説明

圧力作動プラグ

【課題】ガスタービンにおける高温領域を選択的に冷却するための装置及び方法を提供すること。
【解決手段】システム(10)内のガス(80)の流れを調節するためのプラグ(30)が開示される。プラグ(30)は、ステム(10)内の温度境界部(60)上に配置されたハウジング(32)を含む。ハウジング(32)は、ガス(80)が貫通して流れる通路(34)を定める。プラグ(30)は更に、通路(34)内に配置され、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能な少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)を含む。少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)は、ガス(80)の圧力が増大したときに開放位置から前記閉鎖位置に移動し、ガス(80)の圧力が減少したときに閉鎖位置から開放位置に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、全体的にガスタービンに関し、より詳細には、ガスタービンにおける高温領域を選択的に冷却するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、発電などの分野において広く利用されている。従来のガスタービンシステムは、圧縮機セクション、燃焼器セクション、及びタービンセクションを含む。圧縮機セクションは、加圧空気を燃焼器セクションに供給し、ここで加圧空気は燃料と混合されて燃焼され、高温ガスを発生する。高温ガスは、タービンセクションに供給され、ここで高温ガスからエネルギーが抽出されて仕事を行う。
【0003】
ガスタービンシステムの運転中、システム内の様々な部品及び領域が高温流に曝され、該部品及び領域を故障させる可能性がある。一般に、より高い温度の流れは、ガスタービンシステムの性能、効率、及び出力を増大させる結果となり、従って、ガスタービンシステムにおいて望ましいことであるので、高温流に曝される部品及び領域は、ガスタービンシステムが高温流で運転できるように冷却しなければならない。
【0004】
冷却すべき領域の一例は、タービンセクションのホイールスペースである。ホイールスペースは一般に、タービンロータホイールを囲むタービンセクションの領域である。ホイールスペース内の温度は、該ホイールスペースを通過する流れの温度が高いことに起因して、又はガスタービンシステムの外部の周囲温度が高いことに起因して上昇するので、ロータ又はバケット組立体部品などのホイールスペース内の部品は熱膨張を生じ易い可能性がある。この熱膨張は、最終的に種々の部品の摩擦を引き起こし、或いは、部品同士の接触を引き起こす可能性があり、場合によっては、部品及びガスタービンシステムに重大な損傷を与える結果となる。
【0005】
ホイールスペースの部品への損傷を防ぐためにホイールスペースを冷却する種々の方式が当該技術分野で知られている。例えば、1つの解決策では、ガスタービンシステムの圧縮機セクションから流出する空気の一部を利用してホイールスペースを冷却している。圧縮機吐出ケース内にボアが設けられ、該圧縮機吐出ケースは、圧縮機吐出プレナム及びホイールスペースの前方部分を定めてこれらを離隔する。ボアには、ボアプラグが差し込まれる。ホイールスペース内の温度が受け入れられない高温に近づくと、ボアプラグが取り外され、圧縮機セクションからの空気の一部がボアを通じてホイールスペースに提供され、ホイールスペースを冷却する。
【0006】
しかしながら、ホイールスペースを冷却するこの方式には、潜在的な欠陥がある。例えば、ボアプラグは、取り外した後では、ガスタービンシステムが完全にシャットダウンされるまで元に戻すことができない。従って、圧縮機セクションからの空気は、ボアプラグが取り外されてガスタービンがシャットダウンするまで、常にホイールスペースに供給される。しかしながら、多くの場合、ホイールスペースは、この持続的冷却を必要としない可能性がある。例えば、ホイールスペースの温度変動は、ガスタービンシステムの外部の周囲温度の変動によって引き起こされることが多い。午後の間又は夏の数ヶ月の間など、周囲温度が比較的高温であるときには、ホイールスペースは冷却を必要とする可能性があるが、夜間又は冬の数ヶ月の間など、周囲温度が比較的低温であるときには、ホイールスペースは冷却を必要としない可能性がある。従って、ボアプラグが取り外された後で周囲温度が比較的低温になると、圧縮機セクションからの空気がホイールスペースに不必要に分流される。この加圧空気の不必要な分流は、発電及びガスタービンシステムの効率の損失をもたらす可能性がある。
【0007】
従って、冷却空気を高温のガスタービンシステム領域及び部品に提供する装置及び方法が当該技術分野で望ましいものとなる。例えば、比較的高温の作動条件のように、必要とされるときにだけ冷却空気を領域及び部品に提供する装置及び方法が有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,931,859号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様及び利点は、その一部を以下の説明に記載しており、又はその説明から自明なものとすることができ、或いは本発明を実施することにより知ることができる。
【0010】
1つの実施形態において、システム内のガスの流れを調節するためのプラグが開示される。プラグは、システム内の温度境界部上に配置されるハウジングを含む。ハウジングは、ガスが貫通して流れる通路を定める。プラグは更に、通路内に配置される少なくとも1つの圧力作動バルブを含み、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。少なくとも1つの圧力作動バルブは、ガスの圧力が増大したときに開放位置から閉鎖位置に移動し、ガスの圧力が減少したときに閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0011】
別の実施形態において、システムにおいてガスの流れを調節する方法が開示される。本方法は、プラグを提供する段階と、ガスの圧力が減少したときにバルブを開放位置に作動させてガスが貫通して流れることができるようにする段階と、ガスの圧力が増大したときにバルブを閉鎖位置に作動させてガスが貫通して流れるのを防ぐようにする段階と、を含む。プラグは、システム内の温度境界部上に配置され且つガスが貫通して流れる通路を定めるハウジングと、通路内に配置され且つ開放位置と閉鎖位置との間を移動可能な少なくとも1つの圧力作動バルブとを含む。
【0012】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の請求項を参照するとより理解できるであろう。本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例証しており、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0013】
添付図を参照した本明細書において、当業者に対してなしたその最良の形態を含む本発明の完全且つ有効な開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示のガスタービンシステムの断面図。
【図2】本開示のプラグが配置された温度境界部の1つの実施形態の断面図。
【図3】開放位置にある本開示のプラグの1つの実施形態の断面図。
【図4】閉鎖位置にある本開示のプラグの1つの実施形態の断面図。
【図5】開放位置にある本開示のプラグの別の実施形態の断面図。
【図6】閉鎖位置にある本開示のプラグの別の実施形態の断面図。
【図7】開放位置にある本開示のプラグの別の実施形態の断面図。
【図8】閉鎖位置にある本開示のプラグの別の実施形態の断面図。
【図9】開放位置にある本開示のプラグの更に別の実施形態の断面図。
【図10】閉鎖位置にある本開示のプラグの更に別の実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、その1つ又はそれ以上の実施例を図面に示している本発明の実施形態について詳細に説明する。各実施例は、本発明の限定ではなく、例証として提供される。実際に、当業者であれば、本発明の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正及び変形を本発明において実施できる点は理解されるであろう。例えば、1つの実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本発明は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0016】
図1は、ガスタービンシステム10の一部の断面図を示している。システム10は、圧縮機セクション12、燃焼器セクション14、及びタービンセクション16を含むことができる。更に、システム10は、複数の圧縮機セクション12、燃焼器セクション14、及びタービンセクション16を含むことができる。圧縮機セクション12及びタービンセクション16は、シャフト(図示せず)により結合することができる。シャフトは、単一のシャフト、又は互いに結合されてシャフトを形成する複数のシャフトセグメントとすることができる。
【0017】
圧縮機セクション12は、ガス80が圧縮機セクション12を通って流れるときにガス80を加圧することができる。ガス80は、例えば、空気又は他の何らかの好適なガスとすることができる。次いで、圧縮機セクション12は、ガス80を燃焼器セクション14に流すことができ、該燃焼器セクション14は、一般に当該技術分野で知られるようにガス80を受け入れるよう構成することができる。例えば、圧縮機セクション12は、圧縮機吐出ケース22により少なくとも部分的に定められる圧縮機吐出プレナム20を含むことができる。圧縮機セクション12から吐出される加圧ガス80は、圧縮機吐出プレナム20を通って燃焼器セクション14に流れることができ、該燃焼器セクション14は、一般に、環状アレイで配置された複数の燃焼器15により特徴付けられる(その1つが図1に示されている)。加圧ガス80は、燃焼器セクション14に流れた後、一般に燃料と混合された後に燃焼し、従って、高温ガス90を生成することができる。
【0018】
結果として得られる高温ガス90は、燃焼器セクション14からタービンセクション16に流れることができ、該タービンセクション16は、当該技術分野で一般に知られるように、高温ガス90を受け入れてガスタービンシステム10を駆動し、電力を発生するよう構成することができる。タービンセクション16は、タービンホイールスペース24内に配置された複数のロータホイール17を含むことができる。ロータホイールは、環状アレイでシャフトに装着されて、タービンロータ(図示せず)を形成することができる。タービンセクション16はまた、タービンホイールスペース24内に環状配置された複数のステータ部品19を含むことができる。ホイールスペース24は更に、前方ホイールスペース26を含むことができる。前方ホイールスペース26は、圧縮機吐出ケース22により少なくとも部分的に定めることができる。
【0019】
ガスタービンシステム10の様々なセクション内に多数の温度境界部60が存在する。本明細書で使用される用語「温度境界部」は、固定構造体の一方側の温度が、この構造体の対向する側部の温度よりも高いあらゆる場所を指す。これらの温度境界部はまた、通常、圧力変動が存在する場所を定める。このような温度境界部上に通路又は孔(例えば、希釈孔又はボア孔)を位置付けて、温度境界部の一方側の比較的低温で高圧のガスを温度境界部に流し、温度境界部の対向する側部の比較的高温低圧の区域をクエンチできるようにすることは、一般的である。
【0020】
温度境界部60の一例を図1に示す。図示のように、圧縮機吐出プレナム20内を流れる比較的低温のガス80は、圧縮機吐出プレナム20と前方ホイールスペース26との間に圧縮機吐出ケース22により定められる温度境界部60を生成する。多くの場合、ボア孔又は複数のボア孔(図示せず)がこの温度境界部60上に設けられ、圧縮機吐出プレナム20を流れるガス80の一部が前方ホイールスペース26内に流入して、一般には、ロータホイール17、ステータ部品19、及び他の種々のガスタービンシステム10の部品を含む、前方ホイールスペース26において高い温度を緩和し、タービンホイールスペース24を冷却できるようにする。
【0021】
前方ホイールスペース26内の作動温度は、様々な作動条件温度及び第1段バケット漏洩の量又は高温ガス吸い込みなどのエンジン間のばらつきの結果として、大きく変化する可能性がある。具体的には、前方ホイールスペース26内の作動温度は、ガスタービンシステム10の外部の周囲温度に応じて変わる可能性がある。例えば、午後の間又は夏の数ヶ月の間など、周囲温度が比較的高温であるときには、前方ホイールスペース26は比較的高温であり、冷却を必要とする可能性がある。しかしながら、夜間又は冬の数ヶ月の間など、周囲温度が比較的低温であるときには、前方ホイールスペース26は比較的低温であり、冷却を必要としない可能性がある。例えば、周囲温度がおよそ−20華氏(°F)からおよそ120°Fの範囲にわたるときに、ガス80の温度は、およそ550°Fからおよそ750°Fの範囲にわたることができ、前方ホイールスペース26の温度は、およそ650°Fからおよそ850°Fの範囲にわたることができる。周囲温度がこの範囲内で変動すると、ガス80及び前方ホイールスペース26の温度は、これに応じて変動することができる。更に、前方ホイールスペース26は、温度がおよそ800°Fのような一定の閾値温度に近づくときに冷却を必要とする場合がある。ガス80、前方ホイールスペース26、及び周囲温度は、本明細書で開示される温度に限定されず、あらゆる温度であってもよい点は理解されたい。
【0022】
このため、ボア孔にプラグ30を利用することができる。プラグ30は、有利には、比較的高温の作動条件の間など、必要とされるときにだけ前方ホイールスペース26に十分な冷却空気を提供するよう構成することができる。本開示のプラグ30は、圧縮機吐出ケース22における使用に限定されず、むしろ、必要に応じて温度境界部60を介して冷却流を提供するあらゆる好適な温度境界部60に用いることができる点は理解されたい。更に、本開示のプラグ30は、ガスタービンシステム10の温度境界部60での使用に限定されず、むしろ、あらゆる好適なシステムにおけるあらゆる温度境界部60に用いることができる点は理解されたい。
【0023】
図2に示すように、本開示のプラグ30を利用して、ガスタービンシステム10の温度境界部60など、温度境界部60を介してガス80の流れを調節することができる。例えば、図2に示すように、1つの実施形態において、温度境界部60は、圧縮機吐出ケース22により定めることができる。更に、温度境界部60は、圧縮機吐出プレナム20と前方ホイールスペース26との間に位置付けることができる。本開示のプラグ30は、以下で説明するように、ガス80を温度境界部60に選択的に流し、比較的高温の領域を冷却できるようにすることができる。
【0024】
図3に示すように、本開示のプラグ30は、ハウジング32と、少なくとも1つの圧力作動バルブ36とを含むことができる。ハウジング32は、一般に、温度境界部60の比較的低温の側部上など、ガスタービンシステム10における温度境界部60に配置することができる。例えば、プラグ30は、温度境界部60に設けられたボア孔に配置することができる。種々の実施形態において、プラグ30は、ボア孔のネジと螺合するネジを含むことができ、或いは、溶接又はボルト締めするか、何らかの好適な締結又は固定技術を用いてボア孔内に固定することができる。
【0025】
ハウジング32は、ガス80が貫通して流れる通路34を定めることができる。一般に、通路34は、ガス80が比較的低温の領域から温度境界部60を介して比較的高温の領域に流れることを可能にすることができる。通路34は、ほぼ直線状とすることができ、或いは、旋回状又は蛇行状、又は他の何れかの好適な形状を有することができる。更に、通路34は、ガス80の複数の流れに対応する複数の分岐を含むことができる。通路34は、ほぼ円形又は楕円断面、ほぼ矩形断面、ほぼ三角形断面、又は他の何れかの好適な多角形断面を有することができる。通路34の断面積は、通路34の長さ全体を通じて一定とすることができ、或いは、テーパーをつけるか、変化する断面を有する部分を有することができる。
【0026】
少なくとも1つの圧力作動バルブ36は、通路34内に配置することができ、図2、3、5、7及び9に示す開放位置と、図4、6、8及び10に示す閉鎖位置との間で移動することができる。開放位置では、バルブ36は、上記で検討したようにガス80が通路34を流れることが可能であるようにすることができる。しかしながら、閉鎖位置では、バルブ36は、ガス80が通路34を流れるのを阻止することができる。
【0027】
例えば、例示的な実施形態では、バルブ36は、図2から6、9,及び10で示し、以下で更に説明するように、貫通するバルブボア38を含むことができる。開放位置(図2、3、5、7及び9を参照)では、バルブボア38は、通路34と整列させ、ガス80が通路34を流れているときにガス80がバルブボア38を通過できるようにする。しかしながら、閉鎖位置(図4、6、8及び10を参照)では、バルブボア38は、通路34の内側壁部と整列し、バルブ36の外側壁部により通路34内のガスがバルブボア38及びひいては通路34を流れることができなくなる。
【0028】
しかしながら、代替の例示的な実施形態では、バルブ36は、バルブボア38が必要とされないように、通路34を通るガス80の流路の内外に移動可能とすることができる。例えば、図7及び8に示し、以下でより詳細に説明するように、開放位置(図7を参照)のバルブ36は、一般に通路34の内側壁部に近接して配置することができ、通路34を通るガス80の流れをバルブ36だけが最小限に妨げるようにする。閉鎖位置(図8を参照)では、バルブ36は、一般に、通路34が完全に又は実質的に遮られ、ガス80が貫通して流れることができないように通路34内に配置することができる。
【0029】
一般に、本開示のバルブ36は、ガス80の圧力の相対的変化によって作動することができる。バルブ36は、ガス80の圧力が増大すると、開放位置から閉鎖位置に移動することができ、ガス80の圧力が減少すると、閉鎖位置から開放位置に移動することができる。例えば、ガスタービンシステム10の関連において、ガス80の圧力は、ガス80の温度及びガスタービンシステム10の外部の周囲温度に対して変化することができる。検討するように、ガスタービンシステム10の外部の周囲温度は、午後の間又は夏の数ヶ月の間のような比較的高い温度と、夜間又は冬の数ヶ月の間のような比較的低い温度との間で変化することができる。周囲温度が上昇及び降下すると、ガス80の温度、並びに前方ホイールスペース26内の温度は、対応する温度変動の影響を受けることができる。更に、ガス80の圧力は、ガス80の変化する温度に反比例することができる。
【0030】
従って、周囲温度が上昇すると、ガス80及び前方ホイールスペース26の温度が上昇して前方ホイールスペース26の冷却が必要となり、ガス80の圧力は減少することができる。ガス80のこの圧力減少により、バルブ36が開放位置に移動し、比較的低温のガス80が通路34を流れることができるようになる。ガス80は、例示的な実施形態において、圧縮機吐出プレナム20から通路34を通って前方ホイールスペース26に流れ、前方ホイールスペース26を冷却することができる。
【0031】
更に、周囲温度が降下すると、ガス80及び前方ホイールスペース26の温度が下がり、前方ホイールスペース26の冷却がもはや必要ではなくなり、ガス80の圧力が増大することができる。ガス80のこの圧力増大により、バルブ36が閉鎖位置に移動し、ガス80が通路34を流れることができなくなり、従って、圧縮機吐出プレナム20からのガス08の一部の無駄な分流が阻止され、前方ホイールスペース26の冷却が必要ではない期間中にガスタービンシステム10の出力及び効率を向上させることができる。
【0032】
従って、本開示のプラグ30は、自動式動的プラグであり、正常作動状態の間は設置後に手動の介入を必要としない点は理解されたい。
【0033】
例示的な実施形態において、図2から10に示し且つ以下で説明するように、バルブ36は、開放位置に向けて押し付けることができる。例えば、特定の例示的な実施形態において、プラグ30は、バルブ36と連通したバネ部品40を含むことができる。バネ部品40は、一般に、バルブ36にバネ力を加え、バルブ36が開放位置に向かって押し付けられるようにすることができる。代替の例示的な実施形態において、バルブ36は、バルブ36の重みによって、又は開放位置への押し付けを引き起こすような他の何れかの好適な力の印加によって、開放位置に向けて押し付けることができる。また、特定の代替の実施形態において、バルブ36は、閉鎖位置に向けて押し付けることができる点は理解されたい。
【0034】
各プラグ30は、単一の圧力作動バルブ36又は複数の圧力作動バルブ36を含むことができる点は理解されたい。例えば、種々の実施形態において、ハウジング32内に定められた通路34は、上述のように、幾つかの分岐を含むことができ、バルブ36は、通路34の各分岐内に配置することができる。或いは、プラグ30は、1つよりも多い通路34を含むことができ、バルブ36は、各通路34内に配置することができる。或いは、プラグ30は、単一の通路34を含むことができ、複数のバルブを通路34内に配置してもよい。
【0035】
更に、複数のプラグ30のような、1つよりも多いプラグ30を温度境界部60上に配置することができる点は理解されたい。例示的な実施形態において、例えば、複数のプラグ30を圧縮機吐出ケース22内に配置することができる。
【0036】
図2から4は、本開示のプラグ30の1つの実施形態を示している。図示のように、本実施形態のバルブ36は、ほぼ直線状の水平軸に沿って開放位置(図2及び3を参照)と閉鎖位置(図4を参照)との間で移動可能である。更に、プラグ30は、バネ部品40を含み、これがプラグ30を開放位置に向けて押し付けるバネ力を提供する。加えて、複数の停止部42をプラグ30内に配置することができる。停止部42は、通路34及びバルブボア38が整列して流体連通するように開放位置においてバルブ36を整列させるよう位置付けることができる。加えて、幾つかの実施形態において、停止部42は、バルブ36が通路34を適切にシールしてガス80が貫通して流れるのを防ぐように、バルブ36を閉鎖位置に整列させるよう位置付けることができる。上述のように、バルブ36が開放位置にあるときに、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50は、図2及び3に示すように、ガス80の温度が比較的高いときのように比較的小さいものとすることができる。しかしながら、ガス80の温度が低下すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して増大し、従って、図4に示すように、バルブ36を開放位置から閉鎖位置に移動させるようにすることができる。ガス80の温度が上昇すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して低下し、従って、バルブ36を閉鎖位置から開放位置に戻すようにすることができる。
【0037】
図5及び6は、本開示のプラグ30の別の実施形態を示している。図示のように、本実施形態のバルブ36は、ほぼ直線状の垂直軸に沿って開放位置(図5を参照)と閉鎖位置(図6を参照)との間で移動可能である。更に、プラグ30は、バネ部品40を含み、これがプラグ30を開放位置に向けて押し付けるバネ力を提供する。加えて、停止部42をプラグ30内に配置することができる。停止部42は、通路34及びバルブボア38が整列して流体連通するように開放位置においてバルブ36を整列させるよう位置付けることができる。加えて、幾つかの実施形態において、停止部42は、バルブ36が通路34を適切にシールしてガス80が貫通して流れるのを防ぐように、バルブ36を閉鎖位置に整列させるよう位置付けることができる。上述のように、バルブ36が開放位置にあるときに、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50は、図5に示すように、ガス80の温度が比較的高いときのように比較的小さいものとすることができる。しかしながら、ガス80の温度が低下すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して増大し、従って、図6に示すように、バルブ36を開放位置から閉鎖位置に移動させるようにすることができる。ガス80の温度が上昇すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して低下し、従って、バルブ36を閉鎖位置から開放位置に戻すようにすることができる。
【0038】
図7及び8は、本開示のプラグ30の別の実施形態を示している。図示のように、本実施形態のバルブ36は、枢動点44の周りに開放位置(図7を参照)と閉鎖位置(図8を参照)との間で枢動可能である。更に、プラグ30は、バネ部品40を含み、これがプラグ30を開放位置に向けて押し付けるバネ力を提供する。加えて、停止部42をプラグ30内に配置することができる。停止部42は、バルブ36が通路34を適切にシールしてガス80が貫通して流れるのを防ぐように、バルブ36を閉鎖位置に整列させるよう位置付けることができる。加えて、幾つかの実施形態において、停止部42は、通路34及びバルブボア38が整列して流体連通するように開放位置においてバルブ36を整列させるよう位置付けることができる。上述のように、バルブ36が開放位置にあるときに、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50は、図7に示すように、ガス80の温度が比較的高いときのように比較的小さいものとすることができる。しかしながら、ガス80の温度が低下すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して増大し、従って、図8に示すように、バルブ36を開放位置から閉鎖位置に移動させるようにすることができる。ガス80の温度が上昇すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して低下し、従って、バルブ36を閉鎖位置から開放位置に戻すようにすることができる。
【0039】
図9及び10は、本開示のプラグ30の別の実施形態を示している。図示のように、本実施形態のバルブ36は、ほぼ直線状の垂直軸に沿って開放位置(図9を参照)と閉鎖位置(図10を参照)との間で移動可能である。しかしながら、本実施形態において、プラグ30は、バルブ36の重みによって開放位置に向けて押し付けられる。加えて、停止部42をプラグ30内に配置することができる。停止部42の幾つかは、通路34及びバルブボア38が整列して流体連通するように開放位置においてバルブ36を整列させるよう位置付けることができる。他の停止部42は、バルブ36が通路34を適切にシールしてガス80が貫通して流れるのを防ぐように、バルブ36を閉鎖位置に整列させるよう位置付けることができる。上記で検討したように、バルブ36が開放位置にあるときに、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50は、図9に示すように、ガス80の温度が比較的高いときのように比較的小さいものとすることができる。しかしながら、ガス80の温度が低下すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して増大し、従って、図10に示すように、バルブ36を開放位置から閉鎖位置に移動させるようにすることができる。ガス80の温度が上昇すると、ガス80の圧力によってバルブ36に加わる力50はこれに対応して低下し、従って、バルブ36を閉鎖位置から開放位置に戻すようにすることができる。
【0040】
バネ部品40の剛性、バルブ36の重み、サイズ、及び表面積、通路34及びバルブボア38のサイズ及び長さ、並びに停止部42の位置合わせは、プラグ30がガス80の圧力変化に適切に応答するように、及びバルブ36が、ガス80の圧力の増大に伴って開放位置から閉鎖位置に移動し、ガス80の圧力の減少に伴って閉鎖位置から開放位置に移動するように、較正できる点は理解されたい。
【0041】
本開示のプラグ30は、開放位置と閉鎖位置との間で移動する圧力作動バルブ36を含めることにより、比較的高温の作動状態の間のように、冷却が必要とされるときだけ温度境界部60を介してガス80を提供する。更に、本開示のプラグ30は、比較的低温の作動状態の間のように、冷却が必要とされないときに温度境界部60を介したガス80の無駄な分流を阻止する。従って、例示的な実施形態において、本開示のプラグ30は、比較的低温の作動状態の間に本開示のガスタービンシステム10によって効率の改善及び発生電力の増大を提供し、高温の作動状態の間にガスタービンシステム10の種々の部品の冷却を提供する。
【0042】
本開示は更に、ガスタービンシステム10において温度境界部60を介してガス80の流れを調節する方法を提供する。本方法は、例えば、少なくとも1つのプラグ30を提供する段階を含むことができる。プラグ30は、ガスタービンシステム10において温度境界部60上に配置されたハウジング32、すなわち、上記で検討したようにガス80が貫通して流れる通路34を定めるハウジング32を含むことができる。ハウジング32は更に、通路34内に配置され、上記で検討したように開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な少なくとも1つの圧力作動バルブ36を含むことができる。
【0043】
本方法は更に、ガス80の圧力が減少したときにバルブ36を開放位置に作動させてガス80が貫通して流れることができるようにする段階と、ガス80の圧力が増大したときにバルブ36を閉鎖位置に作動させてガス80が貫通して流れるのを防ぐようにする段階と、を含むことができる。例えば、上記で検討したように、少なくとも1つの圧力作動バルブ36は、ガス80の圧力が増大したときに開放位置から閉鎖位置に移動し、ガス80の圧力が減少したときに閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0044】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0045】
10 ガスタービンシステム
12 圧縮機セクション
14 燃焼器セクション
15 圧縮機
16 タービンセクション
17 ロータホイール
19 ステータ部品
20 圧縮機吐出プレナム
22 圧縮機吐出ケース
24 タービンホイールスペース
26 前方ホイールスペース
30 プラグ
32 ハウジング
34 通路
36 圧力作動バルブ
38 バルブボア
40 バネ部品
42 停止部
44 枢動点
50 圧力による力
60 温度境界部
80 ガス
90 高温ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム(10)内のガス(80)の流れを調節するためのプラグ(30)であって、
前記システム(10)内の温度境界部(60)上に配置され、前記ガス(80)が貫通して流れる通路(34)を定めるハウジング(32)と、
前記通路(34)内に配置され、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能な少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)と
を備え、前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)は、前記ガス(80)の圧力が増大したときに前記開放位置から前記閉鎖位置に移動し、前記ガス(80)の圧力が減少したときに前記閉鎖位置から前記開放位置に移動する、プラグ(30)。
【請求項2】
前記温度境界部(60)が、ガスタービン(10)における圧縮機吐出プレナム(20)と前方ホイールスペース(26)との間に位置付けられる、請求項1記載のプラグ(30)。
【請求項3】
前記開放位置における前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)により、前記ガス(80)が前記圧縮機吐出プレナム(20)から前記通路(34)を通って前記前方ホイールスペース(26)に流れ、前記前方ホイールスペース(26)を冷却することができる、請求項2記載のプラグ(30)。
【請求項4】
前記温度境界部(60)が、圧縮機吐出ケース(22)によって定められる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)が、前記開放位置に向けて押し付けられる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項6】
前記押し付けはバネ力によって引き起こされる、請求項5記載のプラグ(30)。
【請求項7】
前記押し付けは、少なくとも1つの圧力差道バルブ(36)の重みによって引き起こされる、請求項5記載のプラグ(30)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)は、ほぼ直線状の垂直軸に沿って移動可能である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)は、ほぼ直線状の水平軸に沿って移動可能である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)は、開放位置と閉鎖位置との間で枢動可能である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)が複数の圧力作動バルブ(36)である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のプラグ(30)。
【請求項12】
システム(10)においてガス(80)の流れを調節する方法であって、
前記システム(10)内の温度境界部(60)上に配置され且つ前記ガス(80)が貫通して流れる通路(34)を定めるハウジング(32)と、前記通路(34)内に配置され且つ開放位置と閉鎖位置との間を移動可能な少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)とを備えた少なくとも1つのプラグ(30)を提供する段階と、
前記ガス(80)の圧力が減少したときに前記バルブ(36)を開放位置に作動させてガス(80)が貫通して流れることができるようにする段階と、
前記ガス(80)の圧力が増大したときに前記バルブ(36)を閉鎖位置に作動させてガス(80)が貫通して流れるのを防ぐようにする段階と
を含む方法。
【請求項13】
前記温度境界部(60)が圧縮機吐出ケース(22)によって定められる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの圧力作動バルブ(36)が、前記開放位置に向けて押し付けられる、請求項12又は請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−36890(P2012−36890A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168853(P2011−168853)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】