説明

回転運動によって移動する歩行装置

【課題】 地表の凹凸を越えことが容易であってかつ機構が簡単な歩行装置を提供する。
【解決手段】 歩行装置は車体6から垂下した固定枠5と、その固定枠に回転用クランク1と脚保持用クランク2による平行クランク機構によって連結された脚3,4とから構成される。脚3,4は4組設けることで4足歩行装置を構成する。回転用クランク1を固定枠5に対して回転させると脚3,4が平行運動を行い、着地した脚を支点として、着地していない脚が持ち上げられつつ前進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚を用いて歩行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脚を用いた移動装置には、動物の脚のように関節部が往復運動する装置が従来から研究されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【非特許文献1】「図解雑学ロボット」ナツメ社 新井健生監修 2005年 p66−p83
【非特許文献2】「ロボット工学概論 改訂版」成山堂書店 中川栄一・伊藤正則共著 p35−p38
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(1) 移動装置としては車輪が多用されるが、凹凸に対しては、車輪の半径より高い凹凸を超えられず、車体速度が小さい場合には越えにくい。
(2) 履帯は、階段のような鋭い凹凸にあわせて変形できないため、凹凸の角に大きな力がかかり凹凸を壊してしまう場合や、履帯が凹凸に掛からず滑ってしまうこともある。
(3) 生体の脚は地表の凹凸の形状を傷めずに乗り越えて走行できる利点を持つため、脚を装備した移動装置の開発が進んでいるが、現在知られている装置では姿勢制御・動力伝達に複雑な装置を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
脚を平行運動させながら、脚を回転運動によって持上げて前後に移動させて、車体を移動させる歩行装置
【発明の効果】
【0005】
(1) 凹凸を超えられる。この際に、車体速度が極めて小さい場合でも超えられる。また、路面の凹凸をいためることなく乗り越えられる。
(2) 制御が簡単。姿勢制御を特に行わない場合でも静止・歩行が可能である。
(3) 回転運動を用いられる。往復運動を使わないので、簡単な動力源でよい。
(4) 脚先端の接地角度を変更すれば、軟弱地・不整地において脚部の角を地面に食い込ませ接地応力を変更することも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
移動装置の単位要素を図2のように車体に三個以上取り付ける。内側の脚が構成する多角形の内側に車体重心が来るように単位要素を取付れば、重心位置に関する制御を行わなくとも、凹凸・軟弱地を超えて移動できる。
【産業上の利用可能性】
【0007】
凹凸・軟弱地での移動手段。複雑な制御を要しないために、粉じん・温湿度等の外環境が激しい地点や自律行動を求められる環境下でも動作させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 歩行装置の要素 クランクを用いて課題を解決する例を示す。 回転クランク1を固定枠5に対して回転させると、脚3・脚4が平行運動を行い、着地した脚を支点として、着地していない脚が持上げられつつ前後に運ばれる。地表に凹凸があれば、凹凸の表面に脚の接地面が着地する。
【図2】 歩行装置の例 図2は、図1で示した歩行装置の要素を、車体に複数個装備した例である。(1) 回転クランク1を回転させることによって、歩行することが出来る。(2) 車体内側の脚が構成する多角形の内側に、歩行装置全体の重心が存在している場合には、姿勢制御のための特別な装置を用意しなくとも歩行は可能である。なお、車体6と固定枠5との角度・距離を操作することで姿勢制御が出来る。(3) 方向に関する操舵は、車体6と固定枠5との角度を変更して行う。(4) 後退する場合には回転クランク2を逆転させる。(5) 動力停止時には、転倒することも斜面を転がり落ちることもない。動力発生部の特性に左右されるが、動力停止時の姿勢で停止するか、回転クランク2を少し回転させて(図1・図2の方法では半回転以内)停止する。
【符号の説明】
【0009】
1 回転用クランク(回転動力が供給され、固定枠5に対し回転する。)
2 脚保持用クランク(脚4・脚5の接地角度を保つ。動力がつながっていなくてよい)
3 脚(回転用クランク1と脚保持用クランクにが脚3に空けられた穴に自由に回転できるように取り付けてある。)
4 脚(回転用クランク1と脚保持用クランク2が脚4に空けられた穴に自由に回転できるように取り付けてある。)
5 固定枠(回転用クランク1と脚保持用クランク煮を取り付けてある)
6 車体(固定枠5が取り付けられている。固定枠5と車体6がなす角度を操作すると操舵・姿勢制御できる。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚を平行運動させながら、脚を回転運動によって持上げて前後に移動させて、車体を移動させる歩行装置

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−30152(P2007−30152A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241819(P2005−241819)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(505239873)
【Fターム(参考)】