固定子アセンブリ
10Hz以下の周波数で作動する超電導発電機(10)に用いられる固定子アセンブリ(100)が開示されている。固定子アセンブリは、スロット(114)を画成する複数の歯(112)を有する強磁性固定子巻線支持体(102)を備え、スロットは、固定子巻線(130)を収容して支持するように構成されている。固定子巻線支持体は、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲であるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発電は、回転電気機械の重要な用途である。風力エネルギーは、米国および世界中で、最も成長著しい電源の1つであり、回転電気機械を利用する風力タービンは、風力エネルギーを使用に適した出力に変換するのに用いられている。風力タービンの発電機は、発電機及び制御電子機器に加え、低速の回転を発電に適した高速回転に変換するための変速装置を、構成要素として備えている。風力タービンでは、発電機の構成要素が、風力タービンのコスト全体の約3分の1になることもある。
【背景技術】
【0002】
従来の非超電導発電機において、固定子巻線は、磁束経路として作用するバックアイアンによって包囲されている。バックアイアンは、多くの場合、積層されたプレート状に形成され、プレートは、磁路を設けるためと鉄歯間に形成されたスロット内の固定子巻線を支持するため、固定子巻線間に延びる鉄歯を備えている。60Hz以上の高周波で作動するそのような機械では、歯が磁束を通し、スロットの面積と歯の面積との比が約50%となっている。この比は、従来の機械では、機械の内部で生成される磁束に適応するのに必要とされている。従来の機械において、歯の面積は、鉄と銅の相対的なコスト差により、機械のコストを低減するためにスロット面積に対して実質的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超電導発電機は、1960年代初頭から開発中である。これら機械での超電導巻線の利用は、機械の巻線および磁束の密度の増加によって生じる起磁力の著しい増加をもたらした。磁束密度は、鉄歯の飽和および過電流損による高損失を生じるほどまでに増加した。その結果、磁束密度がこれらの部材に大きな消散をもたらすため、固定子コイル間に鉄歯を要することなく作動するように、超電導機械の開発が行われてきた。場合によっては、それらの機械の固定子コイルを支持するのに、鉄歯ではなく、線維複合体歯が使用されている。しかしながら、線維複合体歯の製造コストは非常に高くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの態様において、回転電気機械に使用される固定子アセンブリが提供される。固定子アセンブリは、スロットを画成する複数の歯を含む固定子鉄心を備え、スロットは、固定子巻線を収容して支持するように構成されている。固定子鉄心は強磁性材料で形成され、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲である。
【0005】
固定子アセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。スロットは、固定子鉄心内に形成された細長くかつ半径方向に拡がる開口部である。歯は、半径方向内側に延びると共に相互に周方向に離間している。固定子アセンブリは、更に、スロット内に配置された少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、導線からなる複数の束で形成されたコイルを備えている。固定子鉄心は、積層プレートからなるアセンブリを備えている。スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.70〜0.90の範囲である。スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.75〜0.90の範囲である。固定子アセンブリは、更に、直線状部分を含む固定子巻線を備え、直線状部分は、幾つかあるスロットのうちの1つに配置され、スロットをほぼ完全に占有するように構成されている。直線状部分の断面積は、スロットの面積とほぼ同じである。固定子アセンブリは、更に、直線状部分を含む固定子巻線を備え、各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている。直線状部分の断面積は、スロットの面積のほぼ半分であり、各スロット内には、2つの固定子巻線直線状部分が設けられている。固定子アセンブリは、更に、少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも2倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも3倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。
【0006】
他の態様においては、回転電気機械が提供される。回転電気機械は、回転子アセンブリおよび固定子アセンブリを備えている。固定子アセンブリは、スロットを画成する複数の歯を有する固定子鉄心を備え、スロットは、固定子巻線を収容して支持するように構成されている。固定子巻線支持体は強磁性材料で形成され、また、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲である。
【0007】
回転電気機械は、次の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。即ち、回転子アセンブリは、高温超電導巻線を有する回転子を備えている。回転子および固定子アセンブリは、10Hz以下の周波数で作動するように構成されている。回転子および固定子アセンブリは、3Hz以下の周波数で作動するように構成されている。回転子および固定子アセンブリは、約2Hzの周波数で作動するように構成されている。固定子鉄心は、1.8Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.0Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.2Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.4Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.6Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.8Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。機械は、更に、直線状部分を有する固定子巻線を備え、直線状部分は、幾つかあるスロットのうちの1つに配置され、直線状部分は、スロットをほぼ完全に占有するように構成されている。機械は、更に、直線状部分を有する固定子巻線を備え、各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍であるように、機械は、更に、スロット内に各導線を有する少なくとも1つの固定子巻線を備えている。機械は、更に、少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている。機械は、更に、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に15mmより大きな空隙を備えている。機械は、更に、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に20mmより大きな空隙を備えている。
【0008】
超電導電気機械は、風力駆動式の直接駆動発電機として、理想的には、風力タービンの用途に適している。風力タービンの低周波(10Hz以下)出力により、高い作動周波数の発電機に付随する大きな電力損失を招くことなく、強磁性材料で形成された固定子巻線支持体を含む低コストの超電導発電機を提供することができる。強磁性材料で形成された固定子巻線支持体の利用により、比較的低コストの発電機がもたらされる。
【0009】
以下に詳細に説明するように、本発明の固定子アセンブリは、あらゆる性能の向上、ならびにHTS発電機全体の製造コスト低減に寄与するとの特徴を有している。具体的には、低周波超電導発電機は、全スロット面積と全支持体面積との比が60%より大きな固定子支持体の設計を可能にする。比較的大きなスロットサイズにより、スロット内の導体の断面積が従来の機械における断面積よりもかなり大きくなり、また、増加した出力を実現することもできる。
【0010】
いくつかの実施形態においては、特定の固定子巻線構造を選択することにより、単一の巻線が対応するスロット内に設けられている。その結果として、スロット内の導体の断面積が他の固定子巻線構造よりも更に増加し、その場合、単一のスロットが2つ以上の固定子巻線の脚部によって占有されると共に、各脚部間に設けられた絶縁体が導体全体の断面積を低減する。
【0011】
発電機は、強磁性積層体で形成されかつ固定子コイル巻線を支持するように設けられた複数の歯を含む固定子鉄心を備えている。固定子支持体を形成するための強磁性材料の使用により、線維複合体材料の使用と比較して、製造コストを低減することができる。固定子支持体の強磁性の歯は高度に飽和するが、発電機が比較的低い周波数で作動することにより、歯飽和ならびに銅および発熱に起因するより高い周波数の機械に付随する電力損失が最小限に抑えられる。
【0012】
超電導同期発電機が10Hz以下の発電機作動周波数で2.8テスラより大きな固定子歯磁束密度を生じることが示されている。また、これらの機械において、固定子と回転子アセンブリとの間に15〜20mmより大きな空隙を利用すれば、損失を更に少なくできる。
【0013】
本発明を実施するための態様を、添付図面に示す本発明の一実施形態を参照して、以下に説明する。本発明に関する上述した目的、他の目的、特徴および効果は、添付図面と共に、以下に提示する本発明の実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】発電機の概略側断面図。
【図2】図1の発電機の固定子および回転子アセンブリの端部斜視図。
【図3】固定子巻線のない状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分断面図。
【図4】各側部がスロット全部を占有するクランク状固定子巻線の斜視図。
【図5】クランク状固定子巻線がスロットに配置された状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分斜視図。
【図6】固定子鉄心内のクランク状固定子巻線の端部巻回の斜視図。
【図7】図1の発電機の場合の開回路磁束プロファイル。
【図8】0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、非強磁性歯とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図9】0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、強磁性歯とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図10】強磁性歯と、0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、15mmより大きな空隙とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図11】菱形固定子巻線の斜視図。
【図12】菱形固定子巻線がスロット内に配置された状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分断面図。
【図13】単層固定子巻線の平坦な固定子巻線部の斜視図。
【図14】単層固定子巻線のアップセット状端部巻線部の斜視図。
【図15】多数の単層固定子巻線のアセンブリの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、発電機10は、固定子アセンブリ100内に取付けられた回転子アセンブリ40を含む回転超電導機械である。以下に詳細に記載されているように、発電機10は、10Hz以下の低周波数用途に用いるために構成されている。例えば、発電機10を風力タービンの発電機として用いる場合、回転子および固定子アセンブリ40、100は、約2Hzで作動するように構成されている。
【0016】
回転子アセンブリ40は、高温超電導体(high−temperature superconductor:HTS)で形成された回転子巻線42と、トルク伝達システム50と、電磁シールド60とを備えている。回転子巻線42は、クライオスタット34内の回転子巻線支持構造44によって支持されている。他の構成も可能であるが、本実施形態の回転子巻線42は、レーストラック構造で形成された幾つかのHTSサブコイルを備えている。その内容全体が参照として本願明細書に組込まれている米国特許第6,509,819号明細書は、回転子コイル構造について詳細に考察している。トルク伝達システム50は、回転子アセンブリによって生成される回転力を出力軸30へ伝達すると共に、クライオスタット34内に配置されている。システム50は、一方の端部が回転子巻線支持構造44に接続されて他方の端部がエンドプレート54を介して出力軸30に接続されたトルクチューブ52を備えている。電磁シールド60は、クライオスタット34を包囲し、かつ固定子電流によって生成される非同期場を減衰させることで回転子巻線を遮蔽する導電性の非磁性材料から形成されている。また、電磁シールド60は、クライオスタットを、固定子アセンブリ内で発生した熱から保護する。
【0017】
また、発電機10は、電流を回転子巻線42に供給するブラシレス励磁機16を備えている。励磁機16は、変圧器と、回転子巻線42のための電力を調整および制御する関連する電子装置(図示せず)とからなる。回転子巻線42は、気体ヘリウムを用いて回転子支持体構造44を介して伝導冷却され、ヘリウムは、HTS回転子巻線42を冷却するためにクライオスタット34の内部を循環させられる。気体ヘリウムの回転子アセンブリ40への内側および外側フローを可能にする冷却剤供給ライン48は、静止・回転結合体である同軸ヘリウム伝達カップリング14を通過する。軸受部32は、出力軸30の両端部を支持するようにフレーム24内に取付けられ、それにより、回転子アセンブリ40は回転可能であり、かつ固定子アセンブリ100内に同軸に支持されている。
【0018】
図2を参照すると、固定子アセンブリ100は、固定子鉄心102と、固定子巻線130とを備えている。固定子鉄心102は、積層強磁性プレート106からなるアセンブリである中空円柱状本体104である。固定子鉄心102を形成するため、強磁性プレート106は、所望の歯形状を形成するように穿孔され、プレート106は、中空円柱状本体104を形成するように積層されてエポキシ等の従来の手段により固定されている。
【0019】
図3についても参照すると、固定子鉄心102は、固定子鉄心102の外径に隣接し、かつその外径を有するバックアイアン領域108を含み、また、多数の固定子歯112が、スロット114を形成するようにバックアイアン領域108から内側半径方向に延びている。各歯112は歯幅wTを有し、全ての歯112は略等しい歯幅wTを有している。設けられている歯112の数は、固定子鉄心102内で支持すべき固定子巻線130の構造に一部依存する。発電機10の図示されている実施形態において、固定子鉄心102には、216個の固定子歯112が設けられている。
【0020】
断面で見ると、固定子歯112は一定間隔でかつ相互に周方向に離間しており、隣接する歯112間の間隔が固定子スロット114を画成している。固定子スロット114は、矩形状でかつ隣接する歯112間の(周方向)距離に相当するスロット幅wSを有している。この実施形態において、固定子スロット114の矩形状の形状は、スロット114内に収容される固定子巻線130の直線状部分の矩形状の周囲形状を反映している。歯112の半径方向の最も内側の縁部112aは、固定子鉄心102の円柱状回転子アセンブリ収容穴116を一緒に画成している。隣接する歯112の各ペア間には、スロット開口部120が画成されており、そこを通って、固定子巻線130がスロット内に挿入されている。
【0021】
回転子アセンブリ40は、回転子アセンブリ40と固定子アセンブリ100とが同軸になるように、穴116内に支持されている。この構成により、空隙118が、固定子鉄心102の内面(例えば、穴面116)と、電磁シールド60の外面62との間に形成される。
【0022】
発電機10の図示した実施形態において、固定子アセンブリは、三相または九相構造で配置された108個の固定子巻線130を備えている。三相構造の場合、各相には36個の固定子巻線130が設けられて、24極構成となる。
【0023】
図4〜図6を参照すると、固定子巻線130は、転置ワイヤケーブル132で形成されており、この場合、個々の銅導線(157)は、渦電流損を低減するパターンを形成するように巻回および/または編み込まれている。転置ケーブル132は、リッツ線、Rutherford線、Robel線、あるいは、他の何らかの適当な転置ワイヤを含むことができる。転置の効果は、ワイヤ間に端部転置を用いることにより、あるいは、各コイルに対して単一のワイヤを直列に用い、および端部コイル接続部において並列に作動する設計を選択することによって実現することもできる。
【0024】
導体157の断面が矩形状である場合、導体の半径方向の寸法(即ち、スロット深さdSと位置合わせされた寸法)は、渦電流損を小さくするために、周方向の寸法(即ち、スロット幅wSと位置合わせされた寸法)よりも長くなっている。典型的な導体157は、1.5:1〜5:1の範囲の半径方向寸法対周方向寸法のアスペクト比を有している。ここに記載したアスペクト比は、磁束線が2つの隣接する歯間でジャンプするスロット間の漏れによって渦電流損が支配される従来の機械において典型的であることとは逆であることに留意すべきである。多重より線であるリッツ線は、一般に、1:1のアスペクト比を有している。
【0025】
転置ケーブル132は、外側絶縁シースを有しており、それによって、絶縁層152が巻線間に形成され、固定子巻線130の外側周辺部が接地絶縁体から成る層150を有している。
【0026】
転置ケーブル132は、固定子アセンブリ100の長手方向軸と直角な軸に巻回されて、端部巻線部138によって接続された直線状部分136の平行なペアを含む細長いマルチターン巻線130を形成している。この場合、固定子巻線130は、直線状部分136が平行に延びる直線状の細長い部材であるクランク状巻線(図4)からなる。端部巻線部138は、U字状巻線140を含み、U字状巻線140は、直線状部分136が位置する平面に垂直な面内に位置している。その結果、一方の端部巻線脚部138aは平面から半径方向外側に位置し、戻り脚部端部巻線部138bは平面内に位置している。端部138の特有の形状により、固定子巻線130がそれぞれのスロット114間に延びること、および他の固定子巻線130(図6)の各端部138の存在に適応することが可能になる。
【0027】
固定子巻線130の直線状部分136は、スロット開口部120を通ってスロット114に挿入され、また、スロットウェッジ156は、固定子巻線130をスロット114内に保持するのに用いられる。いくつかの実施形態において、絶縁スロットライナ154は、固定子巻線130とスロット114の一方の側壁114aとの間でスロット114内に配置されている。この構造において、スロットライナ154は、均等な実装を確実にするため、スロット内のパッキングとして作用する。別例として、スロットライナ154’(図示せず)は、固定子巻線130を3つの側部から包囲して、巻線130を全てのスロット壁部から絶縁するように構成してもよい。クランク状巻線130の利用は、直線状部分136の矩形状の断面が固定子鉄心102に設けられた比較的幅広のスロット114での使用に適しているため、有利である。具体的には、直線状部分136の断面積はスロット面積ASと実質的に同じであり、この場合、スロット面積ASはスロット幅wSにスロット深さdSを乗じたものとして定義され(図3)、クランク状固定子巻線130はスロット114を実質的に完全に占有する(図5)。
【0028】
再び図1を参照すると、固定子巻線130は、電源ライン22を介して外部電力変換装置25に電気的に接続され、出力軸30を回転させる回転子にトルクが印加されると、HTS回転子巻線42から空隙118を通って延びると共に固定子130と相互に作用して電力を生成する交番磁束が発生する。
【0029】
固定子巻線130は、従来の方法で冷却される。例えば、いくつかの実施形態において、固定子巻線130は、伝導冷却することができる。この実施例において、直線状部分136は、バックアイアン108を介して伝導冷却することができ、熱は、エアフロー、又は固定子鉄心102の外径上の液体冷却ジャケット(図示せず)によって除去することができる。端部巻線138は、強制対流によって冷却することができる。他の実施形態において、固定子巻線130は空冷することができる。例えば、積層間隔(図示せず)を固定子鉄心102内に設けることができ、そして、強制対流によって、固定子鉄心102の内径から外径へと空気を換気することができる。端部巻線138は、強制対流によって冷却することもできる。他の実施形態において、固定子巻線130は、直接液体冷却によって冷却することができる。例えば、固定子巻線130は、固定子スロット領域内に狭い冷却流路(図示せず)を付加して、誘電液体との直接接触によって冷却することができる。さらに他の実施形態において、固定子巻線130は、巻線内に作られた内部チューブと共に作製することができ、脱イオン水をチューブ内に循環させて直接冷却を実現することができる。さらに他の実施形態において、固定子巻線130に外部水冷チューブを設けることができ、具体的には、巻線の接地絶縁体の外側にチューブを有することができる。脱イオン水または淡水をチューブ内に循環させて、固定子巻線冷却を実現することができる。この場合、接地平面絶縁体の外側面での冷却を改善するため、銅製フィンにチューブを埋め込むことができる。
【0030】
再び図3を参照すると、固定子鉄心102は、全体の歯幅wTが全体のスロット幅wSよりも小さくなるように形成されている。具体的には、スロットの幅の合計と歯及びスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲であり、ただし、スロットの幅の合計は、
SumwS=ΣwS1+wS2+wS3+...+wSN
として定義され、歯およびスロットの幅の合計は、W
SumwS+wT=wS1+wS2+wS3+...+wSN+wT1+wT2+wT3+...+wTN
として定義され、Nは、固定子鉄心102におけるスロットの数である。図示した実施形態において、N=216であるが、固定子鉄心102はスロットの数に限定されない。
【0031】
他の実施形態において、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.70〜0.90の範囲である。さらに他の実施形態において、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.75〜0.90の範囲である。
【0032】
発電機10のいくつかの実施形態において、スロット幅wSは、歯幅wTの少なくとも2倍とすることができ、この装置における歯の主な機能は、固定子巻線130のための支持をもたらすことである。高周波数の機械において、このようなスロットと歯の比は、高損失および出力の限界と関連している。このため、本明細書に開示されたスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比を有する固定子鉄心は、新規である。対照的に、発電機10では、比較的大きなスロット面積がスロット内でのさらなる導体の利用を可能にする。特に、導体が細分化されて効率的に転置されている場合、増加した導体面積に伴って電力損失が減少することから、有利である。また、発電機10の固定子歯114は主に固定子巻線130を支持するように作用するものの、強磁性材料の使用が空隙磁束のわずかな増加(約10%)ももたらす。
【0033】
加えて、発電機10が(10Hzまでの)低周波数で作動するため、スロット内の強磁性の歯および銅導体に付随する渦電流損が低減される。
さらに、固定子歯114を形成するための強磁性材料の利用により、発電機10を安価に製造することができる。
【0034】
発電機10が低周波数、例えば約2Hzで作動される場合、歯磁束密度は1.8テスラより大きい。固定子および回転子アセンブリの一部に関して算出した磁束密度を表す図7に示すように、歯磁束密度は3.0テスラよりも大きいことが分かる。従って、発電機10は磁束飽和歯によって作動するように構成されると共に、作動中、発電機10の歯114は、一般に、1.8テスラ未満の磁束密度を有する歯によって作動する従来の超電導発電機よりもかなり高い磁束密度になっている。しかしながら、発電機10の低周波数作動により歯114が飽和するものの、その結果生じる損失は(ARMCOテーブルから見積もられるように)10kW未満に過ぎない。
【0035】
次に、図8を参照すると、非強磁性歯(即ち、複合材料またはステンレス鋼)で形成された固定子鉄心を含むが、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である固定子鉄心を有する超電導発電機について、電磁シールド60の表面62で測定された空隙内の磁束密度が示されている。このグラフは、空隙内で1テスラより大きな磁束密度を示している。この磁束密度は、約1テスラの空隙磁束密度を有するいくつかの従来の機械における磁束密度よりも大きい。このグラフは、HTS回転子コイルの使用による従来の機械と比較して、空隙内により多くの出力が生じていること、0.65〜0.90の範囲であるスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比を含む本発明の固定子構造が適切な出力生成を阻害しないことも示している。
【0036】
強磁性飽和歯の使用には制限がある。例えば、電磁シールド60は、歯の通過に伴う電界の変化による追加的な損失を有する虞がある。次に、図9を参照すると、強磁性歯で形成された固定子鉄心を含むと共にスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である固定子鉄心を含む超電導発電機の場合の電磁シールド60の表面62で測定した空隙内の磁束密度が示されている。このグラフは、約0.09mおよび0.18mにおける局所的なピークによって示されるようなある程度の高調波成分を含む磁束密度を示している。このような高調波成分は、電磁シールド60に対して加熱をもたらし、それに伴って、回転子アセンブリ40において電力損失を生じるため、好ましくない。しかし、図10を見て分かるように、そのような高調波成分は、空隙118を増やすことによって、その発生を防止することができる。例えば、いくつかの実施形態において、発電機10は、15mmより大きな空隙を含むことができる。他の実施形態において、発電機10は、20mmより大きな空隙を含むことができる。比較のため、同程度のサイズの従来の発電機では、多くの場合、5〜10mmの空隙が用いられる。従って、比較的大きな空隙118は、発電機10によって具体化されるような低速システムでの使用に有効である。
【0037】
発電機10は、ここまで、クランク状固定子巻線130を採用するように説明してきた。しかしながら、発電機10は、クランク状固定子巻線130の使用に限定されず、他の構造からなる巻線、例えば、限定するものではないが、菱形巻線230または単層巻線330を用いることも十分に本発明の範囲内である。
【0038】
図11を参照すると、菱形巻線230は、概して菱形形状で巻回された転置ケーブル132を含む。菱形巻線230は、同位相の隣接する巻線の直線状部分236を重ね合わせることによって固定子スロット114内に配置され、それによって、各スロット114は2つの巻線230を収容する。特に、一方の直線状部分236aは、1つのスロット114の半径方向内側の位置を占有し、他方の直線状部分236bは、別のスロット114の半径方向外側の位置を占有する。標準的な菱形巻線は、約50%より大きなスロット充填の実現を困難にする端部形状を有している。図12に示すように、直線状部分236の断面積はスロット面積ASの約半分であり、菱形巻線230の直線状部分236はスロット114の約半分を占有する。各菱形巻線上の接地絶縁部150の存在により、絶縁体から成る二重層がスロット114内に配置された2つの巻線230間に形成され、菱形巻線230を用いた場合のスロット114内の導体の量はクランク状巻線130を用いた場合よりも少ないという効果がある。
【0039】
次に、図13〜図15を参照すると、単層巻線330は、アップセット状端部固定子巻線330b(図14)と組み合わせて用いられる平坦な固定子巻線330a(図13)を含む。平坦な固定子巻線330aにおいて、端部巻線部338aは、U字状であり、直線状部分336aと同じ平面内に位置している。アップセット状端部固定子巻線330bにおいて、端部巻線部338bはU字状であるが、直線状部分336bによって画成される平面から上方に延びている。一緒に組立てると(図15)、アップセット状端部固定子巻線330bの直線状部分336bは、平坦な固定子巻線330aの直線状部分336aと同じ平面内のそれらの直線状部分間に設けられている。また、アップセット状端部固定子巻線の端部巻線部338bは、平坦な固定子巻線330aの端部巻線部338aと平行に、かつ一部を重複させて位置している。クランク状巻線130と同様に、直線状部分336a、336bの断面積はスロット面積ASと実質的に同じであり、単層巻線330はスロット114をほぼ完全に占有する。また、単層巻線は、異なる絶縁要件により、クランク状巻線130よりも良好な導体充填要素を有している。しかしながら、単層コイル330は、単層巻線130よりも、取付けて支持することが難しい可能性がある。
【0040】
発電機10に用いる固定子アセンブリ100の例示的な実施形態をある程度詳細に説明した。しかしながら、本願明細書に記載の固定子アセンブリは、発電機での用途に限定されない。例えば、固定子アセンブリは、高トルクで低速のモータを含む他の種類の回転電気機械に用いることができる。
【0041】
また、本発明を明確にするのに必要と思われる構造のみが本願明細書に記載されていることを理解すべきである。他の従来の構造、およびそのシステムの付属のおよび補助的な構成要素の構造は、当業者に知られ、かつ理解されていることを前提としている。さらに、本発明の実用的な実施例を上述してきたが、本発明は、上述した実用的な実施例に限定されず、クレームに記載される本発明から逸脱することなく、様々な設計上の変更を実行することができる。
【技術分野】
【0001】
発電は、回転電気機械の重要な用途である。風力エネルギーは、米国および世界中で、最も成長著しい電源の1つであり、回転電気機械を利用する風力タービンは、風力エネルギーを使用に適した出力に変換するのに用いられている。風力タービンの発電機は、発電機及び制御電子機器に加え、低速の回転を発電に適した高速回転に変換するための変速装置を、構成要素として備えている。風力タービンでは、発電機の構成要素が、風力タービンのコスト全体の約3分の1になることもある。
【背景技術】
【0002】
従来の非超電導発電機において、固定子巻線は、磁束経路として作用するバックアイアンによって包囲されている。バックアイアンは、多くの場合、積層されたプレート状に形成され、プレートは、磁路を設けるためと鉄歯間に形成されたスロット内の固定子巻線を支持するため、固定子巻線間に延びる鉄歯を備えている。60Hz以上の高周波で作動するそのような機械では、歯が磁束を通し、スロットの面積と歯の面積との比が約50%となっている。この比は、従来の機械では、機械の内部で生成される磁束に適応するのに必要とされている。従来の機械において、歯の面積は、鉄と銅の相対的なコスト差により、機械のコストを低減するためにスロット面積に対して実質的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超電導発電機は、1960年代初頭から開発中である。これら機械での超電導巻線の利用は、機械の巻線および磁束の密度の増加によって生じる起磁力の著しい増加をもたらした。磁束密度は、鉄歯の飽和および過電流損による高損失を生じるほどまでに増加した。その結果、磁束密度がこれらの部材に大きな消散をもたらすため、固定子コイル間に鉄歯を要することなく作動するように、超電導機械の開発が行われてきた。場合によっては、それらの機械の固定子コイルを支持するのに、鉄歯ではなく、線維複合体歯が使用されている。しかしながら、線維複合体歯の製造コストは非常に高くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの態様において、回転電気機械に使用される固定子アセンブリが提供される。固定子アセンブリは、スロットを画成する複数の歯を含む固定子鉄心を備え、スロットは、固定子巻線を収容して支持するように構成されている。固定子鉄心は強磁性材料で形成され、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲である。
【0005】
固定子アセンブリは、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。スロットは、固定子鉄心内に形成された細長くかつ半径方向に拡がる開口部である。歯は、半径方向内側に延びると共に相互に周方向に離間している。固定子アセンブリは、更に、スロット内に配置された少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、導線からなる複数の束で形成されたコイルを備えている。固定子鉄心は、積層プレートからなるアセンブリを備えている。スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.70〜0.90の範囲である。スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.75〜0.90の範囲である。固定子アセンブリは、更に、直線状部分を含む固定子巻線を備え、直線状部分は、幾つかあるスロットのうちの1つに配置され、スロットをほぼ完全に占有するように構成されている。直線状部分の断面積は、スロットの面積とほぼ同じである。固定子アセンブリは、更に、直線状部分を含む固定子巻線を備え、各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている。直線状部分の断面積は、スロットの面積のほぼ半分であり、各スロット内には、2つの固定子巻線直線状部分が設けられている。固定子アセンブリは、更に、少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも2倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも3倍の大きさとなるように、固定子アセンブリは、更に、スロット内に各導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている。
【0006】
他の態様においては、回転電気機械が提供される。回転電気機械は、回転子アセンブリおよび固定子アセンブリを備えている。固定子アセンブリは、スロットを画成する複数の歯を有する固定子鉄心を備え、スロットは、固定子巻線を収容して支持するように構成されている。固定子巻線支持体は強磁性材料で形成され、また、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲である。
【0007】
回転電気機械は、次の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。即ち、回転子アセンブリは、高温超電導巻線を有する回転子を備えている。回転子および固定子アセンブリは、10Hz以下の周波数で作動するように構成されている。回転子および固定子アセンブリは、3Hz以下の周波数で作動するように構成されている。回転子および固定子アセンブリは、約2Hzの周波数で作動するように構成されている。固定子鉄心は、1.8Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.0Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.2Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.4Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.6Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。固定子鉄心は、2.8Tより大きな作動中の歯磁束密度を有するように構成されている。機械は、更に、直線状部分を有する固定子巻線を備え、直線状部分は、幾つかあるスロットのうちの1つに配置され、直線状部分は、スロットをほぼ完全に占有するように構成されている。機械は、更に、直線状部分を有する固定子巻線を備え、各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている。半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍であるように、機械は、更に、スロット内に各導線を有する少なくとも1つの固定子巻線を備えている。機械は、更に、少なくとも1つの固定子巻線を備え、固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている。機械は、更に、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に15mmより大きな空隙を備えている。機械は、更に、固定子アセンブリと回転子アセンブリとの間に20mmより大きな空隙を備えている。
【0008】
超電導電気機械は、風力駆動式の直接駆動発電機として、理想的には、風力タービンの用途に適している。風力タービンの低周波(10Hz以下)出力により、高い作動周波数の発電機に付随する大きな電力損失を招くことなく、強磁性材料で形成された固定子巻線支持体を含む低コストの超電導発電機を提供することができる。強磁性材料で形成された固定子巻線支持体の利用により、比較的低コストの発電機がもたらされる。
【0009】
以下に詳細に説明するように、本発明の固定子アセンブリは、あらゆる性能の向上、ならびにHTS発電機全体の製造コスト低減に寄与するとの特徴を有している。具体的には、低周波超電導発電機は、全スロット面積と全支持体面積との比が60%より大きな固定子支持体の設計を可能にする。比較的大きなスロットサイズにより、スロット内の導体の断面積が従来の機械における断面積よりもかなり大きくなり、また、増加した出力を実現することもできる。
【0010】
いくつかの実施形態においては、特定の固定子巻線構造を選択することにより、単一の巻線が対応するスロット内に設けられている。その結果として、スロット内の導体の断面積が他の固定子巻線構造よりも更に増加し、その場合、単一のスロットが2つ以上の固定子巻線の脚部によって占有されると共に、各脚部間に設けられた絶縁体が導体全体の断面積を低減する。
【0011】
発電機は、強磁性積層体で形成されかつ固定子コイル巻線を支持するように設けられた複数の歯を含む固定子鉄心を備えている。固定子支持体を形成するための強磁性材料の使用により、線維複合体材料の使用と比較して、製造コストを低減することができる。固定子支持体の強磁性の歯は高度に飽和するが、発電機が比較的低い周波数で作動することにより、歯飽和ならびに銅および発熱に起因するより高い周波数の機械に付随する電力損失が最小限に抑えられる。
【0012】
超電導同期発電機が10Hz以下の発電機作動周波数で2.8テスラより大きな固定子歯磁束密度を生じることが示されている。また、これらの機械において、固定子と回転子アセンブリとの間に15〜20mmより大きな空隙を利用すれば、損失を更に少なくできる。
【0013】
本発明を実施するための態様を、添付図面に示す本発明の一実施形態を参照して、以下に説明する。本発明に関する上述した目的、他の目的、特徴および効果は、添付図面と共に、以下に提示する本発明の実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】発電機の概略側断面図。
【図2】図1の発電機の固定子および回転子アセンブリの端部斜視図。
【図3】固定子巻線のない状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分断面図。
【図4】各側部がスロット全部を占有するクランク状固定子巻線の斜視図。
【図5】クランク状固定子巻線がスロットに配置された状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分斜視図。
【図6】固定子鉄心内のクランク状固定子巻線の端部巻回の斜視図。
【図7】図1の発電機の場合の開回路磁束プロファイル。
【図8】0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、非強磁性歯とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図9】0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、強磁性歯とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図10】強磁性歯と、0.60より大きなスロット面積と支持体面積の比と、15mmより大きな空隙とを有する発電機における空隙磁束密度を表すアーク長(メートル)対磁束密度(テスラ)のグラフ。
【図11】菱形固定子巻線の斜視図。
【図12】菱形固定子巻線がスロット内に配置された状態の図1の発電機の固定子鉄心の部分断面図。
【図13】単層固定子巻線の平坦な固定子巻線部の斜視図。
【図14】単層固定子巻線のアップセット状端部巻線部の斜視図。
【図15】多数の単層固定子巻線のアセンブリの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、発電機10は、固定子アセンブリ100内に取付けられた回転子アセンブリ40を含む回転超電導機械である。以下に詳細に記載されているように、発電機10は、10Hz以下の低周波数用途に用いるために構成されている。例えば、発電機10を風力タービンの発電機として用いる場合、回転子および固定子アセンブリ40、100は、約2Hzで作動するように構成されている。
【0016】
回転子アセンブリ40は、高温超電導体(high−temperature superconductor:HTS)で形成された回転子巻線42と、トルク伝達システム50と、電磁シールド60とを備えている。回転子巻線42は、クライオスタット34内の回転子巻線支持構造44によって支持されている。他の構成も可能であるが、本実施形態の回転子巻線42は、レーストラック構造で形成された幾つかのHTSサブコイルを備えている。その内容全体が参照として本願明細書に組込まれている米国特許第6,509,819号明細書は、回転子コイル構造について詳細に考察している。トルク伝達システム50は、回転子アセンブリによって生成される回転力を出力軸30へ伝達すると共に、クライオスタット34内に配置されている。システム50は、一方の端部が回転子巻線支持構造44に接続されて他方の端部がエンドプレート54を介して出力軸30に接続されたトルクチューブ52を備えている。電磁シールド60は、クライオスタット34を包囲し、かつ固定子電流によって生成される非同期場を減衰させることで回転子巻線を遮蔽する導電性の非磁性材料から形成されている。また、電磁シールド60は、クライオスタットを、固定子アセンブリ内で発生した熱から保護する。
【0017】
また、発電機10は、電流を回転子巻線42に供給するブラシレス励磁機16を備えている。励磁機16は、変圧器と、回転子巻線42のための電力を調整および制御する関連する電子装置(図示せず)とからなる。回転子巻線42は、気体ヘリウムを用いて回転子支持体構造44を介して伝導冷却され、ヘリウムは、HTS回転子巻線42を冷却するためにクライオスタット34の内部を循環させられる。気体ヘリウムの回転子アセンブリ40への内側および外側フローを可能にする冷却剤供給ライン48は、静止・回転結合体である同軸ヘリウム伝達カップリング14を通過する。軸受部32は、出力軸30の両端部を支持するようにフレーム24内に取付けられ、それにより、回転子アセンブリ40は回転可能であり、かつ固定子アセンブリ100内に同軸に支持されている。
【0018】
図2を参照すると、固定子アセンブリ100は、固定子鉄心102と、固定子巻線130とを備えている。固定子鉄心102は、積層強磁性プレート106からなるアセンブリである中空円柱状本体104である。固定子鉄心102を形成するため、強磁性プレート106は、所望の歯形状を形成するように穿孔され、プレート106は、中空円柱状本体104を形成するように積層されてエポキシ等の従来の手段により固定されている。
【0019】
図3についても参照すると、固定子鉄心102は、固定子鉄心102の外径に隣接し、かつその外径を有するバックアイアン領域108を含み、また、多数の固定子歯112が、スロット114を形成するようにバックアイアン領域108から内側半径方向に延びている。各歯112は歯幅wTを有し、全ての歯112は略等しい歯幅wTを有している。設けられている歯112の数は、固定子鉄心102内で支持すべき固定子巻線130の構造に一部依存する。発電機10の図示されている実施形態において、固定子鉄心102には、216個の固定子歯112が設けられている。
【0020】
断面で見ると、固定子歯112は一定間隔でかつ相互に周方向に離間しており、隣接する歯112間の間隔が固定子スロット114を画成している。固定子スロット114は、矩形状でかつ隣接する歯112間の(周方向)距離に相当するスロット幅wSを有している。この実施形態において、固定子スロット114の矩形状の形状は、スロット114内に収容される固定子巻線130の直線状部分の矩形状の周囲形状を反映している。歯112の半径方向の最も内側の縁部112aは、固定子鉄心102の円柱状回転子アセンブリ収容穴116を一緒に画成している。隣接する歯112の各ペア間には、スロット開口部120が画成されており、そこを通って、固定子巻線130がスロット内に挿入されている。
【0021】
回転子アセンブリ40は、回転子アセンブリ40と固定子アセンブリ100とが同軸になるように、穴116内に支持されている。この構成により、空隙118が、固定子鉄心102の内面(例えば、穴面116)と、電磁シールド60の外面62との間に形成される。
【0022】
発電機10の図示した実施形態において、固定子アセンブリは、三相または九相構造で配置された108個の固定子巻線130を備えている。三相構造の場合、各相には36個の固定子巻線130が設けられて、24極構成となる。
【0023】
図4〜図6を参照すると、固定子巻線130は、転置ワイヤケーブル132で形成されており、この場合、個々の銅導線(157)は、渦電流損を低減するパターンを形成するように巻回および/または編み込まれている。転置ケーブル132は、リッツ線、Rutherford線、Robel線、あるいは、他の何らかの適当な転置ワイヤを含むことができる。転置の効果は、ワイヤ間に端部転置を用いることにより、あるいは、各コイルに対して単一のワイヤを直列に用い、および端部コイル接続部において並列に作動する設計を選択することによって実現することもできる。
【0024】
導体157の断面が矩形状である場合、導体の半径方向の寸法(即ち、スロット深さdSと位置合わせされた寸法)は、渦電流損を小さくするために、周方向の寸法(即ち、スロット幅wSと位置合わせされた寸法)よりも長くなっている。典型的な導体157は、1.5:1〜5:1の範囲の半径方向寸法対周方向寸法のアスペクト比を有している。ここに記載したアスペクト比は、磁束線が2つの隣接する歯間でジャンプするスロット間の漏れによって渦電流損が支配される従来の機械において典型的であることとは逆であることに留意すべきである。多重より線であるリッツ線は、一般に、1:1のアスペクト比を有している。
【0025】
転置ケーブル132は、外側絶縁シースを有しており、それによって、絶縁層152が巻線間に形成され、固定子巻線130の外側周辺部が接地絶縁体から成る層150を有している。
【0026】
転置ケーブル132は、固定子アセンブリ100の長手方向軸と直角な軸に巻回されて、端部巻線部138によって接続された直線状部分136の平行なペアを含む細長いマルチターン巻線130を形成している。この場合、固定子巻線130は、直線状部分136が平行に延びる直線状の細長い部材であるクランク状巻線(図4)からなる。端部巻線部138は、U字状巻線140を含み、U字状巻線140は、直線状部分136が位置する平面に垂直な面内に位置している。その結果、一方の端部巻線脚部138aは平面から半径方向外側に位置し、戻り脚部端部巻線部138bは平面内に位置している。端部138の特有の形状により、固定子巻線130がそれぞれのスロット114間に延びること、および他の固定子巻線130(図6)の各端部138の存在に適応することが可能になる。
【0027】
固定子巻線130の直線状部分136は、スロット開口部120を通ってスロット114に挿入され、また、スロットウェッジ156は、固定子巻線130をスロット114内に保持するのに用いられる。いくつかの実施形態において、絶縁スロットライナ154は、固定子巻線130とスロット114の一方の側壁114aとの間でスロット114内に配置されている。この構造において、スロットライナ154は、均等な実装を確実にするため、スロット内のパッキングとして作用する。別例として、スロットライナ154’(図示せず)は、固定子巻線130を3つの側部から包囲して、巻線130を全てのスロット壁部から絶縁するように構成してもよい。クランク状巻線130の利用は、直線状部分136の矩形状の断面が固定子鉄心102に設けられた比較的幅広のスロット114での使用に適しているため、有利である。具体的には、直線状部分136の断面積はスロット面積ASと実質的に同じであり、この場合、スロット面積ASはスロット幅wSにスロット深さdSを乗じたものとして定義され(図3)、クランク状固定子巻線130はスロット114を実質的に完全に占有する(図5)。
【0028】
再び図1を参照すると、固定子巻線130は、電源ライン22を介して外部電力変換装置25に電気的に接続され、出力軸30を回転させる回転子にトルクが印加されると、HTS回転子巻線42から空隙118を通って延びると共に固定子130と相互に作用して電力を生成する交番磁束が発生する。
【0029】
固定子巻線130は、従来の方法で冷却される。例えば、いくつかの実施形態において、固定子巻線130は、伝導冷却することができる。この実施例において、直線状部分136は、バックアイアン108を介して伝導冷却することができ、熱は、エアフロー、又は固定子鉄心102の外径上の液体冷却ジャケット(図示せず)によって除去することができる。端部巻線138は、強制対流によって冷却することができる。他の実施形態において、固定子巻線130は空冷することができる。例えば、積層間隔(図示せず)を固定子鉄心102内に設けることができ、そして、強制対流によって、固定子鉄心102の内径から外径へと空気を換気することができる。端部巻線138は、強制対流によって冷却することもできる。他の実施形態において、固定子巻線130は、直接液体冷却によって冷却することができる。例えば、固定子巻線130は、固定子スロット領域内に狭い冷却流路(図示せず)を付加して、誘電液体との直接接触によって冷却することができる。さらに他の実施形態において、固定子巻線130は、巻線内に作られた内部チューブと共に作製することができ、脱イオン水をチューブ内に循環させて直接冷却を実現することができる。さらに他の実施形態において、固定子巻線130に外部水冷チューブを設けることができ、具体的には、巻線の接地絶縁体の外側にチューブを有することができる。脱イオン水または淡水をチューブ内に循環させて、固定子巻線冷却を実現することができる。この場合、接地平面絶縁体の外側面での冷却を改善するため、銅製フィンにチューブを埋め込むことができる。
【0030】
再び図3を参照すると、固定子鉄心102は、全体の歯幅wTが全体のスロット幅wSよりも小さくなるように形成されている。具体的には、スロットの幅の合計と歯及びスロットの幅の合計との比は0.65〜0.90の範囲であり、ただし、スロットの幅の合計は、
SumwS=ΣwS1+wS2+wS3+...+wSN
として定義され、歯およびスロットの幅の合計は、W
SumwS+wT=wS1+wS2+wS3+...+wSN+wT1+wT2+wT3+...+wTN
として定義され、Nは、固定子鉄心102におけるスロットの数である。図示した実施形態において、N=216であるが、固定子鉄心102はスロットの数に限定されない。
【0031】
他の実施形態において、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.70〜0.90の範囲である。さらに他の実施形態において、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比は0.75〜0.90の範囲である。
【0032】
発電機10のいくつかの実施形態において、スロット幅wSは、歯幅wTの少なくとも2倍とすることができ、この装置における歯の主な機能は、固定子巻線130のための支持をもたらすことである。高周波数の機械において、このようなスロットと歯の比は、高損失および出力の限界と関連している。このため、本明細書に開示されたスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比を有する固定子鉄心は、新規である。対照的に、発電機10では、比較的大きなスロット面積がスロット内でのさらなる導体の利用を可能にする。特に、導体が細分化されて効率的に転置されている場合、増加した導体面積に伴って電力損失が減少することから、有利である。また、発電機10の固定子歯114は主に固定子巻線130を支持するように作用するものの、強磁性材料の使用が空隙磁束のわずかな増加(約10%)ももたらす。
【0033】
加えて、発電機10が(10Hzまでの)低周波数で作動するため、スロット内の強磁性の歯および銅導体に付随する渦電流損が低減される。
さらに、固定子歯114を形成するための強磁性材料の利用により、発電機10を安価に製造することができる。
【0034】
発電機10が低周波数、例えば約2Hzで作動される場合、歯磁束密度は1.8テスラより大きい。固定子および回転子アセンブリの一部に関して算出した磁束密度を表す図7に示すように、歯磁束密度は3.0テスラよりも大きいことが分かる。従って、発電機10は磁束飽和歯によって作動するように構成されると共に、作動中、発電機10の歯114は、一般に、1.8テスラ未満の磁束密度を有する歯によって作動する従来の超電導発電機よりもかなり高い磁束密度になっている。しかしながら、発電機10の低周波数作動により歯114が飽和するものの、その結果生じる損失は(ARMCOテーブルから見積もられるように)10kW未満に過ぎない。
【0035】
次に、図8を参照すると、非強磁性歯(即ち、複合材料またはステンレス鋼)で形成された固定子鉄心を含むが、スロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である固定子鉄心を有する超電導発電機について、電磁シールド60の表面62で測定された空隙内の磁束密度が示されている。このグラフは、空隙内で1テスラより大きな磁束密度を示している。この磁束密度は、約1テスラの空隙磁束密度を有するいくつかの従来の機械における磁束密度よりも大きい。このグラフは、HTS回転子コイルの使用による従来の機械と比較して、空隙内により多くの出力が生じていること、0.65〜0.90の範囲であるスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比を含む本発明の固定子構造が適切な出力生成を阻害しないことも示している。
【0036】
強磁性飽和歯の使用には制限がある。例えば、電磁シールド60は、歯の通過に伴う電界の変化による追加的な損失を有する虞がある。次に、図9を参照すると、強磁性歯で形成された固定子鉄心を含むと共にスロットの幅の合計と歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である固定子鉄心を含む超電導発電機の場合の電磁シールド60の表面62で測定した空隙内の磁束密度が示されている。このグラフは、約0.09mおよび0.18mにおける局所的なピークによって示されるようなある程度の高調波成分を含む磁束密度を示している。このような高調波成分は、電磁シールド60に対して加熱をもたらし、それに伴って、回転子アセンブリ40において電力損失を生じるため、好ましくない。しかし、図10を見て分かるように、そのような高調波成分は、空隙118を増やすことによって、その発生を防止することができる。例えば、いくつかの実施形態において、発電機10は、15mmより大きな空隙を含むことができる。他の実施形態において、発電機10は、20mmより大きな空隙を含むことができる。比較のため、同程度のサイズの従来の発電機では、多くの場合、5〜10mmの空隙が用いられる。従って、比較的大きな空隙118は、発電機10によって具体化されるような低速システムでの使用に有効である。
【0037】
発電機10は、ここまで、クランク状固定子巻線130を採用するように説明してきた。しかしながら、発電機10は、クランク状固定子巻線130の使用に限定されず、他の構造からなる巻線、例えば、限定するものではないが、菱形巻線230または単層巻線330を用いることも十分に本発明の範囲内である。
【0038】
図11を参照すると、菱形巻線230は、概して菱形形状で巻回された転置ケーブル132を含む。菱形巻線230は、同位相の隣接する巻線の直線状部分236を重ね合わせることによって固定子スロット114内に配置され、それによって、各スロット114は2つの巻線230を収容する。特に、一方の直線状部分236aは、1つのスロット114の半径方向内側の位置を占有し、他方の直線状部分236bは、別のスロット114の半径方向外側の位置を占有する。標準的な菱形巻線は、約50%より大きなスロット充填の実現を困難にする端部形状を有している。図12に示すように、直線状部分236の断面積はスロット面積ASの約半分であり、菱形巻線230の直線状部分236はスロット114の約半分を占有する。各菱形巻線上の接地絶縁部150の存在により、絶縁体から成る二重層がスロット114内に配置された2つの巻線230間に形成され、菱形巻線230を用いた場合のスロット114内の導体の量はクランク状巻線130を用いた場合よりも少ないという効果がある。
【0039】
次に、図13〜図15を参照すると、単層巻線330は、アップセット状端部固定子巻線330b(図14)と組み合わせて用いられる平坦な固定子巻線330a(図13)を含む。平坦な固定子巻線330aにおいて、端部巻線部338aは、U字状であり、直線状部分336aと同じ平面内に位置している。アップセット状端部固定子巻線330bにおいて、端部巻線部338bはU字状であるが、直線状部分336bによって画成される平面から上方に延びている。一緒に組立てると(図15)、アップセット状端部固定子巻線330bの直線状部分336bは、平坦な固定子巻線330aの直線状部分336aと同じ平面内のそれらの直線状部分間に設けられている。また、アップセット状端部固定子巻線の端部巻線部338bは、平坦な固定子巻線330aの端部巻線部338aと平行に、かつ一部を重複させて位置している。クランク状巻線130と同様に、直線状部分336a、336bの断面積はスロット面積ASと実質的に同じであり、単層巻線330はスロット114をほぼ完全に占有する。また、単層巻線は、異なる絶縁要件により、クランク状巻線130よりも良好な導体充填要素を有している。しかしながら、単層コイル330は、単層巻線130よりも、取付けて支持することが難しい可能性がある。
【0040】
発電機10に用いる固定子アセンブリ100の例示的な実施形態をある程度詳細に説明した。しかしながら、本願明細書に記載の固定子アセンブリは、発電機での用途に限定されない。例えば、固定子アセンブリは、高トルクで低速のモータを含む他の種類の回転電気機械に用いることができる。
【0041】
また、本発明を明確にするのに必要と思われる構造のみが本願明細書に記載されていることを理解すべきである。他の従来の構造、およびそのシステムの付属のおよび補助的な構成要素の構造は、当業者に知られ、かつ理解されていることを前提としている。さらに、本発明の実用的な実施例を上述してきたが、本発明は、上述した実用的な実施例に限定されず、クレームに記載される本発明から逸脱することなく、様々な設計上の変更を実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温超電導巻線を有する回転子を含む回転子アセンブリと、
強磁性材料で形成された固定子鉄心を含み、前記固定子鉄心がスロットを画成する複数の歯を含み、前記スロットが固定子巻線を収容して支持するように構成された固定子アセンブリとを備える同期回転電気機械であって、
前記回転子アセンブリおよび固定子アセンブリは10Hz以下の周波数で作動するように構成され、前記固定子鉄心の歯は2.2Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成され、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間の空隙が20mmより大きい同期回転電気機械。
【請求項2】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子および固定子アセンブリは、3Hz以下の周波数で作動するように構成されている機械。
【請求項3】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子アセンブリおよび固定子アセンブリは、約2Hzの周波数で作動するように構成されている機械。
【請求項4】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.4Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項5】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.6Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項6】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.8Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項7】
請求項1に記載の機械は、更に、
直線状部分を含む固定子巻線を備え、
前記直線状部分は、前記スロットのうちの1つに配置され、前記直線状部分は、前記スロットをほぼ完全に占有するように構成されている機械。
【請求項8】
請求項1に記載の機械は、更に、
直線状部分を含む固定子巻線を備え、
各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている機械。
【請求項9】
請求項1に記載の機械は、更に、
半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍となるように前記スロット内に配置された個々の導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている機械。
【請求項10】
請求項1に記載の機械は、更に、
少なくとも1つの固定子巻線を備え、
前記固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている機械。
【請求項11】
請求項1に記載の機械において、
前記スロットの幅の合計と前記歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である機械。
【請求項12】
請求項1に記載の機械において、
前記空隙が40mmより大きい機械。
【請求項13】
請求項1に記載の機械において、
前記歯の半径方向の最も内側の縁部は前記固定子鉄心の穴を一緒に画成し、前記穴と前記回転子の巻線との間にある環状の領域には、強磁性材料が存在しない機械。
【請求項14】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子アセンブリは、前記回転子の巻線と固定子アセンブリとの間に非磁性電磁シールドを備えている機械。
【請求項15】
請求項1に記載の機械を備える風力タービン。
【請求項1】
高温超電導巻線を有する回転子を含む回転子アセンブリと、
強磁性材料で形成された固定子鉄心を含み、前記固定子鉄心がスロットを画成する複数の歯を含み、前記スロットが固定子巻線を収容して支持するように構成された固定子アセンブリとを備える同期回転電気機械であって、
前記回転子アセンブリおよび固定子アセンブリは10Hz以下の周波数で作動するように構成され、前記固定子鉄心の歯は2.2Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成され、前記固定子アセンブリと前記回転子アセンブリとの間の空隙が20mmより大きい同期回転電気機械。
【請求項2】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子および固定子アセンブリは、3Hz以下の周波数で作動するように構成されている機械。
【請求項3】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子アセンブリおよび固定子アセンブリは、約2Hzの周波数で作動するように構成されている機械。
【請求項4】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.4Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項5】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.6Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項6】
請求項1に記載の機械において、
前記固定子鉄心の歯は、2.8Tより大きな作動中の交番磁束密度を有するように構成されている機械。
【請求項7】
請求項1に記載の機械は、更に、
直線状部分を含む固定子巻線を備え、
前記直線状部分は、前記スロットのうちの1つに配置され、前記直線状部分は、前記スロットをほぼ完全に占有するように構成されている機械。
【請求項8】
請求項1に記載の機械は、更に、
直線状部分を含む固定子巻線を備え、
各スロット内には、多数の固定子巻線直線状部分が配置されている機械。
【請求項9】
請求項1に記載の機械は、更に、
半径方向の導体寸法が周方向の導体寸法の少なくとも1.5倍となるように前記スロット内に配置された個々の導線を含む少なくとも1つの固定子巻線を備えている機械。
【請求項10】
請求項1に記載の機械は、更に、
少なくとも1つの固定子巻線を備え、
前記固定子巻線は、クランク状コイル巻線を備えている機械。
【請求項11】
請求項1に記載の機械において、
前記スロットの幅の合計と前記歯およびスロットの幅の合計との比が0.65〜0.90の範囲である機械。
【請求項12】
請求項1に記載の機械において、
前記空隙が40mmより大きい機械。
【請求項13】
請求項1に記載の機械において、
前記歯の半径方向の最も内側の縁部は前記固定子鉄心の穴を一緒に画成し、前記穴と前記回転子の巻線との間にある環状の領域には、強磁性材料が存在しない機械。
【請求項14】
請求項1に記載の機械において、
前記回転子アセンブリは、前記回転子の巻線と固定子アセンブリとの間に非磁性電磁シールドを備えている機械。
【請求項15】
請求項1に記載の機械を備える風力タービン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−506400(P2013−506400A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532075(P2012−532075)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042546
【国際公開番号】WO2011/041014
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(500117059)アメリカン スーパーコンダクター コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN SUPERCONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042546
【国際公開番号】WO2011/041014
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(500117059)アメリカン スーパーコンダクター コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN SUPERCONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】
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