説明

回路基板及びその製造方法並びに電子機器

【課題】製造コストの上昇や工程数の増加、製造歩留まりの低下を抑制しつつ、配線層と透明電極とを良好に接続することができる接続構造を有する回路基板及びその製造方法、並びに、該回路基板を適用した発光パネルを実装した電子機器を提供する。
【解決手段】絶縁性の基板11上に設けられる薄膜トランジスタTFTのソース電極Ts(又は、ソース電極Tsと一体的に形成された配線層L2)と、該薄膜トランジスタTFTを被覆する層間絶縁膜13上に設けられる透明電極ELPとが、基板11上に設けられた導電層Lmを介して、電気的に接続されている。ここで、ソース電極Ts(又は配線層L2)はアルミニウム合金により形成され、透明電極ELP及び導電層Lmは、ITO等の透明電極材料により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及びその製造方法並びに電子機器に関し、特に、基板上に薄膜トランジスタや発光素子が形成された発光パネルに適用可能な回路基板及びその製造方法、並びに、該回路基板を適用した発光パネルを実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯音楽プレーヤ等の電子機器の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の発光素子を2次元配列した表示パネル(発光素子型表示パネル)を適用したものが知られている。特に、アクティブマトリクス駆動方式を適用した発光素子型表示パネルにおいては、広く普及している液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性も小さく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるという特長を有している。加えて、発光素子型表示パネルは、液晶表示装置のようにバックライトや導光板を必要としないので、一層の薄型軽量化が可能であるという特長を有している。
【0003】
ここで、有機EL素子は、周知のように、例えばガラス基板等の一面側に、アノード(陽極)電極と、有機EL層(発光機能層)と、カソード(陰極)電極と、を順次積層した素子構造を有している。そして、有機EL層に発光しきい値を越えるようにアノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより、有機EL層内で注入されたホールと電子が再結合する際に生じるエネルギーに基づいて光(励起光)が放射される。
【0004】
このような表示パネルを大画面化する場合、発光素子を有する画素の配置位置に応じて、ドライバからの配線長が異なるため、信号遅延や電圧低下が顕著になる。そこで、上記表示パネルに低抵抗の配線構造を適用することが必要であった。例えば特許文献1には、有機EL素子を備えた複数の画素が配列された有機ELパネルにおいて、電源線の配線材料としてアルミニウム単体、又は、アルミニウム合金を用いることにより、配線抵抗を低減することが記載されている。
【0005】
ところで、上述したような有機EL素子においては、透明な電極材料として酸化インジウムスズ(Indium Thin Oxide:ITO)が汎用されている。ここで、上述したようなアルミニウムを含む配線材料からなる低抵抗配線(低抵抗配線と同時に形成される電極を含む)と、ITOからなる透明電極とを接続する場合、アルミニウムの純度が高くなるほど接触抵抗が高くなることが知られている。加えて、アルミニウムを含む低抵抗配線は、アルカリ耐性が悪いという問題も有している。
【0006】
このような問題を解決する手段として、アルミニウムを含む低抵抗配線と透明電極との間に高融点金属からなるバリヤメタルの積層膜を介在させた接続構造が提案されているが、この場合には、バリヤメタル形成工程が必要になるという問題を有していた。そこで、例えば特許文献2には、ニッケル(Ni)を含むアルミニウム合金(Al−Ni系合金)を低抵抗配線の配線材料として用いることにより、バリヤメタルを形成することなく低抵抗配線と透明電極(ITO)と直接接続できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−116206号公報
【特許文献2】特開2004−214606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような特許文献2に示された低抵抗配線(Al−Ni系合金)と透明電極(ITO)との接続構造においては、一般に低抵抗配線上に窒化シリコン(SiN)等の絶縁膜を形成後、該絶縁膜をパターニングしてコンタクトホールを形成する。次いで、絶縁膜上に透明電極を成膜することにより、コンタクトホールを介して両者を電気的に接続する。
【0009】
この場合、Al−Ni系合金は、配線パターニング時のレジスト現像液処理やレジスト剥離液処理で若干溶解し、表面がアモルファス化してAl−Ni水酸化物に変化する性質がある。そのため、ドライエッチング法にて絶縁膜をエッチングする際、Al−Ni表面のアモルファス成分も同時にエッチングされる。さらに、絶縁膜エッチング後のレジスト剥離液処理で、再び合金表面、及び、コンタクトホール周辺の絶縁膜下部の合金が溶出するため、絶縁膜がオーバーハング構造になってしまう場合がある。
【0010】
この状態で、ITOを成膜しパターニングすると、ITOが絶縁膜のオーバーハング部で断線して、ITOとAl−Ni合金が同時にレジスト剥離液に露出することで腐食反応(いわゆる電池反応)が進行する。そのため、表示パネルの表示領域において、Al−Ni合金とITOとの接合不良が生じ、製造歩留まりの低下を招くという問題を有していた。
【0011】
なお、このような問題は、表示パネルの周辺領域に配置される外部接合端子の製造工程においても同様に生じる。また、上述したような問題は、配線材料としてAl−Ni系合金を用いた場合に限らず、アルミニウム単体や、ネオジウム(Nd)を含むアルミニウム合金(Al−Nd系合金)等を用いた場合により顕著になる。それを回避する手法としては、例えば特開平11−337976号公報に示されているように、透明電極材料としてITOに替えて、酸化インジウムに酸化亜鉛を10%含有させた材料(酸化インジウム亜鉛)を適用することが提案されている。また、例えば特開平11−283934号公報に示されているように、プラズマ処理やイオン注入により、電極表面を改質する手法が提案されている。しかしながら、これらの手法においては、コスト高な材料への変更が伴ったり、工程数が増えたりするという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、製造コストの上昇や工程数の増加、製造歩留まりの低下を抑制しつつ、配線層と透明電極とを良好に接続することができる接続構造を有する回路基板及びその製造方法、該回路基板を適用した発光パネルを実装した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明に係る回路基板は、基板と、前記基板上に形成された第一導電体層と、前記第一導電体層上に形成され、前記第一導電体層と異なる材料からなる第二導電体層と、前記第一導電体層と前記第二導電体層との間に設けられ、前記第一導電体層と前記第二電体層とを接続するコンタクトホールを備えた絶縁膜と、前記基板上に形成され、第一導電体層と接続された第三導電体層と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の回路基板において、前記第一導電体層は酸化インジウム系の透明導電材料からなり、前記第二導電体層はニッケルを含むアルミニウム合金材料からなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の回路基板において、前記第一導電体層と前記第三導電体層との間に、前記絶縁膜と、他の絶縁膜と、を有し、前記第一導電体層と前記第三導電体層とは、前記絶縁膜及び前記他の絶縁膜とに設けられた他のコンタクトホールを介して接続されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の回路基板において、前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、を更に備え、前記第二導電体層は、前記発光素子を駆動するためのトランジスタのソース電極、又はドレイン電極であり、前記第三導電体層は、前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子の電極であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の回路基板において、前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と、前記第一電極又は前記第二電極のいずれか一方と、を兼ねることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載の回路基板において、前記トランジスタのゲート電極が、前記第一導電体層に被覆されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回路基板において、前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、を更に備え、前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、前記第三導電体層は、前記トランジスタのゲート電極であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回路基板において、前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子と、を更に備え、前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と共にパターニングされた層であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1又は2に記載の回路基板において、前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子と、を更に備え、前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と共にパターニングされた導電体層であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の前記回路基板が実装されてなることを特徴とする電子機器である。
【0015】
請求項11記載の発明に係る回路基板の製造方法は、基板上に第一導電層を形成する工程と、前記第一導電層上に第一絶縁膜を形成する工程と、前記第一絶縁膜に、前記第一導電層の上面が露出する第一コンタクトホールを形成する工程と、前記第一コンタクトホールを介して、前記第一導電層に直接接続される第二導電層を形成する工程と、前記第二導電層上に第二絶縁膜を形成する工程と、前記第一絶縁膜及び前記第二絶縁膜に、前記第一導電層の上面が露出する第二コンタクトホールを形成する工程と、前記第二コンタクトホールを介して、前記第一導電層に直接接続される第三導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造コストの上昇や工程数の増加、製造歩留まりの低下を抑制しつつ、配線層と透明電極とを良好に接続する接続構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第1の実施形態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第2の実施形態を示す要部断面図である。
【図3】本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第3の実施形態を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第4の実施形態を示す要部断面図である。
【図5】本発明に係る回路基板を適用した表示パネルの一例を示す概略平面図(その1)である。
【図6】本発明に係る回路基板を適用した表示パネルの一例を示す概略平面図(その2)である。
【図7】具体例に係る表示パネルに配列される各画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【図8】具体例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図9】具体例に係る画素及び端子パッド周辺の要部拡大図である。
【図10】具体例に係る表示パネルの要部断面図(その1)である。
【図11】具体例に係る表示パネルの要部断面図(その2)である。
【図12】具体例に係る表示パネルの要部断面図(その3)である。
【図13】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図14】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図15】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図16】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図17】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図18】具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図19】比較対象となる表示パネルの一例、及び、その問題点を示す要部断面図である。
【図20】比較対象となる表示パネルの製造方法を示す工程断面図である。
【図21】具体例に係る表示パネルに配列される画素の他の回路構成例を示す等価回路図である。
【図22】本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装したデジタルカメラの構成を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図24】本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装した携帯電話の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る回路基板及びその製造方法並びに電子機器ついて、実施形態を示して詳しく説明する。まず、本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造について説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第1の実施形態を示す要部断面図である。
【0020】
第1の実施形態に係る配線層間の接続構造は、例えば図1に示すように、ガラス基板等の絶縁性の基板11上に設けられる薄膜トランジスタTFTのソース電極Ts(又は、ソース電極Tsと一体的に形成された配線層L2)と、該薄膜トランジスタTFTを被覆する層間絶縁膜13上に設けられる透明電極ELPとが、基板11上に設けられた導電層Lmを介して、電気的に接続されている。
【0021】
薄膜トランジスタTFT(第1の回路素子)は、ゲート電極Tgと、ゲート絶縁膜となる絶縁膜12を介して少なくともゲート電極Tgに対応する領域に形成された半導体層SMCと、該半導体層SMCの両端部に延在するように形成されたソース電極Ts及びドレイン電極Td(金属電極層)と、を有している。ここで、ゲート電極Tg(図示を省略したゲート電極Tgと同時に形成される配線層を含む;第2の金属配線層)は、上記導電層Lmと同時に形成される導電層PT1により被覆されている。
【0022】
また、薄膜トランジスタTFTは、少なくともソース電極Ts及びドレイン電極Tdと半導体層SMCとの間に、不純物層OHMが形成されている。不純物層OHMは、n型の不純物を含むアモルファスシリコンからなるnシリコン層等により形成され、半導体層SMCとソース電極Ts及びドレイン電極Tdとのオーミック接続を実現する。また、薄膜トランジスタTFTは、ソース電極Tsとドレイン電極Tdが対向する半導体層SMC上に、チャネル保護層BLが形成されている。チャネル保護層BLは、酸化シリコン又は窒化シリコン等により形成され、半導体層SMCへのエッチングダメージを防止する。なお、本実施形態に係る回路基板においては、ソース電極Ts及びドレイン電極Tdの下層に上記不純物層OHMと半導体層SMCが延在して形成されている。また、層間絶縁膜13上には、透明電極ELPを被覆する保護絶縁膜14が形成されている。
【0023】
そして、薄膜トランジスタTFTのソース電極Ts(又は、配線層L2;第1の金属配線層)は、不純物層OHM、半導体層SMC及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHAを介して、基板11上に形成された導電層Lmに直接接続されている。また、透明電極ELP(他の電極層)は、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHBを介して、導電層Lmに直接接続されている。
【0024】
ここで、本実施形態においては、薄膜トランジスタTFTのゲート電極Tg、ソース電極Ts(又は、配線層L2)及びドレイン電極Tdは、例えばニッケル等を含むアルミニウム合金等の低抵抗配線材料により形成されている。また、導電層Lm、導電層PT1及び透明電極ELPは、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛等の光透過率の高い透明な電極材料により形成されている。なお、ゲート絶縁膜となる絶縁膜12、層間絶縁膜13及び保護絶縁膜14は、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機の絶縁性材料により形成されている。これにより、後述する表示パネル10(図11参照)に示すように、導電層Lm及び導電層PT1は、例えばキャパシタCs(第2の回路素子)の下部電極Eca(透明電極層)と同時に形成することができる。また、透明電極ELPは、例えばキャパシタCsの上部電極Ecbを兼用する画素電極16として形成することができる。
尚、ここでは低抵抗配線材料としてはニッケル等を含むアルミニウム合金等を挙げたが、アルミニウム合金以外にも、銅合金、銀合金等でもよい。
【0025】
このように、本実施形態に係る回路基板においては、アルミニウム合金等からなる配線層L2(ソース電極Ts)と、配線層L2より上層に設けるITO等の透明電極材料からなる透明電極ELPとが、配線層L2より下層に設けた透明電極材料からなる導電層Lmを介して、電気的に接続される接続構造を有している。すなわち、本実施形態に係る配線層間の接続構造は、配線層L2を被覆する層間絶縁膜13に、配線層L2が露出するコンタクトホールを設ける工程を必要としない。
【0026】
また、本実施形態に係る回路基板においては、透明電極材料からなる導電層Lmと同時に形成される導電層PT1が、ゲート電極Tgを被覆している。すなわち、本実施形態においては、導電層Lmのパターニング形成時に、アルミニウム合金等からなるゲート電極Tg(該ゲート電極Tgと同時に形成される配線層を含む)が透明電極材料からなる導電層PT1に被覆されて露出しない基板構造を有している。
【0027】
<第2の実施形態>
図2は、本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第2の実施形態を示す要部断面図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0028】
第2の実施形態に係る配線層間の接続構造は、例えば図2に示すように、絶縁性の基板11上に設けられる配線層L1(他の配線層、第2の金属配線層)と、該配線層L1を被覆する絶縁膜12上に設けられる配線層L2(第1の金属配線層)とが、基板11上に設けられた導電層Lmを介して、電気的に接続されている。
【0029】
配線層L1は、上記導電層Lmにより被覆され、直接電気的に接続されている。また、配線層L2の下層には、上述した第1の実施形態(図1参照)と同様に、不純物層OHMと半導体層SMCが延在して形成されている。配線層L2は、不純物層OHM、半導体層SMC及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHCを介して、基板11上に形成された導電層Lmに直接接続されている。
【0030】
ここで、本実施形態においては、配線層L1及び配線層L2は、例えばニッケル等を含むアルミニウム合金等の低抵抗配線材料により形成されている。また、導電層Lmは、例えばITO等の透明な電極材料により形成されている。これにより、後述する表示パネル10(図10、図11参照)に示すように、導電層Lmは、例えばキャパシタCsの下部電極Ecaと同時に形成することができる。また、配線層L1は、例えばトランジスタTr11のゲート電極Tr11gやデータラインLdとして形成することができる。配線層L2は、例えばトランジスタTr11のドレイン電極Tr11dや選択ラインLsとして形成することができる。
【0031】
このように、本実施形態に係る回路基板においては、アルミニウム合金からなる配線層L1とL2が、配線層L2より下層に設けた透明電極材料からなる導電層Lmを介して、電気的に接続される接続構造を有している。
【0032】
また、本実施形態に係る回路基板においては、透明電極材料からなる導電層Lmが、配線層L1を被覆している。すなわち、本実施形態においては、導電層Lmのパターニング形成時に、アルミニウム合金等からなる配線層L1が透明電極材料からなる導電層Lmに被覆されて露出しない基板構造を有している。
【0033】
<第3の実施形態>
図3は、本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第3の実施形態を示す要部断面図である。ここで、上述した第1又は第2の実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0034】
第3の実施形態に係る配線層間の接続構造は、例えば図3に示すように、絶縁性の基板11上の絶縁膜12上に設けられる配線層L2(第1の金属配線層)と、該配線層L2を被覆する層間絶縁膜13上に設けられる配線層L3(他の配線層)とが、基板11上に設けられた導電層Lmを介して、電気的に接続されている。
【0035】
配線層L2の下層には、上述した第1及び第2の実施形態(図1、図2参照)と同様に、不純物層OHMと半導体層SMCが延在して形成されている。配線層L2は、不純物層OHM、半導体層SMC及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHDを介して、基板11上に形成された導電層Lmに直接接続されている。また、配線層L3は、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHEに充填された導電層PT2を介して、導電層Lmに接続されている。
【0036】
ここで、本実施形態においては、配線層L2及び配線層L3は、例えばニッケル等を含むアルミニウム合金等の低抵抗配線材料により形成されている。また、導電層Lm及び導電層PT2は、例えばITO等の透明な電極材料により形成されている。これにより、後述する表示パネル10(図10、図11参照)に示すように、導電層Lmは、例えばキャパシタCsの下部電極Ecaと同時に形成することができる。また、配線層L2は、例えば電源電圧ラインLaとして形成することができる。配線層L3は、例えば上記電源電圧ラインLaの補助配線Lbとして形成することができる。また、導電層PT2は、例えばキャパシタCsの上部電極Ecbを兼用する画素電極16と同時に形成することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係る回路基板においては、アルミニウム合金等からなる配線層L2とL3が、配線層L2より下層に設けた透明電極材料からなる導電層Lm、及び、透明電極材料からなる導電層PT2を介して、電気的に接続される接続構造を有している。すなわち、本実施形態に係る配線層間の接続構造は、配線層L2を被覆する層間絶縁膜13に、配線層L2が露出するコンタクトホールを設ける工程を必要としない。
【0038】
<第4の実施形態>
図4は、本発明に係る回路基板に適用される配線層間の接続構造の第4の実施形態を示す要部断面図である。ここで、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0039】
第4の実施形態に係る配線層間の接続構造は、例えば図4に示すように、絶縁性の基板11上の絶縁膜12上に設けられる配線層L2(第1の金属配線層)と、該配線層L2を被覆する層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホールCHG内に設けられた導電層PT3(他の電極層)とが、基板11上に設けられた導電層Lmを介して、電気的に接続されている。
【0040】
配線層L2の下層には、上述した第1乃至第3の実施形態(図1〜図3参照)と同様に、不純物層OHMと半導体層SMCが延在して形成されている。配線層L2は、不純物層OHM、半導体層SMC及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCHFを介して、基板11上に形成された導電層Lmに直接接続されている。導電層PT3は、層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCHGを介して、基板11上に形成された導電層Lmに直接接続されている。また、導電層PT3は、層間絶縁膜13上に設けられた保護絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCHHを介して露出している。
【0041】
ここで、本実施形態においては、配線層L2は、例えばニッケル等を含むアルミニウム合金等の低抵抗配線材料により形成されている。また、導電層Lm及び導電層PT3は、例えばITO等の透明な電極材料により形成されている。これにより、後述する表示パネル10(図12参照)に示すように、導電層Lmは、例えばキャパシタCsの下部電極Ecaと同時に形成することができる。また、配線層L2は、例えば電源電圧ラインLaや選択ラインLs、引き出し配線Lhとして形成することができる。導電層PT3は、例えば外部回路と接続するための端子パッドPLa、PLs、PLcとして形成することができる。また、導電層PT3は、例えばキャパシタCsの上部電極Ecbを兼用する画素電極16と同時に形成することができる。
【0042】
このように、本実施形態に係る回路基板においては、アルミニウム合金等からなる配線層L2と、透明電極材料からなる導電層PT3とが、配線層L2より下層に設けた透明電極材料からなる導電層Lmを介して、電気的に接続される接続構造を有している。すなわち、本実施形態に係る配線層間の接続構造は、配線層L2を被覆する層間絶縁膜13に、配線層L2が露出するコンタクトホールを設ける工程を必要としない。
【0043】
<回路基板の具体例>
次に、上述した回路基板の配線層間の接続構造を適用した発光パネル、及び、その製造方法について説明する。ここでは、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルとして、有機EL素子を有する複数の画素が配列された表示パネルを示して説明する。
【0044】
(発光パネル)
図5、図6は、上述した実施形態に係る回路基板を適用した表示パネルの一例を示す概略平面図である。ここで、図5に示す平面図においては、説明の都合上、表示パネルの一面側(基板の有機EL素子の形成面側)から見た、表示領域に配列される各画素の画素電極と各配線層との配置関係のみを示し、各画素の有機EL素子(発光素子)を発光駆動するための発光駆動回路(後述する図7参照)に設けられるトランジスタ等の表示を省略した。また、図6においては、表示領域に設けられる対向電極(カソード電極)と引き出し配線との配置関係を主に示した。なお、図5、図6においては、画素電極及び対向電極の配置を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
【0045】
本発明に係る回路基板を適用した表示パネル10は、例えば図5に示すように、ガラス基板等の透明な基板11の一面側(紙面手前側)に、表示領域20と、その周囲の周辺領域30とが設定されている。表示領域20には、複数の画素PIXが行方向(図面左右方向)及び列方向(図面上下方向)にマトリクス状に配列されている。
【0046】
ここで、各画素PIXに設けられる画素電極16の周囲には、例えば図5に示すように、列方向にデータラインLdが配設されている。また、当該データラインLdに直交する行方向には選択ラインLs及び例えばアノードラインとなる電源電圧ラインLaが配設されている。選択ラインLsの一方の端部には端子パッドPLsが設けられ、電源電圧ラインLaの一方の端部には端子パッドPLaが設けられている。また、データラインLdの一方の端部には図示を省略した端子パッドが設けられている。
【0047】
また、例えば図6に示すように、表示パネル10には、基板11上に配列された複数の画素電極16に対して共通に対向するように、単一の電極層(べた電極)からなる対向電極(例えばカソード電極)18が形成されている。対向電極18は、カソードコンタクト部Eccを介して引き出し配線Lhに接続されている。引き出し配線Lhの一方の端部には端子パッドPLcが設けられている。
【0048】
上記の各端子パッドPLs、PLa、PLc(データラインLdに接続された端子パッドを含む)及びカソードコンタクト部Eccは、基板11の周辺領域30に配置されている。そして、各端子パッドPLs、PLa(データラインLdに接続された端子パッドを含む)は、例えば、図示を省略した表示パネル外部のフレキシブル基板や駆動用のドライバIC等に電気的に接続される。これにより、選択ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLdを介して、各画素PIXに所定の駆動信号や駆動電圧が供給される。また、端子パッドPLcは、例えば所定の低電位電源に直接又は間接的に接続される。これにより、引き出し配線Lh及び対向電極18を介して、全ての画素PIX(後述する有機EL素子OEL)に対して、所定の低電圧が共通に印加される。
【0049】
(画素)
図7は、本具体例に係る表示パネルに配列される各画素(発光素子及び発光駆動回路)の回路構成例を示す等価回路図である。
画素PIXは、例えば図7に示すように、発光駆動回路DCと有機EL素子OELとを備えている。発光駆動回路DCは、1乃至複数のトランジスタ(例えばアモルファスシリコン薄膜トランジスタ等)を備えた回路構成を有している。また、有機EL素子OELは、発光駆動回路DCにより制御される発光駆動電流が供給されることにより発光動作する。
【0050】
発光駆動回路DCは、具体的には、例えば図7に示すように、トランジスタTr11と、トランジスタTr12(薄膜トランジスタ)と、キャパシタCs(容量素子)と、を備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が接点N14を介して選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が接点N13を介してデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が接点N15を介して電源電圧ラインLaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。
【0051】
ここでは、トランジスタTr11、Tr12は、いずれもnチャネル型の薄膜トランジスタが適用されている。トランジスタTr11、Tr12がpチャネル型であれば、ソース端子及びドレイン端子が互いに逆になる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート・ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート・ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0052】
また、有機EL素子OEL(発光素子)は、アノード(アノード電極となる画素電極16)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(カソード電極となる対向電極18)がカソードコンタクト部Ecc、引き出し配線Lh及び端子パッドPLcを介して、所定の低電位電源に接続される。したがって、基板11上に配列された複数の画素電極16に対して、対向電極18を共通に対向する単一の電極層(べた電極)により構成することにより、例えば全ての画素PIX(有機EL素子OEL)に対して、所定の低電圧(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)が共通に印加される。
【0053】
なお、図7に示した画素PIX(発光駆動回路DC及び有機EL素子OEL)において、選択ラインLsは、図5、図6に示した端子パッドPLsを介して、図示を省略した選択ドライバに接続される。選択ドライバは、所定のタイミングで画素PIXを選択状態に設定するための選択電圧Vselを選択ラインLsに印加する。また、データラインLdは、図示を省略した接続パッドを介して、データドライバに接続される。データドライバは、上記画素PIXの選択状態に同期するタイミングで画像データに応じた階調電圧VdataをデータラインLdに印加する。
【0054】
また、電源電圧ラインLaは、図5、図6に示した端子パッドPLaを介して、例えば所定の高電位電源に直接又は間接的に接続される。ここで、電源電圧ラインLaには、各画素PIXに設けられる有機EL素子OELの画素電極(アノード電極)16に、画像データに応じた発光駆動電流を流すことができる所定の高電圧(電源電圧Vsa)が印加される。この高電圧は、有機EL素子OELの対向電極18に印加される基準電圧Vscより電位の高い電圧に設定される。
【0055】
このような回路構成を有する画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、所定の選択期間に、図示を省略した選択ドライバから選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、発光駆動回路DCに設けられたトランジスタTr11がオン動作して、画素PIXが選択状態に設定される。このタイミングに同期して、図示を省略したデータドライバから画像データに応じた階調電圧VdataがデータラインLdに印加される。これにより、トランジスタTr11を介して接点N11(すなわち、トランジスタTr12のゲート端子)がデータラインLdに接続され、接点N11に階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0056】
ここで、トランジスタTr12のドレイン・ソース間電流(すなわち、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流)の電流値は、ドレイン・ソース間の電位差及びゲート・ソース間の電位差によって決定される。すなわち、図7に示した発光駆動回路DCにおいては、トランジスタTr12のドレイン・ソース間に流れる電流の電流値は、階調電圧Vdataによって制御される。
【0057】
したがって、トランジスタTr12が接点N11の電位(すなわち、階調電圧Vdata)に応じた導通状態でオン動作して、高電位側の電源電圧VsaからトランジスタTr12及び有機EL素子OELを介して低電位側の基準電圧Vsc(接地電位Vgnd)に、所定の電流値を有する発光駆動電流が流れる。これにより、有機EL素子OELが階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で発光動作する。また、このとき、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて、トランジスタTr12のゲート・ソース間のキャパシタCsに電荷が蓄積(充電)される。
【0058】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間においては、選択ドライバから選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselが印加される。これにより、発光駆動回路DCのトランジスタTr11がオフ動作して非選択状態に設定され、データラインLdと接点N11が電気的に遮断される。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷が保持されることにより、トランジスタTr12のゲート・ソース間の電位差が保持され、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。
【0059】
したがって、上記選択状態と同様に、電源電圧VsaからトランジスタTr12を介して、有機EL素子OELに発光動作状態と同程度の電流値の発光駆動電流が流れて、発光動作状態が継続される。この発光動作状態は、次の画像データに応じた階調電圧Vdataが書き込まれるまで、例えば、1フレーム期間継続するように制御される。そして、このような駆動制御動作を、表示パネル10に2次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行することにより、所望の画像情報を表示する動作が実行される。
【0060】
(発光パネルのデバイス構造)
次いで、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)を含む表示パネルの具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここでは、有機EL層において発光した光を、基板を介して視野側(基板の他面側)に出射するボトムエミッション型の発光構造を有する有機EL表示パネルについて示す。
【0061】
図8は、本具体例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。また、図9は、本具体例に係る画素及び端子パッド周辺の要部拡大図である。ここで、図9(a)は、図8に示した画素の要部平面レイアウトであり、図9(b)は、図5に示した表示パネルの要部平面レイアウトである。なお、図8、図9においては、図7に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
【0062】
また、図10〜図12は、本具体例に係る表示パネルの要部断面図である。ここで、図10(a)、(b)及び図11(a)は、各々、図8に示した平面レイアウトを有する画素におけるXA−XA線(本明細書においては図8中に示したローマ数字の「10」に対応する記号として便宜的に「X」を用いる。以下同じ)、XB−XB線、及び、XIC−XIC線(本明細書においては図8中に示したローマ数字の「11」に対応する記号として便宜的に「XI」を用いる。以下同じ)に沿った断面を示す概略断面図である。また、図11(b)、(c)は、各々、図9(a)に示した要部平面レイアウトにおけるXID−XID線、及び、XIE−XIE線に沿った断面を示す概略断面図である。図12(a)、(b)は、図9(b)に示した要部平面レイアウトにおけるXIIF−XIIF線(本明細書においては図9(b)中に示したローマ数字の「12」に対応する記号として便宜的に「XII」を用いる。以下同じ)、及び、XIIG−XIIG線に沿った断面を示す概略断面図である。
【0063】
図8に示した画素PIXは、具体的には、図10(a)、(b)に示すように、基板11の一面側(図面上面側)に設定された画素形成領域Rpxごとに設けられている。この画素形成領域Rpxには、少なくとも、有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relと、隣接する画素PIXとの間の境界領域と、が設定されている。
【0064】
図8に示した画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源電圧ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面右方の縁辺領域には、選択ラインLs及び電源電圧ラインLaに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。さらに、本具体例においては、電源電圧ラインLaの上層に、当該電源電圧ラインLaに印加される電源電圧Vsaを補償するための補助配線Lbが設けられている。
【0065】
また、画素形成領域Rpxの左右の縁辺領域に設定される境界領域には、図面左右方向に隣接して配列される画素PIX(図示を省略)の画素形成領域Rpxにまたがって、図8、図10(a)、(b)に示すように、基板11表面から連続的に突出する隔壁層15が形成されている。そして、隔壁層15の側壁15eにより囲まれ、かつ、画素電極16が露出した領域がEL素子形成領域Relとして画定されている。なお、隔壁層15は、表示領域20の各画素電極16のみが露出する開口部を有し、該開口部を形成する側壁15eに四方を囲まれた領域を、EL素子形成領域Relとして画定するものであってもよい。
【0066】
データラインLdは、例えば図8〜図10、図11(a)に示すように、選択ラインLs及び電源電圧ラインLaよりも下層側(基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12gを形成するためのゲートメタル層をパターニングすることによって、当該ゲート電極Tr11g、Tr12gと同じ工程で形成される。また、データラインLd(第2の金属配線層)は、ITO等の透明電極材料からなる保護導電層CV21により被覆されている。そして、保護導電層CV21は、図8、図10(a)に示すように、データラインLd及び保護導電層CV21上に形成されたゲート絶縁膜となる絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH2を介して、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dに直接接続されている。これにより、データラインLd(他の配線層)は、保護導電層CV21を介して、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dに電気的に接続されている。ここで、保護導電層CV21は、後述するキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、コンタクトホールCH2は、図7に示した発光駆動回路DCの接点N13に対応する。
【0067】
また、選択ラインLs及び電源電圧ラインLaは、例えば図8〜図10、図11(b)、(c)に示すように、トランジスタTr11及びTr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に設けられている。選択ラインLs及び電源電圧ラインLaは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程で形成される。ここで、選択ラインLs及び電源電圧ラインLaは、例えばニッケル等の高融点金属を含むアルミニウム合金等の低抵抗の配線材料により形成される。なお、本具体例に係る表示パネルにおいては、選択ラインLs及び電源電圧ラインLaの下層に、後述するトランジスタTr11、Tr12を構成する不純物層OHM及び半導体層SMCが延在して形成されている。
【0068】
そして、選択ラインLsは、図8、図9(a)、図11(c)に示すように、下層の絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH3を介して、透明電極材料からなる導電層CV23に直接接続されている。導電層CV23は、後述するトランジスタTr11のゲート電極Tr11gを被覆する保護導電層CV11と一体的に形成されている。これにより、選択ラインLs(第1の金属配線層)は、導電層CV23及び保護導電層CV11を介して、トランジスタTr11のゲート電極Tr11g(他の電極層)に電気的に接続される。ここで、導電層CV23及び保護導電層CV11は、後述するキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、コンタクトホールCH3は、図7に示した発光駆動回路DCの接点N14に対応する。
【0069】
また、電源電圧ラインLaは、図8、図9(a)、図11(b)に示すように、下層の絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH6を介して、透明電極材料からなる導電層CV24に直接接続されている。導電層CV24は、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH7に充填された、透明電極材料からなる導電層CV31を介して、電源電圧ラインLaの補助配線Lbに電気的に接続されている。これにより、電源電圧ラインLa(第1の金属配線層)は、導電層CV24及びCV31を介して、補助配線Lb(他の配線層)に電気的に接続される。ここで、補助配線Lbは、図9(a)、図10(b)、図11(b)に示すように、電源電圧ラインLa上に層間絶縁膜13を介して平行に設けられ、かつ、電源電圧ラインLaに対して平面的に重なるように設けられる。また、補助配線Lbは、例えばニッケル等の高融点金属を含むアルミニウム合金等の低抵抗の配線材料により形成される。また、導電層CV24は、後述するキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、導電層CV31は、後述するキャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16を形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該画素電極16と同じ工程で形成される。このように、電源電圧ラインLa上に層間絶縁膜13を介して平行に補助配線Lbが設けられていることにより、電源電圧ラインLaの配線抵抗を実質的に低くすることができる。
【0070】
そして、このような選択ラインLs及び電源電圧ラインLaは、図5、図6に示したように、その一方の端部が表示領域20外の周辺領域30にまで延在し、端子パッドPLs、PLaに接続されている。電源電圧ラインLaに接続される端子パッドPLaについて具体的に示すと、電源電圧ラインLaは、例えば図9(b)、図12(a)に示すように、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH8を介して、透明電極材料からなる導電層CV25に直接接続されている。そして、導電層CV25は、導電層CV25上に形成された絶縁膜12及び層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCH9aを介して、端子導電層CV32に直接接続されている。これにより、電源電圧ラインLaは、導電層CV25を介して端子パッドPLaの端子導電層CV32(他の電極層)に電気的に接続されている。端子導電層CV32は、保護絶縁膜14に設けられたコンタクトホールCH9bにより露出し、表示パネル10外部と電気的に接続されるように構成されている。ここで、導電層CV25は、後述するキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、端子導電層CV32は、後述するキャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16を形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該画素電極16と同じ工程で形成される。
【0071】
なお、図示を省略したが、選択ラインLsの端部に設けられる端子パッドPLs(図5、図6参照)についても、上述した電源電圧ラインLaに接続される端子パッドPLaと同様に、図9(b)、図12(a)に示した端子構造が適用される。また、データラインLdの端部に設けられる端子パッド(図示を省略)においては、データラインLdがトランジスタTr11、Tr12を構成するゲートメタル層により形成されるので、データラインLdを被覆する保護導電層CV21が図12(a)に示した端子構造の導電層CV25として適用される。そして、絶縁膜12及び層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCH9aを介して、データラインLdと端子導電層CV32とを電気的に接続することにより、図12(a)と略同等の端子構造が適用される。
【0072】
また、図7に示した発光駆動回路DCのトランジスタTr11及びTr12は、具体的には、図8に示すように、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。本具体例においては、トランジスタTr11、Tr12のチャネルの幅方向が、データラインLdに平行に設定されている。
【0073】
各トランジスタTr11、Tr12は、周知の電界効果型の薄膜トランジスタ構造を有している。すなわち、トランジスタTr11、Tr12は、図8、図10(a)、図11(a)に示すように、各々、ゲート電極Tr11g、Tr12gと、ゲート絶縁膜となる絶縁膜12を介して少なくとも各ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に形成された半導体層SMCと、該半導体層SMCに形成されるチャネル領域を挟んで対向するように形成されたソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと、を有している。ここで、トランジスタTr11、Tr12のゲート電極Tr11g、Tr12g、及び、ソース電極Tr11s、Tr12s、ドレイン電極Tr11d、Tr12dは、例えば、ニッケル等の高融点金属を含むアルミニウム合金等の低抵抗の配線材料により形成される。
【0074】
なお、図10(a)、図11(a)に示すように、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと半導体層SMCとの間には、不純物層OHMが形成されている。不純物層OHMは、n型の不純物を含むアモルファスシリコンからなるnシリコン層等により形成され、半導体層SMCとソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dとのオーミック接続を実現する機能を有している。また、本具体例に係る表示パネル10においては、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、並びに、これらの電極と同時に形成される配線層の下層に不純物層OHMと半導体層SMCが延在して形成された基板構造を有している。また、各トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12sとドレイン電極Tr11d、Tr12dが対向する半導体層SMC上には、チャネル保護層BLが形成されている。チャネル保護層BLは、酸化シリコン又は窒化シリコン等により形成され、半導体層SMCへのエッチングダメージを防止する機能を有している。
【0075】
そして、図7に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、ゲート電極Tr11gが図8、図9(a)、図11(c)に示すように、導電層CV23、及び、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH3を介して選択ラインLsに電気的に接続されている。また、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dは、図8、図9(a)、図10(a)に示すように、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH2、及び、保護導電層CV21を介してデータラインLdに電気的に接続されている。また、トランジスタTr11のソース電極Tr11sは、図8、図9(a)、図10(a)に示すように、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH1を介してキャパシタCsの下部電極Ecaに直接接続されている。ここで、下部電極Ecaは、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gを被覆する保護導電層CV12と一体的に形成されている。これにより、トランジスタTr11のソース電極Tr11sは、下部電極Eca及び保護導電層CV12を介して、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gに電気的に接続される。ここで、コンタクトホールCH1は、図7に示した発光駆動回路DCの接点N11に対応する。
【0076】
また、トランジスタTr12は、上述したようにゲート電極Tr12gを被覆する保護導電層CV12がキャパシタCsの下部電極Ecaと一体的に形成されていることにより、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gがキャパシタCsの下部電極Ecaに直接接続されている。また、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12dは、図8に示すように、電源電圧ラインLaと一体的に形成されている。また、トランジスタTr12のソース電極Tr12sは、図8、図11(a)に示すように、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH4を介して、透明電極材料からなる導電層CV22に直接接続されている。導電層CV22は、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH5を介して、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16に直接接続されている。これにより、トランジスタTr12のソース電極Tr12sは、導電層CV22を介して画素電極16(他の電極層)に電気的に接続される。ここで、導電層CV22は、キャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、コンタクトホールCH4及びCH5は、図7に示した発光駆動回路DCの接点N12に対応する。また、電源電圧ラインLaと一体的に形成されるトランジスタTr12のドレイン電極Tr12dは、図7に示した発光駆動回路DCの接点N15に実質的に対応する。
【0077】
キャパシタCsは、図8、図10(a)、(b)に示すように、透明電極材料からなる下部電極Ecaと、該下部電極Ecaに対向する透明電極材料からなる上部電極Ecbと、下部電極Eca及び上部電極Ecb間に介在する絶縁膜12及び層間絶縁膜13と、を有している。ここで、絶縁膜12及び層間絶縁膜13は、キャパシタCsの誘電体層として兼用されている。また、上部電極Ecbは、後述する有機EL素子OELの画素電極16が兼用されている。すなわち、キャパシタCsは、有機EL素子OELの下層側(基板11側)に設けられている。
【0078】
有機EL素子OELは、図8、図10(a)、(b)に示すように、上記キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極(アノード電極)16と、有機EL層(発光機能層)15と、対向電極(カソード電極)18と、を順次積層した素子構造を有している。ここで、本具体例に係る有機EL素子OELは、ボトムエミッション型の発光構造を有しているので、画素電極16は、ITO等の光透過率の高い透明な電極材料により形成されている。一方、対向電極18は、アルミニウム単体やアルミニウム合金等の高い光反射率を有する電極材料を含んでいる。
【0079】
画素電極16は、図11(a)に示すように、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH5、導電層CV22、及び、絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH4を介して、トランジスタTr12のソース電極Tr12sに電気的に接続されている。そして、画素電極16には、上記発光駆動回路DCから所定の発光駆動電流が供給される。
【0080】
有機EL層17は、図8、図10(a)、(b)に示すように、基板11上に連続的に突出して形成された隔壁層15の側壁15eにより画定されたEL素子形成領域Relに露出する画素電極16上に形成される。有機EL層17は、例えば正孔注入層(又は、正孔注入層を含む正孔輸送層)17a及び電子輸送性発光層17bから形成される。ここで、有機EL層17は、正孔注入層や発光層、電子注入層等の担体輸送層のうち、発光層として機能する層が有機材料で形成されているものを指す。
【0081】
対向電極18は、基板11上に2次元配列された各画素PIXの画素電極16に対して、共通に対向するように設けられている。対向電極18は、図6に示したように、基板11の表示領域20に対応するように、単一の電極層(べた電極)により形成されている。また、対向電極18は、図10(a)、(b)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定する隔壁層15や保護絶縁膜14上にも延在するように設けられている。さらに、対向電極18は、図6、図9(b)に示すように、表示領域20外の周辺領域30にまで一部が延在するように設けられ、周辺領域30に配置されたカソードコンタクト部Eccを介して引き出し配線Lhに電気的に接続されている。
【0082】
カソードコンタクト部Eccは、具体的には、図12(b)、(c)に示すように、保護絶縁膜14に設けられた複数の小穴の集合体からなるコンタクトホールCH10を介して、対向電極18と、保護絶縁膜14の下層の引き出し配線Lh1とが直接接続されている。ここで、引き出し配線Lh1(他の配線層)は、対向電極18が接続される一端側(図面右方側)が、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH11に充填された、透明電極材料からなる導電層CV33を介して、透明電極材料からなる導電層CV27に電気的に接続されている。また、引き出し配線Lh1は、端子パッドPLcが接続される他端側(図面左方側)が、層間絶縁膜13及び絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH12に充填された、透明電極材料からなる導電層CV34を介して、透明電極材料からなる導電層CV26に電気的に接続されている。引き出し配線Lh1は、上述した電源電圧ラインLaの補助配線Lbと同様に、例えばニッケル等の高融点金属を含むアルミニウム合金等の低抵抗の配線材料により形成される。これにより、引き出し配線Lh1は、上述した補助配線Lbを形成するための金属層をパターニングすることによって、当該補助配線Lbと同じ工程で形成される。
【0083】
また、本具体例においては、引き出し配線Lh1の下層に層間絶縁膜13を介して、引き出し配線Lh2(第1の金属配線層)が平行に形成されている。ここで、引き出し配線Lh2は、一端側(図面右方側)が絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH14を介して、透明電極材料からなる導電層CV27に直接接続されている。また、引き出し配線Lh2は、他端側(図面左方側)が絶縁膜12に設けられたコンタクトホールCH15を介して、透明電極材料からなる導電層CV26に電気的に接続されている。引き出し配線Lh2は、上述したトランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同様に、例えばニッケル等の高融点金属を含むアルミニウム合金等の低抵抗の配線材料により形成される。これにより、引き出し配線Lh2は、上述したトランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成するためのソース、ドレインメタル層をパターニングすることによって、当該ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同じ工程で形成される。
【0084】
このように、本具体例においては、引き出し配線Lhが、層間絶縁膜13を介して平行に設けられた上層側の引き出し配線Lh1と下層側の引き出し配線Lh2により形成されている。これにより、引き出し配線Lhの配線抵抗を十分に低くすることができる。また、対向電極18と引き出し配線Lh(引き出し配線Lh1)とを接続するためのコンタクトホールCH10が複数の小穴の集合体により形成されていることにより、対向電極18と引き出し配線Lh1との接触抵抗を低くすることができる。なお、対向電極18が接続される上層側の引き出し配線Lh1の配線抵抗が十分低い場合には、下層側の引き出し配線Lh2を省略することができる。すなわち、引き出し配線Lh1のみで引き出し配線Lhを構成するものであってもよい。
【0085】
そして、上述した引き出し配線Lhを介して対向電極18に電気的に接続された導電層CV26は、導電層CV26上に形成された絶縁膜12及び層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCH13aを介して、端子導電層CV35(他の電極層)に直接接続されている。これにより、対向電極18は、引き出し配線Lh及び導電層CV26を介して端子パッドPLcの端子導電層CV35に電気的に接続されている。端子導電層CV35は、保護絶縁膜14に設けられたコンタクトホールCH13bにより露出し、表示パネル10外部と電気的に接続されるように構成されている。ここで、導電層CV26、CV27は、上述したキャパシタCsの下部電極Ecaを形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該下部電極Ecaと同じ工程で形成される。また、導電層CV33、CV34及び端子導電層CV35は、上述したキャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極16を形成するための透明電極層をパターニングすることによって、当該画素電極16と同じ工程で形成される。
【0086】
隔壁層15は、図8、図10(a)に示すように、少なくとも、表示パネル10に2次元配列される複数の画素PIX相互の境界領域に、基板表面から連続的に突出するように設けられている。ここで、隔壁層15は、例えばドライエッチング法を用いてパターニングが可能な絶縁材料、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0087】
なお、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL(画素電極16、有機EL層17、対向電極18)、層間絶縁膜13、保護絶縁膜14及び隔壁層15が形成された基板11の一面側には、図示を省略した封止層が形成されて表示パネル10が封止される。ここで、周辺領域30においては、少なくとも端子パッドPLs、PLa、PLcが露出するように封止層に開口部が形成される。なお、表示パネル10は、封止層に加えて、又は、封止層に替えて、メタルキャップ(封止蓋)やガラス等の封止基板を貼り合わせた封止構造を適用するものであってもよい。
【0088】
以上説明したようなデバイス構造を有する表示パネルにおいて、画像データ(階調電圧Vdata)に応じた所定の電流値の発光駆動電流がトランジスタTr12のドレイン・ソース間に流れて画素電極16に供給されることにより、有機EL素子OELが当該画像データに応じた所定の輝度階調で発光動作する。
【0089】
このとき、表示パネル10の画素電極16が高い光透過率を有し、対向電極18が高い光反射率を有することにより、各画素PIXの有機EL層17において発光した光は、画素電極16を直接透過して、あるいは、対向電極18で反射した後、基板11を透過して、視野側である基板11の他面側(図10(a)、(b)の図面下方側)に出射される。
【0090】
(発光パネルの製造方法)
次に、本具体例に係る表示パネルの製造方法について説明する。
図13〜図18は、本具体例に係る表示パネルの製造方法を示す工程断面図である。ここでは、図示の都合上、図10〜図12に示した表示パネル10の各部の断面の一部を抜き出して、便宜的に隣接するように配置して示した。図中、(XA−XA)、(XIC−XIC)、(XID−XID)、(XIIF−XIIF)は、各々図10〜図12に示した各断面における工程断面を示す。
【0091】
上述した表示パネルの製造方法は、まず、図13(a)〜図14(c)に示すように、ガラス基板等の基板11の一面側に、上述した発光駆動回路DC(図7、図8参照)を構成するトランジスタTr11、Tr12やデータラインLd、選択ラインLs、電源電圧ラインLaが形成される。
【0092】
具体的には、まず、図13(a)に示すように、透明な基板11の一面側(図面上面側)に形成された同一のゲートメタル層を、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、表示領域20の各画素PIXの画素形成領域Rpx内に、ゲート電極Tr11g、Tr12g(他の電極層)及びデータラインLd(他の配線層)が同時に形成される。ここで、ゲート電極Tr11g、Tr12g及びデータラインLdを形成するゲートメタル層は、例えばアルミニウム−ニッケル合金(以下、「Al−Ni合金」と略記する)をターゲットとして用いたスパッタリング法等により形成される。
【0093】
次いで、基板11の一面側に設定された各画素PIXのEL素子形成領域Rel(図8、図10参照)に対応する領域ごとに、キャパシタCsの下部電極Ecaが形成される。ここで、下部電極Ecaは、基板11上にITO等の透明な電極材料からなる電極層を堆積後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより形成される。このとき、下部電極Ecaと同時に、上記ゲート電極Tr11g、Tr12gを被覆する保護導電層CV11、CV12、データラインLd(第2の配線層)を被覆する保護導電層CV21、及び、所定のパターン形状を有する導電層CV22〜CV27が形成される。ここで、上述したように、下部電極Ecaと保護導電層CV12は一体的に形成される。また、保護導電層CV11と導電層CV23も一体的に形成される。なお、透明電極層をパターニングする際には、ウェットエッチングが用いられる。
【0094】
このように、上述したAl−Ni合金からなるゲート電極Tr11g、Tr12g及びデータラインLdは、透明電極層からなる保護導電層CV11、CV12、CV21により被覆されているので、ITOエッチング液やレジスト剥離液等に晒されることがなく、侵食されることはない。さらに、ゲート電極Tr11g、Tr12g及びデータラインLdとしてAl−Ni合金を用いることにより、アルミニウム単体や、ネオジウム(Nd)等を含む他のアルミニウム合金を用いる場合に比較して、ITOからなる保護導電層CV11、CV12、CV21との接触抵抗も大幅に低減することができる。
【0095】
次いで、図13(b)に示すように、基板11の全域に窒化シリコン等からなる絶縁膜12(第1の絶縁膜)、真性アモルファスシリコン等からなる半導体膜SMCx、窒化シリコン等からなる絶縁膜BLxを連続的に被覆形成する。その後、窒化シリコン等の絶縁膜BLxを、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図13(c)に示すように、半導体膜SMCx上のゲート電極Tr11g及びTr12gに対応する領域に、チャネル保護層BLを形成する。
【0096】
次いで、図14(a)に示すように、基板11の全域にn型アモルファスシリコン等からなる不純物層OHMxを被覆形成する。その後、図10〜図12、図14(b)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、不純物層OHMx、半導体膜SMCx及び絶縁膜12を一括してパターニングすることにより、下部電極Eca、保護導電層CV21、導電層CV22〜CV27の所定の位置の上面が露出するコンタクトホールCH1〜CH8、CH9x、CH13a、CH14、CH15(第1のコンタクトホール)をそれぞれ形成する。ここで、不純物層OHMx、半導体膜SMCx及び絶縁膜12をパターニングする際には、ドライエッチングが用いられる。
【0097】
次いで、基板11の一面側にソース、ドレインメタル層を形成した後、図14(c)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、ソース、ドレインメタル層、上記不純物層OHMx及び半導体膜SMCxを一括してパターニングする。これにより、少なくともチャネル保護層BLを挟んで対向し、トランジスタTr11、Tr12の半導体層SMCとなる領域の両端部上に、オーミック接続のための不純物層OHMを介してソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d(金属層)を形成する。また、このソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dを形成する工程においては、選択ラインLs(金属層、第1の配線層)、電源電圧ラインLa(金属層、第1の配線層)及び引き出し配線Lh2(金属層、第1の配線層)も同時に形成される。ここで、電源電圧ラインLaは、図8に示すように、トランジスタTr12のドレイン電極Tr12dと一体的に形成される。また、ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12d、選択ラインLs、電源電圧ラインLa、引き出し配線Lh2を形成するソース、ドレインメタル層は、ゲートメタル層と同様に、例えばAl−Ni合金をターゲットとして用いたスパッタリング法等により形成される。また、ソース、ドレインメタル層、不純物層OHMx及び半導体膜SMCxをパターニングする際には、ドライエッチングが用いられる。
【0098】
これにより、図10(a)、図11(a)に示した薄膜トランジスタ構造のトランジスタTr11、Tr12が形成される。このとき、トランジスタTr11のソース電極Tr11s及びドレイン電極Tr11dは、各々、上述したコンタクトホールCH1及びCH2を介して、下部電極Eca及び保護導電層CV21に直接接続される。また、トランジスタTr12のソース電極Tr12sは、コンタクトホールCH4を介して、導電層CV22に直接接続される。また、選択ラインLsは、上述したコンタクトホールCH3を介して、導電層CV23に直接接続される。また、電源電圧ラインLaは、上述したコンタクトホールCH6及びCH8を介して、各々、導電層CV24及びCV25に直接接続される。また、引き出し配線Lh2は、上述したコンタクトホールCH14及びCH15を介して、各々、導電層CV27及びCV26に直接接続される。
【0099】
次いで、上述したトランジスタTr11、Tr12、選択ラインLs、電源電圧ラインLa、引き出し配線Lh2を含む基板11の全域に、窒化シリコン等からなる層間絶縁膜13(第2の絶縁膜)を形成する。その後、当該層間絶縁膜13をパターニングして、図15(a)に示すように、導電層CV22、CV24、CV27及びCV26が露出するコンタクトホールCH5、CH7、CH11及びCH12(第2のコンタクトホール)を各々貫通させるとともに、導電層CV25及びCV26が露出するコンタクトホールCH9a及びCH13a(第2のコンタクトホール)を形成する。
【0100】
次いで、基板11の全域にITO等からなる透明電極層を堆積後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図15(b)に示すように、少なくとも各画素PIXのEL素子形成領域Relの層間絶縁膜13上に、例えば矩形状の平面パターンを有する画素電極16(他の電極層)を形成する。また、この画素電極16を形成する工程においては、上記コンタクトホールCH7、CH11及びCH12を充填する導電層CV31、CV33及びCV34も同時に形成される。また、この工程においては、上記コンタクトホールCH9a及びCH13aを介して、導電層CV25及びCV26に直接接続される端子導電層CV32及びCV35(他の電極層)も同時に形成される。
【0101】
ここで、画素電極16は、上述したコンタクトホールCH5を介して、導電層CV22に直接接続されることにより、トランジスタTr12のソース電極Tr12sに電気的に接続される。また、導電層CV31、CV33及びCV34は、コンタクトホールCH7、CH11及びCH12を介して、各々導電層CV24、CV27及びCV26に直接接続される。ここで、透明電極層をパターニングする際には、ドライエッチングが用いられる。
【0102】
これにより、図15(b)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relにおいて、絶縁膜12及び層間絶縁膜13を介して、下部電極Ecaと画素電極16とが対向して配置されたキャパシタCsが形成される。すなわち、画素電極16は、有機EL素子OELのアノード電極であるとともに、下部電極Ecaに対向する上部電極Ecbとして兼用され、また、絶縁膜12及び層間絶縁膜13は、誘電体層として兼用される。
【0103】
このように、画素電極16とトランジスタTr12のソース電極Tr12sとの接続構造として、導電層CV22を介して相互に接続することにより、ソース電極Tr12s上の層間絶縁膜13に設けたコンタクトホールを介して、画素電極16とソース電極Tr12sとを直接接続する場合に比較して、コンタクトホールにオーバーハング構造が発生する確率を大幅に低くすることができる。なお、この効果については、後述する作用効果の検証において詳しく説明する。
【0104】
次いで、基板11の一面側に、例えばAl−Ni合金をターゲットとして用いたスパッタリング法等により配線層を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、当該配線層をパターニングすることにより、図16(a)に示すように、電源電圧ラインLaに平行して配設された補助配線Lb(他の配線層)、及び、引き出し配線Lh2に平行して配設された引き出し配線Lh1(他の配線層)を形成する。ここで、Al−Ni合金からなる配線層をパターニングする際には、ウェットエッチングが用いられる。
【0105】
ここで、補助配線Lbは、層間絶縁膜13上に形成された導電層CV31に直接接続される。これにより、補助配線Lbは、図16(a)に示すように、導電層CV31及びCV24を介して、電源電圧ラインLaに電気的に接続される。すなわち、電源電圧ラインLaの上層に補助配線Lbが平行して配設された配線構造が形成される。このような配線構造により、例えば大画面の表示パネルにおいて、電源電圧ラインLaの配線抵抗の増加に起因する電源電圧Vsaの電圧降下を軽減することができる。
【0106】
また、引き出し配線Lh1は、層間絶縁膜13上に形成された導電層CV33及びCV34に直接接続される。これにより、引き出し配線Lh1は、図12(b)に示すように、導電層CV33及びCV27を介して、引き出し配線Lh2に電気的に接続されるとともに、導電層CV34及びCV26を介して、引き出し配線Lh2及び端子導電層CV35に電気的に接続される。すなわち、引き出し配線Lh2の上層に引き出し配線Lh1が平行して配設された引き出し配線Lhが形成される。このように、引き出し配線Lhを複数の配線層により構成することにより、引き出し配線Lhの配線抵抗を十分に低くすることができる。
【0107】
次いで、基板11の全域に、窒化シリコン等からなる保護絶縁膜14を形成した後、当該保護絶縁膜14をパターニングして、図16(b)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに画素電極16が露出する開口部14hを形成する。この保護絶縁膜14のパターニング工程においては、電源電圧ラインLaの端部に設けられる端子パッドPLaを構成する端子導電層CV32が露出するコンタクトホールCH9bが同時に形成される(選択ラインLs及びデータラインLdの端部に設けられる端子パッドにおいても同じ)。また、この保護絶縁膜14のパターニング工程においては、引き出し配線Lhの端部に設けられる端子パッドPLcを構成する端子導電層CV35が露出するコンタクトホールCH13b、及び、引き出し配線Lh1が露出する複数の小穴の集合体からなるコンタクトホールCH10も同時に形成される。
【0108】
次いで、基板11上に、例えばポリイミド系やアクリル系等の感光性の有機樹脂材料を塗布して樹脂層を形成した後、当該樹脂層をパターニングすることにより、図17(a)に示すように、表示領域20に隔壁層15を形成する。ここで、隔壁層15は、基板11の一面側に連続的に突出するとともに、各画素PIXの画素電極16が露出する開口部15hを有している。これにより、各画素形成領域Rpxにおいて、隔壁層15に形成された開口部15h、すなわち側壁15eにより囲まれ、画素電極16が露出する領域が各画素PIXのEL素子形成領域Relとして画定される。
【0109】
次いで、基板11を純水で洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理又はUVオゾン処理等を施すことにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極16の表面を、後述する正孔輸送材料や電子輸送性発光材料の有機化合物含有液に対して親液化する処理を施す。このように、隔壁層15により有機化合物含有液を塗布する領域(EL素子形成領域Rel)を画定し、加えて、各画素PIX(有機EL素子OEL)の画素電極16表面を親液化することにより、後述するように、有機化合物含有液をノズルプリンティング法やインクジェット法を用いて塗布し、有機EL層17の発光層(電子輸送性発光層17b)を形成する場合であっても、表示パネル10の行方向に隣接して配置される、異なる色の画素PIXのEL素子形成領域Relへの有機化合物含有液の漏出や乗り越えを抑制することができる。したがって、カラー表示に対応した表示パネル10を製造する場合であっても、隣接画素相互の混色を防止して、赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料の塗り分けを良好に行うことができる。
【0110】
なお、本具体例においては、画素電極16表面を親液化する工程についてのみ説明するが、これに限定されるものではなく、上述した画素電極16表面の親液化処理の後に、少なくとも隔壁層15表面を撥液化する処理を施すものであってもよい。これによれば、隔壁層15の表面が撥液性を有するとともに、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極16の表面が親液性を有する基板表面を実現することができる。したがって、基板11の表面に塗布される有機化合物含有液が隔壁層15の側壁15eに迫り上がる現象をさらに抑制することができるとともに、画素電極16の表面に十分馴染んで略均一に拡がるので、画素電極16上の全域に略均一な膜厚を有する有機EL層17(正孔輸送層17a及び電子輸送性発光層17b)を形成することができる。
【0111】
次いで、図17(b)に示すように、表示領域20の各画素PIXのEL素子形成領域Relに露出する画素電極16上に、正孔輸送層(担体輸送層)17a及び電子輸送性発光層(担体輸送層)17bが積層形成された有機EL層(発光機能層)17を形成する。
【0112】
まず、各画素PIXのEL素子形成領域Relに対して、連続した溶液(液流)を吐出するノズルプリンティング(又はノズルコート)法、又は、互いに分離した不連続の複数の液滴を所定位置に吐出するインクジェット法等を用いて、正孔輸送材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて画素電極16上に正孔輸送層17aを形成する。
【0113】
具体的には、有機高分子系の正孔輸送材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水溶液(PEDOT/PSS;導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェンPEDOTと、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸PSSを水系溶媒に分散させた分散液)を、EL素子形成領域Relに塗布する。その後、基板11が載置されているステージを100℃以上の温度条件で加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極16上にのみ有機高分子系の正孔輸送材料を定着させて、正孔輸送層17aを形成する。
【0114】
次いで、各EL素子形成領域Relに形成された正孔輸送層17a上に、ノズルプリンティング法又はインクジェット法等を用いて、電子輸送性発光材料の溶液又は分散液を塗布した後、加熱乾燥させて電子輸送性発光層(担体輸送層)17bを形成する。
【0115】
具体的には、有機高分子系の電子輸送性発光材料(担体輸送性材料)を含む有機化合物含有液(有機溶液)として、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料を、適宜水系溶媒或いはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解または分散した0.1wt%〜5wt%の溶液を、上記正孔輸送層17a上に塗布する。その後、窒素雰囲気中で上記ステージを加熱して乾燥処理を行って残留溶媒を除去することにより、正孔輸送層17a上に有機高分子系の電子輸送性発光材料を定着させて、電子輸送性発光層17bを形成する。
【0116】
次いで、図18に示すように、上記隔壁層15及び有機EL層17(正孔輸送層17a及び電子輸送性発光層17b)が形成された表示領域20を含む領域に、光反射特性を有し、各画素PIXの有機EL層17を介して画素電極16に対向する、共通の対向電極(カソード電極)18を形成する。このとき、対向電極18は、表示領域20のみならず、周辺領域30にも一部が延在するように形成されることにより、カソードコンタクト部Eccにおいて、図12(b)に示すように、上述した保護絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCH10を介して、引き出し配線Lh1に直接接続される。ここで、対向電極18は、例えば真空蒸着法を用いて、蒸着マスクを介して純アルミニウムからなる電極層を基板11上に成膜することにより形成される。
【0117】
このように、対向電極18を、蒸着法を用いて純アルミニウムの電極層により形成することにより、Al−Ni合金からなる引き出し配線Lh1上の保護絶縁膜14にコンタクトホールCH10を設けて、対向電極18と接続する構造を用いた場合であっても、対向電極18を構成するアルミニウム電極層を厚く形成できるので、コンタクトホールCH10で断線が生じる確率を低くすることができる。また、対向電極18を蒸着マスクを用いて形成しているので、仮にコンタクトホールCH10の段差部で対向電極18のアルミニウム電極層にピンホールが発生した場合であっても、レジスト現像液、剥離液等の薬液に晒されるウェットエッチング工程を伴わないので、腐食の進行を大幅に抑制することができる。
【0118】
次いで、上記対向電極18が形成された基板11の一面側に、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等からなる封止層を形成して基板面を封止することにより、表示パネル10が完成する。ここで、封止層は、周辺領域30に形成された端子パッドPLa、PLs、PLc(データラインLdの端子パッドを含む)の上面が露出するように開口部が形成される。なお、上記封止層に加えて、又は、封止層に替えて、メタルキャップ(封止蓋)やガラス等の封止基板を基板11に対向して接合するものであってもよい。
【0119】
このように、本具体例においては、基板11上に異なる2層以上の透明電極層を有し、金属電極(例えばトランジスタTr11、Tr12のソース、ドレイン電極)又は金属配線(例えば選択ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLd、引き出し配線Lh)が、上記透明電極層のうち、少なくとも1層の透明電極層(保護導電層CV21、導電層CV22〜CV27)を介して、他の金属配線(例えば補助配線Lb、引き出し配線Lh)又は透明電極層(例えば画素電極16、端子導電層CV32、CV35)に接続されていることを特徴とする。
【0120】
また、上記透明電極層は、基板11上に設けられるキャパシタCsを構成する電極(下部電極Eca、上部電極Ecb)と同時に形成されることを特徴としている。
さらに、上記透明電極層は、下層に形成される金属配線(例えばトランジスタTr11、Tr12のゲート電極、データラインLd)を被覆した状態でパターニング形成されることを特徴としている。
【0121】
(作用効果の検証)
次に、上述した特徴を有する回路基板を適用した表示パネル及びその製造方法に特有の作用効果について詳しく説明する。
【0122】
図19は、上述した第1の実施形態の比較対象となる表示パネルの一例、及び、その問題点を示す要部断面図である。ここで、図19(a)は、比較対象となる接続構造を示す断面図であり、図19(b)は、比較対象となる接続構造における問題点を説明するための図である。また、図20は、比較対象となる表示パネルの製造方法を示す工程断面図である。なお、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0123】
比較対象となる表示パネルは、図19(a)に示すように、基板11上に形成される薄膜トランジスタTFTのソース電極Ts(又はドレイン電極Td)と、該薄膜トランジスタTFTを被覆する層間絶縁膜13上に設けられる透明電極ELPとが、層間絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCHPを介して、直接接続されている。ここで、ソース電極Tsは低抵抗配線材料であるAl−Ni合金により形成され、また、透明電極ELPは透明電極材料であるITOにより形成されている。これにより、ソース電極Tsと透明電極ELPとをバリヤメタルを介することなく直接接続でき、かつ、両者の接触抵抗を低減することができることが、上述した特許文献2に示されている。
【0124】
このようなパネル構造を有する表示パネルの製造方法は、まず、図20(a)に示すように、基板11の一面側に、薄膜トランジスタTFTを形成する。ここで、少なくとも薄膜トランジスタTFTのソース電極Ts及びドレイン電極Tdは、Al−Ni合金により形成されている。次いで、図20(b)に示すように、シリコン窒化膜等により薄膜トランジスタTFTを被覆する層間絶縁膜13を形成した後、ドライエッチング法を用いて、ソース電極Tsの所定の位置の上面が露出するコンタクトホールCHPを形成する。
【0125】
次いで、層間絶縁膜13上にITO等の透明な電極材料からなる電極層を堆積後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、図20(c)に示すように、所望のパターン形状を有する透明電極ELPが形成される。このとき、透明電極ELPは、層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホールCHPを介して、薄膜トランジスタTFTのソース電極Tsに直接接続される。
【0126】
このような表示パネルの製造方法においては、Al−Ni合金からなるソース電極Ts(又は、ドレイン電極Td)と、ITOからなる透明電極ELPとを接続する際に、ソース電極Ts上に形成されたシリコン窒化膜等からなる層間絶縁膜13に、ソース電極Tsの上面が露出するコンタクトホールCHPを形成する必要がある。
【0127】
この薄膜トランジスタTFTの形成からコンタクトホールCHPの形成に至るまでの一連の製造工程について、発明者らが詳しく検証したところ、以下のような現象が生じることが判明した。すなわち、まず、ソース電極Ts及びドレイン電極Tdを構成するAl−Ni合金は、ソース電極Ts及びドレイン電極Tdのパターニング工程におけるレジスト現像液処理やレジスト剥離液処理で若干溶解し、表面がアモルファス化してAl−Ni水酸化物に変化する。そのため、ドライエッチング法を用いて、ソース電極Ts上の層間絶縁膜13をエッチングしてコンタクトホールCHPを形成する際に、ソース電極Ts表面のアモルファス成分(Al−Ni水酸化物)も同時にエッチングされる。さらに、層間絶縁膜13のエッチング後のレジスト剥離液処理においても、コンタクトホールCHP内が剥離液に晒されるため、ソース電極Ts表面がさらに溶出する。加えて、コンタクトホールCHP内に露出する層間絶縁膜13とソース電極Tsの界面にも上記剥離液が浸入することにより、層間絶縁膜13下部のソース電極Ts表面が溶出する。そのため、図19(b)に示すように、コンタクトホールCHP内において、層間絶縁膜13下部にソース電極Tsが密着していないオーバーハング部OVHが生じることが判明した。
【0128】
このように、層間絶縁膜13がオーバーハング構造になった状態で、ITO等からなる透明電極層を成膜し、パターニングすると、透明電極層がコンタクトホールCHP内のオーバーハング部OVHで断線やクラックを生じる。そのため、透明電極層のITOと、その下層のソース電極TsのAl−Ni合金の双方が、透明電極層のパターニング時に用いるレジスト剥離液に同時に晒されることになる。これにより、腐食反応(電池反応)が進行するため、ソース電極Tsと透明電極ELPとの接合不良が生じ、製造歩留まりが低下するという問題を有していた。
【0129】
また、図19(a)に示したようなデバイス構造を有する表示パネルにおいて、ソース電極Ts及びドレイン電極Tdを形成する際のAl−Ni合金を用いて、外部回路と接合するための端子電極を形成した場合、透明電極ELPを形成するためのITOのウェットエッチングの際にAl−Ni合金が露出していると、上述したような腐食反応が生じるという問題を有していた。そのため、端子電極の露出を防止するために、例えばITOからなる保護膜を用いて被覆する必要がある。この場合、図19(b)に示したコンタクトホールCHPと同様に、端子電極表面の溶出やオーバーハングが生じるため、外部接合端子部においても製造歩留まりが低下するという問題を有していた。
【0130】
さらに、上述したように、ITOからなる透明電極層を形成しパターニングする工程を行わない場合であっても、Al−Ni合金からなる電極や配線を露出させた状態で加湿信頼性試験を行うと、Al−Ni合金が腐食するという問題も有していた。
【0131】
これに対して、本発明に係る回路基板を適用した発光パネル(表示パネル)においては、上述した第1〜第4の実施形態に示したように、Al合金等からなる電極層又は配線層と、他の電極層又は配線層との接続構造として、少なくとも、Al合金からなる電極層又は配線層の下層に設けられたITO等からなる透明導電層を介して双方を電気的に接続している。
【0132】
これにより、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルの製造方法においては、Al合金からなる電極層又は配線層上に被覆形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する必要がない。そのため、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する際に用いられるドライエッチングによりAl合金からなる電極層又は配線層の表面がエッチングされることがない。また、当該ドライエッチング後のレジスト剥離液処理により、Al合金からなる電極層又は配線層の表面がさらに溶出して、層間絶縁膜にオーバーハング部が生じる現象を防止することができる。したがって、Al合金からなる電極層又は配線層と、他の電極層又は配線層との接合不良の発生を抑制して、発光パネルの製造歩留まりを改善することができる。
【0133】
ここで、Al合金からなる電極層又は配線層と、他の電極層又は配線層とを電気的に接続する透明導電層は、発光パネルに設けられる既存のキャパシタの下部電極を形成するための透明電極層をパターニングすることにより、当該下部電極と同時に形成することができる。したがって、発光パネルの製造工程を大幅に変更したり、工数を増加することなく、上述した接続構造を簡易に実現することができる。
【0134】
また、本発明に係る回路基板を適用した発光パネル及びその製造方法においては、Al合金からなる電極層又は配線層と、発光パネルの外部回路が接合される端子パッドとの接続構造として、Al合金からなる電極層又は配線層の下層に設けられた透明導電層を介して双方を電気的に接続している。加えて、端子パッドは、発光パネルに設けられる既存のキャパシタの上部電極を形成するための透明電極層をパターニングすることにより、当該上部電極と同時に形成される。
【0135】
これにより、端子パッド部にAl合金からなる電極層又は配線層が露出しない。そのため、キャパシタの上部電極を形成する際に用いられるウェットエッチングによりAl合金からなる電極層又は配線層の表面がエッチングされる現象や、層間絶縁膜にオーバーハング部が生じる現象を防止することができる。また、端子パッド部にAl合金からなる電極層又は配線層が露出しないので、加湿信頼性試験を行った場合であっても、Al合金からなる電極層又は配線層の表面が腐食する現象を防止することができる。したがって、発光パネルの製造工程を大幅に変更したり、工数を増加することなく、端子パッドにおける接合不良の発生を抑制して、発光パネルの製造歩留まりを改善することができる。
【0136】
さらに、本発明に係る回路基板を適用した発光パネル及びその製造方法においては、上述したAl合金からなる電極層又は配線層と、他の電極層又は配線層とを電気的に接続する透明導電層が、さらに下層に設けられるAl合金からなる電極層又は配線層を被覆するように形成されている。これにより、上記透明電極層のパターニング工程において、Al合金からなる電極層又は配線層表面の溶出や腐食を防止することができる。また、上述したような基板構造を有することにより、同一の金属ターゲットを用いたスパッタリング法により上記各電極層や配線層を形成することができるので、生産性を向上させることができる。
【0137】
なお、上述した具体例においては、画素PIXに設けられる発光駆動回路DCとして、画像データに応じて各画素PIX(具体的には、発光駆動回路DCのトランジスタTr12のゲート端子;接点N11)に書き込む階調電圧Vdataの電圧値を調整(指定)することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電圧指定型の階調制御方式の回路構成を示した(図3参照)。本発明は、これに限定されるものではなく、画像データに応じて各画素PIXに書き込む階調電流の電流値を調整(指定)することにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式の回路構成を有するものであってもよい。以下にその一例を示す。
【0138】
(画素の他の例)
図21は、本具体例に係る表示パネルに配列される画素の他の回路構成例を示す等価回路図である。ここで、上述した具体例に示した画素(図7参照)と同一又は同等の構成については、同等の符号を付して示す。
【0139】
画素PIXの他の回路構成は、図21に示すように、3個のトランジスタを有する発光駆動回路DCと有機EL素子OELとを備えている。発光駆動回路DCは、具体的には、トランジスタTr21〜Tr23と、キャパシタCsとを備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が接点N24を介して選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が接点N25を介して電源電圧ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が接点N24を介して選択ラインLsに接続され、ソース端子が接点N23を介してデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23(薄膜トランジスタ)は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が接点N25を介して電源電圧ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)間に接続されている。
【0140】
また、有機EL素子OELは、上述した具体例に示した画素(図7参照)と同様に、アノード(アノード電極となる画素電極16)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極となる対向電極18)が所定の低電位電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続される。
【0141】
そして、このような回路構成を有する画素PIXにおける駆動制御動作は、所定の処理サイクル期間内に、画像データに応じた電圧成分を保持させる書込動作(選択期間)と、該書込動作終了後に、有機EL素子OELを画像データに応じた輝度階調で発光動作させる発光動作(非選択期間)と、を実行するように制御される。
【0142】
まず、画素PIXへの書込動作(選択期間)においては、選択ラインLsに選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、画素PIXを選択状態に設定する。そして、電源電圧ラインLaにローレベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaを印加した状態で、データラインLdに画像データに応じた負の電流値に設定された階調電流Idataを供給する。これにより、画素PIXからデータラインLd方向に階調電流Idataが引き抜かれるように流れ、ローレベルの電源電圧Vsaよりもさらに低電位の電圧がトランジスタTr23のソース端子(接点N22)に印加される。
【0143】
したがって、接点N21及びN22間(すなわち、トランジスタTr23のゲート・ソース間)に電位差が生じることによりトランジスタTr23がオン動作して、電源電圧ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22、接点N23を介してデータラインLd方向に、階調電流Idataに対応した書込電流が流れる。
【0144】
このとき、キャパシタCsには、接点N13及びN14間に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。また、電源電圧ラインLaには、基準電圧Vsc以下の電圧レベルの電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が画素PIXからデータラインLd方向に引き抜くように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず発光動作は行われない(非発光動作)。
【0145】
次いで、書込動作終了後の発光動作(非選択期間)においては、選択ラインLsに非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、キャパシタCsには、上述した書込動作において蓄積された電荷が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、電源電圧ラインLaにハイレベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaを印加することにより、電源電圧ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0146】
このとき、キャパシタCsにより保持される電圧成分は、トランジスタTr23において階調電流Idataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となり、有機EL素子OELは、画像データに応じた輝度階調で発光動作する。
【0147】
そして、図21に示した回路構成を有する画素PIX(発光駆動回路DC及び有機EL素子OEL)が配列された表示パネルにおいても、例えばトランジスタTr21〜Tr23と、有機EL素子OEL、キャパシタCs、選択ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLdとの接続部となる接点N21〜N25、並びに、外部回路と接続される端子パッドに、上述した具体例において図10〜図12に示した要部断面図の接続構造をほぼそのまま適用することができる。したがって、上述した具体例と同様に、発光パネルの製造工程を大幅に変更したり、工数を増加することなく、Al合金からなる電極層又は配線層と、他の電極層又は配線層との接合不良の発生を抑制することができ、発光パネルの製造歩留まりを改善することができる。
【0148】
なお、図7及び図21に示した画素PIXは、本発明に適用可能な回路構成の一例を示したものに過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。また、上述した具体例においては、発光駆動回路DCにより発光駆動される発光素子として有機EL素子OELを適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電流制御型の発光素子であれば、例えば発光ダイオード等の他の発光素子であってもよい。すなわち、本発明は、上述した第1〜第4の実施形態に係る回路基板の接続構造を適用することができるものであれば、他の基板構造を有する発光パネルや表示パネルに適用するものであってもよい。
【0149】
また、上述した具体例においては、有機EL素子OELの素子構造として、正孔輸送層17a及び電子輸送性発光層17bからなる有機EL層17を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に適用される有機EL素子OELは、有機EL層17が例えば正孔輸送兼電子輸送性発光層のみからなる素子構造を有するものでもよく、あるいは、正孔輸送性発光層及び電子輸送層からなるものでもよく、また、これらの層の間に適宜電荷輸送層が介在するものでもよく、さらに、その他の電荷輸送層の組合せを有するものであってもよい。また、上述した具体例においては、画素電極16をアノード電極とし、対向電極18をカソード電極としたが、これに限らず画素電極16をカソード電極とし、対向電極18をアノード電極としてもよい。このとき、有機EL層17は、画素電極16に接する担体輸送層が電子輸送性の層であればよい。
【0150】
(電子機器)
次に、上述した具体例に係る表示パネル(発光パネル)を実装した電子機器について図面を参照して説明する。上述した具体例に示した表示パネル10は、例えばデジタルカメラやモバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話等、種々の電子機器に表示デバイスとして実装することができるものである。
【0151】
図22は、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装したデジタルカメラの構成を示す斜視図であり、図23は、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図であり、図24は、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを実装した携帯電話の構成を示す図である。
【0152】
図22において、デジタルカメラ200は、概略、本体部201と、レンズ部202と、操作部203と、上述した具体例に示した表示パネル10を備える表示部204と、シャッターボタン205とを備えている。これによれば、表示部204において、電極層又は配線層間の接合不良の発生が抑制された表示パネル10を適用することができるので、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0153】
また、図23において、パーソナルコンピュータ210は、概略、本体部211と、キーボード212と、上述した実施形態に示した表示パネル10を備える表示部213とを備えている。この場合においても、表示部213において、電極層又は配線層間の接合不良の発生が抑制された表示パネル10を適用することができるので、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0154】
また、図24において、携帯電話220は、概略、操作部221と、受話口222と、送話口223と、上述した実施形態に示した表示パネル10を備える表示部224とを備えている。この場合においても、表示部224において、電極層又は配線層間の接合不良の発生が抑制された表示パネル10を適用することができるので、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0155】
なお、上述した各電子機器においては、本発明に係る回路基板を適用した発光パネルを、表示パネルとして適用した場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る回路基板は、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0156】
10 表示パネル
11 基板
12 絶縁膜
13 層間絶縁膜
14 保護絶縁膜
15 隔壁層
16 画素電極
17 有機EL層
18 対向電極
20 表示領域
30 周辺領域
PIX 画素
Rpx 画素形成領域
Rel EL素子形成領域
OEL 有機EL素子
Tr11、Tr12 トランジスタ
Cs キャパシタ
Ls 選択ライン
La 電源電圧ライン
Ld データライン
Lh 引き出し配線
CH1〜CH13 コンタクトホール
CV11、CV12、CV21 保護導電層
CV22〜CV27、CV31、CV33、CV34 導電層
CV32、CV35 端子導電層
PLs、PLa、PLc 端子パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第一導電体層と、
前記第一導電体層上に形成され、前記第一導電体層と異なる材料からなる第二導電体層と、
前記第一導電体層と前記第二導電体層との間に設けられ、前記第一導電体層と前記第二電体層とを接続するコンタクトホールを備えた絶縁膜と、
前記基板上に形成され、第一導電体層と接続された第三導電体層と、を備えていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第一導電体層は酸化インジウム系の透明導電材料からなり、
前記第二導電体層はニッケルを含むアルミニウム合金材料からなることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第一導電体層と前記第三導電体層との間に、前記絶縁膜と、他の絶縁膜と、を有し、
前記第一導電体層と前記第三導電体層とは、前記絶縁膜及び前記他の絶縁膜とに設けられた他のコンタクトホールを介して接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、を更に備え、
前記第二導電体層は、前記発光素子を駆動するためのトランジスタのソース電極、又はドレイン電極であり、
前記第三導電体層は、前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子の電極であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と、前記第一電極又は前記第二電極のいずれか一方と、を兼ねることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記トランジスタのゲート電極が、前記第一導電体層に被覆されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板。
【請求項7】
前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、
前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、を更に備え、
前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、
前記第三導電体層は、前記トランジスタのゲート電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項8】
前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、
前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、
前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子と、を更に備え、
前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、
前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と共にパターニングされた層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項9】
前記基板上に形成され、第一電極と、前記第一電極と対向する第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に形成された発光層と、を有する発光素子と、
前記発光素子を駆動するためのトランジスタと、
前記トランジスタの導通状態を制御するための電圧成分を保持する容量素子と、を更に備え、
前記第二導電体層は、前記トランジスタのソース電極及びドレイン電極と共にパターニングされた配線であり、
前記第三導電体層は、前記容量素子の電極と共にパターニングされた導電体層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項10】
前記請求項1乃至9のいずれか一項に記載の前記回路基板が実装されてなることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
基板上に第一導電層を形成する工程と、
前記第一導電層上に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜に、前記第一導電層の上面が露出する第一コンタクトホールを形成する工程と、
前記第一コンタクトホールを介して、前記第一導電層に直接接続される第二導電層を形成する工程と、
前記第二導電層上に第二絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜及び前記第二絶縁膜に、前記第一導電層の上面が露出する第二コンタクトホールを形成する工程と、
前記第二コンタクトホールを介して、前記第一導電層に直接接続される第三導電層を形成する工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2011−145483(P2011−145483A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6015(P2010−6015)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】