説明

回路基板、リードフレーム、半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体素子の積層技術等を用いることなく、狭ピッチの半導体素子を搭載した半導体装置を実現できるようにする。
【解決手段】半導体装置は、基板電極24を有する素子搭載部材12と、素子搭載部材12の上に搭載され、素子電極23を有する半導体素子13と、素子搭載部材11の上に、第1の辺を半導体素子13の一の辺と対向させて搭載された中継素子14とを備えている。中継素子14は、平面三角形状又は平面台形状であり、第2の電極23と第1のワイヤ41を介して電気的に接続された第1の中継電極21と、基板電極24と電気的に接続された第2の中継電極22と、第1の中継電極21と第2の中継電極22とを電気的に接続する内部配線31とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、リードフレーム、半導体装置及びその製造方法に関し、特に多端子且つ狭ピッチの半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細化及び多端子化により、電極間隔の狭ピッチ化が進んでいる。しかし、半導体素子を搭載する基板は、半導体素子と同様の電極間隔を狭ピッチ化できない。このため、狭ピッチ化に伴い、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを長くしなければならない。
【0003】
半導体装置にはさらなる微細化とコストダウンが求められており、半導体素子の電極間隔はさらに縮小される傾向にある。しかし、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを長くすると、封止樹脂の注入時にワイヤ流れが大きくなり、隣接するワイヤ間がショートしやすくなる。このため、ワイヤの長さを長くすることによる狭ピッチ化への対応には限界がある。
【0004】
一方、センサチップを回路チップに搭載する以下のような方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。チップマウント領域の周囲に電極を配置した、回路チップを準備し、チップマウント領域にセンサチップを搭載すると共に、センサチップの電極と回路チップの電極とをワイヤにより接続する。チップマウント領域の周囲の電極は回路チップの外縁部に形成された電極と接続されており、チップ外縁部に形成された電極をワイヤによりパッケージと接続する。
【0005】
これを応用することにより、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを短くすることが考えられる。つまり、半導体素子の搭載領域の周囲に第1の電極を有し、外縁部に第2の電極を有し、対応する第1の電極と第2の電極同士が接続された中継素子を準備する。中継素子の搭載領域に搭載した半導体素子の電極と第1の電極とを接続し、第2の電極と回路基板の電極とを接続する。このようにすれば、狭ピッチ化された半導体素子を回路基板に搭載する場合にも、ワイヤの長さを短くすることができると期待される。さらに、ワイヤが短くてよいため、ワイヤ径を細くすることができ、パッドサイズも縮小できると考えられる。これにより微細化だけでなくコストダウンを行うことも期待される。
【特許文献1】特開2000−227439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のセンサチップを回路チップに搭載する方法を、半導体素子の実装方法に応用しようとすると以下のような問題がある。まず、半導体素子を中継素子の上に積層し、半導体素子と中継素子との積層体を回路基板に搭載するため、工程が増加し製造コストも増加する。さらに、パッケージが厚くなるという問題もある。また、中継素子は半導体素子を搭載しなければならないため、半導体素子よりも大きくなる。大きな中継素子はコストアップの要因となる。また、半導体素子のワイヤ密度が非常に高くなった場合に、ワイヤ下に封止樹脂が入りにくくなり、樹脂が未充填となったり、ワイヤ流れ、ワイヤ近接及びワイヤの沈み込みが生じたりする。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決し、半導体素子の積層技術等を用いることなく、狭ピッチの半導体素子を搭載した半導体装置を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は半導体装置を、回路基板の上に、半導体素子と中継素子とが、一の辺同士を互いに対向させて搭載された構成とする。
【0009】
具体的に本発明に係る第1の半導体装置は、第1の電極を有する素子搭載部材と、素子搭載部材の上に搭載され、第2の電極を有する半導体素子と、素子搭載部材の上に、第1の辺を半導体素子の一の辺と対向させて搭載され、第2の電極と第1のワイヤを介して電気的に接続された第1の中継電極と、第1の電極と電気的に接続された第2の中継電極と、第1の中継電極と第2の中継電極とを電気的に接続する内部配線とを有する中継素子とを備え、中継素子は、平面三角形状又は平面台形状であることを特徴とする。
【0010】
第1の半導体装置は、内部配線により互いに電気的に接続された第1の中継電極と第2の中継電極とを有する中継素子を備えている。このため、半導体素子の電極と、第1の中継電極とを接続し、第2の中継電極と素子搭載部材の電極とを接続すれば、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを大幅に短縮することができる。また、中継素子は、素子搭載部材の上に、一の辺を半導体素子の一の辺と対向させて搭載されている。このため、半導体装置の厚さを薄くすることが可能となる。さらに、半導体素子と中継素子との間に絶縁樹脂層を形成することができる。これにより、ワイヤ密度が非常に高い場合にも、樹脂封止が不完全となることによる、ワイヤ流れ、ワイヤ近接及びワイヤの沈み込み等の発生を抑えることが可能となる。さらに、中継素子が平面三角形状又は平面台形状であるため、中継素子を効率よく配置することが可能となる。従って、半導体装置を小型化することができる。
【0011】
第1の半導体装置において、半導体素子及び素子搭載部材はそれぞれ平面方形状であり、半導体素子の一の辺が延びる方向は、素子搭載部材のいずれの辺が延びる方向とも異なっている構成としてもよい。
【0012】
第1の半導体装置において、半導体素子と中継素子とは、互いに間隔をおいて配置されていてもよい。この場合において、半導体素子と中継素子との間隔は50μm以上且つ4000μm以下とすればよい。また、半導体素子と中継素子との間に形成された絶縁樹脂層をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明に係る第2の半導体装置は、平面方形状の第1の領域、該第1の領域よりも大きい平面方形状の第2の領域が設けられ且つ第1の電極を有する素子搭載部材と、第1の領域内に搭載され、第2の電極を有する半導体素子と、それぞれが、素子搭載部材の上に、第1の辺を半導体素子の一の辺と対向させて搭載され、第2の電極と第1のワイヤを介して電気的に接続された第1の中継電極と、第1の電極と電気的に接続された第2の中継電極と、第1の中継電極と第2の中継電極とを電気的に接続する内部配線とを有する複数の中継素子とを備え、各中継素子は、第1の辺の少なくとも一部が第1の領域の一の辺と接し、少なくとも第2の辺が第2の領域の一の辺と接するように配置されていることを特徴とする。
【0014】
第2の半導体装置は、内部配線により互いに電気的に接続された第1の中継電極と第2の中継電極とを有する複数の中継素子を備えている。このため、半導体素子の電極と、第1の中継電極とを接続し、第2の中継電極と素子搭載部材の電極とを接続すれば、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを大幅に短縮することができる。また、第1の辺の少なくとも一部が第1の領域の一の辺と接し、少なくとも第2の辺が第2の領域の一の辺と接するように各中継素子が配置されている。このため、中継素子を無駄なく配置することが可能となり、中継素子及び製品サイズを低減することができる。
【0015】
第2の半導体装置において、各中継素子が、第1の中継電極が、第2の中継電極よりも第1の辺側に配置され、第2の中継電極が、第1の中継電極よりも第2の辺側に配置されている構成としてもよい。
【0016】
第2の半導体装置において、第1の領域の中心と第2の領域の中心とが重なり合っていてもよい。
【0017】
第2の半導体装置において、各中継素子が平面方形状である構成としてもよい。
【0018】
第2の半導体装置において、第1の領域の一の辺が延びる方向は、第2の領域のいずれの辺が延びる方向とも異なっており、各中継素子は平面三角形状であり、第3の辺が第2の領域における第2の辺が接する辺とは異なる辺と接している構成としてもよい。
【0019】
第2の半導体装置において、複数の中継素子は、第1の辺の長さが互いに等しい構成としてもよい。
【0020】
第2の半導体装置において、複数の中継素子は、大きさが互いに等しい構成としてもよい。
【0021】
第2の半導体装置において、半導体素子と複数の中継素子との間隔が、互いに等しい構成としてもよい。
【0022】
本発明の半導体装置において、素子搭載部材は回路基板であってもよく、リードフレームであってもよい。
【0023】
本発明に係る回路基板は、半導体素子を搭載する半導体素子搭載領域と、素子搭載領域の周囲の領域に搭載され、第1の辺が半導体素子の一の辺と対向するように搭載され、内部配線により互いに接続された第1の中継電極及び第2の中継電極を有する中継素子とを備え、中継素子は、少なくとも1つの頂点の角度が90度未満であることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るリードフレームは、半導体素子を搭載する半導体素子搭載領域と、素子搭載領域の周囲の領域に搭載され、第1の辺が半導体素子の一の辺と対向するように搭載され、内部配線により互いに接続された第1の中継電極及び第2の中継電極を有する中継素子とを備え、中継素子は、平面三角形状又は平面台形状であることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1の電極を有する素子搭載部材と、第2の電極を有する半導体素子と、第1の中継電極及び該第1中継の電極と内部配線により電気的に接続された第2の中継電極を有する中継素子とを準備する工程(a)と、素子搭載部材の上に、半導体素子を搭載すると共に、半導体素子と間隔をおいて且つ第1の辺が半導体素子の一の辺と対向するように中継素子を搭載する工程(b)と、第1の電極と第1の中継電極とをワイヤにより接続する工程(c)と、第2の電極と第2の中継電極とを接続する工程(d)とを備え、工程(a)では、平面三角形状又は平面台形状である中継素子を準備することを特徴とする。
【0026】
本発明の半導体装置の製造方法は、素子搭載部材の上に、半導体素子を搭載すると共に、半導体素子と間隔をおいて且つ一の辺が半導体素子の一の辺と対向するように中継素子を搭載する工程(b)と、第1の電極と第1の中継電極とをワイヤにより接続する工程(c)と、第2の電極と第2の中継電極とを接続する工程(d)とを備えている。このため、半導体素子から引き出されるワイヤの長さを大幅に短縮することができる。
【0027】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体素子と中継素子との間に絶縁樹脂層を形成する工程(e)をさらに備えていてもよい。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(e)は、素子搭載部材における半導体素子を搭載する領域と中継素子を搭載する領域との間に、未硬化の絶縁樹脂を配置する工程(e1)と、未硬化の絶縁樹脂を硬化する工程(e2)とを含み、工程(e2)は工程(b)よりも後に行う構成としてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る、半導体装置及びその製造方法によれば、半導体素子の積層技術等を用いることなく、狭ピッチの半導体素子を搭載した半導体装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1(a)及び(b)は一実施形態に係る半導体装置であり、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIb−Ib線における断面構成を示している。各図面においては、封止樹脂により隠れた部分も図示している。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、素子搭載部材である回路基板12の上に半導体素子13と中継素子14とが搭載され、封止樹脂16により封止されている。中継素子14は、第1の中継電極21と第2の中継電極22とを有し、第1の中継電極21と第2の中継電極22とは内部配線31により電気的に接続されている。
【0032】
図1においては、中継素子14は平面2等辺三角形状であり、底辺に沿って第1の中継電極21が配置されている。半導体素子13は、平面方形状であり、一の辺に沿って素子電極23が配置されている。半導体素子13の素子電極23が配置された辺と、中継素子14の第1の中継電極21が配置された底辺とが対向するようにして、半導体素子13と中継素子14とは互いに間隔をおいて配置されている。素子電極23と第1の中継電極21とは第1のワイヤ41により電気的に接続されている。第2の中継電極22は、回路基板12の上面に形成された基板電極24と第2のワイヤ42により電気的に接続されている。
【0033】
素子電極23と基板電極24とが中継素子14を介して接続されているため、素子電極23と基板電極24とを直接ワイヤにより接続する場合と比べワイヤの長さを遙かに短くすることができる。これにより、ワイヤを細くすることが可能となるので、電極サイズを縮小し、ピッチをさらに狭くすることが可能となる。
【0034】
本実施形態の半導体装置は、半導体素子13が中継素子14の上に搭載されていない。このため、比較的高度な半導体素子の積層技術を用いる必要がなく、通常のダイボンド及びワイヤボンド工法により製造可能である。また、ワイヤを多層配線したり、半導体素子と中継素子とを積層したりする場合と比べて、ワイヤ高さを低くできるため、パッケージを薄くできる。さらに、高度なプロセスを必要とする半導体装置の主要回路と、外部電極との接続に用いる電極、配線及び周辺回路とを分離し、安価なプロセスの中継素子を組み合わせることにより、半導体素子の高密度微細プロセス化、多端子化及び最小化と低コスト化とを両立させることが可能となる。
【0035】
中継素子14の平面形状は、特に限定されないが、図1に示すような平面2等辺三角形状とすれば、第2の中継電極22と基板電極24の配列を均等にできるため、ワイヤ流れの低減及び半導体装置の小型化に効果がある。この場合、第1の中継電極21を2等辺三角形の底辺に配置すれば、第1のワイヤ41の長さを短くすることができる。また、第2の中継電極22を、中継素子14の斜辺にできるだけ分散して配置すれば、基板電極24の間隔を広げることができる。
【0036】
また、半導体素子13に形成された素子電極23の数と配置によっては、図2及び図3に示すように、半導体素子13の各辺と対向するように複数の中継素子14を配置すればよい。
【0037】
複数の中継素子14を配置する場合には、図4に示すように、半導体素子13を回路基板12と傾けて配置すれば、スペースを有効に利用することが可能となる。半導体素子13が平面正方形状の場合には、半導体素子13の各辺が回路基板12の各辺に対して45度の角度となるようにすれば最も効率よく配置することができる。
【0038】
さらに、この場合には、図5に示すように中継素子14を直角2等辺三角形とすれば、さらに効率よく配置することが可能となる。
【0039】
中継素子14は、図6に示すように台形状とし、中継素子14の下底が半導体素子13の辺と対向するように配置してもよい。この場合には、回路基板12及び封止樹脂16の形状を平面八角形状とすれば、回路基板12に無駄なスペースが生じにくい。
【0040】
また、図7に示すように中継素子14を等脚台形状とし、上底が半導体素子13の一の辺と対向するように配置してもよい。このようにすれば、半導体素子13を傾けて配置しなくても、効率よく中継素子14を配置できる。この場合、底角は45度とすることが好ましい。この場合、封止樹脂16の注入は、モールド部のコーナー部から行えば、樹脂の流れが良くなり好ましい。
【0041】
また、図8に示すように、中継素子14を平面方形状としてもよく、さらに、図9に示すように異なる大きさの中継素子14を組み合わせて配置してもよい。
【0042】
中継素子14の形状をどのようにした場合にも、半導体素子13と中継素子14の他の辺と対向していない辺とが、方形状の領域の外周と重なるように配置すれば回路基板12に無駄なスペースが生じにくく、効率よく配置することができる。この場合、図10に示すように、半導体素子13のすべての辺に対向して中継素子14を配置する必要はない。また、図11に示すように半導体素子13が方形状ではない場合にも、効率よく配置することができる。
【0043】
第2の中継電極22と基板電極24との接続は、ワイヤボンディングでなくてもよい。例えば、図12に示すように、第2の中継電極22を中継素子14の下面に形成し、フリップチップ方式により、第2の中継電極22と基板電極24とを接続してもよい。これにより、中継素子14における第2の中継電極22の配置の自由度が高くなるため、中継素子14をさらに小型化できる。またこれに伴い、半導体素子13及び回路基板12の小型化も可能となる。フリップチップ方式の他にも、テープオートメイテッド方式又はボールグリッドアレイ方式等の種々の方式を用いることができる。
【0044】
本実施形態においては、半導体素子13を搭載する素子搭載部材が回路基板12である例を示したが、図13に示すようにダイパッド17とリード18とを有するリードフレーム15としてもよい。この場合はより安価な材料により半導体装置が構成できる。
【0045】
中継素子14は、一括してウェハに形成した後、カットして形成すればよい。中継素子14が平面方形状の場合には、通常の半導体チップと同様のダイシングを行いカットすればよい。中継素子14が平面三角形状の場合には図14に示すようにウェハ51の上に複数の中継素子14を組み合わせて形成すれば、3方向を互いにクロスするようにカットすることができ、通常のウェハ工法と比べてカットラインを増やすことがない。また、平面台形状の場合には、ウエハーをカットする際に、不使用部分ができてしまい、ウエハーの使用効率が悪くなるが、図15に示すように配置すればよい。
【0046】
半導体素子13と中継素子14及び中継素子14同士は、半導体装置の小型化の観点から間隔を開けずに配置してもよい。しかし、ワイヤを高密度に配置する場合には、ワイヤ間の隙間に樹脂が充填されなくなるおそれがある。これを避けるためには、半導体素子13と中継素子14と及び中継素子14同士を互いに間隔をおいて配置すればよい。間隔は、封止樹脂が流れるようにするため及びダイボンド精度又はワイヤ流れの抑制の観点からは広くした方がよいが、半導体装置を小型化する観点からは狭い方がよい。ダイボンドの位置ずれ公差及びチップ厚と間隔のアスペクト比を考慮し、樹脂が充填可能な幅と深さであり、且つワイヤ変形を防ぐためできるだけ狭い間隔に設計することが望ましい。具体的には50μm〜4000μm程度とすればよい。なお、モールドの際には、半導体素子13と中継素子14の境界部近辺にゲートを配置すれば、境界領域における樹脂流れをスムースにできるので好ましい。
【0047】
また、図16に示すように封止樹脂16とは別に半導体素子13と中継素子14との間及び中継素子14同士の間を埋める絶縁樹脂層19を形成してもよい。絶縁樹脂層19の形成は、どのような方法を用いてもよいが、例えば、まず、半導体素子13と中継素子14とを回路基板12に搭載した後、半導体素子13と中継素子14と間に未硬化の絶縁樹脂を印刷又は塗布等により配置し、続いて絶縁樹脂を硬化させることにより絶縁樹脂層19を形成すればよい。また、あらかじめ回路基板12の所定の領域に絶縁樹脂を配置した後、半導体素子13及び中継素子14を搭載し、続いて絶縁樹脂を硬化させることにより絶縁樹脂層19を形成してもよい。
【0048】
この他、半導体素子13及び中継素子14の一方を先に回路基板12に搭載した後、絶縁樹脂を配置し、この後他方を回路基板12に搭載することにより、半導体素子13と中継素子14との間に絶縁樹脂層19を形成してもよい。また、あらかじめ、半導体素子13及び中継素子14の少なくとも一方に絶縁樹脂を形成しておき、両者をそれぞれ回路基板12に搭載することにより絶縁樹脂層19を形成してもよい。この場合、半導体素子13と中継素子14とを絶縁樹脂により先に一体化してから回路基板12に搭載することにより、半導体素子13と中継素子14との間に絶縁樹脂層19を形成してもよい。また、未硬化の絶縁樹脂を印刷等により配置した後硬化させて絶縁樹脂層19を形成する代わりに、絶縁樹脂のフィルムを用いてもよい。
【0049】
このように、半導体素子13と中継素子14との間に絶縁樹脂層19を形成すれば、両者の間隔を密にして回路基板12に搭載しても、半導体素子13と中継素子14とが電気的に接触しないため、小型化及び信頼性の向上にも効果がある。なお、絶縁樹脂層19は、ワイヤボンディングの後に形成してもよい。但し、ワイヤボンディングの前に絶縁樹脂層19を形成しておくことにより、ワイヤ密度が非常に高い場合においても、樹脂封止が不完全となることにより生じるワイヤ流れ、ワイヤの近接及びワイヤの沈み込み等を抑えることができる。
【0050】
本実施形態において示した中継素子14の形状は、例示であり中継素子14はどのような形状であってもよい。また、複数の中継素子14を用いる場合には、各中継素子14の形状及びサイズが互いに異なっていてもよい。但し、半導体素子13の各辺に対応する中継素子14のサイズをほぼ同一とすることにより、半導体装置の内部構成をシンプルとすることができ、設計が容易となる。また、全体としての対象性が良くなるため、封止樹脂の流れ及びバランスが均一となり、封止成形性が良くなり、無駄なスペースが少なくなり、歪や反りも少なくできるという利点がある。
【0051】
なお、中継素子を回路基板上にあらかじめ形成しておくことにより組立工程を簡略化したり、半導体素子搭載領域を明確化したりすることも可能である。
【0052】
また、中継素子は電極や内部配線だけでなく、各種受動部品、センサ又は他の多様な機能を有する素子を搭載してもよい。これにより、本発明の機能をより有効に発揮しうる。
【0053】
(一実施形態の変形例)
以下に、本発明の一実施形態の変形例について図面を参照して説明する。図8及び9において平面方形状の複数の中継素子14を配置する例を示したが、この場合には以下のようにすることによりさらに効率よく配置することができる。
【0054】
図17は、本変形例に係る半導体装置の平面構成を示している。図17に示すように、素子搭載部材である回路基板12には、平面方形状の第1の領域51と、第1の領域51よりも大きい第2の領域52とが設定されている。半導体素子13は平面方形状であり、第1の領域51内に配置されている。中継素子14は、第2の領域52内にそれぞれ配置されており、且つ、第1の辺14aが第1の領域31の辺と重なり、第1の辺14aと対向する第2の辺14bが第2の領域52の辺と重なるように配置されている。また、第2の領域52の4つの角部のそれぞれと、いずれかの中継素子14の角部の一つとが重なるように配置されている。つまり、各中継素子14の第1の辺14aを延長して結んだ領域の内側が第1の領域51となり、第2の辺14bを延長して結んだ領域の内側が第2の領域52となる。このように配置することにより、中継素子14を半導体素子13の周囲に無駄なく配置することが可能となり、製品サイズを小さくすることが可能となる。
【0055】
この場合には、第1の中継電極21は第2の中継電極22よりも第1の辺14a側に配置し、第2の中継電極22は第1の中継電極21よりも第2の辺14b側に配置すればよい。つまり、第1の中継電極21は第1の領域51の辺と重なる第1の辺14aに沿って配置し、第2の中継電極22は第1の辺14a以外の第2の領域32の辺と重なるいずれかの辺に沿って配置すればよい。第1の中継電極21及び第2の中継電極22をこのように配置すれば、第1の領域51に搭載された半導体素子13の素子電極23と、第2の領域52の外側に配置された基板電極24とを効率よく接続することが可能となる。
【0056】
図17においては、中継素子14が同一のサイズである例を示した。中継素子14のサイズを揃えることにより、中継素子14の作成が容易となると共に、中継素子14をウェハ上に配置する際に無駄が少なくなりコストダウンが可能となる。しかし、サイズが異なる中継素子14を組み合わせて作成してもよい。この場合にも、第1の辺14aの長さが等しくなるようにすれば、効率よく中継素子14を配置することができる。また、図18のようにすれば、サイズが異なる中継素子14を組み合わせた場合にも効率よく配置することができる。
【0057】
また、第1の領域51の中心と第2の領域52の中心とが重なり合うように第1の領域51と第2の領域52とを配置すれば、装置全体としての対称性が向上し、回路設計が容易となる。また、樹脂封止をする際に注入した樹脂が均一に流れるようになるという効果及び回路基板に反りが生じにくくなるという効果も得られる。
【0058】
また、樹脂の流れを均一にするためには、半導体素子13と各中継素子14との間隔が等しくなるようにすることが好ましい。
【0059】
図17及び18は、第1の領域51の一の辺が延びる方向と、第2の領域52のいずれかの辺が延びる方向とが揃っている例を示した。しかし、図19に示すように、第1の領域51の一の辺が延びる方向が、第2の領域52のいずれの辺が延びる方向とも異なっているようにしてもよい。この場合には、中継素子14を平面方形状ではなく、平面三角形状とすればよい。中継素子14の第1の辺14aを除く第2の辺14b及び第3の辺14cは、第2の領域52の互いに異なる辺とそれぞれ重なっている。また、第1の領域51の頂点が第2の領域52よりも外側となるように第1の領域51及び第2の領域52を設定することが好ましい。これにより、第1の領域51の一の辺が延びる方向が、第2の領域52のいずれの辺が延びる方向とも異なっている場合においても、実装面積を最小化することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、半導体素子の積層技術等を用いることなく、狭ピッチの半導体素子を搭載した半導体装置を実現でき、多端子且つ狭ピッチの半導体装置及びその製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)及び(b)は本発明に係る一実施形態に係る半導体素子を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図である。
【図2】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図9】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明に係る一実施形態に係る半導装置の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図12】(a)及び(b)は本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のXIIb−XIIb線における断面図である。
【図13】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置に用いる中継素子を形成するウェハの一例を示す平面図である。
【図15】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置に用いる中継素子を形成するウェハの一例を示す平面図である。
【図16】本発明に係る一実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図17】本発明に係る一実施形態の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【図18】本発明に係る一実施形態の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【図19】本発明に係る一実施形態の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0062】
12 回路基板
13 半導体素子
14 中継素子
14a 第1の辺
14b 第2の辺
14c 第3の辺
15 リードフレーム
16 封止樹脂
17 ダイパッド
18 リード
19 絶縁樹脂層
21 第1の中継電極
22 第2の中継電極
23 素子電極
24 基板電極
31 内部配線
41 第1のワイヤ
42 第2のワイヤ
51 第1の領域
52 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極を有する素子搭載部材と、
前記素子搭載部材の上に搭載され、第2の電極を有する半導体素子と、
前記素子搭載部材の上に、第1の辺を前記半導体素子の一の辺と対向させて搭載され、前記第2の電極と第1のワイヤを介して電気的に接続された第1の中継電極と、前記第1の電極と電気的に接続された第2の中継電極と、前記第1の中継電極と前記第2の中継電極とを電気的に接続する内部配線とを有する中継素子とを備え、
前記中継素子は平面三角形状又は平面台形状であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子及び素子搭載部材はそれぞれ平面方形状であり、
前記半導体素子の一の辺が延びる方向は、前記素子搭載部材のいずれの辺が延びる方向とも異なっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子と前記中継素子とは、互いに間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体素子と前記中継素子との間隔は50μm以上且つ4000μm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子と前記中継素子との間に形成された絶縁樹脂層をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
平面方形状の第1の領域、該第1の領域よりも大きい平面方形状の第2の領域が設けられ且つ第1の電極を有する素子搭載部材と、
前記第1の領域内に搭載され、第2の電極を有する半導体素子と、
それぞれが、前記素子搭載部材の上に、第1の辺を前記半導体素子の一の辺と対向させて搭載され、前記第2の電極と第1のワイヤを介して電気的に接続された第1の中継電極と、前記第1の電極と電気的に接続された第2の中継電極と、前記第1の中継電極と前記第2の中継電極とを電気的に接続する内部配線とを有する複数の中継素子とを備え、
前記各中継素子は、第1の辺の少なくとも一部が前記第1の領域の一の辺と接し、少なくとも第2の辺が前記第2の領域の一の辺と接するように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記各中継素子は、前記第1の中継電極が、前記第2の中継電極よりも前記第1の辺側に配置され、前記第2の中継電極が、前記第1の中継電極よりも前記第2の辺側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の領域の中心と前記第2の領域の中心とは重なり合っていることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記各中継素子は平面方形状であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の領域の一の辺が延びる方向は、前記第2の領域のいずれの辺が延びる方向とも異なっており、
前記各中継素子は平面三角形状であり、第3の辺が前記第2の領域における前記第2の辺が接する辺とは異なる辺と接していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の中継素子は、前記第1の辺の長さが互いに等しいことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の中継素子は、大きさが互いに等しいことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体素子と前記複数の中継素子との間隔は、互いに等しいことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記素子搭載部材は回路基板又はリードフレームであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
半導体素子を搭載する半導体素子搭載領域と、
前記素子搭載領域の周囲の領域に搭載され、第1の辺が前記半導体素子の一の辺と対向するように搭載され、内部配線により互いに接続された第1の中継電極及び第2の中継電極を有する中継素子とを備え、
前記中継素子は、平面三角形状又は平面台形状であることを特徴とする回路基板。
【請求項16】
半導体素子を搭載する半導体素子搭載領域と、
前記素子搭載領域の周囲の領域に搭載され、第1の辺が前記半導体素子の一の辺と対向するように搭載され、内部配線により互いに接続された第1の中継電極及び第2の中継電極を有する中継素子とを備え、
前記中継素子は、平面三角形状又は平面台形状であることを特徴とするリードフレーム。
【請求項17】
第1の電極を有する素子搭載部材と、第2の電極を有する半導体素子と、第1の中継電極及び該第1中継の電極と内部配線により電気的に接続された第2の中継電極を有する中継素子とを準備する工程(a)と、
前記素子搭載部材の上に、前記半導体素子を搭載すると共に、前記半導体素子と間隔をおいて且つ第1の辺が前記半導体素子の一の辺と対向するように前記中継素子を搭載する工程(b)と、
前記第1の電極と前記第1の中継電極とをワイヤにより接続する工程(c)と、
前記第2の電極と前記第2の中継電極とを接続する工程(d)とを備え、
前記工程(a)では、平面三角形状又は平面台形状である前記中継素子を準備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記半導体素子と前記中継素子との間に絶縁樹脂層を形成する工程(e)をさらに備えていること特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記工程(e)は、前記素子搭載部材における前記半導体素子を搭載する領域と前記中継素子を搭載する領域との間に、未硬化の絶縁樹脂を配置する工程(e1)と、前記未硬化の絶縁樹脂を硬化する工程(e2)とを含み、工程(e2)は工程(b)よりも後に行うことを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−10653(P2010−10653A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23474(P2009−23474)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】