商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法、並びに体形管理システムと非接触式計測手段
【課題】本願発明の課題は、商品を選択する際に、商品と対象物の組み合わせを直感的にイメージすることができるとともに、商品を選択する者が既に所有している複数の対象物と、選択する商品とを、種々組み合わせてイメージできる商品選択システムやこれに関する装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】本願発明の商品選択システムは、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたものである。
【解決手段】本願発明の商品選択システムは、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、商品を選択するシステム、商品を選択する際に利用する装置、及び通信販売の方法に関するものであり、より具体的には、商品と対象物(その商品と組み合わせるもの)それぞれのモデルを作成し、商品モデルと対象物モデルを重ね合わせて表示することで商品を選択するシステム等に関するものであり、体形を経時的に管理するシステムや装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を購入する際は、店頭に陳列された商品の中から希望する商品を選択するのが一般的であった。この場合、その商品と組み合わせるもの(以下、「対象物」という。)をイメージしながら商品を選択することとなるが、実際に商品を対象物に試すことができるのは商品購入後となるため、少なからず購入時のイメージとは相違することもあり、返品するか若しくは妥協して使用するかを余儀なくされていた。
【0003】
洋服や靴など商品によっては試着することもできるが、人によっては試着を苦手とし、あるいは時間に余裕がない時は試着できないこともあり、洋服のような商品であっても事前に試されたうえで購入されるとは必ずしも限らない。また服を購入する場合、既に自分が持っている服とのコーディネイトを考えることもあるが、複数の手持ち服とその商品を種々組み合わせるためには、一旦その商品を購入して家でその商品を試すこととなる。
【0004】
また、昨今ではテレビ放映による通信販売やインターネットでの通信販売などが普及し、モニター画面に表示される画像を含む商品情報からイメージして商品を購入することも多くなった。この場合、洋服や靴など本来試着できる商品であっても、試着できないばかりか実際手に取ってみることもできず、商品到着後にはじめて対象物と組み合わせることとなるため、やはり当初のイメージと相違することがあった。
【0005】
例えば、購入したジャケットを手持ちのシャツと重ねてみると自分のイメージと異なっていたり、靴を買って家に帰ると家族の評判が芳しくなかったり、通信販売で購入した帽子のサイズが合わなかったり、同じく通信販売で購入した腕時計の色が自分の肌の色と調和しなかったり、店頭で選択したソファが予定した配置位置に納まらなかったり、購入した壁紙が昼間はイメージ通りだが夜間に照明を点けるとその雰囲気が好みと合わなかったなど、購入時のイメージと相違することはしばしばあり、この場合返品するか、若しくは妥協してその商品を利用することとなる。
【0006】
そこで近年、衣服の販売者が電子計算機(以下、「コンピュータ」という。)で操作できる衣服のモデルを提供するとともに、購入者がコンピュータで操作できる自らの体形のモデルを作成することによって、モニター上で仮想的に試着するという試みが行われている。一例として特許文献1では、商品(衣服)の試着用データを人体モデルに貼り付けることによって外観イメージ(見映え)を確認する方法を提案している。しかしながら、体に密着するような衣服であれば、衣服の試着用データを人体モデルに貼り付けた外観イメージと実際のイメージではさほど大きな隔たりはないと考えられるが、衣服と体の間に隙間がある場合や、室内に家具を置く場合などのように単に試着用データを貼り付けることができない場合などには、特許文献1の方法は採用し難い。
【0007】
また、試着用データにしても、人体モデルにしても、実際に撮影した実写画像を用いなければ、モニター上ではイメージし難い。特許文献1でも、人体の体型データに顔画像を貼り付けることを提案しているが、顔だけ画像化しても衣服を着装したイメージは把握し難く、ましてや手持ち服とのコーディネイトは判断できない。
【0008】
一方、3次元モデルの作成技術に関しては、地形計測の分野で飛躍的進歩を遂げている。陸域におよそ2000の活断層が存在するといわれている我が国では、活断層の位置を把握するために地形をより立体的に、より視覚的に表現する需要があった。この需要の実現に貢献したのが、航空レーザー計測の出現など地形情報を取得する計測手法の高度化であり、コンピュータの進化による大量の地形情報を扱う技術の進歩である。
【0009】
地形の3次元モデルの作成には、DEM(Digital Elevation Model)が採用されることが多い。このDEMは、地表面の平面座標(X、Y)と標高値(Z)を有する点の集合であるいわゆる点群データに基づいて、地表面の形状を数値モデル化したもので、一般的には格子モデルである。この点群データは、例えば航空レーザー計測によって取得することが可能で、航空レーザー計測は、計測したい地形の上空を航空機で飛行し、飛行中に地形に対して照射したレーザーの反射を受けて計測するものである。
【0010】
地形の3次元モデルをメッシュモデルにしてコンピュータで操作することにより、地形を直感的に認識することが可能となり断層などの特徴が把握しやすくなる。また、異なる2時期の地形をメッシュごとに対比することが可能であり、どの地点で地形が変化しているのかを明確に確認することもできる。また、航空レーザー計測の際、航空機の飛行中に写真を撮影し、その実写画像を3次元地形モデル(例えばDEM)に貼り付ける手法も採用されており、この場合、さらに地形をイメージしやすくなる。特許文献2でも、DEMによって形成される地形表面を、航空写真をデジタル化した画像データで彩色することが提案されている。
【0011】
また、コンピュータで操作可能な地形の3次元モデルは、地形を視る際の視点位置や視点角度を変更することによって、あらゆる姿勢の地形を確認することができる。具体的には、視点位置や視点角度をコンピュータに入力すると、その入力値に応じて地形の3次元モデルが姿勢を変更し(モニター上で地形が回転・移動し)、所望の視点から地形を視認することができる。前記の特許文献2でも、マウスやキーボードで操作することで3次元図形を見る際の視点の位置や視線の方向を制御し得るソフトウェアについて記載している。
【0012】
以上のように3次元モデルの作成技術に関しては地形計測の分野で進歩しているものの、このような技術は他分野ではまだ十分に応用されていない。例えば、自己の体形管理に強い興味を持つ人が多い昨今では、このような3次元モデルの技術を用いた体形の管理手法も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3543395号
【特許文献2】特開2007−72884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明の課題は、商品を選択する際に、商品と対象物の組み合わせを直感的にイメージすることができるとともに、商品を選択する者が既に所有している複数の対象物と、選択する商品とを、種々組み合わせてイメージできる商品選択システムやこれに関する装置及び方法を提供することにある。また、自己の体形の経時的変化を管理するとともに、自己の体形を3次元で表現することによりどこの部分が変化したかを詳細に把握し得る体形管理システムとこれに用いる計測手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の商品選択システムは、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示可能な商品選択システムであって、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、前記商品モデルと前記対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、前記重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたものである。
【0016】
本願発明の商品選択システムは、通信回線を介して接続される対象物モデル装置と商品モデル装置を備え、前記対象物モデル装置は、対象物モデル記憶手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を有し、前記商品モデル装置は、商品モデル記憶手段を有し、前記対象物モデル装置又は/及び前記商品モデル装置は、モデル重ね合わせ手段を有し、前記重ね合わせモデルの画像は、前記対象物モデル装置の表示手段によって表示可能ものとすることもできる。
【0017】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、及び対象物モデルを商品モデル装置に送信する送信手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された対象物モデルを受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記受信手段が受信した対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0018】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、対象物の3次元モデルを前記商品モデル装置に送信する送信手段、前記商品モデル装置から送信される商品モデルを受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された対象物の3次元モデルを受信する受信手段、及び商品モデルを前記対象物モデル装置に送信する送信手段を有し、更に前記商品モデル装置は、商品モデルと対象物の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物の3次元モデルとを重ね合わせ、該対象物の3次元モデルに適合する商品のサイズを選定するサイズ選定手段を有し、前記商品モデル装置は、前記受信装置で受信した対象物の3次元モデルに適合する商品のサイズを前記サイズ選定手段によって選定し、この選定されたサイズの商品モデルを前記対象物モデル装置に送信し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記対象物モデル装置の受信手段が受信した商品モデルと、対象物モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0019】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物を計測して得られた複数の空間座標と実写画像からなる計測情報を商品モデル装置に送信する送信手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された計測情報を受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、更に前記商品モデル装置は、前記受信手段が受信した計測情報のうち複数の空間座標に基づいて対象物の3次元モデルを作成するとともに、この3次元モデルに前記計測情報のうち実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記商品モデル装置の受信手段が受信した計測情報に基づいて作成された対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0020】
本願発明の商品選択システムは、通信回線を介して接続される対象物モデル装置と商品モデル装置を備え、前記対象物モデル装置は、対象物の主要な寸法を含む寸法データを前記商品モデル装置に送信する送信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を有し、前記商品モデル装置は、対象物モデル記憶手段、商品モデル記憶手段、前記対象物モデル装置から送信される寸法データを受信する受信手段、この寸法データに基づいて対象物モデル記憶手段から対象物モデルを抽出する対象物モデル抽出手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記商品モデル装置の受信手段が受信した寸法データに基づいて抽出された対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0021】
本願発明の商品選択システムは、重ね合わせモデルの視点位置及び視点角度を入力する視点入力手段、及び入力された視点位置及び視点角度に基づいて重ね合わせモデルの表示姿勢を決定する表示姿勢決定手段を備え、前記表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で、前記重ね合わせモデルが表示手段によって表示されるものとすることもできる。
【0022】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、重ね合わせモデルの視点位置及び視点角度を入力する視点入力手段、入力された視点位置及び視点角度に基づいて対象物モデルの表示姿勢を決定する対象物表示姿勢決定手段、この視点入力手段で入力された視点情報を商品モデル装置に送信する送信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された視点情報を受信する受信手段、及び受信した視点位置及び視点角度に基づいて商品モデルの表示姿勢を決定する商品表示姿勢決定手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルが重ね合わせられた状態となるように、商品モデルと対象物モデルを空間配置し、前記モデル重ね合わせ手段によって空間配置された対象物モデルは、前記視点入力手段で入力された視点情報に基づいて、前記対象物表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で対象物モデル装置の表示手段に表示され、前記モデル重ね合わせ手段によって空間配置された商品モデルは、前記視点入力手段で入力された視点情報に基づいて、前記商品表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で前記表示手段に表示され、前記表示手段は、対象物モデルの画像と商品モデルの画像とを重ね合わせて表示可能であるものとすることもできる。
【0023】
本願発明の商品選択システムは、対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の実写画像を取得する画像取得手段を有する対象物データ取得装置を備えるとともに、前記計測手段によって取得した対象物の空間座標に基づいて対象物の3次元モデルを作成し、この3次元モデルに前記画像取得手段によって取得した該対象物の実写画像を貼り付けることで該対象物の対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段を備えるものとすることもできる。
【0024】
本願発明の商品選択システムは、同一の対象物の3次元モデルに対して、該対象物を異なる時期に取得した異なる実写画像をそれぞれ貼り付けることによって作成された同一の対象物についての複数の対象物モデルが、対象物モデル記憶手段に記憶されたものとすることもできる。
【0025】
本願発明の商品選択システムは、商品モデルは1又は2以上の商品特徴点を備えるとともに、対象物モデルは1又は2以上の対象物特徴点を備え、モデル重ね合わせ手段は、商品特徴点と対象物特徴点に基づいて商品モデル及び対象物モデルを空間配置するとともに、空間配置された商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、重ね合わせモデルを作成するものとすることもできる。
【0026】
本願発明の商品選択システムは、重ね合わせモデルを表示手段で確認しながら、商品モデル又は/及び対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備え、モデル重ね合わせ手段は、モデル移動手段による移動操作後の商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、重ね合わせモデルを作成するものとすることもできる。
【0027】
本願発明の商品モデル装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを送信する商品モデル装置であって、前記商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び通信回線を介して前記商品モデルを送信する送信手段を備え、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を備え、更に、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えるとともに、前記表示手段によって前記重ね合わせモデルを表示する対象物モデル装置に対して、前記送信手段が前記商品モデルを送信するものである。
【0028】
本願発明の対象物モデル装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを受信する対象物モデル装置であって、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段と、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、商品に関する情報を表示する表示手段と、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、前記商品モデルは、商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び商品モデルを送信する送信手段を備えた商品モデル装置から、通信回線を介して送信され、前記重ね合わせモデルは、前記表示手段によって表示されるものである。
【0029】
本願発明の対象物データ取得装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、対象物の空間座標及び実写画像を取得する対象物データ取得装置であって、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルと、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルとを、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するために、対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の画像を取得する画像取得手段を備えたものである。
【0030】
この場合、空間座標データを取得する計測手段が、光レーザー法を用いた計測手段であるものであるものとすることもできる。
【0031】
本願発明の通信販売方法は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示して購入する商品を選択する通信販売方法であって、販売者は、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルを作成し、この商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを作成し、商品モデル記憶手段に商品モデルを記憶させ、この商品モデルの画像を含む商品情報を配信し、購入者は、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルを作成し、この対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを作成し、対象物モデル記憶手段に対象物モデルを記憶させ、販売者から通信回線を介して配信される商品情報を表示し、商品を指定すると購入者から通信回線を介して前記指定した商品の商品モデルが送信され、受信した前記商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成し、その重ね合わせモデルを表示手段によって表示することで購入する商品を選択する方法である。
【0032】
本願発明の体形管理システムは、人の体形の経時変化を管理し得るシステムであって、人体を非接触方式で計測して空間座標を得る非接触式計測手段と、メッシュで構成される3次元モデルを、前記非接触式計測手段で得られた空間座標に基づいて作成するモデル作成手段と、前記3次元モデル及び計測時期を記憶する記憶手段と、前記3次元モデルを表示する表示手段と、前記異なる時期の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、異なる時期の3次元モデルを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、前記記憶手段は、異なる時期の計測による3次元モデルを、異なる3次元モデルとして記憶可能であり、前記表示手段は、異なる3次元モデルを重ね合わせて表示可能であり、メッシュごとに体形の経時変化を目視し得るものである。
【0033】
本願発明の非接触式計測手段は、本願発明の体形管理システムに利用される人体の空間座標を、非接触方式で計測して取得可能なものである。
【発明の効果】
【0034】
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法には、次のような効果がある。
(1)商品及び対象物ともに、3次元モデルと実写画像で表現され、さらにそれらを組み合わせることができるので、商品を選択する際に、商品と対象物の組み合わせを直感的にイメージがすることができて、商品購入後も満足が得られ返品等が回避できる。
(2)所望の対象物モデルを任意に作成することができるので、自らが所有する複数の対象物と商品を種々重ね合わせることが可能となり、様々な組み合わせを確認したうえで商品を選択することができる。
(3)自宅に対象物モデル装置を備えておけば、店頭まで赴くことなく、満足が得られる商品選択を行うことができる。
(4)試着を苦手とする者でも仮想的な試着を体験できるので、確実な商品選択ができる。
(5)店舗を構えることなく商品を選択してもらうことができるので、販売者にとって販売形態の選択が広がる。
【0035】
本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段には、次のような効果がある。
(1)過去の体形と現在の体形を比較して確認できるので、体形を管理しやすい。
(2)体形を3次元モデルとするので、体形を視覚的に表現することが可能であり、体形の変化が確認しやすい。
(3)3次元モデルがメッシュで構成されているので、特定の部分(例えば上腕や腹部など)に着目した体形管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示す模式図。
【図2】衣服の商品モデル作成の一例を示す説明図。
【図3】本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示すブロック図。
【図4】本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示す模式図。
【図5】本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示すブロック図。
【図6】モデル重ね合わせ手段を、衣料品店に備えて重ね合わせモデルを作成する例を説明するための説明図。
【図7】本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示す模式図。
【図8】本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示すブロック図。
【図9】本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示す模式図。
【図10】本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示すブロック図。
【図11】本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示す模式図。
【図12】本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示すブロック図。
【図13】本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示す模式図。
【図14】本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示すブロック図。
【図15】本願発明の商品選択システムの第7の実施形態を示す模式図。
【図16】同じ室内の3次元モデルに対して異なる実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する例を示す説明図。
【図17】本願発明の体形管理システムの実施形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(全体概要)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の実施形態について説明する。具体的な実施形態を説明する前に、まず本願発明に共通する基本的な概念についてここで説明する。本願発明の商品システムは、図1に示すように、商品について「商品モデル」を作成し、対象物について「対象物モデル」を作成し、商品モデルと対象物モデルを重ね合わせた「重ね合わせモデル」を作成し、この重ね合わせモデルを表示手段で目視確認して商品を選択するものである。ここで、対象物とは商品と組み合わせるものであり、例えば商品が衣服であれば対象物は人体であり、商品が家具であれば対象物は部屋となる。商品モデルは、商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものであり、対象物モデルは、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものである。また、重ね合わせモデルは、商品の3次元モデルの空間座標と、対象物の3次元モデルの空間座標に基づいて、演算処理を行うことで作成されるものである。以下、これらについて詳述する。
【0038】
(商品モデル)
商品モデルは、商品の3次元モデルに画像を貼り付けて作成される。ここで商品とは、供給者(販売する者や貸与する者など)が利用者に販売あるいは貸渡すために提供するものであり、衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるもの、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くもの、その他、庭に植える樹木やブロック、車庫内に入庫させる車、車に装着するタイヤなど種々のものが商品としてあげられる。
【0039】
商品の3次元モデルは、商品の外形をなす多数の点(以下、「商品構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら商品構成点は、空間座標、つまり一般的には(X、Y、Z)で表現される3次元の座標を備え、商品構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間モデルを作成することで商品の3次元モデルは構成される。DEMとは、3次元の空間情報(X、Y、Z)に基づいてメッシュや格子点が設けられるもので、さらにメッシュごとには代表点が算出される。この算出方法としては、多数の商品構成点から不整三角網より高さを求めるTIN(Triangulated Irregular Network)による補間法のほか、その格子に最も近い商品構成点を採用する最近隣法(Nearest Neighbor)や、その他、逆距離加重法(IWD)、Kriging法、平均法などの方法を採用することができる。
【0040】
商品構成点の座標は、計測することで取得してもよいし、設計図や計画図などから読み取って取得してもよい。また計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。あるいは、実際に所定の基準点からの距離と角度を測定することで、商品構成点の座標を取得する手法を採用してもよい。
【0041】
商品の外形を表現するためには、商品構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、商品構成点の座標を特定するための座標系は、商品モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、商品モデル用の座標系を「商品座標系」と呼ぶ。商品座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも商品の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、商品の略中心位置に原点を置くような座標軸配置とすれば、対象物モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。
【0042】
商品の3次元モデルに、カメラ等で撮影した実写画像を貼り付けることによって、商品モデルが作成される。この実写画像は、その商品を撮影したものを用いることもできるし、(商品の3次元モデルに貼り付けることができるものであれば)他の商品の実写画像を用いることもできる。なお実写画像は、コンピュータで処理する必要があるため、デジタルカメラ等で撮影した画像データとすることが望ましいが、アナログカメラで撮影した写真をスキャニングしたラスターデータとすることもできる。
【0043】
商品の3次元モデルに実写画像データを貼り付ける方法は、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、商品の3次元モデルがDEMの場合、まず商品の特徴ある点(又は部分)の空間座標をDEMの格子点(又はメッシュ)から求め、つぎに実写画像データ上でその特徴ある点(又は部分)を特定して空間座標を与え、これらを繰り返すことで実写画像データに必要数の空間座標を配置し、DEMの空間座標と実写画像データの空間座標に基づいてDEMのメッシュに対して画像を貼り付ける。なおこの場合、商品を選択する者(以下、「商品選択者」という。)が商品モデルをイメージしやすいように、実写画像は作成された商品の3次元モデルの全体(全表面)に貼り付けることが望ましい。
【0044】
商品モデルを作成するための、商品構成点の空間座標、及び実写画像データは、既存のものを利用することもできるし、データ取得装置によって新たに取得してもよい。このデータ取得装置は、商品構成点の空間座標とその商品の実写画像データを取得することができるもので、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの、デジタルカメラが種々角度を変えながら商品を撮影することのできるもの、などがあげられる。
【0045】
商品モデルの作成にあたっては、家具、靴、帽子など対象物と組み合わせても変形することがない商品であれば、その商品の形状のまま商品モデルを作成すればよいが、眼鏡や衣服など、対象物と組み合わせると変形する商品の場合、その商品を対象物と組み合わせた状態の形状で商品モデルを作成することが望ましい。例えば、眼鏡の場合、ツルの部分を伸ばした(開いた)状態で商品モデルを作成する。衣服の場合は、図2に示すように、マネキン(人でもよい)に一旦その衣服を着せ、その状態で衣服部分の3次元モデルを作成し、この3次元モデルに衣服の実写画像データを貼り付ける。すなわち、内部に空間を設けた状態での衣服の商品モデルを作成するものであり、これによって人体(この場合の対象物)の対象物モデルと組み合わせる際に、その空間演算処理が容易となる。
【0046】
(対象物モデル)
対象物モデルは、対象物の3次元モデルに画像を貼り付けて作成される。ここで対象物とは、商品と組み合わせるものであり、商品ごとにその対象物は異なる。例えば、商品が衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるものの場合には、その対象物は人体となる。また、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くものが商品の場合は部屋が対象物となり、その他、庭に植える樹木やブロックが商品の場合は庭が、車庫内に入庫させる車が商品の場合は車庫が、タイヤが商品の場合は車がそれぞれ対象物となる。
【0047】
対象物が人体の場合は、全身を対象に対象物モデルを作成することもできるし、商品によっては人体のうち一部を対象にした対象物モデルを作成することもできる。例えば、帽子が商品の場合には人体のうち顔の部分を対象物とし、セーターが商品の場合は上半身を対象物とし、靴の場合はひざ下部分を対象物とし、腕時計の場合は肘より先の部分を対象物し、指輪の場合は手首より先を対象物とするなど、人体のうちの一部を選択して対象物とすることができる。
【0048】
また、商品が衣服で、対象物が人体(全身又は体の一部)である場合、その衣服に合わせて対象物モデルを適宜作成することができる。例えば、商品としてジャケットを選択する場合、そのジャケットに合わせるシャツを着た状態、あるいはそのジャケットに合わせるズボンをはいた状態、など商品選択者が所望する格好で対象物モデルを作成する。これによって、手持ちの衣装と選択する衣装のコーディネイトを確認することができる。複数種類のシャツと選択する衣服を合わせたい場合は、それぞれのシャツを着た状態の対象物モデルを作成し、選択しようとしている商品モデルと、それぞれの対象物モデルとを種々組み合わせて確認することができる。
【0049】
対象物が部屋の場合も、部屋全体を対象に対象物モデルを作成することもできれば、部屋のうち一部を対象に対象物モデルを作成することもできる。また、同じ部屋(又は部屋の一部)であっても、昼間の明るい状態、西日が差す状態、夜間照明を点けた状態、など種々の状態の対象物モデルを作成し、選択する商品モデルと組み合わせることもできる。この場合、部屋(又は部屋の一部)の3次元モデルは同一のものを用い、貼り付ける実写画像のみを変えて対象物モデルを作成することができる。
【0050】
対象物の3次元モデルは、対象物の外形をなす多数の点(以下、「対象物構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら対象物構成点は、空間座標(一般的にはX、Y、Zで表現される3次元の座標)を備え、対象物構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間モデルを作成することで対象物の3次元モデルは構成される。
【0051】
対象物構成点の座標は、計測することによって取得可能であり、この計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。あるいは、実際に所定の基準点からの距離と角度を測定することで、対象物構成点の座標を取得する手法を採用してもよい。
【0052】
対象物の外形を表現するためには、対象物構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、対象物構成点の座標を特定するための座標系は、対象物モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、対象物モデル用の座標系を「対象物座標系」と呼ぶ。対象物座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも対象物の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、対象物の略中心位置に原点を置くような座標軸配置とすれば、商品モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。
【0053】
対象物の3次元モデルに、カメラ等で撮影した実写画像を貼り付けることによって、対象物モデルが作成される。この実写画像は、その対象物を撮影したものを用いることもできるし、(対象物の3次元モデルに貼り付けることができるものであれば)他の対象物の実写画像を用いることもできる。なお実写画像は、コンピュータで処理する必要があるため、デジタルカメラ等で撮影した画像データとすることが望ましいが、アナログカメラで撮影した写真をスキャニングしたラスターデータとすることもできる。
【0054】
対象物の3次元モデルに実写画像データを貼り付ける方法は、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、対象物の3次元モデルがDEMの場合、まず対象物の特徴ある点(又は部分)の空間座標をDEMの格子点(又はメッシュ)から求め、つぎに実写画像データ上でその特徴ある点(又は部分)を特定して空間座標を与え、これらを繰り返すことで実写画像データに必要数の空間座標を配置し、DEMの空間座標と実写画像データの空間座標に基づいてDEMのメッシュに対して画像を貼り付ける。なおこの場合、商品選択者が商品モデルと対象物モデルとの組み合わせをイメージしやすいように、実写画像は作成された対象物の3次元モデルの全体(全表面)に貼り付けることが望ましい。
【0055】
対象物モデルを作成するための、対象物構成点の空間座標、及び実写画像データは、既存のものを利用することもできるし、データ取得装置によって新たに取得してもよい。このデータ取得装置は、対象物構成点の空間座標とその商品の実写画像データを取得することができるもので、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの、デジタルカメラが種々角度を変えながら対象物を撮影することのできるもの、などがあげられる。
【0056】
(重ね合わせモデル)
重ね合わせモデルは、商品モデルを構成する空間座標と、対象物モデルを構成する空間座標に基づいて演算処理を行い、商品モデルと対象物モデルを相対的に空間配置して組み合わせたモデルである。具体的には、商品モデルの空間座標を定める商品座標系と、対象物モデルの空間座標を定める対象物座標系とを、所定の間隔(ズレ)を有するように空間配置し、商品モデルを構成する空間座標を対象物座標系に変換して、商品モデル及び対象物モデルを対象物座標系に同時に表現する。例えば、対象物座標系のX軸と商品座標系のX軸の間に間隔δxを設け、同じくY軸に間隔δy、Z軸に間隔δzをそれぞれ設けて対象物座標系と商品座標系を配置した場合、商品座標系で商品モデルを構成する空間座標(Xs、Ys、Zs)は、対象物座標系における(Xs+δx、Ys+δy、Zs+δz)に変換される。この場合、商品座標系の各座標軸と、対象物座標系の各座標軸がそれぞれ平行となるように両座標系を配置してもよいし、それぞれの各座標軸が傾斜するように両座標系を配置してもよい。また、商品モデルを構成する空間座標を対象物座標系に変換するのに代えて、対象物モデルを構成する空間座標を商品座標系に変換することもできるし、商品座標系及び対象物座標系とは異なる第三の座標系を設定して、商品モデルを構成する空間座標及び対象物モデルを構成する空間座標のそれぞれを第三の座標系に変換することもできる。
【0057】
重ね合わせモデルを作成する場合、両座標系の各軸の間隔(ズレ)や傾斜角が重要となる。この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせモデルを作成する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。また、この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせ操作をする間、適宜変更できるようにしておくことが望ましい。各軸の間隔や傾斜角の値は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。
【0058】
また、重ね合わせモデルを作成する際に、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角について初期設定する場合、商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点に基づいて設定することもできる。商品モデルの特徴点とは、例えば商品が衣類の場合、鎖骨に当たる点、肩に当たる点、胸に当たる点のことであり、この場合、鎖骨の点、両肩の点、胸を構成する点などが対象物モデルの特徴点となる。これら対応する商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点が一致するように、あるいは所定の間隔を有するように空間演算処理を行って両座標系の各軸の間隔や傾斜角が設定される。なお、商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点は、それぞれのモデル作成時に設定しておいてもよいし、重ね合わせモデルを作成する際に、改めて指定することもできる。
【0059】
重ね合わせモデルは、モニターなどの表示手段で表示される。この場合、表示される重ね合わせモデルの表示姿勢は、重ね合わせモデルを視る位置(視点位置)及び重ね合わせモデルを視る方向(視点角度)によって定められる。重ね合わせモデルを視る「視点位置及び視点角度」(以下、「視点情報」という。)は、重ね合わせモデルを表示する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。視点情報のうち視点位置は、商品モデルを構成する空間座標と、対象物モデルを構成する空間座標の、両方の座標を規定する共通の座標系(つまり重ね合わせモデルの座標系)における3次元の空間座標であり、視点情報のうち視点角度は、視点位置を始点として重ね合わせモデルに向かう方向のことである。視点角度は、水平面内の方向と鉛直面内の方向とで表現することもできるし、視点位置の座標と、重ね合わせモデル(あるいはこの周辺)の任意点の座標で求めることもできる。
【0060】
視点情報が設定されると、視点位置と視点角度に基づいて商品モデルの表示姿勢と対象物モデルの表示姿勢が決定されてモニターなどの表示手段で表示される。視点位置から視て視点角度上に、商品モデルと対象物モデルの両方が重なって存在する場合、視点位置に近い方のモデルを表示させ、視点位置から遠い方のモデルは近いモデルに隠れていることを意味するので表示させない。なお衣服(商品)を対象物(人体)と組み合わせた(着た)場合、どこから重ね合わせモデルを視ても衣服が人体に隠れることはないはずであるが、仮に衣服が人体に隠れて表示されたとすると、視点情報の設定値に誤りがあるか、衣類のサイズがその身体に合わないか、のいずれかを意味している。このような場合には、表示手段によって警告をする機能を備えることもできる。
【0061】
視点情報は、モニターなどの表示手段で重ね合わせモデルを表示している間も、適宜変更できるような手段を備えることが望ましい。この視点情報の変更操作は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。なお表示された重ね合わせモデルは、視点情報を変更すると、これに応じて拡大、縮小、回転して再表示される。
【0062】
(実施形態1)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第1の実施形態について図1〜3に基づいて説明する。
【0063】
図1は、本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示す模式図、図3は、本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示すブロック図である。なおここでは、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。商品選択者である女性Aは、自宅で自身の人体を計測して空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。なお、人体の計測、実写画像撮影については、専門の施設(例えば証明写真を撮影するような施設など)で行ってもよいし、商品(この場合ジャケット)を提供する店頭にある設備を利用してもよい。
【0064】
女性Aは、人体を計測した空間座標データと実写画像データを、ジャケットの販売店である衣料品店に持ち込む。この衣料品店にあるコンピュータを用い、3次元モデル作成手段で人体の3次元モデルを作成し、さらに対象物モデル作成手段によって3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する。なお、自宅に3次元モデル作成手と対象物モデル作成手段があれば、自宅にて3次元モデルや対象物モデルを作成し、衣料品店に持ち込むこともできる。
【0065】
一方、この衣料品店では、様々な柄や種々の色の女性用ジャケットについて、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズそれぞれの商品モデルが用意されている。これらの商品モデルは、商品の3次元モデルにその商品の実写画像を貼り付ける商品モデル作成手段によって作成されている。
【0066】
衣料品店におかれたコンピュータには、対象物モデルを格納する対象物モデル記憶手段、商品モデルを格納する商品モデル記憶手段、重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えている。またこのコンピュータには、対象物モデル、商品モデル、重ね合わせモデルを表示することのできる表示手段(モニター)が設置されている。
【0067】
女性Aは、持参した対象物モデルデータを、対象物モデル記憶手段に格納し、モニターに女性用ジャケットの商品モデルを表示させる。このうち気に入ったジャケットの商品モデルと自身の対象物モデルを、モデル重ね合わせ手段によって重ね合わせ、モニターにその重ね合わせモデルを表示させる。ジャケットが気に入った場合、そのジャケットのSサイズ、Mサイズ、Lサイズそれぞれについて重ね合わせモデルを作成して、自身の人体に適合するサイズのジャケットを選択し、購入する。このように女性Aは、ジャケットを試着することなく、着衣イメージを明確にしながら商品を購入することができるし、衣料品店は、ジャケットの在庫がなくても(あるいはジャケットを店頭に陳列せずとも)女性Aに十分納得して商品を購入してもらうことができる。
【0068】
また、衣料品店にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは何も持参せずに、店頭で着衣イメージを持つことができる。さらに、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段(入力された視点情報に基づいて重ね合わせモデルの表示姿勢を決定する手段)を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0069】
(実施形態2)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第2の実施形態について図4〜5に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1と共通する。
【0070】
図4は、本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示す模式図、図5は、本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図4、図5に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0071】
対象物モデル装置1には、対象物モデル記憶手段4及び、表示手段5が備えられている。この対象物モデル記憶手段4は、対象物である女性A(全身)の3次元モデルに、女性A(全身)の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお、同じ女性Aの3次元モデルに対して異なる実写画像を貼り付けた対象物モデルは、それぞれ異なる対象物モデルとして記憶することができる。
【0072】
図4では、女性Aは自宅で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させているが、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また図4で女性Aは、ジャケットとコーディネイトしたい手持ち服を着て対象物モデルを作成しており、この場合、手持ち服を着替えて種々の対象物モデルを作成すると、色々な手持ち服と購入予定のジャケットをコーディネイトすることができて好適である。
【0073】
表示手段5は、通常、コンピュータに接続されるモニターであって、商品に関する情報(以下、「商品情報」という。)を表示することができる。商品情報は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信される情報であり、例えば、商品モデルの画像、商品のサイズ、商品の名前や商品番号、商品の値段、商品の製造者、商品の特徴、などが含まれる。
【0074】
商品モデル装置2には、商品モデル記憶手段6が備えられている。この商品モデル記憶手段6は、商品であるジャケットの3次元モデルに、ジャケットの実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお、同じジャケットの3次元モデルに対して、赤色のジャケットの実写画像を貼り付けた商品モデルと、青色のジャケットの実写画像を貼り付けた商品モデルは、それぞれ異なる商品モデルとして記憶することができる。商品モデルは、当該衣料品店で作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよいし、他の専門施設で商品モデルを作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよい。
【0075】
図4と図5に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認する。このとき、商品情報のうちの商品モデルの画像は、商品モデル記憶手段6から抽出した商品モデルを画像化したもので、商品モデル装置2から配信される。女性Aは、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。この通知手段は、通信回線3を介して伝達してもよいし、電話や書面等で通知してもよい。
【0076】
通知を受けた衣料品店からは、希望された全ての商品モデルのデータを女性Aに送る。この場合の送達手段も、通信回線3を介して伝達してもよいし、宅配便などその他の送達手段を利用してもよい。女性Aは、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、送達された商品モデルと対象物モデルを種々重ね合わせて重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0077】
なお、モデル重ね合わせ手段は、図6に示すように、衣料品店側や第3の施設に備えてもよく、その場合、女性Aは対象物モデルのデータを衣料品店側や第3の施設に送達し、そこで重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示されて、女性Aは最終的に購入するジャケットを選択することとなる。
【0078】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは対象物モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0079】
(実施形態3)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第3の実施形態について図7〜8に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜2と共通する。
【0080】
図7は、本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示す模式図、図8は、本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜2と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図7、図8に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0081】
本実施形態は、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に、対象物の3次元モデルを渡す場合を説明するものである。女性Aは、衣料品店に対して実写画像を送ることがないため、プライバシーが守られるという効果が得られる。
【0082】
図7と図8に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させる。この場合、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また、対象物モデルを作成する過程において作成された3次元モデルも対象物モデル記憶手段4に記憶させる。
【0083】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル記憶手段4から所望の3次元モデルのデータを抽出し、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図8)によって、抽出した3次元モデルのデータを、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0084】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図8)によって受信した3次元モデルのデータと、女性Aから通知された商品モデルで種々のサイズのものを、サイズ選定手段で重ね合わせる。なお、この重ね合わせの方法は、モデル重ね合わせ手段による方法と同様である。このサイズ選定手段によって、女性A(実際には女性Aの3次元モデル)と適合するサイズの商品モデルを選定し、通信回線3を介して対象物モデル装置1に送信する。この場合、適合するサイズは一つとは限らず複数のサイズが選定されることもある。なお商品モデルのデータは、商品モデル装置2に備えられた送信手段(図8)によって送信され、対象物モデル装置1に備えられた受信手段(図8)によって受信される。
【0085】
商品モデルのデータを受信した女性Aは、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルからなる重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0086】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは3次元モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0087】
(実施形態4)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第4の実施形態について図9〜10に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜3と共通する。
【0088】
図9は、本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示す模式図、図10は、本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜3と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図9、図10に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0089】
本実施形態は、商品モデル装置2において対象物モデルを作成する場合を説明するものである。女性Aは、3次元モデル作成手段や対象物モデル作成手段、対象物モデル記憶手段を、自宅に備える必要がないので、自宅の設備が軽減されるという効果が得られる。
【0090】
図9と図10に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅で対象物である自身の人体を計測して、人体を構成する点(対象物構成点)の空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。以下、人体を計測して取得した対象物構成点の空間座標のデータと、撮影して取得した実写画像データを、「計測情報」という。なお、人体の計測、実写画像撮影については、専門の施設(例えば証明写真を撮影するような施設など)で行ってもよいし、商品(この場合ジャケット)を提供する店頭にある設備を利用してもよい。
【0091】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図10)によって計測情報を、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0092】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図10)によって受信した計測情報に基づいて、女性Aの対象物モデルを作成する。また、この対象物モデルと、女性Aから通知された商品モデルに基づいて、モデル重ね合わせ手段により重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示され、女性Aは表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0093】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは計測情報を容易に取得することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0094】
(実施形態5)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第5の実施形態について図11〜12に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜4と共通する。
【0095】
図11は、本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示す模式図、図12は、本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜4と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図11、図12に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0096】
本実施形態は、実施形態4と同様、商品モデル装置2において対象物モデルを作成する場合を説明するものであるが、加えて女性Aは計測情報に代えて主要な寸法を商品モデル装置2に送るものである。このため、女性Aは、3次元モデル作成手段や対象物モデル作成手段、対象物モデル記憶手段4を、自宅に備える必要がないので、自宅の設備が軽減されるという効果に加え、計測する手間や写真を撮影する手間が軽減されるという効果も得られる。
【0097】
図11と図12に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅で対象物である自身の人体を計測して主要な寸法を取得する。ここで主要な寸法とは、人体の場合には身長、首まわり、胸囲、腹囲、手の長さ、股下長さなどであり、帽子の場合は頭部の外周、部屋の場合は幅、奥行き、高さなど内空を示す寸法、などがあげられる。
【0098】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図12)によって、取得した主要な寸法を含む寸法データを、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。寸法データには、主要な寸法のほか、必要に応じて通常選ぶ商品のサイズ(S、M、Lなど)、性別、体重、年齢などの情報を含む場合がある。
【0099】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図12)によって受信した寸法データに基づいて、商品モデル装置2に備えられた対象物モデル記憶手段4の中から、最も女性Aの体形に合う対象物モデルを抽出する。対象物モデル記憶手段4に格納された複数の対象物モデルは予め寸法データと対応付けらており、商品モデル装置2に備えられた対象物モデル抽出手段は寸法データを手掛かりに対応する対象物データを検索し抽出する。なお、ここでの対象物データは、女性Aのものではなく、例えば衣料品店の店員やファッションモデルを対象に作成されたものであり、事前に用意されたものである。顧客から対象物データが提供されると、その寸法データとともに、累積的に対象物モデル記憶手段4に記憶していくこともできる。
【0100】
対象物モデル抽出手段によって抽出された対象物モデルと、女性Aから通知された商品モデルに基づいて、モデル重ね合わせ手段により重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示され、女性Aは表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0101】
対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0102】
(実施形態6)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第6の実施形態について図13〜14に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜5と共通する。
【0103】
図13は、本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示す模式図、図14は、本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜5と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図13、図14に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0104】
本実施形態は、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に対して視点情報のみを送信し、商品モデル装置2から対象物モデル装置1に対して画像のみを送信する場合を説明するものである。女性Aは、衣料品店に対して体形を示す3次元モデルや実写画像を送ることがないため、プライバシーが守られるという効果が得られる。また、衣料品店は商品モデルのデータを送信することがないので、このデータの流出による乱用を防ぐことができるという効果も得られる。
【0105】
図13と図14に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅にあるコンピュータを用い、人体を計測した空間座標データ基づいて3次元モデル作成手段で3次元モデルを作成し、さらに対象物モデル作成手段によって3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する。なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは計測情報を容易に取得することができる。
【0106】
女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた対象物モデル記憶手段4に、作成した対象物モデルを記憶させる。また女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。衣料品店では、女性Aから通知された商品モデルの画像を配信し、この画像が女性Aの表示手段5に表示される。あわせて、女性Aの表示手段5には、対象物モデル記憶手段4から抽出した対象物モデルも表示する。
【0107】
つぎに女性Aは、商品モデルの画像と対象物モデルを表示手段で確認しながら、対象物モデル装置1に備えられたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルを重ねあわせる。具体的には、女性Aが、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力し、この入力した各軸の間隔や傾斜角を商品モデル装置2に送信する。商品モデル装置2では、受信した各軸の間隔や傾斜角に基づいて商品モデルを空間配置し、その空間配置された画像を対象物モデル装置1に配信する。対象物モデル装置1でも、入力した各軸の間隔や傾斜角に基づいて対象物モデルを空間配置し、表示手段5で表示する。なおこの場合、対象物モデルの方のみを商品座標系に変換することとし、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に対して視点情報を送信することなく、商品モデルの空間配置は固定したままで画像を配信させることもできる。
【0108】
さらにモデル重ね合わせ手段は視点入力手段で入力された視点情報(又はデフォルトで設定された視点情報)に基づいて、商品モデルと対象物モデルの前後関係について演算処理を行って、商品モデルを対象物モデルに隠して、あるいは対象物モデルを商品モデルに隠して表示する。
【0109】
本実施形態によれば、対象物モデルのデータは対象物モデル装置1内に置かれたまま商品モデル装置2に渡されることがなく、また商品モデルのデータは商品モデル装置2内に置かれたまま(商品モデルの画像は配信されるが)対象物モデル装置1に渡されることがなく、対象物モデルと商品モデルを組み合わせた状態を対象物モデル装置1に備えられた表示手段5に表示することができる。女性Aは、表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0110】
なお、対象物モデル装置1に視点情報を入力する視点入力手段を備え、対象物モデル装置1及び商品モデル装置2に表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、すなわち対象物モデルと商品モデルを組み合わせた状態を、様々な角度から表示させることができる。具体的には、女性Aが、視点入力手段によって視点情報を入力し、この入力した視点情報を商品モデル装置2に送信する。商品モデル装置2では、受信した視点情報に基づいて商品モデルを空間配置し、その空間配置された画像を対象物モデル装置1に配信する。対象物モデル装置1でも、入力した視点情報に基づいて対象物モデルを空間配置し、表示手段5で表示する。
【0111】
(実施形態7)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第1の実施形態について図15〜16に基づいて説明する。
【0112】
図15は、本願発明の商品選択システムの第7の実施形態を示す模式図である。なおここでは、商品が家具、対象物が部屋の場合で説明する。商品選択者は、自宅で室内の一部を計測して対象物構成点の空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。本実施形態の商品選択システムは、図15に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者の自宅に設置され、商品モデル装置2は家具の販売店である家具店に設置されている。
【0113】
対象物モデル装置1には、対象物モデル記憶手段4及び、表示手段5が備えられている。この対象物モデル記憶手段4は、対象物である室内(一部)の3次元モデルに、室内(一部)の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお図16に示すように、同じ室内の3次元モデルに対して異なる実写画像、例えば昼間の状態の実写画像と夜間に照明を点灯した状態の実写画像を貼り付けた対象物モデルは、それぞれ異なる対象物モデル(昼間の対象物モデルと夜間の対象物モデル)として記憶することができる。これによって、部屋にソファ置いた状態でも昼間の明るい状態と、夜間の照明が灯った状態で確認することができて、より満足の得られる商品選択が可能となる。
【0114】
表示手段5は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信される商品情報を表示する。
【0115】
商品モデル装置2には、商品モデル記憶手段6が備えられている。この商品モデル記憶手段6は、商品である家具の3次元モデルに、家具の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。商品モデルは、当該家具店で作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよいし、他の専門施設で商品モデルを作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよい。
【0116】
図15に基づいて、商品選択者が、この場合の商品である家具を選択するまでの流れを説明する。商品選択者は、家具店の商品情報(ここでは家具の情報)を表示手段5で確認する。このとき、商品情報のうちの商品モデルの画像は、商品モデル記憶手段6から抽出した商品モデルを画像化したもので、商品モデル装置2から配信される。商品選択者は、購入の候補となるいくつかの家具を選び出し、これら候補とした家具を家具店に通知する。この通知手段は、通信回線3を介して伝達してもよいし、電話や書面等で通知してもよい。
【0117】
通知を受けた家具店からは、希望された全ての商品モデルのデータを、通信回線3を介して商品選択者に送る。商品選択者は、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、送達された商品モデルと対象物モデルを種々重ね合わせて重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入する家具を選択する。
【0118】
商品選択者が複数の種類の家具を購入する場合、同一店舗から選択するのではなく、種々の店舗から選択することもできる。図15では、テーブルとテーブルマットとソファを購入するために商品選択しているが、第1の店舗からテーブルの商品モデルを受信し、第2の店舗からテーブルマットの商品モデルを受信し、さらに第3の店舗からソファの商品モデルを受信して、それぞれ重ね合わせモデルを作成することができる。また図15に示すように、まずはテーブル、つぎにテーブルとテーブルマット、最後にテーブルとテーブルマットとソファ、という要領で家具を累積的に室内に配置しておくと、ソファの配置スペースが確保できるか否かの判断が付きやすい。
【0119】
なお、商品選択者の自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、商品選択者は対象物モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまり家具を配置した室内の状態を様々な角度から表示させることができるので、より室内イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、家具の配置スペースの確認がより詳細に把握できる。
【0120】
(実施形態8)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第8の実施形態について説明する。
【0121】
本実施形態は、対象物の3次元モデルに基づいて商品をオーダーメイドする場合について説明するものである。なおここでは、商品が紳士用のスーツ、対象物がこのスーツを購入する男性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1はスーツを購入する男性(商品選択者)の自宅に設置され、商品モデル装置2はオーダーメイドを受ける紳士服店に設置されている。
【0122】
商品選択者は、対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させる。この場合、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また、対象物モデルを作成する過程において作成された3次元モデルも対象物モデル記憶手段4に記憶させる。
【0123】
一方、紳士服店では、様々なサイズのスーツの3次元モデルが用意され、商品モデル記憶手段に格納されている。また、オーダーメイドする際に選択できる、スーツ生地の色、スーツ生地の柄や模様、スーツのタイプ(ダブル/シングル)、ボタンの種類、といったオーダーメイド用データも商品モデル記憶手段に格納されている。なお、このオーダーメイド用データは、スーツの3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものである。
【0124】
商品選択者は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信されるオーダーメイド用データを表示手段5で確認する。このオーダーメイド用データは、スーツを作成するために必要な要素であり、商品選択者はこれら全ての要素に対して選択する必要がある。例えば、スーツ生地の色を決定するために複数の候補色が表示手段5に表示され、商品選択者はこのうち好みのものを選択して、紳士服店に通知する。次に、スーツ生地の柄や模様を決定するために複数の候補(柄と模様)が表示手段5に表示され、商品選択者はこのうち好みのものを選択して、紳士服店に通知する。このようにして、順次、スーツのタイプ(ダブル/シングル)、ボタンの種類などを選択し、紳士服店に通知する。
【0125】
さらに商品選択者は、対象物モデル記憶手段4から所望の3次元モデルのデータを抽出し、対象物モデル装置1に備えられた送信手段によって、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0126】
紳士服店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段によって受信した3次元モデルのデータと、商品選択者によって決定されたオーダーメイド用データに基づいて、商品モデル作成手段によりスーツの商品モデルを作成する。この商品モデルのデータは、商品モデル装置2に備えられた送信手段によって送信され、対象物モデル装置1に備えられた受信手段によって受信される。
【0127】
商品モデルのデータを受信した商品選択者は、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルからなる重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的にそのスーツをオーダーするか否かを判断する。
【0128】
なお、商品選択者の自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、商品選択者は3次元モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりスーツを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0129】
本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段の実施形態について説明する。本願発明の体形管理システムは、図17に示すように、人の体について3次元モデルを作成し、過去の3次元モデルと現在の3次元モデルなど異なる時期の3次元モデルを比較し得るものである。また、この3次元モデルは、メッシュモデルを採用していることから、メッシュごとに対比することが可能で、詳細な部分における変化も視覚的に把握することができる。
【0130】
(3次元モデル)
3次元モデルは、人体の外形をなす多数の点(以下、「人体構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら商品構成点は、空間座標、つまり一般的には(X、Y、Z)で表現される3次元の座標を備え、人体構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間メッシュモデルを作成することで人体の3次元モデルは構成される。DEMとは、3次元の空間情報(X、Y、Z)に基づいてメッシュや格子点が設けられるもので、さらにメッシュごとには代表点が算出される。この算出方法としては、多数の商品構成点から不整三角網より高さを求めるTIN(Triangulated Irregular Network)による補間法のほか、その格子に最も近い商品構成点を採用する最近隣法(Nearest Neighbor)や、その他、逆距離加重法(IWD)、Kriging法、平均法などの方法を採用することができる。
【0131】
商品構成点の座標は、計測することで取得される。この計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。なお、異時期の体形を比較するために人体は繰り返し計測されるが、計測時にはできるだけ同様の姿勢を保つことが望ましく、真直ぐに起立した姿勢で計測されるのがより望ましい。
【0132】
人体の外形を表現するためには、人体構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、人体構成点の座標を特定するための座標系は、人体の3次元モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、人体の3次元モデル用の座標系を「人体座標系」と呼ぶ。人体座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも人体の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、立位姿勢の人体の両足元中央付近に原点を置くような座標軸配置とすれば、異時期の3次元モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。なお、この任意座標系である「人体座標系」は、3次元モデルを作成するたびに変更することもできるし、常に同じものを利用することもできる。
【0133】
(モデルの重ね合わせ)
ここでは便宜上、第1の時期に計測した人体の3次元モデルを「第1の3次元モデル」、第2の時期に計測した人体の3次元モデルを「第2の3次元モデル」として、説明する。異時期の3次元モデルを重ね合わせたモデル(以下、「重ね合わせモデル」という。)は、第1の3次元モデルを構成する空間座標と、第2の3次元モデルを構成する空間座標に基づいて演算処理を行い、二つ3次元モデルを相対的に空間配置して組み合わせたモデルである。具体的には、第1の3次元モデルの空間座標を定める「第1の人体座標系」と、第2の3次元モデルの空間座標を定める「第2の人体座標系」とを、所定の間隔(ズレ)を有するように空間配置し、第1の3次元モデル(第2の3次元モデル)の空間座標を第2の人体座標系(第1の人体座標系)に変換して、二つの3次元モデルを同一の座標系に同時に表現する。例えば、第1の人体座標系のX軸と商品座標系のX軸の間に間隔δxを設け、同じくY軸に間隔δy、Z軸に間隔δzをそれぞれ設けて第1の人体座標系と商第2の人体座標系を配置した場合、第1の人体座標系で第2の3次元モデルを構成する空間座標(X2、Y2、Z2)は、対象物座標系における(X2+δx、Y2+δy、Z2+δz)に変換される。この場合、第1の人体座標系の各座標軸と、第2の人体座標系の各座標軸がそれぞれ平行となるように両座標系を配置してもよいし、それぞれの各座標軸が傾斜するように両座標系を配置してもよい。また、第1の人体座標系及び第2の人体座標系とは異なる座標系を設定して、第1の3次元モデルを構成する空間座標及び第2の3次元モデルを構成する空間座標それぞれを共通の座標系に変換することもできる。
【0134】
重ね合わせモデルを作成する場合、両座標系の各軸の間隔(ズレ)や傾斜角が重要となる。この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせモデルを作成する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。また、この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせ操作をする間、適宜変更できるようにしておくことが望ましい。各軸の間隔や傾斜角の値は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。
【0135】
また、重ね合わせモデルを作成する際に、第1の人体座標系と第2の人体座標系の各軸の間隔や傾斜角について初期設定する場合、人体の3次元モデルの特徴点に基づいて設定することもできる。人体の3次元モデルの特徴点とは、頭頂部、顎先の点、両肩の点、指先の点、肘やひざの点など、その人体を特定するために認識しやすい特異な点である。第1の3次元モデルと第2の3次元モデルについて、これら特徴点同士が一致するように、あるいは所定の間隔を有するように空間演算処理を行って両座標系の各軸の間隔や傾斜角が設定される。なお、人体の3次元モデルの特徴点は3次元モデル作成時に設定しておいてもよいし、重ね合わせモデルを作成する際に、改めて指定することもできる。
【0136】
重ね合わせモデルを作成すると、メッシュごとに比較する。具体的には、第1の3次元モデルのメッシュと、このメッシュに対応する第2の3次元モデルのメッシュとの空間座標に基づいて比較され、2時期のメッシュの代表点どうしを比較することができる。2時期のメッシュ代表点が一致又は、2時期のメッシュ代表点の座標差(離隔)が事前に設定されたしきい値以下であれば、そのメッシュは変化なしと判断することができる。逆に、2時期のメッシュ代表点の座標差(離隔)が事前に設定されたしきい値以上であれば、そのメッシュ変化ありと判断することができる。なお、2時期のメッシュを対応させる方法は、代表点の座標が最も近いもの、つまり座標差(離隔)が最小となるものを対応するメッシュとして選択することができる。
【0137】
重ね合わせモデルを作成してメッシュごとに比較した結果は、図17に示すように、変化なしと判断されたメッシュは無色で表示し、変化ありと判断されたメッシュは着色表示することができる。あるいは、逆に、変化ありと判断されたメッシュに関しては、その変化度合によって色を変えることもできるし、直接座標差(離隔)を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法は、衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるもの、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くもの、その他、庭に植える樹木やブロック、車庫内に入庫させる車、車に装着するタイヤなど種々の商品と対象物に利用することができる。また、本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段は、自宅をはじめ学校、スポーツクラブ、病院、保険所、健康診断施設で利用できるほか、ペットや動物園の動物などにも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 対象物モデル装置
2 商品モデル装置
3 通信回線
4 対象物モデル記憶手段
5 表示手段
6 商品モデル記憶手段
【技術分野】
【0001】
本願発明は、商品を選択するシステム、商品を選択する際に利用する装置、及び通信販売の方法に関するものであり、より具体的には、商品と対象物(その商品と組み合わせるもの)それぞれのモデルを作成し、商品モデルと対象物モデルを重ね合わせて表示することで商品を選択するシステム等に関するものであり、体形を経時的に管理するシステムや装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を購入する際は、店頭に陳列された商品の中から希望する商品を選択するのが一般的であった。この場合、その商品と組み合わせるもの(以下、「対象物」という。)をイメージしながら商品を選択することとなるが、実際に商品を対象物に試すことができるのは商品購入後となるため、少なからず購入時のイメージとは相違することもあり、返品するか若しくは妥協して使用するかを余儀なくされていた。
【0003】
洋服や靴など商品によっては試着することもできるが、人によっては試着を苦手とし、あるいは時間に余裕がない時は試着できないこともあり、洋服のような商品であっても事前に試されたうえで購入されるとは必ずしも限らない。また服を購入する場合、既に自分が持っている服とのコーディネイトを考えることもあるが、複数の手持ち服とその商品を種々組み合わせるためには、一旦その商品を購入して家でその商品を試すこととなる。
【0004】
また、昨今ではテレビ放映による通信販売やインターネットでの通信販売などが普及し、モニター画面に表示される画像を含む商品情報からイメージして商品を購入することも多くなった。この場合、洋服や靴など本来試着できる商品であっても、試着できないばかりか実際手に取ってみることもできず、商品到着後にはじめて対象物と組み合わせることとなるため、やはり当初のイメージと相違することがあった。
【0005】
例えば、購入したジャケットを手持ちのシャツと重ねてみると自分のイメージと異なっていたり、靴を買って家に帰ると家族の評判が芳しくなかったり、通信販売で購入した帽子のサイズが合わなかったり、同じく通信販売で購入した腕時計の色が自分の肌の色と調和しなかったり、店頭で選択したソファが予定した配置位置に納まらなかったり、購入した壁紙が昼間はイメージ通りだが夜間に照明を点けるとその雰囲気が好みと合わなかったなど、購入時のイメージと相違することはしばしばあり、この場合返品するか、若しくは妥協してその商品を利用することとなる。
【0006】
そこで近年、衣服の販売者が電子計算機(以下、「コンピュータ」という。)で操作できる衣服のモデルを提供するとともに、購入者がコンピュータで操作できる自らの体形のモデルを作成することによって、モニター上で仮想的に試着するという試みが行われている。一例として特許文献1では、商品(衣服)の試着用データを人体モデルに貼り付けることによって外観イメージ(見映え)を確認する方法を提案している。しかしながら、体に密着するような衣服であれば、衣服の試着用データを人体モデルに貼り付けた外観イメージと実際のイメージではさほど大きな隔たりはないと考えられるが、衣服と体の間に隙間がある場合や、室内に家具を置く場合などのように単に試着用データを貼り付けることができない場合などには、特許文献1の方法は採用し難い。
【0007】
また、試着用データにしても、人体モデルにしても、実際に撮影した実写画像を用いなければ、モニター上ではイメージし難い。特許文献1でも、人体の体型データに顔画像を貼り付けることを提案しているが、顔だけ画像化しても衣服を着装したイメージは把握し難く、ましてや手持ち服とのコーディネイトは判断できない。
【0008】
一方、3次元モデルの作成技術に関しては、地形計測の分野で飛躍的進歩を遂げている。陸域におよそ2000の活断層が存在するといわれている我が国では、活断層の位置を把握するために地形をより立体的に、より視覚的に表現する需要があった。この需要の実現に貢献したのが、航空レーザー計測の出現など地形情報を取得する計測手法の高度化であり、コンピュータの進化による大量の地形情報を扱う技術の進歩である。
【0009】
地形の3次元モデルの作成には、DEM(Digital Elevation Model)が採用されることが多い。このDEMは、地表面の平面座標(X、Y)と標高値(Z)を有する点の集合であるいわゆる点群データに基づいて、地表面の形状を数値モデル化したもので、一般的には格子モデルである。この点群データは、例えば航空レーザー計測によって取得することが可能で、航空レーザー計測は、計測したい地形の上空を航空機で飛行し、飛行中に地形に対して照射したレーザーの反射を受けて計測するものである。
【0010】
地形の3次元モデルをメッシュモデルにしてコンピュータで操作することにより、地形を直感的に認識することが可能となり断層などの特徴が把握しやすくなる。また、異なる2時期の地形をメッシュごとに対比することが可能であり、どの地点で地形が変化しているのかを明確に確認することもできる。また、航空レーザー計測の際、航空機の飛行中に写真を撮影し、その実写画像を3次元地形モデル(例えばDEM)に貼り付ける手法も採用されており、この場合、さらに地形をイメージしやすくなる。特許文献2でも、DEMによって形成される地形表面を、航空写真をデジタル化した画像データで彩色することが提案されている。
【0011】
また、コンピュータで操作可能な地形の3次元モデルは、地形を視る際の視点位置や視点角度を変更することによって、あらゆる姿勢の地形を確認することができる。具体的には、視点位置や視点角度をコンピュータに入力すると、その入力値に応じて地形の3次元モデルが姿勢を変更し(モニター上で地形が回転・移動し)、所望の視点から地形を視認することができる。前記の特許文献2でも、マウスやキーボードで操作することで3次元図形を見る際の視点の位置や視線の方向を制御し得るソフトウェアについて記載している。
【0012】
以上のように3次元モデルの作成技術に関しては地形計測の分野で進歩しているものの、このような技術は他分野ではまだ十分に応用されていない。例えば、自己の体形管理に強い興味を持つ人が多い昨今では、このような3次元モデルの技術を用いた体形の管理手法も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3543395号
【特許文献2】特開2007−72884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明の課題は、商品を選択する際に、商品と対象物の組み合わせを直感的にイメージすることができるとともに、商品を選択する者が既に所有している複数の対象物と、選択する商品とを、種々組み合わせてイメージできる商品選択システムやこれに関する装置及び方法を提供することにある。また、自己の体形の経時的変化を管理するとともに、自己の体形を3次元で表現することによりどこの部分が変化したかを詳細に把握し得る体形管理システムとこれに用いる計測手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の商品選択システムは、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示可能な商品選択システムであって、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、前記商品モデルと前記対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、前記重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたものである。
【0016】
本願発明の商品選択システムは、通信回線を介して接続される対象物モデル装置と商品モデル装置を備え、前記対象物モデル装置は、対象物モデル記憶手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を有し、前記商品モデル装置は、商品モデル記憶手段を有し、前記対象物モデル装置又は/及び前記商品モデル装置は、モデル重ね合わせ手段を有し、前記重ね合わせモデルの画像は、前記対象物モデル装置の表示手段によって表示可能ものとすることもできる。
【0017】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、及び対象物モデルを商品モデル装置に送信する送信手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された対象物モデルを受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記受信手段が受信した対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0018】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、対象物の3次元モデルを前記商品モデル装置に送信する送信手段、前記商品モデル装置から送信される商品モデルを受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された対象物の3次元モデルを受信する受信手段、及び商品モデルを前記対象物モデル装置に送信する送信手段を有し、更に前記商品モデル装置は、商品モデルと対象物の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物の3次元モデルとを重ね合わせ、該対象物の3次元モデルに適合する商品のサイズを選定するサイズ選定手段を有し、前記商品モデル装置は、前記受信装置で受信した対象物の3次元モデルに適合する商品のサイズを前記サイズ選定手段によって選定し、この選定されたサイズの商品モデルを前記対象物モデル装置に送信し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記対象物モデル装置の受信手段が受信した商品モデルと、対象物モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0019】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物を計測して得られた複数の空間座標と実写画像からなる計測情報を商品モデル装置に送信する送信手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された計測情報を受信する受信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、更に前記商品モデル装置は、前記受信手段が受信した計測情報のうち複数の空間座標に基づいて対象物の3次元モデルを作成するとともに、この3次元モデルに前記計測情報のうち実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記商品モデル装置の受信手段が受信した計測情報に基づいて作成された対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0020】
本願発明の商品選択システムは、通信回線を介して接続される対象物モデル装置と商品モデル装置を備え、前記対象物モデル装置は、対象物の主要な寸法を含む寸法データを前記商品モデル装置に送信する送信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を有し、前記商品モデル装置は、対象物モデル記憶手段、商品モデル記憶手段、前記対象物モデル装置から送信される寸法データを受信する受信手段、この寸法データに基づいて対象物モデル記憶手段から対象物モデルを抽出する対象物モデル抽出手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、前記商品モデル装置の受信手段が受信した寸法データに基づいて抽出された対象物モデルと、商品モデルとを、重ね合わせて重ね合わせモデルを作成し、この重ね合わせモデルの画像は、対象物モデル装置の表示手段によって表示可能であるものとすることもできる。
【0021】
本願発明の商品選択システムは、重ね合わせモデルの視点位置及び視点角度を入力する視点入力手段、及び入力された視点位置及び視点角度に基づいて重ね合わせモデルの表示姿勢を決定する表示姿勢決定手段を備え、前記表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で、前記重ね合わせモデルが表示手段によって表示されるものとすることもできる。
【0022】
本願発明の商品選択システムは、対象物モデル装置は、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段、重ね合わせモデルの視点位置及び視点角度を入力する視点入力手段、入力された視点位置及び視点角度に基づいて対象物モデルの表示姿勢を決定する対象物表示姿勢決定手段、この視点入力手段で入力された視点情報を商品モデル装置に送信する送信手段、及びモデル重ね合わせ手段を有し、商品モデル装置は、前記対象物モデル装置から送信された視点情報を受信する受信手段、及び受信した視点位置及び視点角度に基づいて商品モデルの表示姿勢を決定する商品表示姿勢決定手段を有し、前記モデル重ね合わせ手段は、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルが重ね合わせられた状態となるように、商品モデルと対象物モデルを空間配置し、前記モデル重ね合わせ手段によって空間配置された対象物モデルは、前記視点入力手段で入力された視点情報に基づいて、前記対象物表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で対象物モデル装置の表示手段に表示され、前記モデル重ね合わせ手段によって空間配置された商品モデルは、前記視点入力手段で入力された視点情報に基づいて、前記商品表示姿勢決定手段で決定された表示姿勢で前記表示手段に表示され、前記表示手段は、対象物モデルの画像と商品モデルの画像とを重ね合わせて表示可能であるものとすることもできる。
【0023】
本願発明の商品選択システムは、対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の実写画像を取得する画像取得手段を有する対象物データ取得装置を備えるとともに、前記計測手段によって取得した対象物の空間座標に基づいて対象物の3次元モデルを作成し、この3次元モデルに前記画像取得手段によって取得した該対象物の実写画像を貼り付けることで該対象物の対象物モデルを作成する対象物モデル作成手段を備えるものとすることもできる。
【0024】
本願発明の商品選択システムは、同一の対象物の3次元モデルに対して、該対象物を異なる時期に取得した異なる実写画像をそれぞれ貼り付けることによって作成された同一の対象物についての複数の対象物モデルが、対象物モデル記憶手段に記憶されたものとすることもできる。
【0025】
本願発明の商品選択システムは、商品モデルは1又は2以上の商品特徴点を備えるとともに、対象物モデルは1又は2以上の対象物特徴点を備え、モデル重ね合わせ手段は、商品特徴点と対象物特徴点に基づいて商品モデル及び対象物モデルを空間配置するとともに、空間配置された商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、重ね合わせモデルを作成するものとすることもできる。
【0026】
本願発明の商品選択システムは、重ね合わせモデルを表示手段で確認しながら、商品モデル又は/及び対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備え、モデル重ね合わせ手段は、モデル移動手段による移動操作後の商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、重ね合わせモデルを作成するものとすることもできる。
【0027】
本願発明の商品モデル装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを送信する商品モデル装置であって、前記商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び通信回線を介して前記商品モデルを送信する送信手段を備え、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を備え、更に、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えるとともに、前記表示手段によって前記重ね合わせモデルを表示する対象物モデル装置に対して、前記送信手段が前記商品モデルを送信するものである。
【0028】
本願発明の対象物モデル装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを受信する対象物モデル装置であって、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段と、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、商品に関する情報を表示する表示手段と、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、前記商品モデルは、商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び商品モデルを送信する送信手段を備えた商品モデル装置から、通信回線を介して送信され、前記重ね合わせモデルは、前記表示手段によって表示されるものである。
【0029】
本願発明の対象物データ取得装置は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、対象物の空間座標及び実写画像を取得する対象物データ取得装置であって、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルと、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルとを、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するために、対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の画像を取得する画像取得手段を備えたものである。
【0030】
この場合、空間座標データを取得する計測手段が、光レーザー法を用いた計測手段であるものであるものとすることもできる。
【0031】
本願発明の通信販売方法は、商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示して購入する商品を選択する通信販売方法であって、販売者は、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルを作成し、この商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを作成し、商品モデル記憶手段に商品モデルを記憶させ、この商品モデルの画像を含む商品情報を配信し、購入者は、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルを作成し、この対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを作成し、対象物モデル記憶手段に対象物モデルを記憶させ、販売者から通信回線を介して配信される商品情報を表示し、商品を指定すると購入者から通信回線を介して前記指定した商品の商品モデルが送信され、受信した前記商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成し、その重ね合わせモデルを表示手段によって表示することで購入する商品を選択する方法である。
【0032】
本願発明の体形管理システムは、人の体形の経時変化を管理し得るシステムであって、人体を非接触方式で計測して空間座標を得る非接触式計測手段と、メッシュで構成される3次元モデルを、前記非接触式計測手段で得られた空間座標に基づいて作成するモデル作成手段と、前記3次元モデル及び計測時期を記憶する記憶手段と、前記3次元モデルを表示する表示手段と、前記異なる時期の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、異なる時期の3次元モデルを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、前記記憶手段は、異なる時期の計測による3次元モデルを、異なる3次元モデルとして記憶可能であり、前記表示手段は、異なる3次元モデルを重ね合わせて表示可能であり、メッシュごとに体形の経時変化を目視し得るものである。
【0033】
本願発明の非接触式計測手段は、本願発明の体形管理システムに利用される人体の空間座標を、非接触方式で計測して取得可能なものである。
【発明の効果】
【0034】
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法には、次のような効果がある。
(1)商品及び対象物ともに、3次元モデルと実写画像で表現され、さらにそれらを組み合わせることができるので、商品を選択する際に、商品と対象物の組み合わせを直感的にイメージがすることができて、商品購入後も満足が得られ返品等が回避できる。
(2)所望の対象物モデルを任意に作成することができるので、自らが所有する複数の対象物と商品を種々重ね合わせることが可能となり、様々な組み合わせを確認したうえで商品を選択することができる。
(3)自宅に対象物モデル装置を備えておけば、店頭まで赴くことなく、満足が得られる商品選択を行うことができる。
(4)試着を苦手とする者でも仮想的な試着を体験できるので、確実な商品選択ができる。
(5)店舗を構えることなく商品を選択してもらうことができるので、販売者にとって販売形態の選択が広がる。
【0035】
本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段には、次のような効果がある。
(1)過去の体形と現在の体形を比較して確認できるので、体形を管理しやすい。
(2)体形を3次元モデルとするので、体形を視覚的に表現することが可能であり、体形の変化が確認しやすい。
(3)3次元モデルがメッシュで構成されているので、特定の部分(例えば上腕や腹部など)に着目した体形管理が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示す模式図。
【図2】衣服の商品モデル作成の一例を示す説明図。
【図3】本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示すブロック図。
【図4】本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示す模式図。
【図5】本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示すブロック図。
【図6】モデル重ね合わせ手段を、衣料品店に備えて重ね合わせモデルを作成する例を説明するための説明図。
【図7】本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示す模式図。
【図8】本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示すブロック図。
【図9】本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示す模式図。
【図10】本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示すブロック図。
【図11】本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示す模式図。
【図12】本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示すブロック図。
【図13】本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示す模式図。
【図14】本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示すブロック図。
【図15】本願発明の商品選択システムの第7の実施形態を示す模式図。
【図16】同じ室内の3次元モデルに対して異なる実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する例を示す説明図。
【図17】本願発明の体形管理システムの実施形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(全体概要)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の実施形態について説明する。具体的な実施形態を説明する前に、まず本願発明に共通する基本的な概念についてここで説明する。本願発明の商品システムは、図1に示すように、商品について「商品モデル」を作成し、対象物について「対象物モデル」を作成し、商品モデルと対象物モデルを重ね合わせた「重ね合わせモデル」を作成し、この重ね合わせモデルを表示手段で目視確認して商品を選択するものである。ここで、対象物とは商品と組み合わせるものであり、例えば商品が衣服であれば対象物は人体であり、商品が家具であれば対象物は部屋となる。商品モデルは、商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものであり、対象物モデルは、対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものである。また、重ね合わせモデルは、商品の3次元モデルの空間座標と、対象物の3次元モデルの空間座標に基づいて、演算処理を行うことで作成されるものである。以下、これらについて詳述する。
【0038】
(商品モデル)
商品モデルは、商品の3次元モデルに画像を貼り付けて作成される。ここで商品とは、供給者(販売する者や貸与する者など)が利用者に販売あるいは貸渡すために提供するものであり、衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるもの、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くもの、その他、庭に植える樹木やブロック、車庫内に入庫させる車、車に装着するタイヤなど種々のものが商品としてあげられる。
【0039】
商品の3次元モデルは、商品の外形をなす多数の点(以下、「商品構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら商品構成点は、空間座標、つまり一般的には(X、Y、Z)で表現される3次元の座標を備え、商品構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間モデルを作成することで商品の3次元モデルは構成される。DEMとは、3次元の空間情報(X、Y、Z)に基づいてメッシュや格子点が設けられるもので、さらにメッシュごとには代表点が算出される。この算出方法としては、多数の商品構成点から不整三角網より高さを求めるTIN(Triangulated Irregular Network)による補間法のほか、その格子に最も近い商品構成点を採用する最近隣法(Nearest Neighbor)や、その他、逆距離加重法(IWD)、Kriging法、平均法などの方法を採用することができる。
【0040】
商品構成点の座標は、計測することで取得してもよいし、設計図や計画図などから読み取って取得してもよい。また計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。あるいは、実際に所定の基準点からの距離と角度を測定することで、商品構成点の座標を取得する手法を採用してもよい。
【0041】
商品の外形を表現するためには、商品構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、商品構成点の座標を特定するための座標系は、商品モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、商品モデル用の座標系を「商品座標系」と呼ぶ。商品座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも商品の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、商品の略中心位置に原点を置くような座標軸配置とすれば、対象物モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。
【0042】
商品の3次元モデルに、カメラ等で撮影した実写画像を貼り付けることによって、商品モデルが作成される。この実写画像は、その商品を撮影したものを用いることもできるし、(商品の3次元モデルに貼り付けることができるものであれば)他の商品の実写画像を用いることもできる。なお実写画像は、コンピュータで処理する必要があるため、デジタルカメラ等で撮影した画像データとすることが望ましいが、アナログカメラで撮影した写真をスキャニングしたラスターデータとすることもできる。
【0043】
商品の3次元モデルに実写画像データを貼り付ける方法は、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、商品の3次元モデルがDEMの場合、まず商品の特徴ある点(又は部分)の空間座標をDEMの格子点(又はメッシュ)から求め、つぎに実写画像データ上でその特徴ある点(又は部分)を特定して空間座標を与え、これらを繰り返すことで実写画像データに必要数の空間座標を配置し、DEMの空間座標と実写画像データの空間座標に基づいてDEMのメッシュに対して画像を貼り付ける。なおこの場合、商品を選択する者(以下、「商品選択者」という。)が商品モデルをイメージしやすいように、実写画像は作成された商品の3次元モデルの全体(全表面)に貼り付けることが望ましい。
【0044】
商品モデルを作成するための、商品構成点の空間座標、及び実写画像データは、既存のものを利用することもできるし、データ取得装置によって新たに取得してもよい。このデータ取得装置は、商品構成点の空間座標とその商品の実写画像データを取得することができるもので、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの、デジタルカメラが種々角度を変えながら商品を撮影することのできるもの、などがあげられる。
【0045】
商品モデルの作成にあたっては、家具、靴、帽子など対象物と組み合わせても変形することがない商品であれば、その商品の形状のまま商品モデルを作成すればよいが、眼鏡や衣服など、対象物と組み合わせると変形する商品の場合、その商品を対象物と組み合わせた状態の形状で商品モデルを作成することが望ましい。例えば、眼鏡の場合、ツルの部分を伸ばした(開いた)状態で商品モデルを作成する。衣服の場合は、図2に示すように、マネキン(人でもよい)に一旦その衣服を着せ、その状態で衣服部分の3次元モデルを作成し、この3次元モデルに衣服の実写画像データを貼り付ける。すなわち、内部に空間を設けた状態での衣服の商品モデルを作成するものであり、これによって人体(この場合の対象物)の対象物モデルと組み合わせる際に、その空間演算処理が容易となる。
【0046】
(対象物モデル)
対象物モデルは、対象物の3次元モデルに画像を貼り付けて作成される。ここで対象物とは、商品と組み合わせるものであり、商品ごとにその対象物は異なる。例えば、商品が衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるものの場合には、その対象物は人体となる。また、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くものが商品の場合は部屋が対象物となり、その他、庭に植える樹木やブロックが商品の場合は庭が、車庫内に入庫させる車が商品の場合は車庫が、タイヤが商品の場合は車がそれぞれ対象物となる。
【0047】
対象物が人体の場合は、全身を対象に対象物モデルを作成することもできるし、商品によっては人体のうち一部を対象にした対象物モデルを作成することもできる。例えば、帽子が商品の場合には人体のうち顔の部分を対象物とし、セーターが商品の場合は上半身を対象物とし、靴の場合はひざ下部分を対象物とし、腕時計の場合は肘より先の部分を対象物し、指輪の場合は手首より先を対象物とするなど、人体のうちの一部を選択して対象物とすることができる。
【0048】
また、商品が衣服で、対象物が人体(全身又は体の一部)である場合、その衣服に合わせて対象物モデルを適宜作成することができる。例えば、商品としてジャケットを選択する場合、そのジャケットに合わせるシャツを着た状態、あるいはそのジャケットに合わせるズボンをはいた状態、など商品選択者が所望する格好で対象物モデルを作成する。これによって、手持ちの衣装と選択する衣装のコーディネイトを確認することができる。複数種類のシャツと選択する衣服を合わせたい場合は、それぞれのシャツを着た状態の対象物モデルを作成し、選択しようとしている商品モデルと、それぞれの対象物モデルとを種々組み合わせて確認することができる。
【0049】
対象物が部屋の場合も、部屋全体を対象に対象物モデルを作成することもできれば、部屋のうち一部を対象に対象物モデルを作成することもできる。また、同じ部屋(又は部屋の一部)であっても、昼間の明るい状態、西日が差す状態、夜間照明を点けた状態、など種々の状態の対象物モデルを作成し、選択する商品モデルと組み合わせることもできる。この場合、部屋(又は部屋の一部)の3次元モデルは同一のものを用い、貼り付ける実写画像のみを変えて対象物モデルを作成することができる。
【0050】
対象物の3次元モデルは、対象物の外形をなす多数の点(以下、「対象物構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら対象物構成点は、空間座標(一般的にはX、Y、Zで表現される3次元の座標)を備え、対象物構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間モデルを作成することで対象物の3次元モデルは構成される。
【0051】
対象物構成点の座標は、計測することによって取得可能であり、この計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。あるいは、実際に所定の基準点からの距離と角度を測定することで、対象物構成点の座標を取得する手法を採用してもよい。
【0052】
対象物の外形を表現するためには、対象物構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、対象物構成点の座標を特定するための座標系は、対象物モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、対象物モデル用の座標系を「対象物座標系」と呼ぶ。対象物座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも対象物の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、対象物の略中心位置に原点を置くような座標軸配置とすれば、商品モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。
【0053】
対象物の3次元モデルに、カメラ等で撮影した実写画像を貼り付けることによって、対象物モデルが作成される。この実写画像は、その対象物を撮影したものを用いることもできるし、(対象物の3次元モデルに貼り付けることができるものであれば)他の対象物の実写画像を用いることもできる。なお実写画像は、コンピュータで処理する必要があるため、デジタルカメラ等で撮影した画像データとすることが望ましいが、アナログカメラで撮影した写真をスキャニングしたラスターデータとすることもできる。
【0054】
対象物の3次元モデルに実写画像データを貼り付ける方法は、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、対象物の3次元モデルがDEMの場合、まず対象物の特徴ある点(又は部分)の空間座標をDEMの格子点(又はメッシュ)から求め、つぎに実写画像データ上でその特徴ある点(又は部分)を特定して空間座標を与え、これらを繰り返すことで実写画像データに必要数の空間座標を配置し、DEMの空間座標と実写画像データの空間座標に基づいてDEMのメッシュに対して画像を貼り付ける。なおこの場合、商品選択者が商品モデルと対象物モデルとの組み合わせをイメージしやすいように、実写画像は作成された対象物の3次元モデルの全体(全表面)に貼り付けることが望ましい。
【0055】
対象物モデルを作成するための、対象物構成点の空間座標、及び実写画像データは、既存のものを利用することもできるし、データ取得装置によって新たに取得してもよい。このデータ取得装置は、対象物構成点の空間座標とその商品の実写画像データを取得することができるもので、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの、デジタルカメラが種々角度を変えながら対象物を撮影することのできるもの、などがあげられる。
【0056】
(重ね合わせモデル)
重ね合わせモデルは、商品モデルを構成する空間座標と、対象物モデルを構成する空間座標に基づいて演算処理を行い、商品モデルと対象物モデルを相対的に空間配置して組み合わせたモデルである。具体的には、商品モデルの空間座標を定める商品座標系と、対象物モデルの空間座標を定める対象物座標系とを、所定の間隔(ズレ)を有するように空間配置し、商品モデルを構成する空間座標を対象物座標系に変換して、商品モデル及び対象物モデルを対象物座標系に同時に表現する。例えば、対象物座標系のX軸と商品座標系のX軸の間に間隔δxを設け、同じくY軸に間隔δy、Z軸に間隔δzをそれぞれ設けて対象物座標系と商品座標系を配置した場合、商品座標系で商品モデルを構成する空間座標(Xs、Ys、Zs)は、対象物座標系における(Xs+δx、Ys+δy、Zs+δz)に変換される。この場合、商品座標系の各座標軸と、対象物座標系の各座標軸がそれぞれ平行となるように両座標系を配置してもよいし、それぞれの各座標軸が傾斜するように両座標系を配置してもよい。また、商品モデルを構成する空間座標を対象物座標系に変換するのに代えて、対象物モデルを構成する空間座標を商品座標系に変換することもできるし、商品座標系及び対象物座標系とは異なる第三の座標系を設定して、商品モデルを構成する空間座標及び対象物モデルを構成する空間座標のそれぞれを第三の座標系に変換することもできる。
【0057】
重ね合わせモデルを作成する場合、両座標系の各軸の間隔(ズレ)や傾斜角が重要となる。この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせモデルを作成する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。また、この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせ操作をする間、適宜変更できるようにしておくことが望ましい。各軸の間隔や傾斜角の値は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。
【0058】
また、重ね合わせモデルを作成する際に、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角について初期設定する場合、商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点に基づいて設定することもできる。商品モデルの特徴点とは、例えば商品が衣類の場合、鎖骨に当たる点、肩に当たる点、胸に当たる点のことであり、この場合、鎖骨の点、両肩の点、胸を構成する点などが対象物モデルの特徴点となる。これら対応する商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点が一致するように、あるいは所定の間隔を有するように空間演算処理を行って両座標系の各軸の間隔や傾斜角が設定される。なお、商品モデルの特徴点と対象物モデルの特徴点は、それぞれのモデル作成時に設定しておいてもよいし、重ね合わせモデルを作成する際に、改めて指定することもできる。
【0059】
重ね合わせモデルは、モニターなどの表示手段で表示される。この場合、表示される重ね合わせモデルの表示姿勢は、重ね合わせモデルを視る位置(視点位置)及び重ね合わせモデルを視る方向(視点角度)によって定められる。重ね合わせモデルを視る「視点位置及び視点角度」(以下、「視点情報」という。)は、重ね合わせモデルを表示する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。視点情報のうち視点位置は、商品モデルを構成する空間座標と、対象物モデルを構成する空間座標の、両方の座標を規定する共通の座標系(つまり重ね合わせモデルの座標系)における3次元の空間座標であり、視点情報のうち視点角度は、視点位置を始点として重ね合わせモデルに向かう方向のことである。視点角度は、水平面内の方向と鉛直面内の方向とで表現することもできるし、視点位置の座標と、重ね合わせモデル(あるいはこの周辺)の任意点の座標で求めることもできる。
【0060】
視点情報が設定されると、視点位置と視点角度に基づいて商品モデルの表示姿勢と対象物モデルの表示姿勢が決定されてモニターなどの表示手段で表示される。視点位置から視て視点角度上に、商品モデルと対象物モデルの両方が重なって存在する場合、視点位置に近い方のモデルを表示させ、視点位置から遠い方のモデルは近いモデルに隠れていることを意味するので表示させない。なお衣服(商品)を対象物(人体)と組み合わせた(着た)場合、どこから重ね合わせモデルを視ても衣服が人体に隠れることはないはずであるが、仮に衣服が人体に隠れて表示されたとすると、視点情報の設定値に誤りがあるか、衣類のサイズがその身体に合わないか、のいずれかを意味している。このような場合には、表示手段によって警告をする機能を備えることもできる。
【0061】
視点情報は、モニターなどの表示手段で重ね合わせモデルを表示している間も、適宜変更できるような手段を備えることが望ましい。この視点情報の変更操作は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。なお表示された重ね合わせモデルは、視点情報を変更すると、これに応じて拡大、縮小、回転して再表示される。
【0062】
(実施形態1)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第1の実施形態について図1〜3に基づいて説明する。
【0063】
図1は、本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示す模式図、図3は、本願発明の商品選択システムの第1の実施形態を示すブロック図である。なおここでは、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。商品選択者である女性Aは、自宅で自身の人体を計測して空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。なお、人体の計測、実写画像撮影については、専門の施設(例えば証明写真を撮影するような施設など)で行ってもよいし、商品(この場合ジャケット)を提供する店頭にある設備を利用してもよい。
【0064】
女性Aは、人体を計測した空間座標データと実写画像データを、ジャケットの販売店である衣料品店に持ち込む。この衣料品店にあるコンピュータを用い、3次元モデル作成手段で人体の3次元モデルを作成し、さらに対象物モデル作成手段によって3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する。なお、自宅に3次元モデル作成手と対象物モデル作成手段があれば、自宅にて3次元モデルや対象物モデルを作成し、衣料品店に持ち込むこともできる。
【0065】
一方、この衣料品店では、様々な柄や種々の色の女性用ジャケットについて、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズそれぞれの商品モデルが用意されている。これらの商品モデルは、商品の3次元モデルにその商品の実写画像を貼り付ける商品モデル作成手段によって作成されている。
【0066】
衣料品店におかれたコンピュータには、対象物モデルを格納する対象物モデル記憶手段、商品モデルを格納する商品モデル記憶手段、重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えている。またこのコンピュータには、対象物モデル、商品モデル、重ね合わせモデルを表示することのできる表示手段(モニター)が設置されている。
【0067】
女性Aは、持参した対象物モデルデータを、対象物モデル記憶手段に格納し、モニターに女性用ジャケットの商品モデルを表示させる。このうち気に入ったジャケットの商品モデルと自身の対象物モデルを、モデル重ね合わせ手段によって重ね合わせ、モニターにその重ね合わせモデルを表示させる。ジャケットが気に入った場合、そのジャケットのSサイズ、Mサイズ、Lサイズそれぞれについて重ね合わせモデルを作成して、自身の人体に適合するサイズのジャケットを選択し、購入する。このように女性Aは、ジャケットを試着することなく、着衣イメージを明確にしながら商品を購入することができるし、衣料品店は、ジャケットの在庫がなくても(あるいはジャケットを店頭に陳列せずとも)女性Aに十分納得して商品を購入してもらうことができる。
【0068】
また、衣料品店にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは何も持参せずに、店頭で着衣イメージを持つことができる。さらに、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段(入力された視点情報に基づいて重ね合わせモデルの表示姿勢を決定する手段)を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0069】
(実施形態2)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第2の実施形態について図4〜5に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1と共通する。
【0070】
図4は、本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示す模式図、図5は、本願発明の商品選択システムの第2の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図4、図5に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0071】
対象物モデル装置1には、対象物モデル記憶手段4及び、表示手段5が備えられている。この対象物モデル記憶手段4は、対象物である女性A(全身)の3次元モデルに、女性A(全身)の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお、同じ女性Aの3次元モデルに対して異なる実写画像を貼り付けた対象物モデルは、それぞれ異なる対象物モデルとして記憶することができる。
【0072】
図4では、女性Aは自宅で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させているが、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また図4で女性Aは、ジャケットとコーディネイトしたい手持ち服を着て対象物モデルを作成しており、この場合、手持ち服を着替えて種々の対象物モデルを作成すると、色々な手持ち服と購入予定のジャケットをコーディネイトすることができて好適である。
【0073】
表示手段5は、通常、コンピュータに接続されるモニターであって、商品に関する情報(以下、「商品情報」という。)を表示することができる。商品情報は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信される情報であり、例えば、商品モデルの画像、商品のサイズ、商品の名前や商品番号、商品の値段、商品の製造者、商品の特徴、などが含まれる。
【0074】
商品モデル装置2には、商品モデル記憶手段6が備えられている。この商品モデル記憶手段6は、商品であるジャケットの3次元モデルに、ジャケットの実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお、同じジャケットの3次元モデルに対して、赤色のジャケットの実写画像を貼り付けた商品モデルと、青色のジャケットの実写画像を貼り付けた商品モデルは、それぞれ異なる商品モデルとして記憶することができる。商品モデルは、当該衣料品店で作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよいし、他の専門施設で商品モデルを作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよい。
【0075】
図4と図5に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認する。このとき、商品情報のうちの商品モデルの画像は、商品モデル記憶手段6から抽出した商品モデルを画像化したもので、商品モデル装置2から配信される。女性Aは、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。この通知手段は、通信回線3を介して伝達してもよいし、電話や書面等で通知してもよい。
【0076】
通知を受けた衣料品店からは、希望された全ての商品モデルのデータを女性Aに送る。この場合の送達手段も、通信回線3を介して伝達してもよいし、宅配便などその他の送達手段を利用してもよい。女性Aは、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、送達された商品モデルと対象物モデルを種々重ね合わせて重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0077】
なお、モデル重ね合わせ手段は、図6に示すように、衣料品店側や第3の施設に備えてもよく、その場合、女性Aは対象物モデルのデータを衣料品店側や第3の施設に送達し、そこで重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示されて、女性Aは最終的に購入するジャケットを選択することとなる。
【0078】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは対象物モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0079】
(実施形態3)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第3の実施形態について図7〜8に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜2と共通する。
【0080】
図7は、本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示す模式図、図8は、本願発明の商品選択システムの第3の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜2と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図7、図8に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0081】
本実施形態は、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に、対象物の3次元モデルを渡す場合を説明するものである。女性Aは、衣料品店に対して実写画像を送ることがないため、プライバシーが守られるという効果が得られる。
【0082】
図7と図8に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させる。この場合、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また、対象物モデルを作成する過程において作成された3次元モデルも対象物モデル記憶手段4に記憶させる。
【0083】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル記憶手段4から所望の3次元モデルのデータを抽出し、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図8)によって、抽出した3次元モデルのデータを、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0084】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図8)によって受信した3次元モデルのデータと、女性Aから通知された商品モデルで種々のサイズのものを、サイズ選定手段で重ね合わせる。なお、この重ね合わせの方法は、モデル重ね合わせ手段による方法と同様である。このサイズ選定手段によって、女性A(実際には女性Aの3次元モデル)と適合するサイズの商品モデルを選定し、通信回線3を介して対象物モデル装置1に送信する。この場合、適合するサイズは一つとは限らず複数のサイズが選定されることもある。なお商品モデルのデータは、商品モデル装置2に備えられた送信手段(図8)によって送信され、対象物モデル装置1に備えられた受信手段(図8)によって受信される。
【0085】
商品モデルのデータを受信した女性Aは、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルからなる重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0086】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは3次元モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0087】
(実施形態4)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第4の実施形態について図9〜10に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜3と共通する。
【0088】
図9は、本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示す模式図、図10は、本願発明の商品選択システムの第4の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜3と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図9、図10に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0089】
本実施形態は、商品モデル装置2において対象物モデルを作成する場合を説明するものである。女性Aは、3次元モデル作成手段や対象物モデル作成手段、対象物モデル記憶手段を、自宅に備える必要がないので、自宅の設備が軽減されるという効果が得られる。
【0090】
図9と図10に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅で対象物である自身の人体を計測して、人体を構成する点(対象物構成点)の空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。以下、人体を計測して取得した対象物構成点の空間座標のデータと、撮影して取得した実写画像データを、「計測情報」という。なお、人体の計測、実写画像撮影については、専門の施設(例えば証明写真を撮影するような施設など)で行ってもよいし、商品(この場合ジャケット)を提供する店頭にある設備を利用してもよい。
【0091】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図10)によって計測情報を、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0092】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図10)によって受信した計測情報に基づいて、女性Aの対象物モデルを作成する。また、この対象物モデルと、女性Aから通知された商品モデルに基づいて、モデル重ね合わせ手段により重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示され、女性Aは表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0093】
なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは計測情報を容易に取得することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0094】
(実施形態5)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第5の実施形態について図11〜12に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜4と共通する。
【0095】
図11は、本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示す模式図、図12は、本願発明の商品選択システムの第5の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜4と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図11、図12に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0096】
本実施形態は、実施形態4と同様、商品モデル装置2において対象物モデルを作成する場合を説明するものであるが、加えて女性Aは計測情報に代えて主要な寸法を商品モデル装置2に送るものである。このため、女性Aは、3次元モデル作成手段や対象物モデル作成手段、対象物モデル記憶手段4を、自宅に備える必要がないので、自宅の設備が軽減されるという効果に加え、計測する手間や写真を撮影する手間が軽減されるという効果も得られる。
【0097】
図11と図12に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅で対象物である自身の人体を計測して主要な寸法を取得する。ここで主要な寸法とは、人体の場合には身長、首まわり、胸囲、腹囲、手の長さ、股下長さなどであり、帽子の場合は頭部の外周、部屋の場合は幅、奥行き、高さなど内空を示す寸法、などがあげられる。
【0098】
女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。また、女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた送信手段(図12)によって、取得した主要な寸法を含む寸法データを、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。寸法データには、主要な寸法のほか、必要に応じて通常選ぶ商品のサイズ(S、M、Lなど)、性別、体重、年齢などの情報を含む場合がある。
【0099】
衣料品店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段(図12)によって受信した寸法データに基づいて、商品モデル装置2に備えられた対象物モデル記憶手段4の中から、最も女性Aの体形に合う対象物モデルを抽出する。対象物モデル記憶手段4に格納された複数の対象物モデルは予め寸法データと対応付けらており、商品モデル装置2に備えられた対象物モデル抽出手段は寸法データを手掛かりに対応する対象物データを検索し抽出する。なお、ここでの対象物データは、女性Aのものではなく、例えば衣料品店の店員やファッションモデルを対象に作成されたものであり、事前に用意されたものである。顧客から対象物データが提供されると、その寸法データとともに、累積的に対象物モデル記憶手段4に記憶していくこともできる。
【0100】
対象物モデル抽出手段によって抽出された対象物モデルと、女性Aから通知された商品モデルに基づいて、モデル重ね合わせ手段により重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルのデータが女性Aに送達されるか、又は作成された重ね合わせモデルの画像が女性Aの表示手段5に表示され、女性Aは表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0101】
対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりジャケットを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0102】
(実施形態6)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第6の実施形態について図13〜14に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されない基本的事項は、実施形態1〜5と共通する。
【0103】
図13は、本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示す模式図、図14は、本願発明の商品選択システムの第6の実施形態を示すブロック図である。なおここでも実施形態1〜5と同様、商品が女性用のジャケット、対象物が女性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、図13、図14に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者である女性Aの自宅に設置され、商品モデル装置2はジャケットの販売店である衣料品店に設置されている。
【0104】
本実施形態は、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に対して視点情報のみを送信し、商品モデル装置2から対象物モデル装置1に対して画像のみを送信する場合を説明するものである。女性Aは、衣料品店に対して体形を示す3次元モデルや実写画像を送ることがないため、プライバシーが守られるという効果が得られる。また、衣料品店は商品モデルのデータを送信することがないので、このデータの流出による乱用を防ぐことができるという効果も得られる。
【0105】
図13と図14に基づいて、商品選択者である女性Aが、この場合の商品であるジャケットを選択するまでの流れを説明する。女性Aは、自宅にあるコンピュータを用い、人体を計測した空間座標データ基づいて3次元モデル作成手段で3次元モデルを作成し、さらに対象物モデル作成手段によって3次元モデルに実写画像を貼り付けて対象物モデルを作成する。なお、女性Aの自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、女性Aは計測情報を容易に取得することができる。
【0106】
女性Aは、対象物モデル装置1に備えられた対象物モデル記憶手段4に、作成した対象物モデルを記憶させる。また女性Aは、衣料品店の商品情報(ここではジャケットの情報)を表示手段5で確認し、購入の候補となるいくつかのジャケットを選び出し、これら候補としたジャケットを衣料品店に通知する。衣料品店では、女性Aから通知された商品モデルの画像を配信し、この画像が女性Aの表示手段5に表示される。あわせて、女性Aの表示手段5には、対象物モデル記憶手段4から抽出した対象物モデルも表示する。
【0107】
つぎに女性Aは、商品モデルの画像と対象物モデルを表示手段で確認しながら、対象物モデル装置1に備えられたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルを重ねあわせる。具体的には、女性Aが、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力し、この入力した各軸の間隔や傾斜角を商品モデル装置2に送信する。商品モデル装置2では、受信した各軸の間隔や傾斜角に基づいて商品モデルを空間配置し、その空間配置された画像を対象物モデル装置1に配信する。対象物モデル装置1でも、入力した各軸の間隔や傾斜角に基づいて対象物モデルを空間配置し、表示手段5で表示する。なおこの場合、対象物モデルの方のみを商品座標系に変換することとし、対象物モデル装置1から商品モデル装置2に対して視点情報を送信することなく、商品モデルの空間配置は固定したままで画像を配信させることもできる。
【0108】
さらにモデル重ね合わせ手段は視点入力手段で入力された視点情報(又はデフォルトで設定された視点情報)に基づいて、商品モデルと対象物モデルの前後関係について演算処理を行って、商品モデルを対象物モデルに隠して、あるいは対象物モデルを商品モデルに隠して表示する。
【0109】
本実施形態によれば、対象物モデルのデータは対象物モデル装置1内に置かれたまま商品モデル装置2に渡されることがなく、また商品モデルのデータは商品モデル装置2内に置かれたまま(商品モデルの画像は配信されるが)対象物モデル装置1に渡されることがなく、対象物モデルと商品モデルを組み合わせた状態を対象物モデル装置1に備えられた表示手段5に表示することができる。女性Aは、表示手段5を確認しながら、最終的に購入するジャケットを選択する。
【0110】
なお、対象物モデル装置1に視点情報を入力する視点入力手段を備え、対象物モデル装置1及び商品モデル装置2に表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、すなわち対象物モデルと商品モデルを組み合わせた状態を、様々な角度から表示させることができる。具体的には、女性Aが、視点入力手段によって視点情報を入力し、この入力した視点情報を商品モデル装置2に送信する。商品モデル装置2では、受信した視点情報に基づいて商品モデルを空間配置し、その空間配置された画像を対象物モデル装置1に配信する。対象物モデル装置1でも、入力した視点情報に基づいて対象物モデルを空間配置し、表示手段5で表示する。
【0111】
(実施形態7)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第1の実施形態について図15〜16に基づいて説明する。
【0112】
図15は、本願発明の商品選択システムの第7の実施形態を示す模式図である。なおここでは、商品が家具、対象物が部屋の場合で説明する。商品選択者は、自宅で室内の一部を計測して対象物構成点の空間座標を取得し、あわせてデジタルカメラで実写画像を撮影する。本実施形態の商品選択システムは、図15に示すように、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1は商品選択者の自宅に設置され、商品モデル装置2は家具の販売店である家具店に設置されている。
【0113】
対象物モデル装置1には、対象物モデル記憶手段4及び、表示手段5が備えられている。この対象物モデル記憶手段4は、対象物である室内(一部)の3次元モデルに、室内(一部)の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。なお図16に示すように、同じ室内の3次元モデルに対して異なる実写画像、例えば昼間の状態の実写画像と夜間に照明を点灯した状態の実写画像を貼り付けた対象物モデルは、それぞれ異なる対象物モデル(昼間の対象物モデルと夜間の対象物モデル)として記憶することができる。これによって、部屋にソファ置いた状態でも昼間の明るい状態と、夜間の照明が灯った状態で確認することができて、より満足の得られる商品選択が可能となる。
【0114】
表示手段5は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信される商品情報を表示する。
【0115】
商品モデル装置2には、商品モデル記憶手段6が備えられている。この商品モデル記憶手段6は、商品である家具の3次元モデルに、家具の実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶することができる。商品モデルは、当該家具店で作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよいし、他の専門施設で商品モデルを作成して商品モデル記憶手段6に記憶させてもよい。
【0116】
図15に基づいて、商品選択者が、この場合の商品である家具を選択するまでの流れを説明する。商品選択者は、家具店の商品情報(ここでは家具の情報)を表示手段5で確認する。このとき、商品情報のうちの商品モデルの画像は、商品モデル記憶手段6から抽出した商品モデルを画像化したもので、商品モデル装置2から配信される。商品選択者は、購入の候補となるいくつかの家具を選び出し、これら候補とした家具を家具店に通知する。この通知手段は、通信回線3を介して伝達してもよいし、電話や書面等で通知してもよい。
【0117】
通知を受けた家具店からは、希望された全ての商品モデルのデータを、通信回線3を介して商品選択者に送る。商品選択者は、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、送達された商品モデルと対象物モデルを種々重ね合わせて重ね合わせモデルを作成する。これら作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的に購入する家具を選択する。
【0118】
商品選択者が複数の種類の家具を購入する場合、同一店舗から選択するのではなく、種々の店舗から選択することもできる。図15では、テーブルとテーブルマットとソファを購入するために商品選択しているが、第1の店舗からテーブルの商品モデルを受信し、第2の店舗からテーブルマットの商品モデルを受信し、さらに第3の店舗からソファの商品モデルを受信して、それぞれ重ね合わせモデルを作成することができる。また図15に示すように、まずはテーブル、つぎにテーブルとテーブルマット、最後にテーブルとテーブルマットとソファ、という要領で家具を累積的に室内に配置しておくと、ソファの配置スペースが確保できるか否かの判断が付きやすい。
【0119】
なお、商品選択者の自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、商品選択者は対象物モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまり家具を配置した室内の状態を様々な角度から表示させることができるので、より室内イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、家具の配置スペースの確認がより詳細に把握できる。
【0120】
(実施形態8)
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法の第8の実施形態について説明する。
【0121】
本実施形態は、対象物の3次元モデルに基づいて商品をオーダーメイドする場合について説明するものである。なおここでは、商品が紳士用のスーツ、対象物がこのスーツを購入する男性の人体(全身)の場合で説明する。本実施形態の商品選択システムは、対象物モデル装置1と商品モデル装置2が、通信回線3を介して接続されている。対象物モデル装置1はスーツを購入する男性(商品選択者)の自宅に設置され、商品モデル装置2はオーダーメイドを受ける紳士服店に設置されている。
【0122】
商品選択者は、対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させる。この場合、衣料品店や他の専門施設で対象物モデルを作成して対象物モデル記憶手段4に記憶させてもよい。また、対象物モデルを作成する過程において作成された3次元モデルも対象物モデル記憶手段4に記憶させる。
【0123】
一方、紳士服店では、様々なサイズのスーツの3次元モデルが用意され、商品モデル記憶手段に格納されている。また、オーダーメイドする際に選択できる、スーツ生地の色、スーツ生地の柄や模様、スーツのタイプ(ダブル/シングル)、ボタンの種類、といったオーダーメイド用データも商品モデル記憶手段に格納されている。なお、このオーダーメイド用データは、スーツの3次元モデルに実写画像を貼り付けて作成されるものである。
【0124】
商品選択者は、商品モデル装置2から通信回線3を介して配信されるオーダーメイド用データを表示手段5で確認する。このオーダーメイド用データは、スーツを作成するために必要な要素であり、商品選択者はこれら全ての要素に対して選択する必要がある。例えば、スーツ生地の色を決定するために複数の候補色が表示手段5に表示され、商品選択者はこのうち好みのものを選択して、紳士服店に通知する。次に、スーツ生地の柄や模様を決定するために複数の候補(柄と模様)が表示手段5に表示され、商品選択者はこのうち好みのものを選択して、紳士服店に通知する。このようにして、順次、スーツのタイプ(ダブル/シングル)、ボタンの種類などを選択し、紳士服店に通知する。
【0125】
さらに商品選択者は、対象物モデル記憶手段4から所望の3次元モデルのデータを抽出し、対象物モデル装置1に備えられた送信手段によって、通信回線3を介して商品モデル装置2に送信する。
【0126】
紳士服店では、商品モデル装置2に備えられた受信手段によって受信した3次元モデルのデータと、商品選択者によって決定されたオーダーメイド用データに基づいて、商品モデル作成手段によりスーツの商品モデルを作成する。この商品モデルのデータは、商品モデル装置2に備えられた送信手段によって送信され、対象物モデル装置1に備えられた受信手段によって受信される。
【0127】
商品モデルのデータを受信した商品選択者は、自宅のコンピュータに格納されたモデル重ね合わせ手段によって、商品モデルと対象物モデルからなる重ね合わせモデルを作成する。作成された重ね合わせモデルを表示手段5で確認しながら、最終的にそのスーツをオーダーするか否かを判断する。
【0128】
なお、商品選択者の自宅にデータ取得装置(例えば、光レーザー計測器とデジタルカメラをあわせ備えたもの)を設置しておけば、商品選択者は3次元モデルを容易に作成することができる。さらに対象物モデル装置1又は商品モデル装置2(あるいは両装置)に、視点情報を入力する視点入力手段、及び表示姿勢決定手段を備えれば、重ね合わせモデル、つまりスーツを着衣した状態を様々な角度から表示させることができるので、より着衣イメージを明確にすることができる。くわえて、商品座標系と対象物座標系の各軸の間隔や傾斜角を入力する手段、すなわち、商品モデルあるいは対象物モデルを相対的に移動させるモデル移動手段を備えれば、サイズの確認がより詳細に把握できる。
【0129】
本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段の実施形態について説明する。本願発明の体形管理システムは、図17に示すように、人の体について3次元モデルを作成し、過去の3次元モデルと現在の3次元モデルなど異なる時期の3次元モデルを比較し得るものである。また、この3次元モデルは、メッシュモデルを採用していることから、メッシュごとに対比することが可能で、詳細な部分における変化も視覚的に把握することができる。
【0130】
(3次元モデル)
3次元モデルは、人体の外形をなす多数の点(以下、「人体構成点」という。)に基づいて構成されるモデルである。これら商品構成点は、空間座標、つまり一般的には(X、Y、Z)で表現される3次元の座標を備え、人体構成点の3次元座標に基づいてDEMをはじめとする各種の空間メッシュモデルを作成することで人体の3次元モデルは構成される。DEMとは、3次元の空間情報(X、Y、Z)に基づいてメッシュや格子点が設けられるもので、さらにメッシュごとには代表点が算出される。この算出方法としては、多数の商品構成点から不整三角網より高さを求めるTIN(Triangulated Irregular Network)による補間法のほか、その格子に最も近い商品構成点を採用する最近隣法(Nearest Neighbor)や、その他、逆距離加重法(IWD)、Kriging法、平均法などの方法を採用することができる。
【0131】
商品構成点の座標は、計測することで取得される。この計測の方法としては、二以上の角度からカメラ撮影した実写画像を用いて座標を取得するステレオ法やレンズ焦点法、また光レーザーの反射を利用した光レーザー法、その他、アクティブステレオ法、照度差ステレオ法など、従来から用いられている非接触式の計測手段を用いることができる。なお、異時期の体形を比較するために人体は繰り返し計測されるが、計測時にはできるだけ同様の姿勢を保つことが望ましく、真直ぐに起立した姿勢で計測されるのがより望ましい。
【0132】
人体の外形を表現するためには、人体構成点相互の相対的な位置関係が重要であって、地球上の絶対的な座標は必要としない。このため、人体構成点の座標を特定するための座標系は、人体の3次元モデル用の任意座標系が用いられる。ここでは便宜上、人体の3次元モデル用の座標系を「人体座標系」と呼ぶ。人体座標系の座標軸、すなわちX軸、Y軸、Z軸は、任意の位置に配置することができるが、いずれも人体の周辺に配置することが望ましい。一例を示せば、立位姿勢の人体の両足元中央付近に原点を置くような座標軸配置とすれば、異時期の3次元モデルと組み合わせる際の演算処理が容易となる。なお、この任意座標系である「人体座標系」は、3次元モデルを作成するたびに変更することもできるし、常に同じものを利用することもできる。
【0133】
(モデルの重ね合わせ)
ここでは便宜上、第1の時期に計測した人体の3次元モデルを「第1の3次元モデル」、第2の時期に計測した人体の3次元モデルを「第2の3次元モデル」として、説明する。異時期の3次元モデルを重ね合わせたモデル(以下、「重ね合わせモデル」という。)は、第1の3次元モデルを構成する空間座標と、第2の3次元モデルを構成する空間座標に基づいて演算処理を行い、二つ3次元モデルを相対的に空間配置して組み合わせたモデルである。具体的には、第1の3次元モデルの空間座標を定める「第1の人体座標系」と、第2の3次元モデルの空間座標を定める「第2の人体座標系」とを、所定の間隔(ズレ)を有するように空間配置し、第1の3次元モデル(第2の3次元モデル)の空間座標を第2の人体座標系(第1の人体座標系)に変換して、二つの3次元モデルを同一の座標系に同時に表現する。例えば、第1の人体座標系のX軸と商品座標系のX軸の間に間隔δxを設け、同じくY軸に間隔δy、Z軸に間隔δzをそれぞれ設けて第1の人体座標系と商第2の人体座標系を配置した場合、第1の人体座標系で第2の3次元モデルを構成する空間座標(X2、Y2、Z2)は、対象物座標系における(X2+δx、Y2+δy、Z2+δz)に変換される。この場合、第1の人体座標系の各座標軸と、第2の人体座標系の各座標軸がそれぞれ平行となるように両座標系を配置してもよいし、それぞれの各座標軸が傾斜するように両座標系を配置してもよい。また、第1の人体座標系及び第2の人体座標系とは異なる座標系を設定して、第1の3次元モデルを構成する空間座標及び第2の3次元モデルを構成する空間座標それぞれを共通の座標系に変換することもできる。
【0134】
重ね合わせモデルを作成する場合、両座標系の各軸の間隔(ズレ)や傾斜角が重要となる。この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせモデルを作成する際にその都度設定することもできるし、基本的な値(デフォルト値)を定めておくこともできる。また、この各軸の間隔や傾斜角は、重ね合わせ操作をする間、適宜変更できるようにしておくことが望ましい。各軸の間隔や傾斜角の値は、キーボードによって直接数値を入力してもよいが、モニター表示された商品モデルと対象物モデルを確認しながらマウス操作によって設定する方が重ね合わせモデルをイメージしやすいので好適である。
【0135】
また、重ね合わせモデルを作成する際に、第1の人体座標系と第2の人体座標系の各軸の間隔や傾斜角について初期設定する場合、人体の3次元モデルの特徴点に基づいて設定することもできる。人体の3次元モデルの特徴点とは、頭頂部、顎先の点、両肩の点、指先の点、肘やひざの点など、その人体を特定するために認識しやすい特異な点である。第1の3次元モデルと第2の3次元モデルについて、これら特徴点同士が一致するように、あるいは所定の間隔を有するように空間演算処理を行って両座標系の各軸の間隔や傾斜角が設定される。なお、人体の3次元モデルの特徴点は3次元モデル作成時に設定しておいてもよいし、重ね合わせモデルを作成する際に、改めて指定することもできる。
【0136】
重ね合わせモデルを作成すると、メッシュごとに比較する。具体的には、第1の3次元モデルのメッシュと、このメッシュに対応する第2の3次元モデルのメッシュとの空間座標に基づいて比較され、2時期のメッシュの代表点どうしを比較することができる。2時期のメッシュ代表点が一致又は、2時期のメッシュ代表点の座標差(離隔)が事前に設定されたしきい値以下であれば、そのメッシュは変化なしと判断することができる。逆に、2時期のメッシュ代表点の座標差(離隔)が事前に設定されたしきい値以上であれば、そのメッシュ変化ありと判断することができる。なお、2時期のメッシュを対応させる方法は、代表点の座標が最も近いもの、つまり座標差(離隔)が最小となるものを対応するメッシュとして選択することができる。
【0137】
重ね合わせモデルを作成してメッシュごとに比較した結果は、図17に示すように、変化なしと判断されたメッシュは無色で表示し、変化ありと判断されたメッシュは着色表示することができる。あるいは、逆に、変化ありと判断されたメッシュに関しては、その変化度合によって色を変えることもできるし、直接座標差(離隔)を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本願発明の商品選択システム、及び商品モデル装置と対象物モデル装置と対象物データ取得装置と通信販売方法は、衣服、靴、帽子、眼鏡、装飾品など人が身に着けるもの、家具、カーテン、壁紙、照明器具など室内に置くもの、その他、庭に植える樹木やブロック、車庫内に入庫させる車、車に装着するタイヤなど種々の商品と対象物に利用することができる。また、本願発明の体形管理システムと非接触式計測手段は、自宅をはじめ学校、スポーツクラブ、病院、保険所、健康診断施設で利用できるほか、ペットや動物園の動物などにも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 対象物モデル装置
2 商品モデル装置
3 通信回線
4 対象物モデル記憶手段
5 表示手段
6 商品モデル記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示可能な商品選択システムであって、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、
前記商品モデルと前記対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、
前記重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする商品選択システム。
【請求項2】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを送信する商品モデル装置であって、
前記商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び通信回線を介して前記商品モデルを送信する送信手段を備え、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を備え、更に、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えるとともに、前記表示手段によって前記重ね合わせモデルを表示する対象物モデル装置に対して、
前記送信手段が前記商品モデルを送信することを特徴とする商品モデル装置。
【請求項3】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを受信する対象物モデル装置であって、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段と、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、
商品に関する情報を表示する表示手段と、
商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、
前記商品モデルは、商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び商品モデルを送信する送信手段を備えた商品モデル装置から、通信回線を介して送信され、
前記重ね合わせモデルは、前記表示手段によって表示されることを特徴とする対象物モデル装置。
【請求項4】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、対象物の空間座標及び実写画像を取得する対象物データ取得装置であって、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルと、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルとを、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するために、
対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の画像を取得する画像取得手段を備えたことを特徴とする対象物データ取得装置。
【請求項5】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示して購入する商品を選択する通信販売方法であって、
販売者は、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルを作成し、この商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを作成し、商品モデル記憶手段に商品モデルを記憶させ、この商品モデルの画像を含む商品情報を配信し、
購入者は、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルを作成し、この対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを作成し、対象物モデル記憶手段に対象物モデルを記憶させ、販売者から通信回線を介して配信される商品情報を表示し、商品を指定すると購入者から通信回線を介して前記指定した商品の商品モデルが送信され、受信した前記商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成し、その重ね合わせモデルを表示手段によって表示することで購入する商品を選択することを特徴とする通信販売方法。
【請求項6】
人の体形の経時変化を管理し得るシステムであって、
人体を非接触方式で計測して空間座標を得る非接触式計測手段と、
メッシュで構成される3次元モデルを、前記非接触式計測手段で得られた空間座標に基づいて作成するモデル作成手段と、
前記3次元モデル及び計測時期を記憶する記憶手段と、
前記3次元モデルを表示する表示手段と、
前記異なる時期の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、異なる時期の3次元モデルを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、
前記記憶手段は、異なる時期の計測による3次元モデルを、異なる3次元モデルとして記憶可能であり、
前記表示手段は、異なる3次元モデルを重ね合わせて表示可能であり、メッシュごとに体形の経時変化を目視し得ることを特徴とする体形管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の体形管理システムに利用される人体の空間座標を、非接触方式で計測して取得可能であることを特徴とする非接触式計測手段。
【請求項1】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示可能な商品選択システムであって、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段と、
前記商品モデルと前記対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、
前記重ね合わせモデルを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする商品選択システム。
【請求項2】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを送信する商品モデル装置であって、
前記商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び通信回線を介して前記商品モデルを送信する送信手段を備え、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段、及び商品に関する情報を表示する表示手段を備え、更に、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段を備えるとともに、前記表示手段によって前記重ね合わせモデルを表示する対象物モデル装置に対して、
前記送信手段が前記商品モデルを送信することを特徴とする商品モデル装置。
【請求項3】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、商品モデルを受信する対象物モデル装置であって、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを受信する受信手段と、
複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに画像を貼り付けた対象物モデルを記憶する対象物モデル記憶手段と、
商品に関する情報を表示する表示手段と、
商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、
前記商品モデルは、商品モデルを記憶する商品モデル記憶手段、及び商品モデルを送信する送信手段を備えた商品モデル装置から、通信回線を介して送信され、
前記重ね合わせモデルは、前記表示手段によって表示されることを特徴とする対象物モデル装置。
【請求項4】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示するために、対象物の空間座標及び実写画像を取得する対象物データ取得装置であって、
複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルと、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルとを、商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するために、
対象物を計測してこの対象物の空間座標を取得する計測手段、及び対象物の画像を取得する画像取得手段を備えたことを特徴とする対象物データ取得装置。
【請求項5】
商品の商品モデルと、その商品と組み合わせる対象物の対象物モデルを、重ね合わせて表示して購入する商品を選択する通信販売方法であって、
販売者は、複数の空間座標で構成される商品の3次元モデルを作成し、この商品の3次元モデルに実写画像を貼り付けた商品モデルを作成し、商品モデル記憶手段に商品モデルを記憶させ、この商品モデルの画像を含む商品情報を配信し、
購入者は、複数の空間座標で構成される対象物の3次元モデルを作成し、この対象物の3次元モデルに実写画像を貼り付けた対象物モデルを作成し、対象物モデル記憶手段に対象物モデルを記憶させ、販売者から通信回線を介して配信される商品情報を表示し、商品を指定すると購入者から通信回線を介して前記指定した商品の商品モデルが送信され、受信した前記商品モデルと対象物モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って商品モデルと対象物モデルとを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成し、その重ね合わせモデルを表示手段によって表示することで購入する商品を選択することを特徴とする通信販売方法。
【請求項6】
人の体形の経時変化を管理し得るシステムであって、
人体を非接触方式で計測して空間座標を得る非接触式計測手段と、
メッシュで構成される3次元モデルを、前記非接触式計測手段で得られた空間座標に基づいて作成するモデル作成手段と、
前記3次元モデル及び計測時期を記憶する記憶手段と、
前記3次元モデルを表示する表示手段と、
前記異なる時期の3次元モデルそれぞれの空間座標に基づいて演算処理を行って、異なる時期の3次元モデルを重ね合わせた重ね合わせモデルを作成するモデル重ね合わせ手段と、を備え、
前記記憶手段は、異なる時期の計測による3次元モデルを、異なる3次元モデルとして記憶可能であり、
前記表示手段は、異なる3次元モデルを重ね合わせて表示可能であり、メッシュごとに体形の経時変化を目視し得ることを特徴とする体形管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の体形管理システムに利用される人体の空間座標を、非接触方式で計測して取得可能であることを特徴とする非接触式計測手段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−198112(P2011−198112A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64840(P2010−64840)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(390023249)国際航業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
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