説明

回転駆動装置、減速装置及びこれらを用いた画像形成装置

【課題】
被回転体を複数備える構成であっても十分な減速作用を与えることができるとともに、被回転体の駆動系の大型化を有効に回避できる回転駆動装置を提供する。
【解決手段】
入力軸32に設けられる入力ローラ41と出力軸33に設けられる出力ローラ51とで、トラクション伝達系の第1減速機構10が形成されるとともに、入力軸32に設けられる入力ギヤ42と出力軸33に設けられる出力ギヤ52とで、ギヤ伝達系の第2減速機構20が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの回転駆動を回転体に伝達する構成において、回転速度を良好に減速可能とする回転駆動装置および減速装置とその代表的な利用技術に関するものであり、特に、回転体として、複数の感光体ドラムを備えるカラー電子写真方式の画像形成装置において、当該感光体ドラムの回転駆動に好適に用いることができる回転駆動装置および減速装置と、当該回転駆動装置または減速装置を備える画像形成装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの被駆動軸にフライホイール等の慣性体を設ける構成が知られている。このような慣性体は、感光体ドラムの回転時に慣性力を増大させることにより、感光体ドラムの回転振動を安定化するとともに、回転数を減速する等の目的で設けられる。
【0003】
ところで、通常、感光体ドラムの回転速度は、駆動源であるモータから出力される回転速度と比較すると、比較的低速で回転する。そのため、慣性体であるフライホイールの径はより大きなものとする必要がある。これに対して、近年では、画像形成装置のより一層の小型化が要求される傾向にあるため、大型なフライホイールは画像形成装置の小型化を妨げる理由の一つとなっている。そこで、フライホイールの小型化を図る技術が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、(1)フライホイールが発生する振動が、感光体ドラムに伝達することがなくて画像形成に悪影響を及ぼすことがなく、また(2)フライホイールの重量を減少させ、小形のものとすることができて、その設置用に大きなスペースを必要とすることがないこと等を課題として、当該課題を解決するために、感光体ドラムの軸とフライホイールの軸とを増速機能を有する伝動手段によって連結する構成を開示している。
【0005】
上記構成によれば、フライホイールは増速機能を有する伝動手段によって増速されるため、当該フライホイールを小重量であって小型なものとすることができ、その設置スペースを小さくすることが可能であるとされている。上記増速機能を有する伝動手段の具体例としては、大径の出力歯車と小径の入力歯車とによって連結される構成や、ベルトプーリ、チエーンスプロケット等が挙げられている。
【0006】
また、特許文献2では、フライホイールの小径化或いは削除を可能とし、駆動部周辺の他部品の配置を規制することをなくすこと等を課題として、当該課題を解決するために、感光体ドラム内部に隔壁を設ける構成を開示している。
【0007】
上記構成によれば、感光体ドラム内部に慣性質量を増加させる挿入部材を配置することが可能となり、それゆえ、感光体ドラムの回転変動を抑制することができるため、ドラム軸上に配したフライホイールの小径化又は削除が可能な感光体を提供することができるとされる。
【特許文献1】特開平5−100508号公報(平成5年(1993)4月23日公開)
【特許文献2】特開2002−268459号公報(平成14年(2002)9月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、感光体ドラムを複数備えるタイプの画像形成装置、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の静電潜像をそれぞれ形成するため、4つの感光体ドラムを備えるタイプのカラー画像形成装置では、感光体ドラムのそれぞれにフライホイールを設ける必要がある。それゆえ、このようなカラー画像形成装置においては、上記特許文献1および2に開示の技術のように、個々のフライホイールを小型化するだけでは、装置のより一層の小型化には十分寄与することができない。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、特に感光体ドラム等のような被回転体を複数備える構成であっても、十分な減速作用を与えることができるとともに、被回転体の駆動系の大型化を有効に回避できる回転駆動装置と、当該回転駆動装置を備える画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、例えば、複数の感光体ドラムを備えるカラー画像形成装置においては、回転速度を単に減速させるだけでなく、YMCK各色のカラー画像を良好に重ね合わせるためにも、より確実かつ円滑な回転速度の伝達が必要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明に係る回転駆動装置は、互いに平行配置される入力軸および出力軸を備える減速機構を含む回転駆動装置であって、上記入力軸には、当該入力軸を回転中心とする入力ローラおよび入力ギヤが設けられているとともに、上記出力軸には、当該出力軸を回転中心とする出力ローラおよび出力ギヤが設けられており、上記入力ローラおよび上記出力ローラは互いに回転可能に接触して、上記入力軸から上記出力軸に対して回転駆動力を伝達する第1減速機構を形成するとともに、上記入力ギヤおよび上記出力ギヤは互いに回転可能に噛合って、上記入力軸から上記出力軸に対して回転駆動力を伝達する第2減速機構を形成しており、さらに、上記第1減速機構および上記第2減速機構のそれぞれ単独で、入力軸から出力軸に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときに、上記第1減速機構による回転速度の減速比が上記第2減速機構による回転速度の減速比とは異なるように、互いの減速比が設定されていることを特徴としている。
【0012】
特に、上記第1減速機構による回転速度の減速比は、上記第2減速機構による回転速度の減速比よりも大きくなるように、上記第1減速機構および第2減速機構の減速比が設定されていることが好ましい。
【0013】
上記回転駆動装置においては、1つの上記入力軸に対して、上記出力軸が複数設けられており、各出力軸と1つの上記入力軸との間には、上記第1減速機構および第2減速機構が設けられていることが好ましく、上記複数の出力軸の第2減速機構では、出力ギヤの噛合いに半ピッチの位相差が生じるように、それぞれの出力ギヤの噛合い状態が設定されていることがより好ましい。
【0014】
上記回転駆動装置においては、上記入力軸との間で第1減速機構および第2減速機構を形成する上記出力軸を、直接回転駆動力が伝達される直接出力軸とした場合に、さらに、上記入力軸からの回転駆動力が、上記直接出力軸に設けられる出力ギヤより間接的に伝達される間接出力軸が設けられていることが好ましく、上記間接出力軸にも上記出力ギヤが設けられているとともに、当該間接出力軸の出力ギヤと上記直接出力軸の出力ギヤとの間には、これら出力ギヤに噛合うアイドルギヤが設けられていることがより好ましい。
【0015】
さらに、上記間接出力軸には、さらに出力ローラも設けられており、かつ、アイドルギヤに加えてアイドルローラも設けられており、上記直接出力軸の出力ローラと上記間接出力軸の出力ローラとは、それぞれアイドルローラに回転可能に接触することによって、上記入力軸からの回転駆動力が伝達可能となっていることがより好ましく、上記直接出力軸の出力ローラ、アイドルローラ、および上記間接出力軸の出力ローラを含む減速機構を第1減速機構とし、上記直接出力軸の出力ギヤ、アイドルギヤ、および上記間接出力軸の出力ギヤを含む減速機構を第2減速機構とした場合、上記第1減速機構および上記第2減速機構のそれぞれ単独で、入力軸から出力軸に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときに、上記第1減速機構の減速比が上記第2減速機構の減速比よりも大きくなるように、互いの減速比が設定されていることが特に好ましい。
【0016】
また、上記回転駆動装置においては、上記出力ローラおよび出力ギヤが一体となって形成されていることが好ましい。
【0017】
さらには、上記回転駆動装置においては、上記複数の出力軸に設けられる出力ギヤは、全て同一の成形型により成形されたものであることが好ましい。また、全て同一の成形型により成形された上記出力ギヤは、互いの噛合い部分のピッチ半径が揃うように位置合わせして組み込まれたギヤ列を形成していることがより好ましい。
【0018】
あるいは、上記回転駆動装置においては、上記出力ローラは、当該出力ローラ本体に対して、少なくとも弾性材から形成される弾性環状部材を取り付けることによって、他のローラと接触する表面を弾性材により形成することが好ましい。上記弾性材の一例としてはゴムを好ましく挙げることができ、上記ゴムとして、少なくとも水素化ニトリルゴム(水素添加ニトリルゴム、H−NBR)を好ましく用いることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る減速装置は、互いに平行配置される複数の回転軸を備える減速装置であって、複数の上記回転軸には、当該回転軸を回転中心とする回転伝達部材が設けられており、上記回転伝達部材は、一対の回転軸の間で互いに回転可能に接触することで、一方の回転軸からの回転駆動力を、回転速度を減速させて他方の回転軸に伝達する減速機構となっており、さらに、当該減速機構は複数設けられているとともに、これら複数の減速機構による回転速度の減速比は互いに異なるように設定されており、かつ、最大の減速比が設定されている減速機構以外の減速機構では、互いに接触する回転伝達部材同士がすべりながら回転可能となっていることを特徴としている。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、上記構成の回転駆動装置、または、上記構成の減速装置を含む回転駆動装置を、感光体ドラムの回転駆動手段として備えることを特徴としている。
【0021】
上記画像形成装置においては、感光体ドラムを複数備えており、各感光体ドラムは、それぞれ異なる色のトナー像を形成する構成であることが好ましく、上記複数の感光体ドラムには、黒のトナー像を形成する黒色像用感光体ドラムと、有彩色のトナー像を形成する有彩色像用感光体ドラムとが含まれているとともに、上記有彩色像用感光体ドラムは複数備えられており、かつ、上記回転駆動手段により単一の駆動源によって回転駆動される構成であることがより好ましく、上記有彩色像用感光体ドラムとして、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色のトナー像を形成する3つの感光体ドラムが設けられることがさらに一層好ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る回転駆動装置は、互いに平行配置される入力軸と出力軸とを備える親子減速機構を含む回転駆動装置であって、代表的には次に示す構成を備えている。
【0023】
すなわち、まず、(1)上記入力軸は駆動源(モータ等の動力源)により回転駆動される。そして、(2)上記入力軸と同心円で回転可能な入力ローラが当該入力軸に設けられるとともに、上記出力軸と同心円で回転可能な出力ローラが当該出力軸に設けられており、上記入力ローラおよび出力ローラを互いに圧接させることにより、トラクション伝達系の第1減速機構が形成され、この第1減速機構では、これらローラの圧接によるトラクション力により駆動源からの回転駆動力を上記入力軸から出力軸に伝達する。
【0024】
さらに、(3)上記入力軸と同心円で回転可能な入力ギヤが当該入力軸に設けられるとともに、上記出力軸と同心円で回転可能な出力ギヤが当該出力軸に設けられており、上記入力ギヤおよび出力ギヤを互いに噛合わせることにより、ギヤ伝達系の第2減速機構が形成され、この第2減速機構では、これらギヤの噛合いにより駆動源からの回転駆動力を上記入力軸から出力軸に伝達する。ここで、(4)第1減速機構の無負荷時(すなわち第1減速機構単独)での回転速度の減速比は、第2減速機構の回転速度の減速比よりも大きくなるように構成される。
【0025】
上記構成によれば、第1減速機構による出力軸での回転速度は、第2減速機構による出力軸の回転速度よりも遅くなるように設定されている。ここで、第1減速機構はローラ同士の接触により回転駆動力を伝達するようになっているので、第1減速機構は、ローラ同士にすべりが発生した状態で、第2減速機構の回転速度に合った回転速度となる。したがって、入力軸からの回転駆動力は、ローラ同士がすべりながら伝達される第1減速機構の経路は、ブレーキ力を発生し、ギヤの噛合いによる第2減速機構の経路に負荷トルクを与える。このように第1減速機構で、第2減速機構に負荷を与え続けながら回転駆動を伝達するので、十分かつ確実な減速作用を与えることができるとともに、1本の入力軸に対して、複数の出力軸を設けても、確実かつ精度よく回転駆動力を伝達することができる。
【0026】
その結果、単一の駆動源で2軸以上の複数軸を駆動することが可能となるため、被回転体の駆動系の大型化を有効に回避できるとともに、駆動源の数を増やす必要がないために、駆動源の制御回路(ドライバ)も増やす必要がなくなり、回転駆動装置をより安価に構成することができる。
【0027】
しかも、入力軸から出力軸へ加えられる負荷は、ローラのトラクション力(第1減速機構)がギヤの噛合い(第2減速機構)に付加される。そのため、ギヤ噛合い(第2減速機構)単独の構成と比較して、ギヤの噛合いを確実なものとする。その結果、ギヤの噛合い音が軽減され、回転駆動装置の動作音をより小さくすることが可能となるとともに、ギヤの噛合いに起因する、出力軸の回転変動や騒音を軽減することもできる。
【0028】
なお、本発明には、上記回転駆動装置に加えて、減速機構の部分すなわち減速装置も含まれる。
【0029】
また、本発明の具体的な利用分野は特に限定されるものではなく、減速を伴う回転駆動を要する分野に幅広く応用することができるが、特に好ましい利用分野としては、電子写真方式のカラー画像形成装置を挙げることができる。当該カラー画像形成装置は、異なる色のトナー像を形成して重ね合わせることによりカラー画像を形成するため、複数の感光体ドラムを備えている。これら複数の感光体ドラムの回転駆動に上記回転駆動装置を用いることで、各感光体ドラムをより適切に回転駆動することが可能となり、各感光体ドラムのギアの噛合いに起因する色むら(いわゆるバンディング)を有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や具体的な実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0031】
本発明に係る回転駆動装置は、図1に示すように、駆動源であるモータ31、入力軸(駆動軸)32、第1減速機構10、第2減速機構20、出力軸(従動軸)33を備えている。出力軸33は、モータ31からの回転駆動力の伝達を受けて回転駆動される被回転体34に設けられている。本実施形態では、被回転体34の例として、電子写真方式の画像形成装置に用いられる感光体ドラム34を例示するがもちろんこれに限定されるものではない。
【0032】
上記入力軸32および出力軸33は互いに平行配置されており、これら軸には、回転伝達部材としてのローラおよびギヤが設けられている。具体的には、入力軸32には、当該入力軸32の先端側から入力ギヤ42および入力ローラ41が互いに平行となるように設けられている。一方、出力軸33には、当該出力軸33の先端から出力ローラ51および出力ギヤ52が互いに平行となるように設けられている。上記入力ローラ41および入力ギヤ42は、上記入力軸32を回転中心として回転可能となっており、上記出力ローラ51および出力ギヤ52は、上記出力軸33を回転中心として回転可能となっている。
【0033】
上記入力ローラ41および上記出力ローラ51は互いに回転可能に接触して、上記入力軸32から上記出力軸33に対して、モータ31による回転駆動力を伝達する第1減速機構10を形成する。また、上記入力ギヤ42および上記出力ギヤ52は互いに回転可能に噛合って、上記入力軸32から上記出力軸33に対して、モータ31による回転駆動力を伝達する第2減速機構20を形成する。したがって、第1減速機構10はトラクション伝達系と表現することができるとともに、第2減速機構20はギヤ伝達系と表現することができる。なお、上記入力軸32、出力軸33、第1減速機構10および第2減速機構20を最低限の構成要素として、本発明に係る減速機構(減速装置)が構成される。
【0034】
より具体的な構成としては、例えば、図2に示すように、入力ローラ41および入力ギヤ42が互いに平行となるように隣接配置されて入力軸32に設けられているとともに、出力ローラ51および出力ギヤ52が互いに平行となるように隣接配置されて出力軸33に設けられている構成を挙げることができる。入力ローラ41および出力ローラ51は互いに接触して回転可能となっており、モータ31からの回転駆動力は、入力ローラ41の回転駆動により接触する出力ローラ51に伝達される。
【0035】
このとき、第1減速機構10すなわち入力ローラ41および出力ローラ51の接触状態は、単に触れ合っている状態ではなく、互いにローラ表面を押さえあって、互いの表面に圧力を加えた接触状態、すなわち「圧接」状態にある。さらに、上記入力ローラ41および出力ローラ51は、互いに圧接した状態で、ローラ表面同士がすべりながらでも回転できる接触状態ともなっている。
【0036】
なお、ローラ表面同士がすべりながら回転できる接触状態の具体的な設定は特に限定されるものではなく、入力ローラ41および出力ローラ51のローラ表面の材質や、入力軸32および出力軸33のトルク等の諸条件により適宜変更可能なものである。
【0037】
一方、第2減速機構20すなわち入力ギヤ42および出力ギヤ52の噛合い状態は特に限定されるものではなく、入力軸32からの回転駆動力が入力ギヤ42および出力ギヤ52の噛合いを介して、出力軸33に伝達できるようになっていればよい。
【0038】
ただし、上記第1減速機構10および第2減速機構20においては、入力軸32からの回転駆動力を減速する際の減速比が互いに異なっている。より具体的には、上記第1減速機構10および上記第2減速機構20のそれぞれ単独で、入力軸32から出力軸33に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときに、上記第1減速機構10による回転速度の減速比が上記第2減速機構20による回転速度の減速比よりも大きくなるように、互いの減速比が設定されている。
【0039】
このように互いの減速比が設定されると、入力軸32から入力される回転駆動の回転速度Vinは同一であるので、第2減速機構20を介して出力軸33に伝達される回転速度Vout2は、第1減速機構10を介して出力軸33に伝達される回転速度Vout1よりも大きくなる(Vout2>Vout1)。言い換えれば、第2減速機構20による出力軸33での回転速度Vout2は、第1減速機構10による出力軸33の回転速度Vout1よりも速くなる。
【0040】
ここで、第1減速機構10は入力ローラ41および出力ローラ51同士の接触により回転駆動力を伝達するようになっているので、本来なら回転速度Vout1を出力できる第1減速機構10においては、入力ローラ41および出力ローラ51同士にすべりが発生した状態で、回転駆動力が伝達される。その結果、第1減速機構10から出力される現実の回転速度Vrealは、第2減速機構20の回転速度Vout2に合った回転速度となる(Vreal=Vout2=Vout1)。したがって、入力軸32からの回転駆動力は、入力ローラ41および出力ローラ51同士がすべりながら伝達される第1減速機構10の経路は、入力ギヤ42および出力ギヤ52の噛合いによる第2減速機構20の経路に対して負荷を与えることになる。
【0041】
その結果、ギヤ噛合いによる第2減速機構20単独の構成と比較して、ローラ圧接による第1減速機構10による負荷の分担によって、入力ギヤ42および出力ギヤ52の噛合いを確実なものとすることができる。それゆえ、ギヤ駆動時の噛合い音を軽減することができ、回転駆動装置の動作音をより小さくすることが可能となる。また、入力ギヤ42および出力ギヤ52の噛合いを確実にするということは、入力ギヤ42からの出力ギヤ52への回転駆動力の伝達がより円滑に進むことになる。通常、ギヤの噛合いにはある程度のマージンが設けられているため、ギヤの噛合い単独で回転駆動力を伝達する場合には、ギヤの噛合いに振動が発生しやすいと同時に歯に歪が発生しやすくなるため出力軸33に回転変動が生じやすく、騒音も発生するが、本発明では、あらかじめ第1減速機構によって負荷を与えており、ギヤの噛合いが確実になるため、上記回転振動による変動を軽減することができるとともに、騒音の発生も軽減することができる。
【0042】
また、あらかじめギアに負荷を与えることは、負荷の変動に起因する回転変動の軽減となる。負荷が変動した場合、ギアは負荷に応じて変形する(歪む)。これを回避しようとして、ギアの剛性をあげるべく、ギアの幅を厚くする等で、ギアを大容量化することとなる。この場合、大容量のギアを軽負荷化で使用することとなり、確実な噛合いが得られず、振動の原因となる。しかし、本実施形態では、大形化したギアに、第1減速機構10によって、適切に負荷を与えることが可能となり、良好な噛合いを得ながら、ギアの剛性をあげることが可能となり、負荷変動に起因する回転変数を軽減することが可能となる。
【0043】
本発明において、上記第1減速機構10および第2減速機構20のより具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜選択して好適に用いることができる。例えば、入力ローラ41、入力ギヤ42、出力ローラ51、出力ギヤ52は、従来公知の材料、例えば、各種樹脂(プラスチック)、金属等で形成されていればよい。また、これらローラおよびギヤの外形や厚みも特に限定されるものではなく、入力される回転駆動力、回転対象となる被回転体(本実施形態では感光体ドラム34)の種類、大きさ、トルク、回転速度等の諸条件に合わせて適切に設定すればよい。
【0044】
ここで、特に出力ローラ51については、少なくとも入力ローラ41に接触する表面が、出力ローラ51の表面に接触した状態ですべりながら回転駆動を伝達可能とする動摩擦係数を有する素材(便宜上、摩擦素材と称する)により形成されていることが好ましい。なお、上記動摩擦係数の具体的な数値は特に限定されるものではなく、入力ローラ41および出力ローラ51の接触圧力や、入力ローラ41に用いられる材質や、入力ローラ41のローラ表面の状態等の諸条件により適切な値が決定されるものであり、特に限定されるものではない。
【0045】
上記摩擦素材の具体例としては、弾性材を挙げることができる。具体的には、例えば図3(a)に示すように、出力ローラ51の外周(ローラ表面)に設けられる弾性環状部材53として出力ローラ51の本体に取り付けられている構成を挙げることができる。なお、図3(a)では、入力ローラ41および入力ギア42は側方から模式的に見た状態として図示しているが、出力ローラ51および出力ギヤ52は模式的断面図として図示している。
【0046】
このように出力ローラ51の表面が摩擦素材からなっていれば、入力ローラ41との圧接状態を良好に緩和しながら互いのローラ表面の接触状態を維持できるので、第1減速機構10のすべりあうローラ表面同士で好適な摩擦力を発揮しながら、入力ローラ41から出力ローラ51に回転駆動力を伝達することができる。
【0047】
上記弾性材の具体的な種類は特に限定されるものではなく、回転駆動力の伝達に耐久できる自己保持性を有し、かつ、外力を加えたときに変形可能な弾性力を有していればよいが、代表的な材質として各種ゴムを挙げることができる。
【0048】
上記ゴムとしては、例えば、天然ゴム;イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)等のジエン系合成ゴム;ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ふっ素ゴム等の非ジエン系合成ゴム;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。これらゴム材料は、1種類のみで用いられることが多いが、複数種類組み合わせてゴムアロイとして用いてもよいし、多層構造として用いてもよい。多層構造の具体的な例は特に限定されるものではないが、例えば、内部に有効な反発弾性を有するゴム材料を用いるとともに、表面には摩擦係数の高いゴム材料を用いる等の例を挙げることができる。さらに、上記ゴム材料は公知の添加剤等を添加したものであってもよい。
【0049】
本実施形態では、被回転体として電子写真方式の画像形成装置に用いられる感光体ドラム34を例示しているが、この場合、上記ゴムとしては、耐オゾン性に優れた水素添加ニトリルゴム(水素化ニトリルゴム、H−NBR)を特に好ましく用いることができる。
【0050】
また、上述した例示では、出力ローラ51の表面に環状の弾性材を取り付けた構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図3(b)に示すように、入力ローラ41の表面に弾性環状部材43を取り付けてもよい。さらに図示しないが、出力ローラ51および入力ローラ41の両方の表面にそれぞれ異なる物性(表面摩擦力や弾性等、圧接状態に関与する物性)の弾性環状部材53および弾性環状部材43を取り付けてもよいし、出力ローラ51および入力ローラ41の少なくとも一方が弾性材のみからなっていてもよい。
【0051】
さらに、本発明においては、第1減速機構10および第2減速機構20が常に一対となっているため、入力ローラ41および入力ギヤ42、並びに、出力ローラ51および出力ギヤ52の少なくとも一方が一体となって形成されてもよい。例えば、図3(c)に示すように、図3(a)(b)における入力ローラ41および入力ギヤ42が一体となって、入力回転伝達体44となっているとともに、出力ローラ51および出力ギヤ52が一体となって、出力回転伝達体54となっていてもよい。
【0052】
なお、本発明においては、ローラ表面を弾性材で形成する場合、図3(a)や図3(c)に示すように、出力ローラ52または出力回転伝達体54のローラ部分の外周に弾性環状部材53を設けることがより好ましい。通常、入力ローラ42よりも出力ローラ52の方がその直径が大きいため、大きな直径の出力ローラ52のローラ表面をゴム等の弾性材とすれば、弾性材に対する使用頻度(繰り返し応力)を軽減できる。そのため、ローラの長寿命化を図ることが可能となる。
【0053】
このように、本発明では、互いに平行配置される複数の回転軸(入力軸32および出力軸33)を備える減速機構において、複数の上記回転軸に、当該回転軸を回転中心とする回転伝達部材(入力ローラ41、入力ギヤ42、出力ローラ51、出力ギヤ52、入力回転伝達体44、出力回転伝達体54)を設けており、上記回転伝達部材は、一対の回転軸の間で互いに回転可能に接触することで、一方の回転軸からの回転駆動力を、回転速度を減速させて他方の回転軸に伝達する減速機構となっており、本実施形態では、第1減速機構10および第2減速機構20の2つが設けられている。
【0054】
上記これら2つの減速機構による回転速度の減速比は互いに異なるように設定されており、かつ、最大の減速比が設定されている減速機構(第2減速機構20)ではない減速機構(第1減速機構10)では、互いに接触する回転伝達部材同士がすべりながら回転可能となって、ブレーキ力を発生している状態になっている。これにより、ギアの噛合いが確実なものとできるので、ギヤの噛合い音が軽減され、回転駆動装置の動作音をより小さくすることが可能となるとともに、ギヤの噛合いに起因する、出力軸の回転変動や騒音の発生を軽減することができる。
【0055】
なお、本発明においては、減速機構は2つ以上設けられても本発明を実現できることは言うまでも無い。さらに、本発明においては、前述したように、上記第1減速機構による回転速度の減速比が上記第2減速機構による回転速度の減速比とは異なるように、互いの減速比が設定されていればよく、必ずしも本実施の形態のように、上記第1減速機構による回転速度の減速比が上記第2減速機構による回転速度の減速比よりも大きくなっていなくてもよい。本発明では、2つの減速機構を並列配置させ、かつ、これらの減速比を異ならせることによって、入力軸からの回転速度を精度よく、かつ、確実に伝達できるようにするものであればよい。
【0056】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図4〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、前記実施の形態1にて説明した構成要素と実質的に同一の構成要素、あるいは、その機能や作用が事実上同一の構成要素については、前記実施の形態1と同一の部材番号を付与した上で、その詳細な説明は省略する。
【0057】
前記実施の形態1では、1本の入力軸32に対して、出力軸33も1本設けられている構成の回転駆動装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本の入力軸32に対して、出力軸33が複数本設けられてもよい。
【0058】
具体的には、例えば、図4に示すように、1つの入力軸32に対して、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bが設けられており、各出力軸33a・33bと上記入力軸32との間には、実施の形態1で説明した第1減速機構10および第2減速機構20が設けられている。図4に示す例では、第1出力軸33aには第1出力ローラ51aおよび第1出力ギヤ52aが設けられており、第2出力軸33bには、第2出力ローラ51bおよび第2出力ギヤ52bが設けられている。
【0059】
上記各ローラおよびギヤのうち、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51bには、入力軸32に設けられる入力ローラ41が圧接している。そして入力軸32により回転駆動する入力ローラ41のトラクション力によって、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51bが従動し、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bに入力軸32からの回転駆動力が伝達される。したがって、入力ローラ41および第1出力ローラ51aによって、入力軸32−第1出力軸33a間の第1減速機構10が形成されるとともに、入力ローラ41および第2出力ローラ51bによって、入力軸32−第2出力軸33b間の第1減速機構10が形成される。
【0060】
さらに、上記各ローラを位置関係から見れば、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51bの間に入力ローラ41が介在している構成となっている。それゆえ、本実施の形態では、互いに圧接する第1出力ローラ51a、入力ローラ41および第2出力ローラ51bの3つのローラによって第1減速機構10が形成されているということができる。
【0061】
また、上記ローラおよびギヤのうち、第1出力ギヤ52aおよび第2出力ギヤ52bには、入力軸32に設けられる入力ギヤ42が噛合っている。そしてこれらギヤの噛合いにより、入力ギヤ42の回転が第1出力ギヤ52aおよび第2出力ギヤ52bに伝達され、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bに入力軸32からの回転駆動力が伝達される。したがって、入力ギヤ42および第1出力ギヤ52aによって、入力軸32−第1出力軸33a間の第2減速機構20が形成されるとともに、入力ギヤ42および第2出力ギヤ52bによって、入力軸32−第2出力軸33b間の第2減速機構20が形成される。
【0062】
前記実施の形態1で説明したが、本発明においては、出力される回転速度は第1減速機構10を介した方が第2減速機構20を介した方よりも遅くなっているので、第1減速機構10では、入力ローラ41と出力ローラ51aまたは出力ローラ51bとの間ですべりが発生しながらトラクション力により回転駆動が伝達される。その時、ギヤの噛合いによる第2減速機構20は減速回転駆動の「主力」となる一方、トラクション力による第1減速機構10は減速回転駆動の「ブレーキ」となる。
【0063】
これによって、「主力」の第2減速機構20にかかる負荷を安定化するため、前述したように、ギヤの噛合い音を軽減したり、ギヤの噛合いに起因する回転変動を軽減したりできるが、さらに、「主力」の第2減速機構20を第1減速機構10が「ブレーキ」するという二重の伝達系によって回転駆動が伝達されるため、本実施の形態にて例示するように、1本の入力軸32に対して、複数の出力軸33(第1出力軸33aおよび第2出力軸33b)を設けても、確実かつ精度よく、モータ31による回転駆動力を出力することができる。
【0064】
また、1本の入力軸32で複数の出力軸を回転駆動できるということは、複数の出力軸の数に合わせてモータ31を複数設ける必要がなくなるので、回転駆動装置(または減速装置)の構成を小型化することが可能になるとともに、モータ31の制御回路(ドライバ)を増やす必要もなくなるので、回転駆動装置(または減速装置)の製造コストを低減することも可能となる。
【0065】
ここで、本実施の形態のように、1本の入力軸32に対して2本の第1出力軸33aおよび第2出力軸33bを設ける構成では、第2減速機構20において、図5に示すように、入力ギヤ42に対する第1出力ギヤ52aおよび第2出力ギヤ52bの噛合いに半ピッチの位相差が生じるように、それぞれの第1出力ギヤ52aおよび第2出力ギヤ52bの噛合い状態が設定されていることが好ましい。
【0066】
上記構成では、第1出力軸33a側の第1出力ギヤ52aの噛合いと、第2出力軸33b側の第2出力ギヤ52bの噛合いに対して、ギヤの半ピッチ位相差を持つように構成することになる。それゆえ、2本の出力軸33a・33bの2個の第1出力ギヤ52aまたは第2出力ギヤ52bと入力ギヤ42との噛合い関係において、入力軸32のギヤに加わる噛合いのトルク変動を相殺させることができる。その結果、ギヤの噛合いに起因するトルクの変動をより均質化できるので、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bから出力される回転変動を軽減することができる。
【0067】
なお、本実施の形態においても、図6(a)に示すように、前記実施の形態1と同様に、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51bにおいて、入力ローラ41に接触するローラ表面に弾性環状部材53を取り付けてもよいし、図6(b)に示すように、入力ローラ41の表面に弾性環状部材43を取り付けてもよいし、図示しないが、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51b、並びに入力ローラ41の両方の表面にそれぞれ異なる物性(表面摩擦力や弾性等、圧接状態に関与する物性)の弾性環状部材53・43を取り付けてもよいし、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51b並びに入力ローラ41の少なくとも何れかが弾性材のみからなっていてもよいし、図6(c)に示すように、入力ローラ41および入力ギヤ42が一体となって、入力回転伝達体44となっているとともに、第1出力ローラ51aおよび第1出力ギヤ52aが一体となって、第1出力回転伝達体54aとなり、第2出力ローラ51bおよび第2出力ギヤ52bが一体となって、第2出力回転伝達体54bとなっていてもよい。
【0068】
さらに本実施の形態のように、複数の出力軸を備える構成では、上記第1出力ギヤ52aおよび第2出力ギヤ52bは、全て同一の成形型(金型等)により成形されたものであることが好ましい。加えて、図6(c)に示すように、ローラおよびギヤが一体的に成形された第1出力回転伝達体54aおよび第2出力回転伝達体54bとなっており、これらが同一の成形型により成形されたものであることがより好ましい。
【0069】
上記構成では、減速機構を構成するローラやギヤのうち、相対的に大きな径となる出力側のローラを同一の成形型で成形すれば、第1出力ローラ51aおよび第2出力ローラ51bの一回転周期の回転中心からピッチ点までの距離の変化を、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bの間でほぼ同じにすることが可能となる。さらに、出力側のローラおよびギヤを一体的に成形して第1出力回転伝達体54aおよび第2出力回転伝達体54bのように単一の部材として構成すれば、回転駆動装置(または減速装置)の部品点数を減らせるとともに、組み立て工数の低減も可能となり、製品の製造上好都合とすることが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態では、1本の入力軸に対して2本の出力軸を備える構成を開示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本の入力軸に対して3本以上の出力軸を備える構成であってもよい。また、回転駆動装置または減速装置全体として見た場合、入力軸が複数本備えられており、各入力軸に対して複数本の出力軸が備えられる構成であってもよい。
【0071】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について図7〜図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、前記実施の形態1または2にて説明した構成要素と実質的に同一の構成要素、あるいは、その機能や作用が事実上同一の構成要素については、前記実施の形態1または2と同一の部材番号を付与した上で、その詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施の形態では、前述した上記入力軸32との間で第1減速機構10および第2減速機構20を形成する上記出力軸33(実施の形態1)、第1出力軸33aまたは第2出力軸33b(実施の形態2)を、直接回転駆動力が伝達される「直接出力軸」と位置づけた場合に、さらに、上記入力軸32からの回転駆動力を、上記直接出力軸に設けられる出力ギヤにより間接的に伝達される「間接出力軸」が設けられる構成である。
【0073】
より具体的には、図7に示すように、本実施の形態では、1本の入力軸32に対して、前記実施の形態2と同様に、2本の直接出力軸(第1出力軸33aおよび第2出力軸33b)が設けられており、さらに、間接出力軸としての第3出力軸35が設けられている。この第3出力軸35にも第3出力ギヤ52cが設けられているとともに、この第3出力ギヤ52cと上記第2出力軸33bに設けられる第2出力ギヤ52bとの間には、これら第2出力ギヤ52bおよび第3出力ギヤ52cに噛合うアイドルギヤ(中間ギヤ)62が設けられている。
【0074】
このように、第3出力軸35を備えており、かつ、第3出力軸35を第2出力軸33bに設けられるアイドルギヤ62を介して駆動することによって、1個のモータ31によって3本の出力軸を駆動することが可能となる。その結果、回転駆動装置(または減速装置)をより一層小型化することができる。また、出力軸の本数に合わせてモータ31を増やす必要がないため、モータ31の制御回路(ドライバ)も増やす必要がなくなり、回転駆動装置(または減速装置)の製造コストを低減することも可能となる。
【0075】
なお、上記回転駆動装置においては、第1出力ローラ51a、入力ローラ41、および第2出力ローラ51bによって第1減速機構10が形成されている一方、第1出力ギヤ52a、入力ギヤ42、第2出力ギヤ52b、アイドルギヤ62、および第3出力ギヤ52cによって第2減速機構20が形成されている。
【0076】
さらに本実施の形態では、図8に示すように、第3出力軸35に第3出力ローラ51cが設けられており、さらに、アイドルギヤ62に加えてアイドルローラ(中間ローラ)61a・61bが、アイドルギヤ62に平行配置して設けられてもよい。つまり、本実施の形態では、アイドルギヤ62と同軸で回転可能なアイドルローラ61a・61bを設けることができる。これらアイドルローラ61a・61bのうち、アイドルローラ61aは、図9に示すように、第2出力ローラ51bに接触しており、アイドルローラ61bは、第3出力ローラ51cに接触している。なお、第2出力ローラ51bおよび第3出力ローラ51cは、互いに平行な位置で、かつ、ローラ表面が接触しないように回転軸方向にずれた位置関係となっている。
【0077】
なお、図9に示す構成では、アイドルローラ61aおよびアイドルローラ61bは、一体的に形成されているが、このような構成であれば部材点数を減少させることができるため好ましい。また、第2出力ローラ51bおよび第3出力ローラ51cのローラ表面には、前記実施の形態1および2で例示した弾性環状部材53が設けられているが、このような構成であれば、適切な摩擦力で各ローラ表面が接触しながら回転するため、第2出力ローラ51bからの回転駆動力を第3出力ローラ51cに対してより確実に伝達できるため好ましい。
【0078】
この構成によれば、上記第2出力軸33bの第2出力ローラ51bと上記第3出力軸35の第3出力ローラ51cとは、それぞれアイドルローラ61a・61bに回転可能に接触することによって、上記入力軸32からの回転駆動力が伝達可能となっている。そのため、第3出力軸35に対しては、アイドルギヤ62に加えてアイドルローラ61a・61bによっても第2出力軸33bから回転駆動力が伝達される。その結果、第3出力軸35への回転駆動力の伝達をより一層円滑かつ精度よいものとすることができる。
【0079】
すなわち、図8に示す回転駆動装置においては、第1出力ギヤ52a、入力ギヤ42、第2出力ギヤ52b、アイドルギヤ62、および第3出力ギヤ52cによって第2減速機構20が形成されている点は図7に示す回転駆動装置と同様であるが、第1減速機構10は、第1出力ローラ51a、入力ローラ41、第2出力ローラ51b、アイドルローラ61a・61b、第3出力ローラ51cによって形成されることになる。これら第1減速機構10および上記第2減速機構20のそれぞれ単独で、入力軸32から第3出力軸35に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときには、前記実施の形態1または2で説明した回転駆動装置と同様に、上記第1減速機構10の減速比が上記第2減速機構20の減速比よりも大きくなるように、互いの減速比が設定されていることが好ましい。
【0080】
これによって、第3出力軸35で負荷を駆動した場合に、アイドルローラ61a・61bを介したトラクション伝達系である第1減速機構10においてローラ表面にすべりが発生し、当該第1減速機構10の減速比はギヤ伝達系である第2減速機構20の減速比に一致した状態となる。したがって、ギヤ伝達系のみで負荷を駆動するのではなく、トラクション伝達系でも負荷を分担して駆動することになるので、第1出力軸33aおよび第2出力軸33bだけでなく第3出力軸35に対しても、本発明の減速機構による作用効果を付与することが可能となる。
【0081】
なお、上記第1減速機構10および第2減速機構20においては、第2出力軸33bから第3出力軸35への回転駆動力の伝達に際して回転速度は減速しない。しかしながら、これら連動する複数のローラおよび複数のギヤ全体を見た場合、入力軸32からの回転速度よりも第3出力軸35の回転速度の方が明らかに減速されているので、本実施の形態では、何れも減速機構と称する。また、部分的に見れば減速していない箇所があることを考慮すれば、本実施の形態における上記第1減速機構10および第2減速機構20は、第1伝達機構10および第2伝達機構20と言い換えてもよい。
【0082】
さらに、図示しないが、本実施の形態においても、前記実施の形態2と同様に、第1出力ローラ51a、第2出力ローラ51b、アイドルローラ61a・61b、および第3出力ローラ51cの少なくとも何れか、好ましくは全てのローラにおいて、ローラ表面を摩擦素材、例えば弾性材により形成することが好ましい(図3(a)および図6(a)参照)。また、上記各ローラの少なくとも何れか、好ましくは全てのローラは、ギヤと一体となって形成され、出力回転伝達体となっていることが好ましい(図3(c)および図6(c)参照)。
【0083】
また、本実施の形態では、図8、図9、および図10(a)に示すように、第2出力ローラ51bがアイドルローラ61a(図中破線で図示)に接触しているとともに、第3出力ローラ51cがアイドルローラ61b(図中実線で図示)に接触しており、第2出力ギヤ52bおよび第3出力ギヤ52cの間に、アイドルギヤ62が介在して噛合っているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、図10(b)に示すように、さらにアイドルローラ61cが設けられていてもよい。
【0084】
図10(b)に示す構成では、第2出力軸33bおよび第3出力軸35を結ぶ直線を基準として、アイドルローラ61a・61bおよびアイドルギヤ62の設けられる位置とは線対称となる位置に、アイドルローラ61cが設けられている。このように、第2出力ローラ51bおよび第3出力ローラ51cの間を介在する中間ローラを追加することによって、直接出力軸(第2出力軸33b)から間接出力軸(第3出力軸35)により確実かつ精度よく回転駆動力を伝達することが可能となる。
【0085】
なお、アイドルローラ61cの構成は特に限定されるものではなく、上記アイドルローラ61a・61bのように、互いに配置位置のずれている第2出力ローラ51bおよび第3出力ローラ51cに対応するように、2つのローラが隣接配置した構成となっていてもよい(図9参照)し、幅の広い単一のローラとなって互いに配置位置のずれている第2出力ローラ51bおよび第3出力ローラ51cに接触できるようになっていてもよい。
【0086】
さらに、本実施の形態では、少なくとも第1出力ギヤ52a、第2出力ギヤ52bおよび第3出力ギヤ52cについて、同一の成形型で成形されたギヤを用いるとともに、成形時には、使用する成形型のキャビティにおいてギヤの回転位相の基準位置が分かるようになっていることが好ましい。
【0087】
本実施の形態で例示する図7、図8または図11に示す構成では、ギヤのみについて注目すれば、複数のギヤが互いに噛合って連動するギヤ列を形成していることになる。ここで、ギヤにおいても、成形時の微妙な形状の違いから回転時に位相差が生じる。ギアの歯の形状のばらつきや偏心によるピッチ半径のばらつきによって各ギアの周速に差が生じる。そこで、本実施の形態では、特に、感光体ドラムの回転駆動に直接寄与する3つの出力ギヤ(第1出力ギヤ52a、第2出力ギヤ52b、および第3出力ギヤ52c)について、全て同一の成形型により成形するとともに、互いの噛合位置を合わせて、一つのギヤ列を形成するように組み込むことが非常に好ましい。
【0088】
より具体的には、例えば、図11に示すように、第1出力ギヤ52a、第2出力ギヤ52bおよび第3出力ギヤ52cの表面において三角形のマーク55が形成されるように、キャビティに加工が施されている例を挙げることができる。これによって、回転駆動装置として上記第1出力ギヤ52a、第2出力ギヤ52bおよび第3出力ギヤ52cをギヤ列として組み込む際に、図11に示すように、マーク55を基準にして、これら第1出力ギヤ52a、第2出力ギヤ52b、および第3出力ギヤ52cの噛合位置を合わせることができる。そのため、第1出力軸33a、第2出力軸33b、第3出力軸35の出力軸―回転周期における周速の変動を同期させ、各出力軸間の相対速度を少なくする。
【0089】
なお、上記マーク55の形状は図11に示すような三角形に限定されるものではなく、どのような形状であってもよいが、位相を合わせやすくするためにも、成形型のキャビティの基準位置が明確となるような三角形や矢印やそれに順ずるような方向を明確にできる形状であることが好ましい。また、マークの形成方法も特に限定されるものではなく、ギヤ表面に対して凸状となっていてもよいし凹状となっていてもよい。あるいは、安定的にマーク55を形成することができるのであれば、成形後にギヤ表面にシールを貼ったり塗装したりすることでマーキングしてもかまわない。
【0090】
さらに、上記の位相合わせは、ギヤとローラとが互いに独立した部品となっている場合には、ローラについても上記ギヤと同様の位相合わせをすることが好ましいが、ギヤとローラとが一体化した出力回転伝達体(図3(c)および図6(c)参照)となっていれば、ギヤの部分で噛合位置合わせを行うことのみで、ローラの部分の接触位置合わせも同時に行うことができるため、特に好ましい。
【0091】
さらに、上述した例では、第3出力軸35は、アイドルギヤ61a、61b、61c等を介して第2出力軸33bから回転駆動力の伝達を受けていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1出力軸33aから回転駆動力の伝達を受けるようになっていてもよい。
【0092】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、前記実施の形態1ないし3にて説明した構成要素と実質的に同一の構成要素、あるいは、その機能や作用が事実上同一の構成要素については、前記実施の形態1ないし3の何れかと同一の部材番号を付与した上で、その詳細な説明は省略する。
【0093】
本発明に係る回転駆動装置(または減速装置)の利用分野は特に限定されるものではなく、さまざまな技術分野に応用することができるが、特に好ましい利用分野としては、電子写真方式の画像形成装置を挙げることができる。
【0094】
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置は、前記実施の形態1ないし3の何れかで説明した回転駆動装置を、感光体ドラムの回転駆動手段として備えている。電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムの表面に露光装置によって静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着させることによって、感光体ドラム表面にトナー像を形成する。このトナー像を直接、紙等の記録媒体に転写して定着させるか、または中間転写媒体に転写してから記録媒体に転写して定着させるかによって、画像を記録媒体上に形成する。
【0095】
ここで、一般的な画像形成装置では、トナーの色は黒色のみであるが、カラー画像形成装置では、複数の有彩色のトナーが用いられる。したがって、複数色の画像を形成する画像形成装置においては、各色に対応させて複数の感光体ドラムを備える必要があり、一般的なカラー画像形成装置では、例えば、図12に示すように、黒のトナー像を形成する黒色像用感光体ドラム34Kが1つと、有彩色のトナー像を形成する有彩色像用感光体ドラムとして、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色のトナー像を形成するイエロー像用感光体ドラム34Y、マゼンタ像用感光体ドラム34M、およびシアン像用感光体ドラム34Cの3つの感光体ドラムが設けられる。
【0096】
本実施の形態では、例えば、黒色像用感光体ドラム34Kを回転駆動するために、前記実施の形態1で説明した、1本の入力軸32に対して1本の出力軸33を備える回転駆動装置を用いるとともに、イエロー像用感光体ドラム34Y、マゼンタ像用感光体ドラム34M、およびシアン像用感光体ドラム34Cの3つの感光体ドラムを回転駆動するために、前記実施の形態3で説明した、1本の入力軸32に対して3本の出力軸(第1出力軸33a、第2出力軸33b、第3出力軸33c)を備える回転駆動装置を用いる構成を挙げることができる。なお、図12に示すような、複数の感光体ドラムが連続して設けられている画像形成装置を、一般に、タンデム型カラー画像形成装置と称する。
【0097】
上記カラー画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の4色のトナー像を形成して重ね合わせることによりカラー画像を形成する。そのため、各色のトナー像の重ね合わせがずれると、記録媒体上に形成される画像の質が低下する。このトナー像の色ずれは、感光体ドラムの回転駆動の質に大きく影響を受ける。
【0098】
そこで、本実施の形態では、少なくとも、3つの有彩色像用感光体ドラム34Y、34Mおよび34Cの回転駆動に、前記実施の形態3で説明した、単一の駆動源(モータ31)によって回転駆動する回転駆動装置を用いる。これによって、モータ31を3つ設ける必要がなくなるので、回転駆動力を大きくするため大きなモータ31を用いたとしても、画像形成装置そのものを小型化できるとともに、モータ31の制御回路であるドライバ12を増加させる必要がなくなるので、画像形成装置を安価で製造することが可能となる。
【0099】
さらに、ギヤおよびローラを一体化して同一の成形型で成形し、位相を合わせて組み立てれば(図11参照)、3つの感光体ドラムの間で一回転周期の回転変動をほぼ同様のレベルまで近づけることができる。その結果、各感光体ドラムの間で回転の速度の差を大幅に低減できるため、各トナー像の重ね合わせに際しても、色ずれを有効に回避することができる。
【0100】
また、黒色像用感光体ドラム34Kの回転駆動にも、前記実施の形態1で説明した回転駆動装置を用いれば、画像形成装置全体において、ギヤの噛合い音を軽減することができるので、画像形成動作のより一層の静音化を図ることができる。さらに、ギヤの噛合いに起因する黒色像用感光体ドラムドラム34Kの回転変動を軽減できるので、有彩色のトナー像との重ね合わせに際しても、色ずれをより一層有効に回避することができる。
【0101】
加えて、3つの有彩色像用感光体ドラムについては、その順序は特に限定されるものではないが、比較的目立ちやすい色であるシアンおよびマゼンタのトナー像を形成するシアン像用感光体ドラムおよびマゼンタ像用感光体ドラムについては、直接出力軸である前記第1出力軸33aおよび第2出力軸33bで回転させるとともに、間接出力軸である第3出力軸35は、イエロー像用感光体ドラムを回転させることが好ましい。直接出力軸に比べて間接出力軸で感光体ドラムを回転させると、状況によっては形成される画像に色むらが生じる可能性があるが、イエロー像用感光体ドラムを間接出力軸に割り当てることによって、もし色むらが生じてもわかりにくくなるため、画像形成装置の設計上好都合となるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明は、単一の駆動源からの回転駆動力を、トラクション伝達系である第1減速機構とギヤ伝達系である第2減速機構との両方で出力軸に伝達するようになっており、回転駆動の静音化や回転変動の軽減等の優れた作用効果を得ることができる。
【0103】
それゆえ、本発明は、減速を伴う回転駆動を要する各種機械やその部品を製造する分野に幅広く応用することができ、特に、電子写真方式のカラー画像形成装置の分野に好ましく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転駆動装置の模式的な構造を示す構成図である。
【図2】図1に示す回転駆動装置の要部の構成例を示す部分斜視図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図2に示す回転駆動装置の入出力ローラおよび入出力ギヤの構造例を模式的に示す部分断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る回転駆動装置の要部の構成例を示す部分斜視図である。
【図5】図4に示す回転駆動装置における入力ギヤおよび出力ギヤの噛合いの状態を模式的に示す部分平面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、図4に示す回転駆動装置の入出力ローラおよび入出力ギヤの構造例を模式的に示す部分断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係る回転駆動装置の要部の構成例を示す部分斜視図である。
【図8】図7に示す回転駆動装置の他の構成例を示す部分斜視図である。
【図9】図8に示す回転駆動装置におけるアイドルローラと出力ローラとの接触状態の一例を模式的に示す部分断面図である。
【図10】(a)および(b)は、図8に示す回転駆動装置におけるアイドルローラと出力ローラとの接触状態の一例を模式的に示す平面図である。
【図11】図7に示す回転駆動装置のさらに他の構成例を示す部分斜視図である。
【図12】本発明のさらに他の形態に係る画像形成装置の要部の構成を模式的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
10 第1減速機構(減速機構)
20 第2減速機構(減速機構)
31 モータ(駆動源)
32 入力軸(回転軸)
33 出力軸(直接出力軸、回転軸)
33a 第1出力軸(直接出力軸、回転軸)
33b 第2出力軸(直接出力軸、回転軸)
33c 第3出力軸(間接出力軸、回転軸)
34 感光体ドラム(被回転体)
34K 黒色像用感光体ドラム
34Y イエロー像用感光体ドラム(有彩色像用感光体ドラム)
34M マゼンタ像用感光体ドラム(有彩色像用感光体ドラム)
34C シアン像用感光体ドラム(有彩色像用感光体ドラム)
41 入力ローラ(回転伝達部材)
42 入力ギヤ(回転伝達部材)
43 弾性環状部材
44 入力回転伝達体(回転伝達部材)
51 出力ローラ(回転伝達部材)
51a 出力ローラ(回転伝達部材)
51b 出力ローラ(回転伝達部材)
51c 出力ローラ(回転伝達部材)
52 出力ギヤ(回転伝達部材)
52a 出力ギヤ(回転伝達部材)
52b 出力ギヤ(回転伝達部材)
52c 出力ギヤ(回転伝達部材)
53 弾性環状部材
54 出力回転伝達体(回転伝達部材)
61a アイドルローラ(中間ローラ)
61b アイドルローラ(中間ローラ)
61c アイドルローラ(中間ローラ)
62 アイドルギヤ(中間ギヤ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行配置される入力軸および出力軸を備える減速機構を含む回転駆動装置であって、
上記入力軸には、当該入力軸を回転中心とする入力ローラおよび入力ギヤが設けられているとともに、
上記出力軸には、当該出力軸を回転中心とする出力ローラおよび出力ギヤが設けられており、
上記入力ローラおよび上記出力ローラは互いに回転可能に接触して、上記入力軸から上記出力軸に対して回転駆動力を伝達する第1減速機構を形成するとともに、
上記入力ギヤおよび上記出力ギヤは互いに回転可能に噛合って、上記入力軸から上記出力軸に対して回転駆動力を伝達する第2減速機構を形成しており、
さらに、上記第1減速機構および上記第2減速機構のそれぞれ単独で、入力軸から出力軸に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときに、上記第1減速機構による回転速度の減速比が上記第2減速機構による回転速度の減速比とは異なるように、互いの減速比が設定されていることを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
上記第1減速機構による回転速度の減速比は、上記第2減速機構による回転速度の減速比よりも大きくなるように、上記第1減速機構および第2減速機構の減速比が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項3】
1つの上記入力軸に対して、上記出力軸が複数設けられており、
各出力軸と1つの上記入力軸との間には、上記第1減速機構および第2減速機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転駆動装置。
【請求項4】
上記複数の出力軸の第2減速機構では、出力ギヤの噛合いに半ピッチの位相差が生じるように、それぞれの出力ギヤの噛合い状態が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の回転駆動装置。
【請求項5】
上記入力軸との間で第1減速機構および第2減速機構を形成する上記出力軸を、直接回転駆動力が伝達される直接出力軸とした場合に、
さらに、上記入力軸からの回転駆動力が、上記直接出力軸に設けられる出力ギヤより間接的に伝達される間接出力軸が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の回転駆動装置。
【請求項6】
上記間接出力軸にも上記出力ギヤが設けられているとともに、
当該間接出力軸の出力ギヤと上記直接出力軸の出力ギヤとの間には、これら出力ギヤに噛合うアイドルギヤが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の回転駆動装置。
【請求項7】
上記間接出力軸には、さらに出力ローラも設けられており、かつ、アイドルギヤに加えてアイドルローラも設けられており、
上記直接出力軸の出力ローラと上記間接出力軸の出力ローラとは、それぞれアイドルローラに回転可能に接触することによって、上記入力軸からの回転駆動力が伝達可能となっていることを特徴とする請求項6に記載の回転駆動装置。
【請求項8】
上記直接出力軸の出力ローラ、アイドルローラ、および上記間接出力軸の出力ローラを含む減速機構を第1減速機構とし、上記直接出力軸の出力ギヤ、アイドルギヤ、および上記間接出力軸の出力ギヤを含む減速機構を第2減速機構とした場合、
上記第1減速機構および上記第2減速機構のそれぞれ単独で、入力軸から出力軸に対して回転駆動力を伝達する条件下で比較したときに、上記第1減速機構の減速比が上記第2減速機構の減速比よりも大きくなるように、互いの減速比が設定されていることを特徴とする請求項7に記載の回転駆動装置。
【請求項9】
上記出力ローラおよび出力ギヤが一体となって形成されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の回転駆動装置。
【請求項10】
上記複数の出力軸に設けられる出力ギヤは、全て同一の成形型により成形されたものであることを特徴とする請求項3ないし9の何れか1項に記載の回転駆動装置。
【請求項11】
全て同一の成形型により成形された上記出力ギヤは、互いの噛合い部分のピッチ半径が揃うように位置合わせして組み込まれたギヤ列を形成していることを特徴とする請求項10に記載の回転駆動装置。
【請求項12】
上記出力ローラは、当該出力ローラ本体に対して、少なくとも弾性材から形成される弾性環状部材を取り付けることによって、他のローラと接触する表面を弾性材により形成することを特徴とする請求項1ないし11の何れか1項に記載の回転駆動装置。
【請求項13】
上記弾性材がゴムであることを特徴とする請求項12に記載の回転駆動装置。
【請求項14】
上記ゴムとして、少なくとも水素化ニトリルゴム(水素添加ニトリルゴム、H−NBR)が用いられることを特徴とする請求項13に記載の回転駆動装置。
【請求項15】
互いに平行配置される複数の回転軸を備える減速装置であって、
複数の上記回転軸には、当該回転軸を回転中心とする回転伝達部材が設けられており、
上記回転伝達部材は、一対の回転軸の間で互いに回転可能に接触することで、一方の回転軸からの回転駆動力を、回転速度を減速させて他方の回転軸に伝達する減速機構となっており、
さらに、当該減速機構は複数設けられているとともに、これら複数の減速機構による回転速度の減速比は互いに異なるように設定されており、かつ、最大の減速比が設定されている減速機構以外の減速機構では、互いに接触する回転伝達部材同士がすべりながら回転可能となっていることを特徴とする減速装置。
【請求項16】
請求項1ないし14の何れか1項に記載の回転駆動装置、または、請求項15に記載の減速装置を含む回転駆動装置を、感光体ドラムの回転駆動手段として備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
感光体ドラムを複数備えており、各感光体ドラムは、それぞれ異なる色のトナー像を形成することを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
上記複数の感光体ドラムには、黒のトナー像を形成する黒色像用感光体ドラムと、有彩色のトナー像を形成する有彩色像用感光体ドラムとが含まれているとともに、
上記有彩色像用感光体ドラムは複数備えられており、かつ、上記回転駆動手段により単一の駆動源によって回転駆動されることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
上記有彩色像用感光体ドラムとして、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色のトナー像を形成する3つの感光体ドラムが設けられることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−257202(P2008−257202A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35312(P2008−35312)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000107147)日本電産シンポ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】