に対照実験が生得的に含まれる。S1、S2...、S54と名付けられた残りの試験領域は、本明細書で記述したそれぞれの構造を与えられた表面を含む。試験領域は寸法10mm×10mmの正方形である。
【0139】
細胞機能、例えば石灰化、成長および遺伝子発現を誘導/増進する構造を同定するためのスクリーニングツールとして用いるためのウェハーは、多くの製造技法により製造されてよい。その製造のための手順の例には、当技術でそういうものとして知られている下記の技法の内の1種類以上が含まれる:
・フォトリソグラフィー法:フォトリソグラフィーは、幾何学的な形状/パターンをフォトマスクから構造を与える表面、例えばウェハーの表面に移す、そういうものとして知られているプロセスである。約1マイクロメートルから100nm未満までの範囲の最小の横方向の形状を有するフォトリソグラフィー機器が、そういうものとして知られている。フォトリソグラフィープロセスは、例えばS.M.Sze: Semiconductor Devices, Physics and Technology, 第2版, John Wiley & Sons 2002, 第12章: Lithography and Etchingにおいて;およびPlummer, Deal, Griffin: Silicon VLSI Technology, Fundamentals, Practice, and Modeling, Prentice Hall 2000, 第5章: Lithographyにおいて記述されている。
・電子ビームリソグラフィー:原則として、電子ビームリソグラフィーは、フォトレジストをフォトリソグラフィーにおいて光が用いられるのと全く同じようにさらすために用いることができる。電子ビームリソグラフィーは、約5nmまでの特に高い分解能を有する。
【0140】
・ホットエンボシング:ホットエンボシングは、マスタースタンプを用いてマイクロおよびナノメートルスケールの構造をポリマー支持体上に刻印する。その方法は、マスタースタンプが広い範囲のポリマー材料を用いて多くの完全にパターン化された支持体を生産することを可能にする。ホットエンボシングは低コストで非常に万能な製造法を提供し、それは研究および開発の適用から大量生産までにわたる用途のためのBSSAの製造に十分に適している。大きいサイズのウェハー、例えば8インチまたは12インチウェハー上のマイクロおよびナノメートルスケールの構造に関して、非常に高い程度の均質性を有する高いアスペクト比を得ることができる。20nm未満の形状が可能である。マスタースタンプは例えば電子ビームリソグラフィーの技法により製造することができる。
【0141】
・生体適合性材料または構造物の製造に含めることができる製造工程またはプロセスの他の例には、ナノインプリントリソグラフィー、レーザーアブレーション、化学エッチング、プラズマスプレーコーティング、吹き付け研削、エングレービング、スクラッチング、微細加工、または同様のものが含まれる。
【0142】
図2は、図1のウェハーの断面図を示す。図2aは、A−Bと表示した線に沿ったウェハーの幅全体の断面を示す。図2bは、試験領域の1つの表面の一部の拡大図を示す。ウェハー1はパターン化された支持体層21、例えばシリコン層および表面層23を含む層構造を有する。ウェハーの表面は、例えばフォトリソグラフィーのプロセスによりパターン化されており、それぞれの試験領域S1、S2...、S54の表面上で異なるパターンを与える。その構造は深さ/高さHを有する。フォトリソグラフィーのプロセスにおいて、高さHはエッチングプロセスにより制御可能である。そのパターン化された表面は、二酸化ケイ素の薄い層22、および/または異なる生体適合性材料、例えばタンタルまたはいずれかの他の金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、ダイヤモンド、ダイヤモンド様炭素、半導体、半導体酸化物/窒化物、絶縁体、ポリマー類、コポリマー類の表面層23により覆われている。試験領域の間に、構造物を持たない”空白の”境界領域があり、すなわちその境界領域は構造を与えられた表面を有するように加工されていない。この場合では、空白の境界領域の幅は0.3mmである。空白の境界線は、構造の視覚的な整列および同定を助ける。空白の境界はさらに、それぞれの試験正方形の隣の小さい対照表面として役立つ。
【0143】
図2は図式的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを特筆する。特に、縦方向の寸法は読みやすさを向上するため誇張されている可能性がある。
II.本発明の生体適合性材料の化学組成
生体適合性材料または構造物の態様は様々な形を取る可能性があり、例えば次のものである:
−医療用インプラントまたは医療用インプラントの製造において用いるための生体適合性コーティング、
−細胞培養物への露出のための表面を有する組織培養ディッシュ/フラスコであって、露出した表面が望ましい細胞機能、例えばニューロンまたは未分化の状態の胚性幹細胞の成長または分化を支持する構造を有する組織培養ディッシュ/フラスコ、
−これらの構造またはこれらの構造のブループリントをその表面上に示すように改変されている、組織培養表面または例えば組織培養プラスチック。この点において、組織培養プラスチックは、細胞培養におけるインビトロでの細胞の成長のために用いることができる表面を製造するために用いることができるあらゆるポリマー類を意味する。
【0144】
生体適合性材料または構造物の態様は、支持体層、および場合により表面層を含んでいてよい。
生体適合性材料または構造物の製造に適した基材には、あらゆる半導体(ドープされた、またはドープされていない)、単一金属、金属酸化物、金属窒化物、合金、セラミック、ポリマー、コポリマー、複合材料、薬物送達システム、生理活性分子を有するポリマー、他の生理活性化合物またはそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0145】
本発明の態様において、表面層は骨形成細胞の石灰化を増進するのに十分に生体適合性である材料を含む。表面層の例には、金属性表面堆積物、例えばタンタル、チタン、Ti−Al−V合金類、金、クロム、金属酸化物、半導体酸化物、金属窒化物、半導体窒化物、ポリマー類、バイオポリマー類、または他の合金類が含まれる。インプラントに関して好ましい表面組成物には、タンタルまたはチタンが含まれる。
【0146】
一部の態様において、生体適合性材料または構造物は追加の構成要素、例えば1種類以上の生理活性化合物を含み、それは前記の材料または構造物の露出した表面または表面層上に堆積していて、または吸着されていてよい。例えば、前記化合物は、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、成長ホルモン、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択されてよい。好ましくは、BMP、EGF様、TGF−ベータからなるグループから選択される成長ホルモンが、その生体適合性材料の表面に吸着している、または結合している。
【0147】
III.本発明の生体適合性材料の構造上の特性
生体適合性材料または構造物の表面の全てまたは一部(それは上記のような様々な形を取ってよい)は、その材料または構造物の表面により定められる平面内の1つ以上の次元においてマイクロメートルスケールの特徴を含む。本明細書で用いられるマイクロスケールおよびマイクロメートルスケールという用語は、約1μm〜約1000μmの範囲の長さのスケールを指すことを意図する。本明細書で用いられるナノメートルスケールという用語は、約1nm〜約1000nm、特に約1nm〜約100nmの範囲の長さのスケールを指すことを意図する。
【0148】
本発明の態様において、その特徴は構造上の/トポグラフィー的特徴、例えば生体適合性材料の表面から突き出た突起である。
その生体適合性材料の表面は、少なくとも1つの横の方向において横方向の寸法を有するマイクロメートルスケールの特徴を含んでいてよく、それは表面に対して実質的に平行な方向で、または表面に対して少なくとも実質的に接線となる方向で測定される。この横方向の寸法は、次の区間の内の1種類から選択される:約1μm〜約20μm;約1〜10μm;約10〜20μm、約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜8μm、約8μm〜10μm、約10〜12μm;約12〜14μm;約14〜16μm;約16〜18μm;約18〜20μm。
【0149】
本発明の好ましい態様において、その突起は最小断面直径1.0μm〜2.0μmを有する断面を有する。
生体適合性材料の表面におけるマイクロメートルスケールの特徴の配置は、好ましくは1つ以上の横の方向に沿って周期的であり、それは次の区間の内の1種類から選択される横方向のピッチの寸法を有する周期関数により記述することができる:約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜10μm、約10μm〜16μm、約16μm〜20μm、約20μm〜24μm。
【0150】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜9.0μmである。
あらゆるマイクロメートルスケールの特徴およびその最も近い隣のものの間の最大距離、または間隙は、少なくとも1つの横の方向において横方向の寸法を有しており、ここで前記の寸法は次の区間の内の1種類から選択される:約0.5μm〜1μm、約1μm〜2μm、約2μm〜4μm、約4μm〜6μm、約6μm〜8μm、約8μm〜10μm、約10μm〜12μm、約12μm〜14μm、約14μm〜16μm。
【0151】
本発明の好ましい態様において、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は、1.0μm〜6.0μmである。より好ましくは、その断面の断面直径は約1μmであり、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最小の間隙の横方向の寸法(d;Y)は約1.0μmである。
【0152】
そのマイクロメートルスケールの特徴の周期関数は、1方向に沿ってより小さい周期、および別の方向に沿ってより大きい、例えば2倍、3倍、10倍またはより大きい倍率の周期を有していてよい。その生体適合性材料の表面におけるあらゆる1つのマイクロメートルスケールの特徴は、周期的構造の周期として定義されてよい。従って、周期的構造の特徴の横方向の寸法は、周期的な形状/関数の周期、すなわちその構造がその形状を繰り返す最も短い間隔の長さとして定義することができる。
【0153】
そのマイクロメートルスケールの特徴の深さ/高さ、すなわちその生体適合性材料の表面から突出する方向でのそれらの直線寸法は、ナノまたはマイクロメートルスケールであってよく、すなわち、その構造は1nm〜10μmの範囲の深さ/高さを有していてよい。
【0154】
本発明の好ましい態様において、そのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは、1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の深さ/高さの寸法を有する。
あらゆる1つのマイクロメートルスケールの特徴の横方向の断面は、好ましくは幾何学的、例えば正方形、長方形、六角形、多角形または星型である。その特徴の上部および/または側面の表面は好ましくは実質的に平面である。しかし、そのマイクロメートルスケールの特徴の表面は、マイクロメートルおよびナノメートルスケールの両方でのトポグラフィーの相乗効果を得るためにナノスケールでの特徴も含んでいることができる。これは、例えば化学エッチング(例えばNaOHまたはクエン酸による)、イオンエッチング、コロイドリソグラフィー(例えばポリスチレンビーズ類、バッキーボール類またはタンパク質による)、斜入射物理気相成長コーティング、CVDコーティング、またはプラズマ溶射により得ることができる。その生体適合性材料の表面における特徴は、同じまたは異なる形状を有していてよい。好ましくは、その生体適合性材料の表面における特徴は形状が幾何学的である(例えば正方形、長方形、六角形、星型、または多角形)。
【0155】
一部の態様において、その特徴の断面の形状は、単純な幾何学的形状、例えば正方形、円、または同様のものに由来するもの、例えば正方形の角を修正することによるものであってよい。前記の修正の例には、角を切り落とすことおよび/または丸めることが含まれる。従って、前記の形状は一般に正方形、円形、または同様のものであるが、それらは完全な正方形または円形の形状からわずかに逸脱し、それにより追加の角を導入している、および/またはそれぞれの角で出会う縁の間の角度を修正している。
【0156】
概して、2次元の周期的な構造は、正方形、長方形、六角形等のような予め決められた形状を有する表面の平面内の単位セル、および穴または突起、例えば四角柱、多角柱、円柱、錐体等のような単位セル内の詳細な構造(基礎)を定める繰り返し単位により定めることができる。その単位セルにより定められる位置は繰り返しの距離を定め、一方でその繰り返し単位は予め決められた形状および大きさを定める。これらの単位セルの位置は、それぞれの2次元ベクトルにより定めることができる。従って、その格子構造は表面により定められる2つの次元に沿った単位セルの平行移動、特に単位セルの寸法のそれぞれの倍数の結果得られる。1態様において、それぞれの特徴の中心の位置は、ベクトルv=n+nにより定めることができ、ここで、vおよびvは表面内の線形独立なベクトルであり、nおよびnは整数である。
【0157】
一部の態様において、それぞれの特徴の中心は、予め決められた格子定数を有する2次元格子、例えば六角形、長方形または正方形の格子の格子点上に位置している。
一部の態様において、全ての特徴は前記の格子の全ての格子点を覆っており、一方で他の態様において、基礎となる格子の全ての格子点が覆われているわけでは無い。例えば、一部の態様において、格子点の1つおきの列において、1つおきの格子点が特徴により覆われていてよい。さらに他の態様において、1つ、2つ、3つまたはより高い数おきの列において、1つ、2つ、3つまたはより高い数おきの格子点は空いたままである。
【0158】
一部の態様において、トポグラフィー的構造は複数の異なる特徴、例えば規則的な、例えば周期的なパターンで配置されたいくつかの異なる特徴を、例えば2、3、またはより多くの異なる特徴の交互の列として含んでいてよい。前記のパターンの例には、交互の列に配置された、正方形の断面を有する特徴および円形の断面を有する特徴を含む構造が含まれる。
【0159】
一部の態様において、その特徴は線および/または列で配置されている。一部の態様において、それぞれの列の中の特徴は同じピッチ距離を有しており、一方で他の態様においてそのピッチ距離は列全体で、および/または列ごとに異なっていてよい。同様に、列と列の距離は全ての列に関して同じであってよく、または列ごとに異なっていてよい。一部の態様において、列中の一部または全ての構造物は同じ列中のそれらのそれぞれの隣のもの(単数または複数)に関して回転していてよい。一部の態様において、列中の一部または全ての構造物は隣の列(単数または複数)におけるそれらのそれぞれの隣のもの(単数または複数)に関して回転していてよい。
【0160】
一部の態様において、その特徴の全ての横の方向における横方向の寸法は、1μm〜約10μmである。前記の特徴の例には、一般に正方形または円形の断面を有する突起が含まれる。他の態様において、1方向におけるその特徴の横方向の寸法は1μm〜約10μmであり、一方で別の方向における横方向の寸法はより大きい。
【0161】
前記の特徴の例には、細長いリッジ、リブ(ribs)またはウェルが含まれる。そのリッジの側面は実質的になめらかであってよく、またはそれらは追加の特徴、例えば突起および/または凹部の規則的な配列を含んでいてよい。従って、一部の態様において、前記のリッジは、それらのそれぞれの隣のものと途切れないリッジを形成するように融合している/相互に接続されている正方形、円または同様のものの列に似た外観を有していてよい。
【0162】
特に、一部の態様において、そのトポグラフィー的構造は、全ての横の方向において1μm〜約10μmの横方向の寸法を有する特徴および1方向のみにおいて1μm〜約10μmの横方向の寸法を有する特徴の両方を含む。その構造の例には、列が細長いリッジにより隔てられた一般に正方形の形状および/または円形の特徴の列が含まれる。
【0163】
図8a〜kは、一般に円形、正方形または長方形の断面を有する突起/柱の形の特徴を有するトポグラフィー的構造の例の上面図を示す。それぞれの特徴は少なくとも1方向において横方向の直径Xを有しており、隣接する横列および縦列中の特徴の間の間隙距離はYで表される。図8a、c、e、f、およびiにおいて、Yはあらゆる特徴およびその最も近い隣のものの間の間隙の大きさに等しく、ピッチ距離X+Yに対応する。図26b、d、g、h、およびjにおいて、その最も近い隣のものまでの間隙距離は、異なる特徴に関して異なっており、図26bの特徴1201、1202、および1203により例示される。特徴1201は特徴1202をその最も近い隣のものとして有する;結果として、その間隙の大きさはYである。しかし、特徴1203は特徴1201および特徴1202をその最も近い隣のものとして、わずかに異なる間隙の大きさdで有する。従って、図8b、d、g、h、およびjにおいて、そのピッチ距離は列ごとに異なる。特徴1201を含む列では、ピッチ距離はX+Yであり、一方で特徴1203を含む列におけるピッチ距離は2(X+Y)である。
【0164】
図8の実施例において、それぞれの特徴の中心は、図8aおよびbにおいて図説されているような格子定数aおよびbを有する2次元の長方形の格子の対応する格子点上に位置している。しかし、図8a〜e、h〜iにおいて、実際には格子点の全てが特徴により覆われているわけではなく、一方で図8fおよびkでは、全ての格子点が特徴により覆われている。図8a、c、e、f、およびiでは、格子は格子定数a=b=(X+Y)を有する正方形の格子である。図8b、d、g、h、およびjでは、格子は長方形であり、格子定数はa=X+Yおよびb=(X+Y)/2である。図8kでは、格子定数はa=2・Xおよびb=3.5・Xである。XおよびYの選択された値に関して、ウェハーを図8a〜hに従って製造し、ここでμmでの(X,Y)は(X,Y)=(1,1)、(1,2)、(1,4)、(1,6)、(2,1)、(2,2)、(2,4)、(2,6)、(4,1)、(4,2)、(4,4)、(4,6)、(6,1)、(6,2)、(6,4)、(6,6)から選択された。XおよびYの選択された値に関して、ウェハーを図8kに従って製造し、ここでμmでのXはX=1、2、3、4、5、6、7、8から選択された。従って、基礎となる格子の格子定数aおよびbは、図8a、c、e、f、およびiの正方形の格子に関してa=b=2〜12μmであった。図8b、d、g、h、およびjの長方形の格子に関して、方向aにおける格子定数は2〜12μmの区間にあり、方向bにおける格子定数は1〜6μmの区間にあった。図8Kの格子に関して、格子定数bは3.5〜28μmの区間にあり、格子定数aは2〜16μmの区間にある。
【0165】
XおよびYの異なる値に関して上記の構造をそれぞれ識別するため、図8aにおいて示した構造を本記述においてAX.Yと呼び、ここでXおよびYは上記の寸法XおよびYを指す。従って、構造AX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0166】
同様に、図8bにおいて示されているような構造をBX.Yと呼ぶ。従って、構造BX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0167】
図8cにおいて示されているような構造をCX.Yと呼ぶ。従って、構造CX.YはXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで正方形の側面は列の方向と一直線に揃っており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0168】
図8dにおいて示されているような構造をDX.Yと呼ぶ。従って、構造DX.YはXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は平行な列で配置されており、ここで正方形の側面は列の方向と一直線に揃っており、ここで1つおきの列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0169】
図8eにおいて示されているような構造をEX.Yと呼ぶ。従って、構造EX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。円形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の正方形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0170】
図8fにおいて示されているような構造をFX.Yと呼ぶ。従って、構造FX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。それぞれの列内の、および隣接する列の間の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0171】
図8gにおいて示されているような構造をGX.Yと呼ぶ。従って、構造GX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。円形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の正方形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の正方形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の円形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0172】
図8hにおいて示されているような構造をHX.Yと呼ぶ。従って、構造HX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。それぞれの列内の、および隣接する列の間の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。正方形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の円形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0173】
図8iにおいて示されているような構造をIX.Yと呼ぶ。従って、構造IX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。正方形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の円形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。隣接する列の中の突起は互いに一直線に並んでいる。
【0174】
図8jにおいて示されているような構造をJX.Yと呼ぶ。従って、構造JX.Yは直径Xμmの円形の断面を有する突起/柱およびXμmの直線寸法の正方形の断面を有する突起/柱を含む。その突起は円形の突起を1つおきの列で、正方形の突起を残りの列で有する交互の平行な列で配置されている。正方形の突起を有する列の中の隣接する突起の間の間隙の大きさはYμmであり、一方で残りの列の中の円形の突起の間の間隙の大きさは(2Y+X)μmである。隣接する列の突起の間の間隙の大きさはYμmである。(2Y+X)μmの間隙の大きさを有する列の中の円形の突起は、それらのそれぞれの隣接する列の正方形の突起の間の間隙の中心と一直線に並んでいる。
【0175】
従って、上記の実施例において、最も近い隣の特徴の間の最小の間隙の大きさはYμmであり、最も近い隣の特徴の間の最小の中心間距離はX+Yμmである。
図8kにおいて示されているような構造をKXと呼ぶ。構造KXは長方形の断面の細長い突起/リッジのグループを含む。そのリッジは異なる長さを有し、互いに平行に配置されている。それぞれのグループのリッジは長方形の形状を形成してそれぞれのグループが最も長いリッジを中央のリッジとして含むように配置されている。中央のリッジのそれぞれの側で、中央のリッジからの距離が増大すると共に次第に短くなる一連のリッジが配置されている。従って、長方形の形状KXは、長さXμm、2Xμm、3Xμm、4Xμm、3Xμm、2Xμm、Xμmのリッジの配列を含む。そのリッジの幅はXμmである。リッジの間の距離はXμmである。リッジのグループは予め決められたパターンで、そのリッジが列に沿って置かれるように配置されており、ここでそれぞれの列は2種類の交互の長さのリッジを含む:第1のタイプの列は、長さXμmおよび4Xμmの交互のリッジを含む。第2のタイプの列は、長さ2Xμmおよび3Xμmの交互のリッジを含む。リッジの全体のパターンはシャークスキン構造に似ている。
【0176】
本発明のほとんどの好ましい生体適合性表面の構造は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられ、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有し、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜9.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有する。
【0177】
IV.本発明の生体適合性材料を含むインプラント
1観点に従って、本発明は骨組織の移植および同様のものにおける使用のための医療用インプラントを提供し、ここでそのインプラントの表面の少なくとも一部は本発明の生体適合性材料により特性付けられ、その表面は骨形成細胞と生体適合性である定められた周期的なマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、そのトポグラフィー的構造は上記で第II節の下で、および実施例において記述されている。本発明の医療用インプラントには、歯科用インプラント、整形外科用人工補装具(prothesis)/インプラント、脊髄インプラント、骨の代替物が含まれ、それは骨折、変性障害、外傷、および癌の処置における使用が意図されていてよい。
【0178】
好ましい態様において、そのインプラントの露出した表面の領域全体またはインプラントの製造における使用のための生体適合性コーティングは、骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を増進するトポグラフィー的構造を有する本発明の生体適合性材料上に構成されている。代わりの態様において、前記の露出した表面の領域の1個以上の部分は、骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を増進するトポグラフィー的構造を有する本発明の生体適合性材料として構成されている。従って、適切な表面構造を有するデバイスを選択的に提供することにより、その表面のどの部分が特定の方式(例えば石灰化)で機能するべきかを制御することができる。そのインプラントが複数のタイプの組織と交互に接触すると考えられる場合、そのインプラントの他の部分は、例えば軟骨細胞(chrondrocytes)、上皮細胞の生体適合性を増進することができるであろう他のタイプの構造により形成されていてよい。細菌の増殖の拒絶のための表面も含まれていてよい。例として、歯科用インプラントを考えることができるであろう。このインプラントは、交互の環境に関する要求を満たすために5種類の異なる表面からなるであろう:1.骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現に最適である、2.結合組織(線維芽細胞)に最適な生体適合性、3.上皮(上皮細胞)に最適な生体適合性、4.細菌の拒絶のための表面、ならびに最後に5.人工の歯の付加に最適な表面。
【0179】
V.本発明の生体適合性の、トポグラフィー的に改変された表面を、インプラントの輪郭を描かれた3D表面上に合成する方法。
骨形成細胞に関して生体適合性であり、骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を増進するインプラント表面は、いくつかの製造技法、例えば次の技法の内の1種類以上により製造されてよい:
−金型刻印:硬い型(例えばSiCまたはSiN)を用いることにより、インプラント金属のような他の硬い材料に刻印により直接パターンを生成することが可能である。マスターである金型は、典型的には電子ビームリソグラフィーおよび反応性イオンエッチングの組み合わせにより製造される。40nmに至るまでの幅を有するナノ構造の大きなアレイをアルミニウムのような柔らかい金属に印刷することができることが示されている(S. W. Pang, T. Tamamura, M. Nakao, A. Ozawa, H. Masuda, J. Vac. Sci. Technology B 16(3) (1998) 1145。より具体的には、Al、Ti、チタン合金、ステンレス鋼、Ta等のような他の硬い支持体の中に押す場合には、SiCまたはSiNのような非常に硬い材料において金型のパターンを生成するのが望ましい−そうでなければ、その金型は損傷する、またはさらには壊れてしまうであろう。金型刻印はもちろんポリマーのようなより柔らかい材料において適用することもできる。SiCまたはSiNのような材料はドライエッチングするのが難しいので、フォトレジストのみではなく例えばCrで構成されるエッチマスクを作るのが望ましい。そのマスクは次の方法で製造することができる:電子ビームリソグラフィーによりレジスト中に横方向のパターンを作り、その後、典型的にはアセテートのような有機溶媒中で現像する。これはレジストのパターンを表面上に残す。そのレジストのパターンを、おおよそ100nmのCrの層のPVD蒸着により覆い、最後にレジストを標準的なレジスト除去剤を用いて溶解させることにより取り外す。硬い金型材料のドライエッチングは、反応性イオンエッチング系において行うことができる。構造の深さはイオンエッチングの時間により制御される。最後に、Crのマスクを硝酸セリウム水溶液中で外すことができる。この時点で、その硬い金型は生体適合性の、トポグラフィー的に改変された表面を合成するために表面に刻印する準備ができている。その金型は生体材料の選択された領域に、その金型をその表面の選択された領域の中に水圧方式で押し付けることにより、マイクロおよびナノパターンを押し付けることができる。適用される圧力は、典型的には数トンを10〜30秒間であろう。その金型の大きさの領域を連続してパターン形成することにより、いくつかの領域をパターン形成することができる。その金型の大きさは典型的には10×10mmから40×40mmまでである。このマイクロおよびナノ印刷法は、例えばTi、チタン合金類、タンタル、またはステンレス鋼により製造される輪郭を描かれた3Dインプラント上の選択された領域をパターン形成するのに非常に適している。しかし、それはポリマー性材料/コーティングのようなそれほど硬くない材料にも適用することができる。
【0180】
−金型を転がすことによる刻印。その方法は基本的には金型刻印と同じであるが、ここではその金型は平面ではなく典型的には円筒である。この金型ローラーは、上記の金型刻印に関して記述したようにしてフォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィー/反応性イオンエッチングによりマイクロおよびナノ構造を与えられている。湾曲した表面を考慮するために設定を修正する必要がある。この時点で、その金型ローラーは、水圧方式でそのローラー金型をインプラントの表面上に押し付けることにより生体材料の選択された領域の上に押し付け、その上を転がし、それによりマイクロおよびナノ構造を刻印することができる。また、ここで、そのインプラント材料はTi,Ti合金類、タンタルまたはステンレス鋼のように硬いものであることができるが、それは硬くなければならないわけではなく、従ってその方法は例えばポリマー類にも適用可能である。
【0181】
−コロイドリソグラフィーによるパターン形成:ここで、短距離で並んだパターンで集合するコロイド粒子(例えばポリスチレンまたはタンパク質フェリチン)の堆積により表面をナノパターン形成することが可能である。これらの粒子は例えば次のものとして用いることができる:柱を作るエッチングマスク、表面上の突起を作るためのトポグラフィー的鋳型、または例えばナノメートル金属クラスターの(例えばフェリチンの金属中心による)堆積。
【0182】
−極めて短いレーザーパルスによるレーザーパターン形成:この技法は、高度に正確なパターン形成のために利用することができる。特に、アブレーションプロセスの強い非直線性は、材料の除去のための輪郭のはっきりした敷居をもたらし、これを用いて回折限界未満の構造さえも形成されることが示されている(P. P. Pronko, S. K. Dutta, J. Squier, J. V. Rudd, D. Du, G. Mourou: Optical Communication 114, (1995) 106)。
【0183】
極めて短いレーザーパルスによるレーザーパターン形成は、ナノメートルの大きさの穴の大きなアレイを作るために、石英の球を予め堆積させること(K. Vestentoft, J. A. Olesen, B. H. Christensen, P. Balling: Appl. Phys A 80, (2005) 493と組み合わせて用いることもできる。より具体的には、石英の球の層を表面上に堆積させて高密度に詰まったアレイを作るのが典型的であるが、必ずしもそうであるわけではない。極めて短いパルスの焦点を合わせていないレーザービームを石英の球を有する表面にわたって走査することにより、その球がレーザービームの焦点を合わせる個別のレンズの役目をするため、構造の大きな領域を並行して生成することが可能である。
【0184】
−レーザー走査ビーム干渉リソグラフィー:この低コストな方法は、大きな表面の領域にわたって周期的および準周期的で空間的にコヒーレントなパターンを製作するために用いることができる。その方法は、2つ以上のコヒーレントな平面状の波面の間の干渉を利用する。(S. Kuiper, H. van Wolferen, G. van Rijn, Journal of Micromechanics and Microengineering 11(1), (2001) 33。
【0185】
VI.マイクロスケールの表面構造を有する露出した表面を含む、組織または細胞を培養するためのデバイス
図9は、マイクロスケールの構造を有する露出した表面を有する組織培養ディッシュの断面図を図式的に示す。ディッシュ301は底部303および側壁302を有する上方に開いた容器を含む。使用において、上側の表面304は細胞培養物または組織に対して露出しており、そうしてその培養物のための微小環境を提供する。本発明の態様において、露出した表面304は、本明細書で記述した予め決められた細胞機能を促進するように選択されたマイクロスケールのトポグラフィー的構造を有する。その表面は、例えばポリマー類、例えばポリスチレン、異なるタイプのポリカプロラクトン類、ポリ(メチルメタクリレート、ポリ(ジメチルシロキサン)を含むシリコン類、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール類、ヒアルロン酸に基づくポリマー類、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、mr−I T85、mr−I 7030、ポリ(ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン類、修飾された多糖類、例えばデンプン、セルロース、およびキトサンを含む天然のポリマー類、ならびに上記のものの混合物およびコポリマー類において、例えば適切なスタンプまたはブループリントから、ホットエンボシングにより、または射出成形により、または当技術において既知の、および/または本明細書で記述されたいずれかの他の適切なプロセスにより大量生産することができる。表面304は、底部303の上側の表面またはそのディッシュの底部303の上に置かれた分離した要素、例えば円盤の上側表面であってよい。表面304は、その表面の上に選択された構造またはこれらの構造のブループリントを示すように改変された、分離した組織培養プラスチックの形で提供されてもよい。例えば、その分離した組織培養プラスチックは培養ディッシュ301中に着脱可能な形で挿入されていてよい。この点において、組織培養プラスチックという用語は、細胞培養におけるインビトロでの細胞の成長のために用いることができる表面を製造するために用いることができるあらゆるポリマー類/金属コーティング類/材料を含むことを意図している。
【0186】
実施例1.2
169個の試験領域を含む13×13BSSAウェハーの製造
525±25μmの厚さを有する片側研磨シリコンウェハー(4インチ)が、生体適合性材料の製造のための基層を提供した。そのウェハーは1〜20オームcmの抵抗率を有するn型ウェハーであった。マイクロメートルの大きさのパターンをそのシリコンウェハーの研磨された側の上に、標準的なフォトリソグラフィーおよびSF/O放電中での反応性イオンエッチングにより下記のプロトコルに従って印刷した。
【0187】
7.ウェハーを緩衝したフッ化水素酸(BHF、BHFは濃縮HF(49%)、水、および緩衝塩、NHFの約1:6:4の比率での溶液)を用いて30秒間プレエッチングし、次いでN流の下で乾燥させ、
8.次いでウェハーをフォトレジストAZ5214、Hoechst Celanese Corporation、米国ニュージャージー州(その化学組成はHoechst Celanese Corporationにより供給されている化学物質安全性データシート(MSDS)において見つけることができる)の1.5μm厚の層でスピンコートし、約90℃で120秒間プレべークし、
9.そのフォトレジストでコートされたウェハーを、EVC露光装置モデルAL6−2中で適切なマスクを通してUV光に5秒間露光し、50〜60秒間現像させ、次いで120℃で1分間ポストベークし、
10.次いでそのフォトレジストでコートされたウェハーを、BHFを用いておおよそ30秒間短くエッチングすることによりパターン形成し、次いでおおよそ0.30μm/分の速度で反応性イオンエッチング(RIE)を施し、そのレジストをアセトンを用いて剥がし、続いてRCAクリーニングした。RCAクリーニングの手順は、順次用いられる3つの主な工程を有する:5:1:1 HO:H:NHOH溶液(SC1)を用いる、不溶性の有機性混入物の除去。希釈した50:1 HO:HF溶液を用いる、薄い二酸化ケイ素層の除去、ここで、(I)の結果として金属性の混入物が蓄積している可能性がある。6:1:1 HO:H:HClの溶液(SC2)を用いる、イオン性および重金属原子性混入物の除去。
【0188】
11.次いで、そのパターン形成されたウェハーをドライ酸化により不動態化し、20nmのSiOの層を1000℃において15分間で熱的に成長させた。
12.250nmのタンタル層を、そのパターン形成されたウェハーの表面上に、スパッタ蒸着により蒸着させた。
【0189】
図23Bは、製造されたウェハーの1個の上面図を示す。実施例1.2に従って製造されたウェハーは169個の試験領域を有しており、ここでそれぞれの試験領域は11種類の異なる横方向のトポグラフィーA〜Kの内の1種類を有しており、それは図23Aにおいて図説されているような円形、正方形または長方形のいずれかである断面の形状を有する突出部の異なる繰り返しを含む。ウェハー上のトポロジーA〜Jのそれぞれは16系列の領域により表され、その系列のそれぞれのメンバーは異なる組み合わせの寸法を有している:(X)はμmでのそれぞれの突出部の最小の横方向の断面寸法であり、(Y)はμmでのその突出部の間の間隙である。トポロジーKは”シャークスキン”構造の横方向の寸法の8種類の異なる繰り返しにより表され、ここでその個々の構造物の間の間隙は一定(1μm)である。ウェハー上のトポロジーA〜Kの系列の位置を図23Bにおいて示す。ウェハーの中央の領域(図23B中の空白の正方形)は構造を有しておらず、対照の領域を提供する。一連のウェハーを、これらの定められたパラメーターに従って製造し、ここでその横方向のトポグラフィーの深さは0.60μm、1.60μmまたは2.40μmのいずれかとして定められた。
【0190】
図23Bにおいて、それぞれの試験領域を、そのトポグラフィー的表面構造を示すように表示を付け、ここで系列A〜Jの16種類のメンバーの寸法は、トポロジーAに関して次のように説明される:
・”A1”:X=1μmおよびY=1μmであるトポロジーA。
【0191】
・”A2”:X=1μmおよびY=2μmであるトポロジーA。
・”A3”:X=1μmおよびY=4μmであるトポロジーA。
・”A4”:X=1μmおよびY=6μmであるトポロジーA。
【0192】
・”A5”:X=2μmおよびY=1μmであるトポロジーA。
・”A6”:X=2μmおよびY=2μmであるトポロジーA。
・”A7”:X=2μmおよびY=4μmであるトポロジーA。
【0193】
・”A8”:X=2μmおよびY=6μmであるトポロジーA。
・”A9”:X=4μmおよびY=1μmであるトポロジーA。
・”A10”:X=4μmおよびY=2μmであるトポロジーA。
【0194】
・”A11”:X=4μmおよびY=4μmであるトポロジーA。
・”A12”:X=4μmおよびY=6μmであるトポロジーA。
・”A13”:X=6μmおよびY=1μmであるトポロジーA。
【0195】
・”A14”:X=6μmおよびY=2μmであるトポロジーA。
・”A15”:X=6μmおよびY=4μmであるトポロジーA。
・”A16”:X=6μmおよびY=6μmであるトポロジーA。
【0196】
系列K(シャークスキン)の8種類のメンバーのTに関する寸法は次の通りである:
・”K1”:X=1μmおよびT=1μmであるトポロジーK
・”K2”:X=1μmおよびT=2μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=3μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=4μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=5μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=6μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=7μmであるトポロジーK
・”K1”:X=1μmおよびT=8μmであるトポロジーK。
【0197】
上記で記述した製造法は、他の形および大きさの試験領域ならびに他のタイプの構造を有するウェハー(図3〜7参照)にも適用されてよいことは理解されている。同じ製造プロセスを、様々な異なるウェハーに関して用いてよく、ここで試験領域および個々の表面構造のレイアウトは、それを通してウェハーが露出されるマスクにより決定される。
【0198】
実施例2.2
BSSAウェハーのスクリーニングは、骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進する生体適合性材料を同定する:
マウス骨芽細胞(MC3T3−E1)を、図23において示したような表面トポロジーのライブラリーを有するシリコンウェハーの上にまき、それから骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進することができる表面を同定した。
【0199】
方法論:
BSSAウェハー:は実施例1.2に関連して記述されているように標準的なフォトリソグラフィーを用いて、およびタンタルでコートして製造した。
【0200】
骨芽細胞株、培養およびまくプロトコル:マウス骨芽細胞(MC3T3−E1)(RIKEN細胞バンク;日本、東京; Sudo, H et al. 1983, J Cell Biol 96(1):191-98))を、10%ウシ胎仔血清(Gibco)、100u/mlペニシリンおよび100μm/mlストレプトマイシン(Gibco)を補った、アスコルビン酸を含まないMem Alpha培地(Gibco Invitrogenにより供給されている)中で、95%空気および5%COの加湿した雰囲気中で維持し、4日ごとに標準的な技法を用いて継代した。
【0201】
細胞をまく前に、そのウェハーをp10ペトリ皿(Nunc)の中に置き、70%エタノール中で15分間浸すことにより滅菌し、滅菌水で2回すすぎ、無菌のフードの中で乾燥させた。MC3T3−E1細胞をトリプシン処理し、集めてウェハーを含むディッシュの上に、細胞成長の決定に関して1000細胞/cm、細胞面積の決定に関して6000細胞/cm、または骨形成性刺激に関して40,000細胞/cmの密度で、全て上記と同じ培地中でまいた。
【0202】
細胞成長の決定のため、細胞を固定し、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール[DAPI]で染色し、または4時間、24時間、48時間および96時間後に免疫アッセイした。DAPIはDNAに強く結合する蛍光染料であり、無傷の細胞膜を通過することができ、それにより生きた細胞および固定された細胞両方を染色するのに用いられる。DAPIで染色された細胞は蛍光顕微鏡により検出され、紫外光で励起される。DAPIが二本鎖DNAに結合している際、その吸収の最大は358nmにあり、その励起の最大は461nmにあり、それは青/青緑色に見える。
【0203】
細胞面積の決定のため、細胞を固定し、24時間後に免疫アッセイした。骨形成性刺激のため、培地を3日後に骨形成性培地:50μg/mlアスコルビン酸(Sigma)および10mM β−グリセロリン酸(Sigma)を補った上記の通常の培地に交換した。その骨形成性培地を、14または21日の時点での固定および染色まで、週に2回交換した。
【0204】
免疫検出プロトコル:細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で穏やかにすすぎ、4%パラホルムアルデヒド/PBS中で15分間固定した。PBS中0,1% Triton X100(T−PBS)中で10分間透過処理し、T−PBS中2%BSAと共に2時間保温した後、細胞を1次抗体と2時間反応させた。次いで細胞をT−PBS中で3回洗浄した後2次抗体を1時間添加した。同時にDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)(Sigma)を核の染色のために、およびローダミン標識ファロイジン(p1951 Sigma)をアクチン線維の染色のために添加した。T−PBS中で3回洗浄した後、ウェハーを自動化された蛍光顕微鏡により分析した。
【0205】
タンパク質の発現を検出するために用いた1次抗体には次のものが含まれる:共にT−PBS中で1:400希釈した抗オステオポンチン(AKM 2A1、マウスモノクローナルIgG、Santa Cruz Biotechnology)、抗オステオカルシン(FL−95、ウサギポリクローナルIgG、Santa Cruz Biotechnology)、およびT−PBS中で1:800希釈したモノクローナル抗ビンキュリン(クローンhVIN−1マウス腹水、Sigma)。
【0206】
2次抗体;Alexa Flour 488−ヤギ抗マウスIgG(T−PBS中1:400)(Molecular Probes,Invitrogen)およびローダミン(TRITC)コンジュゲートロバ抗ウサギ(1:200)(Jackson ImmunoResearch)
インビトロ石灰化検出プロトコル:ウェハー上の石灰化/カルシウム沈着を、(免疫染色された細胞およびカルシウム沈着の間の正確な相関を確実にするために)細胞を集めた直後または免疫検出の手順の後のどちらかで、アリザリンレッド染色により定量した。
【0207】
その細胞をアリザリンレッドですぐに染色した場合、その細胞を氷冷した70%エタノールを用いて1時間固定し、ddHOで2回洗浄した後、40mMアリザリンレッド溶液(Sigma A3757)を10分間添加した。ddHO中で数回洗浄した後、細胞をPBS中で15分間保温し、ドラフトチャンバー中で空気乾燥した。染色された領域を、自動化された蛍光顕微鏡を用いて、Leica Qwinソフトウェアを用いて分析および定量した。
【0208】
免疫検出の後にアリザリンレッドで染色した場合、免疫染色された細胞をddHOで2回洗浄した後、アリザリンレッド溶液を添加した。他の点では手順は上記と同じであった。
【0209】
結果:
A.骨芽細胞による石灰化を促進する生体適合性表面トポロジーの構造上の特性:
Mc3T3細胞を、実施例1.2および図23において定義されたBSSAウェハーの上にまき、上記で述べたように成長させた。図23B〜Dから、その構造(突出物)の縦方向の寸法は石灰化に影響を及ぼすことを理解することができ、ここで最も大きい高さを有する構造は最も大きな程度の石灰化を促進する Z=2.4μm>Z=1.6μm>Z=0.6μm。個々の系列(A〜J)の間で大きな違いは無く、これはその構造の形およびその構造の間に小さな規則的な間隙があったかどうかは石灰化の促進においてより重要性が低いことを強調している。同じXおよびYの値を有する系列を全てまとめることで、図23Dから、より小さいXおよびYの値を有する構造は石灰化をより大きく促進し、それにより、試験した構造の全ての大きさに関して、1μm>2μm>4μm>6μm>>構造を与えられていない表面であることを理解することができる。シャークスキン構造の全ては1μmの間隙の大きさおよび異なるTの値の構造の大きさを有し、ここで1つの断面直径は常に1μmの長さを有し、それ以外の断面直径の長さは変動可能である。シャークスキン構造は全て、系列A〜Jからの最高の構造と同じくらいよく石灰化を促進する。1μmの間隙(Y)および1μmの構造の大きさ(X)は、その寸法の中で、系列A〜Jにより石灰化に最適であるものとして同定されていることを特筆する。
【0210】
B.骨芽細胞の増殖を促進する生体適合性表面トポロジーの構造上の特性:
Mc3T3細胞を、実施例1.2および図23において定義されたBSSAウェハーの上にまき、上記で述べたように成長させた。BSSAウェハー上での骨芽細胞の増殖を、まいた4、24、48および96時間後にDAPI染色された細胞の数を計数することにより計算した。図24において見られるように、細胞増殖は突出部の高さと共に減少し(Z=2.4μm<Z=1.6μm)、一方で突出部の高さは細胞がBSSAウェハーの表面に付着する能力には影響を及ぼさなかった(4時間からのデータ)。XおよびYの寸法に関して、1〜4μmの間隙の大きさ(Y)およびX=1μmの構造の大きさの組み合わせは増殖速度の最も顕著な減少をもたらす。従って、表面のトポロジーの高さ(Z)を増大させることの細胞増殖に対する負の作用は、石灰化に対するその正の作用と逆相関している(図23)。それに対し、シャークスキン構造の高さの増大は細胞増殖速度の減少を誘導しなかった。
【0211】
C.骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進する生体適合性表面トポロジーの構造上の特性:
Mc3T3細胞を、Z=2.4μmの縦方向の寸法の、実施例1.2において定義されたBSSAウェハー上にまき、2または3週間石灰化を誘導した。続いて細胞を固定し、OPN(緑)、OC(赤)およびDAPI(青)に関して染色した。OPN、OCおよびDAPIの蛍光顕微鏡検出の後、ウェハーをアリザリンレッドで染色した。
【0212】
細胞をまいた24時間後に平均細胞面積を決定した(図25および27)。骨形成の誘導の2(図25および26)または3週間(図28)後に石灰化を決定した。OPNおよびOCの誘導は、細胞の大きさと逆相関する石灰化と正に相関している(小さいxの値:X=1およびX=2に関して):従って、BSSAウェハー上の突出部のXおよびYの値がより小さいほど、OPNおよびOCの誘導がより大きく、石灰化の程度がより大きく、細胞の大きさがより小さい;このように、石灰化、OPN、OCに関して:1μm>2μm>4μm>6μm>>構造を与えられていない表面である。より大きいXの値に関して、Yの値の増大に伴う細胞の大きさの別の減少が観察される(例えば6,6)。大きいXおよびYの値に関するこの細胞の大きさの減少は、石灰化、OCおよびOPNと相関しない。系列Kのシャークスキン構造の全ては、石灰化ならびにOPNおよびOCの発現ならびに細胞の大きさを、系列A〜Jからの最高の構造と同程度まで誘導した。
【0213】
要約:本実施例は、突起の最小断面直径(X)、最も近い突起の間の間隙(Y)および突起の高さ(Z)の異なる組み合わせを含む、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むBSSA構造表面ライブラリーの、骨芽細胞の特性に対する体系的な分析を提供する。そのデータは、2.4μm>1.6μm>0.6μmの高さ>平らで構造を与えられていない表面が石灰化の誘導においてよりよいことを明らかにしている。これは、2.4μm<1.6μm<平らで構造を与えられていない表面である増殖と相関している。XおよびYの値に関して:XおよびYの値がより小さいほど、OPNおよびOCの誘導がより大きく、よりよく石灰化し、細胞がより少なく、細胞の大きさがより小さい;1μm>2μm>4μm>6μm>>構造を与えられていない表面。
【0214】
シャークスキン構造の全ては、1μmの間隙の大きさ(Y)および、一方の側は常に1μmの寸法を有し、他方の側は変動可能である構造の大きさ(X)を有する。石灰化、OPNおよびOCの誘導、細胞数ならびに細胞の大きさは、系列A〜Jからの最高の構造に類似している。
【0215】
組み合わせたデータは、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むトポグラフィー的構造により特性付けられる生体適合性材料であって、その突起が最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有し、少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離が2.0μm〜8.0μmであり、そのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれが1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有する生体適合性材料は、骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を特異的に促進するであろう生体適合性材料であることを見出すための根拠を提供する。
【0216】
実施例3.2:異所性骨形成
異所性骨形成は、次のように分析することができる:cmあたり500,000個のMC3T3−E1細胞を、6mm×6mm生体適合性材料構造物(例えばK系列1〜8のいずれか)の上で、添加された50マイクログラム/mlアスコルビン酸および10mMベータグリセロリン酸を含む普通の培地中で培養する。1週間培養した後、その生体適合性材料構造物を異所性骨形成のために皮下マウスモデルに移す。マウスの背面において皮下に2個の袋状部分(pouches)を作る。手術の間、その動物はイソフルランで麻酔されており、1種類の構造物をそれぞれの袋状部分の中に入れ、それを外科的縫合を用いて閉じる。そのマウスを8週間おいた後それらを頸椎脱臼により殺す。構造物を取り出し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中でプラスチック包埋し、切断し、骨の検出のために染色する(例えば塩基性フクシン/ライトグリーンまたはアリザリンレッドS)。
【0217】
実施例4.2.ヒツジにおける骨形成アッセイ
下記で記述するインビボヒツジモデルを用いてその生体適合性材料が骨形成/内殖を誘導する能力をアッセイすることができる:
関係のある生体適合性材料および対照、例えば平らなタンタルの試料を、6mm×6mmのシリコンウェハーの正方形の基礎の上に製造する。その試料をそれぞれ”有効”および”対照”と名付け、動物の差異による結果の差異を低減するためにペアで用いる。その試料を試料ホルダーに、生体適合性接着剤(例えばLoctite 431)により貼り付け、インプラントを作成する。
【0218】
ヒツジにおける骨形成アッセイにおける使用のための試料ホルダーを、図29において図説する。特に、図29aは試料ホルダーの下面図を示し、図28bは試料ホルダーの側面図を示し、図29cは試料ホルダーの上面図を示し、図29dは試料ホルダーの透視図を示し、図29eは試料ホルダーの断面図を示す。試料ホルダーは、その生体適合性表面が露出する試料を受けるのに適合した正方形の凹部1501を含む。その正方形の凹部は円筒部材1502の底面に位置している。上面において、試料ホルダーは試料ホルダーの骨の中への/骨からの設置および取り外しを容易にするねじ穴1503を含む。
【0219】
手術の前に、ヒツジに2.5mlのRompunベット(vet.)および2mlのアトロピンを与える。20分後、その動物を15mlのプロポフォールで麻酔する。それぞれの内側顆(medial femoral condyl)において深さ6mmおよび直径11mmの1個の穴をあける。これは、骨内殖の試験のために生体適合性表面および骨の間に0.5mmの間隙を残す。インプラントをその穴の中に圧入し(press−fitted)、外科的縫合により切り口を閉じる。そのヒツジを4週間おき、その後それらを屠殺する。インプラントを取り外し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中で包埋する。骨内殖の程度を、最初にμCTスキャンにより、続いて切断ならびに骨の体積およびインプラントへ向かう骨内殖の標準的な組織学的検査により調べた。
【符号の説明】
【0220】
1 BSSAウェハー
2 試験領域
21 支持体層
22 二酸化ケイ素の薄い層
23 表面層
41 トレンチ
42 リッジ
51 穴/凹部
52 リッジ
61 穴
62 リッジ
71 突起/柱
81 穴
82 突起/柱
301 培養ディッシュ
302 側壁
303 底部
304 上側の表面
1201 特徴
1202 特徴
1203 特徴
1501 正方形の凹部
1502 円筒部材
1503 ねじ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未分化の多分化能哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するための細胞または組織培養容器の使用であって、その容器が使用の間培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起の断面の大きさがその構造物の総面積の25%以下の面積を占めることを特徴としており、前記面積はその構造物の露出面の平面において測定され、ここで突起の密度は65μmあたり突起1個以上であり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.6μmまたは3.0μm以上、好ましくは2.0μm〜3.0μm、より好ましくは2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している使用。
【請求項2】
その突起が断面および0.1μm〜4.0μmの最小断面直径を有し、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約0.5μm〜8.0μmである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
その断面直径が0.5μm〜1.5μmであり、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約1μm〜4μmである、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の最小距離が8.0μmよりも小さく、好ましくは0.5μm〜6.0μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
その構造が同じ断面の幾何学的形状または少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状を有する突起を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
異なる断面幾何学の突起が規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されている、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
その構造が異なる断面積の突起を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
その突起の横方向の断面が、形状:円形、凹形、凸形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形またはそれらの組み合わせの中から選ばれた外周および/または幾何学により定められた形状を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記の表面の少なくとも一部がタンタル、チタン、プラチナまたはそれらの酸化物の中から選ばれた材料でコートされている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記表面の少なくとも一部がポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸、キトサンまたはそれらの組み合わせの中から選ばれたポリマーを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
さらにポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択される化合物を含み、ここで前記化合物がその容器の露出した表面に吸着されている、または化学的に結合している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記成長ホルモンがBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFおよびLIFからなるグループから選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
細胞または組織培養容器が例えばナノ結晶性ダイヤモンド、プラズマ重合、酸素プラズマ、または窒素プラズマにより化学的に機能性を持たせたものである、請求項1〜12に記載の使用。
【請求項14】
細胞または組織培養容器の製造のためのスタンプまたはマスクであって、その容器が少なくとも部分的に生体適合性材料から製造されており、そのスタンプが前記の生体適合性材料の表面の中に請求項1〜13のいずれか1項において定められたトポグラフィー的表面構造を刻印するまたは与えるのに適合している、スタンプまたはマスク。
【請求項15】
未分化の多分化能哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するための細胞または組織培養容器であって、その容器が使用の間培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起の断面の大きさがその構造物の総面積の25%以下の面積を占めることを特徴としており、前記面積はその構造物の露出面の平面において測定され、ここで突起の密度は65μmあたり突起1個以上であり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している、細胞または組織培養容器。
【請求項16】
未分化の多分化能胚性幹細胞の成長を促進する方法であって、その方法がその細胞をその幹細胞への露出のための表面を有する細胞または組織培養容器と接触させることを含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、ここでその構造は未分化の哺乳類胚性幹細胞の成長を促進するように選択されており、それはその突起の断面の大きさがその構造物の総面積の25%以下の面積を占めることを特徴としており、前記面積はその構造物の露出面の平面において測定され、ここで突起の密度は65μmあたり突起1個以上であり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.6μmまたは3.0μm以上、好ましくは2.0μm〜3.0μm、より好ましくは2.4μmである縦方向の高さ/深さの寸法を有している方法。
【請求項17】
その突起が断面および0.1μm〜4.0μmの最小断面直径を有し、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約0.5μm〜8.0μmである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
その断面直径が0.5μm〜1.5μmであり、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約1μm〜4μmである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の最小距離が8.0μmよりも小さく、好ましくは0.5μm〜6.0μmである、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
その構造が少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状の突起を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
異なる断面幾何学の突起が規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
その構造が異なる断面積の突起を含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
1種類以上の特徴の横方向の断面が、形状:円形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形の1種類またはそれらの組み合わせから選択された外周および/または幾何学により定められた形状を有する、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記表面の少なくとも一部がタンタルコートおよび/またはチタンコートされている、請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記表面の少なくとも一部がポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、またはキトサンを含むポリマーで構成されている、請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
さらにポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択される化合物を含み、ここで前記化合物がその容器の表面層に吸着されている、または化学的に結合している、固定されている、もしくはそれと複合体を形成している、請求項16〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記成長ホルモンがBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFおよび白血病抑制因子、またはそれらの組み合わせの中から選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
その細胞または組織培養容器に、例えばナノ結晶性ダイヤモンド、プラズマ重合、酸素プラズマ、または窒素プラズマにより化学的に機能性を持たせてある、請求項14〜27に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞がOct4、Nanog、SSEA3/4、およびSOX2から選ばれる多分化能のマーカーを発現している、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
哺乳類幹細胞の均一な分化した成長を促進するための細胞または組織培養容器の使用であって、その容器が使用の間培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起が断面および1.0μm〜8.0μmの断面直径を有することを特徴としており、ここであらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は1.0μm〜2.0μmであり、ここで前記トポグラフィー的構造の突起のそれぞれは、1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである縦方向の高さ/深さの寸法を有する使用。
【請求項31】
1個以上の突出部の横方向の断面が、形状:円形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形の1種類またはそれらの組み合わせから選択された外周および/または幾何学により定められた形状を有する、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
その構造が正方形の横方向の断面を有する突出部および長方形の横方向の断面を有する突出部を含み、ここでその突出部の第1の断面の直径は1.0μmであり、その突出部の第2の断面の直径は1.0μm〜8.0μm、好ましくは1.0μm〜6.0μmであり、ここでその突出部の縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記表面の少なくとも一部がタンタルコートおよび/またはチタンコートされている、請求項30〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
前記表面の少なくとも一部がポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、またはキトサンを含むポリマーで構成されている、請求項30〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
さらにポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択される化合物を含み、ここで前記化合物がその容器の露出した表面に吸着されている、請求項30〜34のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
哺乳類細胞の均一な分化した成長を促進するための方法であって、その方法がその細胞をその幹細胞への露出のための表面を有する細胞または組織培養容器と接触させることを含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の露出面の少なくとも一部は、規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造を有し、それはその突起が断面および1.0μm〜8.0μmの断面直径を有することを特徴としており、ここであらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)は1.0μm〜2.0μmであり、ここでその突起のそれぞれの縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである方法。
【請求項37】
1個以上の突出部の横方向の断面が、形状:円形、丸形、星形、正方形、長方形、六角形および多角形の1種類またはそれらの組み合わせから選択された外周および/または幾何学により定められた形状を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
その構造が正方形の横方向の断面を有する突出部および長方形の横方向の断面を有する突出部を含み、ここでその突出部の第1の断面の直径は1.0μmであり、その突出部の第2の断面の直径は1.0μm〜8.0μm、好ましくは1.0μm〜6.0μmであり、ここでその突出部の縦方向の高さ/深さの寸法は1.0μm以下、好ましくは0.6μm〜1.0μm、より好ましくは約0.6mである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記表面の少なくとも一部がタンタルコートおよび/またはチタンコートされている、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記表面の少なくとも一部がポリスチレン、ポリカプロラクトンポリ乳酸、またはキトサンを含むポリマーで構成されている、請求項36〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
さらにポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択される化合物を含み、ここで前記化合物がその容器の露出した表面に吸着されている、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記幹細胞が胚性、間葉性、および中枢神経系幹細胞の中から選ばれる、請求項30〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
骨組織の移植における使用のための医療用インプラントであって、その医療用インプラントが表面を含み、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料の表面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその構造は骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進することができ、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有しており、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜9.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している、医療用インプラント。
【請求項44】
あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最大の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約1.0μm〜6.0μmである、請求項43に記載の医療用インプラント。
【請求項45】
その断面の断面直径が約1μmであり、あらゆる突起およびその最も近い隣のものの間の最小の間隙の横方向の寸法(d;Y)が約1.0μmである、請求項43または44に記載の医療用インプラント。
【請求項46】
その構造が少なくとも2種類の異なる断面の幾何学的形状の突起を含む、請求項43〜45のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項47】
異なる断面幾何学の突起が規則的な2次元格子上に交互のパターンで配置されている、請求項46に記載の医療用インプラント。
【請求項48】
その構造が異なる断面積の突起を含む、請求項43〜47のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項49】
その突起が2次元の規則的な格子の格子点上に、格子点の部分集合のみが突起により覆われるように置かれている、請求項43〜48のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項50】
その突起が隣接する突起の間の中心間距離が隣接する列において異なっている平行な列で配置されている、請求項43〜49のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項51】
1個以上の突起の横方向の断面が、形状:円形、凹形、凸形、丸形、正方形、および長方形の1種類またはそれらの組み合わせから選択された外周および/または幾何学により定められた形状を有する、請求項43〜50のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項52】
前記の周期的なトポグラフィー的構造の特徴の中心が格子定数aおよびbを有する2次元の長方形の格子の格子点上に置かれており、ここで:
a.その格子は正方形の格子であり、ここでそれぞれの方向における格子定数(a=b)は2〜8μmの区間にあり、または
b.その格子は2〜8μmの区間にある第1方向における格子定数(a)および1〜4μmの区間にある第2方向における格子定数(b)を有する長方形である、
請求項43〜51のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項53】
前記表面の少なくとも一部がタンタルコートおよび/またはチタンコートされており、またはそれらのいずれかの酸化物である、請求項43〜52のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項54】
前記表面の少なくとも一部がポリ乳酸またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のような生分解性ポリマーで構成されている、請求項43〜52のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項55】
さらにポリペプチド、炭水化物、脂質、成長ホルモン、抗体、抗原、糖タンパク質、リポタンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質、有機化合物、および無機化合物からなるグループから選択される吸着された化合物を含む、請求項43〜54のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項56】
前記成長ホルモンがBMP、EGF様、TGF−ベータ、IGFからなるグループから選択される、請求項55に記載の医療用インプラント。
【請求項57】
前記インプラントが歯科用インプラントである、請求項43〜56のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項58】
前記インプラントが整形外科用インプラントである、請求項43〜56のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項59】
ヒトまたは動物の外科的処置における使用のための、請求項43〜58のいずれか1項に記載の医療用インプラント。
【請求項60】
ヒトまたは動物における歯の病気の処置における使用のための、請求項56に記載の医療用インプラント。
【請求項61】
医療用デバイスの製造のためのスタンプまたはマスクであって、その医療用デバイスが少なくとも部分的に生体適合性材料から製造されており、そのスタンプが前記生体適合性材料の表面の中に請求項43〜60のいずれか1項において定められるトポグラフィー的表面構造を刻印する、または与えるのに適合している、スタンプまたはマスク。
【請求項62】
ヒトまたは動物における整形外科の病気の処置における、請求項43〜60のいずれか1項に記載の医療用インプラントの使用。
【請求項63】
細胞培養の間に分化した細胞における遺伝子発現を促進するための細胞または組織培養容器の使用であって、その容器が使用の間細胞培養物に対して露出するための表面を有し、ここでその表面の少なくとも一部は生体適合性材料により定められており、ここでその生体適合性材料は請求項43〜60のいずれか1項に記載の生体適合性材料を含む使用。
【請求項64】
医療用インプラントの製造における使用のための生体適合性コーティングであって、その生体適合性コーティングが請求項43〜60のいずれか1項に記載の生体適合性材料を含む、生体適合性コーティング。
【請求項65】
前記医療用インプラントが骨形成細胞と生体適合性である、請求項64に記載の生体適合性コーティング。
【請求項66】
骨形成細胞におけるオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現により骨形成を促進する方法であって、その方法がその細胞を生体適合性材料と接触させることを含み、ここでその生体適合性材料の表面の少なくとも一部は規則的な2次元格子の格子点上に配置された複数の突起を含むナノおよび/またはマイクロメートルスケールのトポグラフィー的構造により特性付けられており、ここでその突起は最小断面直径が1.0μm〜2.0μmである断面を有しており、ここで少なくとも1種類の寸法に沿った隣接する格子点の間の距離は2.0μm〜8.0μmであり、ここでそのトポグラフィー的構造の突起のそれぞれは1.60μm以上、好ましくは約2.4μmの縦方向の高さ/深さの寸法を有している方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図8g】
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【図8h】
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【図8i】
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【図8j】
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【図8k】
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【図9】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20a】
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【図20b】
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【図21】
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【図22】
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【図23a】
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【図23b】
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【図29a)】
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【図29b)】
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【図29c)】
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【図29d)】
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【図29e)】
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【図32】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図23c】
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【図23d】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図30】
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【図31】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2012−527866(P2012−527866A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511002(P2011−511002)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056443
【国際公開番号】WO2009/150051
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509168656)オーフス ウニベルシテット (3)
【Fターム(参考)】