説明

回路基板およびこれを用いた電子装置

【課題】放熱特性が良好であるとともに、セラミックスからなる支持基板に大きな反りが発生することの少ない、信頼性の高い回路基板およびこれを用いた電子装置の提供。
【解決手段】窒化珪素を主成分とする支持基板1の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第1の接合層3a,3bを介して、銅を主成分とする回路部材2a,2bが設けられた回路基板10であって、支持基板1の第1主面の表面に、窒化珪素の結晶粒子が活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結されている回路基板10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板およびこの回路基板に電子部品が搭載された電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子,インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)素子,金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)素子,発光ダイオード(LED)素子,フリーホイーリングダイオード(FWD)素子,ジャイアント・トランジスタ(GTR)素子等の半導体素子,昇華型サーマルプリンタヘッド素子,サーマルインクジェットプリンタヘッド素子,ペルチェ素子等の各種電子部品が回路基板の回路部材上に搭載された電子装置が用いられている。
【0003】
電子部品を搭載する回路部材を設けてなる回路基板としては、例えば、特許文献1には、表面に酸化物層を形成した窒化物セラミックス表面に、Ti,Zr,HfおよびNbから選択される少なくとも1種の活性金属を含有するろう材層を介して金属回路が一体に接合されているセラミックス回路基板が提案されている。
【0004】
また、特許文献1には、このセラミックス回路基板を得るための製造方法として、酸化物層を形成した窒化物セラミックス基板の両方の表面にろう材層となる接合用組成物ペーストを介在させて、金属回路板および裏金属板を接触配置して、800℃の温度で15分間加
熱して接合してなることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5重量%、不純物陽イ
オン元素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,Bを合計で0.3重量%以下含有し、熱伝導率が60W/m・K以上である高熱伝導性窒化けい素基板に回
路層を接合した回路基板であり、上記高熱伝導性窒化けい素基板上に回路層を介して複数の半導体素子を搭載した窒化けい素回路基板が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、この窒化けい素回路基板を得るための製造方法として、窒化けい素基板の両方の表面にろう材(30%Ag−65%Cu−5%Ti)をスクリーン印刷して乾燥し、活性金属ろう材層を形成し、ここに銅回路板および裏銅板を接触配置した状態で、真空中で850℃の温度で10分間保持して接合してなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−272977号公報
【特許文献2】特開平9−69590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、今般の回路基板においては、半導体素子等の電子部品を搭載して放熱を繰り返した際の放熱特性の向上、およびこの熱によって支持基板が反ったり、接合部が剥がれたりすることが抑制された信頼性の高い回路基板が求められている。
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、半導体素子等の電子部品を搭載して放熱を繰り返しても信頼性が損なわれにくい回路基板およびこれを用いた電子装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回路基板は、窒化珪素を主成分とする支持基板の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第1の接合層を介して、銅を主成分とする回路部材が設けられた回路基板であって、前記支持基板の前記第1主面の表面において、前記窒化珪素の結晶粒子が前記活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の電子装置は、上記構成の本発明の回路基板における前記回路部材上に電子部品を搭載してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の回路基板によれば、窒化珪素を主成分とする支持基板の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第1の接合層を介して、銅を主成分とする回路部材が設けられた回路基板であって、支持基板の第1主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子が活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結されていることから、熱の授受が窒化珪素の結晶粒子同士で進みやすくなるので、放熱特性を高めることができる。また、活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結された窒化珪素の結晶粒子同士は拘束されているので、熱を受けても支持基板と第1の接合層との線膨張係数差に起因する応力が支持基板に生じにくくなり、ヒートサイクルにおける信頼性が高くすることができる。
【0013】
また、本発明の電子装置によれば、本発明の回路基板における回路部材上に電子部品を搭載したことから、放熱特性の高い電子装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の回路基板の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。
【図2】本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。
【図3】本実施形態の回路基板を構成する支持基板の第1主面の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真の一例および結晶粒子の連結状態を示す模式図である。
【図4】本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C’線における断面図であり、(c)は支持基板の反りを模式的に示す断面図である。
【図5】本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D’線における断面図であり、(c)は底面図である。
【図6】本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のE−E’線における断面図であり、(c)は底面図である。
【図7】本実施形態の回路基板を構成する支持基板の第2主面の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真の一例および結晶粒子の連結状態を示す模式図である。
【図8】本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のF−F’線における断面図であり、(c)は支持基板の反りを模式的に示す断面図である。
【図9】本実施形態の電子装置の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のG−G’線での断面図であり、(c)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1および図2は、本実施形態の回路基板の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線またはB−B’線における断面図である。
【0017】
図1および図2に示す例の回路基板10は、窒化珪素を主成分とする支持基板1の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第1の接合層3a,3bを介して、銅を主成分とする回路部材2(2a,2b)が設けられた回路基板10である。
【0018】
ここで、図1に示す例における支持基板1は平板状であり、例えば、長さ(図1に示すX方向)が20mm以上200mm以下であり、幅(図1に示すY方向)が10mm以上120mm以下である。支持基板1の厚みは用途によって異なるが、耐久性および絶縁耐圧が高く、熱抵抗が抑制されたものにするには、0.2mm以上1.0mm以下とすることが好適である。また、回路部材2aは、例えば、長さ(図1に示すX方向)が15mm以上155mm以下で
あり、幅(図1に示すY方向)が8mm以上100mm以下である。また、回路部材2bは
、例えば、長さ(図1に示すX方向)が1mm以上10mm以下であり、幅(図1に示すY方向)が8mm以上100mm以下である。
【0019】
図2に示す例における支持基板1は、図1に示す例の支持基板1と寸法が同じであって、平面視したときに、並べて配置される回路部材2aと2bとは寸法が同等である。また、図2に示す回路部材2a,2bの寸法は、例えば、長さ(図2に示すX方向)が8mm以上98mm以下であり、幅(図2に示すY方向)が8mm以上98mm以下である。図2に示す例のように、支持基板1の第1主面に設けられている回路部材2a,2bの寸法が同等であるときには、図1に示す例のように回路部材2a,2bの寸法に差があるときと比べて、回路部材2a,2bを支持基板1に接合するときに生じる応力の偏りを低減することができるので、支持基板1に生じる反りを抑制することができる。
【0020】
そして、図1および図2に示す例における回路部材2a,2bの厚みは、回路部材2a,2bを流れる電流の大きさや回路部材2a,2bに搭載される電子部品(図示しない)の
発熱量等によって決められ、例えば、0.5mm以上5mm以下である。
【0021】
また、図1および図2に示す例における第1の接合層3a,3bの厚みは、例えば、5μm以上30μm以下である。また、この第1の接合層3a,3bは、支持基板1の第1主面に塗布したろう材が熱処理されてなるものであり、ろう材としては、例えば、銅および錫,または銀および銅を主成分とし、少なくともチタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される1種以上の活性金属を含んでなる。そして、第1の接合層3a,3bに含まれる活性金属は、支持基板1を構成する窒化珪素の非金属成分である珪素と反応して珪化物を形成することによって、支持基板1と回路部材2a,2bとを高い接合強度で接合することができる。この接合強度については、JIS C 6481−1996に準拠して引きはがし強さを測定することにより確認することができる。
【0022】
図3は、本実施形態の回路基板を構成する支持基板の第1主面の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真の一例および結晶粒子の連結状態を示す模式図である。
【0023】
この写真は、走査型電子顕微鏡を用い、倍率を10000倍として、支持基板の第1主面の
表面の6〜10μm×3〜7μmの範囲を観察したものであり、模式図は、本発明の特徴を明確にすべく示すものである。本実施形態の回路基板10を構成する支持基板1の第1主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されていることが重要である。
【0024】
このような構成の本実施形態の回路基板10は、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む
珪化物の結晶粒子12によって連結されていることにより、熱の授受が窒化珪素の結晶粒子11同士で進みやすくなって放熱特性を高めることができるとともに、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結された窒化珪素の結晶粒子11同士は拘束されているので、熱を受けても支持基板1と第1の接合層3a,3bとの線膨張係数差に起因する応力が支持基板1に生じにくくなり、ヒートサイクルにおける信頼性を高くすることができる。なお、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12における活性金属は、透過型電子顕微鏡を用いて同定することができる。
【0025】
また、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されて存在している、本実施形態の回路基板10を構成する支持基板1の第1主面の表面とは、回路部材2a,2bを研磨により除去し、第1の接合層3a,3bをエッチングにより除去した支持基板1の第1主面の表面のことをいう。
【0026】
図4は、本実施形態の回路基板のさらに他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C’線における断面図であり、(c)は支持基板の反りを模式的に示す断面図である。
【0027】
図4に示す例の回路基板10は、図2に示す例における回路部材2a,2bと第1の接合層3a,3bとの間に、銅を主成分とする第1の金属層4a,4bが配置されており、この第1の金属層4a,4bの厚みは、例えば、0.1mm以上0.6mm以下である。そして、図1および図2に示す例の回路基板10において、第1の接合層3a,3bを介して回路部材2a,2bを接合するときには、800℃以上の温度を必要とするが、図4に示す例の回
路基板10では、銅を主成分とする第1の金属層4a,4bを介して回路部材2a,2bを接合するので、第1の金属層4a,4bと回路部材2a,2bとの主成分がいずれも銅であることから、銅の拡散作用により300〜500℃の低温での接合が可能となり、接合工程後の冷却時に支持基板1に反りが生じるのを抑制することができる。また、回路部材2a,2bと第1の接合層3a,3bとの間に、第1の金属層4a,4bが配置されていることにより、回路部材2a,2b上に搭載される電子部品の動作時に生じる熱の放熱特性に優れているので、支持基板1に生じる反りを小さくすることができる。
【0028】
ここで、回路基板10の反りは、図4(c)に示すように、支持基板1の第1主面の最も高い部分と最も低い部分との差Hのことであり、表面粗さ計またはレーザー変位計で測定することができる。
【0029】
図5および図6は、本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D’線またはE−E’線における断面図であり、(c)は底面図である。
【0030】
図5および図6に示す例の回路基板10は、支持基板1および支持基板1の第1主面側の構成は、図6については図1と、図7については図2と同じであり、支持基板1の第1主面に対向する第2主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第2の接合層3cを介して、銅を主成分とする放熱部材5が設けられた回路基板10である。
【0031】
ここで、図5および図6に示す例における放熱部材5は、回路部材2a,2b上に搭載される電子部品(図示しない)の動作時に生じる熱を逃がすという機能を有し、例えば、長さ(図5および図6に示すX方向)が18mm以上190mm以下であり、幅(図5および
図6に示すY方向)が8mm以上100mm以下であり、厚みが0.5mm以上5mm以下である。また、第2の接合層3cの厚みは、例えば、5μm以上30μm以下である。
【0032】
そして、この第2の接合層3cは、支持基板1の第2主面に塗布したろう材が熱処理されてなるものであり、ろう材としては、例えば、銅および錫,または銀および銅を主成分とし、少なくともチタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される1種以上の活性金属を含有してなる。そして、第2の接合層3cに含まれる活性金属は、支持基板1を構成する窒化珪素の非金属成分である珪素と反応して珪化物を形成することによって、支持基板1と放熱部材5とを高い接合強度で接合することができる。この接合強度については、JIS C 6481−1996に準拠して引きはがし強さを測定することにより確認することができる。
【0033】
図7は、本実施形態の回路基板を構成する支持基板の第2主面の表面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真の一例および結晶粒子の連結状態を示す模式図である。
【0034】
この写真は、走査型電子顕微鏡を用い、倍率を10000倍として、支持基板の第2主面の
表面の6〜10μm×3〜7μmの範囲を観察したものであり、模式図は、本発明の特徴を明確にすべく示すものである。本実施形態の回路基板10を構成する支持基板1の第2主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されていることが好適である。
【0035】
このような構成であるときには、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されていることにより、熱の授受が窒化珪素の結晶粒子11同士で進みやすくなって放熱特性を高めることができるとともに、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結された窒化珪素の結晶粒子11同士は拘束されているので、熱を受けても支持基板1と第2の接合層3cとの線膨張係数差に起因する応力が支持基板1に生じにくくなり、ヒートサイクルにおける信頼性を高くすることができる。なお、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12における活性金属は、透過型電子顕微鏡を用いて同定することができる。
【0036】
なお、窒化珪素の結晶粒子11同士が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されて存在している、本実施形態の回路基板10を構成する支持基板1の第2主面の表面とは、放熱部材5を研磨により除去し、第2の接合層3cをエッチングにより除去した支持基板1の第2主面の表面のことをいう。
【0037】
図8は、本実施形態の回路基板の他の例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のF−F’線における断面図であり、(c)は支持基板の反りを模式的に示す断面図である。
【0038】
図8に示す例の回路基板10は、支持基板1および支持基板1の第1主面側の構成は、図4と同じであり、放熱部材5と第2の接合層3cとの間に、銅を主成分とする第2の金属層4cが配置されている点で、支持基板1の第2主面側の構成が図5および図6に示す例の回路基板10と異なる。この第2の金属層4cの厚みは、例えば、0.1mm以上0.6mm以下である。
【0039】
図5および図6に示す例の回路基板10において、第2の接合層3cを介して放熱部材5を接合するときには、800℃以上の温度を必要とするが、図8に示す例の回路基板10では
、銅を主成分とする第2の金属層4cを介して放熱部材5を接合するので、第2の金属層4cと放熱部材5との主成分がいずれも銅であることから、銅の拡散作用により300〜500℃の低温での接合が可能となり、接合工程後の冷却時に支持基板1に反りが生じるのを抑制することができる。また、支持基板1の第2主面側の放熱特性が高まることから、回路部材2a,2b上に搭載される電子部品の動作時に生じる熱が支持基板1に留まりにくいので、支持基板1に生じる反りを小さくすることができる。
【0040】
ここで、回路基板10の反りは、図8(c)に示すように、支持基板1の第1主面の最も高い部分と最も低い部分との差Hのことであり、表面粗さ計またはレーザー変位計で測定することができる。
【0041】
また、本実施形態の回路基板10の第1主面の表面および第2主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11を連結する活性金属を含む珪化物の結晶粒子12は、アスペクト比の平均値が8以上であることが好適である。このように、アスペクト比の平均値が8以上であるときには、窒化珪素の結晶粒子11同士における熱の授受がさらに進みやすくなるので、放熱特性をさらに高くすることができる。
【0042】
なお、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡を用いて求めればよい。具体的には、倍率を10000倍として、例えば、6〜10μm×3〜7μm
の範囲における活性金属を含む珪化物の結晶粒子12を10個抽出して、それぞれの長径および短径を測定し、得られた長径の値を短径の値で除してそれぞれのアスペクト比を求めた後、求められた値から算出した平均値をアスペクト比とする。
【0043】
また、活性金属を含む珪化物は、組成式がTiSiおよびTiSiとして示される成分の少なくともいずれかであることが好適である。活性金属を含む珪化物の組成式がTiSiおよびTiSiとして示される成分の少なくともいずれかであるときには、熱を受けても変化しにくい成分であるので、連結された窒化珪素の結晶粒子11に対する拘束力が変動しにくく、ヒートサイクルにおける信頼性をさらに高くすることができる。
【0044】
ここで、回路基板10を構成する各部材について説明する。銅を主成分とする、第1の金属層4a,4b,第2の金属層4c,回路部材2a,2bおよび放熱部材5は、それぞれ銅の含有量が90質量%以上である。そして、第1の金属層4a,4b,第2の金属層4c,回路部材2a,2bおよび放熱部材5は、無酸素銅,タフピッチ銅およびりん脱酸銅のいずれかである銅の含有量の多いものからなることが好適であり、特に、無酸素銅のうち、銅の含有量が99.995質量%以上の線形結晶無酸素銅,単結晶状高純度無酸素銅および真空溶解銅のいずれかからなることがより好適である。このように、第1の金属層4a,4b,第2の金属層4c,回路部材2a,2bおよび放熱部材5は、銅の含有量が多くなると、それぞれ電気抵抗が低く、熱伝導率が高くなるため、放熱特性が向上し、さらに回路部材2a,2bにおいては、回路特性(回路部材2a,2b上に搭載される電子部品に生じた熱による電力損失を少なくする特性)も向上する。
【0045】
また、銅の含有量が多くなると、降伏応力が小さく、加熱すると塑性変形しやすくなるため、回路部材2a,2bおよび第1の金属層4a,4b、放熱部材5および第2の金属層4cのそれぞれの密着性が上がり、回路基板10の信頼性がより高くなる。
【0046】
次に、第1の接合層3a,3bおよび第2の接合層3cとなるろう材における主成分は、銅および錫,または銀および銅からなり、ここで主成分とは、ろう材を構成する全成分100質量%に対して、合算で50質量%を超える成分をいう。なお、第1の接合層3a,3
bおよび第2の接合層3cとなるろう材とは、JIS Z 3001−3(ISO 857−2005(MOD))で定義されるろう付に用いられる、融点が450℃以上のろう(硬ろう)であって、前記規格で定義されるはんだ付に用いられる、融点が450℃未満のはんだ(軟ろう
)を含まない。
【0047】
ここで、ろう材が銅および錫を主成分とする場合には、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属に加え、5質量%以上18質量
%以下の銀を含有させることが好適である。銀を5質量%以上18質量%以下含有させることにより、銅は活性金属より銀と結合しやすく、得られた銅と銀との化合物は、活性金属と銅との化合物より脆化しにくいため、支持基板1と回路部材2a,2bおよび放熱部材5との接合強度が低下しにくくなるとともに、支持基板1と回路部材2a,2bおよび放熱部材5との接合部における不要なはみ出しの少ない粘度のろう材とすることができる。
【0048】
また、ろう材が銀および銅を主成分とする場合には、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属に加え、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属と、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属とを含むろう材からなることが好適である。
【0049】
インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属は、融点が低く溶融しやすいため、ろう材の流れ性を良好にすることができるので、ろう材からなるそれぞれの第1の接合層3a,3bと支持基板1,第1の金属層4a,4bとの間または第2の接合層3cと支持基板1,第2の金属層4cとの間に生じる空隙(ろう材が追従できずに残る隙間)を減少させることができる。この空隙については、その有無を超音波探傷法により確認することができる。
【0050】
また、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属は、融点が高く溶融しにくいため、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属を含むことによって粘性が高くなり過ぎるのを抑えて、接合部における不要なはみ出しを少なくすることができる。
【0051】
また、銀および銅を主成分とするろう材において、銅の含有量は35質量%以上50質量%以下であることが好適である。銅の含有量が上記範囲であることにより、ろう材の流れ性を良好にすることができるとともに、銀および銅をそれぞれ単独で用いる場合よりも低い温度で支持基板2と回路部材2a,2bおよび放熱部材5とを空隙の少ない状態で良好に接合することができる。
【0052】
また、銀および銅を主成分とし、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属に加え、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属と、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属とを含むときには、銅の含有量が35質量%以上50質量%以下であり、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属の含有量が1質量%以上8質量%以下であり、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属の含有量が2質量%以上22質量%以下であり、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属の含有量が1質量%以上8質量%以下であり、残部が銀であることが好適である。
【0053】
さらに、第1の接合層3a,3bにおけるモリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属は、平均結晶粒径が3μm以上10μm以下であることが好適で、平均結晶粒径が3μm以上10μm以下であると、接合部における不要なはみ出しが抑制されるので、隣り合う回路部材2a,2b間の短絡のおそれは減少する。また、支持基板1と回路部材2a,2bとの間に生じる空隙が十分抑制されるので、支持基板1と回路部材2a,2bとの接合強度を高くすることができる。
【0054】
なお、第1の接合層3a,3b,第2の接合層3c,第1の金属層4a,4b,第2の金属層4c,回路部材2a,2bおよび放熱部材5のそれぞれの成分の含有量については、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により求
めることができる。
【0055】
ここで、本実施形態の回路基板10を構成する支持基板1は、窒化珪素を主成分とし、窒化珪素の含有量が80質量%以上、特に、90質量%以上含有していることが好適である。なお、窒化珪素の含有量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法によって珪素(Si)の含有量を求め、この含有量を窒化珪素(Si)に換算することで求めることができる。
【0056】
また、窒化珪素を主成分とする支持基板1の一例としては、酸化マグネシウム(MgO)および希土類酸化物(例えば、Sc,Y,La,Ce,Pr11,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuの少なくともいずれか1種)を含み、粒界相に、組成式がREMgSiN(REは希土類金属)で表される成分を含むことが好適である。
【0057】
窒化珪素,希土類酸化物および酸化マグネシウムを構成する元素が結合したREMgSiNで表される成分を粒界相に含んでいるときには、変形しやすい粒界相の非晶質相が相対的に少なくなるので、粒界相の変形が抑制され、剛性を高くすることができる。また、非晶質相は高温時に特に変形しやすくなるので、そのような非晶質相が相対的に少なくなることから、高温時に変形をより抑制することができる。
【0058】
なお、粒界相に含まれる成分組成については、X線回折法を用いて同定することができる。また、粒界相に含まれる各成分の含有量については、エネルギー分散型X線分光法によって求めることができる。
【0059】
ここで、具体的な酸化マグネシウムおよび希土類酸化物の含有量としては、支持基板1を形成する窒化珪素質焼結体100質量%のうち、酸化マグネシウム(MgO)の含有量が1.3質量%以上5質量%以下であり、希土類酸化物の含有量が10質量%以上17質量%以下であることが好適である。
【0060】
酸化マグネシウムの含有量が1.3質量%以上5質量%以下であれば、放熱特性に優れな
い粒界相の存在比率が制限されているので、放熱特性が損なうことなく、酸化マグネシウムの有する焼結促進作用によって、比較的低い温度で焼結させて高い機械的特性を得ることができる。
【0061】
また、希土類酸化物の含有量が10質量%以上17質量%以下であれば、窒化珪素の粉末に吸着している放熱特性に影響を与える酸素を、酸素との親和性が高い希土類酸化物が液層中に取り込み、窒化珪素の粒成長を促進して緻密化させることができるので、機械的特性および放熱特性を向上させることができる。
【0062】
また、窒化珪素を主成分とする支持基板1の他の例としては、粒界相に、組成式がRESi,RESiおよびRESi12Nで表される成分の少なくともいずれかを含むことが好適である。組成式がRESi,RESiおよびRESi12Nで表される成分の少なくともいずれかを粒界相に含んでいるときには、変形しやすい非晶質相が相対的に少なくなるので、粒界相の変形を抑制され、剛性を高くすることができる。なお、組成式がRESi,RESiおよびRESi12Nで表される成分は、X線回折法を用いて同定することができる。
【0063】
ここで、希土類酸化物としては、Er,Yb,Luの少なくとも1
種であることが好適である。その理由は、エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)は、周期表第3族元素の中でイオン半径が小さい元素であることから、上記組成式を構成する他の原子であるSi,O,Nとの結合が強いためにフォノンの伝達がよく、熱伝導率を高くすることができるからである。
【0064】
また、エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)は、Si,O,Nとの結合が強いために熱エネルギーによる格子振動が小さく、温度変化による体積膨張が小さいので、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃特性を高くすることができるからである。具体的には、希土類金属の酸化物が、Er,Yb,Luの少なくとも1種であることにより、例えば、室温における熱膨張係数を1.35×10−6/K以下とすることができ、熱伝導率を55W/(m・K)以上とすることができる。
【0065】
さらに、希土類金属の酸化物が、Erであるときには、YbおよびLuよりも比較的安価であり、YbおよびLuを添加したときよりも低い温度で焼結させることができる。
【0066】
なお、粒界相には、上述した希土類酸化物,酸化マグネシウムおよび組成式がREMgSiN,RESi,RESiならびにRESi12N(REは希土類金属)で表される成分以外に、例えば、酸化珪素,酸化鉄または酸化カルシウム等を含んでいてもよい。
【0067】
また、支持基板1となる窒化珪素質焼結体の機械的特性は、3点曲げ強度が750MPa
以上であり、動的弾性率が300GPa以上であり、ビッカース硬度(Hv)が13GPa以
上であり、破壊靱性(K1C)が5MPam1/2以上であることが好ましい。これら機械的特性が上記範囲であることにより、回路基板10は、特に、耐クリープ性やヒートサイクルに対する耐久性を向上させることができるので、高い信頼性が得られるとともに長期間にわたって使用することができる。
【0068】
なお、3点曲げ強度については、JIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(M
OD))に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みを3mmとすることができない場合には、窒化珪素質焼結体の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
【0069】
また、窒化珪素質焼結体の剛性を評価するには、動的弾性率を用いて評価すればよく、この動的弾性率については、JIS R 1602−1995で規定される超音波パルス法に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みを10mmとすることができない場合には、片持ち梁共振法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
【0070】
ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどに窒化珪素質焼結体の厚みが薄いときには、試験片寸法や得られた測定値から計算式により3点曲げ強度および動的弾性率を求めればよい。
【0071】
ビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)については、それぞれJIS R 1610−2003(ISO 14705:2000(MOD))およびJIS R 1607−1995に規定さ
れる圧子圧入法(IF法)に準拠して測定すればよい。なお、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みをそれぞれJIS R 1610−2003(ISO 14705:2000(MOD))およびJIS R 1607−1995の圧子圧入法(IF
法)で規定する0.5mmおよび3mmとすることができないときには、窒化珪素質焼結体
の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価して、その結果が上記数値を満足することが好ましい。ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどに窒化珪素質焼結体の厚みが薄いとき、例えば0.2mm以上0.5mm未満のときには、窒化珪素質焼結体に加える試験力および押込荷重をいずれも0.245Nとし、試験力および押込荷重
を保持する時間をいずれも15秒としてビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)を測定すればよい。
【0072】
また、上述したような窒化珪素質焼結体の電気的特性は、体積抵抗率が、常温で1014Ω・cm以上であって、300℃で1012Ω・cm以上であることが好ましい。この体積抵
抗率は、JIS C 2141−1992に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体が小さく、窒化珪素質焼結体からJIS C 2141−1992で規定する大きさとすることができない場合には、2端子法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
【0073】
なお、回路基板10を構成する窒化珪素質焼結体からなる支持基板1の3点曲げ強度,動的弾性率,ビッカース硬度(H),破壊靱性(K1C)および体積抵抗率については、回路基板10から、回路部材2a,2bや放熱部材5を研磨により除去し、第1の接合層3a,3b,第2の接合層3c,第1の金属層4a,4bおよび第2の金属層4cをエッチングによって除去した後、上述した方法によって求めればよい。
【0074】
次に、図9は、本実施形態の電子装置の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のG−G’線での断面図であり、(c)は底面図である。
【0075】
図9に示す例の電子装置Sは、本実施形態の回路基板10の回路部材2上に複数の半導体素子等の電子部品6,7が搭載されたものであり、これらの電子部品6,7同士は導体(図示しない)によって互いに電気的に接続されている。
【0076】
電子部品6,7は、例えば、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子,インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)素子,金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)素子,発光ダイオード(LED)素子,フリーホイーリングダイオード(FWD)素子,ジャイアント・トランジスタ(GTR)素子等の半導体素子,昇華型サーマルプリンタヘッド素子,サーマルインクジェットプリンタヘッド素子またはペルチェ素子等である。
【0077】
図9に示す例における支持基板1の形状,外辺寸法および厚みは、図1,2,4〜6,8に示す例の回路基板10を構成する支持基板1と同じである。そして、回路部材2および放熱部材5の配置としては、図9に示す例のように、平面視でそれぞれ複数行および複数列に配置されていることが好適である。このように、回路部材2および放熱部材5が平面視で複数行および複数列に配置されることで、回路部材2および放熱部材5を支持基板1に接合した際に、支持基板1に生じる応力が分散されやすくなるので、支持基板1の反りを抑制することができる。特に、回路部材2および放熱部材5は、図9に示す例のように、平面視でそれぞれ複数行および複数列に等間隔で配置されていることが好適である。
【0078】
この電子装置Sは、放熱特性が高く、しかも、第1の接合層3a,3bに応力が生じにくい本実施形態の回路基板10における回路部材2上に電子部品6,7を搭載しているので、放熱特性の高い電子装置とすることができる。
【0079】
次に、本発明の回路基板の製造方法の一例について説明する。
【0080】
まず、図1,2,4に示す例の回路基板10の製造方法について説明する。回路基板10を
構成する支持基板1として、長さ(図中のX方向)が20mm以上200mm以下であり、幅
(図中のY方向)が10mm以上120mm以下であり、厚みが0.2mm以上1.0mm以下であ
り、主成分が窒化珪素からなる窒化珪素質焼結体を準備する。そして、この支持基板1を800℃以上900℃以下で熱処理することによって、支持基板1の表面に付着した有機物や残留炭素を除去する。
【0081】
次いで、この支持基板1の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選ばれる1種以上を含む、銅(Cu)−錫(Sn)系合金または銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材を用いて、スクリーン印刷法,ロールコーター法および刷毛塗り法等のいずれかで所定の位置に塗布する。
【0082】
次に、図1,2に示す例の回路基板10を得るには、回路部材2a,2bとなる平板状の銅材をそれぞれろう材上に配置する。その後、真空度が0.014Pa以上0.16Pa以下の真
空雰囲気中において、厚み方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、800℃以上900℃以下で1時間以上2時間以下保持することによって、支持基板1の第1主面にろう材からなる第1の接合層3a,3bを介して回路部材2a,2bが接合され、支持基板1の第1主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されている回路基板10を得ることができる。
【0083】
また、図4に示す例の回路基板10を得るには、第1の金属層4a,4bとなる薄状の銅材をろう材上に配置する。その後、真空度が0.014Pa以上0.16Pa以下の真空雰囲気中
において、厚み方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、800℃以上900℃以下で1時間以上2時間以下保持することによって、支持基板1の第1主面に、ろう材からなる接合層3a,3bを介して第1の金属層4a,4bを接合する。
【0084】
そして、第1の金属層4a,4bの表面を研磨した後、第1の金属層4a,4b上に回路部材2a,2bとなる平板状の銅材をそれぞれ配置し、水素,窒素,ネオンまたはアルゴンのいずれかから選ばれる雰囲気中において、厚み方向から30MPaの圧力を加えながら、300℃以上500℃以下で加熱することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3b,第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bが接合され、支持基板1の第1主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されて存在している回路基板10を得ることができる。
【0085】
次に、図5,6,8に示す例の回路基板10を得るには、まず、上述した図1,2,4に示す例の回路基板10の製造方法で用いた支持基板1を準備し、この支持基板1を800℃以
上900℃以下で熱処理することによって、支持基板1の表面に付着した有機物や残留炭素
を除去する。次いで、この支持基板1の第1主面および第2主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選ばれる1種以上を含む、銅(Cu)−錫(Sn)系合金または銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材を用いて、スクリーン印刷法,ロールコーター法および刷毛塗り法等のいずれかで所定の位置に塗布する。
【0086】
次に、図5,6に示す例の回路基板10を得るには、回路部材2a,2bおよび放熱部材5となる平板状の銅材をそれぞれろう材上に配置する。その後、真空度が0.014Pa以上0.16Pa以下の真空雰囲気中において、厚み方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、800℃以上900℃以下で1時間以上2
時間以下保持することによって、支持基板1の第1主面にろう材からなる接合層3a,3bを介して回路部材2a,2bが接合され、第2主面にろう材からなる接合層3cを介して放熱部材5が接合され、支持基板1の第1主面の表面および第2主面の表面において、
窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されている回路基板10を得ることができる。
【0087】
また、図8に示す例の回路基板10を得るには、第1の金属層4a,4bおよび第2の金属層4cとなる薄状の銅材をそれぞれろう材上に配置する。その後、真空度が0.014Pa
以上0.16Pa以下の真空雰囲気中において、厚み方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、800℃以上900℃以下で1時間以上2時間以下保持することによって、支持基板1の第1主面にろう材からなる接合層3a,3bを介して第1の金属層4a,4bを、第2主面にろう材からなる接合層3cを介して第2の金属層4cを接合する。
【0088】
そして、第1の金属層4a,4bおよび第2の金属層4cの表面を研磨した後、第1の金属層4a,4b上に回路部材2a,2bとなる平板状の銅材を、第2の金属層4c上に放熱部材5となる平板状の銅材を配置し、水素,窒素,ネオンまたはアルゴンのいずれかから選ばれる雰囲気中において、厚み方向から30MPaの圧力を加えながら、300℃以上500℃以下で加熱することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3b,第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bが接合され、第2主面に第2の接合層3cを介して放熱部材5が接合され、支持基板1の第1主面の表面および第2主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されている回路基板10を得ることができる。
【0089】
なお、図1,2,4,5,6,8の作製に用いたろう材としては、銅(Cu)−錫(Sn)系合金である場合には、銀を例えば5質量%以上18質量%以下含有させてもよく、銀(Ag)−銅(Cu)系合金である場合には、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の金属と、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属とを含有させてもよい。
【0090】
また、活性金属を含む珪化物の結晶粒子11のアスペクト比の平均値を8以上とするには、熱処理の条件を、真空度が0.014Pa以上0.16Pa以下の真空雰囲気中において、厚み
方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、850℃以上900℃以下で1時間30分以上2時間以下保持すればよい。
【0091】
また、活性金属を含む珪化物の組成式がTiSiおよびTiSiとして示される成分の少なくともいずれかにするには、銅(Cu)−錫(Sn)系合金または銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材に活性金属としてチタンを含み、チタンの含有量を3質量%以上にするとともに、熱処理の条件を、真空度が0.014Pa以上0.16Pa
以下の真空雰囲気中において、厚み方向から3kPa以上の圧力を加えながら、550℃以
上650℃以下で30分以上90分以下保持した後、880℃以上900℃以下で1時間30分以上2時
間以下保持すればよい。
【0092】
また、第1の接合層3a,3bにおけるモリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属の平均結晶粒径を3μm以上10μm以下とするには、平均粒径が3μm以上10μm以下のそれぞれの金属粉末を用いればよい。
【0093】
そして、本実施形態の回路基板10における回路部材2上に電子部品を搭載することにより、本実施形態の電子装置とすることができる。
【0094】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0095】
図2,4に示す形状の回路基板10を作製し、支持基板1の結晶粒子の観察、回路基板10の放熱特性および支持基板1に生じる反り量について評価した。
【0096】
まず、X方向の長さが60mmであり、Y方向の長さが30mmであり、厚みが0.32mmである、窒化珪素を主成分とする支持基板1を準備し、支持基板1を850℃で熱処理するこ
とによって、支持基板1の表面に付着した有機物や残留炭素を除去した。次いで、この支持基板1の第1主面に、銀,銅,表1に示す活性金属,錫およびモリブデンで構成され、各含有量がそれぞれ51.9質量%,40質量%,2.5質量%,2.6質量%,3質量%となるように調整されたペースト状のろう材を用いてスクリーン印刷法により塗布した。
【0097】
そして、支持基板1の第1主面に塗布されたろう材上に、回路部材2a,2bとなる1辺が24mmの正方形の平板状の銅材をそれぞれ配置し、真空度が0.08Paの真空雰囲気中において、厚み方向から3kPaの圧力を加えながら、600℃で1時間保持した後、850℃で表1に示す時間で保持することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bを介して回路部材2a,2bを接合してなる回路基板10である試料No.1〜8を得た。
【0098】
また、支持基板1の第1主面に塗布されたろう材上に、第1の金属層4a,4bとなる薄状の銅材を配置し、真空度が0.08Paの真空雰囲気中において、厚み方向から3kPaの圧力を加えながら、600℃で1時間保持した後、850℃で表1に示す時間で保持することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bを介して第1の金属層4a,4bを接合した。そして、第1の金属層4a,4bの表面を研磨した後、第1の金属層4a,4b上に回路部材2a,2bとなる1辺が24mmの正方形の平板状の銅材をそれぞれ配置し、水素雰囲気中において、厚み方向から30MPaの圧力を加えながら、380℃で加
熱することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3b,第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bを接合してなる回路基板10である試料No.9〜16を得た。なお、回路部材2a,2bの形状は試料No.1〜8と同じである。
【0099】
そして、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されている状態については、走査型電子顕微鏡を用い、倍率を10000倍として、支持基板1の
第1主面の表面における8μm×5μmの範囲を観察した。この観察により、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12による窒化珪素の結晶粒子11同士の連結の有無を観察し、連結状態の欄に有無を記載した。
【0100】
なお、上述した観察においては、回路基板10から、回路部材2a,2bを研磨により除去し、試料No.1〜8については第1の接合層3a,3bを、試料No.9〜16については第1の接合層3a,3bおよび第1の金属層4a,4bをエッチングにより除去した支持基板1の第1主面の表面を観察した。
【0101】
また、窒化珪素の結晶粒子11同士が珪化物の結晶粒子12によって連結されて存在している状態が確認された試料については、透過型電子顕微鏡を用いて活性金属を含む珪化物の結晶粒子12における活性金属を同定し、同定された活性金属を表1に示した。
【0102】
また、それぞれの試料の放熱特性を評価するため、回路部材2a,2b上にそれぞれ半導体素子を搭載した後、30Aの電流を流した。電流を流してから5分後にそれぞれの半導体素子の表面における温度をサーモグラフィーで測定し、その温度の平均値を表1に示した。
【0103】
また、各試料を窒素ガス雰囲気において、260℃の温度で5分間保持した後に、JIS
B 0601−2001(ISO 4287−1997)に準拠して触針式の表面粗さ計を用い、支持基板
1の第1主面のX方向の最大高さRを測定し、この測定値を反りHとした。なお、測定長さ,カットオフ値,触針の先端半径および触針の走査速度はそれぞれ55mm,R+W,2μm,1mm/秒とし、測定した反りHの値を表1に示した。
【0104】
【表1】

【0105】
表1に示す通り、試料No.1と試料No.2〜8、試料No.9と試料No.10〜16を比較すると、放熱特性を評価すべく測定した表面温度の値に差が生じており、表面温度の値の小さい試料については、支持基板1の第1主面の表面において、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されていることから、熱の授受が窒化珪素の結晶粒子11同士で進みやすくなって放熱特性を高めることができていることが確認された。
【0106】
また、試料No.10〜16は、回路部材2a,2bと第1の接合層3a,3bとの間に、銅を主成分とする第1の金属層4a,4bが配置されていることから、試料No.2〜8よりも放熱特性に優れているので支持基板1に生じる反りを小さくすることができており、熱に対する信頼性が高いことが確認された。
【実施例2】
【0107】
図6,8に示す形状の回路基板10を作製し、支持基板1の結晶粒子の観察、回路基板10の放熱特性および支持基板1に生じる反り量について評価した。
【0108】
まず、実施例1で用いたのと同様の窒化珪素を主成分とする支持基板1を準備し、支持基板1を850℃で熱処理することによって、支持基板1の表面に付着した有機物や残留炭
素を除去した。次いで、この支持基板1の第1主面および第2主面に、銀,銅,表2に示す活性金属,錫およびモリブデンの各含有量がそれぞれ51.9質量%,40質量%,2.5質量
%,2.6質量%,3質量%となるように調整されたペースト状のろう材を用いてスクリー
ン印刷法により塗布した。
【0109】
そして、支持基板1の第1主面に塗布されたろう材上に、回路部材2a,2bとなる1辺が24mmの正方形の平板状の銅材をそれぞれ配置し、第2主面のろう材上に、放熱部材5となるX方向の長さが56mmであり、Y方向の長さが26mmである長方形の平板状の銅材を配置した。その後、真空度が0.08Paの真空雰囲気中において、厚み方向から3kPaの圧力を加えながら、600℃で1時間保持した後、850℃で表2に示す時間で保持することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bを介して回路部材2a,2bを接合し、また、第2主面に第2の接合層3cを介して放熱部材5を接合してなる回路基板10である試料No.17〜24を得た。
【0110】
また、支持基板1の第1主面および第2主面に塗布されたろう材上に、第1の金属層4a,4bおよび第2の金属層4cとなる薄状の銅材を配置し、真空度が0.08Paの真空雰囲気中において、厚み方向から3kPaの圧力を加えながら、600℃で1時間保持した後
、850℃で表2に示す時間で保持することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合
層3a,3bを介して第1の金属層4a,4bを接合し、第2主面に第2の接合層3cを介して第2の金属層4cを接合した。そして、第1の金属層4a,4bおよび第2の金属層4cの表面を研磨した後、第1の金属層4a,4b上に回路部材2a,2bとなる平板状の銅材を、第2の金属層4c上に放熱部材5となる平板状の銅材をそれぞれ配置した。
【0111】
そして、水素雰囲気中において、厚み方向から30MPaの圧力を加えながら、380℃で
加熱することによって、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bおよび第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bを接合し、第2主面に第2の接合層3cおよび第2の金属層4cを順次介して放熱部材5を接合してなる回路基板10である試料No.25〜32を得た。なお、回路部材2a,2bおよび放熱部材5の形状は試料No.17〜24と同じである。
【0112】
そして、観察の対象を支持基板1の第2主面の表面としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12による窒化珪素の結晶粒子11同士の連結の有無を観察し、連結状態の欄に有無を記載した。また、窒化珪素の結晶粒子11同士が珪化物の結晶粒子12によって連結されて存在している状態が確認された試料についても、実施例1と同様の方法により、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12における活性金属を同定し、同定された活性金属を表2に示した。また、それぞれの試料について、放熱特性の評価および反り量の測定を行なった際の試験を実施し、実施例1と同様の方法で表面温度と反り量を測定した。それぞれの結果を表2に示した。
【0113】
【表2】

【0114】
表2に示す通り、試料No.17と試料No.18〜24、試料No.25と試料No.26〜32を比較すると、放熱特性を評価すべく測定した表面温度の値に差が生じており、表面温度の値の小さい試料については、支持基板1の第2主面の表面に、窒化珪素の結晶粒子11が活性金属を含む珪化物の結晶粒子12によって連結されていることから、熱の授受が窒化珪素の結晶粒子11同士で進みやすくなって放熱特性が高めることができていることが確認された。
【0115】
また、試料No.26〜32は、放熱部材5と第2の接合層3cとの間に、銅を主成分とする第2の金属層4cが配置されていることから、試料No.18〜24よりも放熱特性に優れているので支持基板1に生じる反りを小さくすることができており、熱に対する信頼性が
高いことがわかった。
【0116】
さらに、実施例1および実施例2の結果から、放熱部材5を設けた方が、放熱特性に優れ、支持基板1に生じる反りを小さくできることが確認された。
【実施例3】
【0117】
実施例2の試料No.26と同様の図7に示す形状の回路基板10を、熱処理の条件のみを異ならせて作製し、支持基板1の第1主面の表面の活性金属を含む結晶粒子のアスペクト比の算出および回路基板10の放熱特性を評価した。
【0118】
実施例2の試料No.26の作製方法と異なるのは、850℃での保持時間であり、その他
の作製方法については、実施例2の試料No.26の作製方法と同様の方法で作製し、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bおよび第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bを、第2主面に第2の接合層3cおよび第2の金属層4cを順次介して放熱部材5をそれぞれ接合してなる回路基板10である試料No.33〜36を得た。
【0119】
そして、実施例1と同様の方法により、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12による窒化珪素の結晶粒子11同士の連結の有無を観察したところ、試料No.33〜36ともに活性金属を含む珪化物の結晶粒子12が窒化珪素の結晶粒子11同士を連結して存在していることが確認でき、実施例1と同様の方法によって同定したところ、活性金属として含有させたTiであることが確認された。
【0120】
そして、このTiを含む珪化物の結晶粒子12のアスペクト比を算出した。走査型電子顕微鏡を用いて、倍率を10000倍として、支持基板1の第1主面の表面の8μm×5μmの
範囲におけるTiの珪化物の結晶粒子12を10個抽出して、それぞれの長径および短径を測定し、得られた長径の値を短径の値で除してそれぞれのアスペクト比を求めた後、求められた値から算出した平均値を表3に示した。
【0121】
また、実施例1と同様の方法で放熱特性の評価を行なった際の試験を実施し、実施例1と同様の方法で表面温度を測定し、結果を表3に示した。
【0122】
【表3】

【0123】
表3に示す通り、試料No.33と試料No.34〜36とを比較すると、放熱特性を評価すべく測定した表面温度の値に差が生じており、Tiの珪化物の結晶粒子12のアスペクト比の平均値が8以上であることから、熱の授受がさらに進みやすくなって放熱特性をさらに高めることができていることが確認された。
【実施例4】
【0124】
実施例2の試料No.26と同様の図7に示す形状の回路基板10を、ろう材の構成と熱処理の条件とを異ならせて作製し、活性金属を含む珪化物の結晶粒子の組成式の確認およびヒートサイクル試験を行ない、熱に対する信頼性を評価した。
【0125】
実施例2の試料No.26の作製方法と異なるのは、用いるろう材が表4に示す構成であり、熱処理条件が表4に示す温度で、保持時間が1.5時間であることであり、その他の作
製方法については、実施例2の試料No.26の作製方法と同様の方法で作製し、支持基板1の第1主面に第1の接合層3a,3bおよび第1の金属層4a,4bを順次介して回路部材2a,2bを、第2主面に第2の接合層3cおよび第2の金属層4cを順次介して放熱部材5をそれぞれ接合してなる回路基板10である試料No.37〜40を得た。
【0126】
なお、ICP発光分光分析法により接合層の成分の含有量を確認し、ろう材の構成が表4に示す構成となっていることを確認した。
【0127】
そして、実施例1と同様の方法により、活性金属を含む珪化物の結晶粒子12による窒化珪素の結晶粒子11同士の連結の有無を観察したところ、試料No.33〜36ともに活性金属を含む珪化物の結晶粒子12が窒化珪素の結晶粒子11同士を連結して存在していることが確認できた。そして、この活性金属の珪化物の結晶粒子12の組成式について、X線解析装置を用いて確認して表4に示した。
【0128】
そして、各試料を用いて、室温から−45℃に降温して15分保持してから、昇温して125
℃で15分保持した後、室温まで降温するというサイクルを1サイクルとする、ヒートサイクル試験を行ない、3000サイクル時点での支持基板1に生じているクラックの有無について光学顕微鏡を用いて500倍の倍率で確認した。また、3000サイクル以降については、100サイクル経過する毎に、上述した同様の方法で支持基板1に生じているクラックの有無を確認し、クラックが確認されたサイクル数を表4に示した。
【0129】
【表4】

【0130】
表4に示す通り、試料No.37と試料No.38〜40とを比較すると、ヒートサイクル試験の結果を示すサイクル数に差が生じており、珪化物の組成式がTiSiおよびTiSiとして示される成分の少なくともいずれかであることから、熱に対する信頼性をさらに高められることがわかった。
【0131】
また、このように優れた本実施形態の回路基板における回路部材上に電子部品を搭載したところ、放熱特性の高い電子装置とすることができることが確認できた。
【符号の説明】
【0132】
1:支持基板
2,2a,2b:回路部材
3a,3b:第1の接合層
3c:第2の接合層
4a,4b:第1の金属層
4c:第2の金属層
5:放熱部材
6,7:電子部品
10:回路基板
11:窒化珪素の結晶粒子
12:活性金属を含む珪化物の結晶粒子
S:電子装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化珪素を主成分とする支持基板の第1主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第1の接合層を介して、銅を主成分とする回路部材が設けられた回路基板であって、前記支持基板の前記第1主面の表面において、前記窒化珪素の結晶粒子が前記活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結されていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記回路部材と前記第1の接合層との間に、銅を主成分とする第1の金属層が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記支持基板の前記第1主面に対向する第2主面に、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の活性金属を含むろう材からなる第2の接合層を介して、銅を主成分とする放熱部材が設けられており、前記支持基板の前記第2主面の表面において、前記窒化珪素の結晶粒子が前記活性金属を含む珪化物の結晶粒子によって連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記放熱部材と前記第2の接合層との間に、銅を主成分とする第2の金属層が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の回路基板。
【請求項5】
前記活性金属を含む珪化物の結晶粒子は、アスペクト比の平均値が8以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回路基板。
【請求項6】
前記活性金属を含む珪化物は、組成式がTiSiおよびTiSiとして示される成分の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の回路基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の回路基板における前記回路部材上に電子部品を搭載してなることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136378(P2012−136378A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289002(P2010−289002)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】