説明

固体撮像素子およびその製造方法、電子情報機器

【課題】工程数の増加がなく工程を簡略化できて、高段差を有する基板上に層内レンズを、均一で同じレンズ形状に形成できて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を更に行う。
【解決手段】従来のように工程数を増やしてポジ型感光性I線レジスト膜12aの表面を平坦化することなく、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクとしてのガラスマスク15を用いて、膜厚が変化したポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して直に均一なレンズ形状を形成できるので工程が簡略化できる。また、照射光量を平面位置に応じて制御されたガラスマスク15を用いて、最も周辺回路領域3側の層内レンズ12と有効画素領域2の中央部の層内レンズ12とを含む複数の層内レンズ12のレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体からの光が集光されて入射され、この入射光を光電変換して撮像する複数の受光部が2次元状に設けられた固体撮像素子およびその製造方法、この固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CCD(電荷結合素子)イメージセンサやCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージャなどの従来の固体撮像素子は、各種映像機器の画像入力用の撮像デバイスとして広く利用されている。これらの固体撮像素子の製造方法としては、光を受光して電気信号に変換する複数の受光部(複数の光電変換部)が配列された有効画素領域および、ロジック回路を有する周辺回路領域を、シリコンウエハに形成する。その後、層内マイクロレンズ工程と呼ばれる工程に移行する。この層内マイクロレンズ工程では、上記複数の光電変換部が配列された有効画素領域と上記周辺回路部とが形成された半導体基板上にポリイミド樹脂、酸化金属を含有したポリイミド樹脂、またはアクリル樹脂をスピンコートして、フォトリソグラフィ技術により矩形に形成した後に所定のレンズ形状に加工している。
【0003】
近年、上記CCDイメージセンサや上記CMOSイメージャなどの従来の固体撮像素子では、高繊細な画像を撮影するために画素数が増大する一方において、撮像機器の小型化などに伴って1画素の大きさが微細化されてきている。さらに、高機能の画像処理回路などを一つのチップ内に形成するため、上記複数の受光部が配列された有効画素領域と上記周辺回路部とにおける層内レンズ形成工程前での半導体基板の段差が益々大きくなっている。
【0004】
このため、従来の固体撮像素子において、撮像信号の輝度を向上するための集光率の向上と、画質を向上させるための画素毎の感度ムラの防止とが困難になってきている。この課題を解決するために、固体撮像素子の製造方法における上記層内レンズ形成工程が非常に重要な工程であり、上記層内レンズに関して、有効画素領域と周辺回路領域との高段差を有する基板上において、チップ内またはウエハ面内で均一な膜厚で且つ集光率向上を図るためには、チップ内またはウエハ面内で略均一な膜形成が要求されている。
【0005】
以下、有効画素領域と周辺回路領域との高段差を有し且つ大パターン部を有する凸凹パターンが形成された半導体ウエハ上にレジストパターンを形成する従来例について、図5に従って簡単に説明する。なお、ここでは、その一例として上記CCDイメージセンサの層内レンズ形成工程について説明する。
【0006】
図5は、従来のCCDイメージセンサにおける層内レンズ形成工程の前工程を含む各工程を説明するための要部縦断面図である。
【0007】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板101からなる半導体ウエハに対して、SiOおよびSiN膜を成膜した後、シリコン基板101上に、フォトリソグラフィ、ドライエッチングおよびロコス酸化を行って領域分離用のロコス酸化膜102を形成して、このロコス酸化膜102を境として有効画素領域103およびその周辺の周辺回路部104を形成する。
【0008】
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入を繰り返し行って、有効画素領域102においてマトリクス状に配列された複数の受光部105および、列方向の複数の受光部105毎に各受光部105に隣接した電荷転送部106をそれぞれ形成する。
【0009】
続いて、シリコン基板101上にゲート絶縁膜107を介してCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってポリシリコンを成膜した後に、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングを行って、電荷転送部106の上方に転送電極108を形成する。
【0010】
その後、転送電極108上を覆うように、遮光膜109となるアルミニウム,アルミニウム合金、チタン、あたはタングステンなどの高融点金属を、スパッタ法によって単層または複層に形成する。さらに、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを行って、受光部105上の遮光膜109を開口させる。
【0011】
さらに、BPSG(ホウ素リンシリケートガラス)膜およびSiO膜をプラズマCVD法を用いて形成し、その後、高温過熱によるリフロー処理およびCMPを行ってその表面が平坦な層間絶縁膜110を形成する。
【0012】
さらに、層間絶縁膜110上に、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンまたはタングステンなどの高融点金属層をスパッタ法によって単層または複層に形成する。その後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを行って、ロコス酸化膜102上に金属配線111を形成する。この金属配線111の膜厚は1.0μm程度であるが、考えられる範囲として0.5μm〜1.5μm程度が品種によって使い分けられて形成される。さらに、これらの層間絶縁膜110および金属配線111上に保護膜としての透明膜112を形成する。
【0013】
次に、図5(b)に示すように、層内レンズを形成するためのポジ型感光性I線レジスト膜113aを透明膜112上にスピン塗布法によって0.8μmの膜厚で形成する。その際に、ポジ型感光性I線レジスト113aの膜厚は、下地の段差(金属配線111の膜厚)1.0μmよりも薄いため、有効画素領域103における周辺回路領域104側の端では、金属配線111の段差の影響によってポジ型感光性I線レジスト113aの膜厚が厚く、有効画素領域103の中央部分に近づくに連れてその膜厚が薄くなっている。
【0014】
続いて、図5(c)に示すように、層内レンズを形成するためのガラスマスク114と波長365nmのI線ステッパー(図示せず)とを用いてポジ型感光性I線レジスト113aを露光する。その後、アルカリ現像液を用いて60秒間パドル現像を行った後に、30秒間純水で水洗を行う。
その結果、図5(d)に示すように、有効画素領域103には、レジストパターン113bが形成される。このレジストパターン113bの高さおよび線幅は、塗布後のポジ型感光性I線レジスト113aの膜厚が有効画素領域103の端から中央部分に向かって徐々に薄くなっているために、その膜厚に有効画素領域103内でバラツキが生じる。
【0015】
次に、図5(e)において、レジストパターン113bに対してホットプレートで熱処理を行い、角部分をだれさせて凸レンズ形状のレジストパターン113cを形成する。その際に、このレジストパターン113cは、現像前のレジストパターン113bの形状を引き継いで厚さが異なっており、これによって、有効画素領域103内で高さ、線幅およびレンズ曲率にバラツキが生じてしまう。さらに、上記熱処理を行った際に、レジストパターン113cの膜厚が厚いとリフロー後の線幅も大きくなるため、有効画素領域103の端では、凸レンズ形状のレジストパターン113c同士がくっ付く場合もある。
【0016】
このように、図5(e)に示すように、上記従来の固体撮像素子100においては、有効画素領域103の端部では線幅が大きく且つ高さも高い層内レンズ113dが形成されており、一部の層内レンズ113d同士がくっ付いている。近年の画素数の拡大によって画素ピッチも小さくなっており、有効画素領域103全体でレンズ寸法としてレンズ径およびレンズ高さが均一な層内レンズ13dを形成することが、益々困難になってきている。
【0017】
したがって、この従来例においては、有効画素領域103内の端と中央部分とでポジ型感光性I線レジスト113aの膜厚が異なることから、有効画素領域103内の端と中央部分とで層内レンズ113dのレンズ形状(レジストパターン113c)にもバラツキが発生して、レンズの基板側への集光深度のバラツキからCCDイメージセンサである固体撮像素子100の集光率のバラツキや受光感度ムラなどの各種問題が発生する。
【0018】
これを解決するために、有効画素領域102と周辺回路部103間で高段差を有するシリコン基板101上に均一な層内レンズ113dを形成する技術が特許文献1に開示されている。
【0019】
図6(a)〜図6(c)は、特許文献1に開示されている従来の固体撮像素子の製造方法における層内レンズ形成工程の各工程を説明するための要部縦断面図である。
【0020】
まず、図6(a)に示すように、有効画素領域201と周辺回路領域202上に均一に感光性材料203を塗布して表面を平坦化する。さらに、周辺回路領域202上のみをマスク204で覆い、有効画素領域201の全域を露光・現像することにより、有効画素領域201で均一に薄膜化して表面が平坦な感光性材料203aとする。
【0021】
次に、図6(b)に示すように、有効画素領域201上に層内レンズパターンを有するマスク205により露光・現像することで、高さが均一な島状の感光性材料203bをパターン形成される。
【0022】
さらに、図6(c)に示すように、熱処理にてリフローすることにより、感光性材料203bをレンズ形状にだれさせてチップ内で均一な層内レンズ203cを形成する。これによって、入射光を受光部206に集光させる層内レンズ203cが均一に得ることができる。このようにして、従来の固体撮像素子200が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2010−10331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の個体撮像素子200の製造方法における層内レンズ形成工程においては、露光・現像だけで表面が平坦な感光性材料203aを得ているものの、この場合の膜減り誤差を考慮すると、均一なレンズ形状(レンズ径およびレンズ高さ)を得るところまでは全く至っておらず、しかも、工程数が増加して複雑化するという問題がある。
【0025】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、工程数の増加がなく工程を簡略化できて、高段差を有する基板上に層内レンズを、均一で同じレンズ形状に形成できて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を行うことができる固体撮像素子およびその製造方法、この固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、半導体基板または半導体層に、入射光を撮像する有効画素領域とその周辺の周辺回路領域を形成し、該有効画素領域と該周辺回路領域に層間絶縁膜を成膜する工程と、該周辺回路領域の層間絶縁膜上に金属層を形成する金属層形成工程と、該金属層および該層間絶縁膜上に感光性材料膜を成膜する感光性材料膜成膜工程と、該有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も該周辺回路領域側の層内レンズと該有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うパターンニング工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
また、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法において、前記パターンニングが行われたレンズ形状の感光性材料膜に対して全面露光を行って、残った感光材の光吸収特性を失わせて、前記有効画素領域の層間絶縁膜上に前記複数の層内レンズを各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程を更に有する。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法において、前記パターンニングが行われたレンズ形状の感光性材料膜に対して熱処理を行って樹脂硬化させて、前記有効画素領域の層間絶縁膜上に前記複数の層内レンズを各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程を更に有する。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における透過率階調マスクは、遮光材のドットパターン密度により透過光量を位置によって調整可能である。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法におけるパターンニング工程において、前記有効画素領域の中央部から端部に向かうほど前記感光性材料膜の膜厚が厚くなるに従って、該感光性材料膜の現像時の膜減り量が大きくなるように前記透過率階調マスクの光開口率を大きく設定して前記複数の層内レンズのレンズ形状を形成する。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜として、照射光量の増加に伴ってレジスト残膜量が、パターン形成用の感光性材料膜に比べて徐々に低下していく特性を有する感光性材料膜を用いる。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における金属層の層厚は、0.2μm以上1.5μm以下である。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜は、ポジ型感光性材料膜であって、365nm以上436nm以下の波長光に対する光吸収特性を有する感光基とアルカリ現像液に可溶な樹脂とを含んでいる。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜として、感光性ポリイミド膜、酸化金属を含有したポリイミド膜またはアクリル樹脂膜を用いる。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜の膜厚は、0.2μm以上1.2μmである。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜における可視光での光屈折率は、1.4以上2.2以下である。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における感光性材料膜は透明膜である。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における金属層形成工程の後に、前記金属層および前記層間絶縁膜上に透明膜を成膜する透明膜成膜工程をさらに有し、前記感光性材料膜成膜工程は、該透明膜上に感光性材料膜を成膜する。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における透明膜としては、SiO膜、SiON膜またはSiN膜を用いる。
【0040】
本発明の固体撮像素子は、本発明の上記固体撮像素子の製造方法により製造された固体撮像素子であって、最も前記周辺回路領域側の層内レンズと前記有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0041】
また、本発明の固体撮像素子は、半導体基板または半導体層に、入射光を撮像する有効画素領域とその周辺の周辺回路領域が設けられ、該有効画素領域と該周辺回路領域に層間絶縁膜が設けられ、該周辺回路領域の層間絶縁膜上に金属層が設けられて該有効画素領域の層間絶縁膜と該周辺回路領域の金属層との間に段差が形成され、該有効画素領域の層間絶縁膜上に複数の層内レンズが各画素に対応して2次元状に設けられた固体撮像素子において、最も該周辺回路領域側の層内レンズと該有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む該複数の層内レンズのレンズ形状が同一であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子におけるレンズ形状はレンズ径およびレンズ高さである。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における層内レンズにおける可視光での光屈折率は、1.4以上2.2以下である。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における金属層の層厚は、0.2μm以上1.5μm以下である。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における層内レンズは、感光性ポリイミド膜、酸化金属を含有したポリイミド膜またはアクリル樹脂膜である。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子において、前記金属層および前記層間絶縁膜上に透明膜がさらに成膜されており、前記層間絶縁膜上に該透明膜を介して前記複数の層内レンズが設けられている。
【0047】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における透明膜は、SiO膜、SiON膜またはSiN膜である。
【0048】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0049】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0050】
本発明の固体撮像素子の製造方法では、半導体基板または半導体層に、入射光を撮像する有効画素領域とその周辺の周辺回路領域を形成し、有効画素領域と周辺回路領域に層間絶縁膜を成膜する工程と、周辺回路領域の層間絶縁膜上に金属層を形成する金属層形成工程と、金属層および層間絶縁膜上に感光性材料膜を成膜する感光性材料膜成膜工程と、有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も周辺回路領域側の層内レンズと有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うパターンニング工程とを有している。本発明の固体撮像素子は、最も周辺回路領域側の層内レンズと有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一となる。
【0051】
これによって、有効画素領域と周辺回路領域間には金属層によって段差があることに起因して、有効画素領域の中央部から周辺回路領域側になるほど感光性材料膜は厚い膜厚になるが、従来のように工程数を増やして感光性材料膜の表面を平坦化することなく、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、膜厚が変化した感光性材料膜に対して直に均一なレンズ形状を形成できるので工程が簡略化する。また、従来は、感光性材料膜の表面を平坦化するときの膜減り誤差を考えると、均一で同一なレンズ形状を得るところまでは全く至っていないのに対して、本発明では、有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も周辺回路領域側の層内レンズと有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うため、高段差を有する基板上に層内レンズを、均一で同じレンズ形状に形成できて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を更に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0052】
以上により、本発明によれば、有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も周辺回路領域側の層内レンズと有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うため、従来のように工程数の増加がなく工程を簡略化できて、高段差を有する基板上に層内レンズを、均一で同じレンズ形状に形成できて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を更に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1における固体撮像素子の領域構成例を模式的に示す平面図である。
【図2】図1の固体撮像素子のA−A’線縦断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、図2の固体撮像素子の製造方法における層内レンズ形成工程の前工程を含む各工程を説明するための要部縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図5】従来のCCDイメージセンサにおける層内レンズ形成工程の前工程を含む各工程を説明するための要部縦断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、特許文献1に開示されている従来の固体撮像素子の製造方法における層内レンズ形成工程の各工程を説明するための要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下に、本発明のレンズおよびその製造方法を固体撮像素子およびその製造方法に適用した場合の実施形態1および、この固体撮像素子の実施形態1を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0055】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における固体撮像素子の領域構成例を模式的に示す平面図である。
【0056】
図1において、本実施形態1の固体撮像素子1は、一つのチップで構成されており、入射光を受光して電気信号に変換する光電変換機能を有する複数の受光部が2次現状でマトリクス状に配列された撮像領域としての有効画素領域2がチップ中央部に形成されており、その有効画素領域2の周辺部に、信号読み出しおよび電荷転送を制御する駆動回路およびロジック回路を有する周辺回路領域3が設けられている。
【0057】
図2は、図1の固体撮像素子のA−A’線縦断面図である。
【0058】
図2において、本実施形態1の固体撮像素子1は、半導体基板4の表面層に、領域分離用のロコス酸化膜5が有効画素領域2と周辺回路部3の境界部に設けられている。有効画素領域2において、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部6が2次元状でマトリクス状に配列され、複数の受光部6のうち、列方向の複数の受光部6毎に各受光部6に隣接して電荷転送部7がそれぞれ形成されている。電荷転送部7上にゲート絶縁膜8を介して転送電極9が形成されている。さらに、転送電極9上に絶縁膜を介して転送電極9を覆うように遮光膜10が設けられ、遮光膜10は受光部6の上方で光窓として開口している。有効画素領域2と周辺回路部3上には、各受光部6と遮光膜10との段差部内を埋め込んで表面が平坦な層間絶縁膜11が設けられている。有効画素領域2において、各受光部6の位置に対応するこの層間絶縁膜11上には、各受光部6にそれぞれ入射光を集光させるための層内レンズ12がそれぞれ設けられている。一方、周辺回路部3において、ロコス酸化膜5の上方で層間絶縁膜11上には、周辺回路で接続配線として用いられる遮光機能を兼ねた金属層としての金属配線13が設けられている。
【0059】
金属配線13が形成されている周辺回路領域3と、金属配線13が形成されていない有効画素領域2との間には、大きな段差が設けられている。金属配線13の膜厚は、0.2μm以上1.5μm以下である。この場合、金属配線13が形成されている周辺回路領域3と、金属配線13が形成されてはいない有効画素領域2とに0.2μm以上1.5μm以下の大きな段差が生じることになる。このように、0.2μm以上1.5μm以下の段差があっても、層内レンズ12は、有効画素領域2の端から中央にかけて線幅および高さが均一または同一に形成されている。即ち、有効画素領域2内に配列されて形成された複数の層内レンズ12のうち、最も周辺回路領域3側に位置する層内レンズ12と、有効画素領域2の中央部に位置する層内レンズ12とを含む総ての複数の層内レンズ12は、略同じ所定のレンズ寸法のレンズ形状(レンズ径とレンズ高さ)を有している。これによって、画素ピッチが小さくなって層内レンズ12の高精細化が図られても、層内レンズ12の幅および高さの均一性または同一性を保つことができる。この結果、有効画素領域2内の全体での光の集光率を向上させ、画素毎の集光率および受光感度のバラツキをより小さくすることができる。
【0060】
この層内レンズ12の樹脂材料としては、感光性ポリイミド膜(例えば1.4)、酸化金属含有の感光性ポリイミド膜(例えば2.0)および感光性アクリル膜(例えば1.6)などの感光性材料膜(ポジ型感光性I線レジスト膜12a)を選択的に用いることが可能になり、光学設計の観点から、層内レンズ12の光屈折率を最適に設定することができる。この層内レンズ12における可視光での光屈折率は、1.4以上2.2以下の範囲内で最適に設定することができる。
【0061】
また、層内レンズ12は、フォトリソグラフィ技術としてドットパターンで光開口した透過率階調マスクとしてのガラスマスク15を用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、透明な感光性材料膜を所定のレンズ形状に形成する。ガラスマスク15は、レンズ形状の周囲ほど光透過率がよく、周囲ほど強い光が感光性材料膜に照射されて、断面が上に凸のレンズ形状に形成されるように透過光量が制御される。要するに、このガラスマスク15では、レンズ中央部分ほど透過する光量が面積的に少なくなるようにドットパターンで構成(光開口率が小)されており、レンズ周囲部ほど透過する光量が面積的に多くなるようにドットパターンで構成(遮光材のクロムのパターン密度、例えばドットパターン密度により透過光量を調整;光開口率が大)されている。このように、このガラスマスク15は、光開口率が均一でないドットパターンマスクである。また、後述するが、ポジ型感光性I線レジスト膜12aのレジスト膜厚が、有効画素領域2においてレンズ形状(レンズ径およびレンズ高さ)が均一または同一になるように、ポジ型感光性I線レジスト膜12aは有効画素領域2の中央部から周辺回路領域3側になるほど厚い膜厚になっているが、周辺回路領域3側の位置になるほどガラスマスク15は光開口率が大きく設定して照射光量を増やしている。
【0062】
要するに、透過率階調マスクとしてのガラスマスク15に対して、感光性材料膜としてのポジ型感光性I線レジスト膜12aは、照射光量の増加に伴ってレジスト残膜量が、通常のパターン形成用の感光性材料膜に比べて徐々に低下していく特性を有する材慮を用いる。有効画素領域2の中央から周辺回路領域3側に向けて、感光性材料膜としてのポジ型感光性I線レジスト膜12aの膜厚が厚くなるに従って現像時の膜減り量が大きくなるように、周辺回路領域3側に向けてレジスト膜厚に対応するようにドットマスクの光開口率を大きくして各層内レンズ12を加工している。これによって、金属配線13が形成されている周辺回路領域3と、金属配線13が形成されてはいない有効画素領域2とに大きな段差があるにも拘わらず、有効画素領域2に配列して形成された複数の層内レンズ12は、最も周辺回路領域3側に位置する層内レンズ12と、有効画素領域2の中央部に位置する層内レンズ12とを含む総ての複数の層内レンズ12は、略同じであるかまたは同一の所定のレンズ寸法のレンズ形状(レンズ径およびレンズ高さ)を有している。
【0063】
ここで、上記構成の固体撮像素子の製造方法について図3(a)〜図3(d)を用いて詳細に説明する。
【0064】
図3(a)〜図3(d)は、図2の固体撮像素子の製造方法における層内レンズ形成工程の前工程を含む各工程を説明するための要部縦断面図である。
【0065】
まず、図3(a)に示すように、シリコン基板4からなる半導体ウエハに、SiO膜およびSiN膜を成膜した後、フォトリソグラフィ、ドライエッチングおよびロコス酸化を行って、シリコン基板4上に、有効画素領域2および周辺回路領域3の境界としてロコス酸化膜5を形成する。
【0066】
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入を繰り返し行って、受光部6および電荷転送部7を形成する。
【0067】
続いて、シリコン基板4上にゲート絶縁膜8を介してCVD法によってポリシリコンを成膜し、その後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを行って、電荷転送部7上にゲート絶縁膜8を介して転送電極9を形成する。
【0068】
その後、遮光膜9となるチタンまたはタングステンなどの高融点金属を、絶縁膜を介してスパッタ法によって単層または複層に形成する。さらに、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを行って、受光部6上の遮光膜9を光窓として開口する。
【0069】
さらに、受光部6上のゲート絶縁膜8および遮光膜9間の段差部上に、プラズマCVD法を用いてBPSG膜およびSiO膜からなる層間絶縁膜11を形成する。
【0070】
さらに、層間絶縁膜11上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金をスパッタ法によって単層または複層に形成する。その後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを行って、ロコス酸化膜5上方の層間絶縁膜11上に、金属層としての金属配線13を形成する。金属配線13として、例えばアルミニウム合金を用い、その膜厚を1.0μmとする。なお、金属配線13の膜厚は、0.2μm〜1.5μmの範囲から品種によって適宜選択すればよい。
【0071】
さらに、保護膜としての透明膜14を、プラズマCVD法によって金属配線13を含む基板全面に形成する。なお、透明膜14の材料としては、SiO膜(屈折率1.4〜1.5)やSiON膜(屈折率1.5〜1.9)やSiN膜(屈折率1.9〜2.0)などがあり、光学設計の観点から屈折率と膜厚とを最適化する。ここでは、SiN膜(屈折率2.0)を0.3μmの膜厚で形成してパッシベーション膜として用いる。また、透明膜14の膜厚の範囲は、0.1μm〜0.5μmであることが望ましい。
【0072】
次に、図3(b)に示すように、層内レンズ12を形成するためのポジ型感光性I線レジスト膜12aを透明膜14上の基板全面に、スピン塗布法によって0.8μmの膜厚で形成する。この際、周辺回路領域3付近では金属配線13の段差の影響で感光性I線レジスト膜12aの膜厚が厚くなっている。
【0073】
続いて、図3(c)に示すように、有効画素領域2上に複数の層内レンズ12を形成するために、前述したように有効画素領域2をドットパターンで光開口したガラスマスク15と、波長365nmのI線ステッパーとを用いてポジ型感光性I線レジスト膜12aを露光する。ここで、ガラスマスク15は、周辺回路領域3側のポジ型感光性I線レジスト膜12aのレジスト膜厚の厚膜変化に対応するように、ドットパターンで光開口したガラスマスク15の光開口率を面積的に変調させている。
【0074】
その後、図3(d)に示すように、アルカリ現像液を用いて60秒間パドル現像を行った後、30秒間純水で水洗を行う。周辺回路領域3付近のポジ型感光性I線レジスト膜12aの厚い部分のガラスマスク15上のドットパターンの開口率は、有効画素領域2のガラスマスク15上のドットパターンの開口率より大きいため、現像時の膜減り量が有効画素領域2の中央部よりもその端部の方が大きくなり、その結果、有効画素領域2には、所望の曲率半径を有すると共に、各受光部6にそれぞれ対応して2次元状でマトリクス状に配列されたレジストパターン(レンズ形状)が均一な各層内レンズ12が形成される。
【0075】
要するに、本実施形態1の固体撮像素子1の製造方法は、半導体基板4(または半導体層)に、入射光を撮像する有効画素領域2とその周辺の周辺回路領域3を形成し、有効画素領域2と周辺回路領域3に層間絶縁膜11を成膜する工程と、周辺回路領域3の層間絶縁膜11上に金属配線13を形成する金属層形成工程と、金属配線13および層間絶縁膜11上に透明膜14を成膜する透明膜成膜工程と、透明膜14上に、感光性材料膜としてのポジ型感光性I線レジスト膜12aを成膜する感光性材料膜成膜工程と、有効画素領域2のポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクであるガラスマスク15を用いて、最も周辺回路領域3側の層内レンズ12と有効画素領域2の中央部の層内レンズ12とを含む複数の層内レンズ12のレンズ形状が互いに同一になるようにパターンニングを行うパターンニング工程と、前述していないが、パターンニングが行われたレンズ形状のポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して全面露光を行って、光吸収特性を失わせて、有効画素領域2の層間絶縁膜11上に複数の層内レンズ12を各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程を有している。
【0076】
この層内レンズ形成工程では、紫外線による全面露光により感光材をなくしている。レンズに感光材が残っていると、光透過率が悪くなるため、感光材を取り除いている。また、これによって、レンズ表面が滑らかになるトリートメント効果もある。
【0077】
前述したように、本実施形態1では、金属配線13を含む基板全面に透明膜14を形成し、透明膜14上の基板全面にポジ型感光性I線レジスト12aを形成する。周辺回路領域3側のポジ型感光性I線レジスト12aのレジスト膜厚が厚い部分に対応して、ドットパターンの開口率を大きくなるように変調させたガラスマスク15を用いて、ポジ型感光性I線レジスト12aを露光して現像する。ポジ型感光性I線レジスト12aのレジスト膜厚が厚い部分(周辺回路領域3側)は光開口率が大きく設定されている。このため、周辺回路領域3側のポジ型感光性I線レジスト12aでは現像時の膜減り量が大きく、現像後の層内レンズ12のレンズ高さは、有効画素領域2の中央部とその周辺端部の各層内レンズ12で均一または同一で、有効画素領域2内の複数の全層内レンズ12で均一または同一になる。
【0078】
したがって、金属配線13が形成されている周辺回路部3と、金属配線13が形成されていない有効画素領域2とに大きな段差があるにも拘わらず、有効画素領域2に配列して形成された複数の層内レンズ12は、最も周辺回路領域3側に位置する層内レンズ12と、有効画素領域2の中央部に位置する層内レンズ12とは、同じ所定のレンズ寸法のレンズ径およびレンズ高さを有している。
【0079】
即ち、本実施形態1によれば、例えば画素ピッチが小さくなって層内レンズ12の高精細化が図られても、層内レンズ12の幅および高さの均一性または同一性を保つことができて、有効画素領域2の全体での光の集光率および感度のバラツキを小さくすることができる。
【0080】
また、上記層内レンズ12の材料は、ポリイミド膜、酸化金属含有のポリイミド膜およびアクリル膜のうちの何れか1つで構成するようにしている。したがって、光学設計の観点から、層内レンズ12の光屈折率を1.4〜2.2の範囲内で最適に設定することができる。
【0081】
さらに、上記金属配線13の膜厚は、0.5μm〜1.5μmになっている。したがって、金属配線13が形成されている周辺回路領域3と、金属配線13が形成されていない有効画素領域2とに0.2μm〜1.5μmの大きな段差があっても、有効画素領域2には、最も上記周辺回路領域3側に位置する層内レンズ12と有効画素領域2の中央部に位置する層内レンズ12とを、同じ所定のレンズ寸法のレンズ径およびレンズ高さを有するようにすることができる。
【0082】
この結果、上記実施形態1を用いて形成されたCCDイメージセンサによれば、有効画素領域2全体で光の集光率および感度のバラツキが小さく、高性能なCCDイメージセンサの形成が可能になる。
【0083】
以上により、本実施形態1によれば、有効画素領域2と周辺回路領域3間には金属配線13によって段差があることに起因して、有効画素領域2の中央部から周辺回路領域3側になるほどポジ型感光性I線レジスト膜12aは厚い膜厚になるが、従来のように工程数を増やしてポジ型感光性I線レジスト膜12aの表面を平坦化することなく、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクとしてのガラスマスク15を用いて、膜厚が変化したポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して直に均一なレンズ形状を形成できるので工程が簡略化できる。また、従来では、ポジ型感光性I線レジスト膜12aの表面を平坦化するときの膜減り誤差を考えると、均一で同一なレンズ形状を得るところまでは全く至っていないのに対して、本発明では、有効画素領域2のポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して、照射光量を平面位置に応じて制御されたガラスマスク15を用いて、最も周辺回路領域3側の層内レンズ12と有効画素領域2の中央部の層内レンズ12とを含む複数の層内レンズ12のレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うことができるため、高段差を有する基板上に層内レンズ12を、均一で同じレンズ形状に形成することができる。
【0084】
したがって、金属配線13が形成されている周辺回路領域3と、金属配線13が形成されてはいない有効画素領域2とに大きな段差が設けられているにも拘わらず、有効画素領域2に配列して形成された複数の層内レンズ12であって、最も周辺回路領域3側に位置する層内レンズ12と、有効画素領域2の中央部に位置する層内レンズ12とを含む総ての複数の層内レンズ12は、同じ所定のレンズ寸法のレンズ径およびレンズ高さを有しているため、例えば画素ピッチが小さくなって層内レンズ12の高精細化が図られても、層内レンズ12の幅および高さの均一性を保つことができる。したがって、有効画素領域2の全体での入射光の集光率および受光部6の受光感度のバラツキを小さくすることができて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を更に行うことができる。
【0085】
なお、上記実施形態1においては、ポジ型感光性I線レジスト113aの露光時に使用する光の波長を365nmとしている。しかしながら、365nmに限定されるものではなく、365nm〜436nmの範囲内の波長であればよい。要するに、層内レンズ12の樹脂材料は、ポジ型感光性材料であって、365nm以上436nm以下の波長光に対する光吸収特性を有する感光基とアルカリ現像液に可溶な樹脂とを含んでいる。
【0086】
また、本発明は、CCD固体撮像素子の製造方法のみに限定したものではなく、CMOS固体撮像素子の製造方法の層内レンズの製造方法にも適用でき、これにも限らず、高段差を有する半導体基板上にスピンコート法により膜を形成するレンズ形成工程の全てに適用することが可能である。
【0087】
なお、本実施形態1では、パターンニングが行われたレンズ形状のポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して全面露光を行って、残った感光材の光吸収特性を失わせて、有効画素領域2の層間絶縁膜11上に複数の層内レンズ12を各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程により、残った感光材をなくすように構成したが、これに限らず、パターンニングが行われたレンズ形状のポジ型感光性I線レジスト膜12aに対して熱処理を行って樹脂硬化させて、有効画素領域2の層間絶縁膜11上に複数の層内レンズ12を各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程により、残った感光材をなくすように構成してもよい。この場合の層内レンズ形成工程では、熱処理によって樹脂硬化させていると共に感光材をなくしている。レンズに感光材が残っていると、光透過率が悪くなるため、感光材をなくしている。また、この熱処理によって、レンズ表面が滑らかになるトリートメント効果もある。
【0088】
また、本実施形態1では、固体撮像素子1の製造方法として、金属層形成工程後に、金属配線13の保護の観点から、金属配線13および層間絶縁膜11上に透明膜14を成膜する透明膜成膜工程を設け、透明膜14上に、感光性材料膜としてのポジ型感光性I線レジスト膜12aを成膜する感光性材料膜成膜工程を設けたが、これに限らず、透明膜14を設けない場合には、金属層形成工程後に、金属配線13および層間絶縁膜11上に、感光性材料膜としてのポジ型感光性I線レジスト膜12aを成膜する感光性材料膜成膜工程を設けるようにしてもよい。いずれにしても、この透明膜14は、金属配線13の保護の観点から設ける方が望ましい。
【0089】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0090】
図4において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1の固体撮像素子1からの撮像信号に対して所定の信号処理を施してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示部93と、通信部94と、プリンタなどの画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0091】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0092】
したがって、本実施形態2によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0093】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1、2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1、2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1、2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、被写体からの光が集光されて入射され、この入射光を光電変換して撮像する複数の受光部が2次元状に設けられた固体撮像素子およびその製造方法、この固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も周辺回路領域側の層内レンズと有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うため、従来のように工程数の増加がなく工程を簡略化できて、高段差を有する基板上に層内レンズを、均一で同じレンズ形状に形成できて、集光率の向上と集光ムラおよび受光感度ムラの改善を更に行うことができる。
【符号の説明】
【0095】
1 固体撮像素子
2 有効画素領域
3 周辺回路領域
4 半導体基板
5 ロコス酸化膜
6 受光部
7 電荷転送部
8 ゲート絶縁膜
9 転送電極
10 遮光膜
11 層間絶縁膜
12 層内レンズ
12a ポジ型感光性I線レジスト膜
13 金属配線
14 透明膜
15 ガラスマスク
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板または半導体層に、入射光を撮像する有効画素領域とその周辺の周辺回路領域を形成し、該有効画素領域と該周辺回路領域に層間絶縁膜を成膜する工程と、
該周辺回路領域の層間絶縁膜上に金属層を形成する金属層形成工程と、
該金属層および該層間絶縁膜上に感光性材料膜を成膜する感光性材料膜成膜工程と、
該有効画素領域の感光性材料膜に対して、照射光量を平面位置に応じて制御された透過率階調マスクを用いて、最も該周辺回路領域側の層内レンズと該有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一になるようにパターンニングを行うパターンニング工程とを有する固体撮像素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記パターンニングが行われたレンズ形状の感光性材料膜に対して全面露光を行って、残った感光材の光吸収特性を失わせて、前記有効画素領域の層間絶縁膜上に前記複数の層内レンズを各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程を更に有する固体撮像素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記パターンニングが行われたレンズ形状の感光性材料膜に対して熱処理を行って樹脂硬化させて、前記有効画素領域の層間絶縁膜上に前記複数の層内レンズを各画素に対応させて2次元状に形成する層内レンズ形成工程を更に有する固体撮像素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記透過率階調マスクは、遮光材のドットパターン密度により透過光量を位置によって調整可能である固体撮像素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記パターンニング工程において、前記有効画素領域の中央部から端部に向かうほど前記感光性材料膜の膜厚が厚くなるに従って、該感光性材料膜の現像時の膜減り量が大きくなるように前記透過率階調マスクの光開口率を大きく設定して前記複数の層内レンズのレンズ形状を形成する固体撮像素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜として、照射光量の増加に伴ってレジスト残膜量が、パターン形成用の感光性材料膜に比べて徐々に低下していく特性を有する感光性材料膜を用いる固体撮像素子の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記金属層の層厚は、0.2μm以上1.5μm以下である固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜は、ポジ型感光性材料膜であって、365nm以上436nm以下の波長光に対する光吸収特性を有する感光基とアルカリ現像液に可溶な樹脂とを含んでいる固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜として、感光性ポリイミド膜、酸化金属を含有したポリイミド膜またはアクリル樹脂膜を用いる固体撮像素子の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜の膜厚は、0.2μm以上1.2μmである固体撮像素子の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜における可視光での光屈折率は、1.4以上2.2以下である固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記感光性材料膜は透明膜である固体撮像素子の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記金属層形成工程の後に、前記金属層および前記層間絶縁膜上に透明膜を成膜する透明膜成膜工程をさらに有し、前記感光性材料膜成膜工程は、該透明膜上に感光性材料膜を成膜する固体撮像素子の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の固体撮像素子の製造方法において、
前記透明膜としては、SiO膜、SiON膜またはSiN膜を用いる固体撮像素子の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法により製造された固体撮像素子であって、
最も前記周辺回路領域側の層内レンズと前記有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む複数の層内レンズのレンズ形状が同一である固体撮像素子。
【請求項16】
半導体基板または半導体層に、入射光を撮像する有効画素領域とその周辺の周辺回路領域が設けられ、該有効画素領域と該周辺回路領域に層間絶縁膜が設けられ、該周辺回路領域の層間絶縁膜上に金属層が設けられて該有効画素領域の層間絶縁膜と該周辺回路領域の金属層との間に段差が形成され、該有効画素領域の層間絶縁膜上に複数の層内レンズが各画素に対応して2次元状に設けられた固体撮像素子において、
最も該周辺回路領域側の層内レンズと該有効画素領域の中央部の層内レンズとを含む該複数の層内レンズのレンズ形状が同一である固体撮像素子。
【請求項17】
請求項15または16に記載の固体撮像素子において、
前記レンズ形状はレンズ径およびレンズ高さである固体撮像素子。
【請求項18】
請求項16に記載の固体撮像素子において、
前記層内レンズにおける可視光での光屈折率は、1.4以上2.2以下である固体撮像素子。
【請求項19】
請求項16に記載の固体撮像素子において、
前記金属層の層厚は、0.2μm以上1.5μm以下である固体撮像素子。
【請求項20】
請求項16に記載の固体撮像素子において、
前記層内レンズは、感光性ポリイミド膜、酸化金属を含有したポリイミド膜またはアクリル樹脂膜である固体撮像素子。
【請求項21】
請求項16に記載の固体撮像素子において、
前記金属層および前記層間絶縁膜上に透明膜がさらに成膜されており、前記層間絶縁膜上に該透明膜を介して前記複数の層内レンズが設けられている固体撮像素子。
【請求項22】
請求項21に記載の固体撮像素子において、
前記透明膜は、SiO膜、SiON膜またはSiN膜である固体撮像素子。
【請求項23】
請求項15〜22のいずれかに記載の固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156212(P2012−156212A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12409(P2011−12409)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】