説明

固体酸化物形燃料電池システム

【課題】改質器への燃料添加量の制御で燃料極の破損、性能低下を抑えることができる固体酸化物形燃料電池システムを提供する。
【解決手段】原燃料ガスを水蒸気改質するための改質器4と、改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元により発電を行うための複数の燃料電池セルを備えたセルスタック6と、原燃料ガスを供給するための燃料ポンプ16と、改質水を供給するための水ポンプ42と、改質器にメタノール及び水の混合液を供給するための混合液ポンプ60とを備えた固体酸化物形燃料電池システムであり、原燃料ガスの供給量及び/又は改質水の供給量が異常に低下したり、セルスタック6の温度が所定温度以上であるときに異常停止稼動モードが設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元により発電する燃料電池セルを備えた固体酸化物形燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池システムにおける燃料電池セルは、酸素イオンを伝導する固体電解質を備え、この固体電解室の片側に燃料ガスを酸化する燃料極が設けられ、その他側に空気中の酸素を還元する空気極が設けられている。固体電解質の材料としては、一般的にイットリアをドープしたジルコニアが用いられており、600〜1000℃の高温で、燃料ガス(例えば、天然ガス、都市ガスなど)中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化材ガス(例えば、空気など)中の酸素が電気化学反応して発電が行われる。固体酸化物形燃料電池システムは、他の燃料電池システムやガスエンジンなどに比べて、特に高発電効率での発電が可能なことから、有望な発電技術として開発が行われている。
【0003】
このような固体酸化物形燃料電池システムは、600℃以上の高温条件で作動することから、燃料電池セルの空気極側には酸化雰囲気で熱力学的に安定な酸化物材料が用いられ、またその燃料極側には還元雰囲気で安定な金属材料及び酸化物材料の混合物が用いられ、発電中及び起動・停止時の高温状態(300〜400℃以上の温度状態)では、空気極側は酸化雰囲気ガスが流れ、また燃料極側は還元雰囲気ガスが流れている必要がある。
【0004】
この空気極の材料としては、ランタンマンガナイト系酸化物、ランタンコバルタイト系酸化物、ランタンフェライト系酸化物などが用いられており、これらの材料は、500℃以上の高温状態で還元雰囲気にさらされると、速やかに還元されて膨張し、クラックや剥離が発生し性能が低下する。またこの燃料極の材料としては、ニッケルと酸化ジルコニウムなどからなるサーメット(「ニッケルサーメット」と称されている)などが用いられており、このニッケルサーメットは、ニッケルの粒子サイズにもよるが、350〜400℃以上で酸化雰囲気にさらされると、次のように反応して、ニッケルが酸化ニッケル(NO)に酸化する。
【0005】
2N(s)+O2(g)→2NO(s)
この酸化反応は、酸素分圧が酸化するレベルにあれば高温ほど速度が大きく、ニッケル粒子の表面から進行する。固体酸化物形燃料電池(燃料電池セル)では、発電時は改質燃料ガスが送給されて燃料極側が高温・還元雰囲気に保持されるため、ニッケル粒子の酸化した部分が還元されて金属ニッケルとなる。このようなことから、燃料電池セルの燃料極や構造支持体に用いられているニッケルサーメットの酸化、還元の繰り返しにより、ニッケルサーメットの微構造の変化や寸法変化が起こり、燃料電池セルの割れや性能低下の原因となることが知られている。そのため、燃料極側の酸化、還元の繰り返しに対して耐性のある燃料電池セルの開発などが行われている。
【0006】
一般的に、中大型の固体酸化物形燃料電池システムでは、いかなる状況でも高温時は燃料極側に還元性ガスが、空気極側に空気が流れるように構成され、例えば燃料電池セルに関連して高圧ボンベラックが設けられ、この高圧ボンベラックから燃料極側に還元性ガス(窒素−水素混合ガスなど)が供給されるように構成されている。しかし、小型の固体酸化物燃料電池システム(特に、家庭用コージェネレーションシステムに用いる燃料電池システム)では いかなる状況でも高温時は燃料極側に還元性ガスが、空気極側に空気が供給されるようにすることは、初期コスト、メンテナンスコストが高くなり、また設置スペースや高圧ガスの保管という法規制の面からも容易ではない。
【0007】
このようなことから、燃料電池システムにおける燃料電池セルの燃料極側に還元性ガスを供給するために、メタノール水溶液などを添加することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、燃料電池システムの停止時にジメチルエーテルを添加する(これに加えて水を添加するのが望ましい)ことも知られている(例えば、特許文献2参照)。これらの燃料電池システムでは、メタノール(又はジメチルエーテル)の水蒸気改質によって還元性ガスが生成され、生成された還元性ガスが燃料電池の酸素極側に供給され、それ故に、燃料極の酸化を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005−535072号公報
【特許文献2】特開2006−310128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
都市ガスを利用した家庭用コージェネレーションシステムに用いる固体酸化物形燃料電池システムにおいては、この燃料電池システムの起動、稼動停止時に、都市ガスを水蒸気改質して生成される水素リッチガスが固体酸化物形燃料電池(燃料電池セル)の燃料極側に供給され、この水素リッチガスでもって還元雰囲気が保たれるようになっている。起動時には、都市ガスの供給量が多くなるようにし、これによって、水素リッチガスの燃焼により固体酸化物形燃料電池などが昇温されるようになる。また、停止時には、都市ガスの供給量が少なくなるようにし、これによって、還元性ガスを流しながらも固体酸化物形燃料電池(燃料電池セル)自体の温度が下がるような熱バランスが保たれるようになっている。
【0010】
しかし、原燃料ガスとしての都市ガス供給系の故障や、水蒸気改質用の水供給系の故障が発生した(即ち、異常停止状態)とき、天然ガスを水蒸気改質して水素リッチガスを固体酸化物形燃料電池(燃料電池セル)の燃料極側に供給することができず、このことに起因して、異常停止状態のときに燃料電池セルの破損や性能低下が生じるおそれがある。
【0011】
家庭用コージェネレーションシステムでは、家庭用機器として求められる耐久性を高い確率で確保するとともに、システムとしての必要な初期コスト・メンテナンスコストの条件下での異常停止状態でも燃料極側に還元性ガスを流す手段を講じる必要であるが、例えばメタノール水溶液などを添加すること(特許文献1)は、燃料電池セルの燃料極側に還元性ガスを流す手段として有効であるが、家庭用コージェネレーションシステムへの適用においては、メンテナンス間隔(2〜3年)に想定される最大の異常停止回数(例えば、10回以上)に対応するためのメタノール水溶液などの添加量の制御方法に課題があり、このような課題を満たすためには、メタノールの添加量を最小にしつつ、必要な保護が達成される必要がある。このような課題は、ジメチルエーテルを添加する(特許文献2)ときにも同様の課題がある。
【0012】
本発明の目的は、非常停止に対する基本的な耐性を生かした上で、最小限の添加量でもって燃料電池セルの燃料極の破損、性能低下を著しく抑えることができる固体酸化物形燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システムは、原燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元により発電を行うための複数の燃料電池セルを備えたセルスタックと、前記改質器に原燃料ガスを供給するための燃料ポンプと、前記改質器に改質水を供給するための水ポンプと、前記改質器にメタノール及び水の混合液を供給するための混合液ポンプと、前記燃料ポンプ、前記水ポンプ及び前記混合液ポンプを制御するための制御手段とを備えた固体酸化物形燃料電池システムであって、
前記制御手段は、高温異常停止状態であることを判定する異常停止判定手段と、異常停止稼動モードを設定する異常停止稼動モード設定手段とを含み、前記異常停止判定手段は、前記燃料ポンプからの原燃料ガスの供給量及び/又は前記水ポンプからの改質水の供給量が異常に低下し且つ前記セルスタックの温度が所定温度以上であると高温異常停止状態と判定し、前記異常停止稼動モード設定手段は、前記異常停止判定手段の高温異常停止状態の判定に基づき異常停止稼動モードを設定し、前記異常停止稼動モードにおいては、前記制御手段は前記混合液ポンプを作動し、前記混合液ポンプによって混合液が前記改質器に供給されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池システムでは、前記所定温度は前記燃料電池セルの前記燃料極の酸化が起こる酸化温度であり、前記セルスタックの温度が前記酸化温度以上のときに前記異常停止判定手段が高温異常停止状態と判定すると、前記異常停止稼動モード設定手段は前記異常停止稼動モードを設定し、前記異常停止稼動モードにおいて、前記制御手段は前記混合液ポンプを作動して混合液を前記改質器に供給し、この状態において前記セルスタックの温度が前記酸化温度より低い停止温度まで低下すると、前記制御手段は、前記異常停止稼動モードを解除して前記混合液ポンプの作動を停止することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池システムでは、前記異常停止稼働モードにおいては、前記制御手段は、前記セルスタックの温度に基づいて前記混合液ポンプを作動制御して前記改質器に供給される混合液の供給量を調整することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池システムでは、前記異常停止稼動モードにおいては、前記制御手段は、前記セルスタックにおける1セル当たりのセル電圧が0.75〜0.85Vより大きくなるように前記混合液ポンプを作動制御して前記改質器に供給される混合液の供給量を調整することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池システムでは、前記混合液は、前記メタノール及び水に加えてエタノールを含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システムによれば、原燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元により発電を行うための複数の燃料電池セルを備えたセルスタックと、改質器に原燃料ガスを供給するための燃料ポンプと、改質器に改質水を供給するための水ポンプと、改質器にメタノール及び水の混合液を供給するための混合液ポンプとを備え、セルスタックの温度が所定温度以上であるときに燃料ポンプからの原燃料ガスの供給量(及び/又は水ポンプからの改質水の供給量)が異常に低下すると、異常停止判定手段は高温異常停止状態と判定し、異常停止稼動モード設定手段は、高温異常停止判定手段が異常停止状態と判定すると異常停止稼動モードを設定する。そして、異常停止稼動モードにおいては、混合液ポンプが作動され、混合液ポンプによって混合液が改質器に供給されるので、この改質器における混合液(メタノール)の水蒸気改質によって還元性ガスが生成され、生成された還元性ガスがセルスタックの燃料極側に送給される。従って、原燃料ガスの供給量(及び/又は改質水の供給量)が異常に低下して水蒸気改質をほとんど行うことができない状態であっても、混合液ポンプから供給された混合液による水蒸気改質により還元性ガスを生成することができ、この還元性ガスによってセルスタックにおける燃料極の酸化を抑えることができる。
【0019】
セルスタックの燃料極(例えば、ニッケルサーメットから形成されている)は、所定温度以上の高温状態では酸化速度が速く、このような高温状態において酸化を抑制するために混合液の供給が行われるが、この所定温度よりも低いときには、セルスタックの燃料極の酸化はほとんど問題とならず、このようなときには混合液の供給は行われない。このように燃料極の酸化が起こり易いときのみ混合液の供給を行うことによって、混合液の使用量を少なく抑えて長期にわたって燃料極の酸化を抑えることが可能となる。
【0020】
また、本発明の請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池システムによれば、異常停止稼動モードを設定する際の基準となる所定温度は、燃料電池セルの燃料極の酸化が起こる酸化温度であり、燃料極としてニッケルサーメットを用いた場合、この酸化温度は450℃程度に設定され、450℃以上の温度状態で異常停止判定手段が高温異常停止状態と判定すると異常停止稼動モードの運転が遂行される。そして、この異常停止稼動モードの運転中にセルスタックの温度が停止温度まで低下すると、この異常停止稼動モードの運転が終了する。異常停止稼動モードの運転を終了する際の基準となる停止温度は、燃料電池セルの燃料極の酸化が起こらない又はほとんど起こらない温度であり、燃料極としてニッケルサーメットを用いた場合、この停止温度は300〜450℃程度に設定される。
【0021】
また、本発明の請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池システムによれば、異常停止稼働モードの運転中においては、セルスタックの温度に基づいて改質器に供給される混合液の供給量が調整され、このように混合液の供給量を調整することによって、必要最小限の混合液を供給するようにして長期にわたって燃料電池セルの燃料極の酸化を抑えることが可能となる。この温度に基づく混合液の供給量の調整は、セルスタックの温度が高温ほどその供給量を多くするのが望ましく、このようにすることによって、酸化し易い環境においてより多くの還元性ガス(改質器において改質されたガス)がセルスタック(燃料電池セル)の燃料極側に供給され、混合液の供給量を最小限にしながらセルスタックの燃料極の酸化を抑えることができる。
【0022】
また、本発明の請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池システムによれば、異常停止稼動モードの運転中においては、セルスタックにおける1セル当たりのセル電圧が0.75〜0.85Vより大きくなるように改質器に供給される混合液の供給量が調整されるので、必要最小限の混合液を供給するようにして長期にわたって燃料電池セルの燃料極の酸化を抑えることが可能となる。
【0023】
一般的に、固体酸化物形燃料電池システムでは、燃料ガス及び燃料ガスを水蒸気改質する改質用の水が遮断された状態では、セルスタックの1セル当たりの電圧(セルスタックの電圧÷直列接続された燃料電池セル数)は0.6〜0.8V(セルスタックの温度が約600℃程度の温度状態の場合)程度になる。このようなことから、セルスタックの出力電圧が1セル当たり0.75〜0.85Vより大きくなるように混合液(メタ−ノールと水の混合液)の供給流量を制御することで、その供給流量を最小限に抑えながら燃料電池セルの燃料極(例えば、ニッケルサーメット)の酸化速度を低く管理し、最小限の添加量で異常停止稼動モードでの信頼性を大幅に向上させることができる。
【0024】
例えば、ニッケルサーメット(ニッケル粒子)の還元は、比較的低温(例えば300℃以下の温度環境)では速やかに進むが、その酸化は、温度及び時間に依存しながら還元に比べると高温(例えば、400℃以上)でゆっくりと進行し、このような特性から、ニッケルサーメットが完全に酸化をしない雰囲気自体にすること(還元性ガスを十分に流す)は行わず、ニッケルの酸化速度を抑制できる程度に混合液の供給量を制御するものであり、このようにすることによって、混合液(メタ−ノールと水の混合液)の消費を抑制し“異常停止”に対応できる信頼性回数を増加させることができる。

更に、本発明の請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池システムによれば、メタノール及び水の混合液にエタノールが添加されているので、共沸点ができ、極端に水だけとなる状態になるおそれがなくなり、セルスタックの燃料極側に確実に還元性ガスを供給することができる。
【0025】
一般に、“非常停止”は定期的な動作ではないため、数ヶ月〜1年以上動作させないことがあり、このようなときには、メタノールと水との混合液が改質器に供給するための流路に長期滞留することになり、このような場合、混合液中のメタノールが蒸発しきり、ほぼ水だけとなるおそれがあるが、この混合液にエタノールを添加することによって、極端に水だけとなることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に従う固体酸化物形燃料電池システムの一実施形態を示す簡略図。
【図2】図1の固体酸化物形燃料電池システムの制御系を示すブロック図。
【図3】図2の制御系による運転制御の流れを示すフローチャート。
【図4】混合液を添加したときの1セル当たりの電圧とセルスタックの温度との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う固体酸化物形燃料電池システムの一実施形態について説明する。図1において、図示の固体酸化物形燃料電池システム2は、燃料としての原燃料ガス(例えば、天然ガス、都市ガス)を改質するための改質器4と、改質器4にて改質された改質燃料ガス及び酸化材としての空気の酸化及び還元によって発電を行うセルスタック6とを備えている。セルスタック6は、電気化学反応によって発電を行うための複数の固体酸化物形の燃料電池セル(図示せず)を配列して構成されている。セルスタック6の各燃料電池セルは、酸素イオンを伝導する固体電解質と、固体電解質の一方側に設けられた燃料極と、固体電解質の他方側に設けられた空気極とを備えており、固体電解質として例えばイットリアをドープしたジルコニアが用いられる。
【0028】
セルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極側は、改質燃料ガス送給ライン8を介して改質器4に接続され、この改質器4は、燃料ガス・水蒸気送給ライン10を介して気化混合器12に接続され、この気化混合器12は燃料ガス供給ライン14を介して例えば埋設管、貯蔵タンクなどの原燃料ガス供給源(図示せず)に接続されている。この燃料ガス供給ライン14には燃料ポンプ16、脱硫器18及び開閉弁20が配設されている。脱硫器18は、原燃料ガスに含まれている硫黄成分を除去し、燃料ポンプ16は、燃料ガス供給ライン20を通して供給される原燃料ガスを昇圧する。また、開閉弁20は、燃料ガス供給ライン14を開閉し、開状態のときには原燃料ガスを供給し、閉状態のときには原燃料ガスの供給を停止する。この燃料ガス供給ライン14には第1流量検知手段22(燃料ガス流量センサ)が配設され、第1流量検知手段22は燃料ガス供給ライン14を通して流れる原燃料ガスの流量を計測し、この第1に流量検知手段22の検知流量値をモニターしながら燃料ポンプ16の回数が制御され、これによって燃料ガス供給ライン20を通して供給される原燃料ガスの供給量が制御される。また、計測値を用いて燃料ガス供給系の異常を検知する。
【0029】
セルスタック6の空気極側は、空気送給ライン24を介して空気を予熱するための空気予熱器26に接続され、この空気予熱器26は、空気供給ライン28を介して空気ブロア30に接続され、この空気ブロア30の回転数を制御することによって、空気供給ライン28を通してセルスタック6(複数の燃料電池セル)の空気極側に供給される空気の供給量が制御される。この空気供給ライン28には、第2流量検知手段32(空気流量センサ)が配設され、第2流量センサ32は、空気供給ライン28を通して供給される空気の流量を計測する。この空気供給ライン28及び空気ブロア30は、セルスタック6の空気極側に空気を供給するための空気供給手段33を構成する。
【0030】
セルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極側及び空気極側の各排出側には燃焼室34が設けられ、燃料極側から排出された反応燃料ガス(残余燃料ガスを含む)と空気極側から排出された空気(酸素を含む)とが燃焼室34に送給されて燃焼され、この燃焼熱を利用して改質器4、セルスタック6及び気化混合器12が加熱される。この燃焼室34は排気ガスライン36を介して空気予熱器26に接続され、この空気予熱器26には排気ガス排出ライン38が接続されている。
【0031】
この固体酸化物形燃料電池2では、原燃料ガスを改質するための水(改質用水)を供給するための水供給ライン40が気化混合器12接続され、この水供給ライン40に水ポンプ42が配設されている。この水供給ライン40は、改質に用いる水を貯める水タンク44に接続され、水タンク44内の水は、水ポンプ42によって水供給ライン40を通して気化混合器12に供給され、水ポンプ42の回転数を制御することによって、改質に用いる水の供給量が制御される。
【0032】
この形態では、水タンク44、水供給ライン40及び水ポンプ42が、気化混合器12(換言すると、改質器4)に水を供給するための水供給手段46を構成し、水供給手段46の水供給ライン40に第3流量検知手段48(水検知センサ)が配設され、この第3流量検知手段48は、水供給ライン40を通して供給される改質用水の流量を計測し、この計測値を用いて水供給系の異常を検知する。尚、原燃料ガスを改質するための水は、水タンク44から供給することに代えて、例えば燃焼室34からの排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮回収して得られる凝縮水を用いるようにしてもよい。
【0033】
この形態では、内部が断熱材によって覆われた電池ハウジング50が設けられ、この電池ハウジング50は、稼動運転時に高温に保持される高温空間52を規定し、この高温空間52内に、改質器4、セルスタック6、気化混合器12及び空気予熱器26が収納されている。
【0034】
この固体酸化物形燃料電池システム2の稼動運転は、次のようにして行われる。原燃料ガス供給源(図示せず)からの原燃料ガスは、燃料ガス供給ライン14を通して気化混合器12に供給される。また、水タンク44からの水は、水供給ライン40を通して気化混合器12に供給される。気化混合器12においては、供給された原燃料ガス及び水が加熱され、水は気化して水蒸気となり、加熱された原燃料ガス及び水蒸気が燃料ガス・水蒸気送給ライン10を通して改質器4に送給される。
【0035】
改質器4には、水蒸気改質を促進するための改質触媒が充填されており、この改質器4に送給された原燃料ガスは水蒸気によって水蒸気改質され、このように改質された改質燃料ガスが改質燃料ガス送給ライン8を介してセルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極側12に供給される。また、空気ブロア30からの空気は、空気供給ライン28を介して空気予熱器26に供給され、この空気予熱器26において排気ガスとの間で熱交換されて加温された後に、空気送給ライン24を介してセルスタック6の空気極側に送給される。
【0036】
セルスタック6では、燃料極側において改質された改質燃料ガスが酸化され、その空気極側において空気中の酸素が還元され、燃料極側の酸化及び空気極側の還元による電気化学反応により発電が行われる。セルスタック6の燃料極側からの反応燃料ガス及び空気極側からの空気は燃焼室34に排出され、空気中の酸素を利用して余剰の燃料ガスが燃焼され、この燃焼熱を利用して改質器4が改質温度に維持され、気化混合器12が気化混合温度に維持される。
【0037】
燃焼室34からの排気ガスは、排気ガスライン36を介して空気予熱器26に送給され、この空気予熱器26において空気ブロア30からの空気との熱交換に用いられた後、排気ガス排出ライン38を通して大気に排出される。
【0038】
この固体酸化物形燃料電池システム2では、異常停止時におけるセルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極の酸化を防止するために、更に、次のように構成されている。この実施形態では、気化混合器12(換言すると、改質器4)に関連して、メタノールと水との混合液を供給するための混合液供給手段54が設けられている。混合液供給手段54は、この混合液を貯める混合液タンク56と、この混合液タンク56内の混合液を気化混合器12に供給する混合液供給ライン58とを備え、この混合液供給ライン58に混合液ポンプ60が配設されている。このように構成されているので、混合液ポンプ60が作動すると、混合液タンク56内の混合液が、混合液供給ライン58を通して気化混合器12に供給され、この気化混合器12を通して改質器4に送給される。更に、セルスタック6に関連して、セルスタック6の温度を検知するための温度検知手段62が設けられている。
【0039】
尚、この実施形態では、混合液を気化混合器12を介して改質器4に送給しているが、このような構成に代えて、この混合液を混合液供給ライン58を通して直接的に改質器4に送給するようにしてもよい。
この固体酸化物形燃料電池システム2は、燃料ガス供給系及び又は水供給系に異常状態が発生して異常停止するときに、図2に示す制御系によって作動制御される。固体酸化物形燃料電池システム2は、更に、このシステムを制御するための制御手段72を有し、この制御手段72は、例えば、マイクロプロセッサから構成される。図示の制御手段72は、作動制御手段74、異常停止判定手段76、異常停止稼動モード設定手段78及びメモリ手段80を含んでいる。作動制御手段74は、燃料ポンプ16、水ポンプ42、空気ブロア30及び混合液ポンプ60などを作動制御し、異常停止判定手段76は、後述する条件を満たしたときに異常停止状態と判定し、異常停止稼動モード設定手段78は、異常停止判定手段76が異常停止状態と判定したときに異常停止稼動モードを設定する。また、メモリ手段80には、異常停止状態と判定する際の基準温度となる酸化温度と、異常停止稼動モードの運転を終了する際の基準温度となる停止温度とが、予め記憶されている。
【0040】
この異常停止状態の判定基準となる酸化温度は、セルスタック6(燃料電池セル)の燃料極として例えばニッケルサーメットを用いた場合、この酸化温度は450℃程度に設定され、セルスタック6の温度(即ち、温度検知手段62の検知温度)が450℃以上の温度状態のときに、後述するように異常停止判定手段が異常停止状態と判定する。異常停止稼動モードの運転終了の基準温度となる停止温度は、燃料電池セルの燃料極の酸化が起こらない又はほとんど起こらない温度であり、燃料極として例えばニッケルサーメットを用いた場合、この停止温度は300〜450℃程度に設定され、異常停止稼動モードの運転中にセルスタック6の温度がこの停止温度まで低下すると、異常停止稼動モードの運転が終了する。
【0041】
温度検知手段62及び第1〜第3流量検知手段22,32,48からの検知信号は制御手段72に送給され、これら検知手段22の検知温度並びに第1〜第3流量検知手段32,48,62の検知流量に基づいて、この固体酸化物形燃料電池システム2は、図3に示すように制御される。
【0042】
図1及び図2とともに図3を参照して、この固体酸化物形燃料電池システム2の通常稼動運転中に異常停止状態が発生した場合の制御動作について説明する。例えば燃料ポンプ16が故障などして燃料ガス供給ライン14を通して供給される燃料ガスの供給量(第1流量検知手段22の検知流量)が異常に低下する(及び/又は例えば水ポンプ42が故障などして水供給ライン48を通して供給される改質用水の供給量(第3流量検知手段48の検知流量)が異常に低下する)と、制御手段72は異常停止状態が発生したと判定し、ステップS1からステップS2を経てステップS3に進む。一方、通常稼動運転中にシステムの運転を停止すると、ステップS2からステップS4を経てステップS5に移り、固体酸化物形燃料電池システム2は、混合液供給手段54からの混合液を使用することなく、通常の通りにして稼動停止する。
【0043】
固体酸化物形燃料電池システム2の異常停止状態が発生してステップS3に進むと、セルスタック6の温度検知が行われる。即ち、温度検知手段62はセルスタック6の温度を検知し、この温度検知手段62からの検知信号が制御手段72に送給される。そして、温度検知手段62の検知温度が上記酸化温度(例えば、450℃)以上であると、ステップS6からステップS7に進み、異常停止判定手段76が高温異常停止状態と判定する。一方、温度検知手段62の検知温度が上記酸化温度よりも低いと、セルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極の酸化が発生しない又はほとんど発生しないとして、制御手段72は固体酸化物形燃料電池システム2を異常停止する(ステップS8)。即ち、混合液ポンプ60を作動させることなく、制御手段72は、燃料ポンプ16、水ポンプ42及び空気ブロア30を作動停止する。
【0044】
ステップS7において高温異常停止状態と判定されると、セルスタック6の温度が高くてその燃焼極の酸化が進行するとして、異常停止稼働モード設定手段78は、異常停止判定手段76の高温異常停止状態の判定に基づいて異常停止稼働モードを設定する(ステップS9)。かくすると、異常停止稼働モードの運転が行われ、混合液供給手段54が作動して混合液(メタノールと水との混合液)の供給が行われる(ステップS10)。即ち、作動制御手段74は混合液ポンプ60を作動し、混合液タンク56内の混合液が混合液供給ライン58を通して気化混合器12に供給され、この気化混合器12において、混合液中のメタン−ルが加熱されるとともに、混合液中の水が気化して水蒸気となる。そして、加熱されたメタノールと水蒸気が改質器4に送給され、この改質器4において、メタノールが水蒸気改質されて水素を含む還元性ガスが生成され、この水蒸気改質された改質ガス(還元性ガス)が改質燃料ガス送給ライン8を通してセルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極側に送給される。
【0045】
このように、燃料ガスの供給量が異常に低下する(及び/又は改質用水の供給量が異常に低下する)と、改質器4において改質燃料ガスの生成が行われなくなり、セルスタック6の燃料極が酸化が進行するおそれがあるが、このように混合液を供給してメタノールの水蒸気改質ガスをセルスタック6の燃料極側に送給することによって、この酸素極側を還元性ガスの環境状態に保つことができ、その結果、セルスタック6の燃料極の酸化進行を抑えることができる。
【0046】
この混合液ポンプ60の作動は、セルスタック6の温度(温度検知手段62の検知温度)が停止温度(300〜450℃の範囲内で設定される温度)に低下するまで行われ、この停止温度まで低下すると、ステップS11からステップS12に進み、セルスタック6の燃料極の酸化が起こらない又はほとんど起こらないとして、固体酸化物形燃料電池システム2が異常停止される。即ち、制御手段72は、燃料ポンプ16、水ポンプ42、空気ブロア30及び混合液ポンプ60の作動を停止し、このようにして異常停止稼働モードの運転を経た後に異常停止される。
【0047】
この実施形態では、異常停止稼働モードの運転中に燃料ポンプ16及び水ポンプ42を作動させているが、この運転中においては混合液供給手段54が混合液を供給するので、燃料ポンプ16及び水ポンプ42を作動停止するようにしてもよい。
【0048】
異常停止稼働モードの運転中における混合液供給手段54からの混合液(メタノールと水との混合液)の供給は、セルスタック6の温度に基づいて混合液ポンプ60の回転数を制御して供給量を調整するようにするのが望ましい。即ち、セルスタック6の温度が高いほど混合液の供給量を多くし、停止温度に近づくにつれて混合液の供給量を少なくするのが好ましく、このように供給量を調整することによって、混合液の使用量を少なく抑えながらセルスタック6の燃料極の酸化進行を効果的に抑えることができる。尚、この場合、例えばセルスタック6の温度と混合液ポンプ60の回転数との関係を示す制御マップ(図示せず)を制御手段72のメモリ手段80に登録し、この制御マップに基づいて混合液ポンプ60を作動制御するようにすればよい。
【0049】
また、この異常停止稼働モードの運転中においては、セルスタック6の温度に基づいて混合液ポンプ60を作動制御することに代えて、セルスタック6の出力電圧に基づいて混合液60を作動制御するようにすることもできる。即ち、セルスタック6における1セル当たりのセル電圧が0.75〜0.85Vより大きくなるように混合液ポンプの回転数を制御して混合液の供給量を制御するようにしてもよく、このようにセル電圧を制御することによって、セルスタック6の燃料極側が、混合液による改質ガスにより還元状態に保たれてその酸化進行が抑えられ、必要最小限の混合液の使用によってセルスタック6の燃料極の酸化進行を効果的に抑えることができる。この場合、例えばセルスタック6に出力電圧を検知する電圧検知手段(図示せず)を設け、また制御手段72にこの電圧検知出段の検知電圧に基づいて燃料電池セル一つ当たり(1セル当たり)の出力電圧を演算する単位出力電圧演算手段を含め、この単位出力電圧演算手段による1セル当たりの出力電圧に基づいて混合液ポンプ60を作動制御するようにすればよい。
【0050】
また、混合液供給手段54から供給する混合液としてメタノールと水とを混合したものを用いているが、メタノールと水とに加えてエタノールを混合したものを用いるようにしてもよく、このようにエタノールを添加することによって共沸点ができ、水だけとなるようなおそれがなくなり、セルスタック6の燃料極側に還元性ガスを確実に供給することが可能となる。
【0051】
尚、空気ブロア30が停止継続した際に、混合液を供給するとセルスタック6の空気極側までが還元雰囲気になる可能性があり、その場合、空気極が還元されダメージを受けることになるので、混合液を供給する際には空気ブロア30を稼働させるのが望ましい。また、空気ブロア30の稼働により、セルスタック6の温度は空気ブロア30を作動させないときに比べ速やかに低下して燃料極側の酸化程度が軽減されるメリットもある。
【0052】
以上、本発明に従う固体酸化物形燃料電池システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、気化混合器12と改質器4とを別体に構成しているが、このような構成に限定されず、気化混合器12及び気化器4を一体的に構成するようにしてもよい。
【0054】
また、例えば、上述した実施形態では、混合器として気化混合器12を用い、この気化混合器12において改質に用いる水を気化させて水蒸気を生成するとともに、生成した水蒸気と原燃料ガスとを混合させているが、このような構成に代えて、改質に用いる水を気化させる専用の気化器を設け、この水を気化器において気化させて水蒸気を生成し、生成した水蒸気及び原燃料ガスを混合器に送給し、この混合器において水蒸気と原燃料ガスとを混合させるようにしてもよい。
【0055】
本発明の効果を確認するために次の通りの実験を行った。この実験には、図1に示す形態の固体酸化物形燃料電池システムを用い、その定格出力は700Wであった。原燃料ガスとして都市ガス(13Aガス)を用いて固体酸化物形燃料電池システムを定格出力の700Wで発電運転を行い、この発電運転中の時間「0」の時点で原燃料ガスの供給を停止して異常停止状態を発生させて異常停止稼働モードの運転を行い、異常停止稼働モードの運転中におけるセルスタックの温度、平均セル電圧(1セル当たりの出力電圧)の推移及び混合液(メタノールと水との混合液)の添加量の変化状態を調べ、その結果は、図4に示す通りであった。
【0056】
この実験においては、都市ガスを水蒸気/炭素モル比=2.5の条件で気化混合器に供給して定格出力の700W(送電端)の発電を行った。時間「0」で原燃料ガス(都市ガス)の供給遮断動作に移行させた。原燃料ガスの遮断後も空気は50NL/minで供給を継続した。燃料電池セルの電圧(1セル当たりの電圧)が0.85Vより低下すると混合液の供給を開始し、この電圧が0.85Vを超えると混合液の供給を停止させた。混合液の供給については、最大流量を0.4cc/分とした。尚、混合液におけるメタノールと水との混合比率は、重量比でメタノール33%、水66%であった。セルスタックの温度が450℃まで低下した時点で混合液の供給は行わず、そのまま温度が低下するのをまち、このような制御を行って異常停止した。原燃料ガスの供給を遮断して異常停止を上述した如くして5回繰り返し行った後にセルスタックの性能劣化を調べたが、性能低下はなかった。尚、この異常停止を行ったところ、混合液の使用量は、1回の停止当たり20ccとわずかであった。
【0057】
この図4から、次のことが明らかになった。即ち、電圧・温度特性が把握できていれば、セル電圧を関しした制御でなく、図4に示された温度と混合液の添加量との関係を予め制御に組み込んでおくことによって、セルスタックの温度との関係で混合液の添加量を調整できることがわかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元により発電を行うための複数の燃料電池セルを備えたセルスタックと、前記改質器に原燃料ガスを供給するための燃料ポンプと、前記改質器に改質水を供給するための水ポンプと、前記改質器にメタノール及び水の混合液を供給するための混合液ポンプと、前記燃料ポンプ、前記水ポンプ及び前記混合液ポンプを制御するための制御手段とを備えた固体酸化物形燃料電池システムであって、
前記制御手段は、高温異常停止状態であることを判定する異常停止判定手段と、異常停止稼動モードを設定する異常停止稼動モード設定手段とを含み、前記異常停止判定手段は、前記燃料ポンプからの原燃料ガスの供給量及び/又は前記水ポンプからの改質水の供給量が異常に低下し且つ前記セルスタックの温度が所定温度以上であると高温異常停止状態と判定し、前記異常停止稼動モード設定手段は、前記異常停止判定手段が高温異常停止状態と判定すると異常停止稼動モードを設定し、前記異常停止稼動モードにおいては、前記制御手段は前記混合液ポンプを作動し、前記混合液ポンプによって混合液が前記改質器に供給されることを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項2】
前記所定温度は前記燃料電池モルの前記燃料極の酸化が起こる酸化温度であり、前記セルスタックの温度が前記酸化温度以上のときに前記異常停止判定手段が高温異常停止状態と判定すると、前記異常停止稼動モード設定手段は前記異常停止稼動モードを設定し、前記異常停止稼動モードにおいて、前記制御手段は前記混合液ポンプを作動して混合液を前記改質器に供給し、この状態において前記セルスタックの温度が前記酸化温度より低い停止温度まで低下すると、前記制御手段は、前記異常停止稼動モードを解除して前記混合液ポンプの作動を停止することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項3】
前記異常停止稼働モードにおいては、前記制御手段は、前記セルスタックの温度に基づいて前記混合液ポンプを作動制御して前記改質器に供給される混合液の供給量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項4】
前記異常停止稼動モードにおいては、前記制御手段は、前記セルスタックにおける1セル当たりのセル電圧が0.75〜0.85Vより大きくなるように前記混合液ポンプを作動制御して前記改質器に供給される混合液の供給量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【請求項5】
前記混合液は、前記メタノール及び水に加えてエタノールを含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209014(P2012−209014A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71320(P2011−71320)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】