説明

回路モジュール及びその製造方法

【課題】 補助基板を備える回路モジュールは、回路基板上に電子部品が実装され、絶縁性樹脂は前記電子部品を覆って、前記電子部品よりも高く形成され、さらに絶縁性樹脂の上に、前記補助基板が配置されている。このため、回路モジュールの高さが高くなるという問題があった。
【解決手段】 前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とを接して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品が搭載された回路モジュールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載の図11(a)に示すような回路モジュール90が知られている。この回路モジュール90は、回路基板91の片面にだけ電子部品92a、92b、・・が実装されている。この回路基板91の片面と平行に補助基板97が配置され、回路基板91と補助基板97の間に絶縁性樹脂94が充填されて、前記電子部品が封止されている。
【0003】
上記構成によれば、回路モジュール90は、回路基板91の温度膨張係数と略同じ温度膨張係数を有する補助基板97を備えることで、絶縁性樹脂94と回路基板の温度膨張係数の違いによるストレスを回路基板と補助基板の間で平均化し、合成樹脂と基板の温度膨張係数の違いを収斂できる。よって、回路モジュール90は、反りやうねりを抑えることができ、かつ、その表面を平らにすることもできる。
【0004】
また、この製造方法としては、図11(b)に示すように、冶具98を用い、金属板端子93、貫通孔95を備えた基板91と補助基板97は配置され、電子部品92a、92b、・・を覆うように、貫通孔95から基板91と補助基板97の間に、絶縁性樹脂94が充填される。その後、絶縁性樹脂94を熱硬化し、回路モジュール90を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−130022号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような回路モジュール90は、絶縁性樹脂94が電子部品92a、92b、・・のうち、最も背が高い電子部品92bよりも高く形成されており、その上に補助基板97が形成されている。そのために、補助基板97の導入による反りやうねりの低減などの効果は得られるが、回路モジュール90の背が高くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み、補助基板を備えた回路モジュールであっても、高さを抑えることが可能な回路モジュールとその製造方法を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、以下のように構成した回路モジュール及びその製造方法を提供する。
【0009】
本発明による回路モジュールは、回路基板と、前記回路基板の一方主面に搭載された複数の電子部品と、前記電子部品が搭載された前記回路基板の一方主面側に配置された補助基板と、前記回路基板と前記補助基板の間に形成された絶縁性樹脂を備える回路モジュールであって、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが接することにより構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、最も背が高い電子部品と補助基板とが接しており、この間に絶縁性樹脂の層を無くすことで、その層厚分、回路モジュールを低くすることができる。また、絶縁性樹脂と前記した各基板の温度膨張係数の差に起因するストレスを前記した両基板で分散することできる。
【0011】
本発明による回路モジュールは、好ましくは、前記補助基板は、ヤング率の異なる複数の基材を積層した積層体で構成されている。
【0012】
上記構成によれば、前記補助基板と前記電子部品あるいは前記補助基板と前記絶縁性樹脂との間に発生し、蓄積されるストレスは、ヤング率の小さな基材によって吸収することができる。
【0013】
本発明による回路モジュールは、好ましくは、前記補助基板の積層された基材のうちヤング率の最も小さな基材と、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品とが接することにより構成される。
【0014】
上記構成によれば、回路モジュールの前記補助基板と前記電子部品あるいは前記絶縁性樹脂との間に蓄積されるストレスは、ヤング率の小さな基材によって吸収される。とくに、前記補助基板と前記電子部品、あるいは前記補助基板と前記絶縁性樹脂の各接触面における摩擦によるストレスも軽減することができる。
【0015】
本発明による回路モジュールは、好ましくは、前記補助基板は凹部を備え、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが、前記凹部の底面で接することにより構成される。
【0016】
上記構成によれば、最も背が高い電子部品と補助基板とは、該補助基板に形成された凹部の底面で接しているので、前記凹部の深さ分、回路モジュールを低背化することができる。
【0017】
本発明による回路モジュールは、前記補助基板は貫通孔を備え、前記電子部品のうち最も背が高い電子部品は、前記貫通孔に嵌合して配置され、前記最も背が高い電子部品以外の電子部品のうち、少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが接することにより構成される。
【0018】
上記構成によれば、前記貫通孔に電子部品を嵌合して配置することにより、さらに回路モジュールを低背化することが可能となる。
【0019】
本発明による回路モジュールの製造方法は、複数の個基板を有する集合基板の一方主面上に、電子部品を搭載する工程、前記電子部品を覆い、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品に接して補助基板を載置する工程、前記集合基板と前記補助基板との間に絶縁性樹脂を充填する工程、前記補助基板と前記電子部品のうち個基板当たり少なくとも一つの電子部品とを接触させながら、前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程、前記補助基板および前記絶縁性樹脂を備えた前記集合基板を個々の回路モジュールに分割する工程を具備することを特徴とする。
【0020】
上記製造方法によれば、回路モジュールは、最も背が高い電子部品と前記補助基板とが確実に接することで、製品高さは低く抑えられる。また、前記回路基板の温度膨張係数と同程度の温度膨張係数を有する補助基板を備えることで、絶縁性樹脂と前記した各基板との温度膨張係数の差に起因するストレスは両基板に分散され、製品の反りやうねり、寸法ばらつき、不良の発生を低減できる。また、個品ごとの製造ではなく、集合基板の状態で大半の工程が進められるので、生産性が高く、コストダウンが可能となる。
【0021】
本発明による回路モジュールの製造方法は、好ましくは、前記補助基板は、ヤング率の異なる複数の基材を積層した積層体であって、ヤング率の最も小さな基材が、前記補助基板の最外層を形成し、前記補助基板を配置する工程では、前記補助基板は、前記補助基板のヤング率の最も小さな基材が、前記回路基板側とは反対側を向くように配置され、前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程の後、前記ヤング率の最も小さな基材を、前記補助基板から取り除く工程を具備する。
【0022】
上記製造方法によれば、前記補助基板と前記電子部品あるいは前記補助基板と前記絶縁性樹脂との間に発生し、蓄積されるストレスは、ヤング率の小さな基材によって吸収することができ、工程における不良を減らす、蓄積されるストレスを低減することが可能となる。また、最終製品ではヤング率の小さな基材は取り除かれるので、製品を低背化することができる。
【0023】
本発明による回路モジュールの製造方法は、好ましくは、複数の個基板を有する集合基板の一方主面上に、電子部品を搭載する工程、一方主面にダムを形成した支持板を用意し、前記ダムで囲まれた前記支持板の前記主面に補助基板を配置し、前記ダムの内側に絶縁性樹脂を充填する工程、前記集合基板の前記主面と前記電子部品を前記絶縁性樹脂に浸漬し、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とを接して前記集合基板を載置する工程、前記補助基板と前記電子部品のうち個基板当たり少なくとも一つの電子部品とを接触させながら、前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程、前記補助基板および前記硬化させた樹脂を備えた前記集合基板を個々の回路モジュールに分割する工程を具備する。
【0024】
上記製造方法によれば、回路モジュール工程品への補助基板と絶縁性樹脂の供給を同時に行えるので、製造の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、回路モジュールを低背化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る回路モジュールの説明図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る回路モジュールの説明図である。
【図3】本発明の実施形態3に係る回路モジュールの説明図である。
【図4】本発明の実施形態4に係る回路モジュールの説明図である。
【図5】本発明の回路モジュールの第1の製造方法に係る製造工程の断面図である。
【図6】図5に示す製造工程に続く製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の回路モジュールの第2の製造方法に係る製造工程の断面図である。
【図8】図7に示す製造工程に続く製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の回路モジュールの第3の製造方法に係る製造工程の断面図である。
【図10】図9に示す製造工程に続く製造工程を示す断面図である。
【図11】従来の回路モジュール及びその製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は、本実施形態の回路モジュール10の概略の分解斜視図(絶縁性樹脂13などは図示せず)、図1(b)は外観斜視図、図1(c)は、図1(b)のX1−X1における断面図である。
【0028】
本実施形態の回路モジュール10は、例えば、図1(a)〜(c)に示すように、セラミック、ガラスエポキシ樹脂等からなる回路基板12、該回路基板12の一方主面12aに半田15により実装されたコンデンサ、抵抗、フィルタ、インダクタ、IC等の電子部品16、17、18、該電子部品を覆う絶縁性樹脂13を備える。また、回路モジュール10は、絶縁性樹脂13の上に、セラミック、ガラスエポキシ樹脂等からなる補助基板11を有している。
【0029】
補助基板11は、図1(c)に示すように、前記電子部品のうち、最も背が高い電子部品16に接して、配置されている。
【0030】
回路モジュール10は、その製造工程やそれを搭載する電子機器の製造工程、さらに実使用及び環境の変化を経ることにより、外部より様々なストレスを受け、また、そのストレスは内部に蓄積されていくこととなる。とくに、回路モジュールに含まれる各材料の温度膨張係数の差に起因するストレスは、生産性及び信頼性上の大きな問題となる。
【0031】
上記構成によれば、回路モジュール10は、電子部品16と補助基板11とが接しており、この間のスペースを無くす(図11(a)、(b)の従来の回路モジュールでは、最も背が高い電子部品92bと補助基板97の間に、スペース99が存在する)ことで、この厚み分、高さを低くすることが可能となる。また、この分の絶縁性樹脂の使用量を減らすことができので、コストダウンにもつながる。
【0032】
また、回路基板12の温度膨張係数と同程度の温度膨張係数を有する補助基板11を備えることで、絶縁性樹脂13と前記した各基板との温度膨張係数の差に起因するストレスを前記した両基板に分散することができ、特定箇所にストレスが集中することを防ぐことができる。その結果、工程不良を減らすことができ、また製品の信頼性を向上させることが可能となる。
(実施の形態2)
図2(a)は、本実施形態の回路モジュール20の外観斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のX2−X2における断面図である。
【0033】
本実施形態の回路モジュール20は、実施形態1の回路モジュール10において、補助基板11に替えて、基材21とこの基材21よりもヤング率の小さな基材22とを積層した積層体を補助基板として用いたものである。この補助基板は、図2(b)に示すように、基材22と前記電子部品のうち最も背が高い電子部品16とが、接して配置されている。なお、例えば、基材21をセラミック、ガラスエポキシ樹脂とすると、ヤング率の小さな基材22としては、ゴムやウレタン樹脂などの組み合わせがある。
【0034】
上記構成によれば、前述した実施形態1の効果に加え、回路モジュール20の前記補助基板と電子部品16あるいは前記補助基板と絶縁性樹脂13との間に発生、蓄積されるストレスは、ヤング率の小さな基材22によって吸収され、いわゆる緩衝効果を持たせることが可能となる。
【0035】
図2(c)に示す回路モジュール20aのように、補助基板のヤング率の小さな基材22は、電子部品とは接しない側に配置されても、回路モジュール20と同様に基材22によるストレス吸収の効果を得ることはできる。
【0036】
但し、回路モジュール20の方が、回路モジュール20aよりも、前記補助基板と前記電子部品、あるいは前記補助基板と前記絶縁性樹脂の各接触面における表面摩擦モードのストレス低減効果は、より多く得ることができる。
【0037】
緩衝のはたらきを持たせる基材22は、基材21の全面に形成されていても、あるいは一部に形成されていてもよい。また、積層体の積層数も、2層に限定するものではない。
(実施の形態3)
図3(a)は、本実施形態の回路モジュール30の外観斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のX3−X3における断面図、図3(c)は、図3(b)の○枠Yの箇所の拡大図である。
【0038】
本実施形態の回路モジュール30は、実施形態1の回路モジュール10において、補助基板11に替えて、深さd1の凹部32を形成した補助基板31を用い、この凹部32の底面に、最も背が高い電子部品16が接して、配置されている。
【0039】
上記構成によれば、回路モジュール30は、前述した回路モジュール10よりも高さd1分、低背化することが可能となる。
【0040】
なお、凹部は一つとは限らず、複数あって、複数の電子部品を各々凹部の底面に接して配置してもよい。
(実施の形態4)
図4(a)は本実施形態の回路モジュール40の外観斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のX4−X4における断面図である。
【0041】
本実施形態の回路モジュール40は、実施形態1の回路モジュール10の補助基板11に替えて、貫通孔42を形成した補助基板41を用い、この貫通孔42に、最も背が高い電子部品16が嵌合して配置され、2番目に背が高い電子部品18が補助基板41に接している。
【0042】
上記構成によれば、回路モジュール40は、前述した回路モジュール30よりも、さらに低背化することが可能となる。
【0043】
なお、貫通孔は一つとは限らず、複数あって、複数の電子部品を各々貫通孔に嵌合して配置することも可能である。
【0044】
次いで、本発明の回路モジュールの製造方法について説明する。
(第1の製造方法)
図5(a)〜(c)、図6(d)〜(e)は、本製造方法に係る回路モジュールの製造工程の断面図である。
【0045】
まず、集合基板に電子部品を搭載する工程について説明する。
【0046】
図5(a)に示すように、集合基板111の一方主面111aに電子部品112a、112bを実装する。電子部品は、例えばコンデンサ、コイル、抵抗などの受動素子や半導体素子(IC)であり、基板への接合は、半田付けやバンプによるフリップチップ接合、導電性ペーストを用いたダイボンド、ワイヤボンディング等により行われる。
【0047】
次に、補助基板を載置する工程について説明する。
【0048】
図5(b)に示すように、補助基板113は、電子部品のうち最も背が高い電子部品112bに接して載置される。
【0049】
次に、絶縁性樹脂を充填する工程について説明する。
【0050】
図5(c)に示すように、搭載された電子部品を囲むように集合基板111の上に、絶縁性樹脂を堰き止めるためのダム114を形成し、このダム114の内側に、前記電子部品を覆うように、絶縁性樹脂115を充填する。
【0051】
次に、絶縁性樹脂を熱硬化させる工程について説明する。
【0052】
図6(d)に示すように、絶縁性樹脂115を、オーブンにて加熱し(図示せず)熱硬化させる。回路モジュールの工程品は、温度が上下する過程で、それを構成する部材の温度膨張係数の差によって、反りやうねりが生じやすいので、補助基板側から矢印の向きに加圧しながら、補助基板113と電子部品112bとの接触を保持しながら絶縁性樹脂の熱硬化を行う。
【0053】
次に、集合基板から個々のモジュールに分割する工程について説明する。
【0054】
図6(e)に示すように、ダイシングブレード117によって、分割ライン116に沿って、補助基板113、絶縁性樹脂115を備えた集合基板111を切断、分割して、個々の回路モジュールを得る。
【0055】
上記の製造方法によれば、前記回路モジュールは、電子部品112bと補助基板113とが接することで、製品高さは低く抑えられる。
【0056】
また、回路基板111の温度膨張係数と同程度の温度膨張係数を有する補助基板113を備えることで、絶縁性樹脂113と前記した各基板との温度膨張係数の差に起因するストレスは両基板に分散され、製品の反りやうねり、寸法ばらつき、不良の発生を低減でき、信頼性を向上することができる。
【0057】
また、個品単位の製造工程ではなく、集合基板で大半の工程が進められるので、生産性が高く、コストダウンが可能となる。
【0058】
また、補助基板として、ヤング率の小さな基材を積層した積層体を用いてもよい。図6(d)の前記補助基板側から加圧しながら温度を上下させる工程では、前記補助基板とこれに接する電子部品、前記補助基板と絶縁性樹脂の間に大きなストレスが生じる。このストレスを、ヤング率の小さな基材に吸収させることができ、不良発生を低減することが可能となる。
(第2の製造方法)
図7(a)〜(c)、図8(d)〜(e)は、本製造方法に係る回路モジュールの製造工程の断面図である。
【0059】
本製造方法は、第1の製造方法の補助基板113に替えて、基材123とこの基材123よりもヤング率の小さな基材122とを積層した積層体を補助基板として用いる。
【0060】
集合基板に電子部品を搭載する工程は、図7(a)に示すように、第1の製造方法と同様である。
【0061】
補助基板を載置する工程は、図7(b)に示すように、前記補助基板の向きを、ヤング率の小さな基材122が前記電子部品と接する面とは反対側の面となるように、前記補助基板を載置する。
【0062】
絶縁性樹脂を充填する工程は、図7(c)に示すように、搭載された電子部品を囲むように集合基板111の上に、ダム114を形成し、このダム114の内側に、前記電子部品を覆うように、絶縁性樹脂115を充填する。
【0063】
図8(d)のモールド樹脂を熱硬化させる工程では、前記補助基板の基材122の面を矢印の向きに加圧しながら、前記補助基板と電子部品112bとの接触を保持しながら絶縁性樹脂の熱硬化を行う。
【0064】
図8(e)に示すように、ヤング率の最も小さな基材122を、基材123から剥離する。
【0065】
最後に、第1の製造方法と同様に、集合基板から個々のモジュールに分割する加工を行う。(図は省略)
上記製造方法によれば、工程において、回路モジュールの前記補助基板と前記電子部品あるいは前記補助基板と前記絶縁性樹脂との間に発生、蓄積されるストレスは、ヤング率の小さな基材によって吸収することができ、工程における不良を減らす、あるいは蓄積されるストレスを低減することが可能となる。また、最終製品ではヤング率の小さな基材は取り除かれるので、製品を低背化することができる。
(第3の製造方法)
図9(a)〜(d)、図8(e)〜(f)は、本製造方法に係る回路モジュールの製造工程の断面図である。
【0066】
本製造方法では、支持板の一方主面にダムを形成し、そのダムで囲まれた支持板の前記主面に補助基板を配置し、その上に絶縁性樹脂を充填する工程を具備する。
【0067】
本製造方法は、図9(a)の集合基板に電子部品を搭載する工程は、第1及び第2の製造方法と同様である。
【0068】
次に、支持板の一方主面にダムを形成し、そのダムで囲まれた支持板の前記主面に補助基板を配置し、その上に絶縁性樹脂を充填する工程について、説明する。
【0069】
図9(b)に示すように、支持板131の一方主面にダム136を形成する。そして、ダム136で囲まれた支持板131の前記主面に補助基板133を配置し、さらにダム136の内側に、絶縁性樹脂135を充填する。
【0070】
次に、絶縁性樹脂に電子部品を浸漬し、電子部品と補助基板とが接するように載置する工程について説明する。
【0071】
図9(c)に示すように、電子部品112a、112bを搭載した集合基板111の搭載面111a側を下にして、当図矢印の向きに、前記電子部品と回路基板111の搭載面111aを絶縁性樹脂135に浸漬する。そして、図9(d)に示すように、最も背が高い電子部品112bと補助基板133が接するように集合基板111を載置する。
【0072】
次に、絶縁性樹脂を熱硬化させる工程について説明する。
【0073】
図10(e)に示すように、絶縁性樹脂135を、オーブンにて加熱し(図示せず)、熱硬化させる。回路モジュールの工程品は、温度が上下する過程で、それを構成する部材の温度膨張係数の差によって、反りやうねりが生じやすいので、図6(d)の矢印で示すように、集合基板111側から加圧しながら、補助基板113と電子部品112bとの接触を保持しながら、硬化を行う。
【0074】
図10(f)に示すように、集合基板の状態として、最終のものが得られる。
【0075】
最後に、第1及び第2の製造方法と同様に、集合基板から個々のモジュールに分割する加工を行う。(図は省略)
上記製造方法によれば、前記回路モジュールは、電子部品112bと補助基板133とが接することで、製品高さは低く抑えられる。
【0076】
また、回路基板111の温度膨張係数と同程度の温度膨張係数を有する補助基板133を備えることで、絶縁性樹脂135と前記した各基板との温度膨張係数の差に起因するストレスは両基板に分散され、製品の反りやうねり、寸法ばらつき、不良の発生を低減でき、信頼性を向上することができる。
【0077】
また、個品単位の製造工程ではなく、集合基板で大半の工程が進められるので、生産性が高く、コストダウンが可能となる。
【0078】
さらに、図9(c)で示すように、回路モジュール工程品への補助基板と絶縁性樹脂の供給を同時に行えるので、製造の効率化を図ることができる。
【0079】
上記した製造方法の実施例は、補助基板と製造方法の組み合わせなど、これらに限るものではない。第3の製造方法に、緩衝効果の異なる基材を積層した積層体からなる補助基板や凹部や貫通孔を備える補助基板の構成のものを適用して製造することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 回路モジュール
11 補助基板
12 回路基板
13 絶縁性樹脂
17、18、19 電子部品
20 回路モジュール
21 基材
22 基材
30 回路モジュール
31 補助基板
32 凹部
40 回路モジュール
41 補助基板
42 貫通孔
111 集合基板
112a、112b 電子部品
113 補助基板
115 絶縁性樹脂
122、123 補助基板の基材
131 支持板
133 補助基板
135 絶縁性樹脂
136 ダム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板の一方主面に搭載された複数の電子部品と、前記電子部品が搭載された前記回路基板の一方主面側に配置された補助基板と、前記回路基板と前記補助基板の間に形成された絶縁性樹脂を備える回路モジュールであって、
前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが接することを特徴とする回路モジュール。
【請求項2】
前記補助基板は、ヤング率の異なる複数の基材を積層した積層体であることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
前記補助基板の積層された基材のうち緩衝効果の最も高い基材と、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品とが接することを特徴とする請求項2に記載の回路モジュール。
【請求項4】
前記補助基板は凹部を備え、
前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが、前記凹部の底面で接することを特徴とする請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項5】
前記補助基板は貫通孔を備え、
前記電子部品のうち最も背が高い電子部品は、前記貫通孔に嵌合して配置され、
前記最も背が高い電子部品以外の電子部品のうち、少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とが接することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の回路モジュール。
【請求項6】
複数の個基板を有する集合基板の一方主面上に、電子部品を搭載する工程、
前記電子部品を覆い、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品に接して補助基板を載置する工程、
前記集合基板と前記補助基板との間に絶縁性樹脂を充填する工程、
前記補助基板と前記電子部品のうち個基板当たり少なくとも一つの電子部品とを接触させながら、前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程、
前記補助基板および前記絶縁性樹脂を備えた前記集合基板を個々の回路モジュールに分割する工程を具備することを特徴とする回路モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記補助基板は、緩衝効果の異なる複数の基材を積層した積層体であって、緩衝効果の最も高い基材が、前記補助基板の最外層を形成し、
前記補助基板を配置する工程では、前記補助基板は、前記補助基板の緩衝効果の最も高い基材が、前記回路基板側とは反対側を向くように配置され、
前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程の後、前記緩衝効果の最も高い基材を、前記補助基板から取り除く工程を具備する請求項6に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項8】
複数の個基板を有する集合基板の一方主面上に、電子部品を搭載する工程、
一方主面にダムを形成した支持板を用意し、前記ダムで囲まれた前記支持板の前記主面に補助基板を配置し、前記ダムの内側に絶縁性樹脂を充填する工程、
前記集合基板の前記主面と前記電子部品を前記絶縁性樹脂に浸漬し、前記電子部品のうち少なくとも一つの電子部品と前記補助基板とを接して前記集合基板を載置する工程、
前記補助基板と前記電子部品のうち個基板当たり少なくとも一つの電子部品とを接触させながら、前記絶縁性樹脂を熱硬化させる工程、
前記補助基板および前記硬化させた樹脂を備えた前記集合基板を個々の回路モジュールに分割する工程を具備することを特徴とする回路モジュールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−124407(P2012−124407A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275583(P2010−275583)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】