回線診断システム
【課題】回線診断の工数を低減し、且つ、回線診断のための電話料金を0にする。
【解決手段】回線診断実行部1は、複数のディジタル回線の一方の回線端が上記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持し、診断判定部2は、上記第1の回線端に於ける呼出音信号の状態を監視し、該呼出音信号が呼び出し音状態のとき回線状態合格と判定し、該呼出音信号がビジー音状態のとき回線状態不合格と判定する。
【解決手段】回線診断実行部1は、複数のディジタル回線の一方の回線端が上記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持し、診断判定部2は、上記第1の回線端に於ける呼出音信号の状態を監視し、該呼出音信号が呼び出し音状態のとき回線状態合格と判定し、該呼出音信号がビジー音状態のとき回線状態不合格と判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル伝送回線、特にINS64回線における回線診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン(PC)やワークステーションなどを用いて音声通信を可能とするコンピュータ・テレフォニーが普及している(例えば特許文献1参照)。このコンピュータ・テレフォニーによれば、電話網等の音声ネットワークとLAN(ローカルエリアネットワーク)等のデータネットワークとを統合し、所定の公衆回線に接続することが可能になる。特に近年高画質化が求められているファクシミリ回線等に於いては、通常のアナログ電話回線に併用したのでは、達成可能な画質レベルはすでに限界にきている。ところが、上記コンピュータ・テレフォニーによれば、より一層の高画質化の実現が可能になる。
【0003】
但し、かかる場合には回線診断が難しくなってくる。従来の回線診断方法では、上記所定の公衆回線に特定の電話機を接続し、この電話機から回線診断が求められているINS64回線を収容するCTI(Computer Telephony Integration)サーバに対し、INS64回線毎に発呼し、実際に回線接続して診断するという方法が採られている。
【特許文献1】特開2004−349948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の回線診断方法では、回線診断にかなりの工数を要し、且つ電話料金が多額になってしまうという解決すべき課題が残されていた。本発明の目的は、INS64回線を収容するCTIサーバが、回線診断を自動的に実行し、且つ、回線診断のための電話料金の課金を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ネットワークから複数のディジタル回線を収容し、内線に接続する回線接続サーバを含む回線診断システムであって、上記複数のディジタル回線の一方の回線端が上記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持する回線診断実行部と、上記第1の回線端に於ける発呼の状態を監視し、該発呼が呼出状態のとき回線状態合格と判定し、該発呼がビジー状態のとき回線状態不合格と判定する診断判定部とを備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
回線診断実行部が診断対象回線を自動的に設定して回線診断を実施し、その結果を診断判定部が、自動的に判定していくので診断工数が極めて低減されるという効果を得る。又、回線診断実行部が発呼に先立って着信側の着呼機能を停止させるので回線診断のための電話料金が0になるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による回線診断システムは以下のように構成される。
【実施例1】
【0008】
本発明による診断システムの構成について説明する。
図1は、本発明による診断システムの構成の機能ブロック図である。
図に示すように、本発明による診断システムは、公衆回線からなるネットワーク100(局用交換機101を含む)と、本発明により、回線診断機能が付加されたCTIサーバ200と、該CTIサーバ200及びネットワーク100を接続する加入者線300と、CTIサーバ200に接続されるLAN400とを含む。
【0009】
以下に回線診断機能が付加されたCTIサーバ200の構成について説明する。
図に示すように、CTIサーバ200は、回線診断実行部1と、診断判定部2と、着呼停止部3と、表示部4と、回線信号入出力部5と、内線信号入出力部6と、CPU7と、ROM8と、RAM9と、DB10とを備える。
【0010】
回線診断実行部1は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で後述の手順に従って、システムの回線診断を自動的に実行する部分である。この部分は、その内部に診断開始通知手段11と、回線設定手段12と、発呼手段13と、診断終了通知手段14とを有している。
【0011】
診断開始通知手段11は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で回線診断を開始させるための診断開始通知信号(S1)を着呼停止部3へ送出する手段である。回線設定手段12は、加入者線300に収容されている1〜NまでのINS64回線から一方の回線端がネットワーク100の局用交換機101で接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端を発信側に設定し、該回線対の第2の回線端を着信側に設定する手段である。更に、この2本1組の回線対を診断対象回線対として番号順(1例)に設定する手段である。発呼手段13は、回線設定手段12によって設定された診断対象回線対に対して発信側から着信側に向けて発呼する手段である。診断終了通知手段14は、全ての回線の診断が終了すると診断終了通知信号(S2)を着呼停止部3へ送出する手段である。
【0012】
診断判定部2は、発呼手段13がINS64回線に対して発呼した結果、ネットワーク100の内部に備える局用交換機101から受入れる応答信号に基づいて(発呼の状態を監視し)診断結果を判定し、その判定結果を表示部4に表示させる部分である。この診断判定部2は、その内部に局用交換機101から受入れる応答信号に基づいて診断結果を判定するためのトーン判定手段21と、判定結果を表示させるための結果表示手段22とを有している。
【0013】
トーン判定手段21は、発信側が、局用交換機101から呼出音信号を受信すると(通常15秒間継続した後)、診断対象回線は診断合格と判定し、同様に発信側が、局用交換機101からビジー音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断不合格と判定する手段である。結果表示手段22は、トーン判定手段21による回線の診断結果を表示部4へ表示させ、操作者に通知する手段である。
【0014】
着呼停止部3は、診断開始通知手段11から診断開始通知信号(S1)を受入れると着呼機能を停止させ、そのまま停止状態を維持し、診断終了通知手段14から診断終了通知信号(S2)を受入れると、着呼機能停止状態を解除する手段である。
【0015】
表示部4は、結果表示手段22の指示に基づいて診断結果を表示して操作者に通知する液晶表示板(LCD)などの表示手段である。この表示部4は、CTIサーバ200の通常機能の制御に用いられる表示板を併用しても良い。回線信号入出力部5は、CTIサーバ200と加入者線300との間で回線信号D1を送受信するインタフェース機能を分担する部分である。内線信号入出力部6は、CTIサーバ200とLAN400との間で内線信号D2を送受信するインタフェース機能を分担する部分である。
【0016】
CPU7は、ROM8に予め格納されている所定の制御プログラムを実行して装置全体を制御するマイクロプロセッサである。又、ROM8に予め格納されている所定の制御プログラムを実行することによって、上記回線診断実行部1、診断判定部2、及び着呼停止部3をCTIサーバ200の構成部分(機能ブロック)として起動・生成する部分でもある。
【0017】
ROM8は、CPU7が実行することによって、装置全体を制御したり、上記回線診断実行部1、診断判定部2、及び着呼停止部3を機能ブロックとして起動・生成する制御プログラム及び制御データを予め格納する読み出し専用メモリである。RAM9は、CPU7が上記制御プログラムを実行するときに必要にな演算領域となる書込み・読み出し可能メモリである。DB10は、LAN400に接続されているPC等の情報を格納するデータベースである。
【0018】
本発明による診断システムの動作について説明する。
図2は、本発明による診断システムの動作説明図である。
この図は、本発明による診断システムの回線診断の手順を示すシーケンス図である。
【0019】
動作説明の前提条件を以下のように定める。
前提条件1
CTIサーバ200(図1)が収容するINS回線は、1〜2n(=N)回線とする。
前提条件2
回線設定手段12(図1)は、加入者線300を構成する1〜2n(=N)のINS64回線を発信側をX回線に設定した場合には、着信側をX+n回線に設定するものとする。
前提条件3
ここでは、1例としてX回線が回線障害を発生しており、他の回線は全て障害が無いものとする。
【0020】
以下に図1を併用しながら図中のステップ順に図1を併用しながら本発明による診断システムの動作について説明する。
ステップS1
診断開始通知手段11は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で回線診断を開始させるための診断開始通知信号(S1)を着呼停止部3へ送出する。
【0021】
ステップS2
着呼停止部3は、診断開始通知手段11から診断開始通知信号(S1)を受入れると着呼機能を停止させ、その着呼機能停止状態を維持する。即ち、ネットワーク100に備える局用交換機101から発呼されても着呼しない状態にし、その状態を維持する。
【0022】
ステップS3
回線設定手段12は、加入者線300に収容されている1〜2n(=N)回線の中から発信側を1回線に設定し、この1回線から局用交換機101を経由して着信側のn+1回線に戻る回線対を設定する。
【0023】
ステップS4
発呼手段13は、回線設定手段12によって設定されたINS64回線に対して、回線信号入出力部5を介して発呼する。ここでは、ネットワーク100に備える局用交換機101を介して発信側の1回線から着信側のn+1回線に向けて発呼することになる。
【0024】
ステップS5
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の1回線からCTIサーバ200のn+1回線に向けての発呼を受入れる。該局用交換機101はCTIサーバ200の1回線とCTIサーバ200のn+1回線とを回線接続し、n+1回線に向けて発呼する。
【0025】
ステップS6
CTIサーバ200の着信側は、ネットワーク100に備える局用交換機101から回線信号入出力部5を介してn+1回線に呼出音信号を受信する。
【0026】
ステップS7
CTIサーバ200の着信側は、上記ステップS2で着呼停止されているので、呼び出し状態を所定の時間(通常15秒間)継続する。
【0027】
ステップS8
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の着信側が着呼停止状態を維持しているのでCTIサーバ200の発信側にも呼出音信号の送信を所定の時間継続している。
【0028】
ステップS9
トーン判定手段21は、ネットワーク100に備える局用交換機101から呼出音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断合格と判定する。ここでは、回線1と回線n+1とが診断合格と判定されることになる。
【0029】
ステップS10
結果表示手段22は、トーン判定手段21による診断結果、ここでは回線1、及び回線n+1の合格判定を表示部4へ表示させる。
【0030】
以下同様の動作を繰り返す。前提条件3により1例としてX回線が回線障害を発生しているものとし、この障害が発生している場合の動作について説明する。
【0031】
ステップS8X+10
回線設定手段12は、加入者線300を構成する1〜2n(=N)回線の中から発信側をX回線に設定し、発信側をn+X回線に設定する。
【0032】
ステップS8X+11
発呼手段13は、回線設定手段12によって設定されたINS64回線に対して、回線信号入出力部5を介して発呼する。ここでは、ネットワーク100に備える局用交換機101を介して発信側のX回線から着信側のn+X回線に向けて発呼することになる。
【0033】
ステップS8X+12
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200のX回線からCTIサーバ200のn+X回線に向けての発呼を受入れる。該局用交換機はCTIサーバ200のX回線とCTIサーバ200のn+X回線とを回線接続し、n+X回線に向けて発呼する。
【0034】
ステップS8X+13
CTIサーバ200の着信側は、ネットワーク100に備える局用交換機101から回線信号入出力部5を介してn+X回線に呼出音信号の受信不可能状態(ビジー状態)にある。
【0035】
ステップS8X+14
CTIサーバ200の着信側は、受信不可能状態(ビジー状態)を所定の時間継続する。
【0036】
ステップS8X+15
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の着信側が受信不可能状態(ビジー状態)なので、CTIサーバ200の発信側にもビジー音信号の送信を所定の時間継続している。
【0037】
ステップS8X+16
トーン判定手段21は、ネットワーク100に備える局用交換機101からビジー音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断不合格と判定する。ここでは、回線X、又は回線n+Xが診断不合格と判定されることになる。
【0038】
ステップS8X+17
結果表示手段22は、トーン判定手段21による診断結果、ここでは回線X、または回線n+Xの合格判定を表示部4へ表示させる。
【0039】
以下同様の動作を繰り返す。前提条件3により1例としてn回線の回線診断が終了すると着呼停止部3の着呼停止状態が以下のように解除される。
【0040】
ステップS8n+10
回線設定手段12がn+1回線を設定すると、診断終了通知手段14が診断終了を検知し、診断終了通知信号(S2)を着呼停止部3へ送出する。
【0041】
ステップS8n+11
着呼停止部3は、診断終了通知信号(S2)を受入れると着呼停止状態を解除させる。即ち、ネットワーク100に備える局用交換機101から発呼されると着呼できる状態に復帰させてシーケンスを終了する。
【0042】
尚、上記説明では、2本1組の回線対を単位として診断の合否を判定したが、診断不合格回線対を構成する何れの回線(一方、又は双方)が診断不合格であるかを判定するには以下のようにすればよい。上記の例に従ってX回線とn+X回線の対が診断不合格であった場合には、X回線と(n−1)+X回線の対、及びX回線と(n+1)+X回線の対とを診断することによって、診断不合格となる何れの回線(一方、又は双方)を容易に特定することが可能である。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、回線診断実行部1が診断対象回線を自動的に設定して回線診断を実施し、その結果を診断判定部2が、自動的に判定していくので診断工数が極めて低減されるという効果を得る。又、回線診断実行部1が所定のINS64回線に対して発呼し、そのとき局用交換機(図示しない)から受入れる応答信号が呼び出し音の場合には障害なし、ビジー音のときは障害ありと、診断判定部2が判定するので、回線診断用に特別の回線を設ける必要が無くなる。更に、回線診断中は着呼を停止しているので回線診断のための電話料金が0になるという効果を得る。尚、音で状態を検出するとあるが、状態そのもので検出してもよい。例えば、IDSN回線の呼制御のメッセージの内容を参照することにより上記の状態を判断することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したシステムを適用したコンピュータ・テレフォニーシステムにファクシミリ装置を接続することにより、より一層の高画質化の実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による診断システムの構成の機能ブロック図である。
【図2】本発明による診断システムの動作説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 回線診断実行部
2 診断判定部
3 着呼停止部
4 表示部
5 回線信号入出力部
6 内線信号入出力部
7 CPU
8 ROM
9 RAM
10 DB
11 診断開始通知手段
12 回線設定手段
13 発呼手段
14 診断終了通知手段
21 トーン判定手段
22 結果表示手段
100 ネットワーク
200 CTIサーバ
300 加入者線
400 LAN
D1 回線信号
D2 内線信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル伝送回線、特にINS64回線における回線診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン(PC)やワークステーションなどを用いて音声通信を可能とするコンピュータ・テレフォニーが普及している(例えば特許文献1参照)。このコンピュータ・テレフォニーによれば、電話網等の音声ネットワークとLAN(ローカルエリアネットワーク)等のデータネットワークとを統合し、所定の公衆回線に接続することが可能になる。特に近年高画質化が求められているファクシミリ回線等に於いては、通常のアナログ電話回線に併用したのでは、達成可能な画質レベルはすでに限界にきている。ところが、上記コンピュータ・テレフォニーによれば、より一層の高画質化の実現が可能になる。
【0003】
但し、かかる場合には回線診断が難しくなってくる。従来の回線診断方法では、上記所定の公衆回線に特定の電話機を接続し、この電話機から回線診断が求められているINS64回線を収容するCTI(Computer Telephony Integration)サーバに対し、INS64回線毎に発呼し、実際に回線接続して診断するという方法が採られている。
【特許文献1】特開2004−349948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の回線診断方法では、回線診断にかなりの工数を要し、且つ電話料金が多額になってしまうという解決すべき課題が残されていた。本発明の目的は、INS64回線を収容するCTIサーバが、回線診断を自動的に実行し、且つ、回線診断のための電話料金の課金を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ネットワークから複数のディジタル回線を収容し、内線に接続する回線接続サーバを含む回線診断システムであって、上記複数のディジタル回線の一方の回線端が上記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持する回線診断実行部と、上記第1の回線端に於ける発呼の状態を監視し、該発呼が呼出状態のとき回線状態合格と判定し、該発呼がビジー状態のとき回線状態不合格と判定する診断判定部とを備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
回線診断実行部が診断対象回線を自動的に設定して回線診断を実施し、その結果を診断判定部が、自動的に判定していくので診断工数が極めて低減されるという効果を得る。又、回線診断実行部が発呼に先立って着信側の着呼機能を停止させるので回線診断のための電話料金が0になるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による回線診断システムは以下のように構成される。
【実施例1】
【0008】
本発明による診断システムの構成について説明する。
図1は、本発明による診断システムの構成の機能ブロック図である。
図に示すように、本発明による診断システムは、公衆回線からなるネットワーク100(局用交換機101を含む)と、本発明により、回線診断機能が付加されたCTIサーバ200と、該CTIサーバ200及びネットワーク100を接続する加入者線300と、CTIサーバ200に接続されるLAN400とを含む。
【0009】
以下に回線診断機能が付加されたCTIサーバ200の構成について説明する。
図に示すように、CTIサーバ200は、回線診断実行部1と、診断判定部2と、着呼停止部3と、表示部4と、回線信号入出力部5と、内線信号入出力部6と、CPU7と、ROM8と、RAM9と、DB10とを備える。
【0010】
回線診断実行部1は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で後述の手順に従って、システムの回線診断を自動的に実行する部分である。この部分は、その内部に診断開始通知手段11と、回線設定手段12と、発呼手段13と、診断終了通知手段14とを有している。
【0011】
診断開始通知手段11は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で回線診断を開始させるための診断開始通知信号(S1)を着呼停止部3へ送出する手段である。回線設定手段12は、加入者線300に収容されている1〜NまでのINS64回線から一方の回線端がネットワーク100の局用交換機101で接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端を発信側に設定し、該回線対の第2の回線端を着信側に設定する手段である。更に、この2本1組の回線対を診断対象回線対として番号順(1例)に設定する手段である。発呼手段13は、回線設定手段12によって設定された診断対象回線対に対して発信側から着信側に向けて発呼する手段である。診断終了通知手段14は、全ての回線の診断が終了すると診断終了通知信号(S2)を着呼停止部3へ送出する手段である。
【0012】
診断判定部2は、発呼手段13がINS64回線に対して発呼した結果、ネットワーク100の内部に備える局用交換機101から受入れる応答信号に基づいて(発呼の状態を監視し)診断結果を判定し、その判定結果を表示部4に表示させる部分である。この診断判定部2は、その内部に局用交換機101から受入れる応答信号に基づいて診断結果を判定するためのトーン判定手段21と、判定結果を表示させるための結果表示手段22とを有している。
【0013】
トーン判定手段21は、発信側が、局用交換機101から呼出音信号を受信すると(通常15秒間継続した後)、診断対象回線は診断合格と判定し、同様に発信側が、局用交換機101からビジー音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断不合格と判定する手段である。結果表示手段22は、トーン判定手段21による回線の診断結果を表示部4へ表示させ、操作者に通知する手段である。
【0014】
着呼停止部3は、診断開始通知手段11から診断開始通知信号(S1)を受入れると着呼機能を停止させ、そのまま停止状態を維持し、診断終了通知手段14から診断終了通知信号(S2)を受入れると、着呼機能停止状態を解除する手段である。
【0015】
表示部4は、結果表示手段22の指示に基づいて診断結果を表示して操作者に通知する液晶表示板(LCD)などの表示手段である。この表示部4は、CTIサーバ200の通常機能の制御に用いられる表示板を併用しても良い。回線信号入出力部5は、CTIサーバ200と加入者線300との間で回線信号D1を送受信するインタフェース機能を分担する部分である。内線信号入出力部6は、CTIサーバ200とLAN400との間で内線信号D2を送受信するインタフェース機能を分担する部分である。
【0016】
CPU7は、ROM8に予め格納されている所定の制御プログラムを実行して装置全体を制御するマイクロプロセッサである。又、ROM8に予め格納されている所定の制御プログラムを実行することによって、上記回線診断実行部1、診断判定部2、及び着呼停止部3をCTIサーバ200の構成部分(機能ブロック)として起動・生成する部分でもある。
【0017】
ROM8は、CPU7が実行することによって、装置全体を制御したり、上記回線診断実行部1、診断判定部2、及び着呼停止部3を機能ブロックとして起動・生成する制御プログラム及び制御データを予め格納する読み出し専用メモリである。RAM9は、CPU7が上記制御プログラムを実行するときに必要にな演算領域となる書込み・読み出し可能メモリである。DB10は、LAN400に接続されているPC等の情報を格納するデータベースである。
【0018】
本発明による診断システムの動作について説明する。
図2は、本発明による診断システムの動作説明図である。
この図は、本発明による診断システムの回線診断の手順を示すシーケンス図である。
【0019】
動作説明の前提条件を以下のように定める。
前提条件1
CTIサーバ200(図1)が収容するINS回線は、1〜2n(=N)回線とする。
前提条件2
回線設定手段12(図1)は、加入者線300を構成する1〜2n(=N)のINS64回線を発信側をX回線に設定した場合には、着信側をX+n回線に設定するものとする。
前提条件3
ここでは、1例としてX回線が回線障害を発生しており、他の回線は全て障害が無いものとする。
【0020】
以下に図1を併用しながら図中のステップ順に図1を併用しながら本発明による診断システムの動作について説明する。
ステップS1
診断開始通知手段11は、予め定められている所定の時間に、或いはまた、予め定められている所定の時間間隔で回線診断を開始させるための診断開始通知信号(S1)を着呼停止部3へ送出する。
【0021】
ステップS2
着呼停止部3は、診断開始通知手段11から診断開始通知信号(S1)を受入れると着呼機能を停止させ、その着呼機能停止状態を維持する。即ち、ネットワーク100に備える局用交換機101から発呼されても着呼しない状態にし、その状態を維持する。
【0022】
ステップS3
回線設定手段12は、加入者線300に収容されている1〜2n(=N)回線の中から発信側を1回線に設定し、この1回線から局用交換機101を経由して着信側のn+1回線に戻る回線対を設定する。
【0023】
ステップS4
発呼手段13は、回線設定手段12によって設定されたINS64回線に対して、回線信号入出力部5を介して発呼する。ここでは、ネットワーク100に備える局用交換機101を介して発信側の1回線から着信側のn+1回線に向けて発呼することになる。
【0024】
ステップS5
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の1回線からCTIサーバ200のn+1回線に向けての発呼を受入れる。該局用交換機101はCTIサーバ200の1回線とCTIサーバ200のn+1回線とを回線接続し、n+1回線に向けて発呼する。
【0025】
ステップS6
CTIサーバ200の着信側は、ネットワーク100に備える局用交換機101から回線信号入出力部5を介してn+1回線に呼出音信号を受信する。
【0026】
ステップS7
CTIサーバ200の着信側は、上記ステップS2で着呼停止されているので、呼び出し状態を所定の時間(通常15秒間)継続する。
【0027】
ステップS8
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の着信側が着呼停止状態を維持しているのでCTIサーバ200の発信側にも呼出音信号の送信を所定の時間継続している。
【0028】
ステップS9
トーン判定手段21は、ネットワーク100に備える局用交換機101から呼出音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断合格と判定する。ここでは、回線1と回線n+1とが診断合格と判定されることになる。
【0029】
ステップS10
結果表示手段22は、トーン判定手段21による診断結果、ここでは回線1、及び回線n+1の合格判定を表示部4へ表示させる。
【0030】
以下同様の動作を繰り返す。前提条件3により1例としてX回線が回線障害を発生しているものとし、この障害が発生している場合の動作について説明する。
【0031】
ステップS8X+10
回線設定手段12は、加入者線300を構成する1〜2n(=N)回線の中から発信側をX回線に設定し、発信側をn+X回線に設定する。
【0032】
ステップS8X+11
発呼手段13は、回線設定手段12によって設定されたINS64回線に対して、回線信号入出力部5を介して発呼する。ここでは、ネットワーク100に備える局用交換機101を介して発信側のX回線から着信側のn+X回線に向けて発呼することになる。
【0033】
ステップS8X+12
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200のX回線からCTIサーバ200のn+X回線に向けての発呼を受入れる。該局用交換機はCTIサーバ200のX回線とCTIサーバ200のn+X回線とを回線接続し、n+X回線に向けて発呼する。
【0034】
ステップS8X+13
CTIサーバ200の着信側は、ネットワーク100に備える局用交換機101から回線信号入出力部5を介してn+X回線に呼出音信号の受信不可能状態(ビジー状態)にある。
【0035】
ステップS8X+14
CTIサーバ200の着信側は、受信不可能状態(ビジー状態)を所定の時間継続する。
【0036】
ステップS8X+15
ネットワーク100に備える局用交換機101は、CTIサーバ200の着信側が受信不可能状態(ビジー状態)なので、CTIサーバ200の発信側にもビジー音信号の送信を所定の時間継続している。
【0037】
ステップS8X+16
トーン判定手段21は、ネットワーク100に備える局用交換機101からビジー音信号を所定の時間受信すると、診断対象回線は診断不合格と判定する。ここでは、回線X、又は回線n+Xが診断不合格と判定されることになる。
【0038】
ステップS8X+17
結果表示手段22は、トーン判定手段21による診断結果、ここでは回線X、または回線n+Xの合格判定を表示部4へ表示させる。
【0039】
以下同様の動作を繰り返す。前提条件3により1例としてn回線の回線診断が終了すると着呼停止部3の着呼停止状態が以下のように解除される。
【0040】
ステップS8n+10
回線設定手段12がn+1回線を設定すると、診断終了通知手段14が診断終了を検知し、診断終了通知信号(S2)を着呼停止部3へ送出する。
【0041】
ステップS8n+11
着呼停止部3は、診断終了通知信号(S2)を受入れると着呼停止状態を解除させる。即ち、ネットワーク100に備える局用交換機101から発呼されると着呼できる状態に復帰させてシーケンスを終了する。
【0042】
尚、上記説明では、2本1組の回線対を単位として診断の合否を判定したが、診断不合格回線対を構成する何れの回線(一方、又は双方)が診断不合格であるかを判定するには以下のようにすればよい。上記の例に従ってX回線とn+X回線の対が診断不合格であった場合には、X回線と(n−1)+X回線の対、及びX回線と(n+1)+X回線の対とを診断することによって、診断不合格となる何れの回線(一方、又は双方)を容易に特定することが可能である。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、回線診断実行部1が診断対象回線を自動的に設定して回線診断を実施し、その結果を診断判定部2が、自動的に判定していくので診断工数が極めて低減されるという効果を得る。又、回線診断実行部1が所定のINS64回線に対して発呼し、そのとき局用交換機(図示しない)から受入れる応答信号が呼び出し音の場合には障害なし、ビジー音のときは障害ありと、診断判定部2が判定するので、回線診断用に特別の回線を設ける必要が無くなる。更に、回線診断中は着呼を停止しているので回線診断のための電話料金が0になるという効果を得る。尚、音で状態を検出するとあるが、状態そのもので検出してもよい。例えば、IDSN回線の呼制御のメッセージの内容を参照することにより上記の状態を判断することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したシステムを適用したコンピュータ・テレフォニーシステムにファクシミリ装置を接続することにより、より一層の高画質化の実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による診断システムの構成の機能ブロック図である。
【図2】本発明による診断システムの動作説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 回線診断実行部
2 診断判定部
3 着呼停止部
4 表示部
5 回線信号入出力部
6 内線信号入出力部
7 CPU
8 ROM
9 RAM
10 DB
11 診断開始通知手段
12 回線設定手段
13 発呼手段
14 診断終了通知手段
21 トーン判定手段
22 結果表示手段
100 ネットワーク
200 CTIサーバ
300 加入者線
400 LAN
D1 回線信号
D2 内線信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークから複数のディジタル回線を収容し、内線に接続する回線接続サーバを含む回線診断システムであって、
前記複数のディジタル回線の一方の回線端が前記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持する回線診断実行部と、
前記第1の回線端に於ける発呼の状態を監視し、該発呼が呼出状態のとき回線状態合格と判定し、該発呼がビジー状態のとき回線状態不合格と判定する診断判定部とを備えることを特徴とする回線診断システム。
【請求項2】
前記ディジタル回線は、INS64回線であり、前記回線接続サーバは、CTI(Computer Telephony Integration)サーバであることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項3】
前記回線診断実行部は、
前記発呼に先立って前記回線対の第2の回線端の着呼機能を停止させる着呼機能停止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項4】
前記回線診断実行部は、
前記複数のディジタル回線から所定の順番に基づいて前記回線対を設定する回線対設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項5】
前記診断判定部は、
判定結果を表示する結果表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項1】
ネットワークから複数のディジタル回線を収容し、内線に接続する回線接続サーバを含む回線診断システムであって、
前記複数のディジタル回線の一方の回線端が前記ネットワークで接続する2本1組の回線対を構成し、該回線対の第1の回線端から発呼し、該回線対の第2の回線端を着呼機能停止状態に維持する回線診断実行部と、
前記第1の回線端に於ける発呼の状態を監視し、該発呼が呼出状態のとき回線状態合格と判定し、該発呼がビジー状態のとき回線状態不合格と判定する診断判定部とを備えることを特徴とする回線診断システム。
【請求項2】
前記ディジタル回線は、INS64回線であり、前記回線接続サーバは、CTI(Computer Telephony Integration)サーバであることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項3】
前記回線診断実行部は、
前記発呼に先立って前記回線対の第2の回線端の着呼機能を停止させる着呼機能停止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項4】
前記回線診断実行部は、
前記複数のディジタル回線から所定の順番に基づいて前記回線対を設定する回線対設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【請求項5】
前記診断判定部は、
判定結果を表示する結果表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の回線診断システム。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2008−124731(P2008−124731A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305603(P2006−305603)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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