説明

回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置

【課題】 多結晶シリコン成長空間の熱的不平衡度を解消し、今後の技術展望に対応して鋳塊装置の高さ方向への大きさ制約による問題点を解消するとともにドアの大きさをふやすことができる多結晶シリコン鋳塊製造装置を提供する。
【解決手段】 所定大きさの真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に備えられ、シリコン原材を収容するるつぼと、前記るつぼ内のシリコン原材を溶融させるために熱を加えるヒーターと、前記るつぼの下側に備えられるサセプタと、前記るつぼ内に溶融したシリコン結晶を成長させるために熱を放出させる冷却板と、前記るつぼと冷却板の間に備えられ、放熱を拘束するドア開閉装置と、前記るつぼの温度を測定する温度センサーと、前記温度センサーの出力値を受けてるつぼ内の温度を制御する制御部とを含む多結晶シリコン鋳塊製造装置であって、前記ドア開閉装置は所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドアと第2ドアを含んでなり、前記第1ドアと第2ドアの相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多結晶シリコン鋳塊製造装置にかかり、より詳しくはドア開閉装置を補って熱平衡度向上による効果的なシリコン成長を達成することができる回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、珪素型太陽電池による太陽光発電は、無公害、安全性、信頼性などの利点によって試験的な段階を経て商業化段階に至った。
【0003】
アメリカ、日本、ドイツの場合には、珪素太陽電池を用いて数百〜数千Kw容量の太陽光発電が行われている。現在、太陽光発電に用いられている太陽電池は、主にCzochralski引上げ法によって製造された単結晶珪素薄板を用いて製造しているが、これからの持続的な大容量化のためには、珪素薄板の値段を低めて生産性を一層高めなければならないと認識されている。このような背景の下で太陽電池用珪素薄板の原価を節減させるための努力の一環として鋳造法が開発された。
【0004】
鋳造法による太陽電池用多結晶珪素鋳塊の製造は基本的に方向性凝固を特徴としている。石英や黒鉛で製造されたるつぼ内に多結晶珪素粒子を入れて溶融させた後、るつぼの下部側に珪素の溶解熱を除去して行くことで冷却固化もるつぼの下部側から上部側に移動するようにすることにより、一定の方向性を持つ、いわゆる、柱状構造(Columnar Structure)の鋳塊を得ようとするものである。
【0005】
このように製造された多結晶珪素鋳塊は、引上げ法によって製造される単結晶珪素鋳塊に比べ、内部に存在する多結晶粒界(Grain boundary)によって太陽電池製造の際に電気的効率が低下するが、結晶が鋳塊の成長方向に対して柱状に構成されているため、全体物性の面では単結晶鋳塊に比べて約20%程度劣る。しかし、大量生産(単結晶引上げ法の2〜3倍)が可能であり、生産性(単結晶引き上げ法の2〜3倍)に優れ、製造技術が簡単であるという利点があるので、価格の面において単結晶珪素鋳塊に比べて約1/2〜1/3の水準である。今まで知られた鋳造法は、石英で作られた多結晶珪素溶融部で、多結晶珪素を黒鉛るつぼに供給する前に予め溶融させた後、下部から上部が600〜1,200℃に維持される四角形または円形の黒鉛るつぼに供給して結晶成長を引き起こして多結晶珪素鋳塊を製造する方法がある。
【0006】
しかし、前記従来の鋳造法は、冷たいるつぼが急激に冷却固化するため、固化した珪素とるつぼの間の固着は防止することができるが、るつぼからの汚染が酷くて熱ストレスが残存して欠陷濃度が高くなり、結晶粒子が小さくなるという問題点がある。
【0007】
このような問題点を解決するために、本出願人は特許文献1(発明の名称:太陽電池用多結晶シリコン鋳塊製造装置)を出願したことがあり、シリコン成長において放熱のための冷却板接近方式においてドア開閉方式の問題点を解消するために多様な大韓民国出願を行った。
【0008】
従来いろいろの方法があるが、このうち、溶融した液体が入ったるつぼを下降させてヒーターから遠くして下部を冷却させる方法と、下部に熱交換器を設置することで、るつぼに対して相対的に冷たい冷却板を介して強制に熱を引き出す方法とが普遍的である。るつぼ下降方法は下部に熱を排出するのに限界があるため熱交換器による方法が好まれているが、この方法はシリコンをとかす段階で下部熱交換器に熱が放出されるため、シリコンが充分にとけない現象が現れることがあり、よって溶融段階でエネルギー消耗が大きく発生する。
【0009】
かかる理由で、熱交換器を用いた装置は、熱交換器とるつぼの下部の間に断熱材を装着した一種のゲートが構成される。このゲートはシリコンの溶融時には閉まっているので、熱交換器に放出される熱を遮断して円滑に溶融するようにし、結晶成長時には開かれてゲート下部の熱交換器に十分な熱が放出されるようにする。
【0010】
図1〜図3は本出願人が出願した従来技術のもので、真空チャンバー10、ヒーター20、るつぼ30、温度センサー40及びゲート40を備えた鋳塊製造装置においてゲート(ドア開閉装置)を構成する方法としていろいろを提案した。常用に適用されている方法は、図1に示す水平スライド法と、図2に示すヒンジ構造によって熱交換器が上がりながらゲートを押し上げて開閉を制御する構造を備えた方法がある。水平スライド方法は装備の成長空間に熱的に不平衡を引き起こすため、インゴットの均一な成長に不利である。これは一番重要なインゴット成長に影響を与える構造なので好ましくない。ヒンジ構造を備えたドア方法は対称の熱平衡条件を得ることができる利点があるが、熱交換器がドアを押して上がる方法なので、熱交換器が充分にゲートを開閉することができる程度の高さ方向に空間が必要である。
【0011】
今後インゴットを大型化するためには、高さ方向ではなくて広さ方向にインゴットを成長させて行かなければならないが、ヒンジ構造方法はインゴットが横に伸びればドアも一緒に増えなければならないため、装備の高さも一緒に増えることになるので、インゴットの大型化に不利な構造を持つ問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国特許出願第10−2007−0006218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、多結晶シリコン成長空間の熱的不平衡度を解消し、今後の技術展望に対応して鋳塊装置の高さ方向への大きさ制約による問題点を解消するとともにドアの大きさをふやすことができる多結晶シリコン鋳塊製造装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような目的を達成するために、本発明は、所定大きさの真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に備えられ、シリコン原材を収容するるつぼと、前記るつぼ内のシリコン原材を溶融させるために熱を加えるヒーターと、前記るつぼの下側に備えられるサセプタと、前記るつぼ内に溶融したシリコン結晶を成長させるために熱を放出させる冷却板と、前記るつぼと冷却板の間に備えられ、放熱を拘束するドア開閉装置と、前記るつぼの温度を測定する温度センサーと、前記温度センサーの出力値を受けてるつぼ内の温度を制御する制御部とを含む多結晶シリコン鋳塊製造装置であって、前記ドア開閉装置は所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドアと第2ドアを含んでなり、前記第1ドアと第2ドアの相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部を含んでなる、回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置を提供する。
【0015】
前記駆動部は、前記第1ドアと第2ドアをそれぞれ回転させる第1駆動モーターと第2駆動モーターを含んでなることができる。
【0016】
前記第1ドアと第2ドアは、前記第1駆動モーターと第2駆動モーターにそれぞれ連結された第1中空軸と第2中空軸に結合されて回転し、前記第2中空軸は第1中空軸の中空に挿設され、前記第1中空軸は前記サセプタの下部を支持する支持軸をさらに備えることができる。
【0017】
前記支持軸は、前記第1中空軸が延設されることでなり、前記サセプタと接する部位にベアリングをさらに備えることができる。
【0018】
前記支持軸は別に備えられ、前記第1中空軸と接する部位にベアリングをさらに備えることができる。
【0019】
前記支持軸は前記第1中空軸の中空を貫き、別に外部に固定されることができる。
【0020】
前記駆動部は、前記第1ドアを上下に移送させるシャフトを含む移送手段;前記第2ドアを回転させる駆動モーター;及び前記第2ドアの回転によって第1ドアを連動させるために第1ドアと第2ドアにそれぞれ設けられて互いに係止される係止部;を含んでなることができる。
【0021】
前記シャフトは前記サセプタを支持するために備えられる中空型支持軸の中空に挿合され、第1ドアを前記移送手段によって上下に移送させるために前記シャフトの端部にプレートが備えられ、前記プレートは前記中空型支持軸に形成された結合ホールに結合され、上下移送によって前記第1ドアを移送させることができる。
【0022】
前記駆動部は、前記第1ドアと第2ドアの回転量を検出するためのエンコーダをさらに備えることができる。
【0023】
前記第1ドアと第2ドアは、任意の角度だけ開放部の開放度を調節して吸熱量を調節するように制御することができる。
【0024】
また、前記のような目的を達成するために、本発明は、所定大きさの真空チャンバー内に備えられたるつぼでシリコン原材を溶融した後、ドア開閉装置の選択的な開放で冷却板を露出させることで溶融したシリコン原材の結晶を成長させる多結晶シリコン鋳塊製造装置であって、前記ドア開閉装置は所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドアと第2ドアを含んでなり、前記第1ドアと第2ドアの相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部を含んでなる、回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
前記のように構成されて作用する本発明は、熱的不平衡度を解消してシリコン成長の欠点を解消することができる利点がある。
【0026】
また、開閉装置の構造的特徴によって鋳塊製造装置の全体大きさを小さくすることができるとともにドアの大きさを増大させることができるので、結果として効果的なシリコンの凝固を達成することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来技術による太陽電池用鋳塊製造装置の概略切開斜視図である。
【図2】従来技術による太陽電池用鋳塊製造装置の概略切開斜視図である。
【図3】従来技術による太陽電池用鋳塊製造装置の概略切開斜視図である。
【図4】本発明による回転型ドア開閉装置の開放前の状態を示す斜視図である。
【図5】本発明による回転型ドア開閉装置の開放後の状態を示す状態図である。
【図6】本発明による回転型ドア開閉のための駆動手段の一実施例を示す断面図である。
【図7】本発明による回転型ドア開閉のための駆動手段の他の実施例を示す断面図である。
【図8】図7の他の実施例を示す断面図である。
【図9】図7のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明による回転型ドア開閉のための駆動手段のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図11】図10の動作状態を示す断面図である。
【図12】本発明による回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置の切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明による回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置の好適な実施例を詳細に説明する。
【0029】
図4は本発明による回転型ドア開閉装置の開放前の状態を示す斜視図、図5は本発明による回転型ドア開閉装置の開放後の状態を示す状態図、図6は本発明による回転型ドア開閉装置のための駆動手段の一実施例を示す断面図、図7は本発明による回転型ドア開閉のための駆動手段の他の実施例を示す断面図である。
【0030】
また、図8は図7の他の実施例を示す断面図、図9は図7のさらに他の実施例を示す断面図、図10は本発明による回転型ドア開閉のための駆動手段のさらに他の実施例を示す断面図、図11は図10の動作状態を示す断面図、図12は本発明による回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置の切開斜視図である。
【0031】
本発明による回転型ドア開閉装置500を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置は、所定大きさの真空チャンバー100と、前記真空チャンバー内に備えられ、シリコン原材を収容するるつぼ200と、前記るつぼ内のシリコン原材を溶融させるために熱を加えるヒーター220と、前記るつぼの下側に備えられるサセプタ210と、前記るつぼ内に溶融したシリコンを成長させるために熱を放出させる冷却板400と、前記るつぼと冷却板の間に備えられ、シリコンを溶融または成長させるために放熱を拘束するドア開閉装置500と、前記るつぼの温度を測定する温度センサー300と、前記温度センサーの出力値を受け、るつぼ内のシリコンの溶融及び均一な成長がなされるようにるつぼ内の温度を制御する制御部とを含む太陽電池用多結晶シリコン鋳塊製造装置において、前記ドア開閉装置は円形構造に所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドア510及び第2ドア520からなり、前記第1ドアと第2ドア間の相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部540を含んでなることを特徴とする。
【0032】
真空チャンバー100の内部には所定の空間部が形成され、鋳塊製造装置の大部分の構成要素がこの真空チャンバー100内に備えられる。
【0033】
るつぼ200はシリコン原材を収容し、その内部で溶融させるためのもので、真空チャンバー100の中心に備えられることが好ましい。前記るつぼ200は上部が開放した形態のもので、この上部を開閉させるカバー(図示せず)を別に備えてもよい。るつぼ(crucible)200は、図面にも示すように、正六面体の形状に形成することが好ましく、石英で製造される。
【0034】
一方、前記るつぼ200の下側にはサセプタ(suceptor)210が備えられる。このサセプタは前記るつぼ200を保護する役目をする。前記サセプタの材質は伝熱特性に優れたカーボンまたは黒鉛でなることが好ましい。
【0035】
前記サセプタ210が備えられたるつぼの下側を除き、るつぼのまわりに沿ってヒーター220が備えられる。もちろん、前記サセプタ210の下部にもヒーターが備えられても構わないが、本発明の一実施例においては、前記ヒーター220がサセプタ210の上部及びまわりにだけ備えられる。これは、ヒーター220をサセプタ210の上部及びまわりにだけ備えてもるつぼ200内のシリコン原材を溶融させることができるからである。
【0036】
前記ヒーターは、前述したように、るつぼ内のシリコン原材を溶融させるためのもので、シリコン原材の溶融点は約1,423℃である。ヒーターの電力制御方式には、一例として、ヒーターに印加される電圧パルスのデューティ比を制御する方式、またはヒーターに印加される電圧パルスの周期を制御する方式などで作動させることができる。
【0037】
もちろん、このような温度測定は温度センサー300によって行われる。この温度センサーは鋳塊製造装置に多数備えられることができ、好ましい例として前記ヒーターとるつぼに設置して温度を測定する。
【0038】
一方、前記るつぼの下側に備えられたサセプタの下側には溶融シリコンを成長させるための冷却板400が備えられ、この冷却板とサセプタの間にはドア開閉装置500が備えられる。すなわち、ドア開閉装置のドア開放により、前記冷却板400によってるつぼ内の溶融シリコンが成長するものである。
【0039】
前記冷却板400は、一例として内側に冷媒通路が形成され、この冷媒通路に沿って冷媒が移動して冷たくなった冷却板がるつぼの熱を放出させる。
【0040】
前述したように構成される多結晶シリコン鋳塊製造装置の概略的な構成は本出願人が出願した特許文献1(太陽電池用多結晶シリコン鋳塊製造装置)に詳細に説明されているので、その具体的な説明は省略する。
【0041】
前記ドア開閉装置500は本発明による主要な技術的要旨であり、一定の間隔で開放部が形成された第1ドア510と第2ドア520が上下に配設され、ドアの回転によって開放部を一定の角度だけ開放させることで、ドア開閉装置の下側に備えられた冷却板400をるつぼに直接露出させることによりシリコン成長(凝固)のための放熱を実施する。
【0042】
以下、本発明によるドア開閉装置500をより詳細に説明する。
【0043】
第1ドア510と第2ドア520は放射状の構造を持つもので、円形または多角形の構造に放射状に開放部が形成される。このような形態の構造に第1ドアと第2ドアが同等に備えられ、回転によって第1ドア及び第2ドアの開放部を一致させるかあるいは特定の角度だけ一致させた後、同時に回転させながら放熱を実施する。ここで、開放部の特定角度だけの開放度を決定することは吸熱量を適切に調節するためである。
【0044】
また、前記第1ドアと第2ドアを駆動させるための駆動部540の多様な実施例を説明する。
【0045】
図6は本発明によるドア開閉装置500の一実施例による駆動部540の構造を示すもので、これは第1ドアを駆動させる第1駆動モーター541と第2ドアを駆動させる第2駆動モーター542とを備える。ここで、それぞれのドアと駆動モーターは中空型の第1中空軸と第2中空軸を介して駆動力を伝達する。
【0046】
図示のように、第1中空軸は第1ドアに連結され、第2中空軸は第2ドアに連結される。この際、前記第1中空軸は第2中空軸の中空内に挿入された構造を持ち、その間には円滑な回転のためにベアリング(図示せず)のような部品が配設されることができる。さらに、前記第2中空軸の外側にも円滑な回転のためにベアリングが設置されることが好ましい。
【0047】
この際、前記駆動モーターの連結構造を説明すれば、第2中空軸の内部に挿設された第1中空軸の構造的特性によって第1駆動モーター541が第1中空軸511に直接連結され、第2駆動モーター542は駆動ベルトまたはチェーンベルトなどの動力伝達手段を用いて一側から第2中空軸521に駆動力を伝達する。このような駆動部のメカニズムは当業者であるならいくらでも容易に変更することができる。
【0048】
このように構成されるドア開閉装置の動作原理を説明すれば、シリコン原材をるつぼ内で溶融させるときには、第1ドアと第2ドアの開放部がずれたまま(閉じた状態)で溶融がなされ、溶融したシリコンを多結晶に成長させるときには駆動部の動作で第1ドアまたは第2ドアを回転させて開放部が互いに特定の開放度をなすように一定量回転させる。
【0049】
すると、ドア開閉装置の下側に備えられた冷却板400によって放熱を実施することによりシリコンが成長するようになる。また、第1ドアと第2ドアの開放部が一致してシリコン成長が始まれば、その状態で1ドアと2ドアを同時に回転させながら成長させれば、るつぼの下部側の熱的平衡状態を維持しながら下側から徐々に冷却させる。
【0050】
一方、前記第1及び第2駆動モーターにはエンコーダ(encoder)560のような回転位置検出手段をさらに備えることができる。前記エンコーダは、各ドア間の開放角度の調節のために回転量を検出するかドアの全回転から適正な回転量を検出して制御するために備えられる。
【0051】
図7は本発明の他の実施例による駆動部の構造を用いてるつぼの下側に備えられたサセプタ210を支持する構造を示す。前記サセプタの中央は荷重が最も高く加わるため、垂れが発生することができる。したがって、前記第1中空軸に延設される支持軸530をさらに備えてサセプタの中央を支持する構造を持つ。ここで、前記支持軸530はサセプタと接する末端にベアリング512を備えることで、前記第1中空軸が回転するとき、前記ベアリングによって摩擦なしになだらかに回転するようにする。
【0052】
他の実施例として、図8に示すものは支持軸530を備えるものである。これは、前記第1中空軸から分割して構成され、サセプタと接する一端はサセプタと固定されるなど、回転による摩擦なしに固定設置され、支持軸の他端が回転する第1中空軸と接するように構成され、これにベアリングが設置される構造である。
【0053】
図9は本発明によるさらに他の実施例を示すもので、先に説明した支持軸が第1中空軸線上に備えられずに別に備えられ、第1中空軸の中空内部を貫通して前記サセプタを支持する構造を持つ。
【0054】
前記支持軸の一端はサセプタを支持し、第1中空軸の中空を貫き、他端は外部構造物に支持されるように構成される。この際、前記第1中空軸と支持軸の間には円滑な回転とともに支持のためにベアリングが備えられることができる。
【0055】
図10及び図11は本発明による駆動部のさらに他の実施例を示すもので、これは一つの駆動モーターとシリンダーを用いて駆動する構造を持ち、シリンダーと駆動モーターの動作によって二つのドアを駆動させる方法が提案される。
【0056】
まず、先に言及したように、第1中空軸と第2中空軸を備える。前記第1中空軸は第1ドアと連結されず、延設されてサセプタを支持する。第1中空軸の中空内部には、シリンダーに連結されて上下に遊動するシャフトが貫いており、シャフトの端部には前記第1ドアを支えて上下に移送させるためのプレート552が備えられる。この際、前記プレートの位置に対応する第1中空軸の両側には結合ホール531が備えられ、前記プレートは結合ホールを通じて外側に突出している。
【0057】
第2中空軸は、前述した実施例と同様に、第2ドアに連結されて第2ドアを回転させる役目は同一である。
【0058】
一方、前記第2ドアの回転によって第1ドアが連動することができるように、第1及び第2ドアにはそれぞれ係止部522が備えられている。前記係止部は、第1ドアが第2ドアに定着すれば係止部が互いに係止されて、第2ドアの回転によって第1ドアも一緒に回転するように提供するものである。
【0059】
前記係止部の動作原理を説明すれば、まずドアが閉鎖した状態で、シリコン成長のために放熱が要求されれば、シリンダーが上向に操作され、シャフトに連結されたプレートは第1ドアを上方に押し上げる。第1ドアが押し上げられた状態で、第1駆動モーターが第2ドアを一定角度だけ回転させることにより第1ドアと第2ドアの係止部が互いに係止されるので、第1ドアと第2ドアの位置を特定することができる準備状態となる。その後、第2ドアを逆方向に所望角度だけ回転させれば、第1ドアと第2ドアの開閉角度が所望の程度に特定される。
【0060】
その後、第1ドアを支えていたプレートがシリンダーの下向駆動によってさらに1ドアを第2ドアに載せる。このように、第1ドアが第2ドアに載せられた状態で、第1ドアは第2ドアの回転に拘束され、前記ドアの開放動作によって特定の第2ドアとの相手角度を維持したまま回転するようになる。
【0061】
ドアの閉鎖は、さらにシリンダーによって第1ドアを第2ドアから上向きに移動して解除させ、第2ドアを所定角度だけ回転させて開放角度の分だけ逆方向に回転させた後にさらに第1ドアを下向きに移動させることで開放部の開放が解除される。
【0062】
このように構成される本発明は、回転型ドア開閉装置を適用して熱的不平衡度を解消してシリコン成長の欠点を解消することができる利点があり、回転型開閉装置の構造的特徴によって鋳塊製造装置の全体大きさを減らすことができる効果がある。
【0063】
以上、本発明の原理を例示するための好適な実施例に基づいて図示しながら説明したが、本発明はここで図示しながら説明した構成及び作用にだけ限定されるものではない。
【0064】
むしろ、添付の特許請求範囲の思想及び範囲を逸脱しない範疇内で本発明の多様な変更及び修正が可能であるのが当業者は明らかに理解可能であろう。したがって、そのようなすべての適切な変更及び修正と均等物も本発明の範囲に属するものとして見なされなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、ドア開閉装置を補って熱平衡度向上による効果的なシリコン成長を達成することができる回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置に適用可能であろう。
【符号の説明】
【0066】
100 真空チャンバー
200 るつぼ
210 サセプタ
220 ヒーター
300 温度センサー
400 冷却板
500 ドア開閉装置
510 第1ドア
511 第1中空軸
512 ベアリング
513 係止部
520 第2ドア
521 第2中空軸
522 係止部
530 支持軸
531 結合ホール
540 駆動部
541 第1駆動モーター
542 第2駆動モーター
550 移送手段
551 シャフト
552 プレート
560 エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定大きさの真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に備えられ、シリコン原材を収容するるつぼと、前記るつぼ内のシリコン原材を溶融させるために熱を加えるヒーターと、前記るつぼの下側に備えられるサセプタと、前記るつぼ内に溶融したシリコン結晶を成長させるために熱を放出させる冷却板と、前記るつぼと冷却板の間に備えられ、放熱を拘束するドア開閉装置と、前記るつぼの温度を測定する温度センサーと、前記温度センサーの出力値を受けてるつぼ内の温度を制御する制御部とを含む多結晶シリコン鋳塊製造装置において、
前記ドア開閉装置は所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドアと第2ドアを含んでなり、
前記第1ドアと第2ドアの相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部を含んでなることを特徴とする、回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記第1ドアと第2ドアをそれぞれ回転させる第1駆動モーターと第2駆動モーターを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項3】
前記第1ドアと第2ドアは、前記第1駆動モーターと第2駆動モーターにそれぞれ連結された第1中空軸と第2中空軸に結合されて回転し、
前記第2中空軸は第1中空軸の中空に挿設され、
前記第1中空軸は前記サセプタの下部を支持する支持軸をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項4】
前記支持軸は、前記第1中空軸が延設されることでなり、前記サセプタと接する部位にベアリングをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項5】
前記支持軸は別に備えられ、前記第1中空軸と接する部位にベアリングをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項6】
前記支持軸は前記第1中空軸の中空を貫き、別に外部に固定されることを特徴とする、請求項3に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項7】
前記駆動部は、
前記第1ドアを上下に移送させるシャフトを含む移送手段;
前記第2ドアを回転させる駆動モーター;及び
前記第2ドアの回転によって第1ドアを連動させるために第1ドアと第2ドアにそれぞれ設けられて互いに係止される係止部;を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項8】
前記シャフトは前記サセプタを支持するために備えられる中空型支持軸の中空に挿合され、第1ドアを前記移送手段によって上下に移送させるために前記シャフトの端部にプレートが備えられ、前記プレートは前記中空型支持軸に形成された結合ホールに結合され、上下移送によって前記第1ドアを移送させることを特徴とする、請求項7に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項9】
前記駆動部は、前記第1ドアと第2ドアの回転量を検出するためのエンコーダをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項10】
前記第1ドアと第2ドアは、任意の角度だけ開放部の開放度を調節して吸熱量を調節するように制御することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。
【請求項11】
所定大きさの真空チャンバー内に備えられたるつぼでシリコン原材を溶融した後、ドア開閉装置の選択的な開放で冷却板を露出させることで溶融したシリコン原材の結晶を成長させる多結晶シリコン鋳塊製造装置において、
前記ドア開閉装置は所定間隔を置いて開放部が形成された第1ドアと第2ドアを含んでなり、
前記第1ドアと第2ドアの相対回転によって開放部を選択的に開閉する駆動部を含んでなることを特徴とする、回転型ドア開閉装置を備えた多結晶シリコン鋳塊製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−505891(P2013−505891A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530767(P2012−530767)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006183
【国際公開番号】WO2011/037343
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512077860)グロシル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】