説明

回転角検出装置及び電動パワーステアリング装置

【課題】レゾルバが出力するセンサ信号の何れかに異常が生じた後においても、正常なセンサ信号を特定して、その回転角検出を継続することのできる回転角検出装置を提供すること。
【解決手段】各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cに基づいて、これら各センサ信号Sa,Sb,Scにおける任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数(3つ)の回転角検出値(θ1,θ2,θ3)を演算する。また、各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合における当該各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を保持する。そして、その保持する振幅最大値(√A)、及び検出される各振幅値a,b,c、並びに各回転角検出値θ1,θ2,θ3を代入した場合に、その振幅演算式が成立する組合せが存在するならば、当該成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角検出装置及び電動パワーステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転角に応じて振幅が変化する複数のセンサ信号を出力するレゾルバを用いた回転角検出装置がある(例えば、特許文献1参照)。即ち、レゾルバには、測定精度及び耐環境性が高いという特徴がある。このため、電動パワーステアリング装置(EPS)のように高い検出精度と信頼性が要求される用途では、こうしたレゾルバを用いた回転角検出装置が広く採用されている(例えば、モータ回転角センサやトルクセンサ等)。そして、例えば、特許文献2に示されるように、そのセンサ信号の出力数を三相以上に拡張することによって、その異常検出性能を含めた更なる信頼性の向上を図ることができる。
【0003】
即ち、理論上、各センサ信号の振幅値(ピーク・トゥ・ピーク値)の総和は「0」となる。また、各振幅値の二乗和は、一定値となる(例えば、単位円の半径を「1」とすれば、センサ信号数が二相の場合は「1」、三相の場合は「1.5」)。これを利用して、従来、各センサ信号の異常判定は、これら各振幅値の総和(の絶対値)及びその二乗和を監視することにより行われる。更に、特許文献2に記載の回転角検出装置は、三相以上の各センサ信号の振幅値に基づいて、その任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数の回転角検出値を演算する。そして、これら各回転角検出値の差分比較、及びその総和を監視することにより、その検出精度の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−351848号公報
【特許文献2】特開2010−48760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、その回転角検出過程において何れかのセンサ信号に異常が生じた事実を判定するものであり、その異常が生じたセンサ信号及び残存する正常なセンサ信号を特定するまでには至らない。このため、異常発生後、その残存する正常なセンサ信号を用いて回転角検出を継続する等といった、センサ信号の多重化により得られる利益を十分に享受できていないのが実情であり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、レゾルバが出力するセンサ信号の何れかに異常が生じた後においても、正常なセンサ信号を特定して、その回転角検出を継続することのできる回転角検出装置及び電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転角に応じて振幅が変化するとともに前記回転角に応じた振幅変化の位相が均等にずれるように設定された三相以上のセンサ信号を出力するレゾルバと、前記各センサ信号の振幅値に基づいて前記各センサ信号における任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数の回転角検出値を演算し、該各回転角検出値に基づいて前記回転角を検出する検出手段と、前記各センサ信号の異常を判定する判定手段とを備えた回転角検出装置であって、前記判定手段は、前記各センサ信号が正常である場合における該各センサ信号の振幅最大値を保持するとともに、その保持する振幅最大値、及び検出される前記各センサ信号の振幅値、並びに該各振幅値の組合せにより演算される前記各回転角検出値に基づいて、前記各センサ信号の振幅演算式が成立するか否かを判定し、成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定すること、を要旨とする。
【0008】
即ち、最大振幅値を固定値とすれば、各センサ信号の振幅演算式は、その各振幅値にそれぞれ対応する個々のセンサ信号に依存する値と、各回転角検出値の演算に用いたそれぞれ二つのセンサ信号に依存する値との等式に変形することができる。つまり、検出される振幅値を示すセンサ信号、又は各回転角検出値の演算に用いた二つのセンサ信号の少なくとも何れかに異常がある場合には、そのセンサ信号に対応する振幅演算式は成立しない。従って、上記構成によれば、精度よく、正常なセンサ信号を特定することができる。そして、これにより、その残存する正常なセンサ信号に基づいて、回転角検出を継続することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転角検出装置を備えた電動パワーステアリング装置。
上記構成によれば、レゾルバが出力するセンサ信号の何れかに異常が生じた後においても、正常なセンサ信号を特定して、安定的に、そのパワーアシスト制御を継続することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レゾルバが出力するセンサ信号の何れかに異常が生じた後においても、正常なセンサ信号を特定して、その回転角検出を継続することのできる回転角検出装置及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。
【図2】レゾルバの概略構成図。
【図3】EPSの制御ブロック図。
【図4】単位円を用いて回転角及び各センサ信号の振幅値並びに当該各センサ信号の振幅最大値の関係を示す説明図。
【図5】振幅演算式成立判定に基づく正常なセンサ信号の特定処理の態様を示す説明図。
【図6】回転角検出及び各センサ信号についての異常判定の処理手順を示すフローチャート。
【図7】トルクセンサの概略構成及び別例の回転角検出の態様を示す説明図。
【図8】別例のレゾルバの概略構成図。
【図9】別例の振幅演算式成立判定に基づく正常なセンサ信号の特定処理の態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
【0013】
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
【0014】
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。尚、本実施形態のモータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力に基づき回転するブラシレスモータが採用されている。そして、EPSアクチュエータ10は、同モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
【0015】
一方、ECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。そして、そのトルクセンサ14により検出される操舵トルクτ及び車速センサ15により検出される車速Vに基づいて、操舵系に付与するアシスト力の目標値(目標アシスト力)を決定する。
【0016】
また、本実施形態のモータ12には、その回転角(電気角)θを検出するためのモータ回転角センサとして、正弦波状の励磁信号S_eに基づき回転角θに応じて振幅が変化する複数相のセンサ信号を出力するレゾルバ16が設けられている。
【0017】
具体的には、図2に示すように、本実施形態のレゾルバ16は、励磁信号S_eに基づく励磁電流が通電される励磁コイル20と、周方向に均等間隔で配置された三相のセンサコイル21,22,23とを有している。即ち、励磁信号S_eに基づく励磁コイル20への通電により、各センサコイル21,22,23には、それぞれ、その励磁コイル20との位置関係、つまり回転角θに応じた電圧が誘起する。そして、本実施形態のレゾルバ16は、この各センサコイル21,22,23に生ずる誘起電圧に基づいて、その回転角θに応じた振幅変化の位相が均等にずれた三相のセンサ信号Sa,Sb,Scを出力する構成となっている。
【0018】
本実施形態のECU11は、このレゾルバ16が出力する三相のセンサ信号Sa,Sb,Scに基づいて、モータ12の回転角θを検出する。そして、その回転角θを用いた電流制御の実行により、同モータ12に対して三相の駆動電力を供給する。
【0019】
即ち、本実施形態のECU11は、その駆動電力の供給を通じてモータ12の作動、即ちEPSアクチュエータ10の作動を制御する。そして、上記目標アシスト力に相当するモータトルクが発生するようにモータ電流を制御することにより、最適なアシスト力を操舵系に付与することが可能な構成となっている(パワーアシスト制御)。
【0020】
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態のECU11は、モータ制御信号を出力することによりモータ制御手段を構成するマイコン31と、そのモータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路32とを備えている。
【0021】
詳述すると、本実施形態のマイコン31は、上記励磁信号S_eを出力する励磁信号出力手段としての励磁信号出力部33、及びレゾルバ16から入力される三相のセンサ信号Sa,Sb,Scに基づいてモータ12の回転角θを検出する検出手段としての回転角検出部34を備えている。また、マイコン31は、上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、目標アシスト力に対応する電流指令値を演算する電流指令値演算部35を備えている。具体的には、本実施形態の電流指令値演算部35は、その入力される操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力を発生させるべき電流指令値を演算する。更に、マイコン31は、駆動回路32とモータ12との間の電力供給経路の途中に設けられた電流センサ36の出力信号に基づいて、モータ12の実電流値Iを検出する電流検出部37を備えている。そして、本実施形態のマイコン31は、その演算される電流指令値に検出される実電流値Iを追従させるべく、電流フィードバック制御を実行することにより、その駆動回路32に出力するモータ制御信号を生成する。
【0022】
さらに詳述すると、本実施形態のマイコン31において、電流検出部37は、実電流値Iとしてモータ12の各相電流値を検出する。そして、マイコン31は、その各相電流値を二相回転座標系(d/q座標系)のd軸電流値及びq軸電流値に変換する(d/q変換)。また、電流指令値演算部35は、その電流指令値I*としてq軸電流指令値を演算する(d軸電流指令値はゼロ)。そして、本実施形態のマイコン31は、そのd/q座標系における電流フィードバック制御の実行により得られる各軸電圧指令値を、再び三相の交流座標系に写像(d/q逆変換)することにより、そのモータ制御信号の基礎となる各相の電圧指令値を演算する構成となっている。
【0023】
(回転角検出)
次に、本実施形態における回転角検出の態様について説明する。
図3に示すように、本実施形態のマイコン31(回転角検出部34)は、上記レゾルバ16が出力する各センサ信号Sa,Sb,Scについて、その励磁信号S_eの一周期(一励磁周期)あたり複数回のサンプリングを実行する。そして、その各サンプリングタイミングにおいて検出した複数のサンプリング値を用いて最小二乗フィッテイングを実行することにより、各励磁周期における各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値(a,b,c、ピーク・トゥ・ピーク値)を演算する。
【0024】
また、本実施形態の回転角検出部34は、これら各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値(a,b,c)に基づいて、これら各センサ信号Sa,Sb,Scにおける任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数(3つ)の回転角検出値(θ1,θ2,θ3)を演算する。そして、これら各回転角検出値(θ1,θ2,θ3)に基づいて、そのモータ12の回転角θを検出する。
【0025】
即ち、上記のように、各センサ信号Sa,Sb,Scは、その振幅変化の位相が均等にずれるように設定されている。従って、図4に示すように、単位円Cの概念を導入し、その半径を「(√A)」とすることで、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅演算式は、それぞれ、次のように表すことができる。
【0026】
a=√A×sin(θ) ・・・(1)
b=√A×sin(θ+120°) ・・・(2)
c=√A×sin(θ+240°) ・・・(3)
更に、これら各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,c間の比(a/b,b/c,c/a)は、以下の(4)〜(6)式に表すことができる。
【0027】
a/b=sinθ/sin(θ+120°) ・・・(4)
b/c=sin(θ+120°)/sin(θ+240°) ・・・(5)
c/a=sin(θ+240°)/sinθ ・・・(6)
そして、これら(1)〜(3)式を変形することで、次の(7)〜(9)式を得る。
【0028】
tanθ=a√3/(2b+a) ・・・(7)
tanθ=(b+c)√3/(c−b) ・・・(8)
tanθ=−a√3/(2c+a) ・・・(9)
即ち、次の各式に示す正接逆関数(アークタンジェント)を用いることにより、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cに基づいて、当該各センサ信号Sa,Sb,Scにおける任意の二信号の組み合わせ数に対応した3つの回転角検出値θ1,θ2,θ3が得られる。
【0029】
θ1=arctan(a√3/(2b+a)) ・・・(10)
θ2=arctan((b+c)√3/(c−b)) ・・・(11)
θ3=arctan(−a√3/(2c+a)) ・・・(12)
そして、本実施形態の回転角検出部34は、次式に示すように、これら各回転角検出値θ1,θ2,θ3の平均をとることにより、そのモータ12の回転角θを検出する。
【0030】
θ=(θ1+θ2+θ3)/3 ・・・(13)
(センサ信号の異常判定)
次に、本実施形態における各センサ信号の異常判定の態様について説明する。
【0031】
本実施形態のマイコン31において、上記回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの異常を判定する判定手段としての機能を備えている。
具体的には、回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cの総和(の絶対値、|a+b+c|)、及び二乗和(α=(a^2)+(b^2)+(c^2)、但し「^2」は二乗の意味)を監視する。また、回転角検出部34は、上記のように演算された各回転角検出値θ1,θ2,θ3間の差分値(|θ1−θ2|,|θ2−θ3|,|θ3−θ1|)を監視する。そして、これらの監視する各値が適正範囲を超えた場合には、その回転角検出過程において、各センサ信号Sa,Sb,Scの何れかに異常が生じたものと判定する。
【0032】
また、本実施形態の回転角検出部34は、上記異常判定により各センサ信号Sa,Sb,Scの何れかに異常があると判定した場合には、残存する正常なセンサ信号があるか否かを判定する。そして、当該残存する正常なセンサ信号がある場合には、そのセンサ信号を特定して、その回転角検出を継続する構成となっている。
【0033】
詳述すると、本実施形態の回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合における当該各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を保持する。
ここで、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値は、図4に示す単位円Cの半径(√A)に等しい。そして、本実施形態では、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅変化の位相が均等にずれて設定されていることから、当該各センサ信号Sa,Sb,Scが正常であるならば、その各振幅値a,b,cの二乗和αは一定の値となる(α=(a^2)+(b^2)+(c^2)=1.5A)。
【0034】
本実施形態の回転角検出部34は、この関係を利用し、各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合に、その検出される各振幅値a,b,cの二乗和αに基づいて、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を演算する(√A=√(α/1.5))。そして、その値を、図示しない記憶領域に保持する。
【0035】
また、回転角検出部34は、その保持する振幅最大値(√A)、及び検出される各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,c、並びに該各振幅値a,b,cの組合せにより演算される各回転角検出値θ1,θ2,θ3に基づいて、上記(1)〜(3)式に示される各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅演算式が成立するか否かを判定する。そして、その成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は、正常であると判定する。
【0036】
即ち、各回転角検出値θ1,θ2,θ3を「θn」とすれば、上記(1)〜(3)式に示される各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅演算式は、図4に示す単位円Cに対応する次式のように変形できる。
【0037】
sin(θn)=a/√A ・・・(14)
sin(θn+120°)=b/√A ・・・(15)
sin(θn+240°)=c/√A ・・・(16)
つまり、その最大振幅値(√A)を固定値とすれば、これら(14)〜(16)式において、右辺は、その各振幅値a,b,cにそれぞれ対応する個々のセンサ信号に依存する値となり、左辺は、その回転角検出値θn(n=1,2,3)の演算に用いた二つのセンサ信号に依存する値となる。従って、右辺の各振幅値a,b,cを有するセンサ信号、又は左辺の回転角検出値(θn)の演算に用いた二つのセンサ信号の少なくとも何れかに異常がある場合には、その両辺が異なる値を示すことになる。
【0038】
この点に着目し、本実施形態では、上記(1)〜(3)式に、その保持する振幅最大値(√A)、及び検出される各振幅値a,b,c、並びに各回転角検出値θ1,θ2,θ3を代入した場合に、その振幅演算式が成立する組合せが存在するならば、当該成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定する。
【0039】
即ち、図5に示すように、各センサ信号Sa,Sb,Scが全て正常である場合には(同図中、上表に示す例)、上記(1)〜(3)式に示される各振幅演算式に、各振幅値a,b,c及び各回転角検出値θ1,θ2,θ3(並びに振幅最大値(√A))を代入することにより得られる「9通りの組合せ(3×3)」に対応する各式の全てが成立する。
【0040】
一方、例えば、各センサ信号Sa,Sb,Scのうちの第3信号(センサ信号Sc)に異常がある場合(同図中、下表に示す例)、当該センサ信号Scの振幅値cを求める各振幅演算式(同図表中、上記(3)式に対応する第3列の「3通り」の組合せ)は、全て不成立となる。また、同センサ信号Scを含む二信号の組合せにより演算された回転角検出値θ2,θ3に対応する各振幅演算式(同図表中、第2段及び第3段の「6通り(第3列の2通りは重複)」の組合せ)もまた、全て不成立となる。そして、異常信号であるセンサ信号Scを含まない組合せ、即ちセンサ信号Sa,Sbに基づき演算された回転角検出値θ1を用いて当該各センサ信号Sa,Sbの振幅値a,bを求める次の二式(同図表中、第1段の第1列及び第2列に対応する「二通り」)のみが成立する。
【0041】
a=√A×sin(θ1) ・・・(17)
b=√A×sin(θ1+120°) ・・・(18)
このような場合、本実施形態の回転角検出部34は、その成立した上記(17)(18)式に対応する二つのセンサ信号Sa,Sbは正常であると判定する。そして、これらの二信号に基づき演算された回転角検出値θ1を回転角θとすることにより、その回転角検出を継続する構成になっている。
【0042】
次に、本実施形態における回転角検出及び各センサ信号の異常判定の処理手順について説明する。
図6のフローチャートに示すように、本実施形態のマイコン31において、回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cを演算すると(ステップ101)、先ず、これら各振幅値a,b,cの二乗和αを演算する(α=(a^2)+(b^2)+(c^2)、ステップ102)。次に、回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scに基づいて、当該各センサ信号Sa,Sb,Scにおける任意の二信号の組み合わせ数に対応した3つの回転角検出値θ1,θ2,θ3を演算する(ステップ103)。そして、回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cの総和(の絶対値、|a+b+c|)及び二乗和α、並びに各回転角検出値θ1,θ2,θ3間の差分値(|θ1−θ2|,|θ2−θ3|,|θ3−θ1|)に基づいて、各センサ信号Sa,Sb,Scの異常判定を実行する(ステップ104)。
【0043】
次に、回転角検出部34は、上記ステップ104における異常判定の結果が、各センサ信号Sa,Sb,Scの何れかに異常があることを示すものであるか否かを判定する(ステップ105)。そして、その異常判定の結果が「異常なし」を示すものである場合(ステップ105:NO)には、各回転角検出値θ1,θ2,θ3の平均をモータ12の回転角θとして検出する(θ=(θ1+θ2+θ3)/3、ステップ106)。
【0044】
更に、本実施形態の回転角検出部34は、上記ステップ106における回転角検出の実行後、上記ステップ102において演算された各振幅値a,b,cの二乗和αに基づいて、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を演算する。そして、その値を図示しない記憶領域に保持(更新)する(ステップ107)。
【0045】
一方、上記ステップ104における異常判定の結果が「異常あり」を示すものである場合(ステップ105:YES)、本実施形態の回転角検出部34は、その保持する各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を読み出す(ステップ108)。次に、回転角検出部34は、上記(1)〜(3)式に示される各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅演算式に、その振幅最大値(√A)、及び検出される各振幅値a,b,c、並びに各回転角検出値θ1,θ2,θ3を代入することにより得られる各式について成立判定を実行する(振幅演算式成立判定、ステップ109)。そして、その「9通りの組合せ(3×3)」に対応する各式のうち(図5参照)、成立する振幅演算式があるか否かを判定し(ステップ110)、成立する振幅演算式がある場合(ステップ110:YES)には、当該成立する振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定する(正常信号特定、ステップ111)。
【0046】
ここで、本実施形態の回転角検出部34は、レゾルバ16が出力する三相のセンサ信号Sa,Sb,Scのうちの任意の二信号の組合せ(3通り)に基づいて、各回転角検出値θ1,θ2,θ3を演算する。従って、これらセンサ信号Sa,Sb,Scのうちの二つに異常が発生した場合には、正常な信号同士の組合せは存在しなくなる。
【0047】
即ち、本実施形態の回転角検出部34は、上記ステップ111において、残存する二信号を特定する。そして、同ステップ111において残存する二信号が特定された場合、その残存する二つのセンサ信号(の振幅値)に基づき演算される回転角検出値、即ち残存する唯一の回転角検出値を、そのモータ12の回転角θとして検出する(ステップ112)。
【0048】
そして、上記ステップ105における異常判定の結果が「成立なし」を示すものである場合(ステップ110:NO)、その回転角検出を停止する(ステップ113)。
本実施形態のマイコン31(回転角検出部34)は、このように上記ステップ101〜ステップ113の処理を実行することにより、モータ12の回転角θを検出する。そして、その回転角検出が可能な場合(通常回転角検出:ステップ106、又は二信号使用回転角検出:ステップ112)には、その回転角θを用いてパワーアシスト制御を実行し、検出不能な場合(回転角検出停止:ステップ113)には、そのパワーアシスト制御を停止する構成となっている。
【0049】
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cに基づいて、これら各センサ信号Sa,Sb,Scにおける任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数(3つ)の回転角検出値(θ1,θ2,θ3)を演算する。また、各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合における当該各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を保持する。そして、その保持する振幅最大値(√A)、及び検出される各振幅値a,b,c、並びに各回転角検出値θ1,θ2,θ3を代入した場合に、その振幅演算式が成立する組合せが存在するならば、当該成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定する。
【0050】
即ち、最大振幅値(√A)を固定値とすれば、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅演算式は、その各振幅値a,b,cにそれぞれ対応する個々のセンサ信号に依存する値(右辺)と、各回転角検出値θ1,θ2,θ3の演算に用いたそれぞれ二つのセンサ信号に依存する値(左辺)との等式に変形することができる(上記(14)〜(16)式参照)。つまり、検出される振幅値(a,b,c)を示すセンサ信号、又は各回転角検出値(θn)の演算に用いた二つのセンサ信号の少なくとも何れかに異常がある場合には、そのセンサ信号に対応する振幅演算式は成立しない。従って、上記構成によれば、精度よく、正常なセンサ信号を特定することができる。そして、これにより、その残存する正常なセンサ信号に基づいて、回転角検出を継続することができるようになる。
【0051】
(2)回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合における各振幅値a,b,cの二乗和αに基づいて、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を演算する。即ち、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅変化の位相が均等にずれて設定されている場合、当該各センサ信号Sa,Sb,Scが正常であるならば、その各振幅値a,b,cの二乗和αは一定の値となる(α=(a^2)+(b^2)+(c^2)=1.5A)。従って、上記構成よれば、回転角検出の実行中においても、随時、その各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を演算することができる(√A=√(α/1.5))。その結果、より高精度に各センサ信号Sa,Sb,Scの異常検出を行うことができるようになる。
【0052】
(3)回転角検出部34は、各センサ信号Sa,Sb,Scの何れかに異常があると判定した場合に、残存する正常なセンサ信号があるか否かの判定、及びその特定を実行する。これにより、その演算負荷を抑えることができる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明を、EPS1において回転角検出装置を構成するECU11に具体化した。しかし、これに限らず、EPS以外の用途に用いられる回転角検出装置に具体化してもよい。
【0054】
・また、EPS用の回転角センサに具体化する場合においても、そのEPSの形式については、所謂コラム型に限らず、所謂ピニオン型やラックアシスト型であってもよい。
・上記実施形態では、本発明を、回転角検出装置としてのECU11が、モータ12に設けられたレゾルバ16が出力する各センサ信号Sa,Sb,Scに基づき同モータ12の回転角θを検出する構成に具体化した。しかし、これに限らず、図7に示すように、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバー40を挟んで一対のレゾルバ41A,41Bを配置してなる所謂ツインレゾルバ型のトルクセンサ42を備える構成に具体化してもよい。
【0055】
即ち、その各レゾルバ41A,41Bが出力するセンサ信号群S_sa,S_sbに基づいて、トーションバー40を挟んでステアリング2側の第1回転角θs、及びラック軸5側の第2回転角θpを検出する。そして、これら第1回転角θs及び第2回転角θpの差分、即ちトーションバー40の捻れ角に基づいて操舵トルクτを検出する構成に具体化してもよい。
【0056】
より具体的には、例えば、トルクセンサ42を構成する各レゾルバ41A,41Bは、それぞれ、本実施形態のレゾルバ16と同様、回転角に応じた振幅変化の位相が均等にずれた複数相のセンサ信号(Sa,Sb,Sc)をセンサ信号群S_sa,S_sbとして出力する。また、トルク検出装置を構成するECU(図示略)は、レゾルバ41Aの出力するセンサ信号群S_saに基づいて上記第1回転角θsを検出する第1の回転角検出手段と、レゾルバ41Bの出力するセンサ信号群S_sbに基づいて上記第2回転角θpを検出する第2の回転角検出手段とを有する。尚、これら各回転角検出手段については、上記実施形態におけるマイコン31に実装された検出手段及び判定手段と同様のものでよい。そして、これら独立した二つの回転角検出手段が検出する第1回転角θs及び第2回転角θpに基づいて、ステアリングシャフト3を伝達する操舵トルクτを検出する構成とすればよい。
【0057】
・上記実施形態では、レゾルバ16は、励磁信号S_eに基づく励磁電流が通電される励磁コイル20と、周方向に均等間隔で配置された三相のセンサコイル21,22,23とを有する(図2参照)。そして、その回転角θに応じた振幅変化の位相が均等にずれた三相のセンサ信号Sa,Sb,Scを出力することとした。しかし、これに限らず、その回転角θに応じた振幅変化の位相が均等にずれるように設定されているものであれば、各センサ信号の相数については、三相以上あれば何相あってもよい。
【0058】
具体的には、例えば、図8に示すレゾルバ46のように、励磁コイル50と、周方向に均等間隔で配置された四相のセンサコイル51,52,53,54とを備えることで、四相のセンサ信号Sa,Sb,Sc,Sdを出力する構成について適用してもよい。
【0059】
即ち、このレゾルバ46が出力する各センサ信号Sa,Sb,Sc,Sdの振幅演算式は、それぞれ、次のように表すことができる。
a=√A×sin(θ) ・・・(19)
b=√A×sin(θ+90°) ・・・(20)
c=√A×sin(θ+180°) ・・・(21)
d=√A×sin(θ+270°) ・・・(22)
また、これら各センサ信号Sa,Sb,Sc,Sdにおける任意の二信号の組み合わせ数は「6通り」であることから、その組み合わせ数に対応する6つ回転角検出値θ1〜θ6が演算される。従って、図9に示すように、上記(19)〜(20)式に示される各振幅演算式に、各振幅値a,b,c,d及び各回転角検出値θ1,θ2,θ3,θ4(並びに振幅最大値(√A))を代入することにより、その「24通りの組合せ(4×6)」に対応する各振幅演算式が得られる。そして、この場合もまた、上記実施形態と同様、その振幅演算式が成立する組合せが存在するならば、当該成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定することができる。
【0060】
即ち、各センサ信号Sa,Sb,Sc,Sdが全て正常である場合には、その「24通りの組合せ」に対応する各式の全てが成立する。一方、図9に示す例のように、各センサ信号Sa,Sb,Sc,Sdのうちの第3信号(センサ信号Sc)に異常がある場合、当該センサ信号Scの振幅値cを求める各振幅演算式(同図表中、上記(21)式に対応する第3列の「6通り」の組合せ)は、全て不成立となる。また、同センサ信号Scを含む二信号の組合せにより演算された回転角検出値θ2,θ4,θ6に対応する各振幅演算式(同図表中、第2,第4,第6段の「12通り(第3列の3通りは重複)」の組合せ)もまた、全て不成立となる。そして、異常信号であるセンサ信号Scを含まない組合せ、即ちセンサ信号Sa,Sb,Sdに基づき演算された回転角検出値θ1,θ3,θ5を用いて当該各センサ信号Sa,Sb,Sdの振幅値a,b,dを求める各振幅演算式、即ち第1,第3,第5段の第1,第2,第4列に対応する9通りが成立する。従って、その成立した上記9通りの振幅演算式に対応する二つのセンサ信号Sa,Sb,Sdは正常であると判定することができる。
【0061】
尚、このような4相出力のレゾルバ46に適用した場合に、その4相のセンサ信号のうちの二相に異常が発生した状況においてもまた、同様の方法で、その残存する二相の正常なセンサ信号を特定することができる。そして、5相以上のセンサ信号を出力するレゾルバに具体化した場合もまた、同様の方法で、その正常なセンサ信号を特定することができる。
【0062】
・上記実施形態では、回転角検出の実行中において、正常な各センサ信号Sa,Sb,Scが正常である場合における各振幅値a,b,cの二乗和αに基づき各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅最大値(√A)を演算し、その値を随時更新することとした。しかし、これに限らず、更新することなく、その保持する値を使用する構成としてもよい。そして、この場合、必ずしも各振幅値a,b,cの二乗和αに基づいて演算する構成でなくともよい。
【0063】
・上記実施形態では、各センサ信号Sa,Sb,Scの何れかに異常があると判定した場合に、残存する正常なセンサ信号があるか否かの判定、及びその特定を実行することとした。しかし、これに限らず、各センサ信号Sa,Sb,Scの振幅値a,b,cの総和や二乗和に基づく異常判定を行うことなく、正常なセンサ信号の特定、つまり、上記振幅演算式成立判定をもって、各センサ信号Sa,Sb,Scの異常判定に代える構成としてもよい。即ち、常時、正常なセンサ信号を特定し、その特定された正常なセンサ信号に基づいて回転角検出を行う構成としてもよい。
【0064】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を記載する。
(イ)請求項1に記載の回転角検出装置を備えたトルク検出装置。これにより、センサ信号の何れかに異常が生じた後においても、正常なセンサ信号を特定して、そのトルク検出を継続することができるようになる。
【0065】
(ロ)前記判定手段は、前記各センサ信号が正常である場合における該各センサ信号の振幅値の二乗和に基づいて、前記振幅最大値を演算すること、を特徴とする回転角検出装置。
【0066】
即ち、各センサ信号の振幅変化の位相が均等にずれて設定されている場合、当該各センサ信号が正常であるならば、その各振幅値の二乗和は一定の値となる。従って、上記構成よれば、回転角検出の実行中においても、随時、その各センサ信号の振幅最大値を演算することができる。その結果、より高精度に各センサ信号の異常検出を行うことができるようになる。
【0067】
(ハ)前記判定手段は、前記各センサ信号の何れかに異常があると判定した場合に、その正常なセンサ信号の特定を行うこと、を特徴とする回転角検出装置。これにより、その演算負荷の増大を抑えることができる。
【符号の説明】
【0068】
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、16…レゾルバ、20…励磁コイル、21,22,23…センサコイル、31…マイコン、34…回転角検出部、40…トーションバー、41A,41B…レゾルバ、42…トルクセンサ、46…レゾルバ、50…励磁コイル、51,52,53,54…センサコイル、θ…回転角、Sa,Sb,Sc(,Sd)…センサ信号、a,b,c(,d)…振幅値、α…二乗和、√A…振幅最大値、C…単位円、θn,θ1,θ2,θ3(,θ4,θ5,θ6)…回転角検出値、S_sa,S_sb…センサ信号群、θs…第1回転角、θp…第2回転角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転角に応じて振幅が変化するとともに前記回転角に応じた振幅変化の位相が均等にずれるように設定された三相以上のセンサ信号を出力するレゾルバと、前記各センサ信号の振幅値に基づいて前記各センサ信号における任意の二信号の組み合わせ数に対応した複数の回転角検出値を演算し、該各回転角検出値に基づいて前記回転角を検出する検出手段と、前記各センサ信号の異常を判定する判定手段とを備えた回転角検出装置であって、
前記判定手段は、前記各センサ信号が正常である場合における該各センサ信号の振幅最大値を保持するとともに、その保持する振幅最大値、及び検出される前記各センサ信号の振幅値、並びに該各振幅値の組合せにより演算される前記各回転角検出値に基づいて、前記各センサ信号の振幅演算式が成立するか否かを判定し、成立した振幅演算式に対応するセンサ信号は正常であると判定すること、を特徴とする回転角検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転角検出装置を備えた電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−42346(P2012−42346A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183971(P2010−183971)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】