説明

圧力モニターインターフェースおよび付属品付き血管内光干渉断層撮影システム

統合圧力測定を使用する光干渉断層撮影システムと方法を提供する。1つの実施形態において、システムは、波長掃引レーザー、波長掃引レーザーと接続されているソースアーム、基準反射体と接続されている基準アーム、信号出力を有する第一の光検出器、第一の光検出器と接続されている検出器アーム、プローブインターフェース、プローブインターフェースの第一の光コネクタと接続されているサンプルアームを含む干渉計;第一の光検出器信号出力と接続されている信号入力および信号出力を有するA/D変換器、A/D変換器信号出力と接続されている処理システム、処理システムと接続されているディスプレーを含む取得及び表示システム;および圧力センサーを含みプローブインターフェースの第一の光コネクタに接続するように構成されているプローブを含み、圧力変換器は光圧力変換器を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国出願番号12/689,724(2010年1月19日出願)の継続で、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、侵襲的医療機器、より具体的には血管の管腔のイメージング用および血圧などの生理学的変数の測定用の光ファイバーシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
動脈内の狭窄病変の機能的重症度は、病変部位全体にわたる圧力勾配を測定することにより評価できる。特に冠状動脈内の血管内血圧測定は、カテーテルベースの介入手順を導くツールとして広く受け入れられている。血管拡張薬注入後、病変の遠位で測定された血圧と近位で測定された血圧の比として定義される血流予備量比(FFR)が臨床的に定義される特定の閾値を超えた場合、冠状動脈の血管形成または病変のステント留置は避けることができる。
【0004】
医学的診断および介入手順中に、ミニチュアカテーテルの先端で動脈圧力を感知するためのさまざまな装置が開発されている。このタイプで最も広く使用されている装置(「圧力ワイヤー」と呼ばれることがよくある)は、電気的導線が近位端のコネクタまで通る長い金属チューブの側面に埋め込まれた電子圧力変換器を用いる。一般的に、変換器はチューブの遠位端のスプリングの近位1〜2cmの距離に取り付けられる。操作者は、変換器が局所血圧測定に望ましい位置に達するまで、手動で動脈を通して、チューブを動かす。
【0005】
電子圧力測定システムの欠点の1つは、変換器、ワイヤー、および付属品組立体のサイズによって決まる圧力ワイヤーの最小直径が比較的大きいことである。圧力ワイヤーは、狭窄部位全体にわたる圧力勾配を大きく増加させたり、ワイヤーが狭窄を通り抜けるのを妨げたりすることなく、血管の狭い狭窄を通り抜ける必要があるため、圧力ワイヤーの直径は非常に重要である。例えば血管形成の候補となる病的動脈は、管腔直径が1mm未満であることがあるので、これは特に重要である。
【0006】
電子圧力モニターシステムの2番目の欠点は、電気的干渉および較正ドリフトの影響を受けやすいことである。ワイヤーおよび変換器を慎重にシールして水分侵入を避けること、および電磁妨害に対してワイヤーを保護することが、環境外乱を最小化するために必要となる。
【0007】
1回の医療手順の間に、血管内画像および血管内圧力の測定値を取得することがよく望まれる。しかし、このような用途では、電子圧力ワイヤーは、イメージングカテーテルとともに使用する時に、血管内イメージングカテーテルと統合することが難しいが、その理由はワイヤー接続にある。
【0008】
本発明はこれらの問題に対応する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、血管内光干渉断層撮影(OCT)システムに対して、費用効率の良い圧力モニター能力を提供する方法および装置に関する。組み合わされたシステムにより、単一システムコンソールからの両方の様式が簡単に使用できるようになる。ここで、単一システムコンソールでは、処理、カテーテルの制御、パラメータおよび画像の表示が、同じコンピュータ上で実行されるソフトウェアによって制御される。
【0010】
本発明は一部において、統合圧力測定付きのOCTシステムを提供する。1つの実施形態におけるOCTシステムには、干渉計、取得及び表示システム、および圧力センサーを含むプローブを含む。1つの実施形態において干渉計は、波長掃引レーザー、波長掃引レーザーと光学的に接続されたソースアーム、基準反射体と光学的に接続された基準アーム、信号出力を有する第一の光検出器、第一の光検出器と光学的に接続された検出器アーム、プローブインターフェース、およびプローブインターフェースの第一の光コネクタと光学的に接続されたサンプルアームを含む。1つの実施形態において取得及び表示システムは、第一の光検出器信号出力と電気的に接続された信号入力および信号出力を有するアナログ・デジタル変換器、アナログ・デジタル変換器の信号出力と電気的に接続された処理システム、および処理システムと電気的に接続されたディスプレーを含む。1つの実施形態においてプローブは、プローブインターフェースの第一の光コネクタに光接続するように構成されており、圧力変換器は光圧力変換器を含む。
【0011】
OCTシステムの一部の実施形態では、アナログ・デジタル変換器はさらにサンプルクロック入力およびトリガー入力を含み、OCTシステムはさらに、波長掃引レーザーと光学的に接続された第一のアーム、干渉計のソースアームと光学的に接続された第二のアーム、および第三と第四のアームを持つパワースプリッター、パワースプリッターの第三のアームと光学的に接続されてトリガー出力を有するトリガー発生器、およびパワースプリッターの第四のアームと光学的に接続されてサンプルクロック出力を有するサンプルクロック発生器を含む。トリガー発生器のトリガー出力およびサンプルクロック発生器のサンプルクロック出力は、トリガー入力およびアナログからデジタルへのコンピュータのサンプルクロック入力と電気的に接続されており、アナログ・デジタル変換器は、第一の光検出器からの信号を、トリガー発生器からのトリガー信号およびサンプルクロック発生器からのサンプルクロック信号に対応して変換できる。
【0012】
一部の実施形態では、OCTシステムはさらに、基準アームと基準反射体との間で光学的に接続された光スイッチを含む。
【0013】
一部の実施形態では、OCTシステムのプローブはさらにOCTイメージング光システムを含む。
【0014】
一部の実施形態では、OCTシステムは、第二の光源;光入力および電気信号出力を有する分光計;第二の光源と接続されている第一のアーム、分光計の光入力と光学的に接続された第二のアーム、および第三のアームを有する光サーキュレータ;干渉計のサンプルアームおよびプローブインターフェースとの間で光学的に接続され、光サーキュレータの第三のアームと光通信を行う第三のアームを持つ波長分割多重化装置を含み、ここで分光計の電気信号出力は処理システムと電気通信を行う。
【0015】
OCTシステムの一部の実施形態では、アナログ・デジタル変換器は第二の信号入力を有し、パワースプリッターはさらに第四のアームを含み、プローブインターフェースはさらに第二の光コネクタを含み、およびOCTシステムはさらに第二の光検出器を含み、第二の光検出器は電気信号出力と光信号出力およびサーキュレータを含む。サーキュレータは、パワースプリッターの第四のアームと光通信を行う第一のアーム、第二の光検出器の光入力と光通信を行う第二のアーム、およびプローブインターフェースの第二の光コネクタと光通信を行う第三のアームを含み、第二の光検出器の電気信号出力は、アナログ・デジタル変換器の第二の信号入力と電気的に接続することができる。
【0016】
OCTシステムの一部の実施形態では、サーキュレータは多モードサーキュレータで、サーキュレータの第三のアームは多モードファイバーであり、光干渉断層撮影システムはさらに、パワースプリッターと多モードサーキュレータの間に光接続されている単一モードから多モードの変換器を含む。パワースプリッターの第四のアームは、単一モード光ファイバーを含み、サーキュレータの第一のアームは多モード光ファイバーを含む。
【0017】
本発明は一部において、OCTシステムのプローブも提供する。1つの実施形態のプローブは、穴を画定し、第一の端と第二の端を持つ本体;穴の中に位置する光ファイバー(光ファイバーは第一の端と第二の端を持つ);穴の中に位置し、光ファイバーの第一の端と光通信を行う光圧力変換器;本体の第二の端に位置し、光ファイバーの第二の端と光通信を行う光ファイバーコネクタを含み、ここで本体はさらに穴から周囲への開口部の少なくとも1つを画定し、これにより周囲からの圧力が光圧力変換器に伝達される。一部の実施形態では、光ファイバーの第二の端は、光ファイバーフェルールを含む。
【0018】
一部の実施形態では、プローブはさらに、本体の第一の端に位置するスプリングチップを含む。
【0019】
一部の実施形態では、プローブはさらに、取り外し可能なように本体に取り付けられた取り外し可能なトルクハンドルを含む。
【0020】
プローブの一部の実施形態では、光ファイバーコネクタは穴を画定し、光ファイバーフェルールを受けるようにサイズ調整および構成されている嵌合ユニットを含み、光ファイバーコネクタはさらに本体を光ファイバーコネクタに取り外し可能なように取り付けるための固定クランプを含む。
【0021】
プローブの一部の実施形態では、本体はさらに、第一の端と第二の端を持つガイドを含み、ガイドは本体の第一の端に位置して第二の穴を画定し、第二の穴はガイドワイヤーがガイドの第一の端の第一の開口部を通ってガイドに入るのを可能にし、第二の穴を通ってガイドの第二の開口部に出るようにサイズ調整及び成形されている。一部の実施形態では、光ファイバーおよび光圧力変換器は穴の中で移動可能である。一部の実施形態では、光ファイバーは、光ファイバーコネクタに隣接した穴の中に位置する液体シールを通過する。
【0022】
本発明は一部において、OCTシステムの組み合わせプローブも提供する。組み合わせプローブは、穴を画定する壁を持ち、第一の端と第二の端を持つ本体;穴の中に位置する光ファイバー(光ファイバーは第一の端と第二の端を持つ);穴の中にあり、本体の壁を通って光ファイバーの第一の端から受ける光の第一の部分を反射するように位置付けられている部分反射体;穴の中に位置し、光ファイバーの第一の端からの光の第二の部分を受けるように位置付けられている光圧力変換器;本体の第二の端に位置し、光ファイバーの第二の端と光通信を行う光ファイバーコネクタを含み、ここで本体はさらに穴から周囲への開口部の少なくとも1つを画定し、これにより周囲からの圧力が光圧力変換器に伝達される。
【0023】
また本発明は、一部において、干渉計の検出器アームに位置する光検出器を持ち、干渉計のサンプルアームに位置する光圧力変換器を持つ干渉計を含むOCTシステムの光圧力変換器によって測定される血管内の圧力を決定する方法も提供する。本方法には次のステップを含む。すなわち、サンプリングされた圧力信号を生成するために光検出器からの信号をサンプリングするステップ、正規化サンプリング圧力信号を取得するためにサンプリング信号を正規化するステップ、クリーンなサンプリング圧力信号を生成するために空洞ノイズを除去するステップ、クリーンな正規化サンプリング圧力信号の最小値を見つけるステップ、およびクリーンな正規化サンプリング圧力信号の最小値を追跡するステップ、である。本方法の一部の実施形態では、最小値は、コンボリューション、微分法および勾配探索のうちの1つによって決定される。一部の実施形態では、本方法はさらに、光圧力変換器を持つカテーテルを血管に挿入するステップ、およびカテーテル内の光圧力変換器を移動するステップを含む。
【0024】
本発明は、一部において、OCT/圧力プローブシステムを使用して、血管内のOCT画像を取得する方法も提供する。本方法には次のステップを含む。すなわち、組み合わせOCT/圧力プローブカテーテルを血管内に挿入するステップ、圧力を測定するためにOCT/圧力プローブシステムを設定するステップ、血管の推定狭窄領域全体にわたる圧力低下を決定するステップ、撮像するためにOCT/圧力プローブシステムを設定するステップ、および推定狭窄領域のOCT画像を撮るステップ、である。
【0025】
この要約は単に、特定の概念を紹介するために提供されたものであり、請求されている主題の重要なまたは必須の特徴を特定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の目的および特徴は、以下に記述される図面およびそれに付随する説明を参照することによって、より完全に理解することができる。
【0027】
【図1】フーリエ領域光干渉断層撮影に適している、既知の光圧力変換器の設計の実施形態を説明するものである。
【図2】本発明による、光圧力センサーまたはOCTイメージングプローブからのデータを収集することのできるFD-OCTイメージングシステムの実施形態のブロック図である。
【図3】本発明による、光圧力センサーまたはOCTイメージングプローブからのデータを収集することのできるFD-OCTイメージングシステムの別の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明により、多モード光圧力プローブを使用して、光圧力センサーからのデータを収集することのできるFD-OCTイメージングシステムのさらに別の実施形態のブロック図である。
【図5】異なる波長帯で運用されているOCTイメージングカテーテルと光圧力センサーからのデータを収集できるFD-OCTイメージングシステムのさらに別の実施形態のブロック図である。
【図6a】本発明に従って構成された可動型血管内圧力プローブの遠位端の断面図である。
【図6b】図6aの可動型血管内圧力プローブの近位端の断面図である。
【図6c】変換器の近位および遠位にあるチューブの直径が、変換器に隣接するチューブ直径よりも小さいプローブの実施形態の遠位端の断面図である。
【図7a】本発明に従って構成された、取り外し可能な光アダプター付き可動型血管内圧力ワイヤーの遠位端の断面図である。
【図7b】図7aの取り外し可能な光アダプター付き可動型血管内圧力ワイヤーの近位端の断面図である。
【図8a】本発明に従って構成された、単一圧力感知ポート付き迅速交換血管内カテーテルの実施形態の遠位端の断面図である。
【図8b】図8aの単一圧力感知ポート付き迅速交換血管内カテーテルの実施形態の近位端の断面図である。
【図9a】本発明に従って構成された、複数圧力感知ポート付き迅速交換血管内カテーテルの実施形態の遠位端の断面図である。
【図9b】図9aの複数圧力感知ポート付き迅速交換血管内カテーテルの実施形態の近位端の断面図である。
【図9c】図9bの実施形態のA〜A’までのセクションである。
【図9d】多穴プローブの実施形態の図、および狭窄血管の異なる位置でプローブによって測定されたさまざまな圧力のグラフである。
【図9e】多穴プローブの実施形態の図、および狭窄血管の異なる位置でプローブによって測定されたさまざまな圧力のグラフである。
【図9f】多穴プローブの実施形態の図、および狭窄血管の異なる位置でプローブによって測定されたさまざまな圧力のグラフである。
【図10】血管内圧力モニターとしても機能する回転OCTイメージング血管内カテーテルの実施形態の遠位端の断面図である。
【図11】圧力感知モードで作動している光干渉断層撮影システムによる、光圧力センサーから記録された波形の例を示す。
【図12】光圧力センサーの較正曲線の例である。
【図13】電子圧力センサーと、本発明によるFD-OCTシステムとともに作動するように構成された光圧力センサーから得られた動的圧力測定値を比較するものである。
【図14a】狭窄血管モデルを通して引き戻す間に、光圧力センサーから得られた動的圧力測定値の例、および測定値が取得された血管内の対応領域を示す。
【図14b】狭窄血管モデルを通して引き戻す間に、光圧力センサーから得られた動的圧力測定値の例、および測定値が取得された血管内の対応領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、本発明の特定の実施形態を説明する添付の図面を参照する。他の実施形態が可能であり、本発明の精神と範囲を逸脱することなく実施形態に変更を加えることができる。従って、以下の詳細な説明は本発明を制限することを意図しない。むしろ、本発明の範囲は請求項によって定義される。
【0029】
本発明は、特定の様式で構成された周波数領域OCT(FD-OCT)の基本アーキテクチャは、光ファイバー・ファブリ・ペロー圧力変換器と併用した場合、使用者が血管内の血圧測定を行うことを可能にするということに気が付いたことから生まれた。図1は、本書に開示されている組み合わせOCTイメージング/圧力測定システムに適合する、従来から知られているファブリ・ペロー光圧力変換器10の構造を示す。ファブリ・ペロー空洞14はダイアフラム18の表面とセンサー本体22によって形成され、光ファイバー26から出る光の光周波数または波長に依存する反射率を持つ。
【0030】
空洞の深さは一般的に1〜20μmの範囲内で、センサー本体の直径によって制限される幅は一般的に0.15〜0.4mmの範囲内である。光ファイバー26からの光は、空洞14にぶつかり、ダイアフラム18が外部圧力変化に対応して曲がると、同じファイバー26が反射光を集める。センサー10がレーザーで励起される時、光ファイバー26を通して空洞14から戻る光信号が組み合わされ、一般モードの干渉信号を生成する。本発明に従って構成されたFD-OCTシステムは、これらの干渉信号を記録するのに必要な機能を果たす。干渉信号の処理および血圧波形の表示のためのアルゴリズムが以下で考察される。
【0031】
本発明による、組み合わせOCTイメージングおよび血圧測定に適するFD-OCTシステム30の1つの実施形態が図2に示されている。これは、ほとんどハードウェアを追加することなく両方の機能を行うので、組み合わせシステムのシンプルで費用効率の良い実施形態である。波長掃引レーザー34(「光周波数可変レーザー」または「掃引源レーザー」とも呼ばれる)は、血管内OCTイメージングに適した特定スペクトル帯内のほぼ単色の(線幅<0.2nm)赤外光を放射する。最も一般的な発光波長帯は、電気通信Oバンド(1260 ≦ λ≦1360nm)内にある。レーザー34の波長は、幅広い波長にわたって素早く掃引またはステップされる。掃引は一般的には20μs以内に完了し、毎秒10,000回以上反復する。光パワースプリッター38は、光を3つのチャンネルに分ける。帯域の狭い(一般的に<1nm)ファイバー・ブラッグ・グレーティング・フィルター42(または同等の波長選択性フィルター)およびトリガー発生器46を含む第一のチャンネルは、データ取得を引き起こす主要アナログ・デジタル変換器50にタイミングパルスを提供する。このチャンネルは、レーザーの出力がファイバー・ブラッグ・グレーティング・フィルターの通過帯域を掃引する時、所定の光周波数または波長(一般的には238THzまたは1260nm)でタイミングパルスを生成する。タイミングパルスは、サンプルクロックの各端の上にある受光器からのアナログ信号の取得開始を引き起こす。
【0032】
第二のチャンネルの光は、単一モード光ファイバーを通してサンプルクロック発生器54に達するが、この発生器は基準干渉計および固定された光周波数でサンプルクロックパルスを生成する関連電子光学機器を含む。サンプルクロック発生器は、受光器94からの信号が、既知の波長ステップで、レーザー34の掃引と同調してデータ取得及び表示ユニット102によって取得されることを確実にする。光ファイバーマッハツェンダー、マイケルソン干渉計、光学的エタロン、または既知の光路差を持つ同等タイプの干渉計は、クロック発生器54の基準干渉計としての役割を果たし得る。
【0033】
第三のチャンネルの光は、単一モード光ファイバーを通して、光を基準アーム60とサンプルアーム62に分割する主要干渉計58に伝導される。基準アーム内の光は、光スイッチ64を通過して、イメージングシステムのゼロ点光学遅延を設定する基準鏡66に達し、OCTイメージングが起こる組織の深さを決定する。サンプルアーム62の光は、プローブインターフェース74の電動光ファイバー回転カプラー70に達する。プローブインターフェース74は、さまざまなプローブ(組み合わせOCTイメージング/圧力測定カテーテル82、OCTイメージング86または光圧力測定プローブ90)を干渉計58のサンプルアーム62に接続することを可能にするコネクタ78を含む。
【0034】
プローブインターフェース74の電動変換ステージは、血管中に挿入されたカテーテル(82、28、90)の光ファイバーコアが、一定の速度で引き戻ることを可能にする。主要干渉計58の光出力は、光検出器94によって、干渉計58のサンプルアーム60と基準アーム62からの干渉信号を代表する電気信号に変換される。これらの電気信号は、アナログ・デジタル変換器(A/D)50によってデジタル信号に変換され、データ取得システム102の表示ユニット98上に表示される。トリガー発生器46とクロック発生器54は同調しているため、各レーザー掃引中にデータ取得システム102によって取得された干渉信号の絶対光周波数は、トリガー発生器46からの各トリガーパルスの後に取得されたサンプルクロックパルスの数から決定できる。絶対周波数基準は、開始光周波数を示すファイバー・ブラッグ・グレーティングによって提供され、その後のステップは、サンプルクロック発生器によって設定された等しい光周波数間隔で起こる。
【0035】
図2に示される本発明の1つの実施形態は、OCTイメージング86カテーテル、圧力プローブ90、または組み合わせOCT/圧力カテーテル82が、プローブ・インターフェース・コネクタ78に取り付けられているかどうかによって、OCTイメージングモード、圧力モード、または組み合わせOCT/圧力モードのいずれかで作動する。動作モードは、システム構成により、手動または自動で選択できる。手動選択では、使用者がソフトウェアメニューから動作モードを選ぶ必要がある。自動選択は、いくつかの方法の1つで達成できる。
【0036】
電動光ファイバー回転カプラー70が固定位置にある1つの実施形態において、データ取得ユニット102は、OCTイメージングカテーテル86または圧力プローブ90のいずれかが挿入された後に始動する。ソフトウェアアルゴリズムは、主要干渉計58および光検出器94によって検出された干渉信号パターンに従ってプローブのタイプを識別し、適切な制御および表示ソフトウェアを読み込む。圧力測定が完了したら、狭窄の正確な位置と重症度を決定することができ、OCTイメージング手順を開始できる。
【0037】
システムにどのタイプのプローブが接続されているかを自動的に決定するためのシステムの第二の実施形態では、カテーテル86または圧力プローブ90の挿入の後、システムは電動光ファイバー回転カプラー70を回転しようとする。電動カプラー70のモーター内のトルクセンサーが、回転に対する抵抗を測定する。特定の閾値を越えるトルクは、非回転近位接続で圧力プローブ90が取り付けられていることを示す。圧力プローブ90の挿入が感知されると、モーターが解放され、適切な制御および表示ソフトウェアを読み込む。
【0038】
第三の実施形態では、OCTイメージングカテーテル86または圧力プローブ90(または両方82)の近位端上の符号化された電気または光タグ(例えば、バーコード、ワイヤー符号化電気コネクタ、RFIDタグ、フラッシュメモリーチップ)が、システムによって読まれ、適切な動作モードを識別する。タグは、プローブが挿入された時プローブインターフェース74によって自動的に読まれることが可能で、またはハンドヘルド装置を利用してプローブの本体またはパッケージからのマーカーを読むことができる。プローブ識別のこの方法には、マーカーに符号化されている追加的工場較正データを同時に読むことができるという利点がある。
【0039】
自動的ソフトウェア設定を可能にする機能に加えて、図2のシステムは、動作モードが一度決定されると自動的ハードウェア設定を可能にする機能も含む。標準OCTイメージングモードでは、光スイッチ64が作動し、基準鏡66から光を反射させることができる。しかし、圧力測定モードでは、システムは一般モード干渉信号を記録し基準光は必要ないため、光スイッチ64はオフにされ、干渉計58の基準アーム60から基準反射体66を分離する。さらに、差動(均衡)光検出はOCTイメージング中にのみ使用されるので、圧力測定中、受光器94の電子平衡回路は単一端(非均衡)モードに切り替えられる。
【0040】
図3は、OCTイメージングカテーテル86および光圧力プローブ90に対するプローブインターフェース74’上に、別々の光コネクタが提供される、本発明の別の実施形態30’のブロック図である。この構成では、OCTイメージングの前、最中、後に、別の圧力プローブ90での血圧測定値の取得が可能となる。OCTイメージング中の圧力測定は、両方のプローブを同時に血管内に挿入することによって達成できる。パワースプリッター38’からの追加的光チャンネル112は、光サーキュレータ116を通して圧力プローブ90に光を方向付ける。光サーキュレータ116は、圧力プローブ90から第二の光検出器120に戻る光を再配向し、この光検出器は、圧力測定値を派生させる干渉信号に対応する電子信号を生成する。これらの信号は、アナログ・デジタル変換器50’の第二のチャンネルによってデジタル化され、OCT干渉信号を記録するために使用される同じデータ取得システム102’によって記録される。図2に示される本発明の第一の実施形態とは対照的に、圧力測定中に基準アーム60を基準反射体66(図2)から分離するために、基準アーム60に光スイッチ64は必要ない。
【0041】
図4に示されている本発明の第三の実施形態30’’は、レーザー34から光圧力プローブ90までの部分の経路に光を導くために単一モード(SM)ファイバー112ではなく多モード(MM)ファイバー124を使用していることを除いて、図3に示されているものと類似している。多モード(MM)ファイバー124のより大きなコアは、圧力プローブの製作を容易にし、プローブインターフェース78’から圧力プローブの近位端への光ファイバー接続の調心公差を減少させる。一般的に、この用途では、50μmまたは62.5μmの直径グレーデッド・インデックスMM電気通信ファイバーが使用され得る。モード間干渉ノイズを低減するには、受動的なSMからMMへの変換器128を使用して、レーザー34からMMファイバー124内に光を発射し得る。
【0042】
図5は、下記のような、OCT光レンズ組立体と光圧力変換器の両方を含む単一光ファイバーカテーテルからの、OCT画像と圧力測定値の同時取得を可能にする、本発明の第四の実施形態30’’’を示す。OCTと圧力インターフェース信号は、例えば、それぞれ1250〜1350nmと1500〜1600nm、または1000〜1200nmと1500〜1600nmなど、2つの非重複波長帯で検出される。スーパールミネセントダイオード130は、光サーキュレータ138通過後に、波長分割マルチプレクサ134のOCTレーザー光と組み合わされる広帯域光を発光する。主要干渉計58のサンプルアーム62とスーパールミネセントダイオード130からの組み合わせ光は、同じSM光ファイバーを通ってカテーテルの端まで移動し、ここで適切な帯域の光(プローブとともに下記に記述)が組織または圧力変換器のどちらかに衝突し反射する。
【0043】
反射光は、ファイバーを逆戻りし、波長分割マルチプレクサ134によって2つの波長帯域に再び分けられる。組織によって反射された第一の帯域の光は、サンプルアーム62を通って主要OCT干渉計58に入り、変換器によって反射された第二の帯域の光は、光サーキュレータ138を通過後、分光器40に再び入る。分光器140は、圧力変換器から反射された光のスペクトルを記録し、デジタルインターフェースを介して処理及び表示システム98’にスペクトルデータを伝達する。
【0044】
図6〜10は、本発明のさまざまな実施形態に従って構成されたFD-OCTシステムに適合する、圧力感知カテーテルの設計を示す。各カテーテルは、直径の小さい(直径80μmまたは125μm)光ファイバーの先端にミニチュア光圧力センサーを含む。センサーおよびファイバーの直径は十分小さく、冠状動脈および神経血管ガイドワイヤー(0.010〜0.014インチ)の寸法での圧力感知カテーテルの製作を可能にする。
【0045】
図6(a〜b)は、光圧力プローブの1つの実施形態の近位端および遠位端の断面図を示す。圧力プローブ90は、長い中空の柔軟チューブ150または先細チューブの組立体を含み、プローブの遠位端に位置するスプリングチップ154のベースに光変換器10’が取り付けられている。圧力変換器10’からの光ファイバー155は、プローブの近位端の上に取り付けられている光ファイバーコネクタ157に接続している。スプリングチップ154のベースにある取り付けカラー164の圧力感知スロットまたは穴160は、プローブが挿入されている血管からの血圧を圧力変換器10’のダイアフラム18に伝達する。または、光圧力変換器164は、血流に直接さらされている。好ましくは、チューブ150の中空体は、高い柔軟性を保ちながら、十分な圧縮耐性およびトルクに対する剛性をチューブに与える金属、合金、または金属編組ポリマーでできている。
【0046】
血管の狭い狭窄全体にわたってプローブを配置することにより生じる流れの制限を最小化するために、プローブの本体の遠位端は、一般的に外径0.010〜0.018インチ(0.25〜0.46mm)で製作される。圧力プローブを位置付けるために、操作者は、ガイドカテーテルを通して動脈中にプローブを挿入し、近位端の近くにあるトルクハンドル168を使用してプローブを標的位置に進ませる。図2のFD-OCTシステムの設計によると、圧力測定モードで操作する場合、プローブインターフェース74の光ファイバー回転カプラー70は受動的に回転する。圧力プローブ90の先端は、プローブ本体が自由に回転するように光ファイバーコネクタをプローブインターフェースから取り外すことによって、血管内の標的位置に操縦することができる。圧力ワイヤーを配置した後、光ファイバーコネクタをプローブインターフェースに再挿入して圧力測定値を取得することができる。または、プローブインターフェースの光ファイバー回転カプラーは受動的に回転するので、光ファイバー接続を取り外すことなく圧力プローブの先端を操縦することもできる。より長い本体(〜2メートル)の圧力プローブを製作すると、この代替的操縦方法を容易にする。プローブインターフェースが回転可能要素を含まない場合は、取り外し可能なトルクハンドル168と斜め研磨光ファイバーコネクタ157の間で、変換器の近位端を柔軟にすることができる。これにより、よりシンプルなプローブ・インターフェース・ユニットで圧力ワイヤーを操縦することができる。
【0047】
プローブの直径は、変換器全体にわたって一定である必要はないことに注意すべきである。図6cは、図6aのプローブの断面図であるが、プローブの直径は異なる。変換器164から遠位(D)および近位(D’)の幅は、変換器164を包含するために必要な幅よりも小さい。変換器164の大きい方の直径と開口部160は、圧力を測定する時に狭窄領域内に位置しないので、この構成は機能する。従って、狭窄の外側の領域の血管の直径は、流れを妨げたり、異常な圧力測定値を生じたりすることなく、圧力が穴160を通って入るのに十分なほど大きい。
【0048】
図7(a〜b)は、光圧力プローブの代替的構造の断面図を示す。図6に示されているプローブと同様、ここに示されるプローブの遠位端は、長い柔軟中空チューブ150または先細チューブの組立体からできており、圧力感知ポートはスプリングチップ154のベースに位置している。しかし、図7bに示されるプローブは、操作者がアダプターの近位端にアクセスできるようにする使い捨て光アダプター172を含む。この構成では、圧力プローブが主要ガイドワイヤーとしての役割を果たすことができ、この外側にバルーンカテーテルまたは介入装置を挿入することができる。冠状動脈介入に使用される標準装置との適合性のために、圧力プローブは、その全長にわたって0.014インチ(0.36mm)より小さな直径で製作される。プローブの本体の直径とほぼ同じ外径を持つ末端研磨光ファイバーフェルール176は、光アダプター172の内側の類似の光ファイバースリーブ180と正確にかみ合う。後方反射を最小にしながら、近位端が自由に回転する間、高い光伝送を維持するために、嵌合光ファイバーフェルール176、180は好ましくはウルトラフィジカルコンタクト(UPC)研磨端面で製作される。一部の実施形態では、別の使い捨て光アダプター172(使用者には別の滅菌部品として供給される)をFD-OCTシステムのプローブインターフェースに差し込み、手順を実施している間は接続したままにする。手順の完了時、使用者はアダプターとプローブをユニットとして取り外し、廃棄する。
【0049】
圧力プローブ90’を配置するために、光アダプター172からプローブの近位端90’側の操作者は、ガイドカテーテルを通して動脈にプローブ90’を挿入し、遠位端にあるトルクハンドル168を使用してプローブ90’を標的位置に操縦する。ワイヤーが配置され追加的装置が圧力プローブの外側に挿入されたら、操作者はプローブの近位端を光アダプター172に再挿入し、圧力プローブ90’が動いた場合に光ファイバー176、180の表面を密接に接触させておくために、クランプ184をロックする。
【0050】
図8(a〜b)は、本発明のさまざまな実施形態に従って構成されたFD-OCTシステムでの血管内圧力測定に適した光圧力プローブ90’’のまた別の構造を示す。図6、7に示される圧力プローブ90、90’とは異なり、このバージョンの圧力プローブは、主要ガイドワイヤーの外側に迅速に配送するために設計されている。
【0051】
多くの場合、特に動脈が蛇行しているか、アクセスしにくい場合に、医師は、サポートされていない圧力プローブを標的部位に進めるよりも、独立主要ガイドワイヤーを使用することを好む。ガイドワイヤー(図示せず)は、プローブ先端190から挿入され、ガイドワイヤー出口194を通って出る。ガイドワイヤーは血管に挿入され、血管内の対象位置に移動される。次に圧力プローブ90’’がガイドワイヤーの外側から血管内に挿入され、これも血管内の対象位置に移動される。圧力変換器の位置は、プローブにある放射線不透過性マーカー198を使用してX線造影下でモニターできる。次にガイドワイヤーを取り除き、圧力測定を実施する。
【0052】
圧力プローブ90’’を操縦可能とする必要性をなくすことで、迅速交換圧力ワイヤーの製作がより容易かつ低費用となる。ただし、血流の制限を最小にするために、断面は小さくすべきである。従って、血管抵抗の不正確な測定を避けるために、比較的直径の大きい圧力プローブ先端を狭い血管狭窄から十分遠くに配置して、血流のさらなる制限を避けなければならない。1つの実施形態において、この制約を満足するために、ガイドワイヤーの出口ポートから圧力センサー(図8aで「L」と表示)までの距離は2〜4cmに設定されている。先端190に対して圧力センサー10’がオフセットされていることで、使用者は、狭窄の遠位と近位の両方の血圧測定中に、プローブの直径が最大の部分を狭窄の外側に配置することができる。
【0053】
迅速交換バージョンの圧力プローブの実用性と使いやすさは、図9(a〜b)に従って、その構造を変えることによって向上できる。この図に示されている圧力プローブ90’’’の遠位端は、動脈の軸に沿った特定の点の圧力をプローブの内部管腔に伝達する、等間隔(一般的に2〜5mm)に配置された一連のポート160’を含む。圧力プローブの管腔の内側の光ファイバーの先端にある光圧力変換器10’は、圧力ポートの付近の局所圧力を感知する。光ファイバーおよび付属の圧力変換器は、プローブインターフェースの内側のモニターがファイバーコネクタを一定の速度で引き戻すにつれ、管腔の内側を縦方向に移動するように設計されている。プローブは使用する前に、生理食塩水で洗い流す。光ファイバーと光ファイバーコネクタ本体の外側にある非回転シェルとの間にある近位端の液体シールは、流体がプローブインターフェース内に逃げるのを防止する。
【0054】
圧力測定を実施するには、医師はプローブ90’’’の先端を標的病変全体にわたって挿入し、標的病変が、一連の圧力ポートの両側にある放射線不透過性マーカー198’、198’’の間に来るまで押し進める。測定は、自動引き戻しメカニズム(標準FD-OCTプローブインターフェースの一部)を起動することによって開始され、これは一連の圧力感知ポート160’に隣接して、変換器10’をプローブ90’’’管腔の長さに沿って一定の速度で引くことによって行われる。時間の関数として測定された圧力は、病変全体にわたる圧力プロファイルを提供する。
【0055】
図9dは、狭窄血管の管腔内の多穴プローブの実施形態を示す。図9eは、図9dの断面図に対応する血管内のさまざまな位置で測定された圧力、およびプローブの各穴にある変換器によって測定された圧力値を示す。図9fは、個々の穴ごとに移動した時の、変換器ごとの圧力読み取り値を示す。変換器がその下流(遠位)の圧力を決定するので、変換器が個々の穴ごとに移動するにつれ段階的圧力測定値が取得される。この技術によって導入される圧力誤差は最小限である。
【0056】
図10は、血管内OCTイメージングプローブと圧力ワイヤーの機能を組み合わせるカテーテルの先端の断面図である。その構造により、組み合わせカテーテルは、図2および図5に示されるFD-OCTシステムの実施形態に適合する。組み合わせカテーテルの重要な特徴は、圧力変換器がOCTイメージングカテーテルの先端に統合されていることである。光ファブリ・ペロー圧力変換器10’’は、長さの短い(一般的に1〜2mm)コアなしまたは大きなコアのステップ型多モードファイバー26’の遠位端に取り付けられている。ファイバー部分の遠位端202は、40〜50度の角度で研磨されており、薄い誘電体または金属フィルムでコートされている。ファイバー先端のレンズ組立体206の遠位端からの過剰な後方反射を避けるために、付属変換器の付いたファイバー部分26’は、レンズ206の屈折率に合った接着剤210で繊維先端のレンズ組立体206に接着されている。
【0057】
OCTシステムと圧力変換器が同じ波長帯域(一般的に1260〜1360nm)で動作するFD-OCTシステムの図2の実施形態における組み合わせカテーテルの使用のために、繊維部分の斜め研摩端の薄膜コーティングは、OCT測定では特定の波長で入射光の大部分(75〜90%)を反射し、圧力測定では変換器10’’に残りの部分を伝達するように選択される。変換器10’’のファブリ・ペロー空洞からの反射は、OCT干渉生信号のスペクトルを変調するため、変調周波数に比例した深さで、一連の人工的な線がOCT画像中に現れる。これらの線によって生じるOCT画像の劣化を避けるために、表示されるOCT信号の最低周波数がスペクトル変調のピーク周波数を超えるように干渉計の遅れを設定することによって、OCT干渉計のゼロ点を設定できる。
【0058】
OCTシステムと圧力変換器がそれぞれ第一および第二の波長帯域で動作するFD-OCTシステムの図5の実施形態における組み合わせカテーテルの使用のために、ファイバー部分26’の斜め研磨端202の薄膜コーティングは、第一の波長帯域で光を最大に反射し、第二の波長帯域で光を最大に伝達するように選択される。レンズ206およびその先端に付属されている圧力変換器10’’を備え、光ファイバーは、カテーテル鞘218の内側を回転するトルクワイヤー214の管腔内部に取り付けられる。カテーテル鞘は、近位ポートから生理食塩水または造影剤で満たされる。圧力モニター中、トルクワイヤー214の回転はオフにされる。カテーテルの遠位端は、迅速交換配送のためのモノレールチップ(図8および図9に示される実施形態のように)か、またはガイドワイヤーなしで挿入するためのスプリングチップ(図6および図7の圧力ワイヤー実施形態に示される)のどちらかを使用できる。
【0059】
カテーテル先端での他のビーム分割アレンジメントも可能である。例えば、ファイバー先端のレンズ組立体は、ファイバーを変換器に取り付けるよりも、むしろ斜め研磨およびコーティングすることができる。また、ミニチュアプリズムまたは鏡などのバルク光学部品は、斜め研磨光ファイバーの代わりにビームスプリッターとして用いることができる。
【0060】
図11は、図2に示される本発明の実施形態に従って構成され、圧力測定モードで動作しているFD-OCTシステムに接続されている光圧力プローブから取得された一式の一般モード干渉信号を示す。一定の範囲の圧力(-40mmHg<P<180mmHg)で取得され、信号は、波数または波長掃引レーザーの光周波数に比例して、連続的光クロック間隔で記録された。この例では、横座標は、光周波数の範囲220〜240THzまたは、波長範囲1250〜1360nmにわたる。信号の低周波数スペクトル変調は、ダイアフラムと光圧力変換器の本体により形成される主要ファブリ・ペロー空洞内の反射に由来する。この例では変換器の空洞の幅は約17μmである。図11の矢印で示されるように、低周波数変調パターンは、圧力に比例して高周波数側にシフトする。信号に重ね合わされた高周波数スペクトル変調は、入力光ファイバー26’とセンサー本体22の間の接触面によって形成された変換器10’の「寄生空洞」からの反射によって生じたものである。この寄生変調の周波数も振幅も、圧力とともに大きくは変化しない。
【0061】
FD-OCTシステムの光検出器(例えば図4の120を参照)の出力部にある圧力変換器によって生成される時間依存干渉信号の特徴は以下のように表される。
【0062】
【数1】

【0063】
ここでKは定数で、P0(k)は変換器の光力入射、rFP(k,P)とrP(k)はそれぞれファブリ・ペローおよび圧力変換器の寄生空洞の反射率である。干渉信号、力、変換器反射率は、レーザーにより発射される光の光波数(k)の関数で、時間(t)の任意関数として変化する。FD-OCTシステムでは、光検出器94からの信号電圧(V)は、アナログ・デジタル変換器50によって等間隔の波数でサンプリングされる。kn=k0+(n−1)Δk、ここでk0はレーザー掃引の初期波数、Δkは波数サンプリング間隔、およびn = 1, 2, … Nで、ここでNはサンプル数である。これらの定義によると、記録されたデジタル圧力信号は、連続的光クロック間隔(波数に比例)で測定された多くのN値として表される。
【0064】
【数2】

【0065】
以下によると、反射率rFPは、ファブリ・ペロー空洞の圧力依存長さL(P)に関連して変化する。
【0066】
【数3】

【0067】
ここで、空洞の有効反射係数の大きさ|rc|は、ファブリ・ペロー空洞の反射表面の反射係数の大きさの幾何平均とほぼ等しい。ほとんどの変換器では、長さ(L)は、広い圧力範囲において、圧力とともに直線的に減少する。変換器の本体またはパッケージング内でM寄生空洞によって生成される寄生反射率rB(k)は、異なる周波数の正弦曲線から成るパターンノイズを生成する。
【0068】
【数4】

ここで|rP1|,|rP2|,...|rPM|は、寄生空洞の有効反射係数の大きさで、l1, l2, ... lmは寄生空洞の長さである。
【0069】
これらの3つの式2、3、4は、FD-OCTシステムによって記録された信号の数学的モデルを表す。式3の所定の圧力での公称ファブリ・ペロー空洞の長さ(L)は、製造プロセスから知られている。反射係数|rc|は、圧力変換器のサンプル数から測定された信号を入れることによって決定される。実際には、大抵は単一寄生空洞が大半を占め、その長さおよび有効反射係数は、圧力変換器のサンプル数から測定された圧力信号のフーリエ変換によって決定され得る。
【0070】
本発明によると、圧力信号の処理用のアルゴリズムは、以下のステップに従って進行する。
【0071】
まず、記録された信号の一連の電圧(Vn)をレーザー出力で割ることによって信号を正規化して、正規化信号を得る:
【0072】
【数5】

【0073】
次に、反射係数rP(k)の最低周波数成分のカットオフ周波数以下のカットオフ周波数で、バターワースまたは同等の低通過フィルターを正規化信号(Von)に適用することによって寄生空洞ノイズを除去する。結果は:
【0074】
【数6】

【0075】
ここで、LPF{}は、低通過フィルタリング動作を表す。次に、ヌル(零)(スペクトル(Von,F)の大きさが最低であるサンプル波数)が検出される。Von,FはrFP(k)に比例するテンプレート値で一次コンボリューションされ、|rc|およびL(P)は基準圧力で変換器のサンプルから測定されるフィルターされた配列を入れることによって決定される。Von,Fのヌルスペクトルは、コンボリューションされたものの大きさが最大である配列指数nminで起こる。または、従来の微分法または当業者に知られている勾配探索方法によって、Von,Fの最低、最大または最急勾配端を位置付けることができる。
【0076】
次にヌルスペクトルを追跡し、アンラップする。対象範囲内にVon,Fの1つ以上のヌルスペクトルが生じる場合、または圧力範囲の極限でヌルがレーザーの波長帯域外に出る場合、ヌルの位置を複数レーザー掃引全体にわたって追跡し、圧力測定範囲を拡大することができる。保存された一連のVon,F配列値に適用される標準位アンラッピング法によって、追跡を行うことができる。
【0077】
図12は、一般的な圧力変換器の較正曲線を示す。この曲線は、上記のアルゴリズムを図11の圧力生信号に適用することによって得られた。ヌルスペクトルが起こる光クロック間隔nminは、加えられる圧力にほぼ線形比例して変化するため、較正曲線の傾きとオフセットがわかれば、nminから圧力を正確に推定することができる。実際には、個々の圧力プローブまたはカテーテルの較正曲線に適合させるためには多項式関数が使用され、測定nmin値から圧力を推定するために保存された係数が用いられる。
【0078】
図13は、図11の生信号を取得した同じ圧力プローブで測定された動的圧力波形を示す。この例では、シンプルな一次多項式(直線)較正曲線を使用することにより、市販の歪みゲージ変換器に対して良好な対応が得られた。図14は、模擬血管の狭い狭窄全体にわたって、圧力プローブで測定された圧力波形を示す。この実験では、圧力プローブの圧力感知部分は、プローブインターフェースのモーターによって狭窄を通して一定の速度で引き戻された。平均圧力および脈動圧力の両方の急速な減少は、狭窄によって引き起こされた流れ抵抗の明らかな証拠を提供している。
【0079】
本書に示された例は、本発明の潜在的および特定の実施を説明するためのものである。当然のことながら、例は主に、当業者に対する本発明の説明を目的としている。本書に記述されたこれらの図または操作には、本発明の精神を逸脱することなく変形(バリエーション)が存在し得る。例えば、特定の例では、方法のステップまたは操作は、異なる順序で実施または実行でき、または操作を追加、削除、または変更し得る。
【0080】
当業者であれば、請求されている本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本書に記述された内容の変形、変更、および他の実行を思いつくであろう。従って、本発明は、前述の例示的説明によってではなく、以下の請求項の精神と範囲によって定義されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長掃引レーザーと、
前記波長掃引レーザーと光通信を行うソースアームと、
基準反射体と光通信を行う基準アームと、
信号出力を有する第一の光検出器と、
前記第一の光検出器と光通信を行う検出器アームと、
プローブインターフェースと、
前記プローブインターフェースの第一の光コネクタと光通信を行うサンプルアームと、
を含む干渉計と、
前記第一の光検出器の信号出力と電気通信を行う信号入力および信号出力を有するアナログ・デジタル変換器と、
前記アナログ・デジタル変換器の信号出力と電気通信を行う処理システムと、
前記処理システムと電気通信を行うディスプレーと、
を含む取得及び表示システムと、
圧力センサーを含むプローブであって、前記プローブインターフェースの前記第一の光コネクタへの光接続用に構成されており、圧力変換器は光圧力変換器を含む、プローブと、
を含む統合圧力測定を使用する光干渉断層撮影システム。
【請求項2】
前記アナログ・デジタル変換器はさらに、サンプルクロック入力およびトリガー入力を含み、
前記光干渉断層撮影システムは、
前記波長掃引レーザーと光通信を行う第一のアーム、前記干渉計の前記ソースアームと光通信を行う第二のアーム、および第三と第四のアームを有するパワースプリッターと、
前記パワースプリッターの前記第三のアームと光通信し、トリガー出力を有するトリガー発生器と、
前記パワースプリッターの前記第四のアームと光通信し、サンプルクロック出力を有するサンプルクロック発生器と、
をさらに含み、
前記トリガー発生器の前記トリガー出力および前記サンプルクロック発生器の前記サンプルクロック出力は、前記アナログ・デジタルコンピュータのトリガー入力およびサンプルクロック入力と電気通信し、
前記アナログ・デジタル変換器は、前記トリガー発生器からのトリガー信号および前記サンプルクロック発生器からのサンプルクロック信号に対応して、前記第一の光検出器からの信号を変換する、
請求項1に記載の光干渉断層撮影システム、
【請求項3】
前記基準アームと前記基準反射体との間で光通信を行う光スイッチをさらに含む、請求項2に記載の光干渉断層撮影システム。
【請求項4】
前記プローブがOCTイメージング光学系をさらに含む、請求項1に記載の光干渉断層撮影システム。
【請求項5】
第二の光源、
光入力および電気信号出力を有する分光器、
前記第二の光源と通信を行う第一のアーム、前記分光器の光入力と光通信を行う第二のアーム、および第三のアームを有する光サーキュレータと、
前記干渉計の前記サンプルアームと前記プローブインターフェース間で光通信し、前記光サーキュレータの前記第三のアームと光通信を行う第三のアームを有する波長分割多重化装置と、をさらに含み、
前記分光器の前記電気信号出力は、前記処理システムと電気通信を行う、
請求項2に記載の光干渉断層撮影システム。
【請求項6】
前記アナログ・デジタル変換器は第二の信号入力を有し、
前記パワースプリッターはさらに第四のアームを含み、
前記プローブインターフェースはさらに第二の光コネクタを含み、
前記光干渉断層撮影システムは、
電気信号出力および光信号入力を含む第二の光検出器と、
前記パワースプリッターの前記第四のアームと光通信を行う第一のアームと、
前記第二の光検出器の前記光入力と光通信を行う第二のアームと、
前記プローブインターフェースの前記第二の光コネクタと光通信を行う第三のアームと、
を含むサーキュレータであって、
前記第二の光検出器の前記電気信号出力は、前記アナログ・デジタル変換器の前記第二の信号入力と電気通信を行う、サーキュレータと、
をさらに含む、
請求項2に記載の光干渉断層撮影システム。
【請求項7】
前記サーキュレータは多モードサーキュレータであるとともに、前記サーキュレータの前記第三のアームは多モードファイバーであり、
前記光干渉断層撮影システムは、
前記パワースプリッターと前記多モードサーキュレータとの間に光学的に接続されている単一モードから多モードへの変換器をさらに含み、
前記パワースプリッターの前記第四のアームは、単一モード光ファイバーを含み、前記サーキュレータの前記第一のアームは多モード光ファイバーを含む、
請求項6に記載の光干渉断層撮影システム。
【請求項8】
穴を画定し、第一端および第二端を有する本体と、
前記穴の中に位置し、第一端と第二端を有する光ファイバーと、
前記穴の中に位置し、前記光ファイバーの前記第一端と光通信を行う光圧力変換器と、
前記本体の前記第二端に位置し、前記光ファイバーの前記第二端と光通信を行う光ファイバーコネクタと、を含み、
前記本体はさらに、前記穴から周囲への開口部の少なくとも1つを画定し、当該開口部によって前記周囲からの圧力が前記光圧力変換器に伝達される、
光干渉断層撮影システム用プローブ。
【請求項9】
前記本体の前記第一端に位置するスプリングチップをさらに含む、請求項8に記載のプローブ。
【請求項10】
取り外し可能なように前記本体に取り付けられた、取り外し可能なトルクハンドルをさらに含む、請求項8に記載のプローブ。
【請求項11】
前記光ファイバーの前記第二端が光ファイバーフェルールを含む、請求項8に記載のプローブ。
【請求項12】
前記光ファイバーコネクタは、穴を画定し、前記光ファイバーフェルールを受けるようにサイズ調整および構成された嵌合ユニットを含み、
前記光ファイバーコネクタは、前記本体を前記光ファイバーコネクタに取り外し可能なように取り付けるための固定クランプをさらに含む、
請求項11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記本体はさらに、第一端と第二端を持つガイドを含み、前記ガイドは前記本体の前記第一端に位置して第二の穴を画定し、前記第二の穴はガイドワイヤーが前記ガイドの前記第一端の第一の開口部を通って前記ガイドに入るのを可能にし、前記第二の穴を通って前記ガイドの第二の開口部から出るようにサイズ調整及び成形されている、
請求項8に記載のプローブ。
【請求項14】
前記光ファイバーおよび前記光圧力変換器が前記穴の中で移動できる、請求項13に記載のプローブ。
【請求項15】
前記光ファイバーが、前記光ファイバーコネクタに隣接した前記穴の中に位置する液体シールを通過する、請求項14に記載のプローブ。
【請求項16】
穴を画定する壁並びに第一端および第二端を有する本体と、
前記穴の中に位置し、第一端と第二端を有する光ファイバーと、
前記穴の中に位置し、前記本体の前記壁を通じて前記光ファイバーの前記第一端から受けた光の第一の部分を反射するように位置する部分的反射体と、
前記穴の中に位置し、前記光ファイバーの前記第一端からの光の第二の部分を受けるように位置する光圧力変換器と、
前記本体の前記第二端に位置し、前記光ファイバーの前記第二端と光通信を行う光ファイバーコネクタと、を含み、
前記本体はさらに、前記穴から周囲への開口部の少なくとも1つを画定し、当該開口部によって前記周囲からの圧力が前記光圧力変換器に伝達される、
光干渉断層撮影システム用の組み合わせプローブ。
【請求項17】
干渉計の検出器アームに位置する光検出器を有し、前記干渉計のサンプルアームに位置する光圧力変換器を有する、当該干渉計を含むOCTシステムにおける光圧力変換器によって測定される血管内の圧力を決定する方法であって、
サンプリング圧力信号を生成するために、前記光検出器からの信号をサンプリングするステップと、
正規化サンプリング圧力信号を得るために、前記サンプリング信号を正規化するステップと、
クリーンな正規化サンプリング圧力信号を生成するために、空洞ノイズを除去するステップと、
前記クリーンな正規化サンプリング圧力信号の最小値を見つけるステップと、
前記クリーンな正規化サンプリング圧力信号の前記最小値を追跡するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記最小値がコンボリューション、微分法および勾配探索のうちの1つによって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
光圧力変換器を有するカテーテルを血管内に挿入するステップと、
前記カテーテル内で前記光圧力変換器を移動するステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
組み合わせOCT/圧力プローブカテーテルを血管内へ挿入することと、
圧力を測定するためにOCT/圧力プローブシステムを設定することと、
前記血管の推定狭窄領域にわたる前記圧力の低下を決定することと、
撮像を行うために前記OCT/圧力プローブシステムを設定することと、
前記推定狭窄領域のOCT画像を撮像することと、
を含む、前記OCT/圧力プローブシステムを使用して前記血管内のOCT画像を取得する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図9f】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−511372(P2013−511372A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541237(P2012−541237)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/062330
【国際公開番号】WO2011/090744
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(509128672)ライトラブ イメージング, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】