説明

圧電アクチュエータおよびこれを用いた撮像装置

【課題】本発明は、その組立性を改善し、低コスト化を図ることができる圧電アクチュエータおよびこれを用いた撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の圧電アクチュエータD1は、所定の立体形状の圧電部材1と、圧電部材1を4個の領域AA〜ADに分け、各領域AA〜ADのそれぞれに各電圧を印加する4組で一対の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2とを備え、4個の領域AA〜ADにおける所定の境界部を駆動力の出力領域ODx、ODyとするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電現象を用いた圧電アクチュエータに関し、特に、線形独立な複数の方向に移動体を駆動することができる圧電アクチュエータに関する。そして、本発明は、このような圧電アクチュエータを用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電現象(圧電効果)は、結晶体に圧力を加えると、前記圧力に略比例した表面電荷(分極)を生じる現象をいい、逆に、結晶体に電圧を加えると結晶体自体が変形する。このような圧電現象を利用した圧電アクチュエータに「SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)」と称される駆動装置があり、このSIDMは、例えば、駆動装置として特許文献1に開示されている。
【0003】
図17は、特許文献1に開示の駆動装置の構成を示す一部分解斜視図である。この特許文献1に開示の駆動装置は、図17に示すように、電気−機械変換素子としての圧電素子1018と、圧電素子1018に結合して圧電素子1018と共に変位する駆動部材としての駆動軸1013と、駆動軸1013に摩擦結合した被駆動部材としてのズームレンズ鏡筒1011とを備え、圧電素子1018に印加される駆動パルスによる圧電素子1018の伸びと縮みの速度を異ならせることにより、ズームレンズ鏡筒1011が駆動軸1013との摩擦係合により駆動軸1013と共に実質的に移動する状態と、ズームレンズ鏡筒1011が駆動軸1013との摩擦結合に打ち勝って実質的に移動しない状態とをとり得る圧電素子1018を使用した装置である。
【0004】
また、圧電アクチュエータは、例えば、監視カメラ等の指向方向制御やロボットの関節部等に代表される多自由度回転駆動制御系等に応用するために、線形独立な複数の方向に移動体(被駆動部材、被駆動体)を駆動することが要望されている。そこで、前記特許文献1に開示の駆動装置を用いて複数の方向に移動体(前記特許文献1では被駆動部材)を駆動しようとすると、そのような装置は、各方向用に前記特許文献1に開示の駆動装置が複数個必要となるため、複雑な構造となってしまうと共に、高コストになってしまう。
【0005】
一方、このような複数の方向に移動体を駆動可能な圧電アクチュエータとして、例えば、特許文献2に開示の圧電モータがある。図18は、特許文献2に開示の圧電モータの構成を示す図である。図18(A)は、斜視図であり、図18(B)は、上面図であり、そして、図18(C)は、図18(A)に示す破線矩形枠部分の拡大図である。この特許文献2に開示の圧電モータ2000は、図18に示すように、基台2002と、カメラモジュール2003を内装した全体形状が略球体を成す被駆動体2004と、基台2002に設置され、回転軸yおよびこれに直交する回転軸xの2自由度に被駆動体2004を回転自在に支持するジンバル機構2005と、基台2002上の被駆動体2004の下方に位置し被駆動体2004の駆動面に押圧付勢されてこの被駆動体2004の摩擦駆動を行う3次元圧電ユニット2008とを備えて構成される。この3次元圧電ユニット2008は、それぞれ各一端が基台2002に固定された4個の圧電素子2022、2023、2024、2025と、これらの圧電素子2022〜2025の各他端と連結固定されて、これらの圧電素子2022〜2025の合成振動を、駆動力として摩擦を介して被駆動体2004に伝達するための駆動部2026とから構成される。これら圧電素子2022〜2025は、基台2002の面に垂直な軸線に対して所定角度をもって傾斜する傾斜軸線を有し、各傾斜軸線がその延長線上において交差するように被駆動体2004の水平断面の円周方向に等角配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−274544号公報
【特許文献2】特開2009−44856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に開示の圧電モータ2000では、駆動部2026が被駆動体2004に当接された状態で、この駆動部2026が所定の方向に楕円運動、急速変形運動または直線運動し、該運動によって被駆動体2004が回動する。このため、駆動部2026が被駆動体2004に適切に当接するように、圧電素子2022〜2025と駆動部2026とを適切に連結固定するとともに圧電素子2022〜2025を基台2002上に適切に設置する必要があるので、組立性が悪く、コスト高となってしまう。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、組立性を改善し、低コスト化を図ることができる圧電アクチュエータおよびこれを用いた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる圧電アクチュエータは、所定の立体形状の圧電部材と、前記圧電部材を複数の領域に分け、各領域のそれぞれに各電圧を印加する複数の電極とを備え、前記複数の領域における所定の境界部を駆動力の出力領域とすることを特徴とする。
【0010】
このような構成の圧電アクチュエータは、一体の圧電部材を複数の領域に分け、その境界部を駆動力の出力領域とするので、背景技術のような組立の必要がなく、このため、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、他の一態様では、上述の圧電アクチュエータにおいて、前記圧電部材は、複数であって、前記複数の圧電部材は、積層されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成の圧電アクチュエータは、圧電部材が積層構造の複数であるので、単層構造である場合に較べて、同一の印加電圧レベルに対しより高い出力を得ることができる。すなわち、言い換えれば、このような構成の圧電アクチュエータは、単層構造である場合に較べて、同一の出力レベルに対しより低い印加電圧レベルとすることができる。
【0013】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記駆動力の出力領域に摩擦係合し、前記駆動力の出力領域に対し相対的に移動可能な移動体をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成の圧電アクチュエータは、その駆動力を移動体に伝達し、移動体を駆動することができる。
【0015】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記駆動力の出力領域は、複数であって、前記複数の駆動力の出力領域は、互いに線形独立な複数の方向に延びていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、互いに線形独立な複数の方向に駆動力が出力され、多軸(多出力軸)の圧電アクチュエータが提供される。
【0017】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記駆動力の出力領域をコーティングするダイヤモンドライクカーボン層をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
このような構成の圧電アクチュエータは、出力領域の耐摩耗性を改善すること(高めること)ができる。
【0019】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記複数の領域は、4個であることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、2軸(2出力軸)の圧電アクチュエータが提供される。
【0021】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記複数の領域は、3個であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、3軸(3出力軸)の圧電アクチュエータが提供される。
【0023】
また、他の一態様では、これら上述の圧電アクチュエータにおいて、前記出力領域における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を前記複数の電極にそれぞれ供給する駆動電圧供給部をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、いわゆるSIDMと同様の動作原理による圧電アクチュエータが提供される。
【0025】
また、他の一態様にかかる撮像装置は、被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮影方向を変更するように前記撮像部を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、これら上述のいずれかの圧電アクチュエータを含むことを特徴とする。
【0026】
このような構成の撮像装置は、駆動部にこれら上述のいずれかの圧電アクチュエータを含むので、撮影方向を変更することができ、しかも、その組立性を改善することができ、低コスト化も図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる圧電アクチュエータおよびこれを用いた撮像装置は、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態における2軸の圧電アクチュエータの構成を示す図である。
【図2】第1実施形態における2軸の圧電アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける駆動回路の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける通常伸縮モードを説明するための図である。
【図5】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける第1伸縮モードを説明するための図である。
【図6】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける第2伸縮モードを説明するための図である。
【図7】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける駆動電圧の波形を示す図である。
【図8】第1実施形態の圧電アクチュエータにおける各測定点の変位を説明するための図である。
【図9】第2実施形態における、圧電アクチュエータを用いた撮像装置の構成を示す図である。
【図10】第3実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
【図11】第3実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す縦断面図である。
【図12】第4実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図13】第5実施形態における3軸の圧電アクチュエータの構成を示す図である。
【図14】第5実施形態の圧電アクチュエータにおける分極処理の電極の取り方を説明するための図である。
【図15】第5実施形態の圧電アクチュエータにおける各伸縮モードを説明するための図である。
【図16】各領域の圧電部材ブロックを貼り合わせることで製造される圧電アクチュエータを示す図である。
【図17】特許文献1に開示の駆動装置の構成を示す一部分解斜視図である。
【図18】特許文献2に開示の圧電モータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における2軸の圧電アクチュエータの構成を示す図である。図1(A)は、斜視図であり、図1(B)は、各領域を説明するための図である。図2は、第1実施形態における2軸の圧電アクチュエータの構成を示す分解斜視図である。図3は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける駆動回路の構成を示す図である。
【0031】
本実施形態における圧電アクチュエータは、所定の立体形状の圧電部材と、前記圧電部材を複数の領域に分け、各領域のそれぞれに各電圧を印加する複数の電極とを備え、前記複数の領域における所定の境界部を駆動力の出力領域とするものである。
【0032】
このような構成の圧電アクチュエータにおいて、圧電部材は、単層の圧電体によって構成される単層構造であってもよいが、本実施形態における圧電アクチュエータは、単層構造に較べて同一の印加電圧レベルに対しより高い出力を得るために、言い換えれば、単層構造に較べて同一の出力レベルに対しより低い印加電圧レベルとするために、多層(複数層)、例えば、4層の圧電体によって構成される多層構造である。
【0033】
このような4層構造の圧電アクチュエータD1は、例えば、図1および図2に示すように、後述する通常伸縮モードにおける伸縮方向に積層された4個の圧電体1−1、1−2、1−3、1−4を備えた圧電部材1と、この圧電部材1を複数(本実施形態では4個)の領域AA、AB、AC、ADに分け、これら各領域AA〜ADのそれぞれに各電圧を印加する複数(本実施形態では4組)の電極2(2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2)とを備え、これら複数(本実施形態では4個)の領域AA〜ADにおける所定の境界部を駆動力の出力領域ODとするものである。
【0034】
圧電体1−1〜1−4は、それぞれ、圧電現象を発現する所定の圧電材料から形成された板状(層状、膜状)の部材である。圧電体1−1〜1−4は、それぞれ、本実施形態では、例えば、板状の一方主面における法線方向から見た平面視の形状が矩形、より具体的には、略正方形である板状の直方体である。前記圧電材料は、例えば、無機圧電材料であってもよく、また例えば、有機圧電材料であってもよい。無機圧電材料として、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等が挙げられる。また、有機圧電材料として、例えば、フッ化ビニリデンの重合体等が挙げられる。
【0035】
これら圧電体1−1〜1−4を備えて構成される圧電部材1における前記4個の領域AA〜ADは、例えば、図1(B)に示すように、前記平面視における矩形の各辺に平行であって前記平面視における矩形の対角線の交点を通る、互いに直交する2本の境界線によって等面積で区切られている。これら2本の境界線は、図1(B)において、破線で示されている。
【0036】
これら各領域AA〜ADのそれぞれは、各領域AA〜ADのそれぞれに各電圧を印加するための前記4組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2を備えている。
【0037】
より具体的には、領域AAには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2A1;2A2が形成されている。さらにより具体的には、圧電部材1が4個の積層された圧電体1−1〜1−4を備えて構成されていることから、図2に示すように、圧電体1−1の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極2A1−1が形成され、圧電体1−2の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極2A2−2が形成され、圧電体1−3の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極2A1−3が形成され、圧電体1−4の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極2A2−4が形成され、圧電体1−4の他方主面における領域AAに対応する部分には、電極2A1−5(不図示)が形成されている。そして、これら圧電体1−1〜1−4が積層されているので、圧電体1−1にとって電極2A1−1および電極2A2−2が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2A1;2A2として機能し、圧電体1−2にとって電極2A2−2および電極2A1−3が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2A1;2A2として機能し、圧電体1−3にとって電極2A1−3および電極2A2−4が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2A1;2A2として機能し、圧電体1−4にとって電極2A2−4および電極2A1−5が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2A1;2A2として機能している。
【0038】
領域ABには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2B1;2B2が形成されており、さらにより具体的には、図2に示すように、領域AAと同様に、各圧電体1−1〜1−4における領域ABに対応する部分には、電極2B1−1、2B2−2、2B1−3、2B2−4、2B1−5が形成され、これらは、領域ABでの各圧電体1−1〜1−4における前記1組(1対)の電極2B1;2B2として機能している。領域ACには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2C1;2C2が形成されており、さらにより具体的には、図2に示すように、領域AAと同様に、各圧電体1−1〜1−4における領域ACに対応する部分には、電極2C1−1、2C2−2、2C1−3、2C2−4、2C1−5が形成され、これらは、領域ACでの各圧電体1−1〜1−4における前記1組(1対)の電極2C1;2C2として機能している。領域ADには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極2D1;2D2が形成されており、さらにより具体的には、図2に示すように、領域AAと同様に、各圧電体1−1〜1−4における領域ADに対応する部分には、電極2D1−1、2D2−2、2D1−3、2D2−4、2D1−5が形成され、これらは、領域ADでの各圧電体1−1〜1−4における前記1組(1対)の電極2D1;2D2として機能している。
【0039】
また、これら圧電体1−1〜1−4を備えて構成される圧電部材1における各側面には、これら4組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2と後述の駆動電圧供給部3とを電気的に接続するために、複数の側面電極2SA1;2SA2、2SB1;2SB2、2SC1;2SC2、2SD1;2SD2が側面に沿って形成されている。より具体的には、側面電極2SA1は、圧電部材1の一方側面における領域AAに対応する部分に形成され、電極2A1(2A1−1、2A1−3、2A1−5)に接続され、側面電極2SD1は、圧電部材1の前記一方側面における領域ADに対応する部分に形成され、電極2D1(2D1−1、2D1−3、2D1−5)に接続され、側面電極2SB1は、圧電部材1の前記一方側面に対向する一方対向側面における領域ABに対応する部分に形成され、電極2B1(2B1−1、2B1−3、2B1−5)に接続され、側面電極2SC1は、圧電部材1の前記一方対向側面における領域ACに対応する部分に形成され、電極2C1(2C1−1、2C1−3、2C1−5)に接続されている。そして、側面電極2SA2は、圧電部材1の前記一方側面に隣接した他方側面おける領域AAに対応する部分に形成され、電極2A2(2A2−2、2A2−4)に接続され、側面電極2SD2は、圧電部材1の前記他方側面における領域ADに対応する部分に形成され、電極2D2(2D2−2、2D2−4)に接続され、側面電極2SB2は、圧電部材1の前記他方側面に対向する他方対向側面における領域ABに対応する部分に形成され、電極2B2(2B2−2、2B2−4)に接続され、側面電極2SC2は、圧電部材1の前記他方対向側面における領域ACに対応する部分に形成され、電極2C2(2C2−2、2C2−4)に接続されている。なお、図1および図2には、側面電極2SA2、2SB2、2SB1、2SC1が図示され、側面電極2SA1、2SD1、2SD2、2SC2は、図示が省略されている。
【0040】
そして、前記境界線を含む所定の境界部分が駆動力の出力領域ODとされている。本実施形態の圧電アクチュエータD1では、この駆動力の出力領域ODは、複数(本実施形態では2個)であって、これら2個の駆動力の出力領域ODx、ODyは、互いに線形独立な2方向に延びている。より具体的には、出力領域ODxは、領域AAと領域ADとの境界線に沿って伸びるとともに、領域ABと領域ACとの境界線に沿って伸びている。そして、出力領域ODyは、領域AAと領域ABとの境界線に沿って伸びるとともに、領域ADと領域ACとの境界線に沿って伸びている。
【0041】
また、このような構成の圧電アクチュエータD1における各領域AA〜ADのそれぞれに前記所定のレベルの電圧を印加する駆動電圧供給部3は、例えば、図3に示すように、コンデンサCと、4個のスイッチング素子としてのトランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr4と、抵抗素子Rとを備えて構成されるH型駆動回路である。より具体的には、互いに直列に接続されたP−ch FET(P型電界効果トランジスタ)のトランジスタTr1、N−ch FET(N型電界効果トランジスタ)のトランジスタTr2および抵抗素子Rが、電源Vdと接地との間に接続され、この直列接続のトランジスタTr1およびトランジスタTr2に並列に、互いに直列に接続されたP−ch FET(P型電界効果トランジスタ)のトランジスタTr3およびN−ch FET(N型電界効果トランジスタ)のトランジスタTr4が接続され、トランジスタTr1とトランジスタTr3との接続点と接地との間に、コンデンサCが接続されている。これらトランジスタTr1〜Tr4のそれぞれには、これらトランジスタTr1〜Tr4をオンオフするための制御信号ch1〜ch4が図略の制御部から供給される。そして、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点LおよびトランジスタTr3とトランジスタTr4との接続点Mのそれぞれが、圧電部材1の各領域AA〜ADにおける各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2に接続される。
【0042】
より具体的には、圧電部材1の領域AAにおける電極2A1(2A1−1、2A1−3、2A1−5)は、側面電極2SA1を介して、例えば、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点Lに接続され、電極2A2(2A2−2、2A2−4)は、側面電極2SA2を介して、例えば、トランジスタTr3とトランジスタTr4との接続点Mに接続される。圧電部材1の領域ABにおける電極2B1(2B1−1、2B1−3、2B1−5)は、側面電極2SB1を介して、例えば、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点Lに接続され、電極2B2(2B2−2、2B2−4)は、側面電極2SB2を介して、例えば、トランジスタTr3とトランジスタTr4との接続点Mに接続される。圧電部材1の領域ACにおける電極2C1(2C1−1、2C1−3、2C1−5)は、側面電極2SC1を介して、例えば、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点Lに接続され、電極2C2(2C2−2、2C2−4)は、側面電極2SC2を介して、例えば、トランジスタTr3とトランジスタTr4との接続点Mに接続される。圧電部材1の領域ADにおける電極2D1(2D1−1、2D1−3、2D1−5)は、側面電極2SD1を介して、例えば、トランジスタTr1とトランジスタTr2との接続点Lに接続され、電極2D2(2D2−2、2D2−4)は、側面電極2SD2を介して、例えば、トランジスタTr3とトランジスタTr4との接続点Mに接続される。
【0043】
なお、このような構成の駆動電圧供給部3は、圧電部材1の各領域AA〜ADにおける各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2ごとに設けられてもよく(本実施形態では4個)、複数の組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2に対して共通に設けられてもよい(例えば2個)。
【0044】
次に、このような構成の圧電アクチュエータD1の動作について説明する。図4は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける通常伸縮モードを説明するための図である。図5は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける第1伸縮モードを説明するための図である。図6は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける第2伸縮モードを説明するための図である。図7は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける駆動電圧の波形を示す図である。図8は、第1実施形態の圧電アクチュエータにおける各測定点の変位を説明するための図である。図8(A)は、各測定点を示す図であり、図8(B)は、各測定点における変位量の時間変化を示す図である。
【0045】
このような構成の圧電アクチュエータD1では、まず、各圧電体1−1〜1−4を分極する分極処理が施される。例えば、側面電極2SA2、側面電極2SB2、側面電極2SC2および側面電極2SD2のそれぞれを介して電極2A2(2A2−2、2A2−4)、電極2B2(2B2−2、2B2−4)、電極2C2(2C2−2、2C2−4)および電極2D2(2D2−2、2D2−4)のそれぞれが接地され、側面電極2SA1、側面電極2SB1、側面電極2SC1および側面電極2SD1のそれぞれを介して電極2A1(2A1−1、2A1−3、2A1−5)、電極2B1(2B1−1、2B1−3、2B1−5)、電極2C1(2C1−1、2C1−3、2C1−5)および電極2D1(2D1−1、2D1−3、2D1−5)のそれぞれに、例えば1500V/mmの電圧が印加される。
【0046】
このような分極処理を施した後に、図4の上段に示すように、分極処理と同一の電極の取り方で各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2に所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材1の全領域AA〜ADが同相で伸縮する。すなわち、図4の中段に示す圧電体1−1〜1−4の主面方向(水平方向、xy方向)に伸長すると共に前記主面の法線方向(積層方向、z方向)に収縮する状態と、図4の下段に示す前記主面方向に収縮すると共に前記法線方向に伸長する状態とが周期的に繰り返され、駆動力の出力領域ODは、前記法線方向に上下に振動する。このような動作モードを通常伸縮モードと呼称することとする。
【0047】
一方、電極2A2(2A2−2、2A2−4)、電極2B1(2B1−1、2B1−3、2B1−5)、電極2C1(2C1−1、2C1−3、2C1−5)および電極2D2(2D2−2、2D2−4)を同極とすると共に、残余の電極2A1(2A1−1、2A1−3、2A1−5)、電極2B2(2B2−2、2B2−4)、電極2C2(2C2−2、2C2−4)および電極2D1(2D1−1、2D1−3、2D1−5)を同極として、駆動電圧供給部3によって所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材1の領域AAおよび領域ADが同相で伸縮すると共に圧電部材1の領域ABおよび領域ACが同相で縮伸する一方、圧電部材1の領域AAおよび領域ADにおける伸縮の位相と圧電部材1の領域ABおよび領域ACにおける伸縮の位相とは、180度異なるものとなる。すなわち、領域AAおよび領域ADでは、図5の中段左側に示す前記主面方向に伸長すると共に前記法線方向に収縮する状態と図5の下段左側に示す前記主面方向に収縮すると共に前記法線方向に伸長する状態とが周期的に繰り返される一方で、領域ABおよび領域ACでは、図5の下段右側に示す前記主面方向に収縮すると共に前記法線方向に伸長する状態と図5の中段右側に示す前記主面方向に伸長すると共に前記法線方向に収縮する状態と周期的に繰り返され、領域AAおよび領域ADにおける伸縮の位相と領域ABおよび領域ACにおける伸縮の位相とは、180度異なって同期する。このため、駆動力の出力領域ODは、駆動力の出力領域ODxとして、図5の上段に示すように、領域AAと領域ABとの境界線および領域ADと領域ACとの境界線に沿ったx方向に前後に振動する。このような動作モードを第1伸縮モードと呼称することとする。
【0048】
また、電極2A1(2A1−1、2A1−3、2A1−5)、電極2B1(2B1−1、2B1−3、2B1−5)、電極2C2(2C2−2、2C2−4)および電極2D2(2D2−2、2D2−4)を同極とすると共に、残余の電極2A2(2A2−2、2A2−4)、電極2B2(2B2−2、2B2−4)、電極2C1(2C1−1、2C1−3、2C1−5)および電極2D1(2D1−1、2D1−3、2D1−5)を同極として、駆動電圧供給部3によって所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材1の領域AAおよび領域ABが同相で伸縮すると共に圧電部材1の領域ACおよび領域ADが同相で縮伸する一方、圧電部材1の領域AAおよび領域ABにおける伸縮の位相と圧電部材1の領域ACおよび領域ADにおける伸縮の位相とは、180度異なるものとなる。すなわち、領域AAおよび領域ABでは、図6の中段左側に示す前記主面方向に収縮すると共に前記法線方向に伸長する状態と図6の下段左側に示す前記主面方向に伸長すると共に前記法線方向に収縮する状態とが周期的に繰り返される一方で、領域ACおよび領域ADでは、図6の下段右側に示す前記主面方向に伸長すると共に前記法線方向に収縮する状態と図6の中段右側に示す前記主面方向に収縮すると共に前記法線方向に伸長する状態と周期的に繰り返され、領域AAおよび領域ABにおける伸縮の位相と領域ACおよび領域ADにおける伸縮の位相とは、180度異なって同期する。このため、駆動力の出力領域ODは、駆動力の出力領域ODyとして、図6の上段に示すように、領域AAと領域ADとの境界線および領域ABと領域ACとの境界線に沿ったy方向に前後に振動する。このような動作モードを第2伸縮モードと呼称することとする。
【0049】
そして、このような第1伸縮モードや第2伸縮モードで振動可能な圧電アクチュエータD1において、駆動電圧供給部3は、前記周期的な所定レベルの電圧として、駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2にそれぞれ供給することが好ましい。このような駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧として、例えば、図7に示すように、+電圧印加時間と−電圧印加時間のデューティ比が所定の比である周期的な矩形パルスが用いられる。例えば、前記デューティ比は、+電圧印加時間:−電圧印加時間=3:7である。このような周期的な矩形パルスが、第1伸縮モードの電圧のかけ方で各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2にそれぞれ供給されると、駆動力の出力領域ODxは、図8(B)に示すように、伸長状態では、時間経過に従って徐々に変位し、その変位が最大となった後、縮小状態では、時間経過に従って急激に変位するように振動する。すなわち、縮小状態での縮小速度は、伸長状態での伸長速度より大きい(速い)。なお、4個の領域AA〜ADの境界点である図8(A)に示す座標x3での時間的な変位変化を図8(B)に実線で示し、この境界点から、領域AAと領域ADとの境界線に沿った所定の第1距離離れた座標x2および領域ABと領域ACとの境界線に沿った前記第1距離離れた座標x4での時間的な変位変化を図8(B)に破線で示し、そして、この境界点から、領域AAと領域ADとの境界線に沿った第1距離より大きい所定の第2距離離れた座標x1および領域ABと領域ACとの境界線に沿った前記第2距離離れた座標x5での時間的な変位変化を図8(B)に一点鎖線で示す。そして、このようなプロファイルの振動における最大変位は、図8(B)に示すように、前記座標x3で最も大きく、前記座標x2、x4で次に大きく、前記座標x1、x5で最も小さい。
【0050】
なお、上述とは逆に、伸長状態での伸長速度を縮小状態での縮小速度より大きく(速く)するためには、前記デューティ比が逆にされる。例えば、上述の例では、前記デューティ比は、+電圧印加時間:−電圧印加時間=7:3である。また、前記駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧として、電圧レベルの時間変化が非対称な三角波となる電圧であってもよい。
【0051】
そして、このように振動する駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)に所定の移動体(図1および図2に不図示)を摩擦係合すると、圧電アクチュエータD1の駆動力を前記移動体に伝達することができ、移動体を前記駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)に対し相対的に移動することができる。特に、上述のように、駆動電圧供給部3が、前記周期的な所定レベルの電圧として、駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を各組の電極2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2にそれぞれ供給することによって、いわゆるSIDMと同様の動作原理によって、前記移動体を駆動することができる。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態の圧電アクチュエータD1は、一体の圧電部材1を4個の領域AA〜ADに分け、その境界部を駆動力の出力領域ODとするので、背景技術のような組立の必要がなく、このため、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態の圧電アクチュエータD1は、4個の領域AA〜ADを備え、互いに直交する2つのx方向およびy方向に延びる2個の出力領域ODx、ODyを持つので、x方向およびy方向の2つの方向に駆動力を出力することができ、本実施形態の構成によれば、2軸の圧電アクチュエータが提供される。
【0054】
次に、別の実施形態について説明する。
【0055】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態における、圧電アクチュエータを用いた撮像装置の構成を示す図である。図9(A)は、斜視図であり、図9(B)は、上面図である。
【0056】
第2実施形態は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1を用いた撮像装置であり、この撮像装置は、被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮影方向を変更するように前記撮像部を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1を含むものである。
【0057】
このような撮像装置S1は、例えば、図9に示すように、基台8と、撮影方向Qの撮像部ISを内蔵した略球形の全体形状を持つ移動体4と、移動体4を回転自在に支持するジンバル機構5と、移動体4を駆動する第1実施形態の圧電アクチュエータD1とを備えている。
【0058】
撮像部ISは、例えば、光学系と、CCD型やCMOS型のイメージセンサとを備えて構成される。被写体からの光線は、前記光学系によって前記イメージセンサの受光面上に結像され、被写体の光学像となる。この被写体の光学像は、前記イメージセンサによって光電変換され、前記イメージセンサから画像信号が出力される。
【0059】
ジンバル機構5は、回転軸y方向に沿って所定の距離だけ離間して立設された1対の支持部材9、10と、移動体4の周囲に設けられ、移動体4をシャフト13、14を介して軸受けすると共にシャフト11、12を介してこれら支持部材9、10のそれぞれに設けられた軸孔で軸受けされるジンバル枠15と、シャフト11の端部に設けられ、ジンバル機構5の回転軸y軸回りの回転角度θyを計測するエンコーダ6と、シャフト13の端部に設けられ、ジンバル機構5の回転軸x軸回りの回転角度θxを計測するエンコーダ7とを備えている。ジンバル枠15は、略矩形状の枠体であり、ジンバル枠15の互いに対向する一方の一対の側枠には、それぞれ、前記シャフト11、12が挿通される軸孔が形成されており、ジンバル枠15の互いに対向する他方の一対の側枠には、それぞれ、これらシャフト13、14が挿通される軸孔が形成されている。これらシャフト11、12、支持部材9、10の前記軸孔およびジンバル枠の前記軸孔によって、回転軸yと同心の軸受部16a、16bが構成され、これらシャフト13、14、移動体4に設けられた軸孔およびジンバル枠の前記軸孔によって、回転軸xと同心の軸受部17a、17bが構成される。
【0060】
圧電アクチュエータD1は、第1実施形態で説明した装置であり、移動体4の下方に位置すると共に、移動体4の駆動面(略球体の外球面)に所定の大きさの付勢力で押圧付勢されて移動体4と摩擦係合するように、基台8上に配設される。
【0061】
このような構成の撮像装置S1は、圧電アクチュエータD1を動作させることによって、移動体4を回転軸x回りに回転駆動することができるとともに、移動体4を回転軸y回りに回転駆動することができる。この結果、移動体4に内蔵された撮像部ISの撮影方向Qは、ジンバル機構5の可動範囲内(所定角度の立体角内)で任意の方向に向けることができる。このため、第2実施形態の撮像装置S1は、例えば、監視カメラとして好適に用いることができる。
【0062】
そして、第2実施形態の撮像装置S1は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1を用いるので、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【0063】
次に、別の実施形態について説明する。
【0064】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す分解斜視図である。図11は、第3実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す縦断面図である。
【0065】
第3実施形態は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1と略同様な圧電アクチュエータD1’を用いた駆動装置であり、この駆動装置は、移動体と、前記移動体を駆動する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記圧電アクチュエータD1’を含むものである。
【0066】
このような駆動装置S2は、例えば、図10および図11に示すように、移動体21と、ケース22と、環状(リング状)の一対の軸受け部材23a、23bと、前記圧電アクチュエータD1’と、押圧バネ24とを備えている。
【0067】
ケース22は、中空の略直方体形状の筐体であり、その一面(例えば底面)が開口されており、そして、その互いに対向する一対の側面には、それぞれ、前記一対の軸受け部23a、23bを装着するための一対の軸孔が形成されている。
【0068】
移動体21は、比較的長尺な円柱形状のロッドであり、その一方端部は、前記一対の軸受け部23a、23bを介してケース22の前記一対の軸孔に挿通され、ケース22内に収納されている。
【0069】
圧電アクチュエータD1’は、第1実施形態で説明した圧電アクチュエータD1と略同様の装置であり、本実施形態では、圧電部材1における駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)に凸部PR1、例えば、半球体形状の凸部PR1と、圧電部材1における駆動力の出力領域ODが設けられる面に対向する面に係合凸部PR2、例えば、縦断面半円である半円柱形状の係合凸部PR2とをさらに備えている。このような構成の圧電アクチュエータD1’は、前記凸部PR1が移動体21の駆動面(円柱の周面)に、押圧バネ24によって所定の大きさの付勢力で押圧付勢されて、移動体21と摩擦係合するように、ケース22内に収容されている。
【0070】
押圧バネ24は、前記所定の大きさの付勢力を発生する弾性部材である。押圧バネ24は、略矩形の板状体の板バネであり、前記矩形における互いに対向する一対の側辺から立設する、押圧バネ24をケース22に連結する連結アームが延設されている共に、前記矩形の略中央部分には係合孔が開口されている。押圧バネ24は、ケース22における前記開口の一面を覆いながら、ケース22の外側に前記連結アームによって取り付けられ、そして、前記係合孔に圧電アクチュエータD1’の前記係合凸部PR2が嵌り込むことで、圧電アクチュエータD1’に前記付勢力を作用させる構造となっている。
【0071】
このような構成の駆動装置S2は、圧電アクチュエータD1’を第1実施形態で説明したように動作させることによって、その駆動力が凸部PR1を介して移動体21に伝達され、移動体21を長尺方向xに沿って駆動することができるとともに、移動体21を回転軸y回りに回転駆動することができる。
【0072】
そして、第3実施形態の駆動装置S2は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1と略同様な圧電アクチュエータD1’を用いるので、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【0073】
次に、別の実施形態について説明する。
【0074】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態における、圧電アクチュエータを用いた駆動装置の構成を示す斜視図である。図12(A)は、上面図であり、図12(B)は、一部側面図であり、そして、図12(C)は、図12(A)に示すAA線における断面図である。
【0075】
第4実施形態は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1と略同様な圧電アクチュエータD1”を用いた駆動装置S3であり、例えば、図12に示すように、ケース31と、一対の第1ガイド部材32a、32bと、一対の第1スライダ部材33a、33bと、一対の第2ガイド部材34a、34bと、第2スライダ部材35a、35bと、一対の押圧バネ36a、36bとを備えている。
【0076】
ケース31は、中空の略直方体形状の筐体であり、そして、その互いに対向する一対の側面には、それぞれ、前記一対の第1ガイド部材32aを配設するための一対の軸孔が形成される共に、前記一対の第1ガイド部材32bを配設するための一対の軸孔が形成されている。
【0077】
第1ガイド部材32a、32bは、それぞれ、y方向の移動を案内するための比較的長尺な円柱形状のロッドである。第1スライダ部材33a、33bは、それぞれ、第1ガイド部材32a、32bを挿通するために貫通孔が形成された柱状体であり、その周面には、前記一対の第2ガイド部材34a、34bを配設するための一対の軸孔が形成されている。
【0078】
第1ガイド部材32aは、第1スライダ部材33aの前記貫通孔に挿通されて、その一方端部がケース31の前記一対の側面にそれぞれ設けられた前記一対の軸孔の一方に嵌り込まれると共に、その他方端部が前記一対の軸孔の他方に嵌り込まれることで、前記一対の側面における一方側面から他方側面へ掛け渡すように配置され、ケース31内に収納されている。また、第1ガイド部材32bは、第1スライダ部材33bの前記貫通孔に挿通されて、その一方端部がケース31の前記一対の側面にそれぞれ設けられた前記一対の軸孔の一方に嵌り込まれると共に、その他方端部が前記一対の軸孔の他方に嵌り込まれることで、前記一対の側面における一方側面から他方側面へ掛け渡すように配置され、ケース31内に収納されている。
【0079】
第2ガイド部材34a、34bは、それぞれ、x方向の移動を案内するための比較的長尺な円柱形状のロッドである。第2スライダ部材35a、35bは、それぞれ、第2ガイド部材34a、34bを挿通するために貫通孔が形成された柱状体である。
【0080】
第2ガイド部材34aは、第2スライダ部材35aの前記貫通孔に挿通されて、その一方端部が第1スライダ部材33aの周面に設けられた前記一対の軸孔の一方に嵌り込まれると共に、その他方端部が第1スライダ部材33bの周面に設けられた前記一対の軸孔の一方に嵌り込まれることで、前記一対の第1スライダ部材33a、33bにおける一方の第1スライダ部材33aから他方の第1スライダ部材33bへ掛け渡すように配置され、ケース31内に収納されている。また、第2ガイド部材34bは、第2スライダ部材35bの前記貫通孔に挿通されて、その一方端部が第1スライダ部材33aの周面に設けられた前記一対の軸孔の他方に嵌り込まれると共に、その他方端部が第1スライダ部材33bの周面に設けられた前記一対の軸孔の他方に嵌り込まれることで、前記一対の第1スライダ部材33a、33bにおける一方の第1スライダ部材33aから他方の第1スライダ部材33bへ掛け渡すように配置され、ケース31内に収納されている。
【0081】
圧電アクチュエータD1”は、第1実施形態で説明した圧電アクチュエータD1と略同様の装置であり、本実施形態では、圧電部材1における駆動力の出力領域OD(ODx、ODy)に凸部PR3、例えば、第3実施形態の凸部PR1と同様な半球体形状の凸部PR3をさらに備えている。このような構成の圧電アクチュエータD1”は、前記凸部PR3がケース31の底面に、前記一対の押圧バネ36a、36bによって所定の大きさの付勢力で押圧付勢されて、ケース31の底面と摩擦係合するように、ケース31内に収容されている。
【0082】
押圧バネ36a、36bは、前記所定の大きさの付勢力を発生する弾性部材である。押圧バネ36a、36bは、それぞれ、例えば、コイルバネである。押圧バネ36aは、その一方端部が第2スライダ部材35aの周面に取り付けられると共に、その他方端が圧電部材1における背面(前記出力領域ODが設けられている面(表面)に対向する面)に取り付けられている。また、押圧バネ36bは、その一方端部が第2スライダ部材35bの周面に取り付けられると共に、その他方端が圧電部材1における背面(前記出力領域ODが設けられている面(表面)に対向する面)に取り付けられている。そして、これら押圧バネ36a、36bは、このように第2スライダ部材35a、35bと圧電アクチュエータD1”との間に配設されることで、圧電アクチュエータD1”に前記付勢力を作用させている。
【0083】
このような構成の駆動装置S3は、圧電アクチュエータD1”を第1実施形態で説明したように動作させることによって、その駆動力が凸部PR3を介してケース31の底面に伝達され、その底面からの反力によって、第2スライダ部材35a、35bを第2ガイド部材34a、34bに沿ってx方向に駆動することができるとともに、第1スライダ部材33a、33bを介して第1ガイド部材32a、32bに沿ってy方向に駆動することができる。
【0084】
そして、第4実施形態の駆動装置S3は、第1実施形態の圧電アクチュエータD1と略同様な圧電アクチュエータD1”を用いるので、その組立性を改善することができ、低コスト化を図ることができる。
【0085】
次に、別の実施形態について説明する。
【0086】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態における3軸の圧電アクチュエータの構成を示す図である。図13(A)は、斜視図であり、図13(B)は、電極の構成を説明するための図である。
【0087】
上述の第1ないし第4実施形態における圧電アクチュエータD1、D1’、D1”では、圧電部材1は、4個の領域に分けられたが、領域の個数は、これに限定されるものではなく、3以上の任意の個数であってよい。例えば、圧電部材は、3個の領域に分けることができる。第5実施形態における圧電アクチュエータは、このような圧電部材を3個の領域に分けた装置である。
【0088】
このような構成の圧電アクチュエータにおいて、圧電部材は、単層の圧電体によって構成される単層構造であってもよいが、本実施形態における圧電アクチュエータは、第1実施形態と同様に、単層構造に較べて同一の印加電圧レベルに対しより高い出力を得るために、言い換えれば、単層構造に較べて同一の出力レベルに対しより低い印加電圧レベルとするために、多層(複数層)、例えば、2層の圧電体によって構成される多層構造である。
【0089】
このような2層構造の圧電アクチュエータD2は、例えば、図13に示すように、上述した通常伸縮モードにおける伸縮方向に積層された2個の圧電体41−1、41−2を備えた圧電部材41と、この圧電部材41を3個の領域AA、AB、ACに分け、これら各領域AA〜ACのそれぞれに各電圧を印加する2組の電極42(42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2)とを備え、これら3個の領域AA〜ACにおける所定の境界部を駆動力の出力領域ODとするものである。
【0090】
圧電体41−1、41−2は、それぞれ、圧電現象を発現する所定の圧電材料から形成された板状(層状、膜状)の部材である。圧電体41−1、41−2は、それぞれ、本実施形態では、例えば、板状の一方主面における法線方向から見た平面視の形状が略円形である板状の円柱体である。
【0091】
これら圧電体41−1、41−2を備えて構成される圧電部材41における前記3個の領域AA〜ACは、例えば、図13(A)に示すように、前記平面視における円形の中心点から径方向に延びる3本の境界線によって等面積で区切られている。すなわち、領域AA〜ACのそれぞれは、中心角120度の扇形である。これら3本の境界線は、図13(A)において、破線で示されている。
【0092】
これら各領域AA〜ACのそれぞれは、各領域AA〜ACのそれぞれに各電圧を印加するための前記3組の電極42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2を備えている。
【0093】
より具体的には、領域AAには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極42A1;42A2が形成されている。さらにより具体的には、圧電部材41が2個の積層された圧電体41−1、41−2を備えて構成されていることから、図13(B)に示すように、圧電体41−1の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極42A1−1が形成され、圧電体41−2の一方主面における領域AAに対応する部分には、電極42A2−2が形成され、圧電体41−2の他方主面における領域AAに対応する部分には、電極42A1−3(不図示)が形成されている。そして、これら圧電体41−1、41−2が積層されているので、圧電体41−1にとって電極42A1−1および電極42A2−2が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極42A1;42A2として機能し、圧電体41−2にとって電極42A2−2および電極42A1−3が、前記所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極42A1;42A2として機能している。
【0094】
領域ABには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極42B1;42B2が形成されており、さらにより具体的には、図13(B)に示すように、領域AAと同様に、各圧電体41−1、41−2における領域ABに対応する部分には、電極42B1−1、42B2−2、42B1−3が形成され、これらは、領域ABでの各圧電体41−1、41−2における前記1組(1対)の電極42B1;42B2として機能している。領域ACには、所定のレベルの電圧を印加するための1組(1対)の電極42C1;42C2が形成されており、さらにより具体的には、図13(B)に示すように、領域AAと同様に、各圧電体41−1、41−2における領域ACに対応する部分には、電極42C1−1、42C2−2、42C1−3が形成され、これらは、領域ACでの各圧電体41−1、41−2における前記1組(1対)の電極42C1;42C2として機能している。
【0095】
また、これら圧電体41−1、41−2を備えて構成される圧電部材41における各周面には、これら3組の電極42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2と上述した駆動電圧供給部3と同様に構成される図略の駆動圧電供給部とを電気的に接続するために、複数の周面電極42SA1;42SA2、42SB1;42SB2、42SC1;42SC2が周方向に周面に沿って形成されている。より具体的には、周面電極42SA1および周面電極42SA2は、圧電部材41の周面における領域AAに対応する部分に互いに電気的に絶縁するように周方向に所定の隙間を空けて形成され、周面電極42SA1には、電極42A1(42A1−1、42A1−3)が接続され、周面電極42SA2には、電極42A2(42A2−2)が接続される。周面電極42SB1および周面電極42SB2は、圧電部材41の周面における領域ABに対応する部分に互いに電気的に絶縁するように周方向に所定の隙間を空けて形成され、周面電極42SB1には、電極42B1(42B1−1、42B1−3)が接続され、周面電極42SB2には、電極42B2(42B2−2)が接続される。そして、周面電極42SC1および周面電極42SC2は、圧電部材41の周面における領域ACに対応する部分に互いに電気的に絶縁するように周方向に所定の隙間を空けて形成され、周面電極42SC1には、電極42C1(42C1−1、42C1−3)が接続され、周面電極42SC2には、電極42C2(42C2−2)が接続される。なお、図13には、周面電極42SB1、42SB2が図示され、周面電極42SA1、42SA2、42SC1、42SC2は、図示が省略されている。
【0096】
そして、前記境界線を含む所定の境界部分が駆動力の出力領域ODとされている。本実施形態の圧電アクチュエータD2では、この駆動力の出力領域ODは、複数(本実施形態では3個)であって、これら3個の駆動力の出力領域ODθ、ODθ+120、ODθ−120は、互いに線形独立な3方向に延びている。より具体的には、出力領域ODθは、領域AAと領域ACとの境界線に沿ってその方向に伸び、出力領域ODθ+120は、領域AAと領域ABとの境界線に沿ってその方向に伸び、そして、出力領域ODθ−120は、領域ABと領域ACとの境界線に沿ってその方向に伸びている。
【0097】
また、このような構成の圧電アクチュエータD2における各領域AA〜ACのそれぞれに前記所定のレベルの電圧を印加する駆動電圧供給部は、例えば、図3に示す上述した駆動電圧供給部3と同様であるので、その説明を省略する。
【0098】
次に、このような構成の圧電アクチュエータD2の動作について説明する。図14は、第5実施形態の圧電アクチュエータにおける分極処理の電極の取り方を説明するための図である。図15は、第5実施形態の圧電アクチュエータにおける各伸縮モードを説明するための図である。図15(A)は、第1伸縮モードを示し、図15(B)は、第2伸縮モードを示し、図15(C)は、第3伸縮モードを示す。
【0099】
このような構成の圧電アクチュエータD2では、まず、各圧電体41−1、41−2を分極する分極処理が施される。例えば、周面電極42SA1、周面電極42SB1および周面電極42SC1のそれぞれを介して電極42A1(42A1−1、42A1−3)、電極42B1(42B1−1、42B1−3)および電極42C1(42C1−1、42C1−3)のそれぞれが接地され、周面電極42SA2、周面電極42SB2および周面電極42SC2のそれぞれを介して電極42A2(42A2−2)、電極42B2(42B2−2)および電極42C2(42C2−2)のそれぞれに、例えば1500V/mmの電圧が印加される。
【0100】
このような分極処理を施した後に、図15(A)に示すように、電極42A1(42A1−1、42A1−3)、電極42B2(42B2−2)および電極42C2(42C2−2)を同極とすると共に、残余の電極42A2(42A2−2)、電極42B1(42B1−1、42B1−3)および電極42C1(42C1−1、42C1−3)を同極として、駆動電圧供給部3によって所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材41の領域AAおよび領域ACが同相で伸縮する一方、圧電部材41の領域AAおよび領域ACにおける伸縮の位相と圧電部材41の領域ABにおける伸縮の位相とは、180度異なるものとなる。このため、駆動力の出力領域ODは、駆動力の出力領域ODθとして、図15(A)に示すように、領域AAと領域ACとの境界線に沿ってその方向θ方向に振動する。このような動作モードを第1伸縮モードと呼称することとする。
【0101】
また、図15(B)に示すように、電極42A1(42A1−1、42A1−3)、電極42B1(42B1−1、42B1−3)および電極42C1(42C1−1、42C1−3)を同極とすると共に、残余の電極42A2(42A2−2)、電極42B2(42B2−2)および電極42C2(42C2−2)を同極として、駆動電圧供給部3によって所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材41の領域AAおよび領域ABが同相で伸縮する一方、圧電部材41の領域AAおよび領域ABにおける伸縮の位相と圧電部材41の領域ACにおける伸縮の位相とは、180度異なるものとなる。このため、駆動力の出力領域ODは、駆動力の出力領域ODθ+120として、図15(B)に示すように、領域AAと領域ABとの境界線に沿ってその方向θ+120方向に振動する。このような動作モードを第2伸縮モードと呼称することとする。
【0102】
また、図15(C)に示すように、電極42A2(42A2−2)、電極42B1(42B1−1、42B1−3)および電極42C2(42C2−2)を同極とすると共に、残余の電極42A1(42A1−1、42A1−3)、電極42B2(42B2−2)および電極42C1(42C1−1、42C1−3)を同極として、駆動電圧供給部3によって所定レベルの電圧を周期的に印加すると、圧電部材41の領域ABおよび領域ACが同相で伸縮する一方、圧電部材41の領域ABおよび領域ACにおける伸縮の位相と圧電部材41の領域AAにおける伸縮の位相とは、180度異なるものとなる。このため、駆動力の出力領域ODは、駆動力の出力領域ODθ−120として、図15(C)に示すように、領域ABと領域ACとの境界線に沿ってその方向θ−120方向に振動する。このような動作モードを第3伸縮モードと呼称することとする。
【0103】
そして、このような第1ないし第3伸縮モードで振動可能な圧電アクチュエータD2において、駆動電圧供給部3は、前記周期的な所定レベルの電圧として、駆動力の出力領域OD(ODθ、ODθ+120、ODθ−120)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を各組の電極42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2にそれぞれ供給することが好ましい。
【0104】
そして、このように振動する駆動力の出力領域OD(ODθ、ODθ+120、ODθ−120)に所定の移動体(図13および図15に不図示)を摩擦係合すると、圧電アクチュエータD2の駆動力を前記移動体に伝達することができ、移動体を前記駆動力の出力領域OD(ODθ、ODθ+120、ODθ−120)に対し相対的に移動することができる。特に、上述のように、駆動電圧供給部3が、前記周期的な所定レベルの電圧として、駆動力の出力領域ODODθ、ODθ+120、ODθ−120)における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を各組の電極42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2にそれぞれ供給することによって、いわゆるSIDMと同様の動作原理によって、前記移動体を駆動することができる。
【0105】
このような構成の圧電アクチュエータD2は、3個の領域AA〜ACを備え、互いに線形独立な3方向に延びる3個の出力領域ODθ、ODθ+120、ODθ−120を持つので、3つの各方向に駆動力を出力することができ、この構成によれば、3軸の圧電アクチュエータが提供される。
【0106】
なお、上述の第5実施形態における圧電アクチュエータD2は、円柱形状であったが、三角柱形状であってもよい。
【0107】
また、上述の第5実施形態において、図16に示すように、各領域AA〜ACごとに圧電部材ブロックを作り、これらを例えばエポキシ系接着剤等によって貼り合わせることで、圧電アクチュエータD2が製造されてもよい。
【0108】
なお、上述の第1ないし第5実施形態において、圧電アクチュエータD1、D1’、D1”、D2は、駆動力の出力領域ODをコーティングするダイヤモンドライクカーボン層をさらに備えてもよい。あるいは、上述の第1ないし第5実施形態において、圧電アクチュエータD1、D1’、D1”、D2は、駆動力の出力領域ODをコーティングするタングステンカーバイト層をさらに備えてもよい。このような構成の圧電アクチュエータD1、D1’、D1”、D2は、耐摩耗性素材で出力領域ODを覆うことによって、出力領域ODの耐摩耗性を改善すること(高めること)ができる。
【0109】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0110】
D1、D1’、D1”、D2 圧電アクチュエータ
S1 撮像装置
S2、S3 駆動装置
1、41 圧電部材
2(2A1;2A2、2B1;2B2、2C1;2C2、2D1;2D2)、42(42A1;42A2、42B1;42B2、42C1;42C2) 電極
3 駆動電圧供給回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の立体形状の圧電部材と、
前記圧電部材を複数の領域に分け、各領域のそれぞれに各電圧を印加する複数の電極とを備え、
前記複数の領域における所定の境界部を駆動力の出力領域とすること
を特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記圧電部材は、複数であって、前記複数の圧電部材は、積層されていること
を特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記駆動力の出力領域に摩擦係合し、前記駆動力の出力領域に対し相対的に移動可能な移動体をさらに備えること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記駆動力の出力領域は、複数であって、前記複数の駆動力の出力領域は、互いに線形独立な複数の方向に延びていること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記駆動力の出力領域をコーティングするダイヤモンドライクカーボン層をさらに備えること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記複数の領域は、4個であること
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記複数の領域は、3個であること
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記出力領域における伸長と縮小とを異なる速度で行わせる電圧を前記複数の電極にそれぞれ供給する駆動電圧供給部をさらに備えること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮影方向を変更するように前記撮像部を駆動する駆動部とを備え、
前記駆動部は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータを含むこと
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−50161(P2012−50161A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186931(P2010−186931)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】