説明

商品販売データ処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】割勘処理に伴い生じ易い顧客の不信感を一掃する。
【解決手段】入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理として、割勘処理の実行が宣言された場合には、算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出し、割勘金額のみの支払金額と端数金額をも負担する支払金額とを明示する割勘支払明細335を客用表示器に表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店での使用に適した商品販売データ処理装置及びこれに用いるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店での使用に適した商品販売データ処理装置では、割勘処理を可能にしたものもある。このような商品販売データ処理装置では、例えば、あるテーブルにAさんとBさんとCさんとが案内され、AさんとBさんとCさんとの三人がそれぞれ勘定を支払う場合を想定すると、当該テーブルで食されたメニュー品目についての合計金額を三分の一に割り、AさんとBさんとCさんとのそれぞれの支払者の個別精算を可能とする。このような商品販売データ処理装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平09−330480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
割勘で支払いをする場合、端数金額が生ずることがある。例えば、あるテーブルの合計金額を10,000円だった場合、これを三人で割勘支払いしようとすると、一人当り3,333円で1円が端数金額として生ずる。また、機種によっては端数設定を可能とする機種もあり、例えば端数金額を10円の単位で設定したとすると、10,000円の支払い金額を三人で割勘支払いする場合には、一人当り3,330円で10円が端数金額として生ずる。
【0005】
このような場合、従来の運用としては、端数金額を店舗側で負担するか顧客側に負担してもらうかのいずれかになる。ところが、端数金額を顧客側に負担してもらう場合、ある一人の支払者、例えば最後に精算をする支払者に端数金額の負担が生ずる。このため、各支払者間での支払金額が一致せず、顧客に不信感を持たせてしまう。
【0006】
これに対して、店側で端数金額を負担する場合には、会計処理に伴い一取引毎に記録管理される取引情報と現実の入金金額との間にずれが生じてしまう。このため、端数金額の管理が必要となり、オペレータに過度の負担を生じさせてしまうばかりか、管理上にミスが生じた場合にはその原因究明が必要となり、店舗側に一層の負担増を引き起こしてしまう。
【0007】
本発明の目的は、割勘処理に伴い生じ易い顧客の不信感を一掃することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の商品販売データ処理装置は、顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器と、入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する手段と、割勘処理の実行を宣言する手段と、前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する手段と、を備える。
【0009】
別の面から見た本発明の商品販売データ処理装置は、顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器と、入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する手段と、割勘処理の実行を宣言する手段と、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する第1の割勘処理と、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記算出した端数金額について前記記録管理処理を実行する第3の処理と、を実行する第2の割勘処理と、を択一的に設定する手段と、前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記択一的に設定された第1の会計処理と第2の会計処理とのいずれか一方を実行する手段と、を備える。
【0010】
本発明は、更に、商品販売データ処理装置のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに上記各種処理を実行させるコンピュータプログラムをも規定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、割勘処理に際しては、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を客用表示器に表示するようにしたので、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とが相違することを顧客に知らせることができ、これにより、割勘処理に伴い生じ易い顧客の不信感を一掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の一形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態は、飲食店で用いられるオーダーエントリーシステムの一部を構成する商品販売データ処理装置としてのPOS端末への適用例である。
【0013】
図1は、オーダーエントリーシステム1のシステム構成例を示す模式図である。オーダーエントリーシステム1は、ホール11、厨房21及びチェックアウトカウンタ31を備えた店舗で使用される。
【0014】
ホール11には、オーダーステーション12、カスタマチェックプリンタ13及び無線通信ユニット14が設置されている。これらの機器は、オーダーエントリーシステム1が設置される店舗の構内回線網であるネットワーク15を介して互いに通信自在に接続されている。また、ホール11では、複数個のハンディーターミナル16が使用される。ハンディーターミナル16は、表示器17及び入力キー18を有し、入力キー18による入力によって顧客からメニュー品目の注文を受け付け、受け付けた注文を注文データとして無線送信する。注文データには、一例として、入力キー18によって入力された人数のデータも含まれる。このような注文データは、ハンディーターミナル16において、入力キー18により入力された個々のメニュー品目や人数を含むように作成される伝文形式のデータである。無線通信ユニット14は、ハンディーターミナル16との間で無線通信を実行し、例えば、ハンディーターミナル16から無線送信された注文データを受信し、ネットワーク15を介してオーダーステーション12に送信出力する。
【0015】
オーダーステーション12は、代表的には三つの役割を有している。ハンディーターミナル16から無線送信された注文データを受信した場合、受信したことをハンディーターミナル16に返信するという役割である。もう一つは、ハンディーターミナル16から無線送信された注文データを記憶保存し、注文データから印字出力用の送信伝文を作成し、ネットワーク15を介してカスタマチェックプリンタ13及び厨房21に設置されている後述するキッチンプリンタ22に送信出力という役割である。そして、別のもう一つは、ハンディーターミナル16から無線送信された注文データを記憶保存し、注文データから会計用の送信伝文を作成し、ネットワーク15を介してチェックアウトカウンタ31に設置されている後述するPOS端末101に送信出力するという役割である。
【0016】
カスタマチェックプリンタ13は、オーダーステーション12からネットワーク15を介して送信伝文を受信し、送信伝文に応じた内容の伝票を印字発行する。このようなカスタマチェックプリンタ13は、構造的にはキッチンプリンタ22と同一である。
【0017】
無線通信ユニット14は、店舗内の各所に設置され、ハンディーターミナル16との間の通信を司る。
【0018】
厨房21には、一例として、キッチンプリンタ22が二つ設けられている。一つのキッチンプリンタ22は、例えば調理場に設置され、もう一つのキッチンプリンタ22は、例えばドリンクカウンタに設置されている。
【0019】
チェックアウトカウンタ31には、図1に示すように、POS端末101が設置されている。POS端末101は、ネットワーク15を介して、オーダーステーション12が送信出力した注文データに基づく会計用の送信伝文を受信する。この場合の送信伝文は、注文されたメニューコードとその単価とメニューコード毎の注文個数とを含み、更に人数をも含んでいる。そこで、POS端末101は、受信した送信伝文に基づいてサービスチャージ、テーブルチャージ、消費税等を含む売上合計金額を計算する算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する。
【0020】
図2は、POS端末101を示す斜視図である。POS端末101は、ドロワ102の上に載置されており、ドロワ102の引出し103の開放動作を制御することができる。POS端末101の上面右側にはキーボード104とオペレータ用表示器105とが配列され、上面左側にはレシートプリンタ106が配列されている。POS端末101の上面後方には、客用表示器107が立設されている。図1中、POS端末101の右側面近傍に設けられている溝は、カードリーダライタ108(図4参照)によるカード情報の読み取り等をするためにカードをスキャンするためのカード読取溝109である。POS端末101での各種情報の入力は、入力装置としての機能するキーボード104によって可能である。
【0021】
図3は、POS端末101のキーボード104を例示する平面図である。キーボード104には、置数キー104a、PLUキー104b、部門キー104c、テーブル番号キー104d、預/現計キー104e等が基本的なキーとして含まれている。キーボード104は、その他の各種キーを含む。その一例として、明細割勘キー104f、単純割勘キー104g、1〜4までの人数キー104h等がキーボード104に含まれている。
【0022】
図4は、POS端末101のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末101は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU201を備えている。CPU201には、固定データを固定的に記憶保存するROM202と、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用されるRAM203と、HDD204とがバスライン205を介して接続されている。HDD204は、各種のコンピュータプログラムをインストールしている。これらのコンピュータプログラムは、POS端末101の起動時、その全部又は一部がRAM203にコピーされる。CPU201は、RAM203にコピーされたコンピュータプログラムに従った処理を実行する。
【0023】
前述したドロワ102、キーボード104、オペレータ用表示器105、レシートプリンタ106、客用表示器107、カードリーダライタ108は、いずれも各種の入出力回路(全て図示せず)とバスライン205とを介してCPU201に接続され、CPU201によって動作制御される。
【0024】
POS端末101は、ネットワーク15に接続するための通信インターフェース206を備えており、この通信インターフェース206も、バスライン205を介してCPU201に接続されている。HDD204にインストールされている各種のコンピュータプログラムは、一例として、通信インターフェース206を介して上位機からダウンロードされたものである。
【0025】
POS端末101は、前述したように、ネットワーク15を介してオーダーステーション12から受信した送信伝文に基づいてサービスチャージ、テーブルチャージ、消費税等を含む売上合計金額を計算する算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する。そして、このような会計処理に際して、割勘処理も可能とする。つまり、HDD204にインストールされてPOS端末101の起動時にその全部又は一部がRAM203にコピーされたコンピュータプログラムは、CPU201に割勘処理を実行させる。割勘処理として、POS端末101は、明細割勘処理と単純割勘処理との双方の実施が可能である。
【0026】
「明細割勘処理」というのは、例えば、一取引中で、あるメニュー品目についてはAさんが勘定を支払い、別のメニュー品目についてはBさんが勘定を支払い、更に別のメニュー品目についてはCさんが勘定を支払う、というような割勘手法を支援する処理である。「明細割勘処理」を実行する場合、一例として、キーボード104中の明細割勘キー104fを押下し、例えばPLUキー104bや部門キー104cと置数キー104aとを用いて割勘で支払うメニュー品目を顧客毎に指定する。
【0027】
これに対して、「単純割勘処理」というのは、例えば、AさんとBさんとCさんとがそれぞれ勘定を支払う場合、単純に金額を三分の一に割る割勘手法を支援する処理である。「単純割勘処理」を実行する場合には、一例として、キーボード104中の単純割勘キー104gを押下するだけで良い。オーダーステーション12が生成した注文データに基づく会計用の送信伝文には人数のデータが含まれているので、このような送信伝文を受信しているPOS端末101にとって、人数は既知である。そこで、POS端末101では、単純割勘キー104gが押下された場合、算出した売上合計金を既知の人数で割ることで、単純割勘処理を実行することができる。
【0028】
図5は、端数負担者の設定するための設定画面中の表示の一例を示す模式図である。前述した単純割勘処理について更に説明を続ける。POS端末101のCPU201は、各種の設定を自在に変更することができる。そのような変更可能な設定の一つとして、POS端末101は、単純割勘キー104gの押下に従い割勘処理の実行が宣言され、この宣言に従い実行される単純割勘処理の種類として、第1の割勘処理を実行するか第2の割勘処理を実行するかを択一的に設定することができる。これらの第1の割勘処理と第2の割勘処理との相違は、概略、単純割勘処理によって発生することがある端数金額を店舗側で負担するか顧客側に負担してもらうかという点である。
【0029】
第1の割勘処理は、端数金額を顧客側に負担してもらう場合の処理である。第1の割勘処理は、算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、算出した割勘金額に基づいて端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の精算処理を実行する第2の処理と、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を客用表示器107に表示する第3の処理と、を実行する。
【0030】
第2の割勘処理は、端数金額を店舗側で負担する場合の処理である。第2の割勘処理は、算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、算出した割勘金額に基づいて割勘人数分の精算処理を実行する第2の処理と、算出した端数金額について記録管理処理を実行する第3の処理と、を実行する。
【0031】
POS端末101のCPU201は、端数負担者の設定操作の実行が指定された場合、図5に示すような設定画面をオペレータ用表示器105に表示させる。そこで、この設定画面から、第1の割勘処理と第2の割勘処理との択一的な選択設定が可能となる。つまり、端数金額を顧客側に負担してもらう第1の割勘処理に設定する場合には、キーボード104の操作によって顧客負担のチェックボックス301にチェックを入れる。この場合、本実施の形態では、会計順序が最初と最後との二種類用意されており、チェックボックスへのチェックによって会計順序をも設定することができる。ここでの会計順序は、第1の割勘処理で実行される第2の処理における指定支払者を決定する。つまり、最初に精算処理をする顧客を指定支払者とするか最後に精算処理をする顧客を指定支払者とするかの設定である。これに対して、端数金額を店舗側で負担する第2の割勘処理に設定する場合には、キーボード104の操作によって店舗負担のチェックボックス301にチェックを入れる。いずれのチェックボックス301であっても、チェックボックス301にチェックを入れるには、一例として、各チェックボックス301に対応する番号をオペレータ用表示器105に表示させておき、対応する番号を値数キー104aによって入力することによってなされる。こうして指定した第1の割勘処理と第2の割勘処理との選択は、例えば預/現計キー104eの押下によって確定され、これによって、POS端末101において単純割勘処理の種類が設定される。
【0032】
図6は、(a)は顧客が端数負担者に設定されている場合、(b)は店舗が端数負担者に設定されている場合における端数負担者の設定と処理プログラムとの関係を示す模式図である。POS端末101のCPU201は、単純割勘処理が宣言された場合、HDD204にインストールされてPOS端末101の起動時にその全部又は一部がRAM203にコピーされたコンピュータプログラム中、単純割勘処理のための処理プログラムに従い単純割勘処理を実行する。この場合、端数金額の取り扱いについて、第1の割勘処理が選択設定されている場合には顧客負担モジュール311が単純割勘処理のための処理プログラムに組み込まれ(図6(a))、第2の割勘処理が選択設定されている場合には店舗負担モジュール312が単純割勘処理のための処理プログラムに組み込まれる(図6(b))。そこで、CPU201は、単純割勘処理のための処理プログラムに顧客負担モジュール311が組み込まれている場合には前述した第1の割勘処理を実行し、単純割勘処理のための処理プログラムに店舗負担モジュール312が組み込まれている場合には前述した第2の割勘処理を実行する。
【0033】
図7は、(a)は顧客が端数負担者に設定されている場合、(b)は店舗が端数負担者に設定されている場合における管理ファイル321の項目構成の一例を示す模式図である。前述したように、POS端末101は、会計処理として、一取引毎の取引情報の記録管理処理を実行する。取引情報の記録管理処理は、一例として、図7に示す管理ファイル321への必要情報の記録というメモリ処理によってなされる。このような管理ファイル321は、POS端末101がインストールする会計処理用のコンピュータプログラムに組み込まれ、通常はHDD204に保存されている。そして、POS端末101の起動時に当該管理ファイル321の全部又は一部がRAM203にコピーされ、管理ファイル321への追加情報は所定のタイミングでHDD204に保存される。
【0034】
図7に示すように、管理ファイル321は、取引番号毎に、テーブル番号、売上合計金額、消費税等の各種情報を管理し得るデータ構造をなしている。顧客が端数負担者に設定されている場合、つまり、単純割勘処理のための処理プログラムに顧客負担モジュール311が組み込まれている場合には、図7(a)に示す管理ファイル321が用いられる。
【0035】
これに対して、店舗が端数負担者に設定されている場合、つまり、単純割勘処理のための処理プログラムに店舗負担モジュール312が組み込まれている場合には、図7(b)に示す管理ファイル321が用いられる。図7を参照することで明らかなように、店舗が端数負担者に設定されている場合の管理ファイル321は、端数負担金額を管理項目として有している。店舗が端数負担者に設定されている場合に端数負担金額を管理項目として管理するのは、割勘処理に伴う店舗側の管理負担を軽減するためである。つまり、店舗側で端数金額を負担する場合には、会計処理に伴い一取引毎に記録管理される取引情報と現実の入金金額との間にずれが生じてしまう。このため、端数金額の管理が必要となり、オペレータに過度の負担を生じさせてしまうばかりか、管理上にミスが生じた場合にはその原因究明が必要となり、店舗側に一層の負担増を引き起こしてしまう。そこで、本実施の形態では、店舗が端数負担者に設定されている場合の管理ファイル321に端数負担金額を管理項目として持たせ、割勘処理に伴う店舗側の管理負担の軽減を図っている。
【0036】
図8は、単純割勘処理での処理の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す処理は、キーボード104中の単純割勘キー104gが押下された場合に実行される。つまり、単純割勘キー104gが押下により、割勘処理の実行を宣言する手段(機能)が実行される。
【0037】
前述したように、オーダーステーション12が生成した注文データに基づく会計用の送信伝文には人数のデータが含まれているので、このような送信伝文を受信しているPOS端末101にとって、人数は既知の情報である。そこで、POS端末101のCPU201は、単純割勘キー104gが押下されて割勘処理の実行が宣言された場合、算出した売上合計金を既知の人数で割ることで、一人当たりの割勘金額を算出し(ステップS101)、次いで、端数金額処理を実行し、割勘金額の算出処理によって生ずる端数金額を求める(ステップS102)。ここに、第1の割勘処理及び第2の割勘処理に共通する第1の処理が実行される。
【0038】
ここで、ステップS102で第1の処理として算出する端数金額については、その桁数を自由に設定できるようにしても良い。これにより、端数金額の桁数を1の桁に設定した場合には1円単位で端数金額が算出され、端数金額の桁数を10の桁に設定した場合には10円単位で端数金額が算出されることになる。例えば、売上合計金額が3,100円であり、これを三人で割勘する場合を想定する。このような場合、端数金額の桁数が1の桁に設定されているとすると、一人当りの支払金額は1,033円となり、1円の端数金額が生ずる。これに対して、端数金額の桁数が10の桁に設定されているとすると、一人当りの支払金額は1,030円となり、10円の端数金額が生ずることになる。以下の説明では、端数金額の桁数が1の桁に設定されている場合を想定する。
【0039】
図9は、客用表示器107に表示される会計画面331の一例を示す模式図である。会計画面331では、会計中の顧客が食したメニュー品目の詳細が取引明細領域332に表示され、売上合計金額等の精算項目が精算領域333に表示される。このような会計画面331は、第1の割勘処理が実行される場合でも第2の割勘処理が実行される場合でも共通である。
【0040】
ステップS102の端数金額処理に続き、POS端末101のCPU201は、負担金額表示用のダイアログ334を生成し、ポップアップ表示する(ステップS103)。この際、CPU201は、第1の割勘処理と第2の割勘処理とで異なる処理を実行する。以下、図1ないし図9に加えて、図10ないし図11を参照して第1の割勘処理を説明し、図12を参照して第2の割勘処理を説明する。
【0041】
まず、第1の割勘処理について説明する。
【0042】
図10は、顧客が端数負担者に設定されている場合において、客用表示器107の表示に負担金額表示用のダイアログ334がポップアップ表示された状態を示す模式図である。このダイアログ334には、合計金額と人数と一人当りの割勘金額とが表示され、更に幹事様上司様として端数金額を負担すべき指定支払者の負担金額が明示される割勘支払明細335が表示されている。POS端末101のCPU201は、割勘支払明細335を生成するに際して、第1の処理で算出した割勘金額を一人当りの支払金額として表示し、第1の処理で算出した割勘金額に端数金額を加えた金額を指定支払者である幹事様上司様の支払金額として表示する。ここでは、取引の売上合計金額は3,100円であり、これを三人で割勘する場合を例示している。したがって、一人当たりの支払金額は1,033円であり、1円の端数金額が生ずる。一人当たりの支払金額に端数金額を足した金額は1,034円であり、これが指定支払者である幹事様上司様の支払金額となる。ここに、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細335を客用表示器107に表示する第3の処理が実行される。
【0043】
図8のフローチャートに戻る。ステップS103でのダイアログ334の表示処理に続き、POS端末101のCPU201は、算出した割勘金額に基づいて端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の精算処理を実行する第2の処理を実行する。つまり、POS端末101では、単純割勘処理の精算手法として、一人ずつ、置数キー104aによって預り金額を入力した後に預/現計キー104eを押下する、という手法を採用する。この例は、現金での決済手法であるが、クレジット、クーポン券、商品券等の場合も、類似の手法による精算が可能である。ここでは、そのような操作を会計操作という。
【0044】
ステップS103でのダイアログ334の表示処理の後、POS端末101のCPU201は、会計操作がなされたことを判定すると(ステップS104のY)、釣銭金額の算出処理を実行する(ステップS105)。そして、ステップS103で客用表示器107にポップアップ表示したダイアログ334を消去して客用表示器107には一人ずつの会計画面331を表示し(ステップS106)、ドロワ102をオープンさせる処理を実行する(ステップS107)。このような処理は、CPU201が最終顧客の精算処理の終了を判定するまで続行される(ステップS108)。
【0045】
図11は、顧客が端数負担者に設定されている場合に客用表示器107に表示される会計画面331の一例を示し、(a)は指定支払者である一人目の支払者用の会計画面331の一例を、(b)はその他の支払者用の会計画面331の一例をそれぞれ示す模式図である。図11に示す例は、最初の顧客が端数金額を負担する指定支払者として設定されている例である。したがって、会計画面331中の精算領域333の表示を参照することで明らかなように、指定支払者に設定されている最初の顧客に対する請求金額は1,034円(図11(a))、その他の顧客に対する請求金額は1,033円である(図11(b))。ここに、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細335を客用表示器107に表示する第3の処理が実行される。
【0046】
図8のフローチャートに戻る。POS端末101のCPU201は、最終顧客の精算処理の終了を判定した場合(ステップS108のY)、レシートプリンタ106を駆動制御し、レシートを印字発行する(ステップS109)。そして、一取引毎の取引情報の記録管理処理として、図7に示す管理ファイル321への必要情報の記録というメモリ処理を実行し(ステップS110)、処理を終了する。
【0047】
以上説明したように、第1の割勘処理では、割勘金額のみの支払金額と端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細335を客用表示器107に表示する第3の処理を実行する。その結果、端数金額を顧客側に負担してもらう場合、ある一人の支払者に端数金額の負担が生じて各支払者間での支払金額が一致せず、顧客に不信感を持たせてしまうことがあるのに対して、第3の処理を実行することでそのような事態の発生を有効に防止することができ、割勘処理に伴い生じ易い顧客の不信感を一掃することができる。
【0048】
次いで、第2の割勘処理について説明する。
【0049】
図12は、店舗が端数負担者に設定されている場合において、客用表示器107の表示に負担金額表示用のダイアログ334がポップアップ表示された状態を示す模式図である。このダイアログ334には、合計金額と人数と一人当りの割勘金額と端数金額とを明示する割勘支払明細335が表示されている。POS端末101のCPU201は、割勘支払明細335を生成するに際して、第1の処理で算出した割勘金額を一人当りの支払金額として表示し、第1の処理で算出した割勘金額を余りとして表示する。ここでは、取引の売上合計金額は3,100円であり、これを三人で割勘する場合を例示している。したがって、一人当たりの支払金額は1,033円であり、1円の端数金額が生ずる。1円の端数金額は、余りとして表示される。
【0050】
図8のフローチャートに戻る。ステップS103でのダイアログ334の表示処理に続き、POS端末101のCPU201は、算出した割勘金額に基づいて割勘人数分の精算処理を実行する第2の処理を実行する。つまり、POS端末101では、単純割勘処理の精算手法として、一人ずつ、置数キー104aによって預り金額を入力した後に預/現計キー104eを押下する、という手法を採用する。この例は、現金での決済手法であるが、クレジット、クーポン券、商品券等の場合も、類似の手法による精算が可能である。ここでは、そのような操作を会計操作という。
【0051】
ステップS103でのダイアログ334の表示処理の後、POS端末101のCPU201は、会計操作がなされたことを判定すると(ステップS104のY)、釣銭金額の算出処理を実行する(ステップS105)。そして、ステップS103で客用表示器107にポップアップ表示したダイアログ334を消去して客用表示器107には一人ずつの会計画面331を表示し(ステップS106)、ドロワ102をオープンさせる処理を実行する(ステップS107)。このような処理は、CPU201が最終顧客の精算処理の終了を判定するまで続行される(ステップS108)。
【0052】
POS端末101のCPU201は、最終顧客の精算処理の終了を判定した場合(ステップS108のY)、レシートプリンタ106を駆動制御し、レシートを印字発行する(ステップS109)。そして、一取引毎の取引情報の記録管理処理として、図7に示す管理ファイル321への必要情報の記録というメモリ処理を実行し(ステップS110)、処理を終了する。
【0053】
ここで、第2の割勘処理では、前述したように、図7(b)に示す管理ファイル321が用いられる。このため、ステップS102で算出した端数金額は、端数負担金額として管理ファイル321に記録され、管理される。ここに、算出した端数金額について記録管理処理を実行する第3の処理が実行される。その結果、割勘処理に伴う店舗側の管理負担の軽減が図られる。つまり、店舗側で端数金額を負担する場合には、会計処理に伴い一取引毎に記録管理される取引情報と現実の入金金額との間にずれが生じてしまう。このため、端数金額の管理が必要となり、オペレータに過度の負担を生じさせてしまうばかりか、管理上にミスが生じた場合にはその原因究明が必要となり、店舗側に一層の負担増を引き起こしてしまう。そこで、本実施の形態では、店舗が端数負担者に設定されている場合の管理ファイル321に端数負担金額を管理項目として持たせることで、割勘処理に伴う店舗側の管理負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の一形態として、オーダーエントリーシステムのシステム構成例を示す模式図である。
【図2】POS端末の外観斜視図である。
【図3】POS端末が備えるキーボードの平面図である。
【図4】POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】端数負担者の設定するための設定画面中の表示の一例を示す模式図である。
【図6】(a)は顧客が端数負担者に設定されている場合、(b)は店舗が端数負担者に設定されている場合における端数負担者の設定と処理プログラムとの関係を示す模式図である。
【図7】(a)は顧客が端数負担者に設定されている場合、(b)は店舗が端数負担者に設定されている場合における管理ファイルの項目構成の一例を示す模式図である。
【図8】単純割勘処理での処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】客用表示器に表示される会計画面の一例を示す模式図である。
【図10】顧客が端数負担者に設定されている場合において、客用表示器の表示に負担金額表示用のダイアログがポップアップ表示された状態を示す模式図である。
【図11】顧客が端数負担者に設定されている場合に客用表示器に表示される会計画面の一例を示し、(a)は指定支払者である一人目の支払者用の会計画面の一例を、(b)はその他の支払者用の会計画面の一例をそれぞれ示す模式図である。
【図12】店舗が端数負担者に設定されている場合において、客用表示器の表示に負担金額表示用のダイアログがポップアップ表示された状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0055】
101 POS端末(商品販売データ処理装置),107…客用表示器,331…会計画面,335…割勘支払明細

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器と、
入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する手段と、
割勘処理の実行を宣言する手段と、
前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器と、
入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する手段と、
割勘処理の実行を宣言する手段と、
前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する第1の割勘処理と、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記算出した端数金額について前記記録管理処理を実行する第3の処理と、を実行する第2の割勘処理と、を択一的に設定する手段と、
前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記択一的に設定された第1の会計処理と第2の会計処理とのいずれか一方を実行する手段と、
を備える商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記割勘支払明細は、前記売上合計金額と、前記割勘金額のみの支払金額と、前記端数金額をも負担する支払金額と、を表示する画面表示によって前記客用表示器に表示される、請求項1又は2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記割勘支払明細は、割勘人数分の前記精算処理に伴い個々の支払者毎に前記客用表示器に表示される会計画面中に表示される、請求項1ないし3のいずれか一記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器を有する商品販売データ処理装置のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する機能と、
割勘処理の実行を宣言する機能と、
前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する機能と、
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項6】
顧客面側に向けて情報を表示する客用表示器を有する商品販売データ処理装置のコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、
入力されたメニューデータに基づく売上合計金額の算出処理と、当該売上合計金額の精算処理と、一取引毎の取引情報の記録管理処理と、を含む会計処理を実行する機能と、
割勘処理の実行を宣言する機能と、
前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて前記端数金額の負担を指定支払者に求める割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記割勘金額のみの支払金額と前記端数金額を負担する支払金額とを明示する割勘支払明細を前記客用表示器に表示する第3の処理と、を実行する第1の割勘処理と、前記算出した売上合計金額を入力された割勘人数で割った割勘金額と端数金額とを算出する第1の処理と、前記算出した割勘金額に基づいて割勘人数分の前記精算処理を実行する第2の処理と、前記算出した端数金額について前記記録管理処理を実行する第3の処理と、を実行する第2の割勘処理と、を択一的に設定する機能と、
前記割勘処理の実行が宣言された場合の前記会計処理として、前記択一的に設定された第1の会計処理と第2の会計処理とのいずれか一方を実行する機能と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−109030(P2007−109030A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299564(P2005−299564)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】