説明

回転型電子部品

【課題】コンビネーションスイッチのレバースイッチなどに搭載されて使用される回転型電子部品に関し、レバースイッチを、従来品よりも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成することができるものを提供する。
【解決手段】第一回転体50の扇状の第一フランジ部52上に、第二回転体60の第二フランジ部62の板状部63を重ねて位置させ、各回転体50、60の操作時に互いに係合などしないように個々に操作角度を規制すると共に、下方側に位置する第一回転体50へのクリック生成機構を、第二フランジ部62の貫通部63A内の位置に配設して第一回転体50の操作時にもクリック感触が得られる低背構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のコンビネーションスイッチや各種電子機器の入力操作部等に使用される回転型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両内には様々な制御を行うためにレバースイッチを備えたコンビネーションスイッチが搭載されている。そのレバースイッチとしては、図30に示すものが知られており、以下にその構成などを説明する。
【0003】
図30において、1は筒状に形成された樹脂製の第一固定ノブで、その中央貫通孔内に、固定状態で配設された中央軸2を挿通させている。
【0004】
そして、中央軸2の中間位置にあたる部分には、同じく筒状に形成された樹脂製の第二固定ノブ3が固定状態で配されており、第一固定ノブ1と第二固定ノブ3の間の位置には、略リング状の第一可動ノブ4が回転操作可能に装着されている。
【0005】
そして、第一固定ノブ1の中央貫通孔の上方部分は孔部径が大径に構成されており、その孔部内には第一回転体5が収容状態で配されている。第一回転体5は、中央軸2に回転可能に嵌合されていると共に、第一可動ノブ4と共回り可能なように第一可動ノブ4に係合されている。そして、第一回転体5の下面には、弾性金属板製の第一可動接点6が固定されており、第一可動ノブ4への回転操作に応じた第一回転体5の回転動作で、第一可動接点6の先端が上記孔部の底面に配設された第一接点パターン部7上を弾接摺動するように構成されている。
【0006】
また、第一回転体5上面には保持穴が設けられ、その保持穴内には、第一コイルバネ8が撓めて配され、その上に載せられた第一球体9が第一コイルバネ8の付勢力で上方に付勢されている。第一球体9は、その上方位置で中央軸2に固定された第一中間部材10の凹凸状に形成された下面に弾接している。当該部分でクリック生成機構が構成され、第一回転体5は、不用意な回転が防止されて、また回転操作時には所定の操作感触が得られるようになっている。以上のようにして第一スイッチ部が構成されている。
【0007】
そして、第二固定ノブ3の上端位置には、第二固定ノブ3に対し回転可能なように筒状の第二可動ノブ11が装着され、その上端に蓋部材12がはめ込まれている。第二可動ノブ11の内部には第一スイッチ部と同様に構成された第二スイッチ部が配されている。
【0008】
つまり、第二スイッチ部は、中央軸2に第二回転体13が回転可能に嵌合されて配され、第二回転体13は、第二可動ノブ11に共回り可能に係合され、その第二可動ノブ11への回転操作に応じて第二回転体13が回転動作すると、下面に固定された第二可動接点14が、中央軸2の中間壁上に設けられた第二接点パターン部15上を弾接摺動する。また、第二回転体13上面にも保持穴が設けられ、その保持穴内には、第二コイルバネ16が撓めて配され、その上に載せられた第二球体17が第二コイルバネ16の付勢力で上方に付勢されている。第二球体17は、その上方位置で中央軸2に固定された第二中間部材18の凹凸状に形成された下面に弾接している。当該部分でクリック生成機構が構成され、第二回転体13も、不用意な回転が防止されて、また回転操作時には所定の操作感触が得られるようになっている。
【0009】
なお、第一、第二スイッチ部の第一、第二接点パターン部7、15は、中央軸2部分などを介して根元側に引き出されている。
【0010】
以上のように、従来のレバースイッチは構成され、その使用時には、第一可動ノブ4を回転操作して第一スイッチ部から得られる所定信号で対応する機能を作動させ、第二可動ノブ11を回転操作して第二スイッチ部から得られる所定信号で対応する機能を作動させることができるものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1および特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−102246号公報
【特許文献2】特開2008−97865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のレバースイッチは、個々に独立して構成されている二つの回転型スイッチ部を積み上げるように配した構成であったため、高さ寸法が二つの回転型スイッチ部の積み上げ高さで規制され、それ以下の高さ寸法のものに構成することが困難であった。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、レバースイッチを、従来品よりも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成することができる回転型電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0016】
本発明は、上方開口の凹部を有する樹脂ケースと、上方に突出した内軸の下方に設けられた第一フランジ部が上記樹脂ケース内に所定角度のみに回転操作角度が規制されて配された第一回転体と、上記内軸を挿通する外軸の下方に第二フランジ部を有し、上記第一回転体と同軸で、かつ上記第二フランジ部が上記第一フランジ部の上方に重なって位置するように上記樹脂ケース内に所定角度のみに回転操作角度が規制されて配された第二回転体と、上記第一フランジ部の回転移動が検出可能なように上記第一フランジ部下面とそれに応じた上記凹部の内底面位置に配されて構成された第一回転機能素子部と、上記第二フランジ部の回転移動が検出可能なように上記第二フランジ部下面とそれに応じた上記凹部の内底面位置に配されて構成された第二回転機能素子部とを備え、上記第二回転体へのクリック生成機構が、上記第二フランジ部の上面位置に配設されると共に、上記第一回転体へのクリック生成機構は、上記第一回転体の第一フランジ部の上面側が上方に露出するように、上記第二フランジ部に上下に貫通する貫通部が設けられ、その貫通部を介して上記第一回転体のクリック生成機構が配設されていることを特徴とする回転型電子部品としたものである。
【0017】
当該構成のものであれば、二つの回転体のフランジ部を上下に重ねて配した構成のため、高さ方向に対して低背のものに実現でき、例えばこれを用いてレバースイッチを構成する際にも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成できるという作用を有する。さらに、第二フランジ部に対して下方に位置する第一フランジ部へのクリック生成機構を、簡素な構成で、第二フランジ部の上方から備えさせたものであるため、回転体毎のクリック角度設定や大きさ設定などを個々に容易に設定することもできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、レバースイッチを、従来品よりも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成することができる回転型電子部品を提供できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転型電子部品の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同樹脂ケースの上面図
【図4】同樹脂ケース内に回転体・ピン状部材を図1の配置角度位置で配した状態での上面図
【図5】図4の回転体位置で、図1中に示すX−X線での断面図
【図6】図4の回転体位置で、各接触片の接触位置を示す樹脂ケースの上面図
【図7】図4から第一回転体のみを右に回しきった動作状態を示す上面図
【図8】図4から第一回転体のみを右に回しきった動作状態を示す断面図
【図9】図4から第一回転体のみを右に回しきった動作状態を示す上面図
【図10】図4から第二回転体のみを右に回しきった動作状態を示す上面図
【図11】図4から第二回転体のみを右に回しきった動作状態を示す断面図
【図12】図4から第一回転体のみを右に回しきった動作状態を示す上面図
【図13】図4から第一および第二回転体を共に右に回しきった動作状態を示す上面図
【図14】同回転型電子部品をレバースイッチに組み込んだ状態を示す断面図
【図15】図14に対しその直交方向での断面図
【図16】同レバースイッチの分解斜視図
【図17】別形態の構成とした回転型電子部品の断面図
【図18】同分解斜視図
【図19】本発明の第2の実施の形態による回転型電子部品の断面図
【図20】同分解斜視図
【図21】図19に対しその直交方向での断面図
【図22】同上面図
【図23】同要部である樹脂ケース内に回転体・ピン状部材を図19の配置角度位置で配した状態での上面図
【図24】図23の回転体位置で、樹脂ケースと回転体との組み合わせ状態を説明するための図
【図25】図23の回転体位置で、図19中に示すY−Y線での断面図
【図26】図23の回転体位置で、刷子の回転体への接触位置を示す下面図
【図27】図23から第一および第二回転体を共に左に回しきった状態を示す上面図
【図28】図27の回転体位置で、図19中に示すY−Y線での断面図
【図29】図27の回転体位置で、刷子の回転体への接触位置を示す下面図
【図30】従来のレバースイッチの断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図29を用いて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態による回転型電子部品の断面図、図2は同分解斜視図、図3は同樹脂ケースの上面図である。また、図4〜図6は、図1における回転体・ピン状部材などの配置角度位置に対応した図であって、図4は同樹脂ケース内に回転体・ピン状部材を図1の配置角度位置で配した状態での上面図、図5は図4の回転体位置で、図1中に示すX−X線での断面図、図6は図4の回転体位置で、各接触片の接触位置を示す樹脂ケースの上面図である。
【0022】
同図において、20は樹脂ケースで、中央位置に上方に円筒状で突出する筒状部21が設けられている。そして、筒状部21外周と外壁部22内周の間は、上方に開口した略円形リング状の凹部に形成されていると共に、筒状部21に同軸でケース底部より下方に突出するスイッチ設置部23を一体に備えている。筒状部21外周の下端左側位置には径方向外側に突出する矩形状の第一ストッパー24(図1、図3参照)が、また、外壁部22内周の下端前方の位置には径方向内側に突出する矩形状の第二ストッパー25(図3参照)が、樹脂ケース20の樹脂で各々一体形成されている。
【0023】
凹部の底面には抵抗基板30がインサート成形で固定され、図3に示すように、その凹部内底面に露出している抵抗基板30の上面には第一導電パターン部31および第二導電パターン部41が配設されている。第一導電パターン部31と第二導電パターン部41とは、所定幅の同一円形リングの幅内で、互いに重ならないように左右位置に独立して配されている。この配置とすれば、外形が大きくならず小型化が図れて好ましい。
【0024】
第一導電パターン部31は、右側領域に同心円弧状で配された内周集電層32と外周抵抗層34とから構成されており、その配設角度は、117°である。そして、内周集電層32に繋がる端子33、および外周抵抗層34の両端にそれぞれ繋がる端子35、36は樹脂ケース20の前方から導出されている。
【0025】
第二導電パターン部41は、左側領域に同心円弧状で配された内周集電層42と外周抵抗層44とから構成されており、その配設角度は、81°である。そして、内周集電層42に繋がる端子43、および外周抵抗層44の両端にそれぞれ繋がる端子45、46は樹脂ケース20の前方から導出されている。
【0026】
そして、樹脂ケース20の凹部内には、図1や図4などに示すように、共に樹脂製の第一回転体50と第二回転体60とが配されている。
【0027】
第一回転体50は、上方に突出する円筒状の内軸51の下方に上面視扇状に形成された板状の第一フランジ部52を備え、樹脂ケース20の筒状部21を下方から内軸51内に挿入させて、内軸51下端と第一フランジ部52の外周位置下面とが樹脂ケース20の凹部内底面に当接支持されている。第一フランジ部52の下面には、第一導電パターン部31上を弾接摺動する二股形状の第一接触片55(図2参照)が固定されている。この第一接触片55と第一導電パターン部31とにより第一回転機能素子部が構成され、そして、図1や図4での第一回転体50の位置では、第一接触片55は、図6内に黒丸で示したP1点で弾接している。
【0028】
ここに、第一回転体50は、第一導電パターン部31の始端から終端間のみの所望の操作角度で回転操作可能となっている。すなわち、第一回転体50は、図5からも判るように、内軸51の内周左側下端位置に上記所望の操作角度に対応して設けられた操作角度規制用窪み53を有し、第一ストッパー24がその操作角度規制用窪み53内に位置するように組み合わせられている。そして、第一回転体50の回転操作に際して、上記操作角度規制用窪み53の周方向側の側壁が、第一ストッパー24の対応する周方向側の側面に当接することにより上記所望の回転操作角度に規制される構成となっている。
【0029】
なお、第一フランジ部52を上面視扇状の形状としているのは、第一回転体50を回転操作した際に、その始端や終端位置で、上記第二導電パターン部41の配設角度範囲の上方位置を第一フランジ部52で大きく覆い込んでしまわないようにするためである。
【0030】
一方、第二回転体60は、樹脂製で、上方に突出する略円筒状の外軸61下方に第二フランジ部62を一体に有している。第二フランジ部62は、水平に伸びる板状部63と、板状部63外周に下方に向けて延設されたスカート部64を有した形状となっている。また、板状部63には、上下に貫通した貫通部63Aが、所定角度範囲で設けられている。
【0031】
この第二回転体60は、第一回転体50の上方からかぶさるように配され、外軸61内に内軸51を挿通させて、第二フランジ部62のスカート部64が樹脂ケース20の凹部内底面に当接支持されている。つまり、第二回転体60の第二フランジ部62における板状部63は、第一回転体50の第一フランジ部52に対し若干の上下間隔をあけて相対的に上方に重なる位置関係で配置されている。そして、板状部63下面には第二導電パターン部41上を弾接摺動する二股形状の第二接触片67(図2参照)が固定されている。この第二接触片67と第二導電パターン部41とにより第二回転機能素子部が構成され、そして、図1や図4での第二回転体60の位置では、第二接触片67は、図6内に黒丸で示したQ1点で弾接している。
【0032】
ここに、第二回転体60は、第二導電パターン部41の始端から終端間のみの所望の操作角度で回転操作可能となっている。すなわち、第二回転体60は、図2や図5からも判るように、スカート部64の前方側位置に下方開口で上記操作角度に対応して設けられた操作角度規制用切欠き66を有し、この操作角度規制用切欠き66内に第二ストッパー25が位置するように組み合わせられている。そして、第二回転体60の回転操作に際して、上記操作角度規制用切欠き66の周方向側の側壁が、第二ストッパー25の対応する周方向側の側面に当接することにより上記所望の回転操作角度に規制される構成となっている。
【0033】
なお、第二回転体60についても、回転操作した際に、その始端や終端位置で、第二接触片67が、第一回転体50の第一フランジ部52に接触することがないように、第二接触片67の配置箇所などを設定している。
【0034】
以上のように、第一回転体50や第二回転体60などは、回転動作時において互いに当接などしないように形成されて配されると共に回転角度規制がなされ、またその状態が実現できるように各導電パターン部31、41は配置角度範囲や配設位置が設定されている。
【0035】
そして、70は、樹脂ケース20の凹部上を覆うように載せられた樹脂製の上ケースである。この上ケース70には外軸61を挿通させる中央孔が設けられており、上記中央孔内周で外軸61外周は回転可能に保持され、外軸61の上方部分は外方に突出している。また、内軸51は外軸61内周で回転可能に保持され、内軸51の上方部分は外軸61よりも上方に突出している。そして、樹脂ケース20と上ケース70とは、上ケース70の上方側から配された金属板製の結合部材80の脚部を樹脂ケース20底面にカシメることにより一体化されている。
【0036】
上ケース70の左側の位置には、第二回転体60に対応する第二クリック部材配置部72が設けられている。その第二クリック部材配置部72としては、図1に示すように、上ケース70の上面左の円形開口部から同一径のまま貫通して、その内径で筒状に下方に突出し、最下端位置で細径貫通孔72Aとなる形状で形成されている。第二クリック部材配置部72の中には、下方から第二ピン状部材73、第二コイルバネ74が配され、第二ピン状部材73の下端が細径貫通孔72Aから下方に突出し、かつ第二コイルバネ74が所定量撓められる状態で、上面円形開口部上は結合部材80の平坦部で覆い込まれている。そして、細径貫通孔72Aから下方に突出した第二ピン状部材73下端は、第二回転体60の板状部63上に弾接しており、かつその弾接箇所となる板状部63上面位置には、放射状に形成されたクリック溝が八つ構成されている。これらで第二回転体60に対するクリック生成機構が構成されている。なお、その周方向での端部位置に形成されたクリック溝に対し第二ピン状部材73の下端が嵌まり込んだ状態が第二回転体60の規制された回転操作角度の始端および終端位置となる。
【0037】
そして、上ケース70の右側の位置には、第一回転体50に対応する第一クリック部材配置部75が設けられている。その第一クリック部材配置部75としては、図1に示すように第二クリック部材配置部72と同様で、上ケース70の上面右の円形開口部から同一径のまま貫通して、その内径で円筒状に下方に突出し、最下端位置で細径貫通孔75Aとなる形状で形成されている。第一クリック部材配置部75の中には、下方から第一ピン状部材76、第一コイルバネ77が配され、第一ピン状部材76の下端が細径貫通孔75Aから下方に突出し、かつ第一コイルバネ77が所定量撓められる状態で、上面円形開口部上は結合部材80の平坦部で覆い込まれている。ここに、第一クリック部材配置部75や第一ピン状部材76は、第二フランジ部62における貫通部63A内の位置に対応して配設されている。上記貫通部63Aを介して、貫通部63A下方に位置している第一フランジ部52上に、細径貫通孔75Aから下方に突出した第一ピン状部材76下端が弾接している。そして、その弾接箇所となる第一フランジ部52上面位置には、放射状に形成されたクリック溝が五つ構成されている。これらで第一回転体50に対するクリック生成機構が構成されている。なお、その周方向での端部位置に形成されたクリック溝に対し第一ピン状部材76の下端が嵌まり込んだ状態が第一回転体50の規制された回転操作角度の始端および終端位置となる。
【0038】
ここに、上記第一クリック部材配置部75や第一ピン状部材76は、動かない固定位置にあって、それを上方から、第二回転体60に設けた貫通部63A内に位置させるクリック生成機構に構成しているため、貫通部63Aの配設角度設定としては、第二回転体60の所望角度での回転移動時に、第一クリック部材配置部75などが板状部63にあたらない角度に設定している。
【0039】
そして、上述した樹脂ケース20の下方側に突出形成したスイッチ設置部23(図1、図2参照)は、その内部に後述する単体完成品で押しボタン式のプッシュスイッチ85が下方から組み込み可能になっている。つまり、スイッチ設置部23の内壁には小突起(図示せず)を設けており、その小突起をプッシュスイッチ85のケース外側面で潰しながら圧入させ、貫通した内軸51や筒状部21内を通じてプッシュスイッチ85の押しボタン部を下方に押下げ可能に組み込める構成となっている。なお、スイッチ設置部23のプッシュスイッチ85を保持させるための構成は上記以外であってもよい。
【0040】
以上のように本実施の形態による回転型電子部品は構成され、続いて、その動作について説明する。ここに第一回転体50、第二回転体60の各回転操作方向は特に規定されないが、説明の都合上、以下には図1や図4に示した状態、つまり両者を上面視で反時計回り方向(以下、左方向と記載する)に回しきった操作位置をそれぞれの始端とし、そこから時計回り方向(以下、右方向と記載する)に回転操作していき各終端までの操作ができるものとして説明する。
【0041】
図4に示した第一回転体50、第二回転体60が共に左方向で回しきられたそれぞれの始端状態では、第一回転体50は、第一ピン状部材76が第一フランジ部52上で最も前方位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっている。また、第二回転体60も、その始端状態では、第二ピン状部材73が第二フランジ部62の板状部63上で最も後方位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっている。
【0042】
第一回転体50は、その始端位置では、図5や図6を用いて上記に説明したように、操作角度規制用窪み53の周方向側の一方の側壁が、第一ストッパー24の一方の側面に対し当接した状態になっていると共に、第一フランジ部52下面の第一接触片55は、図6に示すP1点で第一導電パターン部31上に弾接しており、この状態で、外周抵抗層34の両端にそれぞれ繋がる端子35、36間に所定電圧を印加すると、第一接触片55を介して内周集電層32に繋がる端子33から、上記P1点に応じた抵抗値つまりそれに応じた出力電圧が得られる。
【0043】
一方、第二回転体60は、その始端位置では、同様に図5や図6を用いて上記に説明したように、操作角度規制用切欠き66の周方向側の一方の側壁が、第二ストッパー25の一方の側面に対し当接した状態になっていると共に、第二フランジ部62における板状部63下面の第二接触片67は、図6に示すQ1点で第二導電パターン部41上に弾接しており、この状態で、外周抵抗層44の両端にそれぞれ繋がる端子45、46間に所定電圧を印加すると、第二接触片67を介して内周集電層42に繋がる端子43から、上記Q1点の位置に応じた抵抗値つまりそれに応じた出力電圧が得られる。
【0044】
上記図1および図4〜図6の始点位置の状態から第一回転体50のみを右方向に回転させると、第一フランジ部52が同方向に回転移動していき、第一フランジ部52下面に固定された第一接触片55もそれに応じて第一導電パターン部31上を弾接摺動し、また第一ピン状部材76は第一フランジ部52上を相対的に移動していく。すなわち、第一ピン状部材76は、第一コイルバネ77を撓めつつ次の後方側のクリック溝に嵌まり込んでいくようになり、それが操作時のクリック感触として得られる。そして、所定のクリック溝に第一ピン状部材76が嵌まり込んで停止した状態での出力は上述同様に端子33から得ることができる。
【0045】
ここに、当該構成のものでは、第一回転体50の第一フランジ部52を、上下方向で所定隙間を持たせて第二回転体60の板状部63下方に位置する配置構成にしているため、上記操作時に第一フランジ部52の一部が板状部63下方にもぐりこんでいくことになるが、その移動が支障なくされるように、上記隙間を適切に設定しておくことや第二フランジ部62の下面を平坦形状のものにしておくことは重要である。
【0046】
そして、第一回転体50のみを右に回しきった終端状態を、図4〜図6に対比して図7〜図9に示す。この状態では、第一回転体50のみが終端側に移動され、図7や図8から判るように、第一ピン状部材76が第一フランジ部52の最後方位置のクリック溝に嵌まり込んだ状態になると共に、図8に示したように、操作角度規制用窪み53の周方向側の他方の側壁が第一ストッパー24の他方の側面に当接して、第一回転体50は安定した停止状態となる。この状態で、第一フランジ部52下面の第一接触片55は、図9に示すように、第一導電パターン部31上のP2点で弾接しており、端子33からそれに応じた出力電圧が得られる。なお、上記クリック溝は始端と終端を含めて五つ設けているため、安定して停止状態となる5ポジションで異なった出力電圧が得られる。
【0047】
第一回転体50は、以上に説明したように、始端から終端までの回転操作が可能となっている。なお、第一回転体50を終端から始端に戻す操作の際の動作は、上記とは逆の動作となるのみで同様説明となるため説明は省略する。
【0048】
次に、上記図1および図4〜図6の始点位置の状態から第二回転体60のみを右方向に回転させると、第二フランジ部62が同方向に回転移動していき、板状部63下面に固定された第二接触片67もそれに応じて第二導電パターン部41上を弾接摺動し、また第二ピン状部材73は板状部63上を相対的に移動していく。すなわち、第二ピン状部材73は、第二コイルバネ74を撓めつつ次の前方側のクリック溝に嵌まり込んでいくようになり、それが操作時のクリック感触として得られる。そして、所定のクリック溝に第二ピン状部材73が嵌まり込んで停止した状態での出力は上述同様に端子43から得ることができる。なお、この操作時においても、第二フランジ部62の板状部63が第一回転体50の第一フランジ部52上に覆いかぶさっていくようになるが、この状態でも第二回転体60は支障なく移動していくようにしていることは上述したとおりである。そして、この第二回転体60の始端から終端にかけての動作状態で、第二フランジ部62の貫通部63A内に位置された第一クリック部材配置部75や第一ピン状部材76が不要に干渉などしないように、上記貫通部63Aの配設角度、幅などを設定しておくことは重要である。
【0049】
そして、第二回転体60を右に回しきった終端状態を、図4〜図6に対比して図10〜図12に示す。この状態では、第二回転体60のみが終端側に移動され、図10や図11から判るように、第二ピン状部材73が板状部63上の最前方のクリック溝に嵌まり込んだ状態となると共に、図11に示したように、操作角度規制用切欠き66の周方向側の他方の側壁が第二ストッパー25の他方の側面に当接して、第二回転体60は安定した停止状態となる。この状態で、板状部63下面の第二接触片67は、図12に示すように、第二導電パターン部41上のQ2点で弾接しており、端子43からそれに応じた出力電圧が得られる。なお、上記クリック溝は始端と終端を含めて八つ設けているため、安定して停止状態となる8ポジションで異なった出力電圧が得られる。
【0050】
第二回転体60は、以上に説明したように、始端から終端までの回転操作が可能となっている。なお、第二回転体60を終端から始端に戻す操作の際の動作は、上記とは逆の動作となるのみで同様の説明となるため説明は省略する。
【0051】
そして、以上には第一回転体50と第二回転体60とを個々に操作した場合を説明したが、両者の各操作を並行して操作することもできる。例えば、第一回転体50と第二回転体60とを共に右に回しきった状態では、図13に示すように、上記に説明した個々の終端位置状態が組み合わさった動作状態となる。つまり、第一回転体50は第一ピン状部材76が第一フランジ部52上の最後方のクリック溝に嵌まり込んだ状態、第二回転体60は第二ピン状部材73が板状部63上の最前方のクリック溝に嵌まり込んだ状態となって、それぞれに対応する出力を個々に得ることができる。その他の組み合わせの操作状態についても殆ど同様の説明となるため、それらの説明は省略する。
【0052】
以上のように、本実施の形態によるものは、第一回転体50と第二回転体60とを独立して予め定められた操作角度範囲内で個々に回転操作することができ、それぞれのクリック位置で所定の出力を得ることができる。そして、第一回転体50の第一フランジ部52上に第二回転体60の第二フランジ部62を上下に重なるように配置した構成にしているため、高さ方向に対して低背化が図れ、しかも第一導電パターン部31と第二導電パターン部41とを所定幅の同一リング内で配した構成であるため、上面視外形の小さいものに構成できる。
【0053】
さらに、上述説明からも判るように、第一回転体50側と第二回転体60側において、対応するクリック生成機構をそれぞれ配した構成にしているため、クリック感触の角度設定やその大きさなども個々に設定することも容易である。
【0054】
なお、第一回転体50と第二回転体60のそれぞれの回転操作角度を規制するための構成部分を上記構成のものとすれば、第一、第二回転体50、60側においても樹脂ケース20側においても、それぞれコンパクトな構成で済むため好ましいが、その構成のみに限定されることはない。
【0055】
続いて、当該回転型電子部品に90の符号を付し、その搭載事例について図14〜図16を用いて説明する。
【0056】
図14、図15は、当該回転型電子部品90を車両用のレバースイッチに組み込んだ状態を示す断面図、図16は同レバースイッチの分解斜視図である。
【0057】
同図に示すように、円筒状に形成された樹脂製の第一固定ノブ100の上部には、同じく樹脂製で円筒状の第一可動ノブ103が配されている。さらにその第一可動ノブ103上方には、内部位置の二箇所にピン挿入孔105Aを備えた樹脂製の第二固定ノブ105が配されている。そして、上記ピン挿入孔105Aが、第一固定ノブ100内壁に設けられている2箇所のピン挿入孔100Aに一致するように第一固定ノブ100に対して第二固定ノブ105が配置され、上方からピン挿入孔105Aおよび100Aに挿入された固定ピン107が固定状態とされることによって、第一固定ノブ100と第二固定ノブ105とは固定状態となっている。そして、第一固定ノブ100と第二固定ノブ105との間に挟まれて配された第一可動ノブ103は、それらとは独立して回転操作可能となっている。
【0058】
さらに、第二固定ノブ105の上方には、樹脂製で円筒状の第二可動ノブ109が回転操作可能に第二固定ノブ105に係合されて配されており、第二可動ノブ109の上端孔は、中央下面位置に下方に延設された円柱状突起112を有する蓋部材110で塞がれている。この蓋部材110は、第二可動ノブ109に対して一定範囲で下方への直線的な移動が可能なように、第二可動ノブ109の上部内壁に設けられた段部にスナップ式爪部111を係止させて第二可動ノブ109に係合されている。
【0059】
そして、図16への図示は省略したが図14、図15に示すように、第一固定ノブ100内部上端の中央位置には、上記回転型電子部品90の配置搭載部が構成されている。その配置搭載部は、回転型電子部品90のスイッチ設置部23や後述するフレキシブル配線板115を挿入させるための貫通孔を備えている。また、スイッチ設置部23が配される位置の下方部分にはプッシュスイッチ85用の位置決め突起102が設けられている。
【0060】
そして、回転型電子部品90には、樹脂ケース20のスイッチ設置部23内に下方から単体完成品で押しボタン式のプッシュスイッチ85が圧入保持され、その状態で、上記配置搭載部で左右方向への移動規制がされ、上記プッシュスイッチ85のケース底面を位置決め突起102上に当接支持させて回転型電子部品90は配置搭載部に配置されている。
【0061】
回転操作可能な第一可動ノブ103は、内壁から中央に延設形成された保持用突出部103Aを有し、その内周端部分が、上記のように配されている回転型電子部品90の外軸61の外周面に共回り可能に係合されている。また、回転操作可能な第二可動ノブ109は、その内部に、下方に延びる保持用突出部109Aを有し、保持用突出部109Aの下端部分が、上記のように配置されている回転型電子部品90の内軸51上端位置に共回り可能に係合されている。さらに、蓋部材110の下方に延設形成された円柱状突起112は、保持用突出部109A、内軸51、筒状部21内に挿通されて下端がプッシュスイッチ85の押しボタン部に当接している。なお、蓋部材110は、第二可動ノブ109の回転時には共回りするが、その際に支障を生じないように円柱状突起112などの形状は設定されている。そして、詳細構成の図示や説明は省略するが、第一可動ノブ103、第二可動ノブ109は、それぞれが係合する回転型電子部品90の外軸61、内軸51の回転操作可能な角度範囲内で回転可能になっている。
【0062】
フレキシブル配線板115は、回転型電子部品90の六つの端子を半田付け接続するための第一接続部116と、プッシュスイッチ85の端子を半田付け接続するための第二接続部117とを備え、その第一、第二接続部116、117に上記各端子は半田付け固定されている。そして、フレキシブル配線板115の配線パターンは、テール部を介して機器内の電気回路に接続されている。なお、フレキシブル配線板115としては、図16の分解斜視図にも示したように、第一接続部116、第二接続部117を共に同一面側で半田付けするものとして、それぞれに回転型電子部品90、プッシュスイッチ85の各端子を半田付けして、その後にフレキシブル配線板115を折り曲げつつプッシュスイッチ85を回転型電子部品90内に組み込んで上記搭載状態にすれば、フレキシブル配線板115自身は安価なもので済む。
【0063】
以上のように、本実施の形態による回転型電子部品90を搭載したレバースイッチは構成されている。その動作は、第一可動ノブ103を回転させると外軸61が共回りして第二導電パターン部41から所定の出力が得られ、第二可動ノブ109を回転させると内軸51が共回りして第一導電パターン部31から所定の出力が得られる。その停止位置は、上述した各クリック毎の位置に設定されており、それぞれの停止位置で得られる出力に応じて機器側の制御が各々行われる。その機器側の制御としては、例えばワイパーの動作コントロールが挙げられる。つまり、第一可動ノブ103、第二可動ノブ109の一方を前側のワイパーのON/OFFや速度調整などに適合させ、他方を後ろのワイパーのON/OFFや速度調整などに適合させて用いることが挙げられる。それ以外の機能制御用に用いられるようにされていてもよい。なお、1つの可動ノブ内で複数の機能を使い分けるように設定されていてもよい。
【0064】
蓋部材110を押し込むと、円柱状突起112下端で押しボタン部が押されてプッシュスイッチ85がスイッチON状態になり、例えばフロント側のウオッシャー液がフロントガラスに噴射される。なお、バック側のウオッシャー液の噴射は、第一可動ノブ103、第二可動ノブ109の一方にその切り替えに応じた割り当て設定をするなどしておけばよい。そして、その押し込み操作力を除くと、プッシュスイッチ85が元のスイッチOFF状態に自己復帰して押しボタン部で円柱状突起112つまり蓋部材110が元の上方位置に押し戻される。なお、上記プッシュスイッチ85からの信号で行われる機器側の制御も上述説明した機能以外を適合させてもよい。
【0065】
そして、上記レバースイッチは、本発明による回転型電子部品90を用いて構成したものであるため、個々に単品で構成されている二つのスイッチ部を積み上げるようにして内蔵させた従来品よりも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成することができる。すなわち、本発明による回転型電子部品90は、レバースイッチなどに適用可能で、適用した製品の低背化に大きく寄与することができる。
【0066】
なお、本発明による回転型電子部品90としては、上記に機能素子として二種類の個別の可変抵抗器を回転機能素子部として備えさせたものを説明したが、回転機能素子部としては、可変抵抗器以外に回転式スイッチや回転型エンコーダを備えさせたものとしてもよい。そして、可変抵抗器を機能素子として備えさせたものも、上述説明した配置構成のもののみに限定されることもない。
【0067】
また、第一回転体50の回転角度を上述の117°とした場合には、例えば第二回転体60は最大150°程度までの回転角度範囲で設定することも可能であるが、各回転体50、60の回転操作可能な角度範囲は、上述した動作状態を損なわないように適宜設定すればよい。さらに、各回転体50、60でのクリック位置やクリック感触の大きさなども個々に適宜設定すればよく、そして、クリック生成機構としても、上述説明した構造のもの以外であってもよい。
【0068】
さらに、スイッチ設置部23は、樹脂ケース20に常時一体的に構成する必要はなく、プッシュスイッチ85を組み込まない構成として、樹脂ケース底面を平坦な面で形成されたものとしてもよい。また、その底面を平坦な面に形成した樹脂ケースを有するものに対し、プッシュスイッチ85のような押圧式スイッチを中央上面位置に備えたスイッチ基板を下方から重ねて結合部材80の脚部をスイッチ基板の下面にカシメ込んでスイッチ付きの形態のものとしてもよい。
【0069】
以上のように、本発明による回転型電子部品は各種の変形構成が可能であり、その事例について以下に一つ説明する。図17は、別形態の構成とした回転型電子部品の断面図、図18は同分解斜視図であり、同図に示すように、当該構成のものは、略リング状に形成されたバネ部材87を結合部材80Aの下面に固着して、二つの弾性アーム部先端を各回転体50A、60Aの第一フランジ部52、第二フランジ部62における板状部63上にそれぞれ弾接させた構成にしている。さらに、当該構成のものは、樹脂ケース20Aの底部位置にスイッチ設置部を設けていないものにしていると共に、その筒状部21Aの底部側から第一回転体50Aが操作可能となるものに構成している。つまり、第一回転体50Aは、筒状部21A上を覆い込む天面部を有し、その天面部に設けられた円形以外の異形状の異形孔51Aが内軸に相当する部位としてなる構成としている。そして、それに応じて第二回転体60Aの外軸61Aも短寸法のものに形成している。その他の構成部分は図1に示したものと同じであるため詳細説明は省略するが、当該構成であれば上ケース70などが不要となり、また樹脂ケース20Aや各回転体50A、60Aの高さ寸法も上述構成のものより低いもので済むため、より低背なものとして実現できる。
【0070】
そして、当該構成の回転型電子部品は、単体では、プッシュスイッチ85が不要なレバースイッチなどに適用可能で、レバースイッチなどの低背化により大きく寄与できると共に、レバースイッチの内部構成としても、第二回転体60Aへの操作機構を上方位置に設け、第一回転体50Aへの操作機構を下方位置に設けて、この回転型電子部品を操作するように構成できるため、上記操作機構を構成するための機器側のスペース的な設計余裕度も増すという利点も有するものとなる。なお、図1に示したものであっても、同様にスイッチ設置部23を設ける代わりに、樹脂ケースの底部側から第一回転体50が操作できる構成としてもよい。
【0071】
(実施の形態2)
当該実施の形態2により、二つの回転機能素子部をそれぞれアブソリュート式エンコーダとしたものを説明する。なお、実施の形態1によるものと同一構成部分には同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0072】
図19は本発明の第2の実施の形態による回転型電子部品の断面図、図20は同分解斜視図、図21は図19に対しその直交方向での断面図、図22は同上面図、図23は同要部である樹脂ケース内に回転体・ピン状部材を図19の配置角度位置で配した状態での上面図である。なお、図19〜23は、第一回転体、第二回転体が共に右に回し切られた1ポジション目の操作位置での状態を示している。さらに、図24は、図23の回転体位置で、樹脂ケースと回転体との組み合わせ状態を説明するための図、図25は、図23の回転体位置で、図19中に示すY−Y線での断面図、図26は、図23の回転体位置で、刷子の回転体への接触位置を示す下面図である。
【0073】
同図において、200は樹脂ケースで、その中央位置には上方に円筒状で突出する筒状部201が設けられている。筒状部201外周と外壁部202内周との間は、上方に開口した略円形リング状の凹部に形成され、その内底面には、内周側のアブソリュート式エンコーダを構成するためのエンコーダ用の第一刷子231〜235、外周側のアブソリュート式エンコーダを構成するためのエンコーダ用の第二刷子241〜243が、それぞれ所定位置に固定されている。
【0074】
第一刷子231〜235は、それぞれ上方に傾斜状態で、図24や図25に示したように凹部内底面の内周領域に配置され、刷子231は樹脂ケース200の側壁から導出されているエンコーダのA信号端子(#A)231Aに、また同様に、刷子232はB信号端子(#B)232Aに、刷子233はC信号端子(#C)233Aに、刷子234はD信号端子(#D)234Aに、刷子235は第一コモン端子(#COM1)235Aにそれぞれ繋がっている。第二刷子241〜243は、それぞれ上方に傾斜状態で、図24や図25に示したように凹部内底面の外周領域に配置され、刷子241は樹脂ケース200の側壁から導出されているエンコーダのE信号端子(#E)241Aに、また同様に、刷子242はF信号端子(#F)242Aに、刷子243は第二コモン端子(#COM2)243Aにそれぞれ繋がっている。なお、上記の全てのエンコーダ用の端子は、一列に並んで前方側に導出されている。
【0075】
それら第一刷子231〜235、第二刷子241〜243の配置位置設定としては、図24や図25から判るように、樹脂ケース200の凹部内において、第一刷子231〜235の内の四つ、および第二刷子241〜243の内の二つを径方向左右に各々三つずつ並べて配し、残った第一刷子231〜235の内の一つと第二刷子241〜243の内の一つは前後位置にそれぞれ配したものとしている。当該配置であれば、樹脂ケース200の凹部内において、端子導出側となる前方外周箇所および後方内周箇所に所定領域が確保でき、その領域内には、それぞれ円弧状の第一窪み部225、第二窪み部227が形成されている。なお、第一窪み部225、第二窪み部227が形成できる所定領域が確保されるならば、各刷子231〜235、241〜243の配置位置や順序などは図示したもののみに限定はされない。
【0076】
そして、樹脂ケース200の凹部内には、図19や図23などに示したように、共に樹脂製の第一回転体250と第二回転体260とが回転可能に配されている。
【0077】
第一回転体250は、上方に突出する円筒状の内軸251の下方に略円形に形成された板状の第一フランジ部252(図20も参照)を備え、樹脂ケース200の筒状部201を下方から内軸251内に挿入させて、内軸251下端と第一フランジ部252の外周位置下面とが樹脂ケース200の凹部内底面に当接支持されている。第一フランジ部252の下面には、所定パターンで形成された金属板からなる第一接点板252Aが固定されており、第一刷子231〜235は第一接点板252Aに弾接可能になっている。この第一回転接点部としてなる第一接点板252Aと第一刷子231〜235とによって第一回転機能素子部としてなる内周側のアブソリュート式エンコーダが構成されている。
【0078】
ここに、第一回転体250は、所定の回転角度のみで回転操作が可能となっている。その規制構成としては、第一回転体250は、第一フランジ部252下面に下方に突出する第一突起253(図24参照)を有し、その第一突起253が図25に示したように、樹脂ケース200の内底面に円弧状に設けられた第一窪み部225内に位置され、第一回転体250の回転操作に際して、上記第一突起253の周方向側の側壁が、第一窪み部225の対応する周方向側の側面に当接することにより上記所望の回転操作角度に規制される構成としている。この構成であれば、径方向に大きくなること等もないため、外周側のエンコーダ部分への影響などもなく、簡素な構成で第一回転体250の回転角度規制が独立して行えて好ましい。
【0079】
一方、第二回転体260は、上方に突出する略円筒状の外軸261下方に第二フランジ部262(図20も参照)を一体に有している。第二フランジ部262は、水平に伸びる板状部263と、板状部263外周に下方に向けて延設されたスカート部264を有した形状となっている。ここに、スカート部264は、実施の形態1によるものよりも太幅の円形リング状で設けられており、そのスカート部264下面に、所定パターンで形成された金属板からなる第二接点板262Aが固定され、第二刷子241〜243は第二接点板262Aに弾接可能になっている。この第二回転接点部としてなる第二接点板262Aと第二刷子241〜243とによって第二回転機能素子部としてなる外周側のアブソリュート式エンコーダが構成されている。また、板状部263の所定位置には、実施の形態1によるものと同様に上下に貫通した貫通部263Aが、所定角度範囲および所定幅で設けられている。
【0080】
そして、この第二回転体260は、外軸261内に内軸251を挿通させて、第一回転体250の上方からかぶさるように配され、第二フランジ部262のスカート部264の内外周の端部が樹脂ケース200の凹部内底面に当接支持されている。このとき、第二回転体260の第二フランジ部262における板状部263は、第一回転体250の第一フランジ部252に対し若干の上下間隔をあけて相対的に上方に重なる位置関係で配置されていることなどは実施の形態1によるものと同じである。
【0081】
ここに、第二回転体260は、所定の回転角度のみで回転操作が可能となっている。その規制構成としては、第二回転体260は、スカート部264下面に、下方に突出する第二突起265(図24参照)を有し、その第二突起265が図25に示したように、樹脂ケース200の内底面に円弧状に設けられた第二窪み部227内に位置され、第二回転体260の回転操作に際して、上記第二突起265の周方向側の側壁が、第二窪み部227の対応する周方向側の側面に当接することにより上記所望の回転操作角度に規制される構成としている。この構成であれば、径方向に大きくならず、また内周側のエンコーダ部分への影響などもないため、簡素な構成で第二回転体260の回転角度規制が独立して行えて好ましい。
【0082】
なお、当該実施の形態のものでは、第一接点板252Aと第二接点板262Aとは同一高さで位置する構成としており、これであれば第一刷子231〜235と第二刷子241〜243とを同じ傾斜高さのものにでき、刷子形成が容易になることに加えて、他方の回転体などへの不要な干渉も低減できるようになり好ましい。
【0083】
以上のように、第一回転体250と第二回転体260は、個々に回転角度規制がなされて配されている。
【0084】
樹脂ケース200の下方には、樹脂製のスイッチ基板300が重ねて配されている。このスイッチ基板300は、第一刷子231〜235と第二刷子241〜243を形成する際に必要となる樹脂ケース200の貫通孔部分を下方から塞ぐ役割も果たす。
【0085】
スイッチ基板300は、上面に表出して固定されたスイッチ接点301を少なくとも二つ備えている。そして、それらのスイッチ接点301同士を接離させるための弾性金属薄板製の可動接点302が配されて、これらでスイッチ用の接点部分が構成されている。なお、各スイッチ接点301は、前方に導出されている二つのスイッチ端子301Aにそれぞれ繋がっており、当該構成では、エンコーダ用の端子が一列に並んで前方に突出し、その下方位置に上記の二つのスイッチ端子301Aが並んで前方に突出した構成としている。
【0086】
そして、可動接点302上には、可動接点302の中央傾斜部を押下げるための部材として、下方開口のドーム状部を備えたゴムなどからなる弾性押圧体303が配され、さらに弾性押圧体303の上方突部上に硬質樹脂材からなる駆動部材304が載せられている。
【0087】
駆動部材304は、図20から判るように、円形外周円周面の対向位置に上下に延びる直線突起304Aを一対で有し、また直線突起304Aの配置箇所に上面視で直交する位置に水平突起304Bを一対で有している。そして、樹脂ケース200の筒状部201内の下方位置はスイッチ配置部として構成されており、筒状部201内の下方位置が中間段部を介して駆動部材304外形に応じた広がった内径となり、その中間段部から下方位置の内壁部分に、直線突起304Aを挿通させる上下溝、および水平突起304Bの上面が当接して駆動部材304の上方への位置規制を行うための規制用段部が設けられている。駆動部材304は、上下溝内に直線突起304Aが挿通されて、弾性押圧体303による上方への付勢力で水平突起304Bが規制用段部に当接状態に、また駆動部材304の上端も中間段部下面に当接または若干の隙間をあけた状態に組み込まれ、これらによって駆動部材304は回転方向には規制されるが上下方向にはスムーズに移動可能となっている。このように、筒状部201内に設けたスイッチ配置部に、駆動部材304の回転防止構造を付加すると、安定した押圧状態でスイッチ操作が可能なものにでき、しかも、空間的に有効活用が図れて好ましい。
【0088】
270は実施の形態1と同様の樹脂製の上ケースで、樹脂ケース200の凹部上を覆うように樹脂ケース200上に配されている。そして、この上ケース270の中央孔内周で、外軸261の外周が回転可能に保持されて外軸261の上方部分は外方に突出し、内軸251は、外軸261内周で回転可能に保持されて内軸251の上方部分は外軸261よりも上方に突出していることは実施の形態1の場合と同じである。そして、上ケース270と樹脂ケース200とスイッチ基板300とは、上ケース270の上方側から配された金属板製の結合部材80Bの脚部をスイッチ基板300底面にカシメることにより一体化されている。
【0089】
なお、当該実施の形態による上ケース270には、上述した第一クリック部材配置部75が前方位置に、また第二クリック部材配置部72が後方位置にそれぞれ設けられている。その前方位置の第一クリック部材配置部75は第一回転体250に対応し、また後方位置に設けられた第二クリック部材配置部72は第二回転体260に対応している。
【0090】
ここに、各クリック部材配置部72,75の内部に収容される部材や詳細構成などは上述説明したものと同じである。簡単に説明すると、まず、第二クリック部材配置部72内に配された第二コイルバネ74は結合部材80Bの平坦部により上方位置が規制され、その第二コイルバネ74の下方への付勢力で第二ピン状部材73が下方に付勢され、下方に突出した第二ピン状部材73下端が第二回転体260の板状部263上に弾接している。その弾接箇所となる板状部263上面位置には、放射状に形成されたクリック溝が五つ構成されている。これらで第二回転体260に対するクリック生成機構が構成され、その周方向での端部位置に形成されたクリック溝に第二ピン状部材73の下端が嵌まり込んだ状態が第二回転体260の規制された回転操作角度の始端および終端位置となる。
【0091】
また、第一クリック部材配置部75は、第二フランジ部262における貫通部263A内の位置に対応して配されており、第一クリック部材配置部75内に配された第一コイルバネ77は結合部材80Bの平坦部により上方位置が規制され、上記貫通部263Aを介して下方に突出した第一ピン状部材76下端は、貫通部263A下方に位置している第一フランジ部252上に弾接している。そして、その弾接箇所となる第一フランジ部252の上面位置には、放射状に形成されたクリック溝が八つ構成されている。これらで第一回転体250に対するクリック生成機構が構成されている。なお、その周方向での端部位置に形成されたクリック溝に第一ピン状部材76の下端が嵌まり込んだ状態が第一回転体250の規制された回転操作角度の始端および終端位置となる。
【0092】
なお、上記第一クリック部材配置部75や第一ピン状部材76は、動かない固定位置にあって、それを上方から、第二回転体260に設けた貫通部263A内に位置させたクリック生成機構の構成としているため、貫通部263Aの配設角度などの設定としては、第二回転体260の所望角度での回転移動時に、第一クリック部材配置部75などが板状部263にあたらない角度に設定していることなどは実施の形態1のものと同じである。
【0093】
以上のように本実施の形態による回転型電子部品は構成されている。次に、その動作について説明するが、実施の形態1の場合とは逆で、図19〜26に示した第一回転体250、第二回転体260を上面視で時計回り方向(以下、右方向と記載する)に回しきった操作位置をそれぞれの始端とし、そこから反時計回り方向(以下、左方向と記載する)に回転操作していき各終端までの操作ができるものとして説明する。
【0094】
図19〜26に示した第一回転体250、第二回転体260が共に右方向で回しきられたそれぞれの始端状態では、図23に示したように、第一回転体250は、第一ピン状部材76が第一フランジ部252上で最も右位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっている。このとき、第一回転体250の下方に突出する第一突起253の周方向側の一方の側壁は、第一窪み部225の対応する周方向側の一方の側面に当接している(図25参照)。また、第二回転体260も、その始端状態では、第二ピン状部材73が第二フランジ部262の板状部263上で最も左位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっている。このとき、第二回転体260の下方に突出する第二突起265の周方向側の一方の側壁は、第二窪み部227の対応する周方向側の一方の側面に当接している(図25参照)。
【0095】
そして、上記両者の回転体250,260が始端位置であるときには、第一刷子231〜235と第二刷子241〜243は、図26に示すように第一接点板252Aと第二接点板262Aに対しそれぞれの先端位置に設けられた曲げ部で弾接している。なお、図26においては、下面に露出している第一接点板252A、第二接点板262Aの導電部分をハッチングして図示している。また、図26に内外周エンコーダそれぞれの各ポジションで得られるエンコーダ出力状態をあわせて示す。
【0096】
図26から判るように、上記回転体250,260が共に始端位置にある状態、つまり内外周側のエンコーダそれぞれの1ポジション目では、内周側エンコーダの第一刷子231〜234は第一フランジ部252の下面樹脂部に弾接し、第一刷子235のみが導電部分となる第一接点板252Aに弾接しており、各端子231A〜235A相互の間が電気的な独立状態である内周側の1ポジション目のエンコーダ出力信号が検出できる。また、外周側エンコーダの第二刷子242、243は導電部分となる第二接点板262Aに弾接し、第二刷子241のみがスカート部264の下面樹脂部に弾接しており、E信号端子241A(#E)は電気的な独立状態で、F信号端子242A(#F)と第二コモン端子243A(#COM2)との間は導通状態となった外周側の1ポジション目のエンコーダ出力信号が検出できる。
【0097】
そして、上記回転体250,260が共に始端位置の状態から、第一回転体250の内軸251を左方向に回転させると、実施の形態1のものと同様に、第一回転体250のみが回転移動し、その操作に応じてクリック感触が得られる。そして、所望のクリック位置では、安定した停止状態となって、そのクリック位置に設定されている内周側のエンコーダ出力信号(図26参照)が各端子231A〜235Aを介して検出できる。なお、この操作時に、第二回転体260は始端位置に安定して停止している。
【0098】
また、上記回転体250,260が共に始端位置の状態から、第二回転体260の外軸261を左方向に回転させると、実施の形態1のものと同様に、第二回転体260のみが回転移動し、その操作に応じてクリック感触が得られる。そして、所望のクリック位置では、安定した停止状態となって、そのクリック位置に設定されている外周側のエンコーダ信号(図26参照)が各端子241A〜243Aを介して検出できる。なお、この操作時に、第一回転体250は始端位置に安定して停止している。
【0099】
そして、上記回転体250,260を両者共に終端位置に回し切った状態を、図27〜図29に示す。図27に示したように、第一回転体250は、終端位置では、第一ピン状部材76が第一フランジ部252上で最も左位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっている。この第一回転体250の終端位置では、図28に示したように、下方に突出する第一突起253の周方向側の他方の側壁が、第一窪み部225の対応する周方向側の他方の側面に当接している。そして、第二回転体260は、上記の図27、図28に示したように、終端位置では、第二ピン状部材73が第二フランジ部262の板状部263上で最も右位置となるクリック溝に嵌まり込んで安定した停止状態になっており、また、下方に突出する第二突起265の周方向側の他方の側壁は第二窪み部227の対応する周方向側の他方の側面に当接している。
【0100】
そして、図29は、両者を終端位置に回し切った状態での刷子の弾接位置を示すものである。図29においても、図26と同じく導電部分をハッチングして図示している。
【0101】
この図29から判るように、上記回転体250,260が共に終端位置の状態では、内周側エンコーダは、第一刷子232が第一フランジ部252の下面樹脂部に弾接し、残りの第一刷子231、233〜235は導電部分となる第一接点板252Aに弾接しており、B信号端子232A(#B)のみが電気的独立状態で、他のA信号端子231A(#A)、C信号端子233A(#C)、D信号端子234A(#D)、第一コモン端子235A(#COM1)は相互の間で導通している内周側の8ポジション目のエンコーダ出力信号(図26参照)が検出できる。
【0102】
また、外周側エンコーダは、第二刷子242、243が導電部分となる第二接点板262Aに弾接し、第二刷子241のみはスカート部264の下面樹脂部に弾接しており、E信号端子241A(#E)が電気的な独立状態で、F信号端子242A(#F)と第二コモン端子243A(#COM2)との間は導通状態となった外周側の5ポジション目のエンコーダ出力信号(図26参照)が検出できる。ここに、当該構成においては、上記外周側の5ポジション目と1ポジション目のエンコーダ出力が同じ信号となる設定としており、このように外周側エンコーダの出力設定を、始端および終端に相当する各ポジションで同じエンコーダ出力が検出可能なものとしていれば、左右方向のいずれかに外軸261を回しきることによって、搭載した電子機器の同じ機能が作動されるものに構成でき、機器操作の利便性が向上する。この思想は内周側エンコーダにも適用可能である。
【0103】
以上のように、当該実施の形態によるものも、第一回転体250、第二回転体260は、設定された操作角度の範囲内で個々に独立して回転操作可能で、対応する第一ピン状部材76、第二ピン状部材73がそれぞれに設けられたクリック溝に嵌って安定した停止状態となり、停止したそれぞれのクリック位置で、内周側のエンコーダ出力信号、外周側のエンコーダ出力信号が個々に得られる構成になっている。なお、第一回転体250、第二回転体260の他のポジション位置の説明やその際のエンコーダ出力信号などの説明は省略するが、当該実施の形態のものも、各回転体250,260を並行して操作し、それぞれ所望の操作位置に応じた各エンコーダ出力信号が検出できるものである。なお、当該構成のように、回転機能素子をアブソリュート式エンコーダとすると、その信号処理が容易にできるため好ましい。
【0104】
そして、当該実施の形態のものにおいても、実施の形態1の場合と同様に、第一フランジ部252上に第二フランジ部262を上下に重なる配置とし、第一フランジ部252、第二フランジ部262にそれぞれ対応するクリック生成機構を個々に配した構成である。このため、低背でクリック感触の角度設定やその大きさなどを個別に設定することが容易にできる。また、第一回転体250、第二回転体260の回転規制構造としては、各回転体との対向範囲に応じた樹脂ケース200内底面の領域内に収まるように凹凸形状部分を上下方向で組み合わせた構成とし、その規制構成部分を、回転体250,260毎に配設したので、他方の回転体などに対して影響を与えることもなく、外形をコンパクト化したものに実現できる。
【0105】
次に、スイッチ操作時には、操作部材(図示せず)を、上方より内軸251内、および筒状部201内に挿通させて、その下端で駆動部材304を押し込む。これにより、駆動部材304は直線突起304Aや水平突起304Bが筒状部201内で案内されつつ下方にまっすぐ移動し、弾性押圧体303を押し下げる。その力が所定の大きさを超えると弾性押圧体303のドーム状部が節度感触を持って座屈して可動接点302の中央傾斜部を押し下げ、可動接点302を介して二つのスイッチ接点301同士の間が電気的に接続され、二つのスイッチ端子301A間が導通する。操作部材での操作力を除くと、弾性押圧体303や可動接点302が元の形状に復元して二つのスイッチ接点301同士の間が電気的独立状態に戻ると共に、弾性押圧体303が駆動部材304を押し上げる。この駆動部材304の上方への移動時にも、駆動部材304は直線突起304Aや水平突起304Bが筒状部201内で案内されつつ上方にまっすぐ移動し、上述した非操作位置に戻る。
【0106】
当該実施の形態によるものは、以上に説明した構成ならびに動作をするものであり、実施の形態1によるものと同様に、例えば車両用のレバースイッチなどに搭載して使用できる。その使用状態での図示や詳細説明は省略するが、前述した図14〜図16のレバースイッチに同様に搭載すると、当該実施の形態2のものは、スイッチ基板300上に押圧式のスイッチを搭載し、さらにそのスイッチ基板300と他の構成部材とを結合部材80Bで一体化させている単体完成品としたものであるため、スイッチの操作安定性や操作耐久性に優れたものに実現でき、さらに、スイッチ端子と二つのエンコーダ用の各端子を、上下二列で共に前方に突出させた構成にしているため、搭載時に機器のフレキシブル配線板に接続する工数などが少なくて済むという利点を有する。
【0107】
以上、実施の形態1や2に説明したように、本発明による回転型電子部品は、回転操作位置検出用の二つの機能素子つまり二つの回転機能素子部を内蔵し、それぞれに応じた二つの回転体への回転操作で対応する出力が各々得られる低背で小型の外形のものに実現でき、車両用のレバースイッチ以外にも、少なくとも独立した二種類の入力操作部分を回転操作して個々に制御が行える各種電子機器に搭載して用いることも可能である。
【0108】
なお、実施の形態1や2の各回転体用の回転操作角度規制部分については、各回転体と樹脂ケースとに設けた凹凸形状を入れ換えた構成としてもよい。また、実施の形態1のものに実施の形態2の回転操作角度規制部分を用いたり、実施の形態2のものに実施の形態1の回転操作角度規制部分を用いたりしてもよい。または、それら以外の回転操作角度規制部分を備えさせた構成のものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明による回転型電子部品は、レバースイッチなどを、従来品よりも高さ寸法を抑えて低寸法のものに構成することができるという有利な効果を有し、車両用のコンビネーションスイッチや各種電子機器の入力操作部を構成する際等に有用である。
【符号の説明】
【0110】
20、20A、200 樹脂ケース
21、21A、201 筒状部
22、202 外壁部
23 スイッチ設置部
24 第一ストッパー
25 第二ストッパー
30 抵抗基板
31 第一導電パターン部
32 第一導電パターン部の内周集電層
34 第一導電パターン部の外周抵抗層
33、35、36 第一導電パターン部の端子
41 第二導電パターン部
42 第二導電パターン部の内周集電層
44 第二導電パターン部の外周抵抗層
43、45、46 第二導電パターン部の端子
50、50A、250 第一回転体
51、251 内軸
51A 異形孔
52、252 第一フランジ部
53 操作角度規制用窪み
55 第一接触片
60、60A、260 第二回転体
61、61A、261 外軸
62、262 第二フランジ部
63、263 板状部
63A、263A 貫通部
64、264 スカート部
66 操作角度規制用切欠き
67 第二接触片
70、270 上ケース
72 第二クリック部材配置部
72A 第二クリック部材配置部の細径貫通孔
73 第二ピン状部材
74 第二コイルバネ
75 第一クリック部材配置部
75A 第一クリック部材配置部の細径貫通孔
76 第一ピン状部材
77 第一コイルバネ
80、80A、80B 結合部材
85 プッシュスイッチ
87 バネ部材
90 回転型電子部品
100 第一固定ノブ
100A 第一固定ノブのピン挿入孔
102 位置決め突起
103 第一可動ノブ
103A 第一可動ノブの保持用突出部
105 第二固定ノブ
105A 第二固定ノブのピン挿入孔
107 固定ピン
109 第二可動ノブ
109A 第二可動ノブの保持用突出部
110 蓋部材
111 スナップ式爪部
112 円柱状突起
115 フレキシブル配線板
116 第一接続部
117 第二接続部
225 第一窪み部
227 第二窪み部
231〜235 第一刷子
231A A信号端子
232A B信号端子
233A C信号端子
234A D信号端子
235A 第一コモン端子
241〜243 第二刷子
241A E信号端子
242A F信号端子
243A 第二コモン端子
252A 第一接点板
253 第一突起
262A 第二接点板
265 第二突起
300 スイッチ基板
301 スイッチ接点
301A スイッチ端子
302 可動接点
303 弾性押圧体
304 駆動部材
304A 直線突起
304B 水平突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の凹部を有する樹脂ケースと、上方に突出した内軸の下方に設けられた第一フランジ部が上記樹脂ケース内に所定角度のみに回転操作角度が規制されて配された第一回転体と、上記内軸を挿通する外軸の下方に第二フランジ部を有し、上記第一回転体と同軸で、かつ上記第二フランジ部が上記第一フランジ部の上方に重なって位置するように上記樹脂ケース内に所定角度のみに回転操作角度が規制されて配された第二回転体と、上記第一フランジ部の回転移動が検出可能なように上記第一フランジ部下面とそれに応じた上記凹部の内底面位置に配されて構成された第一回転機能素子部と、上記第二フランジ部の回転移動が検出可能なように上記第二フランジ部下面とそれに応じた上記凹部の内底面位置に配されて構成された第二回転機能素子部とを備え、
上記第二回転体へのクリック生成機構が、上記第二フランジ部の上面位置に配設されると共に、上記第一回転体へのクリック生成機構は、上記第一回転体の第一フランジ部の上面側が上方に露出するように、上記第二フランジ部に上下に貫通する貫通部が設けられ、その貫通部を介して上記第一回転体のクリック生成機構が配設されていることを特徴とする回転型電子部品。
【請求項2】
第一回転機能素子部が、樹脂ケースの凹部内底面に第一角度範囲で円弧状に構成された第一導電パターン部と、第一回転体の第一フランジ部下面に固定され上記第一導電パターン部上を弾接摺動する第一接触片とにより構成され、第二回転機能素子部が、上記第一導電パターン部の周方向の残部位置に上記第一導電パターン部とは独立して第二角度範囲で円弧状に構成された第二導電パターン部と、上記第一フランジ部に対し上方に重なって位置する第二回転体の第二フランジ部下面に固定され上記第二導電パターン部上を弾接摺動する第二接触片とにより構成され、上記第一回転体と上記第二回転体とがそれぞれの回転方向への始端位置や終端位置に操作された際、上記第二接触片が下方に位置する上記第一フランジ部に当接しないように、上記第一回転体の第一フランジ部を上面視扇状の形状とした請求項1記載の回転型電子部品。
【請求項3】
第一回転機能素子部が、樹脂ケースの凹部内底面の内周位置に配された複数の第一刷子と、第一回転体の第一フランジ部下面に構成され上記第一刷子が弾接する第一回転接点部とにより構成されると共に、その複数の第一刷子の配置位置を、上記第一フランジ部下面に突出形成された第一突起と共同して上記第一回転体の回転角度規制を行うための第一窪みを上記内周位置内に所定角度の円弧状で形成できるように設定し、上記第二回転機能素子部が、上記樹脂ケースの凹部内底面の外周位置に配された複数の第二刷子と、第二回転体の第二フランジ部下面に構成され上記第二刷子が弾接する第二回転接点部とにより構成されると共に、その複数の第二刷子の配置位置を、上記第二フランジ部下面に突出形成された第二突起と共同して上記第二回転体の回転角度規制を行うための第二窪みを上記外周位置内に所定角度の円弧状で形成できるように設定している請求項1記載の回転型電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−267603(P2010−267603A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265968(P2009−265968)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】