囲炉裏装置
【課題】通常のビル等の建築物内にも設置可能で灰等の廃棄も容易で室内を汚すことなく廃棄作業ができ室内の換気にも優れている囲炉裏装置を提供する。
【解決手段】炉室部10は炉となる内箱10aと砂詰め緩衝体となる外箱10bを有し、内箱10aには中段に網体11を横架し、その下面には通気管12を、上方には排気管13を配設する。通気管12及び排気管13は炉室部10の後面から突出し、内壁6を挿通する空気供給管15と燃焼ガス排出管16と夫々挿脱可能に連結する。このため内壁6の近傍に管接続手段を設ける。炉室部10の下面には移動するための車輪が取り付けられ出入口8を通って通路7への引き出しを可能とする。管接続手段は炉室部10が移動する際には開放し固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【解決手段】炉室部10は炉となる内箱10aと砂詰め緩衝体となる外箱10bを有し、内箱10aには中段に網体11を横架し、その下面には通気管12を、上方には排気管13を配設する。通気管12及び排気管13は炉室部10の後面から突出し、内壁6を挿通する空気供給管15と燃焼ガス排出管16と夫々挿脱可能に連結する。このため内壁6の近傍に管接続手段を設ける。炉室部10の下面には移動するための車輪が取り付けられ出入口8を通って通路7への引き出しを可能とする。管接続手段は炉室部10が移動する際には開放し固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲食店等で炉端焼きを提供する際に好適な囲炉裏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炉端焼きは囲炉裏中央で燃焼させる炭火等の周囲に魚等の食材を置いてこれを焼いたり、あるいは炭火等に鍋をかけて客に供給する方式であり、囲炉裏が伝統的な日本の家屋の雰囲気を醸し出している。
【0003】
囲炉裏は、床の一部を四角に区切って凹部を形成し、その内部に灰を敷き詰め、その中で炭や薪を燃焼させるという本来は暖房装置を兼ねた調理装置であって、もともと開放された日本家屋で使用されたものであり、通気排気は自然の換気に頼るものであった。
【0004】
現在の閉鎖された建築物内では、このような自然換気は不可能であるため、囲炉裏を設置する場合には強制的な通気排気装置を備えることが必須になる。
【0005】
このような通気排気装置を備える囲炉裏装置としては、例えば特許文献1に記載されるような構造があった。
【特許文献1】特開平5−203152号公報特許文献1に記載される囲炉裏装置は、床に設置する炉ユニットの上方に換気フードが設置される囲炉裏装置であって、炉ユニットおよび換気フードには、夫々、床下および天井裏に配設された吸気用の換気ダクトおよび排気用の換気ダクトが連結されているとともに、空気(吸気)および排気の流量を調整する空気量調整手段および排気量調整手段が設けられていた。また、換気フードは、昇降手段によって昇降させることができるようになっていた。
【0006】
炉ユニットは、薪を焼べる炉となる炉室部と、該炉室部に空気を供給する通気路と、空気量調整手段とが一体化されてユニットとなっているもので、その外周部分をアングル材などを介して床に支持させることにより設置されていた。
【0007】
炉室部は底壁となる炉床壁とその周囲を囲む側壁とから構成されていて、これらは耐火性に優れた材質で作られていた。炉床壁には通気孔が設けられており、これに通気路が接続し、この通気路は換気ダクト連結口として側壁に開口していた。更に換気ダクト連結口には、建物の外部に連通接続する換気ダクトが設置されていた。
【0008】
このように従来の囲炉裏装置は、炉室部に空気を供給する通気路と空気量調整手段を設けたので、炉室部内に十分な量の酸素が供給され不完全燃焼を防ぐことができる。また、炉ユニットの上方に、昇降手段と、排気量調整手段とが設けられた換気フードが設置されるため、換気フードを下降させて炉室部を塞ぐとともに、排気量調整手段および空気量調整手段を操作して排気および空気の流通を遮断することにより、炉室部を密閉することができ、炉室部に酸素が供給されなくなるので、迅速且つ確実に消火することができ、消火作業性が著しく向上するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
囲炉裏は、薪等の燃料を燃やす炉室部を床下に凹設固定するものであったため、溜まった燃え滓等を廃棄する場合、床面上方から取出作業をしなければならず室内に灰等が散乱して汚れる恐れがあった。このため、特許文献1に記載される従来の囲炉裏装置では炉床壁に開設する通気孔にがらりを設置し、灰を廃棄する場合には通気路内に落とし、建物外部に設ける換気口から掻き出し棒などを用いて掻き出していた。
【0010】
しかし、建物外部から狭い換気ダクトを通して灰を掻き出すことは困難であり、ビル等の建築物では設置することも不可能であった。
【0011】
この発明は、従来の囲炉裏装置が有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、通常のビル等の建築物内にも設置可能で、灰等の廃棄も容易で、かつ室内を汚すことなく廃棄作業ができ、室内の換気にも優れている囲炉裏装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の囲炉裏装置は、床に開設する開口部の床下に設ける内壁と、この内壁を立設する土間と、これら内壁及び土間で仕切られる空間内に収納設置する炉室部と、この炉室部内に外部からの空気を供給する通気手段と、炉室部で発生する煙等の燃焼ガスを排気する排気手段を備える囲炉裏装置において、前記炉室部は、前記土間面を移動するための移動手段と、炭等の燃焼体を載置するため中段に横架する網体と、この網体下面に配設する通気管と、網体の上方周囲に配設する排気管を備える筐体であって、前記内壁は、一面にこの筐体の出入口を開設し、対向する他面には通気手段として外部に連通する空気供給管と排気手段として外部に連通する燃焼ガス排出管とを挿通し、前記通気管を前記空気供給管に対して、前記排気管を前記燃焼ガス排出管に対して夫々挿脱可能に連結する管接続手段を設けることを特徴とするものである。
【0013】
移動手段は筐体下面に車輪等の転動部材を取り付けたり、あるいはスライド可能な橇部材や低摩擦部材を設けたりして出入口方向への筐体の前後移動を可能とする周知の移動手段が広く適用可能である。
【0014】
網体の下面には、空間を設けて灰落とし部を形成する。網体の上面には炭、薪等が載置燃焼し得る空間を設け、その上側に排気管を周設する。排気管は煙等の燃焼ガスが室内に拡散しないよう、適宜間隔で吸気口を設置する。
【0015】
空気供給管には吸気ファン、燃焼ガス排出管には排気ファンを取り付け適宜運転作動する。
【0016】
管接続手段は、筐体を移動する際には開放し、燃焼時には接続して固定し得るもので、固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【0017】
筐体の出入口となる内壁部分は、例えば土間と同一高さに設ける通路からの立上り面とする。この場合、炉室部における燃焼体の設置及び火起し、あるいは廃棄物の取出・撤去は通路にて行なう。
【0018】
請求項2記載の囲炉裏装置の炉室部は、前記網体を載置する中箱と、その周囲に設ける緩衝帯を有し、前記出入口側とこれに繋がる両側の緩衝体には砂を充填することを特徴とするものである。
【0019】
筐体は二重箱構造とし、炉は内部の箱であって、その周囲の砂詰め部分は耐火部材を構成すると共に串刺しの魚・野菜等を差し込みながら焼くエリアとする。
【0020】
請求項3記載の囲炉裏装置の管接続手段は、炉室部より突設する通気管及び排気管の夫々端部に設ける縮径部と、この縮径部の始端である通常径部の端部に夫々周設する前鍔体と、前記対向する内壁より突設する空気供給管と燃焼ガス排出管の端部に夫々周設する後鍔体と、炉室部が移動して前記縮径部を夫々の管に挿入する時当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有することを特徴とするものである。
【0021】
夫々の通常径部は、空気供給管あるいは燃焼ガス排出管の端部と同一径であり、夫々の前鍔体と後鍔体も同一径である。梃子部材は、例えば相互に回動して接離可能な一対の鋏状部材を内壁に近接して設けるものであって、鋏状部材の回動中心の上下に対向する円弧状部材を固着し、この円弧状部材の内面には当接した前鍔体・後鍔体の側面に嵌合する溝を形成するもので、鋏状部材を閉じた時に前鍔体及び後鍔体を密着接合し固定し得る構成とする。
【0022】
鋏状部材を開放すると、円弧状部材は前鍔体及び後鍔体の外方に離れるので、筐体の移動が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の囲炉裏装置は、炉室部に移動手段と通気管及び排気管を備え、内壁に出入口を開設すると共に外部に連通する空気供給管及び燃焼ガス排出管に対して挿脱可能に連結する管接続手段を設けるので、通常のビル等の建築物内にも設置可能で、灰等の廃棄も容易で、かつ室内を汚すことなく廃棄作業ができ、室内の換気にも優れている。
【0024】
請求項2記載の囲炉裏装置は、炉室部の緩衝体に砂を充填するので、耐火構造が強化されると共に串刺しの魚・野菜等を差し込むエリアができ、囲炉裏の雰囲気が醸し出される。
【0025】
請求項3記載の囲炉裏装置は、管接続手段として通気管及び排気管に縮径部と前鍔体を、空気供給管と燃焼ガス排出管に後鍔体を夫々設け、当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有するので、前鍔体及び後鍔体を密着接合し固定することができ、吸気・排気の漏れがない。又梃子部材を開放することで炉室部である筐体の移動が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は囲炉裏装置の平面図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。囲炉裏装置1は、床2に炉縁3を周設する開口部4を開設し、この床2の下面には土間5及び内壁6を設ける。土間5は通路7と同一高さであって、通路側の内壁6には出入口8を開設すると共に上がり框9を設ける。内壁6及び土間5で仕切られた空間内には筐体からなる炉室部10を収納設置する。
【0027】
この炉室部の詳細を図3乃至図6に基づき説明する。図3は炉室部の正面図、図4は同平面図、図5は同左側面図、図6は同右側面図である。炉室部10は、二重箱構造で内箱10aを炉とし、その周囲の外箱10bは図1に示すように砂10cを詰める緩衝体とする。この部分は炉壁としての耐火部材を構成すると共に串刺しの魚・野菜等を差し込みながら焼くエリアとなる。
【0028】
外箱10bの前面には前箱部10d、後面には後箱部10eを付設し、前箱部10dには炭等の燃料を保管し、前面に取手10fを取り付ける。
【0029】
内箱10aには炭等の燃焼体Aを載置するため中段に網体11を横架し、網体下面には通気管12を配設し、網体上方周囲には排気管13を配設する。網体下面には空間を設けて灰落とし部を形成し、排気管13には煙等の燃焼ガスが室内に拡散しないよう吸気口を設置する。通気管12及び排気管13は内箱10aから後箱部10eに導かれ、その後面から平行に突出する。
【0030】
突出する通気管12及び排気管13の端部には夫々縮径部12a,13aを設け、これら縮径部12a,13aの始端である通常径部12b,13bの端部には夫々前鍔体12c,13cを周設する。
【0031】
図1及び図2に示すように、出入口8に対向する内壁6には空気供給管15と燃焼ガス排出管16が挿通しており、通気管12及び排気管13と夫々挿脱可能に連結している。空気供給管15と燃焼ガス排出管16には夫々吸気ファン15a、排気ファン16aが取り付けられており図示しない操作回路を用いて適宜運転作動する。
【0032】
炉室部10の下面には土間5を移動するための車輪14を取り付け出入口8を通って通路7へ引き出し可能とする。炉室部10における燃焼体の設置及び火起し、あるいは灰等の廃棄物の取出・撤去は通路7にて行なう。
【0033】
通気管12と空気供給管15、排気管13と燃焼ガス排出管16を挿脱可能に連結ため管接続手段を設ける。管接続手段の詳細を図7乃至図9に基づき説明する。図7は管接続部の断面図、図8は管接続手段の正面図、図9は管接続部の要部の拡大正面図である。
【0034】
管接続手段17は、通気管12及び排気管13の前鍔体12c,13cと、空気供給管15及び燃焼ガス排出管16の端部に夫々周設する後鍔体15b,16bとが当接する時、その外方から拘持し得る一対の梃子部材17a,17aで、炉室部10を移動する際には開放し、燃焼時には接続して固定し得るもので、固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【0035】
梃子部材17aは、支軸17bを中心にして相互に回動し、接離可能な鋏状部材を内壁6に近接して設けるものであって、鋏状部材の回動中心である支軸17bの上下には対向する円弧状部材1712,1712及び円弧状部材1713,1713を夫々固着する。
【0036】
梃子部材17aの下端には円弧状の案内レール17c、上方には直線状のガイド17d、一方の梃子部材17aの上端近傍には回動可能なハンドル17eを設ける。ハンドル17eには図示しない長孔を形成し、回動時に他方の梃子部材17aを頭部より挿通し下方に引き下げることで両者を近接させる。
【0037】
図7に示すように内壁6の内側には耐火性の仕切板18を立設し、通気管12及び排気管13を遊挿しながら炉室部10に当接して移動のストッパとする。
【0038】
円弧状部材の詳細を図10に基づき説明する。図10は排気管の接続部の拡大断面図である。円弧状部材1713の内面には排気管13の前鍔体13cと燃焼ガス排出管16の後鍔体16bが当接した状態で嵌合する溝1713aを形成する。なお通気管の接続部も同様な構成となる。
【0039】
図9に示すように梃子部材17aを閉じた時には前鍔体13c及び後鍔体16bを密着接合する。又梃子部材17aを開放すると、図10の二点鎖線の位置に円弧状部材1713が移動して前鍔体13c及び後鍔体16bの外方に離れるので、両者を離すことが可能となる。
【0040】
梃子部材開放時の接続部の詳細を図11乃至図13に示す。図11は梃子部材開放時の管接続手段の正面図、図12は同開放時の管接続部の要部の拡大正面図、図13は同開放時の管接続部の断面図である。
【0041】
図11に示すようにハンドル17eを回動して他方の梃子部材17aから離脱すると、図12に示すように円弧状部材1712,1713は夫々の鍔体から離れる。このため図13に示すように筐体を移動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】囲炉裏装置の平面図である。
【図2】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図3】炉室部の正面図である。
【図4】炉室部の平面図である。
【図5】炉室部の左側面図である。
【図6】炉室部の右側面図である。
【図7】管接続部の断面図である。
【図8】管接続手段の正面図である。
【図9】管接続部の要部の拡大正面図である。
【図10】排気管の接続部の拡大断面図である。
【図11】梃子部材開放時の管接続手段の正面図である。
【図12】梃子部材開放時の管接続部の要部の拡大正面図である。
【図13】梃子部材開放時の管接続部の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 囲炉裏装置
2 床
4 開口部
5 土間
6 内壁
7 通路
8 出入口
10 炉室部
11 網体
12 通気管
13 排気管
14 車輪
15 空気供給管
16 燃焼ガス排出管
17 管接続手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲食店等で炉端焼きを提供する際に好適な囲炉裏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炉端焼きは囲炉裏中央で燃焼させる炭火等の周囲に魚等の食材を置いてこれを焼いたり、あるいは炭火等に鍋をかけて客に供給する方式であり、囲炉裏が伝統的な日本の家屋の雰囲気を醸し出している。
【0003】
囲炉裏は、床の一部を四角に区切って凹部を形成し、その内部に灰を敷き詰め、その中で炭や薪を燃焼させるという本来は暖房装置を兼ねた調理装置であって、もともと開放された日本家屋で使用されたものであり、通気排気は自然の換気に頼るものであった。
【0004】
現在の閉鎖された建築物内では、このような自然換気は不可能であるため、囲炉裏を設置する場合には強制的な通気排気装置を備えることが必須になる。
【0005】
このような通気排気装置を備える囲炉裏装置としては、例えば特許文献1に記載されるような構造があった。
【特許文献1】特開平5−203152号公報特許文献1に記載される囲炉裏装置は、床に設置する炉ユニットの上方に換気フードが設置される囲炉裏装置であって、炉ユニットおよび換気フードには、夫々、床下および天井裏に配設された吸気用の換気ダクトおよび排気用の換気ダクトが連結されているとともに、空気(吸気)および排気の流量を調整する空気量調整手段および排気量調整手段が設けられていた。また、換気フードは、昇降手段によって昇降させることができるようになっていた。
【0006】
炉ユニットは、薪を焼べる炉となる炉室部と、該炉室部に空気を供給する通気路と、空気量調整手段とが一体化されてユニットとなっているもので、その外周部分をアングル材などを介して床に支持させることにより設置されていた。
【0007】
炉室部は底壁となる炉床壁とその周囲を囲む側壁とから構成されていて、これらは耐火性に優れた材質で作られていた。炉床壁には通気孔が設けられており、これに通気路が接続し、この通気路は換気ダクト連結口として側壁に開口していた。更に換気ダクト連結口には、建物の外部に連通接続する換気ダクトが設置されていた。
【0008】
このように従来の囲炉裏装置は、炉室部に空気を供給する通気路と空気量調整手段を設けたので、炉室部内に十分な量の酸素が供給され不完全燃焼を防ぐことができる。また、炉ユニットの上方に、昇降手段と、排気量調整手段とが設けられた換気フードが設置されるため、換気フードを下降させて炉室部を塞ぐとともに、排気量調整手段および空気量調整手段を操作して排気および空気の流通を遮断することにより、炉室部を密閉することができ、炉室部に酸素が供給されなくなるので、迅速且つ確実に消火することができ、消火作業性が著しく向上するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
囲炉裏は、薪等の燃料を燃やす炉室部を床下に凹設固定するものであったため、溜まった燃え滓等を廃棄する場合、床面上方から取出作業をしなければならず室内に灰等が散乱して汚れる恐れがあった。このため、特許文献1に記載される従来の囲炉裏装置では炉床壁に開設する通気孔にがらりを設置し、灰を廃棄する場合には通気路内に落とし、建物外部に設ける換気口から掻き出し棒などを用いて掻き出していた。
【0010】
しかし、建物外部から狭い換気ダクトを通して灰を掻き出すことは困難であり、ビル等の建築物では設置することも不可能であった。
【0011】
この発明は、従来の囲炉裏装置が有する上記の問題点を解消すべくなされたものであり、通常のビル等の建築物内にも設置可能で、灰等の廃棄も容易で、かつ室内を汚すことなく廃棄作業ができ、室内の換気にも優れている囲炉裏装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の囲炉裏装置は、床に開設する開口部の床下に設ける内壁と、この内壁を立設する土間と、これら内壁及び土間で仕切られる空間内に収納設置する炉室部と、この炉室部内に外部からの空気を供給する通気手段と、炉室部で発生する煙等の燃焼ガスを排気する排気手段を備える囲炉裏装置において、前記炉室部は、前記土間面を移動するための移動手段と、炭等の燃焼体を載置するため中段に横架する網体と、この網体下面に配設する通気管と、網体の上方周囲に配設する排気管を備える筐体であって、前記内壁は、一面にこの筐体の出入口を開設し、対向する他面には通気手段として外部に連通する空気供給管と排気手段として外部に連通する燃焼ガス排出管とを挿通し、前記通気管を前記空気供給管に対して、前記排気管を前記燃焼ガス排出管に対して夫々挿脱可能に連結する管接続手段を設けることを特徴とするものである。
【0013】
移動手段は筐体下面に車輪等の転動部材を取り付けたり、あるいはスライド可能な橇部材や低摩擦部材を設けたりして出入口方向への筐体の前後移動を可能とする周知の移動手段が広く適用可能である。
【0014】
網体の下面には、空間を設けて灰落とし部を形成する。網体の上面には炭、薪等が載置燃焼し得る空間を設け、その上側に排気管を周設する。排気管は煙等の燃焼ガスが室内に拡散しないよう、適宜間隔で吸気口を設置する。
【0015】
空気供給管には吸気ファン、燃焼ガス排出管には排気ファンを取り付け適宜運転作動する。
【0016】
管接続手段は、筐体を移動する際には開放し、燃焼時には接続して固定し得るもので、固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【0017】
筐体の出入口となる内壁部分は、例えば土間と同一高さに設ける通路からの立上り面とする。この場合、炉室部における燃焼体の設置及び火起し、あるいは廃棄物の取出・撤去は通路にて行なう。
【0018】
請求項2記載の囲炉裏装置の炉室部は、前記網体を載置する中箱と、その周囲に設ける緩衝帯を有し、前記出入口側とこれに繋がる両側の緩衝体には砂を充填することを特徴とするものである。
【0019】
筐体は二重箱構造とし、炉は内部の箱であって、その周囲の砂詰め部分は耐火部材を構成すると共に串刺しの魚・野菜等を差し込みながら焼くエリアとする。
【0020】
請求項3記載の囲炉裏装置の管接続手段は、炉室部より突設する通気管及び排気管の夫々端部に設ける縮径部と、この縮径部の始端である通常径部の端部に夫々周設する前鍔体と、前記対向する内壁より突設する空気供給管と燃焼ガス排出管の端部に夫々周設する後鍔体と、炉室部が移動して前記縮径部を夫々の管に挿入する時当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有することを特徴とするものである。
【0021】
夫々の通常径部は、空気供給管あるいは燃焼ガス排出管の端部と同一径であり、夫々の前鍔体と後鍔体も同一径である。梃子部材は、例えば相互に回動して接離可能な一対の鋏状部材を内壁に近接して設けるものであって、鋏状部材の回動中心の上下に対向する円弧状部材を固着し、この円弧状部材の内面には当接した前鍔体・後鍔体の側面に嵌合する溝を形成するもので、鋏状部材を閉じた時に前鍔体及び後鍔体を密着接合し固定し得る構成とする。
【0022】
鋏状部材を開放すると、円弧状部材は前鍔体及び後鍔体の外方に離れるので、筐体の移動が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の囲炉裏装置は、炉室部に移動手段と通気管及び排気管を備え、内壁に出入口を開設すると共に外部に連通する空気供給管及び燃焼ガス排出管に対して挿脱可能に連結する管接続手段を設けるので、通常のビル等の建築物内にも設置可能で、灰等の廃棄も容易で、かつ室内を汚すことなく廃棄作業ができ、室内の換気にも優れている。
【0024】
請求項2記載の囲炉裏装置は、炉室部の緩衝体に砂を充填するので、耐火構造が強化されると共に串刺しの魚・野菜等を差し込むエリアができ、囲炉裏の雰囲気が醸し出される。
【0025】
請求項3記載の囲炉裏装置は、管接続手段として通気管及び排気管に縮径部と前鍔体を、空気供給管と燃焼ガス排出管に後鍔体を夫々設け、当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有するので、前鍔体及び後鍔体を密着接合し固定することができ、吸気・排気の漏れがない。又梃子部材を開放することで炉室部である筐体の移動が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は囲炉裏装置の平面図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。囲炉裏装置1は、床2に炉縁3を周設する開口部4を開設し、この床2の下面には土間5及び内壁6を設ける。土間5は通路7と同一高さであって、通路側の内壁6には出入口8を開設すると共に上がり框9を設ける。内壁6及び土間5で仕切られた空間内には筐体からなる炉室部10を収納設置する。
【0027】
この炉室部の詳細を図3乃至図6に基づき説明する。図3は炉室部の正面図、図4は同平面図、図5は同左側面図、図6は同右側面図である。炉室部10は、二重箱構造で内箱10aを炉とし、その周囲の外箱10bは図1に示すように砂10cを詰める緩衝体とする。この部分は炉壁としての耐火部材を構成すると共に串刺しの魚・野菜等を差し込みながら焼くエリアとなる。
【0028】
外箱10bの前面には前箱部10d、後面には後箱部10eを付設し、前箱部10dには炭等の燃料を保管し、前面に取手10fを取り付ける。
【0029】
内箱10aには炭等の燃焼体Aを載置するため中段に網体11を横架し、網体下面には通気管12を配設し、網体上方周囲には排気管13を配設する。網体下面には空間を設けて灰落とし部を形成し、排気管13には煙等の燃焼ガスが室内に拡散しないよう吸気口を設置する。通気管12及び排気管13は内箱10aから後箱部10eに導かれ、その後面から平行に突出する。
【0030】
突出する通気管12及び排気管13の端部には夫々縮径部12a,13aを設け、これら縮径部12a,13aの始端である通常径部12b,13bの端部には夫々前鍔体12c,13cを周設する。
【0031】
図1及び図2に示すように、出入口8に対向する内壁6には空気供給管15と燃焼ガス排出管16が挿通しており、通気管12及び排気管13と夫々挿脱可能に連結している。空気供給管15と燃焼ガス排出管16には夫々吸気ファン15a、排気ファン16aが取り付けられており図示しない操作回路を用いて適宜運転作動する。
【0032】
炉室部10の下面には土間5を移動するための車輪14を取り付け出入口8を通って通路7へ引き出し可能とする。炉室部10における燃焼体の設置及び火起し、あるいは灰等の廃棄物の取出・撤去は通路7にて行なう。
【0033】
通気管12と空気供給管15、排気管13と燃焼ガス排出管16を挿脱可能に連結ため管接続手段を設ける。管接続手段の詳細を図7乃至図9に基づき説明する。図7は管接続部の断面図、図8は管接続手段の正面図、図9は管接続部の要部の拡大正面図である。
【0034】
管接続手段17は、通気管12及び排気管13の前鍔体12c,13cと、空気供給管15及び燃焼ガス排出管16の端部に夫々周設する後鍔体15b,16bとが当接する時、その外方から拘持し得る一対の梃子部材17a,17aで、炉室部10を移動する際には開放し、燃焼時には接続して固定し得るもので、固定時には吸気・排気とも漏れがないよう管の接続を緊密にする。
【0035】
梃子部材17aは、支軸17bを中心にして相互に回動し、接離可能な鋏状部材を内壁6に近接して設けるものであって、鋏状部材の回動中心である支軸17bの上下には対向する円弧状部材1712,1712及び円弧状部材1713,1713を夫々固着する。
【0036】
梃子部材17aの下端には円弧状の案内レール17c、上方には直線状のガイド17d、一方の梃子部材17aの上端近傍には回動可能なハンドル17eを設ける。ハンドル17eには図示しない長孔を形成し、回動時に他方の梃子部材17aを頭部より挿通し下方に引き下げることで両者を近接させる。
【0037】
図7に示すように内壁6の内側には耐火性の仕切板18を立設し、通気管12及び排気管13を遊挿しながら炉室部10に当接して移動のストッパとする。
【0038】
円弧状部材の詳細を図10に基づき説明する。図10は排気管の接続部の拡大断面図である。円弧状部材1713の内面には排気管13の前鍔体13cと燃焼ガス排出管16の後鍔体16bが当接した状態で嵌合する溝1713aを形成する。なお通気管の接続部も同様な構成となる。
【0039】
図9に示すように梃子部材17aを閉じた時には前鍔体13c及び後鍔体16bを密着接合する。又梃子部材17aを開放すると、図10の二点鎖線の位置に円弧状部材1713が移動して前鍔体13c及び後鍔体16bの外方に離れるので、両者を離すことが可能となる。
【0040】
梃子部材開放時の接続部の詳細を図11乃至図13に示す。図11は梃子部材開放時の管接続手段の正面図、図12は同開放時の管接続部の要部の拡大正面図、図13は同開放時の管接続部の断面図である。
【0041】
図11に示すようにハンドル17eを回動して他方の梃子部材17aから離脱すると、図12に示すように円弧状部材1712,1713は夫々の鍔体から離れる。このため図13に示すように筐体を移動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】囲炉裏装置の平面図である。
【図2】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図3】炉室部の正面図である。
【図4】炉室部の平面図である。
【図5】炉室部の左側面図である。
【図6】炉室部の右側面図である。
【図7】管接続部の断面図である。
【図8】管接続手段の正面図である。
【図9】管接続部の要部の拡大正面図である。
【図10】排気管の接続部の拡大断面図である。
【図11】梃子部材開放時の管接続手段の正面図である。
【図12】梃子部材開放時の管接続部の要部の拡大正面図である。
【図13】梃子部材開放時の管接続部の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 囲炉裏装置
2 床
4 開口部
5 土間
6 内壁
7 通路
8 出入口
10 炉室部
11 網体
12 通気管
13 排気管
14 車輪
15 空気供給管
16 燃焼ガス排出管
17 管接続手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床に開設する開口部の床下に設ける内壁と、この内壁を立設する土間と、これら内壁及び土間で仕切られる空間内に収納設置する炉室部と、この炉室部内に外部からの空気を供給する通気手段と、炉室部で発生する煙等の燃焼ガスを排気する排気手段を備える囲炉裏装置において、前記炉室部は、前記土間面を移動するための移動手段と、炭等の燃焼体を載置するため中段に横架する網体と、この網体下面に配設する通気管と、網体の上方周囲に配設する排気管を備える筐体であって、前記内壁は、一面にこの筐体の出入口を開設し、対向する他面には通気手段として外部に連通する空気供給管と排気手段として外部に連通する燃焼ガス排出管とを挿通し、前記通気管を前記空気供給管に対して、前記排気管を前記燃焼ガス排出管に対して夫々挿脱可能に連結する管接続手段を設けることを特徴とする囲炉裏装置。
【請求項2】
前記炉室部は、前記網体を載置する中箱と、その周囲に設ける緩衝帯を有し、前記出入口側とこれに繋がる両側の緩衝体には砂を充填することを特徴とする請求項1記載の囲炉裏装置。
【請求項3】
前記管接続手段は、炉室部より突設する通気管及び排気管の夫々端部に設ける縮径部と、この縮径部の始端である通常径部の端部に夫々周設する前鍔体と、前記対向する内壁より突設する空気供給管と燃焼ガス排出管の端部に夫々周設する後鍔体と、炉室部が移動して前記縮径部を夫々の管に挿入する時当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有することを特徴とする請求項1記載の囲炉裏装置。
【請求項1】
床に開設する開口部の床下に設ける内壁と、この内壁を立設する土間と、これら内壁及び土間で仕切られる空間内に収納設置する炉室部と、この炉室部内に外部からの空気を供給する通気手段と、炉室部で発生する煙等の燃焼ガスを排気する排気手段を備える囲炉裏装置において、前記炉室部は、前記土間面を移動するための移動手段と、炭等の燃焼体を載置するため中段に横架する網体と、この網体下面に配設する通気管と、網体の上方周囲に配設する排気管を備える筐体であって、前記内壁は、一面にこの筐体の出入口を開設し、対向する他面には通気手段として外部に連通する空気供給管と排気手段として外部に連通する燃焼ガス排出管とを挿通し、前記通気管を前記空気供給管に対して、前記排気管を前記燃焼ガス排出管に対して夫々挿脱可能に連結する管接続手段を設けることを特徴とする囲炉裏装置。
【請求項2】
前記炉室部は、前記網体を載置する中箱と、その周囲に設ける緩衝帯を有し、前記出入口側とこれに繋がる両側の緩衝体には砂を充填することを特徴とする請求項1記載の囲炉裏装置。
【請求項3】
前記管接続手段は、炉室部より突設する通気管及び排気管の夫々端部に設ける縮径部と、この縮径部の始端である通常径部の端部に夫々周設する前鍔体と、前記対向する内壁より突設する空気供給管と燃焼ガス排出管の端部に夫々周設する後鍔体と、炉室部が移動して前記縮径部を夫々の管に挿入する時当接する前鍔体と後鍔体を外方から拘持し得る梃子部材を有することを特徴とする請求項1記載の囲炉裏装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−172932(P2012−172932A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36586(P2011−36586)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(508348222)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(508348222)
【Fターム(参考)】
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