説明

圧縮機

【課題】新たに部材を追加せずに、簡単な構造で可動板に予圧を与えることができる圧縮機を提供する。
【解決手段】
中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各固定磁石161、162はそれぞれ回転力を受けて回転軸15は回転され、可動板12は可動羽根14と一緒に旋回移動され、可動羽根14と固定羽根13との間に閉じこめられた流体は渦巻の中心に向かって圧縮される圧縮機10であって、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心は、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心よりも可動板12近くに位置し、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極と放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、固定磁石161、162には可動板12に近づく方向の力がかかるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機にかかり、特にスクロール型の圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール型の圧縮機では、固定羽根が設けられた固定板と可動羽根が設けられた可動板とが互いに摺動して、固定板と可動板との間の圧縮室の気密性を保つことにより、圧縮性能が維持されるようになっている。ここで、圧縮室内で圧縮された流体の圧力が、可動板の裏面側の圧力より大きいと、可動板は固定板から離間する方向に押されて、可動板と固定板との間に隙間が発生し、圧縮性能が低下してしまう。
【0003】
特許文献1では、可動板の裏面側の背圧室内の圧力で可動板を固定板に押しつける技術が開示されているが、可動板の内部に、シール(仕切り)と通路と弁とを新たに追加する必要があり、構造が複雑になるという不都合があった。
また、特許文献2では、バネの力で可動板を固定板に押しつける技術が開示されているが、回転軸の内部に、バネとバネ押さえとを新たに追加する必要があり、構造が複雑になるという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−1677号公報
【特許文献2】特開2004−218519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、新たに部材を追加せずに、簡単な構造で可動板に予圧を与えることができる圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、互いに同一の中心点を中心として配置され、互いに嵌め込まれた渦巻き状の固定羽根と可動羽根と、前記固定羽根と前記可動羽根が表面にそれぞれ固定された固定板と可動板と、前記可動板の前記表面とは逆の裏面に対して直角に向けられた回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸に設けられ、前記回転軸の回転によって前記可動板を旋回移動させる変換器とを有し、前記モータは、前記回転軸の中心軸線上の一点を磁石中心点とし、前記中心軸線に垂直な第一の円の円周上に沿って配置され、一方の磁極が前記第一の円の放射方向に向けられた複数の固定磁石と、前記第一の円と同心円であって、前記第一の円よりも大径の第二の円の円周に沿って配置され、一方の磁極が前記磁石中心点が位置する方向に向けられた電磁石と、を有し、前記電磁石は前記固定板が固定された筺体に対して固定され、前記中心軸線に向けられた各前記電磁石の磁極の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各前記固定磁石はそれぞれ回転力を受けて前記回転軸と一緒に回転され、前記可動板は、前記可動羽根と前記固定羽根とが互いに接触した状態を維持しながら旋回移動され、前記接触部分は前記固定羽根の中心に向かって移動され、前記可動羽根と前記固定羽根との間に閉じこめられた流体は前記固定羽根の中心に向かって圧縮される圧縮機であって、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の中心は、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の中心よりも前記可動板近くに位置し、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極と前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、前記固定磁石には前記可動板に近づく方向の力がかかるように構成された圧縮機である。
本発明は、互いに同一の中心点を中心として配置され、互いに嵌め込まれた渦巻き状の固定羽根と可動羽根と、前記固定羽根と前記可動羽根が表面にそれぞれ固定された固定板と可動板と、前記可動板の前記表面とは逆の裏面に対して直角に向けられた回転軸と、前記回転軸を回転させるモータと、前記回転軸に設けられ、前記回転軸の回転によって前記可動板を旋回移動させる変換器とを有し、前記モータは、前記回転軸の中心軸線上の一点を磁石中心点とし、前記中心軸線に垂直な第一の円の円周上に沿って配置され、一方の磁極が前記第一の円の放射方向に向けられた複数の固定磁石と、前記第一の円と同心円であって、前記第一の円よりも大径の第二の円の円周に沿って配置され、一方の磁極が前記磁石中心点が位置する方向に向けられた電磁石と、を有し、前記電磁石は前記固定板が固定された筺体に対して固定され、前記中心軸線に向けられた各前記電磁石の磁極の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各前記固定磁石はそれぞれ回転力を受けて前記回転軸と一緒に回転され、前記可動板は、前記可動羽根と前記固定羽根とが互いに接触した状態を維持しながら旋回移動され、前記接触部分は前記固定羽根の中心に向かって移動され、前記可動羽根と前記固定羽根との間に閉じこめられた流体は前記固定羽根の中心に向かって圧縮される圧縮機であって、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和は、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和より大きく、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極と前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、前記固定磁石には前記可動板に近づく方向の力がかかるように構成された圧縮機である。
本発明は圧縮機であって、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の中心は、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の中心よりも前記可動板近くに位置する圧縮機である。
本発明は圧縮機であって、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和から、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和を引いた大きさは、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った長さの1%以上10%以下である圧縮機である。
【発明の効果】
【0007】
回転軸を回転させている間は、可動板に予圧を与え続けることができ、圧縮性能を維持することができる。
他の部品を付け加えた複雑な機構にしなくても、圧縮効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の圧縮機の内部構成図
【図2】(a)〜(d):可動羽根と固定羽根との動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<圧縮機の構造>
本発明の圧縮機の構造を説明する。なお、本発明では「圧縮機」にはポンプが含まれる。
【0010】
図1は本発明の圧縮機10の内部構成図である。
圧縮機10は、互いに同一の中心点を中心として配置され、互いに嵌め込まれた渦巻き状の固定羽根13と可動羽根14と、固定羽根13と可動羽根14が表面にそれぞれ固定された固定板11と可動板12と、可動板12の表面とは逆の裏面に対して直角に向けられた回転軸15と、回転軸15を回転させるモータ18と、回転軸15に設けられ、回転軸15の回転によって可動板12を旋回移動させる変換器19とを有している。
【0011】
固定板11のうち固定羽根13の先端は可動板12の表面に線で接触され、可動板12のうち可動羽根14の先端は固定板11の表面に線で接触しており、固定板11と可動板12との間には気密性のある圧縮室23が形成されている。
【0012】
固定板11のうち、固定羽根13の中心部分と外周部分には、圧縮室23と外部空間とを連通する排出口25と吸入口24とがそれぞれ設けられている。外部空間の流体は吸入口24を通って圧縮室23内に流入でき、圧縮室23内の流体は排出口25を通って外部空間に流出できるようになっている。
【0013】
回転軸15の可動板12側の端部は可動板12の裏面と接触されている。変換器19により、回転軸15が中心軸線Lを中心として回転すると、可動板12は自転することなく中心軸線Lを中心として旋回移動するようになっている。
【0014】
回転軸15は、筐体21の内側に挿入され、軸受22a、22bを介して筐体21内に支持されており、中心軸線Lに対して直角な方向には移動せずに、中心軸線Lを中心として回転できるようになっている。
【0015】
回転軸15の可動板12とは逆側の端部と筐体21の底面との間には、予圧バネ29が配置されている。予圧バネ29によって軸受22a、22bに予圧力が加わることで、軸受22a、22b内の隙間が適度になり、軸受22a、22bが軌道面をスムースに回転することができ、寿命において優位な状態となる。
【0016】
モータ18は、回転軸15の中心軸線L上の一点を磁石中心点28とし、中心軸線Lに垂直な第一の円の円周上に沿って配置され、一方の磁極が第一の円の放射方向に向けられた複数の固定磁石161、162と、第一の円と同心円であって、第一の円よりも大径の第二の円の円周に沿って配置され、一方の磁極が磁石中心点28が位置する方向に向けられた電磁石171、172とを有している。
【0017】
放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極は、第一の円の円周に沿って、N極とS極とが交互に並ぶように配置されている。
各電磁石171、172は、磁心17a1、17a2と、コイル17b1、17b2とをそれぞれ有している。
【0018】
磁心17a1、17a2は第二の円の円周に沿って配置され、一端は磁石中心点28が位置する方向に向けられて筐体21に対して固定されている。コイル17b1、17b2は磁心17a1、17a2の側面に巻回されており、コイル17b1、17b2に電流が流れると、中心軸線Lに向けられた磁心17a1、17a2の一端には、電流の向きに応じて、N極又はS極の磁極が形成されるようになっている。
【0019】
回転軸15を中心軸線Lを中心として回転させると、各固定磁石161、162は回転軸15と一緒に回転され、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極は、放射方向に向けられた各固定磁石161、162の磁極と順に対面できるようになっている。
【0020】
磁心17a1、17a2の中心軸線Lに向けられた端部に、対向する固定磁石161、162の放射方向に向けられた磁極の極性とは異なる極性の磁極が形成されると、固定磁石161、162には対向する電磁石171、172に近づく方向の磁力(引力)が生じる。
本発明の圧縮機10では、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心は、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心よりも可動板12近くに位置している。
【0021】
本実施形態では、磁心17a1、17a2の中心軸線Lに向けられた面の形状と、固定磁石161、162の放射方向に向けられた面の形状は、それぞれ中心軸線Lに沿った方向の可動板12側と可動板12とは逆側とで対称性を有する形状であり、ここでは、磁心17a1、17a2の中心軸線Lに向けられた面は円形状であり、固定磁石161、162の放射方向に向けられた面は長方形である。そして、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d1と、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12とは逆側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d2との和(d1+d2)は、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d3と、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12とは逆側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d4との和(d3+d4)より大きくされている(すなわち、d1+d2>d3+d4)。
【0022】
そのため、中心軸線に向けられた電磁石171、172の磁極と放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、各電磁石171、172から対向する固定磁石161、162にかかる引力は、可動板12に近づく方向の成分を持ち、回転軸15は固定磁石161、162と一緒に可動板12に向かって押され、可動板12は固定板11に押しつけられるようになっている。
【0023】
本実施形態では、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12側の端部と可動板12との間の中心軸線に沿った距離d1と、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12とは逆側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d2との和(d1+d2)から、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d3と、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心軸線Lに沿った方向の可動板12とは逆側の端部と可動板12との間の中心軸線Lに沿った距離d4との和(d3+d4)を引いた大きさ(以下、磁極のズレの大きさと呼ぶ)は、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心軸線Lに沿った長さ(d2−d1)の1%以上10%以下である(すなわち、0.01(d2−d1)≦(d1+d2)−(d3+d4)≦0.1(d2−d1))。
【0024】
磁極のズレの大きさが1%より小さいと、可動板12を固定板11に押しつける力より圧縮室23内の流体の圧力が大きくなって可動板12が固定板11から離間するおそれがあり、磁極のズレの大きさが10%より大きいと、可動板12を固定板11に押しつける力が強すぎて可動板12又は固定板11が損傷するおそれがある。
【0025】
<圧縮機の使用方法>
上述の本発明の圧縮機10の使用方法を説明する。
あらかじめ、圧縮室23内の流体から可動板12が受ける固定板11から離間する方向の力の大きさを、実験やシミュレーションにより求めておき、求めた力と釣り合う力が可動板12にかかるように、磁極のズレの大きさと、固定磁石161、162と電磁石171、172との間に発生させる磁力の大きさを決めておく。
【0026】
各電磁石171、172のコイル17b1、17b2に電流を流して、各磁心17a1、17a2の中心軸線Lに向けられた端部に、対向する固定磁石161、162の放射方向に向けられた磁極の極性とは異なる極性の磁極をそれぞれ形成する。
【0027】
各固定磁石161、162には対向する電磁石171、172に近づく方向の磁力(引力)が発生し、引力のうち第一の円の円周方向の成分が回転力となって、固定磁石161、162は回転軸15と一緒に中心軸線Lを中心に回転する。
【0028】
中心軸線Lに向けられた各電磁石171、172の磁極の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各固定磁石161、162は、順に対向する磁心17a1、17a2からそれぞれ回転力を受けて、中心軸線Lを中心とする回転を継続する。
【0029】
回転中に、各磁心17a1、17a2の中心軸線Lに向けられた端部に、対向する固定磁石161、162の放射方向に向けられた磁極の極性と同じ極性の磁極が形成されることはなく、各固定磁石161、162は対向する電磁石171、172から離間する方向の磁力(斥力)を受けることはない。
【0030】
回転軸15が中心軸線Lを中心に回転すると、可動板12は固定板11に対して摺動しながら、回転軸15の中心軸線Lを中心として旋回移動する。
可動羽根14は、固定羽根13に接触した状態を維持しながら可動板12と一緒に旋回移動し、外部空間の流体は吸入口24を通って圧縮室23内に吸入され、可動羽根14の旋回移動に伴って、可動羽根14と固定羽根13との接触部分は固定羽根13の渦巻の中心に向かって移動され、可動羽根14と固定羽根13との間に閉じこめられた流体は渦巻の中心に向かって圧縮され、排出口25から外部空間に排出される。
【0031】
具体的には、図2(a)〜(d)を参照し、可動羽根14が固定羽根13に対して図2(a)に示す相対位置のときに、可動羽根14と固定羽根13との間の符号A、A’で示す空間に流体が閉じこめられる。そして、図2(b)、図2(c)、図2(d)に示すように、この順に、可動羽根14が旋回移動するに従って、可動羽根14と固定羽根13との接触部分は固定羽根13の渦巻の中心に向かって移動され、空間A、A’の体積は徐々に減少され、空間A、A’内の流体は渦巻の中心に向かって移動しながら圧縮される。
渦巻の中心に向かって流体が圧縮されると、圧縮された流体の圧力により、可動板12と固定板11との間に、回転軸15の中心軸線Lと平行な方向で、互いに離間する方向の力が発生する。
【0032】
しかし、本発明の圧縮機10では、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極の中心は、放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極の中心よりも可動板12近くに位置し、中心軸線Lに向けられた電磁石171、172の磁極と放射方向に向けられた固定磁石161、162の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、固定磁石161、162には可動板12に近づく方向の力がかかるように構成されおり、回転中に、各固定磁石161、162は可動板12に近づく方向の力を受ける。
そのため、回転軸15は中心軸線Lを中心に回転しながら、可動板12に向かって押され、可動板12は旋回移動しながら、固定板11に向かって押しつけられる。
【0033】
可動板12では、圧縮された流体から受ける固定板11から離間する方向の力と、回転軸15から受ける固定板11に押しつけられる力とが釣り合って、可動板12と固定板11との接触が維持される。従って、可動板12と固定板11との間に隙間が生じて、隙間から流体が漏れることはなく、圧縮室23の気密性は保たれ、圧縮機10の圧縮性能は維持される。
【符号の説明】
【0034】
10……圧縮機
11……固定板
12……可動板
13……固定羽根
14……可動羽根
161、162……固定磁石
171、172……電磁石
18……モータ
19……変換器
21……筐体
28……磁石中心点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同一の中心点を中心として配置され、互いに嵌め込まれた渦巻き状の固定羽根と可動羽根と、
前記固定羽根と前記可動羽根が表面にそれぞれ固定された固定板と可動板と、
前記可動板の前記表面とは逆の裏面に対して直角に向けられた回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸に設けられ、前記回転軸の回転によって前記可動板を旋回移動させる変換器とを有し、
前記モータは、前記回転軸の中心軸線上の一点を磁石中心点とし、前記中心軸線に垂直な第一の円の円周上に沿って配置され、一方の磁極が前記第一の円の放射方向に向けられた複数の固定磁石と、
前記第一の円と同心円であって、前記第一の円よりも大径の第二の円の円周に沿って配置され、一方の磁極が前記磁石中心点が位置する方向に向けられた電磁石と、を有し、
前記電磁石は前記固定板が固定された筺体に対して固定され、
前記中心軸線に向けられた各前記電磁石の磁極の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各前記固定磁石はそれぞれ回転力を受けて前記回転軸と一緒に回転され、前記可動板は、前記可動羽根と前記固定羽根とが互いに接触した状態を維持しながら旋回移動され、前記接触部分は前記固定羽根の中心に向かって移動され、前記可動羽根と前記固定羽根との間に閉じこめられた流体は前記固定羽根の中心に向かって圧縮される圧縮機であって、
前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の中心は、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の中心よりも前記可動板近くに位置し、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極と前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、前記固定磁石には前記可動板に近づく方向の力がかかるように構成された圧縮機。
【請求項2】
互いに同一の中心点を中心として配置され、互いに嵌め込まれた渦巻き状の固定羽根と可動羽根と、
前記固定羽根と前記可動羽根が表面にそれぞれ固定された固定板と可動板と、
前記可動板の前記表面とは逆の裏面に対して直角に向けられた回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸に設けられ、前記回転軸の回転によって前記可動板を旋回移動させる変換器とを有し、
前記モータは、前記回転軸の中心軸線上の一点を磁石中心点とし、前記中心軸線に垂直な第一の円の円周上に沿って配置され、一方の磁極が前記第一の円の放射方向に向けられた複数の固定磁石と、
前記第一の円と同心円であって、前記第一の円よりも大径の第二の円の円周に沿って配置され、一方の磁極が前記磁石中心点が位置する方向に向けられた電磁石と、を有し、
前記電磁石は前記固定板が固定された筺体に対して固定され、
前記中心軸線に向けられた各前記電磁石の磁極の極性をN極とS極との間で交互に変化させると、各前記固定磁石はそれぞれ回転力を受けて前記回転軸と一緒に回転され、前記可動板は、前記可動羽根と前記固定羽根とが互いに接触した状態を維持しながら旋回移動され、前記接触部分は前記固定羽根の中心に向かって移動され、前記可動羽根と前記固定羽根との間に閉じこめられた流体は前記固定羽根の中心に向かって圧縮される圧縮機であって、
前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和は、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和より大きく、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極と前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極とが互いに異なる極性で対向するときに、前記固定磁石には前記可動板に近づく方向の力がかかるように構成された圧縮機。
【請求項3】
前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の中心は、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の中心よりも前記可動板近くに位置する請求項2記載の圧縮機。
【請求項4】
前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和から、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離と、前記中心軸線に向けられた前記電磁石の磁極の前記中心軸線に沿った方向の前記可動板とは逆側の端部と前記可動板との間の前記中心軸線に沿った距離との和を引いた大きさは、前記放射方向に向けられた前記固定磁石の磁極の前記中心軸線に沿った長さの1%以上10%以下である請求項2又は請求項3のいずれか1項記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−53560(P2013−53560A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192488(P2011−192488)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】