説明

商品販売システム、ハンディ端末およびその制御プログラム

【課題】PSS方式を採用した商品販売システムにおいて、買い物途中であってもクーポン券による特典の登録を可能とし、その特典を反映した後の正確な代金を知ることができるようにして、顧客に対するサービスを向上させること。
【解決手段】ハンディ端末が備えるスキャナにて商品に付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別コードに基づいて当該商品の商品情報を検出する。また、スキャナにてクーポン券に付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別コードに基づいて当該クーポン券の特典情報を検出する。これら検出された商品情報及び特典情報を記憶手段に記憶し、会計用バーコードが読み取られた際に記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売店舗にて顧客自身が商品コードを入力し、チェックアウト業務を進行する商品販売システム、このシステムにて使用されるハンディ端末およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商品販売店舗におけるチェックアウト業務には、商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナを備えたPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置が使用されている。
【0003】
この種の装置は店員に操作され、上記バーコードスキャナにて商品に付されたバーコードを読み取って商品コードを入力し、この商品コードに基づいてストアサーバ等のデータベースから商品名や単価等で構成される商品情報を取得し、この商品情報に買い上げ点数等を付加してなる販売データをメモリに形成された所定の記憶エリアに登録していく。そして、一商取引にて登録された販売データに基づいて代金の算出やレシートの発行を行い、チェックアウト業務を完結する。
【0004】
また、近年では、チェックアウト業務に充てる人員を削減して業務の効率化を図るべく、顧客自身がバーコードの読み取り等を行うPSS(Personal Self Shopping)方式を採用した商品販売システムが普及しつつある。(例えば、特許文献1を参照)
この種のシステムでは、来店した顧客に対してバーコードのスキャニング機能を備えたハンディターミナルが貸し渡され、このハンディターミナルを用いて顧客自身が買い物籠に商品を投入する際に該商品に付されたバーコードをスキャニングして商品コードを入力する。このとき、ハンディターミナルは無線通信にてストアサーバにアクセスし、データベースから商品コードに対応付けられた商品情報を取得し、この商品情報に基づいて販売データを生成してメモリ内の記憶エリアに登録していく。
【0005】
かくして一連の商品を登録し終えたならば、ハンディターミナルに記憶された販売データを商品販売データ処理装置に送信し、顧客自身あるいは店員の主導の下でチェックアウト業務を完結させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
小売業等では、販促活動の一環として、値引き券や割引き券等のクーポン券を配布することがある。近頃のクーポン券には、特典の種別を表すバーコードが印刷され、当該バーコードのスキャニングにより、簡易に値引き額や割引き率を商品販売データ処理装置に入力できるようになっている。
【0007】
上記販促活動をPSS方式の商品販売システムに導入した場合、現状の商品販売システムではハンディターミナルにてクーポン券による特典を処理する手段は講じられていないことから、レジカウンタに設置された商品販売データ処理装置を介して店員又は顧客自身がクーポン券に付されたバーコードをスキャニングする等の作業が必要であった。
【0008】
しかしながら、顧客がクーポン券の使用を意図して来店した場合であっても、買い物途中でその存在を忘れてしまい、使えず仕舞いになってしまうことがあった。また、クーポン券による特典が代金に反映されるのはレジカウンタにおける会計時であるため、客は買い物中にクーポン券による特典を加味した正確な代金を把握することが困難であった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、PSS方式を採用した商品販売システムにおいて、買い物途中であってもクーポン券による特典の登録を可能とし、その特典を反映した後の正確な代金を知ることができるようにして、顧客に対するサービスを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、本発明は、顧客の購入希望商品に係る商品情報と、顧客に提供される特典の内容を示す特典情報とを検出する情報検出手段と、この情報検出手段により検出された商品情報及び特典情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置に出力する出力手段とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
かかる手段を講じた本発明によれば、PSS方式を採用した商品販売システムにおいて、買い物途中であってもクーポン券による特典の登録を可能とし、その特典を反映した後の正確な代金を知ることができるようにして、顧客に対するサービスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における商品販売システムの構成図。
【図2】同実施形態における特典情報テーブルのデータ構造の一例を示す図。
【図3】同実施形態におけるハンディターミナルの外観構成を示す模式図。
【図4】同実施形態におけるハンディターミナルの制御回路のブロック図。
【図5】同実施形態における販売データ登録エリアのデータ構造を示す模式図。
【図6】同実施形態における特典データ登録エリアのデータ構造を示す模式図。
【図7】同実施形態における販売データ登録処理にてCPUが実行する処理の流れ図。
【図8】同実施形態における登録画面の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
図1は、本実施形態における商品販売システムの構成図である。
当該システムは、ストアサーバ1と、POS端末2と、アクセスポイント3と、複数のハンディターミナル4とを備え、客自身が商品情報の登録業務を担当するセルフスキャニング式の商品販売システムである。ストアサーバ1、POS端末2およびアクセスポイント3は、LAN(Local Area Network)5にて相互通信可能に接続されている。
【0015】
ストアサーバ1は、本実施形態におけるサーバ装置として機能するものであり、当該商品販売システムが稼動する店舗における売上データや、本実施形態における商品情報記憶手段として機能するPLU(Price Look Up)ファイル6、本実施形態における特典情報記憶手段として機能する特典情報テーブル7等を記憶管理する。
【0016】
上記PLUファイル6には、商品毎に一意に割り当てられた商品コード(商品の識別子)に対して、商品名や単価等で構成される商品情報が記憶されている。上記特典情報テーブル7は、クーポン券に関する情報を登録したデータベースであり、例えば図2に示したようなデータ構造を有する。すなわち、特典毎に一意に割り当てられた特典コード(特典の識別子)に対して、特典名、特典内容、クーポン券の使用条件(特典情報の適用条件)を記憶してなる。図2の例では、特典コード“2001”に対して特典名“クーポン値引き”、特典内容“180円引き”、使用条件“代金が180円以上”との情報が記憶され、特典コード“2002”に対して特典名“クーポン5%割引き”、特典内容“5%オフ”、使用条件“−”(条件なし)との情報が記憶され、特典コード“2003”に対して特典名“商品A進呈”、特典内容“商品A無料”、使用条件“商品A登録”との情報が記憶されている。
【0017】
POS端末2は、本実施形態における商品販売データ処理装置として機能するものであり、後述の処理にて使用する決済用バーコード8が貼付されたレジカウンタに載置されている。その本体には、各種操作キーを配設してなるキーボード、各種情報を店員又は顧客に対して表示する表示ユニット、レシートを発行するレシートプリンタ、代金・釣銭の授受に使用される硬貨投入ユニット,紙幣投入ユニット,硬貨排出ユニット,紙幣排出ユニット等を備えている。当該POS端末2が設置されたレジカウンタには店員が配置されていない。すなわち、POS端末2は、顧客自身が操作して代金の支払い等の会計処理を行うセルフチェックアウト式のPOS端末である。
【0018】
アクセスポイント3は、ハンディターミナル4から送信された電波を受信すると、この電波から得られる高周波信号に基づいてデジタルデータを生成し、LAN5に送出する。また、LAN5を介してハンディターミナル4宛ての送信データを受信すると、当該送信データに基づいて高周波信号を生成し、ハンディターミナル4に向けて電波として発信する。
【0019】
ハンディターミナル4は、本実施形態におけるハンディ端末として機能するものであり、当該店舗に来店した顧客に貸し渡され、顧客の退店時に回収される。顧客は、ハンディターミナル4を用いて自分自身で商品に付されたバーコードやクーポン券に付されたバーコードを読み取り、バーコードが表す商品コードや特典コードを入力する。
【0020】
図3は、ハンディターミナル4の外観構成の一例を示す模式図である。ハンディターミナル4は、グリップ10、操作ボタン110〜115にて構成される操作部11、LCD(Liquid Crystal Display)を採用した表示ユニット12を備え、背面には図示しないスキャナ用の読取窓が設けられている。
【0021】
図4にハンディターミナル4の制御回路を示している。この制御回路は、ハンディターミナル4の主制御部として機能するCPU20に対して、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、電源ユニット23、入力コントローラ24、表示コントローラ25、無線通信コントローラ26、スキャナコントローラ27をアドレスバスやデータバス等のバスライン30にて接続して構成されている。
【0022】
そして、電源ユニット23にバッテリ23aを接続し、入力コントローラ24に操作部11を接続し、表示コントローラ25に表示ユニット12を接続し、無線通信コントローラ26に無線通信ユニット26aを接続し、スキャナコントローラ27にスキャナ27aを接続している。
【0023】
ROM21は、不揮発性のメモリであり、ハンディターミナル4の動作に必要な基本的プログラムやLAN5に接続された各端末に割り当てられた一意の端末ID等を記憶している。
【0024】
RAM22は、処理場面に応じて各種の作業用記憶エリアを形成する。例えば、販売データの登録処理が実行されている場合等には、本実施形態における記憶手段として機能する販売データ登録エリア22aおよび特典データ登録エリア22bが形成される。
【0025】
販売データ登録エリア22aは、商品情報等を登録するための作業用記憶領域であり、たとえば図5に示したようなデータ構造を有している。すなわち、商品コード,商品名,単価などで構成される商品情報に対して当該商品の販売点数を付加してなる販売データの登録エリアが形成されている。図示した例では、ナンバ1のエリアに商品コード“1001”,商品名“商品A”,単価“245”円,点数“3”点の販売データが登録され、ナンバ2のエリアに商品コード“1002”,商品名“商品B”,単価“100”円,点数“5”点の販売データが登録されている。
【0026】
特典データ登録エリア22bは、特典情報を登録するための作業用記憶領域であり、例えば図6に示したようなデータ構造を有している。すなわち、特典コード、特典名、得点内容、使用条件で構成される特典情報に対して登録点数を付加してなる特典データの登録エリアが形成されている。図示した例では、ナンバ1のエリアに特典コード“2001”,特典名“クーポン値引き”,特典内容“180円引き”,使用条件“代金が180円以上”,点数“1”点の特典データが登録されている。
【0027】
電源ユニット23は、バッテリ23aから動作電源を取り込んでハンディターミナル4の各部に供給する。また、図示せぬコネクタに商用交流電源等の外部電源が接続された際には、この外部電源から電源を取り込んでバッテリ23aに供給し、バッテリ23aを充電する。バッテリ23aは、ハンディターミナル4に着脱自在に取り付けられており、容易に筐体から取り外しての交換が可能である。
【0028】
入力コントローラ24は、操作部11を構成する各操作ボタン110〜115の押下を監視し、押下された操作ボタンに応じた信号をCPU20に通知する。
表示コントローラ25は、CPU20から送られてくる画像データをビデオ信号に変換して表示ユニット12に出力し、各種情報を選択的に表示させる。
【0029】
無線通信コントローラ26は、無線通信ユニット26aによるアクセスポイント3との無線通信を制御する。無線通信ユニット26aは、無線通信コントローラ26から送られてくるデータを高周波信号に変調する送信部と、この送信部が変調した高周波信号に基づく電波を発するとともに、アクセスポイント3が発する電波に基づく高周波信号を生成するアンテナと、このアンテナが生成した高周波信号をデジタルデータに復調する受信部とを備えている。
【0030】
スキャナコントローラ27は、スキャナ27aを制御してバーコード(シンボルコード)の読み取りタイミングを制御し、スキャナ27aが検出するバーコードデータをCPU20に通知する。スキャナ27aは、バーコードを光学的に読み取ってアナログ信号を出力するフォトセンサと、このフォトセンサから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器から出力されるデジタル信号をバーコードデータにデコードするデコーダとを備えている。なお、スキャナ27aは、本実施形態における読取手段として機能する。
【0031】
かかる構成のハンディターミナル4において、CPU20は、各部とともに次の(1)〜(6)の機能を実現する。
【0032】
(1)顧客の購入希望商品に係る商品情報と、顧客に提供される特典の内容を示す特典情報とを検出する情報検出機能。
【0033】
(2)販売データ登録エリア22a及び特典データ登録エリア22bに記憶された商品情報及び特典情報をPOS端末2に出力する出力機能。
【0034】
(3)販売データ登録エリア22a及び特典データ登録エリア22bに記憶された商品情報及び特典情報に基づいて当該取引の代金を算出する算出機能。
【0035】
(4)算出機能により算出された代金を表示ユニット12に表示する表示制御機能。
【0036】
(5)情報検出機能にて検出された特典情報の適用条件を検出する条件検出機能。
【0037】
(6)条件検出機能により検出された適用条件が成立する場合、情報検出機能により検出された特典情報を特典データ登録エリア22bに記憶し、適用条件が成立しない場合、情報検出機能により検出された特典情報を破棄する記憶制御機能。
【0038】
次に、上記のような構成のハンディターミナル4の動作について説明する。
顧客が来店し、ハンディターミナル4を貸し渡された後、販売データの登録を開始する際には、操作部11に設けられた登録開始ボタンを押下する。これにトリガされて、ROM21に記憶された販売データ登録用の動作プログラムがRAM22にロードされ、販売データ登録処理が開始される。
【0039】
図7は、販売データ登録処理にてCPU20が実行する処理の流れ図である。
先ず、CPU20は、スキャナ27aによるバーコードのスキャニングを受け付ける状態にて待機する(ステップS1,ステップS2)。
【0040】
顧客の操作によりバーコードがスキャニングされた場合(ステップS2のYes)、CPU20は、当該バーコードが決済用バーコード8であるか否かを判断する(ステップS3)。ROM21には予め決済用バーコード8のバーコードデータが記憶されており、スキャニングしたバーコードが決済用バーコードであるか否かは、ROM21に記憶されたバーコードデータと、スキャニングして検出したバーコードデータとの一致/不一致により判断される。
【0041】
スキャニングして検出したバーコードデータと決済用バーコード8のバーコードデータとが一致しない場合には、スキャニングされたバーコードは決済用バーコードでないと判断する(ステップS3のNo)。このとき、CPU20は、無線通信コントローラ26を制御して無線通信ユニット26aを駆動させ、スキャニングにより検出したバーコードデータと自己の端末IDとをストアサーバ1に送信し(ステップS4)、ストアサーバ1からの返信を待つ(ステップS5)。なお、ここでの送信処理は、スキャナ27aにて商品及びクーポン券に付されたバーコードが読み取られた際に入力される識別コードをストアサーバ1に送信する送信手段である。
【0042】
無線通信ユニット26aから送信されたバーコードデータと端末IDとを受信したアクセスポイント3は、これらのデータをLAN5を介してストアサーバ1に送信する。
アクセスポイント3からデータを受信したストアサーバ1は、受信データ中のバーコードデータをPLUファイル6から検索し、当該バーコードデータと一致する商品コードを発見したならば、発見した商品コードに対応付けられた商品情報を受信データ中の端末IDが示すハンディターミナル4を宛先として返信データを作成し、LAN5に送出する。
一方、バーコードデータと一致する商品コードを発見できない場合には、当該バーコードデータと一致する特典コードを特典情報テーブル7から検索する。当該バーコードデータと一致する特典コードを発見したならば、受信データ中の端末IDが示すハンディターミナル4を宛先とし、発見した特典コードに対応付けられた特典情報を付加した返信データを作成し、LAN5に送出する。
なお、ここでのストアサーバ1の処理は、ハンディターミナル4から商品コードを受信した場合、当該コードに対応付けられた商品情報をPLUファイル6から特定してハンディターミナル4に返信し、ハンディターミナル4から特典コードを受信した場合、当該コードに対応付けられた特典情報を特典情報テーブル7から特定してハンディターミナル4に返信する返信手段である。
【0043】
ストアサーバ1から送出された返信データをLAN5を介して受信したアクセスポイント3は、当該データを無線通信にてハンディターミナル4に送信する。
【0044】
かくしてアクセスポイント3から送信された返信データをハンディターミナル4が受信した場合(ステップS5のYes)、CPU20は、当該返信データが特典情報に関するものであるか否かを判断する(ステップS6)。この判断は、例えば商品に付されるバーコードのコード体系とクーポン券に付されるバーコードのコード体系との相違点に着目して行ってもよいし、ストアサーバ1に商品情報と特典情報とを区別する識別子を付して返信データを返信させ、当該識別子に基づいて判断するようにしてもよい。
【0045】
当該返信データが商品情報に関するものである場合には(ステップS6のNo)、受信した商品情報と販売点数とを組み合わせて販売データを作成し、RAM22に形成された販売データ登録エリア22aに登録する(ステップS7)。このとき、顧客が操作部11を介して販売点数の指定をしている場合には、指定された販売点数と商品情報とを組み合わせた販売データが作成・登録される。なお、販売点数が指定されていない場合には、販売点数を“1”とした販売データが作成・登録される。
【0046】
販売データを販売データ登録エリア22aに登録した後、CPU20は、販売データ登録エリア22aに登録されている販売データの単価および販売点数と、特典データ登録エリアに登録されている特典データの特典内容および登録点数とに基づいて現在登録されている商品の代金を算出し、算出した代金を用いて表示ユニット12に表示中の代金を更新し、新たに追加された販売データの内容を表示ユニット12の表示内容に追加する(ステップS8)。しかる後、再びバーコードのスキャニングを受け付ける状態に移行して次のスキャニングを待つ(ステップS1,ステップS2)。
【0047】
かかる処理の中で、顧客がクーポン券を取り出し、当該クーポン券に付されたバーコードをスキャニングした際には、ストアサーバ1から特典情報が返信される。この返信データを受信したとき、CPU20は、当該返信データが特典情報に関するものであると判断する(ステップS6のYes)。
このとき、先ず、当該特典情報が特典データ登録エリア22bに未登録の特典情報であるか否かを判断する(ステップS9)。この判断は、当該特典情報に含まれる特典コードを特典データ登録エリア22bから検索し、同一の特典コードを発見できるか否かに基づいてなされる。同一の特典コードが発見されない場合、当該特典情報は未登録であると判断し(ステップS9のYes)、当該特典情報に含まれる使用条件を検出する(ステップS10)。そして、当該使用条件が成立するか否かを判定する(ステップS11)。
【0048】
例えば、図2に示した特典コード“2001”の特典情報の場合には、付与条件が“代金が180円以上”となっているため、現在販売データ登録エリア22aに登録された販売データから計算される当該取引の代金が180円以上であるか否かを判定する。また、特典コード“2003”の特典情報の場合には、付与条件が“商品A登録”となっているため、販売データ登録エリア22aに商品Aに関する販売データが登録されているか否かを判定する。なお、特典データ登録エリア22bに他の特典データが登録されている場合や、一つの特典データの登録点数が複数である場合には、各特典データを代金等に反映した状態で使用条件の成否を判定する。
【0049】
使用条件成否の判断の結果、条件が成立すると判定した場合には(ステップS11のYes)、当該特典情報と登録点数とを組み合わせて特典データを作成し、RAM22に形成された特典データ登録エリア22bに登録する(ステップS12)。しかる後、販売データ登録エリア22aに登録されている販売データと特典データ登録エリア22bに登録されている特典データとに基づいて現在登録された商品の合計代金を算出し、算出した合計代金にて表示中の合計代金を更新し、新たに追加された販売データの内容を表示ユニット12の表示内容に追加する(ステップS8)。しかる後、再びバーコードのスキャニングを受け付ける状態に移行して次のスキャニングを待つ(ステップS1,ステップS2)。
【0050】
販売データ登録エリア22aに販売データが登録され、特典データ登録エリア22bに特典データが登録された際に表示ユニット12に表示される登録画面の一例を図8に示している。この登録画面120は、販売データ登録エリア22aに登録された販売データおよび特典データ登録エリア22bに登録された特典データが表示される販売データ等表示エリア121と、販売データ登録エリア22aに登録された販売データの合計点数および当該取引の合計代金を表示する合計代金等表示エリア122と、操作ボタン113〜115を押下した際の処理内容を知らせるガイダンス表示エリア123とを備えている。この例では、販売データ等表示エリア121に“商品A”(3点,735円),“商品B”(5点,500円)の販売データと、“クーポン値引き”(1点,−180円)の特典データとが表示され、ガイダンス表示エリア123には、操作ボタン114の操作によって選択された商品の取り消しが実行される旨(“取消”)のガイダンスが表示されている。このように、登録画面120には、現在登録されている販売データと特典データとに基づく合計代金等が表示されるので、顧客は、最終的にいくら支払えばよいのかを買い物中であっても把握できる。
【0051】
一方、ストアサーバ1から受信した特典情報が既に特典データ登録エリア22bに登録されている場合(ステップS9のNo)、および使用条件成否の判定の結果、条件が不成立であると判定した場合には(ステップS11のNo)、当該特典情報を破棄する。そして、当該クーポン券が使用できない旨を警告するメッセージ等を表示コントローラ25を介して表示ユニット12に表示し(ステップS13)、再びバーコードのスキャニングを受け付ける状態に移行して次のスキャニングを待つ(ステップS1,ステップS2)。
【0052】
このようにして顧客が店舗内にて商品を選別しつつ買い上げ商品やクーポン券に付されたバーコードをスキャニングしていき、代金を支払うべくPOS端末2が設置されたレジカウンタに到着した際には、上記決済用バーコード8をスキャニングする。このとき、スキャニングにより検出されたバーコードデータと決済用バーコード8のバーコードデータとが一致する。したがって、CPU20は、スキャニングされたバーコードが決済用バーコード8であると判断し(ステップS3のYes)、販売データ登録エリア22aおよび特典データ登録エリア22bの登録内容と自己の端末IDとをPOS端末2に送信し(ステップS12)、当該販売データ登録処理を終了する。
【0053】
ハンディターミナル4から送信されたデータは、アクセスポイント3に中継されLAN5を介してPOS端末2に送信される。このデータを受信したPOS端末2は、受信した販売データに基づいて精算処理を実行する。具体的には、受信データ中の販売データに基づいて合計代金を算出し、そこから特典データの内容に応じて値引き/割引き等を行い、本件取引の最終的な合計代金を算出して表示ユニットに表示する。この表示を見て顧客が紙幣投入ユニットおよび硬貨投入ユニットを介して代金を支払うと、投入された金額に応じて釣銭を算出する。そして、紙幣排出ユニットおよび硬貨排出ユニットを介して釣銭を排出するとともに、レシートプリンタにより当該取引の内容を印字したレシートを発行し、精算処理が完了する。
代金の精算を済ませた顧客は、ハンディ端末4を店舗側に返却し、購入した商品を持って退店する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態における商品販売システムでは、顧客自身がハンディターミナル4を用いてクーポン券のバーコードを読み取り、特典情報を登録することが可能である。したがって、顧客は、買い物中の任意のタイミングでクーポン券に係る特典情報を入力することができるので、クーポン券の使い忘れが防止される。
【0055】
また、クーポン券に係る特典情報を入力した後、当該特典情報を加味した合計代金が表示ユニット12に表示されるので、買い物の途中であっても正確な代金を把握することができる。
【0056】
このように、本発明に係る商品販売システムおよびハンディターミナルを用いれば、顧客へのサービス性が大幅に向上する。ひいては、サービス性向上に伴う顧客の囲い込み効果により、店舗の売上の向上が期待できる。
【0057】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0058】
例えば、上記実施形態においては、スキャナ27aにて商品およびクーポン券に付されたバーコードをスキャニングして商品コードを入力するとしたが、バーコードに代えて2次元コード等他種のシンボルコードを用いてもよい。
【0059】
また、特典コードの入力方法は、クーポン券に付されたバーコードのスキャニングに限定されず、他の入力方式を併用してもよい。例えば、クーポン券に文字にて記載された特典コードを顧客が操作部11等を介して入力可能にしてもよい。その他、ハンディターミナル4にCCDカメラ等の小型カメラを設け、当該カメラにて前記クーポン券に印刷された文字等を撮影し、撮影した画像から文字認識機能にて特典情報を検出するようにしてもよい。このように特典コードや特典情報の入力態様を変更した場合であっても、買い物途中でクーポン券に係る特典情報が入力できることにかわりはなく、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0060】
また、PLUファイル6および特典情報テーブル7をハンディターミナル4が備えるRAM22やハードディスクドライブ等の記憶手段に記憶し、ストアサーバ1にアクセスせずに前記記憶手段に記憶されたPLUファイル6から商品情報を特定するようにしてもよい。この場合、PLUファイル6や特典情報テーブル7の内容を最新に保つべく、例えば顧客が買い物を開始する際に自動的にストアサーバ1からダウンロードするなどして、定期的に更新できるようにすることも考え得る。
【0061】
また、上記実施形態では、決済用バーコードがスキャニングされた際にハンディターミナル4からPOS端末2へと販売データ登録エリア22aおよび特典データ登録エリア22bの登録内容が送信されるとしたが、他の方法にてハンディターミナル4からPOS端末2にデータが送信されるようにしてもよい。例えば、ストアサーバ1と通信接続され、ハンディターミナル4を着脱可能なクレイドルと、このクレイドルに通信接続されたプリンタとを店舗内の所定位置に設置する。そして、ハンディターミナル4が前記クレイドルに装着されると、当該ハンディターミナル4が前記プリンタに自己の識別子を送信して印字媒体に印字させる。さらに、前記クレイドルを介して販売データ登録エリア22aおよび特典データ登録エリア22bの登録内容とハンディターミナル4の識別子とをストアサーバ1に送信する。ストアサーバ1では、ハンディターミナル4から受信した識別子と各登録エリア22a,22bの登録内容とを対応付けて記憶管理する。そして、前記プリンタにて識別子が印字された媒体を持った顧客がレジに移動し、POS端末2に当該識別子を入力すると、POS端末2が入力された識別子をストアサーバ1に送信し、ストアサーバ1が受信した識別子に対応付けられたデータを返信する。かくして取得されるデータに基づいて、POS端末2が会計処理を行うようにする。
【0062】
また、上記実施形態において具体的に挙げた数値や名称等は一例に過ぎず、例えばPOS端末2やアクセスポイント3を複数備える商品販売システムに本発明を適用するなどの変形実施が可能であることはいうまでもない。
【0063】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全体構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合せてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…ストアサーバ、2…POS端末、3…アクセスポイント、4…ハンディターミナル、5…LAN、6…PLUファイル、7…特典情報テーブル、8…決済用バーコード、20…CPU、22a…販売データ登録エリア、22b…特典データ登録エリア、27a…スキャナ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開平10−241044号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の購入希望商品に係る商品情報と、顧客に提供される特典の内容を示す特典情報とを検出する情報検出手段と、
この情報検出手段により検出された商品情報及び特典情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置に出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とするハンディ端末。
【請求項2】
前記情報検出手段は、商品及びクーポンに付されたシンボルコードを読み取って当該シンボルコードが表す識別子を入力する読取手段を備え、前記読取手段にて商品に付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子に基づいて当該商品の商品情報を検出し、前記読取手段にてクーポンに付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子に基づいて当該クーポンが示す特典情報を検出することを特徴とする請求項1に記載のハンディ端末。
【請求項3】
表示ユニットと、
前記記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報に基づいて当該取引の代金を算出する算出手段と、
この算出手段により算出された代金を前記表示ユニットに表示する表示制御手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のハンディ端末。
【請求項4】
前記情報検出手段により検出された特典情報と同一の特典情報が前記記憶手段に記憶されていない場合、当該特典情報を前記記憶手段に記憶し、前記情報検出手段により検出された特典情報と同一の特典情報が前記記憶手段に記憶されている場合、当該検出された特典情報を破棄する記憶制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載のハンディ端末。
【請求項5】
前記情報検出手段にて検出された特典情報の適用条件を検出する条件検出手段と、
この条件検出手段により検出された適用条件が成立する場合、前記情報検出手段により検出された特典情報を前記記憶手段に記憶し、適用条件が成立しない場合、前記情報検出手段により検出された特典情報を破棄する記憶制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載のハンディ端末。
【請求項6】
顧客の購入希望商品に係る商品情報を検出する商品情報検出手段と、
顧客に提供される特典に係る特典情報を検出する特典情報検出手段と、
前記商品情報検出手段により検出された商品情報及び前記特典情報検出手段により検出された特典情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置に送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とするハンディ端末。
【請求項7】
客自身が商品情報の登録業務を担当するセルフスキャニング式の商品販売システムにて商品情報の登録に使用され、商品及びクーポンに付されたシンボルコードを読み取って当該シンボルコードが表す識別子を入力する読取部と、商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置とデータ通信する通信ユニットとを備えたハンディ端末の制御プログラムであって、
前記ハンディ端末に、
前記読取部にて商品に付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子に基づいて当該商品の商品情報を検出し、前記読取部にてクーポンに付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子に基づいて当該クーポンが示す特典情報を検出する情報検出機能と、
この情報検出機能により検出された商品情報及び特典情報を所定の記憶手段に記憶する記憶制御機能と、
前記記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を前記通信ユニットを介して前記商品販売データ処理装置に出力する出力制御機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【請求項8】
サーバ装置と、客自身が商品情報の登録に使用するハンディ端末と、商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置とを有線又は無線で通信接続してなる商品販売システムにおいて、
前記サーバ装置は、
商品の識別子に対応付けて商品情報を記憶した商品情報記憶手段と、
顧客に提供される特典の識別子に対応付けて特典情報を記憶した特典情報記憶手段と、
前記ハンディ端末から商品の識別子を受信した場合、当該識別子に対応付けられた商品情報を前記商品情報記憶手段から特定して前記ハンディ端末に返信し、前記ハンディ端末から前記特典の識別子を受信した場合、当該識別子に対応付けられた特典情報を前記特典情報記憶手段から特定して前記ハンディ端末に返信する返信手段とを備え、
前記ハンディ端末は、
商品及びクーポンに付されたシンボルコードを読み取って当該シンボルコードが表す識別子を入力する読取手段と、
この読取手段にて商品に付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子及び前記読取手段にてクーポンに付されたシンボルコードが読み取られた際に入力される識別子を前記サーバ装置に送信する送信手段と、
この送信手段により送信された識別子に対して前記サーバ装置から返信される商品情報及び特典情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された商品情報及び特典情報を前記商品販売データ処理装置に出力する出力手段とを備え、
前記商品販売データ処理装置は、前記ハンディ端末から出力された商品情報及び特典情報に基づいて買い上げ商品の販売データを処理することを特徴とする商品販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−18225(P2011−18225A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162951(P2009−162951)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】