回路基板及び電子デバイス
【課題】導体間接続を、低い溶解温度で実現することができ、しかも、接続後は融点が高く、熱的安定性に優れた導体接続構造を持ち、コストの安価な三次元配置の回路基板、電子デバイス及び製造方法を提供すること。
【解決手段】第1導体は基板に設けられており、第2導体は、Sn合金を含有し、接合膜を介して、第1導体と接合されている。接合膜は、Sn合金よりも高融点の金属であって、第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。この構成は、基板に形成された第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の融点を持つ金属材料でなる接合膜を形成し、次に、接合膜の上に、第2導体となる溶融Sn合金を供給し、接合膜の金属成分を、その融点よりも低い温度で、第Sn合金中に熱拡散させ、溶融Sn合金の硬化後は高融点化することによって得られる。
【解決手段】第1導体は基板に設けられており、第2導体は、Sn合金を含有し、接合膜を介して、第1導体と接合されている。接合膜は、Sn合金よりも高融点の金属であって、第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。この構成は、基板に形成された第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の融点を持つ金属材料でなる接合膜を形成し、次に、接合膜の上に、第2導体となる溶融Sn合金を供給し、接合膜の金属成分を、その融点よりも低い温度で、第Sn合金中に熱拡散させ、溶融Sn合金の硬化後は高融点化することによって得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの例としては、例えば、各種スケールの集積回路、各種半導体素子もしくはそのチップ等を挙げることができる。
【0003】
この種の電子デバイスにおいては、これまで、回路基板上に半導体チップを平面的に配置し、その間を配線で接続する方法がとられてきた。しかし、この方法では、実装面積が半導体チップの数とともに増加するとともに、配線長も増加してしまうので、電子デバイスの小型大容量化、高性能化及び低消費電力化を実現することが困難である。微細化技術が極限まで進んだ現状では、半導体チップの微細化、小型化をとおして、大容量化、高性能化及び低消費電力化を実現することは、限界に来ている。
【0004】
そこで、電子デバイスの小型大容量化、高性能化及び低消費電力化の実現に向けて、半導体チップを積層し、チップ間を貫通電極で接続する三次元配置の電子デバイスの開発が進められている。
【0005】
三次元配置の電子デバイスを実現する代表的な技術は、めっき技術の適用によって、貫通電極を形成する方法である。しかし、めっき技術は工程数が多く、平面配置に比べて、コスト高になる。しかも、めっき膜の内部に空洞などを生じ易い。これらは、従来の平面配置から三次元配置への移行を妨げる大きな障害となる。
【0006】
めっき技術に代わるものとして、特許文献1は、微細空間を持つ例えばシリコン基板を、真空圧に減圧した真空チャンバー内で溶融金属槽に挿入し、シリコン基板が溶融金属とほぼ同じ温度に達した後、真空チャンバー内を例えば大気圧以上に加圧して、溶融金属を微細空間に充填する技術を開示している。貫通電極を構成する金属材料としては、錫、インジウムなどが例示されている。
【0007】
この技術によれば、高アスペクト比の微細空間に対しても金属充填が可能となり、鬆(す)などの空隙の生じない金属充填を行なうことができ、また、貫通電極のための貫通した微細空間に金属充填を行なう場合は、空隙のない良好な貫通電極を作成しえるとされている。
【0008】
ところで、溶融金属を貫通孔内に充填して、貫通電極を形成するので、既に半導体回路要素が形成されている半導体チップに対して貫通電極を形成する場合、半導体回路要素の溶融熱による劣化を回避しなければならない。溶融熱による半導体回路要素の劣化を回避するという観点からは、融点の低い金属材料を用いればよいが、そうすると、今度は、耐熱性が低くなってしまう。
【0009】
特許文献1において、貫通電極を構成する金属材料として例示されている錫、インジウムは、融点が低いので、貫通電極形成時の溶融熱による半導体回路要素の劣化を回避するという点では評価できるが、融点が低いために、熱的信頼性を欠いてしまう。
【0010】
さらに、もう一つの問題として、貫通電極が接続されるべき導体パターンの酸化による接続不良の問題がある。貫通電極は、その機能上、少なくとも一端が、基板に設けられた導体パターンに接続されなければならない。その場合に、導体パターンの表面が酸化されていると、貫通電極と、導体パターンとの接続が不完全になる。特許文献1は、この問題点についての指摘がないし、当然のこととして、解決手段については言及がない。
【0011】
上述した酸化の問題を解決する一般的な手段としては、フラックスの還元作用を利用して、導体パターンの酸化膜を還元することが考えられる。
【0012】
しかし、微細空間内に、溶融金属材料とともにフラックスを注入すると、フラックスガスが発生する。この種の電子デバイスにおいて、微細空間は、その孔径が、例えば数十μm以下の極微小孔であり、しかも、アスペクト比がかなり高くなっている。このような形状の微細空間内でフラックスガスが発生すると、そのガス抜けが当然悪くなり、貫通電極の周りに、フラックスガスに起因するボイドが発生し、貫通電極の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には導体パターンに対する接続不良、接合抵抗の増大などを招いてしまう。
【0013】
上述した問題は、貫通電極を形成する場合に限らない。三次元配置を実現するに当たって、多数の回路基板を積層してゆく場合にも、回路基板相互間を接続するターミナルの接続不良、電気抵抗の増大、接合抵抗の増大などを招いてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−158191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、コストの安価な三次元配置の回路基板、電子デバイス及びそれらの製造に適した製造方法を提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの課題は、導体間接続を、低い温度で実現することができ、しかも、接続後は融点が高く、熱的安定性に優れた導体接続構造を持つ回路基板、電子デバイス及び製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらにもう一つの課題は、導体断面積の減少、電気抵抗の増大、更には導体間接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板、電子デバイス及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1.回路基板
上述した課題の少なくとも1つを解決するため、本発明に係る回路基板は、基板と、第1導体と、第2導体と、接合膜とを含む。前記第1導体は、前記基板に設けられており、前記第2導体は、Sn合金を含有し、前記接合膜を介して、前記第1導体に接合されている。前記接合膜は、Sn合金よりも高融点の金属でなり、前記第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。
【0019】
本発明に係る回路基板は、接合膜を構成する金属に第2導体を構成する溶融金属を供給し、冷却するという簡単な工程で、製造することができる。従って、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。このため、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0020】
しかも、接合膜を構成する高融点の金属が、Sn合金を含有する溶融金属中に溶解し、拡散し、合金領域を生成する過程は、周知の状態図に従って説明される。状態図によれば、Sn合金よりも高融点の金属微粒子であっても、250℃以下の温度で溶解する。従って、第1導体に対する第2導体の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0021】
しかも、接合膜を構成する高融点の金属が、Sn合金を含有する第2導体中に拡散して生じた合金領域は、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0022】
接合膜を構成する高融点の金属は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、フラックスに起因するボイド発生を抑制し、第2導体の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0023】
2.電子デバイス
本発明に係る電子デバイスは、基本的には、上述した回路基板の複数枚を積層した三次元配置を有する。もっとも、一枚の回路基板であっても、例えば、半導体回路要素などの電子回路要素が既に形成されている場合には、電子デバイスと観念できることもある。
【0024】
なお、本明細書において、「金属」という用語は、単一元素からなる金属のほか、2種以上の金属元素を含む合金をも含む概念として用いられることがある。
【0025】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。但し、添付図面は、単なる例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図3】図2に示した工程の後の工程を示す図である。
【図4】図3に示した工程の後の工程を示す図である。
【図5】図4に示した工程の後の工程を示す図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す図である。
【図7】本発明に係る回路基板の別の製造方法を示すである。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を示す図である。
【図10】本発明に係る回路基板の更に別の実施形態を示す図である。
【図11】図10に示した回路基板の製造方法を示す図である。
【図12】図11に示した工程の後の工程を示す図である。
【図13】比較例としての従来の回路基板のSEM像である。
【図14】図13に示したSEM像を拡大して示す図である。
【図15】本発明に係る回路基板のSEM像である。
【図16】図15に示したSEM像を拡大して示す図である。
【図17】図15に示したSEM像を更に拡大して示す図である。
【図18】本発明に係る回路基板の別の例を示すである。
【図19】図18に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図20】図19に示した工程の後の工程を示す図である。
【図21】図18に示した回路基板の別の製造工程を示す図である。
【図22】図21に示した工程の後の工程を示す図である。
【図23】本発明に係る回路基板の他の実施形態を示す図である。
【図24】図23に示した回路基板の製造方法を示す図である。
【図25】図24に示した工程の後の工程を示す図である。
【図26】本発明に係る回路基板の別の実施例を示す図である。
【図27】図26に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図28】図27に示した工程の後の工程を示す図である。
【図29】図23に示した回路基板の別の製造方法を示す図である。
【図30】図29に示した工程の後の工程を示す図である。
【図31】本発明に係る多層回路基板の分解図である。
【図32】図31に示した多層回路基板の完成状態を示す図である。
【図33】本発明に係る電子デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.回路基板の実施形態1
(1)回路基板
図1を参照すると、第1導体2は、基板1の表面上に平面状に設けられており、第2導体3は、接合膜4を間に挟んで第1導体2の表面に積層されている。即ち、平面的な導体配置となっている。
【0028】
図1には、簡単な構成の回路基板が示されているのみであるが、実際には、回路基板の種類に応じた機能、及び、構造を満たすべく、より複雑な構造がとられる。図示された回路基板は、基板1と、第1導体2と、第2導体3と、接合膜4とを含んでいる。この回路基板は、ウエハであってもよいし、ウエハから切り出されたチップであってもよい。
【0029】
基板1は、一定の耐熱性を有するものであれば、金属、合金、金属酸化物、セラミックス、ガラス、プラスチックもしくはそれらの複合材、又は、それらの積層体の別を問わず、広く用いることができる。基板1の物性、構造などは、対象とするデバイスの種類によって異なる。例えば、半導体デバイスの場合には、Si、SiC又はSOI等が用いられる。受動電子回路デバイスの場合には、誘電体、磁性体又はそれらの複合体の形態をとることがある。MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、光デバイス、太陽電池、または、ELディスプレイ、液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイなどの平面状ディスプレイを実現する場合も、その要求に沿った物性及び構造を持つウエハが用いられる。基板1が半導体基板である場合は、半導体回路要素が既に形成されていてもよい。
【0030】
第1導体2は、平面状の薄膜であって、基板1の一面上に設けられている。基板1がシリコンウエハであって、半導体回路要素が既に形成されている場合は、第1導体2は、この半導体回路要素のリード導体となることがある。第1導体2は、要求される機能に応じて、種々の平面パターンをとる。第1導体2の周りは、必要に応じ、絶縁膜によって埋められていてもよい。第1導体2は、公知の材料、例えばCuを主成分とする金属材料によって構成される。必要に応じて、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)又はTi(チタン)などを含有していてもよい。この第1導体2は、CVD法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成することができる。
【0031】
第2導体3は、Sn合金を主成分とする金属材料によって構成される。具体的には、Snと、In、Al、Biなどの少なくとも一種を含有する。更には、酸化防止として有用なGaを含んでいてもよい。図示の第2導体3は、平面状の薄膜であって、接合膜4を介して、第1導体2の表面に積層されている。
【0032】
接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属材料でなり、少なくとも、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、その金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせている。金属元素の含有量(拡散量)は、図1に模式的に表示するように、接合膜4から離れるに従って低くなる濃度勾配をもって拡散している。図1において、合金領域ALは、一点鎖線によって、画定された領域のように表示されているが、これは説明のための便宜的表示に過ぎない。実際には、明確な境界があるわけではない。接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属であればよい。具体的には、Cu、Ag、Al、Au又はZnなどを例示することができる。
【0033】
図1に図示された回路基板は、その多数枚を積層した三次元配置構造を有する電子デバイスを実現するため、及び、回路基板に各種スケールの集積回路などの能動部品や、受働部品を実装して電子デバイスを実現するために好適なものである。
【0034】
(2)製造方法
次に、図2〜図10を参照し、図1に示した回路基板の製造方法1〜3について説明する。
A.製造方法1
まず、図2に図示するように、表面に第1導体2を有する基板1を準備する。次に、図3に図示するように、第1導体2の上に金属微粒子40を供給する。金属微粒子40は、接合膜4(図1参照)となるものであって、Sn合金よりも高融点の金属、例えばCu、Ag、Al、Au又はZnなどである。金属微粒子40は、粒径が1μm以下のナノオーダのナノコンポジット構造を有するものが好ましい。コンポジット構造とは、結晶の集合体、または、結晶とアモルファスとの集合体を言う。結晶粒径は200nm以下であることが好ましい。このようなナノコンポジット構造の金属微粒子40は、ナノ化による融点低下効果を奏する。
【0035】
次に、図4に図示するように、金属微粒子40の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属微粒子40に含まれる金属元素が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、冷却・硬化後は、図5に図示するように、合金領域ALが生じ、第1導体2及び第2導体3が、接合膜4を介して、強く接合されることになる。第2導体3は、溶融金属Mの硬化によるものであり、接合膜4は金属微粒子40が硬化したものである。
【0036】
溶融金属Mの冷却・硬化後、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3をエッチングまたはリフト・オフ法など、周知の技術によって除去することにより、図1に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0037】
上述したように、第1導体2の上にSn合金よりも高融点の金属微粒子40を供給し、次に、金属微粒子40の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給するので、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。このため、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0038】
また、第1の形態に係る製造方法によれば、金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。この場合の溶解・拡散は、周知の状態図に従って説明される。状態図によれば、Sn合金よりも高融点の金属微粒子40であっても、250℃以下の温度で溶解する。従って、第1導体に対する第2導体の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0039】
しかも、接合膜4を組成する金属が、Sn合金を含有する第2導体3中に拡散して生じた合金領域ALは、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0040】
金属微粒子40は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、フラックスに起因するボイド発生を抑制し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体2に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0041】
そして、上述した製造方法の利点が、そのまま、回路基板の優位点として現れる。
【0042】
B.製造方法2
上記とは別の製造方法2では、図6に図示するように、表面に第1導体2を有する基板1を準備し、第1導体2の上に、Sn合金よりも高融点の金属膜41を付着させる。金属膜41は、スパッタ成膜法によって形成することができる。金属膜41は、先に述べた金属微粒子と同じ材料を用いることができる。
【0043】
次に、図7に図示するように、金属膜41の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している金属膜41及び第2導体3を除去する。これにより、金属膜41より転化した接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、その金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせた回路基板が得られる。
【0044】
金属膜41を付着させる工程は、めっき法における下地膜形成工程に相当するものであるが、図6及び図7に示した製造方法では、この後、めっきするのではなく、金属膜41の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。溶融金属Mの供給工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0045】
重複説明は省略するが、この製造方法2も、製造方法1で述べた作用効果を奏する。
【0046】
C.製造方法3
更に、製造方法3では、図8に図示するように、まず、表面に第1導体2を有する基板1を準備する。そして、第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の金属材料でなる金属薄体42を重ねる。金属薄板42も、先に述べた金属微粒子と同じ材料を用いることができる。
【0047】
次に、図9に図示するように、金属薄体42の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属薄体42を組成する金属が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、合金領域が生じ、第1導体2及び第2導体3が、金属薄体42から転じた接合膜4を介して、強く接合されることになる。
【0048】
この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3を除去することにより、図1に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0049】
製造方法3も、製造方法1で述べた作用効果を奏する。
【0050】
2.回路基板の実施形態2
(1)回路基板
図10を参照すると、第2導体3は、基板1の一面からその厚み方向に延びる微細空間30の内部に充填されている。第2導体3の一端側は、微細空間30の底部において、接合膜4を介して、第1導体2の膜面と向き合っている。
【0051】
第1導体2、第2導体3及び接合膜4の詳細は、第1の形態に係る回路基板の説明において、既に、述べたところである。図10において、第2導体3は、1つの第1導体2に対して1つだけ備えられている場合を例示しているが、これに限定する趣旨ではない。1つの第1導体2に対して複数の第2導体3を備えていてもよい。
【0052】
第2導体3によって満たされた微細空間30は、一般には、貫通孔、非貫通孔(盲孔)又はビア・ホールと称される。この微細空間30は、例えば、孔径が60μm以下である。ウエハ自体の厚みは、通常、数十μmである。したがって、微細空間30はかなり高いアスペクト比を持つことになる。
【0053】
(2)製造方法
次に、上述した回路基板の製造方法について説明する。
A.製造方法1
まず、例えば、誘導結合型高密度プラズマ装置などを用いた化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により、図11に図示するように、基板1の厚み方向にエッチングされた微細空間30を形成する。微細空間30の形状は、化学反応エッチングの特性に従うもので、図示の形状には限らない。
【0054】
次に、微細空間30の内部に、例えばスクリーン印刷法などの手段によって、金属微粒子40を供給する。金属微粒子40の具体例については、既に述べたとおりである。金属微粒子40は、例えば、第1導体2の表面に1〜3層程度の金属微粒子層ができる程度の微量でよい。
【0055】
次に、図12に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。この溶融金属注入工程において、微細空間30内の金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。そして、冷却・硬化により、接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、接合膜4中の金属元素が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる(図10参照)。
【0056】
次に、上述した製造方法による効果を、図13〜図17の実験データを参照し、従来の回路基板(電子デバイスといってもよい)と比較しながら、具体的に説明する。図13は、比較例としての従来の回路基板のSEM像、図14は、図13に示したSEM像を拡大して示す図である。図15は、本発明に係る回路基板のSEM像、図16は、図15に示したSEM像を拡大して示す図、図17は、図15に示したSEM像を更に拡大して示す図である。
【0057】
図13及び図14に図示された回路基板は、シリコンでなる基板1の一面にCuを主成分とする第1導体2を形成し、第2導体3の一端を第1導体2に直接に接合した構造となっている。第1導体2の表面の酸化膜を還元するため、フラックスを用いて、溶融したSn合金を主成分とする溶融した電極材料を、微細空間30の内部に充填して第2導体3を形成したものである。
【0058】
図13及び図14から明らかなように、第2導体3の外周と、微細空間30の内壁面との間には、かなり大きなボイド(Void)が生じている。フラックス還元技術を適用した場合には、第1導体2の表面の酸化膜を還元することができるが、微細空間30内に、溶融金属材料とともにフラックスを注入すると、フラックスガスが発生する。この種の電子デバイスにおいて、微細空間30は、その孔径が、例えば数十μmの極微小孔であり、しかも、アスペクト比がかなり高くなっている。このような形状の微細空間30内でフラックスガスが発生すると、そのガス抜けが当然悪くなる。このため、第2導体3の周りに、フラックスガスに起因するボイド(Void)が発生し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体2に対する接続不良、接合抵抗の増大などを招いてしまうのである。
【0059】
これに対して、本発明に係る回路基板では、図15〜図17に図示するように、第2導体3の外周面が、基板1に設けられた微細空間30の内壁面に密着しており、両者間には殆どボイド(Void)が見られない。第1導体2と第2導体3との接触面との間に、ボイド(Void)のような影が見えるが、これは、SEM像をとるに当たって研磨した際に生じた欠けであり、ボイド(Void)ではない。
【0060】
3.回路基板の実施形態3
(1)回路基板
図18は、本発明に係る回路基板の別の実施形態を示す図である。図において、図10に現れた構成部分と対応する構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。この実施の形態の特徴は、接合膜4が、微細空間30の内部において、第2導体3の外周面のほぼ全面に接合していることである。接合膜4は、スパッタなどの薄膜形成技術によって形成される。
【0061】
図18に示した実施の形態では、接合膜4に含まれる金属元素が、第2導体3の外周面の全面において、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせるので、図10に図示された実施例との対比では、第1導体2、第2導体3、及び、基板1の相互的な接合強度がさらに向上する。
【0062】
次に、図18に示した回路基板の製造方法について説明する。
(2)製造方法
A.製造方法1
例えば、誘導結合型高密度プラズマ装置などを用いた化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により、基板1の厚み方向にエッチングされた微細空間30を形成した後、図19に図示するように、微細空間30の内壁面、及び、基板1の表面に、接合膜4を付着させる。接合膜4は、スパッタ成膜法によって形成することができる。
【0063】
次に、図20に図示するように、微細空間30の内壁面に付着している接合膜4によって囲まれた空間内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを供給する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させることにより、図18に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0064】
基板1の微細空間30の内壁面に、接合膜4を形成する工程は、めっき法の場合も適用されるものであるが、本発明では、上述したように、めっきするのではなく、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。溶融金属Mの供給工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0065】
B.製造方法2
図18に示した回路基板は、図21、図22に図示した工程によっても製造することができる。まず、図21に図示するように、誘導結合型高密度プラズマ装置などの化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により形成した微細空間30の開口する基板1の一面上に、金属薄体42を配置した後、図22に図示するように、金属薄体42の上に、溶融金属Mを供給する。溶融金属Mの供給により、金属薄体42に含まれる金属元素が、溶融金属Mを構成するSn合金中に拡散して、合金領域を生成する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させることにより、図18に示したように、接合膜4が、微細空間30の内部において、第2導体3の外周面のほぼ全面に接合する回路基板が得られる。
【0066】
4.回路基板の実施形態4
(1)回路基板
次に、半導体基板を用いた回路基板について説明する。Si、SiC又はSOI等の半導体基板を用いて、三次元配置の電子デバイスを実現するには、半導体基板(チップ)を積層し、基板間を貫通電極で接続する必要がある。その場合に、貫通電極は、半導体基板から電気的に絶縁する必要がある。
【0067】
図23は、このような三次元配置の電子デバイスを実現するのに好適な回路基板の一例を示している。図23を参照すると、半導体でなる基板1に設けられた微細空間30の内側面の全面に、絶縁膜31が付着されており、絶縁膜31によって囲まれた微細空間30の内側に、Sn合金を含有する第2導体3及び接合膜4が配置されている。絶縁膜31は、微細空間30の底面には存在していない。絶縁膜31は、通常は、高分子絶縁膜として形成される。
【0068】
接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属でなり、微細空間30の底面において、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせている。図23の参照符号51は、微細空間30を形成する際に用いられたSiO2等でなるマスクであり、最終形態としては、除去される。
【0069】
(2)製造方法
図23に示した回路基板は、例えば、図24、図25に例示する製造方法によって製造することができる。まず、図24に図示するように、誘導結合型高密度プラズマ装置(ICP)等を用いて、基板1に、内周面が保護膜31によって覆われた微細空間30を形成する。微細空間30の底部には保護膜31が存在せず、第1導体2の表面が露出している。
【0070】
次に、微細空間30の内部に、例えばスクリーン印刷法などの手段によって、金属微粒子40を供給する。
【0071】
次に、図25に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。この溶融金属Mの注入工程において、微細空間内の金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。冷却後は、金属微粒子40による接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、接合膜4中の金属元素が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる。これにより、図23に図示する回路基板が得られる。
【0072】
5.回路基板の実施形態5
(1)回路基板
図26は三次元配置の半導体デバイスを実現するのに好適な回路基板の別の実施形態を示している。図26を参照すると、半導体でなる基板1に設けられた微細空間30の内側面の全面に、絶縁膜31が付着されており、絶縁膜31の内側面に、接合膜4が付着されている。そして、接合膜4によって囲まれた空間内に、Sn合金を含有する第2導体3が配置されている。絶縁膜31は、微細空間30の底面には存在していないので、接合膜4は、第1導体2に直接接触し、接合されている。絶縁膜31は、通常は、高分子絶縁膜として形成される。
【0073】
接合膜4は、微細空間30の底面において、第1導体2と直接接触し、接合されとともに、底面及び内側面が第2導体3の底面及び外周面の全面に直接接触する。従って、第2導体3の底面及び外周面の全面において、接合膜4中の金属が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる。
【0074】
(2)製造方法
A.製造方法1
図27、図28は、図26に示した半導体回路基板の製造方法を示している。図示の製造方法は、内側面が保護膜31で覆われた微細空間30を得る工程を実行した後、図27に図示するように、スパッタなどの手段によって、接合膜4を形成する。接合膜4は、保護膜31の全面のみならず、微細空間30の底部に露出する第1導体2の表面にも付着する。接合膜4と第1導体2は、物理的、電気的に互いに密着した状態で接合されることになる。
【0075】
次に、図28に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入し、冷却することにより、第2導体3を形成する。溶融金属Mの注入工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0076】
また、第1導体3に対する第2導体3の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0077】
しかも、合金領域は、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0078】
接合膜4は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、微細空間30内におけるボイド発生を抑制し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0079】
B.製造方法2
図29、図30は、本発明に係る製造方法の別の実施形態を示している。図示の製造方法は、図29に図示するように、内側面が保護膜31で覆われた微細空間30を得る工程を実行した後、図32に図示するように、微細空間30の開口する半導体基板1の一面上に、金属薄板4を配置する。
【0080】
次に、図30に図示するように、金属薄体42の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属薄体42に含まれる金属元素が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、合金領域が生じ、硬化後は、第1導体2及び第2導体3が、接合膜4を介して、強く接合されることになる。
【0081】
この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3を、除去することにより、図26に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0082】
6.多層回路基板
本発明は、更に、多層回路基板にも適用できる。図31及び図32に図示された多層回路基板は、任意数の回路基板A1〜A6を、順次に積層した構造となっている。そのうちの少なくとも1層は、第1導体2、第2導体3及び接合膜4を含んでいる構造を採用する。第2導体3がSn合金を含有し、接合膜4がSn合金よりも高融点の金属材料でなることは、前述したとおりである。第1導体2は、基板1の一面に所定のパターンで設けられた平面状の導体膜であり、第2導体3は、基板1の厚み方向に設けられた微細空間内に充填されている。接合膜4は、微細空間内において、第2導体3の外周面に隣接し、更に第1導体2に隣接し、第1導体2及び第2導体3を接合している。接合膜4を組成する金属元素が、第2導体3の外周面において、その内部に拡散し、合金領域を形成している。
【0083】
図示の実施例では、回路基板A1〜A6のそれぞれが、基板1に、第1導体2、第2導体3及び接合膜4を設けた構造となっている。第1導体2は、回路基板A1〜A6のそれぞれの一面に形成されている。また、第1導体2のいくつかは、隣接する複数の第2導体3にまたがって配置されている。
【0084】
回路基板A1〜A6は、積層界面において接合されている。図では、第2導体3は、回路基板A1〜A6の間において、全て連なっているが、回路構成によっては連ならない場合もあり得る。
【0085】
最外側の回路基板A1、A6には、バンプ(取出電極)60〜69が設けられる。バンプ60〜69に関しては、図1で説明した回路基板の構造を適用することができる。更には、第1導体2についても、図1で説明した回路基板の構造を適用することができる。
【0086】
図31及び図32に示した多層積層構造は、複雑な三次元回路を有する回路基板を実現するのに適している。もっとも、それ自体で、電子デバイスとし評価しえることもある。例えば、回路基板A1〜A6の少なくとも1つに、半導体回路要素が形成されている場合には、多層回路基板と称するよりも、むしろに、電子デバイスと呼ぶのに相応しい。
【0087】
7.電子デバイス
本発明に係る電子デバイスには、センサーモジュル、光電気モジュール、ユニポーラトランジスタ、MOS FET、CMOS FET、メモリーセル、FC(Field Complementary)のチップ、もしくは、それらの集積回路部品(IC)、各種スケールのLSI、MRAM (Magnetoresistive Random Access Memory)、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)、光デバイス、光デバイス、太陽電池、または、ELディスプレイ、液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイなど、凡そ、電子回路を機能要素とするほとんどのものが含まれ得る。
【0088】
特に、本発明に係る基板を、インターポーザとして用いた集積回路LSIが、その代表例として、好適である。本発明において、集積回路LSIと称する場合、小規模集積回路、中規模集積回路、大規模集積回路、超大規模集積回路VLSI、ULSI等の全てを含む。
【0089】
図33を参照すると、本発明に係る回路基板を利用した第1のインターポーザInT1の一面上に、回路機能部としての第1の集積回路LSI1が実装されており、第1の集積回路LSI1の一面上に、本発明に係る基板を利用した第2のインターポーザInT2が実装されており、第2のインターポーザInT2の一面上に、第2の集積回路LSI2が実装されている。
【0090】
もっとも、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2の数、内部配線、厚み、形状などは任意である。第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2も同様である。
【0091】
第1の集積回路LSI1から上部の第2の集積回路LSI2への信号は、バンプと呼ばれる接続部分を通して第2のインターポーズInT2に伝達される。第2のインターポーズInT2の内部では、内部の配線である第1導体2、接合膜4及び第2導体3を通じて、目的のバンプ65〜69まで伝達し、バンプ65〜69を通じて、第2の集積回路LSI2に信号を伝える。下部の第1の集積回路LSI1への信号伝達も同様に行うことができる。
【0092】
図33に示したように、本発明に係る回路基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2とし、これに第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2を重ねて一つのチップとして動作させることにより、IT機器の心臓となる電子回路の超小型実装と、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2間の高速信号伝送を実現することができる。
【0093】
しかも、第2のインターポーザInT2は、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2を重ねた層間に配置し、高密度・高速の信号伝達を可能にする。
【0094】
また、集積回路の内部クロックは、最近のCPUでは数GHzと高速であるのに対し、チップの外との信号伝達クロックは数百MHzであることから、配線遅延が大きな問題となっているが、本発明に係る回路基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2として用いることにより、配線長を最小化し、配線遅延に起因する問題を解決することができる。
【0095】
更に、外部に信号を出すためのバッファ回路での遅れと、駆動のための消費電力も無視できないが、本発明に係る基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2として用いることにより、消費電力も低減することができる。
【0096】
図33では、本発明に係る回路基板を、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2から独立するものとして構成してあるが、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2の内部構造、特に、そのローカル配線部に本発明を適用することもできる。また、能動回路素子に限らず、受動回路素子の内部配線構造にも適用が可能である。
【0097】
更に、図33では、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2の貫通電極部分に本発明が適用されているが、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2との接続部分となるバンプ65〜69、及び、第1導体2についても、図1で説明した構造を適用することができる。
【0098】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形形態及び説明されない他の適用技術分野を想到しえることは自明である。
【符号の説明】
【0099】
1 基板
2 第1導体
3 第2導体
4 接合膜
AL 合金領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの例としては、例えば、各種スケールの集積回路、各種半導体素子もしくはそのチップ等を挙げることができる。
【0003】
この種の電子デバイスにおいては、これまで、回路基板上に半導体チップを平面的に配置し、その間を配線で接続する方法がとられてきた。しかし、この方法では、実装面積が半導体チップの数とともに増加するとともに、配線長も増加してしまうので、電子デバイスの小型大容量化、高性能化及び低消費電力化を実現することが困難である。微細化技術が極限まで進んだ現状では、半導体チップの微細化、小型化をとおして、大容量化、高性能化及び低消費電力化を実現することは、限界に来ている。
【0004】
そこで、電子デバイスの小型大容量化、高性能化及び低消費電力化の実現に向けて、半導体チップを積層し、チップ間を貫通電極で接続する三次元配置の電子デバイスの開発が進められている。
【0005】
三次元配置の電子デバイスを実現する代表的な技術は、めっき技術の適用によって、貫通電極を形成する方法である。しかし、めっき技術は工程数が多く、平面配置に比べて、コスト高になる。しかも、めっき膜の内部に空洞などを生じ易い。これらは、従来の平面配置から三次元配置への移行を妨げる大きな障害となる。
【0006】
めっき技術に代わるものとして、特許文献1は、微細空間を持つ例えばシリコン基板を、真空圧に減圧した真空チャンバー内で溶融金属槽に挿入し、シリコン基板が溶融金属とほぼ同じ温度に達した後、真空チャンバー内を例えば大気圧以上に加圧して、溶融金属を微細空間に充填する技術を開示している。貫通電極を構成する金属材料としては、錫、インジウムなどが例示されている。
【0007】
この技術によれば、高アスペクト比の微細空間に対しても金属充填が可能となり、鬆(す)などの空隙の生じない金属充填を行なうことができ、また、貫通電極のための貫通した微細空間に金属充填を行なう場合は、空隙のない良好な貫通電極を作成しえるとされている。
【0008】
ところで、溶融金属を貫通孔内に充填して、貫通電極を形成するので、既に半導体回路要素が形成されている半導体チップに対して貫通電極を形成する場合、半導体回路要素の溶融熱による劣化を回避しなければならない。溶融熱による半導体回路要素の劣化を回避するという観点からは、融点の低い金属材料を用いればよいが、そうすると、今度は、耐熱性が低くなってしまう。
【0009】
特許文献1において、貫通電極を構成する金属材料として例示されている錫、インジウムは、融点が低いので、貫通電極形成時の溶融熱による半導体回路要素の劣化を回避するという点では評価できるが、融点が低いために、熱的信頼性を欠いてしまう。
【0010】
さらに、もう一つの問題として、貫通電極が接続されるべき導体パターンの酸化による接続不良の問題がある。貫通電極は、その機能上、少なくとも一端が、基板に設けられた導体パターンに接続されなければならない。その場合に、導体パターンの表面が酸化されていると、貫通電極と、導体パターンとの接続が不完全になる。特許文献1は、この問題点についての指摘がないし、当然のこととして、解決手段については言及がない。
【0011】
上述した酸化の問題を解決する一般的な手段としては、フラックスの還元作用を利用して、導体パターンの酸化膜を還元することが考えられる。
【0012】
しかし、微細空間内に、溶融金属材料とともにフラックスを注入すると、フラックスガスが発生する。この種の電子デバイスにおいて、微細空間は、その孔径が、例えば数十μm以下の極微小孔であり、しかも、アスペクト比がかなり高くなっている。このような形状の微細空間内でフラックスガスが発生すると、そのガス抜けが当然悪くなり、貫通電極の周りに、フラックスガスに起因するボイドが発生し、貫通電極の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には導体パターンに対する接続不良、接合抵抗の増大などを招いてしまう。
【0013】
上述した問題は、貫通電極を形成する場合に限らない。三次元配置を実現するに当たって、多数の回路基板を積層してゆく場合にも、回路基板相互間を接続するターミナルの接続不良、電気抵抗の増大、接合抵抗の増大などを招いてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−158191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、コストの安価な三次元配置の回路基板、電子デバイス及びそれらの製造に適した製造方法を提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの課題は、導体間接続を、低い温度で実現することができ、しかも、接続後は融点が高く、熱的安定性に優れた導体接続構造を持つ回路基板、電子デバイス及び製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらにもう一つの課題は、導体断面積の減少、電気抵抗の増大、更には導体間接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板、電子デバイス及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1.回路基板
上述した課題の少なくとも1つを解決するため、本発明に係る回路基板は、基板と、第1導体と、第2導体と、接合膜とを含む。前記第1導体は、前記基板に設けられており、前記第2導体は、Sn合金を含有し、前記接合膜を介して、前記第1導体に接合されている。前記接合膜は、Sn合金よりも高融点の金属でなり、前記第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。
【0019】
本発明に係る回路基板は、接合膜を構成する金属に第2導体を構成する溶融金属を供給し、冷却するという簡単な工程で、製造することができる。従って、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。このため、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0020】
しかも、接合膜を構成する高融点の金属が、Sn合金を含有する溶融金属中に溶解し、拡散し、合金領域を生成する過程は、周知の状態図に従って説明される。状態図によれば、Sn合金よりも高融点の金属微粒子であっても、250℃以下の温度で溶解する。従って、第1導体に対する第2導体の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0021】
しかも、接合膜を構成する高融点の金属が、Sn合金を含有する第2導体中に拡散して生じた合金領域は、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0022】
接合膜を構成する高融点の金属は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、フラックスに起因するボイド発生を抑制し、第2導体の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0023】
2.電子デバイス
本発明に係る電子デバイスは、基本的には、上述した回路基板の複数枚を積層した三次元配置を有する。もっとも、一枚の回路基板であっても、例えば、半導体回路要素などの電子回路要素が既に形成されている場合には、電子デバイスと観念できることもある。
【0024】
なお、本明細書において、「金属」という用語は、単一元素からなる金属のほか、2種以上の金属元素を含む合金をも含む概念として用いられることがある。
【0025】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。但し、添付図面は、単なる例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る回路基板の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図3】図2に示した工程の後の工程を示す図である。
【図4】図3に示した工程の後の工程を示す図である。
【図5】図4に示した工程の後の工程を示す図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す図である。
【図7】本発明に係る回路基板の別の製造方法を示すである。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す図である。
【図9】図8に示した工程の後の工程を示す図である。
【図10】本発明に係る回路基板の更に別の実施形態を示す図である。
【図11】図10に示した回路基板の製造方法を示す図である。
【図12】図11に示した工程の後の工程を示す図である。
【図13】比較例としての従来の回路基板のSEM像である。
【図14】図13に示したSEM像を拡大して示す図である。
【図15】本発明に係る回路基板のSEM像である。
【図16】図15に示したSEM像を拡大して示す図である。
【図17】図15に示したSEM像を更に拡大して示す図である。
【図18】本発明に係る回路基板の別の例を示すである。
【図19】図18に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図20】図19に示した工程の後の工程を示す図である。
【図21】図18に示した回路基板の別の製造工程を示す図である。
【図22】図21に示した工程の後の工程を示す図である。
【図23】本発明に係る回路基板の他の実施形態を示す図である。
【図24】図23に示した回路基板の製造方法を示す図である。
【図25】図24に示した工程の後の工程を示す図である。
【図26】本発明に係る回路基板の別の実施例を示す図である。
【図27】図26に示した回路基板の製造工程を示す図である。
【図28】図27に示した工程の後の工程を示す図である。
【図29】図23に示した回路基板の別の製造方法を示す図である。
【図30】図29に示した工程の後の工程を示す図である。
【図31】本発明に係る多層回路基板の分解図である。
【図32】図31に示した多層回路基板の完成状態を示す図である。
【図33】本発明に係る電子デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.回路基板の実施形態1
(1)回路基板
図1を参照すると、第1導体2は、基板1の表面上に平面状に設けられており、第2導体3は、接合膜4を間に挟んで第1導体2の表面に積層されている。即ち、平面的な導体配置となっている。
【0028】
図1には、簡単な構成の回路基板が示されているのみであるが、実際には、回路基板の種類に応じた機能、及び、構造を満たすべく、より複雑な構造がとられる。図示された回路基板は、基板1と、第1導体2と、第2導体3と、接合膜4とを含んでいる。この回路基板は、ウエハであってもよいし、ウエハから切り出されたチップであってもよい。
【0029】
基板1は、一定の耐熱性を有するものであれば、金属、合金、金属酸化物、セラミックス、ガラス、プラスチックもしくはそれらの複合材、又は、それらの積層体の別を問わず、広く用いることができる。基板1の物性、構造などは、対象とするデバイスの種類によって異なる。例えば、半導体デバイスの場合には、Si、SiC又はSOI等が用いられる。受動電子回路デバイスの場合には、誘電体、磁性体又はそれらの複合体の形態をとることがある。MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、光デバイス、太陽電池、または、ELディスプレイ、液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイなどの平面状ディスプレイを実現する場合も、その要求に沿った物性及び構造を持つウエハが用いられる。基板1が半導体基板である場合は、半導体回路要素が既に形成されていてもよい。
【0030】
第1導体2は、平面状の薄膜であって、基板1の一面上に設けられている。基板1がシリコンウエハであって、半導体回路要素が既に形成されている場合は、第1導体2は、この半導体回路要素のリード導体となることがある。第1導体2は、要求される機能に応じて、種々の平面パターンをとる。第1導体2の周りは、必要に応じ、絶縁膜によって埋められていてもよい。第1導体2は、公知の材料、例えばCuを主成分とする金属材料によって構成される。必要に応じて、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)又はTi(チタン)などを含有していてもよい。この第1導体2は、CVD法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成することができる。
【0031】
第2導体3は、Sn合金を主成分とする金属材料によって構成される。具体的には、Snと、In、Al、Biなどの少なくとも一種を含有する。更には、酸化防止として有用なGaを含んでいてもよい。図示の第2導体3は、平面状の薄膜であって、接合膜4を介して、第1導体2の表面に積層されている。
【0032】
接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属材料でなり、少なくとも、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、その金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせている。金属元素の含有量(拡散量)は、図1に模式的に表示するように、接合膜4から離れるに従って低くなる濃度勾配をもって拡散している。図1において、合金領域ALは、一点鎖線によって、画定された領域のように表示されているが、これは説明のための便宜的表示に過ぎない。実際には、明確な境界があるわけではない。接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属であればよい。具体的には、Cu、Ag、Al、Au又はZnなどを例示することができる。
【0033】
図1に図示された回路基板は、その多数枚を積層した三次元配置構造を有する電子デバイスを実現するため、及び、回路基板に各種スケールの集積回路などの能動部品や、受働部品を実装して電子デバイスを実現するために好適なものである。
【0034】
(2)製造方法
次に、図2〜図10を参照し、図1に示した回路基板の製造方法1〜3について説明する。
A.製造方法1
まず、図2に図示するように、表面に第1導体2を有する基板1を準備する。次に、図3に図示するように、第1導体2の上に金属微粒子40を供給する。金属微粒子40は、接合膜4(図1参照)となるものであって、Sn合金よりも高融点の金属、例えばCu、Ag、Al、Au又はZnなどである。金属微粒子40は、粒径が1μm以下のナノオーダのナノコンポジット構造を有するものが好ましい。コンポジット構造とは、結晶の集合体、または、結晶とアモルファスとの集合体を言う。結晶粒径は200nm以下であることが好ましい。このようなナノコンポジット構造の金属微粒子40は、ナノ化による融点低下効果を奏する。
【0035】
次に、図4に図示するように、金属微粒子40の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属微粒子40に含まれる金属元素が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、冷却・硬化後は、図5に図示するように、合金領域ALが生じ、第1導体2及び第2導体3が、接合膜4を介して、強く接合されることになる。第2導体3は、溶融金属Mの硬化によるものであり、接合膜4は金属微粒子40が硬化したものである。
【0036】
溶融金属Mの冷却・硬化後、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3をエッチングまたはリフト・オフ法など、周知の技術によって除去することにより、図1に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0037】
上述したように、第1導体2の上にSn合金よりも高融点の金属微粒子40を供給し、次に、金属微粒子40の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給するので、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。このため、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0038】
また、第1の形態に係る製造方法によれば、金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。この場合の溶解・拡散は、周知の状態図に従って説明される。状態図によれば、Sn合金よりも高融点の金属微粒子40であっても、250℃以下の温度で溶解する。従って、第1導体に対する第2導体の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0039】
しかも、接合膜4を組成する金属が、Sn合金を含有する第2導体3中に拡散して生じた合金領域ALは、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0040】
金属微粒子40は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、フラックスに起因するボイド発生を抑制し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体2に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0041】
そして、上述した製造方法の利点が、そのまま、回路基板の優位点として現れる。
【0042】
B.製造方法2
上記とは別の製造方法2では、図6に図示するように、表面に第1導体2を有する基板1を準備し、第1導体2の上に、Sn合金よりも高融点の金属膜41を付着させる。金属膜41は、スパッタ成膜法によって形成することができる。金属膜41は、先に述べた金属微粒子と同じ材料を用いることができる。
【0043】
次に、図7に図示するように、金属膜41の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している金属膜41及び第2導体3を除去する。これにより、金属膜41より転化した接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、その金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせた回路基板が得られる。
【0044】
金属膜41を付着させる工程は、めっき法における下地膜形成工程に相当するものであるが、図6及び図7に示した製造方法では、この後、めっきするのではなく、金属膜41の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。溶融金属Mの供給工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0045】
重複説明は省略するが、この製造方法2も、製造方法1で述べた作用効果を奏する。
【0046】
C.製造方法3
更に、製造方法3では、図8に図示するように、まず、表面に第1導体2を有する基板1を準備する。そして、第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の金属材料でなる金属薄体42を重ねる。金属薄板42も、先に述べた金属微粒子と同じ材料を用いることができる。
【0047】
次に、図9に図示するように、金属薄体42の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属薄体42を組成する金属が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、合金領域が生じ、第1導体2及び第2導体3が、金属薄体42から転じた接合膜4を介して、強く接合されることになる。
【0048】
この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3を除去することにより、図1に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0049】
製造方法3も、製造方法1で述べた作用効果を奏する。
【0050】
2.回路基板の実施形態2
(1)回路基板
図10を参照すると、第2導体3は、基板1の一面からその厚み方向に延びる微細空間30の内部に充填されている。第2導体3の一端側は、微細空間30の底部において、接合膜4を介して、第1導体2の膜面と向き合っている。
【0051】
第1導体2、第2導体3及び接合膜4の詳細は、第1の形態に係る回路基板の説明において、既に、述べたところである。図10において、第2導体3は、1つの第1導体2に対して1つだけ備えられている場合を例示しているが、これに限定する趣旨ではない。1つの第1導体2に対して複数の第2導体3を備えていてもよい。
【0052】
第2導体3によって満たされた微細空間30は、一般には、貫通孔、非貫通孔(盲孔)又はビア・ホールと称される。この微細空間30は、例えば、孔径が60μm以下である。ウエハ自体の厚みは、通常、数十μmである。したがって、微細空間30はかなり高いアスペクト比を持つことになる。
【0053】
(2)製造方法
次に、上述した回路基板の製造方法について説明する。
A.製造方法1
まず、例えば、誘導結合型高密度プラズマ装置などを用いた化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により、図11に図示するように、基板1の厚み方向にエッチングされた微細空間30を形成する。微細空間30の形状は、化学反応エッチングの特性に従うもので、図示の形状には限らない。
【0054】
次に、微細空間30の内部に、例えばスクリーン印刷法などの手段によって、金属微粒子40を供給する。金属微粒子40の具体例については、既に述べたとおりである。金属微粒子40は、例えば、第1導体2の表面に1〜3層程度の金属微粒子層ができる程度の微量でよい。
【0055】
次に、図12に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。この溶融金属注入工程において、微細空間30内の金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。そして、冷却・硬化により、接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、接合膜4中の金属元素が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる(図10参照)。
【0056】
次に、上述した製造方法による効果を、図13〜図17の実験データを参照し、従来の回路基板(電子デバイスといってもよい)と比較しながら、具体的に説明する。図13は、比較例としての従来の回路基板のSEM像、図14は、図13に示したSEM像を拡大して示す図である。図15は、本発明に係る回路基板のSEM像、図16は、図15に示したSEM像を拡大して示す図、図17は、図15に示したSEM像を更に拡大して示す図である。
【0057】
図13及び図14に図示された回路基板は、シリコンでなる基板1の一面にCuを主成分とする第1導体2を形成し、第2導体3の一端を第1導体2に直接に接合した構造となっている。第1導体2の表面の酸化膜を還元するため、フラックスを用いて、溶融したSn合金を主成分とする溶融した電極材料を、微細空間30の内部に充填して第2導体3を形成したものである。
【0058】
図13及び図14から明らかなように、第2導体3の外周と、微細空間30の内壁面との間には、かなり大きなボイド(Void)が生じている。フラックス還元技術を適用した場合には、第1導体2の表面の酸化膜を還元することができるが、微細空間30内に、溶融金属材料とともにフラックスを注入すると、フラックスガスが発生する。この種の電子デバイスにおいて、微細空間30は、その孔径が、例えば数十μmの極微小孔であり、しかも、アスペクト比がかなり高くなっている。このような形状の微細空間30内でフラックスガスが発生すると、そのガス抜けが当然悪くなる。このため、第2導体3の周りに、フラックスガスに起因するボイド(Void)が発生し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体2に対する接続不良、接合抵抗の増大などを招いてしまうのである。
【0059】
これに対して、本発明に係る回路基板では、図15〜図17に図示するように、第2導体3の外周面が、基板1に設けられた微細空間30の内壁面に密着しており、両者間には殆どボイド(Void)が見られない。第1導体2と第2導体3との接触面との間に、ボイド(Void)のような影が見えるが、これは、SEM像をとるに当たって研磨した際に生じた欠けであり、ボイド(Void)ではない。
【0060】
3.回路基板の実施形態3
(1)回路基板
図18は、本発明に係る回路基板の別の実施形態を示す図である。図において、図10に現れた構成部分と対応する構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。この実施の形態の特徴は、接合膜4が、微細空間30の内部において、第2導体3の外周面のほぼ全面に接合していることである。接合膜4は、スパッタなどの薄膜形成技術によって形成される。
【0061】
図18に示した実施の形態では、接合膜4に含まれる金属元素が、第2導体3の外周面の全面において、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせるので、図10に図示された実施例との対比では、第1導体2、第2導体3、及び、基板1の相互的な接合強度がさらに向上する。
【0062】
次に、図18に示した回路基板の製造方法について説明する。
(2)製造方法
A.製造方法1
例えば、誘導結合型高密度プラズマ装置などを用いた化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により、基板1の厚み方向にエッチングされた微細空間30を形成した後、図19に図示するように、微細空間30の内壁面、及び、基板1の表面に、接合膜4を付着させる。接合膜4は、スパッタ成膜法によって形成することができる。
【0063】
次に、図20に図示するように、微細空間30の内壁面に付着している接合膜4によって囲まれた空間内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを供給する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させることにより、図18に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0064】
基板1の微細空間30の内壁面に、接合膜4を形成する工程は、めっき法の場合も適用されるものであるが、本発明では、上述したように、めっきするのではなく、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。溶融金属Mの供給工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0065】
B.製造方法2
図18に示した回路基板は、図21、図22に図示した工程によっても製造することができる。まず、図21に図示するように、誘導結合型高密度プラズマ装置などの化学反応エッチング又はレーザ穿孔法等により形成した微細空間30の開口する基板1の一面上に、金属薄体42を配置した後、図22に図示するように、金属薄体42の上に、溶融金属Mを供給する。溶融金属Mの供給により、金属薄体42に含まれる金属元素が、溶融金属Mを構成するSn合金中に拡散して、合金領域を生成する。この後、溶融金属Mを冷却し硬化させることにより、図18に示したように、接合膜4が、微細空間30の内部において、第2導体3の外周面のほぼ全面に接合する回路基板が得られる。
【0066】
4.回路基板の実施形態4
(1)回路基板
次に、半導体基板を用いた回路基板について説明する。Si、SiC又はSOI等の半導体基板を用いて、三次元配置の電子デバイスを実現するには、半導体基板(チップ)を積層し、基板間を貫通電極で接続する必要がある。その場合に、貫通電極は、半導体基板から電気的に絶縁する必要がある。
【0067】
図23は、このような三次元配置の電子デバイスを実現するのに好適な回路基板の一例を示している。図23を参照すると、半導体でなる基板1に設けられた微細空間30の内側面の全面に、絶縁膜31が付着されており、絶縁膜31によって囲まれた微細空間30の内側に、Sn合金を含有する第2導体3及び接合膜4が配置されている。絶縁膜31は、微細空間30の底面には存在していない。絶縁膜31は、通常は、高分子絶縁膜として形成される。
【0068】
接合膜4は、Sn合金よりも高融点の金属でなり、微細空間30の底面において、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、金属元素が、第2導体3中に拡散して合金領域ALを生じさせている。図23の参照符号51は、微細空間30を形成する際に用いられたSiO2等でなるマスクであり、最終形態としては、除去される。
【0069】
(2)製造方法
図23に示した回路基板は、例えば、図24、図25に例示する製造方法によって製造することができる。まず、図24に図示するように、誘導結合型高密度プラズマ装置(ICP)等を用いて、基板1に、内周面が保護膜31によって覆われた微細空間30を形成する。微細空間30の底部には保護膜31が存在せず、第1導体2の表面が露出している。
【0070】
次に、微細空間30の内部に、例えばスクリーン印刷法などの手段によって、金属微粒子40を供給する。
【0071】
次に、図25に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入して第2導体3を形成する。この溶融金属Mの注入工程において、微細空間内の金属微粒子40が、Sn合金を含有する溶融金属M中に溶解し、拡散する。冷却後は、金属微粒子40による接合膜4が、第1導体2と第2導体3との間に介在して両者を接合し、接合膜4中の金属元素が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる。これにより、図23に図示する回路基板が得られる。
【0072】
5.回路基板の実施形態5
(1)回路基板
図26は三次元配置の半導体デバイスを実現するのに好適な回路基板の別の実施形態を示している。図26を参照すると、半導体でなる基板1に設けられた微細空間30の内側面の全面に、絶縁膜31が付着されており、絶縁膜31の内側面に、接合膜4が付着されている。そして、接合膜4によって囲まれた空間内に、Sn合金を含有する第2導体3が配置されている。絶縁膜31は、微細空間30の底面には存在していないので、接合膜4は、第1導体2に直接接触し、接合されている。絶縁膜31は、通常は、高分子絶縁膜として形成される。
【0073】
接合膜4は、微細空間30の底面において、第1導体2と直接接触し、接合されとともに、底面及び内側面が第2導体3の底面及び外周面の全面に直接接触する。従って、第2導体3の底面及び外周面の全面において、接合膜4中の金属が、第2導体3中に拡散することによる合金領域ALが生じる。
【0074】
(2)製造方法
A.製造方法1
図27、図28は、図26に示した半導体回路基板の製造方法を示している。図示の製造方法は、内側面が保護膜31で覆われた微細空間30を得る工程を実行した後、図27に図示するように、スパッタなどの手段によって、接合膜4を形成する。接合膜4は、保護膜31の全面のみならず、微細空間30の底部に露出する第1導体2の表面にも付着する。接合膜4と第1導体2は、物理的、電気的に互いに密着した状態で接合されることになる。
【0075】
次に、図28に示すように、微細空間30内に、Sn合金を含有する溶融金属Mを注入し、冷却することにより、第2導体3を形成する。溶融金属Mの注入工程は、めっき成膜工程に比較して、その工程数及び工程時間が著しく短縮される。このため、めっき技術の場合と比べて、工程数及び工程時間が著しく簡素化、短縮化される。従って、コストの安価な三次元配置の回路基板を実現することができる。
【0076】
また、第1導体3に対する第2導体3の接続を、低い温度で実現することができ、回路基板に含まれることのある半導体回路要素の熱的ダメージを回避し得る。
【0077】
しかも、合金領域は、熱拡散時の融点よりも、その融点が高くなるので、熱的安定性に優れた導体接続構造が得られる。
【0078】
接合膜4は、溶解工程において還元されるので、フラックス還元工程が不要である。このため、微細空間30内におけるボイド発生を抑制し、第2導体3の断面積の減少、電気抵抗の増大、更には第1導体に対する接続不良、接合抵抗の増大などを回避した回路基板を実現することができる。
【0079】
B.製造方法2
図29、図30は、本発明に係る製造方法の別の実施形態を示している。図示の製造方法は、図29に図示するように、内側面が保護膜31で覆われた微細空間30を得る工程を実行した後、図32に図示するように、微細空間30の開口する半導体基板1の一面上に、金属薄板4を配置する。
【0080】
次に、図30に図示するように、金属薄体42の上にSn合金を含有する溶融金属Mを供給する。これにより、金属薄体42に含まれる金属元素が、溶融金属Mに含まれるSn合金中に熱拡散し、合金領域が生じ、硬化後は、第1導体2及び第2導体3が、接合膜4を介して、強く接合されることになる。
【0081】
この後、溶融金属Mを冷却し硬化させる。そして、第1導体2のない領域において、基板1の表面に接している接合膜4及び第2導体3を、除去することにより、図26に示した本発明に係る回路基板が得られる。
【0082】
6.多層回路基板
本発明は、更に、多層回路基板にも適用できる。図31及び図32に図示された多層回路基板は、任意数の回路基板A1〜A6を、順次に積層した構造となっている。そのうちの少なくとも1層は、第1導体2、第2導体3及び接合膜4を含んでいる構造を採用する。第2導体3がSn合金を含有し、接合膜4がSn合金よりも高融点の金属材料でなることは、前述したとおりである。第1導体2は、基板1の一面に所定のパターンで設けられた平面状の導体膜であり、第2導体3は、基板1の厚み方向に設けられた微細空間内に充填されている。接合膜4は、微細空間内において、第2導体3の外周面に隣接し、更に第1導体2に隣接し、第1導体2及び第2導体3を接合している。接合膜4を組成する金属元素が、第2導体3の外周面において、その内部に拡散し、合金領域を形成している。
【0083】
図示の実施例では、回路基板A1〜A6のそれぞれが、基板1に、第1導体2、第2導体3及び接合膜4を設けた構造となっている。第1導体2は、回路基板A1〜A6のそれぞれの一面に形成されている。また、第1導体2のいくつかは、隣接する複数の第2導体3にまたがって配置されている。
【0084】
回路基板A1〜A6は、積層界面において接合されている。図では、第2導体3は、回路基板A1〜A6の間において、全て連なっているが、回路構成によっては連ならない場合もあり得る。
【0085】
最外側の回路基板A1、A6には、バンプ(取出電極)60〜69が設けられる。バンプ60〜69に関しては、図1で説明した回路基板の構造を適用することができる。更には、第1導体2についても、図1で説明した回路基板の構造を適用することができる。
【0086】
図31及び図32に示した多層積層構造は、複雑な三次元回路を有する回路基板を実現するのに適している。もっとも、それ自体で、電子デバイスとし評価しえることもある。例えば、回路基板A1〜A6の少なくとも1つに、半導体回路要素が形成されている場合には、多層回路基板と称するよりも、むしろに、電子デバイスと呼ぶのに相応しい。
【0087】
7.電子デバイス
本発明に係る電子デバイスには、センサーモジュル、光電気モジュール、ユニポーラトランジスタ、MOS FET、CMOS FET、メモリーセル、FC(Field Complementary)のチップ、もしくは、それらの集積回路部品(IC)、各種スケールのLSI、MRAM (Magnetoresistive Random Access Memory)、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)、光デバイス、光デバイス、太陽電池、または、ELディスプレイ、液晶ディスプレイもしくはプラズマディスプレイなど、凡そ、電子回路を機能要素とするほとんどのものが含まれ得る。
【0088】
特に、本発明に係る基板を、インターポーザとして用いた集積回路LSIが、その代表例として、好適である。本発明において、集積回路LSIと称する場合、小規模集積回路、中規模集積回路、大規模集積回路、超大規模集積回路VLSI、ULSI等の全てを含む。
【0089】
図33を参照すると、本発明に係る回路基板を利用した第1のインターポーザInT1の一面上に、回路機能部としての第1の集積回路LSI1が実装されており、第1の集積回路LSI1の一面上に、本発明に係る基板を利用した第2のインターポーザInT2が実装されており、第2のインターポーザInT2の一面上に、第2の集積回路LSI2が実装されている。
【0090】
もっとも、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2の数、内部配線、厚み、形状などは任意である。第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2も同様である。
【0091】
第1の集積回路LSI1から上部の第2の集積回路LSI2への信号は、バンプと呼ばれる接続部分を通して第2のインターポーズInT2に伝達される。第2のインターポーズInT2の内部では、内部の配線である第1導体2、接合膜4及び第2導体3を通じて、目的のバンプ65〜69まで伝達し、バンプ65〜69を通じて、第2の集積回路LSI2に信号を伝える。下部の第1の集積回路LSI1への信号伝達も同様に行うことができる。
【0092】
図33に示したように、本発明に係る回路基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2とし、これに第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2を重ねて一つのチップとして動作させることにより、IT機器の心臓となる電子回路の超小型実装と、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2間の高速信号伝送を実現することができる。
【0093】
しかも、第2のインターポーザInT2は、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2を重ねた層間に配置し、高密度・高速の信号伝達を可能にする。
【0094】
また、集積回路の内部クロックは、最近のCPUでは数GHzと高速であるのに対し、チップの外との信号伝達クロックは数百MHzであることから、配線遅延が大きな問題となっているが、本発明に係る回路基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2として用いることにより、配線長を最小化し、配線遅延に起因する問題を解決することができる。
【0095】
更に、外部に信号を出すためのバッファ回路での遅れと、駆動のための消費電力も無視できないが、本発明に係る基板を、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2として用いることにより、消費電力も低減することができる。
【0096】
図33では、本発明に係る回路基板を、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2から独立するものとして構成してあるが、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2の内部構造、特に、そのローカル配線部に本発明を適用することもできる。また、能動回路素子に限らず、受動回路素子の内部配線構造にも適用が可能である。
【0097】
更に、図33では、第1及び第2のインターポーザInT1、InT2の貫通電極部分に本発明が適用されているが、第1及び第2の集積回路LSI1、LSI2との接続部分となるバンプ65〜69、及び、第1導体2についても、図1で説明した構造を適用することができる。
【0098】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形形態及び説明されない他の適用技術分野を想到しえることは自明である。
【符号の説明】
【0099】
1 基板
2 第1導体
3 第2導体
4 接合膜
AL 合金領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1導体と、第2導体と、接合膜とを含む回路基板であって、
前記第1導体は、前記基板に設けられており、
前記第2導体は、Sn合金を含有し、前記接合膜を介して、前記第1導体と接合されており、
前記接合膜は、前記Sn合金よりも高融点の金属であって、前記第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。
【請求項2】
請求項1に記載された回路基板であって、前記第1導体は前記基板の表面上に平面状に設けられており、前記第2導体は、前記接合膜を間に挟んで前記第1導体の表面に積層されている。
【請求項3】
請求項1に記載された回路基板であって、前記第2導体は、前記基板の厚み方向に沿って前記基板の内部に設けられ、一端が前記接合膜を間に挟んで前記第1導体の膜面と向き合っている。
【請求項4】
請求項3に記載された回路基板であって、前記接合膜は、前記第2導体の外周面に隣接する。
【請求項5】
回路基板を含む電子デバイスであって、
前記回路基板は、請求項1乃至4の何れかに記載されたものである。
【請求項6】
基板に形成された第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の融点を持つ金属材料でなる接合膜を形成し、
次に、前記接合膜の上に、第2導体となる溶融Sn合金を供給し、
前記接合膜の金属成分を、その融点よりも低い温度で、前記溶融Sn合金中に熱拡散させ、前記溶融Sn合金の硬化後は高融点化する、
回路基板の製造方法。
【請求項1】
基板と、第1導体と、第2導体と、接合膜とを含む回路基板であって、
前記第1導体は、前記基板に設けられており、
前記第2導体は、Sn合金を含有し、前記接合膜を介して、前記第1導体と接合されており、
前記接合膜は、前記Sn合金よりも高融点の金属であって、前記第2導体中に拡散して合金領域を生じさせている。
【請求項2】
請求項1に記載された回路基板であって、前記第1導体は前記基板の表面上に平面状に設けられており、前記第2導体は、前記接合膜を間に挟んで前記第1導体の表面に積層されている。
【請求項3】
請求項1に記載された回路基板であって、前記第2導体は、前記基板の厚み方向に沿って前記基板の内部に設けられ、一端が前記接合膜を間に挟んで前記第1導体の膜面と向き合っている。
【請求項4】
請求項3に記載された回路基板であって、前記接合膜は、前記第2導体の外周面に隣接する。
【請求項5】
回路基板を含む電子デバイスであって、
前記回路基板は、請求項1乃至4の何れかに記載されたものである。
【請求項6】
基板に形成された第1導体の上に、Sn合金よりも高融点の融点を持つ金属材料でなる接合膜を形成し、
次に、前記接合膜の上に、第2導体となる溶融Sn合金を供給し、
前記接合膜の金属成分を、その融点よりも低い温度で、前記溶融Sn合金中に熱拡散させ、前記溶融Sn合金の硬化後は高融点化する、
回路基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−23497(P2011−23497A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166426(P2009−166426)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【特許番号】特許第4580027号(P4580027)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(504034585)有限会社ナプラ (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【特許番号】特許第4580027号(P4580027)
【特許公報発行日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(504034585)有限会社ナプラ (55)
【Fターム(参考)】
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