説明

圧縮空気供給装置

【課題】異なる圧力用のプラグに所定の圧縮空気を供給する。
【解決手段】一次圧側開口部2と二次圧側開口部3間に導通空間Sを形成するとともに、調整シリンダ4内に摺動自在に配置された調整ピストン11の一側には第1弁体6を押し込み可能な押圧部12と導通空間S内の圧縮空気を受圧する受圧面とを有するとともに、他側は調圧バネ15により常時押圧部12を押圧方向に付勢し、第2弁体7が一定の移動量を越えて作動したときに作動杆16が第1弁体6を押圧可能とし、カプラ9に常圧又は高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とを装着可能とし、常圧又は高圧用プラグ33を装着したときは上記第2弁体7を上記移動量を越えない範囲で押し込み、超高圧用プラグ34を装着したときは第2弁体7を移動量を越えて押し込み可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常圧型プラグと高圧帯域以上の第二の高圧型プラグの両方又は常圧型と高圧帯域の第一の高圧型と第二の高圧型プラグが取り付けられたときに、各プラグに応じた圧力の圧縮空気を供給することができる圧縮空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧ガス取締り法の改正により、高圧のガスの使用が認められるようになるにしたがって、使用機器も高圧側に徐々にシフトしてきた。その理由は、高圧の圧縮空気を利用することができれば、工具自体をコンパクトにしても高いエネルギーが得られるので、軽くて取り扱いやすくなり、また集成材SVL、LVL等の硬い材料を締結する必要性が増加し、高エネルギーが必要とされているからである。このため、最大使用圧力も、従来の0.98MPa未満の常圧、2.94MPa以下の第一の高圧のほかに、4〜4.2MPa以下の第二の高圧の最高使用圧力を仕様としているホースやその先端に装着されている接続機器が存在する。そして、上述の高圧の利便性から、今後このような傾向は、さらに5MPa未満にまでシフトすると予測される。
【0003】
これに対し、従来は各圧力帯に専用の接続機器が使用されているのが現状である。たとえば、減圧弁を設けて常圧、高圧両方の圧縮空気を供給できる共通の空気圧縮機に低圧用と高圧用のカプラを取り付けておき、低圧用カプラには低圧用のプラグを有する釘打機を、高圧用カプラには高圧用のプラグを有する釘打機を接続するように構成されている。これに対し、同じカプラに常圧用と高圧用のプラグが接続可能としたものも知られている。
【0004】
したがって、現在のところは第二の高圧用の建築用の圧縮機と接続機器は実現していないが、これが実現されると、第二の高圧の圧縮機と第二の高圧専用の接続機器が同時に市場に供されることが必要となる。そして、低圧用、第一の高圧用のほか、第二の高圧用の圧縮機と接続機器が同時に市場に供されることになる。
【特許文献1】特開2003−90480公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第二の高圧の圧縮機と第二の高圧専用の接続機器を一括で第二の高圧用に交換することになれば、メーカーの製造コストや購入者の費用負担が大きくなるだけでなく、常圧、第一の高圧用のものは一斉に廃棄されることになるので、環境保護の面でも好ましくない。
【0006】
本発明者等は、第二の高圧用の圧縮空気供給装置に2種類又は3種類の圧力を供給することができることにより、従来の常圧や第一の高圧用のプラグも活用することができることに着目した。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解消し、常圧用、第一の高圧用またはそのいずれか一方のプラグと第二の高圧用のプラグを装着したときにそれぞれに所定の圧縮空気を供給することができる圧縮空気供給装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、圧縮空気供給装置本体に設けられたハウジングの一側に圧縮空気供給源に通じる一次圧側開口部を、他側に接続機器用カプラに通じる二次圧側開口部を形成し、両開口部間に圧縮空気の導通空間を形成するとともに、調整シリンダを一次圧側開口部に開口させて配置し、該調整シリンダ内に摺動自在に配置された調整ピストンの一側には上記一次圧側開口部に設けられた第1弁体を押し込み可能な押圧部と上記導通空間内の圧縮空気を受圧する受圧面とを有するとともに、他側は調圧バネにより常時上記押圧部を押圧方向に付勢し、上記二次圧側開口部に設けた第2弁体と上記第1弁体との間には作動杆を配置し、第2弁体が一定の移動量を越えて作動したときに上記作動杆が第1弁体を押圧可能とし、上記カプラに常圧又は第一の高圧用プラグと第二の高圧用プラグとを装着可能とし、常圧又は第一の高圧用プラグを装着したときは上記第2弁体を上記移動量を越えない範囲で押し込み、第二の高圧用プラグを装着したときは上記第2弁体を上記移動量を越えて押し込み可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記調整シリンダの第2弁体側に第2調整シリンダを設け、この第2調整シリンダに摺動自在に設けられた第2調整ピストンと上記調整ピストンとを連結杆を介して連結し、上記作動杆を上記第2調整シリンダを貫通させるとともに、上記作動杆には上記第2調整シリンダの底部の貫通孔の内面とシールするシール部材を取り付け、上記第2弁体が上記作動杆を上記シール部材が外れる程度作動させたとき、上記導通空間内の圧縮空気が上記貫通孔から上記第2調整ピストンと上記底部との間に導入されるようにし、上記カプラに常圧用プラグと第一の高圧用プラグと第二の高圧用プラグとを装着可能とし、第一の高圧用プラグを装着したときは、上記第2弁体が上記作動杆を上記シール部材が外れる程度で、上記一定の移動量を越えない程度に押し込み可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記連結杆に代え、上記第2調整ピストンに突軸を設け、この突軸を調整シリンダ内に突出させ、突軸の先端にはバネ受けを形成し、このバネ受けと上記調整ピストンとの間に配置された調圧バネにより常時上記押圧部を押圧方向に付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、常圧又は第一の高圧用プラグを装着したときは第2弁体が一定の移動量を越えない範囲で押し込むので、作動杆が第1弁体を押圧して開かせることはないが、第2弁体は開くので、導通空間内の圧縮空気は上記プラグから供給され、導通空間内の圧力は減圧する。そのため、調整ピストンの受圧面に対する力が調圧バネに対して相対的に小さくなるから、調整ピストンはバネ力によって一次圧側に移動し、押圧部が第1弁体を押し込んで開き、導通空間内に一次圧が供給されて増圧し、所定の常圧又は第一の高圧を越えると、調整ピストンに対する圧力の方が勝って再び第1弁体は閉じる。このようにして、常圧又は第一の高圧の圧縮空気が供給される。
【0012】
これに対し、第二の高圧用プラグを装着したときは第2弁体が一定の移動量を越えて作動するので、作動杆が直接に第1弁体を押し込み、一次圧が導通空間を経て第二の高圧プラグに供給される。
【0013】
請求項2および請求項3に係る発明によれば、第一の高圧用プラグを装着したときは、第2弁体が作動杆を上記シール部材が外れる程度で、一定の移動量を越えない程度に押し込まれるので、導通空間内の圧縮空気が第2調整シリンダの底部の貫通孔から第2調整ピストンと上記底部との間に導入される。このため、第2調整ピストンに導通空間内の圧縮空気の圧力が作用するので、第2調整ピストンは一次圧側に移動し、連結杆を介して調整ピストンを押圧する。このため、調整ピストンには受圧面と反対側に第2調整ピストンからの圧力と調圧バネのバネ力とが作用するから、第1弁体が開いたとき、導通空間内にはこれに対応した第一の高圧の圧縮空気が流れ込み、これが第一の高圧用プラグに供給される。
【0014】
常圧用と第二の高圧用プラグを装着したときは、請求項1の場合と同じである。
【0015】
したがって、同じカプラに常圧用プラグと第一の高圧用プラグと第二の高圧用プラグを装着したときに、それぞれに常圧と第一の高圧と第二の高圧の圧縮空気を供給することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、第一の高圧用プラグを装着した場合、第2調整ピストンに導通空間内の圧縮空気の圧力が作用するので、第2調整ピストンとともに突軸が一次圧側に移動し調整ピストンの受圧面と反対側にかかる調圧バネを撓ませるので、バネ力が大きくなり、この増大したバネ力に対応した第一の高圧の圧縮空気を第一の高圧用プラグに供給することができる。常圧用と第二の高圧用プラグを装着した場合は、請求項2の場合と同じである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここでは便宜上、高圧帯域の第一の高圧を高圧、これよりも高い高圧帯域の第二の高圧を超高圧として説明していく。
【0018】
図1は高圧用プラグと超高圧用プラグに接続可能で、それぞれのプラグに対応した圧縮空気を供給することができる圧縮空気供給装置を示すもので、同図において符号1は圧縮空気供給装置本体に設けられたハウジングを示す。このハウジング1は装置本体に直接に設けられたハウジング1aとハウジング1aに結合されたカプラ用ハウジング1bを含む。上記ハウジング1の一側には一次圧側開口部2が形成され、他側には接続機器に接続するためのカプラに通じる二次圧側開口部3が形成されている。
【0019】
上記両開口部2、3間には調整シリンダ4が配置され、その周囲には圧縮空気の導通空間Sが形成されている。調整シリンダ4は有底筒状で、一端は一次圧側開口部2に開口し、その反対側は底部5によって閉じられている。
【0020】
次に、上記ハウジング1の一次圧側開口部2には第1弁体6が配置され、二次圧側開口部3には第2弁体7が配置されている。第1弁体6は一次圧側開口部2を閉じるようにバネ8で付勢されている。また、二次圧側開口部3には筒状ステム10が摺動自在に配置され、第2弁体7と係合している。
【0021】
調整シリンダ4内には調整ピストン11が摺動自在に配置されている。この調整ピストン11の一側は円錐状に形成され、その先端には上記一次圧側開口部2に設けられた第1弁体6を押し込み可能な押圧部12が設けられている。また、上記一側の面13は上記導通空間S内の圧縮空気を受圧する受圧面となっている。調整ピストン11の中心には貫通孔14が形成されている。
【0022】
調整ピストン11の他側と調整シリンダ4の底部5との間には調圧バネ15が配置され、調整ピストン11はこの調圧バネ15により常時上記押圧部12が上記第1弁体6を押し込む押圧方向に付勢されている。
【0023】
次に、第1弁体6と第2弁体7との間には作動杆16が設けられている。作動杆16は上記調整ピストン11の中心貫通孔14を貫通し、その中間には鍔部18が形成され、鍔部18と調整ピストン11との間には押えバネ20が設けられている。また、作動杆16と調整シリンダ4の底部の貫通孔21とはシールリング22によってシールされている。
【0024】
以上の調整ピストン11と第1弁体6と第2弁体7と筒状ステム10と作動杆16は同軸上に配置されている。そして、作動杆16は押えバネ20により第2弁体7が二次圧側開口部3を閉じるように付勢されている。第2弁体7が押えバネ20に抗して一定の移動量を越えて作動すると、作動杆16の先端が第1弁体6に係合し、さらに第1弁体6を押し出して一次圧側開口部2を開く。
【0025】
上記構成において、初期状態(プラグを装着していない状態)では、調整ピストン11は調圧バネ15により押圧されて押圧部12が第1弁体6を押し込むので、一次圧側開口部2から導通空間S内に圧縮空気が供給され、調整ピストン11の受圧面13に作用し、調整ピストン11を上記調圧バネ15に抗して押し戻す。このようにして、調整ピストン11は上記調圧バネ15の調圧バネ15力と受圧面13に対する力(受圧面積と圧力との積)とがバランスした位置で停止する。このため、上記調圧バネ15のバネ定数は所定の高圧に対応するように設定されている。
【0026】
次に、上記二次圧側開口部にはカプラ9が設けられている。このカプラ9には、シールリング23を有する短筒部24と、内面に突部25を有する可動スリーブ26と、ロックボール27を落とし込み可能な穴28を有する筒部30と、ロック用ボール27をロック又はロック解除状態にする筒状体31とが設けられている。
【0027】
上記カプラ9には、高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とが装着可能になっている。なお、高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とは、上記ボール27を受ける受け溝35から先端までの長さが、後者の長さの方が前者の長さよりも長い点が異なっている。
【0028】
そこで、高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とを上記圧縮空気供給装置のカプラ9に装着した場合の作動態様について説明する。
【0029】
まず、図1に示されるように、高圧用プラグ33をカプラ9に差し込むと、まずプラグ33の大径部36の先端の環状突面37が可動スリーブ26の突部25に係合してこれを押し込むことにより、筒部30の穴28が開放され、可動スリーブ26によってボール27が筒部の穴28に落としこまれ、プラグ33をさらに押し込んで大径部36の受け溝35にボール27が係合すると、プラグ33はそれ以上押し込むことができない状態になる。同時に、筒状体31はバネ38によって押し出され、ボール27を覆うので、ボール27による係合状態はロックされる。このとき、カプラ9のシールリング23はプラグ33の短筒部24の外周面に当接してシールがなされ、またプラグ33の先端はカプラ9のステム10を押えバネ20に抗して押し出して第2弁体7を開き作動させる。
【0030】
なお、プラグ3をカプラ9から外すときは、筒状体31をバネ38に抗して一次圧側に移動させてプラグ33を抜き出せばよい。
【0031】
このように、第2弁体7は開き作動し、これに応じて作動杆16も移動するが、その移動量は第1弁体6を押し出すには足りない。このときは、導通空間S内の圧縮空気は筒状ステム10を通って高圧プラグ33に供給される。供給されると、導通空間S内の圧力は減圧するから、調整ピストン11の受圧面13に作用する力が低くなり、相対的に調圧バネ15のバネ力が強くなって調整ピストン11は第1弁体6を押し出して開く。これにより、導通空間S内に一次圧の圧縮空気が供給される。導通空間S内の圧力が増圧すると調整ピストン11の受圧面13に対する作用圧が大きくなり、調圧バネ15のバネ力に抗して移動するので、第1弁体6は閉じる。このようにして、調圧バネ15のバネ力によって設定された高圧の圧縮空気が一次圧側開口部2から導通空間Sに供給され、二次圧側開口部3から排出されていく。
【0032】
次に、超高圧用プラグ34をカプラ9に差し込むと、図2のように、上述と同様にしてロックされるが、この場合は、プラグ34の先端の長さは高圧用プラグ33のそれよりも長いので、第2弁体7の押し込み量も大きい。このため、作動杆16の移動量も、第1弁体6を押し込むに必要な一定の移動量を越える。したがって、作動杆16の先端が直接に第1弁体6を押し出して一次圧側開口部2を開き、超高圧の一次圧が直接に導通空間Sを通って超高圧用プラグ34に供給される。
【0033】
上述のように、高圧用プラグ33と超高圧用のプラグを装着したときにそれぞれに所定の圧縮空気を供給することができる。
【0034】
図3(a)(b)は常圧用プラグと超高圧プラグとを装着できるようにしたカプラの構成で、カプラ9は図1のカプラ9と基本的構成は同じで、シールリング23を有する短筒部24を軸方向に沿って移動可能とし、バネ41によって突出方向に付勢するとともに、内面に上記筒状ステム10の外面に形成された突部42に係合可能な短筒部24の外面に形成された突部43を備えた点と筒状ステム10が長いという点が異なっている。なお、この場合の圧縮空気供給装置の導通空間S内の圧力は、調圧バネ15のバネ力を小さくして常圧となるように設定されていることはもちろんである。上記カプラ9も図1と同様にして装置本体に設けられたハウジング1aに結合させればよい。
【0035】
上記構成において、同図(a)のように常圧用プラグ32を装着したときは、プラグ32の先端が上記短筒部24を押し込んで突部同士を係合させてステム10を押し込み、第2弁体7を開き作動させるとともに、作動杆16も移動させる。このときの作動杆16の移動量は上述の図1の高圧用プラグ33を装着したときの移動量と同じとする。また、図3(b)のように超高圧用プラグ34を装着したときは、上述と同様に、そのプラグ先端で直接にステム10を押し込み、上述と同様に第2弁体7とともに作動杆16を移動させる。この移動量も、第1弁体6を押し込むに必要な一定の移動量を越えるように設定されている。
【0036】
したがって、上記構成によれば、同じカプラ9に常圧用プラグ32と超高圧用プラグ34を装着したときにそれぞれに所定の圧力の圧縮空気を供給することができる。
【0037】
次に、図4は常圧用プラグと高圧用プラグと超高圧用プラグとを装着し、それぞれに所定の圧縮空気を供給することができるようにした実施形態の一例を示すもので、上述の実施形態と同じ部材は同じ符号で示す。
【0038】
この実施形態ではさらに、上記調整シリンダ4の第2弁体7側に第2調整シリンダ44が設けられている。この第2調整シリンダ44には第2調整ピストン45が摺動自在に収容されている。また、第2調整ピストン45と上記調整ピストン11とは連結杆46を介して連結されている。
【0039】
上記作動杆16は上記第2調整シリンダ44を貫通するとともに、上記作動杆16には上記第2調整シリンダ44の底部47に形成された貫通孔48と第2調整ピストン45の中心の貫通孔49とシールするシール部材としてシールリング50、51が取り付けられている。なお、第2調整ピストン45のシールリング51は初期状態では第2調整ピストン45の貫通孔49とシールしていない。そして、上記第2弁体7が上記作動杆16を上記シールリング50が外れる程度移動させたとき、シールが外れて上記導通空間S内の圧縮空気が上記貫通孔48から第2調整シリンダ44の底部47と第2調整ピストン45との間に導入されるように設定されている。
【0040】
この場合、第2調整ピストン45の面には導通空間S内の圧力と等圧の空気圧が作用するので、第2調整ピストン45は一次圧側に移動し、同時に連結杆46を介して調整ピストン11も同方向に移動させる。調整ピストン11には、調整シリンダ4内の調圧バネ15のバネ力と上記第2調整ピストン45に加えられた力とが作用することになる。したがって、第1弁体6が開き、一次圧側開口部2から高圧の圧縮空気が供給される。供給圧力が上記調圧バネ15力と第2調整ピストン45からの力との和に対応するほど高くなるまで第2弁体7は開き続け、所定の高圧を越えると調整ピストン11の受圧面13に作用する力の方が強くなって第1弁体6は閉じる。
【0041】
このように、導通空間S内の圧力は、上記調圧バネ15のバネ力と第2調整ピストン45に作用する力との合計によって高圧に設定することができ、また第1弁体6の開放によって超高圧に設定することができる。
【0042】
上記圧縮空気供給装置の構成に対応して、カプラ9も、常圧用プラグ32と高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とを装着可能になっている。このようなカプラ9は、図3(a)(b)に示したものと同じ構成である。上記3種類のプラグを装着したときの第2弁体7と作動杆16の移動量は、常圧用プラグを装着したときの移動量が最も小さく(シールリング50が外れない程度)、次に高圧用プラグ33を装着したときの移動量が大きく(シールリング50が外れる程度)、超高圧用プラグ34を装着したときに最も大きく、上記一定の移動量を越えて作動杆16が第1弁体6を押し込む程度となるように設定されている。
【0043】
そこで、上記各プラグを上記圧縮空気供給装置に装着した場合の作動態様について説明する。
【0044】
まず、図5に示されるように、常圧用プラグ32を装着すると、第2弁体7は開くが、シールリング50は外れないので、図3(b)に示した場合と同様に、調圧バネ15のバネ力に対応した常圧の圧縮空気が供給される。
【0045】
次に、高圧用プラグ33を装着すると、図6に示されるように、第2弁体7とともに移動する作動杆16のシールリング50は第2調整シリンダ44の底部47の貫通孔48から外れる(このとき別のシールリング51は第2調整ピストン45の貫通孔49をシールしている)ので、導通空間S内の圧縮空気は上記第2調整シリンダ44の底部47の貫通孔48から入り込む。このため、第2調整ピストン45の面(受圧面52)には上記圧縮空気の圧力が作用して、調圧バネ15とともに調整ピストン11を一次圧側に押圧して移動させるので、調圧バネ15のバネ力と第2調整ピストン45に作用する力の合計に対応した高圧の圧縮空気が導通空間Sから高圧用プラグ33に供給される。
【0046】
さらに、図7に示されるように、超高圧用プラグ34を装着すると、第2弁体7と作動杆16の移動量は大きいので、作動杆16は直接に第1弁体6を押し込む。このため、一次圧の圧縮空気がダイレクトにプラグ34に供給される。
【0047】
したがって、上記圧縮空気供給装置の構成によれば、同じカプラ9に常圧用プラグと高圧用プラグ33と超高圧用プラグ34とを装着した場合に、それぞれに所定の圧力の圧縮空気を供給することができる。
【0048】
なお、上述の実施形態は、第2調整ピストン45と調整ピストン11とを連結杆46を介して直接に連結したものであるが、この構成に代えて、図8に示されるように、第2調整ピストン45に突軸53を一体に設け、この突軸53を調整シリンダ4内に突出させ、突軸53の先端にはバネ受け54を形成し、このバネ受け54と調整ピストン11との間に調圧バネ15を配置する構成であってもよい。
【0049】
また、第2調整ピストン45と突軸53は別体の構成でもよい。
【0050】
この場合は、高圧用プラグ(33)を装着したときに、図のようにシールリング50が外れて導通空間Sから第2調整シリンダ44内に圧縮空気が入り込み、第2調整ピストン45の受圧面52に作用して第2調整ピストン45を一次圧側に移動させることにより、上記調圧バネ15が撓むので、その調圧バネ15力も強くなる。このため、調整ピストン11に対するバネ力も増大するから、第1弁体6が開いて導通空間S内に供給される圧縮空気の圧力も大きくなり、所要の高圧に設定することができる。
【0051】
なお、調圧バネ15は図9のように、強い調圧バネ15aと弱い調圧バネ15bの二重バネとし、合計で図8に示した調圧バネ15と同じバネ力となるようにし、強い調圧バネ15aのバネ定数を低いものにし、弱い調圧バネ15bは初期状態では荷重がかかっていない状態にするのが好ましい。その理由は第1弁体6の開閉の感度がよくなり、圧力調整の精度が上がるからである。バネ定数が高いと第1弁体6の感度が悪く、一次圧側開口部2からの圧縮空気の流量が絞られやすくなってしまいがちになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る圧縮空気供給装置に高圧用プラグを装着した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図2】上記圧縮空気供給装置に超高圧用プラグを装着した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)(b)は常圧用プラグと超高圧用プラグとを装着できるカプラの形態を示す断面図である。
【図4】常圧と高圧と超高圧用のプラグを装着できる圧縮空気供給装置の実施形態を示す断面図である。
【図5】上記圧縮空気供給装置に常圧圧用プラグを装着した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図6】上記圧縮空気供給装置に高圧用プラグを装着した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図7】上記圧縮空気供給装置に超高圧用プラグを装着した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図8】上記圧縮空気供給装置の他の実施形態の要部の断面図である。
【図9】上記圧縮空気供給装置のさらに他の実施形態の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 一次圧側開口部
3 二次圧側開口部
4 調整シリンダ
6 第1弁体
7 第2弁体
15 調圧バネ
16 作動杆
11 調整ピストン
10 ステム
9 カプラ
32 常圧用プラグ
33 高圧用プラグ
34 超高圧用プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気供給装置本体に設けられたハウジングの一側に圧縮空気供給源に通じる一次圧側開口部を、他側に接続機器用カプラに通じる二次圧側開口部を形成し、両開口部間に圧縮空気の導通空間を形成するとともに、調整シリンダを一次圧側開口部に開口させて配置し、該調整シリンダ内に摺動自在に配置された調整ピストンの一側には上記一次圧側開口部に設けられた第1弁体を押し込み可能な押圧部と上記導通空間内の圧縮空気を受圧する受圧面とを有するとともに、他側は調圧バネにより常時上記押圧部を押圧方向に付勢し、
上記二次圧側開口部に設けた第2弁体と上記第1弁体との間には作動杆を配置し、第2弁体が一定の移動量を越えて作動したときに上記作動杆が第1弁体を押圧可能とし、
上記カプラに常圧又は第一の高圧用プラグと第二の高圧用プラグとを装着可能とし、常圧又は第一の高圧用プラグを装着したときは上記第2弁体を上記移動量を越えない範囲で押し込み、第二の高圧用プラグを装着したときは上記第2弁体を上記移動量を越えて押し込み可能とした
ことを特徴とする圧縮空気供給装置。
【請求項2】
上記調整シリンダの第2弁体側に第2調整シリンダを設け、この第2調整シリンダに摺動自在に設けられた第2調整ピストンと上記調整ピストンとを連結杆を介して連結し、上記作動杆を上記第2調整シリンダを貫通させるとともに、上記作動杆には上記第2調整シリンダの底部の貫通孔の内面とシールするシール部材を取り付け、
上記第2弁体が上記作動杆を上記シール部材が外れる程度作動させたとき、上記導通空間内の圧縮空気が上記貫通孔から上記第2調整ピストンと上記底部との間に導入されるようにし、
上記カプラに常圧用プラグと第一の高圧用プラグと第二の高圧用プラグとを装着可能とし、第一の高圧用プラグを装着したときは、上記第2弁体が上記作動杆を上記シール部材が外れる程度で、上記一定の移動量を越えない程度に押し込み可能とした
ことを特徴とする、請求項1に記載の圧縮空気供給装置。
【請求項3】
上記連結杆に代え、上記第2調整ピストンに突軸を設け、この突軸を調整シリンダ内に突出させ、突軸の先端にはバネ受けを形成し、このバネ受けと上記調整ピストンとの間に配置された調圧バネにより常時上記押圧部を押圧方向に付勢することを特徴とする、請求項2に記載の圧縮空気供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−16911(P2007−16911A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199264(P2005−199264)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】