固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法
【課題】 親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、板金7,9の下穴8,10に固定具1を挿入した状態において、C方向から固定具1の本体穴2に対して打ち込み棒が押圧(例えば、プレス圧をかける)されることにより、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが本体2の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲がり、板金9の下穴10の周辺に固定される。また、本体穴4に押し抜き棒が先端部から挿入され、押し抜き棒をC方向から押圧することにより、板金9の下穴10の周面に固定されていた固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが板金9の下穴10の周辺から外れる。
【解決手段】 本発明は、板金7,9の下穴8,10に固定具1を挿入した状態において、C方向から固定具1の本体穴2に対して打ち込み棒が押圧(例えば、プレス圧をかける)されることにより、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが本体2の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲がり、板金9の下穴10の周辺に固定される。また、本体穴4に押し抜き棒が先端部から挿入され、押し抜き棒をC方向から押圧することにより、板金9の下穴10の周面に固定されていた固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが板金9の下穴10の周辺から外れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機等に用いられるステンレス鋼等の薄板の板金を固定する固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引張荷重とトルク負荷に耐えて薄板(板金)との接合を確実に行って圧入するファスナーとも呼ばれるナット状の金属製固着具が実用化されている。このようなナット状の金属製固着具を取り付けると緩んだり落ちたりする心配がなくなる。
このような固着具が薄板の予め設けられた孔に圧入されて充分な強度で固定されるよう、固着具に設けられる突出部(実際に薄板に圧入される部分)の外側周面にローレット状その他の凹凸を設けて薄板に圧入する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、最近の電子機器は、高性能及び多機能化され、これに伴って多くの回路を必要とし、使用されている基板の枚数も多くなっている。このようなとき親基板に子基板を固定する基板固定具が提案されている(例えば特許文献2)。
近年、例えば携帯電話機等においては、ますます高性能化、多機能化、薄型化が進んできている。携帯電話機における多機能化に伴い、多機能を構成する親基板と子基板とを設けている。
【0004】
また、携帯電話機の薄型化に伴い親基板と子基板とを接続するため、それぞれの基板に薄板の板金を設け、板金と板金とをリベットで固定している。
しかしながら、親基板の構成部品と子基板の構成部品における寿命のばらつき、また、いずれかの基板の構成部品に故障が発生する場合がある。その際、例えば、親基板の構成部品が正常で、子基板の構成部品に故障があった場合、リベットで固定されているのでリベットをドリルで壊して子基板のみを交換しようとしてもドリルで板金をも壊してしまうことが多く、親基板の構成部品と子基板の構成部品の全部を交換して対応することが多かった。
【0005】
なお、リベットで固定しないで、ボルトとナットとで固定する方法もあるが、薄型化を図っているのでボルトの頭部とナットの厚さの寸法が大きくなるためリベットを用いる設計となっている。
このように故障した部分の部品交換の際、親基板の構成部品と子基板の構成部品も一緒に交換することから、修理代金が高額になってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平8−291815号公報
【特許文献2】 特開2008−192805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、携帯電話機等において、携帯電話機の薄型化に伴い親基板と子基板とを接続するため、それぞれの基板に薄板の板金を設け、板金と板金とをリベットで固定しているが、リベットをドリルで壊して片方の基板のみを交換しようとしてもドリルで板金も壊してしまうことが多く、親基板の構成部品と子基板の構成部品の全部を交換して対応することが多くなり、部品交換の修理代金が高額になってしまうという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具であって、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有する。
【0010】
また、本発明は、2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具の固定方法であって、上記固定具が、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定するようにしたものである。
【0011】
また、本発明は、固定具が、円柱状の本体と、この本体の上面の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成される複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、前記固定具が2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定している固定具の取り外し方法であって、前記第1の穴の方向から前記底部が押圧されることにより、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態が適用可能な固定具の一例を示す外観構成図である。
【図2】固定具を上から見た上面図である。
【図3】固定具を横から見た正面図である。
【図4】図2に示す固定具を矢印A方向から見た正面図である。
【図5】固定具で固定する親側の薄板の板金を示す図である。
【図6】固定具で固定する子側の薄板の板金を示す図である。
【図7】親側の板金の下穴と子側の板金の下穴とを合わせた際の断面を示す図である。
【図8】打ち込み棒の形状を示す図である。
【図9】固定具を板金の穴に挿入した状態を示す図である。
【図10】固定具が板金を固定した状態を示す断面図である。
【図11】押し抜き棒の形状を示す図である。
【図12】固定具の本体穴に押し抜き棒が挿入された状態を示す図である。
【図13】押し抜き棒により固定具が取り外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明に係る固定具1の一例を示す外観構成図である。すなわち、この固定具1は、短い円柱状の本体2、この本体2より外径が大きいフランジ状の底部3とから構成されている。
【0015】
図2は、固定具1を上から見た上面図である。本体2は、底部3までの本体穴(第1の穴)4が設けられて円筒形に加工されている。
さらに本体2の本体穴4には、柱方向(底部3の向かう方向)に4個のスリット加工がされていて4個の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが形成されている。なお、本実施形態ではスリットを十字方向に4個設けたが、複数の折り曲げ部が形成されるのであれば、スリットは4個に限らず複数設ける構成であればよい。
また、底部3には本体穴4より小径の貫通穴(第2の穴)5が設けられている。
【0016】
図3は、固定具1を横から見た正面図である。固定具1の本体穴4は、本体3の先端fから縦断面の角度が45度で面取り加工されている。なお、本実施形態では、縦断面の角度を45度にしているが他の角度でもよく、要は折り曲げ部2a、2b、2c、2dが折り曲げられた際の折り曲げ状態における高さ(板金面から突起する部分)を低くすることができればよい。
【0017】
図4は、図2に示す固定具1を矢印A方向から見た正面図である。
図3と図4に示すように、固定具1の本体2には、先端fから底部3の方向の所定位置にフランジ状に本体2の外径から所定寸法の突起部6a,6b,6c,6dが設けられている。突起部6a,6b,6c,6dは、先端f側から縦断面の角度が45度でテーパ状に形成され、本体2における最大外径を形成している。なお、本実施形態では、縦断面の角度を45度にしているが他の角度でもよく、要は板金の穴に固定具1を挿入する際に詳しくは後述するがストッパ効果が得られればよい。
折り曲げ部2aに突起部6a、折り曲げ部2bに突起部6b、折り曲げ部2cに突起部6c、折り曲げ部2dに突起部6dがそれぞれ形成されている。
【0018】
本実施形態の固定具1は、1/100mm単位で切削加工されている
例えば、固定具1の寸法は、本体2の外径が2.90mmで本体2の長さが1.30mm、本体穴4の穴径が2.20mmで底部3までの深さが1.40mm、底部3の外径が4.00mmで長さが0.40mm、貫通穴5の穴径が1.50mm、スリットの幅が0.40mmで深さが1.20mm、突起部6の所定位置(先端fからの所定位置)が0.25mmで突起部(6a,6b,6c,6d)の最大外径が3.20mmで切削加工されている。
なお、本実施形態における固定具1の材質はステンレス鋼である。
【0019】
図5は、固定具1で固定する親側の薄板の板金7を示す図である。薄板の板金7は、例えば0.5mmの厚さである。また、板金7には、固定具1で固定される下穴8が設けられている。この下穴8は、固定具1の突起部(6a,6b,6c,6d)の最大外径より大きい穴径である。例えば、3.30mmの穴径である。また、板金7は、ステンレス鋼(SU303)で窒化処理して硬度を上げている。
【0020】
図6は、固定具1で固定する子側の薄板の板金9を示す図である。薄板の板金7は、例えば0.3mmの厚さである。また、板金9には、固定具1で固定される下穴10が設けられている。この下穴10は、固定具1の突起部6の最大外径より小さい穴径である。例えば、3.10mmの穴径である。また、板金9は、ステンレス鋼(SU303)で窒化処理して硬度を上げている。
【0021】
図7は、板金7の下穴8と板金9の下穴10とを合わせた際の図5と図6に示すB−B断面を示す図である。
本実施形態における板金7と板金9の材質はステンレス鋼であるが、本発明はこれに限るものではなく、金属だけでなく基板等の非金属のようなものでも応用可能である。
なお、固定具1は、本実施形態ではステンレス鋼を用いているが、板金(軟鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等、あるいは基板等)の材質に対応して炭素鋼、黄銅、軟鋼、アルミニウム、亜鉛等の金属を用いてもよい。
【0022】
図8は、固定具1を板金7,9に固定するための打ち込み棒11を示す図である。すなわち、打ち込み棒11の先端形状は、固定具1に形成されている折り曲げ部2a、2b、2c、2dを本体2の本体穴4の中心から開く方向に押し開いて折り曲げる先端部12と、押圧部13と、曲面部14とが形成されている。
【0023】
押圧部13の縦断面の角度が120度に形成され、固定具1の本体穴4の先端からの面取り角度が合計90度となるように形成されているので、折り曲げ部2a、2b、2c、2dを押し開く方向へ作用する折り曲げ効果が得られる。
打ち込み棒11の寸法は、例えば、打ち込み棒の本体の外径が5.00mmで長さが300mm、先端部12の先端外径が2.10mmで長さが0.50mm、押圧部13の先端部12側の外径が2.30mmで曲面部14側の外径が3.20mmで長さが0.3mmである。また、曲面部14は、外径3.20mmから外径4.2mmの間に先端部12の反対方向に深さ0.10mmで曲面が形成されている。
【0024】
次に、このような構成において本実施形態における固定具1の固定方法について図9と図10を用いて説明する。
図9は、板金7,9の下穴8,10に固定具1を挿入した状態を示す図である。図9に示す板金7,9は、図5と図6におけるB−B断面を示している。
固定具1の本体2の最大外径より子側の板金10の下穴9の外径が小さい(0.10mm)ので、固定具1を挿入したあと、底部3と突起部(6a,6b,6c,6d)との間で固定具1が板金7,9の下穴8,10から外れにくい状態となる。
【0025】
このような状態で矢印C方向から固定具1の本体穴2に対して打ち込み棒11が押圧(例えば、プレス圧をかける)されることにより、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが本体2の中心から開く方向に押し開かれて折り曲がり、板金9の下穴10の周辺に固定される。
【0026】
図10は、固定具1が板金7,9を固定した状態を示す断面図である。図10に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
このように、固定具1により、板金7,9は固定される。
この結果、固定具1の底部3の長さが0.40mmであるが、折り曲げ部2a、2b、2c、2dが折り曲がった状態で板金9の面から0.40mm以内の高さに抑えることが可能となった。すなわち、板金7,9を固定した後の板金7,9の表裏に出る固定具1の突起は、表裏それぞれ0.40mm以内に収めることができる。
【0027】
さらに、このような固定具1で板金7,9を固定する底部3と折り曲げ部2a、2b、2c、2dの折り曲がり高さが0.40mm以内であるにもかかわらず、固定強度が700N(約70kg)以上の引張力をかけても板金7,9に曲がりがでるが固定具1は破壊されないという結果を得た。上述したように板金7,9は、窒化処理して硬度を上げている状態であるにも係らずこのような結果が得られた。
【0028】
なお、打ち込み棒11の押圧を軽くして本体2の突起部(6a,6b,6c,6d)が板金9の下穴10の周辺を圧する状態で止めることにより(仮押圧)、仮止め状態を作ることができる。このような仮止め状態により、親側の板金7と子側の板金9の位置の調整をすることが可能となる。位置調整した後、本押圧することにより、上記した状態に固定具1を固定することができる。
【0029】
次に、本実施形態における固定具1の取り外し方法について図11〜図13を用いて説明する。
図11は、板金7,9に固定された固定具1を取り外すための押し抜き棒21を示す図である。すなわち、押し抜き棒21の先端は、固定具1の本体穴4に挿入されて底部3を押圧する先端部22と、小径部23と、テーパ部24とが形成されている。
押し抜き棒21の寸法は、例えば、押し抜き棒の本体の外径が4.00mmで長さが300mm、先端部22の先端外径が2.00mmで長さが0.85mm、小径部23の外径が1.60mmで長さが2.15mm、テーパ部の長さが2.00mmである。
【0030】
図12は、固定具1の本体穴4に押し抜き棒21が先端部22から挿入された状態を示す図である。図12に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
まず、図12に示すように固定具1の本体穴4に押し抜き棒21が先端部22から挿入される。続いて、押し抜き棒21が矢印E方向から押圧することにより、板金9の下穴10の周面に固定されていた固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが同時に矢印D方向に引っ張られて板金9の周辺から外れ、固定具1が取り外される。
【0031】
これは、固定具1の底部3に設けられた貫通穴5により、図13に示す貫通穴5の周辺部のF部と折り曲げ部2a、2b、2c、2dとが、固定具1の本体2の底部3との付け根であるG部を支点としてF部(力点)が矢印E方向に押圧されることにより、てこの原理に従って折り曲げ部2a、2b、2c、2d(作用点)が矢印D方向に引っ張られるものである。
このような作用により、固定具1は押し抜き棒21を用いて簡単に取り外すことができる。従って、固定具1における底部3の貫通穴5は重要であり、本実施形態では貫通穴を用いたが、例えば十字穴にしてもよく、要はてこの原理を応用できるように設ければよい。
【0032】
図13は、押し抜き棒21により固定具1が取り外された状態を示す図である。図13に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
図13に示すように、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが、押し抜き棒21によって板金9の周辺から外れ、固定具1が板金7,9から取り外される。この際、板金7,9は硬化処理を施されているので、穴8,10は壊れることなく新しい固定具1を用いて再び固定することが可能である。
【0033】
以上説明したように上記発明の実施の形態によれば、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することができる。
【0034】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0035】
1 固定具
2 本体
2a,2b,2c,2d 折り曲げ部
3 底部
4 本体穴(第1の穴)
5 貫通穴(第2の穴)
6a,6b,6c,6d 突起部
7,9 板金
8,10 下穴
11 打ち込み棒
12 押し抜き棒
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機等に用いられるステンレス鋼等の薄板の板金を固定する固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引張荷重とトルク負荷に耐えて薄板(板金)との接合を確実に行って圧入するファスナーとも呼ばれるナット状の金属製固着具が実用化されている。このようなナット状の金属製固着具を取り付けると緩んだり落ちたりする心配がなくなる。
このような固着具が薄板の予め設けられた孔に圧入されて充分な強度で固定されるよう、固着具に設けられる突出部(実際に薄板に圧入される部分)の外側周面にローレット状その他の凹凸を設けて薄板に圧入する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、最近の電子機器は、高性能及び多機能化され、これに伴って多くの回路を必要とし、使用されている基板の枚数も多くなっている。このようなとき親基板に子基板を固定する基板固定具が提案されている(例えば特許文献2)。
近年、例えば携帯電話機等においては、ますます高性能化、多機能化、薄型化が進んできている。携帯電話機における多機能化に伴い、多機能を構成する親基板と子基板とを設けている。
【0004】
また、携帯電話機の薄型化に伴い親基板と子基板とを接続するため、それぞれの基板に薄板の板金を設け、板金と板金とをリベットで固定している。
しかしながら、親基板の構成部品と子基板の構成部品における寿命のばらつき、また、いずれかの基板の構成部品に故障が発生する場合がある。その際、例えば、親基板の構成部品が正常で、子基板の構成部品に故障があった場合、リベットで固定されているのでリベットをドリルで壊して子基板のみを交換しようとしてもドリルで板金をも壊してしまうことが多く、親基板の構成部品と子基板の構成部品の全部を交換して対応することが多かった。
【0005】
なお、リベットで固定しないで、ボルトとナットとで固定する方法もあるが、薄型化を図っているのでボルトの頭部とナットの厚さの寸法が大きくなるためリベットを用いる設計となっている。
このように故障した部分の部品交換の際、親基板の構成部品と子基板の構成部品も一緒に交換することから、修理代金が高額になってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平8−291815号公報
【特許文献2】 特開2008−192805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、携帯電話機等において、携帯電話機の薄型化に伴い親基板と子基板とを接続するため、それぞれの基板に薄板の板金を設け、板金と板金とをリベットで固定しているが、リベットをドリルで壊して片方の基板のみを交換しようとしてもドリルで板金も壊してしまうことが多く、親基板の構成部品と子基板の構成部品の全部を交換して対応することが多くなり、部品交換の修理代金が高額になってしまうという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具であって、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有する。
【0010】
また、本発明は、2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具の固定方法であって、上記固定具が、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定するようにしたものである。
【0011】
また、本発明は、固定具が、円柱状の本体と、この本体の上面の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成される複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、前記固定具が2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定している固定具の取り外し方法であって、前記第1の穴の方向から前記底部が押圧されることにより、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態が適用可能な固定具の一例を示す外観構成図である。
【図2】固定具を上から見た上面図である。
【図3】固定具を横から見た正面図である。
【図4】図2に示す固定具を矢印A方向から見た正面図である。
【図5】固定具で固定する親側の薄板の板金を示す図である。
【図6】固定具で固定する子側の薄板の板金を示す図である。
【図7】親側の板金の下穴と子側の板金の下穴とを合わせた際の断面を示す図である。
【図8】打ち込み棒の形状を示す図である。
【図9】固定具を板金の穴に挿入した状態を示す図である。
【図10】固定具が板金を固定した状態を示す断面図である。
【図11】押し抜き棒の形状を示す図である。
【図12】固定具の本体穴に押し抜き棒が挿入された状態を示す図である。
【図13】押し抜き棒により固定具が取り外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明に係る固定具1の一例を示す外観構成図である。すなわち、この固定具1は、短い円柱状の本体2、この本体2より外径が大きいフランジ状の底部3とから構成されている。
【0015】
図2は、固定具1を上から見た上面図である。本体2は、底部3までの本体穴(第1の穴)4が設けられて円筒形に加工されている。
さらに本体2の本体穴4には、柱方向(底部3の向かう方向)に4個のスリット加工がされていて4個の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが形成されている。なお、本実施形態ではスリットを十字方向に4個設けたが、複数の折り曲げ部が形成されるのであれば、スリットは4個に限らず複数設ける構成であればよい。
また、底部3には本体穴4より小径の貫通穴(第2の穴)5が設けられている。
【0016】
図3は、固定具1を横から見た正面図である。固定具1の本体穴4は、本体3の先端fから縦断面の角度が45度で面取り加工されている。なお、本実施形態では、縦断面の角度を45度にしているが他の角度でもよく、要は折り曲げ部2a、2b、2c、2dが折り曲げられた際の折り曲げ状態における高さ(板金面から突起する部分)を低くすることができればよい。
【0017】
図4は、図2に示す固定具1を矢印A方向から見た正面図である。
図3と図4に示すように、固定具1の本体2には、先端fから底部3の方向の所定位置にフランジ状に本体2の外径から所定寸法の突起部6a,6b,6c,6dが設けられている。突起部6a,6b,6c,6dは、先端f側から縦断面の角度が45度でテーパ状に形成され、本体2における最大外径を形成している。なお、本実施形態では、縦断面の角度を45度にしているが他の角度でもよく、要は板金の穴に固定具1を挿入する際に詳しくは後述するがストッパ効果が得られればよい。
折り曲げ部2aに突起部6a、折り曲げ部2bに突起部6b、折り曲げ部2cに突起部6c、折り曲げ部2dに突起部6dがそれぞれ形成されている。
【0018】
本実施形態の固定具1は、1/100mm単位で切削加工されている
例えば、固定具1の寸法は、本体2の外径が2.90mmで本体2の長さが1.30mm、本体穴4の穴径が2.20mmで底部3までの深さが1.40mm、底部3の外径が4.00mmで長さが0.40mm、貫通穴5の穴径が1.50mm、スリットの幅が0.40mmで深さが1.20mm、突起部6の所定位置(先端fからの所定位置)が0.25mmで突起部(6a,6b,6c,6d)の最大外径が3.20mmで切削加工されている。
なお、本実施形態における固定具1の材質はステンレス鋼である。
【0019】
図5は、固定具1で固定する親側の薄板の板金7を示す図である。薄板の板金7は、例えば0.5mmの厚さである。また、板金7には、固定具1で固定される下穴8が設けられている。この下穴8は、固定具1の突起部(6a,6b,6c,6d)の最大外径より大きい穴径である。例えば、3.30mmの穴径である。また、板金7は、ステンレス鋼(SU303)で窒化処理して硬度を上げている。
【0020】
図6は、固定具1で固定する子側の薄板の板金9を示す図である。薄板の板金7は、例えば0.3mmの厚さである。また、板金9には、固定具1で固定される下穴10が設けられている。この下穴10は、固定具1の突起部6の最大外径より小さい穴径である。例えば、3.10mmの穴径である。また、板金9は、ステンレス鋼(SU303)で窒化処理して硬度を上げている。
【0021】
図7は、板金7の下穴8と板金9の下穴10とを合わせた際の図5と図6に示すB−B断面を示す図である。
本実施形態における板金7と板金9の材質はステンレス鋼であるが、本発明はこれに限るものではなく、金属だけでなく基板等の非金属のようなものでも応用可能である。
なお、固定具1は、本実施形態ではステンレス鋼を用いているが、板金(軟鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等、あるいは基板等)の材質に対応して炭素鋼、黄銅、軟鋼、アルミニウム、亜鉛等の金属を用いてもよい。
【0022】
図8は、固定具1を板金7,9に固定するための打ち込み棒11を示す図である。すなわち、打ち込み棒11の先端形状は、固定具1に形成されている折り曲げ部2a、2b、2c、2dを本体2の本体穴4の中心から開く方向に押し開いて折り曲げる先端部12と、押圧部13と、曲面部14とが形成されている。
【0023】
押圧部13の縦断面の角度が120度に形成され、固定具1の本体穴4の先端からの面取り角度が合計90度となるように形成されているので、折り曲げ部2a、2b、2c、2dを押し開く方向へ作用する折り曲げ効果が得られる。
打ち込み棒11の寸法は、例えば、打ち込み棒の本体の外径が5.00mmで長さが300mm、先端部12の先端外径が2.10mmで長さが0.50mm、押圧部13の先端部12側の外径が2.30mmで曲面部14側の外径が3.20mmで長さが0.3mmである。また、曲面部14は、外径3.20mmから外径4.2mmの間に先端部12の反対方向に深さ0.10mmで曲面が形成されている。
【0024】
次に、このような構成において本実施形態における固定具1の固定方法について図9と図10を用いて説明する。
図9は、板金7,9の下穴8,10に固定具1を挿入した状態を示す図である。図9に示す板金7,9は、図5と図6におけるB−B断面を示している。
固定具1の本体2の最大外径より子側の板金10の下穴9の外径が小さい(0.10mm)ので、固定具1を挿入したあと、底部3と突起部(6a,6b,6c,6d)との間で固定具1が板金7,9の下穴8,10から外れにくい状態となる。
【0025】
このような状態で矢印C方向から固定具1の本体穴2に対して打ち込み棒11が押圧(例えば、プレス圧をかける)されることにより、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが本体2の中心から開く方向に押し開かれて折り曲がり、板金9の下穴10の周辺に固定される。
【0026】
図10は、固定具1が板金7,9を固定した状態を示す断面図である。図10に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
このように、固定具1により、板金7,9は固定される。
この結果、固定具1の底部3の長さが0.40mmであるが、折り曲げ部2a、2b、2c、2dが折り曲がった状態で板金9の面から0.40mm以内の高さに抑えることが可能となった。すなわち、板金7,9を固定した後の板金7,9の表裏に出る固定具1の突起は、表裏それぞれ0.40mm以内に収めることができる。
【0027】
さらに、このような固定具1で板金7,9を固定する底部3と折り曲げ部2a、2b、2c、2dの折り曲がり高さが0.40mm以内であるにもかかわらず、固定強度が700N(約70kg)以上の引張力をかけても板金7,9に曲がりがでるが固定具1は破壊されないという結果を得た。上述したように板金7,9は、窒化処理して硬度を上げている状態であるにも係らずこのような結果が得られた。
【0028】
なお、打ち込み棒11の押圧を軽くして本体2の突起部(6a,6b,6c,6d)が板金9の下穴10の周辺を圧する状態で止めることにより(仮押圧)、仮止め状態を作ることができる。このような仮止め状態により、親側の板金7と子側の板金9の位置の調整をすることが可能となる。位置調整した後、本押圧することにより、上記した状態に固定具1を固定することができる。
【0029】
次に、本実施形態における固定具1の取り外し方法について図11〜図13を用いて説明する。
図11は、板金7,9に固定された固定具1を取り外すための押し抜き棒21を示す図である。すなわち、押し抜き棒21の先端は、固定具1の本体穴4に挿入されて底部3を押圧する先端部22と、小径部23と、テーパ部24とが形成されている。
押し抜き棒21の寸法は、例えば、押し抜き棒の本体の外径が4.00mmで長さが300mm、先端部22の先端外径が2.00mmで長さが0.85mm、小径部23の外径が1.60mmで長さが2.15mm、テーパ部の長さが2.00mmである。
【0030】
図12は、固定具1の本体穴4に押し抜き棒21が先端部22から挿入された状態を示す図である。図12に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
まず、図12に示すように固定具1の本体穴4に押し抜き棒21が先端部22から挿入される。続いて、押し抜き棒21が矢印E方向から押圧することにより、板金9の下穴10の周面に固定されていた固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが同時に矢印D方向に引っ張られて板金9の周辺から外れ、固定具1が取り外される。
【0031】
これは、固定具1の底部3に設けられた貫通穴5により、図13に示す貫通穴5の周辺部のF部と折り曲げ部2a、2b、2c、2dとが、固定具1の本体2の底部3との付け根であるG部を支点としてF部(力点)が矢印E方向に押圧されることにより、てこの原理に従って折り曲げ部2a、2b、2c、2d(作用点)が矢印D方向に引っ張られるものである。
このような作用により、固定具1は押し抜き棒21を用いて簡単に取り外すことができる。従って、固定具1における底部3の貫通穴5は重要であり、本実施形態では貫通穴を用いたが、例えば十字穴にしてもよく、要はてこの原理を応用できるように設ければよい。
【0032】
図13は、押し抜き棒21により固定具1が取り外された状態を示す図である。図13に示す板金7,9は図5と図6におけるB−B断面を示し、固定具1は図2におけるH−H断面を示している。
図13に示すように、固定具1の折り曲げ部2a、2b、2c、2dが、押し抜き棒21によって板金9の周辺から外れ、固定具1が板金7,9から取り外される。この際、板金7,9は硬化処理を施されているので、穴8,10は壊れることなく新しい固定具1を用いて再び固定することが可能である。
【0033】
以上説明したように上記発明の実施の形態によれば、親側の板金と子側の板金とを容易に固定すると共に、親側の板金と子側の板金とを容易に取り外すことのできる固定具と固定具の固定方法と固定具の取り外し方法を提供することができる。
【0034】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0035】
1 固定具
2 本体
2a,2b,2c,2d 折り曲げ部
3 底部
4 本体穴(第1の穴)
5 貫通穴(第2の穴)
6a,6b,6c,6d 突起部
7,9 板金
8,10 下穴
11 打ち込み棒
12 押し抜き棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具であって、
円柱状の本体と、
この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、
この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、
前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、
この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴と、
を具備することを特徴とする固定具。
【請求項2】
上記第1の穴は、上記本体の先端から面取り加工されていることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
上記第1の穴の面取り加工は、45度の角度で加工されていることを特徴とする請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
上記第1の穴は、上記本体の先端から上記底部までの有底穴であることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項5】
上記第2の穴は、上記底部を貫く貫通穴であることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
上記複数の折り曲げ部の外側周面には、突起部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項7】
2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具の固定方法であって、
上記固定具が、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、
前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定することを特徴とする固定具の固定方法。
【請求項8】
上記折り曲げ部は、上記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開いて折り曲げる打ち込み棒による押圧により折り曲げられることを特徴とする請求項7に記載の固定具の固定方法。
【請求項9】
上記複数の折り曲げ部は、外側周面に設けられた突起部により、前記底部と前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた際、上記2枚の板金を仮挟持して仮固定できることを特徴とする請求項7に記載の固定具の固定方法。
【請求項10】
固定具が、円柱状の本体と、この本体の上面の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成される複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、
前記固定具が2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定している固定具の取り外し方法であって、
前記第1の穴の方向から前記底部が押圧されることにより、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする固定具の取り外し方法。
【請求項11】
上記折り曲げ部は、前記第1の穴の方向から上記底部を押圧する押し抜き棒により、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする請求項10に記載の固定具の取り外し方法。
【請求項12】
上記折り曲げ部は、上記押し抜き棒が前記第1の穴の方向から上記底部を押圧することにより、前記第2の穴の周囲が力点となり、前記第1の穴と前記底部とが交わる部分が支点となり、前記各折り曲げ部が作用点となって、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする請求項11に記載の固定具の取り外し方法。
【請求項1】
2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具であって、
円柱状の本体と、
この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、
この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、
前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、
この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴と、
を具備することを特徴とする固定具。
【請求項2】
上記第1の穴は、上記本体の先端から面取り加工されていることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
上記第1の穴の面取り加工は、45度の角度で加工されていることを特徴とする請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
上記第1の穴は、上記本体の先端から上記底部までの有底穴であることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項5】
上記第2の穴は、上記底部を貫く貫通穴であることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
上記複数の折り曲げ部の外側周面には、突起部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項7】
2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記2枚の板金を固定する固定具の固定方法であって、
上記固定具が、円柱状の本体と、この本体の先端の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成された複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、
前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定することを特徴とする固定具の固定方法。
【請求項8】
上記折り曲げ部は、上記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開いて折り曲げる打ち込み棒による押圧により折り曲げられることを特徴とする請求項7に記載の固定具の固定方法。
【請求項9】
上記複数の折り曲げ部は、外側周面に設けられた突起部により、前記底部と前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた際、上記2枚の板金を仮挟持して仮固定できることを特徴とする請求項7に記載の固定具の固定方法。
【請求項10】
固定具が、円柱状の本体と、この本体の上面の円の中心から柱方向に設けられた第1の穴と、この第1の穴の先端から柱方向に沿って複数のスリット加工がされて形成される複数の折り曲げ部と、前記円柱状の本体の外側周面上の後端に設けられ、前記本体の外径より大きく且つ上記下穴より大きい外径の底部と、この底部に設けられ、前記第1の穴と同一の中心で前記第1の穴より小径の第2の穴とを有し、
前記固定具が2枚の板金に設けられた下穴に挿入され、前記底部と、前記本体の先端の円の中心から開く方向に押し開かれて折り曲げられた複数の折り曲げ部とにより上記2枚の板金を挟持して固定している固定具の取り外し方法であって、
前記第1の穴の方向から前記底部が押圧されることにより、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする固定具の取り外し方法。
【請求項11】
上記折り曲げ部は、前記第1の穴の方向から上記底部を押圧する押し抜き棒により、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする請求項10に記載の固定具の取り外し方法。
【請求項12】
上記折り曲げ部は、上記押し抜き棒が前記第1の穴の方向から上記底部を押圧することにより、前記第2の穴の周囲が力点となり、前記第1の穴と前記底部とが交わる部分が支点となり、前記各折り曲げ部が作用点となって、前記各折り曲げ部が前記本体の円の中心に向かう方向に引っ張られて前記板金の下穴から外れることを特徴とする請求項11に記載の固定具の取り外し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−137532(P2011−137532A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299582(P2009−299582)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(506037009)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(506037009)
【Fターム(参考)】
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