説明

固形洗浄剤組成物

【課題】汗や硬度といった外的要因に左右されず、優れた起泡力と泡質を有し、かつ使用時のふやけや溶け崩れがない固形洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)式 R1O(CH2CH2O)nSO3Mで表される硫酸塩、(B)式 R2−OHで表される高級アルコール、(C)式 R3−OCH2−CH(OH)−CH2−OHで表されるグリセリルエーテル、(D)式 R4−COOMで表される高級脂肪酸塩、及び(E) 無機塩を含有し、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計が25〜40重量%であり、〔成分(A)+成分(B)+成分(C)〕/〔成分(D)+成分(E)〕=2.0〜0.5であり、かつ水の含有量が50重量%以下である固形洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、外的要因に左右されず、優れた泡性能を有しながら、しかも水でふやけにくく、溶け崩れしにくいという優れた固形物性を有し、低コストで得られる固形洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固形洗浄剤には、優れた泡立ちと好ましい使用感を与えることが要求されている。一般に使用されている高級脂肪酸のアルカリ金属塩を主体とした固形石鹸は、軟水使用時や平常時は、泡立ちや洗浄力には優れている。しかし、高硬度水を使用した場合や、発汗時に使用した場合に、その泡立ちや洗浄力は極端に落ちることが知られている。このため、好ましい使用感が得られないばかりか、必要以上の活性剤を使用するために、アルカリによる皮膚刺激が高まる、すすぎ時に石鹸スカムが肌に付着残留することにより、つっぱり感が生じるという問題があった。この問題を解決するため、高級脂肪酸と合成界面活性剤を配合したコンビネーションバー、合成界面活性剤を添加剤で固めたシンデットバーなども検討されている。また、高級脂肪酸以外の成分として、高級アルコール、炭化水素ワックス等の固体脂成分や、プロピレングリコール等の保湿剤を配合する試みがなされている。
【0003】
しかしながら、石鹸に合成界面活性剤を配合しても、少量では目的とする効果が得られず、固形物性に悪影響を及ぼしてしまう。また、コンビネーションバーやシンデットバーには、使用時に溶け崩れ、ふやけ等が生じるという欠点があった。
【0004】
比較的多量の合成界面活性剤を含有した固形洗浄剤として、中和モノ−および/またはジ−カルボン酸の細長い結晶のかみ合わせ開口三次元メッシュからなる硬質結晶相骨格構造物と、水溶性陰イオン活性剤や堅さ助剤等を含む軟質相とを含むクレンジング固形物(特許文献1〜3)、クラフト点0℃以下の界面活性剤5〜30重量%、高級脂肪酸塩5〜30重量%、固体脂5〜30重量%、水難溶性充填剤20〜55重量%、無機塩1〜3重量%及び水1〜15重量%を含有する固形洗浄剤組成物(特許文献4)、界面活性剤35〜98重量%、液状又は半固形油1〜30重量%、及びゲル化剤0.01〜5重量%を含有する固形洗浄剤組成物(特許文献5)、リン酸エステル系界面活性剤を固形化剤とし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸を含有する固形洗浄剤組成物(特許文献6)等が知られている。
【特許文献1】特表平6−503122号公報
【特許文献2】特表平7−505157号公報
【特許文献3】特表平7−82139号公報
【特許文献4】特開平10−183171号公報
【特許文献5】特開平7−34100号公報
【特許文献6】特開平8−73891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4記載の発明は、安定な固形物は得られるが、泡質と泡量を満足させるものではなかった。また、特許文献5記載のものは、液状又は半固形油をゲル化剤で固化させるため、起泡力や感触の点で、十分満足できるものではなかった。さらに、特許文献6記載のものでは、高価なリン酸エステルを固形化剤として用いているために、製造コストが高くなる。加えて、高硬度水下では脂肪酸がスカムを作り、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩単独では軽くてきめが粗い泡(バブリーな泡ともいう)となるため、泡性能及び感触の面で不十分であった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、脂肪酸石鹸が有する欠点である汗存在下や高硬度水下での泡立ち劣化がなく、起泡力に優れ、しかも脂肪酸石鹸と同等もしくはそれ以上の泡質を有するために、好ましい感触を与える固形洗浄剤組成物であって、水にふやけにくく、溶け崩れしない固形洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール、グリセリルエーテル、高級脂肪酸塩および無機塩を特定の割合で使用することにより上述の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A) 一般式(1)
1O(CH2CH2O)nSO3M (1)
(式中R1は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均付加モル数であり、0〜5の数を示し、Mはアルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。)で表される硫酸塩、
(B) 一般式(2)
2−OH (2)
(式中R2は炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。)で表される高級アルコール、
(C) 一般式(3)
3−OCH2−CH(OH)−CH2−OH (3)
(式中R3は炭素数6〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)で表されるグリセリルエーテル、
(D) 一般式(4)
4−COOM (4)
(式中R4は炭素数11〜23の直鎖のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子、マグネシウム、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。)で表される高級脂肪酸塩、
(E) 無機塩
を含有し、
成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計が25〜40重量%であり、
〔成分(A)+成分(B)+成分(C)〕/〔成分(D)+成分(E)〕=2.0〜0.5であり、かつ水の含有量が50重量%以下である固形洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の固形洗浄剤組成物は、汗や硬度といった外的要因に左右されず、優れた起泡力と泡質を有し、かつ使用時のふやけや溶け崩れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の固形洗浄剤組成物を構成する成分毎に説明する。
【0011】
本発明においては、式(1)のポリオキシエチレンアルキル(若しくはアルケニル)エーテル硫酸塩又はアルキル(若しくはアルケニル)硫酸塩を使用する。この化合物は、優れた起泡力、洗浄力及び耐硬水性を示し、しかも皮膚に対して低刺激である界面活性剤であるが、実用的な固形物性を実現しつつ、固形化することが従来できなかったものである。従って、この化合物を主基剤と使用して固形洗浄剤組成物を構成すると、固形洗浄剤組成物に好ましい起泡力、洗浄力及び耐硬水性を付与することができる。
【0012】
式(1)の硫酸塩において、R1は直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であるが、その炭素数が8未満のものは入手しにくく、しかも洗浄力が低く、20を超えるものも入手しにくく、しかも起泡性が低い。従って、R1 の炭素数は8〜20である。このような、炭素数8〜20の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基としては、例えば、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチリル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、ドコシル基などを好ましいものとして挙げることができ、中でも炭素数11〜13の飽和アルキル基、特に、ラウリル基を好ましいものとして挙げることができる。Mのアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを例示することができる。また、Mの脂肪族アルカノールアンモニウムとしては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などの炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムを好ましく例示することができる。また、好ましいnの範囲は、大きすぎると起泡性が低下するので、0〜5である。
【0013】
上述のように定義される式(1)の硫酸塩の特に好ましい具体例として、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2〜5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムマグネシウムを例示することができる。
【0014】
なお、式(1)の硫酸塩は単独でも、二種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
本発明において、式(1)の硫酸塩の供給原料としては、市販の20〜70重量%水溶液を用いることができるが、固形洗浄剤組成物の生産性から60〜70重量%水溶液を用いるのが好ましい。
【0016】
成分(A)の含有量は、起泡性の点から、本発明固形洗浄剤組成物中に5〜40重量%とすることが好ましく、さらに10〜35重量%、特に20〜32重量%とすることが好ましい。
【0017】
本発明においては、式(2)の高級アルコールを含有する。この高級アルコールは、成分(A)の界面活性剤の固形化剤として機能しているが、界面活性剤としても機能し、成分(A)の泡質をクリーミーに改善する働きも有する。
【0018】
式(2)の高級アルコールにおいて、R2は直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるが、その炭素数が12未満の場合には固形化剤として働かなくなり、しかも泡質改善効果も低下する。また、22を超えるものは入手しにくくなり、かつ泡質改善効果が低下する。従って、R2の炭素数は12〜22とする。
【0019】
上述のように定義される式(2)の高級アルコールの特に好ましい具体例として、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコールを例示することができる。特に、最も好ましいのはミリスチルアルコールである。
【0020】
なお、式(2)の高級アルコールは単独でも、二種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
成分(B)の含有量は、泡量及びクリーミーな泡質を得る点から、本発明固形洗浄剤組成物中に0.1〜15重量%含有するのが好ましく、さらに0.1〜10重量%、特に1.2〜10重量%が好ましい。
【0022】
本発明においては、式(3)のグリセリルエーテルを含有する。このグリセリルエーテルは、成分(A)の界面活性剤の機能を補う増泡剤として機能している。
【0023】
式(3)のグリセリルエーテルにおいて、R3は炭素数6〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示すが、例えばn−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ラウリル基等の炭素数4〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素数6〜11、さらに炭素数6〜10、なかでも炭素数8〜10のアルキル基(特に2−エチルヘキシル基、又はイソデシル基)が好ましい。
【0024】
上述のように定義される式(3)のグリセリルエーテルの特に好ましい具体例として、泡質改善または保存安定性の点から、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル又はイソデシルグリセリルエーテルを例示することができる。
【0025】
成分(C)は、固形洗浄剤組成物の速泡性および保存安定性の点から、本発明固形洗浄剤組成物中に、0.1〜15重量%含有するのが好ましく、さらには0.1〜12重量%、特に0.5〜12重量%含有するのが好ましい。
【0026】
本発明においては、式(4)の高級脂肪酸塩を含有する。この高級脂肪酸塩は、成分(A)の界面活性剤の固形化剤として機能している。
【0027】
式(4)の高級脂肪酸塩において、R4は直鎖のアルキル基であるが、その炭素数が11未満の場合には固形物性が不十分となり、また、23を超える場合には入手しにくくなり、増泡効果が低下する。従って、R4の炭素数は11〜23とする。
【0028】
成分(D)は、固形洗浄剤組成物の固形化の点から、本発明固形洗浄剤組成物中に、5〜80重量%含有するのが好ましく、さらには10〜50重量%、特に12〜40重量%含有するのが好ましい。
【0029】
本発明においては、成分(E)の無機塩を含有する。この無機塩は、成分(D)の固形化剤として機能している。このような無機塩としては、食塩、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられ、このうち食塩が好ましい。
【0030】
成分(E)は、固形洗浄剤組成物の固形化の点から、本発明固形洗浄剤組成物中に、0.01〜10.0重量%、さらには0.5〜8.0重量%、特に1.0〜5.0重量%含有するのが好ましい。
【0031】
本発明固形洗浄剤組成物において、固形として十分な強度を有し、起泡性が高くかつクリーミーな泡質を実現するためには、成分(A)と(B)と(C)の合計が25〜40重量%であり、〔成分(A)+成分(B)+成分(C)〕/〔成分(D)+成分(E)〕=2.0〜0.5であり、かつ水の含有量が50重量%以下とすることが重要である。
【0032】
本発明固形洗浄剤組成物は、さらにカチオン性ポリマー(F)を配合することにより、泡の粘性を向上させ、泡質をさらに向上させることができる。当該カチオン性ポリマーとしては、下記(a)〜(d)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0033】
(a)一般式(I)又は(II)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、一般式(III)又は(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体
【0034】
【化1】

【0035】
〔式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【0036】
【化2】

【0037】
〔式中、R11は前記と同じ意味を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式−(CH2)m−(mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH2−基を示す。〕
【0038】
【化3】

【0039】
〔式中、R11は前記と同じ意味を示し、R14及びR15は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R16は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH2− 又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH2− のときは炭素数0〜3)の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。〕
【0040】
【化4】

【0041】
〔式中、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、R19及びR20は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記と同じ意味を示す。〕、
【0042】
(b)カチオン化セルロース誘導体
(c)カチオン化グアーガム誘導体
(d)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物
【0043】
成分(F)の(a)カチオン性基含有共重合体について、以下に詳述する。
(イ)ノニオン性基含有ビニル単量体
一般式(I)で表される単量体の具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。一般式(II)で表される単量体としては、N−(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられる。
【0044】
(ロ)カチオン性基含有ビニル単量体
上記一般式(III)で表される単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミドを酸で中和した酸中和物あるいは4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
上記一般式(IV)で表される単量体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0046】
上記の酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;及び酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン−2−カルボン酸、コハク酸、プロピオン酸、グリコール酸等の総炭素数1〜22の有機酸等が挙げられる。上記4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等の炭素数1〜8のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0047】
上記一般式(III)又は(IV)で表される単量体の中で特に好ましいものとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジメチルジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。ここで酸中和物単量体は、系のpH等により中和した酸の解離が起こり、ポリマー構造が変化するため、粘度の安定性が低いという欠点を有する。この点からも4級アンモニウム塩型単量体がより好ましい。
【0048】
(ハ)架橋性ビニル単量体
架橋性ビニル単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの架橋性単量体の中では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、又はペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい。
【0049】
(ニ)その他のビニル単量体
(a)のカチオン性基含有共重合体は、必須構成単位である前記の3種類のビニル単量体のほかに、これらと共重合が可能なその他のビニル単量体を構成成分とすることができる。その他のビニル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。
該その他のビニル単量体はカチオン性基含有共重合体を構成する全単量体中、30重量%以下で用いるのが好ましく、特に15重量%以下で用いるのが好ましい。
【0050】
(ホ)カチオン性基含有共重合体
カチオン性基含有共重合体を形成する単量体であるノニオン性基含有ビニル単量体(a1)とカチオン性基含有ビニル単量体(a2)との好ましい配合比率は、(a1)/(a2)のモル比で、2/98〜98/2であり、さらに好ましくは40/60〜97/3である。上記モル比が大きい場合はチキソトロピー性の発現が、モル比が小さい場合は低シェアレート時の粘度保持が夫々容易となるが、両特性発現には上記範囲内である方が好ましい。
架橋性ビニル単量体(a3)の割合は、単量体全量に対して0.002〜5重量%が好ましく、0.002重量%以上0.1重量%未満が特に好ましい。単量体(a3)の割合が0.002重量%以上であれば、カチオン性基含有共重合体から形成されるハイドロゲルの粘度が十分であり、また5重量%以下であれば、ハイドロゲルの感触は柔らかく、すべりの良いものとなる。
本発明の成分(F)の(a)カチオン性基含有共重合体の好ましい一態様として、下記式で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体が挙げられる。
【0051】
【化5】

【0052】
(式中、モル比でx/y=1/9〜5/5、(x+y+z)/z=1/0.1〜1/0.002である。)
例えば、市販品としては、ソフケアKG−301W〔花王(株)製〕やソフケアKG−101E〔花王(株)製〕が挙げられる。
【0053】
成分(F)の(b)カチオン化セルロース誘導体について、以下に詳述する。
(b)カチオン化セルロース誘導体としては、次の一般式(VI)で表わされるものが好ましい。
【0054】
【化6】

【0055】
(I)式中、Aはアンヒドログルコース単位の残基を示し、aは50〜20000の整数であり、各R21は、それぞれ次の一般式(VII)で表わされる置換基を示す。
【0056】
【化7】

【0057】
式(VII)中、R′及びR″は炭素数2又は3のアルキレン基、bは0〜10の整数、cは0〜3の整数、dは0〜10の整数、R′′′は炭素数1〜3のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基、R22、R23及びR24は同じか又は異なっており、炭素数10までのアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示すか、又は式中の窒素原子を含んで塩素環を形成してもよく、そしてX1は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、リン酸、硝酸等)を表わす。
カチオン化セルロースのカチオン置換度は、0.01〜1、すなわちアンヒドログルコース単位あたりのcの平均値は、0.01〜1、好ましくは0.02〜0.5である。又、b+dの合計は平均1〜3である。置換度は、0.01以下では充分でなく、又1以上でもかまわないが、反応収率の点より1以下が好ましい。例えばR22、R23及びR24としては全てCH3基、又は2つのCH3基などの短鎖アルキル基であり、残り1つが炭素数10〜20の長鎖アルキル基であるものが好ましい。ここで用いるカチオン化セルロースの分子量は約100000〜8000000の間である。
例えば、市販品としては、ポイズC−80H〔花王(株)製〕やポリマーJR−400(ダウケミカル社製)等が挙げられる。
【0058】
成分(F)の(c)カチオン化グアーガム誘導体につい、以下に詳述する。
(c)カチオン化グアーガム誘導体としては、次の一般式(VIII)で表わされるものが好ましい。
【0059】
【化8】

【0060】
式(VIII)中、Dはグアーガム残基、R25はアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基、R26、R27及びR28は同じか又は異なっており、炭素数10以下のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示すか、又は式中の窒素原子を含んで複素環を形成してもよく、X3は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、リン酸、硫酸等)、そしてfは正の整数を示す。
カチオン化グアーガム誘導体のカチオン置換度は、0.01〜1、特に0.02〜0.5個のカチオン基が糖ユニットに導入されたものが好ましい。この型のカチオン性ポリマーは、特公昭58−35640号公報、特公昭60−46158号公報、及び特開昭58−53996号公報中に記載されており、例えば市販品としては、ローディア社(Rhodia Inc.)から商標名ジャガー(Jaguar)で市販されており、ジャガーC−13C等が挙げられる。
【0061】
成分(F)の(d)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物について、以下に詳述する。
(d)ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物としては、次の一般式(IX)又は(X)で表わされるものが好ましい。
【0062】
【化9】

【0063】
【化10】

【0064】
式(IX)及び(X)中、R33及びR34は同じか又は異なっており、水素、アルキル基(炭素数1〜18)、フェニル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基、又はカルボアルコキシアルキル基、R35、R36、R37及びR38は同じか又は異なっており、水素原子、低級アルキル基(炭素数1〜3)、又はフェニル基、X4は陰イオン(塩素、臭素、沃素、硫酸、スルホン酸、メチル硫酸、硫酸など)、gは1〜50の整数、hは0〜50の整数、そしてiは150〜8000の整数を示す。
ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量としては約3万〜200万、好ましくは10万〜100万の範囲が良い。
例えば、市販品としては、ナルコ社から商標名マーコートで市販されており、マーコート100やマーコート550等が挙げられる。
【0065】
成分(F)は1種以上を用いることができる。本発明固形洗浄剤組成物中の成分(F)の含有量は、泡質向上効果の観点から、全組成中に好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0066】
本発明の固形洗浄剤組成物は、水に濡らして使用する。例えば、洗顔用洗浄剤、身体用洗浄剤等の皮膚洗浄剤として用いることができ、これらの洗浄剤組成物には、その目的に応じ任意成分を配合することができる。ここで、任意成分としては、通常これらの洗浄剤に配合される、成分(A)および(D)以外のアニオン性界面活性剤、成分(C)以外の非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び成分(B)以外のコンディショニング成分などが挙げられる。
【0067】
成分(A)および(D)以外のアニオン性界面活性剤としては、リン酸エステル塩、スルホコハク酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、モノグリセライド硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられる。
【0068】
成分(C)以外の非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキサイド、脂肪酸多価アルコールエステル、アルコキシレート等が挙げられる。
【0069】
両性界面活性剤としては、アミドベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、カルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、アミドスルホベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。これらの両性界面活性剤は、起泡性の観点から、本発明固形洗浄剤組成物中に0.5〜40重量%、さらに1〜30重量%、特に2〜25重量%含有するのが好ましい。
【0070】
カチオン性界面活性剤としては、下記一般式(5)
【0071】
【化11】

【0072】
[式中、R38、R39、R40及びR41のうち、少なくとも1個は総炭素数8〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基又はアルケノイルアミノ基が置換していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示し、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、Z-はハロゲンイオン又は有機アニオンを示す。]で表わされる第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0073】
コンディショニング成分としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、シリコーン及びシリコーン誘導体、ラノリン、スクワレン、炭化水素、蛋白誘導体、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル等の油剤等が挙げられる。これらのコンディショニング成分は、泡の感触向上と保存安定性の点より、本発明固形洗浄剤組成物中に0.05〜20重量%、さらに0.1〜15重量%、特に0.1〜12重量%含有するのが好ましい。
【0074】
洗浄剤組成物中に通常使用されるその他の成分、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム等の多糖類等の水溶性高分子;ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、エタノール等の粘度調整剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホスホン酸塩類等のキレート剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;ビタミンやその前駆体等の有効成分;レシチン、ゼラチン等の動植物抽出物又はその誘導体;ナイロンやポリエチレン等のポリマー微粉体;グリチルリチン酸ジカリウム等の消炎剤;トリクロサン、トリクロロカルバン、オクトピロックス、ジンクピリチオン等の殺菌剤や抗フケ剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;パール化剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、色素、香料、水を本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
【0076】
本発明品1〜7及び比較品1〜9
<製法>
表1および表2に示す各成分を混合加熱して溶融石鹸組成物を調製し、それを型枠に流し込み、放冷して固化させた。こうして表1および表2記載の固形洗浄剤組成物を調製した。
【0077】
<評価方法1>
本発明品1〜7及び比較品1〜7の固形洗浄剤組成物について、使用時の固さと、起泡量と、泡質に関し、以下に説明するように試験し評価した。得られた結果を表1に示す。
【0078】
(固さ)
実際に4°DH硬水に濡らして使用することで、使用時の固さを評価した。評価基準は、使用時にふやけず溶け崩れ等ない場合を「○」、使用時にふやけて柔らかくなる場合を「△」、使用時に形状を維持できない場合を「×」とした。
【0079】
(起泡量評価)
製造した洗浄剤組成物0.1gをサンプル管に量り取り、イオン交換水を加えて10mLとした。そのサンプル管を10秒間で20回上下に降り、その後、管底からの泡沫の高さで、起泡量を判断した。以下の評価基準に従い、1〜5の5段階評価した。非常に泡立つ場合は「5」、かなり泡立つ場合は「4」、やや泡立つ場合は「3」、わずかに泡立つ場合は「2」、全く泡立たない場合は「1」とした。
【0080】
(泡質官能評価)
製造した洗浄固形物を、4°DH硬水で濡らし、10秒間手で擦った後に、30秒間泡立てて官能評価を行った。官能評価は専門パネラー10人で行い、泡のクリーミーさを1〜5の5段階評価し平均した。石鹸(ラウリン酸/ミリスチン酸/パルミチン酸=6/4.5/4.5からなる15%水溶液)を基準とし、石鹸の泡よりも非常にクリーミーである場合は「5」、石鹸の泡よりもややクリーミーである場合は「4」、石鹸の泡と同程度である場合は「3」、石鹸の泡よりもややバブリーである場合は「2」、石鹸の泡より非常にバブリーである場合は「1」とした。
【0081】
<評価方法2>
本発明品3及び比較品8,9の固形洗浄剤組成物について、耐汗性能と、耐硬度性能に関し、以下に説明するように試験し評価した。得られた結果を表2に示す。
【0082】
(耐汗性能)
製造した洗浄固形物0.1gをサンプル管に量り取り、種々の濃度の食塩水を加えて10mLとした。そのサンプル管を10秒間で20回上下に降り、その後、管底からの泡沫の高さで、起泡量を判断した。以下の評価基準に従い、1〜5の5段階評価した。非常に泡立つ場合は「5」、かなり泡立つ場合は「4」、やや泡立つ場合は「3」、わずかに泡立つ場合は「2」、全く泡立たない場合は「1」とした。
【0083】
(耐硬水性能)
製造した洗浄固形物0.1gをサンプル管に量り取り、種々の硬度の水を加えて10mLとした。そのサンプル管を10秒間で20回上下に降り、その後、管底からの泡沫の高さで、起泡量を判断した。以下の評価基準に従い、1〜5の5段階評価した。非常に泡立つ場合は「5」、かなり泡立つ場合は「4」、やや泡立つ場合は「3」、わずかに泡立つ場合は「2」、全く泡立たない場合は「1」とした。
【0084】
【表1】

【0085】
表1の結果より、成分(A)を含まない比較品は泡がほとんどたたないことが分かる。また、成分(B)を含む本発明品は、非常にクリーミーな泡質になることが分かる。しかし、成分(B)を含まない場合は、カチオンポリマーをのみを添加しても、それほど泡質改善効果がないことが分かった。成分(C)を含まない場合、起泡力が低下していることがわかった。また、成分(D)と(E)を含まない比較品は、固さに問題があることが分かる。
【0086】
【表2】

【0087】
表2の結果より、一般脂肪酸石鹸の組成で作成した比較品8は、ストレスがない状態では、良好な起泡力を有することがわかるが、ひとたび汗成分が添加されたり、水の硬度が上昇すると、大きく泡性能が低下することが明白となった。また、硬度の高い地域で主に使用されている「シンデットバー」の組成で作成した比較品9においても、一般脂肪酸石鹸ほどではないが、起泡力が低下することが分かった。それに比べて、本発明品は、比較品8、9がほとんど泡立たない過酷な環境においても、問題のない起泡力を示すことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A) 一般式(1)
1O(CH2CH2O)nSO3M (1)
(式中R1は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均付加モル数であり、0〜5の数を示し、Mはアルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。)で表される硫酸塩、
(B) 一般式(2)
2−OH (2)
(式中R2は炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。)で表される高級アルコール、
(C) 一般式(3)
3−OCH2−CH(OH)−CH2−OH (3)
(式中R3は炭素数6〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)で表されるグリセリルエーテル、
(D) 一般式(4)
4−COOM (4)
(式中R4は炭素数11〜23の直鎖のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子、マグネシウム、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す。)で表される高級脂肪酸塩、
(E) 無機塩
を含有し、
成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計が25〜40重量%であり、
〔成分(A)+成分(B)+成分(C)〕/〔成分(D)+成分(E)〕=2.0 〜 0.5であり、かつ水の含有量が50重量%以下である固形洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)と成分(B)との比率が重量比で(A)/(B)=91.5/8.5 〜 80/20であり、成分(A)と成分(C)との比率が重量比で(A)/(C)=98/2〜85/15であり、成分(B)と成分(C)との比率が重量比で(B)/(C)=90/10〜30/70であり、成分(D)と成分(E)との比率が重量比で(D)/(E)=90/10〜94/6である請求項1記載の固形洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(F)カチオンポリマーを含有する請求項1又は2記載の固形洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(A)の含有量が5〜40重量%であり、成分(B)の含有量が0.1〜15重量%であり、成分(C)の含有量が0.1〜15重量%である請求項1〜3の何れか1項記載の固形洗浄剤組成物。
【請求項5】
皮膚洗浄剤組成物である請求項1〜4の何れか1項記載の固形洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−156274(P2008−156274A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346556(P2006−346556)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】