説明

回転振動機及び振動式搬送装置

【課題】振動効率を向上させることができるとともに装置をコンパクトに構成できる回転振動機を提供する。
【解決手段】回転振動機10は、内端と外端の間に回転方向の変位を形成可能に構成された半径方向に伸びる駆動体13と、該駆動体の外端に下端が取り付けられて上方に伸びる縦弾性部材14と、前記駆動体の内端に取り付けられる支持体12と、前記縦弾性部材の上端に取り付けられる振動体とを有する回転振動機において、前記縦弾性部材は、半径方向に貫通する開口を備え、該開口の回転方向両側にそれぞれ側縁部を一体に有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転振動機及び振動式搬送装置に係り、特に、ボウル型振動式搬送装置の振動源として用いる場合に好適な回転振動機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品等の小さな部品を搬送するために、工場内において種々の振動式搬送装置が使用されている。この種の振動式搬送装置としては、近年、高い供給速度と供給精度が要求され、高速化及び高性能化が急務とされている。振動式搬送装置としては、螺旋状のトラックを備えたボウル型振動式搬送装置があり、このボウル型振動式搬送装置は、回転振動若しくはねじり振動を発生する回転振動機と、この回転振動機上に連結される、上記の螺旋状のトラックを備えたボウル型搬送体とを備えている。
【0003】
従来の回転振動機としては、電磁駆動源と、この電磁駆動源によって上下に振動する駆動板と、この駆動板の上方にばねを介して連結された上部振動板とを備えたものが知られている。上記のばねは、駆動板と上部振動板との間の周縁部における等角度間隔とされた複数の位置にそれぞれ傾斜姿勢で取り付けられ、駆動板が上下に振動することによって上部振動板が斜め上方へ向けたねじり振動をするように構成される。
【0004】
また、回転振動機としては、上記電磁駆動源の代わりに圧電素子を用いた圧電アクチュエータを用いるものがあり、一般的には、基台と上部振動板とを斜め姿勢の圧電アクチュエータと板ばねを接続してなる複合弾性体で連結するようにしている。さらに、この複合弾性体を改良して、圧電アクチュエータを水平に半径方向に伸びるように配置し、その外端に斜め垂直方向に伸びるように設置した板ばねを接続したものとすることにより、振動機の高さを低減することが知られている(例えば、以下の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−201710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように電磁駆動源により上下に振動する駆動板を備えた回転振動機では、駆動板の上下振動から斜めのばねによって回転方向の振動成分を得るようにしているため、ばねの傾斜角度が大きいと回転方向のストロークを得ることができないことから、搬送速度を高めるなどの目的で傾斜角を小さくする必要がある。しかし、傾斜角を小さくしすぎると振動の発生効率が低くなるとともに、ばねに加わる負荷が大きくなるので、振動エネルギーを確保するために消費電力が増大し、また、ばねの折損等による耐久性の低下を招くという問題点がある。
【0006】
一方、上記の圧電アクチュエータを用いた回転振動機では、圧電アクチュエータに板ばねを接続して用いているため、振動が高周波化しても効率的に上部振動板を振動させるには板ばねのバネ定数を大きくすればよい。しかしながら、板ばねのバネ定数を大きくしすぎると、圧電アクチュエータに大きな歪が発生する虞があり、圧電アクチュエータの振動を増幅して上部振動板に効率的に伝達することも困難になる。また、圧電アクチュエータを水平姿勢とすることで、回転振動機の高さを低減できるという利点があるが、この場合には、板ばねが半径方向に幅を有することにより、圧電アクチュエータの撓み変形により板ばねの内縁と外縁で振幅に差が生じ、板ばねのねじれ変形を招くことにより、全体として振動効率が低下する虞があるといった問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、振動効率を確保しつつ、耐久性を向上させることができるとともに装置をコンパクトに構成できる回転振動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明の回転振動機は、内端と外端の間に回転方向の変位を形成可能に構成された半径方向に伸びる駆動体と、該駆動体の外端に下端が取り付けられて上方に伸びる縦弾性部材と、前記駆動体の内端に取り付けられる支持体と、前記縦弾性部材の上端に取り付けられる振動体と、を具備し、前記縦弾性部材は、半径方向に貫通する開口を備え、該開口の回転方向両側にそれぞれ側縁部を一体に有していることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、駆動体を半径方向に伸びるように構成して、その内端と外端の間に回転方向の変位を生成可能とすることにより、駆動体の撓み範囲を半径方向に確保することができるため、回転振動機の大型化を招くことなく振動体の十分な振動変位を得ることができ、しかも、振動体を回転方向に効率良く振動させることができる。また、駆動体の外端と振動体の間に連結された縦弾性部材が半径方向に貫通する開口を備え、この開口の回転方向両側に側縁部を一体に有していることにより、回転方向に十分な弾性変形量を確保することができ、しかも、縦弾性部材を半径方向にコンパクトに構成しても大きなばね定数を得ることができるため、ねじれ変形を抑制して振動効率を確保することが可能になるとともに、縦弾性部材の耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記縦弾性部材の半径方向の厚みが回転方向の厚み以下であることが好ましい。これによれば、縦弾性部材のばね定数や耐久性を確保しつつ、半径方向の厚みを低減できるため、従来の半径方向に幅広の板バネに比べて、駆動体の回転方向の変位量が半径方向に異なることに起因する縦弾性部材のねじれ変形の発生を大幅に抑制することができるため、振動をさらに効率的に振動体へ伝達することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記側縁部の回転方向の厚みが半径方向の厚みより小さいことが好ましい。これによれば、縦弾性部材における回転方向の弾性変形量をさらに確保しやすくなるので、駆動体の振動変位を増幅して振動体へ伝えやすくなる。
【0012】
本発明において、前記駆動体は、水平方向に伸びる横弾性部材に圧電素子を取り付けた圧電アクチュエータであることが好ましい。これによれば、圧電素子の撓み変形で横弾性部材を駆動することによって、効率的に振動を生成することができ、しかも振動の高周波化が容易になるため、微小部品の搬送に対応することが可能になる。
【0013】
本発明において、前記駆動体は板状の横弾性部材を備え、該横弾性部材の板面及び前記縦弾性部材の延長方向が共に垂直方向に対して傾斜し、相互に平行に構成されていることが好ましい。これによれば、駆動体の振動エネルギーが縦弾性部材を介して効率的に振動体に伝えられるので、さらに効率的に振動を生成できる。
【0014】
次に、本発明の振動式搬送装置は、上記のいずれかに記載の回転振動機と、前記振動体と一体に構成され、若しくは別体に構成されて固定された、内面に螺旋状のトラックを有する搬送体とを具備することを特徴とする。この発明によれば、搬送体の回転振動若しくはねじり振動により螺旋状のトラックに沿ってワークを高速に搬送することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1は本実施形態の回転振動機の上部(振動体)を省略して内部構造を示す概略部分斜視図、図2は同実施形態の概略縦断面図、図3は同実施形態の平面図、図4は同実施形態の正面図、図5は同実施形態の斜視図、図6は同実施形態の上部構造を示す部分正面図、図7は同実施形態の上部構造を示す部分斜視図である。
【0016】
本実施形態の回転振動機10には、基台11と、この基台11の中心部に固定配置された支持体12と、この支持体12にその内端が固定された駆動体13と、この駆動体13の外端にその下端が固定された縦弾性部材14と、この縦弾性部材14の上端に固定された振動体15とが設けられている。
【0017】
基台11は、上部の振動体15及びこれに接続される振動対象を効率的に振動させることができるように十分な重量を備えたものとされる。基台11の内部に固定された支持体12は複数の駆動体13の内端をそれぞれ固定するために半径方向に突出した複数の支持部12aを有し、これらの支持部12aの側面に上記駆動体13がボルト等により固定されている。図示例の場合、支持体12は、4つの駆動体13を取り付けるための4つの支持部12aを有し、その横断面が略十字状に構成されている。各支持部12aは中心軸の周りに等角度間隔となるように設けられ、これによって複数の駆動体13が支持体12を中心としてその周囲に等角度間隔で配置されている。
【0018】
なお、上記のように中心軸の周りに複数の駆動体13を配置可能な場合であっても、そのうちの少なくとも一つを駆動体13とし、他を板バネ等の弾性部材で置換して用いてもよい。この弾性部材としては、例えば、後述する横弾性部材131を用いることができる。
【0019】
駆動体13は全体として矩形板状に構成され、支持体12に固定された内端から外端へ向けて半径方向にほぼ水平姿勢で伸びている。図10は駆動体13の構造を示す概略平面図(a)及び概略正面図(b)である。図10に示すように、駆動体13は、金属製のばね材等の弾性素材で構成される板状の横弾性部材131と、この横弾性部材131の表面に被着された圧電素子130Pとを備えている。圧電素子130Pは厚み方向に所定の電圧が印加されるように構成されており、当該電圧を印加することにより圧電素子130Pが撓み、これによって横弾性部材131を湾曲させることができるように構成される。
【0020】
上記圧電素子130Pは横弾性部材131の少なくとも一方の表面上に被着されていればよいが、本実施形態では、駆動体13は、横弾性部材131の両面上にそれぞれ圧電素子130Pが配置されている。そして、これら両面上の圧電素子130Pにそれぞれ同じ方向に撓みを生ずる態様で電圧を印加することによって、横弾性部材131を迅速かつ効率的に湾曲させることができるようになっている。
【0021】
本実施形態の駆動体13は、上記圧電素子130Pを正弦波や矩形波等の駆動信号により周期的に駆動することで、撓み振動を発生するように構成されている。この撓み振動は圧電素子130Pに供給される駆動信号によって適宜の周波数とすることができる。ただし、実際には駆動信号の周波数は、回転振動機10の振動系(振動体15の上に後述する搬送体が搭載される場合には当該搬送体をも含めた系)の共振周波数とほぼ一致するように調整される。
【0022】
また、横弾性部材131の両端部には固定孔131aが設けられ、ボルト等によって支持体12や縦弾性部材14に直接若しくは間接的に固定できるように構成されている。なお、固定孔131aはスリットや切り欠き等であってもよい。
【0023】
駆動体13の外端は連結部材16に対してボルト等により固定され、この連結部材16は上記縦弾性部材14の下端に固定されている。連結部材16は駆動体13の外端と平面的に重なるように配置されている。また、連結部材16は縦弾性部材14の下端の幅以上の厚みを有し、連結部材16の外側面は縦弾性部材14の下端全体と直接若しくは間接的に(例えば、ワッシャ等を介して)密接した状態とされている。
【0024】
なお、基台11の外周部には凹部11aが設けられ、この凹部11aの中央部に上方に開いた切り欠き部11bが形成されている。そして、上記縦弾性部材14は切り欠き部11bを通して外部に露出している。図示例の場合、縦弾性部材14は切り欠き部11bの内部に配置された状態とされている。これによって、縦弾性部材14が外部から視認可能になるとともに、縦弾性部材14のメンテナンスが容易になる。
【0025】
図8は縦弾性部材14の取り付け部分の近傍を半径方向外側から見た様子を拡大して示す拡大部分図、図9は当該取り付け部分の近傍を回転方向から見た様子を拡大して示す拡大部分図である。縦弾性部材14は、略上下方向に延長された形状を有し、その下端14aが上記連結部材16を介して上記駆動体13の外端に固定され、その上端14bが上記振動体15に固定されている。そして、縦弾性部材14は垂直方向に対してやや傾斜した姿勢で取り付けられている。
【0026】
縦弾性部材14の傾斜角度θは回転振動機に要求される振動特性に依存するが、垂直面に対して5〜15度の範囲内であることが好ましく、特に、7〜10度の範囲内であることが望ましい。傾斜角度θが上記範囲を越えると、後述する振動式搬送装置に用いた場合に搬送効率が低下し、被搬送物(部品)のばたつきが発生しやすくなる。また、傾斜角度θが上記範囲を下回ると、被搬送物の搬送効率が低下する。なお、上記傾斜角度θは、上下振動から回転方向の振動成分を生成する従来の電磁駆動式の回転振動機の場合よりも小さく設定される。これは、本実施形態の場合には振動体15を振動させたい方向にそのまま駆動体13及び縦弾性部材14で駆動しているからである。
【0027】
また、上記縦弾性部材14と同じ傾斜角度θで上記駆動体13も垂直面に対して傾斜している。図示例では横弾性部材131の板面が上記傾斜角度θで傾斜し、これによって、駆動体13の撓み方向と縦弾性部材14の延長方向とが直交するように構成されている。本実施形態の場合、上記傾斜角度θは振動体15の振動方向にほぼ一致した角度となる。
【0028】
縦弾性部材14の中間部分には半径方向に貫通する開口14cが形成され、この開口14cの両側に側縁部14d、14eが一体に設けられている。図示例の場合、開口14cは縦弾性部材14の延長方向に延長された長孔形状を有し、これによって側縁部14d、14eは延長方向に等幅の部分を備えた断面矩形状の部分となっている。側縁部14d,14eの当該部分は、その回転方向の幅Td、Teに比べて十分に長い(3倍以上の)延長方向の長さを有するものとなっている。
【0029】
本実施形態では、縦弾性部材14の半径方向の厚みTr(図9参照)は回転方向の厚みTc(図8参照)以下となっている。このようにすると、縦弾性部材の半径方向の厚みTrを小さくできるため、後述するようにねじれ変形の発生を抑制できる。一般的にはTrがTc以下でなくてもよいが、TrとTcの比がある程度1に近い値であることが縦弾性部材14の耐久性(機械的強さ)を高める上で好ましい。そして、さらに開口14cの存在を考慮すると、TrとTcの比は0.3〜1.5の範囲内であることが好ましく、特に、0.5〜0.9の範囲内であることが望ましい。
【0030】
また、側縁部14d、14eの回転方向の厚みTd、Teはそれぞれ半径方向の厚みTrよりも小さく構成されている。これによって、上記のようにTcを比較的大きく設定しても、縦弾性部材14の回転方向の弾性変形量が確保されるので、駆動体13の撓み振動を増幅して振動体15へ伝えやすくなる。
【0031】
縦弾性部材14の上端14bは振動体15の外周面に取り付け固定されている。振動体15は全体として略円盤状に構成され、その外周面のうち、縦弾性部材14の取り付け固定される部分に平坦部15aが設けられている。
【0032】
以上説明した本実施形態では、圧電素子130Pに駆動信号が供給されると駆動体13に回転方向の撓み振動が発生し、この撓み振動が縦弾性部材14を介して振動体15に伝達されるため、振動体15は回転方向に振動する。このとき、上記のように縦弾性部材14が傾斜姿勢とされていることにより、振動体15の振動方向は正確には回転方向に対してやや傾斜した方向となり、所謂、ねじり振動が生成される。
【0033】
本実施形態では、駆動体13が半径方向に伸びるように配置されていることにより、回転振動機10の高さを抑制しつつ、駆動体13の撓み振動の変位を十分に確保することができる。そして、後述する振動式搬送装置に適用した場合、従来よりも高速に被搬送物を搬送することが可能になることが実験により確認されている。また、駆動体13が回転方向(実際には回転方向に対して上記傾斜角度θだけ傾斜した方向)に変位することで、従来の電磁駆動式の装置に比べて被搬送物のあばれ(ばたつき)が生じにくくなるという利点もある。
【0034】
特に、駆動体13の外端に固定された縦弾性部材14は、半径方向に貫通する開口14cを有し、その両側に側縁部14d,14eを一体に備えているので、耐久性を確保できるとともに十分なばね性をも得ることができる。すなわち、縦弾性部材14のばね定数の設定と、耐久性の確保を両立しやすくなっている。
【0035】
また、半径方向の厚みTrを小さくすることができ、特に半径方向の厚みTrが回転方向の厚みTc以下に構成されているため、駆動体13の半径方向に沿った撓みによる縦弾性部材14のねじれ変形が生じにくくなり、回転方向の本来の振動モード以外の振動モードが生じにくくなることから、縦弾性部材14を介した振動伝達の効率を高めることができる。
【0036】
特に、開口14cの開口形状が縦弾性部材14の延長方向に延長された長孔状とされていることにより、弾性変形量を十分に確保し、駆動体13の弾性変位を増幅して振動体15に伝えることが可能になる。ただし、開口14cの開口形状はあくまでも回転振動機に要求されるばね定数その他の振動伝達特性と耐久性を勘案して決定されるべきものであり、上記のような長孔形状に限定されるものではない。
【0037】
図11及び図12は、上記の回転振動機10を用いた振動式搬送装置110、及び、この振動式搬送装置110に接続された他の振動式搬送装置120を含む部品供給システム100の平面図及び正面図である。このシステム100では、上記の振動式搬送装置110が螺旋状のトラックを備えたボウル型の搬送装置であり、振動式搬送装置120が直線状のトラックを備えたリニア型の搬送装置となっている。
【0038】
設置台101上には支持台102が好ましくは防振手段(ゴムやばね)を介して支持されている。この支持台102上には基台11が配置され、上記回転振動機10が設置されている。回転振動機10上には、上記振動体15に固定された搬送体111が配置されている。搬送体111は全体としてボウル(椀)状に構成され、その内面に螺旋状のトラック111xが形成されている。トラック111xは搬送体111の内底部から徐々に上昇して外周部に至るようになっている。搬送体111の外周部のトラック111xの設けられた部分には、部品選別部113が設けられている。この部品選別部113は、トラック111x上を搬送される図示しない部品(ワーク)の姿勢や形状を検出するセンサ(例えば、光学センサ等)と、このセンサの検出信号に応じて部品をトラック111x上から排除する排除機構(例えば、エアの噴き付けによって部品を吹き飛ばす機構など)とを含む。
【0039】
一方、振動式搬送装置120は、上記支持台102上に設置された基台121と、この基台121上に構成された加振機122と、この加振機122によって振動する搬送体123とが設けられている。搬送体123には直線状のトラック123xが形成されている。このトラック123xは、上記トラック111xの下流端に対向配置される上流端を有し、トラック111x上を送られてきた部品がそのままトラック123xに乗り移って搬送されていくようになっている。
【0040】
このシステム100では、回転振動機10によって振動する搬送体111の搬送速度を高く設定することができる。本実施形態の搬送速度は、従来の電磁駆動式の回転振動機を用いた場合に比べて1.8倍から2倍の搬送速度を得ることができる。一般に螺旋状のトラックを備えた振動式搬送装置では搬送速度を高めにくいが、本実施形態では上記の回転振動機10を用いることにより高速化を達成できるので、システム100全体の部品供給速度を高めることができる。また、上記の回転振動機10はコンパクト化しやすいため、システム100全体をコンパクトに構成することが可能になる。
【0041】
尚、本発明の振動式搬送装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では内面上に螺旋状のトラックを備えたボウル型の振動式搬送装置を構成しているが、回転振動やねじり振動を必要とする各種の搬送機器、例えば、搬送体の外面上に螺旋状のトラックを有する搬送装置を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態の回転振動機の一部省略斜視図。
【図2】実施形態の回転振動機の縦断面図。
【図3】実施形態の回転振動機の平面図。
【図4】実施形態の回転振動機の正面図。
【図5】実施形態の回転振動機の斜視図。
【図6】実施形態の回転振動機の上部構造を示す正面図。
【図7】実施形態の回転振動機の上部構造を示す斜視図。
【図8】実施形態の回転振動機の縦弾性部材の近傍を拡大して示す拡大部分図。
【図9】実施形態の回転振動機の縦弾性部材の近傍を図8と直交する方向から見た拡大部分図。
【図10】実施形態の駆動体の構造を示す平面図(a)及び正面図(b)。
【図11】実施形態の振動式搬送装置を含む部品供給システムの平面図。
【図12】同システムの正面図。
【符号の説明】
【0043】
10…回転振動機、11…基台、12…支持体、13…駆動体、130P…圧電素子、131…横弾性部材、14…縦弾性部材、14c…開口、14d,14e…側縁部、15…振動体、16…連結部材、100…部品供給システム、110、120…振動式搬送装置、111…搬送体、111x…トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内端と外端の間に回転方向の変位を生成可能に構成された半径方向に伸びる駆動体と、
前記駆動体の外端に下端が取り付けられて上方に伸びる縦弾性部材と、
前記駆動体の内端に取り付けられる支持体と、
前記縦弾性部材の上端に取り付けられる振動体と、
を具備し、
前記縦弾性部材は、半径方向に貫通する開口を備え、該開口の回転方向両側にそれぞれ側縁部を一体に有していることを特徴とする回転振動機。
【請求項2】
前記縦弾性部材の半径方向の厚みが回転方向の厚み以下であることを特徴とする請求項1に記載の回転振動機。
【請求項3】
前記側縁部の回転方向の厚みが半径方向の厚みより小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転振動機。
【請求項4】
前記駆動体は、水平方向に伸びる横弾性部材に圧電素子を取り付けた圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転振動機。
【請求項5】
前記駆動体は板状の横弾性部材を備え、該横弾性部材の板面及び前記縦弾性部材の延長方向が共に垂直方向に対して傾斜し、相互に平行に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回転振動機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転振動機と、前記振動体と一体に構成され、若しくは別体に構成されて固定された、内面に螺旋状のトラックを有する搬送体とを具備することを特徴とする振動式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−161454(P2007−161454A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362253(P2005−362253)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(599069507)株式会社ダイシン (27)
【Fターム(参考)】