説明

圧力調整システム

【課題】圧力調整システム内に防食電流が流れるのを阻止できる技術を実現する。
【解決手段】パイロット弁4は、バネ荷重の調整により駆動圧を変更設定自在な圧力設定バネG2を有するとともに、従動回転軸の回転により圧力設定バネG2の伸縮方向に位置決めされてバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジを有するパイロット圧調整機構Sを備えて構成される圧力調整システムであって、従動回転軸に連結された連結状態で、従動回転軸の回転位置を調整可能な駆動回転軸を調整装置100に備え、従動回転軸と駆動回転軸とが連結された連結状態で、従動回転軸と駆動回転軸との間を電気的に絶縁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の内部に形成された流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、前記二次側圧力を設定圧力に調整する駆動圧を前記圧力制御弁に供給するパイロット弁と、前記パイロット弁に備えられ、前記パイロット弁から前記圧力制御弁への前記駆動圧を調整するパイロット圧調整機構を外部より調整する調整装置とから構成され、前記パイロット弁は、バネ荷重の調整により前記駆動圧を変更設定自在な圧力設定バネを有するとともに、従動回転軸の回転により前記圧力設定バネの伸縮方向に位置決めされてバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジを有するパイロット圧調整機構を備えて構成される圧力調整システムに関する。
【0002】
上記のような圧力制御弁、パイロット弁及び調整装置から構成される圧力調整システムは、例えば、都市ガスを各需要家に供給するガス導管等の流体流路に設けられて、二次側圧力を所望の設定圧力に調整するものである。そして、ガス導管を通して各需要家に都市ガスを供給する場合、負荷が変動しても各需要家に供給される都市ガスの圧力が所望の範囲内になるように、負荷に応じて設定圧力を変更設定することが求められている(特許文献1を参照)。そして、当該パイロット弁には、パイロット弁から圧力制御弁への駆動圧を調整するためのパイロット圧調整機構が設けられており、当該パイロット圧調整機構を調整装置により外部より調整する。
【0003】
従来、調整装置とパイロット弁との接続は、導電体からなる部材により接続されているため、調整装置とパイロット弁、さらには、圧力制御弁は電気的に接続された状態にあった。
流体を通流する流体流路を形成する配管には、通常、腐食を防止するため防食電流が通流される。このような防食電流は、例えば、防食用の電源から土壌内に設置した対極に供給され、対極、配管まわりの土壌を介して配管内に流入する。そして、配管内を流れ、配管の特定部位から電源に戻される。従って、一般的には、地中に埋設された配管(以下、地中配管と略称)内に電流は流れるが、このような地中配管とは電気的な絶縁状態にある地上に露出した配管(以下、露出配管と略称)を流れることはない。
上記のような圧力制御弁、パイロット弁及び調整装置から構成される圧力調整システムは、埋設状態にある配管に連結されるのではなく、埋設状態にない配管露出部に連結されるため、圧力配管システム内を防食電流が流れることはない。
【0004】
【特許文献1】特許4218850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記のような地中配管と配管露出部との間に設けられる絶縁部の絶縁が破れることがある。例えば、絶縁部に絶縁接続フランジを設けて、地中配管と露出配管との絶縁を図っている場合、そのフランジに塵埃等が堆積すると当該部位の絶縁が破れることがあり、地中配管と露出配管とは電気的に接続した状態となる。
一方、上記の圧力調整システムを構成する調整装置には、この調整装置の内部にモータ等の電気機器が備えられるため、この調整装置は地面にアースされている。
従って、上記のような絶縁の破壊が発生すると、地中配管、露出配管、圧力調整システムを介してアース線に防食電流が流れ、十分な防食電位を保てず、問題となる。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記のように、不測に、防食電流が流れている配管(地中配管)に対する絶縁が破れることがある露出配管に連結される圧力調整システムに関して、そのシステム内を防食電流が流れるのを阻止できる技術を得ることにある。また、誘導雷等により調整装置に過剰な電流が流れることも阻止できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の圧力調整システムは、配管の内部に形成された流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、前記二次側圧力を設定圧力に調整する駆動圧を前記圧力制御弁に供給するパイロット弁と、前記パイロット弁に備えられ、前記パイロット弁から前記圧力制御弁への前記駆動圧を調整するパイロット圧調整機構を外部より調整する調整装置とから構成され、前記パイロット弁は、バネ荷重の調整により前記駆動圧を変更設定自在な圧力設定バネを有するとともに、従動回転軸の回転により前記圧力設定バネの伸縮方向に位置決めされてバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジを有するパイロット圧調整機構を備えて構成される圧力調整システムであって、
前記従動回転軸に連結された連結状態で、前記従動回転軸の回転位置を調整可能な駆動回転軸を前記調整装置に備え、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とが連結された連結状態で、前記従動回転軸と前記駆動回転軸との間を電気的に絶縁する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、パイロット弁のパイロット圧調整機構に備えられる従動回転軸を、調整装置に備えられる駆動回転軸が、その回転駆動により回転位置を調整することで、駆動圧を調整して、流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整することができる。そして、このような状態において、パイロット弁と調整装置との間、具体的にはパイロット弁側の従動回転軸と調整装置側の駆動回転軸との間が第1絶縁部により電気的に絶縁されているため、例えば、電気防食が施された地中配管と露出配管との間で絶縁が破れ、地中配管と露出配管とが同一の電位となり、露出配管、圧力制御弁、パイロット弁の従動回転軸、調整装置の駆動回転軸を介して、防食電流が流れる可能性が発生しても、第1絶縁部の介在で、防食電流が流れるのを阻止できる。
【0009】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記パイロット弁と前記調整装置との連結に際して、前記パイロット弁に備えられるパイロット弁側連結部材と、前記調整装置に備えられ且つ前記パイロット弁側連結部材に連結される調整装置側連結部材とを備え、
前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材とが連結された連結状態で、
前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材との間を、電気的に絶縁する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、パイロット弁に備えられるパイロット弁側連結部材と、調整装置に備えられる調整装置側連結部材とを連結することで、パイロット弁及び調整装置を一体化できる。この状態では、パイロット弁側の従動回転軸と調整装置側の駆動回転軸との間の連結は、両者の芯が良好に出た状態で実現できる。このとき、パイロット弁側連結部材と調整装置側連結部材との間が、第2絶縁部により電気的に絶縁されているので、パイロット弁と調整装置との絶縁状態を維持できる。
この結果、パイロット弁の従動回転軸と調整装置の駆動回転軸とを、互いに位置決めしながらも、例えば、電気防食が施された地中配管と露出配管との間で絶縁が破れ、地中配管と露出配管とが同一の電位となり、露出配管、圧力制御弁、パイロット弁、パイロット弁側連結部材、調整装置側連結部材、調整装置、アース線を介して、防食電流が流れる可能性が発生しても、第2絶縁部の介在で、防食電流が流れるのを阻止できる。
【0011】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とを連結する第1連結機構を備え、
前記第1連結機構に、前記従動回転軸に外嵌固定される第1外嵌固定部材と、前記駆動回転軸に外嵌固定される第2外嵌固定部材とを備え、
前記第1外嵌固定部材と、前記第2外嵌固定部材との間に、前記従動回転軸及び前記駆動回転軸に直交する平面に沿う第1方向に摺動自在な第1摺動支持部材、前記平面において前記第1方向に直交する第2方向に摺動自在な第2摺動支持部材とを備え、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とが、芯ズレが許容される状態で一体回転自在に連結される構成とされている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、パイロット弁の従動回転軸と調整装置の駆動回転軸とを連結する第1連結機構を設けることにより、従動回転軸、第1外嵌固定部材、第2外嵌固定部材、駆動回転軸の順に連結され、さらに、第1外嵌固定部材と第2外嵌固定部材との間に、従動回転軸及び駆動回転軸に直交する平面に沿う第1方向に摺動自在な第1摺動支持部材、平面において前記第1方向に直交する第2方向に摺動自在な第2摺動支持部材とを備えることで、所謂、オルダム継手の原理に基づいて、第1外嵌固定部材と第2外嵌固定部材を介して、従動回転軸と駆動回転軸とが、芯ズレが許容される状態で一体回転自在とできる。結果、従動回転軸と駆動回転軸との間において少々の芯ズレが発生しても、その芯ズレを吸収して、駆動圧の設定に必要となる回転駆動力を伝達できる。
また、従動回転軸と駆動回転軸とを直接芯出しして連結する必要がないため、パイロット弁に対する調整装置の組み付けを簡易なものとできる。
【0013】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記第1摺動支持部材及び前記第2摺動支持部材の何れか一方又はそれらの両方が絶縁材料により構成され、前記第1絶縁部が当該絶縁材料よりなる部材により構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、前記第1摺動支持部材及び前記第2摺動支持部材の何れか一方又はそれらの両方を、第1絶縁部とすることが可能であり、従動回転軸或は駆動回転軸に事後的に装着する部材を利用して、有用な絶縁構造を得ることができる。
尚、この構成を採用する場合、絶縁材料は、駆動回転軸の回転駆動に伴う力に耐え得る強度にするため、金属やカーボン等を含み強度を高めた絶縁性樹脂から成る絶縁材料により構成することがある。
【0015】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とを連結する第1連結機構を備え、
前記第1連結機構に、前記従動回転軸に外嵌固定される第1外嵌固定部材と、前記駆動回転軸に外嵌固定される第2外嵌固定部材とを備え、
前記第1外嵌固定部材又は前記第2外嵌固定部材に連結する手動回転操作部材を備え、
前記第1連結機構による前記従動回転軸と前記駆動回転軸との連結を解除した状態で、前記手動回転操作部材の回転操作により前記従動回転軸を回転可能に構成され、
前記手動回転操作部材が絶縁材料により構成され、前記第1絶縁部が当該手動回転操作部材により構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、パイロット弁の従動回転軸と調整装置の駆動回転軸とを連結する第1連結機構を設けることにより、従動回転軸、第1外嵌固定部材、第2外嵌固定部材駆動回転軸の順に連結できる。
さらに、前記第1外嵌固定部材又は第2外嵌固定部材に連結可能な手動回転操作部材を備えることで、第1連結機構により従動回転軸と駆動回転軸との連結を解除した状態で、手動回転操作部材の回転操作により、従動回転軸を回転できる。また、パイロット弁に対する調整装置の組み付けを簡易なものとできる。
【0017】
さらに、先に説明した従動回転軸と駆動回転軸との間の芯ズレを許容して両者を接続する場合、第1連結機構の第1摺動支持部材或は第2摺動支持部材を、金属やカーボン等を含み強度を高めた絶縁性樹脂から成る絶縁材料により構成することがある。しかしながら、金属やカーボン等を含む絶縁性樹脂から成る絶縁材料は、絶縁性樹脂のみからなる絶縁材料に比べて、導電性が高くなり、十分な絶縁機能が発揮できない虞がある。
そこで、パイロット弁の従動回転軸を手動操作により回転操作する手動回転操作部材をも、絶縁材料により構成することができる。これにより、例え、第1摺動支持部材、第2摺動支持部材が、それを構成する絶縁材料に含まれる金属やカーボン等により、その導電性が高くなり、十分な絶縁機能を発揮できない場合であっても、手動回転操作部材を絶縁材料により構成する形態で、パイロット弁の従動回転軸と調整装置の駆動回転軸との間で、より確実な絶縁状態を維持できる。
【0018】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記第2外嵌固定部材は、前記駆動回転軸に対して前記第2外嵌固定部材を外嵌固定する又は外嵌固定を解除する操作部を備えている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、第2外嵌固定部材に操作部を備えるため、調整装置に備えられる駆動回転軸への外嵌固定又は外嵌固定の解除を、操作部の操作という比較的簡単な操作により実現できる。
【0020】
本発明の圧力調整システムの更なる特徴構成は、
前記第2絶縁部は、前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材との間にて、前記駆動回転軸と前記従動回転軸とが連結する連結方向に沿って延びると共に、前記駆動回転軸及び前記従動回転軸周りに分散配置されて、前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材とを連結する連結支持部材と、
前記パイロット弁側連結部材又は前記調整装置側連結部材と前記連結支持部材との間を絶縁する絶縁部材とから構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、駆動回転軸と従動回転軸とが連結する連結方向に沿って延びると共に、駆動回転軸と従動回転軸との周りに分散配置される連結支持部材が、パイロット弁側連結部材と調整装置側連結部材とを連結するので、パイロット弁側連結部材と調整装置側連結部材とを、駆動回転軸と従動回転軸周りで、適切に位置決め連結・固定できる。
また、この連結・固定状態で、パイロット弁側連結部材と調整装置側連結部材との間は絶縁されるので、例えば、電気防食が施された地中配管と露出配管との絶縁が破れて、地中配管と露出配管とが同一の電位となり、露出配管、圧力制御弁、パイロット弁、パイロット弁側連結部材、調整装置側連結部材、調整装置、アース線を介して、防食電流が流れる可能性が発生しても、第2絶縁部の介在で、防食電流が流れるのを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】調整装置を含む圧力調整システムの概略構成図である。
【図2】調整装置とパイロット弁とが連結された状態を示す斜視図である。
【図3】調整装置とパイロット弁とが連結された状態を示す縦断面図である。
【図4】第1連結機構の分解斜視図である。
【図5】第1・第2絶縁部の側方図及び一部縦断面図である。
【図6】第1連結機構及び調整装置の縦断面図である。
【図7】第1連結機構及び調整装置の縦断面図である。
【図8】調整装置の内部構造の斜視図である。
【図9】クラッチ機構の分解斜視図である。
【図10】クラッチ機構の分解縦断面図である。
【図11】クラッチ機構(手動操作レバー揺動前)の縦断面図である。
【図12】クラッチ機構(手動操作レバー揺動前)の縦断面図である。
【図13】クラッチ機構(手動操作レバー揺動後)の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る圧力調整システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の圧力調整システムは、図1、2に示すように、配管51の内部に形成された流体流路1の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁2と、前記二次側圧力を設定圧力に調整する駆動圧を圧力制御弁2に供給するパイロット弁4とを備え、当該パイロット弁4に備えられ、パイロット弁4から圧力制御弁2への駆動圧を調整するパイロット圧調整機構Sを外部より調整する調整装置100を備えて構成されている。
【0024】
ここで、図示は省略するが、例えば、流体流路1の圧力制御弁2よりも下流側を複数の分岐路に分岐して、それら複数の分岐路の夫々を各需要家に接続することにより、複数の需要家に天然ガス等の流体を供給するように構成されている。そして、圧力制御弁2により、それよりも下流側の二次側圧力を上流側の一次側圧力よりも定圧の設定圧力に調整することができる。
【0025】
圧力制御弁2は、図1に示す様に、第1ダイヤフラムD1を備えており、その内部空間が第1ダイヤフラムD1にて第1室H1と第2室H2とに区画されている。そして、圧力制御弁2は、流体流路1を開閉する第1弁体B1を備えており、この第1弁体B1は第1ダイヤフラムD1にて開閉される構成となっている。また、第1室H1には、第1ダイヤフラムD1を第1弁体B1の閉弁方向側に押圧付勢する第1付勢バネG1が配設されている。
【0026】
パイロット弁4は、図3に示す様に、第2ダイヤフラムD2と第3ダイヤフラムD3とを備えており、第2ダイヤフラムD2及び第3ダイヤフラムD3にて、その内部空間が第3室H3と第4室H4と第5室H5に区画されている。第3室H3は、第1の二次側圧力導入路5により流体流路1の二次側(圧力制御弁2よりも下流側)に連通接続されているとともに、第2の二次側圧力導入路6により圧力制御弁2の第1室H1に連通接続されている。第4室H4は、一次側圧力導入路7により流体流路1の一次側(圧力制御弁2よりも上流側)に連通接続されているとともに、パイロット圧導入路8により圧力制御弁2の第2室H2に連通接続されている。また、第5室H5には、第3ダイヤフラムD3を介して第4ダイヤフラムD4を、第3室H3側に押圧付勢する第2付勢バネG2(圧力設定バネの一例)が配設されている。
【0027】
一次側圧力導入路7の先端部には、第2弁体B2が設けられており、この第2弁体B2は第2ダイヤフラムD2により開閉される構成となっている。つまり、第2ダイヤフラムD2が第3室H3側に変位することにより第2弁体B2が開弁して、一次側圧力導入路7を通して流体流路1の一次側の流体が第4室H4に導入される。一方、第2ダイヤフラムD2が第4室H4側に変位することにより第2弁体B2が閉弁して、第4室H4への一次側の流体の導入が停止される。
【0028】
二次側圧力を設定圧力に調整するときの動作について、図1、図3に基づいて、説明する。
流体流路1の二次側圧力が設定圧力よりも低下すると、第1の二次側圧力導入路5にて流体流路1の二次側に連通接続されたパイロット弁4の第3室H3の圧力が低下し、第2付勢バネG2の付勢力により第2ダイヤフラムD2が第3室H3側に変位する。これにより、パイロット弁4の第2弁体B2が開き側に動作され、一次側圧力導入路7を通して第4室H4に流体流路1の一次側圧力が導入されて、第4室H4の圧力が上昇する。そして、その圧力上昇した第4室H4の圧力がパイロット圧導入路8を通して圧力制御弁2の第2室H2に駆動圧として供給されて、第2室H2の圧力も上昇し、第1室H1と第2室H2との圧力差により第1ダイヤフラムD1が第1室H1側に変位する。よって、圧力制御弁2の第1弁体B1が開き側に動作され、流体流路1の二次側圧力を上昇させて二次側圧力を設定圧力に調整する。
【0029】
一方、二次側圧力が設定圧力よりも上昇すると、パイロット弁4の第3室H3の圧力が上昇し、第2付勢バネG2の付勢力に抵抗して第2ダイヤフラムD2が第4室H4側に変位する。これにより、パイロット弁4の第2弁体B2が閉じ側に動作され、第4室H4への流体供給源がなくなる。すると第2室H2の流体は、オリフィス72、第2の二次側圧力導入路6、第3室H3、及び第1の二次側圧力導入路5を介して二次側に排出され、第2室H2の圧力は低下し、第1室H1と第2室H2との圧力差により第1ダイヤフラムD1が第2室H2側に変位する。よって、圧力制御弁2の第1弁体B1が閉じ側に動作され、流体流路1の二次側圧力を低下させて二次側圧力を設定圧力に調整する。
【0030】
圧力制御弁2の設定圧力は、常時、一定の圧力にするのではなく、パイロット弁4及び調整装置100を備えることで、負荷等に応じて変更する目標設定圧力設定圧力を調整している。例えば、流体流路1では、多くの需要が見込まれる時間帯には負荷が大きくなるので、パイロット弁4及び調整装置100は、設定圧力を高圧の目標設定圧力に調整し、それ以外の時間帯には負荷が小さくなるので、設定圧力を低圧の目標設定圧力に調整している。
【0031】
上述の如く、パイロット弁4において第2付勢バネG2の付勢力と第1の二次側圧力導入路5を通して供給される二次側圧力との大小関係に応じた駆動圧が、パイロット弁4から圧力制御弁2に供給されて、圧力制御弁2により二次側圧力が設定圧力に調整されている。そこで、パイロット弁4及び調整装置100は、圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するのであるが、具体的には、この第2付勢バネG2のバネ荷重を調整することで、圧力制御弁2の設定圧力を変更設定自在に構成されている。
【0032】
パイロット弁4は、図3に示す様に、パイロット弁4を形成するパイロット弁形成部14の内部にパイロット圧調整機構Sを配設して構成されている。
パイロット弁2の第2付勢バネG2(圧力設定バネの一例)は、パイロット弁4の第5室H5に配設されており、その上端部が第3ダイヤフラムD3に当接され、その下端部がバネ受け部13に当接されている。そして、パイロット弁形成部14のうち第4室H4を形成する下方側部位には、その内壁部に第1ネジ部N1が形成されており、バネ受け部13は、その外部に形成された第2ネジ部N2とパイロット弁形成部14に形成された第1ネジ部N1とが螺合する状態で設けられている。このように、バネ受け部13の第2ネジ部N2とパイロット弁形成部14の第1ネジ部N1とが、互いに螺合することにより圧力調整ネジとして機能する。そして、パイロット弁4の第5室H5には、バネ受け部13を上下方向に貫通状態で第1回転軸J1(従動回転軸の一例)が配設されており、この第1回転軸J1が回転することで、第1回転軸J1とバネ受け部13が一体的に回転し、バネ受け部13が上下動するように構成されている。このように、第1回転軸J1とばね受け部13との一体回転によりバネ受け部13が上下動して、第2付勢バネG2に加えるバネ荷重を調整自在なパイロット圧調整機構Sを構成している。また、第1回転軸J1は、小径の下端側部位がパイロット弁形成部14を貫通して下方側に突出する状態で配設されている。
【0033】
調整装置100は、図3〜7に示す様に、上述の第2付勢バネG2に加えるバネ荷重を調整自在なパイロット圧調整機構Sの第1回転軸J1(従動回転軸の一例)に連結される第2回転軸J2(駆動回転軸の一例)と、当該第2回転軸J2を回転駆動させる駆動装置11と、当該駆動装置11の作動を制御して設定圧力を変更設定する制御部(図示せず)と、第2回転軸J2、駆動装置11、及び制御部(図示せず)を内部に収納する収納部15等から成る。
第2回転軸J2は、その上端側部位が収納部15から上方側に突出する状態で配設されている。そして、第1回転軸J1の下端側部位と第2回転軸J2の上端側部位とを第1連結機構16にて連結することで、第1回転軸J1と第2回転軸J2とが一体的に回転自在に構成されている。これにより、駆動装置11にて第2回転軸J2を回転駆動することで、第2回転軸J2及び第1回転軸J1を一体的に回転させてバネ受け部13を上下動させ、第2付勢バネG2に加えるバネ荷重を調整する。そして、第2回転軸J2と当該第2回転軸J2を回転駆動する駆動装置11とが、駆動手段Uとして機能する。
【0034】
〔第1連結機構及び第1絶縁部〕
第1連結機構16は、図3〜7に示すように、上方側から、第1回転軸J1の下端側部位に外嵌固定される第1外嵌固定部材17と、第1回転軸J1と直交する平面に沿う第1方向(図4で矢印X1に沿う方向)に第1外嵌固定部材17を摺動自在に支持する第1摺動支持部材18と、第1摺動支持部材18を平面において第1方向に直交する第2方向(図4中で矢印X2に沿う方向)に摺動自在に支持する第2摺動支持部材19と、第1回転軸J1を手動操作するときに用いる手動回転操作部材20と、第2回転軸J2の上端側部位に外嵌固定される第2外嵌固定部材21とを備えて構成されている。
【0035】
上記第1摺動支持部材18及び第2摺動支持部材19の何れか一方又は両方(第1絶縁部の一例)は、第1外嵌固定部材17と第2摺動支持部材19とを電気的に絶縁状態とするために絶縁材料により構成されている。当該第1摺動支持部材18及び第2摺動支持部材19は、駆動装置11が第2回転軸J2を回転駆動する力が、第1回転軸J1に伝達する部分に設けられるため、比較的高い強度が要求される。そこで、第1摺動支持部材18及び第2摺動支持部材19に適用される絶縁材料は、その強度を高めるべく、金属やカーボン等を絶縁性樹脂に含ませたものであることがある。
【0036】
第1外嵌固定部材17は、図4に示す様に、その上方側部位が第1回転軸J1の下端側部位に外嵌自在なC状に形成されている。そして、その第1外嵌固定部材17の上方側部位に第1回転軸J1の下端側部位を嵌め込んだ状態でボルト等の締結具Tにて締め付けることで、第1外嵌固定部材17を縮径して第1回転軸J1の下端側部位に第1外嵌固定部材17を外嵌固定する。第1外嵌固定部材17の下方側部位には、第1回転軸J1と直交する平面に沿う第1方向に沿って延設された凸部17aが形成されており、第1摺動支持部材18の上方側部位には、第1方向に沿って伸びる第1溝部18aが形成されている。よって、第1溝部18aに第1外嵌固定部材17の凸部17aを嵌合することで、第1支持部材18が第1外嵌固定部材17を第1方向に摺動自在に支持する。手動回転操作部材20は、上記平面に沿うように配設された板状体にて構成されており、その上面の中央部位に、上記平面にて上記第1方向に直交する第2方向に沿って伸びる溝部20aが形成されている。第2摺動支持部材19は、手動回転操作部材20の溝部20aに嵌合自在な棒状に形成されている。手動回転操作部材20の溝部20aの深さは、第2摺動支持部材19の高さよりも浅く形成されており、第2摺動支持部材19は溝部20aに嵌合した状態で手動回転操作部材20から上方側に突出する。第2摺動支持部材19は、溝部20aに嵌合した状態でボルト等の締結具Tにより手動回転操作部材20に固定される。第1摺動支持部材18の下方側部位には、上記第2方向に沿って延びる第2溝部18bが形成されており、この第2溝部18bに第2摺動支持部材19を嵌合することで、第2摺動支持部材19が第1摺動支持部材18を上記第2方向に摺動自在に支持する。第2外嵌固定部材21は、第2回転軸J2の上端側部位に外嵌自在なC状に形成されており、ボルト等の締結具Tにより手動回転操作部材20に固定される。第2外嵌固定部材21には、回転軸心P周りで揺動操作自在な揺動レバー21a(操作部の一例)が備えられており、その揺動レバー21aを揺動操作することで、第2外嵌固定部材21を縮径又は拡径自在に構成されている。これにより、作業者が揺動レバー21aを人為的に揺動操作することで、第2回転軸J2の上端側部位に対して第2外嵌固定部材21を外嵌固定する又はその外嵌固定を解除する。上記構成は、組み付け時だけでなく、校正時(回転角度位置合わせ)の操作を容易にする。即ち、上記構成によれば、第1回転軸J1の軸方向(図4で矢印Z方向)で、手動回転操作部材20が、揺動操作レバー21aを有する第2外嵌固定部材21よりも第1回転軸J1側に設けられている。これにより、揺動レバー21aを揺動操作という簡単な操作にて、手動回転操作部材20を第1回転軸J1に固定された状態で、第1回転軸J1と第2回転軸J2との連結を解除して、手動回転操作部材20の回転操作により、第1回転軸J1を回転操作して、適切に校正(回転角度位置合わせ)を行うことができる。
このように、第1外嵌固定部材17、第1摺動支持部材18、第2摺動支持部材19、手動回転操作部材20、及び第2外嵌固定部材21とが、第1回転軸J1の軸心と第2回転軸J2の軸心との芯ズレを許容した状態で、第1回転軸J1と第2回転軸J2とを、連結する第1連結機構16として機能する。
【0037】
パイロット弁4と調整装置100との位置決めは、パイロット弁4の下端近傍に装着されるパイロット弁側連結部材K1と、調整装置100の上端近傍に装着される調整装置側連結部材K2とについて、前記調整装置側連結部材K2により前記パイロット弁側連結部材K1を支持することにより実現される。具体的には、パイロット弁側連結部材K1と調整装置側連結部材K2との間には連結支持部材22が設けられ、当該連結支持部材22が、パイロット弁側連結部材K1と調整装置側連結部材K2とを連結する形態で、パイロット弁4と調整装置100とが位置決めされている。
【0038】
さらに、パイロット弁4と調整装置100との間の絶縁状態を確保するために、前記第1絶縁部に対して対となる、パイロット弁側連結部材K1と調整装置側連結部材K2との間を電気的に絶縁する第2絶縁部が設けられている。
具体的には、当該第2絶縁部は、パイロット弁側連結部材K1と調整装置側連結部材K2との間にて、第1回転軸J1と第2回転軸J2とが連結する連結方向(図4で矢印Zに沿う方向)に沿って延びると共に、第1回転軸J1と第2回転軸J2との軸心を中心として、軸心と直交する方向で分散配置されている状態で、パイロット弁側連結部材K1と調整装置側連結部材K2とを連結する連結支持部材22と、当該連結支持部材22とパイロット弁側連結部材K1又は調整装置側連結部材K2との間を絶縁する絶縁部材54とから構成されている。
本実施形態においては、連結支持部材22は、第1回転軸J1及び第2回転軸J2の軸心を中心として配置された複数の円柱状の棒状部材(本実施形態では、図4に示す様に4つ)より成る。当該棒状部材は、ボルト等の締結具Tがワッシャー70を介してパイロット弁側連結部材K1及び調整装置側連結部材K2と締結する状態で、パイロット弁側連結部材K1及び調整装置側連結部材K2を連結している。そして、絶縁部材54は、連結支持部材22の調整装置側連結部材K2側の端部を覆うキャップ状部材71と、締結具Tと調整装置側連結部材K2との間に設けられたワッシャー70とから成り、当該キャップ状部材71とワッシャー70とは、絶縁材料により構成してある。
【0039】
〔パイロット弁及び調整装置の設置環境〕
ここで、図1に示す様に、圧力制御弁2及びパイロット弁4が適用される配管51は、その防食を防止するため、防食電流が通流される場合がある。当該配管51には、詳しくは、防食電流を通流している部位(以下、地中配管52と略称)と、防食電流を通流していない部位(以下、露出配管53と略称)とが、絶縁部位55を介して設けられている。そして、パイロット弁4は、露出配管53に電気的に接続された状態で設けられる。一方、パイロット弁4のパイロット圧調整機構Sに連結され、パイロット圧調整機構Sの位置を連結状態で位置決めする駆動手段Uを有する調整装置100が、接地部位57にて地面56に接地された状態で設けられる。
このような状態において、本願が対象とするような配管51の内、電源60より地中に配設された対極61に電流を流し、地中より地中配管52に電流を流入させて電気防食処理を施している地中配管52と露出配管53との間に設けられた絶縁部位55に塵埃等が付着して、地中配管52と露出配管53とが導通状態となれば、露出配管53は圧力調整弁2、パイロット弁4、調整装置100、及び調整装置100の接地部位57まで導通しているため、地中配管52は必要な電位を保てない。
このような環境においても、本発明の圧力調整システムによれば、パイロット弁4と調整装置100との間を、第1絶縁部及び第2絶縁部により電気的に絶縁しているので、防食電位を保つことができる。
【0040】
〔クラッチ機構〕
圧力設定部2には、図8〜図13に示すように、駆動装置11が第2回転軸J2(駆動回転軸の一例)を回転駆動して、当該第2回転軸J2に連結される第1回転軸J1(従動回転軸の一例)を回転駆動する自動操作状態と、第1回転軸J1を手動回転操作部材20にて手動操作可能とする手動操作状態とに切換自在なクラッチ機構30が備えられている。ここで、図8は、調整装置100とクラッチ機構30との関係を示す斜視図であり、図9は、クラッチ機構30の各部材を分解したときの分解斜視図を示しており、図10は、クラッチ機構30の断面図を示している。そして、図11は、クラッチ機構30を自動操作状態に切り換えている状態を示しており、図12は、クラッチ機構30を自動操作状態から手動操作状態に切り換える過程の状態を示しており、図13は、クラッチ機構30を手動操作状態に切り換えている状態を示している。
【0041】
そして、圧力制御弁2の設定圧力を目標設定圧力に変更設定するに当たり、制御部により駆動装置11の作動を制御して第1回転軸J1及び第2回転軸J2を自動的に回転させる場合には、クラッチ機構30を自動操作状態に切り換え、手動回転操作部材20の手動操作により第1回転軸J1及び第2回転軸J2を回転させる場合には、クラッチ機構30を手動操作状態に切り換えている。
【0042】
クラッチ機構30は、図9、11、及び13に示す様に、第1位置(図11参照)と第2位置(図13参照)とに亘って上下軸周りで揺動操作自在な手動操作レバー31と、第2回転軸J2の第1ギアF1に噛み合わせる噛合位置(図11参照)と第2回転軸J2の第1ギアF1から離間させて噛み合いを解除する噛合解除位置(図13参照)とに駆動装置11の駆動ギア24を位置変更自在な板状の第1板状体Q1と、第1位置と第2位置との手動操作レバー31の揺動操作により噛合位置と噛合解除位置とに第1板状体Q1を位置変更させるように手動操作レバー31の動作と第1板状体Q1の動作とを連係させる連係機構32と、第1板状体Q1を噛合位置及び噛合解除位置の夫々において位置保持するロック機構33とを備えている。
【0043】
手動操作レバー31は、図9に示す様に、その一端部位が円筒状の支持部34の上面部から上方側に突出する回転体46に嵌め込まれており、その一端部位を支点として上下軸心周りに第1位置(図11参照)と第2位置(図13参照)とに亘って揺動自在な棒状体40にて構成されている。図9及び図10に示すように、支持部34の外周部には円板状の第2板状体Q2が外嵌されており、その第2板状体Q2の上面には、起立壁部35が備えられている。そして、この起立壁部35は、第2板状体Q2の外形形状に沿って延びるように、平面視で円弧状に形成されており、手動操作レバー31の下面部に形成された第1凹部R1に起立壁部35が嵌合されている。これにより、手動操作レバー31は、第1凹部R1と起立壁部35との嵌合により起立壁部35に案内されながら、第1位置と第2位置とに亘って揺動操作自在に構成されている。
【0044】
第1板状体Q1は、平面視においてその中央部位が両端部位よりも突出する凸状の板状体にて構成されており、その一端部位を支点として上下軸心周りに揺動自在に設けられている。第1板状体Q1の中央部位には、その下方側に駆動装置11が取り付けられている。駆動装置11から上方側に延設された第2回転軸J2は、第1板状体Q1を上下方向に貫通しており、その出力軸としての第2回転軸J2に設けられた駆動ギア24は、第1板状体Q1よりも上方側に配設されている。これにより、第1板状体Q1が、その一端部位を支点として上下軸心周りに揺動することで、第1板状体Q1と駆動装置11と駆動ギア24とが一体的に移動自在に構成されている。噛合位置(図11参照)と噛合解除位置(図13参照)とは、第1ギアF1の径方向において間隔を隔てて離間する位置として設定されており、噛合位置の第1板状体Q1を第1ギアF1から離れる側に揺動することにより第1板状体Q1が噛合解除位置に位置変更され、噛合解除位置の第1板状体Q1を第1ギアF1に近づける側に揺動することにより第1板状体Q1が噛合位置に位置変更される。また、噛合位置と噛合解除位置とのうち噛合位置側に第1板状体Q1を復帰付勢する圧縮バネ等の第1弾性体C1が設けられており、この第1弾性体C1の一端部が第1板状体Q1の揺動支点となる一端部位とは逆の他端部位に接続されている。
【0045】
連係機構32は、図10、11、13に示す様に、手動操作レバー31と一体的に移動自在な係合ピン43と、第1板状体Q1の他端部位に形成された長孔状の係合溝44とを備えており、係合ピン43を係合溝44に係合させることで、手動操作レバー31の動作と第1板状体Q1の動作とを連係させている。手動操作レバー31を支持する支持部34の内部には、上下軸心周りで回転自在に支持された回転体46が配設されており、その回転体46は、ボルト等の締結具Tにより手動操作レバー31に締結されている。よって、手動操作レバー31を揺動操作すると、その揺動操作に伴って回転体46が回転するように構成されている。回転体46の下端部には、下方側に延びるように係合ピン43が設けられており、この係合ピン43は、回転体46の回転軸心から偏心した位置に配設されている。これにより、手動操作レバー31が上下軸心周りで揺動操作されると、その揺動操作に伴い回転体46が回転して係合ピン43が回転体46の回転軸心周りで回転移動する。係合ピン43は、係合溝44に係合した状態で回転移動するので、係合溝44の側壁部位を押圧しながら移動することになり、その係合ピン43の押圧によって第1板状体Q1が上下軸心周りで揺動される。このようにして、連係機構32は、手動操作レバー31の動作と第1板状体Q1の動作とを連係しており、図11に示すように、手動操作レバー31が第1位置に揺動操作されると第1板状体Q1を噛合位置に位置変更させ、図13に示すように、手動操作レバー31が第2位置に揺動操作されると第1板状体Q1を噛合解除位置に位置変更させる。
【0046】
ロック機構33は、図10に示す様に、手動操作レバー31を第1位置及び第2位置の夫々において位置保持することで、第1板状体Q1を噛合位置及び噛合解除位置の夫々に位置保持するように構成されている。手動操作レバー31の内部には、図10に示すように、手動操作レバー31の外部に突出する側と内部に引退する側とに水平方向に沿って出退自在な円柱状の出退ボタン36が設けられており、この出退ボタン36を手動操作レバー31の外部に突出側に押圧付勢する圧縮バネ等の第2弾性体C2も、手動操作レバー31の内部に設けられている。出退ボタン36には、手動操作レバー31に設けられた第1凹部R1と同様に、第2凹部R2が設けられており、起立壁部35が第2凹部R2にも嵌合されている。そして、出退ボタン36の第2凹部R2には、図11、13に示す様に、水平方向に突出する円弧状の突起部37が形成されており、起立壁部35には、水平方向に凹入する円弧状の凹入溝部38が形成されており、凹入溝部38に突起部37が嵌合自在に構成されている。即ち、ロック機構33は、突起部37と凹入溝部38とから成り、凹入溝部38に突起部37が嵌合することで、手動操作レバー31の位置を位置保持する。ここで、図10(a)は、ロック機構33が手動操作レバー31の位置を位置保持している状態を示しており、図10(b)は、ロック機構33が手動操作レバー31の位置保持を解除している状態を示している。凹入溝部38は、手動操作レバー31の第1位置に相当する位置、及び、手動操作レバー31の第2位置に相当する位置の夫々に形成されている。
【0047】
これにより、手動操作レバー31が第1位置に位置するときに、突起部37が凹入溝部38に嵌合して手動操作レバー31が第1位置に位置保持され、手動操作レバー31が第2位置に位置するときにも、突起部37が凹入溝部38に嵌合して手動操作レバー31が第2位置に位置保持される。よって、第1位置又は第2位置に位置する手動操作レバー31を揺動操作するときには、まず、作業者が出退ボタン36を手動操作レバー31の内部に引退する側に押し操作することで、突起部37と凹入溝部38との嵌合を解除して手動操作レバー31の位置保持を解除した上で、手動操作レバー31を揺動操作する。
【0048】
上述の如く、クラッチ機構30は、手動操作レバー31を第1位置と第2位置とに揺動操作して第1板状体Q1を噛合位置と噛合解除位置とに位置変更させて、自動操作状態と手動操作状態とに切換自在に構成されている。ここで、圧力制御弁2の設定圧力の変更設定については、通常、制御部(図示せず)が駆動装置11の作動を制御することで自動的に行うので、図11に示すように、クラッチ機構30は自動操作状態に切り換えられている。そして、作業者による手動操作によって圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するときには、図12に示すように、作業者が出退ボタン36を手動操作レバー31の内部に引退する側に押し操作することで手動操作レバー31の位置保持を解除した上で、手動操作レバー31を揺動操作して、図13に示すように、クラッチ機構30を手動操作状態に切り換えている。
【0049】
そして、作業者による手動操作によって圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するために、第1連結機構16には、手動回転操作部材20が備えられており、作業者が手動操作により手動回転操作部材20を回転操作すると、その回転操作に伴って第1回転軸J1及び第2回転軸J2が回転されるように構成されている。これにより、クラッチ機構30を手動操作状態に切り換えた上で、作業者が手動回転操作部材20を回転操作することで、第1回転軸J1及び第2回転軸J2を回転させてバネ受け部13を上下動させ、第2付勢バネG2に加えるバネ荷重を調整して圧力制御弁2の設定圧力を変更設定する。このようにして、圧力設定部2は、作業者の手動操作により圧力制御弁2の設定圧力を変更設定自在に構成されている。
【0050】
〔別実施形態〕
(A)
上述の実施形態において、第1摺動支持部材18は、その強度を高めるべく、金属やカーボンを含む絶縁性樹脂から成る絶縁材料にて構成した。しかしながら、当該絶縁材料を金属やカーボンを含むものから構成する場合、絶縁材料の導電性が高くなることがあり、充分な絶縁機能を発揮できない場合がある。このため、例えば、第1摺動支持部材18に加え、手動回転操作部材20を絶縁材料にて構成してもよい。これより、パイロット弁4と調整装置100との間にて、より一層、確実に絶縁状態を確保できる。
【0051】
(B)
上記実施形態の第1連結機構16の第2外嵌固定部材21は、例えば、コレットチャック機構により、第2回転軸J2を外嵌固定するように構成しても構わない。当該コレットチャック機構は、手動回転操作部材20の第2回転軸J2側の面から突出するテーパ形状の複数のコレットと、周回に切欠が設けられたナット部材とから構成される。コレットチャック機構は、ナット部材がその内部に第2回転軸J2を位置する状態で、当該ナット部材がコレットに外嵌され締結されて縮径して、第2回転軸J2に外嵌固定される。
【0052】
(C)
上記実施形態において、操作部の一例として、第2外嵌固定部材21に回転軸心P周りで揺動操作自在な揺動レバー21aが備えられるものとした。当該操作部は、第2外嵌固定部材21に回転軸心P周りで回転操作自在な蝶ネジ等であっても、その機能を良好に発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の圧力調整システムは、不測に、防食電流が流れている配管(地中配管)に対する絶縁が破れることがある露出配管に連結される圧力調整システムに関して、そのシステム内を防食電流が流れるのを阻止できる技術として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 流体流路
2 圧力制御弁
4 パイロット弁
11 駆動装置
16 第1連結機構
17 第1外嵌固定部材
18 第1摺動支持部材
19 第2摺動支持部材
20 手動回転操作部材
21 第2外嵌固定部材
22 連結支持部材
51 配管
54 絶縁部材
G2 第2付勢バネ(圧力設定バネの一例)
J1 第1回転軸(従動回転軸の一例)
J2 第2回転軸(駆動回転軸の一例)
K1 パイロット弁側連結部材
K2 調整装置側連結部材
S パイロット圧調整機構
U 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の内部に形成された流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、前記二次側圧力を設定圧力に調整する駆動圧を前記圧力制御弁に供給するパイロット弁と、前記パイロット弁に備えられ、前記パイロット弁から前記圧力制御弁への前記駆動圧を調整するパイロット圧調整機構を外部より調整する調整装置とから構成され、前記パイロット弁は、バネ荷重の調整により前記駆動圧を変更設定自在な圧力設定バネを有するとともに、従動回転軸の回転により前記圧力設定バネの伸縮方向に位置決めされてバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジを有するパイロット圧調整機構を備えて構成される圧力調整システムであって、
前記従動回転軸に連結された連結状態で、前記従動回転軸の回転位置を調整可能な駆動回転軸を前記調整装置に備え、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とが連結された連結状態で、前記従動回転軸と前記駆動回転軸との間を電気的に絶縁する第1絶縁部を設けた圧力調整システム。
【請求項2】
前記パイロット弁と前記調整装置との連結に際して、前記パイロット弁に備えられるパイロット弁側連結部材と、前記調整装置に備えられ且つ前記パイロット弁側連結部材に連結される調整装置側連結部材とを備え、
前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材とが連結された連結状態で、
前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材との間を、電気的に絶縁する第2絶縁部を備えた請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項3】
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とを連結する第1連結機構を備え、
前記第1連結機構に、前記従動回転軸に外嵌固定される第1外嵌固定部材と、前記駆動回転軸に外嵌固定される第2外嵌固定部材とを備え、
前記第1外嵌固定部材と、前記第2外嵌固定部材との間に、前記従動回転軸及び前記駆動回転軸に直交する平面に沿う第1方向に摺動自在な第1摺動支持部材、前記平面において前記第1方向に直交する第2方向に摺動自在な第2摺動支持部材とを備え、
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とが、芯ズレが許容される状態で一体回転自在に連結される構成とされている請求項1又は2に記載の圧力調整システム。
【請求項4】
前記第1摺動支持部材及び前記第2摺動支持部材の何れか一方又はそれらの両方が絶縁材料により構成され、前記第1絶縁部が当該絶縁材料よりなる部材により構成されている請求項3に記載の圧力調整システム。
【請求項5】
前記従動回転軸と前記駆動回転軸とを連結する第1連結機構を備え、
前記第1連結機構に、前記従動回転軸に外嵌固定される第1外嵌固定部材と、前記駆動回転軸に外嵌固定される第2外嵌固定部材とを備え、
前記第1外嵌固定部材又は前記第2外嵌固定部材に連結する手動回転操作部材を備え、
前記第1連結機構による前記従動回転軸と前記駆動回転軸との連結を解除した状態で、前記手動回転操作部材の回転操作により前記従動回転軸を回転可能に構成され、
前記手動回転操作部材が絶縁材料により構成され、前記第1絶縁部が当該手動回転操作部材により構成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の圧力調整システム。
【請求項6】
前記第2外嵌固定部材は、前記駆動回転軸に対して前記第2外嵌固定部材を外嵌固定する又は外嵌固定を解除する操作部を備えている請求項3乃至5の何れか一項に記載の圧力調整システム。
【請求項7】
前記第2絶縁部は、前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材との間にて、前記駆動回転軸と前記従動回転軸とが連結する連結方向に沿って延びると共に、前記駆動回転軸及び前記従動回転軸周りに分散配置されて、前記パイロット弁側連結部材と前記調整装置側連結部材とを連結する連結支持部材と、
前記パイロット弁側連結部材又は前記調整装置側連結部材と前記連結支持部材との間を絶縁する絶縁部材とから構成されている請求項2に記載の圧力調整システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−215848(P2011−215848A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82976(P2010−82976)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】