説明

回転角度を検出する方法

【課題】従来技術を改良する方法を提供すること
【解決手段】計算ユニットによって、a)第1の印部分を、前記第1のセンサ信号から再現し、b)再現した第1の印部分から、第1の記憶されている印部分を排除するための第1の排除基準を求め、c)第1の排除基準を用いて、第1の記憶されている印部分を排除し、d)記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1であるか否かを検査し、差が1である場合にはステップg)へ移行し、当該差が1よりも大きい場合にはステップe)へ移行し、e)第1のセンサ信号から別の印部分を再現し、別の排除基準を求め、別の排除基準を用いて、別の記憶されている印部分を排除し、f)ステップd)を再び実施し、g)排除されていない、記憶されている印部分から第1の回転角度を導出する、第1の回転角度を検出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている、回転角度を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットフリー百科事典Wikipediaに、エンジンのシャフトに接続されるロータリーエンコーダが記載されている。このエンコーダによって、複数のセクターに分けた回転角度を検出することができる。ここで、円形エンコーダディスクの円セクターの同心円状に配置されたセクター領域を複数のセンサによって同時に走査することが可能である。このロータリーエンコーダの欠点は殊に、一方では、強制的に複数のセンサが必要となり、他方ではエンコーダディスクと属するセンサの配置、殊に、製造許容公差の遵守に関してに高い構造上のコストがかかるということである。この製造許容公差は、エンコーダシステムの、要求される許容される最大回転角度−測定偏差に依存している。
【0003】
G.Emerson、E.Kilbrideによる文献「Application-Note, Using the engine position (crank and cam) eTPU funktions(Freescale Semiconductor)」の第2頁および第3頁、第3段落には、機械の駆動シャフトの回転角度を検出するために、35個の歯を有する歯車を用いることが記載されている。この歯車は、所定の位置に歯の隙間を有しており、この歯の隙間が、歯車および駆動シャフトの回転の始点ないしは終点に対する印として用いられる。歯と歯の隙間を走査するためにセンサが使用される。この技術的な解決方法は殊に以下の欠点を有している:すなわち、一方では、歯の隙間の位置に応じて、不利な場合には、初期化と、駆動シャフトの回転角度に関する情報の供給との間の時間が比較的長くなってしまう。すなわちこれは例えば、初期化過程(例えば機械の始動時)の後に、歯の隙間をセンサまで持って行くために、シャフトをほぼ完全に一回転させる必要がある場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許出願DE2825316A1号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】G.Emerson、E.Kilbride著「Application-Note, Using the engine position (crank and cam) eTPU funktions(Freescale Semiconductor)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、従来技術を改良する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、エンジンの第1のシャフト(10)の第1の回転角度を検出する方法であって、
・第1の印担体(110)にセンサによって読み出し可能な複数の印(133、134、135、136、137)を設け、当該複数の印(133、134、135、136、137)によって1つの第1の印パターンが形成され、
・当該第1の印パターンは、少なくとも1つの第1の印部分と第2の印部分とを含んでいる、複数の印部分を有しており、
・前記第1の印担体(110)は前記第1のシャフト(10)によって回転し、
・前記第1のシャフト(10)の回転角度と、前記第1の印担体(110)の回転角度との間に比例関係が生じており、
第1のセンサ(141)によって前記第1の印担体(110)を走査し、当該走査の間に前記第1のセンサ(141)によって第1のセンサ信号(151)を形成し、ここで当該第1のセンサ信号(151)を前記第1の印担体(110)上の印(133、134、135、136、137)によって変調し、
計算ユニット(30)を設け、当該計算ユニットは、
・複数の印部分が記憶されている記憶領域(311)を備えた記憶ユニット(310)を有しており、当該記憶されている印部分は少なくとも1つの第1の記録されている印部分と、第2の記憶されている印部分とを含んでおり、
・センサ信号入力側(320)を有しており、
・時間信号を備えたタイマー(330)を有しており、
前記計算ユニット(30)によって、前記第1のセンサ信号(151)の時間経過と前記時間信号との間の対応付けを行い、当該計算ユニット(30)によって以下のステップを実施する:
a)第1の印部分を、前記第1のセンサ信号(151)から再現し、次に、
b)当該再現した第1の印部分から、前記第1の記憶されている印部分を排除するための第1の排除基準を求め、次に
c)当該第1の排除基準を用いて、前記第1の記憶されている印部分を排除し、次に、
d)記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1であるか否かを検査し、当該差が1である場合にはステップg)へ移行し、当該差が1よりも大きい場合にはステップe)へ移行し、
e)前記第1のセンサ信号(151)から別の印部分を再現し、別の排除基準を求め、当該別の排除基準を用いて、別の記憶されている印部分を排除し、次に、
f)前記ステップd)を再び実施し、
g)排除されていない、記憶されている印部分から前記第1の回転角度を導出する、
ことを特徴とする、第1の回転角度を検出する方法によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】装置の有利な実施形態の概略図であり、この装置を用いて本発明の方法が実施される。
【図2】装置の別の有利な実施形態の概略図であり、この装置は、図1の構成部分に対して付加的に第2のセンサ241と、第2の印担体210と第2のシャフト20とを有している。
【図3】概略図において、第1の印担体110の例示的な実施形態の細部並びに第1のセンサ141の実施形態を示している。この第1のセンサは有利には、第1の印担体110を無接触で走査する。
【図4】図4A〜4Dは、第1の印担体110の実施例の回転角度の検出の例示的な経過を示している。この印担体は図示の実施例では同心円状に、第1のシャフト10と接続されている。例示的な経過は、矢印138によって表されている回転方向における第1の印担体110の回転の経過における、第1の印担体110に対する第1のセンサ141の相対的な配置の4つのスナップショット(4A、4B、4C、4D)の形態で表されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の構成要件では、エンジンの第1のシャフトの第1の回転角度を検出する方法が提供される。ここで
・第1の印担体に、センサによって読み出し可能な複数の印を設け、ここでこれらの印は第1の印パターンを形成し、当該第1の印パターンは、少なくとも1つの第1の印部分と第2の印部分とを備えている印部分を有している。
・前記第1の印担体は前記第1のシャフトによって回転させられ、
・前記第1のシャフトの回転角度と前記第1の印担体の回転角度との間に比例関係が生じており、
第1のセンサによって前記第1の印担体が走査され、当該走査の間に当該第1のセンサによって第1のセンサ信号が形成され、ここで当該第1のセンサ信号は前記第1の印担体上の印によって変調され、
計算ユニットが設けられており、当該計算ユニットは、
・印部分が記憶されている記憶領域を備えている記憶ユニットを有しており、当該記憶されている印部分は少なくとも1つの第1の記憶されている印部分と、第2の記憶されている印部分とを含んでおり、
・センサ信号入力側を有しており、
・時間信号を有するタイマーを有しており、
前記計算ユニットによって、前記第1のセンサ信号の時間経過と前記時間信号との間で対応付けが行われ、前記計算ユニットによって以下のステップが実施される:
a)第1の印部分を、第1のセンサ信号から再現(zurueck gewonnen)し、次に、
b)前記再現した第1の印部分から、第1の記憶されている印部分を排除するための第1の排除基準を求め、次に
c)当該第1の排除基準を用いて、少なくとも前記第1の記憶されている印部分を排除し、次に、
d)記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1であるか否かを検査し、当該差が1である場合にはステップg)へと移行し、当該差が1よりも大きい場合にはステップe)へと移行し、
e)前記第1のセンサ信号から別の印部分を再現し、別の排除基準を求め、当該別の排除基準を用いて、別の記憶されている印部分を排除し、
f)前記ステップd)を再び実施し、
g)前記排除されていない、記憶されている印部分から、第1の回転角度を導出する。
【0010】
詳細には、本発明の方法を改良し、発展させる多くの方法がある。これについては、請求項1に従属する請求項とともに、図に関連した以下の実施例の説明も参照されたい。
【0011】
第1のセンサによって、第1の印担体の走査が連続して行われ、第1の印担体の印部分の走査の間に有利には、時間信号の時間情報が、計算ユニットによって、第1のセンサのセンサ信号に対応付けされることに留意されたい。有利な実施形態では、少なくとも回転の一部に対して、第1のシャフトの角速度が既知である、または見積もり可能であり、近似的に一定であると見なされるので、少なくとも近似的に一定の角速度ωに対する計算規則から、この角速度が商、すなわち時間変化Δtによって除算された回転角度変化Δφ、として計算されることが分かる。
ω=Δφ/Δt
従って、角速度が少なくとも近似的に既知であり、かつ近似的に一定である、第1のシャフトの回転の部分に対しては、時間変化から直接的に角度変化が推測される:
Δφ=ω*Δt
さらに有利には、計算ユニットによって、第1のセンサによる第1の印担体の印または印部分の各走査後に角速度が更新される。
【0012】
さらに、第1の印担体の例示的な構成では、同様に形成された印ないしは同様に形成された印部分が繰り返し、第1の印担体内に組み込まれる、ということに留意されたい。歯車として形成されている第1の印担体の例では、このことは、明細書の最終の段落の1つにおいて、図面を参照して明瞭に記載されている。殊に、図3に関する図面の説明を参照されたい。
【0013】
第1の印担体の全ての印部分の完全な走査は、第1のセンサを用いて、次のような場合にのみ可能である。すなわち、第1の印担体が少なくとも1回は完全に回転し、この完全な回転の間に、第1の印担体の全ての印部分がこの第1のセンサを通過する場合にのみ可能である。しかし本発明の利点の1つは、第1のシャフトの回転角度を検出するために、印担体全体が走査されなくてもよい、ということである。
【0014】
以降の実施例に基づいて、第1の印担体の走査の過程を詳細に説明する。本発明の1つの実施形態では、第1の印担体は、金属製の歯を備えた歯車であり、第1のセンサは誘導性の近接スイッチである。ここで金属製の歯車の歯は回転の間、順次連続して、この誘導性の近接スイッチに沿って通過する。これによって、誘導性の近接スイッチによって、歯および/または歯が始まるまたは終了する境界面が検出される。第1の印部分の走査の過程において、計算ユニットによって、第1のセンサによって検出された第1の印部分と、第1の印部分の検出時点と検出持続時間との対応付けが、時間信号を用いて行われる。印担体の印ないしは印部分がセンサの作用領域内に到達し、センサがこれらの印ないしは印部分を走査すると、印ないしは印部分がこのセンサを通過したと判断される。
【0015】
第1の印部分の検出時に得られたデータから、計算ユニットは、少なくとも1つの記憶された印部分を排除することができ、詳細には、記憶されている印部分としてまたは印部分書き込みと称される、1つないしは複数の記憶された書き込みに相当しない、1つないしは複数の印部分を排除することができる。すなわち、用語「印部分書き込み」は上述のコンテキストにおいて次のことを意味している。すなわち、第1の印担体のn番目の印部分が、n番目の記憶されているデータセットMnによって表されていることを意味している。このデータセットは第1のセンサによって走査可能な技術的な特徴またはこの技術的な特徴から導出される、第1の印担体のn番目の印部分の特徴を含んでいる。ここでn=1、2、・・・mであり、mは第1の印担体の印部分の数である。データセットMnは、計算ユニットの記憶領域内に格納されている。
【0016】
第1の印担体の全印部分書き込みは全体で、第1の印担体の印担体書き込みを形成する。有利には、第1の印担体の全ての印部分書き込みは、計算ユニット内に記憶されている。換言すれば有利には、第1の印担体の全ての記憶されている印部分は全体で、第1の記憶されている印担体を形成する。従って、n番目の印部分の記憶されている書き込みは、n番目の記憶されている印部分と同等のものである。このn番目の記憶されている印部分は有利には、符号化された形状で、第1の印担体上のn番目の印部分の信号−時間特性または信号−角度特性を含む。
【0017】
有利には、n番目の記憶されている印部分の信号−時間特性は記憶されている時間間隔を有しており、この記憶されている時間間隔は、第1の印担体が所定の角速度で回転し、n番目の印部分がセンサを通過する場合に、1つの印部分が第1のセンサによって走査される走査持続時間に対する尺度である。
【0018】
説明のために以下に例を挙げる。ここでは第1の印部分は、1つの印(例えば1つの歯)から成る。従ってこの例では、第1の印部分は第1の印と同じものである。有利には、記憶されているn番目の印と走査されたn番目の印との比較時に計算ユニットによって検出された偏差が、所定の許容範囲内で計算ユニットによって受け入れられる。すなわちn番目の印は有利には、走査時間偏差にもかかわらず、属する記憶されているn番目の印に割り当てられる。これはこの偏差が、所定の許容範囲内にある場合である。所定の「公称」値から、走査された値が偏差しているのにもかかわらず、この走査された値は計算ユニットによって許容される。これは、走査された値が、この「公称」値の許容範囲内にある場合に限る。
【0019】
例えば、許容範囲は、計算ユニット内に記憶されている印の値領域を拡張するために設けられている。この例では、第1の記憶されている印は、「公称の」第1の走査時間Δtによって、有利には一定の第1の角速度ωにおいて、規定される。この「公称」走査時間を中心にしてこの例では許容範囲が形成される。この許容範囲内では一方では、許容範囲の最小値に対して、「公称」走査時間が許容時間値Δtだけ低減され、他方では許容範囲の最大値に対して、「公称」走査時間が許容値Δtだけ増大される。
【0020】
例えば第1の走査時間Δt=1msであり、許容時間値Δt=0.2msの場合、この例において、第1の最小走査時間は以下のようになる:
Δt1min=Δt−Δt=1ms−0.2ms=0.8ms
さらに第1の最大走査時間は以下のようになる:
Δt1max=Δt+Δt=1ms+0.2ms=1.2ms
これは、本実施例の場合には次のことを意味する。すなわち、第1の記憶されている印担体の第1の走査時間が、第1の角速度ωの場合に、0.8msと2.2msの間にあるということを意味する。この例において計算ユニットによって、記憶されている第1の印部分が、再現された印部分と比較され、この比較時に、第1の角速度ωにおいて、この再現された印部分の測定された走査時間が許容範囲Δt1minとΔt1maxとの間に位置する場合には、計算ユニットは測定された走査時間に値Δtを割り当てる。これは、印部分ないしは印部分のタイプ、例えば走査された歯車の短い方の歯または長い方の歯をあらわす。第1の角度速度ωにおいて、許容境界Δt1minとΔt1maxとの間にない走査時間を有している別の印部分は、排除される。当業者にとって、角速度ひいては回転している印担体の回転数が上昇すると、同一の印部分に対する走査時間が短くなることは自明である。
【0021】
特に有利には、計算ユニットによって、許容範囲が、第1のシャフトの回転数または第1のシャフトの角加速度に整合される、または計算ユニットによって第1のシャフトの回転角度が時点Xで少なくとも近似的に求められる場合には、この時点Xでのシャフトの位置に整合される。すなわち、許容範囲は有利には一定の領域ではなく、許容範囲の範囲境界は有利には回転数の関数または角加速度の関数または角度位置の関数、すなわち第1のシャフトの回転角度の関数である。第1のシャフトの角度位置へ許容公差範囲を整合させることの利点は、例えば、内燃機関の場合には殊に次の場合に得られる。すなわち許容範囲が、4サイクルガソリンエンジンまたは4サイクルディーゼルエンジンのクランクシャフトの所定の回転角度インターバルにおいて設定され、例えば4サイクルエンジンの第3のサイクル(点火によって始まるサイクル)において、上死点から数度の回転角度範囲で、許容範囲が拡大する場合に得られる。この拡大は有利である。なぜならこの第3のサイクルにおいて、すなわち点火後に、例えば1つまたは2つのシリンダーを有するエンジンの場合に、上昇する回転数が考慮されるからである。同様のことが有利には、4〜6個のシリンダーを有するエンジンに当てはまる。これは、出力に依存するシリンダースイッチオフを有している。
【0022】
信号−角度特性は1つまたは複数の角度インターバルを有している。ここでこの1つまたは複数の角度インターバル内で、第1のセンサ信号の所定の情報が走査される。これは、第1のシャフトの所定の角速度範囲および/または特定の角加速度範囲を上回りも、下回りもしない場合である。
【0023】
計算ユニットによって有利には信号−時間特性が信号−角度特性に変換される、または信号−角度特性が信号−時間特性に変換される。
【0024】
有利には、本発明の発展形態ではセンサ信号に割り当てられる角度インターバルはいわゆるアングルクロックによって供給される。このアングルクロックは有利には、計算ユニット内に組み込まれている。このアングルクロックによって周期的に、回転している印担体の目下の角度値または角度インターバルが、所定の0度値を基準にして計算される。ここで有利には、計算ユニットのタイマーの時間信号および/または角速度および/または角加速度が、アングルクロックの入力変数として用いられる。このアングルクロックによって、アングルクロック出力値が形成される。この値は次に、さらなる計算のために計算ユニットに供給される。
【0025】
例えば、第1のセンサによって、第1の印担体のn番目の印部分が走査されると、このアングルクロックによって、n番目の印部分が回転角度差に割り当てられる。ここでこの回転角度差は、n番目の印部分の開始部分での回転角度と、n番目の印部分の終端部分での回転角度との差である。この差の値は、n番目の印部分によって占められる領域の大きさ、または、換言すればn番目の印部分の大きさを表す。
【0026】
有利には歯車として形成されている第1の印担体の例に即して、上述したテキスト部分に記載されている、n番目の印部分の大きさを求める実施例がさらに明確にされる。例えばn番目の印担体が歯車の第1の歯である場合には、この第1の歯に対する信号−角度−割り当てが有利には、第1のセンサおよびアングルクロックを用いて次のように行われる。すなわち第1のセンサが、第1の歯の歯開始部分の走査の時点で、この時点の、アングルクロックの値を記憶領域X内に緩衝記憶するように行われる。後続の時点で、すなわち第1の歯の歯開始部の走査後に、第1の歯の歯終端部の走査が第1のセンサによって行われると、有利には、アングルクロックの値が、記憶領域Y内に緩衝記憶される。次に有利には、計算ユニットによって以下に示す差が形成される:
すなわち、記憶領域Yの値と、記憶領域Xの値との差である。この差の結果はこの例では、第1の歯の大きさを、角度値の形態で表す。歯の「大きさ」とは本発明では、この歯によって表される歯車の回転角度のことである。図3に関する記載において、この関係が後続のテキストにおいてより詳細に説明される。
【0027】
第1のセンサ信号に含まれている情報は、第1のセンサおよび第1の印担体の種類に応じて、異なって構成される。使用可能な、第1のセンサの種類の例は誘導性の近接スイッチであり、殊に、ホールセンサを含んでいる近接スイッチである。ここでこの誘導性の近接スイッチによって走査される印担体は有利には、金属製の印部分、例えば歯車の鋼の歯を有している。
【0028】
第1のセンサのセンサ信号は有利には、2種類の信号レベルしか有しておらず、例えば論理的「1」のレベルと論理的「0」のレベルとを含んでいる。ここで例えば第1のレベルは第1のセンサから、歯車の鋼の歯が第1のセンサによって識別されると出力され、第2のレベルは第1のセンサから、歯車の歯の隙間が第1のセンサによって識別されると出力される。
【0029】
本発明の択一的な発展形態では、第1のセンサはバスインタフェース、例えばCANバスインタフェースを有している。これによって、本発明のこの発展形態には、次のことが必要となる。すなわち、計算ユニットのセンサ信号入力側も同様にバスインタフェースを有しており、第1のセンサ信号がバスメッセージを含んでいることが必要となる。このバスメッセージは例えば、第1の印担体の回転角度が変化し、同時に第1の印担体の印ないしは印部分が第1のセンサを「通過」した時に、各印ないしは各印部分が第1のセンサによって走査されたか否かに関する情報を有する。
【0030】
本発明の別の形態では、第1のセンサにはタイマーが組み込まれている、および/またはセンサ信号入力側は、二方向のバスインタフェースとして構成されている。このバスインタフェースは、第1のセンサ信号をバスメッセージを用いて受信する。ここで有利には、時間信号はバスメッセージを用いて、第1のセンサからセンサ信号入力側へ、および/またはセンサ信号入力側から第1のセンサへ、例えば同期化のために伝送される。本発明の別の構成に従って、バスインタフェースを伴う、「組み込まれている」第1のセンサが使用され、さらのこの第1のセンサに適切な時間信号が供給される場合には、技術的に、第1のセンサ信号をメッセージの形態でセンサ信号入力側に伝送することが可能である。ここで第1の印担体の、第1のセンサによって識別された印ないしは印部分を、各属する時間情報とともに含んでいるメッセージがセンサ信号入力側に伝送される。
【0031】
本発明による方法の利点は、第1の印担体の構成に応じて、エンジンの回転角度を検出するために必要な持続時間を可変に、短くすることができる、ということである。
【0032】
本発明による方法の別の利点は、この方法を比較的容易に、印担体の種々の様式に合わせることができる、ということである。ここから殊に別の利点が生じる。すなわち、冒頭に記載したG.Emersonによる方法および従来技術と組み合わせた方法よりも、本発明による方法が汎用的に使用可能である、および/または低コストで実現可能である、という利点である。本発明および本発明の発展形態は、エンジン制御機器のプロトタイプテストの用途において特に有利に使用可能である。なぜなら例えば、この領域に従事しているテストエンジニアが、テスト環境を、本発明を用いてより迅速かつより容易に、通常種々異なる印担体が設けられる種々異なるエンジンに合わせることができるようになるからである。
【0033】
冒頭に記載した従来技術(Wikipedia記事を参照)からの、ロータリーエンコーダを用いた回転角度検出方法に対抗する本発明の方法の利点は、本発明によって、多くのアプリケーションが低コストで実現可能になるということである。なぜなら本発明では、複数のセクターに分けられている複数の同心円状のリングを複数のセンサによって同時に並行走査する必要がないからである。
【0034】
本発明による方法の有利な発展形態では、排除された、記憶されていた印部分の数が、計算ユニットによって0にリセットされ、その後、計算ユニットによって、第1の回転角度が、排除されていない、記憶されている印部分へ割り当てられ、続いて、請求項1に記載されているステップが再び実施される。本発明のこの発展形態は次の利点を有している。すなわち、計算ユニットの、例えば第1のセンサ信号の信号障害によって生起される場合によって生じる計算エラーが、第1のシャフトの回転角度の更なる決定に影響を与えない、という利点を有している。すなわちさらなる計算は、本発明の発展形態に即して、古い計算結果を用いずに行われる。
【0035】
本発明の別の実施形態は次の特徴を有している。すなわち、計算ユニットによって、排除されていない記憶されている印部分に第1の回転角度を割り当てた後に、計算ユニットによって、第1の印担体の回転方向において第1のセンサによって走査された印部分が計数され、次に計算ユニットによって、第1の回転角度にこの計数された走査された部分がさらに割り当てられ、このさらなる割り当てに従って、第1の回転角度が更新される、という特徴を有している。
【0036】
本発明の発展形態では、計算ユニットによって、第1のセンサによって走査された印担体の計数が中断され、次に新たに、請求項1のステップが実施される。
【0037】
本発明による方法の別の発展形態では、計算ユニットはシフトレジスターを有しており、ここでこのシフトレジスターは、シフトレジスター記憶素子が直列接続されたものを有している。ここでこのシフトレジスターは、シフトレジスター記憶素子によって記憶されている印部分の代表(Repraesentanzen)を記憶する。ここで計算ユニットによって、排除されていない、記憶されている印部分の第1の回転角度が導出された後に、計算ユニットによって、第1の印担体の各回転方向において、第1のセンサによって走査された各印部分において、シフトステップがシフトレジスターで行われる。ここでこのシフトステップは、ある1つのシフトレジスター記憶素子から、直列接続において後続のシフトレジスター記憶素子へ、記憶されている印部分の代表が移動することを含んでいる。
【0038】
発明の別の実施形態では、第2のセンサが設けられている。この第2のセンサはセンサ信号入力側と接続されている。ここでこの第2のセンサによって、周期的に変化するエンジン特性またはエンジンによって影響されたパラメータが走査される。本発明による方法が例えば、内燃機関の第1のシャフトの第1の回転角度の検出に用いられる場合には、有利には、エンジンの、周期的に変化する特性は、内燃機関のシリンダー内圧またはカムシャフトの位置である。
【0039】
本発明の有利な形態では、第2の印パターンを備えた第2の印担体が第2のシャフト上に設けられている。ここでこの第2のシャフトおよび第2の印担体は第1のシャフトによって回転される。この場合には、第2のセンサが設けられており、この第2のセンサはセンサ信号入力側と接続されている。ここで、第2の印担体を走査する第2のセンサによって第2のセンサ信号が形成され、第2のセンサによって第2の印担体の所定の長さ変化が走査されると、この第2のセンサ信号は第2のセンサによって変調される。ここで特に有利には、第2のセンサの第2のセンサ信号が計算ユニットによって評価され、第2のセンサ信号は、第1のシャフトの第1の回転角度の所定の零点からの、第1のシャフトの偶数回転ないしは奇数回転を区別するための情報を有している。
【0040】
別の実施形態では、この第2のセンサ信号は計算ユニットによって評価され、第2のセンサ信号は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのサイクルを区別するための情報を有している。
【0041】
第2のセンサ信号を伴う第2のセンサが使用される本発明の有利な形態では、第1のセンサ信号と第2のセンサ信号が、第1のセンサ信号と第2のセンサ信号の情報を含んでいる、組み合わされた1つのセンサ信号にまとめられる。
【0042】
本発明の別の発展形態では、記憶ユニット内に、記憶されている印部分が、圧縮された形態で記憶されている。
【0043】
特に有利には、この方法において、第1のセンサ信号から再現された印部分および記憶されている印部分が計算ユニットによって、第1の排除基準および/または別の排除基準を求める際に、圧縮された形態で使用される。記憶されている印部分および再現された印部分を圧縮された形態で使用することは、殊に計算ユニットのリソース、例えば記憶場所リソースが少ない場合に、特に有利である。なぜなら殊に、センサによって再現された印担体の印部分に関する冗長的な情報は、記憶されないまたは部分的にのみ記憶され、これによって記憶場所が節約される、および/または記憶されている印部分を排除するための排除基準を求める時に、必要とされる計算ユニットのリソースが、圧縮された形の記憶されている印部分および、圧縮された形の再現された印部分の圧縮された形状を使用しない場合よりも、少なくなるからである。
【0044】
本発明の発展形態では、記憶されている印部分に異なる高さの優先度が付けられ、計算ユニットによって、排除基準を求める際に、記憶されている印部分が、優先度の高さによって決められた順番で使用される。
【0045】
本実施例では内燃機関として総称されているガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのクランクシャフトの例に即して、後続のテキストにおいて、本発明の発展形態に従った優先性の使用がより詳細に説明される:第1の印担体は例えば直接的かつ同心円的に、内燃機関のクランクシャフトに取り付けられている。はじめに内燃機関は静止状態にある。すなわち、内燃機関はまずは停止されている。停止されている状態において、内燃機関のピストンは有利な位置を取る。クランクシャフトの他の位置は、内燃機関の静止状態においては比較的非現実的である。なぜなら例えばこの非現実的な位置において、シリンダー内圧は高くなり、より低いシリンダー内圧を有する位置へのピストンの移行を阻止する力がクランクシャフトに作用しない限り、内燃機関のピストンが別の位置へ進んでしまうからである。クランクシャフトのこの非現実的な位置、ひいては属する、コールドスタート時に非現実的な、記憶されている印部分には例えば低い優先度が割り当てられる。従って内燃機関のコールドスタート過程の最初の何ミリ秒かにおいては、本発明のこの発展形態においては、最も低い優先度が割り当てられている記憶されている印部分が最後に、第1のセンサによって再現された印部分との比較のために使用される。
【0046】
本発明の別の有利な形態では、記憶ユニット内に、第1の印担体の印部分の順番が、回転しているシャフトのもとで第1のセンサに第1の印担体の印部分が接近する順番に相応して記憶され、計算ユニットによって、妥当性検査が次のように実施される。すなわち、第1の印担体の印部分の記憶されている順番が、第1のセンサによる走査によって求められた、第1の印担体の印部分の順番と計算ユニットによって比較されるように実施される。ここで計算ユニットによって、第1の印担体の印部分の記憶されている順番と、走査によって求められた、第1の印担体の印部分の順番との間に偏差が検出されると、エラー状態がシグナリングされる。
【0047】
エラー状態がシグナリングされると、オプショナルで、例えば、本発明の付加的な発展形態が計算ユニットによって提供される。この発展形態では、上述した妥当性検査によってエラーがあると識別された印部分が、印部分の記憶されている順番に従って予期されるべき印部分によって置き換えられる。この印部分は、エラー状態が生じないであろう場合に、再現されるであろう。ある実施形態では、有利には、第1のセンサによって、第1の印担体の、容量的、誘電性、光学性および/または機械的な特性の変化が走査される。
【0048】
本発明の1つの実施例では、第1の回転角度は所定の時間間隔で、または所定数の印部分が第1のセンサによって走査された時点で更新され、計算ユニットからエンジンの調整装置へと伝達される。
【0049】
本発明に相応する方法の特に有利な構成では、少なくとも1つの、記憶されている印部分に許容範囲が設定される。ここで、記憶されている印部分のこの値領域は、この許容範囲ぶんだけ拡張可能である。ここでは特に有利には、この許容範囲は可変の範囲境界を有している。ここでこの範囲境界は、第1のシャフトの回転数の関数、または第1のシャフトの角加速度の関数、または第1のシャフトに割り当てられた回転角度の関数である。これは、範囲境界の計算前に計算ユニットによって求められる。
【0050】
本発明による方法の特に有利な実施形態では、第1のシャフトとは内燃機関のクランクシャフトである。
【0051】
別の形態では、第2のシャフトは、内燃機関のカムシャフトである。
【0052】
有利には、第2のシャフトがカムシャフトである実施形態において、カムシャフトは力伝達手段、例えばカムベルト、歯車、またはチェーンを介して、第1のシャフトと接続されているということに留意されたい。従って、いわゆるカムシャフト調整部を備えたエンジンを有する実施形態を除いて、第1のシャフトの回転角度とカムシャフトの回転角度との間は実質的に比例関係になっている。カムシャフト調整部が設けられている場合には、第1のシャフトの回転角度とカムシャフトの回転角度との間に、線形または非線形の数学的な依存性が、カムシャフトの各設定された調整角度において存在する。付加的に、殊に特許出願DE2825316A1号に記載されている、カムシャフト調整部の原理に関する開示を参照されたい。
【0053】
本明細書では、一方では、エンジンの第1のシャフトの第1の回転角度を検出する本発明による方法を開示しており、他方では、本発明のこの方法を実施するおよび本発明のこの方法を改善する本発明の装置を開示している。
ここで、
・第1の印担体に、センサによって読み出し可能な複数の印が設けられており、これらの印によって第1の印パターンが形成され、
・第1の印パターンは、少なくとも1つの第1の印部分と第2の印部分とを含んでいる複数の印部分を有しており、
・第1の印担体は第1のシャフトによって回転させられ、
・第1のシャフトの回転角度と、第1の印担体の回転角度との間に比例関係が生じており、
第1のセンサによって第1の印担体が走査され、この走査の間に第1のセンサによって第1のセンサ信号が形成され、ここでこの第1のセンサ信号は第1の印担体上の印によって変調され、
計算ユニットが設けられており、この計算ユニットは、
・印部分が記憶されている記憶領域を備えた記憶ユニットを有しており、この印部分は少なくとも1つの、第1の記憶されている印部分と、第2の記憶されている印部分とを含んでおり、
・センサ信号入力側を有しており、
・時間信号を備えたタイマーを有しており、
計算ユニットによって、第1のセンサ信号の時間経過とこの時間信号とが対応付けされ、計算ユニットによって以下のステップが実施される:
a)第1の印部分を、第1のセンサ信号から再現し、次に
b)この再現された第1の印部分から、第1の記憶されている印部分を排除するための第1の排除基準を求め、次に
c)この第1の排除基準を用いて、第1の記憶されている印部分を排除し、次に、
d)記憶されている印部分の総数と、排除された記憶されている印部分の数との差が1であるか否かを検査し、この差が1である場合にはステップg)へと移行し、この差が1よりも大きい場合にはステップe)へと移行し、
e)第1のセンサ信号から別の印部分を再現し、別の排除基準を求め、この別の排除基準を用いて、別の記憶されている印部分を排除し、次に、
f)ステップd)を再び実施し、
g)排除されていない、記憶されている印部分から、第1の回転角度を導出する。
【実施例】
【0054】
本発明を以下で、図面を参照してより詳細に説明する。ここでは同じ部分には同じ参照符号が付けられている。図示の実施例は、顕著に概略化されている。殊に、計算ユニット30は図1および2において1つのモジュールとして示されているが、1つの実施例では、計算ユニット30は物理的に、複数のモジュールおよび/または電子回路に分けられる。
【0055】
図1では、エンジンの第1のシャフト10の第1の回転角度を検出する装置の実施形態は、センサによって読み出される複数の印を備えた第1の印担体110を有している。これらの印は図1において、例えば、歯133、134、135、136、137として形成されている。ここでこれらの印133〜137によって、第1の印パターンが形成される。この第1の印パターンは、この実施形態において、この実施例においてはそれぞれ少なくとも1つの歯133〜137を有している複数の印部分を含んでいる。
【0056】
第1の印担体110は第1のシャフト10によって回転させられる。ここで第1のシャフト10は例えば、時計回りで回転する。これは、第1のシャフト10における湾曲した矢印138によって示されている。この実施形態では第1の印担体110が第1のシャフト10と接続されており、第1の印担体110と第1のシャフト10は同心円状に配置されているので、第1のシャフト10の回転角度と第1の印担体110の回転角度は同一である。第1のセンサ141によって第1の印担体110が走査され、この走査の間に第1のセンサ141によって第1のセンサ信号151が形成される。ここでこの第1のセンサ信号151は、第1の印担体110上の印133〜137によって変調される。
【0057】
センサ信号入力側320は計算ユニットのインタフェースとして設けられており、計算ユニット30に、第1のセンサ141の第1のセンサ信号151を引き渡すように構成されている。センサ信号入力側320から、第1のセンサ141によって供給された情報が、計算ユニット30の情報処理部(完全には示されていない)に転送される。殊に、計算ユニット30によって、第1のセンサ信号151にタイマー330の時間信号(図示されていない)が割り当てられる。
【0058】
図1に概略的に示されている計算ユニット30は、記憶ユニット310を有している。この記憶ユニットは、記憶されている印部分を有している記憶領域311を備えている。この記憶されている印部分は、少なくとも1つの第1の記憶されている印部分と第2の記憶されている印部分とを含んでいる。
【0059】
さらに計算ユニット30は、センサ入力側320と、時間信号を備えたタイマー330とを有している。タイマー330のこの時間信号は、計算ユニット内で、有利には、次のことのために使用される。すなわち第1の印担体110の印133〜137によって変調された第1のセンサ信号151に、第1の印担体110の走査の経過において、それぞれ1つの目下の時間情報を計算ユニット30内で割り当てるために使用される。明細書の冒頭において、既に、角速度と角度と時間との関係に関して述べた。時間間隔の間、第1の印担体110の角速度が近似的に一定であり、かつ近似的に既知であると想定される場合には、計算ユニット30によって、この時間間隔を角度に割り当てることができる。この角度は、この時間間隔において、第1の印担体110が進むまたは進んだ角度である。
【0060】
図1の実施形態では、計算ユニット30は有利には圧縮ユニット350を有している。この圧縮ユニット350は、検出時点で、記憶されている印部分に付着している、冗長的ないしは余計な情報を少なくとも部分的に削除するというタスクを果たす。圧縮ユニットのさらなる機能は有利には、第1のセンサ141による第1の印担体110の走査時、および場合によっては、時間信号を第1のセンサ信号151に割り当てるときに生じる冗長的なまたは余計な情報を、少なくとも部分的に取り除く、ということである。有利には、本発明による方法の実施時には、第1の印部分110の記憶されている印部分も再現された印部分も、圧縮された形状で使用される。例えば図3に示されているように、第1の印担体110が、2種類の印(すなわち、小さい歯133、134、135と大きい歯136、137)のみを有している歯車として形成されている場合には、第1の排除基準およびさらなる排除基準を求めるためには、第1のセンサ141とこの第1のセンサと接続されている計算ユニット30によって、第1の印担体110の回転の間に、特定の時点で小さい方の歯が走査されたのか、または大きい方の歯が走査されたのかを求めればよい。第1のシャフト10の回転方向はこの例では、湾曲した矢印138によって示されている。この矢印は、第1のシャフトの上方に示されている。例えば、図3における連続する歯の時間的な一連の走査から、第1のシャフトの回転角度を推測することができる:すなわち、小さい歯、小さい歯、大きい歯である。このような一連の走査の終端は、図3の実施例では、240°の回転角度と等しい。全ての別の回転角度は、この一連の走査の検出時点で排除される。この実施例に基づいて、例えば、第1の印担体の走査時に生じる第1のセンサ141の信号時間ダイヤグラムが圧縮されることが明らかである。圧縮されたこの情報は、例えば、再現された印部分を表している上述した一連の走査を含んでいる。有利には、圧縮された形状で存在する、計算ユニット30内に記憶されている印部分との比較の後、本発明に相応して排除方法を実施した後に、上述した240°の回転角度が推測される。1つの例示的な実現形態では、圧縮ユニット350は、FPGA構成素子内に実現されている。
【0061】
本発明の方法は次のことを前提条件としている。すなわち、計算ユニット30が、記憶領域311を備えた記憶ユニット310を有しており、この記憶領域311の記憶されている情報が殊に、図1に示されていない、記憶されている印部分を含んでいることを前提条件としている。1つの実施形態では、計算ユニットによって、記憶領域311内に記憶される印部分を供給する、以下の2つの機能のうちの1つが、実施される。これは本発明による方法の前に実施される:第1の機能では、第1の印担体110が、所定の角速度で所定の回転方向において、第1のシャフトによって駆動され、同時に第1のセンサおよび計算ユニットによって、この第1の印担体の信号−時間−特性または信号−角度−特性が走査され、書き込まれる。記憶される印パターンを供給する第2の機能では、計算ユニット30のインタフェース340が設けられ、図示されていない別の外部のデータ源によって、またはユーザーによる手動入力によって、このインタフェース340を介して、データが、計算ユニット30の記憶ユニット310に伝送される。ここでこれらのデータは、記憶される印パターンを形成する。
【0062】
計算ユニット30によって、第1のセンサ信号151の時間的な経過と時間信号との間の割り当てが行われる。さらに、計算ユニット30によって、第1の印部分が第1のセンサ信号151から再現され、次に、この再現された第1の印部分から、第1の記憶されている印部分(図1には示されていない)を排除するための第1の排除基準が求められる。次に、この第1の排除基準によって、第1の記憶されている印部分が排除される。その後、記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1と同じであるか否かが検査され、この差が1である場合には、排除されていない、記憶されている印部分から第1の回転角が導出されるステップに移行する。記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1でない場合には、別の印部分が第1のセンサ信号151から再現され、別の排除基準が求められ、この別の排除基準によって別の記憶されている印部分が排除される。次に再び、記憶されている印部分の総数と、排除された記憶されている印部分の数の差が1であるか否かが検査される。この差が依然として1でない場合には、この差が1になるまで、この段落のステップが繰り返される。差が1である場合には、排除されていない、記憶されている印部分から、第1の回転角が導出される。
【0063】
この方法の別の利点は、有利には、初期化過程の後、第1のシャフトないしは第1の印担体110の回転角度を求めるために、第1のシャフト10ないしは第1の印担体110を完全に一回転させる必要がない、ということである。例えば、いわゆるスタート・ストップ自動装置を有する自動車内の内燃機関の場合には、燃費低減のために、各スタート過程時に比較的直ぐに、クランクシャフトの回転角度を識別するというタスクが生じる。本発明による方法は、この例示的な用途において、必要とする回路技術的なコストが比較的低い、有利な解決方法を提供する。
【0064】
殊に、開発者およびテストシステム製造者に対して、この方法のさらなる利点は、本発明による解決方法の柔軟性である。この柔軟性は、この方法が種々の様式の印担体に容易に整合可能であることによって得られる。本発明によって有利には、同一の装置によって、エンジンのクランクシャフトの回転角度が検出される。ここで異なるエンジンのクランクシャフトは、異なる様式の印担体を有している。
【0065】
本発明による方法は、仮想部品ひいては仮想印担体および仮想センサを備えた仮想エンジンの始動シミュレーションにおける仮想回転においても、使用可能であることに留意されたい。換言すれば、有利には、エンジンおよび/またはセンサの出力信号は、電子的な入出力回路装置によって供給される。有利には第2の計算ユニットが機能する。この第2の計算ユニットは、センサを備えたエンジンのシミュレーションモデルを形成し、入出力回路装置とともに機能する。センサの変調された信号はこの入出力回路装置によって提供されるので、シミュレートされる第1のセンサの出力信号は、実際の第1のセンサ141の出力信号に相応する。
【0066】
図2は、有利には、第1のセンサ信号151の他に、第2のセンサ信号が計算ユニットに供給されることを示している。この第2のセンサ信号241は、有利に回転する第2の印担体210−ここでは、カムシャフト20の回転するカムとして示されている−が、有利には誘導性の近接スイッチである第2のセンサ241によって走査されることによって得られる。第2のセンサ241にカムが所定の距離に近づくと、第2のセンサ信号245が変化する。有利にはタイマー330の時間信号によって、第2のセンサ信号、殊に第2のセンサ信号のエッジに、計算ユニット30によって時間情報が割り当てられる。
【0067】
利点は、第1の印パターンを備えた第1の印担体をクランクシャフトに割り当てるときに、および、第2の印パターンを備えた第2の印担体をカムシャフトに割り当てるときに、4サイクルエンジンのサイクルの数を、殊にエンジンの静止状態の後に、ないしは直接的にエンジンの始動過程において、求めることができる、ということである。シリンダーの数および、有利にはカムシャフトのカムとして形成されており、カムシャフトによって回転させられる第2の印担体の構造に応じて、第2のセンサによって有利には、調整装置の初期化後、例えばイグニッションキーまたはスタートボタン等によって始動過程がアクティブになった後、第2の印担体の位置に基づいて、第2のシャフトの第2の回転角度、ひいては有利には4サイクルエンジンのサイクルが求められる、または少なくとも1つまたは複数のサイクルが排除される。カムシャフトの各カムに1つのセンサが割り当てられることによって、複数のシリンダーを有する4サイクル内燃機関のシリンダーのサイクルができるだけ迅速に決められる。なぜなら、カムの走査の後に、通常は少なくとも近似的に、全てのシリンダーに対して、各シリンダーのサイクルが推測されるからである。しかし、カムシャフトのカムの走査による回転角度特定だけでは、内燃機関を調整する目的に対しては通常、不十分である。なぜなら、カム走査を介した回転角度特定の得られる精度は、内燃機関の(燃費に関する)消費最適調整の場合には不十分だからである。この理由から、第2のセンサないしは別のセンサによる1つまたは複数のカムの走査は、有利には、例えばシリンダーサイクル、およびクランクシャフトの属する回転角度間隔の検出のための、第1のシャフトの回転角度の間隔を限定するためにのみ用いられる。
【0068】
上述したように歯の「大きさ」とは本発明では、この歯によって表される、歯車の回転角度のことである。
【0069】
図3に関するさらなるテキストにおいて、この関係をより詳細に表す。
【0070】
図3に示された実施例では、歯車として形成されている第1の印担体10には、全部で5個の歯が設けられている。ここでこれらの歯の隙間は常に同じ大きさの角度幅、すなわち30°を表している。本発明では、複数の印(例えば歯車の複数の歯)を1つの印部分にまとめることが可能であるが、図3に示された例示的な歯車では1つの印部分はそれぞれ1個の歯である。ここでは2種類の歯が設けられている。すなわち、30°の歯と60°の歯である。このテキストにおける全ての具体的な角度幅は°の単位で示されている。すなわち、円周角は360°である。
【0071】
印担体110の図3に示された実施例は、第1の歯133と、第2の歯134と、第3の歯135を有している。ここでこの3つの歯はそれぞれ、30°の角度幅を表している。印担体はさらに、第4の歯136と第5の歯137を有している。ここでこれらの歯はそれぞれ60°の角度幅を表している。各歯の後に、歯の隙間が続く。これはそれぞれ30°の角度幅を表している。シャフトの回転角度は、第1のセンサによって走査された、歯の角度幅と歯の隙間の角度幅との合算によって得られる。第1のセンサ141の実施形態に応じて、第1のセンサによって、歯の開始部の走査時および歯の終端部の走査時にのみ、相応する情報が計算ユニット30に伝送されるようにすることができる。第1および/または第2のセンサ141、241の別の実施形態は次のように設計される。すなわち、走査された歯の開始部に関する情報のみ、または、走査された歯の終端部に関する情報のみが、第1のセンサから計算ユニットに伝達されるように設計される。この実施例では、各歯の開始部および各歯の終端部が第1のセンサによって走査され、実質的には、考慮されるべき時間遅延無く、計算ユニットに伝送される。
【0072】
図3において印担体110内の破線の内部円として示されている第1のシャフト10と第1の印担体110は同心円状に配置されており、相互に接続されている。従って、第1のシャフト10の回転角度は必ず、第1の印担体110の回転角度と同一である。シャフトの零度位置(図3では「0°」で示されている)はこの例において、図3に示されている、第1の歯133の上方終端部に固定されている。30°の位置は、第1の歯133の下方終端部に相当する。以下の角度値は、印担体110の5個の歯の開始部と終端部を表している。印担体は図3において例えば歯車として形成されている:
・第1の歯133:歯の開始部は0°を表し、歯の終端部は30°をあらわす。
・第2の歯134:歯の開始部は60°を表し、歯の終端部は90°をあらわす。
・第3の歯135:歯の開始部は120°を表し、歯の終端部は150°をあらわす。
・第4の歯136:歯の開始部は180°を表し、歯の終端部は240°をあらわす。
・第5の歯137:歯の開始部は270°を表し、歯の終端部は330°をあらわす。
【0073】
これらの歯の間で、印担体110はそれぞれ30°の歯の隙間を有する。印担体110は、湾曲した矢印138によって示された回転方向で回転するように設定および構成されている。印担体の回転時には一回転する毎に、全ての歯が連続して、第1のセンサ141に沿って案内される。この第1のセンサ141によって、印担体110の全ての歯の歯開始部および歯終端部が走査される。
【0074】
第1のシャフト110の角速度はこの例では一定であると仮定されている。この実施例では、角速度値が計算ユニット内に記憶されている。
【0075】
図3に示された実施例におけるように、歯が30°または60°の角度幅を表している場合には、センサと接続されている計算ユニットによる印担体走査を用いた回転角度の特定は、本発明の1つの実施形態において、歯開始部および歯終端部で行われる。これは、短い方の歯が走査されるのかまたは長い方の歯が走査されたのかに応じて、例えば、30°ないしは60°のステップで行われる。
【0076】
回転している印担体110の角速度が近似的に一定である場合には、有利には計算ユニット30において行われる数学的な補外によって、印担体110の各回転角度、ひいては第1のシャフト10の回転角度を、歯の通過中にも、近似的にさらに計算することができる。補外によって求められた回転角度は有利には、計算ユニット30によって、いわゆるリアルタイム条件を遵守して、エンジンの、図示されていない調整ユニットに転送される。
【0077】
例示的な印担体110の回転角度の検出の実施例に基づいて、以降で、図示されており、時間的に順次連続している、回転している印担体110のスナップショットを詳細に示している図4A、4B、4Cおよび4Dに基づいて、殊に例に即して、本発明の排除方法が第1の印担体110を用いてどのように行われるのかを説明する。分かりやすくするために、図4には、第1のセンサ141と計算ユニット30のセンサ信号入力側320との間の接続は示されていない。しかし、第1のセンサ141から出力される第1のセンサ信号151が、図1および図2に示されているように、計算ユニット30に転送されなければならいことは明らかであり、計算ユニット30によって第1のセンサ信号151を評価することによって、第1の印担体110の回転角度、ひいては第1のシャフト10の回転角度が求められる。
【0078】
この実施例では、第1のシャフト110の角速度は実質的に一定であり、角速度の値は計算ユニット内に格納されている。さらにこの例では、信号処理によって生じる時間遅延は観察されなくてよいことにされている。このような時間遅延は殊に、第1のセンサ141による信号形成時、および計算ユニット30への第1のセンサ信号151の信号転送時および計算ユニット30内の第1のセンサ信号151の信号評価時に生じる時間遅延である。図4では、図4に属する詳細図4A〜4Dにおける連続スナップショットにおいて、第1の印担体110の実施例が示されている。これは第1のシャフト10の回転角度検出の個々のフェーズの有利な順番になっている。ここに示された第1の印担体は有利には、図3に示された実施例の第1の印担体110と同じである。
【0079】
例えば、図4Aに示されているように、計算ユニットの初期化後に第1のセンサ141によって歯車110の走査が開始される。この歯車は第1のシャフト10によって駆動される。第1のセンサ141は、第1の30°の歯133と第2の30°の歯134との間の歯の隙間にある。続いて、まずは第2の30°の歯134が走査される。従って、計算ユニットによってまずは60°の歯のみが排除される。なぜなら計算ユニット30は第1のセンサ信号151によって、記憶されている印部分との比較によっておよび走査持続時間によって、第2の歯134の走査時に、30°の歯が走査されたことを求めるからである。第2の歯134の走査は図4Bでは既に完全に終了している。
【0080】
記憶されている印部分はこの実施例では、順次連続する歯の種類のシーケンスの記憶されている表現を有する。ここでは短い歯および/または長い歯のシーケンスである。記憶されている印部分に対する排除基準が形成される。この実施例では第2の歯134の走査後の時点で、60°の歯によって始まる、記憶されている印部分が排除される。記憶されている印部分の総数はこの実施例では、この第1の印担体、矢印138によって示されたこの回転方向および第1のセンサ141の属する配置の際に技術的に可能である、全ての走査シーケンスの記憶されている表現を含んでいる。記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差は、図4Bに示されているスナップショットの時点において、1よりも大きい。印担体110の走査は、この回転角度を特定するために続けられなければならない。
【0081】
既に走査された歯ないしはその種類は、記憶ユニット310内に記憶され続ける。すなわち計算ユニット30は、「走査の経歴」を有利には初期化過程から記憶している。すなわち、既に走査された歯の順番および種類、有利には最後に走査された歯から、第1の印担体110の歯の総数に達する歯までの順番および種類を記憶している。歯の「種類」とは、図4に示されたこの実施例では、「長い」歯136、137および「短い」歯133、134、135のことである。
【0082】
図4Bでは、第2の歯134の走査が終了しており、その後に、第3の歯135の走査が続く。
【0083】
図4Cに示されているように、図示のスナップショットでは、第3の歯135が走査されている。内部に、記憶された走査経歴が存在する計算ユニット30によって、2つの短い歯の連続で開始していない全ての印部分が排除される。しかし、記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差は依然として1よりも大きい。印担体110の走査が、その回転角度を決定するために続けられなければならない。
【0084】
図4Dから、第1のセンサ141による第4の歯136の走査が終了してていることが分かる。第4の歯136の走査の終了後、計算ユニット30の記憶ユニット310内には、以降の順番が記憶されている:すなわち、短い歯、短い歯、長い歯である。さらなる排除基準を求めるために計算ユニット30内で使用されるこの走査経歴を用いて、最後に挙げた走査経歴に相応しない、記憶されている全ての印部分が排除される。この例では、この時点で存在している排除基準によって検出されない1つの記憶されている印部分が残る。なぜなら3つの走査された歯の後および最後に挙げた走査経歴の存在で、この時点で最後に、第1のセンサ141によって検出された歯が第4の歯136であることが推測されるからである。これによって、第1のシャフトの回転角度は、第4の歯136の歯終点の走査時点で導出される。これは図3に示されているように、この実施例では240°である。
【0085】
当業者は、本発明の開示内容を用いて、図示された実施例を多様に変化させることができる。殊に、本発明は、種々異なる印担体を用いて実現可能である。
【符号の説明】
【0086】
10、20 シャフト、 110、210 印担体、 133、134、135、136、137 印、 141、241 センサ、 151、245 センサ信号、 30 計算ユニット、 310 記憶ユニット、 311 記憶領域、 320 センサ信号入力側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの第1のシャフト(10)の第1の回転角度を検出する方法であって、
・第1の印担体(110)にセンサによって読み出し可能な複数の印(133、134、135、136、137)を設け、当該複数の印(133、134、135、136、137)によって1つの第1の印パターンが形成され、
・当該第1の印パターンは、少なくとも1つの第1の印部分と第2の印部分とを含んでいる、複数の印部分を有しており、
・前記第1の印担体(110)は前記第1のシャフト(10)によって回転し、
・前記第1のシャフト(10)の回転角度と、前記第1の印担体(110)の回転角度との間に比例関係が生じており、
第1のセンサ(141)によって前記第1の印担体(110)を走査し、当該走査の間に前記第1のセンサ(141)によって第1のセンサ信号(151)を形成し、ここで当該第1のセンサ信号(151)を前記第1の印担体(110)上の印(133、134、135、136、137)によって変調し、
計算ユニット(30)を設け、当該計算ユニットは、
・複数の印部分が記憶されている記憶領域(311)を備えた記憶ユニット(310)を有しており、当該記憶されている印部分は少なくとも1つの第1の記録されている印部分と、第2の記憶されている印部分とを含んでおり、
・センサ信号入力側(320)を有しており、
・時間信号を備えたタイマー(330)を有しており、
前記計算ユニット(30)によって、前記第1のセンサ信号(151)の時間経過と前記時間信号との間の対応付けを行い、当該計算ユニット(30)によって以下のステップを実施する:
a)第1の印部分を、前記第1のセンサ信号(151)から再現し、次に、
b)当該再現した第1の印部分から、前記第1の記憶されている印部分を排除するための第1の排除基準を求め、次に
c)当該第1の排除基準を用いて、前記第1の記憶されている印部分を排除し、次に、
d)記憶されている印部分の総数と、排除された、記憶されていた印部分の数との差が1であるか否かを検査し、当該差が1である場合にはステップg)へ移行し、当該差が1よりも大きい場合にはステップe)へ移行し、
e)前記第1のセンサ信号(151)から別の印部分を再現し、別の排除基準を求め、当該別の排除基準を用いて、別の記憶されている印部分を排除し、次に、
f)前記ステップd)を再び実施し、
g)排除されていない、記憶されている印部分から前記第1の回転角度を導出する、
ことを特徴とする、第1の回転角度を検出する方法。
【請求項2】
前記計算ユニット(30)によって、前記第1の回転角度を、前記排除されていない、記憶されている印部分に割り当てた後に、排除された、記憶されていた印部分の数を前記計算ユニット(30)によって0にリセットし、これに続いて、請求項1に記載されているステップを再び実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記計算ユニット(30)によって、排除されていない、記憶されている印部分に第1の回転角度を割り当てた後、前記計算ユニット(30)によって、前記第1の印担体(110)の回転方向において前記第1のセンサ(141)によって走査された印部分(130、131、132)が計数され、次に前記計算ユニット(30)によって、前記第1の回転角度への、当該計数された走査された印部分(130、131、132)のさらなる割り当てを行い、当該さらなる割り当てに従って、前記第1の回転角度を更新する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1のセンサ(141)によって走査された印部分の計数を前記計算ユニット(30)によって中断し、次に再び、請求項1記載の方法を実施する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記計算ユニット(30)はシフトレジスターを有しており、
当該シフトレジスターは、直列接続された複数のシフトレジスター記憶素子を有しており、
前記シフトレジスターは、前記記憶されている複数の印部分の代表を、当該シフトレジスター記憶素子によって記憶し、
前記計算ユニット(30)によって前記第1の回転角度を、排除されていない、記憶されている印部分へ割り当てた後、前記計算ユニット(30)によって、前記第1の印担体(110)の回転方向において、前記第1のセンサ(141)によって印部分(130、131、132)が走査される度に、前記シフトレジスターでシフトステップを実施し、
当該シフトステップは、前記記憶されている印部分の代表が、あるシフトレジスター記憶素子から、前記直列接続において後続のシフトレジスター記憶素子へと移動することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第2のセンサ(241)が設けられており、当該第2のセンサは前記センサ信号入力側(320)と接続されており、当該第2のセンサ(241)によって、周期的に変化するエンジン特性またはエンジンによって影響されるパラメータを走査する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第2の印担体(210)に第2のシャフト(20)上の第2の印パターンを設け、当該第2のシャフト(20)と前記第2の印担体(210)は、第1のシャフト(10)によって回転し、
第2のセンサ(241)が設けられており、当該第2のセンサ(241)は前記センサ信号入力側(320)と接続されており、前記第2の印担体(210)を走査する当該第2のセンサ(241)によって、第2のセンサ信号(245)を形成し、
前記第2のセンサ(241)によって第2の印担体(210)の所定の位置変化が走査されると、前記第2のセンサ信号(245)を前記第2のセンサ(241)によって変調する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第2のセンサ信号(245)を前記計算ユニット(30)によって評価し、前記第2のセンサ信号(245)は、前記第1のシャフト(10)の第1の回転角度の所定の零点からの、前記第1のシャフト(10)の偶数回転と奇数回転を区別するための情報を有している、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記第2のセンサ信号(245)を前記計算ユニット(30)によって評価し、前記第2のセンサ信号(245)は、オットーエンジンまたはディーゼルエンジンのサイクルを区別するための情報を有している、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記第1のセンサ信号(151)を前記第2のセンサ信号(245)と組み合わせて1つの合成センサ信号を形成し、当該合成センサ信号は、前記第1のセンサ信号の情報と前記第2のセンサ信号の情報を含んでいる、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記記憶ユニット(310)内に記憶されている印部分を、圧縮した形態で記憶しておく、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記第1のセンサ信号(151)から再現された印部分および前記記憶されている印部分は、前記計算ユニット(30)によって、第1の排除基準および/または別の排除基準を求めるときに、圧縮した形態で使用される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記記憶されている印部分に異なるレベルの優先度を付け、前記計算ユニット(30)によって、前記排除基準の算出時に、前記優先度のレベルによって定められている順番で当該記憶されている印部分が使用される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記記憶ユニット(310)内に、前記第1の印担体(110)の前記印部分(130)の順番を記憶し、当該記憶を、シャフトの回転時に前記第1の印担体(110)の前記印部分が前記第1のセンサ(141)に近づく順番に相応して行い、
前記計算ユニット(30)によって妥当性検査を行い、当該妥当性検査においては、前記第1の印担体(110)の印部分の記憶されている順番を、前記第1のセンサ(141)による走査によって求められた、前記第1の印担体(110)の印部分の順番と前記計算ユニットによって比較し、
前記第1の印担体(110)の印部分の記憶されている順番と走査によって求められた、前記第1の印担体(110)の印部分(130)の順番との相違が検出されると、前記計算ユニット(30)によってエラー状態を通知する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1のセンサ(141)によって、前記第1の印担体(110)の容量的、誘導的、光学的および/または機械的な特性の変化を走査する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記第1の回転角度を所定の時間間隔で、または所定数の印部分が前記第1のセンサ(141)によって走査された時点で、前記計算ユニット(30)によって更新して、前記エンジンの調整装置へ伝送する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの記憶されている印部分に許容範囲を設け、前記記憶されている印部分の前記値範囲を、当該許容範囲ぶんだけ拡張する、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記許容範囲は可変の範囲境界を有しており、当該範囲境界は、前記第1のシャフトの回転数の関数である、または前記第1のシャフトの角加速度の関数である、または、当該範囲境界の計算前に前記計算ユニットによって求められた、前記第1のシャフトに割り当てられた回転角度の関数である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第1のシャフト(10)は内燃機関のクランクシャフトである、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記第2のシャフト(20)は内燃機関のカムシャフトである、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−96990(P2013−96990A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235034(P2012−235034)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【出願人】(506012213)ディスペース デジタル シグナル プロセッシング アンド コントロール エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】dspace digital signal processing and control engineering GmbH
【住所又は居所原語表記】Rathenaustr.26,D−33102 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】