説明

回路配線形成方法、回路基板、及び配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜

【課題】回路配線を構成する回路配線膜の線幅が微細であって、膜厚が均一である回路配線を形成できる回路配線形成方法、当該回路配線を備える回路基板、及び線幅が微細であって、膜厚が均一である配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜を提供する。
【解決手段】回路配線形成方法は、回路基板における回路配線を形成する回路配線形成方法であって、回路配線を形成する配線基材に回路配線の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも配線基材の基材面及びトレンチの側壁を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、トレンチに導電層形成用触媒を含む液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液をトレンチを含む範囲に配設し、導電層形成用触媒によってメッキ液から導電性材料を析出させることで、回路配線を構成する導電性の回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に回路配線を形成する回路配線形成方法、当該回路配線形成方法を用いて形成された回路基板、及び当該回路配線形成方法を用いて形成された配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置を回路基板に実装して使用することが行われている。近年、半導体装置の高性能化及び小型化がめざましく、半導体装置を実装する回路基板も小型化及び高性能化が求められている。回路基板を小型化するためには、回路基板に形成する回路配線の微細化及び高密度化が求められる。回路基板を高性能化するためには、低抵抗の回路配線(断面積が大きく、欠陥がない)が求められる。
【0003】
特許文献1には、パターン形成方法、デバイス及びデバイスの製造方法、電気光学装置、電子機器並びにアクティブマトリックス基板の製造方法が開示されている。パターン形成方法として、金属を含有する機能液を配置して、当該機能液を固化させて回路配線を形成する方法であって、回路配線を形成する領域に部分的に幅が広い部分を形成し、幅が広い部分から機能液を入れることで、回路配線形成領域に機能液を入れ易くした、パターン形成方法が開示されている。
特許文献2には、回路パターンを形成し、当該回路パターンを覆う絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層に回路パターンを露出させるトレンチを形成し、トレンチに金属を配置することでパターン厚が厚い回路パターンを形成できる回路形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−12181号公報
【特許文献2】特開2009−117415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたような方法では、金属を含有する機能液は流し込ませると流動分布ムラが顕著に発生することに起因して、回路配線を形成する領域の幅が狭い部分には機能液が充分に充填されない可能性があり、回路配線を構成する回路配線膜の膜厚が不均一になり易いという課題があった。
特許文献2に開示されたような方法では、回路配線の幅を最初に形成する回路パターンにおける回路パターンの配線の幅より小さくできないことに起因して、回路配線の幅が一定の幅より小さくできないという課題があった。例えば、請求項3に記載されたインクジェット方式を用いると、吐出されて着弾した液滴の着弾径より小さい幅のパターンは形成できないため、微細化に限度があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる回路配線形成方法は、回路基板における回路配線を形成する回路配線形成方法であって、前記回路配線を形成する配線基材に前記回路配線の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、前記回路配線を構成する導電性の回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる回路配線形成方法によれば、導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させるため、触媒の配設された部分にのみ金属膜を選択的に形成することができる。導電層形成用触媒は、メッキの核となる金属触媒をトレンチに形成させるため、回路配線膜の膜厚に影響を及ぼすことが無い。また、例えば無電解メッキなどのメッキによって導電材料を析出させるため、回路配線を形成する回路配線膜が不均一になることを実質的になくすることができることから、均一な回路配線を形成することができる。
導電層形成用触媒は粘度が低く流動性に富む液状体を選択することが可能であり、微細な溝であっても容易に配設することができる。トレンチは、配線基材に溝を刻むことで形成できるため、微細で深いトレンチが容易に形成できる。微細で深いトレンチに導電層形成用触媒を配置し、当該導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させることで、微細で深いトレンチの形状と略同様の形状を有し、配線基材の平面方向の幅が微細な回路配線膜を容易に形成することができる。配線基材の平面方向の幅が微細であって、配線基材の平面方向に略直交する方向の厚さが例えば幅より厚い回路配線膜であっても容易に形成することができる。
【0009】
基材面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理することで、基板面上に導電層形成用触媒が配設されることを抑制することができる。トレンチが形成された基板面に導電層形成用触媒が配設されることを抑制することで、基板面上に導電層が形成され、当該導電層によってトレンチ内に形成された導電層の間が短絡されることを抑制することができる。
トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理することで、トレンチの側壁面に導電層形成用触媒が配設されることを抑制することができる。これにより、導電層形成用触媒によってメッキ液から導電性材料を析出させることで回路配線膜を形成する際に、主にトレンチの底面から導電性材料が積層されて回路配線膜が形成されるため、一方向から積層した一様な断面を有する回路配線膜を形成することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、前記トレンチ形成工程において、レーザー加工によって前記トレンチを形成することが好ましい。
【0011】
この回路配線形成方法によれば、レーザー加工はレーザー光の径を絞ることによって微小な加工が可能であり、トレンチを形成する加工方法としてレーザー加工を用いることで、線幅が微細なトレンチを形成することができると共に、トレンチの形状を精度よく形成することができる。微細であって、幅にくらべて深さが深いトレンチであっても容易に形成することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、デスミア処理工程をさらに有することが好ましい。
【0013】
この回路配線形成方法によれば、デスミア処理工程によって、スミアを除去することができる。スミアを除去することで、トレンチ内及び側壁などのスミアが除去されることにより、導電層形成用触媒を含む機能液を流し込み易くし、導電層形成用触媒を含む機能液が充填されないことに起因して回路配線膜に欠陥ができることを抑制することができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、前記触媒配設工程が、前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を、インクジェット方式の吐出装置を用いて前記トレンチの一部に着弾させて配設する工程を含むことが好ましい。
【0015】
この回路配線形成方法によれば、インクジェット方式の吐出装置を用いて、導電層形成用触媒を含む液状体を、トレンチに配置する。インクジェット方式の吐出装置は、液状体を任意の位置に任意の量を精度よく配置することができる。このため、微細なトレンチにおける適切な位置に精度よく液状体を配置することができる。また、配置するべき適切な配置量の液状体を、ほとんど過不足なく配置することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、前記触媒配設工程が、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことが好ましい。
【0017】
この回路配線形成方法によれば、毛細管現象を利用することで、微細な部分にも液状体を配置することができる。配置するべきトレンチが小さいことに起因して、直接液状体を配置する場合には、トレンチの周囲にも液状体が配置されてしまうような微細なトレンチであっても、実質的に液状体をトレンチから溢れることなく配置することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、前記膜形成工程が、無電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程を有することが好ましい。
【0019】
この回路配線形成方法によれば、無電解メッキによって、導電層形成用触媒が配設されているトレンチの部分に、選択的に回路配線膜を形成することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる回路配線形成方法は、前記膜形成工程が、無電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程と電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程とを有することが好ましい。
【0021】
この回路配線形成方法によれば、無電解メッキによって、導電層形成用触媒が配設されているトレンチの部分に、選択的に回路配線膜を形成することができる。無電解メッキと電解メッキを併用することで、無電解メッキのみによって回路配線膜を形成する場合にくらべて、形成のために要する時間を短縮することができる。
【0022】
[適用例8]本適用例にかかる回路基板は、回路配線を形成する配線基材に前記回路配線の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、前記回路配線を構成する導電性の回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有する回路配線形成方法を用いて形成された前記回路配線を備えることを特徴とする。
【0023】
本適用例にかかる回路基板によれば、回路基板が備える回路配線を形成する回路配線形成方法は、導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させるため、触媒の配設された部分にのみ金属膜を選択的に形成することができる。導電層形成用触媒は、メッキの核となる金属触媒をトレンチに形成させるため、回路配線膜の膜厚に影響を及ぼすことが無い、また、無電解メッキなどのメッキによって導電材料を析出させるため、回路配線を形成する回路配線膜が不均一になることを実質的になくすることができる。これにより、均一な回路配線を形成することができる。
導電層形成用触媒は粘度が低く流動性に富む液状体を選択することが可能であり、微細な溝であっても容易に配設することができる。トレンチは、配線基材に溝を刻むことで形成できるため、微細で深いトレンチが容易に形成できる。微細で深いトレンチに導電層形成用触媒を配置し、当該導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させることで、微細で深いトレンチの形状と略同様の形状を有し、回路基板の平面方向の幅が微細な回路配線膜を容易に形成することができる。
トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理することで、トレンチの側壁面に導電層形成用触媒が配設されることを抑制することができる。これにより、導電層形成用触媒によってメッキ液から導電性材料を析出させることで回路配線膜を形成する際に、主にトレンチの底面から導電性材料が積層されて回路配線膜が形成されるため、一方向から積層した一様な断面を有する回路配線膜を形成することができる。
これにより、均一で、回路基板の平面方向の幅が微細な回路配線膜を備える微細な回路配線を形成することができるため、回路配線が微細にできないことに起因して大きくなることを抑制した回路基板を実現することができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる回路基板は、前記触媒配設工程が、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことが好ましい。
【0025】
この回路基板によれば、回路基板が備える回路配線を形成する際に、毛細管現象を利用することで、微細な部分にも液状体を配置することができる。配置するべきトレンチが小さいことに起因して、直接液状体を配置する場合には、トレンチの周囲にも液状体が配置されてしまうような微細なトレンチであっても、実質的に液状体をトレンチから溢れることなく配置することができる。
【0026】
[適用例10]本適用例にかかる配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜は、回路配線膜を形成する配線基材に前記回路配線膜の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、導電性の前記回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有する回路配線膜形成方法を用いて形成されたことを特徴とする。
【0027】
本適用例にかかる配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜によれば、回路配線膜を形成する回路配線膜形成方法は、導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させるため、触媒の配設された部分にのみ金属膜を選択的に形成することができる。導電層形成用触媒は、メッキの核となる金属触媒をトレンチに形成させるため、回路配線膜の膜厚に影響を及ぼすことが無い。また、無電解メッキなどのメッキによって導電材料を析出させるため、回路配線膜が不均一になることを実質的になくすることができる。これにより、均一な回路配線膜を形成することができる。
導電層形成用触媒は粘度が低く流動性に富む液状体を選択することが可能であり、微細な溝であっても容易に配設することができる。トレンチは、配線基材に溝を刻むことで形成できるため、微細で深いトレンチが容易に形成できる。微細で深いトレンチに導電層形成用触媒を配置し、当該導電層形成用触媒によってメッキ液から金属膜を析出させることで、微細で深いトレンチの形状と略同様の形状を有し、配線基材の平面方向の幅が微細な回路配線膜を容易に形成することができる。
トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理することで、トレンチの側壁面に導電層形成用触媒が配設されることを抑制することができる。これにより、導電層形成用触媒によってメッキ液から導電性材料を析出させることで回路配線膜を形成する際に、主にトレンチの底面から導電性材料が積層されて回路配線膜が形成されるため、一方向から積層した一様な断面を有する回路配線膜を形成することができる。
これにより、均一で、配線基材の平面方向の幅が微細な回路配線膜を容易に形成することができるため、配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜を容易に形成することができる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかる配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜は、前記触媒配設工程が、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことが好ましい。
【0029】
この配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜によれば、回路配線膜を形成する際に、毛細管現象を利用することで、微細な部分にも液状体を配置することができる。配置するべきトレンチが小さいことに起因して、直接液状体を配置する場合には、トレンチの周囲にも液状体が配置されてしまうような微細なトレンチであっても、実質的に液状体をトレンチから溢れることなく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は、回路基板の概要を示す平面図。(b)は、回路基板が備える接続配線の断面形状を示す断面図。
【図2】回路配線形成工程を示すフローチャート。
【図3】(a)は、回路配線を形成する前の基材体の断面を示す説明図。(b)は、トレンチの断面を示す説明図。(c)は、トレンチの拡大断面を示す説明図。(d)は、デスミア処理の様子を示す説明図。(e)は、デスミア処理後のトレンチの拡大断面を示す説明図。
【図4】(f)は、触媒機能液を配置する状態を示す説明図。(g)は、ビアを形成する付近のトレンチの平面形状を示す説明図。(h)は、無電解メッキ液が供給された状態を示す説明図。(i)は、無電解メッキによって接続配線が部分的に形成された状態を示す説明図。(j)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図。
【図5】(a)は、デスミア処理後の接続配線を形成するトレンチの断面を示す説明図。(b)は、撥液性に処理された領域と導電層形成用触媒の膜が形成される領域の関係を示す説明図。(c)は、形成される配線薄膜の断面形状を示す説明図。(d)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図。(e)は、撥液性に処理された領域と導電層形成用触媒の膜が形成される領域の関係の他の例を示す説明図。(f)は、形成される配線薄膜の断面形状を示す説明図。(g)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、回路配線形成方法、回路基板、及び配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜について、図面を参照して説明する。本実施形態は、半導体装置を実装するための回路基板及び回路基板に回路配線を形成する工程を例にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0032】
<回路基板>
最初に、回路基板10について、図1を参照して説明する。図1は、回路基板の概要を示す説明図である。図1(a)は、回路基板の概要を示す平面図であり、図1(b)は、回路基板が備える接続配線の断面形状を示す断面図である。
回路基板10は、半導体装置を実装し、実装した半導体装置を基板上で封止するパッケージ基板である。図1(a)に示すように、回路基板10は、略中央に半導体チップを設置するチップ領域12が設定されており、チップ領域12の周囲にはダイパッド14が形成されている。回路基板10は、銅などの良導体からなる回路配線16を備えている。回路配線16は、ダイパッド14などの端子や、端子間を接続する接続配線15や、スルーホールやスルーホールのランドなどの回路配線膜17が結合されて形成されている。
【0033】
図1(b)に示すように、接続配線15は、幅に対して厚みが大きい断面を有する回路配線膜17である。幅と厚さのアスペクト比は、例えば5から10程度である。このような断面形状にすることで、回路基板10の基材である基材体11の面における接続配線15の配設密度を高くすると共に、接続配線15の断面積を確保している。
【0034】
<回路配線形成工程>
次に、回路配線を形成する工程について、図2、図3、及び図4を参照して説明する。図2は、回路配線形成工程を示すフローチャートである。図3及び図4は、回路配線形成工程の各工程における回路基板の状態を示す説明図である。図3(a)は、回路配線を形成する前の基材体の断面を示す説明図であり、図3(b)は、トレンチの断面を示す説明図であり、図3(c)は、トレンチの拡大断面を示す説明図であり、図3(d)は、デスミア処理の様子を示す説明図であり、図3(e)は、デスミア処理後のトレンチの拡大断面を示す説明図である。図4(f)は、触媒機能液を配置する状態を示す説明図であり、図4(g)は、ビアを形成する付近のトレンチの平面形状を示す説明図であり、図4(h)は、無電解メッキ液が供給された状態を示す説明図であり、図4(i)は、無電解メッキによって接続配線が部分的に形成された状態を示す説明図であり、図4(j)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図である。
【0035】
図3(a)に示すように、基材体11は、例えばプリプグ19を積層して形成されている。基材体11は、図3(a)に示したような回路配線膜17を形成する前の状態のものも、図4(j)に示したような回路配線膜17が形成された状態のものも、回路配線膜17を形成する途中の状態のものも、基材体11と表記する。回路配線膜17を形成する前の状態の基材体11が、配線基材に相当する。
【0036】
最初に、図2のステップS1では、図3(b)に示したようにトレンチ21などのトレンチ21Aを形成する。図3(b)に示したトレンチ21は、回路配線膜17(回路配線16)における接続配線15を形成する位置に形成されたトレンチである。トレンチ21は、深さが幅に対して例えば5倍以上ある溝である。
トレンチ21などのトレンチ21Aは、例えばレーザー加工によってプリプグ19を彫ることで、形成する。レーザー加工の光源としては、エキシマレーザーやCO2レーザーやYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーなどが挙げられる。
【0037】
次に、図2のステップS2では、デスミア処理を実施する。
図3(c)に示したように、レーザー加工に伴って溶融した樹脂などによって形成されたスミア22がトレンチ21(21A)の壁に残留していたり、いったん分離したスミア22がトレンチ21(21A)の底に落下して残留していたりする可能性がある。スミア22の部分は、回路配線膜17を構成する金属(本実施形態では銅を用いる)が充填できないことで、回路配線膜17の欠陥となる場合がある。
【0038】
デスミア処理工程は、洗浄工程と、スミア除去工程と、中和工程と、洗浄工程と、を有する。スミア除去工程は、図3(d)に示したように、デスミア処理液30を用いてスミア22を溶解する工程である。デスミア処理液30は、スミアを溶解できるエッチング液である。スミア除去工程の前に実施する洗浄工程は、スミア除去工程に先立ってトレンチ21などを洗浄して、デスミア処理液30がトレンチ21に浸入し易くする工程である。中和工程は、デスミア処理液30を中和する工程であり、中和工程の後に実施する洗浄工程は、中和したデスミア処理液30を洗浄する工程である。
デスミア処理を実施して、図3(e)に示したように、トレンチ21(21A)のスミア22が除去される。
【0039】
次に、図2のステップS3では、基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁面を、触媒機能液31(図4(f)及び(g)参照)に対して撥液性に処理する撥液化処理を実施する。当該撥液化処理は、より好ましくは、無電解メッキ液33(図4(h)参照)に対しても撥液性となる処理を実施する。
【0040】
撥液性処理は、例えば四フッ化炭素(テトラフルオロメタン)を処理ガスとするCF4プラズマ処理を用いて実施する。プラズマによって形成された四フッ化炭素ラジカルが基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁面の樹脂表面に作用して、撥液性を有する官能基を生成する。官能基が生成されることで、基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁面が、撥液性に改質される。
トレンチ21Aの側壁を処理すると、側壁に連なるトレンチ21Aの底面にも四フッ化炭素ラジカルが作用する可能性が高いが、例えば処理時間を調整することによって、底面が撥液性に改質されることを抑制する。トレンチ21Aの底面は、基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁にくらべて、プラズマを発生させるプラズマユニットから遠い位置にあるため、発生したプラズマによって生成される四フッ化炭素ラジカルが到達し難い。これにより、処理時間を調整することによって、底面が撥液性に改質されることを抑制することができる。
基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁面が、撥液性に改質されると共に、底面が撥液性に改質されることを抑制することができる、又は底面が撥液性に改質されない適切な処理時間は、実際の回路配線について実験などによって求めることが好ましい。なお、処理時間を調整することによって、撥液性に改質される部分と改質されない部分とを、明確な境界が形成される状態で分離することは困難である。このため、処理時間は、例えば、側壁中に改質される部分と改質されない部分が存在し、底面はほとんど改質されない処理時間に設定することが好ましい。
ステップS3の基材体11の表面及びトレンチ21Aの側壁面を触媒機能液31に対して撥液性に処理する工程が、撥液処理工程に相当する。
【0041】
次に、図2のステップS4では、触媒機能液31をトレンチ21Aに配置する。触媒機能液31のトレンチ21Aへの配置工程は、触媒液滴配設工程と、触媒液浸入工程とを有する。
触媒液滴配設工程は、例えばインクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、トレンチ21Aの中の幅が広い部分に液滴を着弾させることで、実施する。インクジェット方式の液滴吐出装置は、液滴を吐出する吐出ノズルを備える吐出ヘッド41と液滴を着弾させるワークとを相対移動させて、ワークの液滴配置部を吐出ノズルに対向する位置に精度よく位置させることで、ワークの任意の位置に精度よく液滴を着弾させることができる。液滴の大きさは精度よく一定の大きさすることが可能である。インクジェット方式の液滴吐出装置を用いることで、トレンチ21Aの所望の部分に、所望の量の触媒液を配置することができる。触媒液滴配設工程では、図4(f)に示したように、ビアホールの端が接続されるランドを形成するためにビアホールの下孔24の開口端に形成されたランドトレンチ23などに向けて、触媒機能液31の液滴を吐出して触媒機能液31を配置する。ランドトレンチ23は、トレンチ21Aの中の幅が広い部分である。
【0042】
トレンチ21Aにおいて、トレンチ21のように、触媒機能液31の液滴の径より幅が狭い部分については、触媒液浸入工程によって触媒機能液31を行きわたらせる。図4(g)に示したように、例えばランドトレンチ23のように幅が広い部分に配設された触媒機能液31は、トレンチ21のような幅が狭い部分に、毛細管現象によって吸い込まれて浸入する。触媒機能液31は、毛細管現象によって吸い込まれ易くなるように、粘度の低い液を選ぶことが好ましい。多くの半導体装置のパッケージ基板は、大きいものでも外形寸法が3cm程度である。当該パッケージ基板におけるトレンチ21において、3cm程度の浸入距離が充分実現できることが確認されている。触媒機能液31は、パラジュウムイオンを含む液状体であり、触媒機能液31から析出した金属パラジュウムの核をきっかけにして銅メッキが成長する。このため、触媒機能液31は、析出金属が析出可能な密度にパラジュウムの核をちりばめることが可能な程度に配設されれば充分であり、導電層としての機能を有する必要はない。トレンチ21Aの底面の各部において、析出レートに問題が無い程度に配置されていれば、均一に配置されていることも不要である。
【0043】
次に、図2のステップS5では、触媒機能液31を焼成する。焼成は、例えば、70℃から250℃程度の焼成温度で30分から1時間実施し、機能液の溶媒を脱媒させる。触媒機能液31を焼成することで、触媒機能液31に含まれるパラジュウムイオンが金属パラジュウムとなって、トレンチ21Aの底面に導電層形成用触媒の層が形成される。触媒機能液31が、導電層形成用触媒を含む液状体に相当する。
【0044】
次に、ステップS6では、メッキ工程を実施して、回路配線膜17を形成する。メッキ工程は、無電解メッキ工程と、電解メッキ工程とを有している。
無電解メッキ工程では、図4(h)に示すように、触媒膜が形成されたトレンチ21Aを含む領域に無電解メッキ液33を配置する。触媒によって無電解メッキ液33の銅イオンから金属銅が析出して、銅などの金属を還元剤とするレドックス系の中性無電解メッキ液を用いることができる。当該メッキ液は、析出レートが早いといった特徴と、基材(基材体11)や導電層形成用触媒層にダメージを与えないといった利点があり、無電解メッキ液として好適である。また、一般的なアルカリ性のメッキ液を用いることも可能である。
電解メッキ工程は、配線薄膜17aを導電層として用い、配線薄膜17aの上に金属銅を積層することによって、回路配線膜17を形成する。
【0045】
ここで、撥液性に処理された領域と形成される回路配線膜17の断面形状との関係について、図5を参照して説明する。図5は、銅を積層して回路配線膜を形成する工程における回路基板の接続配線の部分の断面形状を示す説明図である。図5(a)は、デスミア処理後の接続配線を形成するトレンチの断面を示す説明図であり、図5(b)は、撥液性に処理された領域と導電層形成用触媒の膜が形成される領域の関係を示す説明図であり、図5(c)は、形成される配線薄膜の断面形状を示す説明図であり、図5(d)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図である。図5(e)は、撥液性に処理された領域と導電層形成用触媒の膜が形成される領域の関係の他の例を示す説明図であり、図5(f)は、形成される配線薄膜の断面形状を示す説明図であり、図5(g)は、接続配線が形成された回路基板の断面を示す説明図である。
【0046】
図5(a)に示したトレンチ21(21A)は、上述した図3(e)に示したスミア22が除去されたトレンチ21(21A)と同様のトレンチ21である。
最初に、上述したように、基材体11の表面51及びトレンチ21A(トレンチ21)の側壁面52が触媒機能液31に対して撥液性に処理されている場合について説明する。
図5(b)に示したように、表面51及び側壁面52が触媒機能液31に対して撥液性に処理されている場合、トレンチ21の底面54にのみ導電層形成用触媒層55が形成される。
次に、無電解メッキ処理を実施することによって、図5(c)に示したように、配線薄膜17aが、導電層形成用触媒層55に積層された状態で形成される。導電層形成用触媒層55は底面54にのみ形成されているため、配線薄膜17aは、トレンチ21の底面54に形成されている。
次に、電解メッキ処理を実施することによって、図5(d)に示したように、配線膜体17bが、配線薄膜17aに積層された状態で形成される。配線薄膜17aは、トレンチ21の底面54に平面状に形成されているため、配線膜体17bは平面が積層されて厚くなり、断面が略長方形形状に形成される。配線薄膜17aと配線膜体17bとで、略長方形形状の断面を有する回路配線膜17が形成される。
【0047】
次に、基材体11の表面51のみが触媒機能液31に対して撥液性に処理されている場合について説明する。
図5(e)に示したように、表面51のみが触媒機能液31に対して撥液性に処理されている場合、トレンチ21Aの底面54に加えてトレンチ21Aの側壁面52にも触媒機能液31が付着して、底面54と側壁面52とに導電層形成用触媒層55が形成される。
次に、無電解メッキ処理を実施することによって、図5(f)に示したように、配線薄膜17cが、導電層形成用触媒層55に積層された状態で形成される。導電層形成用触媒層55は底面54と側壁面52とに形成されているため、配線薄膜17cは、トレンチ21の底面54と側壁面52とに形成されており、略U字形状の断面形状を有している。
次に、電解メッキ処理を実施することによって、図5(g)に示したように、配線膜体17dが、配線薄膜17cに積層された状態で形成される。配線薄膜17cは、トレンチ21の底面54と側壁面52とに形成されて、略U字形状の断面形状を有しているため、配線膜体17dは、略U字形状の内側の空間を3方から埋めてゆく状態で形成される。配線膜体17dが形成されるにしたがって、略U字形状の内側の空間は狭くなり、メッキ液の供給がされ難くなるため、略U字形状の内側の空間は埋め尽くされることなく、隙間17eが残る可能性が高い。隙間17eが残ることで、形成される回路配線膜17fは、略長方形断面の中に隙間17eを含んだ膜となる可能性が高い。回路配線膜17fは、略長方形断面の中に隙間17eを含んでいることで、断面の全体の状態が略一様な略長方形形状の断面を有する回路配線膜17に比べて、導電特性が劣っている可能性が高い。
【0048】
次に、図2のステップS7では、ステップS3で形成した基材体11の表面の表面処理層(撥液層)を除去する。表面処理層の除去は、回路配線16が形成された基材体11をさらに加工する際に表面処理層の存在が影響を与えることを防止するためである。もちろん、さらに加工する際に影響がなかったり、さらに加工する必要がない場合には、除去しなくてもよい。
ステップS7を実施して、基材体11に回路配線膜17を形成して回路配線16を形成する回路配線形成工程を終了する。
【0049】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)接続配線15は、幅に対して厚みが大きい断面を有する回路配線膜17である。これにより、接続配線15の線幅の減少に伴う接続配線15の断面積の減少を抑制することができるため、接続配線15の線幅を小さくすることに起因する接続配線15の導電能力の劣化を抑制して、接続配線15の線幅及び配設ピッチを小さくすることができる。
【0050】
(2)基材体11の表面は、触媒機能液31に対して撥液性に処理される。これにより、触媒機能液31が基材体11の表面に付着することを抑制することができる。触媒機能液31が基材体11の表面に付着すると、基材体11の表面に導電性膜が形成されることで、当該導電性膜によって、隣り合う接続配線15などが短絡される可能性がある。基材体11の表面を撥液性に処理することで、このような短絡の可能性を小さくすることができる。
【0051】
(3)トレンチ21A(トレンチ21)の側壁面52が触媒機能液31に対して撥液性に処理されている。これにより、断面の全体の状態が略一様な略長方形形状の断面を有する回路配線膜17を形成することができる。側壁面52が触媒機能液31に対して撥液性に処理されていない場合のように、断面の中に隙間17eを含むことで導電特性が劣化することを抑制することができる。
【0052】
(4)トレンチ21Aは、レーザー加工によってプリプグ19を彫ることで、形成されている。レーザー加工を用いることで、正確な形状のトレンチ21Aを迅速に形成することができる。トレンチ21のような幅に対して深さが深いトレンチも容易に形成することができる。
【0053】
(5)触媒液滴配設工程では、ランドトレンチ23などに向けて、触媒機能液31の液滴を吐出して触媒機能液31を配置する。ランドトレンチ23のようにトレンチ21Aの他の部分より幅の広い部分を触媒機能液31の液滴の着弾位置とすることで、触媒機能液31の液滴がトレンチ21Aから外れた部分に着弾することを抑制することができる。
【0054】
(6)トレンチ21のように、触媒機能液31の液滴の径より幅が狭い部分については、ランドトレンチ23のように幅が広い部分に配設された触媒機能液31がトレンチ21のような幅が狭い部分に、毛細管現象によって吸い込まれて浸入する触媒液浸入工程によって触媒機能液31を行きわたらせる。これにより、トレンチ21のように微細な部分に触媒機能液31を配置することができる。また、触媒機能液31を配置する際に、触媒機能液31がトレンチ21Aから外れた部分に付着することを抑制することができる。
【0055】
(7)メッキ工程は、無電解メッキ工程と、電解メッキ工程とを有している。電解メッキ工程を実施することで、無電解メッキ工程にくらべて短時間で回路配線膜17を形成することができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0057】
(変形例1)前記実施形態においては、回路配線形成工程のメッキ工程は、無電解メッキ工程と電解メッキ工程とを有していたが、無電解メッキ工程に加えて電解メッキ工程を実施することは必須ではない。回路配線形成方法は、無電解メッキのみで回路配線膜を形成する方法であってもよい。
【0058】
(変形例2)前記実施形態においては、インクジェット方式の液滴吐出装置を用いて触媒機能液31をトレンチ21Aに配置していたが、導電層形成用触媒を含む機能液を配設するためにインクジェット方式の液滴吐出装置を用いることは必須ではない。インクジェット方式とは異なる方式の液滴吐出装置を用いてもよいし、液滴吐出装置とは異なる装置を用いて機能液を配置してもよい。
【0059】
(変形例3)前記実施形態においては、回路配線を形成する工程において、洗浄工程と、スミア除去工程と、中和工程と、洗浄工程と、を有するデスミア処理工程を実施していた。しかし、デスミア処理工程を実施することは必須ではない。トレンチを形成する際にスミアの発生を抑制できれば、回路配線を形成する工程はデスミア処理工程を有しない工程であってもよい。
【0060】
(変形例4)前記実施形態においては、回路配線を形成する工程において、洗浄工程と、スミア除去工程と、中和工程と、洗浄工程と、を有するデスミア処理工程を実施していた。
スミア除去工程では、スミア22をデスミア処理液30で溶解することに伴って、トレンチ21Aの壁面も溶解される。トレンチ21Aの壁面が溶解されることは、トレンチ21Aの形状がくずれるという側面と、トレンチ21Aの壁面が微小に溶解されて微細孔が形成されるという側面がある。トレンチ21Aの形状がくずれるという意味では、デスミア処理のスミア除去工程を実施しないことが好ましい。トレンチ21Aの壁面に微細孔が形成されるという意味では、壁面の微細孔は、触媒機能液31の吸着を促進すると共に、無電解メッキ液33から析出した銅の密着力を向上させる効果があり、スミア除去工程は実施することが好ましい。スミア除去工程は、これらの条件を考慮して、実施又は不実施を決定、又は実施条件を決定することが好ましい。
【0061】
(変形例5)前記実施形態においては、撥液性処理は、CF4プラズマ処理を用いて実施していたが、基材面を撥液性に処理するために用いる処理方法がCF4プラズマ処理であることは必須ではない。撥液性膜は、撥液性に改質する改質液を塗布することでも実施してもよいし、撥液性膜の材料を含む液状体を塗布して撥液性膜を析出させることで実施してもよい。フィルムなどのシートに撥液性の液状体を塗布しておき、当該フィルムを基材にラミネートさせてシート上の撥液性の液状体を基材面に転写することで実施してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…回路基板、11…基材体、12…チップ領域、14…ダイパッド、15…接続配線、16…回路配線、17…回路配線膜、17a…配線薄膜、17b…配線膜体、17c…配線薄膜、17d…配線膜体、17e…隙間、17f…回路配線膜、19…プリプグ、21…トレンチ、21A…トレンチ、22…スミア、23…ランドトレンチ、30…デスミア処理液、31…触媒機能液、33…無電解メッキ液、41…吐出ヘッド、51…表面、52…側壁面、54…底面、55…導電層形成用触媒層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板における回路配線を形成する回路配線形成方法であって、
前記回路配線を形成する配線基材に前記回路配線の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、
少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、
前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、
メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、前記回路配線を構成する導電性の回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有することを特徴とする回路配線形成方法。
【請求項2】
前記トレンチ形成工程では、レーザー加工によって前記トレンチを形成することを特徴とする、請求項1に記載の回路配線形成方法。
【請求項3】
デスミア処理工程をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の回路配線形成方法。
【請求項4】
前記触媒配設工程は、前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を、インクジェット方式の吐出装置を用いて前記トレンチの一部に着弾させて配設する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路配線形成方法。
【請求項5】
前記触媒配設工程は、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路配線形成方法。
【請求項6】
前記膜形成工程は、無電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路配線形成方法。
【請求項7】
前記膜形成工程は、無電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程と電解メッキによって前記回路配線膜を形成する工程とを有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路配線形成方法。
【請求項8】
回路配線を形成する配線基材に前記回路配線の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、前記回路配線を構成する導電性の回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有する回路配線形成方法を用いて形成された前記回路配線を備えることを特徴とする回路基板。
【請求項9】
前記触媒配設工程は、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の回路基板。
【請求項10】
回路配線膜を形成する配線基材に前記回路配線膜の形状に対応したトレンチを形成するトレンチ形成工程と、少なくとも前記配線基材の基材面及び前記トレンチの側壁面を、導電層形成用触媒を含む液状体に対して撥液性に処理する撥液処理工程と、前記トレンチに前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配設する触媒配設工程と、メッキ液を前記トレンチを含む範囲に配設し、前記導電層形成用触媒によって前記メッキ液から導電性材料を析出させることで、導電性の前記回路配線膜を形成する膜形成工程と、を有する回路配線膜形成方法を用いて形成されたことを特徴とする配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜。
【請求項11】
前記触媒配設工程は、前記トレンチの幅広部分に前記導電層形成用触媒を含む前記液状体を配置し、配置された前記液状体を毛細管現象によって前記幅広部以外の部分に配設する工程を含むことを特徴とする、請求項10に記載の配線膜の膜厚が配線膜の幅より大きい回路配線膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155035(P2011−155035A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13924(P2010−13924)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】