説明

圧力負荷軽減手段を備えたコンポーネント供給ノズル

本発明は反応噴射装置の反応混合ヘッドと共に用いるためのコンポーネント供給ノズルであって、コンポーネント入口(18)とノズル状に構成されたコンポーネント出口(15)とを有するケーシング(12,13)と、該ケーシング(12,13)内で駆動装置(30)により少なくとも2つの位置の間で移動可能に受容された閉鎖体(16,17)とを有し、第1の位置にてコンポーネント出口(15)が閉鎖体(16,17)によって閉鎖されかつ第2の位置にてコンポーネント出口(15)が開放され、コンポーネント入口(18)とコンポーネント出口(15)との間に流動結合が形成される形式のものに関する。調節運動に際して反応力を克服するためには、少なくとも1つの第1の形式の面(A1,A3)と第2の形式の面(A2)とを有する閉鎖及び絞り機構(16,17)が設けられ、第1の形式の面(A1,A3)と第2の形式の面(A2)とがコンポーネント圧が作用した場合に反対方向の力を発生させ、第1の形式の面(A1,A3)と第2の形式の面(A3)の大きさが、反対方向の力がほぼ相殺されるように選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に上位概念として記載した、反応噴射装置の反応混合ヘッドにおいて使用するためのコンポーネント供給ノズルに関する。
【0002】
混合ヘッドの混合室へ反応コンポーネントをもたらすための前記形式のノズルは通常、コンポーネント入口とコンポーネント出口を備えたケーシングを有している。たいていノズルニードルの形をした、往復運動する手段で、コンポーネント入口は閉鎖可能であるだけではなく開放可能である。コンポーネント入口が開放されていると、コンポーネント入口とコンポーネント出口との間に流動結合が生じ、コンポーネント供給ノズルに圧力下で供給されたコンポーネントはノズルを介して混合室内へ噴射されることができる。
【0003】
従来のコンポーネント供給ノズルの欠点は、圧力下にあるコンポーネントによって閉鎖機構が閉鎖方向とは反対の方向に注目に値する負荷を受けることである。この反応力はコンポーネント供給ノズルの調節、特に閉鎖に際してまず克服されなければならない。これは調節駆動装置の寸法の増大を必要とし、製作的にも運転的にも費用の増大をもたらす。
【0004】
DE3913681C1号明細書によれば流動性の反応コンポーネントからの反応混合物を形成する装置であって、ノズルニードルの投影面がノズルニードルに作用する力が相殺されるように形成されている形式のものが記載されている。1実施例では反応コンポーネントはノズルニードルに向かって導かれ、ノズルニードルを通して導かれる。これによって当該端部に駆動装置が作用することは不可能である。他の実施形態の場合には反応コンポーネントはケーシングにおける適当に構成された通路を通って種々の作用室に供給される。
【0005】
AT352382号には液状のプラスチックコンポーネントのための混合装置であって、ケーシング内に配置されたノズルニードルを有する形式のものが記載されている。前記ノズルニードルは一方の側における作業圧力と他方の側における制御圧の圧力差を調節することにより所望の形式で動かされる。
【0006】
DE3811642A1号からは、反応注型成形のための流動性のプラスチック混合物を形成するための方法が公知である。記述されている実施形態に相応して、ノズルニードルは電動モータ式の駆動装置によって動かされる。もちろんこの場合には作業媒体によってノズルニードルに生ぜしめられた力に抗して作業されなければならない。
【0007】
さらにDE3522618A1号及びDE19743187号においては混合ヘッドのノズルは作業圧を所定の値の上に上昇させることによって開放される。
【0008】
本発明の課題は小さなコンパクトな調節モータでも機能的に確実に運転されることのできる、冒頭に述べた形式の、持続的に確実に機能するコンポーネント供給ノズルを提供することである。
【0009】
前記課題は請求項1に記載した特徴によって解決された。
【0010】
これに従って冒頭に述べたコンポーネント供給ノズルは閉鎖及びノズル機構にて少なくとも1つの第1の形式の面と第2の形式の面とを備えており、第1の形式の面と第2の形式の面とにほぼ同じコンポーネント圧が作用し、この場合、第1の形式の面によってコンポーネント圧の作用のもとで開放方向の力が生ぜしめられ、第2の形式の面によってコンポーネント圧の作用のもとで閉鎖方向の力が、つまり反対方向の力が生ぜしめられるようになっている。第1と第2の面の寸法は、反対方向の力がほぼ相殺されるように選択されている。
【0011】
閉鎖及び絞り機構はコンポーネント供給ノズルの完全な閉鎖のためにも有利な種々異なる状態に調節可能な絞り度で開放するためにも構成されている。閉鎖及び絞り機構は2つの位置だけに移動可能であることができる。しかし、有利には閉鎖及び絞り機構は駆動装置で多数の位置へ調節可能であること、特に連続的に移動可能であることができる。
【0012】
閉鎖機構はピストン状の部体を有している。ピストン状の部体には流動通路が設けられている。この流動通路はコンポーネント入口と作用空間との間で流動結合を実現する。作用空間は部分的に閉鎖機構によって制限されている。この場合、この制限は第2の形式の面を成している。さらに前記作用空間に向き合って、しかも入口側には別の作用空間が構成されている。この作用空間の領域には第1の形式の単数又は複数の面が配置されている。
【0013】
閉鎖及び絞り機構は直線駆動装置、特に電気的な直線駆動装置と連結されている。
【0014】
閉鎖及び絞り機構は単体として又は多部分から構成されている。
【0015】
上記の種々異なる実施形態に基づき、多数のヴァリエーションが得られかつ異なる使用分野のために種々異なるコンポーネント供給ノズルが構成されることができる。しかし、これらのコンポーネント供給ノズルにとって共通であることは常に、コンポーネント圧からわずかな力しかもたらされなくても、これらのエレメントが著しい反力に抗して動かされる必要がなくなることである。前記構成形態によって調節駆動装置は反力を克服する必要はないか又は小さい反力しか克服する必要しかなくなる。何故ならばコンポーネント圧の作用によってもたらされる力はその大きさにてほぼ完全に相殺されるからである。しかし、好適な場合には調節駆動装置はシステムに内在する摩擦力だけを克服する必要しかなく、これにより著しくコンパクトな調節モータを使用できる。結果、駆動装置は従来の経験からその従来の寸法を90%まで減少させることができる。
【0016】
最も好適な場合にはコンポーネント圧によって第1の形式と第2の形式の面に生ぜしめられる反対方向の力はちょうど相殺される。しかし、所定の位置、例えば閉鎖位置で、前記力が完全に相殺されず、小さな合成力が開放方向又は閉鎖方向に残されることもできる。
【0017】
いずれの場合にも、第1と第2の形式の面が完全な閉鎖及び絞り機構に亙って分配されかつ部分面から合成されていることもできる。
【0018】
以下、本発明を1実施例に基づきかつ添付図面に関して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によって構成されたコンポーネント供給ノズルの第1実施例を閉じた位置で示した部分的断面図。
【0020】
図1に示したコンポーネント供給ノズル10は、第1の前方のケーシング部分12と第2の後方のケーシング部分13とを有している。前方のケーシング部分12はノズルニードル16とニードル本体17とを有する閉鎖及びノズル機構を受容するために構成されている。後方のケーシング部分13には直線駆動装置30が設けられている。閉鎖及び絞り機構は第2のケーシング部分13内へいくらか突入し、そこで直線駆動装置30と連結されている。直線駆動装置30によって閉鎖及び絞り機構は、つまりニードル本体17とノズルニードル16は移動させられかつ引戻されることができる。この場合、コンポーネント供給ノズルはノズルニードル16が移動させられた状態で閉じられる。閉鎖及び絞り機構が閉鎖位置から引戻され、ひいてはノズル座から持上げられると、コンポーネント供給ノズルは開放状態にある。この場合には開放度で絞り作用が決定される。
【0021】
ピストン状に構成されたニードル本体17は第1のケーシング部分12の後方領域をほぼ円筒形に満たし、種々のストッパにより規定される所定の領域内で往復運動させられる。
【0022】
ノズルニードル16はニードル本体17の前方の領域でニードル本体17内へプレス嵌めされる。ノズルニードル16はニードル本体17と一緒に直線的に移動させられる。
【0023】
第1の前方のケーシング部分12は、ノズル開口15が配置されている前方のノズル尖端14を有している。
【0024】
さらに、前方の第1のケーシング部分12には側方の入口開口18が外周面に配置されている。この入口開口18を介して反応コンポーネントがコンポーネント供給ノズルに供給されることができる。この反応コンポーネントは入口開口18を経て、ニードル本体17とノズル開口15との間に延在するコンポーネント室20に達する。さらにニードル本体17には入口通路21と中央の搬送通路22と出口通路24とが設けられている。この入口通路21と搬送通路22と出口通路24とは全体としてコンポーネント室20と作用室26との間の流動結合を規定する。この場合、作用室26はリング状にニードル本体17と第2の後方のケーシング部分13との間に構成されている。作用室がリング状である理由は特に出口通路24が単にニードル本体17の中央の部分の孔として構成されているからである。
【0025】
図示の状態ではコンポーネント供給ノズルは閉鎖されている。つまり、ノズルニードル16は駆動装置30によって完全に前方へ移動され、コンポーネント入口18とコンポーネント出口15との間には流動結合が形成されていない。ノズルは全体として閉じられている。
【0026】
他の切換え位置(図示せず)においてはノズルニードルは引戻されているので、コンポーネント出口15は開放され、引戻し度に関連した流動結合がコンポーネント入口18とコンポーネント出口15との間に生じる。この状態ではコンポーネント供給ノズルに供給された材料はノズル開口に相応してコンポーネント入口18とコンポーネント室20とコンポーネント出口15とを通って混合ヘッドに移動させられる。
【0027】
この場合、各運転状態で、閉鎖機構、特にニードル本体17に各作用面によって規定される力が作用する。1つの作用面はニードル本体17の後方の領域にあり、リング状の作用室によって実現されかつ符号A2で示されている。この面A2に作用するコンポーネント圧力に基づき生ぜしめられた力は閉鎖方向を示す。1つの別の面がニードル本体17の前方の領域に存在し、符号A1で示されている。面A1に作用するコンポーネント圧に基づき生ぜしめられる力は開放方向を示している。さらに、符号A3で示された、出口通路24の上方の面で実現された面が存在する。この面A3に作用するコンポーネント圧に基づき生ぜしめられる力は同様に開放方向を示している。
【0028】
本発明によれば面A2は面A1とA3との和とほぼ同じ大きさに選ばれることができる。この場合にはコンポーネント圧によって前記面に発生する力は全体としてほぼ相殺される。したがって閉鎖及び絞り機構の調節に際して、圧力下にあるコンポーネントによって生ぜしめられる反力が克服される必要はなくなる。この場合には作用面に作用するコンポーネント圧はほぼ同じ大きさであることに言及しておく。
【0029】
この場合、図1からは力の状態が閉鎖状態ではいくらか変化することが判る。すなわち、閉鎖状態ではニードル16の前方の尖端はノズル開口15のノズル座に接触し、これによってこの面がコンポーネント圧で負荷されなくなる。この結果、この閉鎖位置では開放方向の押圧力はその結果生ぜしめられる力の値だけわずかになる。したがって開放する場合には所定の、小さい反力が克服される必要がある。もちろん、コンポーネント供給ノズルはこの理由から閉鎖位置では駆動装置が連続的に運転状態に保たれる必要なしに安定した位置に存在できる。これにより合成力はコンポーネント供給ノズルを閉鎖状態に保持する。
【0030】
噴射ノズルを除いて混合ヘッド全体はDE3522618A1号の図3又はDE19743187の図3aに示すように構成されていることができる。その限りにおいて、混合ヘッドは制御又は浄化ピストンを有し、この制御又は浄化ピストンは図示されていない混合室内で往復運動でき、単数又は複数のリサイクル溝を有している。
【符号の説明】
【0031】
10 ノズル、 12 第1のケーシング部分、 13 第2のケーシング部分、 14 ノズル尖端、 15 ノズル開口、 16 ノズルニードル、 17 ニードル本体、 18 入口開口、 20 コンポーネント室、 21 入口通路、 22 搬送通路、 24 出口通路、 26 対抗圧力室、 30 直線駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応噴射装置の反応混合ヘッドで使用するためのコンポーネント供給ノズルであって、
(イ)コンポーネント入口(18)とコンポーネント出口(15)とを有するケーシング(12,13)を有し、
(ロ)ピストン状の部体(17)を有し、ケーシング(12,13)内に配置され、駆動装置(30)によって少なくとも2つの位置の間で移動可能な閉鎖及び絞り機構(16,17)を有し、第1の運転位置でコンポーネント出口(15)が閉鎖及び絞り機構(16,17)により閉鎖され、第2の運転位置でコンポーネント出口(15)が開放され、コンポーネント入口(18)とコンポーネント出口(15)との間の流動結合が形成されており、
(ハ)閉鎖及び絞り機構(16,17)が第1の形式の面(A1,A3)と第2の形式の面(A2)とを有し、
(ニ)すべての面(A1,A2,A3)にてほぼ同じコンポーネント圧が作用しており、
(ホ)第1の形式の面(A1,A3)によってコンポーネント圧の作用のもとで開放方向の力が生ぜしめられ、第2の形式の面(A2)によってコンポーネント圧の作用のもとで閉鎖方向の力が生ぜしめられ、
(ヘ)第1と第2の形式の面の大きさが、逆向きの力がほぼ相殺するように選択されている形式のものにおいて、
(ト)閉鎖及び絞り機構(16,17)が直線駆動装置(30)と結合されており、
(チ)ピストン状の部体(17)内に、コンポーネント入口(18)と作用室(26)との間で流動結合を形成する出口通路(24)が構成されており、
(リ)出口通路(24)の上方面によって、コンポーネント圧に基づき横方向の力が生ぜしめられる面が実現されている
ことを特徴とする、圧力負荷軽減手段を備えたコンポーネント供給ノズル。
【請求項2】
閉鎖及び絞り機構(16,17)が駆動装置により多数の位置にポジショニング可能である、請求項1記載のコンポーネント供給ノズル。
【請求項3】
閉鎖及び絞り機構(16,17)が連続的に調節可能である、請求項1又は2記載のコンポーネント供給ノズル。
【請求項4】
閉鎖及び絞り機構(16,17)がノズルニードル(16)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンポーネント供給ノズルニードル。
【請求項5】
第1の形式の少なくとも1つの面が部分面(A1,A3)から合成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンポーネント供給ノズル。
【請求項6】
ケーシングが前方のケーシング部分(12)と後方のケーシング部分(13)とから構成され、前方のケーシング部分に閉鎖及び絞り機構が設けられ、後方のケーシング部分に主として直線駆動装置(30)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンポーネント供給ノズル。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−539643(P2009−539643A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513629(P2009−513629)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054443
【国際公開番号】WO2007/141106
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508050211)クラウスマッファイ テヒノロギース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Krauss−Maffei Strasse 2, D−80997 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】