説明

回転角センサ

【課題】比較的簡易な構造で、漏れ磁束による精度劣化を抑制する。
【解決手段】非磁性導電体のロータ20と、ロータ20の外周側に配置した非磁性導電体のステータ30とに、各々周方向に等角度間隔で配置した複数のスリットを設け、ステータ30の外周側に設けた駆動コイル40で発生した磁束を、ロータ20の内周側に設けた検出コイル50で検出する。そして、測定回路60において、検出コイル50で検出した磁束の位相変化を測定し、検出信号として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転角を検出する回転角センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転体の回転角を検出する回転角センサとしては、 可変リラクタンス型レゾルバが知られている(たとえば、特許文献1)。このレゾルバは、励磁巻線と第1及び第2の検出巻線とが巻回されたステータと、径方向外側に向かって突出した4つの円弧状の誘導子部を有するロータとから構成される。そして、ロータが回転すると、ロータの突出した円弧状の誘導子部と、ステータの巻線が巻回される磁極との間の空隙が変化する。この空隙の変化は、励磁巻線を励磁する励磁信号と、励磁巻線の発生した磁束により検出巻線に誘起される出力信号とを介して、リラクタンスの変化として検出され、さらに、その変化が回転角度として検出される。
【0003】
また、従来より、金属等の導電体に磁束を印加することにより導電体に生じるうず電流によって、検出コイルにおいて、導電体の大きさや構造に応じた位相変化が生じた磁束が観測されることが知られている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002-168652号公報
【特許文献2】特公昭49-43217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1記載の回転角センサによれば、磁性材がロータに近接して存在する場合などには、ロータから磁性材への漏れ磁束が発生し、前記空隙の大きさに応じた強さで出力信号が正しく励起されなくなり、回転角の検出精度が劣化する。
また、ステータが複雑な形状を有するために、当該ステータに巻き線を正確に巻き回すことが困難であるという問題もあった。
そこで、本発明は、漏れ磁束による精度劣化が生じることのない、比較的簡易な構造の回転角センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、非磁性導電体で形成したロータと、非磁性導電体で形成したステータと、磁束を発生する駆動コイルと、検出コイルと、測定回路とを備えた回転角センサを提供する。ここで、前記ロータは、当該ロータの回転に伴って回転する回転面を有すると共に、当該回転面には、当該回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである回転スリット群を有し、前記ステータは、前記回転面と対面する固定面を有すると共に、当該固定面には、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである固定スリット群を備えている。そして、前記駆動コイルと前記検出コイルとは、前記ロータの前記回転面の回転スリット群と前記ステータの前記固定面の固定スリット群とを間に挟んだ形態で配置されており、前記測定回路は、前記検出コイルに誘起された電圧信号の位相変化量を計測するものである。
【0006】
このような回転角センサによれば、ロータとステータとを通過/透過した磁束の強度ではなく、位相変化に基づいて回転角を検出するので、測定に対する漏れ磁束の影響を抑制することができる。
また、各部の形状として複雑な形状をとる必要がないので、簡単な構造で回転角センサを構成することができるようになる。
ここで、このような回転角センサは、前記駆動コイルを交流信号で駆動する駆動回路を設け、前記測定回路において、前記交流信号と、前記検出コイルに誘起された電圧信号の位相差を計測するように構成してもよい。
または、このような回転角センサは、前記回転スリット群と固定スリット群との一方を、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである第1スリット群と、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである第2スリット群とより構成すると共に、前記第1スリット群と前記第2スリット群の、前記ロータの回転面の回転方向と垂直な当該回転面に沿った方向の配置は相互に重ならないように異なせると共に、前記第1スリット群と前記第2スリット群の配置は前記ロータの前記回転面の回転方向の位相を異ならせ、前記検出コイルを、前記第1スリット群を前記駆動コイルとの間に挟む位置に配置された第1検出コイルと、前記第2スリット群を前記駆動コイルとの間に挟む位置に配置された第2検出コイルとより構成し、前記測定回路において、前記第1検出コイルに誘起された電圧信号と前記第2検出コイルに誘起された電圧信号の位相差を計測するように構成することも好ましい。
【0007】
このように、前記第1検出コイルに誘起された電圧信号と前記第2検出コイルに誘起された電圧信号とは、同様に外乱の影響を受けることが期待できるので、このようにすることにより、外乱の影響を相殺して精度良く回転角を検出することができるようになる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、漏れ磁束による精度劣化が生じることのない、比較的簡易な構造の回転角センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る回転角センサの構成を示す。
ここで、図1aは回転角センサの正面を、図1bは回転角センサの側面を、図1cは回転角センサの断面を、それぞれ模式的に表している。
図示するように、本回転角センサは、回転角の測定対象とする回転軸10に固定され回転軸10と共に回転するロータ20と、固定設置されるステータ30と、駆動コイル40と、検出コイル50と、測定回路60とを有している。
ここで、ロータ20は、非磁性導電体を用いて形成された中空円筒形状の部分と中空円筒形状の片側を回転軸10に連結する部分とより構成された部材であり、ステータ30は、非磁性導電体を用いて形成された中空円筒形状の部材である。そして、ロータ20の中空円筒形状の部分とステータ30とは、回転軸10の回転中心軸を中心軸として同軸入れ子状に配置される。
そして、駆動コイル40と検出コイル50とは、回転軸10の回転中心軸と同軸状に巻き回した形態で、駆動コイル40はステータ30の外周側に、検出コイル50はロータ20の内周側に、ステータ30とロータ20とを間に挟んで対面するように配置されている。
【0010】
さて、ロータ20とステータ30の、駆動コイル40と検出コイル50とに挟まれた箇所には、各々周方向に等角度間隔で複数配置したスリットが設けられている。
すなわち、図2aに示すように、ステータ30には、複数の周方向に等角度間隔で並んだスリットであるステータ側スリット31が設けられ、図2bに示すように、ロータ20には複数の周方向に等角度間隔で並んだスリットであるロータ側スリット21が設けられている。
【0011】
そして、図2cに示すように、回転角センサにおいて、ステータ側スリット31とロータ側スリット21とは、回転中心軸方向の位置が重なり合うように配置されている。
さて、このような構成において、駆動コイル40を発生源とする磁束のうち、ステータ30の側壁(ステータ側スリット31が設けられていない部分)やロータ20の側壁(ロータ側スリット21が設けられていない部分)を透過して検出コイル50に達する磁束は、ステータ30の側壁やロータ20の側壁の透過の際に、側壁で生じるうず電流による位相変化が生じることになる。
【0012】
したがって、検出コイル50で検出される、駆動コイル40を発生源とする磁束は、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との双方を通過し位相変化が生じていない磁束成分、ステータ側スリット31を通過しロータ20の側壁を透過したロータ20の側壁によって位相変化が生じた磁束成分、ステータ30の側壁を透過しロータ側スリット21を通過したステータ30の側壁によって位相変化が生じた磁束成分、ステータ30の側壁とロータ20の側壁との双方を透過したステータ30の側壁とロータ20の側壁との双方による位相変化が生じた磁束成分との和となる。そして、以上の各磁束成分のベクトル和が、検出コイル50で検出される磁束となり、当該位相は、各磁束成分のベクトル和によって表される位相を持つことになる。
【0013】
よって、回転軸10の回転に伴ってロータ20が回転すると、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との周方向の位置関係が、各スリットを配置した角度間隔と等しい回転角度毎に周期的に変化し、これに伴って、上記各磁束成分の各々の強度も周期的に変化するので、結果、検出コイル50で検出される磁束の位相も各スリットを配置した角度間隔と等しい回転角度毎に周期的に変化することになる。
【0014】
よって、検出コイル50で検出される磁束の発生磁界に対する位相の変化より、回転軸10の回転角を測定することができる。
ここで、このような測定を行うのが測定回路60である。
図3aに示すように、測定回路60は、発振回路61と、差分増幅器62と、位相差検出回路63とを有している。そして、発振回路61は、駆動コイル40を交流の駆動信号で駆動して磁束を発生し、位相差検出回路は、検出コイル50に誘起起電力によって生じる電圧信号を差分増幅器62で増幅した信号の位相と、発振回路61の駆動信号との位相差を検出して、当該位相差を電圧値で表す検出信号を出力する。
【0015】
ここで、図4aは、ステータ側スリット31とロータ側スリット21とを、各々36度の角度間隔で10個ずつ設けた場合に、測定回路60から出力される検出信号の実測波形を表したものであり、図示するように、この検出信号は回転軸10の回転角度36度に一周期が対応する信号となっている。なお、図4aは、ロータ20とステータ30の材質はアルミニウム合金(A5056)、ロータ20とステータ30の厚みは2mm、ロータ20とステータ30の間隔は0.5mm、駆動コイル40の駆動信号は8kHzの交流信号として測定を行った。
よって、図4bに示すように、検出信号は、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との配置角度間隔に一致する回転軸10の回転角毎に1周期を持つ信号となるので、この検出信号より、回転軸10の回転角度を算出することができるようになる。
【0016】
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
ところで、以上の第1実施形態では、ロータ20とステータ30とを、回転軸10に対して同軸入れ子状に配置した中空円筒形状の部材としたが、図5aに回転角センサの正面を、図5bに回転角センサの左側面を、図5cに回転角センサの右側面を、図5dに回転角センサの断面を、それぞれ模式的に表すように、ロータ20を回転軸10に固定した円盤状の部材とすると共に、ステータ30をロータ20と近接して正対するように固定設置した円盤状の部材としてもよい。
【0017】
そして、この場合には、駆動コイル40は、ステータ30の、ロータ20と対面する側と反対側に、検出コイル50は、ロータ20の、ステータ30と対面する側の反対側に、ステータ30とロータ20とを間に挟んで対面するように、回転軸10と同軸状に巻き回した形態で配置する。
【0018】
そして、図6aに示すように、ステータ30の、駆動コイル40と検出コイル50との間に挟まれる箇所には、周方向に等角度間隔で配置したステータ側スリット31を設け、図6bに示すように、ロータ20の、駆動コイル40と検出コイル50との間に挟まれる箇所には、周方向に等角度間隔で配置したロータ側スリット21を設ける。ここで、図6cに示すように、回転角センサにおいて、ステータ側スリット31とロータ側スリット21とは、回転軸10の径方向の範囲が重なり合うように配置する。
【0019】
このようにしても、図1、2に示した回転角センサと同様に、測定回路60において、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との配置角度間隔に一致する回転軸10の回転角毎に1周期を持つ検出信号を生成することができる。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
図7aに第2実施形態に係る回転角センサの正面を、図7bに第2実施形態に係る回転角センサの断面を、それぞれ模式的に示す。
図示するように、本第2実施形態に係る回転角センサは、図1に示した回転角センサにおける検出コイル50を、回転軸10方向に並べた第1検出コイル51と第2検出コイル52とに置き換えたものである。
また、ロータ20とステータ30の、駆動コイル40と検出コイル50とに挟まれた箇所に、各々周方向に等角度間隔で複数配置したスリットとして、ステータ30には、図7cに示すように、複数の周方向に等角度間隔で並んだスリットであるステータ側スリット31を設けると共に、ロータ20には、図7dに示すように、駆動コイル40と第1検出コイル51とに挟まれる箇所に、周方向に等角度間隔で並べて配置した複数のスリットである第1ロータ側スリット211と、駆動コイル40と第2検出コイル52とに挟まれる箇所に、周方向に等角度間隔で並べて配置した複数のスリットである第2ロータ側スリット212とを、回転軸10方向の位置を異ならせて設けたものである。
【0020】
ここで、図7eに、二つのステータ側スリット31と二つの第1ロータ側スリット211と二つの第2ロータ側スリット212の配置関係を抜き出して示したように、回転角センサにおいて、ステータ側スリット31と第1ロータ側スリット211、ステータ側スリット31と第2ロータ側スリット212とは、それぞれ異なる回転中心軸方向範囲において、回転中心軸方向の範囲が重なり合うように配置されている。また、第1ロータ側スリット211の周方向中心と第2ロータ側スリット212の周方向中心とが、異なる回転位相で、ステータ側スリット31の周方向中心と重なるように、第1ロータ側スリット211と第2ロータ側スリット212とは、周方向の位置をずらして配置されている。
【0021】
このような本第2実施形態によれば、第1検出コイル51と第2検出コイル52とで検出される磁束には、それぞれ、前記第1実施形態と同様に回転軸10の回転角に応じた位相変化が表れるが、第1ロータ側スリット211と第2ロータ側スリット212との周方向の位置がずれているため、第1検出コイル51で検出される磁束の位相と、第2検出コイル52で検出される磁束の変化との間には、回転軸10の回転角に応じた位相差が表れる。
【0022】
よって、第1検出コイル51で検出される磁束と第2検出で検出される磁束の位相差より、回転軸10の回転角を測定することができる。
そこで、本第2実施形態では、測定回路60を図3bのように構成し、この位相差を検出する。
図3bに示すように、本第2実施形態に係る測定回路60は、発振回路61と、第1差分増幅器64と、第2差分増幅器65と、位相差検出回路63とを有している。そして、発振回路61は、駆動コイル40を交流の駆動信号で駆動して磁束を発生し、位相差検出回路は、第1検出コイル51に誘起起電力によって生じる電圧信号を第1差分増幅器64で増幅した信号と、第2検出コイル52に誘起起電力によって生じる電圧信号を第2差分増幅器65で増幅した信号との位相差を検出して、当該位相差を電圧値で表す検出信号を出力する。
【0023】
ここで、図4cは、ステータ側スリット31と第1ロータ側スリット211と第2ロータ側スリット212とを、各々36度の角度間隔で10個ずつ設けた場合に、測定回路60から出力される検出信号の実測波形を表したものであり、図示するように、この検出信号は回転軸10の回転角度36度に一周期が対応する信号となっている。なお、図4aは、ロータ20とステータ30の材質はアルミニウム合金(A5056)、ロータ20とステータ30の厚みは2mm、ロータ20とステータ30の間隔は0.5mm、駆動コイル40の駆動信号は10kHzの交流信号として測定を行った。
よって、図4bに示すように、検出信号は、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との配置角度間隔に一致する回転軸10の回転角毎に1周期を持つ信号となるので、この検出信号より、回転軸10の回転角度を算出することができるようになる。
【0024】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。なお、本第2実施形態は、前記第1実施形態に比べ、外乱の影響を同様に受ける第1検出コイル51で検出した信号と第2検出コイル52で検出した信号との二つの信号の位相差を求めるため、外乱の影響を相殺できるという効果がある。
なお、本第2実施形態に係る回転角センサも、前記第1実施形態と同様にロータ20とステータ30として、図8aに回転角センサの正面を、図8bに回転角センサの断面を、それぞれ模式的に表すように、ロータ20として回転軸10に固定した円盤状の部材を用いると共に、ステータ30としてロータ20と近接して正対するように固定設置した円盤状の部材を用いることもできる。
【0025】
すなわち、この場合には、図5に示した検出コイル50を、図8a、bに示すように、径方向に並べて配置した第1検出コイル51と第2検出コイル52とに置き換える。
また、スリットとして、ステータ30には、図8cに示すように、複数の周方向に等角度間隔で並んだスリットであるステータ側スリット31を設けると共に、ロータ20には、図8dに示すように、駆動コイル40と第1検出コイル51とに挟まれる箇所に複数の周方向に等角度間隔で並べて配置したスリットである第1ロータ側スリット211と、駆動コイル40と第2検出コイル52とに挟まれる複数の周方向に等角度間隔で並べて配置したスリットである第2ロータ側スリット212とを、径方向の位置を異ならせて設ける。
【0026】
ここで、図8eに示すように、回転角センサにおいて、ステータ側スリット31と第1ロータ側スリット211、ステータ側スリット31と第1ロータ側スリット211とは、それぞれ異なる径方向範囲において、径方向の範囲が重なり合うように配置されている。また、第1ロータ側スリット211の周方向中心と第2ロータ側スリット212の周方向中心とが、異なる回転位相で、ステータ側スリット31の周方向中心と重なるように、第1ロータ側スリット211と第2ロータ側スリット212は、周方向の位置をずらして配置されている。
【0027】
このようにしても、図7に示した回転角センサと同様に、測定回路60において、ステータ側スリット31とロータ側スリット21との配置角度間隔に一致する回転軸10の回転角毎に1周期を持つ検出信号を生成することができる。
なお、図7、8に示した回転角センサにおいて、ステータ側スリット31も、ロータ側スリット21と同様に第1ロータ側スリット211に対応する部分と第2ロータ側スリット212に対応する部分とに二つに分割して設けるようにしてもよい。また、さらに、分割した二つのステータ側スリット31をロータ側スリット21と同様に周方向にずらして配置するようにしてもよい。ただし、第1ロータ側スリット211の周方向中心が、ステータ側スリット31を二つに分割した部分のうちの当該第1ロータ側スリット211に対応する部分との周方向中心と重なる回転位相と、第2ロータ側スリット212の周方向中心が、ステータ側スリット31を二つに分割した部分のうちの当該第2ロータ側スリット212に対応する部分との周方向中心と重なる回転位相とは異なるようにする。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の各実施形態において、駆動コイル40、検出コイル50(または、第1検出コイル51及び第2検出コイル52)は、回転角センサの全体すなわち静止系に対して固定的に設けてもよいし、回転軸10共に回転するように設けるようにもよい。また、駆動コイル40と検出コイル50(または、第1検出コイル51及び第2検出コイル52)の配置は、これを交換してもよい。また、ステータ側スリット31と、ロータ側スリット21(または、第1ロータ側スリット211及び第2ロータ側スリット212)の形状配置は、これを交換してもよい。また、ロータ20とステータ30の配置も、これを交換するようにしてもよい。
また、回転角度センサにおいて、回転軸10の回転位相の基準となる基準位相を検出できるように、基準位相検出用のスリットをロータ20やステータ20に一つずつ設けると共に、基準位相検出用の検出コイルを設けるようにしてもよい。または、スリット側スリット31のうちの一つのスリットとロータ側スリット32(または、第1ロータ側スリット211及び第2ロータ側スリット212)の一つを異形化して、検出信号に1回転あたり一度、異形の波形が生じるようにしてもよい。
【0029】
以上のように本実施形態に係る回転角センサによれば、ロータ20とステータ30とを通過/透過した磁束の強度ではなく、位相変化に基づいて回転角を検出するので、測定に対する漏れ磁束の影響を抑制することができる。また、各部の形状として複雑な形状をとる必要がないので、簡単な構造で回転角センサを構成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転角センサの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る回転角センサの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る回転角センサの測定回路の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る回転角センサの測定例を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る回転角センサの他の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る回転角センサの他の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る回転角センサの構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る回転角センサの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10…回転軸、20…ロータ、21…ロータ側スリット、30…ステータ、31…ステータ側スリット、40…駆動コイル、50…検出コイル、51…第1検出コイル、52…第2検出コイル、60…測定回路、61…発振回路、62…差分増幅器、64…第1差分増幅器、65…第2差分増幅器、211…第1ロータ側スリット、212…第2ロータ側スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性導電体で形成したロータと、
非磁性導電体で形成したステータと、
磁束を発生する駆動コイルと、
検出コイルと、
測定回路とを有し、
前記ロータは、当該ロータの回転に伴って回転する回転面を有すると共に、当該回転面には、当該回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである回転スリット群を有し、
前記ステータは、前記回転面と対面する固定面を有すると共に、当該固定面には、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである固定スリット群を有し、
前記駆動コイルと前記検出コイルとは、前記ロータの前記回転面の回転スリット群と前記ステータの前記固定面の固定スリット群とを間に挟んだ形態で配置されており、
前記測定回路は、前記検出コイルに誘起された電圧信号の位相変化量を計測することを特徴とする回転角センサ。
【請求項2】
請求項1記載の回転角センサであって、
前記駆動コイルを交流信号で駆動する駆動回路を有し、
前記測定回路は、前記交流信号と、前記検出コイルに誘起された電圧信号の位相差を計測することを特徴とする回転角センサ。
【請求項3】
請求項1記載の回転角センサであって、
前記回転スリット群と固定スリット群との一方は、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである第1スリット群と、前記ロータの回転面の回転方向に等角度間隔で配置された複数のスリットである第2スリット群と有すると共に、前記第1スリット群と前記第2スリット群の、前記ロータの回転面の回転方向と垂直な当該回転面に沿った方向の配置は相互に重ならないように異なっていると共に、前記第1スリット群と前記第2スリット群の配置は前記ロータの前記回転面の回転方向の位相が異なっており、
前記検出コイルは、前記第1スリット群を前記駆動コイルとの間に挟む位置に配置された第1検出コイルと、前記第2スリット群を前記駆動コイルとの間に挟む位置に配置された第2検出コイルとより構成され、
前記測定回路は、前記第1検出コイルに誘起された電圧信号と前記第2検出コイルに誘起された電圧信号の位相差を計測することを特徴とする回転角センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−145153(P2010−145153A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320626(P2008−320626)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】