説明

回転霧化塗装機

【課題】パターン幅を効果的に拡大できるようにする。
【解決手段】回転霧化頭12と、複数の第1吐出口15Aを周方向に並べて構成され、回転霧化頭12を同心円状に包囲するように配された第1エア吐出部14Aと、複数の第2吐出口15Bを周方向に並べて構成され、回転霧化頭12を同心円状に包囲するように、且つ第1エア吐出部14Aよりも内周側に配された第2エア吐出部14Bとを備える。第1吐出口15Aからの第1シェーピングエア16Aの吐出方向は、回転霧化頭12の回転中心軸13と直交方向に見たときにその回転中心軸13に対して45°よりも大きく且つ60°以下の角度αで傾斜し、第2吐出口15Bからの第2シェーピングエア16Bの吐出方向は、5°以上で且つ30°以下の角度βで傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転霧化塗装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミニウム片や雲母片等のメタリック片を含むメタリック塗料を用いた塗装を行う場合において、塗装面の品質向上を図るとともにパターン幅の狭小化を防止することを可能にした回転霧化塗装機が開示されている。メタリック塗装において塗装面の品質向上を図るためには、シェーピングエアの流速を増すことが必要であるが、その反面、シェーピングエアの流速の増大によって回転霧化頭の前方に負圧が発生し、この負圧の影響でパターン幅が小さくなる。その対策として、特許文献1の回転霧化塗装機では、シェーピングエアの流れの方向を、回転霧化頭の回転軸に対して螺旋状に傾斜した向きとし、この螺旋状に傾斜したシェーピングエアの遠心力により負圧の影響を軽減して、パターン幅が狭くなるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−101858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パターン幅の拡大は、塗装に要する時間を短縮することによって生産性を高めることができるという点で望ましい。また、連続搬送ラインにおける塗装では、パターン幅を拡大して塗装時間を短縮することにより塗装ブース長を短く設計することができるので、空調に関わるエネルギー消費が少なくて済むという利点がある。上記の回転霧化塗装機においてパターン幅の拡大を図る手段としては、シェーピングエアの傾斜の角度を大きくする方法や、シェーピングエアの吐出量を増大する方法が考えられる。しかし、いずれの方法においても、回転霧化頭の前方の負圧の影響が大きくなるため、パターン幅を拡げる効果は期待できない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パターン幅を効果的に拡大できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、外周縁から塗料を放出させる回転霧化頭と、シェーピングエアが吐出される複数の第1吐出口を周方向に並べて構成され、前記回転霧化頭を同心円状に包囲するように配された第1エア吐出部と、シェーピングエアが吐出される複数の第2吐出口を周方向に並べて構成され、前記回転霧化頭を同心円状に包囲するように、且つ前記第1エア吐出部よりも内周側に配された第2エア吐出部とを備え、前記第1吐出口からのシェーピングエアの吐出方向は、前記回転霧化頭の回転中心軸と直交方向に見たときに前記回転中心軸に対して45°よりも大きく且つ60°以下の角度で傾斜した螺旋方向であり、前記第2吐出口からのシェーピングエアの吐出方向は、前記回転中心軸と直交方向に見たときに前記回転中心軸に対して5°以上で且つ30°以下の角度で傾斜した螺旋方向であるところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記第1吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量が、前記第2吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量よりも大きいところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
パターン幅の拡大を図る手段として、第1エア吐出部から吐出するシェーピングエアの傾斜角度を比較的大きい角度にするとともに、回転霧化頭の前方で発生する負圧の影響を軽減する手段として、第1エア吐出部から吐出するシェーピングエアよりも内側で第2エア吐出部からシェーピングエアを吐出させている。これにより、パターン幅を効果的に拡大させることができる。
【0009】
また、本願発明者らは、鋭意実験検討を行った結果、パターン幅を効果的に拡大するためには、第1吐出口から吐出するシェーピングエアの傾斜角度を45°よりも大きく且つ60°以下に設定し、第2吐出口から吐出するシェーピングエアの傾斜角度を5°以上で且つ30°以下に設定するという組み合わせが好ましい、との知見を得た。
【0010】
<請求項2の発明>
本願発明者らは、鋭意実験検討を行った結果、パターン幅を効果的に拡大するためには、第1エア吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量を、第2エア吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量よりも大きくすることが好ましい、との知見を得た。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1の回転霧化塗装機において、第1シェーピングエアと第2シェーピングエアが吐出している状態をあらわす部分側面図
【図2】第1シェーピングエアのみが吐出している状態をあらわす部分側面図
【図3】第2シェーピングエアのみが吐出している状態をあらわす部分側面図
【図4】正面図
【図5】従来例の回転霧化塗装機において、シェーピングエアの吐出に伴う負圧の影響でパターン幅が狭まっている状態をあらわす概念図
【図6】実施形態1の回転霧化塗装機において、第1シェーピングエアと第2シェーピングエアの吐出によってパターン幅が拡大されている状態をあらわす概念図
【図7】第1シェーピングエアの傾斜角度を45°とした場合において、第2シェーピングエアの吐出量の増大に伴うパターン幅の変化をあらわすグラフ
【図8】第1シェーピングエアの傾斜角度を55°とした場合において、第2シェーピングエアの吐出量の増大に伴うパターン幅の変化をあらわすグラフ
【図9】第1シェーピングエアの傾斜角度を55°とした場合において、第2シェーピングエアの吐出量の増大に伴うパターン幅の変化をあらわすグラフ
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。本実施形態の回転霧化塗装機10は、塗装機本体11の前端部(図1〜図3における右側の端部)に、回転中心軸13を前後方向に向けて回転駆動される周知の形態の回転霧化頭12を備えたものであり、回転霧化頭12の外周縁からは、塗料が霧化された状態で放出されるようになっている。この回転霧化塗装機10は、アルミニウム片や雲母片等のメタリック片を含むメタリック塗料を用いた塗装に好適であるが、メタリック塗料以外の塗料を用いた塗装にも適用できる。
【0013】
塗装機本体11の前端面には、回転霧化頭12から放出された霧化塗料を所定のパターン幅に成形するための第1シェーピングエア16Aが吐出される第1エア吐出部14Aと、第1シェーピングエア16Aの吐出によって回転霧化頭12の前方に生じる負圧Pvの影響を軽減するための第2シェーピングエア16Bが吐出される第2エア吐出部14Bとが形成されている。
【0014】
第1エア吐出部14Aは、回転霧化頭12の回転中心軸13と同心の円周に沿って一定のピッチで形成された複数の第1吐出口15Aからなる。複数の第1吐出口15A(第1エア吐出部14A)は、回転霧化頭12の外周縁の近傍において、回転霧化頭12を同心円状に包囲するように配置されている。各第1吐出口15Aにおける第1シェーピングエア16Aの吐出方向は、回転霧化頭12の回転中心軸13と平行ではなく、図2に示すように、第1吐出口15Aを回転霧化頭12の回転中心軸13と直交する方向に見たときに、回転中心軸13に対して45°〜60°の角度α(以下、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αという)で傾斜した螺旋方向(ねじれ方向)となっている。
【0015】
また、正面から見たときの第1吐出口15Aからの第1シェーピングエア16Aの吐出方向は、その第1吐出口15Aと回転中心軸13とを結ぶ径方向に対して直角な方向となっている。そして、周方向において、第1吐出口15Aからの第1シェーピングエア16Aの吐出方向(螺旋方向)は、回転霧化頭12の回転方向とは逆の向きとなっている。
【0016】
第2エア吐出部14Bは、回転霧化頭12の回転中心軸13と同心の円周に沿って一定のピッチで形成された複数の第2吐出口15Bからなる。第2吐出口15Bの数は、第1吐出口15Aと同じ数である。複数の第2吐出口15B(第2エア吐出部14B)は、第1エア吐出部14Aと同じく、回転霧化頭12の外周縁の近傍において、回転霧化頭12を同心円状に包囲するように配置されている。第2エア吐出部14Bは、第1エア吐出部14Aよりも内周側(つまり、回転霧化頭12に近い側)に配置されている。
【0017】
各第2吐出口15Bにおける第2シェーピングエア16Bの吐出方向は、回転霧化頭12の回転中心軸13と平行ではなく、図3に示すように、第2吐出口15Bを回転霧化頭12の回転中心軸13と直交する方向に見たときに、回転中心軸13に対して5°〜30°の角度β(以下、第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βという)で傾斜した螺旋方向(ねじれ方向)となっている。つまり、この第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αよりも小さい角度である。したがって、回転霧化頭12の回転中心軸13と直交する被塗面上における第2シェーピングエア16Bの吐出範囲は、第1シェーピングエア16Aの吐出範囲よりも狭い。
【0018】
また、正面から見たときの第2吐出口15Bからの第2シェーピングエア16Bの吐出方向は、その第2吐出口15Bと回転中心軸13とを結ぶ径方向に対して直角な方向となっている。周方向において、第2吐出口15Bからの第2シェーピングエア16Bの吐出方向(螺旋方向)は、第1吐出口15Aからの第1シェーピングエア16Aの吐出方向(螺旋方向)と同じ向きとなっている。また、第2エア吐出部14Bから吐出される第2シェーピングエア16Bの吐出量は、第1エア吐出部14Aから吐出される第1シェーピングエア16Aの吐出量よりも少ない量とされている。
【0019】
次に、本実施形態の作用を説明する。図5に示すのは、本実施形態の第2シェーピングエア16Bに相当するエアを吐出しない従来の回転霧化塗装機50におけるシェーピングエア51の拡がり範囲(つまり、回転霧化頭12から放出された霧化塗料のパターン幅)である。この従来のものでは、シェーピングエア51の流速を上げると、回転霧化頭12の前方において被塗面(図示省略)から回転霧化頭12に向かう負圧Pvの流れが生じ、その負圧Pvの影響を受けてシェーピングエア51が中心側へ引き寄せられる。そのため、シェーピングエア51が負圧Pvの影響を受けずに吐出方向をそのまま延長した方向へ吐出を続けた場合の仮想気流52による仮想パターン幅Waに比べると、負圧Pvの影響を受けた実際のシェーピングエア51によるパターン幅Wbの方が狭くなる。
【0020】
これに対し、本実施形態の回転霧化塗装機10では、図6に示すように、第1シェーピングエア16Aの内側(つまり、第1シェーピングエア16Aと負圧Pvの気流が流れる領域との間)に第2シェーピングエア16Bを供給しているので、第1シェーピングエア16Aの内側における負圧Pvが軽減される。したがって、第1シェーピングエア16Aに対する負圧Pvの影響も軽減され、負圧Pvの影響を受けた実際の第1シェーピングエア16Aによるパターン幅Wcは、負圧Pvの影響を受けずに吐出方向をそのまま延長した方向へ吐出を続けた場合の仮想気流52による仮想パターン幅Waに近くなり、従来のものに比べるとパターン幅を大きくすることができる。
【0021】
尚、第1シェーピングエア16Aには、回転霧化頭12の前方で生成される負圧だけでなく、第1シェーピングエア16Aの外周側に生成される随伴気流Pfの影響によってもパターン幅が狭められるのであるが、その随伴気流Pfによる影響は、本実施形態の場合も従来の場合も殆ど同じ程度である。
【0022】
次に、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αと第2シェーピングエア16Bの吐出量に起因するパターン幅の変化について説明する。本願発明者らは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αと第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βを種々に変更して鋭意実験検討を行った。その実験結果の数例を図7〜図9に示す。
【0023】
図7に示すグラフは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを45°、第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βを15°、塗料の吐出量を500ml/min、回転霧化頭12の回転数を30,000rpmとした上で、第1シェーピングエア16Aのみを吐出する状態から第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やした場合のパターン幅の変化を示している。図7のグラフでは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minにした場合と、400Nl/minにした場合をあらわしている。
【0024】
パターン幅は、グラフの縦軸においてmmの単位であらわしている。グラフの横軸は、第1シェーピングエア16Aと第2シェーピングエア16Bの合計吐出量に対する第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合をあらわす。例えば、100%は、第2シェーピングエア16Bは吐出されずに第1シェーピングエア16Aのみが吐出されている状態であり、50%は、第1シェーピングエア16Aと第2シェーピングエア16Bが同量ずつ吐出されている状態である。つまり、横軸の%値が小さくなるほど、第2シェーピングエア16Bの吐出量が多くなっている。
【0025】
図7のグラフにおいて、太い実線で示した折れ線Xは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minとした場合をあらわし、破線で示した折れ線Zは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を400Nl/minとした場合をあらわす。いずれの場合でも、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αが45°であるため、第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしてもパターン幅は拡大せず、逆に、第2シェーピングエア16Bの吐出量が増える程、パターン幅が狭まる傾向となっている。これにより、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度を45°とする設定は、パターン幅を拡大するという観点からは好ましくない、という知見が得られた。
【0026】
図8に示すグラフは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを55°、第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βを15°、塗料の放出量を500ml/min、回転霧化頭12の回転数を30,000rpmとした上で、第1シェーピングエア16Aのみを吐出する状態から第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やした場合のパターン幅の変化を示している。つまり、図8のグラフと図7のグラフは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αが異なり、それ以外の条件は同じとなっている。また、図8のグラフでは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minにした場合と、500Nl/minにした場合と、400Nl/minにした場合をあらわしている。
【0027】
図8のグラフにおいて、太い実線で示した折れ線Xは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minとした場合をあらわし、細い実線で示した折れ線Yは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を500Nl/minとした場合をあらわし、破線で示した折れ線Zは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を400Nl/minとした場合をあらわす。
【0028】
第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minとした場合には、両シェーピングエア16A,16Bの合計吐出量に対する第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合が約65%以上の範囲内で、第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしていけば、それに伴ってパターン幅が拡大している。同様に、第1シェーピングエア16Aの吐出量を500Nl/minとした場合には、第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合が約85%以上となる範囲内で第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしていけば、パターン幅が拡大する。第1シェーピングエア16Aの吐出量を400Nl/minとした場合には、第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合が約80%以上となる範囲内で第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしていけば、パターン幅が拡大している。第1シェーピングエア16Aの吐出量がいずれの場合であっても、パターン幅を拡大させるための第2シェーピングエア16Bの吐出量は、第1シェーピングエア16Aの吐出量よりも小さい。
【0029】
図9に示すグラフは、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを55°、第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βを15°、塗料の放出量を750ml/min、回転霧化頭12の回転数を40,000rpmとした上で、第1シェーピングエア16Aのみを吐出する状態から第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やした場合のパターン幅の変化を示している。つまり、図9のグラフと図8のグラフは、塗料の放出量と回転霧化頭12の回転数が異なり、それ以外の条件は同じとなっている。
【0030】
図9のグラフでは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minにした場合と、500Nl/minにした場合をあらわしている。図9のグラフにおいて、太い実線で示した折れ線Xは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minとした場合をあらわし、細い実線で示した折れ線Yは、第1シェーピングエア16Aの吐出量を500Nl/minとした場合をあらわす。
【0031】
第1シェーピングエア16Aの吐出量を600Nl/minとした場合には、両シェーピングエア16A,16Bの合計吐出量に対する第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合が約75%以上となる範囲内で第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしていけば、それに伴ってパターン幅が拡大している。また、第1シェーピングエア16Aの吐出量を500Nl/minとした場合には、第1シェーピングエア16Aの吐出量の割合が約70%以上となる範囲内で第2シェーピングエア16Bの吐出量を増やしていけば、パターン幅が拡大している。第1シェーピングエア16Aの吐出量がいずれの場合であっても、パターン幅を拡大させるための第2シェーピングエア16Bの吐出量は、第1シェーピングエア16Aの吐出量よりも小さい。
【0032】
図8及び図9のグラフであらわした実験結果によれば、いずれの場合も、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αが55°(45°よりも大きい角度)としたことにより、第2シェーピングエア16Bの吐出による負圧軽減の効果が発揮されたものと認められ、第2シェーピングエア16Bの吐出量を適正な範囲に設定すれば、パターン幅が拡大する、ということが分かる。
【0033】
本実施形態においては、パターン幅の拡大を図る手段として、第1吐出口15Aから吐出する第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを比較的大きい角度にするとともに、回転霧化頭12の前方で発生する負圧Pvの影響を軽減する手段として、第1エア吐出部14Aからの第1シェーピングエア16Aよりも内側で第2エア吐出部14Bからの第2シェーピングエア16Bを吐出させている。これにより、パターン幅を効果的に拡大させることができる。
【0034】
そして、本願発明者らは、上記図7〜9のグラフに示したもの以外にも種々の実験結果を得ており、これらの実験結果から、第1シェーピングエア16Aの吐出量、塗料の放出量等に応じて、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを45°よりも大きく且つ60°以下の角度にするとともに、第2シェーピングエア16Bの傾斜角度βを15°以上で且つ30°以下にすることにより、パターン幅を効果的に拡大することができる、との知見を得た。また、パターン幅を効果的に拡大するためには、第1吐出口15Aから吐出する第1シェーピングエア16Aの吐出量を、第2吐出口15Bから吐出する第2シェーピングエア16Bの吐出量よりも大きくすることが好ましい、との知見も得ている。
【0035】
尚、本願発明者らは、鋭意実験検討を行った結果、第1シェーピングエア16Aの傾斜角度αを45°よりも小さくした場合(例えば、35°とした場合)には、パターン幅が実用可能範囲を超えて極端に狭くなる、という知見も得ている。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において、第1吐出口から吐出するシェーピングエアの螺旋の向きと、第2吐出口から吐出するシェーピングエアの螺旋の向きとを、周方向において互いに逆の方向としてもよい。
(2)上記実施形態では、シェーピングエアの螺旋の向きと回転霧化頭の回転方向とを、互いに逆の向きとしたが、シェーピングエアの螺旋の向きと回転霧化頭の回転方向は同じ向きとしてもよい。
(3)上記実施形態では、第1吐出口の数と第2吐出口の数を同じ数としたが、第1吐出口の数は、第2吐出口の数と同じ数でもよく、第2吐出口よりも少ない数でもよい。
(4)上記実施形態では、第1エア吐出部から吐出するシェーピングエアの吐出量を、第2エア吐出部から吐出するシェーピングエアの吐出量よりも大きくしたが、第1エア吐出部から吐出するシェーピングエアの吐出量は、第2エア吐出部から吐出するシェーピングエアの吐出量と同じか、それよりも小さい吐出量としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…回転霧化塗装機
12…回転霧化頭
13…回転中心軸
14A…第1エア吐出部
14B…第2エア吐出部
15A…第1吐出口
15B…第2吐出口
16A…第1シェーピングエア
16B…第2シェーピングエア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁から塗料を放出させる回転霧化頭と、
シェーピングエアが吐出される複数の第1吐出口を周方向に並べて構成され、前記回転霧化頭を同心円状に包囲するように配された第1エア吐出部と、
シェーピングエアが吐出される複数の第2吐出口を周方向に並べて構成され、前記回転霧化頭を同心円状に包囲するように、且つ前記第1エア吐出部よりも内周側に配された第2エア吐出部とを備え、
前記第1吐出口からのシェーピングエアの吐出方向は、前記回転霧化頭の回転中心軸と直交方向に見たときに前記回転中心軸に対して45°よりも大きく且つ60°以下の角度で傾斜した螺旋方向であり、
前記第2吐出口からのシェーピングエアの吐出方向は、前記回転中心軸と直交方向に見たときに前記回転中心軸に対して5°以上で且つ30°以下の角度で傾斜した螺旋方向であることを特徴とする回転霧化塗装機。
【請求項2】
前記第1吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量が、前記第2吐出口から吐出するシェーピングエアの吐出量よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の回転霧化塗装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−230013(P2011−230013A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100177(P2010−100177)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】