説明

商品販売データ処理装置

【課題】 複数画面表示を実現できる商品販売データ処理装置のローコスト化/省スペース化を実現する。
【解決手段】 ホットプラグ(活線挿抜:装置の電源がONのままケーブルを抜挿しできる)機能に対応したDVI端子4からの信号により、表示装置A,B,Cの何れか1つがDVI端子4に接続されているか否かの識別と、接続されている表示装置A,B,Cの種類の識別とがなされ、識別された表示装置A,B,Cの種類に応じてアプリケーションを切り替える。これにより、1台の商品販売データ処理装置1で複数の表示装置A,B,Cを擬似的に表示することができ、商品販売データ処理装置1をOFF/ONせずに商品の販売登録処理を実行するためのメニュー画面と拡販表示等をスムーズに切り替えて使用することができるので、複数画面表示を実現できる商品販売データ処理装置1のローコスト化/省スペース化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファミリーレストラン/ファーストフード店等で使用されるPOS(Point of Sales:販売時点情報管理)端末等の商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファミリーレストラン/ファーストフード店等で使用されるPOS端末等の商品販売データ処理装置においては、一般に、キャッシャが商品の販売登録をするためのメニュー画面等を表示する表示装置と、客に対して拡販用動画のCM等を表示する客側表示装置の2画面で構成されている。
【0003】
このような商品販売データ処理装置においては、一般的に、コンピュータ側にデジタルデータとして蓄えた画面情報をアナログ信号に変換して表示装置(客側表示装置)に送出している。このような商品販売データ処理装置に用いられるインタフェースの多くは、抜き挿しが不可能なアナログRGB及びLVDSインタフェースである。
【0004】
近年、コンピュータと表示装置とを接続するためのインタフェース規格の1つとして、DVI(Digital Visual Interface)というデジタル接続規格が規格化されている(特許文献1参照)。このDVIは、液晶ディスプレイなどのデジタル駆動の表示装置に対して、コンピュータから直接デジタル信号を送ることができるようにしたインタフェースである。このようなDVIによれば、変換による信号の劣化がなくなり、画質が向上するという特徴がある。
【0005】
また、DVI規格の表示装置の中には、ホットプラグ(活線挿抜:機器の電源がONのままケーブルを抜挿しできる)機能に対応しているものもあり、コンピュータの立ち上げ後に接続可能となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−169532公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような2画面で構成されている商品販売データ処理装置において、DVI端子を用いて2画面表示を実現するためには、2つのDVIポートを持たなければならない。このように2つのDVIポートを持つようにした場合には、製造コストがアップするとともに、商品販売データ処理装置の装置本体も大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、複数画面表示を実現できる商品販売データ処理装置のローコスト化/省スペース化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の商品販売データ処理装置は、商品販売登録処理を実行する商品販売データ処理装置において、複数の表示装置と、前記各表示装置を接続可能とし、接続端子からの信号により、前記表示装置が前記接続端子に接続されているか否かを識別する手段と、前記接続端子に前記表示装置が接続されていると判断した場合、前記接続端子からの信号により、当該表示装置の種類を識別する手段と、識別された前記表示装置の種類に応じてアプリケーションを切り替える手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1台の商品販売データ処理装置で複数の表示装置を擬似的に表示することができ、商品販売データ処理装置をOFF/ONせずに商品の販売登録処理を実行するためのメニュー画面と拡販表示等をスムーズに切り替えて使用することができるので、複数画面表示を実現できる商品販売データ処理装置のローコスト化/省スペース化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態を図1ないし図4に基づいて説明する。本実施の形態の商品販売データ処理装置は、ファミリーレストラン/ファーストフード店等で使用するPOS(Point of Sales:販売時点情報管理)端末に適用した一例である。
【0012】
図1は、本実施の形態のPOS端末1を概略的に示す構成図である。図1に示すように、POS端末1は、ドロワ2上に載置されている。このPOS端末1には、各種のキーが集合するキーボード3、接続端子であるDVI(Digital Visual Interface)端子4、レシートを印字発行するプリンタ5、磁気カードを読み取る磁気カードリーダ6、POS端末1の処理モードの切り替えを行なうためのコントロールキー7が設けられている。また、このPOS端末1には、商品に付される商品コードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ8が接続されている。
【0013】
このPOS端末1に設けられているDVI端子4には、キャッシャが商品の販売登録処理を実行するためのメニュー画面等を表示する商品販売登録用の表示装置であるモニタAと、POS端末1が載置されるレジ台やドライブスルー窓口等に設置されて客に対して拡販用動画のCM等を表示する表示装置であるモニタBと、客席の壁等に設置されてテレビ番組等を表示する表示装置であるモニタCとが、選択的に接続可能な構成になっている。これらのDVI規格のモニタA,B,Cは、ホットプラグ(活線挿抜:機器の電源がONのままケーブルを抜挿しできる)機能に対応しており、POS端末1の立ち上げ後においても抜き挿し可能となっている。
【0014】
次に、POS端末1に備えられる各部の電気的接続を図2に基づいて説明する。図2に示すように、このPOS端末1は、制御手段として機能するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという。)10を内蔵し、このマイコン10が、前述したドロワ2、キーボード3、DVI端子4、プリンタ5、磁気カードリーダ6、コントロールキー7、バーコードスキャナ8等の各部をバスライン11と各種制御回路(図示せず)とを介して駆動制御する。マイコン10は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)12にバスライン11を介して、起動プログラム等の固定的データを予め格納する記憶媒体であるROM(Read Only Memory)13と可変的なデータを書き換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)14とを接続することにより構成されている。
【0015】
また、マイコン10にはバスライン11を介してHDD(Hard Disk Drive)15が接続されており、このHDD15には、マイコン10を動作させる制御プログラムや商品マスタファイル、売上登録に係る売上情報を記憶保持する売上ファイル、顧客ファイル等が格納されている。
【0016】
ここで、POS端末1に内蔵されたHDD15に格納された制御プログラムがマイコン10に実行させる機能の内、商品の販売に係る処理動作について簡単に説明する。例えば、商品に付された商品コードのバーコードスキャナ8による読み取りやキーボード3からのキー入力があると、マイコン10は読み取った商品コードやキーに割り付けられた商品コードに基づいて商品マスタファイルを検索し、該当する商品コードに対応した商品名や単価等を読み出し、商品コード、商品名、単価等に基づいて商品販売登録処理するとともに、部門別登録やDVI端子4に接続されたモニタAへの表示、またプリンタ5によりレシート印字出力を行い、さらに登録した商品販売登録データを売上ファイルに累計する。
【0017】
このような構成の下、POS端末1に内蔵されたHDD15に格納された制御プログラムがマイコン10に実行させる機能について説明する。
【0018】
まず、マイコン10は、DVI規格のモニタA,B,Cのホットプラグ機能に対応すべく、HDD15に格納された制御プログラムに従うことで、DVI端子4からの信号によりDVIモニタ(モニタA,B,C)がDVI端子4に接続されているか否かを識別することができる手段と、DVI端子4からの信号によりDVI端子4に接続されているモニタの種類を識別することができる手段と実現する。詳細な内容については、ホットプラグ機能として周知技術であるので、その説明は省略する。
【0019】
次に、POS端末1が有する特長的な機能であるモニタ切替処理について説明する。ここで、図3は本実施の形態のPOS端末1が有する特長的な機能であるモニタ切替処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、マイコン10は、モニタがDVI端子4から外されたと判断した場合には(ステップS1のY)、DVI端子4に対するモニタの抜き挿しが可能な状態であるか、不可能な状態であるかを判断する(ステップS2)。ここで、DVI端子4に対するモニタの抜き挿しが不可な状態とは、例えば商品販売登録処理中などの場合である。
【0020】
なお、商品販売登録中などのモニタの抜き挿しが不可能な状態の時は、モニタの背景の色を変えたり、「モニタ替え不可」等の文字をモニタに表示して、商品販売登録中などのモニタの抜き挿しが不可能な状態であることを報知するようにしても良い。また、モニタの抜き挿しが可能な状態の時は、モニタの背景の色を変えたり、「モニタ替え可能」等の文字をモニタに表示して、モニタの抜き挿しが可能な状態であることを報知するようにしても良い。
【0021】
マイコン10は、DVI端子4に対するモニタの抜き挿しが不可能な状態の時にモニタが外されたと判断した場合(例えば、商品販売登録処理中のようにモニタの抜き挿しが不可能な状態である場合に、商品販売登録用のモニタAが誤って外されたと判断した場合)には(ステップS2のN)、「商品販売登録中です。登録画面用のモニタを接続してください。」等の音声を再生して商品販売登録用のモニタAを接続するように注意勧告するとともに、キー入力、バーコード入力等の商品販売登録処理に係わる操作を無効にし、誤入力/誤登録されないようにする(ステップS3)。
【0022】
その後、マイコン10は、DVI端子4にモニタが接続されたことを認識すると(ステップS4のY)、接続されたモニタが商品販売登録用のモニタAであるか否かを判断する(ステップS5)。
【0023】
DVI端子4に接続されたモニタが商品販売登録用のモニタAでないと判断した場合は(ステップS5のN)、「商品販売登録用のモニタが接続されていません」等の商品販売登録用のモニタでない旨を音声により報知する(ステップS6)。
【0024】
DVI端子4に接続されたモニタが商品販売登録用のモニタAが再度接続されたと判断した場合には(ステップS5のY)、キー入力、バーコード入力等の商品販売登録処理に係わる操作を有効にし、商品販売登録処理が実行可能な状態にして(ステップS7)、処理を終了する。
【0025】
一方、マイコン10は、DVI端子4に対するモニタの抜き挿しが可能な状態の時にモニタが外されたと判断した場合には(ステップS2のY)、「モニタが外されました。任意のモニタを接続してください。」等の音声(ガイド音声)を再生するとともに、キー入力、バーコード入力等の商品販売登録処理に係わる操作を無効にし、誤入力/誤登録されないようにする(ステップS8)。
【0026】
その後、マイコン10は、DVI端子4にモニタが接続されたことを認識すると(ステップS9のY)、DVI端子4に接続されたモニタが商品販売登録用のモニタA、拡販動画再生用のモニタB、テレビ番組等を表示するモニタCのうちのどれであるかを判断する(ステップS10)。
【0027】
マイコン10は、DVI端子4に接続されたモニタ(商品販売登録用のモニタA、拡販動画再生用のモニタB、テレビ番組等を表示するモニタC)を認識した場合には(ステップS10)、各表示に必要なアプリケーションを起動させる(ステップS11、ステップS12、ステップS13)。また、マイコン10は、DVI端子4に接続されたモニタから取得した情報を元に、モニタやアプリケーションに適した解像度や色数に変更して表示する(ステップS11、ステップS12、ステップS13)。
【0028】
このように本実施の形態によれば、ホットプラグ(活線挿抜:装置の電源がONのままケーブルを抜挿しできる)機能に対応したDVI端子4からの信号により、モニタA、モニタB、モニタCの何れか1つがDVI端子4に接続されているか否かの識別と、接続されている表示装置(モニタA、モニタB、モニタC)の種類の識別とがなされ、識別された表示装置(モニタA、モニタB、モニタC)の種類に応じてアプリケーションが切り替えられる。これにより、1台のPOS端末1で複数の表示装置(モニタA、モニタB、モニタC)を擬似的に表示することができ、POS端末1をOFF/ONせずに商品の販売登録処理を実行するためのメニュー画面と拡販表示等をスムーズに切り替えて使用することができるので、複数画面表示を実現できるPOS端末1のローコスト化/省スペース化を実現することができる。
【0029】
なお、本実施の形態のおいては、POS端末1のDVI端子4に対してモニタA、モニタB、モニタCを抜き挿しするようにしたが、図4に示すように、DVIモニタに対応したモニタ分配器20を用いて、POS端末1からの出力をモニタA、モニタB、モニタCの何れか1つに出力するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の一形態のPOS端末を概略的に示す構成図である。
【図2】POS端末に備えられる各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図3】モニタ切替処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】POS端末の変形例を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1…商品販売データ処理装置、4…接続端子、A,B,C…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売登録処理を実行する商品販売データ処理装置において、
複数の表示装置と、
前記各表示装置を接続可能とし、接続端子からの信号により、前記表示装置が前記接続端子に接続されているか否かを識別する手段と、
前記接続端子に前記表示装置が接続されていると判断した場合、前記接続端子からの信号により、当該表示装置の種類を識別する手段と、
識別された前記表示装置の種類に応じてアプリケーションを切り替える手段と、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記接続端子に対する前記表示装置の切り換えが可能な状態であるか否かを判断する手段と、
前記接続端子に対する前記表示装置の切り換えの可否を報知する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
キャッシャが商品販売登録処理を実行するためのメニュー画面等を表示する商品販売登録用の前記表示装置以外の前記表示装置が前記接続端子に接続された場合、商品販売登録処理に係る操作を無効にする、
ことを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
商品販売登録処理中に商品販売登録用の前記表示装置が前記接続端子から外された場合、商品販売登録処理に係る操作を無効にする、
ことを特徴とする請求項1または2記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
商品販売登録処理中に商品販売登録用の前記表示装置が前記接続端子から外された場合、商品販売登録用の前記表示装置が前記接続端子から外された旨を報知する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の商品販売データ処理装置。
【請求項6】
前記接続端子に接続された前記表示装置に応じて、解像度や色数を変更して表示する、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の商品販売データ処理装置。
【請求項7】
前記接続端子に接続された前記表示装置に対応する前記アプリケーションに応じて、解像度や色数を変更して表示する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の商品販売データ処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139660(P2006−139660A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330278(P2004−330278)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】