説明

唇用固形化粧料

【課題】 優れた二次付着レス効果を有し、使用性、つやの持続性、安定性に優れた唇用固形化粧料を提供する。
【解決手段】 次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン 30〜70質量%
(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は唇用固形化粧料に関し、特に優れた二次付着レス効果を有し、使用性、つやの持続性、安定性に優れた唇用固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の唇用化粧料は、口紅を唇に塗布した後、該口紅がカップなど唇に接触する部位に転写されてしまう二次付着性が問題となっていた。これに対し、二次付着を起こしにくい、いわゆる二次付着レス効果をもつ唇用化粧料が開発されている。
例えば、特許文献1では、揮発性炭化水素系溶媒、揮発性炭化水素系溶媒に溶解または分散可能な非揮発性シリコーン化合物、及び揮発性溶媒に溶解し、非揮発性シリコーン化合物と非融和性の非揮発性炭化水素系油を含有し、該非揮発性炭化水素系油が、ある溶解パラメーターを有する耐移り性化粧品組成物が開示されている。
しかしながらこの耐移り性化粧品組成物は、安定性の点で改善の余地があり、つやも不十分である。また、二次付着レス効果の発現には、塗布後しばらく時間がかかり、揮発性の油分を必須成分として含んでいるため、容器の制約がある、という問題点がある。
特許文献2には、非融和性であるペルフルオロポリエーテル型の非揮発性油と揮発性油を含有する耐移り性を有する口紅組成物が記載されている。この特許文献2では支持体への適用中に油分が分離し、第一組成物の上に油分が移動するようになっている。
しかしながら、この口紅組成物は、二次付着レス効果の発現には塗布後、しばらく時間がかかり、揮発性の油分を必須成分として含んでいるため、容器の制約がある、という問題点がある。
特許文献3には、揮発性油分と組み合わせてシリコーン界面活性剤を配合し、顔料を良好に分散させた耐移り性を有するスティック化粧品が開示されている。
しかしながら、このスティック化粧品は揮発性油分の組成物における割合が大きいためマットな仕上がりとなり、唇に乾燥感を生じやすいという欠点がある。
特許文献4には、揮発性油分とシリコーン樹脂を配合した一相型の口紅用組成物が開示されている。
しかしながら、この口紅用組成物は、耐移り性は改善されるものの、揮発性油が蒸発した後に時間が経つと乾燥感が生じやすく、また樹脂の皮膜が唇上に残り、皮膜感や突っ張り感を生じると共に、得られた付着物はマットであるという欠点がある。
特許文献5には、シリコーン系皮膜剤と揮発性シリコーン系油分と非揮発性シリコーン系液状油分と乳化剤とを含む連続相油分と、エステル油分と色材とを含む分散相油分とからなり、分散相油分/(分散相油分+連続相油分)の配合量比が0.05〜0.5である油中油型乳化組成物が記載されている。
しかしながら、この油中油型乳化組成物は経時安定性を保つことが困難な場合がある。また、二次付着レス効果の発現には、塗布後しばらく時間がかかり、揮発性の油分を必須成分として含んでいるため、容器の制約がある、という問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−199846号公報
【特許文献2】国際公開96/40044号公報
【特許文献3】国際公開97/16157号公報
【特許文献4】特開平9−48709号公報
【特許文献5】特開2000−53530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、優れた二次付着レス効果を有し、かつ塗布後のつやが持続し、安定性にも優れた唇用固形化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の油分を併用し、さらにワックスを配合することで、つやを損なわずに塗布直後より優れた二次付着レス効果を有する唇用固形化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明にかかる唇用固形化粧料は、次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン 30〜70質量%
(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する、一種または二種以上の油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%
【0007】
前記化粧料において、さらに(e)色材を含むことが好適である。
前記化粧料において、(e)成分が実質的に(c)成分に分散していることが好適である。
前記化粧料において、(b)成分のメチルフェニルシリコーンが、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコンから選択される1種または2種以上を含むことが好適である。
前記化粧料において、(c)成分の油分が、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、モノイソステアリン酸グリセリン、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルから選択される1種または2種以上を含むことが好適である。
前記化粧料において、(a)成分に、さらにダイマージリノール酸エステルを含むことが好適である。
前記化粧料において、さらに(f)オレフィンオリゴマー、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、エチルヘキサン酸セチルから選択される1種または2種以上を含むことが好適である。
【0008】
また、本発明にかかる唇用固形化粧料は、次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 30〜70質量%
(c)ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリルから選択される1種または2種以上の油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%
また、本発明にかかる唇用固形化粧料は、次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)ジフェニルジメチコン 30〜70質量%
(c)ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルから選択される1種または2種以上の油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる唇用固形化粧料は、(a)水添ポリイソブテン、(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン、(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する、一種または二種以上の油分、(d)ワックスを特定量配合することにより、塗布直後から優れた二次付着レス効果を発現し、つやの持続性を有し、安定性も良好な唇用固形化粧料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる唇用固形化粧料の(A)製造時、(B)製品化(固化)時、(C)唇への塗布時の機構を説明した図である。
【図2】本発明の(a)〜(c)成分および色材(試験例1−1)を、加温溶解後に混合し、遠心分離機にかけ、静置した際に撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる唇用固形化粧料は、(a)水添ポリイソブテン、(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン、(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する、一種または二種以上の油分、(d)ワックス、から構成されている。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0012】
((a)水添ポリイソブテン)
(a)成分は、連続相油分である(b)成分と溶解しない油分である。(a)成分は、(b)成分よりも唇との親和性が高く、唇に密着しやすい。
水添ポリイソブテンは、平均分子量は1000〜2650のものが好ましい。
【0013】
また、(a)成分としては、水添ポリイソブテンの他に、ダイマージリノール酸エステルを配合することもできる。
ダイマージリノール酸エステルは、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)が好ましい。
【0014】
(a)成分の配合量は、化粧料全量に対して5〜30質量%であることが必要である。また、10〜25質量%配合することが好ましく、12〜20質量%配合することが特に好ましい。配合量が多すぎると、塗布時に分離しにくくなり二次付着レス効果を発現しない。また、配合量が少なすぎると、塗布時に分離せず、二次付着レス効果を発現しない。
【0015】
((b)メチルフェニルシリコーン)
(b)メチルフェニルシリコーンは、25℃で(a)水添ポリイソブテンと混合した時に分離するものである。
なお、本発明の唇用固形化粧料に配合される(b)メチルフェニルシリコーンは一種であっても、二種以上の混合物であっても良い。
【0016】
ここで、「分離」の有無は、以下の条件で測定された。
(測定条件)
(a)と(b)を、(a):(b)=1:1(質量比)で用いて、90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になった場合に、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、半透明な状態、または、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
【0017】
なお、(b)成分として二種以上のメチルフェニルシリコーンを用いる場合、分離の有無は、それらの配合割合により異なる。このため、分離の有無は、(b)成分の配合割合に応じて確認する必要がある。
【0018】
メチルフェニルシリコーンとしては、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等が挙げられる。
【0019】
本発明の唇用固形化粧料に配合されるメチルフェニルシリコーンとしては、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンが好ましい。
トリメチルペンタフェニルトリシロキサンは、市販品としては、例えば、メチルフェニルシリコーンPH−1555(180mm2/s(25℃)、東レ・ダウコーニング社製)、メチルフェニルシリコーンFZ3156(165mm2/s(25℃)、東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0020】
また、ジフェニルジメチコンは、市販品としては、例えば、シリコーンKF54(400mm2/s(25℃)、信越化学社製)、シリコーンKF50−300CS(270〜330mm2/s(25℃)、信越化学社製)、シリコーンKF−54HV(5000mm2/s(25℃)、信越化学社製))が挙げられる。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、市販品としては、例えば、シリコーンKF56(14mm2/s(25℃)、信越化学社製))が挙げられる。
フェニルトリメチコンは、市販品としては、例えば、シリコーンSH556(22mm2/s(25℃)、東レ・ダウコーニング社製))が挙げられる。
【0021】
(b)成分の配合量は、化粧料全量に対して30〜70質量%であることが必要である。また、40〜60質量%であることが好ましい。(b)成分の配合量が30質量%未満では、塗布時に分離しにくくなり二次付着レス効果を発現しない。また70質量%を超えると、他成分の配合量が減るため、二次付着レス効果が発現しない。
【0022】
((c)油分)
(c)成分は、25℃で(a)成分と混合した時、および(b)成分と混合した時にいずれも分離する油分である。(c)成分は、(b)成分よりも唇との親和性が高く、唇に密着しやすい。
本発明の唇用固形化粧料に配合される(c)成分は一種であっても、二種以上の混合物であっても良い。
【0023】
ここで、「分離」の有無は、以下の条件で測定された。
(測定条件)
(a)と(c)を、(a):(c)=1:1(質量比)で用いて、90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になった場合に、境界が均一に2層に分離しているものを「分離する」とし、半透明な状態、または、境界がなく透明な相溶した状態を「分離せず」とした。
なお、(b)との関係も上記と同様である。
【0024】
本発明にかかる唇用固形化粧料に配合される(c)成分の油分としては、例えば、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスチル、ヒマシ油、モノイソステアリン酸グリセリン、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル等が挙げられる。
これらのうち、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを含むことが好ましい。
【0025】
(c)成分の配合量は、化粧料全量に対して0.5〜15質量%であることが必要である。また、1〜10質量%であることが好ましい。(c)成分の配合量が0.5質量%未満では、二次付着レス効果に劣り、経時のつや感にも劣る。また15質量%を超えると、色ムラが生じる。
【0026】
本発明の唇用固形化粧料において、(a)成分として水添ポリイソブテンのみ、(b)成分としてトリメチルペンタフェニルトリシロキサンのみを用いる時は、(c)成分は、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリルから選択される1種または2種以上の油分を用いることができる。
これらの(c)成分は、25℃で(a)水添ポリイソブテンと混合した時、および(b)トリメチルペンタフェニルトリシロキサンと混合した時にいずれも分離する油分である。
【0027】
また、本発明の唇用固形化粧料において、(a)成分として水添ポリイソブテンのみ、(b)成分としてジフェニルジメチコンのみを用いる時は、(c)成分は、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルから選択される1種または2種以上の油分を用いることができる。
これらの(c)成分は、25℃で(a)水添ポリイソブテンと混合した時、および(b)トジフェニルジメチコンと混合した時にいずれも分離する油分である。
【0028】
上記の(a)〜(c)成分を用いることで、本発明の唇用固形化粧料を唇に塗布した際、化粧料と唇のシェアにより、ただちに(a)成分と(b)成分と(c)成分は分離し、(a)成分および(c)成分は唇上に密着し、粘性の低い(b)成分は表層に分離するため、二次付着レス効果が発現する。このような化粧料が物についた際には、透明である(b)成分のみが付着する。加えて、(b)成分は大量に存在するため、物と唇のシェアによって、再び(b)成分は表層に分離する。したがって、本発明にかかる唇用固形化粧料は、長時間にわたって二次付着レス効果を発現できる。
【0029】
((d)ワックス)
本発明の唇用固形化粧料に配合される(d)ワックスとしては、通常化粧料に配合されるものであれば、特に限定されない。
本発明において、(d)ワックスを配合することにより、通常(a)成分および(c)成分より粘度の低い、液状油分である(b)メチルフェニルシリコーンが外相にある唇用固形化粧料を得ることができる。すなわち、本発明に用いられるワックスは、メチルフェニルシリコーンと相溶性があるものを用いることが好ましい。
【0030】
本発明に用いられるワックスとしては、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ポリエチレンワックス、ビースワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、モクロウ等が挙げられる。
【0031】
(d)成分の配合量は、化粧料全量に対して、4〜12質量%であることが必要である。また、6〜11質量%であることが好ましい。(d)成分の配合量が4質量%未満では、固化しづらい。また12質量%を超えると、のびが重く、つやもなくなる。
【0032】
本発明の唇用固形化粧料には、上記必須成分である(a)〜(d)成分の他、通常唇用化粧料に用いられる成分を任意成分として含むことができる。
【0033】
本発明の唇用固形化粧料には(e)色材を配合することが好ましい。
色材としては、通常唇用化粧料に用いられる色材であれば良く、粉末状でもレーキ状(油を練り込んだ状態)でもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であってもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であっても、連続相油分((b)成分)に比較して、分散相油分(特に(c)成分)のほうに濡れやすいため、色材は自発的に分散相油分に移行する。このため色材は、化粧料塗布時には分散相油分に抱え込まれ、表層の(b)成分の内側に存在するようになるため、二次付着し難くなる。
このように、本発明の唇用固形化粧料は、(e)成分が実質的に(c)成分に分散していることが好ましい。また、色材全量中80質量%以上の(e)成分が(c)成分に分散していることが特に好ましい。
【0034】
色材の配合量は、化粧料全量に対して1〜15質量%が好ましく、5〜10質量%が特に好ましい。色材の配合量が少なすぎると、二次付着レス効果を感じにくい場合がある。
【0035】
本発明の唇用固形化粧料には(f)成分として、オレフィンオリゴマー、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、エチルヘキサン酸セチルから選択される1種または2種以上を配合することが好ましい。
(f)成分は、高温(90℃)で(a)〜(c)成分との相溶性が高い成分であり、このような油分を配合することにより、相溶しない(a)成分、(b)成分、(c)成分を配合した、安定な唇用固形化粧料を製造しやすくなる。
【0036】
(f)成分を配合する場合の配合量は、化粧料全量に対して1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(f)成分の配合量が1質量%未満では、バルクの相溶性が悪く、分離する場合がある。また20質量%を超えると、唇への塗布時に(b)成分が分離せず、二次付着レス効果を発現しない場合がある。
【0037】
本発明の唇用固形化粧料には、上記成分の他、通常の唇用化粧料に用いられる上記以外の油剤、粉体、高分子化合物、保湿剤、香料、酸化防止剤、防腐剤、美容成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0038】
本発明の唇用固形化粧料は、その製造工程のすべてにおいて分離せず、均一一相の状態であるように成分構成されたものであることが好ましい。
【0039】
本発明の唇用固形化粧料は、口紅、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート、リップクリームなどに応用することができる。特にスティック固形状の口紅が好ましい。
【実施例】
【0040】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0041】
本発明者らは、これまでに、(a)水添ポリイソブテンと、大量の(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーンを、ワックスにより固化させた唇用固形化粧料が、二次付着レス効果に優れていることを見出した。
すなわち、唇塗布時には、粘性および唇との親和性の低い(b)成分が表層に分離し、(a)成分は内層(唇表面)にある。色材は、(a)成分との親和性が高いため、色材は内層に抱え込まれている。このことから、唇用化粧料がカップについた際も、色材が配合されていない(b)成分のみがカップに付着する。そして、(b)成分は大量に存在するため、カップと唇のシェアにより、(b)成分が唇用化粧料からしみ出す。このため、前述の系では、長時間優れた二次付着レス効果を奏することができる。
【0042】
この知見をもとに、さらに二次付着レス効果を向上するために必要な条件について検討を行った。
本発明者らは、優れた二次付着レス効果を期待するために、唇上で、図1(C)のような挙動をとる唇用固形化粧料を考えた。図1(C)によると、唇の内層にある(a)成分のさらなる内層に、色材を抱えこむ成分が存在する。
そのような唇用固形化粧料を製造するためには、高温での製造過程では、全成分が分離せず混合(または微分散)状態をとる必要があり(図1(A))、冷却後、固化させた場合、図1(B)の状態をとると考えた。
すなわち、前述の系に加えて、色材との親和性がより高い成分が必要であって、(a)成分とも(b)成分とも分離し、(b)成分との相溶性が非常に低い油分が必要ではないかと考えた。
【0043】
上記の検討に基づき、本発明者らは、そのような油分を見つけるために、(a)成分、(b)成分、色材、そして各種追加油分を配合した下記表1記載の配合組成よりなる油性成分を混合し、各試料を下記評価基準(1)に基づき評価した。結果を表1に示す。
なお、表1の配合量は、質量部で示されている。また、表1の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
また、試験例1−1の評価(1)で評価した試料の写真を、図2に示す。なお、本写真は、白色の机上に置いて撮影した写真である。
【0044】
評価(1):色材親和性
混合した油性成分を遠心分離機にかけた後に静置し、下記評価基準で判定した。なお、油性成分が半固形油分の場合、加温溶解後に混合した油性成分を遠心分離機にかけて、同様の方法で判定した。
(評価基準)
:ほぼ全ての色材が追加油分に分散している。
A:色材は(a)水添ポリイソブテンにも分散しているが、多くの色材は追加油分に分散している。
:同じくらいの色材が(a)水添ポリイソブテンと追加油分に分散している。
B:色材は追加油分にも分散しているが、多くの色材は(a)水添ポリイソブテンに分散している。
C:ほぼ全ての色材が(a)水添ポリイソブテンに分散している。
【0045】
【表1】

【0046】
※1:脱臭ポリブテンP(日興リカ社製)
※2:メチルフェニルシリコーンPH−1555(東レ・ダウコーニング社製)
※3:シリコーンKF54(信越化学社製)
※4:コスモール168M(日清オイリオグループ社製)
※5:SフェイスVL−211(阪本薬品工業社製)
※6:YOFCO−MAS(日本精化社製)
【0047】
表1より、配合する追加油分の種類により、色材が分散する層が異なることがわかった。
試験例1−1〜1−5によると、特に追加油分としてヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5、モノイソステアリン酸グリセリン、ヒマシ油、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテルを配合した場合に、追加油分に色材が分散されることがわかる。
【0048】
次に、実際に表1記載の追加油分を配合した、表2記載の配合組成よりなる試料(固形口紅)を常法により製造した。そして、各試料を下記評価基準(2)に基づき評価した。結果を表2に示す。
なお、表2の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
【0049】
評価(2):二次付着レス効果の評価試験
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、試料を唇に塗布した際の二次付着レス効果について下記採点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
【0050】
(スコア)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
(評価基準)
S:スコア平均値4.5点以上5点以下
:スコア平均値4点以上4.5点未満
A:スコア平均値3.5点以上4点未満
B:スコア平均値2.5点以上3.5点未満
C:スコア平均値1点以上2.5点未満
なお、表中に「−」と記載した例は、安定性が悪く、二次付着レス効果が測定できなかったものである。
【0051】
【表2】

【0052】
表2より、表1において色材親和性の高かった追加油分を配合した試験例2−2〜2−6の試料は、二次付着レス効果に非常に優れていることが明らかになった。
【0053】
次に、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5、モノイソステアリン酸グリセリン、ヒマシ油、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテルに代表される色材との親和性の高い油分の性質について検討を行った。
表1で用いた追加油分について、(a)成分もしくは(b)成分との相溶性を、下記評価方法(評価(3))にて評価した。結果を表3に示す。
【0054】
評価(3):分離状態
(a)成分もしくは(b)成分と、追加油分とを、(a)成分もしくは(b)成分:追加油分=1:1(質量比)で用いて、90℃に加温し、攪拌混合し、次いで静置し、混合物が25℃になった場合に、境界が均一に2層に分離しているものを「分離」とし、半透明な状態、または、境界がなく透明な相溶した状態を「均一」とした。
【0055】
【表3】

【0056】
表3より、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5、モノイソステアリン酸グリセリン、ヒマシ油、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテルは、(a)成分とも(b)成分とも分離する油分であることが明らかになった。
なお、試験例2−7〜2−9によると、マカデミアナッツ油ポリグリセリル−6エステルズベヘネート、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ワセリンを配合した場合には、顕著な二次付着レス効果を発現できなかった。これは、これらの油分が(a)成分および/または(b)成分と混合した時に分離しないために、色材が分散している油分が、図1(C)のような挙動を示さず、(a)層および/または(b)層に溶解してしまうためと考えられる。
【0057】
したがって、本発明にかかる唇用固形化粧料は、(a)水添ポリイソブテン、(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン、(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する油分、(d)ワックスを含むことが必要である。
【0058】
次に、さらなる(c)成分についての検討を行った。本発明者らは、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルについて、(a)成分もしくは(b)成分との相溶性を、上記評価方法(評価(3))にて評価した。そして、それらの油分を配合した表4記載の配合組成よりなる試料(固形口紅)を常法により製造した。そして、各試料を上記評価基準(2)に基づき評価した。結果を表4に示す。
なお、表4の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
【0059】
【表4】

【0060】
※7:サラコスP−B822(日清オイリオグループ社製)
【0061】
表4によれば、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルは、(a)成分とも(b)成分とも分離する油分であった。
また、該油分を配合した唇用固形化粧料は、二次付着レス効果に優れていた。
【0062】
したがって、本発明の唇用固形化粧料に配合される(c)成分としては、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5、モノイソステアリン酸グリセリン、ヒマシ油、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテルの他に、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルを用いることが好適である。
また、本発明者らのさらなる検討の結果、(c)成分として、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチルを用いることもできることが明らかになった。
【0063】
次に、(a)成分についての検討を行った。本発明者らは、表5記載の配合組成よりなる試料(固形口紅)を常法により製造した。そして、各試料を上記評価基準(2)に基づき評価した。結果を表5に示す。
なお、表5の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
【0064】
【表5】

【0065】
※8:プランドゥール−PB(日本精化社製)
【0066】
試験例5−3より、本発明の(a)成分の水添ポリイソブテンの一部を、ダイマージリノール酸エステルであるダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)に置換しても、二次付着レス効果に優れた唇用固形化粧料を得られることがわかる。
したがって、本発明にかかる唇用固形化粧料において、(a)成分として、水添ポリイソブテンの他に、ダイマージリノール酸エステルを用いることもできる。
【0067】
次に、その他の成分についての検討を行った。
本発明者らは、表6記載の配合組成よりなる試料(固形口紅)を常法により製造した。そして、各試料を上記評価基準(2)および下記評価基準(4)〜(8)に基づき評価した。結果を表6に示す。
なお、表6の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
【0068】
評価(4):試料(バルク)の状態の評価試験
バルクを縦にカットし、表面状態を下記の評価基準で判定した。
(評価基準)
:色材の凝集がなく、カット面がなめらかで均一である。
A:色材の凝集がなく、カット面はほぼ均一である。
B:色材が凝集していて、カット面がなめらかでない。
C:色材が凝集していて、カット面が相分離している。
【0069】
評価(5)〜(8):使用性(のびの軽さ・フィット感・つや感・色の出)の評価試験
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。評価は、試料を唇に塗布した際の使用性(のびの軽さ・フィット感・つや感・色の出)について下記採点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
【0070】
(スコア)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
(評価基準)
S:スコア平均値4.5点以上5点以下
:スコア平均値4点以上4.5点未満
A:スコア平均値3.5点以上4点未満
B:スコア平均値2.5点以上3.5点未満
C:スコア平均値1点以上2.5点未満
【0071】
【表6】

【0072】
※9:シリコーンKF56(信越化学社製)
【0073】
表6より、(c)成分の配合により二次付着レス効果が向上するが、さらにオレフィンオリゴマーやジカプリン酸ネオペンチルグリコールを配合した試験例6−3〜6−5は、使用性に優れていた。
特に、オレフィンオリゴマーを配合した試験例6−3および6−4は、バルクの状態にも非常に優れていた。
【0074】
本発明者らの検討の結果、オレフィンオリゴマーやジカプリン酸ネオペンチルグリコールに代表される化合物は、製造時の高温(90℃)で(a)〜(c)成分との相溶性が高い成分であることが明らかになった。
(f)そのような成分としては、オレフィンオリゴマー、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール以外に、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、エチルヘキサン酸セチルが挙げられ、本発明の唇用固形化粧料には、該(f)成分を配合することが好ましい。
【0075】
次に、(c)成分の配合量についての検討を行った。本発明者らは、表7記載の配合組成よりなる試料(固形口紅)を常法により製造した。そして、各試料を上記評価基準(2)および下記評価基準(9)により評価し、評価基準(10)(経時のつや感)について、上記の評価基準(5)〜(8)の使用性の評価試験に準じて評価した。結果を表7に示す。
なお、表7の配合組成において、(b)成分の混合溶液は、25℃で(a)と混合した時に分離した。
【0076】
評価(9):色ムラの評価試験
試料を唇に塗布した際の色ムラについて、下記採点基準に基づいて評価した。
(評価基準)
:色ムラが全く見られない。
A:色ムラが少し見られる。
B:色ムラが見られる。
C:色ムラが多く見られる。
【0077】
【表7】

【0078】
表7より、(c)成分の配合量が少ない試験例7−1において、経時のつや感に劣ることがわかる。
また、(c)成分の配合量が多い試験例7−5において、色ムラが見られることがわかる。
したがって、本発明の唇用固形化粧料に配合される(c)成分は、0.5〜15質量%であることが必要である。
【0079】
以下に、本発明にかかる唇用固形化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではない。処方例の唇用固形化粧料は、いずれも、優れた二次付着レス効果およびつやの持続性を有し、使用性、安定性にも優れるものであった。
【0080】
処方例1 口紅
水添ポリイソブテン(※1) 14.1 質量%
トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(※2) 36.4
ジフェニルジメチコン(※3) 10
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(※4) 5
ワックス 7.5
色材 9.1
パール剤 5.4
オレフィンオリゴマー 10
セスキイソステアリン酸ソルビタン 2.5
【0081】
処方例2 口紅
水添ポリイソブテン(※1) 10.9 質量%
ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)(※8) 12.5
トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(※2) 36.46
ジフェニルジメチコン(※3) 5
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(※9) 9.18
トリイソステアリン酸ポリグリセリル−5 4.9
リップワックス 4.15
キャンデリラロウ 1.1
色材 7.1
パール剤 5.41
デカメチルシクロペンタシロキサン 2
ダイナマイトグリセリン 1.2
イソステアリン酸 0.1
【0082】
処方例3 口紅
水添ポリイソブテン(※1) 5 質量%
ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)(※8) 10.55
トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(※2) 25.58
ジフェニルジメチコン(※3) 25
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(※4) 9
ワックス 5
キャンデリラロウ 0.5
色材 7.65
パール剤 3.22
オレフィンオリゴマー 5
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.5
【符号の説明】
【0083】
1 (a)水添ポリイソブテン
2 (b)メチルフェニルシリコーン
3 追加油分((c)成分)
4 (d)ワックス
5 (e)色材
6 唇

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)25℃で(a)と混合した時に分離する、一種または二種以上のメチルフェニルシリコーン 30〜70質量%
(c)25℃で(a)と混合した時、および(b)と混合した時にいずれも分離する油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、さらに(e)色材を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項3】
請求項2に記載の化粧料において、(e)成分が実質的に(c)成分に分散していることを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料において、(b)成分のメチルフェニルシリコーンが、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコンから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料において、(c)成分の油分が、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、モノイソステアリン酸グリセリン、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、PEG/ポリブチレングリコール−52/32ジメチルエーテル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料において、(a)成分に、さらにダイマージリノール酸エステルを含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料において、さらに(f)オレフィンオリゴマー、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、スクワラン、流動パラフィン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、エチルヘキサン酸セチルから選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
【請求項8】
次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 30〜70質量%
(c)ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリルから選択される1種または2種以上の油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%
【請求項9】
次の(a)〜(d)を含むことを特徴とする唇用固形化粧料。
(a)水添ポリイソブテン 5〜30質量%
(b)ジフェニルジメチコン 30〜70質量%
(c)ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、グリセリンの付加モル数4〜10でイソステアリン酸残基の数が1〜4個であるイソステアリン酸ポリグリセリル、PEG/PPG−36/41ジメチルエーテル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチルから選択される1種または2種以上の油分 0.5〜15質量%
(d)ワックス 4〜12質量%

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−250927(P2012−250927A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123757(P2011−123757)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】