説明

圧迫用衣類の適合

【課題】圧迫療法を受けている患者において使用するための圧迫用衣類の適合を最適化すること。
【解決手段】本発明の局面を実施する、圧迫処置を与えるためのシステムは、装着者の身体部分の周りに実質的に巻かれるようなサイズおよび形状にされた衣類を備える。この衣類は、1つ以上のファスナーおよび1つ以上の選択的に膨張可能なブラダーを有する。これらのファスナーは、身体部分の周りの自己保持性の巻かれた構成にこの衣類を固定するためのものである。これらのブラダーは、膨張の際にこの身体部分に圧迫を付与するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
動けない患者などのヒトの主要な懸念事項は、血液中に血餅を形成する医療状態(例えば、深部静脈血栓症(DVT)および末梢性浮腫)である。このような患者およびヒトはしばしば、外科手術、麻酔、長期間の床上安静などを受けている患者を含む。これらの血餅形成条件は一般に、下肢および/または骨盤の深部静脈において起こる。これらの静脈(例えば、腸骨静脈、大腿静脈、膝窩静脈および脛骨静脈)は、脱酸素された血液を心臓に戻す。これらの静脈における血液循環が、例えば、疾病、損傷、または不活性に起因して遅延させられる場合、血液が蓄積または貯留する傾向がある。血液の静的貯留は、血餅の形成をもたらし得る。この状態に関連する主要な危険は、心臓血管循環の妨害である。最も重大なことには、血餅の断片が脱出して移動し得ることである。肺動脈塞栓が、主要な肺動脈を潜在的に遮断するこの断片から形成され得、このことは、生命を脅かし得る。
【0002】
脈管圧迫システムは、患者の身体の標的化された領域(例えば、脚、足または腕などの肢体)における血流を改善するために、頻繁な用途を見出している。従来の圧迫システムは代表的に、標的化された領域に圧迫力を付与するための圧迫用衣類を組み込む。このシステムは、圧縮空気の断続的なパルスまたは周期的なパルスを、この衣類の少なくとも1つの膨張可能チャンバに送達し、この膨張可能チャンバが次に、膨張して、この衣類が装着されている身体部分を圧迫する。この圧迫用衣類の周期的な膨張は、DVTの発生の可能性を減少させ、そして血流を改善させるための、非侵襲性予防方法を提供する。
【0003】
任意の圧迫システムを非効率的にする主要な原因は、緩く取り付けられた圧迫用衣類を膨張させるために必要とされるエネルギーの浪費である。この衣類と患者との間のあらゆる隙間を占有するために、最初の充填中および各引き続く膨張中に、適合を確立するために、比較的大きい体積の空気が必要とされる。使用者(例えば、看護士または患者)は、快適であり依然として効果的な適合を達成しようと試みて、この衣類のストラップ、留め具、巻き具などを調節する。この衣類の良好な適合を決定するために使用される大まかなアプローチは、1本以上の指を、この衣類と肢体との間の空間に挿入することを包含する。正確さを欠くことに加えて、このアプローチの欠点としては、使用中の適合を監視することが不可能であること、および通常でない肢体の輪郭(例えば、大きい筋肉または腫脹した組織)への適合を調節することが困難であることが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
装着者の身体部分の実質的に周りに巻かれるようなサイズおよび形状にされた衣類であって、該衣類は、1つ以上の選択的に膨張可能なブラダーを備え、該ブラダーは、膨張の際に、該身体部分に圧迫を付与するためのものである、衣類;
該身体部分の周りに該衣類を自己保持性の巻かれた構成で固定するための1つ以上のファスナー;
該衣類に形成された少なくとも1つの容量センサであって、該センサは、該衣類が該巻かれた構成にある場合に、該衣類と該身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる、容量センサ;ならびに
圧迫制御ユニットであって、
流体を加圧するためのポンプ;
該ポンプと流体連絡する出口ポートであって、該出口ポートは、加圧された流体を該膨張可能なブラダーに送達するために該出口ポートに接続された流体配管を有する、出口ポート;および
1つ以上のプロセッサであって、該衣類と該身体部分との間の隙間に基づいて、該身体部分への該衣類の全体的な適合を評価するために、該容量センサから該信号を受信して応答する、1つ以上のプロセッサ、
を備える、圧迫制御ユニット、
を備える、圧迫処置を与えるためのシステム。
【0005】
(項目2)
前記容量センサが、前記衣類に形成されたプリント伝導性素子である、上記項目に記載のシステム。
【0006】
(項目3)
各膨張可能なブラダーが、該膨張可能なブラダーに形成された少なくとも1つの容量センサを有する、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
【0007】
(項目4)
前記衣類が1つ以上の局部適合の領域を備え、各局部適合の領域が、該領域に形成された少なくとも1つの対応する容量センサを有し、そして調節可能ファスナーが、各容量センサの近くに形成されて、該対応する容量センサの近隣における該衣類の局部適合を調節する、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
【0008】
(項目5)
前記制御ユニットが、無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備え、
各容量センサが、該RF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、
各容量センサが、該容量センサと前記身体部分との間の隙間の関数として、該発振器回路においてRF吸収電流を発生させ、
該発振器回路の共鳴振動数が、該容量センサと該身体部分との間の隙間の関数として変動し、そして
該RF吸収電流および該共鳴振動数のうちの少なくとも1つが、該容量センサの近隣における前記衣類の局部適合を示す、
上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
【0009】
(項目6)
前記制御ユニットが、適合インジケータをさらに備え、該適合インジケータが、
複数の視覚インジケータであって、該視覚インジケータの各々が、前記容量センサのうちの1つに対応し、そして該対応する容量センサの近隣における前記衣類の局部適合を示す、複数の視覚インジケータ;および
該衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音、
のうちの1つ以上を含む、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
【0010】
(項目7)
身体部分への配置のために構成された圧迫用衣類であって、該衣類は、少なくとも1つの選択的に膨張可能なブラダーを有し、該ブラダーは、膨張の際に該身体部分に圧迫を付与するためのものである、圧迫用衣類;
該衣類に形成された複数の容量センサであって、該容量センサの各々は、該衣類が該身体部分に配置される場合に、該衣類と該身体部分との間の隙間を示す信号を発生させ、該センサは、適切な作動について指定された1つ以上の局部適合の領域を規定し、該領域は各々、該領域に形成された該複数の容量センサのうちの少なくとも1つを有し、該容量センサの各々から発生された信号は、それぞれの該局部適合の領域における該衣類と該身体部分との間の隙間を示す、複数の容量センサ;および
該ブラダーを選択的に膨張させるための圧迫制御ユニットであって、該制御ユニットは、該複数の容量センサに作動可能に接続されたプロセッサを備え、該プロセッサは、該身体部分への該1つ以上の局部適合の領域の各々の適切な適合を、該複数の容量センサからの該発生された信号の関数として示すための構成にされており、これによって、圧迫処置の効力を改善させる、圧迫制御ユニット、
を備える、圧迫用衣類アセンブリ。
【0011】
(項目8)
前記対応する領域の前記局部適合を調節して、適切な適合を達成するために、調節可能ファスナーが各容量センサの近くに形成されている、上記項目に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【0012】
(項目9)
無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備え、各容量センサが、該RF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、各容量センサは、対応する局部適合の領域において、該容量センサと患者の身体部分との間の隙間の関数として、該発振器回路においてRF吸収電流を発生させ、そして該発振器回路の共鳴振動数は、該対応する局部適合の領域における、該容量センサと該患者の肢体との間の隙間の関数として変動する、上記項目のいずれか1項に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【0013】
(項目10)
前記コントローラが適合インジケータをさらに備え、該適合インジケータは、
複数の視覚インジケータであって、該視覚インジケータの各々が、前記複数の容量センサのうちの1つに対応し、そして前記対応する局部適合の領域における前記衣類の適切な適合を示す、複数の視覚インジケータ;および
前記肢体に対する前記圧迫用衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音、
のうちの1つ以上を含む、上記項目のいずれか1項に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【0014】
(項目11)
圧迫用衣類に形成された容量センサにより発生された信号を受信する工程であって、該信号は、使用中の該衣類と患者との間の隙間を示す、工程;
1つ以上のセンサからの該信号を評価して、該衣類と該患者との間の該隙間に基づいて、肢体への該衣類の全体的な適合を決定する工程;
該患者による該圧迫用衣類の使用を決定する工程;および
決定された該全体的な適合および決定された該衣類の使用の関数として、コンプライアンス効力データを生成する工程、
を包含する、患者による圧迫用衣類の使用を監視する方法。
【0015】
(項目12)
前記衣類が、該衣類を前記患者に固定する調節可能ファスナーを備え、前記評価する工程が、該衣類が該患者のために適切なサイズにされているか否かを決定する工程をさらに包含し、該決定する工程が、
使用中に該調節可能ファスナーによって、可変コンデンサを形成する工程;
該可変コンデンサのキャパシタンスを評価する工程;
該キャパシタンスが所定の最大値以上である場合、該衣類が該患者に対して大きすぎることを示す工程;
該キャパシタンスが所定の最小値以下である場合、該衣類が該患者に対して小さすぎることを示す工程;および
該キャパシタンスが該規定の最大値と該規定の最小値との間である場合、該衣類が該患者に対して適切なサイズであることを示す工程、
を包含する、上記項目に記載の方法。
【0016】
(項目13)
前記調節可能ファスナーが、1対の重なるフックタブおよびループタブを備え、各タブが、該タブにプリントされた伝導性ストリップを有し、前記評価されるキャパシタンスが、該重なるフックタブとループタブとの該伝導性ストリップ間の重なり面積の関数であり、そして該評価されるキャパシタンスがさらに、重なるフックタブとループタブとの伝導性ストリップ間の相対的整列の関数である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
【0017】
(項目14)
前記圧迫用衣類が、所望の適合の複数の重大な領域を備え、各重大な領域が、該重大な領域に形成された少なくとも1つの容量センサを有し、該衣類の全体的な適合が、該複数の重大な領域に対応する該複数のセンサの関数として決定される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
【0018】
(項目15)
前記容量センサから受信された信号の変動を監視する工程であって、該監視された変動が、前記患者における全身血液循環によって引き起こされた、前記衣類と該患者との間の隙間の変動を示す、工程;
静脈再充填時間(VRT)値を、該監視された変動の関数として計算する工程;および
該VRT値が所定の下限未満である場合、非コンプライアンスを示す警告インジケータを誘発する工程、
をさらに包含する、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
【0019】
(摘要)
圧迫療法を受けている患者において使用するための圧迫用衣類の適合を最適化する。この衣類に形成されたセンサが、各センサの近隣における、この衣類の適合の特徴を検出する。これらの適合センサは、この衣類に刻印付けされた容量性ディスクであり得る。コントローラが、これらのセンサからの信号に基づいて、患者へのこの衣類の全体的な適合を算出する。
【0020】
(要旨)
手短に言えば、本発明の局面を実施する、圧迫処置を与えるためのシステムは、装着者の身体部分の周りに実質的に巻かれるようなサイズおよび形状にされた衣類を備える。この衣類は、1つ以上のファスナーおよび1つ以上の選択的に膨張可能なブラダーを有する。これらのファスナーは、身体部分の周りの自己保持性の巻かれた構成にこの衣類を固定するためのものである。これらのブラダーは、膨張の際にこの身体部分に圧迫を付与するためのものである。このシステムはまた、この衣類に形成された少なくとも1つの容量センサを備える。このセンサは、この衣類が巻かれた構成にある場合に、この衣類と身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる。圧迫制御ユニット(これは、流体を加圧するためのポンプを備える)は、加圧された流体を膨張可能なブラダーに、このポンプと流体連絡する出口ポートを介して送達する。この圧迫制御ユニットはまた、1つ以上のプロセッサを備え、このプロセッサは、この衣類とこの身体部分との間の隙間に基づいて、この身体部分へのこの衣類の全体的な適合を評価するために、この容量センサから信号を受信して応答する。
【0021】
1つの局面において、圧迫用衣類アセンブリは、身体部分への配置のために構成された圧迫用衣類を備える。この衣類は、少なくとも1つの選択的に膨張可能なブラダーを有し、これらのブラダーは、膨張の際にこの身体部分に圧迫を付与するためのものである。このアセンブリはまた、この衣類に形成された複数の容量センサを備える。各容量センサは、この衣類がこの身体部分に配置される場合の、衣類と身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる。これらのセンサは、適切な作動について指定された、1つ以上の局部適合の領域を規定し、各領域には、これらの複数の容量センサのうちの少なくとも1つが形成される。容量センサの各々から発生された信号は、それぞれの局部適合の領域における衣類と身体部分との間の隙間を示す。このアセンブリはまた、このブラダーを選択的に膨張させるための圧迫制御ユニットを備える。制御ユニットのプロセッサは、これらの複数の容量センサに作動可能に接続され、そして容量センサから発生された信号の関数として、身体部分への、1つ以上の局部適合の領域の各々の適切な適合を示すために構成される。この様式で、この圧迫用衣類アセンブリは、圧迫処置の効力を改善する。
【0022】
患者による圧迫用衣類の使用を監視する方法は、本発明のさらなる局面を実施する。この方法は、この衣類に形成された容量センサにより発生された信号を受信する工程を包含し、この信号は、使用中の衣類と患者との間の隙間を示す。この方法はまた、1つ以上のセンサからの信号を評価して、衣類と患者との間の隙間に基づいて、肢体への衣類の全体的な適合を決定する工程を包含する。さらにこの方法は、患者による圧迫用衣類の使用を決定する工程、ならびにコンプライアンス効力データを、決定された全体的な適合および決定された衣類の使用の関数として生成する工程を包含する。
【0023】
他の目的および特徴は、部分的に明らかであり、そして部分的に本明細書中以下で指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、患者に圧迫処置を与えるためのシステムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態による、巻かれていない構成にある圧迫用衣類の正面図である。
【図3】図3は、使用中の図2の圧迫用衣類を図示する。
【図4】図4は、図3の面4−4で見た拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態による適合インジケータの正面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の1つの実施形態によるコンプライアンス効力データを生成するための例示的な流れ図である。
【図6B】図6Bは、本発明の1つの実施形態によるコンプライアンスを監視するための例示的な流れ図である。
【図7】図7は、本発明の1つの実施形態による、図3の面7−7で見た拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の1つの実施形態による伝導性ストリップの相対的整列および重なりを図示する、重なる伝導性ストリップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
対応する参照文字は、図面全体にわたって対応する部品を示す。
【0026】
(詳細な説明)
図1は、本発明の1つの実施形態による、患者に圧迫処置を与えるためのシステム(一般に100で示される)を概念的に図示する。システム100は、圧迫用衣類102、コントローラ104、およびポンプ106を備える。コントローラ104は、出口ポート(参照文字106によってもまた示される)に接続された配管を介して衣類102を選択的に膨張させるように、ポンプ106の作動を制御する。コントローラ104はまた、複数の適合センサS〜Sから信号を受信し、そして適合インジケータ108を介して、使用中の患者に対する衣類102の適合を、適合センサS〜Sにより発生された信号の関数として示すように構成される。
【0027】
図2を参照すると、本発明の局面を実施する圧迫用衣類が、一般に202で表され、そして巻かれていない構成で図示されている。一方で、図3は、断続的な選択的な圧迫を付与するために、使用中の巻かれた構成で患者の身体部分に装着された場合の衣類202を図示する。図3に示されるように、衣類202は、例えば、患者の脚に装着される。
【0028】
図2を再度参照すると、圧迫用衣類202は、患者の身体部分(例えば、脚)に圧迫を選択的に付与するための、1つ以上の膨張可能なブラダー(図示せず)を備える。任意の数、任意の形状、および任意の構成の膨張可能なブラダーが、本発明の範囲内である。衣類202はまた、この衣類を患者の適所に自己保持性の構成で固定するための、1組以上のファスナー204A〜204D、212A〜212Dを備える。図2は、この目的のフックタブ(204A〜204D)および対応するループタブ(212A〜212D)を図示する。あるいは、これらのファスナーは、他の手段(例えば、留め具ならびに/またはフック巻き具およびループ巻き具)を備え得る。任意の位置決めデバイスが、本発明の範囲内である。
【0029】
望ましくは、衣類202は、1つ以上の指定された局部適合の領域を有する。上記のように、不完全に適合された衣類は、望ましくない隙間を満たすための貴重な空気体積およびポンプエネルギーを浪費する。衣類202はまた、この衣類が患者に配置される場合に使用するために構成された、適合最適化機構を備える。1つの実施形態において、この適合最適化機構は、適合センサ224A〜224D、適合インジケータパネル240、伝導性トレース242、およびコントローラ244を備える。後に詳細に記載されるように、適合センサ224A〜224Dからの信号が監視されて、患者の脚への衣類202の適合を確立し、改善し、そして/または監視する。図示される実施形態において、各局部適合の領域は、使用中の調節および監視のために、適合センサ(例えば、224A)、およびこの適合センサのすぐ近隣に形成された対応するファスナー(204A、212A)を有する。このような領域は、衣類202が患者に配置される場合に形成される代表的な空隙に関連する。図2および図3に最もよく図示されるように、脚に対する適合のためのこのような領域の例としては、ふくらはぎの上部(脚スリーブが使用される場合)(ファスナー204C、212Cおよびセンサ224C)、ふくらはぎと足首との間(ファスナー204D、212Dおよびセンサ224D)、ならびに大腿の上部(ファスナー204A、212Aおよびセンサ224A)と大腿の下部(ファスナー204B、212Bおよびセンサ224B)との両方(大腿圧迫ブラダーが使用される場合)が挙げられ得る。図3は一般に、上記参照文字により示されるように、これらの位置の各々に形成されたセンサ224A〜224Dを図示する。1つの実施形態において、衣類202の各膨張可能なブラダーは、これらのブラダーに形成されたセンサを有し得る。衣類設計のバリエーション(例えば、ブラダーの数および形状、ファスナーの配置など)は、本発明の範囲内である。
【0030】
衣類202は、この衣類を作動させるためにこの衣類に取り付けられたかまたは他の様式で一体化された、圧迫コントローラ244をさらに備える。コントローラ244は、好ましくは、使用が容易であり、邪魔にならず患者の動きやすさの妨害もしないサイズにされる。コントローラ244はまた、好ましくは、加圧された空気を衣類202に送達するためのポンプ/ポート106(図1を参照のこと)、および加圧された空気を衣類に送達するための関連する配管(図示せず)を備える。あるいは、図1に図示されるように、このポンプは、この衣類上で、このコントローラとは別に形成され得る(例えば、ポンプ106およびコントローラ104)。この配管は、望ましくは、この衣類の表面と同一面であるかまたはこの衣類内に隠されており、そして患者の動きに起因する伸長に適応するように、本質的に弾力性であり得る。コントローラ244は、衣類202を操作することに関連する種々の機能(衣類の適合感知および監視、患者のコンプライアンスなどが挙げられるが、これらに限定されない)を実施するための、1つ以上のプロセッサ(図示せず)をさらに備える。好ましくは、保護ハウジングがコントローラ244を遮蔽する。当業者は、コントローラ244の制御機能および監視機能を実装するために適切な種々のプロセッサをよく知っている。望ましくは、コントローラ244のプロセッサは、最低の電力を消費し、そしてスリープモードを有する。また、このプロセッサは、センサからのアナログ入力(例えば、容量性周波数および/または電流負荷)ならびにデジタル入力を受容するように作動可能であり得る。このプロセッサはまた、変化した出力(表示信号、可聴信号、および履歴情報が挙げられる)を提供することが可能であり得る。履歴情報は、システムパラメータ(例えば、効力)を測定するために利用され得る。
【0031】
図2をなお参照すると、適合センサ224A〜224Dのうちの1つ以上は、患者への衣類の適合を評価するために、衣類202に形成される。好ましい実施形態において、適合センサ224A〜224Dは、プリント伝導性素子のパッチであるが、他の形態のセンサが、本発明の範囲内である。センサ224A〜224Dは、衣類202の局部適合の領域またはその近くに形成され得る。この様式で、センサ224A〜224Dは、効率的な作動のために衣類製造者により指定されるような、最も重大な領域における適合を評価および監視するために使用され得る。
【0032】
224A〜224Dの各々は、図示されるように、接続素子またはトレース242を介してコントローラ244に接続される。好ましくは、この接続は、衣類202自体の上のPCB(プリント回路基板)技術と類似のプリント配線を介してなされる。この様式で、かさ高く曲がりくねったワイヤの使用が排除され、衣類202の小型化を補助する。コントローラ244をセンサ224A〜224Dに接続する他の手段(無線手段が挙げられる)は、本発明の範囲内である。
【0033】
ここで図4を参照すると、本発明の局面が、衣類402に関連して示される。コントローラ244の無線周波数(RF)源が、センサ224A〜224Dへの印加のためのRF信号を発生させるために使用され得、これによって、RF回路を完成させる。この様式で、1つのセンサ424について図4に最もよく図示されるように、衣類402に形成された各センサ424が、容量性ディスク(参照文字424によってもまた示される)として機能する。ディスク424が、426に示されるような患者の身体のより近くに移動させられるにつれて、ディスク424からのRFエネルギーが、図示されるように、間隔Gの隙間428の関数として患者に吸収される。これは次に、RF回路における負荷を生じ、この負荷は、間隔G(すなわち、ディスク424から患者426への容量結合)に従って変動する。ディスク424により発生させられたRF吸収電流は、コントローラ244によって収集および監視され、そして適切なアルゴリズムが、これらの電流値を適合値に変換する。1つの実施形態において、電流分流器が、RFをコントローラ244から容量センサ224A〜224Dへと送達する。患者がRFエネルギーのためのシンクとして働くので、高レベルの循環RFエネルギーが、このRF回路の信号レベルを維持するために必要とされ得る。電流分流器は、これらの大きい電流値の測定および送達のために有利であり、そしてさらに、例えば等価なホール効果電流センサよりも、より正確かつ経済的であると考えられる。
【0034】
代替の実施形態において、隙間428が変動すると、RF源、ディスク424、および患者414により形成されるRF回路の周波数が、隙間410の関数として変動する。次いで、適切なアルゴリズムが、この変化する周波数を監視して、適合値を決定する。
【0035】
図2および図3を再度参照すると、センサ224A〜224Dの各々の周りでの衣類202の局部適合の適合値、および全てのセンサ224A〜224Dからの信号に対応する合計の適合値は、可能な任意の手段で計算され得る。好ましい実施形態において、センサ224A〜224Dの各々は、図示されるように、対応するファスナー204A〜204Dの近くに形成され、そして先に議論されたような所望の局部適合の領域に対応する。次いで、(例えば)センサ224AからのRF信号を、対応する局部適合の領域について認容可能な値と比較することによって、適合が評価され、そしてこの信号が既知の値(すなわち、閾値)を超える場合、センサ224Aについての認容可能な局部適合が示される。
【0036】
適合は、数種の手段によって使用者に示され得る。1つの実施形態において、視覚インジケータが使用される。図2および図3を参照すると、図5に最もよく図示されるように、発光ダイオード(LED)パネル502が衣類202に形成され、そしてコントローラ244に作動可能に接続される。パネル502は、複数のLED510A〜510Dを備え、各々が、容量センサ224A〜224Dのうちの1つに対応する。(例えば)センサ224AからのRF信号がその認容可能な値に達すると、対応するLED510Aが発光して、認容可能な適合を示す。使用者は、全てのLED510A〜510Dが発光して衣類202の適切な適合が達成されたことを示すまで、センサ224A〜224Dの近くのファスナー204A〜204D、212A〜212Dを調節する。LED510A〜510Dは、表示パネル502上に任意の様式で配置され得る。例えば、図の重ね合わせは、センサ224A〜224Dに対するLED510A〜510Dの各々の位置をマッピングする視覚指標を提供する。図3は、LED510A〜510Dが使用者を視覚的に補助するように配置された、好ましい配置を図示する。代替の実施形態において、LEDパネルは、コントローラ自体に形成され得る。なお別の実施形態において、この視覚インジケータは、このコントローラと一体的である(例えば、他のコントローラ特徴もまた備え得るコントローラの本体上のLCDディスプレイ)。
【0037】
代替の実施形態において、可聴インジケータが、センサ224A〜224Dにより決定されるような衣類202の全体的な適合の信号を送るために使用される。衣類202を適合させる間に使用者により聞かれる可聴音は、最適な適合を示す。全体的な適合(センサ224A〜224Dの全てからの全体的な適合値を計算することにより決定される)が改善されるにつれて、その音はピッチを感知できるほどに増加させる。センサ224A〜224Dの全てが認容可能な適合を検出する場合、その音は無音になる。適合の変化を示すための可聴音に対する他の代替の改変(例えば、音量、音)が可能であり、そして本発明の範囲内である。
【0038】
本発明の1つの局面による、患者による図2および図3の圧迫用衣類202の使用を監視する方法が、図6Aに一般的に図示されている。602において、衣類202のコントローラ244が、上記のように、RF信号をセンサ224A〜224Dのうちの1つ(例えば、センサ224A)から受信する。説明の目的で、1つのセンサ224Aが記載されるが、この方法は、複数のセンサ224A〜224Dに容易に敷衍可能である。図4に関連して先に記載されたように、受信されたRF信号は、センサ424と患者の身体部分426との間の隙間428の間隔Gを示す。604において、このRF信号はキャパシタンスに変換され、そして606Aにおいて、コントローラ244は、推定されたキャパシタンスを認容可能な閾値または推奨値と比較する。次いで、コントローラ244は、衣類202が認容可能な適合を有するか否かを決定する。
【0039】
コントローラ244は、606Bにおいて、使用者による衣類202の使用とセンサ224AからのRF信号とを同時に監視する。衣類の使用の監視は、当該分野において公知である任意の手段(圧力センサ、温度センサ、電気回路を完成させる伝導性のフックおよびループファスナーなど)によって実施され得る。1つの例において、圧力センサのデータが、コンプライアンスの尺度として、付与された圧力を決定するために使用される。次いで、610において、コントローラ244が、センサ224Aからの適合情報を、コンプライアンス情報と相関付けて、治療の効力、および/またはコンプライアンスの質を決定する。
【0040】
図6Bは、センサ224A〜224Dのうちの1つ以上(例えば、センサ224A)からのRF信号がコンプライアンス監視のために使用され得る実施形態を図示する。圧迫サイクル中に、肢体は、比較的高い圧力を、静脈再充填の関数として衣類202に付与し、これによって、間隔Gを減少させる。すなわち、圧迫サイクル中に肢体から除かれた血液が、その後、その肢体に戻る。測定可能な静脈再充填時間(VRT)は、ほとんどの圧迫療法と関連付けられる。静脈再充填により引き起こされる、隙間410のこの周期的な変化は、センサ224AからのRF信号の周期的な変動として検出され得る。コントローラ244は、620において、RF信号をセンサ224Aから受信し、そして624において、経時的に受信されたRF信号の変動を監視する。626において、このVRT値は、これらの変動から計算され得る。630において、この計算されたVRTは、例えば30秒間〜60秒間、正常値と比較される。このVRTが上限より高い場合、患者が衣類202を装着していないと仮定され、632において非コンプライアンスが示される。
【0041】
代替またはさらなる実施形態において、コントローラ244はさらに、患者に対する衣類702のサイズを疑うように作動可能である。図7に図示されるように、この実施形態は、衣類702のファスナーを、重なる上タブ702Aおよび下タブ702Bとして設計することを包含する。タブ702A〜702Bの各々は、そのタブにプリントされた伝導性ストリップ706A、706Bをそれぞれ有する。タブ702A〜702Bは、そのタブに形成されたフック構造体およびループ構造体、または互いに取り付けられる他の手段を有し得る。ストリップ706A〜706Bは、衣類702の着用中に互いに整列して、実際に可変コンデンサを形成する。衣類702の巻きの増加は、伝導性ストリップ706A〜706B間の重なり面積OLの増加をもたらし、従って、測定されるキャパシタンスがより大きくなる。コントローラ244がこのキャパシタンスを測定し、そしてこのキャパシタンスが上限値を超える場合(有意な重なりを示す)、コントローラ244は、衣類702が使用のためには大きすぎることを使用者に示す。他方で、このキャパシタンスが低すぎる場合(小さい重なり)、コントローラ244は、衣類702が小さすぎること、およびより大きいサイズが推奨されることを、使用者に示す。
【0042】
さらに、または代替的に、ストリップ706A〜706Bが正しく整列していない場合、エラーコードが生成される。図8に図示されるような実施形態において、伝導性ストリップ806A〜806B(伝導性ストリップ706A〜706Bに対応する)は、対応するタブ702A〜702B(明りょうにするために図8には示されない)が正しく整列しない場合、重なり面積OL’(面積OLに対応する)および測定されるキャパシタンスの急激な減少を起こすために充分に狭い。代替の実施形態(図示せず)において、タブ702A〜702B上の線の印が提供されて、使用者がこれらのファスナーを正しく整列させることを補助する。次いで、測定されるキャパシタンスは、重なりOL’の量とストリップ806A〜806Bの正しい整列との両方の関数である。上記のように、測定されたキャパシタンスが閾値を超える場合、認容可能な衣類サイズおよび適切な整列が、使用者に示される。
【0043】
本発明の種々の局面を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、改変および変更が可能であることが明らかである。例えば、センサ224A〜224Dは、理想的には、効果的な局部適合指標のために充分に小さいが、区別可能な信号を発生させるために充分に大きいサイズにされる。伝導性トレース242もまた、容量値を有し得、この容量値は、測定されるキャパシタンスをゆがめ得る。従って、センサ224A〜224Dは、望ましくは、測定されるキャパシタンスの有意な成分を提供するために充分に大きい表面積を有する。換言すれば、センサ224A〜224Dの表面積とトレース242の表面積との間の比は、本発明のシグナルノイズ比(SNR)を決定する。1つの実施形態において、センサ224A〜224Dは、約15mmの直径であり、円板形状である。あるいは、センサ224A〜224Dが種々のサイズにされることが、さらに可能である。この様式で、各センサは、指定された適合の測定および監視の領域に合うための形状およびサイズにされ得る。
【0044】
別の例として、図6Aおよび図6Bに図示される実施形態が組み合わせられ得、その結果、センサ224AからのRF信号は、図6Aのコンプライアンス効力データを生成するために、適合の評価とコンプライアンスの監視との両方のために使用され得る。このアプローチは、コンプライアンスを決定するためのさらなるセンサを必要としないので、有利である。
【0045】
図2および図3を再度参照すると、センサ224A〜224Dおよび伝導性トレース242は、好ましくは、記載されるようなプリントされた素子である。しかし、衣類202のいずれの箇所にも取り付け可能な、取り外し可能なセンサを設計することが可能である。この設計は、センサ224A〜224Dの融通の利く配置のために有利である。
【0046】
可撓性、低い輪郭および伝導率の要件を考慮して、任意の適切な構成要素が、プリントされたセンサおよびトレースを構築するために使用され得る。1つの実施形態において、適合センサ224A〜224Dは、炭素負荷したポリエチレンの1つの層として構築された、体積伝導性フィルムであり、これによって、湿度非依存性および生体適合性という利点を提供する。伝導性トレース242は、弾力性を提供する伝導性布(例えば、Amphenol Corporation製のNovonic(登録商標)およびTex|mate(登録商標))から構築され得る。表示パネル502は、低輪郭のフィルムから構築され得る。例えば、ナノフィルムは、伝導性ナノ粒子を1ミクロン程度に薄い透明な見えないフィルム内に備える、超薄型伝導性ナノ複合材料を提供する。このフィルムは、伝導性かつ可撓性である。種々の構成要素間の相互接続は、伝導性の接着性成分(例えば、3MTM異方性伝導性フィルム(ACF)接着剤(伝導性粒子で無作為に負荷された熱可塑性接着剤および熱硬化性接着剤からなる))を介してなされ得る。あるいは、またはさらに、より単純な解決策(例えば、伝導性の接着テープ(例えば、3MTM電気伝導性接着透明テープ、すなわちECATT))が使用され得る。
【0047】
患者の経験を改善するために、小型化の傾向があり、そして圧迫用衣類自体に全ての構成要素を一体化する、より小さくかつより軽量の脈管圧迫システムが、開発されている。このことは、独特な挑戦の群全体を提示する。当業者に即座に明らかになる、限定の継続的なセットが存在する。コントローラは、衣類および患者の肢体への快適な適合のために、サイズを減少されなければならない。その結果として、より小さい弁が、ブラダーに送られる空気の量を減少させ、その結果、ブラダーの体積がより小さくなる。最も重要なことには、これらのより小さいデバイスが、より制限された圧迫能力にもかかわらず、依然として、効果的な治療のために充分な圧迫を提供することが重大である。
【0048】
上記のことを考慮して、本発明の数個の目的が達成され、そして他の有利な結果が達成されることがわかる。圧迫用衣類の適合の最初の監視および引き続く監視により、その圧迫用衣類が、その制限された圧迫能力を考慮して、患者への圧迫力の可能な最も効率的な移動を提供するように配置されることが確実にされる。複数の容量センサを、適切な適合を確立するために重大であるとみなされる衣類の全ての領域に配置することによって、本発明の局面は、使用者に容易には明らかにならない領域を監視し得る。視覚インジケータおよび/または可聴インジケータを提供することによって、使用者は、適切な適合が確立したことを確認または否定するフィードバックを容易に受信し得る。この様式で、衣類が適切に着用される場合、コントローラが作動可能にされ得る。
【0049】
操作において、患者による圧迫用衣類202の使用は、容量センサ224A〜224Dにより発生された信号を受信することにより監視される。これらの信号は一般に、使用中の衣類202と患者との間の隙間を示す。受信された信号は、各センサ位置における衣類と患者との間の隙間に基づいて、肢体への衣類202の全体的な適合を決定するために評価される。患者による衣類202の使用が決定される。次いで、コンプライアンス効力データが、決定された全体的な適合および決定された衣類の使用の関数として、生成される。
【0050】
本発明の局面を実施して圧迫処置を与えるためのシステムは、装着者の身体部分の実質的に周りに巻かれるようなサイズおよび形状にされた衣類を備える。この衣類は、1つ以上のファスナー(この衣類を自己保持性の巻かれた構成で身体部分の周りに固定するためのもの)、および1つ以上の選択的に膨張可能なブラダー(膨張の際にこの身体部分に圧迫を付与するためのもの)を有する。このシステムはまた、この衣類に形成された少なくとも1つの容量センサを備える。このセンサは、この衣類が巻かれた構成にある場合に、衣類と身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる。流体を加圧するためのポンプを備える圧迫制御ユニットが、加圧された流体を膨張可能なブラダーに、このポンプと流体連絡する出口ポートを介して送達する。この圧迫制御ユニットはまた、衣類と身体部分との間の隙間に基づいて身体部分での衣類の全体的な適合を評価するために、容量センサからの信号を受信して応答する、1つ以上のプロセッサを備える。
【0051】
容量センサは、衣類に形成されたプリント伝導性素子であり得る。さらに、または代替的に、各膨張可能なブラダーは、そのブラダーに形成された少なくとも1つの容量センサを有する。さらに、または代替的に、この衣類は、1つ以上の局部適合の領域を備え、各局部適合の領域は、その領域に形成された少なくとも1つの対応する容量センサを有する。
【0052】
さらに、または代替的に、対応する容量センサの近隣におけるこの衣類の局部適合を調節するために、調節可能ファスナーが、各容量センサの近くに形成される。この調節可能ファスナーは、フックストラップとループストラップ、ループ状フックとループストラップ、フック巻き具とループ巻き具、およびベルトと留め具のうちの少なくとも1つであり得る。
【0053】
さらに、または代替的に、この制御ユニットは、無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備える。各容量センサは、容量センサと身体部分との間の隙間の関数として、RF吸収電流を発生させ、このRF吸収電流は、容量センサの近隣におけるこの衣類の局部適合を示す。各容量センサは、このRF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、この発振器回路の共鳴振動数は、容量センサと身体部分との間の隙間の関数として変動し、この共鳴振動数は、容量型電極の近隣におけるこの衣類の局部適合を示す。
【0054】
さらに、または代替的に、この制御ユニットは、適合インジケータをさらに備える。この適合インジケータは、複数の視覚インジケータを備え得る。各視覚インジケータは、容量センサのうちの1つに対応し、そして対応する容量センサの近隣における衣類の局部適合を示す。この視覚インジケータは、発光ダイオードであり得る。さらに、または代替的に、この適合インジケータは、衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音である。
【0055】
1つの局面において、圧迫用衣類アセンブリは、身体部分への配置のために構成された圧迫用衣類を備える。この衣類は、膨張の際にこの身体部分に圧迫を付与するための、少なくとも1つの選択的に膨張可能なブラダーを有する。このアセンブリはまた、この衣類に形成された複数の容量センサを備える。各容量センサは、この衣類が身体部分に配置される場合に、この衣類と身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる。これらのセンサは、適切な作動について指定された、1つ以上の局部適合の領域を規定し、各領域が、その領域に形成された複数の容量センサのうちの少なくとも1つを有する。容量センサの各々から発生された信号は、それぞれの局部適合の領域における、衣類と身体部分との間の隙間を示す。このアセンブリはまた、このブラダーを選択的に膨張させるための圧迫制御ユニットを備える。この制御ユニットのプロセッサは、これらの複数の容量センサに作動可能に接続され、そして容量センサから発生された信号の関数として、身体部分への1つ以上の局部適合の領域の各々の適切な適合を示すための構成にされる。この様式で、この圧迫用衣類アセンブリは、圧迫処置の効率を改善する。
【0056】
この容量センサは、衣類に形成されたプリント伝導性素子であり得る。さらに、または代替的に、調節可能ファスナーは、適切な適合を達成するために対応する領域の局部適合を調節するために、各容量センサの近くに形成される。この調節可能ファスナーは、フックストラップとループストラップ、ループ状フックとループストラップ、フック巻き具とループ巻き具、およびベルトと留め具のうちの少なくとも1つであり得る。
【0057】
さらに、または代替的に、この圧迫用衣類は、無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備える。各容量センサは、対応する局部適合の領域において、容量センサと患者の身体部分との間の隙間の関数として、RF吸収電流を発生させる。各容量センサは、このRF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、この発振器回路の共鳴振動数は、対応する局部適合の領域における、容量センサと患者の肢体との間の隙間の関数として変動する。
【0058】
さらに、または代替的に、このコントローラは、適合インジケータをさらに備える。この適合インジケータは、複数の視覚インジケータを含み得る。各視覚インジケータは、容量センサのうちの1つに対応し、そして対応する容量センサの近隣の衣類の局部適合を示す。この視覚インジケータは、発光ダイオードであり得る。さらに、または代替的に、この適合インジケータは、衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音である。
【0059】
患者による圧迫用衣類の使用を監視する方法が、本発明のさらなる局面を実施する。この方法は、この衣類に形成された容量センサにより発生された信号を受信する工程を包含し、この方法は、使用中の衣類と患者との間の隙間を示す。この方法はまた、1つ以上のセンサからの信号を評価して、衣類と患者との間の隙間に基づいて、肢体への衣類の全体的な適合を決定する工程を包含する。さらに、この方法は、患者による圧迫用衣類の使用を決定する工程、ならびにコンプライアンス効力データを、決定された全体的な適合および決定された衣類の使用の関数として生成する工程を包含する。
【0060】
信号を評価する工程は、その衣類が患者に対して適切なサイズにされているか否かを決定する工程を包含し得る。さらに、または代替的に、この衣類は、この衣類を患者に固定するための調節可能ファスナーを備える。この方法はまた、使用中にこの調節可能ファスナーによって、可変コンデンサを形成する工程、およびこの可変コンデンサのキャパシタンスを評価する工程を包含し得る。この方法はまた、このキャパシタンスが所定の最大値以上である場合にこの衣類が患者に対して大きすぎることを示す工程、およびこのキャパシタンスが所定の最小値以下である場合にこの衣類が患者に対して小さすぎることを示す工程を包含し得る。この方法は、このキャパシタンスが規定の最大値と規定の最小値との間である場合に、この衣類が患者に対して適切なサイズであることを示す工程を包含する。
【0061】
さらに、または代替的に、この調節可能ファスナーは、一対の重なるフックタブおよびループタブを備え、各タブが、そのタブにプリントされた伝導性ストリップを有する。評価されるキャパシタンスは、重なるフックタブとループタブとの伝導性ストリップ間の重なり面積の関数である。評価されるキャパシタンスはさらに、重なるフックタブとループタブとの伝導性ストリップ間の相対的整列の関数であり得る。
【0062】
さらに、または代替的に、この圧迫用衣類は、所望の適合の複数の重大な領域を備える。各重大な領域は、この領域に形成された少なくとも1つの容量センサを有し、そしてこの衣類の全体的な適合は、複数の重大な領域に対応する複数のセンサの関数として決定される。
【0063】
さらに、または代替的に、この方法は、容量センサから受信された信号の変動を監視する工程をさらに包含する。この監視された変動は、患者における全身血液循環によって引き起こされる、衣類と患者との間の隙間の変動を示す。この方法はまた、静脈再充填時間(VRT)値を、監視された変動の関数として計算する工程、およびこのVRT値が所定の下限未満である場合に非コンプライアンスを示す警告インジケータを誘発する工程を包含する。
【0064】
本発明およびその好ましい実施形態の要素を記載する場合、冠詞「ある、1つの(a、an)」、「この、上記、前記、該(the)」および「前記、該(said)」は、これらの要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。用語「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的であり、列挙される要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味することが意図される。
【0065】
種々の変更が上記構成、製品、および方法において、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得るので、上記説明に含まれ、そして添付の図面に示される、全ての事項は、説明であると解釈されるべきであり、限定の意味では解釈されないことが意図される。
【符号の説明】
【0066】
100 システム
102、202 圧迫用衣類
104,244 コントローラ
106 ポンプ
108 適合インジケータ
204A〜204D ファスナー、フックタブ
212A〜212D ファスナー、ループタブ
224A〜224D 適合センサ
240 適合インジケータパネル
242 伝導性トレース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の身体部分の実質的に周りに巻かれるようなサイズおよび形状にされた衣類であって、該衣類は、1つ以上の選択的に膨張可能なブラダーを備え、該ブラダーは、膨張の際に、該身体部分に圧迫を付与するためのものである、衣類;
該身体部分の周りに該衣類を自己保持性の巻かれた構成で固定するための1つ以上のファスナー;
該衣類に形成された少なくとも1つの容量センサであって、該センサは、該衣類が該巻かれた構成にある場合に、該衣類と該身体部分との間の隙間を示す信号を発生させる、容量センサ;ならびに
圧迫制御ユニットであって、
流体を加圧するためのポンプ;
該ポンプと流体連絡する出口ポートであって、該出口ポートは、加圧された流体を該膨張可能なブラダーに送達するために該出口ポートに接続された流体配管を有する、出口ポート;および
1つ以上のプロセッサであって、該衣類と該身体部分との間の隙間に基づいて、該身体部分への該衣類の全体的な適合を評価するために、該容量センサから該信号を受信して応答する、1つ以上のプロセッサ、
を備える、圧迫制御ユニット、
を備える、圧迫処置を与えるためのシステム。
【請求項2】
前記容量センサが、前記衣類に形成されたプリント伝導性素子である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各膨張可能なブラダーが、該膨張可能なブラダーに形成された少なくとも1つの容量センサを有する、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記衣類が1つ以上の局部適合の領域を備え、各局部適合の領域が、該領域に形成された少なくとも1つの対応する容量センサを有し、そして調節可能ファスナーが、各容量センサの近くに形成されて、該対応する容量センサの近隣における該衣類の局部適合を調節する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットが、無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備え、
各容量センサが、該RF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、
各容量センサが、該容量センサと前記身体部分との間の隙間の関数として、該発振器回路においてRF吸収電流を発生させ、
該発振器回路の共鳴振動数が、該容量センサと該身体部分との間の隙間の関数として変動し、そして
該RF吸収電流および該共鳴振動数のうちの少なくとも1つが、該容量センサの近隣における前記衣類の局部適合を示す、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットが、適合インジケータをさらに備え、該適合インジケータが、
複数の視覚インジケータであって、該視覚インジケータの各々が、前記容量センサのうちの1つに対応し、そして該対応する容量センサの近隣における前記衣類の局部適合を示す、複数の視覚インジケータ;および
該衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音、
のうちの1つ以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
身体部分への配置のために構成された圧迫用衣類であって、該衣類は、少なくとも1つの選択的に膨張可能なブラダーを有し、該ブラダーは、膨張の際に該身体部分に圧迫を付与するためのものである、圧迫用衣類;
該衣類に形成された複数の容量センサであって、該容量センサの各々は、該衣類が該身体部分に配置される場合に、該衣類と該身体部分との間の隙間を示す信号を発生させ、該センサは、適切な作動について指定された1つ以上の局部適合の領域を規定し、該領域は各々、該領域に形成された該複数の容量センサのうちの少なくとも1つを有し、該容量センサの各々から発生された信号は、それぞれの該局部適合の領域における該衣類と該身体部分との間の隙間を示す、複数の容量センサ;および
該ブラダーを選択的に膨張させるための圧迫制御ユニットであって、該制御ユニットは、該複数の容量センサに作動可能に接続されたプロセッサを備え、該プロセッサは、該身体部分への該1つ以上の局部適合の領域の各々の適切な適合を、該複数の容量センサからの該発生された信号の関数として示すための構成にされており、これによって、圧迫処置の効力を改善させる、圧迫制御ユニット、
を備える、圧迫用衣類アセンブリ。
【請求項8】
前記対応する領域の前記局部適合を調節して、適切な適合を達成するために、調節可能ファスナーが各容量センサの近くに形成されている、請求項7に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【請求項9】
無線周波数(RF)信号を各容量センサに伝送するためのRF信号発生器をさらに備え、各容量センサが、該RF信号発生器と一緒に発振器回路を形成し、各容量センサは、対応する局部適合の領域において、該容量センサと患者の身体部分との間の隙間の関数として、該発振器回路においてRF吸収電流を発生させ、そして該発振器回路の共鳴振動数は、該対応する局部適合の領域における、該容量センサと該患者の肢体との間の隙間の関数として変動する、請求項7または請求項8に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【請求項10】
前記コントローラが適合インジケータをさらに備え、該適合インジケータは、
複数の視覚インジケータであって、該視覚インジケータの各々が、前記複数の容量センサのうちの1つに対応し、そして前記対応する局部適合の領域における前記衣類の適切な適合を示す、複数の視覚インジケータ;および
前記肢体に対する前記圧迫用衣類の全体的な適合の関数としてピッチを増加させる可聴音、
のうちの1つ以上を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の圧迫用衣類アセンブリ。
【請求項11】
圧迫用衣類に形成された容量センサにより発生された信号を受信する工程であって、該信号は、使用中の該衣類と患者との間の隙間を示す、工程;
1つ以上のセンサからの該信号を評価して、該衣類と該患者との間の該隙間に基づいて、肢体への該衣類の全体的な適合を決定する工程;
該患者による該圧迫用衣類の使用を決定する工程;および
決定された該全体的な適合および決定された該衣類の使用の関数として、コンプライアンス効力データを生成する工程、
を包含する、患者による圧迫用衣類の使用を監視する方法。
【請求項12】
前記衣類が、該衣類を前記患者に固定する調節可能ファスナーを備え、前記評価する工程が、該衣類が該患者のために適切なサイズにされているか否かを決定する工程をさらに包含し、該決定する工程が、
使用中に該調節可能ファスナーによって、可変コンデンサを形成する工程;
該可変コンデンサのキャパシタンスを評価する工程;
該キャパシタンスが所定の最大値以上である場合、該衣類が該患者に対して大きすぎることを示す工程;
該キャパシタンスが所定の最小値以下である場合、該衣類が該患者に対して小さすぎることを示す工程;および
該キャパシタンスが該規定の最大値と該規定の最小値との間である場合、該衣類が該患者に対して適切なサイズであることを示す工程、
を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記調節可能ファスナーが、1対の重なるフックタブおよびループタブを備え、各タブが、該タブにプリントされた伝導性ストリップを有し、前記評価されるキャパシタンスが、該重なるフックタブとループタブとの該伝導性ストリップ間の重なり面積の関数であり、そして該評価されるキャパシタンスがさらに、重なるフックタブとループタブとの伝導性ストリップ間の相対的整列の関数である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧迫用衣類が、所望の適合の複数の重大な領域を備え、各重大な領域が、該重大な領域に形成された少なくとも1つの容量センサを有し、該衣類の全体的な適合が、該複数の重大な領域に対応する該複数のセンサの関数として決定される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記容量センサから受信された信号の変動を監視する工程であって、該監視された変動が、前記患者における全身血液循環によって引き起こされた、前記衣類と該患者との間の隙間の変動を示す、工程;
静脈再充填時間(VRT)値を、該監視された変動の関数として計算する工程;および
該VRT値が所定の下限未満である場合、非コンプライアンスを示す警告インジケータを誘発する工程、
をさらに包含する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−156366(P2011−156366A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21198(P2011−21198)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】