説明

回収ポリエチレンテレフタレートを使用したインフレーションフィルム及びその製造方法。

【課題】回収PETの配合率が高くとも、優れたフィルム特性、各種機械的強度、あるいはシール強度、シール部衝撃強度等を持ち、ごみ袋として使用した場合にも破袋しにくく、かつ、燃焼エネルギーあるいは炭酸ガスの発生が抑制でき、酸素透過度が低く保香性に優れている、ごみ袋、レジ袋等として好適に用いることができる、回収PETを再利用したインフレーションフィルムを提供する。
【解決手段】回収PET樹脂40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂10〜60重量部、及び増粘剤1〜20重量部(但し、三成分中の回収PET樹脂の含有量が35重量%以上)を二軸押出機により溶融混練しペレットとした後、該ペレットをインフレーション法にてフィルムに成形し、インフレーションフィルムを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にごみ袋あるいはレジ袋等に好適な、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂を再利用したインフレーションフィルム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルは、清涼飲料水、果汁、酒類、化粧品、医薬品等の容器として大量に消費されており、これに伴い、使用済みPETボトルの再利用が検討されてきた。しかしながら、使用済みPETボトルは、ラベル、不純物等を除去・洗浄の後、粉砕されてフレーク状の粉末とし、あるいはこれをペレット化して再利用をしようとしても、分子量の低下が著しく、また、加熱溶融すると粘度が不足するため、インフレーション成形等の適用が困難で、再利用できる分野が限られている、という問題点があった。
【0003】
そこで、回収PETの品質を向上させる方法が検討され、フレークあるいはペレットを、架橋剤、固相重合、あるいはカルボキシル基を3個以上有する化合物、等によって高分子化する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、回収PETの改質に長時間を要したり、インフレーション成形には未だ十分に適しない、という欠点があった。
【0004】
更に、優れた物性をもち、熱可塑性であるためインフレーション成形等でフィルムに容易に成形できるポリエチレンを利用し、これと回収PETとからなる組成物をインフレーション成形し再利用する方法が検討されてきた。ポリエチレンとPETとは、基本的には非相溶であるため、相溶化剤の配合が不可欠であるとされ、配合できる相溶化剤が種々開発されている。例えば、エポキシ変性エチレン系共重合体、アイオノマー樹脂、カルボン酸変性エチレン系共重合体、芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体、エチレン単位とエステル基を有する単位からなる二元共重合体、あるいは三元共重合体、等が開示されている(特許文献2)。
かかるPETとポリエチレンからなる樹脂組成物は、どちらか一方の樹脂を過剰(例えば70重量%以上)に用いてマトリック層とし、他の少量の樹脂を分散層とする海島構造をとらせ、海島構造をとる組成物の機械的強度等を良好に保つために、そのマトリック層と分散層界面の接着強度を相溶化剤により高く保っている、と言われている。
【0005】
この、回収PET、ポリエチレン、相溶化剤からなるインフレーションフィルムは、各種用途が報告されているが、ポリエチレンと比較して焼却しても燃焼カロリーが低いこと、炭酸ガスの発生量が少ないこと、更にそのままで半透明であること、等により、ごみ袋、あるいはレジ袋等としての用途が期待されている。しかしながら、これまで報告されたポリエチレン樹脂、相溶化剤あるいはインフレーションフィルムの製造方法では、PETの配合率が低くポリエチレンの配合率が高い場合は、フィルム物性も袋として実用の範囲内あるいはそれに近いものであり、かつ、実際にごみ袋として使用できるものであるが、PETの配合率が高くポリエチレンの配合率が低い場合は、上述の通り、組成物が海島構造をとっていること、あるいは結晶化が進むこと、等の要因によるものと推察されるが、機械的強度の低下は顕著にはみられないものの、実際にごみ袋として使用した場合、袋づめしたり、袋の口をしばったり、袋を運搬したりする場合に、破袋しやすいという欠点があった。また、PETとポリエチレンの配合比を任意の割合、例えば同程度の配合比、とすると相溶性が低下し、インフレーション成形により良質なフィルムを得ることが困難であること、という欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−241598号公報、同2003−96175号公報、同2004−9577号公報
【特許文献2】特開2000−256517号公報、同2001−220473号公報、同2002−155153号公報、同2003−238786号公報、同2003−292740号公報、同2004−204210号公報、同2004−346086号公報、同2004−346249号公報、同2004−346251号公報、同2006−117709号公報、同2007−70522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、回収PET樹脂を高配合した、優れたフィルム特性、例えば機械的強度あるいはシール強度等を持ち、ごみ袋、レジ袋等として使用した場合にも破袋しにくく、好適に使用できるインフレーションフィルム、袋、及び該インフレーションフィルムの製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、インフレーションフィルムの各種物性を改善し、ごみ袋のみならず、高級ファッションバッグ等を含め各種用途に対応できる、回収PET樹脂とポリエチレン系樹脂を任意の割合に配合できるインフレーションフィルム、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意研究の結果、増粘剤を使用し、2軸押出機で樹脂を同時に溶融混練することにより、更に、溶液重合法によるポリエチレンを添加することにより、各種強度の向上を図るとともに、ごみ袋等として使用した場合も破袋しにくいことを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂(B)10〜60重量部、及び増粘剤(C)1〜20重量部からなる樹脂組成物(但し、該樹脂組成物中の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の含有量が35重量%以上)を、インフレーション法にてフィルム成形した、インフレーションフィルム、
(2)増粘剤(C)が、エポキシ基を含有する化合物(C−1)である、上記(1)記載のインフレーションフィルム、
(3)ポリエチレン系樹脂(B)が、メタロセン触媒によって重合されたもの(B−1)である、上記(1)乃至(2)に記載のインフレーションフィルム、
(4)ポリエチレン系樹脂(B)が、メタロセン触媒によって重合されたもの(B−1)と、溶液重合法によって重合されたもの(B−2)の混合物である、上記(1)乃至(2)に記載のインフレーションフィルム、
(5)更に、エラストマー樹脂(D)1〜10重量部が添加された、上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載のインフレーションフィルム、
(6)エラストマー樹脂(D)が、低結晶性あるいは非晶性のプロピレン−α−オレフィン共重合体(D−1)である、上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載のインフレーションフィルム、
(7)インフレーションフィルムの引張強度(JIS−K7130)が40Mpa以上、シール強度(JIS−Z1707)が1000gf/15mm以上、シール部衝撃強度(JIS−P8134に準拠)が3kgf・cm以上である、上記(1)乃至(6)のいずれか一に記載のインフレーションフィルム、
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか一に記載のインフレーションフィルムの、少なくとも一端をヒートシールした袋、
(9)袋が、ごみ袋、レジ袋である、上記(8)記載の袋、
(10)袋が、ファッションバッグである、上記(8)記載の袋、
(11)回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂(B)10〜60重量部、及び増粘剤(C)1〜20重量部(但し、これら三成分中の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の含有量が35重量%以上)を二軸押出機により同時に溶融混練、ペレット化し、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物とした後、該樹脂組成物をインフレーション法にてフィルムに成形することを特徴とする、インフレーションフィルムの製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインフレーションフィルムは、回収PET樹脂が高配合であるにもかかわらず、増粘剤の使用及び二軸押出機による溶融混練のため、優れたフィルム特性、例えば、引張強度、衝撃強度、突刺引裂強度等の機械的強度、あるいはシール強度、シール部衝撃強度等を持つとともに、ごみ袋として実際に使用した場合にも破袋しにくい。また、回収PETが高配合されていることから、燃焼エネルギーあるいは炭酸ガスの発生が抑えられとともに、酸素透過度が低く保香性に優れているために、ごみ袋、レジ袋等として好適に再利用することができる。
更に、回収PET樹脂とポリエチレン系樹脂を任意の割合で配合できるため、容易に、各種用途、例えばファッションバッグ等、に応じたフィルム特性を持つインフレーションフィルムとすることができ、回収PETの再利用に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインフレーションフィルムは、回収ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(A)、ポリエチレン系樹脂(B)及び増粘剤(C)からなる樹脂組成物を、インフレーション成形したものである。
【0011】
本発明に用いられる回収PET樹脂(A)は、特に制限はなく、使用済み各種PET製品を回収したもの、あるいはPET製品の製造時に発生する不良品・成形屑等が挙げられる。これらは、公知の方法により、洗浄、乾燥、粉砕、再溶融等の工程を経て、フレーク状あるいはペレット状として用いることができる。
【0012】
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂(B)は、エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレンとビニルモノマーとの共重合体、エチレン単位を主な繰り返し単位とする重合体、であれば特に制限はないが、これらのうち、メタロセン触媒により重合されたポリエチレン(B−1)、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等、中でもメタロセン触媒により重合されたLLDPEが特に好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂(B)として、メタロセン触媒により重合されたポリエチレン(B−1)と、溶液重合法で重合されたポリエチレン(B−2)、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等との混合物を用いると、得られたフィルムが、ごみ袋として使用した場合でも、特に、破袋しにくい袋が得られるという作用効果を奏する。かかる混合物は、(B−1):(B−2)=9〜1:1〜9(重量比)の範囲で用いることが望ましい。
【0013】
本発明で用いられる増粘剤(C)は、回収PET樹脂(A)の融点+25℃、2.16kg荷重条件におけるMRFを低下させる化合物であれば特に制限はないが、エポキシ基(オキシラン基)を含有する化合物(C−1)がMRFを低下させる効果が大きく、分子中にエポキシ基を持つエポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体、等が、特に好適に用いられる。
【0014】
エポキシ基含有ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂に不飽和エポキシ化合物あるいは不飽和グリシジル化合物を、押出機の中で溶融、グラフト重合させたものが、簡便で好ましい。
また、ポリエステル樹脂とエポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体を含むもの、に用いられるポリエステル樹脂は、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族又は脂環族グリコールを主体としたものであり、非晶性あるいは結晶性のいずれでもよいが、非晶性のものが好ましい。エポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体としては、特に制限はないが、ビニル芳香族モノマー22〜99重量%、グリシジルアルキル(メタ)アクリレート1〜80重量%、及びアルキル(メタ)アクリレート0〜70重量%からなる共重合体が好ましい。
エポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体は、ポリエステル樹脂1重量部に対して、0.1重量部〜1重量部程度用いることが好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂とエポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体は、予め、これらを溶融混練してペレット等とし、回収PET樹脂(A)と混練してもよく、また、回収PET樹脂(A)にポリエステル樹脂、エポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体を添加し、同時に混練することもできる。
【0016】
これら化合物としては、例えば、東洋紡績製バイロン(登録商標)RF−100−C01、RF−100−C05、等を例示することができる。
【0017】
また、エポキシ基あるいはグリシジル基を含有した共重合体としては、オレフィンと不飽和エポキシ化合物からなる共重合体が好適に用いられる。
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等が、中でもエチレンが好適に、また、不飽和エポキシ化合物としては、脂肪酸グリシジルエステル・エーテル、脂環グリシジルエステル・エーテル等が、中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好適に、用いられる。
【0018】
また、これら2種類以外のモノマーを含む共重合体も用いることができ、該モノマーとしては、不飽和カルボン酸エステル等を例示することができる。
【0019】
これら化合物としては、例えば、アルケマ社製LOTADAR(登録商標)GMA等を例示することができる。
【0020】
本発明において、樹脂組成物に、更に、エラストマー樹脂(D)を添加することができる。エラストマー樹脂を添加することにより、フィルムに柔軟性を付与することができる。
用いられるエラストマー樹脂(D)は任意であるが、中でも、低結晶性あるいは非晶性のプロピレン−α−オレフィン共重合体(D−1)が好ましい。かかる重合体としては、例えば、三井化学社製タフマー(登録商標)等を例示することができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、回収PET樹脂(A)40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂(B)10〜60重量部、及び増粘剤(C)1〜20重量部からなるものであり、該樹脂組成物中に、回収PET樹脂(A)を35重量%以上、好ましくは40〜85重量%、より好ましくは40〜70重量%含有するもの、である。
回収PET樹脂(A)がこれより少ないと、燃焼エネルギー、炭酸ガス発生の抑制効果が十分でなく好ましくない。
増粘剤が1重量部未満であれば機械的強度の向上が十分でなく、一方、20重量部を超えると高価になるばかりでなく、増粘効果が過剰となり成形性に悪影響を与える場合があり、好ましくない。
また、エラストマー樹脂(D)を添加する場合は、1〜10重量部を添加することが望ましい。これを超えて用いると、他の物性に悪影響を及ぼす場合があり、好ましくない。
【0022】
本発明において、樹脂組成物には、公知の相溶化剤、あるいは他の熱可塑性樹脂等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
また、酸化防止剤を配合することもでき、その他、スリップ剤、安定剤、着色剤、等の公知の添加剤を用いることもできる。
【0023】
本発明のインフレーションフィルムは、引張強度(JIS−K7130)が40Mpa以上、シール強度(JIS−Z1707)が1000gf/15mm以上、シール部衝撃強度(JIS−P8134に準拠)が3kgf・cm以上であることが望ましい。
また、衝撃強度(JIS−P8134に準拠)が2.5kgf・cm以上、引裂強度(軽荷重引裂試験機)が30gf以上、突刺強度(JIS−K1707に準拠)が250gf以上、であることが更に好ましい。
これら特性値がこの範囲であると、ごみ袋用ポリエチレンフィルムと同等以上、また、実用的強度を持つと言われている回収PET樹脂の配合量が20〜30重量%程度のインフレーションフィルムと同等以上であり、ごみ袋、レジ袋として好適に用いることができる。
【0024】
本発明のインフレーションフィルムは、回収PET樹脂(A)、ポリエチレン系樹脂(B)及び増粘剤(C)、必要に応じてエラストマー(D)を、二軸押出機により同時に溶融混練し、ペレット化して、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物としたのち、インフレーション成形することが好ましい。
二軸押出機により溶融混練することにより、回収PET樹脂を脱水すると共に、特定の増粘剤あるいは特定のポリエチレンの使用とあいまって、十分に細かく均一に分散した海島構造を有する樹脂組成物とすることができ、その結果、フィルム特性をさらに向上させること、あるいは任意の割合で回収PET(A)及びポリエチレン系樹脂(B)を配合すること、ができる。
【0025】
二軸押出機でペレット化された樹脂組成物は、乾燥し水分含有率を200ppm程度以下にすることが好ましく、引き続き、公知の装置・方法により、インフレーション成形し、インフレーションフィルムとすることができる。
成形条件は公知の条件が適用できるが、例えば、引取速度は10〜100m/min、ブロー比は2.0〜6.0の条件が好ましい。
【0026】
本発明のインフレーションフィルムは、少なくとも一端をヒートシールすることにより、ごみ袋、レジ袋、ファッションバッグ等の袋とすることができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
なお、本実施例中のフィルム特性は、以下の方法により測定した。
(1)厚み:JIS−K7130に準じて測定した。
(2)引張強度:JIS−K7130に準じて測定した。
(3)衝撃強度:東洋精機製の「パンクチャーテスター」試験機を用い、1/2インチの半球状ヘッドを用いて、JIS−P8134に準拠して測定した。
(4)引裂強度:東洋精機製の「軽荷重引裂試験機」を用い、JIS−Z1707に準拠して測定した。
(5)突刺強度:JIS−K1707に準拠し、直径1mm、先端R0.5mmの半円形サファイア針を用い、50mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するときの荷重を測定した。
(6)シール強度:チューブ状インフレーションフィルムの一端を、シール温度215℃、シール巾3mm、シール圧1.5kgf/cm2G、1秒の条件でヒートシールし45Lごみ袋を作製し、シール強度をJIS−Z1707に準じて測定した。
(7)シール部衝撃強度:チューブ状インフレーションフィルムの一端を、シール温度215℃、シール巾3mm、シール圧1.5kgf/cm2G、1秒の条件でヒートシールし45Lごみ袋を作製し、東洋精機製の「パンクチャーテスター」試験機を用い、1/2インチの半球状ヘッドを用いて、JIS−P8134に準拠して底部(ヒートシール部)の衝撃強度を測定した。
(8)酸素透過度:モコン法(20℃80%RH)により、JIS−K7126に準じて測定した。
【0028】
実施例1
回収ポリエチレンテレフタレート樹脂フレーク(Sunny社製、PET Flakes)72重量部、ポリエチレン系樹脂(密度0.925g/cm、MRF1.9g/10minのメタロセン触媒によるエチレンとヘキセン−1との共重合メタロセンLLDPE)36重量部、増粘剤(エポキシ変性ポリエステル樹脂、東洋紡績製バイロンRF−100−C05)12重量部を、二軸押出機を用いて270℃にて溶融混練、ペレット化し、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物とした。
次いで該樹脂組成物を乾燥後、インフレーション成形機(ダイ200mmφ)を用い、樹脂温度270℃に加熱溶融し、引き取り速度20m/minでインフレーション成形し、本発明のインフレーションフィルム(22μm)を得た。
得られたインフレーションフィルムの特性を表1に示す。
【0029】
実施例2
回収ポリエチレンテレフタレート樹脂フレーク(Sunny社製、PET Flakes)70重量部、密度0.925g/cm、MRF1.9g/10minのメタロセン触媒によるエチレンとヘキサン−1との共重合LLDPE13.2重量部、密度0.923g/cm、MRF1.3g/10minの溶液重合法によるエチレンとオクテン−1との共重合LLDPE13.2重量部、及び増粘剤(グリシジルメタクリレートとエチレンの二元共重合体、アルケマ社製ロタダーGMA AX8840)3.6重量部を、二軸押出機を用いて270℃にて溶融混練、ペレット化し、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物とした。
以下、実施例1と同様にインフレーション成形することにより、本発明のインフレーションフィルム(27μm)を得た。
得られたインフレーションフィルムの特性を表1に示す。
【0030】
実施例3
実施例2の条件のままで、厚さ22μmのインフレーションフィルムを成形した。
得られたインフレーションフィルムの特性を表1に示す。
【0031】
比較例1
回収ポリエチレンテレフタレート樹脂フレーク(Sunny社製、PET Flakes)70重量部、ポリエチレン系樹脂(密度0.925g/cm、MRF1.9g/10minのメタロセン触媒によるエチレンとヘキセン−1との共重合メタロセンLLDPE)26.4重量部、増粘剤(グリシジルメタクリレートとエチレンの二元共重合体、アルケマ社製ロタダーGMA AX8840)3.6重量部を、二軸押出機を用いて270℃にて溶融混練、ペレット化し、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物とした。
以下、実施例1と同様にインフレーション成形することにより、本発明のインフレーションフィルム(20μm)を得た。
得られたインフレーションフィルムの特性を表1に示す。
【0032】
比較例2
市販の45L用ポリエチレン製ごみ袋(商品名:三井化学ファブロ製「カモメパック」、主成分LLDPE)を用い、各種物性を測定した。
得られた特性を表1に示す。
【0033】
比較例3
市販の45Lポリエチレン製ごみ袋(商品名:日本技研製「タフなゴミ袋」、半透明、主成分HDPE)を用い、各種物性を測定した。
得られた特性を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
評価例
実施例2及び比較例1で得られたチューブ状インフレーションフィルムの一端をヒートシール(1.5kgf/cm2G×1秒、シールバー3mm幅、シール温度215℃)し、45Lごみ袋を作製した。これらのごみ袋と、比較例3のごみ袋(45L)に、家庭用可燃ごみとして新聞紙4kgをそれぞれに入れた後、ごみ袋の口を結び、1mの高さ(ごみ袋の底部)から、連続5回、自然落下させ、ごみ袋の状態を観察した。
その結果、実施例2で作製したごみ袋、比較例3のごみ袋は5回目まで破袋がみられなかったが、比較例1で作製したごみ袋は1回目で破袋した。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のインフレーションフィルムは、回収PET樹脂が高配合されたものであるにもかかわらず、優れたフィルム特性、例えば、引張強度、衝撃強度、突刺引裂強度等の機械的強度、あるいはシール強度、シール部衝撃強度等を持ち、ごみ袋等として実際に使用した場合にも破袋しにくく、また、燃焼エネルギーあるいは炭酸ガスの発生が抑制でき、酸素透過度が低く保香性に優れているため、ごみ袋、レジ袋等として好適に再利用することができる。
また、回収PET樹脂とポリエチレン系樹脂を任意の割合で配合できるため、インフレーションフィルム特性の改善が可能で、容易に、ファッションバッグ等各種用途に好適に用いられるフィルムとすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂(B)10〜60重量部、及び増粘剤(C)1〜20重量部からなる樹脂組成物(但し、該樹脂組成物中の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の含有量が35重量%以上)を、インフレーション法にてフィルム成形した、インフレーションフィルム。
【請求項2】
増粘剤(C)が、エポキシ基を含有する化合物(C−1)である、請求項1記載のインフレーションフィルム。
【請求項3】
ポリエチレン系樹脂(B)が、メタロセン触媒によって重合されたもの(B−1)である、請求項1乃至2に記載のインフレーションフィルム。
【請求項4】
ポリエチレン系樹脂(B)が、メタロセン触媒によって重合されたもの(B−1)と、溶液重合法によって重合されたもの(B−2)の混合物である、請求項1乃至2に記載のインフレーションフィルム。
【請求項5】
更に、エラストマー樹脂(D)1〜10重量部が添加された、請求項1乃至4のいずれか1項記載のインフレーションフィルム。
【請求項6】
エラストマー樹脂(D)が、低結晶性あるいは非晶性のプロピレン−α−オレフィン共重合体(D−1)である、請求項1乃至5のいずれか1項記載のインフレーションフィルム。
【請求項7】
インフレーションフィルムの引張強度(JIS−K7130)が40Mpa以上、シール強度(JIS−Z1707)が1000gf/15mm以上、シール部衝撃強度(JIS−P8134に準拠)が3kgf・cm以上である、請求項1乃至6のいずれか1項記載のインフレーションフィルム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載のインフレーションフィルムの少なくとも一端をヒートシールした袋。
【請求項9】
袋が、ごみ袋、レジ袋である、請求項8記載の袋。
【請求項10】
袋が、ファッションバッグである、請求項8記載の袋。
【請求項11】
回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)40〜90重量部、ポリエチレン系樹脂(B)10〜60重量部、及び増粘剤(C)1〜20重量部(但し、これら三成分中の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の含有量が35重量%以上)を二軸押出機により同時に溶融混練、ペレット化し、インフレーションフィルム成形用樹脂組成物とした後、該樹脂組成物をインフレーション法にてフィルムに成形することを特徴とする、インフレーションフィルムの製造方法。

【公開番号】特開2010−163617(P2010−163617A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299449(P2009−299449)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(509020941)有限会社ジェイシーコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】