回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法
【課題】鋼管に関する情報を測定すると共に記憶・管理することが可能な回転式鋼管打設施工管理システムを提供する。
【解決手段】本発明の回転式鋼管打設施工管理システムは、鋼管(3)を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管(3)に取り付けられたターゲット(9)の自動追尾を行い、前記ターゲット(9)に係る位置情報を取得するトータルステーション(10)と、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置(20)と、からなることを特徴とする。
【解決手段】本発明の回転式鋼管打設施工管理システムは、鋼管(3)を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管(3)に取り付けられたターゲット(9)の自動追尾を行い、前記ターゲット(9)に係る位置情報を取得するトータルステーション(10)と、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置(20)と、からなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理するために用いられる回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弱い地盤の上に建物を建設する際には、地盤に対して予め鋼管を打っておき、基礎を固めることがしばしば行われる。このような鋼管打設においては、その施工を管理するための管理システムなどがいくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2006−299669号公報)には、検出手段によって、鋼管打設機に付設された検出手段4と、検出手段4 により検出される深度データ、回転トルク、押し込み力、1回転あたりの貫入量等の各種情報を記憶する記憶部6とを有する杭施工管理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−299669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の鋼管打設施工管理システムにおいては、検出手段によって、深度データ、回転トルク、押し込み力、1回転あたりの貫入量が検出されて、これらのデータが記憶されるようになっているが、鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を検出して記憶しておくことについては開示がない。鋼管を旋回させながら地中に圧入することにより、鋼管を地面に打設する工法においては、鋼管の回転に伴い、鋼管が傾斜して、設計杭芯からずれてしまうことなどが考えられるが、従来このような傾斜を検出して管理を行う技術がなく問題であった。
【0005】
また、上記のように、従来、このような鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができなかったため、鋼管の偏心量が規格値を超過しても、打設途中には把握できなかった。その結果、打設作業の手戻りが大きくなり、作業時間のロスが生じた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題を解決するために、請求項1に係る発明は、
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得するトータルステーションと、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加し、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出し、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記位置情報によって規定される平面を求め、前記平面から鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得するトータルステーションと、前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出し、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出し、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出する工程と、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出する工程と、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出する工程と、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報によって規定される平面を求める工程と、前記平面から鋼管傾きを算出する工程と、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得する工程と、前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出する工程と、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出する工程と、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出する工程と、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0017】
本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図8】鋼管芯座標(xo,yo)の算出方法を説明する図である。
【図9】近似面Hから鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図18】鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図19】鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程・施工管理工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、回転式鋼管打設施工管理システム、回転式鋼管打設施工管理方法によって、鋼管打設の施工を管理するための準備工程について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【0020】
図1(A)は円筒中空状の鋼管3に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9を取り付ける工程を示したものである。このような鋼管3としてスパイラル状の回転翼付きの鋼管を用いるようにしてもよい。
【0021】
図2は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。全方位プリズム式ターゲット9はターゲット取り付け部材8に取り付けられ、鋼管3の外周から所定距離離間されて配置されるようにされている。
【0022】
図2において、線A−A’は鋼管3の中心線を示している。また、この線A−A’と、鋼管3の一方の開口端部がなす平面との交点がQである。このQ点から距離H1にある点
Rからの垂線上の距離D1の点に、ちょうど全方位プリズム式ターゲット9の基準位置が
くるように、第1の全方位プリズム式ターゲット9は取り付けられる。前記の点Rの座標は、(ターゲット9の基準位置から求められる)鋼管芯の座標と称するものとする。
【0023】
本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法においては、上記のようにして鋼管3に取り付けられた第1の全方位プリズム式ターゲット9が、トータルステーション10によって自動追尾されることによって、基準位置が求められるようになっているが、鋼管3は回転しながら地中に圧入する工法が採用されているため、第1の全方位プリズム式ターゲット9の鋼管3の裏側を回転しているときには、トータルステーション10にとって各ターゲットが死角に入ってしまうこととなる。
【0024】
図3は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。図3は鋼管3とこれに取り付けられたターゲットと、トータルステーション10とを模式的にみた上面図である。図に示されるように、ターゲットが鋼管3の外周囲φの範囲内に存在するときに、ターゲットはトータルステーション10から追尾可能となり、基準位置に係る情報を取得することが可能となる。
【0025】
ここで、鋼管3の直径が2000mmで、全方位プリズム式ターゲット9が鋼管3から50cm張り出すように取り付けられており、これらのターゲットを追尾するトータルステーションがおよそ鋼管3から30m離れて設置されている場合には、φは約270°となり測定されたターゲットの位置から鋼管芯座標を算出するのに問題はない。なお、このような実数値例によって、本発明が限定されることはなく、あくまで一例であることを付記しておく。
【0026】
図1(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、鋼管3を打設する際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出している様子を示している。図
1(B)で設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)を割り出して、鋼管3の打設が終了するま
で、トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0027】
ここで、トータルステーション10は、ターゲットを自動追尾して、このターゲットに対して光波を射出し、ターゲットで反射された光波を計測することによって、ターゲットとの間の距離、鉛直角度、水平角度を取得して、当該ターゲットの位置座標を算出するも
のである。また、このようなトータルステーション10は一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本実施形態では、このようなインターフェイスに、パーソナルコンピューター20が接続されている。このようなパーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用のものを用いることができる。また、パーソナルコンピューター20には計時機能も内蔵されており、トータルステーション10がターゲットを測定し、このデータを取り込んだ時刻を取得することができるようになっている。
【0028】
なお、トータルステーション10は、従来周知の方法によって絶対座標が既知であるポイントに設置されているものとする。
【0029】
パーソナルコンピューター20はトータルステーション10で取得されたデータを取り込んで、データ処理を行うことができるプログラムが不図示の記憶部に記憶されている。本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる処理はこのようなプログラムに基づいて実行されるものである。
【0030】
図1(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づい
て全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0031】
さらに、図1(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図1(A)で説明した鋼管3を取り付けた状態を示している。図1(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、鋼管3を地中に圧入する。
【0032】
図4は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。全旋回式鋼管打設機7による鋼管3の圧入工程では、鋼管3に取り付けられている全方位プリズム式ターゲット9を、トータルステーション10によって自動追尾させて、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置を取得するようになっている。また、パーソナルコンピューター20は、トータルステーション10がターゲットの基準位置を取得した際の時刻も計時し、前記基準位置データに計時した時刻データを付加するように設定される。
【0033】
次に、トータルステーション10が、どのようなデータを取得するかについてより詳しく説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。図5(A)は鋼管3の実際の回転を示しており、図5(B)は鋼管3が圧入しているときに取得されるデータを模式的に示し、図5(C)は鋼管3が空回りしているときに取得されるデータを模式的に示している。
【0034】
例えばトータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が1回転して、地中に圧入する間に、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置の3次元位置座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,
y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)を取得する。
【0035】
また、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が地中に圧入せず、空回りしている間には、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置の3次元位置座標と、当該位置座標が空回りをしているときのものであることを示すフラグfとで構成されるデータP1(x1,y1,z1;f),P2(x2,y2,z2;f),P3(x3,y3,z3;f),・・・,P10(x10,y10,z10;f)を取得する。なお、フラグfに代えて、他のデータを付加するようにしてもよい。例えば、何回転目の空回し時に取得されたデータであることを示すデータを付加するようにしてもよい。
【0036】
トータルステーション10は、ターゲットが追尾可能な位置に存在する間、上記のような位置データ取得を継続する。また、トータルステーション10で取得されたデータは、パーソナルコンピューター20側に順次送信され、前記位置データに時刻データが付加される。パーソナルコンピューター20側では受信したトータルステーション10からの位置データに時刻データを付加して記憶すると共に、さらに位置データ・時刻データに対してデータ処理を行い、データ処理済みのデータについても記憶する処理を実行する。
【0037】
次に、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20によって実行されるデータ取得処理について説明する。図6は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【0038】
図6において、ステップS100で、データ取得処理が開始されると、ステップS101においては、変数N、Mそれぞれに対して1がセットされる。変数Nは鋼管3が圧入されている時に回転した数をカウントするカウンタであり、変数Nは鋼管3が空回しされている時に、回転した数をカウントするカウンタである。
【0039】
ステップS102の判定がYESであるときに進むステップS102では、鋼管3が圧入中であるか否かが判定される。なお、このような判定のためのデータとしては、全旋回式鋼管打設機7から入力されるようにしてもよいし、パーソナルコンピューター20からマニュアルで入力されるようにしてもよい。
【0040】
ステップS103では、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS104では、全方位プリズム式ターゲット9の当該位置データに時刻データを付加する。
【0041】
次のステップS105では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS105の判定がNOであるときにはステップS103に戻り、当該判定がYESであるときにはステップS106に進む。
【0042】
ステップS106では、Nが1インクリメントされ、続くステップS111では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS111の判定がNOであるときにはステップS102に戻り、判定がYESであるときにはステップS112に進み処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS102の判定がYESであるときに進むステップS107では、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS108においては、全方位プリズム式ターゲット9の位置データにM回目の空回しデータであることを示すデータを付加する。
【0044】
ステップS109では、M回目の空回しが終了したか否かが判定される。ステップS109における判定がNOであるときにはステップS107に戻りループし、判定がYESであるときにはステップS110に進む。
【0045】
ステップS110では、Mが1インクリメントされ、続くステップS111では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS111の判定がNOであるときにはステップS102に戻り、判定がYESであるときにはステップS112に進み処理を終了する。
【0046】
次に、以上のようにトータルステーション10・パーソナルコンピューター20で取得
されたデータをパーソナルコンピューター20でデータ処理する方法について説明する。図7は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ処理のフローチャートを示す図である。
【0047】
図7において、ステップS200で、取得されたデータの処理が開始されると、続くステップS201においては、N=1、M=1がセットされる。
【0048】
ステップS202においては、まず第N回点目の圧入時における全方位プリズム式ター
ゲット9の1回転分のデータを取得する。
【0049】
続く、ステップS203では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0050】
ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)で、P1,P2,P3,・・・,P10の各点が1つの楕円上に存在するものと仮定する。鋼管芯座標を(
xo,yo)とし、長軸と楕円の交点と鋼管芯座標(xo,yo)との間の長さをa、短軸と
楕円の交点と鋼管芯座標(xo,yo)との間の長さをb、楕円の傾きをθとすると、下式(1)が成立する。
【0051】
【数1】
式(1)をxi、yi(i=1,2,・・・10)について整理すると式(2)となる。
【0052】
【数2】
各項の未知数部分に対して、変数A,B,C,D,Eを用いて、下式(3)で表すこととする。
【0053】
【数3】
式(3)の2乗和が最小になるようにA〜Eの値をきめてやればいいことになる。2乗和は式(4)で表すことができる。
【0054】
【数4】
上式(4)をA〜Eについて変微分し、行列式で表すと下式(5)になる。
【0055】
【数5】
左から(5)式中左辺の左の行列式の逆行列を掛ければA,B,C,D,Eを下式(6)の行列演算で求めることができる。
【0056】
【数6】
(6)式のxi,yiに10個の測定データP1(x1,y1),P2(x2,y2)・・・P10 (x10,y10)のデータを当てはめて行列演算でA,B,C,D,Eを計算する。
【0057】
例えば
【0058】
【数7】
A,B,C,D,Eが求まれば、鋼管芯座標x0,y0は下式(8)により求めることができる。
【0059】
【数8】
また、ステップS204においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(
x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10
;t10)であるときには、鋼管高さ(zo)は下式のように求めることができる。
【0060】
【数9】
続く、ステップS205においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻toとして抽
出する。
【0061】
ステップS206においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(zo)とtoとから厚入速度Voを算出する。
【0062】
ステップS207においては、圧入回転時に取得された全てのデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS208でNを1インクリメントし、ステップS202に戻り、YESであるときにはステップS209に進む。
【0063】
ステップS209においては、第M回点目の空回し時における全方位プリズム式ターゲット9の1回転分のデータを取得する。
【0064】
次のステップS210においては、取得したデータから規定される全方位プリズム式ターゲット9の近似面Hを算出する。ここで、ここで、第M回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)であるときには、近似面Hを求める。この近似面H(平面)は、P1,P2,P3,…P10がその上に存在するものと仮定する平面である。ここで、平
面Hの方程式は、高さをz、面の縦横方向をx,yとすると下式(10)となる。
【0065】
【数10】
本例のように、10個の取得データを、点群P(xi,yi,zi)(i=1…10)とし、a,b,cを未知数とする。また、平面Hと各点の高さデータの差をEiとすると式(
11)となる。
【数11】
Eiの二乗の和をFで表すとすると下式(12)となる。
【0066】
【数12】
式(1)におけるFを最小とするa,b,cを求める最小二乗法により、以下計算する。Fはa,b,cについて2次の関数なので、最小値を求めるにはa,b,cについて偏微分した式が0となる極値を求める。a,b,cについて偏微分すると(13)式、(14)式、(15)式となり、3元連立方程式となる。
【0067】
【数13】
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
これを行列に書き直すと(16)式で表すことができる。
【0070】
【数16】
次に、(16)式左辺の左側の行列の逆行列を両辺に乗じて、式(17)を得る。これにより未知数a,b,cを求めることができる。a,b,cを求め、(10)式に代入することで平面の方程式ができる。
【0071】
【数17】
ステップS211では、前記近似面Hから鋼管3の傾きθを算出する。ここで、傾きθは下式のように求めることができる。
【0072】
式(10)乃至式(20)で求めた(a,b,c)は面Hの法線ベクトルである。(図
9参照。)法線ベクトルをQとするとQ(a,b,c)のz軸に対する角度を傾斜角とし、Q(a,b,c)のxy平面上の方向を傾斜方向として計算する。
【0073】
Q(a,b,c)は面Hの法線ベクトルを表す。鋼管3の傾斜は法線ベクトルQ(a,
b,c)の、z軸に対する傾きθで表すことができ、方向は測量座標系の方位角φで表す。
【0074】
法線ベクトルnの大きさを|n’|とすると、傾きθは(18)で算出することができる。
【0075】
【数18】
また、方位角φは式(19)で算出できる。
【0076】
【数19】
ステップS212においては、空回し回転時に取得された全てのデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS213でMを1インクリメントし、ステップS209に戻り、YESであるときにはステップS214に進み、上記のような各処理で算出された各算出データを、パーソナルコンピューター20の記憶部(不図示)に記憶する処理を実行する。このような処理によって記憶されるデータの構造を図10に示す。図10は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。続いて、ステップS215に進み、データ処理を終了する。
【0077】
以上のような本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管3を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0078】
また、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【0079】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態においては、鋼管3の傾きを算出するために鋼管3の空回しを行い、データ取得するようにしていた。これに対して、本第2実施形態においては、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲットを2つ鋼管3に取り付けて、これら2つのターゲットからの情報を得て、鋼管3の傾きを算出するように構成する。以下、詳しく第2実施形態について説明する。
【0080】
まず、回転式鋼管打設施工管理システム、回転式鋼管打設施工管理方法によって、鋼管打設の施工を管理するための準備工程について説明する。図11は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【0081】
図11(A)は円筒中空状の鋼管3に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9、9’を取り付ける工程を示したものである。このような鋼管3としてスパイラル状の回転翼付きの鋼管を用いるようにしてもよい。
【0082】
図12は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。第1の全方位プリズム式ターゲット9及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’はいずれも、ターゲット取り付け部材8に取り付けられ、鋼管3の外周からそれぞれ所定の距離を離間されて配置される
ようにされている。
【0083】
図12において、線A−A’は鋼管3の中心線を示している。また、この線A−A’と、鋼管3の一方の開口端部がなす平面との交点がQである。このQ点から距離H1にある
点Rからの垂線上の距離D1の点に、ちょうど第1の全方位プリズム式ターゲット9の基
準位置(第1位置)がくるように、第1の全方位プリズム式ターゲット9は取り付けられる。
【0084】
また、Q点から距離H2にある点Sからの垂線上の距離D2(ただし、D1<D2)の点に、ちょうど第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第2位置)がくるように、第2の全方位プリズム式ターゲット9’は取り付けられる。
【0085】
ここで、第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第1位置)と第2の全方位プリズム式ターゲット9’ の基準位置(第2位置)とは、任意の位置とすることができ
るが、第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第1位置)と第2の全方位プリズム式ターゲット9’ の基準位置(第2位置)とを結ぶ線が、線A−A’と平行となる
ように設定されていると、計算を簡略化することが可能である。
【0086】
本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法においては、上記のようにして鋼管3に取り付けられた第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’が、トータルステーション10によって自動追尾されることによって、第1位置と第2位置とが求められるようになっているが、鋼管3は回転しながら地中に圧入する工法が採用されているため、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の鋼管3の裏側を回転しているときには、トータルステーション10にとって各ターゲットが死角に入ってしまうこととなる。
【0087】
図13は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。図13は鋼管3とこれに取り付けられたターゲットと、トータルステーション10とを模式的にみた上面図である。図に示されるように、ターゲットが鋼管3の外周囲φの範囲内に存在するときに、ターゲットはトータルステーション10から追尾可能となり、第1位置と第2位置に係る情報を取得することが可能となる。
【0088】
ここで、鋼管3の直径が2000mmで、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’が鋼管3から50cm張り出すように取り付けられており、これらのターゲットを追尾するトータルステーションがおよそ鋼管3から30m離れて設置されている場合には、φは約270°となり測定されたターゲットの位置から鋼管芯座標を算出するのに問題はない。なお、このような実数値例によって、本発明が限定されることはなく、あくまで一例であることを付記しておく。
【0089】
図11(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、鋼管3を打つ際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出している様子を示している。図1
1(B)で鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)を割り出して、鋼管3の打設が終了するまで、
トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0090】
ここで、トータルステーション10は、ターゲットを自動追尾して、このターゲットに対して光波を射出し、ターゲットで反射された光波を計測することによって、ターゲットとの間の距離、鉛直角度、水平角度を取得して、当該ターゲットの位置座標を算出するものである。また、このようなこのようなトータルステーション10は一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本第2実施形態では、この
ようなインターフェイスに、パーソナルコンピューター20が接続されている。このようなパーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用のものを用いることができる。また、パーソナルコンピューター20には計時機能も内蔵されており、トータルステーション10がターゲットを測定し、このデータを取り込んだ時刻を取得することができるようになっている。
【0091】
なお、トータルステーション10は、従来周知の方法によって絶対座標が既知であるポイントに設置されているものとする。
【0092】
パーソナルコンピューター20はトータルステーション10で取得されたデータを取り込んで、データ処理を行うことができるプログラムが不図示の記憶部に記憶されている。本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる処理はこのようなプログラムに基づいて実行されるものである。
【0093】
なお、第2実施形態においては、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’のそれぞれを追尾するために独立した2台トータルステーションを設け、これら2台トータルステーションをパーソナルコンピューター20に接続するようにこうせいしてもよい。
【0094】
図11(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づ
いて全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0095】
さらに、図11(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図11(A)で説明した鋼管3を取り付けた状態を示している。図11(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、鋼管3を地中に圧入する。
【0096】
図14は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。全旋回式鋼管打設機7による鋼管3の圧入工程では、鋼管3に取り付けられている第1の全方位プリズム式ターゲット9及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’を、トータルステーション10によって自動追尾させて、第1の全方位プリズム式ターゲット9に係る第1位置、及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’に係る第2位置を取得するようになっている。また、パーソナルコンピューター20は、トータルステーション10がターゲットの位置を取得した際の時刻も計時しておくように設定される。
【0097】
次に、トータルステーション10が、どのようなデータを取得するかについてより詳しく説明する。図15は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。図15(A)は鋼管3の実際の回転を示しており、図15(B)はそれに対応する間にトータルステーション10で取得されるデータを模式的に示している。
【0098】
例えばトータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が1回転する間に、第1の全方位プリズム式ターゲット9に係る第1位置の3次元位置座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;
t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)を取得し、第2の全方位プリズム式ターゲット9’に係る第2位置の座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(x'10,y'10,z'10;t'10)を取得
する。
【0099】
トータルステーション10は、ターゲットが追尾可能な位置に存在する間、上記のような位置データ取得を継続する。また、トータルステーション10で取得されたデータは、パーソナルコンピューター20側に送信され、前記位置データに時刻データが付加される。パーソナルコンピューター20側では受信したトータルステーション10からの位置データに時刻データを付加して記憶すると共に、さらに位置データ・時刻データに対してデータ処理を行い、データ処理済みのデータについても記憶する処理を実行する。
【0100】
次に、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20によって実行されるデータ取得処理について説明する。図16は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【0101】
図16において、ステップS300で、データ取得処理が開始されると、ステップS301においては、変数Nに対して1がセットされる。変数Nは鋼管3が圧入されている時に回転した数をカウントするカウンタである。
【0102】
ステップS302では、第1の全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS303では、第1の全方位プリズム式ターゲット9の当該位置データに時刻データを付加する。
【0103】
次のステップS304では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS304の判定がNOであるときにはステップS305に進み、当該判定がYESであるときにはステップS308に進む。
【0104】
ステップS305では、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の位置データを取得し、次のステップS306では、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の当該位置データに時刻データを付加する。
【0105】
次のステップS3075では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS307の判定がNOであるときにはステップS302に戻り、当該判定がYESであるときにはステップS308に進む。
【0106】
ステップS308では、Nが1インクリメントされ、続くステップS109では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS109の判定がNOであるときにはステップS302に戻り、判定がYESであるときにはステップS110に進み処理を終了する。
【0107】
次に、以上のようにトータルステーション10・パーソナルコンピューター20で取得されたデータをパーソナルコンピューター20でデータ処理する方法について説明する。図17は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ処理のフローチャートを示す図である。
【0108】
図17において、ステップS200で、取得されたデータの処理が開始されると、続くステップS201においては、N=1がセットされる。
【0109】
ステップS402においては、まず第N回点目における第1の全方位プリズム式ターゲ
ット9の1回転分のデータを取得する。図15を例に挙げるならば、ステップS402で取得されるデータはP1,P2,P3,・・・,P10の各データが取得される。
【0110】
続く、ステップS403では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0111】
ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)であるとき
には、鋼管芯座標(xo,yo)は、式(8)により算出することができる。
【0112】
また、ステップS404においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(
x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10
;t10)であるときには、鋼管高さ(zo)は、式(9)により算出することができる。
【0113】
続く、ステップS405においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻toとして抽
出する。
【0114】
ステップS406においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(zo)とtoとから厚入速度Voを算出する。
【0115】
ステップS407においては、まず第N回点目における第2の全方位プリズム式ターゲ
ット9’の1回転分のデータを取得する。図15を例に挙げるならば、ステップS407で取得されるデータはP'1,P'2,P'3,・・・,P'10の各データが取得される。
【0116】
続く、ステップS408では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0117】
ここで、第N回点目のデータがP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(x'10,y'10,z'10;t'10)であるとき、鋼管芯座標(x'o,y'o)は、式(1)乃至式(8)で説明した
方法と同様の方法で求めることができる。
【0118】
また、ステップS409においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),
P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(
x'10,y'10,z'10;t'10)であるとき、鋼管高さ(z'o)は、式(9)と同様の方法で求めることができる。
【0119】
続く、ステップS410においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻t'oとして抽出する。
【0120】
ステップS411においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(z'o)とt'oとから厚入速度V'oを算出する。
【0121】
次の、ステップS412においては、実測鋼管芯位置座標(xo,yo,zo)と実測鋼
管芯位置座標(x'o,y'o,z'o)とから鋼管の傾きθを算出する。ここで、鋼管の傾きθは以下のように求めることができる。
【0122】
先に求めた鋼管高さ(zo)と鋼管高さ(z'o)の差をΔzとする。すなわち、式(2
0)とする。
【0123】
【数20】
第1の全方位プリズム式ターゲット9による上部の鋼管芯座標(xo,yo,zo)、及
び、第2の全方位プリズム式ターゲット9'による下部の鋼管芯座標 (x'o,y'o,z'o)をxy平面に投影したときの座標を、それぞれO(xo,yo)、O'(x'o,y'o)とする。(図18、図19参照。)上下プリズムとも回転中心はxy平面上にある。
【0124】
xy平面上における中心O’を基準にしたときの中心OへのベクトルをSNとするとSNの大
きさは式(21)となる。またベクトルSRの大きさはΔzに均しく、式(22)で表すことができる。(図18、図19参照。)
【0125】
【数21】
【0126】
【数22】
したがって、z軸に対する傾斜θは下式(23)となる。
【0127】
【数23】
また、方位角φは下式(24)となる。
【0128】
【数24】
ステップS413においては、全ての回転分のデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS414でNを1インクリメントし、ステップS402に戻り、YESであるときにはステップS415に進み、上記のような各処理で算出された各算出データを、パーソナルコンピューター20の記憶部(不図示)に記憶する処理を実行する。このような処理によって記憶されるデータの構造を図20に示す。図20は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。続いて、ステップS416に進み、データ処理を終了する。
【0129】
以上のような第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管3を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0130】
また、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【0131】
次に、本発明の他の実施形態である第3実施形態について説明する。これまで説明した実施形態においては、1本の鋼管3を旋回させながら打設する施工の管理を例に挙げて説明してきたが、本発明においてはこのような1本の鋼管3の施工管理以外にも、連結しつつ打設するケーシングチューブ4の施工管理に用い得るので、以下、このようなケーシングチューブ4の施工管理について説明する。なお、特許請求の範囲における「鋼管」は、このようなケーシングチューブ4をも含む上位概念的な用語として用いている。
【0132】
なお、本発明において、ケーシングチューブ4の施工管理を行う上で、全方位プリズム式ターゲットを1つ用いる第1実施形態に係る方法、全方位プリズム式ターゲットを2つ用いる第2実施形態に係る方法のいずれも用いることができるが、以下の例では前者の方法を例に説明する。
【0133】
図21は本発明の第3実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程・施工管理工程を説明する図である。
【0134】
ケーシングチューブ4は、例えば、ケーシングチューブ4−1、ケーシングチューブ4−2、ケーシングチューブ4−3、ケーシングチューブ4−4を順次連結しつつ、地中に打設するように構成されるものである。図21(A)は、最初に打設を行う円筒中空状のケーシングチューブ4―1に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9を取り付ける工程を示したものである。トータルステーション10の取り付け等については第1実施形態と同様の方法を採用することができる。
【0135】
図21(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、最初のケーシングチューブ4−1を打設する際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出し
ている様子を示している。図21(B)で鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出
した後、ケーシングチューブ4全体の打設が終了するまで、トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0136】
図21(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づ
いて全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0137】
さらに、図21(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図21(A)で説明したケーシングチューブ4−1を取り付けた状態を示している。図21(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、ケーシングチューブ4―1を地中に圧入する。
【0138】
図21(D)におけるケーシングチューブ4―1の打設工程中は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得して、パーソナルコンピューター20にデータを取り込むようにする。
【0139】
次に、ケーシングチューブ4―1の打設が完了すると、図21(E)に示すように、ケーシングチューブ4―1にケーシングチューブ4―2を連結すると共に、ケーシングチューブ4―2に全方位プリズム式ターゲット9を取り付けるようにする。ケーシングチューブ4―2の打設工程中においても、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得して、パーソナルコンピューター20にデー
タを取り込むようにする。以上のような工程を、ケーシングチューブ4全体が打設されるまで、順次繰り返して、ケーシングチューブ4全体の打設工程中のデータを、パーソナルコンピューター20に取り込み、取り込まれたデータに基づいて施工管理データを作成する。このような管理データの作成は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法を用いることができる。
【0140】
以上のようなケーシングチューブ4を用いた打設においても、これまで説明した実施形態と同様の効果を享受することが可能である。
【0141】
なお、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び方法は、ケーシングチューブ(或いは、鋼管)の打設を行いながら、ケーシングチューブ中の土砂をハンバーグラブ(ベノト機)で取り除く、所謂、中堀を行う工法の施工管理についても適用可能であるし、また、このような中堀を行わない工法の施工管理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0142】
3・・・鋼管
4・・・ケーシングチューブ
6・・・ターゲット
7・・・全旋回式鋼管打設機
8・・・ターゲット取り付け部材
9、9’・・・全方位プリズム式ターゲット
10・・・トータルステーション
20・・・パーソナルコンピューター(情報処理装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理するために用いられる回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弱い地盤の上に建物を建設する際には、地盤に対して予め鋼管を打っておき、基礎を固めることがしばしば行われる。このような鋼管打設においては、その施工を管理するための管理システムなどがいくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2006−299669号公報)には、検出手段によって、鋼管打設機に付設された検出手段4と、検出手段4 により検出される深度データ、回転トルク、押し込み力、1回転あたりの貫入量等の各種情報を記憶する記憶部6とを有する杭施工管理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−299669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の鋼管打設施工管理システムにおいては、検出手段によって、深度データ、回転トルク、押し込み力、1回転あたりの貫入量が検出されて、これらのデータが記憶されるようになっているが、鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を検出して記憶しておくことについては開示がない。鋼管を旋回させながら地中に圧入することにより、鋼管を地面に打設する工法においては、鋼管の回転に伴い、鋼管が傾斜して、設計杭芯からずれてしまうことなどが考えられるが、従来このような傾斜を検出して管理を行う技術がなく問題であった。
【0005】
また、上記のように、従来、このような鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができなかったため、鋼管の偏心量が規格値を超過しても、打設途中には把握できなかった。その結果、打設作業の手戻りが大きくなり、作業時間のロスが生じた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題を解決するために、請求項1に係る発明は、
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得するトータルステーションと、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加し、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出し、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システムにおいて、前記情報処理装置が、前記位置情報によって規定される平面を求め、前記平面から鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得するトータルステーションと、前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出し、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出し、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出する工程と、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加する工程と、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出する工程と、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出する工程と、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、前記位置情報によって規定される平面を求める工程と、前記平面から鋼管傾きを算出する工程と、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る発明は、鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得する工程と、前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出する工程と、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出する工程と、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出する工程と、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0017】
本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図8】鋼管芯座標(xo,yo)の算出方法を説明する図である。
【図9】近似面Hから鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【図18】鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図19】鋼管3の傾きθを算出するする方法を説明する図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。
【図21】本発明の第3実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程・施工管理工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、回転式鋼管打設施工管理システム、回転式鋼管打設施工管理方法によって、鋼管打設の施工を管理するための準備工程について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【0020】
図1(A)は円筒中空状の鋼管3に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9を取り付ける工程を示したものである。このような鋼管3としてスパイラル状の回転翼付きの鋼管を用いるようにしてもよい。
【0021】
図2は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。全方位プリズム式ターゲット9はターゲット取り付け部材8に取り付けられ、鋼管3の外周から所定距離離間されて配置されるようにされている。
【0022】
図2において、線A−A’は鋼管3の中心線を示している。また、この線A−A’と、鋼管3の一方の開口端部がなす平面との交点がQである。このQ点から距離H1にある点
Rからの垂線上の距離D1の点に、ちょうど全方位プリズム式ターゲット9の基準位置が
くるように、第1の全方位プリズム式ターゲット9は取り付けられる。前記の点Rの座標は、(ターゲット9の基準位置から求められる)鋼管芯の座標と称するものとする。
【0023】
本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法においては、上記のようにして鋼管3に取り付けられた第1の全方位プリズム式ターゲット9が、トータルステーション10によって自動追尾されることによって、基準位置が求められるようになっているが、鋼管3は回転しながら地中に圧入する工法が採用されているため、第1の全方位プリズム式ターゲット9の鋼管3の裏側を回転しているときには、トータルステーション10にとって各ターゲットが死角に入ってしまうこととなる。
【0024】
図3は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。図3は鋼管3とこれに取り付けられたターゲットと、トータルステーション10とを模式的にみた上面図である。図に示されるように、ターゲットが鋼管3の外周囲φの範囲内に存在するときに、ターゲットはトータルステーション10から追尾可能となり、基準位置に係る情報を取得することが可能となる。
【0025】
ここで、鋼管3の直径が2000mmで、全方位プリズム式ターゲット9が鋼管3から50cm張り出すように取り付けられており、これらのターゲットを追尾するトータルステーションがおよそ鋼管3から30m離れて設置されている場合には、φは約270°となり測定されたターゲットの位置から鋼管芯座標を算出するのに問題はない。なお、このような実数値例によって、本発明が限定されることはなく、あくまで一例であることを付記しておく。
【0026】
図1(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、鋼管3を打設する際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出している様子を示している。図
1(B)で設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)を割り出して、鋼管3の打設が終了するま
で、トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0027】
ここで、トータルステーション10は、ターゲットを自動追尾して、このターゲットに対して光波を射出し、ターゲットで反射された光波を計測することによって、ターゲットとの間の距離、鉛直角度、水平角度を取得して、当該ターゲットの位置座標を算出するも
のである。また、このようなトータルステーション10は一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本実施形態では、このようなインターフェイスに、パーソナルコンピューター20が接続されている。このようなパーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用のものを用いることができる。また、パーソナルコンピューター20には計時機能も内蔵されており、トータルステーション10がターゲットを測定し、このデータを取り込んだ時刻を取得することができるようになっている。
【0028】
なお、トータルステーション10は、従来周知の方法によって絶対座標が既知であるポイントに設置されているものとする。
【0029】
パーソナルコンピューター20はトータルステーション10で取得されたデータを取り込んで、データ処理を行うことができるプログラムが不図示の記憶部に記憶されている。本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる処理はこのようなプログラムに基づいて実行されるものである。
【0030】
図1(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づい
て全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0031】
さらに、図1(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図1(A)で説明した鋼管3を取り付けた状態を示している。図1(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、鋼管3を地中に圧入する。
【0032】
図4は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。全旋回式鋼管打設機7による鋼管3の圧入工程では、鋼管3に取り付けられている全方位プリズム式ターゲット9を、トータルステーション10によって自動追尾させて、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置を取得するようになっている。また、パーソナルコンピューター20は、トータルステーション10がターゲットの基準位置を取得した際の時刻も計時し、前記基準位置データに計時した時刻データを付加するように設定される。
【0033】
次に、トータルステーション10が、どのようなデータを取得するかについてより詳しく説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。図5(A)は鋼管3の実際の回転を示しており、図5(B)は鋼管3が圧入しているときに取得されるデータを模式的に示し、図5(C)は鋼管3が空回りしているときに取得されるデータを模式的に示している。
【0034】
例えばトータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が1回転して、地中に圧入する間に、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置の3次元位置座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,
y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)を取得する。
【0035】
また、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が地中に圧入せず、空回りしている間には、全方位プリズム式ターゲット9に係る基準位置の3次元位置座標と、当該位置座標が空回りをしているときのものであることを示すフラグfとで構成されるデータP1(x1,y1,z1;f),P2(x2,y2,z2;f),P3(x3,y3,z3;f),・・・,P10(x10,y10,z10;f)を取得する。なお、フラグfに代えて、他のデータを付加するようにしてもよい。例えば、何回転目の空回し時に取得されたデータであることを示すデータを付加するようにしてもよい。
【0036】
トータルステーション10は、ターゲットが追尾可能な位置に存在する間、上記のような位置データ取得を継続する。また、トータルステーション10で取得されたデータは、パーソナルコンピューター20側に順次送信され、前記位置データに時刻データが付加される。パーソナルコンピューター20側では受信したトータルステーション10からの位置データに時刻データを付加して記憶すると共に、さらに位置データ・時刻データに対してデータ処理を行い、データ処理済みのデータについても記憶する処理を実行する。
【0037】
次に、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20によって実行されるデータ取得処理について説明する。図6は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【0038】
図6において、ステップS100で、データ取得処理が開始されると、ステップS101においては、変数N、Mそれぞれに対して1がセットされる。変数Nは鋼管3が圧入されている時に回転した数をカウントするカウンタであり、変数Nは鋼管3が空回しされている時に、回転した数をカウントするカウンタである。
【0039】
ステップS102の判定がYESであるときに進むステップS102では、鋼管3が圧入中であるか否かが判定される。なお、このような判定のためのデータとしては、全旋回式鋼管打設機7から入力されるようにしてもよいし、パーソナルコンピューター20からマニュアルで入力されるようにしてもよい。
【0040】
ステップS103では、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS104では、全方位プリズム式ターゲット9の当該位置データに時刻データを付加する。
【0041】
次のステップS105では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS105の判定がNOであるときにはステップS103に戻り、当該判定がYESであるときにはステップS106に進む。
【0042】
ステップS106では、Nが1インクリメントされ、続くステップS111では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS111の判定がNOであるときにはステップS102に戻り、判定がYESであるときにはステップS112に進み処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS102の判定がYESであるときに進むステップS107では、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS108においては、全方位プリズム式ターゲット9の位置データにM回目の空回しデータであることを示すデータを付加する。
【0044】
ステップS109では、M回目の空回しが終了したか否かが判定される。ステップS109における判定がNOであるときにはステップS107に戻りループし、判定がYESであるときにはステップS110に進む。
【0045】
ステップS110では、Mが1インクリメントされ、続くステップS111では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS111の判定がNOであるときにはステップS102に戻り、判定がYESであるときにはステップS112に進み処理を終了する。
【0046】
次に、以上のようにトータルステーション10・パーソナルコンピューター20で取得
されたデータをパーソナルコンピューター20でデータ処理する方法について説明する。図7は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ処理のフローチャートを示す図である。
【0047】
図7において、ステップS200で、取得されたデータの処理が開始されると、続くステップS201においては、N=1、M=1がセットされる。
【0048】
ステップS202においては、まず第N回点目の圧入時における全方位プリズム式ター
ゲット9の1回転分のデータを取得する。
【0049】
続く、ステップS203では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0050】
ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)で、P1,P2,P3,・・・,P10の各点が1つの楕円上に存在するものと仮定する。鋼管芯座標を(
xo,yo)とし、長軸と楕円の交点と鋼管芯座標(xo,yo)との間の長さをa、短軸と
楕円の交点と鋼管芯座標(xo,yo)との間の長さをb、楕円の傾きをθとすると、下式(1)が成立する。
【0051】
【数1】
式(1)をxi、yi(i=1,2,・・・10)について整理すると式(2)となる。
【0052】
【数2】
各項の未知数部分に対して、変数A,B,C,D,Eを用いて、下式(3)で表すこととする。
【0053】
【数3】
式(3)の2乗和が最小になるようにA〜Eの値をきめてやればいいことになる。2乗和は式(4)で表すことができる。
【0054】
【数4】
上式(4)をA〜Eについて変微分し、行列式で表すと下式(5)になる。
【0055】
【数5】
左から(5)式中左辺の左の行列式の逆行列を掛ければA,B,C,D,Eを下式(6)の行列演算で求めることができる。
【0056】
【数6】
(6)式のxi,yiに10個の測定データP1(x1,y1),P2(x2,y2)・・・P10 (x10,y10)のデータを当てはめて行列演算でA,B,C,D,Eを計算する。
【0057】
例えば
【0058】
【数7】
A,B,C,D,Eが求まれば、鋼管芯座標x0,y0は下式(8)により求めることができる。
【0059】
【数8】
また、ステップS204においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(
x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10
;t10)であるときには、鋼管高さ(zo)は下式のように求めることができる。
【0060】
【数9】
続く、ステップS205においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻toとして抽
出する。
【0061】
ステップS206においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(zo)とtoとから厚入速度Voを算出する。
【0062】
ステップS207においては、圧入回転時に取得された全てのデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS208でNを1インクリメントし、ステップS202に戻り、YESであるときにはステップS209に進む。
【0063】
ステップS209においては、第M回点目の空回し時における全方位プリズム式ターゲット9の1回転分のデータを取得する。
【0064】
次のステップS210においては、取得したデータから規定される全方位プリズム式ターゲット9の近似面Hを算出する。ここで、ここで、第M回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)であるときには、近似面Hを求める。この近似面H(平面)は、P1,P2,P3,…P10がその上に存在するものと仮定する平面である。ここで、平
面Hの方程式は、高さをz、面の縦横方向をx,yとすると下式(10)となる。
【0065】
【数10】
本例のように、10個の取得データを、点群P(xi,yi,zi)(i=1…10)とし、a,b,cを未知数とする。また、平面Hと各点の高さデータの差をEiとすると式(
11)となる。
【数11】
Eiの二乗の和をFで表すとすると下式(12)となる。
【0066】
【数12】
式(1)におけるFを最小とするa,b,cを求める最小二乗法により、以下計算する。Fはa,b,cについて2次の関数なので、最小値を求めるにはa,b,cについて偏微分した式が0となる極値を求める。a,b,cについて偏微分すると(13)式、(14)式、(15)式となり、3元連立方程式となる。
【0067】
【数13】
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
これを行列に書き直すと(16)式で表すことができる。
【0070】
【数16】
次に、(16)式左辺の左側の行列の逆行列を両辺に乗じて、式(17)を得る。これにより未知数a,b,cを求めることができる。a,b,cを求め、(10)式に代入することで平面の方程式ができる。
【0071】
【数17】
ステップS211では、前記近似面Hから鋼管3の傾きθを算出する。ここで、傾きθは下式のように求めることができる。
【0072】
式(10)乃至式(20)で求めた(a,b,c)は面Hの法線ベクトルである。(図
9参照。)法線ベクトルをQとするとQ(a,b,c)のz軸に対する角度を傾斜角とし、Q(a,b,c)のxy平面上の方向を傾斜方向として計算する。
【0073】
Q(a,b,c)は面Hの法線ベクトルを表す。鋼管3の傾斜は法線ベクトルQ(a,
b,c)の、z軸に対する傾きθで表すことができ、方向は測量座標系の方位角φで表す。
【0074】
法線ベクトルnの大きさを|n’|とすると、傾きθは(18)で算出することができる。
【0075】
【数18】
また、方位角φは式(19)で算出できる。
【0076】
【数19】
ステップS212においては、空回し回転時に取得された全てのデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS213でMを1インクリメントし、ステップS209に戻り、YESであるときにはステップS214に進み、上記のような各処理で算出された各算出データを、パーソナルコンピューター20の記憶部(不図示)に記憶する処理を実行する。このような処理によって記憶されるデータの構造を図10に示す。図10は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。続いて、ステップS215に進み、データ処理を終了する。
【0077】
以上のような本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管3を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0078】
また、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【0079】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態においては、鋼管3の傾きを算出するために鋼管3の空回しを行い、データ取得するようにしていた。これに対して、本第2実施形態においては、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲットを2つ鋼管3に取り付けて、これら2つのターゲットからの情報を得て、鋼管3の傾きを算出するように構成する。以下、詳しく第2実施形態について説明する。
【0080】
まず、回転式鋼管打設施工管理システム、回転式鋼管打設施工管理方法によって、鋼管打設の施工を管理するための準備工程について説明する。図11は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程を説明する図である。
【0081】
図11(A)は円筒中空状の鋼管3に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9、9’を取り付ける工程を示したものである。このような鋼管3としてスパイラル状の回転翼付きの鋼管を用いるようにしてもよい。
【0082】
図12は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における鋼管3への全方位プリズム式ターゲット9の取り付けを説明する図である。第1の全方位プリズム式ターゲット9及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’はいずれも、ターゲット取り付け部材8に取り付けられ、鋼管3の外周からそれぞれ所定の距離を離間されて配置される
ようにされている。
【0083】
図12において、線A−A’は鋼管3の中心線を示している。また、この線A−A’と、鋼管3の一方の開口端部がなす平面との交点がQである。このQ点から距離H1にある
点Rからの垂線上の距離D1の点に、ちょうど第1の全方位プリズム式ターゲット9の基
準位置(第1位置)がくるように、第1の全方位プリズム式ターゲット9は取り付けられる。
【0084】
また、Q点から距離H2にある点Sからの垂線上の距離D2(ただし、D1<D2)の点に、ちょうど第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第2位置)がくるように、第2の全方位プリズム式ターゲット9’は取り付けられる。
【0085】
ここで、第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第1位置)と第2の全方位プリズム式ターゲット9’ の基準位置(第2位置)とは、任意の位置とすることができ
るが、第1の全方位プリズム式ターゲット9の基準位置(第1位置)と第2の全方位プリズム式ターゲット9’ の基準位置(第2位置)とを結ぶ線が、線A−A’と平行となる
ように設定されていると、計算を簡略化することが可能である。
【0086】
本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法においては、上記のようにして鋼管3に取り付けられた第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’が、トータルステーション10によって自動追尾されることによって、第1位置と第2位置とが求められるようになっているが、鋼管3は回転しながら地中に圧入する工法が採用されているため、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の鋼管3の裏側を回転しているときには、トータルステーション10にとって各ターゲットが死角に入ってしまうこととなる。
【0087】
図13は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法におけるトータルステーション10による測定範囲を説明する図である。図13は鋼管3とこれに取り付けられたターゲットと、トータルステーション10とを模式的にみた上面図である。図に示されるように、ターゲットが鋼管3の外周囲φの範囲内に存在するときに、ターゲットはトータルステーション10から追尾可能となり、第1位置と第2位置に係る情報を取得することが可能となる。
【0088】
ここで、鋼管3の直径が2000mmで、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’が鋼管3から50cm張り出すように取り付けられており、これらのターゲットを追尾するトータルステーションがおよそ鋼管3から30m離れて設置されている場合には、φは約270°となり測定されたターゲットの位置から鋼管芯座標を算出するのに問題はない。なお、このような実数値例によって、本発明が限定されることはなく、あくまで一例であることを付記しておく。
【0089】
図11(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、鋼管3を打つ際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出している様子を示している。図1
1(B)で鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)を割り出して、鋼管3の打設が終了するまで、
トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0090】
ここで、トータルステーション10は、ターゲットを自動追尾して、このターゲットに対して光波を射出し、ターゲットで反射された光波を計測することによって、ターゲットとの間の距離、鉛直角度、水平角度を取得して、当該ターゲットの位置座標を算出するものである。また、このようなこのようなトータルステーション10は一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本第2実施形態では、この
ようなインターフェイスに、パーソナルコンピューター20が接続されている。このようなパーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用のものを用いることができる。また、パーソナルコンピューター20には計時機能も内蔵されており、トータルステーション10がターゲットを測定し、このデータを取り込んだ時刻を取得することができるようになっている。
【0091】
なお、トータルステーション10は、従来周知の方法によって絶対座標が既知であるポイントに設置されているものとする。
【0092】
パーソナルコンピューター20はトータルステーション10で取得されたデータを取り込んで、データ処理を行うことができるプログラムが不図示の記憶部に記憶されている。本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる処理はこのようなプログラムに基づいて実行されるものである。
【0093】
なお、第2実施形態においては、第1の全方位プリズム式ターゲット9、第2の全方位プリズム式ターゲット9’のそれぞれを追尾するために独立した2台トータルステーションを設け、これら2台トータルステーションをパーソナルコンピューター20に接続するようにこうせいしてもよい。
【0094】
図11(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づ
いて全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0095】
さらに、図11(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図11(A)で説明した鋼管3を取り付けた状態を示している。図11(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、鋼管3を地中に圧入する。
【0096】
図14は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによる施工管理を説明する図である。全旋回式鋼管打設機7による鋼管3の圧入工程では、鋼管3に取り付けられている第1の全方位プリズム式ターゲット9及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’を、トータルステーション10によって自動追尾させて、第1の全方位プリズム式ターゲット9に係る第1位置、及び第2の全方位プリズム式ターゲット9’に係る第2位置を取得するようになっている。また、パーソナルコンピューター20は、トータルステーション10がターゲットの位置を取得した際の時刻も計時しておくように設定される。
【0097】
次に、トータルステーション10が、どのようなデータを取得するかについてより詳しく説明する。図15は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって取得されるデータを説明する図である。図15(A)は鋼管3の実際の回転を示しており、図15(B)はそれに対応する間にトータルステーション10で取得されるデータを模式的に示している。
【0098】
例えばトータルステーション10及びパーソナルコンピューター20は、鋼管3が1回転する間に、第1の全方位プリズム式ターゲット9に係る第1位置の3次元位置座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;
t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)を取得し、第2の全方位プリズム式ターゲット9’に係る第2位置の座標と、当該位置座標取得時刻としてデータP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(x'10,y'10,z'10;t'10)を取得
する。
【0099】
トータルステーション10は、ターゲットが追尾可能な位置に存在する間、上記のような位置データ取得を継続する。また、トータルステーション10で取得されたデータは、パーソナルコンピューター20側に送信され、前記位置データに時刻データが付加される。パーソナルコンピューター20側では受信したトータルステーション10からの位置データに時刻データを付加して記憶すると共に、さらに位置データ・時刻データに対してデータ処理を行い、データ処理済みのデータについても記憶する処理を実行する。
【0100】
次に、トータルステーション10及びパーソナルコンピューター20によって実行されるデータ取得処理について説明する。図16は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ取得処理のフローチャートを示す図である。
【0101】
図16において、ステップS300で、データ取得処理が開始されると、ステップS301においては、変数Nに対して1がセットされる。変数Nは鋼管3が圧入されている時に回転した数をカウントするカウンタである。
【0102】
ステップS302では、第1の全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得し、次のステップS303では、第1の全方位プリズム式ターゲット9の当該位置データに時刻データを付加する。
【0103】
次のステップS304では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS304の判定がNOであるときにはステップS305に進み、当該判定がYESであるときにはステップS308に進む。
【0104】
ステップS305では、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の位置データを取得し、次のステップS306では、第2の全方位プリズム式ターゲット9’の当該位置データに時刻データを付加する。
【0105】
次のステップS3075では、N回目の1回転が終了したか否かが判定される。ステップS307の判定がNOであるときにはステップS302に戻り、当該判定がYESであるときにはステップS308に進む。
【0106】
ステップS308では、Nが1インクリメントされ、続くステップS109では、データ取得処理が終了したかが判定される。ステップS109の判定がNOであるときにはステップS302に戻り、判定がYESであるときにはステップS110に進み処理を終了する。
【0107】
次に、以上のようにトータルステーション10・パーソナルコンピューター20で取得されたデータをパーソナルコンピューター20でデータ処理する方法について説明する。図17は本発明の第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムにおけるデータ処理のフローチャートを示す図である。
【0108】
図17において、ステップS200で、取得されたデータの処理が開始されると、続くステップS201においては、N=1がセットされる。
【0109】
ステップS402においては、まず第N回点目における第1の全方位プリズム式ターゲ
ット9の1回転分のデータを取得する。図15を例に挙げるならば、ステップS402で取得されるデータはP1,P2,P3,・・・,P10の各データが取得される。
【0110】
続く、ステップS403では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0111】
ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10;t10)であるとき
には、鋼管芯座標(xo,yo)は、式(8)により算出することができる。
【0112】
また、ステップS404においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP1(x1,y1,z1;t1),P2(
x2,y2,z2;t2),P3(x3,y3,z3;t3),・・・,P10(x10,y10,z10
;t10)であるときには、鋼管高さ(zo)は、式(9)により算出することができる。
【0113】
続く、ステップS405においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻toとして抽
出する。
【0114】
ステップS406においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(zo)とtoとから厚入速度Voを算出する。
【0115】
ステップS407においては、まず第N回点目における第2の全方位プリズム式ターゲ
ット9’の1回転分のデータを取得する。図15を例に挙げるならば、ステップS407で取得されるデータはP'1,P'2,P'3,・・・,P'10の各データが取得される。
【0116】
続く、ステップS408では、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管芯座標(xo,yo)を算出する。
【0117】
ここで、第N回点目のデータがP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(x'10,y'10,z'10;t'10)であるとき、鋼管芯座標(x'o,y'o)は、式(1)乃至式(8)で説明した
方法と同様の方法で求めることができる。
【0118】
また、ステップS409においては、取得したデータから第N回点目の実測の鋼管高さ(zo)を算出する。ここで、第N回点目のデータがP'1(x'1,y'1,z'1;'t1),
P'2(x'2,y'2,z'2;t'2),P'3(x'3,y'3,z'3;t'3),・・・,P'10(
x'10,y'10,z'10;t'10)であるとき、鋼管高さ(z'o)は、式(9)と同様の方法で求めることができる。
【0119】
続く、ステップS410においては、取得したデータのうち最もトータルステーション10に近い位置データの時刻データを、第N回点目におけるデータ取得時刻t'oとして抽出する。
【0120】
ステップS411においては、(前回、今回)実測の鋼管高さ(z'o)とt'oとから厚入速度V'oを算出する。
【0121】
次の、ステップS412においては、実測鋼管芯位置座標(xo,yo,zo)と実測鋼
管芯位置座標(x'o,y'o,z'o)とから鋼管の傾きθを算出する。ここで、鋼管の傾きθは以下のように求めることができる。
【0122】
先に求めた鋼管高さ(zo)と鋼管高さ(z'o)の差をΔzとする。すなわち、式(2
0)とする。
【0123】
【数20】
第1の全方位プリズム式ターゲット9による上部の鋼管芯座標(xo,yo,zo)、及
び、第2の全方位プリズム式ターゲット9'による下部の鋼管芯座標 (x'o,y'o,z'o)をxy平面に投影したときの座標を、それぞれO(xo,yo)、O'(x'o,y'o)とする。(図18、図19参照。)上下プリズムとも回転中心はxy平面上にある。
【0124】
xy平面上における中心O’を基準にしたときの中心OへのベクトルをSNとするとSNの大
きさは式(21)となる。またベクトルSRの大きさはΔzに均しく、式(22)で表すことができる。(図18、図19参照。)
【0125】
【数21】
【0126】
【数22】
したがって、z軸に対する傾斜θは下式(23)となる。
【0127】
【数23】
また、方位角φは下式(24)となる。
【0128】
【数24】
ステップS413においては、全ての回転分のデータ処理が終了したか否かが判定される。当該判定がNOであるときには、ステップS414でNを1インクリメントし、ステップS402に戻り、YESであるときにはステップS415に進み、上記のような各処理で算出された各算出データを、パーソナルコンピューター20の記憶部(不図示)に記憶する処理を実行する。このような処理によって記憶されるデータの構造を図20に示す。図20は本発明の第1実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システムによって記憶される処理データを説明する図である。続いて、ステップS416に進み、データ処理を終了する。
【0129】
以上のような第2実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管3を旋回させながら地中に圧入する工法における鋼管芯の位置、鋼管高さ、鋼管圧入速度、鋼管の傾斜を測定すると共に記憶・管理することが可能となる。
【0130】
また、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び回転式鋼管打設施工管理方法によれば、鋼管の傾斜による偏心をリアルタイムに検出することができるようになるため、鋼管の偏心量が規格値を超過した場合、打設途中には把握することができ、その結果、打設作業の手戻りを小さく抑えることが可能となる。
【0131】
次に、本発明の他の実施形態である第3実施形態について説明する。これまで説明した実施形態においては、1本の鋼管3を旋回させながら打設する施工の管理を例に挙げて説明してきたが、本発明においてはこのような1本の鋼管3の施工管理以外にも、連結しつつ打設するケーシングチューブ4の施工管理に用い得るので、以下、このようなケーシングチューブ4の施工管理について説明する。なお、特許請求の範囲における「鋼管」は、このようなケーシングチューブ4をも含む上位概念的な用語として用いている。
【0132】
なお、本発明において、ケーシングチューブ4の施工管理を行う上で、全方位プリズム式ターゲットを1つ用いる第1実施形態に係る方法、全方位プリズム式ターゲットを2つ用いる第2実施形態に係る方法のいずれも用いることができるが、以下の例では前者の方法を例に説明する。
【0133】
図21は本発明の第3実施形態に係る回転式鋼管打設施工管理方法における準備工程・施工管理工程を説明する図である。
【0134】
ケーシングチューブ4は、例えば、ケーシングチューブ4−1、ケーシングチューブ4−2、ケーシングチューブ4−3、ケーシングチューブ4−4を順次連結しつつ、地中に打設するように構成されるものである。図21(A)は、最初に打設を行う円筒中空状のケーシングチューブ4―1に、トータルステーション10が自動追尾可能な全方位プリズム式ターゲット9を取り付ける工程を示したものである。トータルステーション10の取り付け等については第1実施形態と同様の方法を採用することができる。
【0135】
図21(B)は、ターゲット6とトータルステーション10とを用いて、最初のケーシングチューブ4−1を打設する際の設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出し
ている様子を示している。図21(B)で鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)の位置を割り出
した後、ケーシングチューブ4全体の打設が終了するまで、トータルステーション10を移動させる必要はない。
【0136】
図21(C)は、上記のように割り出された設計鋼管芯位置(Xo,Yo,Zo)に基づ
いて全旋回式鋼管打設機7を設置した様子を示している。
【0137】
さらに、図21(D)は全旋回式鋼管打設機7に、図21(A)で説明したケーシングチューブ4−1を取り付けた状態を示している。図21(D)のような状態から、全旋回式鋼管打設機7を動作させることで、ケーシングチューブ4―1を地中に圧入する。
【0138】
図21(D)におけるケーシングチューブ4―1の打設工程中は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得して、パーソナルコンピューター20にデータを取り込むようにする。
【0139】
次に、ケーシングチューブ4―1の打設が完了すると、図21(E)に示すように、ケーシングチューブ4―1にケーシングチューブ4―2を連結すると共に、ケーシングチューブ4―2に全方位プリズム式ターゲット9を取り付けるようにする。ケーシングチューブ4―2の打設工程中においても、第1実施形態で説明した方法と同様の方法で、全方位プリズム式ターゲット9の位置データを取得して、パーソナルコンピューター20にデー
タを取り込むようにする。以上のような工程を、ケーシングチューブ4全体が打設されるまで、順次繰り返して、ケーシングチューブ4全体の打設工程中のデータを、パーソナルコンピューター20に取り込み、取り込まれたデータに基づいて施工管理データを作成する。このような管理データの作成は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法を用いることができる。
【0140】
以上のようなケーシングチューブ4を用いた打設においても、これまで説明した実施形態と同様の効果を享受することが可能である。
【0141】
なお、本発明に係る回転式鋼管打設施工管理システム及び方法は、ケーシングチューブ(或いは、鋼管)の打設を行いながら、ケーシングチューブ中の土砂をハンバーグラブ(ベノト機)で取り除く、所謂、中堀を行う工法の施工管理についても適用可能であるし、また、このような中堀を行わない工法の施工管理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0142】
3・・・鋼管
4・・・ケーシングチューブ
6・・・ターゲット
7・・・全旋回式鋼管打設機
8・・・ターゲット取り付け部材
9、9’・・・全方位プリズム式ターゲット
10・・・トータルステーション
20・・・パーソナルコンピューター(情報処理装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、
前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得するトータルステーションと、
前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置が、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加し、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出し、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置が、前記位置情報によって規定される平面を求め、前記平面から鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項5】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、
前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得するトータルステーションと、
前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出し、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出し、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項6】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出する工程と、
前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項7】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する情報処理装置と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項8】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打
設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出する工程と、
前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出する工程と、
前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項9】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報によって規定される平面を求める工程と、
前記平面から鋼管傾きを算出する工程と、
前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項10】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得する工程と、
前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出する工程と、
前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出する工程と、
前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出する工程と、
前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項1】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、
前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得するトータルステーションと、
前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出し、前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する情報処理装置と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置が、前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加し、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出し、前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置が、前記位置情報によって規定される平面を求め、前記平面から鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項5】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理システムであって、
前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得するトータルステーションと、
前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出し、前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出し、前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出し、前記鋼管傾きを記憶部に記憶する情報処理装置と、からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理システム。
【請求項6】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管芯座標を算出する工程と、
前記鋼管芯座標を記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項7】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出し、前記鋼管高さを記憶部に記憶する情報処理装置と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項8】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打
設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記トータルステーションで前記ターゲットに係る位置情報を取得した時間を、時間情報として前記位置情報に対して付加する工程と、
前記位置情報に基づいて鋼管高さを算出する工程と、
前記鋼管高さと前記時間情報とから鋼管圧入速度を算出する工程と、
前記鋼管圧入速度を記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項9】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられたターゲットの自動追尾を行い、前記ターゲットに係る位置情報を取得する工程と、
前記位置情報によって規定される平面を求める工程と、
前記平面から鋼管傾きを算出する工程と、
前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【請求項10】
鋼管を旋回させながら地中に圧入することで鋼管打設を行う施工を管理する回転式鋼管打設施工管理方法であって、
トータルステーションによって前記鋼管に取り付けられた第1ターゲットと第2ターゲットの自動追尾を行い、前記第1ターゲットに係る第1位置情報と前記第2ターゲットに係る第2位置情報を取得する工程と、
前記第1位置情報に基づいて第1実測鋼管芯座標を算出する工程と、
前記第2位置情報に基づいて第2実測鋼管芯座標を算出する工程と、
前記第1実測鋼管芯座標と前記第2実測鋼管芯座標に基づいて前記鋼管傾きを算出する工程と、
前記鋼管傾きを記憶部に記憶する工程と、
からなることを特徴とする回転式鋼管打設施工管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−92531(P2012−92531A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239240(P2010−239240)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)
【Fターム(参考)】
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