説明

固形粒子、特に二酸化チタン顔料粒子の表面処理方法

本発明は、水性懸濁液中で無機固体粒子、特に二酸化チタンを表面処理するにあたり、懸濁液を撹拌機ミルを介して移送しながら、粒子を表面コーティングする表面処理方法に関する。この方法は有利には、二酸化チタン粒子をSiO2を用いてコーティングするために使用される。この本発明により処理された粒子は極めて平滑な均一なかつ閉じられたシェル及び顕著に改善された着色力(tinting strength)を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、平滑かつ均一な表面コーティングを有する無機固体粒子、特に二酸化チタン顔料粒子の水性懸濁液中での製造方法に関する。
【0002】
本発明の技術的背景
微細に分割された無機固体粒子は、特定の特性、例えば表面電荷、分散特性、酸−又は光安定性を変更させるために様々に表面コーティングされる。例えば、US 2,885,366は、基材粒子、例えばニッケル−又は鉄粉末、ガラス繊維又は二酸化チタンに対する密な二酸化ケイ素被覆の設置を記載する。有色−及び白色顔料は、通常は、様々な酸化物及び水酸化物でコーティングされる(例えば、US 4,530,725; US Re.27,818)。
【0003】
とりわけTiO2顔料の表面処理は、通常は、水相中で生じ、その際、金属酸化物、−水酸化物、−ホスファート又は類似の化合物は、粒子表面上に析出される。この方法は通常はバッチ式に実施される。水性顔料粒子懸濁液から出発して、相応する金属塩が溶解された形態でわいゆる前駆体化合物として添加され、かつ、この懸濁液のpH値はアルカリ性又は酸性化合物を用いて、この前駆体化合物が酸化物、水酸化物その他として生じるように調節される。
【0004】
この古典的方法では、但し、顔料アグロメレーションが懸濁液中で容易に起こり、この結果、この析出されたコーティング物質は個々の粒子でなくしばしばアグロメラートを被覆する。このアグロメラートは引き続く乾燥粉砕において、再度破砕され、この結果、終生成物中では全ての粒子が閉じられたシェルを備えているわけではなく、コーティングされていない表面部分も有する。更に、このコーティング物質の一部は、粒子表面に固定されず、この粒子の横にフロックを形成する。このフロックは、この懸濁液からもはや除去されることができず、かつ、この顔料の光学的特性に対して不利に作用し、例えば、白色力(Aufhellvermoegen)又は着色力(tinting strength TS)に対して不利に作用する。
【0005】
GB 1 340 045は、二酸化チタン顔料の表面コーティングのための方法を記載し、その際、この顔料は懸濁液中で2時間まで撹拌容器中での強力な撹拌にさらされ、この間に、このコーティング物質が添加され、かつ設けられる。この方法はバッチ運転において実施される。このコーティング物質の沈殿のためには、相応するpH値がこの懸濁液中で調節される。この処理の結果、より高い固体物質含有量を有する顔料フィルターケークが形成され、かつ、顔料を含有するペイント及び塗料の光沢維持が改善される。
【0006】
本発明の課題設定及び要約
本発明の基礎となる課題は、技術水準に対して改善された平滑、均一かつ連続した表面コーティングを固体粒子に生じさせることができる方法を定めることである。
【0007】
この課題は、水性懸濁液中で無機固体粒子を表面処理するにあたり、懸濁液を撹拌機ミルを介して移送しながら、粒子を少なくとも1の無機物質で表面コーティングすることを特徴とする表面処理方法により解決される。
【0008】
本発明の更に有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の主題は、無機化合物からなる、平滑、均一かつ閉じられたシェルでもって固体粒子を被覆するための方法でもある。
【0010】
本発明の記載
本発明の範囲内において、「表面処理」及び「表面コーティング」との概念は等価に使用される。
【0011】
本発明による方法は、バッチ式方法とは対照的に連続的な方法の実施により特徴付けられる。このコーティング物質を含有する溶液は懸濁液中に、撹拌機ミルを介してこれらが移送される前に又は最中に添加される。意外にも、公知の表面処理方法とは対照的に、この個々の粒子の極めて平滑、均一かつ閉じられたシェルが達成され、この結果、引き続く微細粉砕後に、コーティングされていない粒子表面がより少なく存在し、かつ、別個にフロック化されたコーティング物質がより少なく存在する。本発明により処理されたTiO2顔料は、顕著に改善されたTSを有する。
【0012】
本発明の範囲内において、撹拌機ミル、分散装置とは、粉砕体ばら材を撹拌波により運動状態にするものが理解される。この粉砕物は、懸濁された状態において供給され、有利には水性懸濁液において供給される。撹拌又は分散の間にこの粉砕物粒子は、衝撃負荷、例えば粉砕体、撹拌波又は容器壁との衝突による衝撃負荷も、また同様に液体中での剪断負荷も経る。
【0013】
液体の温度依存的な粘度特性との相互作用における機械的撹拌出力の制御により、この作用機構は、衝撃作用又は剪断作用の方向にずらされることができる(参照:J. Winkler "Nanopigmente dispergieren", Farbe und Lack 112 Nr. 2 (2006), 第35〜39頁)。撹拌機ミルは、例えば、ビーズミル又はサンドミルとして公知である。
【0014】
本発明による方法のために適しているのは、約0.001〜1μmの範囲内の粒径を有する微細分割された無機の固体であり、これは水性懸濁液中で加工され、例えば、顔料(二酸化チタン、有色顔料、効果顔料、その他)、充填剤、チタナート−、鉄−、ニッケル−又はその他の磁性粒子である。この粒子は水性懸濁液の状態で存在する。これは、前もって、例えばサンドミル中で粉砕されていることができる。
【0015】
このコーティング物質は無機物質である。コーティングとして、公知の元素、Si、Ti、Al、Zr、Sn及び更なる元素の酸化物、水酸化物、ホスファート、スルファートが考慮される。このコーティング物質は、典型的な方法の場合と同様に、有利には水に溶解した塩の形態(以下、金属塩)で懸濁液に添加される。当業者にはこの相応する金属塩はよく知られている。
【0016】
この懸濁液は、場合により、分散化剤、例えばケイ酸ナトリウム、ヘキサメタホスファート等も含有する。
【0017】
この金属塩溶液は、本発明の一実施態様において、撹拌機ミル中への導入前に懸濁液に添加され、例えば、この混練(Anteig)中に又はこの装填導入(Aufgabeleitung)中にミル前で添加される。又はこの溶液は、コーティング物質と一緒に撹拌機ミル中に導入されることができる。この処理される懸濁液中には、この撹拌機ミルの出口でコーティング物質の別個のフロックの顕著な量は存在しない。可能性があるのは、この実施された剪断力が作用し、この結果、このコーティング物質がまず粒子表面に吸着し、引き続きこのように準備された表面上により良好に沈殿できることである。粒子上には、1種以上の無機のコーティング物質を設けることができる。特に、SiO2コーティングが設けられる。
【0018】
この本発明による表面処理には、典型的な水性表面処理が引き続くことができる。引き続き、この粒子は濾過により分離され、場合により洗浄、乾燥及び微細粉砕される。選択的には、この粒子は、微細粉砕前に温度処理され、有利にはこの温度は250〜600℃で温度処理される。
【0019】
この方法の特別な一実施態様において、二酸化チタン粒子は密なSiO2シェルを備えている。このためには、アナターゼ又はルチル形態にある未処理のTiO2粒子(TiO2基体)の懸濁液が提供される。このコーティング物質は、有利には、Na−又はK−水溶液の形態において供給される。この方法は、4を上回るpH値を有する懸濁液として実施されることができる。この懸濁液のpH値を開始時にアルカリ性に調節し、又は、更なる経過において調節することは必要でない。このプロセスは、この機械的な撹拌出力の制御により、この液体の粘度特性との相互作用において調節される(J. Winkler:"Nanopigmente dispergieren", Farbe und Lack 112 Nr. 2 (2006), 第35 〜39頁を参照のこと)。
【0020】
更なる一実施態様において、この懸濁液を複数の撹拌機ミルを介して次々に又は1の撹拌機ミルを介して循環して移送することにより、複数の別個の層が沈殿されることができる。このミル中への進入前に又はこのミル中への供給にわたり、そのつど、この懸濁液に金属塩溶液が添加される。この溶液は、相違することができ、かつ、それぞれ複数の化合物を含有することができる。
【0021】
例えば、この粒子は、第1の経過において、撹拌機ミルを介してSiO2層を備えられ、かつ、第2の経過において、Al23層を備えられる。
【0022】
更に、この所望されるコーティング物質の一部のみを、この撹拌機粉砕の間に、そして、もう一方の部分を引き続き典型的な表面処理の間に、この粒子表面に設けることができる。例えば、この粒子には、撹拌機ミル中で、この予定される全量のSiO2の約20〜50%の層を備えられる。引き続き、この残りの80〜50%の部分のSiO2は、典型的な表面処理の範囲内で設けられる。
【0023】
更なる一実施態様において、二酸化チタン粒子は、撹拌機ミル中でSiO2層を備えられ、引き続き典型的な表面処理の範囲内で引き続くAl23層が設けられる。
【0024】
濾過及び洗浄後に、この二酸化チタン粒子は乾燥され、かつ、更なる一実施態様において引き続き250〜600℃、有利には350〜450℃の温度で温度処理され、これにより付着性の湿分が顕著に減少される。
【0025】
この乾燥されたか又は温度処理されたTiO2粒子は、引き続き微細粉砕される。この粉砕は、場合により1種以上の有機物質を添加しながら行われる。有機物添加は、微細粉砕後にも適した混合装置を用いて行うことができる。
【0026】
本発明による方法は、極めて均一で平滑な、粒子のコーティングが達成されることにより特徴付けられる。特に本発明により製造されるTiO2顔料は、改善された白色力及び高い耐候性により特徴付けられる。この顔料は傑出して、プラスチック、特にマスターバッチ並びにコーティング、特に塗料及び積層体中での使用に適する。
【0027】
更に、本発明による方法は、典型的な表面処理に対する簡易化を提示する。短縮化した時間内で、有効なコーティングが固形粒子上に設けられることができる。本発明による方法は、更に、典型的な方法に対して、より高い効率により特徴付けられ、というのは、より少ないコーティング物質が別個にフロック化するからである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による方法(実施例7)が極めて均一な、平滑なかつ閉じられたシェルを生じることを示す図である。
【0029】
実施例
以下に、本発明をいくつかの実施例に基づいて詳説するが、これらは制限するものとして考慮されてはならない。量の記載は、そのつどTiO2基体に対する。
【0030】
実施例においては2種類のTiO2基体品質を使用し、これは色味(Farbstich)(スペクトル特性 SC)により相違する。TiO2基体とは、ここでは、まだ表面処理されていないTiO2粒子が理解される。この基体AのためのSC値は、基体BのためのSC値に比較して約1.5だけより高い。慣用のTiO2基体品質は、約3〜7の間のSC値を有する。
【0031】
比較例1:
サンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、これを、水を用いて350g/lの濃度に希釈した。この後に、懸濁液を70℃に加熱し、かつ、NaOHを用いてpH値10に調整した。
【0032】
撹拌しながら、この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で添加した。引き続きこのpH値をHClを用いて70分間のうちに4に調整した。この懸濁液には、アルミナートナトリムの形の0.4%のAl23が添加され、この間に、このpH値は相応するHCl添加により4に維持される。
【0033】
引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0034】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器(Etagentrockner)中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥した材料を2時間420℃で電気的に加熱したロータリーキルン中で温度処理した。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕(dampfmahlen)する。
【0035】
比較例2
サンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Bを、クロリドプロセスにより製造し、これを、NaOHを用いてpH値11に調整し、かつ、垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)により5kg/hを介して移送した。引き続き、この懸濁液を水を用いて350g/lの濃度に希釈し、70℃に加熱し、そして、NaOHを用いてpH値10に調整した。撹拌しながら、この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で添加した。引き続きこのpH値をHClを用いて70分間のうちに4に調整した。この懸濁液には、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23が添加され、この間に、このpH値は相応するHCl添加により4に維持される。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0036】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料は2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理される。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0037】
比較例3
サンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Bを、クロリドプロセスにより製造し、これを、水を用いて350g/lの濃度に希釈した。この後に、懸濁液を70℃に加熱し、かつ、NaOHを用いてpH値10に調整した。撹拌しながら、この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で添加した。引き続きこのpH値をHClを用いて70分間のうちに4に調整した。この懸濁液には、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23が添加され、この間に、このpH値は相応するHCl添加により4に維持される。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0038】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料は2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理される。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0039】
実施例1
500g/lの濃度を有するサンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、これを、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値を相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0040】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料をスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0041】
実施例2
500g/lの濃度を有するサンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、これを、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値は相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0042】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0043】
実施例3
500g/lの濃度を有するサンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、これを、HClを用いてpH値8に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値を相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0044】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0045】
実施例4
500g/lの濃度を有するTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、NaOHを用いてpH値4に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値を相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0046】
実施例5
500g/lの濃度を有するTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値を相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0047】
実施例6
500g/lの濃度を有するTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に0.5%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後で、この懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらNa−水ガラスの形で1.7%SiO2を添加する。この懸濁液を引き続きHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、更に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値は相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0048】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0049】
実施例7
500g/lの濃度を有するサンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Aを、クロリドプロセスにより製造し、これを、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を水平サンドミル(LME20型, Netzsch)を介して40kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液にナトリウムアルミナートの形で0.1%のAl23を添加する。
【0050】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、噴霧乾燥器を用いて110℃で乾燥させる。この乾燥された材料を1時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0051】
実施例8
500g/lの濃度を有するサンドミル処理したTiO2懸濁液、基体品質Bを、クロリドプロセスにより製造し、これを、NaOHを用いてpH値11.5に調整する。この懸濁液に2.2%のSiO2を、ナトリウム−水ガラスの形で計量供給する。引き続きこの懸濁液を垂直サンドミル(PM5型, Draiswerke GmbH)を介して5kg/hで移送する。この後でこの懸濁液を水を用いて350g/lに希釈し、70℃に加熱し、撹拌しながらHClを用いて70分間のうちにpH値4に調整する。この懸濁液に、ナトリムアルミナートの形の0.4%のAl23を添加し、この間に、このpH値を相応するHCl添加により4に維持する。引き続きpH値を、ナトリウムアルミナートの形の約0.1%のAl23を用いて5.5に調整する。
【0052】
この懸濁液を引き続き濾過し、洗浄し、そして、段型乾燥器中で160℃で16時間乾燥させる。この乾燥された材料を2時間420℃で電気的に加熱されたロータリーキルン中で温度処理する。この温度処理された材料を引き続きスパイラルジェットミルを用いてエトキシ−及びプロピル含有シロキサンを添加しながら蒸気粉砕する。
【0053】
試験方法
このTiO2基体の色調又はスペクトル特性(SC)は、 DIN 53165に応じた黒色ペースト中への混和後に、17%の顔料容積濃度で測定される(いわゆるMAB方法)。塗料混和機(Farbenausreibmaschine)(Automatic Muller)にペースト調整(anpasten)された灰色ペーストを、白色のMorestカードに設ける。HunterLab Colorimeter PD-9000を用いて、この湿式状態にある層の反射率値(Remissionswert)を測定する。ここから導かれるSC値を、完全な標準に関連させる。
【0054】
実施例及び比較例の顔料の白色力(TS)を、Vinnol黒色ペースト、1.22%顔料容積濃度中への混和後に測定した(いわゆるVIG方法)。
【0055】
検査すべき二酸化チタン顔料を、前もって作成したVinnol黒色ペーストを用いて塗料混和機(Automatic Muller)でペースト調整する。この得られる灰色ペーストをフィルムのばし機(Applikator)を用いてカード上に設ける。この層の反射値をHunterLab Colorimeter PD-9000を用いて湿式状態で測定し、かつ内部標準に関連させる。
【0056】
カールフィッシャー(KF)による湿式測定ではこの試料中に含有される水はカールフィッシャー炉中でこの試料から放出され、かつ、KF溶剤中に移行される。KF滴定剤中に含有されるヨウ素−SO2−レドックス系の間でのレドックス経過を、試料中に含有される水により活性化させる。滴定の当量点をボルタメトリーにより把握する。この炉の温度を300℃に調節する。この結果の提示を、パーセントでのw(H2O)としての正味重量関連により行う。
【0057】
透過電子顕微鏡(TEM)を用いてこの二酸化チタン粒子のコーティングを可視可能にすることができる。
試験結果
【表1】

【0058】
本発明による方法を用いて、典型的な方法(第1表、比較例1〜3)に比較して改善された白色化(TS)が達成される(第1表、実施例1〜8)。このTSレベルは、この基体の品質に依存的であり、例えば比較例1と比較例3、及び、比較例2と実施例8との比較が示すとおりである。
【0059】
引き続く温度処理を用いて、湿分の顕著な減少が達成され(第2表)、従って、例えば相応する顔料のレーシング(Lacing)安定性がプラスチックシート中での使用の際に改善される。
【0060】
TEM画像は、本発明による方法が極めて均一な、平滑なかつ閉じられたシェルを生じることを示す(図1、実施例7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性懸濁液中の無機固体粒子を表面処理するにあたり、懸濁液を撹拌機ミルを介して移送しながら、粒子を少なくとも1の無機物質で表面コーティングすることを特徴とする表面処理方法。
【請求項2】
固体粒子として二酸化チタンが使用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コーティング物質を懸濁液の導入前に撹拌機ミル中に添加することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
SiO2で表面コーティングされることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
引き続きAl23表面コーティングを設けることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
固体粒子が温度処理されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項2から6までのいずれか1項記載の方法により表面コーティングされた二酸化チタン粒子。
【請求項8】
プラスチック、コーティング及び積層体における請求項7記載の二酸化チタン粒子の使用。
【請求項9】
請求項7記載の二酸化チタン粒子を含有する製品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−512437(P2010−512437A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540646(P2009−540646)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010779
【国際公開番号】WO2008/071382
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(592039299)クローノス インターナショナル インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】KRONOS INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】Peschstrasse 5, D−51373 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】