説明

回転式フィードブロック

【課題】複数の円筒状樹脂を順次積層して多層円筒状樹脂を成形するダイにおいて、樹脂の注入口と反対側の流路まで樹脂が充満しないで、円筒の円周方向の一部で欠落しその樹脂の特性が発現出来ない部分が生じたり、充満しても境界面の融着力が弱くて耐圧力が不足する問題や、単層Tダイで多層のシート、フィルムを成形するためのフィードブロックにおいて層数を増やすには構造が複雑、高価になるなどの問題が有り、これらの問題を解消する。
【解決手段】環状流路の円周を分割するように樹脂を注入し、円筒状樹脂の接触する境界面と樹脂の層を螺旋状に拡げて樹脂の欠落部分を補い、増えた接着面積で接着強度を高め、また樹脂の層数を増やすためにフィードブロックのノズル又はマンドレルの少なくとも一方を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂の特性の欠落を解消し、接着強度を高めて、円筒状樹脂成形用ダイや多層フィルム成形用などのTダイなどに、円筒状や矩形状樹脂を供給する回転式フィードブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の酸化を防止するために酸素を透過させにくい樹脂、吸湿を防止するために水分を透過させにくい樹脂、炭酸ガスを透過させにくい樹脂などをそのまま多層にするためや、異種樹脂の間に接着剤を介在させるため、複数の円筒型のダイを順次重ね合わせたダイ(例えばチューブ成形用、インフレーションフィルム成形用)が使用されているが、ダイの構造上、樹脂の注入口の反対側まで樹脂が行き渡らず、円周の一部に特性の欠落部が生じてしまうことが有る(例えば図3、図4及び図24参照)。
【0003】
生分解性樹脂、生崩壊性樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などは、熔融状態の樹脂を接触させても融着力が弱く、注入口と反対側で接触した境界面の接着強度が低いため、全体の厚さを増やして接着強度を補うために樹脂の使用量を増やして材料コストが上がったり、円筒状樹脂の容器としての柔軟性が損なわれてしまう。
【0004】
Tダイにより多層フィルム等を成形する場合は、複数の流路を持った複雑で断面が大きく高価なTダイも使用されているが、実用的には3層が限界なので、一般的には多層の矩形断面を形成するフィードブロックと単層のTダイとを組合わせて、多層のフィルムやシートを成形している。
【0005】
上記の多層矩形断面を形成する従来のフィードブロックは、各樹脂を板状に形成してから順次積層して多層の矩形断面に形成するものだが、薄くてもその樹脂の特性を十分に発揮出来るので薄くしたい、高価な樹脂なので薄くしたい、熔融粘度が高く硬いので薄く速く出したい、などのために各層の厚さ比率を変更したり、樹脂の種類の変更時には隙間の調整の手間とその機構が必要なのでランニングコストもフィードブロックのイニシャルコストも高くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特許公開平05−318564
【特許文献2】 特許公開平10−029237
【特許文献3】 特許公開平11−309770
【特許文献4】 特許公開2006−326891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
環状流路の注入口と反対側に生じ易い樹脂の未充填部分の特性欠陥を解消し、接触境界部の接着強度不足を解消した円筒状樹脂と多層矩形状樹脂を供給するフィードブロックを提供する。
【0008】
隙間の調整や機構が不要で、運転操作が容易で低コストなフィードブロックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
図5及び図7に示すように、環状流路の円周を分割するように1〜複数の樹脂6を注入し、境界面8を形成する。
【0010】
図5又は図7に示される環状樹脂6は境界面8を保持したまま、連続して後から注入される樹脂に押されて円筒状樹脂となってフィードブロック出口10側に進む。
【0011】
図14に示すように円筒状樹脂の外側の回転ノズル1Aを回転させるか、図18に示すように円筒状樹脂の内側の回転マンドル2Aを回転させるか、少なくともその一方を回転させる。
【0012】
円筒状樹脂が回転ノズル1Aに入ると円筒状樹脂の外側は回転ノズル1Aに粘着して回転ノズル1Aと共に回転しながらダイ出口10側に進み、円筒状樹脂の内側は固定マンドレル2Bに粘着して回転しないでダイ出口10側に進むため、円筒状樹脂が回転ノズル1Aを通過する間に回転ノズル1Aを2回転させると、図5の樹脂6と境界面8は図6の樹脂6と境界面8のように螺旋状に引き伸ばされる。
【0013】
図5及び図7に示された樹脂6と境界面8は、回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aの回転により、図6と図8に示されるように円周方向に螺旋状に引き伸ばされて、注入された1〜複数の樹脂は層を形成する。
【0014】
樹脂の種類が多い場合は図7による注入口3を増やせばよく、樹脂の種類が少ない製品に切り替えて製造するときは注入口をプラグで閉塞すればよい。
【0015】
各樹脂層の厚さ比率を変更する場合は、注入する樹脂の量の比率を変更すればよく、具体的には樹脂を供給する押出機やギアポンプの回転数を調整するだけでよい。
【0016】
図8に示された多層円筒状樹脂の内面及び外面は複数の樹脂が筋状となって異なる性質を持つので、必要に応じて図17及び図20に表す構造により、多層円筒状樹脂の外面及び内面に樹脂6E、6Fを注入口3E、3Fから注入して円周360°被覆を追加出来る。
【0017】
円筒状樹脂が回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aを通過する間に2.25回転させ、外面にのみ360°被覆を追加した時の多層円筒状樹脂の断面形状を図2に示す。
【0018】
図2に示された多層円筒状樹脂は、螺旋状の各樹脂が少なくとも内外面の間に途切れること無く2層形成されているので、例えば6Aが水分を通しにくい樹脂であれば、円周方向に欠落が無く2層に形成された樹脂6Aは十分にその水分遮断性能を発揮する。
【0019】
図2において、樹脂6B、6C、6Dが6Aに比べて水分を透過し易い樹脂であったとしても、水分は6Aに挟まれて螺旋を形成する樹脂6B、6C、6Dの長い螺旋方向の距離は円周の略2倍となり、この距離すなわち厚さを水分が透過することは実用上無視出来る。
【0020】
図2において、各境界面8A、8B、8C、8Dは少なくとも円周に2枚形成されているので、異樹脂間の融着力は弱くても、内圧に抗する接着強度は十分に保持出来る。
【0021】
層数をより増やしたい場合は、円筒状樹脂が回転ノズル1Aか回転マンドレル2Aを通過するまでに、より多く回転させればよく、回転ノズル1Aと固定マンドレル2B又は固定ノズル1Bと回転マンドレル2Aとの隙間を大きくして円筒流路の断面積を増やし円筒状樹脂が通過する時間を長くしたり、回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aを長くして通過時間を長くしたり、回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aの回転速度を上げればよい。
【0022】
本考案の回転式フィードブロックにより形成される図2の多層円筒状樹脂を、そのままフィードブロック出口10から、又はフィードブロック出口10にパイプ用ダイ、インフレーションフィルム成形用ダイ、ブロー成形用ダイ等の円筒ダイを接続して、多層パイプ、多層フィルム、多層容器等に成形出来る。
【0023】
図21、図22及び図23に示す矩形ノズル1C及び矩形マンドレル2Cを組み込んだ本考案による回転式フィードブロックでは、一旦フィードブロック内部で形成された図8に示す多層円筒状樹脂を図13に示す多層矩形樹脂に変形しフィードブロック出口10より吐出する。
【0024】
本考案による回転式フィードブロックで形成された図1に示す多層矩形状樹脂は、単層Tダイに送られて多層フィルム、多層シートに成形される。
【発明の効果】
【0025】
運転時にフィードブロックを調整する必要も無く、樹脂の特性の欠落もないので、運転操作が容易で品質チェックの手間が軽減出来る安価なフィードブロックを提供出来る。
【0026】
酸素を透過しにくい等の特性を有する1〜複数の樹脂を、円周方向の欠落無しに円筒状樹脂や多層矩形状樹脂に形成出来るので、本考案による回転式フィードブロックを使用して成形される食品等の包装材等は樹脂の厚さを薄くし、樹脂の使用量を減らせる。
【0027】
異樹脂の接着又は同じ樹脂の接着において、融着力が弱くても、境界の面積が増えて全体としての接着強度を上げられるので、円筒状の樹脂の厚さを薄くし、樹脂の使用量を減らせる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本考案による回転式フィードブロックにより形成される多層矩形状樹脂の断面図である。
【図2】 回転式フィードブロックにより形成される多層円筒状樹脂の断面図である。
【図3】 円筒状樹脂を成形するときに、高価だが薄くても特性を十分に発揮する樹脂を薄くしようと注入量を減らしたり、粘度が高く硬い樹脂を注入したときに、注入口3の反対側の環状流路に生じる未充填部分9を示す断面図である。
【図4】 順次積層式による円筒状3層樹脂の成形において、未充填部分9が生じたときに、未充填部分9が、他の粘度の低い柔らかい樹脂などで補填され、円周上に各樹脂の欠落を生じた例を表す断面図である。
【図5】 注入口3から注入された樹脂6が2つに分かれ、環状流路を通って注入口と反対側で接触した境界面8を示す図14のA−A断面図である。
【図6】 ノズル1A又はマンドレル2Aを2回転させた時に、図5に示された断面を持つ円筒状樹脂が螺旋を形成した樹脂6と境界面8を表す円筒状樹脂の断面図である。
【図7】 4種類の樹脂6A、6B、6C、6Dが各注入口3A、3B、3C、3Dから注入された時の4本の境界面8A、8B、8C、8Dを表す図14のA−A断面図である。
【図8】 4種類の樹脂6A、6B、6C、6Dが各注入口3A、3B、3C、3Dから注入され、回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aを2.25回転させた時に螺旋を形成した境界面8A、8B、8C、8D及び4種類の樹脂6A、6B、6C、6Dの層を示す、図22のA−A断面における円筒状樹脂の断面図である。
【図9】 図8に示す円筒状樹脂を、矩形マンドレル2Cにより、多層円筒状樹脂の内側から左右に押しつぶしていく、図22のB−B断面における多層樹脂の断面図である。
【図10】 図9に示す多層樹脂が矩形マンドレル2Cにより、さらに左右に押しつぶされ、上下に2分割された、図22のC−C断面における多層樹脂の断面図である。
【図11】 図10に示す多層樹脂が、矩形マンドレル2Cの上下方向の厚さの減少と、矩形ノズル1Cの上下空間の縮小により、上下方向に押しつぶされていく、図22のD−D断面における多層樹脂の断面図である。
【図12】 図11に示す多層樹脂が、矩形マンドレル2Cの先端で上下の厚さが無くなり、矩形ノズル1Cでさらに上下方向に押しつぶされて、上下の多層樹脂が一体となった、図22のE−E断面における多層樹脂の断面図である。
【図13】 図12に示す多層樹脂が、矩形ノズル1Cにより、さらに上下方向に押しつぶされた、図22のF−F断面における多層樹脂の断面図である。
【図14】 回転ノズル1Aを有する回転式フィードブロックの1例を示す断面図である。
【図15】 フィードブロックの一部を切り欠き、回転ノズル1A又は回転マンドレル2Aに創成された歯車4をピニオン5で駆動する方法を示す断面図である。
【図16】 回転ノズル1Aのフィードブロック出口10側に固定ノズル1Bを配した回転式フィードブロックの断面図である。
【図17】 回転ノズル1Aと固定ノズル1Bを有し、螺旋状の樹脂6と境界面8を形成した多層円筒状樹脂の内側と外側に、全周の層を追加して形成する回転式フィードブロックの断面図である。
【図18】 回転マンドレル2Aを回転させる回転式フィードブロックの断面図である。
【図19】 回転マンドレル2Aのフィードブロック出口10側に固定マンドレル2Bを配した回転式フィードブロックの断面図である。
【図20】 回転マンドレル2Aと固定マンドレル2Bを有し、螺旋状の樹脂6と境界面8を形成する円筒状樹脂の内側と外側に全周の層を追加して形成する回転式フィードブロックの断面図である。
【図21】 矩形マンドレル2Cにより多層円筒状樹脂が上下に分割された後、固定ノズル1Bに組み込まれた矩形ノズル1Cにより上下方向に押しつぶされて、矩形マンドレル2Cの上下厚さが徐々に無くなって、上下一体の多層矩形状樹脂が形成され、フィードブロック出口10に圧送される部分を示す、長手方向のタテ断面図である。
【図22】 図21の水平断面図である。
【図23】 本考案による多層矩形状樹脂を成形する回転式フィードブロックの断面図である。
【図24】 円筒型ダイを順次複数重ねた、従来の順次積層式多層ダイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図14及び図14のA−A断面を表す図7により説明する。フィードブロック本体7と固定マンドレル2Bの間に環状流路を設け、フィードブロック本体7に1〜複数の注入口3を環状流路に導通させて設ける。
【0030】
回転ノズル1Aは外側に歯車4を創成し、フィードブロック外部のピニオン5により駆動出来るよう回転自在に保持する。
【0031】
フィードブロックの一部は切り欠き、歯車4とピニオン5の咬み合う空間を設ける(図15参照)。
【0032】
ピニオン5は可変速モーターから減速機等を介して駆動され、シャフトは適宜ベアリング等で保持される。
【0033】
回転ノズル1Aは歯車とピニオンの他に、ウォームとウォームホイール、ベベルギア、スプロケットとチェーン等の駆動手段を適宜採用して駆動出来る。
【0034】
1〜複数の樹脂、例えば4種類の樹脂6A、6B、6C、6Dをそれぞれ注入口3A、3B、3C、3Dより同量注入すると、図7の様に各樹脂は、環状流路を4等分して充満し、それぞれの境界面8A、8B、8C、8Dを放射状に形成する。
【0035】
境界面8A、8B、8C、8Dを放射状に形成した環状流路の樹脂は連続して注入される樹脂に押されて、そのままの断面形状の円筒状樹脂となってフィードブロック出口10側へと移動する。
【0036】
回転ノズル1Aを回転させると、回転ノズル1Aの内面に接している円筒状樹脂の外側は回転ノズル1Aの内面に粘着して回転しつつフィードブロック出口10へと移動するが、固定マンドレル2Bに接している円筒樹脂の内側は回転しないままフィードブロック出口10へと移動する。
【0037】
円筒樹脂の外側が回転し、内側は回転しないので、放射状であった境界面8と樹脂6は円周方向に螺旋状に引き伸ばされながら、フィードブロック出口10より吐出される。
【0038】
境界面8と樹脂6が、螺旋状に引き伸ばされて円周方向360°以上になるように回転ノズル1Aの長さや隙間を設定、又は回転ノズル1Aの回転数を調整し、樹脂の特性の円周方向の欠落を無くし、境界面8の接着強度不足を解消する。
【0039】
複数の樹脂を多層にする場合は、異なる樹脂が乱流を起こして混合しないよう、回転ノズル1Aと固定ノズル2Bとの隙間の数値と、乱流を起こさないせん断速度範囲とを考慮して、最高回転数を決める。
【0040】
図14の回転式フィードブロックの構造で課題の解消は出来るが、回転ノズル1Aの回転により樹脂6に円周方向の分子配向が起こり、回転式フィードブロックから吐出される円筒状樹脂には回転ノズル1Aの回転方向とは逆の方向に収縮して戻ろうとする残留歪が発生する。
【0041】
図16は、円周方向に収縮しようとする残留歪を緩和するために、回転ノズル1Aのフィードブロック出口10側に回転しない固定ノズル1Bを付加した例である。
【0042】
酸素を透過させにくい樹脂、水分を透過させにくい樹脂、炭酸ガスを透過させにくい樹脂や生分解性樹脂等融着力の弱い樹脂を、本考案による回転式フィードブロックで円筒状に成形し、円筒内に食品等を充填して食品容器とする場合、使用された樹脂が食品等の内容物と化学反応を起こさないよう化学的に安定なポリエチレン等の樹脂を円筒状樹脂の内面全体に構成させる必要が生じる場合が有る。
【0043】
酸素を透過させにくい樹脂、水分を透過させにくい樹脂、炭酸ガスを透過させにくい樹脂や生分解性樹脂等融着力の弱い樹脂を、本考案による回転式フィードブロックで円筒状に成形し、円筒内に食品等を充填して食品容器とする場合、使用された樹脂の種類により外側の光沢が異なって筋状に見えたり、表面の硬さが異なって傷の付き易さに斑が出たり、印刷した時にインキの付き易さや発色に斑が出たりするのを防ぐため、表面硬さが実用上十分でインキの付着性も良く強度も大きいポリプロピレン等を、円筒状樹脂の外側全周に構成させることが望ましい。
【0044】
図17は、回転ノズル1Aを回転させて1〜複数の樹脂を、各樹脂の特性が十分に発現出来るように又円周方向に特性の欠落が生じないよう、螺旋状に多層として形成させ、ポリエチレンやポリプロピレン等を円筒状樹脂の内面及び外面の全周に形成するときの、本考案による回転式フィードブロックの構造を示す。
【0045】
本考案による回転式フィードブロックの回転は外側の回転ノズル1Aを回転させる他に、内側の回転マンドレル2Aを回転させても課題を解決出来る(図18、図19、図20参照)。
【0046】
図21、図22及び図23により説明する。固定ノズル1Bに矩形ノズル1Cを付設し、回転マンドレル2Aのフィードブロック出口10側に矩形マンドレル2Cを付設する。
【0047】
矩形マンドレル2Cは、図22のA−A断面において図8に示す多層円筒状樹脂がフィードブロック出口10側に進むにつれてB−B断面を示す図9のように多層円筒状樹脂を内側から押し広げ、さらにC−C断面を示す図10のように樹脂を上下に分割し、さらに矩形ノズル1Cの上下空間距離が小さくなるのに合わせて矩形マンドレル2Cの上下厚さを縮小して、D−D断面に示す図11のように押しつぶし、さらに矩形ノズル1Cの上下空間距離が小さくなり矩形マンドレル2Cの先端で厚さが無くなるとE−E断面を示す図12のように上下に分割されていた多層樹脂を一体とし、さらに矩形ノズル1Cの空間距離を小さくしてF−F断面を示す図13のように押しつぶして必要な厚さの多層矩形状樹脂にする。
【0048】
本考案による回転式フィードブロックで形成される多層矩形状樹脂は、このまま多層の板に成形出来るので、樹脂製板の成形ダイとして使用出来る。
【0049】
本考案による回転式フィードブロックで形成される多層矩形状樹脂は、Tダイに送られて多層のシートやフィルムの成形に使用される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本考案による回転式フィードブロックは、チューブ、パイプの成形用ダイとして用いられるだけでなく、ブロー成形機のパリソン成形用ダイとして使用されたり、内部に圧力空気を注入して膨らませるインフレーション成形により、薄いフィルムを成形するためのダイとして使用出来るし、それらのダイに順次積層式フィードブロックの欠点を解消した、接着強度が大きく樹脂の特性が欠落していない円筒状樹脂を供給するフィードブロックとして利用される。
【0051】
Tダイで多層のシートやフィルムを成形するときに使用されている、板状の複数の樹脂を順次積層する高価で隙間調整が必要な従来のフィードブロックに替えて、安価で調整の不要な本考案の回転式フィードブロックを利用出来る。
【符号の説明】
【0052】
1 ノズル
1A 回転ノズル
1B 固定ノズル
1C 矩形ノズル
2 マンドレル
2A 回転マンドレル
2B 固定マンドレル
2C 矩形マンドレル
3 注入口
3A 注入口1
3B 注入口2
3C 注入口3
3D 注入口4
3E 注入口5
3F 注入口6
4 歯車
5 ピニオン
6 樹脂
6A 樹脂1
6B 樹脂2
6C 樹脂3
6D 樹脂4
6E 樹脂5
6F 樹脂6
7 フィードブロック本体
8 境界面
8A 境界面1−2
8B 境界面2−3
8C 境界面3−4
8D 境界面4−1
9 樹脂の未充填部
10 フィードブロック出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードブロック内の環状流路に、1〜複数の樹脂(接着剤を含む、以下同様)を円周方向に環状流路を分割するように注入し、放射状の境界面が形成された円筒状樹脂がフィードブロック出口に圧送される過程で、円筒状樹脂の外側に位置するノズル、又は内側に位置するマンドレルの少なくとも一方を回転させて、樹脂と境界面を円周方向に螺旋状に拡げてなる円筒状樹脂形成用の回転式フィードブロック。
【請求項2】
前記請求項1に記載された回転式フィードブロックにおいて、回転させるノズルの後に回転しないノズル、又は回転させるマンドレルの後に回転しないマンドレルの少なくとも一方を付設した回転式フィードブロック。
【請求項3】
前記請求項1及び請求項2に記載された回転式フィードブロックにおいて、樹脂と境界面が螺旋状になった円筒状樹脂の外側又は内側の少なくとも一方の全周に樹脂を被覆する回転式フィードブロック。
【請求項4】
前記請求項1、請求項2及び請求項3に記載された回転式フィードブロックを使用した円筒状樹脂成型用ダイ。
【請求項5】
前記請求項1、請求項2及び請求項3に記載された回転式フィードブロックを使用して、多層樹脂を矩形断面にしてTダイなどに供給するフィードブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−101522(P2012−101522A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260557(P2010−260557)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(507044321)合同会社T.S&C (4)
【Fターム(参考)】