説明

圧力容器の密閉扉

【課題】耐久性に優れた圧力容器の密閉扉を得る。
【解決手段】可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで隣接して並設されている圧力容器の密閉扉5において、薄板部材9に梁部材10を中間部材を介すことなく固定して取り付けることにより、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、薄板部材9と梁部材10との固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形を対称とさせ、薄板部材9と梁部材10との固定部分20の耐久性の向上を図れるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器の開口部を塞ぐための密閉扉に関するものである。この発明で圧力容器とは、内部が加圧される容器のみならず、内部が減圧される容器を含むものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、滅菌用のオートクレーブ,食品加工用レトルト装置,真空冷却機等、各種の圧力容器の密閉扉は、強度、気密の維持の必要上、かなりの厚みを持った単体(一体)構造物で構成されている。
【0003】
そのような密閉扉の例には、圧力容器の前方あるいは側方に、開閉動作のための回転軸を備えたものや密閉扉を垂直あるいは水平方向へスライドさせて開閉するようにしたものがあり、更に、圧力容器への締付け・密閉操作に際しては、密閉扉に取り付けた放射状配置の締付桿を用いるもの、圧力容器の開口部周辺から延びるネジを利用して密閉扉を締付けるもの、圧力容器の開口部に設けられて、密閉扉の外周と噛合する締付リングを用いる(所謂クラッチドア形式)もの等がある。前述の圧力容器の密閉扉は、開放時に外部へ張り出すため、その構造上、開閉時の密閉扉の移動空間が大きく、また、密閉扉の開放位置も限定され、この種の圧力容器は、設置時に種々の制約を受ける。
【0004】
この種の制約を解消するものとして、移動空間及び収納場所が小さな密閉扉が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この提案されている密閉扉と、この密閉扉が用いられる圧力容器の構造を、滅菌用オートクレーブに適用した例にて、図13乃至図16を参照して説明する。
【0006】
図13は提案されている密閉扉と圧力容器との関係を示す正面説明図、図14は図13の要部の縦断構造を示す縦断側面説明図、図15は図13の要部の横断構造を示す横断平面説明図、図16は従来の密閉扉の縦断斜視図である。
【0007】
圧力容器1としてのオートクレーブ本体には、その内部に滅菌室2を有しており、それを取り囲むように蒸気ジャケット3を備えている。圧力容器1の一面には、被滅菌物を出し入れするための開口部4が設けられている。この開口部4を覆うように密閉扉5が設けられている。開口部4の周囲の蒸気ジャケット3の端面にはパッキン部材6が設けられている。パッキン部材6は蒸気ジャケット3の端面に設けられたパッキン溝7の入口側で密閉状態を保って該パッキン溝7の深さ方向の前後に滑動可能に納められていて、密閉扉5が開口部4を塞いだとき、空気圧の供給手段(図示省略)から空気配管8を経てパッキン溝7の底部内へ送られる空気圧によりパッキン部材6の先端側が押し出されて密閉扉5の裏面に圧接することにより滅菌室2を密閉するようになっている。
【0008】
前記密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の表面に多数の梁部材10が該薄板部材9を横切る向きで隣接して並設されている。薄板部材9に対する各梁部材10の取り付けは、各梁部材10をそれぞれ取付部材11を介して薄板部材9に取り付けた構造となっている。
【0009】
前記取付部材11は、薄板部材9に接合し固定される接合部11aと、梁部材10を固定する接合部11bとを備え、接合部11aと接合部11bとは直交する向きで一体に形成され、L字形をなすアングル状になっており、接合部11aは溶接で薄板部材9に固定されている。そして、接合部11bには梁部材10がリベット12で固定されている。
【0010】
このように構成された密閉扉5は、薄板部材9を、梁部材10を取付した側が凸となるように湾曲させると、隣接する梁部材10の間の先端間が広がることにより、密閉扉5全体がスムーズに湾曲するようになる。
【0011】
前記圧力容器1においては、開口部4周辺における密閉扉5の移動方向の両側には、密閉扉5をスライド収納する際の案内と、パッキン部材6の圧接時の密閉扉5の支持を行うためのガイド部材が配設されている。このガイド部材は、曲がり部を介在した状態で閉塞位置Aと開放位置(収納位置B)との間に延設されている。
【0012】
このような構成により、密閉扉5を開閉する際には、該密閉扉5を圧力容器1の上方の収納位置Bから、スライドさせてその前面の開口部4に対向する位置(閉塞位置A)へ移動させ、薄板部材9が開口部4の周囲のパッキン部材6全体を覆った状態で、空気配管8によりパッキン溝7内に圧縮空気を作用させ、パッキン部材6を押し出して薄板部材9の裏面にパッキン部材6を密着させることにより圧力容器1を密閉することができ、また、空気配管8による空気圧の供給を止め、パッキン溝7内にパッキン部材6を後退させることにより、パッキン部材6の密着状態を解いて、密閉扉5を上方へスライド移動させれば開口部4を開放することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−303558号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のような構造の密閉扉5では、薄板部材9は梁部材10とは固定されておらず、取付部材11といった中間部材を用いているため、密閉扉5で開口部4を閉じた圧力容器1の内部、即ち滅菌室2を真空引きにより減圧したとき、薄板部材9と中間部材の溶接部に生じる曲げ応力が非対称となり、耐久性について課題を残している。
【0015】
本発明の目的は、耐久性に優れた圧力容器の密閉扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、可撓性を有する薄板部材の片面に多数の梁部材が前記薄板部材を横切る向きで隣接して並設されている圧力容器の密閉扉において、前記薄板部材に前記梁部材が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記薄板部材の片面に突起部材が固定され、また、前記梁部材には前記突起部材が貫通する貫通穴が設けられており、前記貫通穴に前記突起部材を貫通させた前記梁部材が前記突起部材の先端側に備えた抜け止め部で抜け止めされることにより前記薄板部材に前記梁部材が固定されて取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の、前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材がボルト部材であり、前記抜け止め部がナット部材であることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の、前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材が雌ネジ部材であり、前記抜け止め部が前記貫通穴より大径の頭部を有する雄ネジ部材であることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の、前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材及び前記突起部材の先端側に備えた抜け止め部は、小径の柱部と大径の頭部を一体としたピン状体で構成され、また、前記梁部材に設けた貫通穴は、前記大径の頭部が通過する大径穴部と小径の柱部の嵌合を可とし大径の頭部の通過を不可とする小径穴部とからなり、大径穴部を貫通したピン状体が小径穴部にスライド可能となっていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の、前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材が柱状部材であり、前記抜け止め部は棒部材であり、この棒部材は前記柱状部材に設けられた挿入孔に挿入されるようになっていることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項2,3,4,5または6に記載の、前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材は、前記薄板部材に溶接により固定されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の、前記薄板部材と前記梁部材が溶接により固定されて前記薄板部材に前記梁部材が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の圧力容器の密閉扉によれば、薄板部材に梁部材が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられているので、薄板部材が減圧荷重を受けたとき、薄板部材は、薄板部材と梁部材との固定部分を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材による引っ張り荷重を受ける梁部材に変形は生じないので、前記した薄板部材と梁部材との固定部分を挟んで生じる薄板部材の変形は対称となり、固定部分を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分を挟んで生じる薄板部材の変形が非対称である場合に比べ固定部分に生じる応力が低減し、薄板部材と梁部材との固定部分の耐久性の向上を図ることができる。
【0025】
請求項2に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項1に記載の薄板部材の片面に突起部材が固定され、また、梁部材には突起部材が貫通する貫通穴が設けられており、貫通穴に突起部材を貫通させた梁部材が突起部材の先端側に備えた抜け止め部で抜け止めされることにより薄板部材に梁部材が固定されて取り付けられているので、薄板部材が減圧荷重を受けたとき、薄板部材は突起部材が固定されている固定部分を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材による引っ張り荷重を突起部材を介して受ける梁部材に変形は生じないので、梁部材の貫通穴に貫通している突起部材に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材に固定された突起部材の固定部分を挟んで生じる薄板部材の変形は対称となり、固定部分を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分を挟んで生じる薄板部材の変形が非対称である場合に比べ固定部分に生じる応力が低減し、薄板部材と突起部材との固定部分の耐久性の向上を図ることができる。
【0026】
請求項3に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項2に記載の薄板部材の片面に固定されている突起部材がボルト部材であり、抜け止め部がナット部材であるので、梁部材の貫通穴にボルト部材を挿入して貫通させ、このボルト部材にナット部材を螺着することにより薄板部材へ梁部材を取り付けることができ、また、ボルト部材からナット部材を外すことにより薄板部材から梁部材を取り外すことができ、薄板部材への梁部材の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができる。
【0027】
請求項4に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項2に記載の薄板部材の片面に固定されている突起部材が雌ネジ部材であり、抜け止め部が貫通穴より大径の頭部を有する雄ネジ部材であるので、梁部材の貫通穴に雌ネジ部材を挿入して貫通させ、この雌ネジ部材に雄ネジ部材を螺着することにより薄板部材へ梁部材を取り付けることができ、また、雌ネジ部材から雄ネジ部材を外すことにより薄板部材から梁部材を取り外すことができ、薄板部材への梁部材の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができる。
【0028】
請求項5に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項2に記載の薄板部材の片面に固定されている突起部材及び突起部材の先端側に備えた抜け止め部は、小径の柱部と大径の頭部を一体としたピン状体で構成され、また、梁部材に設けた貫通穴は、大径の頭部が通過する大径穴部と小径の柱部の嵌合を可とし大径の頭部の通過を不可とする小径穴部とからなり、大径穴部を貫通したピン状体が小径穴部にスライド可能となっているので、梁部材の貫通穴の大径穴部にピン状体を挿入して貫通させ、この状態から梁部材をスライドさせて大径穴部を貫通したピン状体を小径穴部に移動させることにより薄板部材へ梁部材を取り付けることができ、また、小径穴部に移動しているピン状体を大径穴部に移動させることにより薄板部材から梁部材を取り外すことができ、薄板部材への梁部材の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができる。
【0029】
請求項6に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項2に記載の薄板部材の片面に固定されている突起部材が柱状部材であり、抜け止め部は棒部材であり、この棒部材は柱状部材に設けられた挿入孔に挿入されるようになっているので、梁部材の貫通穴に柱状部材を挿入して貫通させ、この柱状部材に設けられている挿入孔に棒部材を挿入することにより薄板部材へ梁部材を取り付けることができ、また、柱状部材に設けられている挿入孔から棒部材を抜き取ることにより薄板部材から梁部材を取り外すことができ、薄板部材への梁部材の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができる。
【0030】
請求項7に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項2,3,4,5または6に記載の薄板部材の片面に固定されている突起部材は、薄板部材に溶接により固定されているので、薄板部材と突起部材との固定作業が容易であり、また薄板部材のシール性を損ねるおそれがない。
【0031】
請求項8に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項1に記載の薄板部材と梁部材が溶接により固定されて薄板部材に梁部材が取り付けられているので、薄板部材と梁部材との固定作業が容易であり、また薄板部材のシール性を損ねるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第1実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図2】図1に示す密閉扉の薄板部材と薄板部材に固定された梁部材の縦断面図である。
【図3】図1に示す密閉扉が減圧荷重を受けたときの変形状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第2実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図5】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第3実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図6】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第4実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図7】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第5実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図8】図7に示す密閉扉の薄板部材に固定される梁部材に設けられた貫通穴を示す説明図である。
【図9】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第6実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図10】図9に示す密閉扉の薄板部材と薄板部材に固定された梁部材の縦断面図である。
【図11】本発明に係る圧力容器の密閉扉の第7実施例の縦断面構造を示す構造説明図である。
【図12】図11に示す密閉扉が減圧荷重を受けたときの変形状態を示す説明図である。
【図13】従来の密閉扉と圧力容器との関係を示す正面説明図である。
【図14】図13の要部の縦断構造を示す縦断側面説明図である。
【図15】図13の要部の横断構造を示す横断平面説明図である。
【図16】従来の密閉扉の縦断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る圧力容器の密閉扉を実施するための形態の一例を図面を参照して詳細に説明する。なお、前述した図13〜図16と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0034】
図1乃至図3は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第1実施例を示したもので、図1は本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図、図2は図1に示す密閉扉の薄板部材と薄板部材に固定された梁部材の縦断面図、図3は図1に示す密閉扉が減圧荷重を受けたときの変形状態を示す説明図である。
【0035】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では、断面四角形の筒状の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材10には突起部材14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0036】
本例では、前記した突起部材14がボルト部材17であり、抜け止め部16がナット部材18である。ボルト部材17にあっては、梁部材10を貫通する長さを有し、その後端が薄板部材9へ固定されている。薄板部材9へのボルト部材17の固定にあっては、薄板部材9のシール性が確保できる限り特に限定されないがシール性の点から溶接が好ましく、本例ではボルト部材17の後端が溶接により薄板部材9に固定されている。
【0037】
また、薄板部材9に固定されているボルト部材17が貫通する梁部材10に設けられた貫通穴15は梁部材10の薄板部材9側の壁部10aと、この壁部10aと対向する壁部10bを同軸上に貫通して設けられている。この貫通穴15は梁部材10の中央位置に設けられていることが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0038】
そして、薄板部材9への梁部材10の取り付けにあっては、梁部材10の壁部10aと壁部10bの貫通穴15にボルト部材17を挿入して貫通させ、このボルト部材17にナット部材18を螺着して壁部10bを締め付けることにより梁部材10を薄板部材9へ固定して取り付ける。このときナット部材18が緩まないように、緩み止めとして梁部材10とナット部材18との間にワッシャ19を介在させているが、ダブルナットとしてもよい。
【0039】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、図3に示すように、薄板部材9はボルト部材17が固定されている固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重をボルト部材17を介して受ける梁部材10に変形は生じないので、梁部材10の貫通穴15に貫通しているボルト部材17に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材9に一端が固定されたボルト部材17の固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称(図3上、上下に対称。)となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9とボルト部材17との固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0040】
また、本例では薄板部材9の片面に固定されているボルト部材17は溶接により固定されているので、薄板部材9とボルト部材17との固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【0041】
また、上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、梁部材10の貫通穴15にボルト部材17を挿入して貫通させ、このボルト部材17にナット部材18を螺着することにより薄板部材9へ梁部材10を取り付けることができ、また、ボルト部材17からナット部材18を外すことにより薄板部材9から梁部材10を取り外すことができ、薄板部材9への梁部材10の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができるとともに、薄板部材9或いは梁部材10が損傷を受けた場合に容易に交換することができる。
【0042】
図4は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第2実施例を示したもので、本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図である。
【0043】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では、断面上向きコ字形の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材10には突起部材14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0044】
本例では、前記した突起部材14が前記した第1実施例と同様に、ボルト部材17であり、抜け止め部16がナット18である。ボルト部材17にあっては、本例では梁部材10の薄板部材9側の壁部10aを貫通する長さを有し、その後端が薄板部材9へ固定されている。薄板部材9へのボルト部材17の固定にあっては、前記した第1実施例と同様に、薄板部材9のシール性が確保できる限り特に限定されないがシール性の点から溶接が好ましく、本例ではボルト部材17の後端が溶接により薄板部材9に固定されている。
【0045】
また、薄板部材9に固定されているボルト部材17が貫通する梁部材10の壁部10aに設けられた貫通穴15は梁部材10の中央位置に設けられていることが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0046】
そして、薄板部材9への梁部材10の取り付けにあっては、梁部材10の壁部10aの貫通穴15にボルト部材17を挿入して貫通させ、このボルト部材17にナット部材18を螺着して壁部10aを締め付けることにより梁部材10を薄板部材9へ固定して取り付ける。このときナット部材18が緩まないように、緩み止めとして梁部材10とナット部材18との間にワッシャ19を介在させているが、ダブルナットとしてもよい。
【0047】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、第1実施例の図3に示す薄板部材9と同様に、薄板部材9はボルト部材17が固定されている固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重をボルト部材17を介して受ける梁部材10に変形は生じないので、梁部材10の貫通穴15に貫通しているボルト部材17に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材9に一端が固定されたボルト部材17の固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9とボルト部材17との固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0048】
また、本例では薄板部材9の片面に固定されているボルト部材17は溶接により固定されているので、第1実施例と同様に、薄板部材9とボルト部材17との固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【0049】
また、上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、第1実施例と同様に、梁部材10の貫通穴15にボルト部材17を挿入して貫通させ、このボルト部材17にナット部材18を螺着することにより薄板部材9へ梁部材10を取り付けることができ、また、ボルト部材17からナット部材18を外すことにより薄板部材9から梁部材10を取り外すことができ、薄板部材9への梁部材10の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができるとともに、薄板部材9或いは梁部材10が損傷を受けた場合に容易に交換することができる。
【0050】
図5は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第3実施例を示したもので、本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図である。
【0051】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では第1実施例と同様に、断面四角形の筒状の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材材10には突起部14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0052】
本例では、前記した突起部材14が雌ネジ部材21であり、抜け止め部16が貫通穴15より大径の頭部を有する雄ネジ部材23である。雌ネジ部材21にあっては、梁部材10の薄板部材9側の壁部10aを貫通し、この壁部10aと対向する壁部10bに届かない長さを有し、その後端が薄板部材9へ固定されている。薄板部材9への雌ネジ部材21の固定にあっては、薄板部材9のシール性が確保できる限り特に限定されないがシール性の点から溶接が好ましく、本例では雌ネジ部材21の後端が溶接により薄板部材9に固定されている。また、雌ネジ部材21には、先端面に開口するネジ穴24が軸方向に設けられている。
【0053】
また、梁部材10に設けられた貫通穴15は梁部材10の薄板部材9側の壁部10aと、この壁部10aと対向する壁部10bを同軸上に貫通して設けられており、壁部10aに設けられた貫通穴15を雌ネジ部材21が貫通し、壁部10bに設けられた貫通穴15を雄ネジ部材23が貫通するようになっている。この貫通穴15は梁部材10の中央位置に設けられていることが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0054】
そして、薄板部材9への梁部材10の取り付けにあっては、梁部材10の壁部10aに設けられた貫通穴15に雌ネジ部材21を挿入して貫通させ、梁部材10の壁部10bに設けられた貫通穴15に雄ネジ部材23を挿入して貫通し雌ネジ部材21のネジ穴24にねじ込み、雄ネジ部材23の頭部22で梁部材10の壁部10bを締め付けることにより梁部材10を薄板部材9へ固定して取り付ける。このとき、雌ネジ部材21のネジ穴24にねじ込んだ雄ネジ部材23が緩まないように、緩み止めとして梁部材10壁部10bと雄ネジ部材23の頭部22との間にワッシャ19を介在させるとよい。
【0055】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、第1実施例の図3に示す薄板部材9と同様に、薄板部材9は雌ネジ部材21が固定されている固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重を雌ネジ部材21を介して受ける梁部材10に変形は生じないので、梁部材10の貫通穴15に貫通している雌ネジ部材21に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材9に一端が固定された雌ネジ部材21の固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9と雌ネジ部材21との固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0056】
また、本例では薄板部材9の片面に固定されている雌ネジ部材21は溶接により固定されているので、第1実施例と同様に、薄板部材9と雌ネジ部材21との固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【0057】
また、上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、梁部材10の貫通穴15に雌ネジ部材21を挿入して貫通させ、この雌ネジ部材21に雄ネジ部材23を螺着することにより薄板部材9へ梁部材10を取り付けることができ、また、雌ネジ部材21から雄ネジ部材23を外すことにより薄板部材9から梁部材10を取り外すことができ、薄板部材9への梁部材10の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができるとともに、薄板部材9或いは梁部材10が損傷を受けた場合に容易に交換することができる。
【0058】
図6は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第4実施例を示したもので、本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図である。
【0059】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では第1実施例と同様に、断面四角形の筒状の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材10には突起部材14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0060】
本例では、前記した突起部材14が第3実施例と同様に、雌ネジ部材21であり、抜け止め部16が貫通穴15より大径の頭部を有する雄ネジ部材23である。第3実施例との違いは、本例の雌ネジ部材21の長さが、梁部材10の薄板部材9側の壁部10aを貫通し、この壁部10aと対向する壁部10bの内壁面に当接する長さとなっていることと、梁部材10の薄板部材9側の壁部10aに設けられた貫通穴15は雌ネジ部材21が貫通し、この壁部10aと対向する壁部10bに設けられた貫通穴15は雄ネジ部材23が貫通するが、壁部10bに設けられた貫通穴15の径が雌ネジ部材21の径より小径となっていることであり、これ以外は第3実施例と同じなので、第3実施例の説明を援用する。
【0061】
薄板部材9への梁部材10の取り付けにあっては、梁部材10の壁部10aに設けられた貫通穴15に雌ネジ部材21を挿入して貫通させ、その先端面を梁部材10の壁部10bの内壁面に当接させ、梁部材10の壁部10bに設けられた貫通穴15に雄ネジ部材23を挿入して貫通し雌ネジ部材21のネジ穴24にねじ込み、雌ネジ部材21の先端と雄ネジ部材23の頭部22とで梁部材10の薄板部材9側の壁部10aと対向する壁部10bを締め付け挟着することにより梁部材10を薄板部材9へ固定して取り付ける。このとき、雌ネジ部材21のネジ穴24にねじ込んだ雄ネジ部材23が緩まないように、緩み止めとして梁部材10壁部10bと雄ネジ部材23の頭部22との間にワッシャ19を介在させるとよい。
【0062】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、第3実施例と同様の作用効果が得られる。
【0063】
図7、図8は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第5実施例を示したもので、図7は本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図、図8は図7に示す密閉扉の薄板部材に固定される梁部材に設けられた貫通穴を示す説明図である。
【0064】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では第1実施例と同様に、断面四角形の筒状の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材10には突起部材14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0065】
突起部材14及び突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16は、本例では、小径の柱部25と大径の頭部26を一体としたピン状体27で構成されている。薄板部材9へのピン状体27の固定にあっては、薄板部材9のシール性が確保できる限り特に限定されないがシール性の点から溶接が好ましく、本例ではピン状体27の柱部25の後端が溶接により薄板部材9に固定されている。
【0066】
また、梁部材10に設けた貫通穴15は薄板部材9側の壁部10aに設けられており、この、貫通穴15は大径の頭部26が通過する大径穴部15aと小径の柱部25の嵌合を可とし大径の頭部26の通過を不可とする小径穴部15bとからなり、大径穴部15aを貫通したピン状体27が小径穴部15bにスライドして移動可能となっている。
【0067】
この貫通穴15は梁部材10の中央位置に設けられていることが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0068】
そして、薄板部材9への梁部材10の取付にあっては、梁部材10の貫通穴15の大径穴部15aにピン状体27を挿入して貫通させ、この状態から梁部材10をスライドさせて大径穴部15aを貫通したピン状体27を小径穴部15bに移動させることにより薄板部材9へ梁部材10を固定して取り付ける。
【0069】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、第1実施例の図3に示す薄板部材9と同様に、薄板部材9はピン状体27が固定されている固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重をピン状体27を介して受ける梁部材10に変形は生じないので、梁部材10の貫通穴15に貫通しているピン状体27に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材9に一端が固定されたピン状体27の固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9とピン状体27との固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0070】
また、本例では薄板部材9の片面に固定されているピン状体27は溶接により固定されているので、第1実施例と同様に、薄板部材9とピン状体27との固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【0071】
また、上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、梁部材10の貫通穴15の大径穴部15aにピン状体27を挿入して貫通させ、この状態から梁部材10をスライドさせて大径穴部15aを貫通したピン状体27を小径穴部15bに移動させることにより薄板部材9へ梁部材10を取り付けることができ、また、小径穴部15bに移動しているピン状体27を大径穴部15aに移動させることにより薄板部材9から梁部材10を取り外すことができ、薄板部材9への梁部10材の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができるとともに、薄板部材9或いは梁部材10が損傷を受けた場合に容易に交換することができる。
【0072】
図9、図10は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第5実施例を示したもので、図9は本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図、図10は図9に示す密閉扉の薄板部材と薄板部材に固定された梁部材の縦断面図である。
【0073】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では第1実施例と同様に、断面四角形の筒状の棒状体で構成されている。そして、薄板部材9の片面に突起部材14が固定され、また、梁部材10には突起部材14が貫通する貫通穴15が設けられており、貫通穴15に突起部材14を貫通させた梁部材10が突起部材14の先端側に備えた抜け止め部16により抜け止めされることにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。
【0074】
本例では、前記した突起部材14が柱状部材28であり、抜け止め部16は棒部材29であり、この棒部材29は柱状部材28に設けられた挿入孔30に挿入されるようになっている。柱状部材28にあっては、梁部材10の薄板部材9側の壁部10aを貫通し、この壁部10aと対向する壁部10bに届かない長さを有し、その後端が薄板部材9へ固定されている。薄板部材9への柱状部材28の固定にあっては、薄板部材9のシール性が確保できる限り特に限定されないがシール性の点から溶接が好ましく、本例では柱状部材28の後端が溶接により薄板部材9に固定されている。
【0075】
また、梁部材10に設けられた貫通穴15は、本例では梁部材10の薄板部材9側の壁部10aに設けられている。そして、柱状部材28に設けられた挿入孔30は、柱状部材28を梁部材10の薄板部材9側の壁部10aに設けられた貫通穴15に挿入して貫通させたとき、壁部10aの上面に近接する位置に設けられている。前記の貫通穴15は梁部材10の中央位置に設けられていることが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0076】
そして、薄板部材9への梁部材10の取り付けにあっては、梁部材10の壁部10aに設けられた貫通穴15に柱状部材28を挿入して貫通させ、壁部10aの上面に近接する位置で開口する柱状部材28に設けられた挿入孔30に棒部材29を挿入することにより、薄板部材9へ梁部材10を固定して取り付ける。
【0077】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、第1実施例の図3に示す薄板部材9と同様に、薄板部材9は柱状部材28が固定されている固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重を柱状部材28を介して受ける梁部材10に変形は生じないので、梁部材10の貫通穴15に貫通している柱状部材28に傾き方向への変形は生じないことから、前記した薄板部材9に一端が固定された柱状部材28の固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9と柱状部材28との固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0078】
また、本例では薄板部材9の片面に固定されている柱状部材28は溶接により固定されているので、第1実施例と同様に、薄板部材9と柱状部材28との固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【0079】
また、上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、梁部材10の壁部10aに設けられた貫通穴15に柱状部材28を挿入して貫通させ、壁部10aの上面に近接する位置で開口する柱状部材28に設けられた挿入孔30に棒部材29を挿入することにより薄板部材9へ梁部材10を取り付けることができ、また、柱状部材28に設けられている挿入孔30から棒部材29を抜き取ることにより薄板部材9から梁部材10を取り外すことができ、薄板部材9への梁部材10の取り付け、取り外しを簡単な作業で容易に行うことができるとともに、薄板部材9或いは梁部材10が損傷を受けた場合に容易に交換することができる。
【0080】
図11、図12は本発明に係る圧力容器の密閉扉の第7実施例を示したもので、図11は本実施例の密閉扉の縦断面構造を示す構造説明図、図12は図11に示す密閉扉が減圧荷重を受けたときの変形状態を示す説明図である。
【0081】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の梁部材10が薄板部材9を横切る向きで等間隔で隣接するように並べられ、薄板部材9に梁部材10が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられている。前記の梁部材10にあっては、本例では、第2実施例と同様に、断面上向きコ字形の棒状体で構成されている。
【0082】
そして、薄板部材9と梁部材10の薄板部材9側の壁部10aを溶接することにより薄板部材9に梁部材10が固定されて取り付けられている。薄板部材9と梁部材10の壁部10aとの溶接は壁部10aの中央位置で行うのが望ましいが、中央位置からずれてもよい。
【0083】
上記のように構成された本例の圧力容器の密閉扉5によれば、薄板部材9が減圧荷重を受けたとき、図12に示すように、薄板部材9は、薄板部材9と梁部材10の筒壁部10aとの固定部分20を挟んで変形するが、減圧荷重を受けた薄板部材9による引っ張り荷重を受ける梁部材10の筒壁部10aに変形は生じないので、前記した薄板部材9と梁部材10の筒壁部10aとの固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形は対称(図12上、上下に対称。)となる。この結果、固定部分20を挟んで生じる応力は同じとなることから、固定部分20を挟んで生じる薄板部材9の変形が非対称である場合に比べ固定部分20に生じる応力が低減し、薄板部材9と梁部材10の筒壁部10aとの固定部分20の耐久性の向上が図れる。
【0084】
また、本例では薄板部材9と梁部材10とが溶接により固定されているので固定作業が容易であり、また薄板部材9のシール性を損ねるおそれがない。
【符号の説明】
【0085】
1 圧力容器
5 密閉扉
9 薄板部材
10 梁部材
10a,10b 壁部
14 突起部材
15 貫通穴
15a 大径穴部
15b 小径穴部
16 抜け止め部
17 ボルト部材
18 ナット部材
19 ワッシャ
20 固定部分
21 雌ネジ部材
22 頭部
23 雄ネジ部材
24 ネジ穴
25 柱部
26 頭部
27 ピン状体
28 柱状部材
29 棒部材
30 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する薄板部材の片面に多数の梁部材が前記薄板部材を横切る向きで隣接して並設されている圧力容器の密閉扉において、前記薄板部材に前記梁部材が中間部材を介すことなく固定されて取り付けられていることを特徴とする圧力容器の密閉扉。
【請求項2】
前記薄板部材の片面に突起部材が固定され、また、前記梁部材には前記突起部材が貫通する貫通穴が設けられており、前記貫通穴に前記突起部材を貫通させた前記梁部材が前記突起部材の先端側に備えた抜け止め部で抜け止めされることにより前記薄板部材に前記梁部材が固定されて取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項3】
前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材がボルト部材であり、前記抜け止め部がナット部材であることを特徴とする請求項2に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項4】
前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材が雌ネジ部材であり、前記抜け止め部が前記貫通穴より大径の頭部を有する雄ネジ部材であることを特徴とする請求項2に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項5】
前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材及び前記突起部材の先端側に備えた抜け止め部は、小径の柱部と大径の頭部を一体としたピン状体で構成され、また、前記梁部材に設けた貫通穴は、前記大径の頭部が通過する大径穴部と小径の柱部の嵌合を可とし大径の頭部の通過を不可とする小径穴部とからなり、大径穴部を貫通したピン状体が小径穴部にスライド可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項6】
前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材が柱状部材であり、前記抜け止め部は棒部材であり、この棒部材は前記柱状部材に設けられた挿入孔に挿入されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項7】
前記薄板部材の片面に固定されている前記突起部材は、前記薄板部材に溶接により固定されていることを特徴とする請求項2,3,4,5または6に記載の圧力容器の密閉扉。
【請求項8】
前記薄板部材と前記梁部材が溶接により固定されて前記薄板部材に前記梁部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器の密閉扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−12734(P2011−12734A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156553(P2009−156553)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】