説明

固体レーザ装置

【課題】大きなエネルギーを持ったレーザを出力することなく且つ高精度に温度チューニングを行う。
【解決手段】温度チューニング中は、まず、第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第三高調波発生素子(5)の温度をスイープして第三高調波発生素子(5)の最適温度Ttpを求める。次に、第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第二高調波発生素子(4)の温度をスイープして第二高調波発生素子(4)の最適温度Tspを求める。
【効果】温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなる。温度チューニング中の出力の変化範囲を大きくすることが出来るため、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体レーザ装置に関し、さらに詳しくは、大きなエネルギーを持ったレーザを出力せずに且つ高精度に温度チューニングを行うことが出来る固体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動的に又は指示されたタイミングで波長変換用光学素子の温度チューニングを行う固体レーザ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−251448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実働中の固体レーザ装置のレーザは大きなエネルギーを持っているが、上記従来の固体レーザ装置では、温度チューニング中に出力されるレーザも実働中と同じように大きなエネルギーを持つものであった。
しかし、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザがレーザ照射対象物あるいはレーザ照射対象物以外の物に不要に照射されてしまうと、それらを破損しかねない問題点があった。
これに対して、半導体レーザの駆動電流を小さくしてしまえば、大きなエネルギーのレーザが出力されることは防げるが、温度チューニング中の出力の変化や駆動電流の変化の範囲が小さくなってしまうため、精度の高い温度チューニングを行うことが困難になる問題点を生じる。
そこで、本発明の目的は、大きなエネルギーを持ったレーザを出力せずに且つ高精度に温度チューニングを行うことが出来る固体レーザ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、励起レーザ光を発生する半導体レーザ(1)と、前記励起レーザ光によって励起され基本波を発生する固体レーザ媒質(2)と、前記固体レーザ媒質(2)を含んで形成される光共振器(20)内に設置され前記光共振器(20)で発振する基本波の第三高調波を発生するための第二高調波発生素子(4)および第三高調波発生素子(5)と、前記第二高調波発生素子(4)の温度を制御するための第1温度制御手段(9s,11s)と、前記第三高調波発生素子(5)の温度を制御するための第2温度制御手段(9t,11t)と、第三高調波出力を検出する第三高調波出力検出手段(7,8)と、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で前記第三高調波発生素子(5)の温度をスイープして最適温度Ttpを求めると共に前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で前記第二高調波発生素子(4)の温度をスイープして最適温度Tspを求める温度チューニング機構(12)とを具備したことを特徴する固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第1の観点による固体レーザ装置(100)では、第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第三高調波発生素子(5)の温度をスイープして最適温度Ttpを求めるので、半導体レーザ(1)の駆動電流が大きくても大きなエネルギーを持ったレーザが出力されることはない。また、第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第二高調波発生素子(4)の温度をスイープして最適温度Tspを求めるので、半導体レーザ(1)の駆動電流が大きくても大きなエネルギーを持ったレーザが出力されることはない。さらに、半導体レーザ(1)の駆動電流を大きくすることが出来るため、温度チューニング中の出力の変化や駆動電流の変化の範囲も大きくなり、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による固体レーザ装置(100)において、前記温度チューニング機構(12)は、一定の駆動電流で前記半導体レーザ(1)を駆動した状態で温度をスイープすることを特徴する固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第2の観点による固体レーザ装置(100)では、半導体レーザ(1)の駆動電流を大きくすることが出来るため、温度チューニング中の出力の変化範囲が大きくなり、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点による固体レーザ装置(100)において、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力の50%以下になるような温度であり、前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであるときの出力が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力の50%以下になるような温度であることを特徴する固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第3の観点による固体レーザ装置(100)では、温度チューニング中の最大出力が、第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力の半分以下になる。
【0008】
第4の観点では、本発明は、前記第1の観点による固体レーザ装置(100)において、前記温度チューニング機構(12)は、一定出力になるように前記半導体レーザ(1)を駆動した状態で温度をスイープすることを特徴する固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第4の観点による固体レーザ装置(100)では、半導体レーザ(1)の駆動電流を大きくすることが出来るため、温度チューニング中の駆動電流の変化範囲が大きくなり、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。
【0009】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による固体レーザ装置(100)において、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流の150%以上になるような温度であり、前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであるときの駆動電流が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流の150%以上になるような温度であることを特徴する固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第5の観点による固体レーザ装置(100)では、温度チューニング中の駆動電流の変化範囲が、第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流の1.5倍以上になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固体レーザ装置によれば、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザパルスがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなるため、それらを破損してしまうような問題を回避できる。また、温度チューニング中の出力の変化や駆動電流の変化の範囲を大きくすることが出来るため、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1及び実施例2に係る固体レーザ装置を示す構成説明図である。
【図2】第二高調波発生素子の温度変化に対する出力変化を示すグラフである。
【図3】第三高調波発生素子の温度変化に対する出力変化を示すグラフである。
【図4】実施例1に係る温度チューニング処理を示すフロー図である。
【図5】実施例2に係る温度チューニング処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0013】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る固体レーザ装置100を示す構成説明図である。
この固体レーザ装置100は、励起レーザ光を発生する半導体レーザ1と、励起レーザ光によって励起され基本波を発生する固体レーザ媒質2と、固体レーザ媒質2を含んで光共振器20を構成するためのミラー3,3と、光共振器20内に設置され光共振器20で発振する基本波の第三高調波を発生するための第二高調波発生素子4および第三高調波発生素子5と、第二高調波発生素子4の温度を制御するための素子温度制御機構9sおよび温調ユニット(ペルチェ素子および温度センサを含む)11sと、第三高調波発生素子5の温度を制御するための素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tと、第三高調波出力の一部を分岐するビームスプリッタ6と、ビームスプリッタ6で分岐された光を受光する光検出器7と、光検出器7での光検出信号を読み出す読出し回路(AD変換回路を含む)8と、半導体レーザ1を駆動するための半導体レーザ駆動機構10と、第二高調波発生素子4の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第三高調波発生素子5の温度をスイープして最適温度Ttpを求めると共に第三高調波発生素子5の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で第二高調波発生素子4の温度をスイープして最適温度Tspを求める温度チューニング機構12とを具備している。
【0014】
素子温度調整機構9s,9tと、半導体レーザ駆動機構10と、温度チューニング機構12とは、CPU30により構成される。
【0015】
図2は、第二高調波発生素子4の温度Tsの変化に対する第三高調波出力の変化を示すグラフである。なお、駆動電流Iは、5Aである。
第三高調波発生素子5の温度Ttが異なっても、出力が最大付近になる第二高調波発生素子4の温度すなわち最適温度Tspは約42℃である。
【0016】
図3は、第三高調波発生素子5の温度Ttの変化に対する第三高調波出力の変化を示すグラフである。なお、駆動電流Iは、5Aである。
第二高調波発生素子4の温度Tsが異なっても、出力が最大付近になる第三高調波発生素子5の温度すなわち最適温度Ttpは約41℃である。
【0017】
図2および図3から次のことが判る。
(1)第二高調波発生素子4を最適温度Tsp=約42℃とし且つ第三高調波発生素子5を最適温度Ttp=約41℃とすると、出力は最大値になる(約125μJ)。
(2)第二高調波発生素子4の温度Tsを例えば30℃にすれば、第三高調波発生素子5を最適温度Ttp=約41℃としても、出力は最大値の半分以下になる(約62μJ)。そして、第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば39℃〜43℃で変化させたときの出力の変化範囲は約40μJ(=62μJ−20μJ)で十分大きく、最適温度Ttpを精度高く検出することが容易である。
(3)第二高調波発生素子4の温度Tsを例えば27℃にすれば、第三高調波発生素子5を最適温度Ttp=約41℃としても、出力は最大値の半分以下になる(約62μJ)。しかし、第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば39℃〜43℃で変化させたときの出力の変化範囲は約20μJ(=30μJ−10μJ)であり、第二高調波発生素子4の温度Tsを例えば30℃にしたときよりも最適温度Ttpを精度高く検出することが難しくなる。
(4)第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば38.5℃にすれば、第二高調波発生素子4を最適温度Tsp=約42℃としても、出力は最大値の半分以下になる(約60μJ)。そして、第二高調波発生素子4の温度Tsを例えば30℃〜50℃で変化させたときの出力の変化範囲は約35μJ(=60μJ−25μJ)で十分大きく、最適温度Tspを精度高く検出することが容易である。
(5)第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば38℃にすれば、第二高調波発生素子4を最適温度Tsp=約42℃としても、出力は最大値の半分以下になる(約30μJ)。しかし、第二高調波発生素子5の温度Tsを例えば30℃〜50℃で変化させたときの出力の変化範囲は約20μJ(=35μJ−15μJ)であり、第三高調波発生素子5の温度Tsを例えば38.5℃にしたときよりも最適温度Tspを精度高く検出することが難しくなる。
【0018】
図4は、実施例1に係る温度チューニング処理を示すフロー図である。
ステップR1では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止する。
【0019】
ステップR2では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを最適温度近傍から外した温度たとえば38.5℃にする。Tt=38.5℃にする理由は前記(4)(5)による。
【0020】
ステップR3では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iを一定値にする。この駆動電流Iの値は、通常稼働時と同程度でもよいし、それよりも小さくしてもよい。但し、小さくし過ぎると、第二高調波発生素子4の温度Tsを変化させたときの出力の変化範囲や第三高調波発生素子5の温度Ttを変化させたときの出力の変化範囲が小さくなって、最適温度TspやTtpを精度高く検出することが難しくなるので、あまり小さくしない方がよい。
【0021】
ステップR4では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子5の温度Tsを例えば30℃〜50℃で変化させて、出力がピークになる最適温度Tspを検出して記憶する。
【0022】
ステップR5では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止する。
【0023】
ステップR6では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子4の温度Tsを最適温度近傍から外した温度たとえば30℃にする。Ts=30℃にする理由は前記(2)(3)による。
【0024】
ステップR7では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iを一定値にする。
【0025】
ステップR8では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば39℃〜43℃で変化させて、出力がピークになる最適温度Ttpを検出し記憶する。
【0026】
ステップR9では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止し、処理を終了する。
【0027】
次回の稼働時には、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子4の温度Tsを最適温度Tspに設定する。また、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを最適温度Ttpに設定する。
【0028】
実施例1の固体レーザ装置100によれば、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなるため、それらを破損してしまうような問題を回避できる。また、温度チューニング中の出力の変化範囲を大きくすることが出来るため、精度の高い温度チューニングを行うことが出来る。
【0029】
−実施例2−
図5は、実施例2に係る温度チューニング処理を示すフロー図である。
ステップS1では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止する。
【0030】
ステップS2では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを最適温度近傍から外した温度たとえば38.5℃にする。Tt=38.5℃にする理由は前記(4)(5)による。
【0031】
ステップS3では、温度チューニング機構12は、出力が一定になるように半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iを制御する。この時の出力値は、通常稼働時と同程度でもよいし、それよりも小さくしてもよい。但し、小さくし過ぎると、第二高調波発生素子4の温度Tsを変化させたときの駆動電流Iの変化範囲や第三高調波発生素子5の温度Ttを変化させたときの駆動電流Iの変化範囲が小さくなって、最適温度TspやTtpを精度高く検出することが難しくなるので、あまり小さくしない方がよい。
【0032】
ステップS4では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子5の温度Tsを例えば30℃〜50℃で変化させて、駆動電流Iがボトムになる最適温度Tspを検出して記憶する。
【0033】
ステップS5では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止する。
【0034】
ステップS6では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子4の温度Tsを最適温度近傍から外した温度たとえば30℃にする。Ts=30℃にする理由は前記(2)(3)による。
【0035】
ステップS7では、温度チューニング機構12は、出力が一定になるように半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iを制御する。
【0036】
ステップS8では、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを例えば39℃〜43℃で変化させて、駆動電流Iがボトムになる最適温度Ttpを検出し記憶する。
【0037】
ステップS9では、温度チューニング機構12は、半導体レーザ駆動機構10から供給する駆動電流Iをオフし、半導体レーザ1からの励起レーザ光の発生を停止し、処理を終了する。
【0038】
次回の稼働時には、温度チューニング機構12は、素子温度制御機構9sおよび温調ユニット11sにより、第二高調波発生素子4の温度Tsを最適温度Tspに設定する。また、素子温度制御機構9tおよび温調ユニット11tにより、第三高調波発生素子5の温度Ttを最適温度Ttpに設定する。
【0039】
実施例2の固体レーザ装置100によれば、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなるため、それらを破損してしまうような問題を回避できる。また、温度チューニング中の駆動電流Iの変化範囲を大きくすることが出来るため、高精度の温度チューニングを行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の固体レーザ装置は、バイオエンジニアリング分野や計測分野で利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 半導体レーザ
2 固体レーザ媒質
3 ミラー
4 第二高調波発生素子
5 第三高調波発生素子
6 ビームスプリッタ
7 光検出器
8 読出し回路
9s,9t 素子温度調整機構
10 半導体レーザ駆動機構
11s,11t 温調ユニット
12 温度チューニング機構
20 光共振器
30 CPU
100 固体レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起レーザ光を発生する半導体レーザ(1)と、前記励起レーザ光によって励起され基本波を発生する固体レーザ媒質(2)と、前記固体レーザ媒質(2)を含んで形成される光共振器(20)内に設置され前記光共振器(20)で発振する基本波の第三高調波を発生するための第二高調波発生素子(4)および第三高調波発生素子(5)と、前記第二高調波発生素子(4)の温度を制御するための第1温度制御手段(9s,11s)と、前記第三高調波発生素子(5)の温度を制御するための第2温度制御手段(9t,11t)と、第三高調波出力を検出する第三高調波出力検出手段(7,8)と、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で前記第三高調波発生素子(5)の温度をスイープして最適温度Ttpを求めると共に前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度にした状態で前記第二高調波発生素子(4)の温度をスイープして最適温度Tspを求める温度チューニング機構(12)とを具備したことを特徴する固体レーザ装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の固体レーザ装置(100)において、前記温度チューニング機構(12)は、一定の駆動電流で前記半導体レーザ(1)を駆動した状態で温度をスイープすることを特徴する固体レーザ装置(100)。
【請求項3】
請求項2に記載の固体レーザ装置(100)において、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力の50%以下になるような温度であり、前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであるときの出力が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの出力の50%以下になるような温度であることを特徴する固体レーザ装置(100)。
【請求項4】
請求項1に記載の固体レーザ装置(100)において、前記温度チューニング機構(12)は、一定出力になるように前記半導体レーザ(1)を駆動した状態で温度をスイープすることを特徴する固体レーザ装置(100)。
【請求項5】
請求項4に記載の固体レーザ装置(100)において、前記第二高調波発生素子(4)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流の150%以上になるような温度であり、前記第三高調波発生素子(5)の温度を最適温度近傍から外した温度が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであるときの駆動電流が、前記第二高調波発生素子(4)が最適温度Tspであり且つ前記第三高調波発生素子(5)が最適温度Ttpであるときの駆動電流の150%以上になるような温度であることを特徴する固体レーザ装置(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−65753(P2013−65753A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204257(P2011−204257)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】