説明

固体撮像装置及びその製造方法

【課題】本発明は、固体撮像装置とその製造方法に関する。
【解決手段】第1受光部及び第2受光部が形成された半導体基板と、半導体基板上に積層され、第1受光部上の領域に第1開口部を有し、第2受光部上の領域に第2開口部を有する平坦化膜と、第1開口部に一部が埋め込まれると共に第1開口部から残りの一部が突出し、突出部上面がレンズ状であり、平坦化膜よりも高い屈折率の第1カラーフィルターと、第2開口部に一部が埋め込まれると共に第2開口部から残りの一部が突出し、突出部上面がレンズ状であり、平坦化膜よりも高い屈折率の第2カラーフィルターとを備え、第1カラーフィルターの突出部と第2カラーフィルターの突出部とは離間しており、カラーフィルターの離間領域には、第1カラーフィルターと第2カラーフィルターとのどちらとも異なる屈折率の物質が存在することを特徴とする固体撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置及びその製造方法に関し、特に、マイクロレンズを兼ねるカラーフィルターを備える固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置の一例として、例えば、図10に示すような固体撮像装置900がある。複数の画素が二次元配列された固体撮像装置900は、シリコン基板910、及びシリコン基板910内に画素毎に形成された受光部912を備える。また、固体撮像装置900は、シリコン基板910上に形成された平坦化膜である絶縁膜930を備える。絶縁膜930の受光部912上以外の領域には配線932が埋設され、絶縁膜930の受光部912上の領域には開口部930aが形成されている。絶縁膜930には、開口部930aの下半分にそれぞれ、絶縁膜930の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率膜940が埋設されている。さらに、絶縁膜930の開口部930aの上半分に一部が埋め込まれ、残りの一部が開口部930aから突出したカラーフィルター950が形成されている。カラーフィルター950の突出した部分の上面950aは、マイクロレンズを兼ねるレンズ状に形成されている。隣接するカラーフィルター950の突出部分同士は、その最下部950bで接している。カラーフィルター950上に、透明膜962が形成されている。
【0003】
この構成では、カラーフィルター上面950aがマイクロレンズとして働くため、マイクロレンズを別途製造する必要が無く、低背化構造を実現することができる。また、カラーフィルター950の一部は絶縁膜930の開口部930aに埋設され、マイクロレンズによって集光された光を受光部912に導く光導波路を構成する。当該光導波路により、固体撮像装置900の集光効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−199299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の固体撮像装置では、隣接するカラーフィルターの突出部分同士が接しているため、この接触面を通じて光が透過しやすい構造となっている。したがって、あるカラーフィルターに入射した光が、カラーフィルター内部で散乱されたり反射されたりした場合、散乱光や反射光が接触面を通じて隣のカラーフィルターに入ることになる。そのため、隣の受光部では、本来入るべきではない光が入射されて、色解像度が低下してしまうという課題がある。以下、当該課題を詳細に説明する。
【0006】
具体例として、緑色カラーフィルターと、その隣に赤色カラーフィルターとがある領域に注目する。緑色カラーフィルター内を進行する緑色光の一部は、緑色カラーフィルター内部で散乱・反射され、隣接する赤色カラーフィルターとの接触面を通じて、隣の赤色カラーフィルターに入りこむ。
【0007】
ここで、赤色カラーフィルターは、赤色の波長の光を主に透過するが、赤色以外の色(例えば、緑色)の波長の光も多少は透過する特性を有している。そのため、赤色カラーフィルターに入り込んだ光の一部は、赤色カラーフィルターで吸収されずに受光部に到達する。赤色カラーフィルターを通過した緑色光は、受光部で赤色光として認識されるため、色解像度の低下を引き起こす。
【0008】
本発明は、上記問題の解決を図るべくなされたものであって、マイクロレンズを兼ねるカラーフィルターを備える固体撮像装置において、あるカラーフィルターから隣のカラーフィルターに光が入り込むのを抑制できる固体撮像装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る固体撮像装置は、第1受光部、及び第1受光部に離間して第2受光部が形成された半導体基板と、半導体基板上に積層され、第1受光部上の領域に第1の開口部が形成され、第2受光部上の領域に第2の開口部が形成された平坦化膜と、第1の開口部に一部が埋め込まれると共に第1の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第1カラーフィルターと、第2の開口部に一部が埋め込まれると共に第2の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第2カラーフィルターとを備え、第1カラーフィルターの突出した部分と第2カラーフィルターの突出した部分とは離間しており、カラーフィルターの離間領域には、第1カラーフィルターと第2カラーフィルターとのどちらとも異なる屈折率の物質が存在することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、第1受光部、及び第1受光部に離間して第2受光部が形成された半導体基板を形成する工程と、第1受光部上の領域に第1の開口部が形成され、第2受光部上の領域に第2の開口部が形成された平坦化膜を、半導体基板上に形成する工程と、第1の開口部に一部が埋め込まれると共に第1の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第1カラーフィルターを形成する工程と、第2の開口部に一部が埋め込まれると共に第2の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第2カラーフィルターを形成する工程とを含み、第1カラーフィルターの突出した部分と第2カラーフィルターの突出した部分とは離間しており、カラーフィルターの離間領域には、第1カラーフィルターと第2カラーフィルターとのどちらとも異なる屈折率の物質が存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカラーフィルターは、平坦化膜の開口部に埋め込まれると共に当該開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成されており、隣接するカラーフィルターの突出した部分は離間している。また、当該離間領域にはカラーフィルターと異なる屈折率の物質が存在している。
【0012】
一般に、高屈折率部から低屈折率部に向かう光は、その界面で反射しやすいという性質がある。そのため、当該離間領域にカラーフィルターよりも低い屈折率の気体(例えば、空気)や屈折率膜等の物質が存在する場合、あるカラーフィルターから隣のカラーフィルターへ向かう光は、あるカラーフィルターと物質との界面で反射しやすく、あるカラーフィルターの内部に留まりやすく、隣のカラーフィルターに入りにくい。また、当該離間領域にカラーフィルターよりも高い屈折率の物質が存在する場合、光はあるカラーフィルターを透過し、当該離間領域に埋め込まれた物質内に入るが、当該物質と隣のカラーフィルターとの界面で反射しやすく、隣のカラーフィルターには入りにくい。すなわち、当該離間領域にカラーフィルターと異なる屈折率の物質が存在していれば、あるカラーフィルターから隣のカラーフィルターに光が入り込むのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の断面図である。
【図2】図1に示した固体撮像装置の寸法を示す図である。
【図3】図1に示した固体撮像装置の製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図4】図1に示した固体撮像装置の製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図5】図1に示した固体撮像装置の製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図6】図1に示した固体撮像装置の製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図7】図1に示した固体撮像装置の製造工程の一部を模式的に示す工程断面図である。
【図8】本発明の変形例1に係る固体撮像装置の断面図である。
【図9】本発明の変形例2に係る固体撮像装置の断面図である。
【図10】従来の固体撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置100の全体構成
図1は、実施の形態1に係る固体撮像装置100の断面図であり、概ね2画素分を示している。
【0015】
固体撮像装置100は、シリコン基板10、シリコン基板10内に形成された受光部12a,12b、シリコン基板10内に形成された垂直転送チャネル14、シリコン基板10上に形成された絶縁膜20、絶縁膜20上における垂直転送チャネル14に対応する位置に形成された電荷転送電極32、絶縁膜20上における受光部12に対応する位置に形成された反射防止膜22を備える。また、固体撮像装置100は、電荷転送電極32上を覆うように形成された第1遮光膜34、第1遮光膜34を覆う層間絶縁膜30、層間絶縁膜30内に形成された第2遮光膜36、層間絶縁膜30上を覆う水素供給膜38、及び水素供給膜38上に形成された平坦化膜40を備える。さらに、固体撮像装置100は、カラーフィルター50,52、カラーフィルター50,52間に形成された屈折率膜60,カラーフィルター50,52及び屈折率膜60上を覆うように形成された透明膜62を備える。
【0016】
絶縁膜20は、例えば、酸化シリコンからなり、電荷転送電極32は、例えば、多結晶シリコンからなる。反射防止膜22は、例えば、シリコン窒化膜からなる。層間絶縁膜30は、例えば、NSG(Nondoped Silicate Glass)膜やBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜といった低屈折率の材料からなり、第1遮光膜34及び第2遮光膜36は、例えば、タングステンからなる。水素供給膜38は、例えば、プラズマCVD法によるシリコン酸窒化膜からなり、平坦化膜40は、例えば、PSG(Phosphorus Silicon Glass)膜、BPSG膜といった低屈折率の材料からなる。カラーフィルター50,52は、平坦化膜40より高い屈折率を有する材料、例えば、アクリル樹脂やフェノール樹脂からなる。屈折率膜60と透明膜62とは、同じ材料からなり、例えば、シリコン酸化膜からなる。
2.カラーフィルター50,52の形状
平坦化膜40には、受光部12a,12bに対応する位置に、それぞれ開口部40a,40bが形成されている。開口部40aに緑色のカラーフィルター50、開口部40bに赤色のカラーフィルター52が、それぞれ形成されている。カラーフィルターの一部である下部50c,52cは、平坦化膜40の開口部40a,40bにそれぞれ埋め込まれ、カラーフィルターの残りの一部である上部50a,52aは開口部40a,40bから突出しており、その上面がマイクロレンズを兼ねるレンズ状に形成されている。
【0017】
カラーフィルター上部50a,52aは離間しており、当該離間領域には、カラーフィルター50,52のどちらよりも低い屈折率の屈折率膜60が存在する。すなわち、カラーフィルター50,52は離間して形成され、カラーフィルター50,52は接触していないので互いに接触面を有しない。
【0018】
カラーフィルター上部50a,52aは、シリコン基板10に垂直な側面50b,52bを有する。ここで、「垂直な側面」とは、側面50b,52bとシリコン基板10との成す角度が、90°であることはもちろん、製造誤差も考慮して、80°〜100°であることをいう。さらに、感度を高くするためには85°〜95°であることが好ましい。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、カラーフィルター上部50a,52aの離間領域の高さTは、例えば、200nmであり、当該離間領域の幅Lは、例えば、200nmである。当該離間領域の幅Lが200nmあれば、高さや波長によらず漏れ光遮断効果を得ることができる。また、屈折率膜60を屈折率が1.45程度の材料で形成すると、カラーフィルター上部50a,52aの離間領域の幅Lが、例えば、60nm以上であれば、高さや波長によらず漏れ光遮断効果を得ることができる。
【0020】
なお、固体撮像装置100の画素寸法は、例えば、一辺が1.1μmの四角形であって、透明膜62の膜厚Tは、例えば、100nmであり、開口部40bの口径Lは、例えば、350nmである。開口部40a,40bの側面、開口部40a,40bに埋め込まれたカラーフィルター下部50c,52c、及び層間絶縁膜30の側面の一部は、入射した光を積層方向上方から下方の受光部12へと導く光導波路となる。
3.効果
この構成におけるカラーフィルター上部50a,52aの上面はレンズ状に形成されており、マイクロレンズとして働くため、マイクロレンズを別途形成する必要が無く、低背化構造を実現することができる。
【0021】
また、カラーフィルター上部50a,52aは離間しており、当該離間領域には、カラーフィルター50,52のどちらとも屈折率が異なる物質であって、カラーフィルター50,52のどちらよりも屈折率の低い物質である屈折率膜60が埋め込まれている。そのため、例えば、カラーフィルター50内を進行する光の一部が、カラーフィルター50内部で散乱・反射され、カラーフィルター上部50aから隣のカラーフィルター上部52aへ向かっても、カラーフィルター50の側面50bと屈折率膜60との界面で反射しやすく、屈折率膜60内部や隣のカラーフィルター52には入りにくい。よって、あるカラーフィルター50から隣のカラーフィルター52に光が入り込むのを抑制でき、固体撮像装置100の色解像度の低下を抑制できる。さらに、カラーフィルター50の側面50bと屈折率膜60との界面で反射した光は、カラーフィルター50の内部に留まりやすい。よって、光の漏れが少なくなり集光効率が向上し、固体撮像装置100の感度が向上する。
【0022】
カラーフィルター上部50a,52aの上面のレンズ特性を確保するためには、一定範囲内の曲率で当該レンズ状の上面を形成することが望ましい。加えて、カラーフィルター50,52の分光特性を確保するためには、カラーフィルター50,52にある程度の厚みを持たせることが望ましい。ところが、画素寸法を維持しつつ、レンズ状の上面を上記曲率で形成し、カラーフィルター50,52にある程度の厚みを持たせ、カラーフィルター上部50a,52a全体をレンズ状とすると、カラーフィルター上部50a,52aが接触することがある。本実施形態の構成では、カラーフィルター上部50a,52aが、シリコン基板10に垂直な側面50b,52bを有する構成を採っている。そのため、画素寸法を維持しつつ、カラーフィルター上部50a,52aの上面がレンズ特性を確保できるようなレンズ状で、且つカラーフィルター50,52にある程度の厚みを持たせても、カラーフィルター上部50a,52aが接触しない固体撮像装置100を実現できる。
【0023】
この構成において、屈折率膜60及び透明膜62の屈折率は1.45程度、カラーフィルターの屈折率は1.6〜1.8程度、反射防止膜22の屈折率は1.9程度である。上方から入射した光は、透明膜62、カラーフィルター50,52、反射防止膜22と屈折率が高くなる順に、受光部に入るので、透明膜62とカラーフィルター50,52の上面との界面、及びカラーフィルター50,52の底部と反射防止膜22との界面で光の反射が起きにくい。よって、固体撮像装置100の感度が向上する。
【0024】
また、カラーフィルター50,52の屈折率は、層間絶縁膜30、水素供給膜38、及び平坦化膜40の屈折率より高いので、平坦化膜40の開口部40aの側面、開口部40a,40bに埋め込まれたカラーフィルター下部50c,52c、及び層間絶縁膜30の側面の一部は、入射した光を積層方向上方から下方の受光部12へと導く光導波路となる。当該導波路により、固体撮像装置100の感度が向上する。
【0025】
この構成では、平坦化膜40として、熱流動性を有するPSG膜、BPSG膜を用いているため、製造段階でエッチバック法のみならず加熱することにより平坦性を向上でき、加熱処理を採った場合、暗電流や白傷を抑制することができる。
4.固体撮像装置100の製造方法
本発明の実施の形態1における、固体撮像装置100の製造方法について、図3〜7を用いて要部となる工程を説明する。
【0026】
図3(a)に示すように、シリコン基板10上を覆う絶縁膜20上に、電荷転送電極32を形成する。具体的には、受光部12及び垂直転送チャネル14が形成されたシリコン基板10に、例えば、50nmの厚さの絶縁膜20を形成し、絶縁膜20上における垂直転送チャネル14に対応する位置に電荷転送電極32を形成する。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、絶縁膜20上における受光部12に対応する位置に、反射防止膜22を形成する。
さらに、図4(a)に示すように、電荷転送電極32上を覆う第1遮光膜34、第1遮光膜34を覆う層間絶縁膜30、層間絶縁膜30内に形成された第2遮光膜36を形成する。具体的には、各電荷転送電極32上に第1遮光膜34を形成し、第1遮光膜34上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により層間絶縁膜30の材料を堆積する。その後、層間絶縁膜30の材料上に第2遮光膜36を形成し、さらに、第2遮光膜36上に層間絶縁膜30の材料を堆積する。その後、反射防止膜22上における層間絶縁膜30の材料を除去し、層間絶縁膜30とする。
【0028】
図4(b)に示すように、反射防止膜22及び層間絶縁膜30上に水素供給膜材料38a、水素供給膜材料38a上に平坦化膜材料40cを堆積する。具体的には、例えば、プラズマCVD法により水素供給膜38を形成した後、平坦化膜材料40cを堆積し、エッチバック法により、表面を平坦にする。なお、水素供給膜38は、プラズマCVD法を用いて形成された後にアニールされてなる。このアニールによって水素供給膜38に含有されている水素が脱離し、シリコン基板10の表面のダングリングボンドを終端することで界面準位を低下させ、暗電流を低減することができる。
【0029】
図5(a)に示すように、平坦化膜材料40c上に屈折率膜60を形成する。具体的には、屈折率膜60の材料を、CVD法により、平坦化膜材料40c上の全面に亘り堆積した後、フォトレジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によりエッチングすることにより、画素毎に四角形の領域を除去する。この結果、図5(b)に示すように平面視した場合に、メッシュ状のパターンとなる屈折率膜60が形成される。
【0030】
次に、図6(a)に示すように、開口部40a,40bを有する平坦化膜40を形成する。具体的には、受光部12上における平坦化膜材料40cを、例えば、フォトレジストをマスクとしたドライエッチング法によりエッチングし、開口部40a,40bを形成する。ここで、ドライエッチング条件として、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の選択比を大きくすることで、反射防止膜22を突き抜けないようにエッチング量を制御する。平坦化膜材料40cのエッチングと同時に、水素供給膜材料38aもエッチングされ、受光部12上の領域が開口した水素供給膜38が形成される。図6(a)を平面視すると、図6(b)となる。
【0031】
図7(a)に示すように、平坦化膜40の開口部40a及び平坦化膜40上に、緑色のカラーフィルター50を形成する。具体的には、ネガタイプの感光性レジストに、例えば、緑色の顔料を分散させたカラーレジストを全面に塗布し、緑色の画素領域だけに露光して現像することにより、必要な画素のみに緑色のカラーフィルター50を形成する。なお、緑色の画素領域を除くカラーフィルター50の材料は露光されず、現像液に溶解され除去される。
【0032】
なお、画素中央部では厚く周辺部では薄い、上面がレンズ状のカラーフィルター50を形成するためには、露光時のフォトマスクとして画素の中央部に開口を有するマスクを用いて、焦点ボケ状態で露光することで画素周辺部での露光量を調整して形成する。ネガマスクとしてグレースケールマスクを使用することによっても、カラーフィルター上部50aの上面をレンズ状に形成できる。なお、カラーフィルター50の顔料濃度は、光導波路の高さ分の膜厚と分光特性を考慮して設定する。
【0033】
次に、図7(b)に示すように、カラーフィルター上部52aの上面がレンズ状となっている赤色のカラーフィルター52を形成する。製造方法は、図7(a)で示した緑色のカラーフィルター50の形成方法と同様である。また、この図では現れていないが青色のカラーフィルターも同様に形成する。
【0034】
最後に、カラーフィルター上部50a,52a及び屈折率膜60上に亘って連続した透明膜62を形成する。
[変形例]
1.カラーフィルター上部の形状
図8は、本発明の変形例1における、固体撮像装置200の断面図である。カラーフィルター250,252以外の構成は、固体撮像装置100と同じなので説明を省略する。
【0035】
カラーフィルター上部250a,252aの離間領域には、透明膜262がカラーフィルター上部250a,252a上から連続して埋め込まれており、実施の形態1のように、屈折率膜60が別途形成されていない。カラーフィルター側面250b,252bは、実施の形態1における垂直な側面50b,52bとは異なる形状である。また、実施の形態1と比べ、レンズ状のカラーフィルター上部250a,252aの上面は、大きな曲率で形成されている。
【0036】
この構成では、カラーフィルターの側面250b,252bにおける垂直な側面部分はほぼ0であるが、カラーフィルター上部250a,252aは離間しており、カラーフィルター250,252のどちらよりも低い屈折率の物質である透明膜262が埋め込まれている。そのため、あるカラーフィルターから隣のカラーフィルターに光が入り込むのを抑制でき、固体撮像装置200の色解像度の低下を抑制できる。
2.開口部の形状
図9は、本発明の変形例2における、固体撮像装置300の断面図である。平坦化膜340とカラーフィルター350,352以外の構成は、固体撮像装置100と同じなので説明を省略する。
【0037】
平坦化膜340の開口部340a,340bの上部340cが上側に拡がったテーパー状に形成され、カラーフィルター350,352が、当該テーパー状に対応した形状となっている。この平坦化膜340を形成するためには、製造段階で、開口部340a,340bを形成するドライエッチング工程の前に、フォトレジストをマスクとしてウェットエッチングまたは、等方性のドライエッチングを行う。
【0038】
この構成では、実施の形態1等と比べ、開口部340a,340b上部の面積が広くなっているので、光導波路上部の面積が広くなる。そのため、受光部12への光の入射量が増え、集光効率が向上し、固体撮像装置300の感度が向上する。なお、本変形例では、平坦化膜340の開口部340a,340bの一部が上側に拡がったテーパー状である構成を示したが、開口部340a,340b全体が上側に拡がったテーパー状である構成を採っても良い。
3.カラーフィルター上部の離間領域の構成
実施の形態等では、カラーフィルター上部の離間領域に、カラーフィルターよりも屈折率の低い屈折率膜が埋め込まれているが、本発明はこれに限られず、当該離間領域にカラーフィルターと異なる屈折率の物質が存在していれば良い。具体的には、カラーフィルター上部を覆う透明膜を設けず、カラーフィルター上部の離間領域に空気のような気体がある構成や、カラーフィルター上部の離間領域にカラーフィルターよりも屈折率の高い屈折率膜が埋め込まれた構成を採っても良い。当該離間領域にカラーフィルターよりも高い屈折率の物質が存在する場合、光はカラーフィルターを透過し当該物質内に入るが、当該物質と隣のカラーフィルターとの界面で反射しやすく、隣のカラーフィルターには入りにくい。そのため、あるカラーフィルターから隣のカラーフィルターに光が入り込むのを抑制でき、固体撮像装置の色解像度の低下を抑制できる。
4.屈折率膜と透明膜
透明膜の材料は、実施の形態で用いたシリコン酸化膜などの無機材料が望ましいが、低屈折率の透明膜であれば、例えば、アクリルなどの有機材料を用いても良い。無機材料は有機材料と比べ硬度が高いため、無機材料からなる透明膜を用いれば、固体撮像装置の強度を高めることができる。なお、有機材料を用いた塗布による場合、透明膜表面が平坦となる場合があるが、この場合でも実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、実施の形態等では、屈折率膜と透明膜とは同じ材料で構成されている。しかし、例えば、屈折率膜をシリコン酸化膜、透明膜をアクリル、のように、屈折率膜と透明膜とを異なる材料で形成しても良い。なお、屈折率膜の高さ及び形状は、分光特性や加工の容易性などを鑑みて、任意に決定できる。
5.水素供給膜
実施の形態等では、水素供給膜が形成されているが、水素供給膜を用いない構成を採っても良い。また、水素供給膜の材料は、実施の形態で用いたプラズマCVD法による酸窒化膜の他にも、PSG膜NSG膜やP−TEOS(プラズマテトラエトキシシラン)膜を用いても良い。
6.その他
実施の形態等では、CCDタイプの固体撮像装置を用いたが、MOSタイプの固体撮像装置を用いても良い。
【0040】
なお、本発明に係る固体撮像装置の構成などは、上記実施の形態に係る固体撮像装置の構成に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形および応用が可能である。そして、技術的思想を逸脱しない範囲において、上述の各工程で使用したプロセスを、他の等価なプロセスに置換することが可能である。また、工程順を入れ替えることも、材料種を変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、デジタルカメラ等に利用でき、画質の劣化が抑制された固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0042】
100,200,300,900 固体撮像装置
10,910 シリコン基板
12,912 受光部
14 垂直転送チャネル
40,340 平坦化膜
50,52,250,252,350,352,950 カラーフィルター
60 屈折率膜
62,262 透明膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1受光部、及び前記第1受光部に離間して第2受光部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板上に積層され、前記第1受光部上の領域に第1の開口部が形成され、前記第2受光部上の領域に第2の開口部が形成された平坦化膜と、
前記第1の開口部に一部が埋め込まれると共に前記第1の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、前記平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第1カラーフィルターと、
前記第2の開口部に一部が埋め込まれると共に前記第2の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、前記平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第2カラーフィルターと
を備え、
前記第1カラーフィルターの前記突出した部分と前記第2カラーフィルターの前記突出した部分とは離間しており、
前記カラーフィルターの離間領域には、前記第1カラーフィルターと前記第2カラーフィルターとのどちらとも異なる屈折率の物質が存在する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記物質は、前記第1カラーフィルターと前記第2カラーフィルターとのどちらよりも低い屈折率の屈折率膜である
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1カラーフィルター及び前記第2カラーフィルターの前記平坦化膜の第1及び第2の開口部から突出した部分は、前記半導体基板に垂直な側面をそれぞれ有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1カラーフィルター及び前記第2カラーフィルター上を覆うように、さらに、前記屈折率膜が拡がっている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記平坦化膜の第1及び第2の開口部は、上側に拡がったテーパー状の部分を有する
ことを特徴とする1から4いずれかに記載の固体撮像装置
【請求項6】
前記第1開口部内において前記第1カラーフィルターの下に、前記第1カラーフィルターの屈折率より高い屈折率を有する第1反射防止膜と、
前記第2開口部内において前記第2カラーフィルターの下に、前記第2カラーフィルターの屈折率より高い屈折率を有する第2反射防止膜と
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の固体撮像装置
【請求項7】
前記第1の開口部内において前記第1カラーフィルターと前記第1反射防止膜とが接しており、
前記第2の開口部内において前記第2カラーフィルターと前記第2反射防止膜とが接している
ことを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
第1受光部、及び前記第1受光部に離間して第2受光部が形成された半導体基板を形成する工程と、
前記第1受光部上の領域に第1の開口部が形成され、前記第2受光部上の領域に第2の開口部が形成された平坦化膜を、前記半導体基板上に形成する工程と、
前記第1の開口部に一部が埋め込まれると共に前記第1の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、前記平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第1カラーフィルターを形成する工程と、
前記第2の開口部に一部が埋め込まれると共に前記第2の開口部から残りの一部が突出し、突出した部分の上面がレンズ状に形成された、前記平坦化膜の屈折率よりも高い屈折率を有する第2カラーフィルターを形成する工程と
を含み、
前記第1カラーフィルターの前記突出した部分と前記第2カラーフィルターの前記突出した部分とは離間しており、
前記カラーフィルターの離間領域には、前記第1カラーフィルターと前記第2カラーフィルターとのどちらとも異なる屈折率の物質が存在する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1のカラーフィルター及び前記第2のカラーフィルターを形成する工程では、
前記第1のカラーフィルター及び前記第2のカラーフィルターの突出した部分のレンズ状の上面は、焦点をずらした露光によって形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1のカラーフィルター及び前記第2のカラーフィルターを形成する工程では、
前記第1のカラーフィルター及び前記第2のカラーフィルターの突出した部分のレンズ状の上面は、グレースケールマスクによって形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の開口部を形成する工程の後であって、
前記第1のカラーフィルター及び前記第2のカラーフィルターを形成する工程の前に、
前記平坦化膜に等方性のドライエッチングを行なう工程
をさらに含む
ことを特徴とする請求項8から10いずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1及び前記第2受光部を形成する工程の後であって、
前記平坦化膜を形成する工程の前に、
前記第1受光部上に、第1反射防止膜を形成する工程と、
前記第2受光部上に、第2反射防止膜を形成する工程と
をさらに含み、
前記第1及び前記第2の開口部を形成する工程では、
前記第1及び第2反射防止膜まで開口する
ことを特徴とする請求項8から11いずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−186363(P2012−186363A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49180(P2011−49180)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】