説明

回転式血液ポンプ

【課題】血液のようなデリケートな動作流体を操作し得る、液圧的に効率よくかつ動力の効率のよいポンプを提供すること。
【解決手段】血液ポンプであって、入口ポート114および出口ポート116を有するポンプチャンバー112を規定する、ポンプハウジング110;該ポンプハウジング110内に配置されたローター120;ならびに該ポンプチャンバー112内に配置され、該ローター120を少なくとも部分的に支持する、軸方向磁気軸受180、を備え、該軸方向磁気軸受180は、第一の磁石を備え、該第一の磁石は、該第一の磁石の質量中心が該軸方向磁気軸受180の軸からずれるような形状にされており、該第一の磁石は、特定の半径方向に磁力を発生させる、血液ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2003年9月18日に出願された、Wamplerらの米国仮出願番号60/504,233の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、回転ポンプの分野に関する。特に、本発明は、種々のローター構築物およびインペラー構築物のための軸受の分類にある。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
代表的な回転ポンプは、インペラーを利用する。ここで、このインペラーの動きは、機械的接触式軸受によって5自由度(角2、並進3)に拘束される。いくつかの動作流体は、機械的接触式軸受によって損傷を受け得る。接触式軸受を用いたポンプを通してポンプで送られた血液は、溶血(すなわち、血液細胞に対する損傷)を受ける可能性がある。一般に、血液のようなデリケートな動作流体を操作し得る、液圧的に効率よくかつ動力の効率のよいポンプが、いくつかの用途のために所望される。
【0004】
Wamplerらの特許文献1(「Wampler」)は、反発性の半径方向の磁気軸受と軸方向の流体力学的軸受とを有する遠心式血液ポンプを記載する。Woodardらの特許文献2(「Woodard」)は、流体力学的な力によって排他的に支持されたインペラーを備える遠心式血液ポンプを記載する。
【0005】
両血液ポンプは、軸束ギャップモーター設計(axial flux gap motor design)に基づく。このポンプインペラーは、モーター駆動磁石を保有し、これによって、モーターローターとして働く。どちらの場合も、この駆動磁石は、インペラーの羽根の中に配置される。駆動巻線は、ポンプチャンバーの外、しかしポンプハウジングの中に存在し、モーターステーターとして働く。モーターとポンプとの一体化により、ポンプのための駆動軸およびシールを失くすことができる。このポンプ/モーターは、インペラーを駆動するための磁束を増大させるための裏当て鉄(back iron)を備える。
【0006】
両血液ポンプは、インペラー羽根内に磁石を配置するために必要とされる大きな非在来型の羽根の幾何学的形状に、少なくとも部分的に起因する、液圧の効率の悪さに悩む。
【0007】
上記インペラーに保有される磁石と裏当て鉄との間との間の自然引力は、大きな軸力を生じ、ポンプを十分に作動させるためにはこれを克服しなければならない。流体力学的軸受は、インペラーとポンプハウジングとの間の接触がないにもかかわらず、流体力学的軸受によって保有される負荷に関連するせん断力の結果として、血液細胞を損傷する可能性がある。したがって、流体力学的軸受への排他的な依存は、血液に対して有害であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,234,772号明細書
【特許文献2】米国特許第6,250,880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、血液のようなデリケートな動作流体を操作し得る、液圧的に効率よくかつ動力の効率のよいポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング(110);ならびに
該スピンドル内に配置された第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備える、スピンドル磁石アセンブリ(160)であって、ここで、該第一の磁石および第二の磁石が、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、スピンドル磁石アセンブリ(160)
を備える、ポンプ装置。
【0011】
(項目2)
前記第一のスピンドル磁石と第二のスピンドル磁石とが、円筒形および環形の形状要素のうちの1つを有する、項目1に記載のポンプ装置。
【0012】
(項目3)
前記スピンドル磁石アセンブリが、前記第一の磁石と第二の磁石との間に配置された磁極片(266)をさらに備える、項目1に記載の装置。
【0013】
(項目4)
前記スピンドル磁石アセンブリの長軸(362)が、前記スピンドルの長軸(390)から置き換えられている、項目1に記載の装置。
【0014】
(項目5)
前記ハウジングおよび前記スピンドルのうちの少なくとも一つが、少なくとも1つの流体力学的軸受を支持するのに適切な幾何学的形状の表面を有する、項目1に記載の装置。
【0015】
(項目6)
前記スピンドルが、該スピンドルとローターの孔との間で半径方向の流体力学的軸受を支持する、項目5に記載の装置。
【0016】
(項目7)
前記少なくとも1つの流体力学的軸受が、軸方向の流体力学的軸受を備える、項目5に記載の装置。
【0017】
(項目8)
前記スピンドルの周りを回転するように構成されたローター(120)をさらに備え、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、項目1に記載の装置。
【0018】
(項目9)
前記ローターが、以下:
ローター磁石アセンブリ(180)をさらに備え、該ローター磁石アセンブリ(180)は、該ローターの羽根のついていない部分の中に配置された第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備え、ここで、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられており、前記スピンドルおよび該ローター磁石アセンブリが互いに引き合うように、該スピンドルおよび該ローター磁石アセンブリの相対的な向きが選択される、項目8に記載の装置。
【0019】
(項目10)
前記ローター磁石アセンブリが、前記第一の磁石と第二の磁石との間に配置された磁極片(286)をさらに備える、項目9に記載の装置。
【0020】
(項目11)
前記第一のローター磁石および第二のローター磁石のうちの少なくとも1つが、環形の形状要素を有する、項目9に記載の装置。
【0021】
(項目12)
前記第一のローター磁石および第二のローター磁石が、前記ローターの孔の周りに同軸状に並べられている、項目9に記載の装置。
【0022】
(項目13)
前記ハウジング、前記スピンドル、および前記ローターのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの流体力学的軸受を支持するのに適切な幾何学的形状の表面を有する、項目8に記載の装置。
【0023】
(項目14)
前記少なくとも1つの流体力学的軸受が、前記ローターの孔と前記スピンドルとの間に規定される半径方向の流体力学的軸受を備える、項目13に記載の装置。
【0024】
(項目15)
前記少なくとも1つの流体力学的軸受が、軸方向の流体力学的軸受を備える、項目13に記載の装置。
【0025】
(項目16)
前記ローターの孔(410)が、溝(450)付きである、項目8に記載の装置。
【0026】
(項目17)
項目8に記載の装置であって、以下:
前記ローターの羽根の付いていない部分によって保有される、複数の駆動磁石(122);および
前記ポンプハウジングによって保有される駆動巻線(140)であって、該駆動磁石が、該駆動巻線と協働して該ローターを回転させる、駆動巻線(140)
をさらに備える、装置。
【0027】
(項目18)
ポンプ装置であって、以下:
孔(410)を有するローター(120)であって、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を有するインペラーを備える、ローター;ならびに
ローター磁石アセンブリ(180)であって、該ローター内に配置された第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備え、ここで、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、ローター磁石アセンブリ(180)を備える、ポンプ装置。
【0028】
(項目19)
前記ローター磁石アセンブリが、前記第一の磁石と第二の磁石との間に配置された磁極片(286)をさらに備える、項目18に記載の装置。
【0029】
(項目20)
前記第一のローター磁石および第二のローター磁石のうちの少なくとも1つが、環形の形状要素を有する、項目18に記載の装置。
【0030】
(項目21)
前記第一のローター磁石および第二のローター磁石のうちの少なくとも1つが、前記ローターの長軸の周りに同軸状に配置されている、項目18に記載の装置。
【0031】
(項目22)
前記ローターが、少なくとも1つの流体力学的軸受を支持するのに適切な幾何学的形状の表面を有する、項目18に記載の装置。
【0032】
(項目23)
前記ローター孔が、半径方向の流体力学的軸受表面を提供する、項目22に記載の装置。
【0033】
(項目24)
前記少なくとも1つの流体力学的軸受が、軸方向の流体力学的軸受を備える、項目22に記載の装置。
【0034】
(項目25)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
該スピンドル(130)の周りを回転するように構成されたローター(120)であって、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、ローター(120);
該ローターの羽根のついていない部分の中に配置された、磁気軸受のローター部分(180);ならびに、
該スピンドル内に配置された磁気軸受のスピンドル部分(160)であって、該磁気軸受のスピンドル部分およびローター部分は、互いに引き合うように構成されており、該磁気軸受のローター部分およびスピンドル部分の少なくとも1つは、第一の磁石および第二の磁石を備え、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、スピンドル部分(160)
を備える、ポンプ装置。
【0035】
(項目26)
項目25に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備える、装置。
【0036】
(項目27)項目25に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、強磁性体材料を備える、装置。
【0037】
(項目28)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目27に記載の装置。
【0038】
(項目29)
前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備え、前記磁気軸受のスピンドル部分が、強磁性体材料を備える、項目25に記載の装置。
【0039】
(項目30)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目29に記載の装置。
【0040】
(項目31)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
溝付き孔(410)を有するローター(120)であって、該ローターは、該スピンドルの周りを回転するように構成されており、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、ローター(120);
該ローターの羽根のついていない部分の中に配置された、磁気軸受のローター部分(180);ならびに
該スピンドル内に配置された磁気軸受のスピンドル部分(160)であって、該磁気軸受のスピンドル部分およびローター部分は、互いに引き合うように構成されており、該磁気軸受のローター部分およびスピンドル部分の少なくとも1つは、第一の磁石および第二の磁石を備え、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、スピンドル部分(160)
を備える、ポンプ装置。
【0041】
(項目32)
項目31に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備える、装置。
【0042】
(項目33)
項目31に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、強磁性体材料を備える、装置。
【0043】
(項目34)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目33に記載の装置。
【0044】
(項目35)
前記磁気軸受のローター部分(180)が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備え、前記磁気軸受のスピンドル部分が、強磁性体材料を備える、項目31に記載の装置。
【0045】
(項目36)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目35に記載の装置。
【0046】
(項目37)
前記溝付き孔(410)が、該孔の周りのらせん状の通路に続く少なくとも1つの溝(450)を備える、項目31に記載の装置。
【0047】
(項目38)
前記溝付き孔が、複数の溝を備える、項目31に記載の装置。
【0048】
(項目39)
前記複数の溝の各々が、前記孔の周りのらせん状の通路に続いている、項目38に記載の装置。
【0049】
(項目40)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
該スピンドル(130)の周りを回転するように構成されたローター(120)であって、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、ローター(120);
該ローターの羽根のついていない部分の中に配置された、磁気軸受のローター部分(180);
該スピンドル内に配置された磁気軸受のスピンドル部分(160)であって、該磁気軸受のスピンドル部分およびローター部分は、互いに引き合うように構成されており、該磁気軸受のローター部分およびスピンドル部分の少なくとも1つは、第一の磁石および第二の磁石を備え、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、スピンドル部分(160);
該ローターの羽根の付いていない部分によって保有された複数の駆動磁石(122);ならびに
該ポンプハウジングによって保有された駆動巻線(140)であって、該駆動磁石が、駆動巻線と協働して該ローターを回転させる、駆動巻線(140)
を備える、ポンプ装置。
【0050】
(項目41)
項目40に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備える、装置。
【0051】
(項目42)
項目40に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、強磁性体材料を備える、装置。
【0052】
(項目43)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目42に記載の装置。
【0053】
(項目44)
前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のスピンドル部分が、強磁性体材料を備える、項目40に記載の装置。
【0054】
(項目45)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目44に記載の装置。
【0055】
(項目46)
前記ローターが、溝付き孔(410)を有する、項目40に記載の装置。
【0056】
(項目47)
前記溝付き孔が、該孔の周りのらせん状の通路に続く少なくとも1つの溝(450)を備える、項目46に記載の装置。
【0057】
(項目48)
前記溝付き孔が、複数の溝を備える、項目46に記載の装置。
【0058】
(項目49)
前記複数の溝の各々が、前記孔の周りのらせん状の通路に続いている、項目48に記載の装置。
【0059】
(項目50)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
該スピンドルの周りを回転するように構成されたローター(120)であって、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、ローター(120);
該ローターの羽根のついていない部分の中に配置された、磁気軸受のローター部分(180);ならびに
該スピンドル内に配置された磁気軸受のスピンドル部分(160)であって、該磁気軸受のスピンドル部分およびローター部分は、互いに引き合うように構成されており、該磁気軸受のローター部分およびスピンドル部分の少なくとも1つは、第一の磁石および第二の磁石を備え、該第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられており、該ポンプハウジングおよびローターのうちの少なくとも1つは、該ローターと該ポンプハウジングとの間に流体力学的軸受を生じるように輪郭がつけられた表面を有する、スピンドル部分(160);
を備える、ポンプ装置。
【0060】
(項目51)
項目50に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備える、装置。
【0061】
(項目52)
項目50に記載の装置であって、前記磁気軸受のスピンドル部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備え、前記磁気軸受のローター部分が、強磁性体材料を備える、装置。
【0062】
(項目53)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目52に記載の装置。
【0063】
(項目54)
前記磁気軸受のローター部分が、それぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて互いに近接して並べられた第一の磁石および第二の磁石(282、284)を備え、前記磁気軸受のスピンドル部分が、強磁性体材料を備える、項目50に記載の装置。
【0064】
(項目55)
前記強磁性体材料が、軟鉄である、項目54に記載の装置。
【0065】
(項目56)
前記ローターが、溝付き孔(410)を有する、項目50に記載の装置。
【0066】
(項目57)
前記溝付き孔が、該孔の周りのらせん状の通路に続く少なくとも1つの溝(450)を備える、項目56に記載の装置。
【0067】
(項目58)
前記溝付き孔が、複数の溝を備える、項目56に記載の装置。
【0068】
(項目59)
前記複数の溝の各々が、前記孔の周りのらせん状の通路に続いている、項目58に記載の装置。
【0069】
(項目60)
前記ローターが、流体力学的軸受を生じるような表面特徴を備える、項目50に記載の装置。
【0070】
(項目61)
前記表面特徴が、テーパーがつけられた表面によって規定される、項目60に記載の装置。
【0071】
(項目62)
前記ポンプハウジングが、前記流体力学的軸受を生じるような表面特徴を備える、項目50に記載の装置。
【0072】
(項目63)
前記表面特徴が、テーパーがつけられた表面によって規定される、項目62に記載の装置。
【0073】
(項目64)
前記ポンプハウジングおよび前記ローターの各々が、流体力学的軸受を生じるような表面特徴を備える、項目50に記載の装置。
【0074】
(項目65)
前記表面特徴が、テーパーがつけられた表面によって規定される、項目64に記載の装置。
【0075】
(項目66)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
該スピンドル内に配置された第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備える、スピンドル磁石アセンブリ(160)であって、ここで、該第一の磁石および第二の磁石が、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられており、該スピンドル磁石アセンブリの長軸(362)は、該スピンドルの長軸(390)から置き換えられている、スピンドル磁石アセンブリ(160);ならびに
該スピンドル(130)の周りを回転するように構成されたローター(120)であって、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備え、該ローターの孔(410)は、溝付きである、ローター(120)
を備える、ポンプ装置。
【0076】
(項目67)
ポンプ装置であって、以下:
ポンピングチャンバー(112)を規定するポンプハウジング(110)であって、該ポンプハウジングは、該ポンピングチャンバー内に延びるスピンドル(130)を有する、ポンプハウジング;
該スピンドル内に配置された第一の磁石および第二の磁石(262、264)を備える、スピンドル磁石アセンブリ(160)であって、ここで、該第一の磁石および第二の磁石が、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられている、スピンドル磁石アセンブリ(160);
該スピンドルの周りを回転するように構成されたローター(120)であって、該ポンプハウジングは、回転の間、少なくとも部分的に該ローターを支持するための流体力学的軸受を生じるような構造である、幾何学的形状の表面を有し、該ローターは、少なくとも1つの羽根(121)を備えるインペラーを備える、ローター(120);ならびに
該ローターの羽根の付いていない部分の中に配置された、複数の駆動磁石(122)
を備える、ポンプ装置。
【0077】
(項目68)
前記ポンプハウジングによって保有された駆動巻線(140)をさらに備え、前記駆動磁石が、該駆動巻線と協働して該ローターを回転させる、項目67に記載の装置。
【0078】
(発明の要旨)
公知のシステムおよび方法の限定を考慮して、機械的接触式軸受の代替物としての、回転ポンプのための種々の「非接触式」軸受機構が提供される。種々のローターおよびハウジングの設計の特徴が提供されて、磁気軸受または流体力学的軸受を実現する。これらの設計の特徴は、組み合わせられ得る。機械的接触式軸受がないことにより、より長寿命のポンプ動作が可能になり、そして血液のような動作流体の損傷がより少なくなり得る。
【0079】
一実施形態において、ポンプは、磁気スラスト軸受を備える。このポンプは、ポンピングチャンバーを規定するポンプハウジングを備える。このポンプハウジングは、ポンピングチャンバー内へと延びるスピンドルを有する。第一の磁石および第二の磁石を備えるスピンドル磁石アセンブリは、上記スピンドル内に配置される。このスピンドル磁石アセンブの第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられる。上記ポンプは、上記スピンドルの周りに回転するように構成されたローターを備える。第一の磁石および第二の磁石を備えるローター磁石アセンブリは、上記ローターの羽根の付いていない部分の中に配置される。上記ローター磁石アセンブリの第一の磁石および第二の磁石は、それらのそれぞれの磁気ベクトルを互いに対向させて、互いに近接して並べられる。上記スピンドル磁石アセンブリおよびローター磁石アセンブリが互いに引き合うように、このスピンドル磁石アセンブリおよびローター磁石アセンブリの相対的な向きが選択される。上記ローターは、溝付きの孔を備え得る。種々の実施形態において、流体力学的軸受は、半径方向の支持体もしくは軸方向の支持体、または両方を備える。
【0080】
本発明は、付随する図面の図において例示の目的で示され、そして限定としては示されない。これらの図において、同様の参照は類似の要素を示す。
【発明の効果】
【0081】
本発明により、血液のようなデリケートな動作流体を操作し得る、液圧的に効率よくかつ動力の効率のよいポンプを提供される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、受動磁気軸方向軸受を有するポンプの断面図を示す。
【図2】図2は、上記受動磁気軸方向軸受の一実施形態を示す。
【図3】図3は、受動磁気軸方向軸受の中心配置および中心を外れた配置を示す。
【図4】図4は、インペラーの一実施形態を示す。
【図5】図5は、医療用途に適用されるポンプの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
(詳細な説明)
図1は、遠心式血液ポンプの一実施形態を示す。このポンプは、入口114と出口116との間にポンピングチャンバー112を規定するハウジング110を備える。ポンピングチャンバー内で、ローター120は、ポンプハウジングの基部から突出しているスピンドル130の周りを回転する。上記ローターは、流体移動表面を提供するインペラーを規定する、羽根付き部分をさらに備える。上記インペラーは、インペラーが回転する場合に流体を動かす、1つ以上の羽根121を備える。
【0084】
用語「ローター」および「インペラー」は、いくつかの文脈において、交換可能に使用され得る。例えば、ローターが回転している場合、このローターの羽根部分は、本質的に回転しており、したがって、インペラーまたはローターのいずれかの回転に対する言及は、両方を説明するのに十分である。必要な場合、用語「ローターの羽根のついていない部分」または「インペラーを除くローター」は、羽根を除くローターの部分を特に識別するために使用され得る。ローターの各羽根は、インペラーとして別個に言及され得るが、用語「インペラー」は、一般的に、1つ以上の羽根の集合的なセットを言及するために使用される。
【0085】
ポンプは、移動磁気軸束ギャップモーター構築物(moving magnet axial flux gap motor architecture)に基づく。一実施形態において、このモーターは、ブラシレスDCモーターである。上記ローターによって保有される駆動磁石122は、回転190のローター軸に対して平行な磁気ベクトルを有する。図示された実施形態において、上記駆動磁石は、上記ローターの羽根の付いていない部分の中に配置される。
【0086】
駆動巻線140は、ポンプハウジング内に配置される。動力がこの駆動巻線に適用されて、インペラーを回転させるために駆動磁石と相互作用する適切な時間変動電流を発生する。裏打ち鉄150は、モーターローター磁石によって発生する磁束を増強する。一実施形態において、下部ポンプハウジングによって提供されるローターの底部の面124または対向する面118のいずれかは、上記ローターと上記ハウジングとの間のクリアランスが所定の閾値以下に収まる場合、流体力学的軸受を生じるように輪郭をつけられた表面(例えば、172)を有する。一実施形態において、上記所定の閾値は、0.0002インチ〜0.003インチの範囲内である。
【0087】
裏打ち鉄150とローターにより保有された駆動磁石122との間の自然引力は、ローター上に大きな軸方向の負荷を生じ得る。この軸方向の負荷は、例えば、WamplerまたはWoodardのような、軸流ギャップモーター構造に基づく遠心ポンプ内に存在する。WoodardおよびWamplerの両方は、流体力学的スラスト軸受によって、軸方向の負荷力を克服する。接触がないにもかかわらず、流体力学的軸受は、流体力学的軸受によって保有される負荷に関連するせん断力の結果として、なお血液細胞を損傷し得る。
【0088】
Wamplerの反発性の半径方向の磁気軸受は、駆動磁石と裏打ち鉄との間の磁気引力によって生じる軸方向の負荷を悪化させる。この反発性の半径方向の磁気軸受は、半径方向の安定性を生じるが、大きな軸方向の不安定性を誘導する。この軸方向の不安定性は、上記軸方向の負荷にさらに寄与し得る。このさらなる軸方向の負荷は、任意の軸方向の流体力学的軸受に関してより大きなせん断力を生じ、これは、血液適用に対して望ましくない溶血を引き起こし得る。さらに、流体力学的軸受を維持するために必要とされる動力は、上記負荷が増加するにしたがって増加する。したがって、高度に負荷された流体力学的軸受は、著しい動力上の不利益を課す可能性がある。
【0089】
図1の血液ポンプは、駆動磁石と裏打ち鉄との間での相互作用によってローター上に課された上記軸方向の負荷を低減または相殺するように働く磁気軸方向軸受を備える。上記軸方向磁気軸受は、スピンドル内に配置されたスピンドル磁石アセンブリ160とローターによって保有されるローター磁石アセンブリ180との間での相互作用によって形成される。図示された実施形態において、上記ローター磁石アセンブリ180は、インペラーの近くに配置されるが、ローター磁石アセンブリの磁石は、羽根内部には配置されない。設定ねじ134は、スピンドルの長軸に沿ってスピンドル磁石アセンブリを動かすことによって、軸方向磁気軸受の軸部分の長軸方向への調節を可能にする。
【0090】
図2は、軸方向磁気軸受の一実施形態を示す。ローター磁石アセンブリは、互いに近接して配置された第一のローター軸受磁石282および第二のローター軸受磁石284を備える。この第一および第二のローター軸受磁石は、永久磁石である。一実施形態において、これらの間に磁極片286が配置される。磁極片または磁束コンセントレーターは、ローター軸受磁石282および284によって発生した磁束を集中させるように働く。代替的実施形態において、要素286は、上記第一および第二の軸受磁石282、284を配置させるのを補助するための単なるスペーサーであり、そしていずれの磁束を集中させるためにも働かない。他の実施形態において、要素286は、省略され、したがって、ローター磁石アセンブリは、スペーサーも磁極片要素も備えていない。
【0091】
一実施形態において、要素282および284は、一体式の、環形の永久磁石である。別の実施形態において、軸受磁石は、非一体式構成であり得る。例えば、軸受磁石は、複数の、パイ形、弓状セグメント(arcuate segment)形、または環形永久磁石構造を集合的に形成する他の形状の永久磁石要素で構成され得る。
【0092】
ローターの軸方向軸受磁石アセンブリは、羽根221以外のローターの一部によって保有される駆動磁石222とは別個である。図示された実施形態において、この駆動磁石は、上記ローターの羽根のついていない部分228の中に配置される。
【0093】
スピンドル磁石アセンブリは、第一のスピンドル軸受磁石262および第二のスピンドル軸受磁石264を備える。この第一および第二のスピンドル軸受磁石は、永久磁石である。一実施形態において、これらの間に磁極片266が配置される。磁極片266は、スピンドル軸受磁石262および264によって発生した磁束を集中させる。代替的実施形態において、要素266は、上記第一および第二のスピンドル軸受磁石を配置するための単なるスペーサーであり、そしていずれの磁束を集中させるようにも働かない。他の実施形態において、要素266は、省略され、したがって、スピンドル磁石アセンブリは、スペーサーも磁極片要素も備えていない。
【0094】
図示された実施形態において、永久磁石262および264は、円筒形である。代替的実施形態において、他の形状が利用され得る。環形ローター磁石は、スピンドルの長軸の周りをインペラーとともに回転する。このことは、スピンドル軸受磁石アセンブリでも共通である。
【0095】
スピンドル軸受アセンブリおよびローター軸受アセンブリの各々の永久磁石は、介在する磁極片の両側上にある個々の磁石の磁気ベクトルが互いに対向するように並べられている。所与の磁極片の各々の側は、異なる磁石の同じ極に隣接する。したがって、磁石262および264の磁気ベクトルは、互いに対向する(例えば、N−NまたはS−S)。同様に、磁石282および284の磁気ベクトルは、互いに対向する。
【0096】
磁石の向きは、軸受が軸方向に誤配置した場合には必ず軸方向の引力を確立するように選択される。スピンドル磁石アセンブリおよびとローター磁石アセンブリの相対的な向きが、このスピンドル磁石アセンブリとローター磁石アセンブリとが互いに引き合うように(例えば、S−NまたはN−Sに)選択されることに注意すること。一方のアセンブリの磁石について選択された磁石のベクトル方向が、他方のアセンブリの磁石についての磁気ベクトルの向きを決定する。表292は、第一および第二のローター軸受磁石(MR1、MR2)および第一および第二のスピンドル軸受磁石(MS1、MS2)についての受容可能な磁気ベクトルの組み合わせを示す。裏打ち鉄と駆動磁石との間の磁気引力のような、磁石軸受アセンブリを軸方向に動かす傾向のある力は、ローターの軸方向の位置を元に戻すための軸方向の力を提供する軸方向軸受間の磁気引力によって、少なくとも部分的に相殺される。
【0097】
図2はまた、上記ローターの羽根の付いていない部分の面(例えば、図1の底面124を参照のこと)とポンプハウジングの背部との間のクリアランスが所定の閾値以下に収まる場合に、流体力学的軸受の一部を形成する、くさびまたはテーパーをつけられた表面272を図示する。種々の実施形態において、この所定の閾値は、0.0002インチ〜0.003インチの範囲内である。したがって、一実施形態において、上記ポンプは、軸方向流体力学的軸受を備える。この軸方向流体力学的軸受を提供する幾何学的形状の表面は、ローターまたはハウジング上に配置され得る。
【0098】
スピンドル磁石アセンブリは、軸方向磁気軸受を提供することが意図されているが、スピンドル磁石アセンブリとローター磁石アセンブリとの間の引力は、半径方向成分もまた有する。この半径方向成分は、インペラーを横切る圧力勾配に起因するインペラーの半径方向の負荷を相殺するために利用され得る。この半径成分はまた、初期回転の間の前負荷および通常動作の間の付勢として働き、スピンドルの周りでのローターの偏心性の回転を防ぐ。このような偏心性の回転は、ポンプ作用に対して有害な流体の渦(whirl)または泡立ち(whip)を生じ得る。付勢された半径方向成分は、例えば、ポンプが、動きまたは衝突の結果、外部力に供される場合、ローターの半径方向の位置およびポンプ作用を維持または元に戻すのを助ける。
【0099】
スピンドル磁石アセンブリがローター軸受磁石アセンブリと相互作用して磁気軸受を形成する代わりに、代替的実施形態において、強磁性材料が、a)スピンドル磁石アセンブリ、またはb)ローター軸受磁石アセンブリ、の代わりに使用され得る(しかし、両方に使用されることはない)。
【0100】
磁気軸受は、さらに、スピンドル部分およびローター部分で構成されるが、スピンドル部分およびローター部分のうちの一方は、強磁性材料を利用し、他方の部分は、永久磁石を利用する。強磁性材料は、磁石と相互作用し、ローターとスピンドルとの間に磁気引力を生じる。強磁性材料の例としては、鉄、ニッケル、およびコバルトが挙げられる。
【0101】
一実施形態において、強磁性材料は、「軟鉄」である。軟鉄は、非常に低い保磁度によって、部分的に特徴付けられる。したがって、その残留磁気または残磁性にも関わらず、軟鉄は、外部磁界(例えば、磁気軸受システムの永久磁石によって提供されるような磁界)の存在下で容易に磁化(または再磁化)される。
【0102】
図3は、磁気軸受のスピンドル部分の配置に関する種々の位置を示す。一実施形態において、スピンドル磁石アセンブリ360は、スピンドルの長軸390に沿って軸方向に並べられ、それによってスピンドルとスピンドル磁石アセンブリとは、中心が同一な長軸を共有する。代替的実施形態において、スピンドル磁石アセンブリは、半径方向に中心からずらされ、それによって、スピンドルとスピンドル磁石アセンブリとは、中心が同一な軸を共有しない。詳細には、スピンドル磁石アセンブリ360の長軸362は、スピンドルの長軸390から置き換えられる。この後者の位置決めは、何らかの半径方向の付勢力を提供することを所望され得る。インペラーを横切る圧力の差異は、インペラーをポンプハウジングの一側に向かって半径方向に押す傾向がある。この半径方向の負荷は、スピンドル磁石アセンブリを中心からずらすことによって、少なくとも部分的に相殺され得る。
【0103】
スピンドル磁石アセンブリおよびローター磁石アセンブリは、各々2つの磁性要素を備えるように図示されているが、その代わりに、これらの磁石アセンブリは、各々1個の磁石を備えていてもよい。アセンブリあたり1個の磁性要素の代わりに、図示されたように構成されたアセンブリあたり複数の磁性要素によって、より大きなばね速度(spring rate)が達成され得る。アセンブリあたり2個の磁性要素の使用は、結果として、アセンブリあたり1個の磁性要素よりも大きなばね速度によって安定位置からの両方向性の軸移動(すなわち、安定点の上下への移動)を補正する傾向がある軸受をもたらす。
【0104】
軸方向磁気軸受によって発生する磁力は、その軸方向成分に加えて、半径方向成分を示す。この半径方向成分は、インペラーを脱安定化させる傾向がある。詳細には、この半径方向成分は、図1または図2のいずれかの磁気軸受に対して、半径方向の位置不安定性を誘導する。
【0105】
この半径方向の不安定性は、半径方向の流体力学的軸受を用いて克服され得る。図1を参照すると、ポンプは、ローターの孔に沿ってスピンドル130とローターとの間に配置された、半径方向の流体力学的軸受(すなわち、流体力学的ジャーナル軸受)に合わせて設計され得る。図1に示されるクリアランスは、誇張されている。流体力学的ジャーナル軸受は、狭いクリアランスが有効であることを必要とする。種々の実施形態において、流体力学的ジャーナル軸受のクリアランスは、0.0005〜0.020インチの範囲である。軸方向(スラスト)または半径方向(ジャーナル)流体力学的軸受に適切な幾何学的形状の表面は、ローター上またはハウジング(もしくはスピンドル)の関連する部分上のいずれかに配置され得る。一実施形態において、この幾何学的形状の表面は、1つ以上のパッドのような特徴(すなわち、均一な高さの段のようなクリアランスの急激な変化を生じる特徴)を含む。代替的実施形態において、この幾何学的形状の表面は、1つ以上のテーパーのような特徴を含む。
【0106】
図4は、インペラーを備えるローター400の一実施形態を示す。このインペラーは、動作流体(例えば、血液)をポンプで送るために使用される複数の羽根420を備える。このローターは、孔410を備える。このローター孔は、ポンプハウジング内部のスピンドルの長軸に沿って同軸状に並べられる。駆動磁石(示さず)は、ローターの羽根のついていない部分430内(すなわち、ローター内部であるが、ローターのインペラー部分のいずれかの羽根の内部ではない)に配置される。したがって、モーターローターとポンプインペラーとは、一体化され、よって駆動軸を必要としない。駆動軸の排除により、ポンプの軸のシールの排除もまた可能となる。
【0107】
一実施形態において、ローターは、溝付きの孔を有する。詳細には、この孔は、1つ以上のらせん状の溝450を有する。この孔溝は、0ではない軸方向のピッチを有する。
溝は、ポンプの操作の間、ポンプの動作流体と流体連絡される。
【0108】
図5は、供給源520から目的位置530まで動作流体540を動かすように動作可能に結合されたポンプ510を示す。第一の動作流体導管522は、上記供給源をポンプ入口514に結合する。第二の動作流体導管532は、ポンプ出口516を上記目的位置に結合する。上記動作流体は、供給源から目的位置までポンプによって動かされる流体である。医療用途において、例えば、この動作流体は血液であり得る。一実施形態において、上記供給源および目的位置は、動脈であり、したがって、ポンプは、血液を1つの動脈から別の動脈へと移動する。
【0109】
回転ポンプのための機械的接触式軸受の代替物として、種々の「非接触式」軸受機構が記載された。特に、ローター設計、インペラー設計、およびハウジング設計の特徴が提供されて、流体力学的軸受または磁気軸受が実現される。これらの設計の特徴は、所望される場合、互いに合わせて使用され得る。
【0110】
上述の詳細な説明において、本発明は、それらの特定の例示的実施形態を参照して記載されている。これらに対して、特許請求の範囲に示された本発明の広範な精神および範囲を逸脱することなく、種々の改変および変更がなされ得る。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示としてみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプで送る間に遠心血液ポンプ中のローターを懸架する方法であって:
中心ポストおよび該中心ポストの周りの回転のためのローターを有するハウジングアセンブリを提供する工程;
該ローターを該中心ポストの周りで該ハウジング中に配置する工程;
該ローターを第一の方向に軸方向に付勢する工程;
該ローターを回転させ、それによって血液を送る工程;
該ローターの該付勢に対向して、該ローターに対する流体力学的な力を誘導する工程;
該ローターの回転の間に該ハウジングアセンブリ中に該ローターを懸架するように、該付勢と該流体力学的な力を釣り合わせる工程;を包含する、方法。
【請求項2】
前記流体力学的な力を誘導する工程が、前記ローターと前記ハウジングアセンブリとの間の輪郭をつけられた表面上に血液のフィルムを形成させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記輪郭をつけられた表面が、曲がった、かつテーパー状の傾斜である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記輪郭をつけられた表面が、前記ローター上に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ローターを第一の方向に軸方向に付勢する工程を改変するように、前記中心ポストと前記ローターとの間の受動軸方向磁気軸受の形態を調節する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調節が、前記受動軸方向磁気軸受の中心ポスト構成要素を、前記受動軸方向磁気軸受のローター構成要素に対して軸方向に移動することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記血液の漏れ流れを、前記中心ポストと前記ローターとの間の環状ギャップ間で起こるようにする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−50110(P2013−50110A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248333(P2012−248333)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2010−258401(P2010−258401)の分割
【原出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(501356215)ソーラテック コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】