固形燃料の燃焼装置
【課題】液体燃料や気体燃料に代えて、例えば木製チップ、木屑などの固形燃料を、燃焼用空気を燃焼領域に円滑に供給することで高い燃焼効率を維持しながら長時間または長期間にわたり連続的に燃焼させて、高温の燃焼ガスを安定に生成することができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】円筒状の外装筒体1の内部に、外装筒体1よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体2が同心状に配置されて、外装筒体1の下部内周面と燃焼筒体2の外周面との間に環状の灰収集空間3が設けられ、外装筒体1の上端部に、外装筒体1の内接方向に向け空気Aを送給する配置で送風機9が取り付けられているとともに、送給された空気Aを上方への流動を阻止して外装筒体1の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部7bが設けられ、且つ流動ガイド部7bの中央部に燃焼ガスGの放出口7aが形成され、固形燃料Fを燃焼筒体2の内部で燃焼させる構成になっている。
【解決手段】円筒状の外装筒体1の内部に、外装筒体1よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体2が同心状に配置されて、外装筒体1の下部内周面と燃焼筒体2の外周面との間に環状の灰収集空間3が設けられ、外装筒体1の上端部に、外装筒体1の内接方向に向け空気Aを送給する配置で送風機9が取り付けられているとともに、送給された空気Aを上方への流動を阻止して外装筒体1の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部7bが設けられ、且つ流動ガイド部7bの中央部に燃焼ガスGの放出口7aが形成され、固形燃料Fを燃焼筒体2の内部で燃焼させる構成になっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木製チップ、木屑、小枝またはRPFなどのような固形燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを生成する燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のような固形燃料を燃焼させる燃焼装置として、燃焼炉内で燃焼用の空気を旋回させて、その旋回気流による遠心力により燃焼炉内の空間を多数の燃焼領域に分割することで、燃焼炉内の可燃性物質を効率良く燃焼させるように図った遠心燃焼方法を採用した構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の燃焼装置は、図11に示すように、固形燃料Fが収容された燃料タンク50の上部に、燃料タンク50と同一径の燃焼室51が延設され、この燃焼室51の外周面に対し間隔を存して配置された外糟52と燃焼室51との間に環状空間からなる空気供給流路53が形成されているとともに、燃料タンク50の外周面に対し間隔を存して配置された下部外糟54と燃料タンク50との間に環状空間からなる空気吸込流路57が形成されている。空気吸込流路57と空気供給流路53とを接続する配置で設けられた送風機58は、空気吸込流路57から吸い込んだ空気Aを空気供給流路53に対しこれの下端部から燃焼室51の外周面の接線方向に向け供給する。この供給された空気Aは、環状の空気供給流路53内を旋回しがら上昇していき、この旋回気流が、空気方向調節板59により案内されて燃焼室51にこれの上端開口から流入したのち、燃焼室51の内周面に沿って流動しながら下降して、燃焼室51内の燃焼領域に燃焼用空気として供給される。この燃焼装置は、不完全燃焼した可燃性物質を、その重量と空気Aの旋回気流による遠心力により燃焼室の内壁に沿って流動する空気の旋回流に混合させることにより、燃焼効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3813927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記燃焼装置では、燃焼室51内で完全燃焼していない残留物を、上昇気流によって燃焼室51の上方の補助燃焼室60に供給して完全燃焼するように図ったのち、燃焼ガスGを補助燃焼室60の上方の排気糟61から外部に放出するようになっており、燃焼ガスGに含まれる灰を燃焼室51内で処理することについて何ら考慮されていない。そのため、この燃焼装置では、排気糟61から排出されるのが主に煤煙のみであり、固形燃料Fを燃焼する場合に比較的多く発生する灰のうちの特に重量の大きい物質や無機質の物質が不完全燃焼することによって生じる灰が、燃焼室51内の燃焼領域から火炎により吹き上げられても飛散することがなく、空気Aの旋回流による遠心力を受けて燃焼室51の内周面に突き当たることにより運動エネルギを減じて下方に落ちてしまい、燃焼室51の下方の燃料タンク50の内部の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積していく。
【0006】
上述の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積した灰は、燃焼室51内の燃焼効率を著しく低下させる。したがって、この燃焼装置では、高い燃焼効率を維持しながら長期間にわたり連続的に燃焼を継続するのが困難である。この燃焼装置では、常に高い燃焼効率を維持しようとすれば、例えば、燃焼運転を停止して、油圧ジャッキ62で燃焼室51の下端のフランジ51aに圧接されている燃料タンク50を油圧ジャッキ62の作動で下降させたの
ちに、燃料タンク50内の固形燃料Fの表面に堆積している灰を除去する煩雑な作業を頻繁に行う必要がある。
【0007】
また、前記燃焼装置は、上述のように燃料タンク50が油圧ジャッキ62の上下動により燃焼室51のフランジ51aに対し圧接および離間する構成になっていることから明らかなように、燃料タンク50内の固形燃料Fの全ての燃焼が完了する毎に燃料タンク50を下降させて、燃料タンク50内に堆積した灰を取り出したのちに新たな固形燃料Fを燃料タンク50内に供給する工程を繰り返すものと思われる。したがって、この燃焼装置は、灰の除去および固形燃料Fの供給を周期的に行う必要があることから、長時間もしくは長期間にわたる連続運転が困難であるので、固形燃料Fの燃焼により生成される高温の燃焼ガスの熱エネルギを有効利用することができない。換言すると、この燃焼装置は、廃ビニル、廃プラスチックおよび廃タイヤなどの廃棄物を遠心燃焼方式により効率的に焼却する用途などにしか適用できないものと思われる。
【0008】
さらに、前記燃焼装置は、燃料タンク50と同一径を有する燃焼室51が燃料タンク50の上方位置に一体的に延設されているから、燃料タンク50で固形燃料Fが燃焼して生成された燃焼ガスGが燃焼室51のほぼ内部全体に拡散しながら上昇していくので、燃焼室51の上端開口から流入した空気旋回流が、燃焼室51の内部全体に拡散する燃焼ガスGによって下方へ向けての流動を阻害される。すなわち、燃焼室51内に旋回しながら流入した燃焼用空気Aの一部は、燃焼室51内の上方箇所で上昇中の燃焼ガスG内に吸引されてしまい、その全てが燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給され難いので、その結果、燃焼領域に供給される燃焼用空気が不足気味となって、燃料タンク50内で固形燃料Fを完全燃焼させるのが困難であると思われる。これを解消するために、燃焼室を長くすることが考えられるが、そのようにすれば、燃焼室内の上方から流入した空気が燃焼領域に達するまでの流路が長くなってしまい、不完全燃焼が発生する。
【0009】
しかも、送風機58から空気供給流路53に供給された空気Aは、旋回しながら空気供給流路53の下端部から上端部までの長い通路内を流動することにより、流速が下がった状態で燃焼室51の上端開口から燃焼室51内に流入する。これによっても燃焼用空気Aを燃焼室51の内周面に沿って旋回させながら燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給するのが更に難しくなる。そこで、空気供給流路53内において旋回空気Aの流速の低下するのを防止するために、空気供給流路53の流路幅を狭くすることが考えられるが、そのような構造にすると、燃焼室51内に流入する旋回空気Aの流動圧力が弱くなり、やはり旋回空気Aを燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給するのが難しい。
【0010】
また、前記燃焼装置は、空気供給流路53を通過するときに燃焼室51内から燃焼ガスGから熱伝導を受けて予熱され、昇温された空気Aが燃焼室51内に流入するので、その空気が瞬時に高温となったのちに燃焼用空気Aとして燃焼タンク50の燃焼領域または燃焼ガスGに供給されるので、燃焼温度が部分的に必要以上に高温となり、燃焼室51の寿命が短縮化されるおそれもある。さらに、前記燃焼装置は、複雑な構造を有していることから、コスト高となる問題もある。
【0011】
本発明は、液体燃料や気体燃料に代えて、例えば木製チップ、木屑、小枝またはRPFなどのような固形燃料を、燃焼用空気を燃焼領域に円滑に供給することで高い燃焼効率を維持しながら長時間または長期間にわたり連続的に燃焼させて、高温の燃焼ガスを安定に生成することができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心
状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰収集空間が設けられ、前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられているとともに、送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部が設けられ、且つ当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、固形燃料を前記燃焼筒体の内部で燃焼させることを特徴としている。
【0013】
請求項2に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項1に係る固形燃料の燃焼装置において、少なくとも前記外装筒体および前記燃焼筒体のうちの少なくとも当該外装筒体が有底円筒状に形成され、前記流動ガイド部の上面における前記放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられ、前記燃焼筒体が、前記外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されている。
【0014】
請求項3に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項3に係る固形燃料の燃焼装置において、前記燃料供給管が、前記外装筒体および前記燃焼筒体の各々の側壁をそれぞれ貫通して、当該燃焼筒体の内接方向に向け固形燃料を供給する配置で当該燃焼筒体に臨入されている。
【0016】
請求項5に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、直線の筒心を有する円筒状の基体筒部と、当該基体筒部の上端開口から一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部とが一体に連設されてなる外装筒体を有し、前記基体筒部の内方側に、当該基体筒部よりも径の小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該基体筒部の内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、前記ガイド筒部の先端部に、当該ガイド筒部の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を前記ガイド筒部の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流を発生させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に、前記燃焼筒体から上昇してきた燃焼ガスを一側方へ向け放出する放出口が形成され、前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項5に係る固形燃料の燃焼装置において、前記ガイド筒部が、前記基体筒部の上端開口から同一径を保ちながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状または前記基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状の何れかの形状を有している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、外装筒体よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体が外装筒体の内部に同心状の配置で設けられているので、燃焼筒体内で
固形燃料が燃焼して生成された燃焼ガスは、外装筒体の内部全体に拡散することなく、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。そのため、送風機から供給された空気により外装筒体の上端付近に発生する旋回空気流は、燃焼ガスの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流に対し大きく離間しているため、燃焼ガスの吸引力を受けることなく外装筒体の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに燃焼ガスの吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。しかも、送風機から送出される空気は、外装筒体の上端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料は、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスを効率的に生成する。
【0019】
しかも、外装筒体の上端部付近で発生した旋回空気流は、外装筒体の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流が燃焼ガスで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気として燃焼筒体の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体の所期の寿命を確保することができる。さらに、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができる。また、燃焼筒体内での固形燃料の燃焼による火炎によって燃焼筒体の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰は、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流の一部の流れにより環状の灰収集空間内に落下する。したがって、灰は、灰収集空間内に収集されて、燃焼筒体内の未燃焼の固形燃料の表面に堆積しないので、燃焼筒体内に収容した固形燃料の全てが燃焼し終わるまで常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼を継続することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、流動ガイド部の上面における放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられているので、例えば、キャンプ場などの屋外において拾い集めた小枝や木屑などを固形燃料として高効率に燃焼させて、容器内の食品の加熱などを行う用途に好適に使用することができる。また、燃焼筒体が、外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されているので、十分な燃焼カロリーを確保できるとともに、灰を効率的に回収することができる。すなわち、燃焼筒体の高さが外装筒体の20%未満になると、燃焼筒体内に十分な量の固形燃料を入れられないので、所要の燃焼カロリーを得ることができない。一方、燃焼筒体の高さが外装筒体の60%よりも大きくなると、燃焼筒体の上端開口が外装筒体の上端に近接して位置するので、燃焼筒体の上端開口から吹き上げられた灰の全てを上昇気流の遠心力によって外装筒体の内周面に突き当てることが困難となり、灰を効果的に十分回収することができない。
【0021】
請求項3に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、燃焼筒体内の固形燃料が旋回空気の供給による遠心燃焼方式で燃焼することにより、燃焼ガスが渦巻状に旋回しながら逆トルネード状に巻き上がり、このときの燃焼ガスの遠心力によって径方向外方へ吹き飛ばされる灰が、外装筒体の内周壁に突き当たることにより運動エネルギが減じて灰排出路から灰収集箱に回収されるため、燃焼筒体の内部では、常に灰を除外した状態に維持されて固形燃料が長期間にわたり連続的に高効率で燃焼されるから、高温の燃焼ガスが長期間にわたり常に安定に生成され続ける。また、灰は、灰収集箱に回収されるから、燃焼運転を停止して灰を除去する作業が不要となるとともに、灰収集箱に堆積して回収された灰は、支持台から灰収集箱を周期的に取り出して容易に廃棄することができるので、燃料供給管を介して燃焼筒体内に固形燃料を連続的または断続的に供給して長期間にわたり燃焼運転を
継続することが可能となる。このように高温の燃焼ガスを安定に連続的に生成することができる結果、その燃焼ガスの熱エネルギの熱交換により蒸気、温水または温風などを生成する種々の工業用プラントの用途に容易に活用することが可能となる。
【0022】
また、外装筒体よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体が外装筒体の内部に同心状の配置で設けられているので、燃焼筒体内で固形燃料が燃焼して生成された燃焼ガスは、外装筒体の内部全体に拡散することなく、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。そのため、外装筒体の上端付近に発生する旋回空気流は、燃焼ガスの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流に対し大きく離間しているため、燃焼ガスの吸引力を受けずに外装筒体の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体の上端開口部の近傍箇所で燃焼ガスの吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。さらに、送風機から送出される空気は、外装筒体の上端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料は、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスを効率的に生成する。しかも、外装筒体の上端部付近で発生した旋回空気流は、外装筒体の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流が燃焼ガスで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気として燃焼筒体の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体の所期の寿命を確保することができる。
【0023】
請求項4に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、燃料供給管から燃焼筒体内に押し出された固形燃料は、燃焼筒体の内部において内周面に沿って移動するように連続的または断続的に供給されながら、燃焼筒体内の固形燃料の燃焼の進行に伴って燃焼筒体の中央部にも供給されていくので、固形燃料を、大きな搬送力を要することなくスムーズに供給でき、且つ燃焼筒体の内部全体にわたりほぼ均等に供給することができる。
【0024】
請求項5に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、外装筒体が基体筒部の上方に湾曲形状のガイド筒部が連設された形状を有しているが、送風機からガイド筒部の内接方向に向け供給された空気が流動ガイド部の内面およびガイド筒部の内周面に沿って流動することにより旋回空気流となり、この旋回空気流が、ガイド筒部の湾曲した内周面に沿って流れることによって旋回しながら円滑に下降していき、その殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。また、送風機から供給される空気は、外装筒体のガイド筒部の先端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進されて、固形燃料が、遠心燃焼方式により高効率に燃焼される。また、燃焼ガス流に混じって吹き上げられた重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰は、燃焼ガス流を立ち昇らせる上昇気流の遠心力によって燃焼筒体から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体におけるガイド筒部の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、環状の灰排出路内に落下して、灰収集箱に回収されるので、この灰の除去により常に高い燃焼効率を保持することができる。
【0025】
しかも、上記燃焼装置では、外装筒体に湾曲したガイド筒部(例えば、35A)が配設されているので、全体が直線の筒心を有する形状の外装筒体とは異なり、煤などの微小な塵埃状の灰も、燃焼筒体から真上に吹き上げられたのちに、ガイド筒部における湾曲箇所によって上昇を阻止されることにより、放出口に導かれることなく、灰排出路内に落下する。したがって、この燃焼装置では、灰の収集効率が極めて高くなることから、放出口から清浄な燃焼ガスを放出することができる。さらに、この燃焼装置では、外装筒体の放出
口から燃焼ガス流を一側方へ放出するので、工業用プラント装置の構築に適用する場合、連結ダクトを介在させることなしに、放出口から燃焼ガス流を熱交換器などに直接的に送給する構成とすることができる。これにより、連結ダクトが不要となる分だけ構成が簡略化されてコストダウンできるとともに、燃焼ガス流が連結ダクトを通過する際の熱エネルギの損失が回避される結果、燃焼ガスの熱エネルギを効率的に活用することができる。
【0026】
請求項6に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、特に、外装筒体のガイド筒部を、基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に湾曲した円筒状の形成とすることにより、外装筒体の基体筒部の径を大きくできるのに伴って燃焼筒体を大きな容積に設定することができるから、この容積の大きな燃焼筒体により多くの固形燃料を入れて、高い燃焼カロリーを得ることができる。一方、外装筒体における徐々に径が小さくなるガイド筒部の最も径の小さい先端部近傍に空気を送給するので、この空気は、ガイド筒部の最も径の小さな箇所の内周面に沿って流動することによって旋回速度の速い旋回空気流となり、この旋回空気流は、速い旋回速度によってガイド筒部内を高速で下降して、その殆ど全てが燃焼筒体に燃焼用空気として迅速に供給されるので、燃焼筒体内の燃焼領域の燃焼効率が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1のIII-III 線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【図5】図4のV-V 線に沿った断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を適用して構築した工業用プラント装置の構成を説明するための図であ。
【図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図9】(a)は本発明の第5実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図、(b)は(a)のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図である。
【図11】従来の固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、この実施形態では、例えば、キャンプ場などの屋外においてミニチュアバーナとしての用途などに好適に使用できる簡易タイプの燃焼装置を例示している。図1において、この燃焼装置は、有底円筒状の外装筒体1の内部の底面に、外装筒体1よりも径および高さが共に小さい有底円筒状の燃焼筒体2が同心状の相対配置で載置されて、外装筒体1と燃焼筒体2との間に、平面視で環状の灰収集空間3が形成されている。外装筒体1の底面の中央部には、燃焼筒体2の外径よりも僅かに大きな内径を有するリング状の突条部4が一体形成されており、燃焼筒体2を突条部4内に着脱自在に嵌め入れることにより、燃焼筒体2が外装筒体1内に確実な同心状の位置決め状態で固定される。外装筒体1は鉄を素材として形成するのが好ましく、燃焼筒体2はステンレスまたは鋳物で形成するのが好ましい。なお、図1では、燃焼筒体2が有底円筒状になっているが、外装筒体1が有底円筒状になっているから、燃焼筒体2は単なる円筒状としてもよい。
【0029】
外装筒体1の上端開口部には、蓋体7が着脱自在に外嵌されており、この蓋体7には、
後述する燃焼ガスGの放出口7aが中央部に開口され、この放出口7aの縁部から外周縁までの部分が、後述する旋回空気流A1を発生させて外装筒体1の下方へ向け導く流動ガイド部7bになっている。さらに、流動ガイド部7bの上面には、複数(例えば四つ)の受け部材11が鍋などの加熱用容器10を下方から支持できる配置で固着されている。なお、外装筒体1の上端開口部に着脱自在に外嵌する蓋体7に代えて、リング状を有する平板からなる蓋体を外装筒体1の上端開口部に単に載置するようにしてもよい。また、複数設けた受け部材11に代えて、加熱用容器10を支持できるリング状を有する単一の受け部材を設けるようにしてもよい。
【0030】
外装筒体2の上端開口部の近傍箇所には送風管8が固着されており、この送風管8に、空気Aを高圧で供給する送風機9が連結して取り付けられている。送風機9としては、屋外で使用できる電源、例えば蓄電池を電源として駆動できるシロッコファンなどを好適に用いることができる。なお、送風機9は、自動車のシガーライタのソケットに接続線で接続して電源を供給してもよい。送風管8は、図1のII−II線に沿った断面図である図2に示すように、外装筒体3の内接方向に向け空気Aを供給する配置で外装筒体1に固定されている。したがって、送風機9から送風管8を介して外装筒体1内へ送給された高圧空気Aは、図2に明示するように、流動ガイド部7bの内面および外装筒体1の内周面にそれぞれ沿って高速で旋回する旋回空気流A1となる。この旋回空気流A1は、流動ガイド部7bで上昇するのを阻止されているため、図1に矢印で示すように、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方へ向け流動していく。
【0031】
つぎに、前記燃焼装置の使用形態および作用について説明する。キャンプ場などにおいて食物を煮炊きする用途などに使用する場合、蓋体7を外装筒体1から取り外しのちに燃焼筒体2を外装筒体1から取り出し、拾い集めて小さくした小枝や木屑などを固体燃料Fとして燃焼筒体2内に詰め込み、この燃焼筒体2を、突条部4内に嵌め入れて外装筒体1に対し正確な同心状の位置決め状態で取り付ける。続いて、燃焼筒体2内の固形燃料Fをハンド型バーナなどの着火装置(図示せず)により着火したのち、蓋体7を外装筒体1に取り付けて、その蓋体7の各受け部材1上に加熱用容器10を載置し、送風機9を駆動する。これにより、上述したように外装筒体1の内周面および流動ガイド部7bの内面にそれぞれ沿って高速で旋回する旋回空気流A1が発生する。この旋回空気流A1は、流動ガイド部7bにより上昇するのが阻止されているため、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方へ向け流動していき、図1のIII −III 線断面図である図3に示すように、燃焼筒体2の開口端付近まで下降したときに、高温の燃焼ガスGの吸引力を受けて、燃焼筒体2内の燃焼領域に燃焼用空気流A2として旋回を維持しながら供給されるが、この点の詳細については後述する。
【0032】
この燃焼装置は、図3に示すように、外装筒体2よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体2が外装筒体1の底面に同心状の相対配置で設けられて、その燃焼筒体2内で固形燃料Fを燃焼させる。つまり、固形燃料Fは、外装筒体1における内周面に対し環状の空間を存した底部の中央箇所おいて燃焼用空気A2の旋回流の供給を受けて燃焼する。このため、燃焼によって生成された燃焼ガスGは、図11の従来装置のように燃焼室51の内部全体に拡散することがなく、図1に示すように、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。したがって、図2に示すように、外装筒体1内部における送風機9から空気Aが供給される上端付近では、この箇所に発生した旋回空気流A1が、燃焼ガスGの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流G1に対し大きく離間しているため、燃焼ガスと共に立ち昇る上昇気流の影響を受けることがない。
【0033】
そのため、旋回空気流A1は、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けずに外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体2の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに、図3に示すように、旋回ガス流G1に近接して燃焼ガスGの吸
引力を受けることにより、旋回を維持しながら燃焼用空気流A2として燃焼筒体2内の燃焼領域に供給される。このように、送風機9から供給された空気Aによって発生した旋回空気流A1は、その殆ど全てが燃焼用空気流A2として円滑に燃焼筒体2内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進される。しかも、図11の従来装置のように旋回空気流Aが長い空気供給流路53を通ったのちに燃焼室51の上端開口から燃焼室51内に供給されるものとは異なり、送風機9から送出される空気Aは、外装筒体1の上端開口部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流A1が発生させたのち、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けることがないことから、生成された旋回空気流A1の殆ど全てが、流速および流圧が大きく低下することなしに燃焼筒体2内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料Fは、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0034】
上述した効果を得るためには、図1に示す外装筒体1の高さH1と燃焼筒体2の高さH2とを、H2=(0.2×H1)〜(0.6×H1)の範囲内の関係に設定することが好ましい。すなわち、燃焼筒体2の高さH2が(0.2×H1)未満に低くなると、燃焼筒体内に十分な量の固形燃料を入れられないので、所要の燃焼カロリーを得ることができない。一方、燃焼筒2の高さH2が(0.6×H1)よりも高くなると、燃焼筒体の上端開口が外装筒体の上端に近接して位置するので、燃焼筒体の上端開口から吹き上げられた灰の全てを上昇気流の遠心力によって外装筒体の内周面に突き当てることが困難となり、灰を効果的に十分回収することができない。
【0035】
また、前記燃焼装置は、送風機9から送出された空気Aによって発生する旋回空気流A1が、燃焼ガスGから離れた外装筒体1の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体2内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流A1が燃焼ガスGで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気A2として燃焼筒体2の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスGの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体2の所期の寿命を確保することができる。さらに、前記燃焼装置は、図11の従来装置と比較して、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができ、屋外において拾い集めた小枝や木屑などを固形燃料として高効率に燃焼させて食品の加熱などを手軽に、且つ効率的に行う用途に好適なものとなる。
【0036】
さらに、前記燃焼装置は上述した効果以外にも大きな特徴を有している。すなわち、図1に示すように、燃焼筒体2内での固形燃料Fの燃焼による火炎によって燃焼筒体2の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスGを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体2の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体1の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流A1の一部の流れにより環状の灰収集空間3内に落下する。したがって、灰Bは、灰収集空間3内に収集されて、燃焼筒体2内の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積しないので、燃焼筒体2内に収容した固形燃料Fの全てが燃焼し終わるまで常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼を継続することができる。燃焼筒体2内の固形燃料Fの全てが燃焼し終えた時点で、蓋体7を取り外したのち、外装筒体1を上下逆にして内部の灰Bを除去し、燃焼筒体2に新たな固形燃料Fを詰め込んで再び燃焼させることができる。また、この実施形態の燃焼装置は、容易に持ち運びできる携帯可能な小型であるので、キャンプ場などの屋外において食品を加熱するなどの用途に好適に使用することができる。
【0037】
図4は、本発明の第2実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、この実施形態では、工業用プラント装置に有効に利用できる構造を備えたものを例示している。図4において、この燃焼装置は、支持台12の上端面に台板13が載置して固定され、
その台板13上に、円筒状の外装筒体14が複数のボルト17により固定されている。外装筒体14の内部には、外装筒体14に対し径および高さが共に小さい有底円筒状の燃焼筒体18が、外装筒体14に対し同心状に配置されて、複数本のステー20を介在して外装筒体14に側方から支持されている。外装筒体14の下部と燃焼筒体18との間には、平面視で環状空間の灰排出路19が形成されている。外装筒体14と燃焼筒体18との各々の高さ(筒長)は、第1実施形態で説明した外装筒体1の高さH1と燃焼筒体2の高さH2とのH2=(0.2×H1)〜(0.6×H1)の範囲内の関係に設定されるが、この実施形態の燃焼筒体18は、外装筒体14に対しほぼ半分程度の高さを設定されている。なお、外装筒体14は鉄を素材として製作するのが好ましく、燃焼筒体18はステンレスまたは鋳物で製作するのが好ましい。
【0038】
燃焼筒体18の下端の一側部には、例えば木製チップや木屑或いはRPFのような固形燃料Fを搬送するスクリュー21が内装された円筒状の燃料供給管22が、外装筒体14を貫通した配置でその先端部が臨入されている。したがって、燃焼筒体18の下端部には、スクリュー21の回転により燃料供給管22内を搬送される固形燃料Fが連続的または断続的に供給されるようになっている。一方、外装筒体14の上端部の近傍箇所には、外装筒体14内に空気Aを高圧で供給する送風機23が送風管24を介在して取り付けられている。外装筒体14の上端部には、この上端部から内方へ延びる内鍔状の流動ガイド部14aと、この流動ガイド部14aの中心部に開口された放出口14bとが設けられており、放出口14bの周縁部から上方へ向け延出する排気管部27が一体形成されている。流動ガイド部14aは、送風機24から送風管24を通じて供給された空気Aを外装筒体14の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流A1を発生させる。
【0039】
前記台板2は、外装筒体14の下端のフランジ部14cが載置固定される周端部を除く部分が開口部13aに形成されて、平面視で環状の形状を有し、この台板2の開口部13aの孔縁部と燃焼筒体18の下端外周面との間に、灰排出路19を通って落下してくる灰Bの灰収集口28が円形に開口されており、この灰収集口28に、メッシュ状または格子状の大形灰阻止板29が取り付けられている。支持台12における台板13の開口部13aの下方位置には灰収集箱30が配置されている。支持台12には、灰収集箱30の取出口12aが一側壁に開口されているとともに、この取出口12aに開閉蓋31が開閉自在に取り付けられている。灰収集箱30には、取り出し作業を容易に行うための取っ手30aが設けられており、開閉蓋31には、開閉作業を容易に行うための把手31aが設けられている。
【0040】
図4のV-V 線に沿った断面図である図5において、図4に示す送風機23からの高圧の空気Aを外装筒体14内に供給する送風管24は一対設けられ、この各送風管24,24は、外装筒体14における径方向で相対向する2箇所において、外装筒体14の内接方向に向け空気Aを供給する配置でそれぞれ固定されている。したがって、各送風管24から外装筒体14内にそれぞれ供給された空気Aは、外装筒体14の流動ガイド部14aにより上動を阻止されて、この流動ガイド部14aと外装筒体14の内周面とに沿って流動することにより、高速で旋回する旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1が外装筒体14の内周面に沿って下降していく。この旋回空気流A1は、図4に示すように、燃焼筒体18の開口端付近まで下降したときに、高温の燃焼ガスGに吸引されて、旋回を維持しながら燃焼筒体2内の燃焼領域に燃焼用空気流A2として取り込まれる。
【0041】
この燃焼装置においても、第1実施形態と同様に、外装筒体14よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体18が外装筒体14の内部の下端部に同心状の配置で設けられて、その燃焼筒体18の内部の固形燃料Fは、外装筒体14における内周面に対し環状の空間を存して隔離された箇所において燃焼用空気A2の旋回流の供給を受けて燃焼する。このため、燃焼によって生成された燃焼ガスGは、図11の従来装置のように外装筒体14の内
部全体に拡散することがなく、図4に示すように、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。したがって、外装筒体14の内部における燃焼筒体18の上端開口よりも上方の領域においては、旋回空気流A1が、燃焼ガスGの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流G1に対し離間していることによって燃焼ガスGに吸引される影響を受けない。そのため、旋回空気流A1は、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体18の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに、旋回ガス流G1に近接して燃焼ガスGの吸引力を受けることにより、旋回を維持しながら燃焼用空気流A2として燃焼筒体18内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進されることになる。
【0042】
しかも、送風機24から送出される空気Aは、外装筒体14の上端開口部付近に直接供給されて、即座に早い流速の旋回空気流A1を発生されたのち、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けることなく、旋回空気流A1の殆ど全てが、流速および流圧が大きく低下することなしに燃焼筒体2内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料Fは、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0043】
また、旋回空気流A1は、燃焼ガスGから離れた外装筒体1の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体2内の燃焼領域に迅速に供給されるから、燃焼ガスGで殆ど予熱されずに低温を維持したまま燃焼用空気A2として燃焼筒体2の燃焼領域に供給されるから、燃焼領域または燃焼ガスGの温度が部分的に必要以上に高温となることがないので、燃焼筒体18の所期の寿命を確保することができる。さらに、この燃焼装置は、図11の従来装置と比較して、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができる。
【0044】
燃焼筒体18内での固形燃料Fの燃焼による火炎によって燃焼筒体18の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスGを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体18の上端開口部から吹き出された直後に径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体14の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流A1の一部の流れにより灰排出路19および灰収集口28の大形灰阻止板29を通過して灰収集箱30内に落下する。このとき、完全燃焼していない大形の灰Bは、大形灰阻止板29により通過を阻止されて、大形灰阻止板29上に一旦堆積したのち、燃焼筒体18内の燃焼ガスGからの伝熱により高温の雰囲気となっている灰排出路19内で完全燃焼する。したがって、未燃焼の大形の灰Bが灰収集箱30内に落下して灰収集箱30内で燃焼するのが確実に防止される。
【0045】
灰Bが灰収集箱30にほぼ満杯になったときには、開閉蓋31を開いて灰収集箱30を支持台12の取出口12aから外部に取り出して、灰収集箱30内の灰Bを除去することができる。この灰収集箱30内の灰Bの除去作業は、固形燃料Fの燃焼運転を継続した状態において極めて短時間で容易に行えるので、長期間にわたり常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼運転を継続することができる結果、この燃焼装置は、固形燃料Fの燃焼により生成して排気管部17から放出される燃焼ガスGの熱エネルギを熱交換して、例えば、温風、温水または蒸気を生成する工業用プラント装置を構築することが可能なものとなる。
【0046】
図4のVI−VI線に沿った断面図を示す図6において、燃料供給管22は、スクリュー21の回転により搬送する固形燃料Fを燃焼筒体18の内接方向に向け供給する配置で設けられている。したがって、燃料供給管22から燃焼筒体18内に押し出された固形燃料Fは、同図に矢印で明示するように、燃焼筒体18の内部において内周面に沿って移動しながら連続的または断続的に供給されて、燃焼筒体18内の固形燃料Fの燃焼の進行に伴っ
て燃焼筒体18の中央部に送給されていくので、固形燃料Fを、大きな搬送力を要することなくスムーズに供給でき、且つ燃焼筒体18の全体にわたりほぼ均等に供給することができる。一方、燃料供給管18を、燃焼筒体18の底壁の中央部を貫通して内部に臨む配置で設けて、固形燃料Fを燃焼筒体18の中央部に下方から押し込みながら供給する構造とすることもできる。
【0047】
なお、この第2実施形態の燃焼装置において、ポンプにより水を循環させる構造の水冷ジャケットを外装筒体14および燃焼筒体18の各々の筒壁内に埋設する構造とすることもできる。この水冷ジャケットを設けた場合には、循環する水による水冷方式で外装筒体14および燃焼筒体18を効果的に冷却して、外装筒体14および燃焼筒体18の所期の寿命を確保できるとともに、水冷ジャケット内を循環する水が、燃焼ガスGから遠赤外線を受けて、例えば60℃程度まで昇温されるので、この温水の熱を回収して温風または温水を生成することにより、植物のハウス栽培での生育促進などの用途に有効に活用することもできる。
【0048】
図7は、本発明の第3実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を適用して構築した工業用プラント装置の構成を説明するための図であり、同図において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この燃焼装置は、第2実施形態で示したと同様の二つの送風機23がそれぞれ取り付けられた二つの外装筒体14が互いに連結されており、下方の外装筒体14の内部にのみ燃焼筒体18が図4と同じ相対配置で設けられている。この燃焼装置では、二つの外装筒体14が連結されていることによりドラフト効果が助長されて、両外装筒体14,14の連結部分の放出口14bを通過して上方の外装筒体14内に上昇してきた燃焼ガス中に含まれる不燃ガス部分が、この上方の外装筒体14内に二つの送風機23から供給される燃焼用空気によってさらに完全燃焼されて、一層高温の燃焼ガスとなって上方の外装筒体14の上端の放出口14bから放出される。なお、重量の大きい物質や無機質の物質の燃焼による灰Bは、上方の外装筒体14まで吹き上げられることはないので、上方の外装筒体14に灰の収集機能を設ける必要がない。
【0049】
上方の外装筒体14の放出口14bから放出された高温の燃焼ガスは、連結ダクト32を介して熱交換器33に送られ、熱交換器33内を流動する流体に自身の熱エネルギを与える熱交換を行って排ガスとなる。この排ガスは、サイクロン集塵機34に送給されて遠心力により清浄ガスと塵埃(ダスト)とに分離され、塵埃が取出部37から落下して排出されるともに、清浄ガスが誘引ブロア38に吸引されたのちに排気管39から大気に放出される。
【0050】
また、燃料供給管22の供給側端部(図の左端部)は、燃料ホッパ40の下端部の燃料供給部40aに連通して連結され、燃料供給管22に内装されたスクリュー21の一端近傍部分(図の左端近傍部分)は、燃料供給部40aを貫通した状態で二つの軸受41,41で回転自在に支持され、且つスクリュー21の一端部が駆動モータ42に連結されている。駆動モータ42は、予め実験的に求められた固形燃料Fの必要供給量に応じて回転駆動される。すなわち、燃焼筒体18の容量および供給される固形燃料Fの種別毎の燃焼効率などに基づいて固形燃料Fの種別毎の単位時間当たりに必要な供給量を予め実験的に求めて、その必要供給量だけの固形燃料Fをスクリュー21の回転作動により供給できるように駆動モータ42が回転制御される。このとき、駆動モータ42は、所要の回転速度による連続回転または所定の時間間隔による断続的回転のいずれかで回転するように設定された運転条件に基づいて回転制御される。
【0051】
この第3実施形態の燃焼装置を適用した工業用プラント装置は、以下のようにして高温の燃焼ガスGを安定に連続的に生成することができるのに伴って、その燃焼ガスの熱エネ
ルギの熱交換により種々の工業用の用途に活用できるように図ったものである。すなわち、第2実施形態で説明したように、燃焼筒体18内の固形燃料Fが燃焼用空気A2の旋回流の供給による遠心燃焼方式で燃焼することによって燃焼ガスが渦巻状に旋回しながら逆トルネード状に巻き上がり、このときの燃焼ガスの遠心力によって径方向外方へ吹き飛ばされる灰が、下方の外装筒体14の内周面に突き当たることにより運動エネルギが減じて図4の灰排出路19および灰収集口28を介して灰収集箱30に収集されるため、燃焼筒体14内では、常に灰Bを除外した状態に維持されて固形燃料Fが長期間にわたり連続的に高効率で燃焼されて、高温の燃焼ガスGが安定に生成され続ける。しかも、下方の外装筒体14の上端の放出口14bから上方に放出された燃焼ガスが上方の外装筒体14を通過するときに、燃焼ガス中に含まれる不燃物または不燃ガスが完全燃焼されて、所要の高温となった燃焼ガスを安定に連続的に生成することができる。
【0052】
上述の高温の燃焼ガスは、熱交換器33に供給されて、この熱交換器33に通される流体に自体の熱エネルギを与えるように熱交換を行う。熱交換器33では、例えば、供給される水を燃焼ガスの熱エネルギの伝熱で加熱することにより、高温水または蒸気を生成したり、或いは供給される空気を燃焼ガスの熱エネルギの伝熱で加熱することにより温風を生成したりすることができる。熱交換器33で生成された高温水、蒸気または温風は、空気調和などの種々の工業用途に好適に活用することができる。また、この燃焼装置では、2段の外装筒体14,14にそれぞれ設けられた送風機23から供給される空気の装置内への押し込み方向と誘引ブロア38による排ガスの吸引方向とにより、空気圧が排気管39に向けた正圧になっているので、燃焼筒体18から燃料供給管22への逆煙が効果的に防止される。
【0053】
図8(a)は本発明の第4実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図、同図(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。図8において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この燃焼装置が図4の第2実施形態の燃焼装置と相違するのは、外装筒体14の上端近傍箇所に、上方に向け径が連続的に小さくなる傾斜壁部43が形成されているとともに、傾斜壁部43の上端から外装筒体14の本体部分とほぼ同じ径の円筒状に膨出する膨出部44が形成され、さらに、単一の送風機23が連結された単一の送風管24が、膨出部44の内接方向に向けた配置で膨出部44に固着されている構成のみである。
【0054】
この燃焼装置は、第2実施形態で説明したと同様の効果を得ることができるのに加えて、以下の効果を得ることができる。すなわち、送風機23から送風管24を通って膨出部44に送給された空気Aは、流動ガイド部14aに上動を阻止されて膨出部44の内周面に沿って流動することにより、旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1が、膨出部44の下端開口から傾斜壁部43の最も径の小さい上端内周面に流動して加速される。これにより、単一の送風機23から空気Aを送給しながらも、第2実施形態の二つの送風機23,23で送給する場合とほぼ同等の早い流速の旋回空気流A1を発生させることができ、旋回空気流A1を燃焼筒体18の燃焼領域まで円滑に流動させることができる。また、外装筒体14内の上端部分では燃焼ガスGにおける領域径が小さくなり、この燃焼ガスGの領域径の小さい部分が、傾斜壁部43の最も径の小さい上端内周面に沿って流動することで旋回半径が小さくなった旋回空気流A1で周囲を覆われるので、燃焼ガスGとともに上昇する火炎が、旋回空気流A1によって外装筒体14の中央部分に閉じ込められる状態となって、火炎が外装筒体14の径方向へ偏るのが抑制される。
【0055】
図9(a)は本発明の第5実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、同図において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施形態の燃焼装置の外装筒体25Aは、直線の筒心を有し、且つ燃焼筒体18に対し大きな径と略同じ高さを有する円筒状の基体筒部26と、この基体筒部26
の上端から同一径を保ちながら一側方へ向け連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部35Aとを一体に備えている。基体筒部26は燃焼筒体18に対し同心状に配置されて、基体筒部26と燃焼筒体18との間に平面視で環状の灰排出路19が形成されている。ガイド筒部35Aの先端開口部には、内鍔状の流動ガイド部15aが形成され、この流動ガイド部15aの中央部には放出口15bが開口されている。ガイド筒部35Aにおける流動ガイド部15aの近接箇所には、ガイド筒部35Aの内接方向に向け空気Aを供給する配置で送風管24がガイド筒部35Aを貫通して固定されており、この送風管24に送風機23が連結して取り付けられている。なお、ガイド筒部35Aは、この実施形態において4つの湾曲筒部35Aa〜33Adに分割されて、これら各湾曲筒部35Aa〜35Adが例えば溶接により連結されている。これにより、ガイド筒部35Aは、同一径を保ちながら一側方へ向け連続的に滑らかに湾曲する円筒形状に容易に製作することができる。
【0056】
固形燃料Fを搬送するスクリュー21が内装された円筒状の燃料搬送管36は、支持台12に対しこれの一側壁を貫通した配置で固定して支持されており、この燃料搬送管36の供給下流端(図の左端)からは、円筒状の燃料供給管45が燃焼筒体18の中心部に向け上方に延びる配置で一体に形成されている。燃焼供給管45の内部には、固形燃料Fを燃焼筒体18の内部に供給するスクリュー46が軸受47を介して燃料搬送管36に回転自在に支持されており、スクリュー46には、これの回転駆動用のモータ48が連結されている。
【0057】
上述のように燃料搬送管36は、支持台12を貫通して灰収集口28の下方に入り込んだ配置で設けられていることから、図9(a)のIX−IX線に沿った断面図である図9(b)に示すように、灰収集箱30には、燃料搬送管36および燃料供給管45の水平断面の外形に対応した水平断面細長いU字形状の切欠部30bが形成されている。これにより、灰収集箱30は、燃料搬送管36および燃料供給管45を切欠部30b内に出入自在に嵌入させる状態で支持台12の内部に支障無く収容されて、上方の灰排出路19に対向させることができる。また、燃料搬送管36と大形灰阻止板29との間の箇所には、灰排出路19を通って落下してくる灰Bを燃料搬送管36の両側方に振り分けて灰収集箱30内に導くガイド板49が配設されている。支持台12には、灰収集箱30の取出口を開閉する蓋板49が兆番(図示せず)により回転自在に取り付けられているとともに、灰収集箱30を摺動自在に下方から支持するスライド板16が設けられている。
【0058】
この実施形態の燃焼装置は、外装筒体25Aが、基体筒部26の上方に湾曲形状のガイド筒部35Aが連設された形状を有しているが、前記第1ないし第4実施形態で説明したと同様に作用する。すなわち、送風機23から送風管24を通じてガイド筒部35Aの内接方向に噴出された高圧空気Aは、流動ガイド部15aの内面および先端の湾曲筒部35Adの内周面に沿って流動することにより旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1がガイド筒部35Aの湾曲した内周面に沿って流れることによって旋回しながら円滑に下降していき、燃焼筒体18の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに燃焼ガス流G1の吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流A2として燃焼筒体18内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進される。また、送風機23から送出される空気Aは、外装筒体25Aにおけるガイド筒部35Aの先端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流A1となり、燃焼筒体18内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進されて、固形燃料Fが、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0059】
また、燃焼筒体18内での固形燃料Fの燃焼によって燃焼筒体18の上方に向け吹き上げられる燃焼ガス流G1は、ガイド筒部35Aの内周面に沿って流動する旋回空気流A1
によって包囲されることにより、渦巻状で、且つ逆トルネード状の上昇気流となりながら、ガイド筒部35Aの湾曲した内部空間に沿った方向に流動して放出口15bに導かれ、放出口15bから高温の火炎として放出される。このとき、燃焼ガス流G1に混じって吹き上げられた重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、燃焼ガス流A1を立ち昇らせる上昇気流の遠心力によって燃焼筒体18の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体25Aにおけるガイド筒部35Aの内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、環状の灰排出路19内に落下する。
【0060】
しかも、この燃焼装置では、外装筒体25Aにおける燃焼筒体18の上方箇所に、湾曲したガイド筒部35Aが配設されているので、第1ないし第4実施形態の直筒状の外装筒体1,14とは異なり、煤などの微小な塵埃状の灰Bも、燃焼筒体18から真上に吹き上げられたのちに、湾曲したガイド筒部35Aによって上昇を阻止されることにより、放出口15bに導かれることなく、灰排出路19内に落下する。したがって、この燃焼装置では、灰Bの収集効率が極めて高くなることから、放出口15bから清浄な燃焼ガスGを放出することができる。
【0061】
さらに、この燃焼装置では、外装筒体25Aの放出口15bから燃焼ガス流G1を水平方向に噴出させる構成を有しているので、工業用プラント装置の構築に適用する場合、図7の連結ダクト32を介在させることなしに、放出口15bから燃焼ガス流G1を熱交換器33内に直接的に送給する構成とすることができる。これにより、連結ダクト32が不要となる分だけ構成が簡略化されてコストダウンできるとともに、燃焼ガス流G1が連結ダクト32を通過する際の熱エネルギの損失が回避される結果、燃焼ガスGの熱エネルギを効率的に活用することができる。
【0062】
なお、この燃焼装置では、固形燃料Fを燃料搬送管36および燃料供給管45を通じて燃焼筒体18の底部分の中央部に供給しているので、容積の大きな燃焼筒体18であっても、この燃焼筒体18に固形燃料Fを円滑、且つ均等に供給することができる。但し、燃焼筒体18として容積がさほど大きくないものを用いる場合には、図4に示したように、燃焼筒体18の下端部に対し側方から内接方向に向け固形燃料Fを供給するようにしても、燃焼筒体18内に固形燃料Fを円滑、且つ均等に供給することができる。
【0063】
図10は、第5実施形態の変形例である本発明の第6実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図である。同図において、図9(a)と同一若しくは相当するものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、図10では、燃焼ガスG、燃焼ガス流A1および固形燃料Fの図示を、図9(a)と同じであることから、省略している。この実施形態の燃焼装置における外装筒体25Bは、直線の筒心を有し、且つ燃焼筒体18に対し大きな径と略同じ高さを有する円筒状の基体筒部26と、この基体筒部26の上端から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に湾曲した円筒状のガイド筒部35Bとを一体に備えている。ガイド筒部35Bは、この実施形態において5つの湾曲筒部35Ba〜33Beに分割されて、これら各湾曲筒部35Ba〜35Beが例えば溶接により連結されている。これにより、ガイド筒部35Bは、徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に滑らかに湾曲する円筒形状に容易に製作することができる。
【0064】
この実施形態の燃焼装置は、図9の第5実施形態で説明したと同様の効果を得ることができるのに加えて、外装筒体25Bの基体筒部26の径が大きくできるのに伴って燃焼筒体18を大きな容積に設定することができるから、この容積の大きな燃焼筒体18により多くの固形燃料Fを入れて、高い燃焼カロリーを得ることができる。一方、外装筒体25Bにおける徐々に径が小さくなるガイド筒部35Bの最も径の小さい先端部近傍に空気Aを送給するので、この空気Aは、ガイド筒部35Bの最も径の小さな湾曲筒部35Beの内周面に沿って流動することによって旋回速度の速い旋回空気流A1となる。この旋回空
気流A1は、速い旋回速度によってガイド筒部35B内を高速に下降して、その殆ど全てが燃焼筒体18に燃焼用空気A2として迅速に供給されるので、燃焼筒体18内の燃焼領域の燃焼効率が一層向上する。
【0065】
なお、本発明は、以上の実施形態で示した内容に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の固形燃料の燃焼装置は、安価な木製チップや木屑或いはRPFのような固形燃料を長期間にわたり常に高効率で燃焼させて高温の燃焼ガスを生成することができるので、石油や重油などの液体燃料または天然ガスなどの気体燃料を用いることなく、空気調和などの種々の工業用途に必要とされる高温の燃焼ガスを供給することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,14,25A,25B 外装筒体
2,18 燃焼筒体
3 灰収集空間
7b,14a,15a 流動ガイド部
7a,14b,15b 放出口
9,23 送風機
10 加熱用容器(容器)
11 受け部材
12 支持台
19 灰排出路
22,45 燃料供給管
26 基体筒部
30 灰収集箱
35A,35B ガイド筒部
F 固形燃料
A 空気
A1 旋回空気流
A2 燃焼用空気流
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木製チップ、木屑、小枝またはRPFなどのような固形燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを生成する燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のような固形燃料を燃焼させる燃焼装置として、燃焼炉内で燃焼用の空気を旋回させて、その旋回気流による遠心力により燃焼炉内の空間を多数の燃焼領域に分割することで、燃焼炉内の可燃性物質を効率良く燃焼させるように図った遠心燃焼方法を採用した構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の燃焼装置は、図11に示すように、固形燃料Fが収容された燃料タンク50の上部に、燃料タンク50と同一径の燃焼室51が延設され、この燃焼室51の外周面に対し間隔を存して配置された外糟52と燃焼室51との間に環状空間からなる空気供給流路53が形成されているとともに、燃料タンク50の外周面に対し間隔を存して配置された下部外糟54と燃料タンク50との間に環状空間からなる空気吸込流路57が形成されている。空気吸込流路57と空気供給流路53とを接続する配置で設けられた送風機58は、空気吸込流路57から吸い込んだ空気Aを空気供給流路53に対しこれの下端部から燃焼室51の外周面の接線方向に向け供給する。この供給された空気Aは、環状の空気供給流路53内を旋回しがら上昇していき、この旋回気流が、空気方向調節板59により案内されて燃焼室51にこれの上端開口から流入したのち、燃焼室51の内周面に沿って流動しながら下降して、燃焼室51内の燃焼領域に燃焼用空気として供給される。この燃焼装置は、不完全燃焼した可燃性物質を、その重量と空気Aの旋回気流による遠心力により燃焼室の内壁に沿って流動する空気の旋回流に混合させることにより、燃焼効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3813927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記燃焼装置では、燃焼室51内で完全燃焼していない残留物を、上昇気流によって燃焼室51の上方の補助燃焼室60に供給して完全燃焼するように図ったのち、燃焼ガスGを補助燃焼室60の上方の排気糟61から外部に放出するようになっており、燃焼ガスGに含まれる灰を燃焼室51内で処理することについて何ら考慮されていない。そのため、この燃焼装置では、排気糟61から排出されるのが主に煤煙のみであり、固形燃料Fを燃焼する場合に比較的多く発生する灰のうちの特に重量の大きい物質や無機質の物質が不完全燃焼することによって生じる灰が、燃焼室51内の燃焼領域から火炎により吹き上げられても飛散することがなく、空気Aの旋回流による遠心力を受けて燃焼室51の内周面に突き当たることにより運動エネルギを減じて下方に落ちてしまい、燃焼室51の下方の燃料タンク50の内部の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積していく。
【0006】
上述の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積した灰は、燃焼室51内の燃焼効率を著しく低下させる。したがって、この燃焼装置では、高い燃焼効率を維持しながら長期間にわたり連続的に燃焼を継続するのが困難である。この燃焼装置では、常に高い燃焼効率を維持しようとすれば、例えば、燃焼運転を停止して、油圧ジャッキ62で燃焼室51の下端のフランジ51aに圧接されている燃料タンク50を油圧ジャッキ62の作動で下降させたの
ちに、燃料タンク50内の固形燃料Fの表面に堆積している灰を除去する煩雑な作業を頻繁に行う必要がある。
【0007】
また、前記燃焼装置は、上述のように燃料タンク50が油圧ジャッキ62の上下動により燃焼室51のフランジ51aに対し圧接および離間する構成になっていることから明らかなように、燃料タンク50内の固形燃料Fの全ての燃焼が完了する毎に燃料タンク50を下降させて、燃料タンク50内に堆積した灰を取り出したのちに新たな固形燃料Fを燃料タンク50内に供給する工程を繰り返すものと思われる。したがって、この燃焼装置は、灰の除去および固形燃料Fの供給を周期的に行う必要があることから、長時間もしくは長期間にわたる連続運転が困難であるので、固形燃料Fの燃焼により生成される高温の燃焼ガスの熱エネルギを有効利用することができない。換言すると、この燃焼装置は、廃ビニル、廃プラスチックおよび廃タイヤなどの廃棄物を遠心燃焼方式により効率的に焼却する用途などにしか適用できないものと思われる。
【0008】
さらに、前記燃焼装置は、燃料タンク50と同一径を有する燃焼室51が燃料タンク50の上方位置に一体的に延設されているから、燃料タンク50で固形燃料Fが燃焼して生成された燃焼ガスGが燃焼室51のほぼ内部全体に拡散しながら上昇していくので、燃焼室51の上端開口から流入した空気旋回流が、燃焼室51の内部全体に拡散する燃焼ガスGによって下方へ向けての流動を阻害される。すなわち、燃焼室51内に旋回しながら流入した燃焼用空気Aの一部は、燃焼室51内の上方箇所で上昇中の燃焼ガスG内に吸引されてしまい、その全てが燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給され難いので、その結果、燃焼領域に供給される燃焼用空気が不足気味となって、燃料タンク50内で固形燃料Fを完全燃焼させるのが困難であると思われる。これを解消するために、燃焼室を長くすることが考えられるが、そのようにすれば、燃焼室内の上方から流入した空気が燃焼領域に達するまでの流路が長くなってしまい、不完全燃焼が発生する。
【0009】
しかも、送風機58から空気供給流路53に供給された空気Aは、旋回しながら空気供給流路53の下端部から上端部までの長い通路内を流動することにより、流速が下がった状態で燃焼室51の上端開口から燃焼室51内に流入する。これによっても燃焼用空気Aを燃焼室51の内周面に沿って旋回させながら燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給するのが更に難しくなる。そこで、空気供給流路53内において旋回空気Aの流速の低下するのを防止するために、空気供給流路53の流路幅を狭くすることが考えられるが、そのような構造にすると、燃焼室51内に流入する旋回空気Aの流動圧力が弱くなり、やはり旋回空気Aを燃料タンク50内の燃焼領域に円滑に供給するのが難しい。
【0010】
また、前記燃焼装置は、空気供給流路53を通過するときに燃焼室51内から燃焼ガスGから熱伝導を受けて予熱され、昇温された空気Aが燃焼室51内に流入するので、その空気が瞬時に高温となったのちに燃焼用空気Aとして燃焼タンク50の燃焼領域または燃焼ガスGに供給されるので、燃焼温度が部分的に必要以上に高温となり、燃焼室51の寿命が短縮化されるおそれもある。さらに、前記燃焼装置は、複雑な構造を有していることから、コスト高となる問題もある。
【0011】
本発明は、液体燃料や気体燃料に代えて、例えば木製チップ、木屑、小枝またはRPFなどのような固形燃料を、燃焼用空気を燃焼領域に円滑に供給することで高い燃焼効率を維持しながら長時間または長期間にわたり連続的に燃焼させて、高温の燃焼ガスを安定に生成することができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心
状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰収集空間が設けられ、前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられているとともに、送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部が設けられ、且つ当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、固形燃料を前記燃焼筒体の内部で燃焼させることを特徴としている。
【0013】
請求項2に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項1に係る固形燃料の燃焼装置において、少なくとも前記外装筒体および前記燃焼筒体のうちの少なくとも当該外装筒体が有底円筒状に形成され、前記流動ガイド部の上面における前記放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられ、前記燃焼筒体が、前記外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されている。
【0014】
請求項3に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項3に係る固形燃料の燃焼装置において、前記燃料供給管が、前記外装筒体および前記燃焼筒体の各々の側壁をそれぞれ貫通して、当該燃焼筒体の内接方向に向け固形燃料を供給する配置で当該燃焼筒体に臨入されている。
【0016】
請求項5に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、直線の筒心を有する円筒状の基体筒部と、当該基体筒部の上端開口から一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部とが一体に連設されてなる外装筒体を有し、前記基体筒部の内方側に、当該基体筒部よりも径の小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該基体筒部の内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、前記ガイド筒部の先端部に、当該ガイド筒部の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を前記ガイド筒部の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流を発生させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に、前記燃焼筒体から上昇してきた燃焼ガスを一側方へ向け放出する放出口が形成され、前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に係る発明の固形燃料の燃焼装置は、請求項5に係る固形燃料の燃焼装置において、前記ガイド筒部が、前記基体筒部の上端開口から同一径を保ちながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状または前記基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状の何れかの形状を有している。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、外装筒体よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体が外装筒体の内部に同心状の配置で設けられているので、燃焼筒体内で
固形燃料が燃焼して生成された燃焼ガスは、外装筒体の内部全体に拡散することなく、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。そのため、送風機から供給された空気により外装筒体の上端付近に発生する旋回空気流は、燃焼ガスの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流に対し大きく離間しているため、燃焼ガスの吸引力を受けることなく外装筒体の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに燃焼ガスの吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。しかも、送風機から送出される空気は、外装筒体の上端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料は、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスを効率的に生成する。
【0019】
しかも、外装筒体の上端部付近で発生した旋回空気流は、外装筒体の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流が燃焼ガスで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気として燃焼筒体の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体の所期の寿命を確保することができる。さらに、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができる。また、燃焼筒体内での固形燃料の燃焼による火炎によって燃焼筒体の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰は、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流の一部の流れにより環状の灰収集空間内に落下する。したがって、灰は、灰収集空間内に収集されて、燃焼筒体内の未燃焼の固形燃料の表面に堆積しないので、燃焼筒体内に収容した固形燃料の全てが燃焼し終わるまで常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼を継続することができる。
【0020】
請求項2に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、流動ガイド部の上面における放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられているので、例えば、キャンプ場などの屋外において拾い集めた小枝や木屑などを固形燃料として高効率に燃焼させて、容器内の食品の加熱などを行う用途に好適に使用することができる。また、燃焼筒体が、外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されているので、十分な燃焼カロリーを確保できるとともに、灰を効率的に回収することができる。すなわち、燃焼筒体の高さが外装筒体の20%未満になると、燃焼筒体内に十分な量の固形燃料を入れられないので、所要の燃焼カロリーを得ることができない。一方、燃焼筒体の高さが外装筒体の60%よりも大きくなると、燃焼筒体の上端開口が外装筒体の上端に近接して位置するので、燃焼筒体の上端開口から吹き上げられた灰の全てを上昇気流の遠心力によって外装筒体の内周面に突き当てることが困難となり、灰を効果的に十分回収することができない。
【0021】
請求項3に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、燃焼筒体内の固形燃料が旋回空気の供給による遠心燃焼方式で燃焼することにより、燃焼ガスが渦巻状に旋回しながら逆トルネード状に巻き上がり、このときの燃焼ガスの遠心力によって径方向外方へ吹き飛ばされる灰が、外装筒体の内周壁に突き当たることにより運動エネルギが減じて灰排出路から灰収集箱に回収されるため、燃焼筒体の内部では、常に灰を除外した状態に維持されて固形燃料が長期間にわたり連続的に高効率で燃焼されるから、高温の燃焼ガスが長期間にわたり常に安定に生成され続ける。また、灰は、灰収集箱に回収されるから、燃焼運転を停止して灰を除去する作業が不要となるとともに、灰収集箱に堆積して回収された灰は、支持台から灰収集箱を周期的に取り出して容易に廃棄することができるので、燃料供給管を介して燃焼筒体内に固形燃料を連続的または断続的に供給して長期間にわたり燃焼運転を
継続することが可能となる。このように高温の燃焼ガスを安定に連続的に生成することができる結果、その燃焼ガスの熱エネルギの熱交換により蒸気、温水または温風などを生成する種々の工業用プラントの用途に容易に活用することが可能となる。
【0022】
また、外装筒体よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体が外装筒体の内部に同心状の配置で設けられているので、燃焼筒体内で固形燃料が燃焼して生成された燃焼ガスは、外装筒体の内部全体に拡散することなく、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。そのため、外装筒体の上端付近に発生する旋回空気流は、燃焼ガスの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流に対し大きく離間しているため、燃焼ガスの吸引力を受けずに外装筒体の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体の上端開口部の近傍箇所で燃焼ガスの吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。さらに、送風機から送出される空気は、外装筒体の上端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料は、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスを効率的に生成する。しかも、外装筒体の上端部付近で発生した旋回空気流は、外装筒体の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流が燃焼ガスで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気として燃焼筒体の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体の所期の寿命を確保することができる。
【0023】
請求項4に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、燃料供給管から燃焼筒体内に押し出された固形燃料は、燃焼筒体の内部において内周面に沿って移動するように連続的または断続的に供給されながら、燃焼筒体内の固形燃料の燃焼の進行に伴って燃焼筒体の中央部にも供給されていくので、固形燃料を、大きな搬送力を要することなくスムーズに供給でき、且つ燃焼筒体の内部全体にわたりほぼ均等に供給することができる。
【0024】
請求項5に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、外装筒体が基体筒部の上方に湾曲形状のガイド筒部が連設された形状を有しているが、送風機からガイド筒部の内接方向に向け供給された空気が流動ガイド部の内面およびガイド筒部の内周面に沿って流動することにより旋回空気流となり、この旋回空気流が、ガイド筒部の湾曲した内周面に沿って流れることによって旋回しながら円滑に下降していき、その殆ど全てが燃焼用空気流として燃焼筒体内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が効果的に促進される。また、送風機から供給される空気は、外装筒体のガイド筒部の先端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流となり、燃焼筒体内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料の完全燃焼が一層効果的に促進されて、固形燃料が、遠心燃焼方式により高効率に燃焼される。また、燃焼ガス流に混じって吹き上げられた重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰は、燃焼ガス流を立ち昇らせる上昇気流の遠心力によって燃焼筒体から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体におけるガイド筒部の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、環状の灰排出路内に落下して、灰収集箱に回収されるので、この灰の除去により常に高い燃焼効率を保持することができる。
【0025】
しかも、上記燃焼装置では、外装筒体に湾曲したガイド筒部(例えば、35A)が配設されているので、全体が直線の筒心を有する形状の外装筒体とは異なり、煤などの微小な塵埃状の灰も、燃焼筒体から真上に吹き上げられたのちに、ガイド筒部における湾曲箇所によって上昇を阻止されることにより、放出口に導かれることなく、灰排出路内に落下する。したがって、この燃焼装置では、灰の収集効率が極めて高くなることから、放出口から清浄な燃焼ガスを放出することができる。さらに、この燃焼装置では、外装筒体の放出
口から燃焼ガス流を一側方へ放出するので、工業用プラント装置の構築に適用する場合、連結ダクトを介在させることなしに、放出口から燃焼ガス流を熱交換器などに直接的に送給する構成とすることができる。これにより、連結ダクトが不要となる分だけ構成が簡略化されてコストダウンできるとともに、燃焼ガス流が連結ダクトを通過する際の熱エネルギの損失が回避される結果、燃焼ガスの熱エネルギを効率的に活用することができる。
【0026】
請求項6に係る発明の固形燃料の燃焼装置によれば、特に、外装筒体のガイド筒部を、基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に湾曲した円筒状の形成とすることにより、外装筒体の基体筒部の径を大きくできるのに伴って燃焼筒体を大きな容積に設定することができるから、この容積の大きな燃焼筒体により多くの固形燃料を入れて、高い燃焼カロリーを得ることができる。一方、外装筒体における徐々に径が小さくなるガイド筒部の最も径の小さい先端部近傍に空気を送給するので、この空気は、ガイド筒部の最も径の小さな箇所の内周面に沿って流動することによって旋回速度の速い旋回空気流となり、この旋回空気流は、速い旋回速度によってガイド筒部内を高速で下降して、その殆ど全てが燃焼筒体に燃焼用空気として迅速に供給されるので、燃焼筒体内の燃焼領域の燃焼効率が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1のIII-III 線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【図5】図4のV-V 線に沿った断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を適用して構築した工業用プラント装置の構成を説明するための図であ。
【図8】(a)は本発明の第4実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。
【図9】(a)は本発明の第5実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図、(b)は(a)のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図である。
【図11】従来の固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、この実施形態では、例えば、キャンプ場などの屋外においてミニチュアバーナとしての用途などに好適に使用できる簡易タイプの燃焼装置を例示している。図1において、この燃焼装置は、有底円筒状の外装筒体1の内部の底面に、外装筒体1よりも径および高さが共に小さい有底円筒状の燃焼筒体2が同心状の相対配置で載置されて、外装筒体1と燃焼筒体2との間に、平面視で環状の灰収集空間3が形成されている。外装筒体1の底面の中央部には、燃焼筒体2の外径よりも僅かに大きな内径を有するリング状の突条部4が一体形成されており、燃焼筒体2を突条部4内に着脱自在に嵌め入れることにより、燃焼筒体2が外装筒体1内に確実な同心状の位置決め状態で固定される。外装筒体1は鉄を素材として形成するのが好ましく、燃焼筒体2はステンレスまたは鋳物で形成するのが好ましい。なお、図1では、燃焼筒体2が有底円筒状になっているが、外装筒体1が有底円筒状になっているから、燃焼筒体2は単なる円筒状としてもよい。
【0029】
外装筒体1の上端開口部には、蓋体7が着脱自在に外嵌されており、この蓋体7には、
後述する燃焼ガスGの放出口7aが中央部に開口され、この放出口7aの縁部から外周縁までの部分が、後述する旋回空気流A1を発生させて外装筒体1の下方へ向け導く流動ガイド部7bになっている。さらに、流動ガイド部7bの上面には、複数(例えば四つ)の受け部材11が鍋などの加熱用容器10を下方から支持できる配置で固着されている。なお、外装筒体1の上端開口部に着脱自在に外嵌する蓋体7に代えて、リング状を有する平板からなる蓋体を外装筒体1の上端開口部に単に載置するようにしてもよい。また、複数設けた受け部材11に代えて、加熱用容器10を支持できるリング状を有する単一の受け部材を設けるようにしてもよい。
【0030】
外装筒体2の上端開口部の近傍箇所には送風管8が固着されており、この送風管8に、空気Aを高圧で供給する送風機9が連結して取り付けられている。送風機9としては、屋外で使用できる電源、例えば蓄電池を電源として駆動できるシロッコファンなどを好適に用いることができる。なお、送風機9は、自動車のシガーライタのソケットに接続線で接続して電源を供給してもよい。送風管8は、図1のII−II線に沿った断面図である図2に示すように、外装筒体3の内接方向に向け空気Aを供給する配置で外装筒体1に固定されている。したがって、送風機9から送風管8を介して外装筒体1内へ送給された高圧空気Aは、図2に明示するように、流動ガイド部7bの内面および外装筒体1の内周面にそれぞれ沿って高速で旋回する旋回空気流A1となる。この旋回空気流A1は、流動ガイド部7bで上昇するのを阻止されているため、図1に矢印で示すように、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方へ向け流動していく。
【0031】
つぎに、前記燃焼装置の使用形態および作用について説明する。キャンプ場などにおいて食物を煮炊きする用途などに使用する場合、蓋体7を外装筒体1から取り外しのちに燃焼筒体2を外装筒体1から取り出し、拾い集めて小さくした小枝や木屑などを固体燃料Fとして燃焼筒体2内に詰め込み、この燃焼筒体2を、突条部4内に嵌め入れて外装筒体1に対し正確な同心状の位置決め状態で取り付ける。続いて、燃焼筒体2内の固形燃料Fをハンド型バーナなどの着火装置(図示せず)により着火したのち、蓋体7を外装筒体1に取り付けて、その蓋体7の各受け部材1上に加熱用容器10を載置し、送風機9を駆動する。これにより、上述したように外装筒体1の内周面および流動ガイド部7bの内面にそれぞれ沿って高速で旋回する旋回空気流A1が発生する。この旋回空気流A1は、流動ガイド部7bにより上昇するのが阻止されているため、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方へ向け流動していき、図1のIII −III 線断面図である図3に示すように、燃焼筒体2の開口端付近まで下降したときに、高温の燃焼ガスGの吸引力を受けて、燃焼筒体2内の燃焼領域に燃焼用空気流A2として旋回を維持しながら供給されるが、この点の詳細については後述する。
【0032】
この燃焼装置は、図3に示すように、外装筒体2よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体2が外装筒体1の底面に同心状の相対配置で設けられて、その燃焼筒体2内で固形燃料Fを燃焼させる。つまり、固形燃料Fは、外装筒体1における内周面に対し環状の空間を存した底部の中央箇所おいて燃焼用空気A2の旋回流の供給を受けて燃焼する。このため、燃焼によって生成された燃焼ガスGは、図11の従来装置のように燃焼室51の内部全体に拡散することがなく、図1に示すように、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。したがって、図2に示すように、外装筒体1内部における送風機9から空気Aが供給される上端付近では、この箇所に発生した旋回空気流A1が、燃焼ガスGの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流G1に対し大きく離間しているため、燃焼ガスと共に立ち昇る上昇気流の影響を受けることがない。
【0033】
そのため、旋回空気流A1は、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けずに外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体2の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに、図3に示すように、旋回ガス流G1に近接して燃焼ガスGの吸
引力を受けることにより、旋回を維持しながら燃焼用空気流A2として燃焼筒体2内の燃焼領域に供給される。このように、送風機9から供給された空気Aによって発生した旋回空気流A1は、その殆ど全てが燃焼用空気流A2として円滑に燃焼筒体2内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進される。しかも、図11の従来装置のように旋回空気流Aが長い空気供給流路53を通ったのちに燃焼室51の上端開口から燃焼室51内に供給されるものとは異なり、送風機9から送出される空気Aは、外装筒体1の上端開口部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流A1が発生させたのち、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けることがないことから、生成された旋回空気流A1の殆ど全てが、流速および流圧が大きく低下することなしに燃焼筒体2内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料Fは、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0034】
上述した効果を得るためには、図1に示す外装筒体1の高さH1と燃焼筒体2の高さH2とを、H2=(0.2×H1)〜(0.6×H1)の範囲内の関係に設定することが好ましい。すなわち、燃焼筒体2の高さH2が(0.2×H1)未満に低くなると、燃焼筒体内に十分な量の固形燃料を入れられないので、所要の燃焼カロリーを得ることができない。一方、燃焼筒2の高さH2が(0.6×H1)よりも高くなると、燃焼筒体の上端開口が外装筒体の上端に近接して位置するので、燃焼筒体の上端開口から吹き上げられた灰の全てを上昇気流の遠心力によって外装筒体の内周面に突き当てることが困難となり、灰を効果的に十分回収することができない。
【0035】
また、前記燃焼装置は、送風機9から送出された空気Aによって発生する旋回空気流A1が、燃焼ガスGから離れた外装筒体1の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体2内の燃焼領域に迅速に供給されるから、旋回空気流A1が燃焼ガスGで殆ど予熱されない低温を維持したまま燃焼用空気A2として燃焼筒体2の燃焼領域に供給されるので、燃焼領域または燃焼ガスGの温度が部分的に必要以上に高温となることがなく、燃焼筒体2の所期の寿命を確保することができる。さらに、前記燃焼装置は、図11の従来装置と比較して、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができ、屋外において拾い集めた小枝や木屑などを固形燃料として高効率に燃焼させて食品の加熱などを手軽に、且つ効率的に行う用途に好適なものとなる。
【0036】
さらに、前記燃焼装置は上述した効果以外にも大きな特徴を有している。すなわち、図1に示すように、燃焼筒体2内での固形燃料Fの燃焼による火炎によって燃焼筒体2の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスGを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体2の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体1の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流A1の一部の流れにより環状の灰収集空間3内に落下する。したがって、灰Bは、灰収集空間3内に収集されて、燃焼筒体2内の未燃焼の固形燃料Fの表面に堆積しないので、燃焼筒体2内に収容した固形燃料Fの全てが燃焼し終わるまで常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼を継続することができる。燃焼筒体2内の固形燃料Fの全てが燃焼し終えた時点で、蓋体7を取り外したのち、外装筒体1を上下逆にして内部の灰Bを除去し、燃焼筒体2に新たな固形燃料Fを詰め込んで再び燃焼させることができる。また、この実施形態の燃焼装置は、容易に持ち運びできる携帯可能な小型であるので、キャンプ場などの屋外において食品を加熱するなどの用途に好適に使用することができる。
【0037】
図4は、本発明の第2実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、この実施形態では、工業用プラント装置に有効に利用できる構造を備えたものを例示している。図4において、この燃焼装置は、支持台12の上端面に台板13が載置して固定され、
その台板13上に、円筒状の外装筒体14が複数のボルト17により固定されている。外装筒体14の内部には、外装筒体14に対し径および高さが共に小さい有底円筒状の燃焼筒体18が、外装筒体14に対し同心状に配置されて、複数本のステー20を介在して外装筒体14に側方から支持されている。外装筒体14の下部と燃焼筒体18との間には、平面視で環状空間の灰排出路19が形成されている。外装筒体14と燃焼筒体18との各々の高さ(筒長)は、第1実施形態で説明した外装筒体1の高さH1と燃焼筒体2の高さH2とのH2=(0.2×H1)〜(0.6×H1)の範囲内の関係に設定されるが、この実施形態の燃焼筒体18は、外装筒体14に対しほぼ半分程度の高さを設定されている。なお、外装筒体14は鉄を素材として製作するのが好ましく、燃焼筒体18はステンレスまたは鋳物で製作するのが好ましい。
【0038】
燃焼筒体18の下端の一側部には、例えば木製チップや木屑或いはRPFのような固形燃料Fを搬送するスクリュー21が内装された円筒状の燃料供給管22が、外装筒体14を貫通した配置でその先端部が臨入されている。したがって、燃焼筒体18の下端部には、スクリュー21の回転により燃料供給管22内を搬送される固形燃料Fが連続的または断続的に供給されるようになっている。一方、外装筒体14の上端部の近傍箇所には、外装筒体14内に空気Aを高圧で供給する送風機23が送風管24を介在して取り付けられている。外装筒体14の上端部には、この上端部から内方へ延びる内鍔状の流動ガイド部14aと、この流動ガイド部14aの中心部に開口された放出口14bとが設けられており、放出口14bの周縁部から上方へ向け延出する排気管部27が一体形成されている。流動ガイド部14aは、送風機24から送風管24を通じて供給された空気Aを外装筒体14の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流A1を発生させる。
【0039】
前記台板2は、外装筒体14の下端のフランジ部14cが載置固定される周端部を除く部分が開口部13aに形成されて、平面視で環状の形状を有し、この台板2の開口部13aの孔縁部と燃焼筒体18の下端外周面との間に、灰排出路19を通って落下してくる灰Bの灰収集口28が円形に開口されており、この灰収集口28に、メッシュ状または格子状の大形灰阻止板29が取り付けられている。支持台12における台板13の開口部13aの下方位置には灰収集箱30が配置されている。支持台12には、灰収集箱30の取出口12aが一側壁に開口されているとともに、この取出口12aに開閉蓋31が開閉自在に取り付けられている。灰収集箱30には、取り出し作業を容易に行うための取っ手30aが設けられており、開閉蓋31には、開閉作業を容易に行うための把手31aが設けられている。
【0040】
図4のV-V 線に沿った断面図である図5において、図4に示す送風機23からの高圧の空気Aを外装筒体14内に供給する送風管24は一対設けられ、この各送風管24,24は、外装筒体14における径方向で相対向する2箇所において、外装筒体14の内接方向に向け空気Aを供給する配置でそれぞれ固定されている。したがって、各送風管24から外装筒体14内にそれぞれ供給された空気Aは、外装筒体14の流動ガイド部14aにより上動を阻止されて、この流動ガイド部14aと外装筒体14の内周面とに沿って流動することにより、高速で旋回する旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1が外装筒体14の内周面に沿って下降していく。この旋回空気流A1は、図4に示すように、燃焼筒体18の開口端付近まで下降したときに、高温の燃焼ガスGに吸引されて、旋回を維持しながら燃焼筒体2内の燃焼領域に燃焼用空気流A2として取り込まれる。
【0041】
この燃焼装置においても、第1実施形態と同様に、外装筒体14よりも径および高さが共に小さい燃焼筒体18が外装筒体14の内部の下端部に同心状の配置で設けられて、その燃焼筒体18の内部の固形燃料Fは、外装筒体14における内周面に対し環状の空間を存して隔離された箇所において燃焼用空気A2の旋回流の供給を受けて燃焼する。このため、燃焼によって生成された燃焼ガスGは、図11の従来装置のように外装筒体14の内
部全体に拡散することがなく、図4に示すように、渦巻状で、且つ逆トルネード状に立ち昇る。したがって、外装筒体14の内部における燃焼筒体18の上端開口よりも上方の領域においては、旋回空気流A1が、燃焼ガスGの旋回径が小さく絞られた旋回ガス流G1に対し離間していることによって燃焼ガスGに吸引される影響を受けない。そのため、旋回空気流A1は、外装筒体1の内周面に沿って旋回しながら下方に向け円滑に流動していき、燃焼筒体18の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに、旋回ガス流G1に近接して燃焼ガスGの吸引力を受けることにより、旋回を維持しながら燃焼用空気流A2として燃焼筒体18内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進されることになる。
【0042】
しかも、送風機24から送出される空気Aは、外装筒体14の上端開口部付近に直接供給されて、即座に早い流速の旋回空気流A1を発生されたのち、燃焼ガスGの吸引力の影響を受けることなく、旋回空気流A1の殆ど全てが、流速および流圧が大きく低下することなしに燃焼筒体2内の燃焼領域に円滑に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進される。すなわち、固形燃料Fは、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0043】
また、旋回空気流A1は、燃焼ガスGから離れた外装筒体1の内周面に沿って流速および流圧が低下することなく燃焼筒体2内の燃焼領域に迅速に供給されるから、燃焼ガスGで殆ど予熱されずに低温を維持したまま燃焼用空気A2として燃焼筒体2の燃焼領域に供給されるから、燃焼領域または燃焼ガスGの温度が部分的に必要以上に高温となることがないので、燃焼筒体18の所期の寿命を確保することができる。さらに、この燃焼装置は、図11の従来装置と比較して、極めて簡素化された構造になっているから、安価に製作することができる。
【0044】
燃焼筒体18内での固形燃料Fの燃焼による火炎によって燃焼筒体18の上方に吹き上げられた、重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、渦巻状で、且つ逆トルネード状に燃焼ガスGを立ち昇らせる気流の遠心力によって燃焼筒体18の上端開口部から吹き出された直後に径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体14の内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、自重および旋回空気流A1の一部の流れにより灰排出路19および灰収集口28の大形灰阻止板29を通過して灰収集箱30内に落下する。このとき、完全燃焼していない大形の灰Bは、大形灰阻止板29により通過を阻止されて、大形灰阻止板29上に一旦堆積したのち、燃焼筒体18内の燃焼ガスGからの伝熱により高温の雰囲気となっている灰排出路19内で完全燃焼する。したがって、未燃焼の大形の灰Bが灰収集箱30内に落下して灰収集箱30内で燃焼するのが確実に防止される。
【0045】
灰Bが灰収集箱30にほぼ満杯になったときには、開閉蓋31を開いて灰収集箱30を支持台12の取出口12aから外部に取り出して、灰収集箱30内の灰Bを除去することができる。この灰収集箱30内の灰Bの除去作業は、固形燃料Fの燃焼運転を継続した状態において極めて短時間で容易に行えるので、長期間にわたり常に高い燃焼効率を維持したまま連続的に燃焼運転を継続することができる結果、この燃焼装置は、固形燃料Fの燃焼により生成して排気管部17から放出される燃焼ガスGの熱エネルギを熱交換して、例えば、温風、温水または蒸気を生成する工業用プラント装置を構築することが可能なものとなる。
【0046】
図4のVI−VI線に沿った断面図を示す図6において、燃料供給管22は、スクリュー21の回転により搬送する固形燃料Fを燃焼筒体18の内接方向に向け供給する配置で設けられている。したがって、燃料供給管22から燃焼筒体18内に押し出された固形燃料Fは、同図に矢印で明示するように、燃焼筒体18の内部において内周面に沿って移動しながら連続的または断続的に供給されて、燃焼筒体18内の固形燃料Fの燃焼の進行に伴っ
て燃焼筒体18の中央部に送給されていくので、固形燃料Fを、大きな搬送力を要することなくスムーズに供給でき、且つ燃焼筒体18の全体にわたりほぼ均等に供給することができる。一方、燃料供給管18を、燃焼筒体18の底壁の中央部を貫通して内部に臨む配置で設けて、固形燃料Fを燃焼筒体18の中央部に下方から押し込みながら供給する構造とすることもできる。
【0047】
なお、この第2実施形態の燃焼装置において、ポンプにより水を循環させる構造の水冷ジャケットを外装筒体14および燃焼筒体18の各々の筒壁内に埋設する構造とすることもできる。この水冷ジャケットを設けた場合には、循環する水による水冷方式で外装筒体14および燃焼筒体18を効果的に冷却して、外装筒体14および燃焼筒体18の所期の寿命を確保できるとともに、水冷ジャケット内を循環する水が、燃焼ガスGから遠赤外線を受けて、例えば60℃程度まで昇温されるので、この温水の熱を回収して温風または温水を生成することにより、植物のハウス栽培での生育促進などの用途に有効に活用することもできる。
【0048】
図7は、本発明の第3実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を適用して構築した工業用プラント装置の構成を説明するための図であり、同図において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この燃焼装置は、第2実施形態で示したと同様の二つの送風機23がそれぞれ取り付けられた二つの外装筒体14が互いに連結されており、下方の外装筒体14の内部にのみ燃焼筒体18が図4と同じ相対配置で設けられている。この燃焼装置では、二つの外装筒体14が連結されていることによりドラフト効果が助長されて、両外装筒体14,14の連結部分の放出口14bを通過して上方の外装筒体14内に上昇してきた燃焼ガス中に含まれる不燃ガス部分が、この上方の外装筒体14内に二つの送風機23から供給される燃焼用空気によってさらに完全燃焼されて、一層高温の燃焼ガスとなって上方の外装筒体14の上端の放出口14bから放出される。なお、重量の大きい物質や無機質の物質の燃焼による灰Bは、上方の外装筒体14まで吹き上げられることはないので、上方の外装筒体14に灰の収集機能を設ける必要がない。
【0049】
上方の外装筒体14の放出口14bから放出された高温の燃焼ガスは、連結ダクト32を介して熱交換器33に送られ、熱交換器33内を流動する流体に自身の熱エネルギを与える熱交換を行って排ガスとなる。この排ガスは、サイクロン集塵機34に送給されて遠心力により清浄ガスと塵埃(ダスト)とに分離され、塵埃が取出部37から落下して排出されるともに、清浄ガスが誘引ブロア38に吸引されたのちに排気管39から大気に放出される。
【0050】
また、燃料供給管22の供給側端部(図の左端部)は、燃料ホッパ40の下端部の燃料供給部40aに連通して連結され、燃料供給管22に内装されたスクリュー21の一端近傍部分(図の左端近傍部分)は、燃料供給部40aを貫通した状態で二つの軸受41,41で回転自在に支持され、且つスクリュー21の一端部が駆動モータ42に連結されている。駆動モータ42は、予め実験的に求められた固形燃料Fの必要供給量に応じて回転駆動される。すなわち、燃焼筒体18の容量および供給される固形燃料Fの種別毎の燃焼効率などに基づいて固形燃料Fの種別毎の単位時間当たりに必要な供給量を予め実験的に求めて、その必要供給量だけの固形燃料Fをスクリュー21の回転作動により供給できるように駆動モータ42が回転制御される。このとき、駆動モータ42は、所要の回転速度による連続回転または所定の時間間隔による断続的回転のいずれかで回転するように設定された運転条件に基づいて回転制御される。
【0051】
この第3実施形態の燃焼装置を適用した工業用プラント装置は、以下のようにして高温の燃焼ガスGを安定に連続的に生成することができるのに伴って、その燃焼ガスの熱エネ
ルギの熱交換により種々の工業用の用途に活用できるように図ったものである。すなわち、第2実施形態で説明したように、燃焼筒体18内の固形燃料Fが燃焼用空気A2の旋回流の供給による遠心燃焼方式で燃焼することによって燃焼ガスが渦巻状に旋回しながら逆トルネード状に巻き上がり、このときの燃焼ガスの遠心力によって径方向外方へ吹き飛ばされる灰が、下方の外装筒体14の内周面に突き当たることにより運動エネルギが減じて図4の灰排出路19および灰収集口28を介して灰収集箱30に収集されるため、燃焼筒体14内では、常に灰Bを除外した状態に維持されて固形燃料Fが長期間にわたり連続的に高効率で燃焼されて、高温の燃焼ガスGが安定に生成され続ける。しかも、下方の外装筒体14の上端の放出口14bから上方に放出された燃焼ガスが上方の外装筒体14を通過するときに、燃焼ガス中に含まれる不燃物または不燃ガスが完全燃焼されて、所要の高温となった燃焼ガスを安定に連続的に生成することができる。
【0052】
上述の高温の燃焼ガスは、熱交換器33に供給されて、この熱交換器33に通される流体に自体の熱エネルギを与えるように熱交換を行う。熱交換器33では、例えば、供給される水を燃焼ガスの熱エネルギの伝熱で加熱することにより、高温水または蒸気を生成したり、或いは供給される空気を燃焼ガスの熱エネルギの伝熱で加熱することにより温風を生成したりすることができる。熱交換器33で生成された高温水、蒸気または温風は、空気調和などの種々の工業用途に好適に活用することができる。また、この燃焼装置では、2段の外装筒体14,14にそれぞれ設けられた送風機23から供給される空気の装置内への押し込み方向と誘引ブロア38による排ガスの吸引方向とにより、空気圧が排気管39に向けた正圧になっているので、燃焼筒体18から燃料供給管22への逆煙が効果的に防止される。
【0053】
図8(a)は本発明の第4実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図、同図(b)は(a)のB−B線に沿った断面図である。図8において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この燃焼装置が図4の第2実施形態の燃焼装置と相違するのは、外装筒体14の上端近傍箇所に、上方に向け径が連続的に小さくなる傾斜壁部43が形成されているとともに、傾斜壁部43の上端から外装筒体14の本体部分とほぼ同じ径の円筒状に膨出する膨出部44が形成され、さらに、単一の送風機23が連結された単一の送風管24が、膨出部44の内接方向に向けた配置で膨出部44に固着されている構成のみである。
【0054】
この燃焼装置は、第2実施形態で説明したと同様の効果を得ることができるのに加えて、以下の効果を得ることができる。すなわち、送風機23から送風管24を通って膨出部44に送給された空気Aは、流動ガイド部14aに上動を阻止されて膨出部44の内周面に沿って流動することにより、旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1が、膨出部44の下端開口から傾斜壁部43の最も径の小さい上端内周面に流動して加速される。これにより、単一の送風機23から空気Aを送給しながらも、第2実施形態の二つの送風機23,23で送給する場合とほぼ同等の早い流速の旋回空気流A1を発生させることができ、旋回空気流A1を燃焼筒体18の燃焼領域まで円滑に流動させることができる。また、外装筒体14内の上端部分では燃焼ガスGにおける領域径が小さくなり、この燃焼ガスGの領域径の小さい部分が、傾斜壁部43の最も径の小さい上端内周面に沿って流動することで旋回半径が小さくなった旋回空気流A1で周囲を覆われるので、燃焼ガスGとともに上昇する火炎が、旋回空気流A1によって外装筒体14の中央部分に閉じ込められる状態となって、火炎が外装筒体14の径方向へ偏るのが抑制される。
【0055】
図9(a)は本発明の第5実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す縦断面図であり、同図において、図4と同一若しくは相当するものに同一の符号を付して、重複する説明を省略する。この実施形態の燃焼装置の外装筒体25Aは、直線の筒心を有し、且つ燃焼筒体18に対し大きな径と略同じ高さを有する円筒状の基体筒部26と、この基体筒部26
の上端から同一径を保ちながら一側方へ向け連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部35Aとを一体に備えている。基体筒部26は燃焼筒体18に対し同心状に配置されて、基体筒部26と燃焼筒体18との間に平面視で環状の灰排出路19が形成されている。ガイド筒部35Aの先端開口部には、内鍔状の流動ガイド部15aが形成され、この流動ガイド部15aの中央部には放出口15bが開口されている。ガイド筒部35Aにおける流動ガイド部15aの近接箇所には、ガイド筒部35Aの内接方向に向け空気Aを供給する配置で送風管24がガイド筒部35Aを貫通して固定されており、この送風管24に送風機23が連結して取り付けられている。なお、ガイド筒部35Aは、この実施形態において4つの湾曲筒部35Aa〜33Adに分割されて、これら各湾曲筒部35Aa〜35Adが例えば溶接により連結されている。これにより、ガイド筒部35Aは、同一径を保ちながら一側方へ向け連続的に滑らかに湾曲する円筒形状に容易に製作することができる。
【0056】
固形燃料Fを搬送するスクリュー21が内装された円筒状の燃料搬送管36は、支持台12に対しこれの一側壁を貫通した配置で固定して支持されており、この燃料搬送管36の供給下流端(図の左端)からは、円筒状の燃料供給管45が燃焼筒体18の中心部に向け上方に延びる配置で一体に形成されている。燃焼供給管45の内部には、固形燃料Fを燃焼筒体18の内部に供給するスクリュー46が軸受47を介して燃料搬送管36に回転自在に支持されており、スクリュー46には、これの回転駆動用のモータ48が連結されている。
【0057】
上述のように燃料搬送管36は、支持台12を貫通して灰収集口28の下方に入り込んだ配置で設けられていることから、図9(a)のIX−IX線に沿った断面図である図9(b)に示すように、灰収集箱30には、燃料搬送管36および燃料供給管45の水平断面の外形に対応した水平断面細長いU字形状の切欠部30bが形成されている。これにより、灰収集箱30は、燃料搬送管36および燃料供給管45を切欠部30b内に出入自在に嵌入させる状態で支持台12の内部に支障無く収容されて、上方の灰排出路19に対向させることができる。また、燃料搬送管36と大形灰阻止板29との間の箇所には、灰排出路19を通って落下してくる灰Bを燃料搬送管36の両側方に振り分けて灰収集箱30内に導くガイド板49が配設されている。支持台12には、灰収集箱30の取出口を開閉する蓋板49が兆番(図示せず)により回転自在に取り付けられているとともに、灰収集箱30を摺動自在に下方から支持するスライド板16が設けられている。
【0058】
この実施形態の燃焼装置は、外装筒体25Aが、基体筒部26の上方に湾曲形状のガイド筒部35Aが連設された形状を有しているが、前記第1ないし第4実施形態で説明したと同様に作用する。すなわち、送風機23から送風管24を通じてガイド筒部35Aの内接方向に噴出された高圧空気Aは、流動ガイド部15aの内面および先端の湾曲筒部35Adの内周面に沿って流動することにより旋回空気流A1となり、この旋回空気流A1がガイド筒部35Aの湾曲した内周面に沿って流れることによって旋回しながら円滑に下降していき、燃焼筒体18の上端開口部の近傍箇所まで下動したときに燃焼ガス流G1の吸引力を受けて、旋回を維持しながらその殆ど全てが燃焼用空気流A2として燃焼筒体18内の燃焼領域に供給される結果、燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が効果的に促進される。また、送風機23から送出される空気Aは、外装筒体25Aにおけるガイド筒部35Aの先端部付近に直接供給されて早い流速の旋回空気流A1となり、燃焼筒体18内の燃焼領域に迅速に供給されるので、この点からも燃焼領域内での固形燃料Fの完全燃焼が一層効果的に促進されて、固形燃料Fが、遠心燃焼方式により高効率に燃焼されて、高温の燃焼ガスGを効率的に生成する。
【0059】
また、燃焼筒体18内での固形燃料Fの燃焼によって燃焼筒体18の上方に向け吹き上げられる燃焼ガス流G1は、ガイド筒部35Aの内周面に沿って流動する旋回空気流A1
によって包囲されることにより、渦巻状で、且つ逆トルネード状の上昇気流となりながら、ガイド筒部35Aの湾曲した内部空間に沿った方向に流動して放出口15bに導かれ、放出口15bから高温の火炎として放出される。このとき、燃焼ガス流G1に混じって吹き上げられた重量の大きい物質または無機質の物質の燃焼による灰Bは、燃焼ガス流A1を立ち昇らせる上昇気流の遠心力によって燃焼筒体18の開口部の上方から径方向外方へ向け吹き飛ばされて、外装筒体25Aにおけるガイド筒部35Aの内周面に突き当たって運動エネルギを減じ、環状の灰排出路19内に落下する。
【0060】
しかも、この燃焼装置では、外装筒体25Aにおける燃焼筒体18の上方箇所に、湾曲したガイド筒部35Aが配設されているので、第1ないし第4実施形態の直筒状の外装筒体1,14とは異なり、煤などの微小な塵埃状の灰Bも、燃焼筒体18から真上に吹き上げられたのちに、湾曲したガイド筒部35Aによって上昇を阻止されることにより、放出口15bに導かれることなく、灰排出路19内に落下する。したがって、この燃焼装置では、灰Bの収集効率が極めて高くなることから、放出口15bから清浄な燃焼ガスGを放出することができる。
【0061】
さらに、この燃焼装置では、外装筒体25Aの放出口15bから燃焼ガス流G1を水平方向に噴出させる構成を有しているので、工業用プラント装置の構築に適用する場合、図7の連結ダクト32を介在させることなしに、放出口15bから燃焼ガス流G1を熱交換器33内に直接的に送給する構成とすることができる。これにより、連結ダクト32が不要となる分だけ構成が簡略化されてコストダウンできるとともに、燃焼ガス流G1が連結ダクト32を通過する際の熱エネルギの損失が回避される結果、燃焼ガスGの熱エネルギを効率的に活用することができる。
【0062】
なお、この燃焼装置では、固形燃料Fを燃料搬送管36および燃料供給管45を通じて燃焼筒体18の底部分の中央部に供給しているので、容積の大きな燃焼筒体18であっても、この燃焼筒体18に固形燃料Fを円滑、且つ均等に供給することができる。但し、燃焼筒体18として容積がさほど大きくないものを用いる場合には、図4に示したように、燃焼筒体18の下端部に対し側方から内接方向に向け固形燃料Fを供給するようにしても、燃焼筒体18内に固形燃料Fを円滑、且つ均等に供給することができる。
【0063】
図10は、第5実施形態の変形例である本発明の第6実施形態に係る固形燃料の燃焼装置を示す要部の縦断面図である。同図において、図9(a)と同一若しくは相当するものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、図10では、燃焼ガスG、燃焼ガス流A1および固形燃料Fの図示を、図9(a)と同じであることから、省略している。この実施形態の燃焼装置における外装筒体25Bは、直線の筒心を有し、且つ燃焼筒体18に対し大きな径と略同じ高さを有する円筒状の基体筒部26と、この基体筒部26の上端から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に湾曲した円筒状のガイド筒部35Bとを一体に備えている。ガイド筒部35Bは、この実施形態において5つの湾曲筒部35Ba〜33Beに分割されて、これら各湾曲筒部35Ba〜35Beが例えば溶接により連結されている。これにより、ガイド筒部35Bは、徐々に径が小さくなりながら一側方へ向け連続的に滑らかに湾曲する円筒形状に容易に製作することができる。
【0064】
この実施形態の燃焼装置は、図9の第5実施形態で説明したと同様の効果を得ることができるのに加えて、外装筒体25Bの基体筒部26の径が大きくできるのに伴って燃焼筒体18を大きな容積に設定することができるから、この容積の大きな燃焼筒体18により多くの固形燃料Fを入れて、高い燃焼カロリーを得ることができる。一方、外装筒体25Bにおける徐々に径が小さくなるガイド筒部35Bの最も径の小さい先端部近傍に空気Aを送給するので、この空気Aは、ガイド筒部35Bの最も径の小さな湾曲筒部35Beの内周面に沿って流動することによって旋回速度の速い旋回空気流A1となる。この旋回空
気流A1は、速い旋回速度によってガイド筒部35B内を高速に下降して、その殆ど全てが燃焼筒体18に燃焼用空気A2として迅速に供給されるので、燃焼筒体18内の燃焼領域の燃焼効率が一層向上する。
【0065】
なお、本発明は、以上の実施形態で示した内容に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の固形燃料の燃焼装置は、安価な木製チップや木屑或いはRPFのような固形燃料を長期間にわたり常に高効率で燃焼させて高温の燃焼ガスを生成することができるので、石油や重油などの液体燃料または天然ガスなどの気体燃料を用いることなく、空気調和などの種々の工業用途に必要とされる高温の燃焼ガスを供給することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,14,25A,25B 外装筒体
2,18 燃焼筒体
3 灰収集空間
7b,14a,15a 流動ガイド部
7a,14b,15b 放出口
9,23 送風機
10 加熱用容器(容器)
11 受け部材
12 支持台
19 灰排出路
22,45 燃料供給管
26 基体筒部
30 灰収集箱
35A,35B ガイド筒部
F 固形燃料
A 空気
A1 旋回空気流
A2 燃焼用空気流
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰収集空間が設けられ、
前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられているとともに、送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部が設けられ、且つ当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、
固形燃料を前記燃焼筒体の内部で燃焼させることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項2】
少なくとも前記外装筒体および前記燃焼筒体のうちの少なくとも当該外装筒体が有底円筒状に形成され、前記流動ガイド部の上面における前記放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられ、
前記燃焼筒体が、前記外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されている請求項1記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項3】
円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、
前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、
前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、
前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃料供給管が、前記外装筒体および前記燃焼筒体の各々の側壁をそれぞれ貫通して、当該燃焼筒体の内接方向に向け固形燃料を供給する配置で当該燃焼筒体に臨入されている請求項3記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項5】
直線の筒心を有する円筒状の基体筒部と、当該基体筒部の上端開口から一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部とが一体に連設されてなる外装筒体を有し、
前記基体筒部の内方側に、当該基体筒部よりも径の小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該基体筒部の内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、
前記ガイド筒部の先端部に、当該ガイド筒部の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を前記ガイド筒部の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流を発生させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に、前記燃焼筒体から上昇してきた燃焼ガスを一側方へ向け放出する放出口が形成され、
前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、
前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項6】
前記ガイド筒部は、前記基体筒部の上端開口から同一径を保ちながら一側方へ向けて連
続的に湾曲しながら延びる円筒状または前記基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状の何れかの形状を有している請求項5に記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項1】
円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰収集空間が設けられ、
前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられているとともに、送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔形状の流動ガイド部が設けられ、且つ当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、
固形燃料を前記燃焼筒体の内部で燃焼させることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項2】
少なくとも前記外装筒体および前記燃焼筒体のうちの少なくとも当該外装筒体が有底円筒状に形成され、前記流動ガイド部の上面における前記放出口の周囲箇所に、容器を支持する受け部材が設けられ、
前記燃焼筒体が、前記外装筒体の高さの20%〜60%の範囲内の高さに設定されている請求項1記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項3】
円筒状の外装筒体の内部に、当該外装筒体よりも径および高さが共に小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該外装筒体の下部内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、
前記外装筒体の上端部に、当該外装筒体の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を上方への流動を阻止して前記外装筒体の内周面に沿って流動させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に燃焼ガスの放出口が形成され、
前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、
前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃料供給管が、前記外装筒体および前記燃焼筒体の各々の側壁をそれぞれ貫通して、当該燃焼筒体の内接方向に向け固形燃料を供給する配置で当該燃焼筒体に臨入されている請求項3記載の固形燃料の燃焼装置。
【請求項5】
直線の筒心を有する円筒状の基体筒部と、当該基体筒部の上端開口から一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状のガイド筒部とが一体に連設されてなる外装筒体を有し、
前記基体筒部の内方側に、当該基体筒部よりも径の小さい円筒状の燃焼筒体が同心状に配置されて、当該基体筒部の内周面と当該燃焼筒体の外周面との間に環状の灰排出路が設けられ、
前記ガイド筒部の先端部に、当該ガイド筒部の内接方向に向け空気を送給する配置で送風機が取り付けられ、且つ送給された前記空気を前記ガイド筒部の内周面に沿って流動するようガイドして旋回空気流を発生させる内鍔状の流動ガイド部が設けられ、当該流動ガイド部の中央部に、前記燃焼筒体から上昇してきた燃焼ガスを一側方へ向け放出する放出口が形成され、
前記燃焼筒体の下端部に、固形燃料の燃料供給管が連通して連結され、
前記外装筒体が載置固定された支持台の内部における前記灰排出路の下方箇所に、灰を回収するための灰収集箱が前記支持台に出入自在に配置されていることを特徴とする固形燃料の燃焼装置。
【請求項6】
前記ガイド筒部は、前記基体筒部の上端開口から同一径を保ちながら一側方へ向けて連
続的に湾曲しながら延びる円筒状または前記基体筒部の上端開口から徐々に径が小さくなりながら一側方へ向けて連続的に湾曲しながら延びる円筒状の何れかの形状を有している請求項5に記載の固形燃料の燃焼装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−127843(P2011−127843A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287217(P2009−287217)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(501277253)株式会社イクロス (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(501277253)株式会社イクロス (2)
【Fターム(参考)】
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