説明

回路中の炭化水素含有残留物を中間蒸留物へと解重合しかつ重合するための反応器としての触媒−油懸濁液用高性能チャンバー混合機

【課題】固形物分離部とディーゼル生成物用蒸留部とを有する油回路中の炭化水素含有残留物からディーゼル油を生成する方法および装置を提供する。
【解決手段】固形物分離部とディーゼル生成物のための生成物蒸留部とを備えた油回路中の炭化水素含有残留物からディーゼル油を生成する方法において、高性能チャンバー混合機1の吸込側に投入容器2が接続されかつ圧送側に蒸発器14が接続され、該蒸発器の上部に蒸留塔18が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物分離部とディーゼル生成物用蒸留部とを有する油回路中の炭化水素含有残留物からディーゼル油を生成する方法および装置に関する。
【発明の開示】
【0002】
先願特許公報では投入部および排出部の構成要素については一般的に言及したのみである。追加出願の目的は、これらの構成要素を明確に説明し、実施例において解説することである。これらの明確化が可能となるのは、高性能チャンバー混合機が高い負圧を生成でき、それとともにこれに基づいてすべての投入問題を解決できるからである。以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
先ず、図1に基づき方法について説明する。高性能チャンバー混合機1の吸込側には、閉塞させないように投入する目的で投入容器2が配置されている。この投入容器は、3つの導入口を有しており、それらのうち投入容器2の上端に配置された第1導入口には、粉砕‐調量作用する投入システム3を介して貯蔵容器4が接続されている。
【0004】
投入されるべき物質、乾燥残留物5、設備からのまたは残留物としての残留油6、中和剤7として投入される石灰またはソーダ、混合漏斗9内の触媒8は、混合漏斗9および貯蔵容器4を経て上記投入システム3に導入される。混合漏斗9および貯蔵容器4は、連続的な流入量が維持されるように振動器を装備している。
【0005】
投入容器2の他の2つの導入口は、油貯蔵容器15からの循環触媒−油供給部10と貯蔵触媒−油供給部11であり、該貯蔵触媒−油供給部は、油貯蔵容器15の出口29に接続されている。それとともに触媒−油が石灰残留物をも循環保持することが可能となる。
【0006】
高性能チャンバー混合機1の圧送側には圧力管路12が接続されている。この圧力管路を通じて、高性能チャンバー混合機1内で生成される生成物蒸気‐油混合物が蒸発器14(vierstrahligen verdampfer)に圧送される。蒸発器14は分散流路13を有している。この分散流路は、蒸発器14に流入する油‐蒸気混合物を、開口端を有する環状ノズル内で、多孔板により多数の部分噴流に分散し、この部分噴流が壁を湿潤し、蒸発器14内で液体の表面積を極力増大させる。
【0007】
それにより、ほぼ全ての生成物を蒸気状に液体から分離させ、上昇して蒸留塔18内で蒸留させることができ、生成物が油貯蔵容器15内に極力導入されないようにできる。既に生成された生成物がディーゼル蒸留範囲内で繰返し分解されると、生産量が減少しかつ生成物の品質が低下することになる。
【0008】
投入システム3は、油貯蔵容器15内の液位を表示しかつ調節する液位調節容器16によって作動/停止され、もしくは速度を加減される。液位調節容器16の下端に配置されたポンプ17は、少量の油を投入システム3に送り該投入システムを閉塞から保護する。
【0009】
生成物の蒸気側では蒸留塔18内で分別蒸留によって生成物蒸気は伴出する油粒子から浄化され、凝縮器19内で凝縮する。その際に凝縮器内に溜まる水分は凝縮器19内の隔壁によって、その高い比重のゆえに入口側に引き留められる。
【0010】
水分は、そこからpH測定容器20内にある、下方に沈積する水を含む生成物との交換によってこの容器内に達する。pH測定容器20内にはpH測定プローブ23と伝導率プローブ22がある。水が伝導率プローブ22に達すると、所定量の水が生成物水容器21内に放出され、そこから下水管路内に排出される。
【0011】
軽い生成物のディーゼルもしくは重油は、凝縮器内の分離板と接触して出口側で生成物管路24に導入され、該生成物管路24を通じて生成物容器25内に流入する。また、生成物の蒸気状成分は、管路26を通じて同様に生成物容器25内に流入する。生成物の微量は、管路24に設けた還流弁28で調節されて蒸留塔18の最上部の泡鐘段27に戻される。
【0012】
還流弁28の調節によって塔内の還流量が調整される。還流量の調整により、平均沸騰温度290℃の夏季ディーゼル、平均沸騰温度270℃の冬季ディーゼル、平均沸騰温度240℃の灯油の異なる品質の生成物が生成される。なお、凝縮器の冷却は、循環水と、循環水ポンプを備えた再冷却器38とで行われる。
【0013】
生成物容器25の下流側にある吸引ポンプ37がシステム全体を負圧に維持する。吸引されたガスは発電機内で吸引空気として添加され、または触媒排気浄化部において浄化される。生体物質に由来する二酸化炭素と、万一の漏れに由来する微量のガスが設備から吸い出されるガスとして溜まる。
【0014】
それとともに、可燃性生成物が設備から流出しないように維持される。このため吸引ポンプ37は、投入量と、設備から排出される非反応性無機残留物の排出量を調節する。
【0015】
入口物質の非反応性成分と、イオン交換触媒と添加された石灰またはソーダとによって形成される塩は、調節弁30を経て高温汚泥ポンプ31により加熱室32内に導入される。
【0016】
加熱室32の内部は電気的手段で550℃に加熱され、汚泥入口を備えた耐熱蒸発器と、蒸発器に至る蒸気戻し管路と、加熱された無機物質を残留物容器34に送出するためのスクリュー排出部33とを有する。これは平均して入口物質の1〜3%である。
【0017】
残留物容器34内に貯蔵された物質は、後工程で容器21内の水と混合される。懸濁液内で沈降する物質、金属、硫化鉱類およびセラミックが分離され、さらに懸濁液が濾過される。濾過残留物は再利用可能な触媒である。液体は形成された塩を含有し、下水へと送られる。
【0018】
容器は、逆止弁36を備えた通気室を通して蒸留塔18と接続された投入容器2と同様に、除圧兼圧力補償管路を有する。さらに、高温になる部品の外面は、すべて断熱マットとその外側の酸化アルミニウム繊維マットとで二重に断熱されている。外側に配置される覆い板がタービンに密閉室として構成され、この室は僅かな超過圧に耐えることができる。
【0019】
一実施例において本方法が解説される。電気出力200kWの高性能チャンバー混合機1は容積800Lの貯蔵容器2から、コレアウ・パリ(Correau Paris)のコレアウポンプ、37kW歯車粉砕‐調量ポンプからの固形物を吸引する。その上に配置される容器は容量が2m3である。接続管路はDN50である。
【0020】
投入容器2と油貯蔵容器15との間の接続管路は、高い油流出速度と調節された負圧とにより、投入容器内で高い混合作用を可能とするために比較的小さく、直径が1.5インチ(1インチ=25.4mm)であり、弁を有する。これらの弁は、投入容器2内の負圧を調節し、詳細には投入部3にある材料に依存して調節する。逆止弁36を備えた除圧管路は直径が3/4インチである。
【0021】
蒸発器14は容量が2m3であり、幅80mmの分散流路13と孔直径8mmの3つの孔列とを有し、内側孔列と外側孔列は中心から離れて壁および内部空間へと傾斜穴を有する。その下に配置される油貯蔵容器15は容積が1.5m3、液位調節容器は容積が100Lである。
【0022】
蒸留塔18は、15の泡鐘段を有し、各泡鐘段は、それぞれ直径600mmの52の泡鐘を有している。凝縮器19は容積が300Lである。排出システムは調節弁30DN50とプラスチック部品なしの高温汚泥ポンプとを有し、加熱室32、ナーベルテルム(Nabertherm)社の出力15kWの加熱炉と、蒸発器14に至る直径1.5インチの蒸気管35とに接続されかつ断熱され、凝縮ループを備えている。
【0023】
スクリュー排出部33は、容積1m3の残留物容器34の接続部上に閉鎖筒を有する直径200mmのスクリューである。pH測定容器20に至る管路は直径が1.5インチ、pH測定容器は容積が0.5m3であり、伝導率プローブ22とpH計23とを備えている。水貯蔵容器21は容積が1m3である。
【0024】
本方法を実施するための装置は図2で解説される。高性能チャンバー混合機101(チャンバー軸混合機Kammerwellenmischer)の吸込側に配置された投入容器102は、3つの導入口を有している。容器の上端に第1導入口があり、貯蔵容器104が、歯車と調量インサートとを有する投入システム103を介して第1導入口に接続されている。
【0025】
乾燥残留物105用、設備からのまたは残留物としての残留油106用、中和剤107としての石灰またはソーダ用、そして混合漏斗109内の触媒108用の各導入口は、混合漏斗109および貯蔵容器104を介して投入システム103と接続されている。混合漏斗109および貯蔵容器104は、いずれも振動器を装備している。
【0026】
投入容器102の他の2つの導入口は、油貯蔵容器115からの循環触媒−油供給部110および油貯蔵容器115からの貯蔵触媒−油供給部111であり、貯蔵触媒−油供給部は、この油貯蔵容器115の出口129に配置されている。
【0027】
高性能チャンバー混合機101の圧送側に圧力管路112が配置されている。この圧力管路は高性能チャンバー混合機101を蒸発器114に接続する。この蒸発器が分散流路113を有し、この分散流路は内側に、開口端を有する環状ノズル内の多孔板を装備している。
【0028】
投入システム103が液位調節容器116と接続されている。この液位調節容器が液位プローブを含む。液位調節容器116の下端に配置されたポンプ117は投入システム103に至る接続管路を有する。
【0029】
蒸発器114は複数の段127を備えた蒸留塔118と接続されている。蒸留塔118の上端に配置された凝縮器119が内部に隔壁を有する。凝縮器119は入口側にpH測定容器120との接続部を有する。この容器内に、放水弁と電気的に接続された伝導率プローブ122とpH測定プローブ123が取付けられている。
【0030】
入口側とは反対の凝縮器119の側で下と上とに取付けられた管路124、126が生成物容器125と接続されている。生成物管路124の途中に設けられた還流弁128は、蒸留塔118に至る接続管路に接続されている。還流弁128は、温度測定に調整された電子調節部と接続されている。この調節部は夏季ディーゼル、冬季ディーゼルおよび灯油の表示部を有する。
【0031】
凝縮器119は冷却側に、循環水ポンプを備えた再冷却器138との接続部を有する。生成物容器125の下流側に吸引ポンプ137があり、この吸引ポンプは生成物容器125を介して設備の全部品と接続されている。
【0032】
油貯蔵容器115の下端に調節弁130が配置されている。この調節弁は高温汚泥ポンプ131と加熱室132とに接続されている。この加熱室は電気加熱炉の内側に配置され、高温汚泥ポンプ131からの入口の他に蒸気管135を有する。
【0033】
この管路は断熱されており、放出弁を備えた凝縮物ループを有し、蒸発器114に接続されている。加熱室132は、出口側にスクリュー排出部133を有し、この排出部は残留物容器134と接続されている。
【0034】
残留物容器134の下流側に配置された懸濁液室は、生成水容器121に至る接続管路と2つの出口とを有する。上側の一方の出口は、触媒汚泥用に適した加圧濾過器と接続されており、下側はセラミック、金属およびガス用の価値物質容器と接続されている。
【0035】
この容器は、逆止弁136を備えた通気室を通して蒸留塔118と接続された投入要素102と同様に除圧兼圧力補償管路を有する。さらに、高温になる部品の該表面は、すべて断熱マットとその外側の酸化アルミニウム繊維マットとで二重に断熱されている。外側に配置される覆い板がタービンに密閉室として構成され、この室は僅かな超過圧に耐えることができる。
【0036】
一実施例において本装置が解説される。電気出力200kWの高性能チャンバー混合機101が容積800Lの貯蔵容器102との接続管路を有する。この貯蔵容器はコレアウ・パリ社のコレアウポンプ、37kW歯車粉砕‐調量ポンプとの上向き接続管路を有する。その上に配置される容器は容量が2m3である。接続管路はDN50である。
【0037】
投入容器102と油貯蔵容器115との間の接続管路は比較的小さく、直径が1.5インチであり、弁を有する。これらの弁は投入容器102内の負圧を調節し、詳細には投入システム103にある材料に依存して調節する。逆止弁136を備えた除圧管路は直径が3/4インチである。
【0038】
蒸発器114は容量が2m3であり、幅80mmの分散流路113と孔直径8mmの3つの孔列とを有し、内側孔列と外側孔列は中心から離れて壁および内部空間へと傾斜穴を有する。その下に配置される油貯蔵容器115は容積が1.5m3、液位調節容器は容積が100Lである。
【0039】
蒸留塔118が15の泡鐘段を有し、泡鐘段は直径600mmの52の泡鐘をそれぞれに有する。凝縮器119は容積が300Lである。排出システムは調節弁130DN50とプラスチック部品なしの高温汚泥ポンプ131とを有し、加熱室132、ナーベルテルム社の出力15kWの熱炉と、蒸発器114に至る直径1.5インチの蒸気管135とに接続されかつ断熱され、凝縮ループを備えている。
【0040】
スクリュー排出部133は、容積1m3の残留物容器134の接続部上に閉鎖筒を有する直径200mmのスクリューである。pH測定容器120に至る管路は直径が1.5インチ、pH測定容器は容積が0.5m3であり、伝導率プローブ122とpH測定プローブ123とを備えている。生成水容器121は容積が1m3である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る方法を実施するための設備の略図である。
【図2】図1の設備の略図である。
【符号の説明】
【0042】
1、101 高性能チャンバー混合機
2、102 投入容器
3、103 投入システム
4、104 貯蔵容器
5、6、105、106 残留物
7、107 中和剤(石灰またはソーダ)
8、108 触媒
9、109 混合漏斗
10、110 循環触媒−油供給部
11、111 貯蔵触媒−油供給部
12、112 圧力管路
13、113 分散流路
14、114 蒸発器
15、115 油貯蔵容器
16、116 液位調節容器
17、117 ポンプ
18、118 蒸留塔
19、119 凝縮器
20、120 pH測定容器
21、121 生成水容器
22、122 伝導率プローブ
23、123 pH測定プローブ
24、124 生成物管路
25、125 生成物容器
26、126 管路
27、127 泡鐘段
28、128 還流弁
29、129 出口
30、130 調節弁
31、131 高温汚泥ポンプ
32、132 加熱室
33、133 スクリュー排出部
34、134 残留物容器
35、135 蒸気管
36、136 逆止弁
37、137 吸引ポンプ
38、138 再冷却器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物分離部とディーゼル生成物のための生成物蒸留部とを備えた油回路中の炭化水素含有残留物からディーゼル油を生成する方法において、高性能チャンバー混合機(1)の吸込側に投入容器(2)が接続されかつ圧送側に蒸発器(14)が接続されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記投入容器(2)が、その残留物投入側に該投入側を密閉した状態で前記残留物を粉砕する投入ポンプを有し、油側では、油貯蔵容器(15)からの管路およびその下流からの管路の2つの管路が接続されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記蒸発器の上部に蒸留塔が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記油貯蔵容器が、ポンプを介して加熱室と接続されており、該加熱室にて残留物を450〜500℃で加熱して該残留物中の炭化水素を完全蒸発させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の方法を実施するための装置であって、前記チャンバー軸混合機(101)は、その吸込側が投入容器(102)に至る管路に接続され、その圧送側が蒸発器(114)の分散流路(113)に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記チャンバー軸混合機(101)が二重に断熱され、断熱体の周囲に油分を密閉する外筒を有していることを特徴とする、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記投入容器(102)と接続された油貯蔵容器(115)が、調節可能な排出弁を有し、該排出弁が、高温汚泥ポンプを介して加熱室内の容器と接続されていることを特徴とする、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記加熱室が、電気加熱炉によって加熱され、該加熱炉が少なくとも550℃に達し、かつ、前記加熱室から蒸発器(114)に至る接続管路と、前記加熱室にスクリュー排出部(133)を介して接続された残留物容器(134)とを有することを特徴とする、請求項7記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−133471(P2008−133471A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299152(P2007−299152)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(506145197)
【Fターム(参考)】